以下の説明において、同じ参照番号は、図1から図8において同一又は対応する要素を示すために使用される。
図1における参照番号1は、平面高電圧変圧器2を有するCT装置を示す。この平面高電圧変圧器2の一次巻線20、22、24及び26は、平面巻線にとって一般的であるアスペクト比を示す。つまり、横寸法が縦寸法に比べ大きい。結果として、上記一次巻線に発生する熱は、その上面又は下面を介して除去される。しかしながら、高電圧二次巻線30及び32は通常、多くのターンを必要としている。これにより、縦寸法は横寸法に匹敵する。結果として、熱は、二次巻線のスタック、例えば30及び32で示されるような二次巻線のスタックの中心から除去されるべきである。前記変圧器、特に前記二次巻線は、例えば変圧器油のような冷却媒体5に埋設されてもよい。
図1に示される前記平面変圧器の断面図は、一次巻線20、22、24及び26並びに二次巻線30及び32がコア10の中心脚部12の周りに巻かれていることが示される。さらに、外側脚部14及び16が設けられている。
図2は、前記二次巻線のスタック30及び32の一方の巻線のスタック(巻線のスタック30)を通る水平断面図を示す。図2に示される二次巻線のスタックを通る断面図は、前記コアの中心脚部12並びに外側脚部14及び16を示す。以後の図面3、4、5及び6において、夫々の巻線は、良好な表現を考慮して円筒形状の代わりに矩形形状で示される。しかしながら、この円筒形状の開口は、図2に示される線分42に対応している水平境界となる。
図3は、各々が上記巻線のスタックに使用されるような、4つのターンの二次巻線からなる2つの層40及び50を示す。実際に、既に上述されたようなこれらターンは、図3に示される矩形形状というより、図2に示される巻線のスタック30と同じ円筒形状を持つ。しかしながら、矩形形状は前記巻線の構成をより簡潔な方法で示すのに使用される。
電流は端部45を介し層40に入り、次いでターン41、42、43及び44を通過し、スルー接続部(through connect)46/56において層40から層50へ移動し、次いでターン51、52、53及び54を通過し、最後に端部55において層50から出てくる。
これら層が図1の垂直方向に関して巻線のスタック30の中心の近くに置かれる場合、内側のターン42、43、52、53から熱を除去することは難しい。この熱は、垂直方向にある幾つかの絶縁層又は半径方向にある幾つかの絶縁体からなる円筒状リングのどちらか一方を通過しなければならない。高電圧の二次巻線において、図3に示される1つの層当り4つのターンよりもかなり多くあるので、この問題は重要である。
通常、絶縁材料は熱伝導率が悪く、これにより絶縁材料の領域が熱の除去を妨げる。これら熱の経路に加え、熱は、全て相互接続される円筒形の銅のターンに沿って運ばれてもよい。しかしながら、これは小さな断面を持つ長い経路となり、これにより良好な銅の熱伝導率にもかかわらず、半径方向への熱の伝導を大幅に増やさない。
図4は、図1及び図2に示される変圧器に使用されるような、本発明の例示的な実施例による二次巻線の2つの層を示す。参照番号60は第1の層を示し、参照番号70は第2の層を示す。これら層は二次巻線30の隣接する層であり、上下に配される。図4から分かるように、電流は端部61において層60に入る。次いで、電流はスルー接続部601/701へ流れ、層70に変更する。次いで、電流は、他のスルー接続部602/702へ流れ、その後層60へ戻るように流れる。前記電流のこのインタリービング伝導(interleaving conductance)は、電流がスルー接続部614/714に到達し、次いで端部62を介し層60を出てくるまで続けられる。
図4から分かるように、電流路を辿る場合、後続するスルー接続部の間、例えば701/702及び602/603の間の距離は、例えば図3における外部接続部45から前記スルー接続部46への電流路に比べかなり短い。その上、これらスルー接続部は前記二次巻線のブロックの表面に局部的に近く、図1に示されるように二次巻線のブロックの周囲にある冷却媒体5、例えば変圧器油と良好な熱接触である。言い換えると、前記スルー接続部は、前記巻線のブロックの内側/外側表面にあり、これにより前記巻線のブロックを埋設している冷却媒体5に対し良好な熱接触となる。特に、前記スルー接続部は前記二次巻線のブロックの表面とかなり距離にわたり平行であるため、二次巻線のブロックと周囲の冷却媒体との間に良好な熱接触が存在する。これにより、熱は、前記巻線の如何なる部分から二次巻線のブロックの外側表面へ運ばれ、そこから前記周囲の冷却媒体へ図3に示されるような巻線の配置と比較して改善された割合で運ばれる。
既に上述されたように、電流路(例えば705から706への経路)は、銅の層により達成される。
図4から分かるように、これら層は本質的に互いに平行に延在し、図4の表現において基本的に水平方向に延在している。層70上の電流路の主方向は、参照符号Aを用いて示される。参照符号Aにより示されるように、この電流路の主方向は、左上から右下である。言い換えると、電流路の主方向は、前記層70がそれに沿って延在している主方向に曲げられ、図4においてその主方向は水平方向である。さらに、参照番号Bを用いて示されるように、層60上の電流路の主方向は、左下から右上である。層70上の全電流路は基本的に同じ方向を持つ。さらに、層60上の全電流路も本質的に同じ方向を持つ。層70上において、電流路の主方向は、前記層60がそれに沿って延在している主方向に曲げられる(図4において水平方向に曲げられる)。参照番号A1及びB1を用いて示されるように、前記主方向A及びBは、対向するように水平方向に曲げられる。好ましくは、図4の表現において、主方向Aの水平方向に対する角度は、主方向Bと水平方向との間にある角度に等しい。しかしながら、これら角度は、逆の算術符号又は逆の向きを持つ。
若しくは、他の言葉で言うと、水平方向に平行ではない主方向A及びBのベクトル成分は互いに逆である。
さらに、図4から特に分かるように、電流路は幾つかのステップにおよんでいる、すなわちこれら経路に沿った均一な方向を必ずしも必要としないが、水平方向に延在する部分と、主方向として前記水平方向にさらに曲げられて延在する部分とを含む。
端部61及び62を介する電流源は通常夫々の円筒状巻線の外側にある。従って、図4における夫々の上側は、円筒形状の二次巻線の夫々の内側部分である。この例示的な実施例の変形例において、夫々の電流路の幅は、夫々の内側、すなわち図4の表現では上側に向かって減少している。
図4において、層60における電流路の部分61/601及び612/613、並びに層70における電流路の部分701/702及び713/714は、互いに最も高い電圧差を有する。これら電流路間における電圧のブレイクスルー(breakthrough)を避けるために、これら2つの電流路間の距離は他の電流路と比較して増大している。
図5は、図1及び図2に示される変圧器に使用されるような、二次巻線の2つの層の他の例示的な実施例を示す。図5から分かるように、これら電流路の銅の層の間にある距離は、電流路の部分612/613及び713/714を除去することにより増大する。電流路の部分711/712の端点は、スルー接続部712からスルー接続部714へ移動される。これにより、最も高い電位差を示す電流路間の絶縁が増加し、これにより、これら電流路に対する改善されるブレイクスルーの防止が供給される。
図6は、図1及び図2に示される変圧器に使用及び適用されるような、本発明の他の例示的な実施例による二次巻線の2つの層を示す。図6から分かるように、図4及び図5と比較して、ある電流入力端部61が層60上に配され、他の出力端部72は層70上に配される。これにより、夫々の端部の間の距離は、前記端部61と71との間における増大する絶縁を考慮して、増大する。
上記図4から図6において、前記巻線上の電流路は、夫々の方向及びそれらの寸法の段階的な変化を示す。さらに、寸法を変える代わりに、夫々の電流路の幅が変化してもよい。さらに、夫々の電流路の厚さが夫々の負荷に適応してもよい。
図4から図6に示される二次巻線の例示的な実施例は、改善された冷却を考慮し、これにより、例えばX線管用の高電圧発生器のための高電圧変換器の改善された又は高い電力密度を考慮する。これは、CTのガントリ上の高電圧発生器に必要とされるボリューム及び高さを減少させることが利点である。
図7は、図1に示される平面高電圧変圧器の一次巻線20、22、24及び26のうち1つの巻線20を通る水平断面図を示す。一次巻線は、大量の電流を運ばなければならない。従って、ある単一のターンは、前記巻線の全部の幅を殆ど使用する一次巻線の各層に作成される。電流路が円筒形状であるため、前記巻線の内部周辺部分において大きな電流密度及び損失となる前記ターンの内側半径の近くで主に電流が流れる。このような単一のターンは、間隙により離間される複数の平行なターンに分割される。しかしながら、これは電流の大部分が前記層の内側半径に最も近いターンに流れるので、状態を大幅に改善しなくてもよい。
図8は、図1に示される変圧器に使用されるような、一次巻線の例示的な実施例による2つの層を示す。図4から図6にあるように、層70及び80上の夫々の電流路の配置を示すために平行且つ非円筒状の表現が使用される。二次巻線の上記例示的な実施例にあるように、前記2つの層70及び80は、電流路91、92、93、94、95、96、97及び98をインタリーブするのに使用される。電流は、端部71において入力され、前記層70の幅に沿って分配される。端部71に流れ込む電流は、スルー接続部72/82において2つの層70及び80の間に分割される。電流は前記スルー接続部82から層80の幅に沿って分配される。層70及び80において、電流は直ちに夫々の平行な電流路91から98に分割され、これら経路は図4から図6における経路のように、図8において層70及び80がそれに沿って延長している水平方向に夫々曲げられる主方向A及びBに本質的に延在する。しかしながら、これら角度は夫々逆の算術符号又は方向を持つ。さらに、二次巻線の上記実施例を参照して既に示されるように、A及びBのベクトル成分は、水平、すなわちA1及びB1が互いに対向している方向には平行ではない。
前記変圧器の中心脚12の周りに殆ど完全に移動した後、平行な電流路91から98は、層70及び80の横方向において再び互いに接続される。これら接続点に他のスルー接続部74/84を設け、この接続部により電流は層70に戻され、端部73において電流が層70から離れる。
電流路がある層のターンから夫々の他の層の後続するターンへ変化するのに通過するスルー接続部75が設けられる。この電流路は、前記層の周縁の周りに周期的に分配されるこれらスルー接続部の位置において、あるターンから隣接するターンへ移動する。この配置のために、各電流路は、2つの層の各ターンの同じ断片を本質的に覆っている。これは、電流路をこれら経路の電磁作用に関して同等にさせ、これら経路間において電流全てが本質的に均一であるように分配される。このために、個々の電流路にある電流は減少すると思われる。さらに、これは均一な電流分布を考慮していると思われる。
本発明の例示的な実施例による一次巻線構造は、X線管用の高電圧発生器のための高電圧変圧器の低損失及び電力密度の増大を考慮すると思われる。特に、CTのガントリ上の高電圧発生器に必要とされるボリューム及び重量を減少するのに有用である。
上述したように、例示的な実施例による変圧器は、図2から図6を参照して説明される二次巻線の配置又は図7から図8を参照して説明される一次巻線の配置を有する。特に、このような変圧器及び/又はこのような巻線の配置は、例えば医療診断におけるX線管用の高電圧発生器のための高電圧変換器に対し高電力密度が必要とされる応用に利用される。しかしながら、このような巻線の配置が全ての種類の電源変圧器に利用されてもよいことに注意すべきである。
有するという言葉が他の要素又はステップを排除しないこと、単数での記載がそれが複数あることを排除しないことを注意すべきである。さらに参照符号が請求の範囲を制限するのに使用されない。