JP2009514507A - ブルシンおよびprop苦味リガンドに特異的に応答する新規苦味受容体t2r76の同定 - Google Patents

ブルシンおよびprop苦味リガンドに特異的に応答する新規苦味受容体t2r76の同定 Download PDF

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Abstract

T2R76ポリペプチドをコードする単離核酸、T2R76ポリペプチドを発現する組換え体、T2R76ポリペプチドの組換え発現用の異種発現系、該ポリペプチドを使用するアッセイ法、およびT2R76調節剤の投与を介して味知覚を改変するための方法。これらのT22R76ポリペプチドを、単独で発現させるか、または別のT2Rポリペプチド、好ましくは異なるヒトT2Rポリペプチドと同時発現させてもよい。これらのT2R76ポリペプチドは、ブルシンおよびプロピルチオウラシル(PROP)を含む苦味リガンドに特異的に応答し、そしてしたがって、苦味を調節する、好ましくは遮断する化合物を同定するアッセイで使用可能である。

Description

発明の詳細な説明
関連出願
本出願は、米国出願第10/628,464号、2003年7月29日出願に優先権を請求し、そしてその一部継続出願であり、前記出願は振り返って、米国出願第60/398,727号、2002年7月29日に優先権を請求する。これらの出願はどちらも、その全体が本明細書に援用される。
発明の分野
[0001]本発明は、一般的に、T2Rファミリー中の新規ヒト苦味受容体を構成するT2R76ポリペプチド、および該ポリペプチドによって仲介される苦味知覚に関する。より詳細には、本発明は、T2R76ポリペプチドをコードする単離核酸、苦味受容体として機能する、単離され、そして機能するT2R76ポリペプチド、T2R76ポリペプチドの組換え発現のための異種発現系、T2R76が仲介する味知覚の調節剤、特に苦い味がするか、または苦味を遮断する化合物を同定するための方法、ならびにこれらの使用を提供する。さらにより詳細には、本発明は、T2R76ポリペプチドが、ブルシンおよびプロピルチオウラシル(PROP)を含む苦味リガンドに特異的に応答するという発見を伴う。
関連技術の説明
[0002]ヒトが認識しうる基本的な味の様式の1つは苦味である。苦味化合物は細胞表面受容体と相互作用することによって、苦味を生じると考えられている。受容体の活性化は、最終的に神経伝達物質を放出する細胞内シグナル伝達カスケードを開始する。次いで、脳神経神経節からの求心神経線維は、シグナルを皮質味覚中枢に中継し、ここで味知覚として情報がプロセシングされる。これらの受容体は、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)とも呼ばれる、細胞内Gタンパク質と相互作用する7回膜貫通ドメイン受容体のファミリーに属する。Lindemann(2001)Nature 413(6852):219−25を参照されたい。
[0003]T2Rと称される、GPCRの新規ファミリーが、ヒトおよびげっ歯類で同定されている(Adlerら、2000;Chandrashekarら、2000;Matsunami、2000;PCT国際公報第WO 01/18050号および第WO 01/77676号)。いくつかの系列の証拠によって、T2Rが、苦味化合物の知覚を仲介しうることが示唆された。第一に、T2R遺伝子は、舌および口蓋上皮の味受容体細胞サブセットで、特異的に発現されている。第二に、T2Rは、マウスおよびヒトにおいて、苦味知覚と関連する遺伝子座に遺伝的に関連付けられている(Conneallyら、1976;Capelessら、1992;Reedら、1999;Adlerら、2000)。第三に、in vitro研究によって、味細胞において特異的に発現され、そして苦味刺激伝達に関連付けられるGタンパク質、ガストデューシンを、T2Rが活性化可能であり、そしてT2Rによるガストデューシン活性化は、苦味化合物の適用に応答して、選択的に起こることが示されている(Chandrashekarら、2000)。これらのデータに基づいて、mT2RおよびhT2R受容体ファミリーは、それぞれ、マウスおよびヒトにおいて、苦味応答を仲介すると提唱される。
[0004]苦味はしばしば、食品、飲料、口腔洗浄液、歯磨剤、化粧品、および医薬品において、望ましくない。苦味は、糖などの甘い化合物の添加によって隠されることも可能である;が、甘味料の添加は、食品フレーバーを望ましくなく改変する可能性もあり、そしてカロリー摂取を増加させうる。医薬品の場合、経口摂取に際して、苦味を減少させるため、複雑でそしてコストがかかる配合法(例えばコーティングおよびカプセル)が開発されてきた。味受容体の阻害を介して苦味を直接遮断するための方法は、記載されてきていない。
[0005]最近、特定の苦味リガンドの受容体として、いくつかのヒトT2Rが同定されてきた(Chandrashekarら(同上)2000;Bufeら(同上)2002;Kimら, Science 299, 2003;Proninら, Chemical Senses 29, 2004;Behrensら, BBRC 319, 2004;Kuhnら, J. Neuroscience 24, 2004;Bufeら Current Biology 15, 2005)。各hT2Rが多数のリガンドに結合可能であることもまた示唆されてきている。この仮説は、ヒトが何百もの構造的に多様な化合物を苦いと認識しうるという事実に基づく。hT2Rの配列が、Zukerら、WO 01/18050 A2(2001)およびAdlerら、WO 01/77676 A2(2001)による公開PCT出願に開示されており、これらはどちらも、上記に同定するhT2R76に関連するこれより早い特許出願とともに、本明細書にその全体が援用される。
[0006]T2R機能を研究する際の1つの難点は、これらの受容体が、培養哺乳動物細胞株で容易には発現されないことである。T2R発現を改善するため、ロドプシンなどの、よく発現されるGPCR由来のN末端配列を特定のT2R配列に付着させてもよい(Chandrashekarら(同上)2000を参照されたい)。このN末端タグはまた、入手可能な抗体があるため、タンパク質発現を容易に監視することも可能にする。ロドプシン・タグを取り込むと、哺乳動物細胞株において、いくつかのT2Rの発現が改善されたが、そのうちいくつかはなお、機能研究に十分なほど多くは発現されない。異なるアプローチにおいて、Sf9昆虫細胞において、mT2R5が成功裡に発現され、そして生化学的GTP結合アッセイを用いた機能研究に用いられた(Chandrashekarら(同上)2000)。
[0007]本明細書にその全体が援用される、本譲受人、Senomyx Inc.による先の特許出願、米国出願第10/191,058号において、本出願者らは、3つの異なるヒトT2Rに特異的に結合する苦味リガンドを発見した。さらに、本出願者らは、最近、7つの他のヒトT2Rに特異的に結合する苦味リガンドを開示する、仮特許出願60/00000を出願した。
[0008]したがって、当該技術分野には、苦味知覚の阻害剤開発のためのターゲットとして、苦味受容体を同定し、そして機能的に性質決定する必要が存在する。この必要性を満たすため、本発明は、新規T2R76核酸およびポリペプチドを提供する。本発明はまた、味知覚、特に、ブルシン、PROPおよび他の化合物、例えばT2R76が仲介する味を調節する、構造的に関連する化合物などの苦味リガンドによって仲介される苦味知覚を改変する、T2R76の調節剤を同定し、そして用いるための方法も提供する。
発明の概要
[0009]本発明は、単離T2R76核酸および該核酸にコードされるT2R76ポリペプチド、ならびにT2R76ポリペプチドがPROP(プロピルチオウラシル)およびブルシンに特異的に応答するという関連する発見を提供する。ポリペプチドおよび核酸は、本明細書に開示する検出法およびアッセイ、好ましくは、例えばブルシン、PROPまたは他の苦味リガンドによって誘発される、T2R76が仲介する苦味を遮断するかまたは阻害する化合物を同定するための、細胞に基づくハイスループット・アッセイにおいて有用である。
[0010]本発明にしたがって、T2R76核酸は:(a)配列番号2のポリペプチドをコードする単離核酸分子;(b)配列番号1の単離核酸分子;または(c)配列番号1に「実質的に類似である」(以下に定義する)単離核酸分子を含んでもよい。
[0011]TR76核酸はまた:(a)配列番号2のポリペプチドをコードする単離核酸分子;(b)配列番号1の単離核酸分子;(c)約200mM未満の塩濃度を有する洗浄溶液および約45℃より高い洗浄温度によって代表される洗浄ストリンジェンシー条件下で、配列番号1の核酸配列にハイブリダイズし、そしてT2R76ポリペプチドをコードする、単離核酸分子;あるいは(d)遺伝暗号の縮重のため、核酸配列が、上記の(a)、(b)、および(c)の1つの単離核酸分子と、少なくとも1つの機能的に同等なコドンによって異なり、そして配列番号2に含有される天然T2R76ポリペプチドのリガンドおよび/または機能的特性を保持する、すなわち、ブルシンおよび/またはPROPに特異的に応答するポリペプチドをコードする、上記の(a)、(b)、および(c)の1つの単離核酸によってコードされるT2Rポリペプチドをコードする、単離核酸分子も含んでもよい。好ましくは、単離T2R76核酸は:(a)配列番号2のポリペプチドをコードする単離核酸分子;または(b)配列番号1の単離核酸分子を含む。
[0012]単離T2R76ポリペプチドは:(a)配列番号2のポリペプチド;(b)配列番号2に「実質的に同一である」(以下に定義する)ポリペプチド;(c)配列番号1の核酸分子によってコードされるポリペプチド;または(d)配列番号1に実質的に同一である核酸分子によってコードされるポリペプチドを含んでもよい。
[0013]T2R76ポリペプチドはまた:(a)配列番号2のポリペプチドをコードする単離核酸分子;(b)配列番号1の単離核酸分子;(c)高ストリンジェンシー条件下で、配列番号1の核酸にハイブリダイズし、そしてT2R76ポリペプチドをコードする、単離核酸分子;および(d)遺伝暗号の縮重のため、核酸配列が、上記の(a)、(b)、または(c)の1つの単離核酸分子と、少なくとも1つの機能的に同等なコドンによって異なり、そして上記の(a)、(b)、または(c)の単離核酸によってコードされるT2R76ポリペプチドをコードする、単離核酸分子からなる群より選択される単離核酸分子によってコードされるポリペプチドも含んでもよい。好ましくは、T2R76ポリペプチドは、配列番号2、または配列番号2との少なくとも90%の配列同一性、より好ましくは配列番号2との少なくとも95〜99%の配列同一性を所持するポリペプチドを含む。
[0014]本発明は、T2R76核酸を検出するための方法であって:(a)核酸物質を有する生物学的試料を得て;(b)ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、単離T2R76核酸分子を、(a)の生物学的試料にハイブリダイズさせて、それによって、単離T2R76核酸および生物学的試料内の核酸の間に二重鎖構造を形成し;そして(c)(b)の二重鎖構造を検出し、それによってT2R76核酸分子を検出する工程を含む、前記方法をさらに提供する。
[0015]本発明は、T2R76ポリペプチドを特異的に認識する抗体、および該抗体を産生するための方法をさらに提供する。方法の代表的な態様は:(a)T2R76ポリペプチドを組換え的にまたは合成的に産生し;(b)(a)のポリペプチドを配合して、それによって有効な免疫原とし;(c)(b)の配合物を動物に投与して、抗体の産生を含む、動物における免疫応答を生じ、ここで抗体は動物の血清中に存在し;そして(d)T2R76ポリペプチドを特異的に認識する抗体を含む、(c)の動物由来の血清を収集する工程を含む。開示する方法は、モノクローナル抗体を調製する工程をさらに含んでもよい。
[0016]やはり提供するのは、T2R76ポリペプチドのレベルを検出するための方法である。代表的な態様において、該方法は:(a)ペプチド物質を有する生物学的試料を得て;(b)本発明の抗体との免疫化学的反応によって、(a)の生物学的試料中のT2R76ポリペプチドを検出し、それによって、試料中のT2R76ポリペプチドの量を決定する工程を含む。
[0017]やはり提供するのは、T2R76ポリペプチドの組換え発現のための系である。組換え発現系は:(a)本発明のT2R76ポリペプチド(例えば、配列番号2として示す代表的な態様);および(b)T2R76ポリペプチドを発現する異種宿主細胞を含んでもよい。好ましくは、宿主細胞は、HEK−293、HEK−293T、COS、CHO、BHKまたはMDCK細胞などの哺乳動物宿主細胞を含むであろう。最も好ましくは、宿主細胞は、T2R76と機能的に共役するGタンパク質、例えば、Gアルファ15またはGアルファ16、ガストデューシン、トランスデューシン、あるいはそのキメラなどの乱結合(promiscuous)Gタンパク質を発現する、HEK−293細胞である。さらに、組換え発現系は、T2R76とは異なるT2Rポリペプチドをコードする核酸配列を含んでもよい。特に、組換え発現系は、すべてその全体が本明細書に援用される、Zukerらに対して2003年5月6に発行された米国特許第6,558,910号、Adler、John Elliotによって、2002年7月18日に公開された米国公開出願20020094551、およびZukerらによって、2003年1月30日に公開された米国公開出願20030022278に開示されるT2R核酸配列のいずれかを含んでもよい。T2Rポリペプチドの別の名称が、本明細書に援用されるZuker出願に開示されるように、SFまたはGRポリペプチドであることに注目すべきである。本hT2R76を1以上の他のT2Rポリペプチドと一緒に発現させて、機能するヘテロマー味受容体を産生してもよい。他のT2Rポリペプチドは、別のヒトT2R、あるいは別の種、例えばラットまたはマウスのT2Rであってもよい。宿主細胞は、任意の適切な細胞を含んでもよい。好ましい宿主細胞は、哺乳動物細胞、より好ましくはヒト細胞を含む。上述のように、好ましくは、宿主細胞は、T2R76ポリペプチドに共役可能なGタンパク質アルファ・サブユニット、例えばGα15、ガストデューシンまたはトランスデューシンなどの乱結合Gタンパク質をさらに含む。
[0018]T2R76ポリペプチドの組換え発現用の開示する系を用いて、本発明は、T2R76ポリペプチドの調節剤を同定するための方法をさらに提供する。本発明の好ましい態様において、該方法は:(a)T2R76ポリペプチドが、異種宿主細胞において発現される、組換え発現系を提供し;(b)(a)の系に試験物質を提供し;(c)試験物質、および場合によって、T2R76を特異的に活性化することが知られるリガンド、例えばPROPまたはブルシンの存在下で、T2R76機能のレベルまたは性質をアッセイし;(d)T2R76機能の対照レベルまたは性質と、試験物質および場合によるさらなる既知のT2R76リガンドの存在下でのT2R76機能のレベルまたは性質を比較し;そして(e)T2R76機能の対照レベルまたは性質に比較した際に有意に変化するような、試験物質、および場合による別の既知のT2R76特異的リガンドの存在下でのT2R76機能のレベルまたは性質を決定することによって、試験物質をT2R76調節剤として同定する工程を含む。アッセイ工程は、試験物質の非存在下での結合に比較して、この試験物質の存在下でのGTPγS結合の量を決定する工程を含んでもよい。好ましくは、T2R76調節剤は、試験化合物、およびPROPまたはブルシンなどの、場合による既知のT2R76リガンドの存在下または非存在下で、細胞内カルシウムの変化を監視する、細胞に基づくアッセイにおいて、同定される。
[0019]本発明の別の態様において、T2R76ポリペプチドの調節剤を同定するための方法であって:(a)T2Rポリペプチドを発現させ、そして前記ポリペプチドまたはポリペプチドの組み合わせを、単独で、または1以上の他のT2Rポリペプチドと組み合わせて、1以上の試験物質に、そして場合によって、さらに、PROPまたはブルシンなどの既知のT2R76リガンドに曝露して;(b)単離T2R76ポリペプチドまたはT2R76を含有するポリペプチドの組み合わせに対する試験物質の結合、あるいは既知のT2Rリガンドの結合に対する効果をアッセイして;そして(c)T2R76ポリペプチドに対する特異的結合を示すか、あるいは、既知のT2R76リガンド、例えばPROPまたはブルシンの特異的結合を調節する、好ましくは阻害する、候補物質を選択する工程を含む。
[0020]やはり提供するのは、開示する方法によって同定される、T2R76ポリペプチドのアゴニストおよび阻害剤を含む調節剤である。調節剤は、T2R76を調節する、例えばT2R76ポリペプチドでの苦味リガンド、例えばブルシンまたはPROP、あるいはT2R76ポリペプチドに特異的に結合する、構造的に関連する化合物の、特異的活性化および/または結合を阻害するかまたは遮断する、タンパク質、ペプチド、抗体、核酸、小分子、またはその組み合わせを含んでもよい。好ましくは、こうしたT2R76調節剤は、T2R76が仲介する苦味知覚を調節する、ヒト味試験において確認される。
[0021]本発明は、本明細書記載のアッセイ系を用いて同定されるT2R76調節剤を用いて、被験体における苦味知覚を調節するための方法をさらに提供する。好ましくは、被験体は、哺乳動物被験体、そしてより好ましくはヒト被験体である。やはり好ましくは、被験体において改変されている苦味知覚は、T2R76が仲介する機能、および潜在的に他のT2Rによって仲介される苦味を含む。
[0022]本発明の1つの態様において、被験体における苦味知覚を調節するための方法は:(a)開示する方法にしたがって同定されるT2R76調節剤を含む組成物を調製し;そして(b)好ましくは摂取によって、有効用量の本発明記載のT2R76調節剤を含有する食品、飲料または医薬品を被験体に投与し、それによって被験体において、苦味知覚を改変する工程を含む。
[0023]例えば、本発明は、T2R76阻害剤および苦味化合物を被験体に同時投与することを介して、苦味化合物の苦味知覚を減少させるための方法を提供する。本発明はまた、T2R76アゴニストおよび化合物を同時投与することを介して、化合物の苦味知覚を増進するための方法も提供する。同時投与工程は、味を調節しようとする化合物と混合してT2R76阻害剤を含む組成物を投与する工程を含んでもよい。本発明の好ましい態様において、組成物は、食品、飲料、口腔洗浄液、歯磨剤、化粧品、または医薬品を含んでもよい。
[0024]本発明はまた、T2R76アゴニスト、および味を調節しようとする化合物を同時投与することを介して、化合物の苦味知覚を増進するための方法も提供する。T2R76アゴニストおよび化合物を、単一組成物として混合してもよい。
[0025]したがって、新規T2R76核酸およびポリペプチド、T2R76核酸を検出するための方法、T2R76ポリペプチドが発現される異種発現系、異種T2R76発現系を使用する方法およびアッセイ、ならびにT2R76ポリペプチドまたはT2R76調節化合物を調節し、そして検出するための方法を提供することが、本発明の目的である。この目的は、本発明によって、完全にまたは部分的に達成される。
[0026]本発明の目的を上述したが、本発明の以下の説明および限定しない実施例を検討すると、本発明の他の目的および利点が、当業者には明らかとなるであろう。
配列表中の配列の簡単な説明
[0029]配列番号1および配列番号2は、それぞれ、本発明記載のヒトT2R76ヌクレオチドおよびアミノ酸配列を含有する。
発明の詳細な説明
I.定義
[0030]以下の用語は、一般の当業者によってよく理解されていると考えられるが、本発明の説明を容易にするため、以下の定義を示す。
[0031]用語「a」、「an」、および「the」は、長年の慣習にしたがって、1以上を指すよう用いられる。
[0032]用語「約」は、本明細書において、配列同一性パーセント(例えば、本明細書において以下に記載するように、ヌクレオチドおよびアミノ酸配列を比較する際)、ヌクレオチドまたはタンパク質の長さ、結合量などの測定可能な値を指す場合、明記する量から±20%または±10%、より好ましくは±5%、さらにより好ましくは±1%、そしてさらにより好ましくは±0.1%の変動を含むよう意味され、これは、こうした変動が、開示する方法を行うか、または別の方式で本発明を実行するのに適切であるためである。
II.T2R76核酸およびポリペプチド
[0033]本発明は、新規T2R76核酸、および機能するT2R76ポリペプチドを含む、新規T2R76ポリペプチドを提供する。本発明の代表的なT2R76核酸を配列番号1として示し、該配列は、配列番号2として示すT2R76ポリペプチドをコードする。
[0034]用語「T2R76」および「T2R76」を含む用語(例えばhT2R76)は、一般的に、単離T2R76核酸、T2R76核酸によってコードされる単離ポリペプチド、およびそれらの活性を指す。T2R76核酸およびポリペプチドは、いかなる生物に由来してもよい。用語「T2R76」および「T2R76」を含む用語はまた、PROP、ブルシン等の苦味化合物によって活性化される受容体を含むポリペプチド、および該ポリペプチドをコードする核酸も指す。T2R76受容体は、他のT2Rポリペプチドを含んでもよく、すなわち、ヘテロマーまたはホモマー受容体であってもよい。
[0035]用語「単離」は、核酸またはポリペプチドに関連して用いた際、核酸またはポリペプチドが、天然環境から離れて存在し、そして天然の産物ではないことを示す。単離核酸またはポリペプチドは、精製型で存在してもよいし、あるいはトランスジェニック宿主細胞などの、非天然環境で存在してもよい。
[0036]本明細書において、以下にさらに開示するように、本発明はまた、T2R76ポリペプチドの機能する発現のための系も提供する。系は、別のT2R核酸と会合して発現可能な、配列番号1を含む組換えT2R76核酸、および適切なGタンパク質を使用する。
II.A. T2R76核酸
[0037]用語「核酸分子」および「核酸」は、各々、一本鎖、二本鎖、または三重鎖型のデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドおよびそれらのポリマーを指す。特に限定しない限り、該用語は、参照天然核酸と類似の特性を有する天然ヌクレオチドの既知の類似体を含有する核酸を含む。用語「核酸分子」または「核酸」はまた、「遺伝子」、「cDNA」、「mRNA」、または「cRNA」の代わりにも使用可能である。核酸を合成してもよいし、または任意の生物を含む、任意の生物学的供給源から得てもよい。全長T2R76 cDNAをクローニングするための代表的な方法を、実施例1に記載する。
[0038]用語「T2R」または「SF」は、味細胞特異的Gタンパク質共役型受容体のファミリーメンバーをコードする核酸を指す。これらの核酸およびこれらがコードするポリペプチドは、Gタンパク質視覚味受容体の「T2R」、「SF」、「GR」、またはTAS2Rファミリーとして、文献に別の呼び方で称される。GPCRのこのファミリーには、味伝達経路の構成要素が含まれる。この味受容体ファミリーの他のヒトおよびげっ歯類メンバーが、苦味の検出に関与し、そして異なる苦味リガンドに特異的に応答することが知られている。味受容体のT2RまたはSFファミリーのメンバーが、米国特許6,558,910;Zukerらによって、2003年1月20日に公開された公開米国特許出願20030022278;およびAdler、John Elliotによって、2002年7月18日に公開された公開米国特許出願20020094502に開示される。こうしたT2Rの例には、Gro1(SF01);GR02(SF02);GR02(SF03);GR04(SF04);GRO5(SF05);GR06(SF06);GR07(SF07);GR08(SF08);GR09(SF09);GR10(SF10);GR11(SF11);GR12(SF12);GR13(SF13);GR14(SF14);GR15(SF15);GR16(SF16);GR17(SF17);GR18(SF18);GR19(SF19);GR20(SF20);GR21(SF21);GR22(SF23);GR24(SF24);
T2R51;T2R55;T2R33;T2R59;T2R61;T2R63;T2R64;T2R65;T2R75;
GR25(SF25);GR26(SF26);GR27(SF27);GR28(SF28);GR29(SF29);GR30(SF30);GR31(SF31);GR32(SF32);GR(SF);GR33(SF33);GR34(SF24);GR35(SF35);GR36(SF36);GR37(SF37);GR38(SF38);GR39(SF39);GR40(SF40);GR41(SF41);GR42(SF42);GR43(SF43);GR44(SF44);GR45(SF45);GR46(SF46);GR47(SF47);GR48(SF48);GR49(SF49);GR50(SF50)が含まれる。
[0039]別の呼び方で称されるような、これらのT2R、SF、TAS2Rなど、またはGRは、ヒト、マウスおよびラットを含む、異なる種類のものであってもよく、そして好ましくはヒトである。やはり含まれるのは、「実質的に同一である」か、または特定の配列同一性を所持するか、または以下に定義するように、これらの配列のいずれかに特異的にハイブリダイズする、T2Rである。
[0040]用語「T2R76」および「T2R76」を含む用語(例えばhT2R76)は、本明細書において、T2R76ポリペプチドをコードする核酸を指す。したがって、用語「T2R76」は:(a)配列番号1のヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列;または(b)配列番号1に実質的に同一であるヌクレオチド配列を含む、本発明の単離核酸を指す。
[0041]本明細書において、ヌクレオチド配列間の類似性の度合いを記載する、用語「実質的に同一である」は、以下の配列比較アルゴリズムの1つを用いてまたは視覚的検査によって測定した際に、最大に対応するように比較し、そして並列させた場合、少なくとも約60%、好ましくは少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは約90%〜約99%、さらにより好ましくは約95%、96%、97%、98%または約99%、そして最も好ましくは約99%のヌクレオチド同一性を有する2以上の配列を指す。好ましくは、少なくとも約100残基のヌクレオチド配列に、より好ましくは少なくとも約150残基のヌクレオチド配列に、そして最も好ましくは全長コード配列を含むヌクレオチド配列に、実質的な同一性が存在する。
[0042]用語「全長」は、本明細書において、以下にさらに記載するように、機能するT2R76ポリペプチドをコードする完全オープンリーディングフレームを指す。2つのポリペプチド間の同一性パーセントを決定するための方法を、本明細書において、以下の見出し「ヌクレオチドおよびアミノ酸配列比較」下に定義する。
[0043]1つの側面において、実質的に同一である配列は、多型配列であってもよい。用語「多型」は、集団における2以上の遺伝的に決定された代替配列の存在を指す。アレル相違は、1塩基対程度に小さくてもよい。
[0044]別の側面において、実質的に同一である配列は、サイレント突然変異を含む配列を含めて、突然変異誘発された配列を含んでもよい。突然変異は、好ましくはT2R76リガンド、例えばPROPまたはブルシンの結合に影響を及ぼさない、1以上の残基変化、残基の欠失、またはさらなる残基の挿入を含んでもよい。
[0045]2つのヌクレオチド配列が実質的に同一であることの別の指標は、2つの分子が、ストリンジェントな条件下で、互いに、特異的にハイブリダイズするか、または実質的にハイブリダイズすることである。核酸ハイブリダイゼーションに関連して、比較中の2つの核酸配列を、「プローブ」および「ターゲット」と称してもよい。「プローブ」は参照核酸分子であり、そして「ターゲット」は試験核酸分子であり、しばしば核酸分子の異種集団内に見られる。「ターゲット配列」は、「試験配列」と同義である。
[0046]ハイブリダイゼーション研究またはアッセイに使用するのに好ましいヌクレオチド配列には、本発明の核酸分子の少なくとも約14〜40ヌクレオチド配列に相補的であるかまたはこうした配列を模倣する、プローブ配列が含まれる。好ましくは、プローブは、任意の配列番号1の14〜20ヌクレオチド、あるいは望ましい場合はさらにより長いヌクレオチド、例えば30、40、50、60、100、200、300、または500ヌクレオチド、あるいは全長までを含む。こうした断片は、例えば、断片の化学合成によって、核酸増幅技術の適用によって、または選択した配列を組換え体産生のために組換えベクター内に導入することによって、容易に調製可能である。
[0047]句「特異的にハイブリダイズする」は、配列が複雑な核酸混合物(例えば総細胞DNAまたはRNA)中に存在する場合、ストリンジェントな条件下で、特定のヌクレオチド配列のみに対して、分子が結合するか、二重鎖形成するか、またはハイブリダイズすることを指す。
[0048]句「実質的にハイブリダイズする」は、プローブ核酸分子およびターゲット核酸分子間の相補的ハイブリダイゼーションを指し、そして所望のハイブリダイゼーションを達成するために、ハイブリダイゼーション媒体のストリンジェンシーを減少させることによって対応可能な重大でないミスマッチを含む。
[0049]サザンおよびノーザンブロット分析などの核酸ハイブリダイゼーション実験に関連した、「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」および「ストリンジェントなハイブリダイゼーション洗浄条件」は、配列および環境の両方に依存する。より長い配列は、より高い温度で特異的にハイブリダイズする。核酸ハイブリダイゼーションに関する広範囲に及ぶ指針が、Tijssen(1993)Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology−Hybridization with Nucleic Acid Probes, パートI第2章, Elsevier, ニューヨーク州ニューヨークに見出される。一般的に、非常にストリンジェントなハイブリダイゼーションおよび洗浄条件は、定義されるイオン強度およびpHでの特異的配列に関する熱融点(Tm)より約50℃低いように選択される。典型的には、「ストリンジェントな条件」下で、プローブは、ターゲット下位配列に特異的にハイブリダイズするが、他の配列にはハイブリダイズしないであろう。
[0050]Tmは、(定義されるイオン強度およびpH下で)ターゲット配列の50%が、完全にマッチしたプローブにハイブリダイズする温度である。特定のプローブに関して、Tmに等しいように、非常にストリンジェントな条件を選択する。約100より多い相補残基を有する相補核酸のサザンまたはノーザンブロット分析のためのストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の例は、1mgのヘパリンを含む50%ホルムアミド中、42℃での一晩のハイブリダイゼーションである。非常にストリンジェントな洗浄条件の例は、0.1xSSC中、65℃で15分間である。ストリンジェントな洗浄条件の例は、0.2xSSC緩衝液中、65℃で15分間である。SSC緩衝液の説明に関しては、Sambrookら監修(1989)Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク州コールドスプリングハーバーを参照されたい。しばしば、高ストリンジェンシー洗浄の前に、低ストリンジェンシー洗浄を行って、バックグラウンド・プローブ・シグナルを取り除く。約100より長いヌクレオチドの二重鎖に対する中程度のストリンジェンシーの洗浄条件の例は、1xSSC中、45℃で15分間である。約100より長いヌクレオチドの二重鎖に対する低ストリンジェンシー洗浄条件の例は、4x〜6xSSC中、40℃で15分間である。短いプローブ(例えば約10〜50ヌクレオチド)に関しては、ストリンジェントな条件は、典型的には、pH7.0〜8.3で、約1M未満のNa+イオン、典型的には、約0.01〜1MのNaイオン濃度(または他の塩)の塩濃度を伴い、そして温度は、典型的には、少なくとも約30℃である。ストリンジェントな条件はまた、ホルムアミドなどの脱安定化剤の添加でも達成可能である。一般的に、特定のハイブリダイゼーション・アッセイにおいて、シグナル対ノイズ比が、関連しないプローブに関して観察されるより2倍(以上)であれば、特異的ハイブリダイゼーションが検出された指標になる。
[0051]以下は、本発明の参照ヌクレオチド配列に実質的に同一であるヌクレオチド配列を同定するのに使用可能なハイブリダイゼーションおよび洗浄条件の例である:プローブ・ヌクレオチド配列は、好ましくは、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO4、1mM EDTA中、50℃でターゲット・ヌクレオチド配列にハイブリダイズし、その後、2xSSC、0.1%SDS中、50℃での洗浄が続き;より好ましくは、プローブおよびターゲット配列は、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO4、1mM EDTA中、50℃でハイブリダイズし、その後、1xSSC、0.1%SDS中、50℃での洗浄が続き;より好ましくは、プローブおよびターゲット配列は、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO4、1mM EDTA中、50℃でハイブリダイズし、その後、0.5xSSC、0.1%SDS中、50℃での洗浄が続き;より好ましくは、プローブおよびターゲット配列は、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO4、1mM EDTA中、50℃でハイブリダイズし、その後、0.1xSSC、0.1%SDS中、50℃での洗浄が続き;より好ましくは、プローブおよびターゲット配列は、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO4、1mM EDTA中、50℃でハイブリダイズし、その後、0.1xSSC、0.1%SDS中、65℃での洗浄が続く。
[0052]2つの核酸配列が実質的に同一であることのさらなる指標は、核酸にコードされるタンパク質が実質的に同一であるか、全体の三次元構造を共有するか、または生物学的に機能的同等物であることである。これらの用語を、本明細書において、以下の見出し「T2R76ポリペプチド」下にさらに定義する。ストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズしない核酸分子は、対応するタンパク質が実質的に同一である場合、なお実質的に同一である。これは、例えば、2つのヌクレオチド配列が、遺伝暗号によって許されるような、保存的に置換された変異体を含む場合に起こりうる。
[0053]用語「保存的に置換された変異体」は、1以上の選択した(またはすべての)コドンの第三位が、混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換されている、縮重コドン置換を有する核酸配列を指す。Batzerら(1991)Nucleic Acids Res 19:5081;Ohtsukaら(1985)J Biol Chem 260:2605−2608;およびRossoliniら(1994)Mol Cell Probes 8:91−98を参照されたい。
[0054]用語「T2R」はまた、T2R核酸に相補的な核酸、T2R RNA分子、およびT2R RNAに相補的な核酸(cRNA)を含めて、T2R核酸、好ましくはT2R76の下位配列および伸長配列を含む核酸も含む。
[0055]用語「下位配列」は、より長い核酸配列の一部を含む核酸配列を指す。例示的な下位配列は、本明細書において上述するプローブ、またはプライマーである。用語「プライマー」は、本明細書において、選択した核酸分子の約8以上のデオキシリボヌクレオチオドまたはリボヌクレオチド、好ましくは10〜20ヌクレオチド、そしてより好ましくは20〜30ヌクレオチドを含む隣接配列を指す。本発明のプライマーは、本発明の核酸分子に対して重合の開始を提供するために、十分な長さおよび適切な配列のオリゴヌクレオチドを含む。
[0056]用語「伸長配列」は、核酸内に取り込まれるヌクレオチド(または他の類似分子)の付加を指す。例えば、ポリメラーゼ(例えばDNAポリメラーゼ)は、核酸分子の3’末端に配列を付加しうる。さらに、ヌクレオチド配列を、他のDNA配列、例えばプロモーター、プロモーター領域、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、イントロン・シグナル、さらなる制限酵素部位、マルチクローニングサイト、および他のコード・セグメントと組み合わせてもよい。
[0057]用語「相補配列」は、本明細書において、塩基対間の水素結合形成に際して、互いに対形成可能な、逆平行ヌクレオチド配列を含む2つのヌクレオチド配列を示す。本明細書において、用語「相補配列」は、以下に示す同一ヌクレオチド比較法によって評価可能であるか、または本明細書に記載するものなどの比較的ストリンジェントな条件下で、問題の核酸セグメントにハイブリダイズ可能であると定義されるように、実質的に相補的であるヌクレオチド配列を意味する。相補核酸セグメントの特定の例は、アンチセンスオリゴヌクレオチドである。
[0058]本発明はまた、開示するT2R76核酸および組換えT2R76核酸を含むキメラ遺伝子も提供する。したがって、場合によって他のT2R核酸と組み合わせて発現される、T2R76核酸を含む構築物およびベクターもまた含まれる。
[0059]用語「遺伝子」は、広く、生物学的機能と関連するDNAのいかなるセグメントも指す。遺伝子は、限定されるわけではないが、コード配列、プロモーター領域、シス制御配列、制御タンパク質の特定の認識配列である非発現DNAセグメント、遺伝子発現に寄与する非発現DNAセグメント、所望のパラメータを有するように設計されたDNAセグメント、またはそれらの組み合わせを含む配列を含む。生物学的試料からのクローニング、既知のまたは予測される配列情報に基づく合成、および存在する配列の組換え体誘導を含む、多様な方法によって遺伝子を得てもよい。
[0060]用語「キメラ遺伝子」は、本明細書において、T2R配列、例えばT2R cDNA、アンチセンスRNA分子をコードするT2R核酸、三次構造(例えばヘアピン構造)を有するRNA分子をコードするT2R核酸、または二本鎖RNA分子をコードするT2R核酸に、機能可能であるように連結されたプロモーター領域を指す。用語「キメラ遺伝子」はまた、異種配列に、機能可能であるように連結されたT2Rプロモーター領域も指す。本発明のキメラ遺伝子の調製は、実施例2に記載される。好ましくは、T2RはT2R76である。
[0061]用語「機能可能であるように連結された」は、本明細書において、プロモーター領域によって、ヌクレオチド配列の転写が調節され、そして制御されるような、プロモーター領域およびヌクレオチド配列間の機能的な組み合わせを指す。機能可能であるようにプロモーター領域をヌクレオチド配列に連結するための技術が当該技術分野に知られる。
[0062]用語「組換え体」は、一般的に、非天然環境において複製可能な単離核酸を指す。したがって、組換え核酸は、宿主細胞における複製を可能にするさらなる核酸配列、例えばベクター核酸と組み合わされた、複製不能核酸を含んでもよい。
[0063]用語「ベクター」は、本明細書において、宿主細胞における複製を可能にするヌクレオチド配列を有する核酸分子を指す。ベクターにはまた、ベクター内のヌクレオチド配列の連結を可能にするヌクレオチド配列も含まれてもよく、こうしたヌクレオチド配列もまた、宿主細胞において複製される。代表的なベクターには、プラスミド、コスミド、およびウイルスベクターが含まれる。ベクターはまた、本明細書において、以下にさらに記載するように、T2R76ポリペプチドの組換え体産生も仲介可能である。
[0064]用語「構築物」は、本明細書において、ヌクレオチド配列が組換え的に発現されるように、ベクターとともに、機能可能であるように挿入されるヌクレオチド配列をさらに含むベクターを指す。
[0065]用語「組換え的に発現された」または「組換え的に産生された」は、交換可能に用いられ、一般的に、組換え核酸にコードされるポリペプチドが産生されるプロセスを指す。
[0066]したがって、好ましくは組換えT2R、核酸、すなわちT2R76核酸は、異種核酸を含む。用語「異種核酸」は、意図する宿主細胞に対しては異質である(foreign)供給源から生じるか、または同じ供給源由来であるならば、元来の形から修飾されている、配列を指す。宿主細胞における異種核酸は、特定の宿主細胞に対して内因性であるが、例えば突然変異誘発によって、または天然シス制御配列からの単離によって、修飾されている、核酸を含んでもよい。異種核酸にはまた、天然ヌクレオチド配列の非天然存在多数コピーも含まれる。異種核酸はまた、こうした核酸が通常は見られない位置で、宿主細胞の核酸内に取り込まれている核酸もまた含んでもよい。
[0067]本発明の核酸は、クローニングされるか、合成されるか、改変されるか、突然変異誘発されるか、またはそれらの組み合わせであってもよい。核酸を単離するのに用いられる標準的組換えDNAおよび分子クローニング技術が、当該技術分野に知られる。塩基対変化、欠失、または小さい挿入を生成する部位特異的突然変異誘発もまた、当該技術分野に知られる。例えば、Sambrookら(監修)(1989)Molecular Cloning Laboratory Manual. Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク州コールドスプリングハーバー;Silhavyら(1984)Experiments with Gene Fusions. Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク州コールドスプリングハーバー;GloverおよびHames(1995)DNA Cloning: A Practical Approach. 第2版 IRL Press at Oxford University Press, オックスフォード/ニューヨーク;Ausubel(監修)(1995)Short Protocols in Molecular Biology, 第3版 Wiley, ニューヨークを参照されたい。
III.B. T2R76ポリペプチド
[0068]本発明は、新規T2R76ポリペプチドを提供し、この代表的な態様を配列番号2として示す。好ましくは、本発明の単離T2R76ポリペプチドは、組換え的に発現されるT2R76ポリペプチドを含む。やはり好ましくは、単離T2R76ポリペプチドは、機能するT2R76ポリペプチドを含む。これらのT2R76ポリペプチドは、1以上の他のT2Rポリペプチドと組み合わせて発現されてもよい。
[0069]したがって、本発明の方法で有用な新規T2Rポリペプチドは:(a)配列番号2のポリペプチド;(b)配列番号2に実質的に同一であるポリペプチド;(c)配列番号1の核酸分子によってコードされるポリペプチド;または(d)配列番号1に実質的に同一である核酸分子によってコードされるポリペプチドを含む。T2R76ポリペプチドはまた:(a)配列番号2のポリペプチドをコードする単離核酸分子;(b)配列番号1の単離核酸分子;(c)約200mM未満の塩濃度を有する洗浄溶液および約45℃より高い洗浄温度によって代表される洗浄ストリンジェンシー条件下で、T2R76核酸配列にハイブリダイズし、そしてT2R76ポリペプチドをコードする、単離核酸分子;ならびに(d)遺伝暗号の縮重のため、核酸配列が、上記の(a)、(b)、および(c)の1つの単離核酸分子と、少なくとも1つの機能的に同等なコドンによって異なり、そして上記の(a)、(b)、および(c)の1つの単離核酸によってコードされるT2R76ポリペプチドをコードする、単離核酸分子も含んでもよい。
[0070]本明細書において、T2Rおよびそれに実質的に同一であるタンパク質の間の類似性のレベルを記載する、用語「実質的に同一である」は、T2Rに少なくとも75%同一であるタンパク質を指す。例えば、T2R76およびこのT2R76タンパク質に実質的に同一であるタンパク質の場合、これは、T2R76タンパク質の全長に渡って比較した際、配列番号2に、少なくとも約75%同一である配列を指す。好ましくは、T2R76タンパク質に実質的に同一であるタンパク質は、T2R76ポリペプチドの全長に渡って比較した際、配列番号2に少なくとも約75%〜約85%同一、より好ましくは配列番号2に少なくとも約85%〜約95%同一、さらにより好ましくは配列番号2に少なくとも約90%〜約95%同一、さらにより好ましくは配列番号2に少なくとも約95%〜約99%同一、すなわち86、97、98または99%同一であるアミノ酸配列を含む。
[0071]用語「全長」は、本明細書において、以下にさらに記載するように、機能するT2R76ポリペプチドを指す。2つのポリペプチド間の同一性パーセントを決定するための方法もまた、本明細書において、以下の見出し「ヌクレオチドおよびアミノ酸配列比較」下に、定義される。
[0072]用語「実質的に同一である」はまた、ポリペプチドを説明するために用いた場合、保存される三次元構造を共有する2以上のポリペプチドも含む。コンピュータ法を用いて、構造的表示を比較してもよいし、そして構造モデルを生成し、そして容易に調整して、重要な活性部位またはリガンド結合部位周囲の類似性を同定してもよい。Saqiら(1999)Bioinformatics 15:521−522;Barton(1998)Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 54:1139−1146;Henikoffら(2000)Electrophoresis 21:1700−1706;およびHuangら(2000)Pac Symp Biocomput:230−241を参照されたい。
[0073]実質的に同一であるタンパク質にはまた、配列番号2のアミノ酸に機能的に同等であるアミノ酸を含むタンパク質も含まれる。アミノ酸に関連して、用語「機能的に同等である」は、当該技術分野に知られ、そしてアミノ酸側鎖置換基の相対的な類似性に基づく。HenikoffおよびHenikoff(2000)Adv Protein Chem 54:73−97を参照されたい。考慮に適切な要因には、側鎖疎水性、親水性、電荷、およびサイズが含まれる。例えば、アルギニン、リジン、およびヒスチジンは、すべて陽性荷電残基であり;アラニン、グリシン、およびセリンは、すべて類似のサイズであり;そしてフェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシンは、すべて、一般的に類似の形状を有する。本明細書において以下にさらに記載するこの分析によって、アルギニン、リジン、およびヒスチジン;アラニン、グリシン、およびセリン;ならびにフェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシンは、本明細書において、生物学的に機能的同等物として定義される。
[0074]生物学的に機能的に同等なアミノ酸置換を行う際、アミノ酸のヒドロパシー指数を考慮することも可能である。各アミノ酸には、疎水性および荷電特性に基づいて、ヒドロパシー指数が割り当てられてきており、これらは:イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(0.4);スレオニン(−0.7);セリン(−0.8);トリプトファン(−0.9);チロシン(−1.3);プロリン(−1.6);ヒスチジン(−3.2);グルタミン酸(−3.5);グルタミン(−3.5);アスパラギン酸(−3.5);アスパラギン(−3.5);リジン(−3.9);およびアルギニン(4.5)である。
[0075]相互作用的な生物学的機能をタンパク質に与える際に、ヒドロパシーアミノ酸指数が重要であることが、当該技術分野において、一般的に理解されている(Kyteら、1982)。類似のヒドロパシー指数またはスコアを有する他のアミノ酸を、特定のアミノ酸で置換して、そしてなお類似の生物学的活性を保持しうることが知られる。ヒドロパシー指数に基づいて変化を作製する際、ヒドロパシー指数が元来の値の±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、元来の値の±1以内であるものが特に好ましく、そして元来の値の±0.5以内であるものがさらにより特に好ましい。
[0076]親水性に基づいて、同様のアミノ酸の置換を有効に行うことが可能であることもまた、当該技術分野において、理解されている。米国特許第4,554,101号は、隣接するアミノ酸の親水性によって規定されるような、タンパク質の最大局所平均親水性が、その免疫原性および抗原性、例えばタンパク質の生物学的特性と相関することを記載する。類似の親水性値を有する別のものに対してアミノ酸を置換して、そしてなお生物学的に同等のタンパク質を得ることも可能であることが理解される。
[0077]米国特許第4,554,101号に詳述されるように、以下の親水性値がアミノ酸残基に割り当てられている:アルギニン(+3.0);リジン(+3.0);アスパラギン酸(+3.0±1);グルタミン酸(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);スレオニン(−0.4);プロリン(−0.5±1);アラニン(−0.5);ヒスチジン(−0.5);システイン(−1.0);メチオニン(−1.3);バリン(−1.5);ロイシン(−1.8);イソロイシン(−1.8);チロシン(−2.3);フェニルアラニン(−2.5);およびトリプトファン(−3.4)。
[0078]類似の親水性値に基づいて交換を行う際、親水性値が元来の値の±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、元来の値の±1以内であるものが特に好ましく、そして元来の値の±0.5以内であるものがさらにより特に好ましい。
[0079]用語「実質的に同一である」はまた、T2Rポリペプチド、例えばT2R76ポリペプチドの生物学的に機能的同等物であるポリペプチドも含む。用語「機能的」には、例えば細胞内シグナル伝達経路を活性化し(例えばガストデューシンと共役させ)、そして味知覚を仲介する、T2R76ポリペプチドの活性が含まれる。好ましくは、こうした活性化は、in vivoの同族(cognate)T2Rポリペプチド、例えばT2R76ポリペプチドのものと実質的に類似の度合いおよび動力学を示す。T2R76活性を評価するための代表的な方法を、本明細書において、以下に記載する。
[0080]本発明はまた、T2R76ポリペプチドの機能性断片も提供する。こうした機能性部分は、天然T2R76遺伝子産物のアミノ酸配列のすべてまたは実質的にすべてを含む必要はない。
[0081]本発明にはまた、天然T2Rポリペプチド、例えばT2R76ポリペプチドのものより長い配列である、機能するポリペプチド配列も含まれる。例えば、1以上のアミノ酸を、T2Rポリペプチド、例えばT2R76ポリペプチドのN末端またはC末端に付加してもよい。限定されるわけではないが、精製適用を含む多様な適用において、こうしたさらなるアミノ酸を使用してもよい。伸長タンパク質を調製する方法が当該技術分野に知られる。
II.C.ヌクレオチドおよびアミノ酸配列比較
[0082]用語「同一」または「同一性パーセント」は、2以上のヌクレオチドまたはポリペプチド配列に関連して、本明細書に開示する配列比較アルゴリズムの1つを用いてまたは視覚的検査によって測定した際に、最大に対応するように比較し、そして並列させた場合、同じであるか、あるいは同じであるアミノ酸残基またはヌクレオチドの明記するパーセントを有する、2以上の配列または下位配列を指す。
[0083]用語「実質的に同一である」は、特定の配列が、1以上の欠失、置換、または付加によって天然存在配列の配列と異なり、その正味の効果がT2R核酸またはポリペプチド、例えばT2R76核酸またはT2R76ポリペプチドの生物学的機能を保持することを意味する。
[0084]2以上の配列を比較するため、典型的には1つの配列が、1以上の試験配列を比較する参照配列として働く。配列比較アルゴリズムを用いる場合、試験および参照配列をコンピュータ・プログラムに入力し、必要な場合、下位配列コーディネートを指定し、そして配列アルゴリズム・プログラム・パラメータを選択する。次いで、選択したプログラム・パラメータに基づいて、配列比較アルゴリズムが、参照配列に比較して、指定した試験配列(単数または複数)に関する配列同一性パーセントを計算する。
[0085]例えばSmithおよびWaterman(1981)Adv Appl Math 2:482−489の局所相同性アルゴリズムによって、NeedlemanおよびWunsch(1970)J Mol Biol 48:443−453の相同性並列アルゴリズムによって、PearsonおよびLipman(1988)Proc Natl Acad Sci USA 85:2444−2448の類似性に関する検索法によって、これらのアルゴリズムのコンピュータ実行(Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, ウィスコンシン州マディソンのGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)によって、または視覚的検査によって、比較のための配列最適並列を行ってもよい。一般的に、Ausubel(監修)(1995)Short Protocols in Molecular Biology, 第3版 Wiley, ニューヨークを参照されたい。
[0086]配列同一性パーセントおよび配列類似性パーセントを決定するために好ましいアルゴリズムは、Altschulら(1990)J Mol Biol 215:403−410に記載されるBLASTアルゴリズムである。BLAST分析を行うためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Information(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を通じて公的に入手可能である。このアルゴリズムは、まず、データベース配列中の同じ長さのワードと並列させた際、いくつかの正の値の閾値スコアTにマッチするかまたはこうしたスコアを満たすかいずれかの、クエリー配列中の長さWの短いワードを同定することによって、高スコアリング配列対(HSP)を同定することを伴う。Tは、近傍ワード・スコア閾値と称される。これらの初期近傍ワード・ヒットは、これらを含有する、より長いHSPを見出す検索を開始するための種として働く。次いで、累積並列スコアが増加可能である限り、各配列に沿って両方向に、ワード・ヒットを伸長する。ヌクレオチド配列に関しては、パラメータM(マッチ残基対の報酬スコア;常に>0)およびN(ミスマッチ残基のペナルティ・スコア;常に<0)を用いて、累積スコアを計算する。アミノ酸配列に関しては、スコアリング・マトリックスを用いて、累積スコアを計算する。累積並列スコアが、最大達成値から量X低下するか、1以上の負のスコアリング残基並列の集積のため、累積スコアがゼロ以下になるか、またはいずれかの配列の末端に到達した場合、各方向のワードヒットの伸長を停止する。BLASTアルゴリズム・パラメータW、T,およびXは、並列の感度およびスピードを決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列用)は、ワード長W=11、期待値E=10、100のカットオフ、M=5、N=−4、および両鎖の比較をデフォルトとして用いる。アミノ酸配列に関しては、BLASTPプログラムは、3のワード長(W)、10の期待値(E)、およびBLOSUM62スコアリング・マトリックスをデフォルトとして用いる。HenikoffおよびHenikoff(11992)Proc Natl Acad Sci U S A 89:10915−10919を参照されたい。
[0087]配列同一性パーセントを計算するのに加えて、BLASTアルゴリズムはまた、2つの配列間の類似性の統計分析も行う。例えば、KarlinおよびAltschul(1993)Proc Natl Acad Sd U S A 90:5873−5877を参照されたい。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性の1つの測定値は、最小合計確率(P(N))であり、これは、2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列間のマッチが偶然生じるであろう確率の指標を提供する。例えば、参照核酸配列に対する試験核酸配列の比較における最小合計確率が、約0.1未満、より好ましくは約0.01未満、そして最も好ましくは約0.001未満である場合、試験核酸配列は、参照配列に類似であると見なされる。
III T2R76核酸を検出するための方法
[0088]本発明の別の側面において、T2R76ポリペプチドをコードする核酸分子を検出するための方法を提供する。こうした方法を用いて、T2R76遺伝子変異体または改変された遺伝子発現を検出してもよい。例えば、味知覚におけるT2R76に関連する相違の診断に、T2R76配列または発現における変化の検出を用いてもよい。好ましくは、この方法のために用いる核酸は、配列番号1の配列を含む。
[0089]特定のDNA配列の検出に通常適用される任意の方法を用いて、当該技術分野に周知の任意の方法によって、本発明の方法によって検出される配列を検出し、サブクローニングし、配列決定し、そしてさらに評価してもよい。したがって、本発明の核酸を用いて、開示する配列を含む遺伝子およびゲノムDNAをクローニングしてもよい。あるいは、本発明の核酸を用いて、関連配列の遺伝子およびゲノムDNAをクローニングしてもよい。本明細書に開示する核酸配列を用いて、こうした方法は、当業者に知られる。例えば、Sambrookら監修(1989)Molecular Cloning, Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク州コールドスプリングハーバーを参照されたい。代表的な方法はまた、実施例1〜4にも開示される。
[0090]本発明の1つの態様において、T2R76核酸分子のレベルは、例えばRT−PCRアッセイを用いることによって、測定される。Chiang(1998)J Chromatogr A 806:209−218および該文献に引用される参考文献を参照されたい。
[0091]本発明の別の態様において、本発明の核酸分子に基づく遺伝子アッセイを用いて、例えばアレル特異的オリゴヌクレオチド(ASO)プローブ分析(Connerら、1983)、オリゴヌクレオチド連結アッセイ(OLA)(Nickersonら、1990)、一本鎖コンホメーション多型(SSCP)分析(Oritaら、1989)、SSCP/ヘテロ二重鎖分析、酵素ミスマッチ切断、増幅エクソンの直接配列分析(Kestilaら、1998;Yuanら、1999)、アレル特異的ハイブリダイゼーション(Stonekingら、1991)、および特定の突然変異を含有する増幅ゲノムDNAの制限分析によって、遺伝的変異体をスクリーニングしてもよい。また、一塩基多型の大規模性質決定に、自動化法を適用してもよい(Wangら、1998;Brookes、1999)。好ましい検出法は、非電気泳動的であり、例えばTAQMAN TMアレル識別アッセイ、PCR−OLA、分子ビーコン、南京錠プローブ、およびウェル蛍光が含まれる。Landegrenら(1998)Genome Res 8:769−776および該文献に引用される参考文献を参照されたい。
IV. T2R76ポリペプチドの組換え発現のための系
[0092]本発明は、本発明の組換えT2R76ポリペプチドの発現のための系をさらに提供する。本TR276ポリペプチドは、ヒトまたは非ヒトT2Rであってもよい1以上の他のT2Rとともに発現されてもよい。T2R76ポリペプチドの続く精製および/または性質決定に、こうした系を用いてもよい。例えば、本明細書において以下にさらに記載するT2R76抗体を産生するための免疫原として、精製T2R76ポリペプチドを用いてもよい。
[0093]T2R76ポリペプチドの組換え発現のための系はまた、T2R76ポリペプチドの調節剤の同定にも用いてもよい。あるいは、他の試験ポリペプチドの活性化をアッセイする際に、開示するT2R76ポリペプチドを対照ポリペプチドとして用いてもよい。こうした試験ポリペプチドには、味知覚に関与する他のT2R、例えば、Adlerら(2000)Cell 100:693−702、およびMatsunamiら(2000)Nature 601−603に開示されるポリペプチドのいずれか1つが含まれてもよい。
[0094]用語「発現系」は、異種核酸および異種核酸によってコードされるポリペプチドを含む宿主細胞を指す。例えば、異種発現系は、組換えT2R76核酸を含む構築物でトランスフェクションされた宿主細胞、T2R76 cRNAでトランスフェクションされた宿主細胞、または宿主細胞ゲノム内への異種核酸の導入によって産生された細胞株を含んでもよい。上述のように、これらの発現系には、他のT2R核酸が含まれてもよい。
[0095]T2R76ポリペプチドの組換え発現のための系は:(a)組換え的に発現されたT2R76ポリペプチド;および(b)組換え的に発現されたT2R76ポリペプチドを含む宿主細胞を含んでもよい。例えば、T2R76 cRNAをin vitroで転写して、そして次いで、宿主細胞内に導入してもよく、それによってT2R76ポリペプチドを発現させる。hT2R76および別のT2Rポリペプチドを含むヘテロマーT2R受容体を産生するため、系はさらに、1以上のさらなるT2Rポリペプチドを含んでもよい。
[0096]T2R76ポリペプチドの組換え発現のための系はまた:(a)ベクター、および異種プロモーターに機能可能であるように連結されたT2R76ポリペプチドをコードする核酸分子を含む構築物;ならびに(b)(a)の構築物を含み、それによってT2R76ポリペプチドを発現する宿主細胞も含んでもよい。系はさらに、1以上のさらなるT2Rポリペプチドをコードする構築物を含んでもよい。さらに、単一の構築物自体が、T2R76ポリペプチドおよび1以上のさらなるT2Rポリペプチドをコードしてもよい。
[0097]当業者に知られる多様な標準的技術を用いて、単離ポリペプチドおよび組換え的に産生されるポリペプチドを精製し、そして性質決定してもよい。例えば、SchroderおよびLubke(1965)The Peptides. Academic Press, ニューヨーク;SchneiderおよびEberle(1993)Peptides, 1992: Proceedings of the Twenty−Second European Peptide Symposium, September 13−19, 1992, Interlaken, Switzerland. Escom, Leiden;Bodanszky(1993)Principles of Peptide Synthesis, 第2版 Springer−Verlag, ベルリン/ニューヨーク;Ausubel(監修)(1995)Short Protocols in Molecular Biology, 第3版 Wiley, ニューヨークを参照されたい。
[0098]好ましくは、組換え的に発現されたT2R76ポリペプチドは、機能する味受容体、より好ましくは苦味受容体を含む。したがって、組換え的に発現されたT2R76ポリペプチドは、好ましくは、苦味化合物に応答した活性化を示す。やはり好ましくは、組換えT2R76ポリペプチドは、天然T2R76ポリペプチドに類似の活性化応答を示す。T2R76機能を決定するための代表的な方法を、本明細書において以下に記載する。
IV.A.発現構築物
[0099]T2R76ポリペプチド発現のための構築物には、ベクターおよびT2R76ヌクレオチド配列が含まれ、ここでT2R76ヌクレオチド配列は、プロモーター配列に、機能可能であるように連結されている。組換えT2R76発現のための構築物はまた、転写終結シグナル、およびヌクレオチド配列の適切な翻訳に必要な配列も含んでもよい。翻訳および終結シグナル配列の付加を含む発現構築物の調製が、当業者に知られる。
[00100]恒常性プロモーターまたは誘導性プロモーターを用いて、T2Rポリペプチド、例えばT2R76ポリペプチドの組換え産生を指示してもよい。本発明にしたがって使用可能な代表的なプロモーターには、サルウイルス40初期プロモーター、レトロウイルス由来の末端反復配列プロモーター、アクチン・プロモーター、熱ショック・プロモーター、およびメタロチオネイン・タンパク質が含まれる。
[00101]T2R76ポリペプチドを発現するのに使用可能な適切なベクターには、限定されるわけではないが、ワクシニアウイルスまたはアデノウイルスなどのウイルス、バキュロウイルスベクター、酵母ベクター、バクテリオファージベクター(例えばラムダ・ファージ)、プラスミドおよびコスミドDNAベクター、トランスポゾン仲介形質転換ベクター、およびそれらの派生物が含まれる。
[00102]使用するベクターに適合するトランスフェクション法を用いて、宿主細胞内に構築物を導入する。標準的トランスフェクション法には、エレクトロポレーション、DEAE−デキストラン・トランスフェクション、リン酸カルシウム沈殿、リポソーム仲介トランスフェクション、トランスポゾン仲介形質転換、レトロウイルスを用いた感染、粒子仲介遺伝子トランスファー、超高速遺伝子トランスファー、およびそれらの組み合わせが含まれる。
IV.B.宿主細胞
[00103]用語「宿主細胞」は、本明細書において、異種核酸分子を導入可能な細胞を指す。限定されるわけではないが、哺乳動物細胞(例えばHEK−293細胞、CHO細胞、BHK細胞、MDCK細胞、HeLa細胞、CV−1細胞、COS細胞)、両生類細胞(例えばゼノパス(Xenopus)卵母細胞)、昆虫細胞(例えばSf9細胞)、酵母細胞などの真核宿主、ならびに大腸菌(E. coli)および枯草菌(Bacillus subtilis)などの原核宿主を含む、いかなる適切な宿主細胞を用いてもよい。好ましい宿主細胞は、実質的にT2R76ポリペプチドを欠き、そして好ましくは、ヒトまたは他の哺乳動物細胞を含むであろう。
[00104]組換え配列の発現を調節するか、または所望の特定の様式で、遺伝子産物を修飾し、そしてプロセシングする、宿主細胞株を選択してもよい。例えば、異なる宿主細胞は、翻訳および翻訳後プロセシングおよび修飾(例えば、タンパク質のグリコシル化、リン酸化)のための特徴的な、そして特定の機構を有する。適切な細胞株または宿主系を選択して、発現する異質のタンパク質の所望の修飾およびプロセシングを確実にしてもよい。例えば、細菌系における発現を用いて、非グリコシル化コア・タンパク質産物を産生してもよく、そして酵母における発現はグリコシル化産物を産生するであろう。
[00105]本発明は、安定な細胞株におけるT2R76ポリペプチドの組換え発現をさらに含む。宿主細胞内への異種構築物の形質転換後、安定な細胞株を生じるための方法が、当該技術分野に知られる。例えば、Joyner(1993)Gene Tarneting: A Practical Approach. Oxford University Press, オックスフォード/ニューヨークを参照されたい。したがって、形質転換細胞、組織、または非ヒト生物は、形質転換プロセスの最終産物だけでなく、そのトランスジェニック子孫または繁殖型も含むことが理解される。
[00106]本発明は、本明細書に開示するような組換えT2R76ポリペプチドを発現する細胞の凍結保存をさらに含む。したがって、一過性にトランスフェクションされた細胞、およびT2R76を発現する安定な細胞株の細胞を凍結し、そして後で使用するために保存してもよい。凍結細胞は、離れた位置で使用するため、容易に輸送可能である。
[00107]凍結保存培地は、一般的に、基礎培地、凍結保存剤、およびタンパク質供給源からなる。凍結保存剤およびタンパク質は、凍結融解プロセスのストレスから細胞を防御する。血清含有培地に関しては、典型的な凍結保存培地は、10%グリセロールを含有する完全培地;10%DMSO(ジメチルスルホキシド)を含有する完全培地、または10%グリセロールまたは10%DMSOを含む50%新鮮培地と5.0%細胞馴化培地として調製される。血清不含培地に関しては、典型的な凍結保存配合物には、7.5%DMSOを含有する50%新鮮血清不含培地と50%細胞馴化血清不含培地;または7.5%DMSOおよび10%細胞培養等級DMSOを含有する新鮮な血清不含培地が含まれる。好ましくは、1mlあたり約10!!6〜約10!!7細胞を含む細胞懸濁物を、凍結保存培地と混合する。
[00108]凍結保存に適したバイアルまたは他の容器中で、細胞を凍結保存培地、例えばNUNC@ CRYOTUBESTM(カリフォルニア州サウスサンフランシスコのApplied Scientificより入手可能)と合わせる。また、ハイスループット・アッセイ用に設計されたマルチウェルプレート、例えば96ウェルプレートのウェルに、細胞をアリコットし、そしてプレーティングした形式で凍結してもよい。
[00109]細胞は、好ましくは、1分あたり約−1℃の率で、室温から保存温度に冷却される。水を満たし、覆いをした、約1リットル液体容量を有する貯蔵容器中に、細胞を含有するバイアルを入れ、そしてこうしたキューブを−70℃機械的凍結装置中に入れることによって、冷却率を調節してもよい。あるいは、脂肪族アルコールなどの液体冷媒の体積中に、バイアルを浸し、ここで液体冷媒の体積は、凍結しようとしている細胞培養物の総体積の15倍より多く、そして浸した培養バイアルを、約−70℃より低い温度で、慣用的なフリーザー中に入れることによって、細胞冷却率を1分あたり約−1℃で調節することも可能である。細胞を凍結するための商業的デバイスもまた入手可能であり、例えばPlaner Mini−Freezer R202/20OR(英国のPlaner Products Ltd.)およびBF−5 Biological Freezer(米国コネチカット州ダンベリーのUnion Carbide Corporation)がある。好ましくは、約−70℃〜約−80℃以下で、そしてより好ましくは約−130℃以下で、凍結細胞を保存する。
[00110]最適なありうる細胞生存を得るため、細胞の融解を出来る限り迅速に行わなければならない。バイアル、または凍結細胞を含有する他の貯蔵容器を保存から取り除いたら、直ちに37℃水槽に入れ、そして完全に融解されるまで、穏やかに振盪すべきである。細胞が凍結保存剤に特に感受性であるならば、細胞を遠心分離して、さらなる増殖前に、凍結保存剤を取り除く。
[00111]凍結細胞の調製および取り扱いのためのさらなる方法が、他の場所の中でも、Freshney(1987)Culture of Animal Cells:A Manual of Basic Technique, 第2版 A.R. Liss, ニューヨーク、ならびに米国特許第6,176,089号;第6,140,123号;第5,629,145号;および第4,455,842号に見出されうる。
V.トランスジェニック動物
[00112]本発明はまた、T2R76遺伝子発現の破壊、および場合によって別のT2R破壊因子を含む、トランスジェニック動物も提供する。改変された遺伝子発現には、T2R76遺伝子の改変されたレベルまたは突然変異変異体の発現が含まれてもよい。本発明は、トランスジェニック動物を生成するための構築物を調製するのに使用可能なT2R76をコードする核酸を提供する。やはり提供するのは、T2R76遺伝子座をターゲットとする構築物の調製に有用なゲノム位置決定データである。
[00113]本発明の1つの態様において、トランスジェニック動物は、マウスT2R76遺伝子座をターゲットとする修飾を伴うマウスを含んでもよく、そしてすべての体細胞にT2R76遺伝子の完全なまたは部分的な機能不活化を伴うマウス系統をさらに含んでもよい。
[00114]別の態様において、体細胞におけるT2R76遺伝子発現のレベルを減少させ、こうして「ノックダウン」表現型を達成するため、普遍的または組織特異的プロモーターによって駆動される、アンチセンスまたはリボザイムT2R76構築物を用いて、本発明にしたがったトランスジェニック動物を調製する。本発明はまた、T2R76の条件付きまたは誘導性不活化を伴うネズミ系統の生成も提供する。こうしたネズミ系統はまた、さらなる合成または天然存在突然変異、例えば任意の他のT2R遺伝子における突然変異も含んでもよい。
[00115]本発明はまた、例えば過剰発現または優性ネガティブ表現型を生成するため、T2R76遺伝子における特異的「ノックイン」修飾を伴うマウス系統も提供する。したがって、「ノックイン」修飾には、T2R76ポリペプチドをコードする核酸の野生型および突然変異型両方の発現が含まれる。
[00116]トランスジェニック動物の調製のための技術が、当該技術分野に知られる。本明細書に各々の全内容が援用される、米国特許第5,489,742号(トランスジェニック・ラット);米国特許第4,736,866号、第5,550,316号、第5,614,396号、第5,625,125号および第5,648,061号(トランスジェニック・マウス);米国特許第5,573,933号(トランスジェニック・ブタ);第5,162,215号(トランスジェニック鳥類種)ならびに米国特許第5,741,957号(トランスジェニック・ウシ種)に、例示的な技術が記載される。
[00117]例えば、本発明のトランスジェニック動物は、マウスT2R76をターゲットとする修飾を伴うマウスを含んでもよい。ネズミ胚性幹細胞における部位特異的組換えの標準的技術を用いて、すべての体細胞におけるT2R76遺伝子の完全なまたは部分的な機能不活化を伴うマウス系統を生成してもよい。Capecchi(1989)Science 244:1288−1292;ThomasおよびCapecchi(1990)Nature 346:847−850;ならびにDelpireら(1999)Nat Genet 22:192195を参照されたい。
VI. T2R76抗体
[00118]本発明の別の側面において、T2R76ポリペプチドに特異的に結合する抗体を産生するための方法を提供する。該方法にしたがって、有効な免疫原として用い、そして動物において免疫応答を生じるように、動物を免疫するのに用いることが可能であるように、全長組換えT2R76ポリペプチドを配合する。免疫応答は、動物の血清から収集可能な抗体の産生によって特徴付けられる。本発明はまた、配列番号2を含む、本明細書に開示する新規T2R76ポリペプチドを使用する方法によって産生される抗体も提供する。
[00119]用語「抗体」は、免疫グロブリン・タンパク質、またはその機能する部分を指し、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ハイブリッド抗体、一本鎖抗体、突然変異誘発された抗体、ヒト化抗体、および抗原結合部位を含む抗体断片(例えばFabおよびFv抗体断片)を含む。本発明の好ましい態様において、T2R76抗体は、モノクローナル抗体を含む。したがって、本発明はまた、抗体および本明細書記載のモノクローナル抗体を産生する細胞株も含む。
[00120]用語「特異的に結合する」は、T2R76ポリペプチドに対する抗体の結合を記載するために用いられる場合、他のポリペプチドの異種混合物中のT2R76ポリペプチドへの結合を指す。
[00121]本明細書において、対照ポリペプチドまたは試料への抗体の結合を記載する、句「結合を実質的に欠く」または「実質的に結合しない」は、非特異的結合またはバックグラウンド結合を含むが、特異的結合を含まない、結合のレベルを指す。
[00122]抗体を調製し、そして性質決定するための技術が当該技術分野に知られる。例えば、HarlowおよびLane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク州コールドスプリングハーバー、ならびに米国特許第4,196,265号;第4,946,778号;第5,091,513号;第5,132,405号;第5,260,203号;第5,677,427号;第5,892,019号;第5,985,279号;および第6,054561号を参照されたい。
[00123]本明細書に開示するように調製したT2R76抗体を、T2R76ポリペプチドの位置決定および活性に関連して当該技術分野に知られる方法において、例えばT2R76ポリペプチドをコードする核酸のクローニング、T2R76ポリペプチドの免疫精製、生物学的試料中のT2R76ポリペプチドの画像化、および適切な生物学的試料中のT2R76ポリペプチドのレベル測定のために、用いてもよい。こうした方法を実行するため、本発明の抗体は、限定されるわけではないが、放射性標識、蛍光標識、エピトープ標識、およびin vivoで検出可能な標識を含む、検出可能標識をさらに含んでもよい。特定の検出技術に適した標識を選択するための方法、および検出可能標識を抗体にコンジュゲート化するかまたは別の方式で会合させるための方法が当業者に知られる。
VIII. T2R76調節剤
[00124]本発明は、T2R76活性の調節剤を同定するアッセイをさらに開示する。アッセイは、本明細書において上に開示するようなT2R76ポリペプチドの発現のための系、またはこうしたT2Rポリペプチドが他のT2Rポリペプチドと一緒に発現されていてもよい、こうした系で産生された単離T2R76ポリペプチドを使用してもよい。本発明はまた、開示する方法を用いて同定されたT2R76活性の調節剤も提供する。
[00125]用語「調節する」は、T2R76ポリペプチドの任意のまたはすべての化学的および生物学的活性または特性の増加、減少または他の改変を意味する。したがって、調節剤を同定するための方法は、T2R76機能のレベルまたは性質をアッセイする工程を伴う。
[00126]T2R76機能の調節剤を同定するための方法は:(a)T2R76ポリペプチドが宿主細胞において発現され、そしてT2R76ポリペプチドがT2R76ポリペプチドを含む、組換え発現系を提供し;(b)(a)の系に試験物質を提供し;(c)試験物質の存在下で、T2R76機能のレベルまたは性質をアッセイし;(d)T2R76機能の対照レベルまたは性質と、試験物質の存在下でのT2R76機能のレベルまたは性質を比較し;そして(e)T2R76機能の対照レベルまたは性質に比較した際に有意に変化するような、試験物質の存在下でのT2R76機能のレベルまたは性質を決定することによって、試験物質をT2R76調節剤として同定する工程を含んでもよい。いくつかの態様において、T2R76リガンドによるT2R76の結合または活性化に対する試験物質の効果を検出するため、T2R76機能または結合は、試験物質および既知のT2R76リガンド(以下の実施例に示すようなPROPまたはブルシン)の存在下でアッセイされるであろう。いくつかの態様において、発現系はまた、少なくとも1つの他のT2Rと同時発現されるT2R76も提供してもよい。
[00127]T2R76活性の対照レベルまたは性質は、単独の、あるいは既知のT2R76活性化剤、例えばPROPまたはブルシンの存在下での、野生型T2R活性のレベルまたは性質を指す。好ましくは、T2R76ポリペプチドの組換え発現のための系は、配列番号2を有するポリペプチド、または実質的に同じリガンド結合および/または機能特性を所持する、実質的に同一であるt2R76ポリペプチドを発現するであろう。試験物質の調節能を評価する際、T2R76活性の対照レベルまたは性質は、試験物質の非存在下での活性のレベルまたは性質を含む。
[00128]用語「有意に変化した」は、本明細書において、T2Rポリペプチド、例えばT2R76ポリペプチドの改変されたレベルまたは活性を指し、そして測定技術に特有の誤差範囲より大きい、測定可能な性質の定量化された変化、好ましくは対照測定値に比較して約2倍以上の増加または減少、より好ましくは約5倍以上の増加または減少、そして最も好ましくは約10倍以上の増加または減少を指す。
[00129]本発明の1つの態様において、T2R76機能をアッセイする工程は、T2R76遺伝子発現レベルを測定する工程を含む。
[00130]本発明の別の態様において、T2R76機能をアッセイする工程は、組換え的に発現されたT2R76ポリペプチドの結合活性をアッセイする工程を含む。例えば、T2R76活性は、T2R76ポリペプチドに対する調節剤の結合量または強度を含んでもよい。
[00131]本発明のさらに別の態様において、T2R76機能をアッセイする工程は、T2R76ポリペプチドの活性コンホメーションをアッセイする工程を含んでもよい。
[00132]本発明の好ましい態様において、T2R76機能をアッセイする工程は、T2R76ポリペプチドに対するリガンドまたは調節剤の結合に応答する細胞内シグナル伝達事象の活性化をアッセイする工程を含む。例えば、本明細書において以下に、そして実施例3に、さらに記載するように、T2R76ポリペプチドに対する[35S]GTPγSの結合量を測定することによって、リガンドが仲介する、Gタンパク質交換活性の刺激を評価してもよい。
[00133]別の好ましい態様において、試験化合物の存在下および非存在下で、カルシウム感受性蛍光色素を用いた画像化法によって、細胞内カルシウム中の変化を検出する、細胞に基づくアッセイにおいて、T2R76調節化合物を同定する(以下の実施例4を参照されたい)。
[00134]開示する方法によって同定される調節剤は、アゴニストおよびアンタゴニストを含んでもよい。本明細書において、用語「アゴニスト」は、PROPまたはブルシンあるいは別の苦味リガンドなどの、T2R76ポリペプチドの生物学的活性を活性化するか、該活性に相乗作用を与えるか、または該活性を増強する物質を意味する。本明細書において、用語「アンタゴニスト」は、例えば、ブルシン、PROPまたは他のT2R76結合性苦味リガンドなどの苦味リガンドによるT2R76の結合または活性化を阻害することによって、T2R76ポリペプチドの生物学的活性を遮断するかまたは軽減する物質を指す。調節剤はまた、T2R76ポリペプチドに特異的に結合するリガンドまたは物質も含んでもよい。T2R76調節剤を決定するための活性および結合アッセイをin vitroまたはin vivoで行ってもよい。好ましくは、調節剤は、本明細書に記載するような、細胞に基づくアッセイを用いて検出されるであろう。
[00135]本発明の1つの態様において、こうしたアッセイは、本明細書において、以下の見出し「適用」下にさらに記載するように、限定されるわけではないが、食品、飲料、口腔洗浄液、歯磨剤、化粧品、および医薬品を含む、経口使用のための組成物の味を改変する添加剤として開発可能な、T2R76調節剤の同定に有用である。例えば、T2R76の阻害剤または遮断剤を用いて、苦味を減少させてもよい。
[00136]本発明の別の態様において、こうしたアッセイは、経口使用する可能性があるがそれが望ましくない化合物、例えば家庭用クレンザー、毒等の味を改変するための添加物として開発可能なT2R76調節剤の同定に有用である。したがって、T2R76のアゴニストを用いて、組成物に苦味を導入するか、または組成物の苦味を増加させて、それによって経口使用を阻止することも可能である。
[00137]本発明のさらに別の態様において、その剤およびT2R76の間の相互作用が望ましくない生物活性剤をプレスクリーニングする目的で、組換えT2R76ポリペプチドを使用するアッセイを行ってもよい。例えば、被験体に投与することが意図される薬剤を、望ましくない苦味を生じうるT2R76調節活性に関して、試験してもよい。
[00138]本発明のさらに別の態様において、本明細書に開示するアッセイを用いて、突然変異体T2R76ポリペプチド、例えば苦味知覚の相違に関連する突然変異体ポリペプチドを性質決定してもよい。突然変異T2R76ポリペプチドの組換え発現は、障害に関連するT2R76ポリペプチドのさらなる分析を可能にするであろう。
[00139]本発明にしたがって、本明細書記載の方法に頼る、迅速でそしてハイスループットであるスクリーニング法も提供する。このスクリーニング法は、T2R76ポリペプチドと複数の試験物質を別個に接触させる工程を含む。こうしたスクリーニング法において、複数のターゲット物質は、約1,0000より多い試料を含み、好ましくは約100000より多い試料を含み、そしてさらにより好ましくは1,000,000より多い試料を含む。
[00140]本発明のin vitroおよび細胞アッセイは、可溶性アッセイを含んでもよく、またはアッセイの1以上の構成要素を固定するための固相支持体をさらに含んでもよい。例えば、T2R76ポリペプチド、またはT2R76ポリペプチドを発現する細胞、および場合によって別のT2Rポリペプチドを、共有または非共有連結を介して、固体状態構成要素に、直接、結合させてもよい。さらに、場合によって、結合には、支持体へのT2R76ポリペプチドの間接的な結合を仲介するか、あるいは細胞表面上の受容体の検出または発現を提供する、リンカー分子またはタグが含まれてもよい。
[00141]代表的なリンカーには、既知の結合対(例えばビオチンおよびアビジン)、既知の抗原を認識する抗体、合成ポリマー(例えばポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ尿素、ポリアミド、ポリエチレンイミン、ポリアリーレンスルフィド、ポリシロキサン、ポリイミド、およびポリアセテート)、ペプチド、エーテルが含まれる。リンカーは、場合によって、柔軟なリンカー、例えばポリ(エチレングリコール)リンカー(米国アラバマ州ハンツビルのShearwater Polymers, Inc.より入手可能)を含んでもよい。場合によって、リンカーは、アミド、スルフィドリル、またはヘテロ官能性結合部位をさらに含んでもよい。
[00142]支持体をリンカーと反応することによる支持体の誘導体化、あるいは熱または紫外架橋を使用する非化学的アプローチを含む、多様な現在の方法のいずれを用いて、リンカーを固体支持体に固定してもよい。代表的なプロトコルは、とりわけ、例えば、Merrifield(1963)J Am Chem Soc 85:2149−2154(例えばペプチドの固相合成を記載する);Geysenら(11987)J Immun Meth 102:259−274(ピン上での固相構成要素の合成を記載する);FrankおよびBoring(1988)Tetrahedron 44:60316040(セルロース・ディスク上の多様なペプチド配列の合成を記載する);Fodorら(1991)Science 251:767−777;およびKozalら(1996)Nat Med 2(7):753759(固体支持体に固定されたバイオポリマーのアレイを記載する)、Merrifield(1963)J Am Chem Soc 85:2149−2154(例えばペプチドの固相合成を記載する);Geysenら(1987)J Immun Meth 102:259−274(ピン上での固相構成要素の合成を記載する);FrankおよびDoring(1988)Tetrahedron 44:60316040(セルロース・ディスク上の多様なペプチド配列の合成を記載する);Fodorら(1991)Science 251:767−777;ならびにKozalら(1996)Nat Med 2(7):753759(固体支持体に固定されたバイオポリマーのアレイを含む)に見出されうる。
VII.A.試験物質
[00143]本発明の方法を用いてアッセイされうる調節剤は、候補物質を含む。本明細書において、用語「候補物質」および「試験物質」は、交換可能に用いられ、そして各々、任意の合成、組換え、または天然産物または組成物を含む、T2R76ポリペプチドと相互作用すると推測される物質を指す。本明細書に開示する方法を用いて、こうした相互作用に関して、ポリペプチドと相互作用すると推測される試験物質を評価してもよい。
[00144]代表的な試験物質には、限定されるわけではないが、ペプチド、オリゴマー、核酸(例えばアプタマー)、小分子(例えば化合物)、それらの抗体または断片、核酸−タンパク質融合物、任意の他のアフィニティー剤、およびそれらの組み合わせが含まれる。試験物質は、炭水化物、ビタミンまたはその誘導体、ホルモン、神経伝達物質、ウイルスまたはその受容体結合ドメイン、オプス(ops)またはロドプシン、匂い物質、フェロモン、毒素、増殖因子、血小板活性化因子、神経活性ペプチド、または神経ホルモンをさらに含んでもよい。好ましくは、候補物質は、苦味知覚を誘発する。試験しようとする候補物質は、精製分子、均質な試料、あるいは分子または化合物の混合物であってもよい。
[00145]用語「小分子」は、本明細書において、約1,000ダルトン未満、より好ましくは約750ダルトン未満、さらにより好ましくは約600ダルトン未満、そしてさらにより好ましくは約500ダルトン未満の分子量を持つ化合物、例えば有機化合物を指す。小分子はまた、好ましくは、約−4〜約+14の範囲、より好ましくは約−2〜約+7.5の範囲の計算対数オクタノール−水分配係数を有する。これらの小分子は、多様なまたは構造的に類似の化合物の化合物ライブラリー、例えばコンビナトリアルケミストリー合成ライブラリー中に含まれてもよい。好ましくは、これらの化合物は、例えば植物抽出物等に由来する、天然存在苦味化合物を含むであろう。
[00146]試験物質をライブラリーとして得てもまたは調製してもよい。本明細書において、用語「ライブラリー」は分子のコレクションを意味する。ライブラリーは、数個、または約10分子〜数十億分子以上で多様である多数の異なる分子を含有してもよい。分子は、天然存在分子、組換え分子、または合成分子を含んでもよい。ライブラリー中の複数の試験物質を同時にアッセイしてもよい。場合によって、異なるライブラリー由来の試験物質を、同時に評価するため、プールしてもよい。
[00147]代表的なライブラリーには、限定されるわけではないが、ペプチド・ライブラリー(米国特許第6,156,511号、第6,107,059号、第5,922,545号、および第5,223,409号)、オリゴマー・ライブラリー(米国特許第5,650,489号および第5,858,670号)、アプタマー・ライブラリー(米国特許第6,180,348号および第5,756,291号)、小分子ライブラリー(米国特許第6,168,912号および第5,738,996号)、抗体または抗体断片のライブラリー(米国特許第6,174,708号、第6,057,098号、第5,922,254号、第5,840,479号、第5,780,225号、第5,702,892号、および第5,667988号)、核酸−タンパク質融合物のライブラリー(米国特許第6,214,553号)、およびT2R76ポリペプチドに潜在的に結合しうる任意の他のアフィニティー剤のライブラリー(例えば、米国特許第5,948,635号、第5,747,334号および第5,498,538号)が含まれる。
[00148]ライブラリーは、分子のランダム・コレクションを含んでもよい。あるいは、ライブラリーは、特定の配列、構造、またはコンホメーションに関するバイアスを有する分子のコレクションを含んでもよい。例えば、米国特許第5,264,563号および第5,824,483号を参照されたい。多様な種類の分子の多様な集団を含有するライブラリーを調製するための方法が当該技術分野に知られ、例えば本明細書において上に引用する米国特許に記載されるとおりである。多くのライブラリーもまた、商業的に入手可能である。
VII.B.結合アッセイ
[00149]本発明の別の態様において、T2R76調節剤を同定するための方法は、T2R76ポリペプチド、またはT2Rポリペプチドおよび1以上の他のT2Rポリペプチドを含むヘテロマー受容体に対する試験物質の特異的結合を決定する工程を含む。用語「結合」は、2つの分子間の親和性を指す。好ましくは、特異的結合はまた、別のタンパク質に対する1つのタンパク質または化合物の活性が阻害性(阻害剤またはアンタゴニストの場合)または増進性(活性化剤またはアゴニストの場合)であるような、相互作用の性質または状態も含む。
[00150]句「特異的に(または選択的に)結合する」は、候補調節剤の結合能を指す場合、タンパク質および他の生物学的物質の異種集団におけるタンパク質の存在の決定要因となる結合反応を指す。結合親和性が約1x10−1〜約1x10−1以上である場合、T2R76ポリペプチドへの調節剤の結合を特異的と見なしてもよい。句「特異的に結合する」はまた、飽和可能な結合も指す。T2R76ポリペプチドへの試験物質の飽和可能な結合を示すため、例えば、Makら(1989)J Biol Chem 264:21613−21618に記載されるように、スキャッチャード分析を行ってもよい。
[00151]本明細書において、対照ポリペプチドまたは試料に対する調節剤の結合を記載する、句「実質的に結合を欠く」または「実質的に結合しない」は、非特異的またはバックグラウンド結合を含むが、特異的結合を含まない結合レベルを指す。
[00152]いくつかの技術を用いて、既知の競合的調節剤を使用することなく、T2R76ポリペプチドおよび試験物質間の相互作用を検出してもよい。代表的な方法には、限定されるわけではないが、蛍光相関分光法、表面増強レーザー脱離/イオン化時間飛行分光法、およびBiacore技術が含まれ、各技術を以下に記載する。これらの方法は、自動化ハイスループット・スクリーニングに受け入れられる。
[00153]蛍光相関分光法(FCS)は、小さい試料体積内で、蛍光分子の平均分散率を測定する(Tallgren、1980)。試料サイズは、10!!3蛍光分子と同程度に小さくてもよく、そして試料体積は単一の細菌の細胞質と同程度に少なくてもよい。分散率は、分子質量の関数であり、そして質量が増加するにつれて減少する。したがって、結合に際する質量変化、そしてしたがって分子の分散率変化を測定することによって、FCSをポリペプチド−リガンド相互作用分析に適用してもよい。典型的な実験において、分析しようとするターゲット(例えばT2R76ポリペプチド)を、N末端またはC末端に挿入された、ポリ−ヒスチジン配列などの配列タグとともに、組換えポリペプチドとして発現する。発現は、宿主細胞、例えば大腸菌、酵母、ゼノパス卵母細胞、または哺乳動物細胞において仲介される。クロマトグラフィー法を用いて、ポリペプチドを精製する。例えば、ポリ−ヒスチジン・タグを用いて、イミノ二酢酸アガロースにキレートされたNi2+などの金属キレートカラムに、発現されたポリペプチドを結合させてもよい。次いで、ポリペプチドを、カルボキシテトラメチルローダミンまたはBODIPYTm試薬(オレゴン州ユージーンのMolecular Probesから入手可能)などの蛍光タグで標識する。次いで、ポリペプチドを溶液中、潜在的なリガンドに曝露して、そしてCarl Zeiss, Inc.(ニューヨーク州ソーンウッド)から入手可能な装置を用いて、FCSによって、その分散率を決定する。リガンド結合は、ポリペプチドの分散率の変化によって決定される。
[00154]表面増強レーザー脱離/イオン化(SELDI)は、HutchensおよびYip(1993)Rapid Commun Mass Spectrom 7:576−580に開発された。時間飛行質量分析(TOF)と組み合わされた場合、SELDIは、チップ上に保持される分子を迅速に分析する技術を提供する。ターゲット・タンパク質またはその一部をチップ上に共有結合させ、そして質量分析によって、このタンパク質に結合する小分子を分析することによって、リガンド−タンパク質相互作用分析に適用してもよい(Worrallら、1998)。典型的な実験において、ターゲット・ポリペプチド(例えばT2R76ポリペプチド)を、組換え的に発現し、そして精製する。ポリ−ヒスチジン・タグを利用することによるか、あるいはイオン交換または疎水性相互作用などの他の相互作用によるか、いずれかで、ターゲット・ポリペプチドをSELDIチップに結合させる。例えば、連続方式で、リガンドをピペッティングすることが可能な送達系(オートサンプラー)を介して、こうして調製されたチップを潜在的なリガンドに曝露する。次いで、増加するストリンジェンシーの溶液、例えば増加するイオン強度を含有する緩衝溶液を含む一連の洗浄液中で、チップを洗浄する。各洗浄後、チップをSELDI−TOFに提示することによって、結合した物質を分析する。溶出させるのに必要な洗浄液のストリンジェンシーによって、ターゲット・ポリペプチドに特異的に結合するリガンドを同定する。
[00155]Biacoreは、表面層上に固定されたターゲット・ポリペプチド(例えばT2R76ポリペプチド)に対するリガンドの結合に際する、該層での屈折指数の変化に頼る。この系において、小リガンドのコレクションを連続して2〜5マイクロリットルのセルに注入し、ここでターゲット・ポリペプチドはセル内に固定されている。表面から屈折するレーザー光を記録することによって、表面プラズモン共鳴(SPR)によって結合を検出する。一般的に、表面層での質量濃度の所定の変化に関する屈折指数変化は、事実上、すべてのタンパク質およびペプチドに関して同じであり、いかなるタンパク質に関しても単一の方法が適用可能であることを許す(Liedbergら、1983)。典型的な実験において、ターゲット・タンパク質を、組換え的に発現し、精製し、そしてBiacoreチップに結合させる。ポリ−ヒスチジン・タグを利用することによって、あるいはイオン交換または疎水性相互作用などの他の相互作用によって、結合を促進してもよい。次いで、Biacore(スウェーデン・ウプサラ)によって販売される装置に取り込まれた、連続方式でリガンドをピペッティングする送達系(オートサンプラー)を介して、こうして調製したチップを1以上の潜在的なリガンドに曝露する。チップ上のSPRシグナルを記録し、そして屈折指数の変化は、固定されたターゲットおよびリガンドの間の相互作用の指標となる。結合速度および解離速度のシグナル動力学の分析によって、非特異的および特異的相互作用の間の区別が可能になる。Homolaら(1999)Sensors and Actuators 54:3−15および該文献中の参考文献もまた参照されたい。
VII.C.コンホメーション・アッセイ
[00156]本発明は、T2R76調節剤によって結合されるかまたは別の方式で該剤と相互作用した際に、単独で、または別のT2Rポリペプチドと会合して発現されたT2R76ポリペプチドのコンホメーション変化に頼る、T2R76調節剤を同定するための方法も提供する。
[00157]巨大分子の溶液に円二色性分析を適用することによって、これらの巨大分子のコンホメーション状態が明らかになる。この技術は、ランダム・コイル、アルファらせん、およびベータ鎖コンホメーション状態を区別可能である。
[00158]T2R76ポリペプチドの調節剤を同定するため、組換え的に発現されたT2R76ポリペプチドを用いて、円二色性分析を行ってもよい。例えばイオン交換およびサイズ排除クロマトグラフィーによって、T2R76ポリペプチドを精製し、そして試験物質と混合する。混合物を円二色性分析に供する。試験物質の存在下のT2R76ポリペプチドのコンホメーションを、試験物質の非存在下のT2R76ポリペプチドのコンホメーションに比較する。こうして、試験物質の存在下のT2R76ポリペプチドのコンホメーション状態の変化を用いて、T2R76調節剤を同定してもよい。代表的な方法は、米国特許第5,776,859号および第5,780,242号に記載される。T2R76ポリペプチドは、別のT2Rポリペプチドを含む、ヘテロマー受容体中に含まれてもよい。
VII.D.受容体活性化アッセイ
[00159]本発明の好ましい態様において、T2R76調節剤を同定するための方法は、機能するT2R76ポリペプチドを使用する。本明細書に開示する新規T2R76ポリペプチドには、配列番号2が含まれる。T2R76機能を決定するための代表的な方法には、本明細書に以下に記載するような、細胞内シグナル伝達事象のリガンドが仲介する活性化をアッセイする工程が含まれる。
[00160]T2R76機能に対する試験物質の効果は、限定されるわけではないが、T2R76ポリペプチドのリン酸化、T2R76ポリペプチドへのGタンパク質結合、T2R76ポリペプチドを発現している細胞におけるイオン流動、遺伝子転写の変化、細胞代謝(例えば細胞増殖)の変化、細胞内二次メッセンジャー(例えばCa2+、IP3、cGMP、cAMP)の変化、および伝達物質またはホルモン放出の変化を含む、T2R76活性によって誘発される任意の生理学的変化をアッセイする工程を含んでもよい。GPCRシグナル伝達および該伝達をアッセイするための方法が、Methods in Enzymology 第237巻および第238巻(1994)に記載される。また、BerridgeおよびIrvine(1984)Nature 312:315−321;Bourneら(1991)Nature 10:349:117−27;Bourneら(1990)Nature 348:125−32;Felley−Boscoら(1994)Am J Resp Cell and Mol Biol 11:159−164;MistiliおよびSpector(1997)Nat Biotech 15:961−964;OffermannsおよびSimon(1995)J Biol Chem 270:15175−15180;Pitcherら(1998)Annu Rev Biochem 67:653−92;ならびに米国特許第4,115,538号;第5,436,128号;第6,004,808号;第6,403,305号;および第6,255,059号も参照されたい。
[00161]本発明の好ましい態様において、T2R76機能をアッセイする工程は、単独の、または別のT2Rポリペプチドと会合した、組換え的に発現されたT2R76ポリペプチドの、ガストデューシン、あるいは乱結合Gタンパク質、例えばGqまたはトランスデューシンまたはそれらのキメラへの共役をアッセイする工程を含む。したがって、T2R76活性の代表的なレベルは、実施例3に記載するようなガストデューシン上のGDPのGTPγSでの交換量、または実施例4に記載するような細胞内カルシウムの変化を含んでもよい。T2R76活性の代表的な性質は、例えばGタンパク質aサブユニットの選択的活性化を含んでもよい。
[00162]該方法にしたがって、T2R76を発現している細胞を、T2R76機能のアッセイを実行するのに有用なキットの形で提供してもよい。したがって、本明細書に上述するように、細胞を凍結して、そしてアッセイの実行のため、凍結したまま他の場所に輸送してもよい。例えば、本発明の1つの態様において、T2R76調節剤を検出するため:(a)全長T2R76ポリペプチドをコードするDNAでトランスフェクションされた凍結細胞;および(b)細胞を増殖させるための培地を含む、試験キットを提供する。
[00163]好ましくは、こうしたアッセイに用いる細胞は、天然T2R76、およびT2R76に実質的に類似のポリペプチドを実質的に欠いている細胞を含む。好ましい細胞は、真核細胞、例えばHEK−293細胞を含む。
[00164]本明細書において、宿主細胞または対照細胞を記載する、用語「実質的に欠いている」は、バックグラウンド・レベルを含む、天然T2R76のレベル、T2R76に実質的に類似のポリペプチドのレベル、またはその活性のレベルを有する性質を指す。用語「バックグラウンド・レベル」は、T2R76を含まず、そしてT2R76ポリペプチドと実質的に類似のポリペプチドを含まない細胞で、典型的に検出される発現または活性の非特異的測定値を含む。
[00165]本発明のアッセイで用いる細胞は、好ましくは、細胞内シグナル伝達経路にT2R76受容体を共役させることが可能な、機能するGタンパク質を含む。本発明の1つの態様において、機能するGタンパク質は、乱結合性共役を示すGタンパク質、例えばGα15およびGα16、あるいは実施例4に開示するような、トランスデューシンもしくはガストデューシンまたはそれらのキメラ(G16gust44)などの別のGタンパク質を含んでもよい。Wilkieら(1991)Proc Nad Acad Sci USA 88:10049−10053および米国特許第6,004,808号を参照されたい。
[00166]やはり好ましくは、組換えT2R76を発現している細胞を使用するすべてのアッセイは、天然T2R76およびT2R76ポリペプチドに実質的に類似のポリペプチドを実質的に欠いている、対照細胞をさらに使用する。一過性にトランスフェクションされた細胞を用いる場合、対照細胞は、例えば、非トランスフェクション宿主細胞を含んでもよい。T2R76ポリペプチドを発現している安定細胞株を用いた場合、対照細胞は、例えば、T2R76発現細胞株を得るために用いた親細胞株を含んでもよい。
[00167]一過性トランスフェクション細胞を使用するT2R76活性のアッセイには、好ましくは、非トランスフェクション細胞からトランスフェクション細胞を識別するマーカーが含まれる。用語「マーカー」は、T2R76ポリペプチドを組換え的に発現しない細胞から、T2R76を組換え的に発現する細胞を識別するために使用可能な任意の検出可能分子を指す。好ましくは、細胞が、T2R76およびマーカーをコードする核酸分子で同時にトランスフェクションされるように、マーカーは、コードされるか、またはT2R76発現用の構築物と別の様式で会合している。マーカーとして有用な代表的な検出可能分子には、限定されるわけではないが、異種核酸、トランスフェクション構築物によってコードされるポリペプチド(例えば酵素または蛍光ポリペプチド)、結合タンパク質、および抗原が含まれる。例えば、マーカーは、実施例2に記載するように免疫学的に検出可能な、ロドプシン・タグを含んでもよい。
[00168]マーカーとして有用な酵素の例には、ホスファターゼ(酸またはアルカリホスファターゼなど)、β−ガラクトシダーゼ、ウレアーゼ、グルコース酸化酵素、炭酸脱水酵素、アセチルコリン・エステラーゼ、グルコアミラーゼ、マレイン酸脱水素酵素、グルコース−6−リン酸脱水素酵素、β−グルコシダーゼ、プロテアーゼ、ピルビン酸脱炭酸酵素、エステラーゼ、ルシフェラーゼ、アルコール脱水素酵素、またはペルオキシダーゼ(西洋ワサビ(horseradish)ペルオキシダーゼ)が含まれる。
[00169]酵素を含むマーカーを、酵素の活性化に基づいて、検出してもよい。したがって、基質を添加して、例えば分光光度計、発光測定装置、または蛍光測定装置を用いて、最終産物が検出可能である反応を触媒する。上述の酵素による反応用であり、そして検出可能な反応産物を産生する基質が、当業者に知られる。
[00170]好ましいマーカーは、添加される物質の非存在下で検出可能なコードされるポリペプチドを含む。直接検出可能な代表的なポリペプチドには、GFPおよびEGFPが含まれる。蛍光、例えばGFPまたはEGFP蛍光のハイスループット検出を行うため、一般的な研究装置が開発されてきており、こうした装置には、GSI Lumonics(米国マサチューセッツ州ウォータータウン)、Amersharn Pharmacia Biotech/Molecular Dynamics(米国カリフォルニア州サニーベール)、Applied Precision Inc.(米国ワシントン州イサカー)、およびGenomic Solutions Inc.(米国ミシガン州アナーバー)のものが含まれる。商業的系の大部分は、光電子倍増管検出を伴うスキャニング技術の何らかの形を用いる。
VII.E.合理的設計
[00171]天然T2R76ポリペプチド構造の知識は、調節剤および診断剤の合理的設計のためのアプローチを提供する。簡潔には、T2R76ポリペプチド構造を、X線結晶学によって、そして/または三次元提示を生じる計算アルゴリズムによって、決定してもよい。Saqiら(1999)Bioinformatics 15:521−522;Huangら(2000)Pac Symp Biocomput:230−241;およびPCT国際公報第WO 99/26966号を参照されたい。あるいは、相同モデリング(Maaloufら、1998)によって、T2R76ポリペプチド構造の作業モデルを得てもよい。コンピュータ・モデルはさらに、合成し、そして本明細書中に上述するアッセイを用いて試験することも可能な、多様な基質分子に対するタンパク質構造の結合を予測可能である。さらなる化合物設計技術が、米国特許第5,834,228号および第5,872,011号に記載される。
[00172]一般的に、T2R76ポリペプチドは、膜タンパク質であり、そして界面活性剤または他の適切な両親媒性分子を用いて、可溶性型で精製可能である。生じるT2R76ポリペプチドは、結晶化のために十分な純度および濃度である。精製T2R76ポリペプチドは、好ましくは、還元または非還元ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)下で、単一バンドとして泳動される。少なくとも1つの以下:pH、緩衝剤の種類、緩衝剤濃度、塩の種類、ポリマーの種類、ポリマー濃度、他の沈殿性リガンド、および精製T2R76濃度の多様な条件下で、精製T2R76ポリペプチドを結晶化可能である。結晶ポリペプチドを生成するための方法が当該技術分野に知られ、そして本明細書に開示するようなT2R76ポリペプチドの決定に合理的に適応可能である。例えば、Deisenhoferら(1984)J Mol Biol 180:385−398;Weissら(1990)FEBS Lett 267:268−272;またはCRYSTAL SCREENTMキット(Hampton Research of Riverside、米国カリフォルニア州から入手可能)などの商業的キットにおいて提供される方法を参照されたい。
[00173]機能活性に関して結晶化T2R76ポリペプチドを試験してもよく、そしてX線回折における適合に関して、異なるサイズおよび形状の結晶をさらに試験する。一般的に、より大きい結晶は、より小さい結晶よりも、よりすぐれた結晶解析を提供し、そしてより厚い結晶は、より薄い結晶よりも、よりすぐれた結晶解析を提供する。好ましくは、T2R76結晶は、0.1〜1.5mmのサイズ範囲である。これらの結晶は、少なくとも10Aの分解能、例えば1.5〜10.0Aまたはその中の任意の値の範囲、例えば1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5または3A分解能にX線を回折し、3.5A以下が最高の分解能として好ましい。
VIII. T2R76ポリペプチドを検出するための方法
[00174]本発明は、T2R76ポリペプチドを検出するための方法をさらに提供する。T2R76に関連する味知覚の相違と関連する、T2R76発現レベルの改変を決定するため、開示する方法を用いてもよい。
[00175]本発明の1つの態様において、該方法は、T2R76ポリペプチドを特異的に認識する抗体を用いて免疫化学反応を実行することを伴い、ここで抗体は、こうした抗体を産生するための本発明の方法にしたがって調製した。したがって、該方法は:(a)ペプチド物質を含む生物学的試料を得て;(b)T2R76ポリペプチドに特異的に結合し、そして開示する方法にしたがって産生された抗体と、生物学的試料を接触させ、ここで抗体は検出可能標識を含み;そして(c)検出可能標識を検出し、それによって試料中のT2R76ポリペプチドを検出する工程を含む。
[00176]こうした抗体−抗原コンジュゲートまたは複合体を検出するための技術が当該技術分野に知られ、そしてこうした技術には、限定されるわけではないが、遠心分離、アフィニティー・クロマトグラフィーおよび他の免疫化学法が含まれる。例えば、Manson(1992)Immunochemical Protocols. Humana Press, 米国ニュージャージー州トトワ;Ishikawa(1999)Ultrasensitive and Rapid Enzyme Immunoassays. Elsevier, アムステルダム/米国ニューヨーク州;Law(1996)Immunoassay:Practical Guide. Taylor & Francis, ロンドン/米国ペンシルバニア州ブリストル:Chan(1996)Immunoassay Automation:An Updated Guide to Systems. Academic Press, サンディエゴ;LiddellおよびWeeks(1995)Antibody Technology. Bios Scientific Publishers, 英国オックスフォード;Masseyeffら(1993)Methods of Immunological Analysis. VCH Verlagsgesellschaft/VCH Publishers, ドイツ連邦共和国ワインハイム/米国ニューヨーク州;WalkerおよびRapley(1993)Molecular and Antibody Probes in Diagnosis. Wiley, ニューヨーク州チチェスター;Wyckoffら(1985)Diffraction Methods for Biological Macromolecules. Academic Press, 米国フロリダ州オーランド;およびこれらの文献に引用される参考文献を参照されたい。
[00177]本発明の別の態様において、T2R76ポリペプチドへの特異的結合を示す調節剤を用いて、T2R76ポリペプチドを検出する。抗体を用いたT2R76ポリペプチドの検出と同様に、該方法は:(a)ペプチド物質を含む生物学的試料を得て;(b)T2R76ポリペプチドの調節剤と、生物学的試料を接触させ、ここで調節剤は検出可能標識を含み;そして(c)検出可能標識を検出し、それによって試料中のT2R76ポリペプチドを検出する工程を含む。任意の適切な検出可能標識、例えば蛍光体またはエピトープ標識を用いてもよい。
IX.適用
[00178]本発明は、T2R76ポリペプチドの調節剤を同定するための方法を提供する。本発明の調節剤は、苦味知覚を改変するために、例えば苦味知覚を抑制するかまたは増進するために有用である。
IX.A.被験体
[00179]用語「被験体」には、本明細書において、任意の脊椎動物種、好ましくは哺乳動物および鳥類などの温血脊椎動物が含まれる。より具体的には、本発明の方法は、ヒトなどの哺乳動物、ならびに絶滅しそうであるために重要である哺乳動物(アムールトラなど)、経済的に重要である哺乳動物(ヒトによって消費されるために農場で飼育されている動物)および/またはヒトにとって社会的に重要である哺乳動物(ペットとしてまたは動物園で飼育されている動物)、例えばヒト以外の肉食動物(ネコおよびイヌなど)、豚(ブタ、家畜ブタ、およびイノシシ)、反芻動物および家畜類(ウシ、雄ウシ、ヒツジ、キリン、シカ、ヤギ、野牛、およびラクダ)、およびウマにおいて、腫瘍を治療するために意図される。絶滅しそうであるか、または動物園で飼育されている種類の鳥類、ならびに家禽、およびより詳細には家畜化された家禽または飼育鳥、例えば七面鳥、ニワトリ、カモ、ガチョウ、ホロホロ鳥等を含む、鳥類の治療もまた意図され、これは、これらもまた、ヒトにとって経済的に重要であるためである。
IX.B.組成物
[00180]本発明の方法にしたがって、被験体において、味知覚を改変するために投与される組成物は、有効量のT2R76調節剤を含む。T2R76調節剤は、本明細書において上述する試験物質種の任意の1つを含んでもよい。本明細書に開示するように同定されるT2R76調節剤を用いて、限定されるわけではないが、食品、飲料、口腔洗浄液、歯磨剤、化粧品、および医薬品、例えば本明細書において以下に列挙するような化合物のいずれかを含む、経口使用のための組成物を調製してもよい。T2R76調節剤はまた、経口使用する可能性があるがそれが望ましくない化合物、例えば家庭用クレンザー、毒等の味を改変するための添加物としても使用可能である。
[00181]望ましくない味または苦味を有する代表的な食品には、限定されるわけではないが、グレープフルーツ、オレンジ、およびレモンなどの柑橘果実;トマト、ピーマン、セロリ、メロン、ニンジン、ジャガイモ、およびアスパラガスなどの野菜;フレーバー、ソース、しょうゆ、および赤唐辛子などの調味料または香味料;ダイズから生じる食品;クリーム、ドレッシング、マヨネーズ、およびマーガリンなどのエマルジョン食品;魚肉、魚のすり身、および魚卵などの加工水産物;ピーナツなどのナッツ類;味噌などの発酵食品;肉および加工肉;ピクルス;麺類;粉末スープを含むスープ;チーズなどの乳製品;パンおよびケーキ;キャンディ、チューインガム、およびチョコレートなどの菓子類;ならびに健康のため特別に調製された食品が含まれる。
[00182]苦味を誘発する代表的な化粧品(例えばスキンローション、クリーム、フェースパック、リップスティック、ファンデーション、シェービング製剤、アフターシェービングローション、クレンジングフォーム、およびクレンジングジェル)には、限定されるわけではないが、アルキル硫酸ナトリウムおよびモノアルキルリン酸ナトリウムなどの界面活性剤;メントール、リナロオール、フェニルエチルアルコール、プロピオン酸エチル、ゲラニオール、酢酸リナリルおよび酢酸ベンジルなどの香料;メチルパラベン、プロピルパラベンおよびブチルパラベンなどの抗菌剤;乳酸および乳酸ナトリウムなどの保湿剤;オクタ酢酸スクロースおよびブルシンなどのアルコール変性剤;ならびに乳酸アルミニウムなどの収斂剤が含まれる。
[00183]苦味を有する代表的な医薬品には、アミノアセトフェン、テルフェナジン、グアイフェネシン、トリメトプリム、プレドニゾロン、イブプロフェン、リン酸プレドニゾロン・ナトリウム、メタコリン、ネオスチグミン、エピネフリン、アルブテロール、シュードエフェドリン塩酸、ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、フェノチアジン、クロルプロマジン、クロルジアゼポキシド(chloroiazepoxide)、アミトリプチリン、バルビツレート、ジフェニルヒダントイン、カフェイン、モルヒネ、デメロール、コデイン、ロモチル、リドカイン、サリチル酸、スルホンアミド、クロロキン、ビタミン製剤、ミネラルおよびペニシリンが含まれる。
[00184]また、調製した食品、飲料、口腔洗浄液、歯磨剤、化粧品、または薬剤の一部として、調節剤を投与してもよい。被験体に投与するための組成物を調製するため、味を調節しようとする化合物と、重量約0.001%〜約10%、好ましくは重量約0.01%〜約8%、より好ましくは重量約0.1%〜約5%、そして最も好ましくは重量約0.5%〜約2%のT2R76調節剤を混合してもよい。
[00185]適切な配合物には、溶液、抽出物、エリキシル剤、スピリッツ酒、シロップ、懸濁物、粉末、顆粒、カプセル、ペレット、錠剤、およびエアロゾルが含まれる。場合によって、配合物には、薬学的に許容されうるキャリアー、懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤、保存剤、フレーバー、着色剤、甘味料、香料、またはそれらの組み合わせが含まれてもよい。T2R76調節剤および組成物を、単位用量または多用量の密封容器、例えばアンプルおよびバイアル中に提示してもよい。
IX.C.投与
[00186]味知覚の調節のため、T2R76調節剤を被験体に直接投与してもよい。好ましくは、本発明の調節剤を経口または鼻投与する。
[00187]本発明の方法にしたがって、T2R76調節剤の有効量を被験体に投与する。用語「有効量」は、T2R76活性化を調節し、そして/または苦味知覚を調節するのに十分な量の組成物を指す。
[00188]所望の味知覚を達成するのに有効なT2R76調節剤の量を投与するための有効量は多様でありうる。選択する投薬レベルは、T2R76調節剤の活性、配合、他の組成物(例えば食品、薬剤等)との組み合わせ、意図される使用(例えば食品添加剤、歯磨剤等として)、ならびに治療しようとする被験体の肉体状態および先の病歴を含む、多様な要因に応じるであろう。
[00189]当該技術分野に知られるように、味知覚のin vovoアッセイを用いて、有効量または用量を容易に決定してもよい。味知覚をアッセイするための代表的な方法を実施例4に記載する。
実施例
[00190]以下の実施例は、本発明の様式を例示するために含まれている。以下の実施例の特定の側面は、本発明の共同発明者らによって、本発明の実施において、よく働くことが見出されたかまたは意図される、技術および方法の観点で記載される。これらの実施例は本発明の共同発明者らの標準的な実験室実施を例示する。本開示および当該技術分野の一般的な技術レベルに鑑みて、当業者は、以下の実施例が、例示のみを意図し、そして本発明の範囲から逸脱することなく、多くの変化、修飾および改変を使用してもよいことを認識するであろう。
[00191]実施例1.ヒトT2R76のクローニング
[00192]ヒト・ゲノム配列データベースにおいて、ヒト苦味受容体をコードする新規遺伝子を同定した。新規hT2Rメンバー、hT2R76は、ヒト染色体7上に位置する。カリフォルニア大学(カリフォルニア州サンタクルーズ)ゲノミクス・ウェブサイトをスクリーニングすることによって、T2R76 DNA配列の染色体位置を決定した。この分析によって、T2R76が染色体7上の領域144062692−144063648に位置することが示された。フェニルチオカルバネートなどの特定の化合物の苦味は、染色体5および7に遺伝的に関連付けられてきている(Guoら(2001)Ann Hum Biol 28:111−42)。したがって、T2R76は、特定の苦味物質の結合および認識に関与すると予測される。
[00193]ヒトT2R76は、先に記載されたhT2R配列を用いた、DNA配列データベースの反復配列検索によって最初に同定された。ゲノムDNAのPCR増幅によって、hT2R76をコードする全長オープンリーディングフレームを単離した。対応するオープンリーディングフレームの概念上の翻訳によって、hT2R76のアミノ酸配列を得た。hT2R76ヌクレオチドおよびアミノ酸配列を、それぞれ配列番号1および配列番号2に示す。
[00194]hT2R76の無イントロン・オープンリーディングフレームは、長さ318アミノ酸残基の推定上の受容体タンパク質をコードする。BLASTPアルゴリズムを用いた、公共配列データベース中のすべての既知のタンパク質とのhT2R76タンパク質配列の比較によって、哺乳動物苦味受容体ファミリーメンバーに対する強い相同性が明らかになった。
[00195]実施例2. rhod−hT2R76の構築
[00196]架橋重複PCR伸長技術を用いて、Chandrashekarら(2000)Cell 100:703−711に記載されるようなヒトT2R76コード配列とインフレームで、ウシ・ロドプシンの最初の38アミノ酸を含有する、rhod−hT2R76キメラを生成した。次いで、キメラrhod−hT2R76遺伝子をpFastBac−1ベクター内にクローニングし、そしてBac−to−Bac系(米国カリフォルニア州カールスバッドのInvitrogen Corporation)を用いて、ロドプシンでタグ付けされたhT2R76を含有するバキュロウイルスを産生した。抗ロドプシン・タグ抗体(136−30)を用いたイムノブロッティングによって、hT2R76の発現を確認した。hT2Rをコードするバキュロウイルスに感染したSf9細胞は、期待される分子量(−35kDa)のタンパク質を生じた。
[00197]実施例3. T2R76のin vitro Gタンパク質共役
[00198]rhod−hT2R76をコードする感染性バクミドを実施例2に記載するように調製する。昆虫幼虫細胞を組換えバクミドに60時間感染させ、そしてRybaおよびTrindelli(1995)J Biol Chem 270:6757−6767によって記載されるように、膜を調製する。5M尿素で処理することによって、周辺タンパク質を除去し、そして10mM HEPES pH7.5、1mM EDTA、および1mM DTTに膜を再懸濁する。モノクローナル抗体B6−30を用いたウェスタンブロッティングによって、rhod−hT2R76の発現を評価してもよい。
[00199]例えば、Hoonら(1995)Cell 96 629−636によって、そしてRybaおよびTrindelli(1995)J Biol Chem 270:6757−6767によって、記載されるように、Gタンパク質を単離する。10nM rhod−hT2R76、100μM GDP、および20μM Gβ1γ8の存在下で、受容体が触媒する、ガストデューシン上のGDPのGTPγSでの交換を測定する。乱結合Gタンパク質(例えばGα15またはトランスデューシン)上のGDP−GTPγS交換を米国特許出願第60/372089に記載されるように行う。約15〜60分の時点で行う測定は、GTPγS結合の初期速度を反映する。
[00200]実施例4.特異的T2R76リガンドを検出するカルシウム画像化アッセイ
[00201]本実施例において、本発明者らは、本ヒトT2R76が、苦味リガンド、ブルシンおよびプロピルチオウラシル(PROP)(図1の化合物構造を参照されたい)を認識することを示す。ブルシンは、マチン(Strchnos)種子から単離された毒性苦味アルカロイドであり、苦味閾値は0.01mMである。PROPは、PROPテイスターに関して0.01nMの苦味閾値を持つ苦味化学薬品である。
[00202]細胞内カルシウム濃度の変化を検出する、細胞に基づくアッセイにおいて、ブルシンおよびPROPによるhT2R76の活性化を測定する。本質的には、ヒト胚性腎細胞を48ウェル組織培養プレート内に植え付ける。24時間後、hT2R76核酸配列を含有するプラスミド、およびキメラGタンパク質(G16gust44)を発現するプラスミドで、細胞を一過性にトランスフェクションする。さらに24時間後、カルシウムに特異的な蛍光色素(Fluo−4;Molecular Probes)とともに細胞をインキュベーションし、これは、細胞内カルシウムの変化を検出するための迅速、単純で、そして信頼性がある方法を提供する。T2Rの活性化は、シグナル伝達カスケードを誘発し、これは、PLCの活性化およびそれに続く細胞内カルシウム濃度の増加を導く。カルシウム濃度のこの増加は、細胞内カルシウムの蛍光特性を変化させる。蛍光顕微鏡および特別に設計されたソフトウェア(Imaging Workbench、Axon)を用いて、これらの変化を監視する。この方法論を用いて、PROPおよびブルシンの両方が、HEK−293細胞において、T2R76を特異的に活性化し、これが、細胞内カルシウム・レベルの増加を生じることが示された。一方、やはりT2R76受容体を発現し、いくつかの他の苦味リガンド、すなわちL−トリプトファン、サリシン、およびN−フェニルチオ尿素と接触させた、対照細胞は、細胞内カルシウム・レベルの検出可能な増加を生じなかった(実施例2に含有される画像化データを参照されたい)。したがって、2つの異なる苦味リガンド、PROP、およびストリキニーネ関連化合物のブルシンは、T2R76を特異的に活性化することが示され、T2R76が苦味伝達に能動的に関与するヒト味受容体であることが確認された。
[00203]実施例5:味研究
[00204]本明細書に開示するように同定したT2R76調節剤を含む試験組成物を用いて、フレーバー許容研究を行う。T2R76調節剤を欠くが、そうでなければ試験組成物に実質的に類似であるかまたは同一である、対照組成物もまた、用いる。研究は、2方向クロスオーバー設計を使用し、すべての被験体が両方の組成物を評価し、これらの組成物は、1以上の同じ量または用量で投与される。単一の研究日に、試験および対照組成物を評価する。被験体の間で、試験および対照組成物を投与する順序をランダム化する。登録されたすべての被験体が、研究プロトコルのすべての側面を完了する。被験体は、序数の味スコア(例えば1=非常に苦い、2=苦い、3=普通、4=それほど苦くない、5=まったく苦くない)を用いて、試験および対照組成物の各々に応答する。不都合な事象を記録する。対照組成物に比較した際、試験組成物の食味の有意な相違を測定することによって、T2R76調節剤の有効性を決定する。
[00205]実施例6.苦味化合物に対するhT2R76の応答
[00206]hT2R76を発現する哺乳動物細胞株(HEK293)、ならびに異なるhT2R(hT2R64)を発現する対照細胞株を用いて、GTPγS結合アッセイを達成する。これらの細胞株を、0.5〜2mmの範囲の異なる濃度の6−n−プロピルチオウラシル(PROP)、オクタ酢酸スクロース、ウンデカ酢酸ラフィノース(RUA)、グリシン酸銅、デナトニウムおよびキニンを含む苦味化合物と接触させる。このアッセイ結果を用いて、hT2R76が、既知の苦味刺激によって特異的に活性化される苦味受容体であることを確認する。このGTPγS結合アッセイにおいて、特定の濃度の既知の苦味化合物の存在下または非存在下いずれかで、活性を測定する。
[00207]実施例7.ハイスループット・スクリーニングアッセイ
[00208]GTPγS結合アッセイを用いて、15,000化合物を超えるライブラリーをスクリーニングして、hT2R76を特異的に活性化する他の化合物を同定する。このアッセイにおいて、hT2R76を活性化しうる類似の構造を有する化合物を予測するため、hT276を活性化する特異的化合物の構造を比較する。次いで、GTPγS結合アッセイにおいて、異なる濃度でこれらの類似の構造を有する化合物のライブラリーを評価して、hT2R76を活性化する他の化合物を同定する。
[00209]実施例8.ヒト味試験
[00210]GTPγS結合アッセイにおいて、hT2R76を活性化する化合物を、ヒト味試験において評価する。同意した成人において、これらのヒト味試験を行い、この成人に、in vitroでhT2R76を活性化する濃度の同定された化合物を経口投与する。これらの味試験において、同定された化合物(hT2R76を活性化する)を水に溶解して、in vitro GTPγS結合アッセイにおいて、hT2R76を活性化する化合物濃度を達成する。
[00211]この味試験において、少なくとも5人のサンプルが、苦味化合物を含有する一連の水性溶液をテースティングする(好ましい実施例において、苦味化合物はT2R76アゴニストである)。各個人は、0〜100の範囲の標識等級尺度で苦味の度合いをランク付けする(0は「わずかに検出可能」であり、そして100は「ありうる最強」である)。次に、各個人が、苦味化合物およびT2R72阻害剤を含有する一連の水性溶液をテースティングし、そして各試料の苦味の度合いをランク付けする。苦味の度合いの減少によって、T2R76阻害剤の有効性を測定する。比較の手段として、既知の苦味化合物(硫酸キニン)もまた試験し、そして各被験体が評価する。味試験の結果は、すべての被験体の平均評価として示される。
結論
[00212]これらのアッセイの結果は、カルシウム画像化アッセイを用いて、本発明記載のhT2R76ポリペプチドに特異的に結合する苦味化合物を同定可能である証明を提供し、そしてhT2R76がヒトにおける苦味受容体であることを確認する。したがって、この受容体を、本発明にしたがったスクリーニングアッセイで用いて、少なくともT2R76受容体ポリペプチドと関連する苦味を調節し、好ましくは阻害する化合物を同定してもよい。これに関連して、T2R76に結合することが見出された苦味化合物には、マチン種子に見られる天然存在毒性アルカロイドであり、ヒトにおいて0.01mMの苦味閾値を誘発するブルシン、およびPROPテースターに関して0.01mMの苦味閾値を持つ苦味化学薬品であるPROPが含まれる。したがって、T2R76は、予期されるように、複数の苦味リガンドに結合し、そしてヒトが何百もの異なる苦味化合物をテースティングする能力における機能的役割を果たす可能性がある。
[00213]したがって、本アッセイを用いて同定される調節剤を用いて、食品および飲料に苦味を提供してもよい。あるいは、苦味遮断剤および調節剤、ならびに他の苦味化合物の同定のためのアッセイにおいて、これらの化合物をアゴニストとして用いてもよい。
参考文献
[00214]以下に列挙する参考文献、ならびに本明細書に引用するすべての参考文献は、これらが、本明細書で使用する方法論、技術および/または組成物を解説するための背景を補充し、説明し、提供する度合いまで、本明細書に援用される。
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[00215]本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の多様な詳細を変化させてもよいことが理解されるであろう。さらに、前述の説明は、例示のみの目的のためであり、そして本明細書に付随する請求項によって定義される本発明を限定する目的のためではない。
[0027]図1は、ブルシンおよびPROPの構造を含有する。 [0028]図2は、T2R76がブルシンおよびPROPに特異的に応答することを明らかにした、細胞に基づくアッセイからのデータを含有する。

Claims (107)

  1. (a)配列番号2に含有されるポリペプチドをコードする単離核酸分子;
    (b)配列番号1を含む単離核酸分子;または
    (c)配列番号1によってコードされるポリペプチドに少なくとも90%の配列同一性を所持し、そして配列番号2に含有されるポリペプチドに特異的に結合する少なくとも1つの苦味リガンドに特異的に応答するポリペプチドをコードする単離核酸分子
    を含む、単離T2R76核酸分子。
  2. (a)配列番号2に含まれるポリペプチドを含有するポリペプチドをコードする単離核酸分子
    (b)配列番号1に含有される核酸配列を含む単離核酸分子;
    (c)約200mM未満の塩濃度を有する洗浄溶液および約45℃より高い洗浄温度によって代表される洗浄ストリンジェンシー条件下で、配列番号1の核酸配列にハイブリダイズし、そして配列番号2に含有されるT2R76ポリペプチドに特異的に結合する少なくとも1つの苦味リガンドに特異的に結合するT2R76ポリペプチドをコードする、単離核酸分子;
    (d)遺伝暗号の縮重のため、核酸配列が、上記の(a)、(b)、および(c)の1つの単離核酸分子と、少なくとも1つの機能的に同等なコドンによって異なり、そして上記の(a)、(b)、および(c)の1つの単離核酸によってコードされるT2R76ポリペプチドをコードする、単離核酸分子
    からなる群より選択される、単離T2R76核酸分子。
  3. (a)配列番号2のポリペプチドをコードする単離核酸分子;または
    (b)配列番号1の単離核酸分子
    を含む、請求項1の単離T2R76核酸分子。
  4. T2R76核酸分子を検出するための方法であって:
    (a)核酸物質を有する生物学的試料を得て;
    (b)ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、単離T2R76核酸分子を、(a)の生物学的試料にハイブリダイズさせて、それによって、単離T2R76核酸および生物学的試料内の核酸の間に二重鎖構造を形成し;そして
    (c)(b)の二重鎖構造を検出し、それによって生物学的試料中のT2R76核酸分子を検出する
    工程を含む、前記方法。
  5. (a)配列番号2のポリペプチド;
    (b)配列番号2に実質的に同一であるポリペプチド;
    (c)配列番号1の核酸分子によってコードされるポリペプチド;または
    (d)配列番号1に実質的に同一である核酸分子によってコードされるポリペプチド
    を含む、単離T2R76ポリペプチド。
  6. (a)配列番号2のポリペプチドをコードする単離核酸分子;
    (b)配列番号1の単離核酸分子;
    (c)約200mM未満の塩濃度を有する洗浄溶液および約45℃より高い洗浄温度によって代表される洗浄ストリンジェンシー条件下で、T2R76核酸配列にハイブリダイズし、そしてT2R76ポリペプチドをコードする、単離核酸分子;
    (d)遺伝暗号の縮重のため、核酸配列が、上記の(a)、(b)、および(c)の1つの単離核酸分子と、少なくとも1つの機能的に同等なコドンによって異なり、そして上記の(a)、(b)、および(c)の1つの単離核酸によってコードされるT2R76ポリペプチドをコードする、単離核酸分子
    からなる群より選択される核酸分子によってコードされるポリペプチドをさらに含む、請求項5の単離T2R76ポリペプチド。
  7. 配列番号2を含む、請求項5の単離T2R76ポリペプチド。
  8. 少なくとも1つの他のT2Rポリペプチドと会合する、請求項5記載の単離T2Rポリペプチド。
  9. 前記の他のT2Rポリペプチドが別のヒトT2Rである、請求項8の単離T2Rポリペプチド。
  10. 前記の他のヒトT2Rが、ヒトT2R51、T2R54、T2R55、T2461、T2R63、T2R64、T2R65、T2R67、T2R71、T2R75、T2R59およびT2R33からなる群より選択される、請求項9の単離T2Rポリペプチド。
  11. 請求項1に列挙した(a)、(b)、および(c)の単離核酸配列によってコードされるT2R76ポリペプチドを特異的に認識する抗体を産生するための方法。
  12. 単離T2R76ポリペプチドが配列番号2を含む、請求項10の方法。
  13. モノクローナル抗体を調製する工程をさらに含む、請求項8の方法。
  14. 請求項11の方法によって産生される抗体。
  15. T2R76ポリペプチドのレベルを検出するための方法であって
    (a)ペプチド物質を有する生物学的試料を得て;
    (b)請求項14の抗体との免疫化学的反応によって、(a)の生物学的試料中のT2R76ポリペプチドを検出し、それによって、試料中のT2R76ポリペプチドの量を決定する
    工程を含む、前記方法。
  16. (a)T2R76ポリペプチド;および
    (b)T2R76ポリペプチドを発現する異種宿主細胞
    を含む、T2R76ポリペプチドの異種発現のための系。
  17. T2R76ポリペプチドが:
    (a)配列番号2のポリペプチド;
    (b)配列番号2に実質的に同一であるポリペプチド;
    (c)配列番号1の核酸分子によってコードされるポリペプチド;または
    (d)配列番号1に実質的に同一である核酸分子によってコードされるポリペプチド
    を含む、請求項16の系。
  18. T2R76ポリペプチドが:
    (a)配列番号2のポリペプチドをコードする単離核酸分子;
    (b)配列番号1の単離核酸分子;
    (c)約200mM未満の塩濃度を有する洗浄溶液および約45℃より高い洗浄温度によって代表される洗浄ストリンジェンシー条件下で、T2R76核酸配列にハイブリダイズし、そしてT2R76ポリペプチドをコードする、単離核酸分子;ならびに
    (d)遺伝暗号の縮重のため、核酸配列が、上記の(a)、(b)、および(c)の1つの単離核酸分子と、少なくとも1つの機能的に同等なコドンによって異なり、そして上記の(a)、(b)、および(c)の1つの単離核酸によってコードされるT2R76ポリペプチドをコードする、単離核酸分子
    からなる群より選択される核酸分子によってコードされるポリペプチドをさらに含む、請求項17の系。
  19. 単離T2R76ポリペプチドが配列番号2を含む、請求項18の系。
  20. 別のT2Rをコードする核酸をさらに含む、請求項18の系。
  21. 宿主細胞が哺乳動物細胞を含む、請求項16の系。
  22. 哺乳動物細胞がヒト細胞を含む、請求項21の系。
  23. 宿主細胞が、T2R76ポリペプチドに共役可能なGタンパク質アルファ・サブユニットをさらに含む、請求項16の系。
  24. Gタンパク質アルファ・サブユニットが、乱結合(promiscuous)Gタンパク質を含む、請求項23の系。
  25. 乱結合Gタンパク質がGα15を含む、請求項24の系。
  26. Gタンパク質が、トランスデューシンまたはガストデューシン、あるいはキメラGタンパク質を含む、請求項23の系。
  27. T2R76ポリペプチドの調節剤を同定するための方法であって:
    (a)T2R76ポリペプチドが、単独で、または少なくとも1つの他のT2Rポリペプチドと組み合わせて発現される、組換え発現系を提供し;
    (b)(a)の系に試験物質を提供し;
    (c)試験物質の存在下で、T2R76機能のレベルまたは性質をアッセイし;
    (d)T2R76機能の対照レベルまたは性質と、試験物質の存在下でのT2R76機能のレベルまたは性質を比較し;そして
    (e)T2R76機能の対照レベルまたは性質に比較した際に有意に変化するような、試験物質の存在下でのT2R76機能のレベルまたは性質を決定することによって、試験物質をT2R76調節剤として同定する
    工程を含む、前記方法。
  28. T2R76ポリペプチドが:
    (a)配列番号2のポリペプチド;
    (b)配列番号2に実質的に同一であるポリペプチド;
    (c)配列番号1の核酸分子によってコードされるポリペプチド;または
    (d)配列番号1に実質的に同一である核酸分子によってコードされるポリペプチド
    を含む、請求項27の方法。
  29. T2R76ポリペプチドが:
    (a)配列番号2のポリペプチドをコードする単離核酸分子;
    (b)配列番号1の単離核酸分子;
    (c)約200mM未満の塩濃度を有する洗浄溶液および約45℃より高い洗浄温度によって代表される洗浄ストリンジェンシー条件下で、T2R76核酸配列にハイブリダイズし、そしてT2R76ポリペプチドをコードする、単離核酸分子;ならびに
    (d)遺伝暗号の縮重のため、核酸配列が、上記の(a)、(b)、および(c)の1つの単離核酸分子と、少なくとも1つの機能的に同等なコドンによって異なり、そして上記の(a)、(b)、および(c)の1つの単離核酸によってコードされるT2R76ポリペプチドをコードする、単離核酸分子
    からなる群より選択される核酸分子によってコードされるポリペプチドをさらに含む、請求項28の方法。
  30. 単離T2R76ポリペプチドが配列番号2を含む、請求項29の方法。
  31. 宿主細胞が哺乳動物細胞を含む、請求項27の方法。
  32. 哺乳動物細胞がヒト細胞を含む、請求項31の方法。
  33. 宿主細胞が、T2R76ポリペプチドに共役可能なGタンパク質アルファ・サブユニットをさらに含む、請求項27の方法。
  34. Gタンパク質アルファ・サブユニットが、乱結合(promiscuous)Gタンパク質を含む、請求項33の方法。
  35. 乱結合Gタンパク質がGα15を含む、請求項34の方法。
  36. 乱結合Gタンパク質が、トランスデューシン、ガストデューシン、またはキメラGタンパク質を含む、請求項33の方法。
  37. アッセイ工程が、GTPγS結合の量を決定する工程を含む、請求項27の方法。
  38. 請求項27の方法によって同定されるT2R76調節剤。
  39. タンパク質、ペプチド、抗体、核酸、および小分子からなる群より選択される調節剤をさらに含む、請求項38のT2R76調節剤。
  40. 被験体における苦味知覚を調節するための方法であって:
    (a)請求項38の調節剤を含む組成物を調製し;
    (b)被験体に有効用量の組成物を投与し、それによって被験体において、苦味知覚を改変する
    工程を含む、前記方法。
  41. 食品、飲料、口腔洗浄液、歯磨剤、化粧品、または医薬品をさらに含む、請求項40の方法。
  42. 調節剤を含む組成物、ならびに食品、飲料、口腔洗浄液、歯磨剤、化粧品、および医薬品からなる群より選択される組成物を同時投与する工程をさらに含む、請求項40の方法。
  43. 被験体が哺乳動物である、請求項40の方法。
  44. 哺乳動物がヒトである、請求項43の方法。
  45. T2R76ポリペプチドの調節剤を同定するための方法であって:
    (a)単独のT2Rポリペプチド、または少なくとも1つの他のT2Rポリペプチドと会合して発現されたT2R76ポリペプチドを、1以上の試験物質に曝露して;
    (b)単離T2R76ポリペプチドまたはT2R76ポリペプチドの組み合わせに対する試験物質の結合をアッセイして;そして
    (c)T2R76ポリペプチドに対する特異的結合を示す候補物質を選択する
    工程を含む、前記方法。
  46. T2R76ポリペプチドが:
    (a)配列番号2のポリペプチド;
    (b)配列番号2に実質的に同一であるポリペプチド;
    (c)配列番号1の核酸分子によってコードされるポリペプチド;または
    (d)配列番号1に実質的に同一である核酸分子によってコードされるポリペプチド
    を含む、請求項45の方法。
  47. T2R76ポリペプチドが:
    (a)配列番号2のポリペプチドをコードする単離核酸分子;
    (b)配列番号1の単離核酸分子;
    (c)約200mM未満の塩濃度を有する洗浄溶液および約45℃より高い洗浄温度によって代表される洗浄ストリンジェンシー条件下で、T2R76核酸配列にハイブリダイズし、そしてT2R76ポリペプチドをコードする、単離核酸分子;ならびに
    (d)遺伝暗号の縮重のため、核酸配列が、上記の(a)、(b)、および(c)の1つの単離核酸分子と、少なくとも1つの機能的に同等なコドンによって異なり、そして上記の(a)、(b)、および(c)の1つの単離核酸によってコードされるT2R76ポリペプチドをコードする、単離核酸分子
    からなる群より選択される核酸分子によってコードされるポリペプチドをさらに含む、請求項46の方法。
  48. 単離T2R76ポリペプチドが配列番号2を含む、請求項47の方法。
  49. 請求項48の方法によって同定されるT2R76調節剤。
  50. タンパク質、ペプチド、抗体、核酸、および小分子からなる群より選択される調節剤をさらに含む、請求項49のT2R76調節剤。
  51. 被験体における苦味知覚を調節するための方法であって:
    (a)請求項49の調節剤を含む組成物を調製し;
    (b)被験体に有効用量の組成物を投与し、それによって被験体において、苦味知覚を改変する
    工程を含む、前記方法。
  52. 組成物が、食品、飲料、口腔洗浄液、歯磨剤、化粧品、または医薬品をさらに含む、請求項51の方法。
  53. 調節剤を含む組成物、ならびに食品、飲料、口腔洗浄液、歯磨剤、化粧品、および医薬品からなる群より選択される組成物を同時投与する工程をさらに含む、請求項51の方法。
  54. T2R76調節剤が、タンパク質、ペプチド、抗体、核酸、および小分子からなる群より選択される、請求項51の方法。
  55. 被験体が哺乳動物である、請求項51の方法。
  56. 哺乳動物がヒトである、請求項55の方法。
  57. 苦味化合物の苦味知覚を減少させるための方法であって、T2R76阻害剤および該苦味化合物を被験体に同時投与する工程を含む、前記方法。
  58. 同時投与工程が、苦味化合物と混合されたT2R76阻害剤を含む組成物を投与する工程を含む、請求項57の方法。
  59. T2R76阻害剤が、タンパク質、ペプチド、抗体、核酸、および小分子からなる群より選択される調節剤をさらに含む、請求項57の方法。
  60. 苦味化合物が、食品、飲料、口腔洗浄液、歯磨剤、化粧品、または医薬品を含む、請求項57の方法。
  61. 被験体が哺乳動物である、請求項57の方法。
  62. 哺乳動物がヒトである、請求項61の方法。
  63. 化合物の苦味知覚を増進するための方法であって、T2R76アゴニストおよび該化合物を被験体に同時投与する工程を含む、前記方法。
  64. 同時投与工程が、化合物と混合されたT2R76アゴニストを含む組成物を投与する工程を含む、請求項63の方法。
  65. T2R76アゴニストが、タンパク質、ペプチド、抗体、核酸、および小分子からなる群より選択される調節剤をさらに含む、請求項63の方法。
  66. 被験体が哺乳動物である、請求項63の方法。
  67. 哺乳動物がヒトである、請求項66の方法。
  68. T2R76味受容体を調節する化合物を同定するためのアッセイであって:
    (i)PROPまたはブルシンに誘導される、請求項5、6または7の1つに記載の少なくとも1つのT2R76ポリペプチドの活性化に対する効果に関して、化合物をアッセイして;
    (ii)PROPまたはブルシンによるhT2R76ポリペプチドの活性化に対する効果に基づいて、前記化合物が前記受容体ポリペプチドを調節するかどうか決定する
    工程を含む、前記アッセイ。
  69. 前記hT2R76ポリペプチドが、配列番号2に含有されるポリペプチドに少なくとも90%同一である、請求項68のアッセイ。
  70. 前記T2R76ポリペプチドが、配列番号2に含有されるポリペプチドに少なくとも95%の配列同一性を所持する、請求項69のアッセイ。
  71. T2R76ポリペプチドが、配列番号2に含有されるポリペプチドに少なくとも96%の配列同一性を所持する、請求項69のアッセイ。
  72. T2R76ポリペプチドが、配列番号2に含有されるポリペプチドに少なくとも97%の配列同一性を所持する、請求項69のアッセイ。
  73. T2R76ポリペプチドが、配列番号2に含有されるポリペプチドに少なくとも98%の配列同一性を含む、請求項69のアッセイ。
  74. T2R76ポリペプチドが、配列番号2に含有されるポリペプチドに少なくとも99%の配列同一性を所持する、請求項69のアッセイ。
  75. T2R76ポリペプチドが、配列番号2に含有される配列を有する、請求項69のアッセイ。
  76. 前記T2R76ポリペプチドが、別のポリペプチドに融合されている、請求項75のアッセイ。
  77. 前記ポリペプチドが、ロドプシン・ポリペプチドである、請求項76のアッセイ。
  78. 前記ロドプシンが、ヒト、げっ歯類またはウシ・ロドプシンである、請求項77のアッセイ。
  79. 融合ポリペプチドが検出可能ポリペプチドである、請求項76のアッセイ。
  80. 前記ポリペプチドが緑色蛍光ポリペプチドである、請求項79のアッセイ。
  81. T2R76ポリペプチドが単離細胞膜上で発現される、請求項69のアッセイ。
  82. T2R76ポリペプチドが損なわれていない(intact)細胞によって発現される、請求項69のアッセイ。
  83. 前記細胞が真核細胞である、請求項82のアッセイ。
  84. 前記細胞が、哺乳類、両生類、昆虫または酵母細胞である、請求項83のアッセイ。
  85. 前記細胞が、HEK293、BHK、COS、HEK293T、CHOおよびゼノパス(Xenopus)細胞からなる群より選択される、請求項84のアッセイ。
  86. 蛍光定量アッセイである、請求項69のアッセイ。
  87. 結合アッセイである、請求項69のアッセイ。
  88. 細胞内イオン濃度に対する前記化合物の効果を検出する、請求項69のアッセイ。
  89. 前記イオンがナトリウムまたはカルシウムである、請求項88のアッセイ。
  90. 細胞膜電位に対する前記化合物の効果を検出する、請求項69のアッセイ。
  91. 前記T2R76ポリペプチドの転写に対する前記化合物の効果を検出する、請求項69のアッセイ。
  92. PROPまたはブルシンと前記T2R76ポリペプチドの相互作用を遮断する化合物を選択する、請求項69のアッセイ。
  93. cAMP、cGMPまたはIP3に対する前記化合物の効果を検出する、請求項69のアッセイ。
  94. カルシウムまたはナトリウム特異的蛍光色素を用いて、カルシウムの変化を検出する、請求項69のアッセイ。
  95. 前記色素が、Fluo−3、Fluo−4およびFura−2である、請求項94のアッセイ。
  96. 前記T2R76ポリペプチドが溶液中に含有される、請求項69のアッセイ。
  97. 前記T2R76ポリペプチドが固相支持体に付着している、請求項9のアッセイ。
  98. ハイスループット・スクリーニングアッセイである、請求項69のアッセイ。
  99. 構造的に多様な化合物のライブラリーをスクリーニングする、請求項98のアッセイ。
  100. 構造的に関連する化合物のライブラリーをスクリーニングする、請求項98のアッセイ。
  101. 前記受容体がHEK−293細胞によって発現される、請求項69のアッセイ。
  102. 前記細胞が、前記T2R76ポリペプチドと機能的に共役するGタンパク質を発現する、請求項69のアッセイ。
  103. 前記Gタンパク質が、トランスデューシン、ガストデューシン、Gアルファ15、Gアルファ16、またはそのキメラである、請求項102のアッセイ。
  104. 前記Gタンパク質がgust44Gアルファ16である、請求項103のアッセイ。
  105. 分光特性、流体力学特性または溶解度に対する前記化合物の効果を検出する、請求項69のアッセイ。
  106. 蛍光偏光アッセイである、請求項69のアッセイ。
  107. 前記T2R76ポリペプチドとGタンパク質の複合体化に対する前記化合物の効果を検出する、請求項69のアッセイ。
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