JP2009513092A - 超音波リニアモータ - Google Patents

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Abstract

2つの平行する平らな主要面、2つの端面及び2つの側面を有するプレート型超音波発振器2と、少なくとも1つのガイドレール10に係合されかつ2つの摩擦パーツを有する移動エレメント9とを備える超音波リニアモータであって、上記エレメントは上記摩擦パーツの側面を介して上記超音波発振器と摩擦的に相互作用する発明に関する。上記超音波発振器の2つの側面は平坦であり、かつ長手方向の対称面に対して、上記側面の平面と上記長手方向の対称面とが交差する線が上記超音波発振器の主要面に平行に延びるように同様の角度で傾斜される。移動エレメントの摩擦パーツは互いに弾性的に接続される。

Description

本発明は、安価な精密光学システムまたは類似の装置に使用可能な超音波リニアモータに関する。
超音波リニアモータは、小型プレートの形式の超音波発振器を備え、これに摩擦エレメントが取り付けられるものが知られている(例えば、EP1267425A参照)。これにより、押圧デバイスは、摩擦エレメントへ加えられる力が移動エレメントのリニアボールベアリングへ完全に伝達されるようにして構築される。従って、摩擦損失は増大し、このようなモータに安価なプレーンベアリングを使用することは不可能である。
さらには、移動エレメントが超音波発振器を包囲する超音波リニアモータも知られている(例えば、EP0601671A参照)。このようなモータでは、超音波モータは移動エレメントのガイドレールを形成する。これらのモータに、リニアボールベアリングは不要である。
これらのモータの欠点は、構成上、発振器の実現が複雑であり、よって製造が高価であることにある。モータは、安価な光学システムにおける使用が可能であるが、移動エレメントの位置合わせに関する限りは不正確であり、その所望される通りのサイズ縮小は不可能である。
本発明の目的は、構造が単純であって、さらに移動エレメントの位置合わせ精度の向上、モータのより単純な製造組立て技術、コスト低減並びにサイズ縮小を可能にする改良された超音波リニアモータを提供することにある。
この目的は、請求項1記載の特徴を備える超音波リニアモータによって達成される。本発明的考案の有益な優位点は、従属請求項において定義されている。
本発明は、2つの摩擦パーツを有しかつガイドレールと係合される移動エレメントを使用する組立てにおいて、それ自体既知であるプレート型の超音波発振器をこれらのガイド手段に対して適切な力の配列にする、という本質的考案を包含する。移動エレメントのプレートの形状及び構造に依存して、実装される発振器の表面に対する摩擦エレメントの接触押圧の一部を、モータの移動エレメントをそのガイドに押しつけるためにも使用することが可能である。
さらに本発明は、上述の摩擦パーツ間に弾性の接続部を設けて、超音波発振器の側面に作用する移動エレメントの適切な接触押圧を発生させるという考案を包含する。よってさらには、移動エレメントと上述のガイドレールとの間に作用する適切な接触押圧がもたらされる。最後に、本発明は、超音波発振器の側面を傾斜式に実装することにより、上述の接触押圧を予め決められた相互の関係性に至らせるという考案を包含する。
本発明は、小型超音波リニアモータの構造を実質的に単純化し、精密減摩ベアリング(耐磨耗性ベアリング)の使用を控えることを可能にする。移動エレメントの動作は精密に研磨されたガイドレールの表面に対して実現されることから、これにより、移動エレメントの位置合わせ精度が向上する。また、プレーンベアリングにおける摩擦損失は低減され、組立て技術は単純化され、製造コストは下がり、サイズも縮小される。従って、本モータを安価な精密光学システムに使用することが可能である。
本発明の一実施形態では、超音波発振器の接続電極は弾性の薄い導電ロッドを備え、その一方の端は対応する電極へ固定的に接続され、もう一方の端はガイドレールに関連して固着されることが規定されている。これにより、本発明による小型モータの構造可能性は拡大する。
別の実施形態では、ガイドレールはクランプ型式に実現され、超音波発振器の共通電極へ固定的に接続されることが規定されている。これにより、小型モータの構造は単純化される。
ある有益な実施形態では、超音波発振器の主要面は矩形であり、さらに別の実施形態では、側面も同じく矩形である。
ある有益な実施形態では、移動エレメントの摩擦パーツ間の弾性的接続は摩擦パーツを相互に弾性的に偏向させる(あるいは偏らせる)圧縮ばねによって実現される。この構成の一実施形態では、この圧縮ばねもクランプ型式であり、摩擦パーツはクランプ脚部の自由端に配置される。
本発明の優位点及び有益な効果は、好適な実施形態並びにその変更例に関する以下の説明から、及び図面による本発明の好適な態様からさらに明白となる。
提案している図1による超音波モータ1は、ホルダ3内に配置される超音波発振器2を備える。発振器2は、平行する矩形の側面(主要面)5と、端面6と、側面7及び8とを有するプレート4として実現されている。
モータ1は、少なくとも1つのガイドレール10と一致して動作する移動エレメント9を備える。移動エレメント9は、圧縮ばね13によって互いに接続される2つの摩擦パーツ11及び12で構成され、これらの摩擦パーツは圧縮ばね13によりプレート4の対応する側面7及び8に押しつけられる。
摩擦パーツ11及び12を保持するために、圧縮ばね13は特別な固定ポイント14及び15を含む。さらに、圧縮ばね13は、ガイドレール10の移動エレメント9が滑動するスライド溝16を備えることができる。
提案している本モータでは、プレート4の側面7及び8は、図2に示すプレート4の長手方向の対称面19に対して角度λで傾斜される平面17及び18として構成される。プレート4の平面17及び18と対称面19とが交差する線20は、主要縁5に対して平行に延びる。Lはプレート4の長さであり、dは端面の中心線の長さである。L/dの割合は、約2.34になるように選ばれる。
長手方向の対称面19は、主要面5に垂直に、面5の長手方向の二等分線21を通って延びる平面である。線21は、プレート4の長さに平行して延びる面5の二等分線を表す(図2)。
提案しているモータの超音波発振器2は、非対称音響定在波の2つの発生器22及び23を有する。
発振器2のプレート4は、完全に圧電セラミックで製造されてもよい。この場合、プレート4には、2つの励起電極24及び25と、1つの共通電極26とが装備されてもよい。これにより、発生器22及び23の各々は、対応する電極24または25、電極26の一部及び電極24及び25と電極26の一部との間の圧電セラミックで形成される。励起電圧の印加を可能にするために、電極24、25及び26は各々、電極を発振器の励起電源(図示せず)へ接続する弾性接続部を保有しなければならない。
発振器2の別の実施形態では、プレート4を、2つの多層音波発生器を有する多層コンポーネントとして実現することができる。
またプレート4は、受動共振器と、これに接続される圧電励起エレメント(図示せず)とで構成される組立式コンポーネントであってもよい。
側面7及び8の双方には、耐摩耗材料製の薄い耐摩耗層が付着されてもよい。
図3は、モータの略平面図であり、モータ1内の圧縮ばね13へ印加される力を示す。力Fは、固定ポイント14、15の方向から摩擦パーツ11及び12上へ作用するばね13のばね力を表す。これらの力は、プレート4の側面7、8へ伝達される。力Fは各々、表面7または8に対して垂直に、即ち平面17または18に対して垂直に作用する力の成分Fと、表面7または8に対して長さ方向に、即ち平面17または18に対して長さ方向に作用する力の成分Fとに分割されることが可能である。
力Fは、ガイドレール10に対して長さ方向に作用することから、ばね13によって、ばね13(移動エレメント9)のスライド溝16とガイドレール10との接点27へ伝達され、ここで1点に統合される。力Fは、2つの力Fが対称面19上で重畳される結果として得られる力を表す。この力はばね13上へ、即ち移動エレメント9の側面からガイドレール10の方向へ作用し、これにより、レール10内に反力Fが生成される。
図4は、提案しているモータの構造実施形態を示し、接続電極24、25、26は弾性ロッド28、29、30として実現されている。これらの接続部の一方の端は、対応する電極の表面に固定的に接続されている。もう一方の端は、ガイドレール10に対して固定される。この目的に沿って、これらは、これらを固定するボード31へ取り付けられてもよく、ボード31上へはガイドレール10も位置づけられる。同時に、ボード31は各々接続部または回路基板として機能してもよい。
提案しているモータでは、ガイドレール10は、ガイド部分33を有するクランプ32として実現されることが可能である。クランプ32は共通電極26へ固定的に接続され、共通電極6の固定接続部30の一部であってもよい(図5)。固定接続部28、29、30は、矩形または丸い断面を有する薄い鋼線またはベリリウム青銅から製造されてもよい。これらは、発振器2の対応する電極表面へ、はんだ付けまたは導電性の接着剤によって固定される。
提案しているモータの変更例の各々においては、例えば光学レンズ、対物フィルタまたは光学フィルタ(これらのエレメントは図1、2、3、4には示されていない)である移動されるべき光学システムのパーツが移動エレメント9へ固定される。この目的に添って、ばね13は開口34を有してもよい(図1、4、5)。上記移動パーツは、他の任意の方法で固定されることが可能である。
図6は、小型カメラのフォーカスブロック35を示す。ブロック35は、ベースプレート36と、光軸39を有するレンズ群38のホルダ37と、発振器2のサポート40と、蓋41と、固定用ばね42とを有するハウジング3で構成される。
力Fにより、圧縮ばね13は、その固定ポイント14及び15で摩擦パーツ11及び12を発振器2のプレート4の側面7及び8に押しつける(図1)。力Fはばね13の弾性によって限定され、小型モータの必要な引張り応力Fによって予め決められる。
側面7及び8の平面17及び18は長手方向の対称面に対して角度λ(図2)で傾斜されることから、表面7及び8にかかる力F(図3)は各々、摩擦パーツを表面7及び8に押しつける力Fと、表面7及び8の長さ方向(平面17及び18の長さ方向)に作用する力Fとに分割される。
=F * cosλ
=F * sinλ
この力の割合は、
/F=T * λ
である。
力Fは、表面7及び8に作用する摩擦パーツ11及び12の必要な接触押圧によって決定され、下記のように、モータの最大引張り応力Fmaxと、摩擦ペアの摩擦係数Kとを基礎として計算される。
=Fmax/K
力Fは、下記の公式に従って決定される。
=Fmax/K * cosλ
力Fは、ばね13によってガイドレール10へ伝達され、ポイント17(図3)に作用する。この力は、毎回、対称面19に対して角度λで作用する。結果として生じる力F、即ち、移動エレメント9をガイドレール10に押しつける2つの活性力Fの結果である力は、
=2Fcosλ=2F * sinλ * cosλ
である。
音響振動発生器22または23は、共通電極26に関連して電極24または25へ励起電圧を印加することにより起動される。これにより、モータの発振器2内に非対称の音響定在波が形成され、その結果、移動エレメント9は励起された発生器の方向へ、即ち、図1、4、5、6における矢印が示す方向へ移動する。励起電圧を一方の発生器(例えば、参照符号22)からもう一方の発生器(例えば、参照符号23)へ切換すると、エレメント9の動作方向は反転する。
励起された発振器2では、摩擦エレメント11及び12をプレート4の側面7及び8へ押しつける力Fによって定義される最大引張り力Fmaxが生成される。これらの力は、ばね13が角度λで作用する力Fによって決定される。
このモータ構造の本質的特徴は、移動エレメント9をガイドレール10に押しつけるために、圧縮ばね13により発生される力Fの一部(成分F)しか使用されないことにある。この力の部分は、角度λを、エレメント9をガイドレール10に押しつけるために必要な最小限の力Fしか印加されない程度にまで変えることによって変更されることが可能である。これにより、移動エレメント9とガイドレール10との間の摩擦損失を最小値にまで低減することができる。
力Fは、モータがガイドレール10とホルダ3(図1)との間で圧縮されるという効果を有する。従って、エレメント9とガイドレール10との間の隙間はなくなり、よって、外部の影響に対して安定性のあるロバスト長手方向構造が形成される。
移動エレメント9は、スライド溝16(図1)が滑動する、精密に研磨されたロッドとして製造されるガイドレール10の表面の輪郭に相対して移動する。
図4に示すモータの変更例では、固定接続部28、29、30及びガイドレール10はボード31へ取り付けられる。これにより、提案している小型モータの構造上の可能性は拡大する。従って、このようなモータは、回路基板上の電子コンポーネントとしてマウントされることが可能である。
図5に示すモータの変更例では、移動エレメント9のスライド溝は、発振器2の表面に固定されるクランプ32のガイド部分33内を滑動する。これにより、モータは大幅に単純化され、摩擦接触中の摩擦損失は低減される。
図6は、小型カメラのフォーカスブロック35における本提案によるモータの使用例を示す。
この場合、発振器2は圧縮ばね13の力の成分によってサポート40へ押しつけられ、ばね42によって垂直方向へ固定される。本ブロックは、レンズ群38のホルダ37上に配置されるスライド溝16が押しつけられる2つのガイドレール10で構成される。フォーカスブロック35のこの構造は、レンズ群38がその光軸39に対して平行に、ガイドレール10の位置合わせ精度により定義される精度で変位することを可能にする。
提案しているモータの一実施形態における構造を示す。 図1のモータの超音波発振器を示す。 モータ内に生じる力を示す略図である。 ロッド形の接続電極を有するモータを示す。 クランプ型のガイドレールを有するモータを示す。 フォーカスブロックを示す。
符号の説明
1 モータ
2 超音波発振器
3 ホルダ
4 発振器プレート2
5 プレート4の主要面
6 プレート4の端面
7,8 プレート4の側面
9 移動エレメント
10 ガイドレール
11,12 移動エレメント9の摩擦パーツ
13 圧縮ばね
14,15 摩擦パーツ11、12を保持する固定ポイント
16 スライド溝
17,18 側面7、8の平面
19 プレート4の長手方向の対称面
20 平面17、18、19の交差する線
21 面5の長手方向の対称面
22,23 非対称定在波発生器
24,25 励起電極
26 共通電極
27 移動エレメント9とガイドレール10との接点
28,29,30 固定的な接続部
31 ボード
32 接続部30におけるクランプとしての一部
33 クランプ32のガイド部分
34 固定用開口
35 カメラのフォーカスブロック
36 ブロック35のベースプレート
37 レンズ群38のホルダ
38 レンズ群
39 レンズ群38の光軸
40 発振器2のサポート
41 蓋
42 固定用ばね

Claims (6)

  1. 2つの平行する平らな主要面、2つの端面及び2つの側面を有するプレート型超音波発振器と、少なくとも1つのガイドレールに係合されかつ2つの摩擦パーツを有する移動エレメントとを備える超音波リニアモータであって、上記エレメントは上記摩擦パーツの側面を介して上記超音波発振器と摩擦的に相互作用し、
    上記超音波発振器の2つの側面は平坦であり、かつ長手方向の対称面に対して、上記側面の平面と上記長手方向の対称面とが交差する線が上記超音波発振器の主要面に平行に延びるように同様の角度で傾斜されることと、上記移動エレメントの摩擦パーツは互いに弾性的に接続されること、を特徴とし、上記移動エレメントの摩擦パーツは上記超音波発振器の対応する側面を第1の接触押圧で押しつけ、上記移動エレメントは上記ガイドレールを第2の接触押圧で押しつけ、上記第1の接触押圧と上記第2の接触押圧との割合は、上記超音波発振器の長手方向の対称面に対する上記側面の傾斜角によって決定される超音波リニアモータ。
  2. 上記超音波発振器の接続電極は弾性の薄い導電ロッドを備え、その一方の端は対応する電極へ固定的に接続され、もう一方の端は上記ガイドレールに対して固着されることを特徴とする、請求項1記載の超音波リニアモータ。
  3. 上記ガイドレールはクランプ型式で実現され、上記超音波発振器の共通電極へ固定的に接続されることを特徴とする、請求項2記載の超音波リニアモータ。
  4. 上記移動エレメントの摩擦パーツは圧縮ばねエレメントによって互いに接続され、かつ弾性的に相互に偏向されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の超音波リニアモータ。
  5. 上記圧縮ばねエレメントはクランプ型式で実現され、上記摩擦パーツは上記クランプの脚部の自由端に配置されることを特徴とする、請求項4記載の超音波リニアモータ。
  6. 上記超音波発振器の主要面及び/または側面は矩形であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の超音波リニアモータ。
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