JP2024073995A - 振動型アクチュエータと、振動型アクチュエータの製造方法 - Google Patents

振動型アクチュエータと、振動型アクチュエータの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は薄型化のために振動体の突起高さを小さくした場合であっても歩留まりよく製造可能な振動型アクチュエータを提供する。【解決手段】 本発明の振動型アクチュエータは、矩形状の弾性体と電気機械エネルギー変換素子を備えた振動体と、弾性体に接触する接触体と、を備え、振動体の振動により接触体と振動体とが相対的に移動する振動型アクチュエータであって、矩形状の弾性体の2つの長辺のそれぞれに設けられ、長手方向と交差する方向に突出する少なくとも一組の第1の延出部と、矩形状の弾性体の2つの短辺のそれぞれに設けられ、短手方向と交差する方向に突出する少なくとも一組の第2の延出部と、を備えたことを特徴とする。【選択図】 図11

Description

本発明は、振動体に接触体を加圧接触させ摩擦駆動するいわゆる振動型アクチュエータに関するものである。
振動型アクチュエータは、弾性体と弾性体に接着された圧電素子等の電気-機械エネルギー変換素子とから構成された振動体と、振動体に加圧接触する接触体を有する。振動型アクチュエータは、振動体に励起された振動の駆動力によって生じる摩擦を利用して接触体を相対移動させる振動波モータとして利用されている。振動型アクチュエータとして例えばリニア駆動を行うリニアタイプの振動型アクチュエータがある。
リニア型タイプの振動型アクチュエータは、例えば矩形の振動体の表面に突起が設けられており、接触体と突起とを加圧接触させ、電気-機械エネルギー変換素子に所定の交流電圧を印可することによって駆動する。表面の突起の先端に楕円運動もしくは円運動を生じさせることで接触体と振動体とが相対的に移動する。接触体が突起から摩擦駆動力を受けることで前述の突起先端に生じた楕円運動もしくは円運動により振動体と接触体を相対的に移動させることができる。
ここで、このような振動型アクチュエータにおいて突起の先端に楕円運動もしくは円運動を生じさせる方法について説明する。
図19は振動体の二つの屈曲振動モードを表した図であり、振動体は弾性体504と突起部506とで構成され、電気-機械エネルギー変換素子である圧電素子505が接着されている。
図19(a)における振動モードは、二つの屈曲振動モードのうち一方の屈曲振動モード(Aモードとする)を表している。このAモードは、矩形の振動体501の長辺方向(矢印X方向)における二次の屈曲運動であり、短辺方向(矢印Y方向)と平行な3本の節線を有している。
ここで、突起部506はAモードの振動で節となる位置の近傍に配置されており、Aモードの振動により矢印X方向で往復運動を行う。
また、図19(b)に示す振動モードは二つの屈曲振動モードの内他方の屈曲振動モード(Bモードと呼ぶ)を表している。このBモードは、矩形の振動体501の短辺方向(矢印Y方向)における一次の屈曲振動であり、長辺方向(矢印X方向)と平行な2本の節線を有している。
ここで、Aモードにおける節線とBモードにおける節線は、XY平面内において略直交するように形成されている。
また、突起部506はBモードの振動で腹となる位置の近傍に配置されており、Bモードの振動により矢印Z方向に往復運動を行う。
上述したAモードとBモードの振動を所定の位相差で発生させることにより、突起部506の先端に楕円運動を発生させ、図19(a)の矢印X方向の駆動力を与えることができる。圧電素子505には不図示のフレキシブルプリント基板が接着されており、フレキシブルプリント基板から圧電素子505に交流電圧を印加することで二つの屈曲振動モードを発生させることができる。
以上説明したように、本件の振動型アクチュエータは、楕円運動を起こすためにAモードとBモードとを組み合わせている。このとき、Aモードを励振するときの固有振動数fとBモードを励振するときの固有振動数fとの差Δf(Δf=f-f)を所定の範囲に収めることが安定した駆動のために重要であるが、加工誤差等の影響でΔfが所定の範囲から外れてしまう虞がある。また、Δfの個体差が大きいと振動型アクチュエータの駆動方法によっては駆動方法を個々の振動型アクチュエータに合わせないと性能が発揮できず、同一の駆動方法で駆動させたい場合に影響が出る虞がある。
各モードの固有振動数を調整する手段として例えば特開2019-187093公報では突起部の一部を加工することにより固有振動数に起因するΔfのばらつきを所定の範囲に収める方法が記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載された方法では突起自体に加工を施すため、突起にある程度の高さが必要であり、振動型アクチュエータを小型化するために振動体の突起高さを小さくしていくとΔfを調整するための加工が困難になる。
特開2019-187093
本発明は薄型化のために振動体の突起高さを小さくした場合であっても歩留まりよく製造可能な振動型アクチュエータを提供するものである。
本発明の振動型アクチュエータは、矩形状の弾性体と電気機械エネルギー変換素子を備えた振動体と、
前記弾性体に接触する接触体と、を備え、
前記振動体の振動により前記接触体と前記振動体とが相対的に移動する振動型アクチュエータであって、
前記矩形状の弾性体の2つの長辺のそれぞれに設けられ、長手方向と交差する方向に突出する少なくとも一組の第1の延出部と、
前記矩形状の弾性体の2つの短辺のそれぞれに設けられ、短手方向と交差する方向に突出する少なくとも一組の第2の延出部と、を備えている。
振動体の加圧方向と垂直な平面内に延伸した延出部を加工し延出長さを変えることにより振動型アクチュエータの固有振動数やΔfを調整することが可能となる。
図1は、本発明の実施例1における振動型アクチュエータを分解した構成を示す斜視図である。 図2は、本発明の実施例1における振動型アクチュエータの構成を示す斜視図である。 図3は、本発明の実施例1における振動体である。 図4は、本発明の実施例1における振動体を保持する方法を説明する図である。 図5は、本発明の実施例1における振動体の2つの固有振動モードをFEM解析したときの変形を示す図である。 図6は、本発明の実施例1における振動体の延出部の長さと固有振動数およびΔfとの関係の一例を示す図である。 図7は、本発明の実施例1における延出部の加工フローの一例を説明する図である。 図8は、本発明の実施例1と類似の振動型アクチュエータの構成を示す斜視図である。 図9は、本発明の第1の実施例と類似の振動体の延出部の長さと固有振動数およびΔfとの関係の一例を示す図である。 図10は、本発明の実施例2における振動体の保持方法を説明する図である。 図11は、本発明の実施例2における振動体の構成を説明する図である。 図12は、本発明の実施例2における振動体のその他の保持方法を説明する図である。 図13は、本発明の実施例2における振動体のその他の構成を説明する図である。 図14は、本発明の実施例2における振動体の延出部の長さと固有振動数およびΔfとの関係の一例を示す図である。 図15は、本発明の実施例2における延出部の加工フローの一例を説明する図である。 図16は、本発明の実施例1ないし2における振動型アクチュエータを複数用いた構成を説明する図である。 図17は、本発明の実施例1ないし2における振動型アクチュエータを光学機器に搭載する例である。 図18は、本発明の実施例1ないし2における振動型アクチュエータをマニピュレータに搭載する例である。 図19は、本発明における振動体の駆動原理を説明する図である。
本発明にかかる振動型アクチュエータの一例は、矩形状の弾性体と電気機械エネルギー変換素子を備えた振動体と、前記弾性体に接触する接触体と、を備え、前記振動体の振動により前記接触体と前記振動体とが相対的に移動する振動型アクチュエータである。さらには前記矩形状の弾性体の2つの長辺のそれぞれに設けられ、長手方向と交差する方向に突出する少なくとも一組の第1の延出部と、加えて、前記矩形状の弾性体の2つの短辺のそれぞれに設けられ、短手方向と交差する方向に突出する少なくとも一組の第2の延出部と、を備えるものである。
以下図面を用いて詳細に説明する。
また、以下で説明する「接触体」とは、振動体と接触し、振動体に発生した振動によって、振動体に対して相対移動する部材のことをいう。接触体と振動体の接触は、接触体と振動体の間に他の部材が介在しない直接接触に限られない。接触体と振動体の接触は、振動体に発生した振動によって、接触体が振動体に対して相対移動するならば、接触体と振動体の間に他の部材が介在する間接接触であってもよい。「他の部材」は、接触体及び振動体とは独立した部材(例えば焼結体よりなる高摩擦材)に限られない。「他の部材」は、接触体又は振動体に、メッキや窒化処理などによって形成された表面処理部分であってもよい。
図1に本発明の第1の実施例における振動型アクチュエータ1の分解斜視図を示す。また、図2は組み立てた状態の斜視図である。説明の便宜上、図1に示すように互いに直交するX軸、Y軸、Z軸を定義する。後述するように、X方向は接触体の長手方向と平行な方向である。Z方向は接触体における振動体との摩擦摺動面と直交する方向である。Y方向はX方向及びZ方向と直交する方向である。
複数の突起31が設けられた矩形状の弾性体3と、電気機械エネルギー変換素子である圧電素子4がXY平面上に広がる矩形状の弾性体3が備えるZ軸方向に延出する突起31が設けられた面と対向する面に接着剤などで固定され、振動体2を構成している。さらに、圧電素子4には、弾性体3と対面する側と反対側に給電のためのフレキシブルプリント基板5が固定されている。フレキシブルプリント基板5の固定はZ方向のみへ通電を可能にする異方性導電ペーストや異方性導電フィルムで行うことが好適である。
弾性体3は振動の減衰が小さい材料が好ましく、例えばステンレス鋼やセラミック等を用いる。また本実施例の振動型アクチュエータをMRI装置など強磁場環境下でも駆動させるため、弾性体を非磁性材料から構成することができる。非磁性材料とは磁場環境下において、振動型アクチュエータが吸着されることで駆動特性が阻害されないよう、磁場に対する吸着力が小さくなる素材である。具体的な非磁性材料として、オーステナイト系ステンレス鋼、真鍮、リン青銅、アルミニウム合金、セラミックスが挙げられる。
弾性体3の製造に関してはプレス成型や切削などで突起31を一体で設けてもよいし、突起31を別体で製造し、後から弾性体3に溶接や接着等で固定することも可能である。
圧電素子4は、圧電材料として例えばチタン酸ジルコン酸鉛を用いる。また、チタン酸バリウム等の鉛を含有しない圧電材料を主成分としたものでもよい。鉛を含有しないとは、鉛の含有量が1000ppm以下であることを指す。圧電素子4は圧電材料と電極から構成されており、例えば板状の圧電材料の両面には不図示の電極パターンが形成されており、フレキシブルプリント基板5からの給電が行われる。
振動体2は振動体保持台6(振動体保持部)に接着や溶接等の手段により保持されている。さらに、振動体2は振動減衰部材8と加圧伝達部材9とを備えた加圧部材7を介して、付勢部材10によりZ方向への加圧力が振動体2に与えられた状態となっている。振動減衰部材8としてはフェルト等を用いることができる。これにより、振動体2は所定の加圧力で接触体13に接した状態となる。このとき、加圧部材7は振動体保持台6に設けられた貫通部を通して振動体2のみに接触しているため、付勢部材10で生じる加圧力は振動体保持台6には伝わらないように構成することができる。
接触体13は接触体保持部材12で保持された状態となっており移動体14を構成している。移動体14とボールレール16-1、16-2とで転動球15-1、15-2、15-3を挟み込んでいる。これにより、接触体保持部材12及びボールレール16-1、16-2に設けられたX軸方向に延伸した溝を転動球15-1、15-2、15-3が転がるため、接触体13は移動体14の一部として振動体2に対してX方向に滑らかに移動可能となっている。
ここで、本発明の振動体2の詳細な構成について説明する。
図3は本発明の実施例1における振動体2をZ軸方向で正の位置から負の位置へ向けて見込む図であり、弾性体3が主に描かれている。弾性体3はXY平面内においてX方向に延伸する4本の第2の延出部3-5、3-6、3-7、3-8及びY方向に延伸する4本の第1の延出部3-1、3-2、3-3、3-4が設けられている。さらに、X方向に延伸する第2の延出部3-5、3-6の先端には保持部3-9が、第2の延出部3-7、3-8の先端には保持部3-10が設けられている。図4に示すように保持部3-10には穴部3-11が設けられており、振動体保持台6に設けられた突起部6-1と嵌合することで振動体2を保持している。すなわち、第2の延出部3-5、3-6、3-7、3-8は振動体2を保持する機能を有している。このように弾性体3はXY平面にて、X軸方向に長く、Y方向に短い、概ね矩形状である。
図5は、振動体2に発生させた互いに異なるAモードとBモードのそれぞれの振動モードによる変形をFEM(有限要素法)解析した結果を示す図であり、Z方向の負の位置から正の位置を見込む、すなわち振動体2を圧電素子4側から見た図となっている。黒色部はZ方向変位の小さい箇所、いわゆる屈曲振動の節部を表している。黒色部は振動の節線を含むZ方向変位の小さい箇所である。
図5に示すように、第1の延出部3-1、3-2、3-3、3-4はAモードの節部付近に、第2の延出部3-5、3-6、3-7、3-8はBモードの節部の近傍に設けられている。このように、第1の延出部は、弾性体3のそれぞれの長辺の両端部に一組ずつ設けられているとよく、また矩形状の弾性体に対して中心対称に設けられていてもよい。また第1の延出部の突出方向における長さは実質的に同一であるように構成することができる。
つまり、振動体に互いに異なる第一の曲げ振動モードおよび第二の曲げ振動モードをそれぞれ励振させる際の、第一の曲げ振動モードにおける振動の節部の近傍に第1の延出部が設けられており、第二の曲げ振動モードにおける振動の節部の近傍に第2の延出部が設けられている。節部の近傍とは、節線が伸びる方向に延在する領域でZ軸方向変位が小さい黒色で示した位置を指す。
弾性体3に設けた第1の延出部3-1、3-2、3-3、3-4の効果について説明する。図6は第1の延出部3-1、3-2、3-3、3-4のそれぞれの長さと振動体2の各モードの固有振動数の関係を示すグラフであり、横軸は延出部の長さを示しており右に行くほどそれぞれの延出部が長いことを示している。また、縦軸はAモード、Bモードの固有振動数f、f及びΔf(=f-f)の値を表しており上に行くほど値が大きい。図6に示すように、第1の延出部3-1、3-2、3-3、3-4の長さを短くしたとき、Bモードの固有振動数fは高くなるが、Aモードの固有振動数fはほとんど変化しない。これは、第1の延出部3-1,3-2、3-3、3-4がAモードの節部付近に設けられているため、Aモードの固有振動数への影響を抑えることができるからである。これにより、Δfは延出部の長さを短くすると小さくなる。
以上説明したように、XY平面内においてY方向に延伸する弾性体3の第1の延出部の長さを変えることでBモードの固有振動数のみを変化させ、それに伴いΔfを調整することが可能となる。これにより、後述するように振動体2においてΔfの値が想定の範囲から外れた場合に簡単にΔfを最適な値に調整することが可能となる。また、Y方向に延伸する第1の延出部はAモードの節部付近であればどこに設けられていてもよく、本実施例では対向する辺に2箇所ずつ設けているが1箇所ずつでもよいし、また3箇所ずつ設けてもよい。なお、本実施例では研削加工やレーザ加工などにより第1の延出部の長さを短くする場合はΔfの値は小さくすることしかできないため、あらかじめΔfは大きめにしておく必要がある。
ここで、第1の延出部3-1、3-2、3-3、3-4の長さを調整するときのフローを図7に示す。図中、Δfの所定の範囲をf1~f2としている。同一の製造ロット内でも加工誤差が大きい場合は、全数にΔf調整のための加工が必要であるが、ロット内ばらつきが小さい場合は、ロットが変わったときのみ加工量を変更してもよい。すなわち、同一ロット内では延出長さが等しくなるようにしておけばΔfは所定の範囲内(f1≦Δf≦f2)に揃うと考えられるため同一ロット内の各振動体を個別に加工する必要はない。なお、ロットを変更したときにΔfに差が生じない場合は延出部の加工量を変更する必要はない。以上のように振動体を製造した後に、延出部に加工を施すことによりΔfの揃った振動型アクチュエータ1を提供する事ができる。
本実施例においては第2の延出部3-5、3-6,3-7、3-8は弾性体3と一体的に形成されているが、別部材で構成し、接着や溶接などの手段で弾性体3に第2の延出部3-5、3-6、3-7、3-8を取り付けてもよい。
また、弾性体3は図8に示すようにX軸方向に延伸した第2の延出部に保持部を設けた弾性体17のような形状としてもよい。このとき、図9のグラフに示すように、X軸方向に延伸した第2の延出部17-1、17-2、17-3、17-4の長さを短くすると、Aモードの固有振動数fは高くなるが、Bモードの固有振動数fはほとんど変化しない。これは、第2の延出部17-1、17-2、17-3、17-4はBモードの節部付近に設けられているため、Bモードの固有振動数fへの影響を抑えることができるからである。これにより、Δf(=f-f)は第2の延出部17-1、17-2、17-3、17-4の長さを短くすると大きくなる。
なお、本実施例で研削加工やレーザ加工などにより第2の延出部の長さを短くする場合は、Δfの値は大きくすることしかできないため、あらかじめΔfは小さめにしておく必要がある。
本実施例の振動型アクチュエータ1は、例えば図17に示すようにカメラ本体61に対して着脱可能であるレンズ鏡筒62の内部に配置し、ズーム用レンズ(あるいはフォーカス調整用レンズ)64の駆動源として用いることが可能である。あるいは、図18に示すようにマニピュレータ70において、支持部71に対して伸縮可能であるハンド72の駆動源として振動型アクチュエータ1を用いることができる。
図10(a)は本発明の第2の実施例における振動型アクチュエータに搭載の振動体20と加圧部材21の展開斜視図を、図10(b)は本発明の第2の実施例における振動型アクチュエータの振動体20と加圧部材21とを組み合わせた図を示す。以下、振動体20と加圧部材21との組み合わせを振動体ユニット30とする。本発明の第2の実施例における振動型アクチュエータとは、例えば第1の実施例と振動体周りの構成を変更したものである。
図10(a)において、弾性体19と加圧部材21との間には振動減衰部材8が設けられており、振動体20で発生した振動が加圧部材21に伝達されないようになっている。また、加圧部材21は不図示の付勢部材から加圧力をうけ、振動減衰部材8を介して加圧力を振動体20に伝達するようになっている。
弾性体19の表面には加圧方向であるZ軸方向に突起19-9、19-10が設けられており、突起19-9、19-10が設けられた面と対抗する面に圧電素子4が接着剤などで固定されている。圧電素子4の弾性体19との接着面の反対側の面にはフレキシブルプリント基板5が固定されており、接着方法は第1の実施例と同様である。圧電素子4の電極パターンや材質についても第1の実施例と同様である。
弾性体19はプレスや切削加工等により一体成型されており、突起19-9、19-10の頂点には摩擦材22-1、22-2が接着や溶接等の手段により固定されている。摩擦材22-1、22-2は耐摩耗性の高い材料で構成されている。このような構成とすることで、弾性体19の材料として耐摩耗性が低い材料、例えばアルミニウム合金や銅系の合金、樹脂などを用いることが可能となる。
このような構成としても耐摩耗性に優れた摩擦材22-1、22-2が接触体と接する構成となるため振動型アクチュエータの耐久性を高めることが可能となる。もちろん、弾性体19は第1の実施例のように振動の減衰が小さく耐摩耗性が高いステンレス鋼やセラミック等を用いて、摩擦材と一体としてもよい。
ここで、本発明における振動体ユニット30の構成について説明する。
図11は振動体ユニット30を加圧方向(Z軸方向)から見た図である。本実施例においては弾性体19を保持するための部材は設けていない。そのかわりに弾性体19のX軸方向に延伸した第2の延出部19-5、19-6、19-7、19-8に加圧部材21に設けた位置決め突起21-1、21-2、21-3、21-4が係合する。このように構成することで振動体20が加圧部材21に対してX方向およびY方向に相対的に移動することを防いでいる。
図11に示した振動体ユニット30においてY軸方向に延伸する第1の延出部19-1、19-2、19-3、19-4を除去加工し延出長さを変化させたとする。その結果、図6のグラフで示したことと同様に、Aモードの固有振動数fを変化させずにBモードの固有振動数fのみ高くし、Δfを小さくすることが可能となる。
また、X軸方向に延伸する第2の延出部19-5、19-6,19-7、19-8を除去加工し延出長さを変化させたときは図9のグラフと同様にBモードの固有振動数fを変化させずにAモードの固有振動数fのみ高くし、Δfを大きくすることが可能となる。
なお、X方向に延伸する第2の延出部19-5、19-6、19-7、19-8の長さを短くすると加圧部材21に設けられた位置決め突起21-1、21-2、21-3、21-4に勘合しづらくなるため、図12に示す加圧部材23を用いると良い。このとき、図13に示すように加圧部材23に設けられた位置決め突起23-1、23-2、23-3、23-4に弾性体19からY方向に延伸した第1の延出部19-1、19-2、19-3、19-4が係合する。その結果、弾性体19が加圧部材23に対して位置決めして保持された状態となる。
図11あるいは図13に示したように、振動体と接触体とは加圧部材による加圧により接触しており、加圧部材は振動減衰部材を介して振動体と接している。そして、加圧部材の複数の突起と、第1の延出部と第2の延出部のうちの一方と係合することにより前記振動体を支持するように振動型アクチュエータを構成することができる。
本実施例においては第1の実施例と異なり、弾性体19から延伸した延出部の先端に振動板保持のための保持部が設けられていない。そのため、Y方向に延伸した第1の延出部19-1、19-2、19-3、19-4及びX方向に延伸した第2の延出部19-5、19-6、19-7、19-8の長さを同時にそれぞれ変化させることも可能である。もちろん、第1の延出部と第2の延出部のどちらか一方を除去加工することによってΔfを大小どちらにも調整することができる。
図14では各延出部の長さを等しく変化させたときのAモード及びBモードの固有振動数とΔfの変化を表している。各延出部を除去加工して長さを短くしたとき、AモードとBモードの固有振動数f、fはほぼ同量ずつ高くなるが、Δf(=f-f)の変化は少ない。以上説明したようにY軸方向に延伸した第1の延出部19-1、19-2、19-3、19-4及びX軸方向に延伸した第2の延出部19-5、19-6、19-7、19-8の長さを同時に変化させることで、振動体20の固有振動数を揃えることができる。その結果、Δfも所定の範囲に調整することが可能となり、複数の振動体を1つの駆動回路で駆動するときに固有振動数の選別といった工程を減らす、あるいは無くすことが可能になる。なお、本実施例では第1の延出部と第2の延出部の長さを同量ずつ変化させた場合を説明しているが、変化量はそれぞれ別としてもよい。
ここで、Δfおよび固有振動数を揃えるときのフローを図15に示す。図中、Δfの所定の範囲をf1~f2とし、Aモードの固有振動数fの範囲をf3~f4としている。まず、f1≦Δf≦f2でない場合は、Y軸方向に延伸した第1の延出部19-1、19-2、19-3、19-4、あるいはX軸方向に延伸した第2の延出部19-5、19-6、19-7、19-8のどちらか一方を除去加工しΔfを所定の範囲に収める。その後Δfを変えずにf3≦f≦f4となるようにY軸方向に延伸した第1の延出部19-1、19-2、19-3、19-4及びX軸方向に延伸した第2の延出部19-5、19-6、19-7、19-8を除去加工する。以上のように振動体を製造した後に、延出部に除去加工を施すことによりΔfおよび固有振動数のそろった振動型アクチュエータ1を提供することができる。
図16は振動体ユニット30を複数用いて円環状の接触体80を駆動する構成の概念図である。接触体80は中空であり、例えば内部にレンズを保持し、接触体80の回転を直動に変換することでレンズが移動するオートフォーカスやズーム動作の駆動源として利用することができる。また、接触体80にカメラを設けてパン動作を行う時の駆動源とすることもできる。
複数の振動体ユニット30は不図示の加圧手段により、接触体80と加圧接触した状態となっている。加圧手段は第1の実施例に示したようなコイルバネの他、板バネや引っ張りバネ等を用いることができる。また、磁気による加圧としてもよい。以上のように複数の振動体ユニット30を用いる場合は各振動体ユニットの固有振動数帯域に差がある場合、ユニット毎に速度差が生じてしまい耐久性や制御性に影響が出る虞がある。しかし、本発明の第2の実施例においては第1の延出部19-1、19-2、19-3、19-4及び第2の延出部19-5、19-6、19-7、19-8の長さを調整することで各振動体ユニット30の駆動周波数帯域を揃えることが可能となる。すなわち、振動体ユニット30の個体差を低減させることで良好な特性を発揮することができる。
上記の振動型アクチュエータは、光学機器、マニピュレータなどに好適に利用できる。
1 振動型アクチュエータ
2、20、501 振動体
3、17、19、504 弾性体
19-9、19-10、31、506 突起部
3-1、3-2、3-3、3-4、19-1、19-2、19-3、19-4 台の延出部
3-5、3-6、3-7、3-8、3-9、17-1、17-2、17-3、17-4、19-5、19-6、19-7、19-8 第2の延出部
4、505 圧電素子
5 フレキシブルプリント基板
6、18 振動体保持台
7、21、23 加圧部材
8 振動減衰部材
9 加圧伝達部材
10 付勢部材
12 接触体保持部材
13、80 接触体
14 移動体
15-1、15-2、15-3 転動球
16-1、16-2 ボールレール
21-1、21-2、21-3、21-4、23-1、23-2、23-3、23-4 位置決め突起
22-1、22-2 摩擦材
61 カメラ本体
62 レンズ鏡筒
64 ズーム用レンズ
70 マニピュレータ
71 支持部
72 ハンド

Claims (14)

  1. 矩形状の弾性体と電気機械エネルギー変換素子を備えた振動体と、
    前記弾性体に接触する接触体と、を備え、
    前記振動体の振動により前記接触体と前記振動体とが相対的に移動する振動型アクチュエータであって、
    前記矩形状の弾性体の2つの長辺のそれぞれに設けられ、長手方向と交差する方向に突出する少なくとも一組の第1の延出部と、
    前記矩形状の弾性体の2つの短辺のそれぞれに設けられ、短手方向と交差する方向に突出する少なくとも一組の第2の延出部と、を備えた振動型アクチュエータ。
  2. 前記第1の延出部はそれぞれの前記長辺の両端部に一組ずつ設けられている請求項1に記載の振動型アクチュエータ。
  3. 前記第1の延出部は前記矩形状の弾性体に対して中心対称に設けられている請求項2に記載の振動型アクチュエータ。
  4. 前記第1の延出部の突出方向における長さは実質に同一である請求項1または請求項3に記載の振動型アクチュエータ。
  5. 前記振動体に互いに異なる第1の曲げ振動モードおよび第2の曲げ振動モードをそれぞれ励振させる際の、
    前記第1の曲げ振動モードにおける振動の節部の近傍に第1の延出部が設けられており、
    前記第2の曲げ振動モードにおける振動の節部の近傍に第2の延出部が設けられている、
    請求項1または請求項4に記載の振動型アクチュエータ。
  6. 前記第1の延出部と前記第2の延出部のうちの一方が前記振動体を所定の位置に支持することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の振動型アクチュエータ。
  7. 前記振動体と前記接触体とは加圧部材による加圧により接触しており、前記加圧部材は振動減衰部材を介して前記振動体と接し、前記加圧部材の複数の突起と、前記第1の延出部と前記第2の延出部のうちの一方と係合することにより前記振動体を支持していることを特徴とする請求項6に記載の振動型アクチュエータ。
  8. 前記第1の延出部と前記第2の延出部のうちの一方が振動体保持部に保持されていることを特徴とする請求項6に記載の振動型アクチュエータ。
  9. 前記弾性体は、非磁性材料からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の振動型アクチュエータ。
  10. 前記非磁性材料はオーステナイト系ステンレス鋼、真鍮、リン青銅、アルミニウム合金、セラミックスから少なくとも1つ選ばれる素材を含む請求項9に記載の振動型アクチュエータ。
  11. 前記第2の延出部が非磁性材料で構成されている請求項9または10に記載の振動型アクチュエータ。
  12. 前記接触体は、非磁性材料からなることを特徴とする請求項9または10に記載の振動型アクチュエータ。
  13. 矩形状の弾性体と電気-機械エネルギー変換素子とを備えた振動体と、
    前記弾性体に接触する接触体と、を備え、
    前記振動体の振動により前記接触体と前記振動体とが相対的に移動する振動型アクチュエータの製造方法であって、
    前記矩形状の弾性体の2つの長辺のそれぞれに少なくとも一組の第1の延出部と、
    前記矩形状の弾性体の2つの短辺のそれぞれに少なくとも一組の第2の延出部と、を設ける工程と、
    前記第1の延出部または、前記第2の延出部を加工することにより、前記振動体における互いに異なる二つの曲げ振動の固有振動数の差Δfを調整する工程と、
    を備える振動型アクチュエータの製造方法。
  14. 矩形状の弾性体と電気-機械エネルギー変換素子とを備えた振動体と、
    前記弾性体に接触する接触体と、を備え、
    前記振動体の振動により前記接触体と前記振動体とが相対的に移動する振動型アクチュエータの製造方法であって、
    前記矩形状の弾性体の2つの長辺に少なくとも一組の第1の延出部と、
    前記矩形状の弾性体の2つの短辺に少なくとも一組の第2の延出部と、を設ける工程と、
    前記第1の延出部または前記第2の延出部を加工することにより、前記振動体の2つの曲げ振動の固有振動数の差Δfを所定の範囲に調整する工程と、
    前記第1の延出部および前記第2の延出部を加工することにより、前記振動体の2つの固有振動数f、fを所定の範囲に調整する工程を備える振動型アクチュエータの製造方法。
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