JP2009510267A - バルク金属ガラス/グラファイト複合材料 - Google Patents

バルク金属ガラス/グラファイト複合材料 Download PDF

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Abstract

バルク金属ガラスを基盤とする複合材料を開示する。実質的に連続なマトリックスを形成するアモルファス合金相中に、グラファイト粒子を含む第2の相が埋め込まれている。合金は、好ましくはジルコニウム系である。粒子は、炭化物表面層を有することができ、炭化物表面層は、合金とグラファイトの反応によりin situ生成することができる。炭化物粒子を含む第3の相もまた存在可能である。本複合材料は、高塑性、高い降伏強度、良好な弾性及び低摩擦係数を有し、これにより、本複合材料は、継ぎ目、摩擦軸受又はバネ等の利用のための優れた候補となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、第1の、実質的に連続なマトリックスを形成するアモルファス合金相を有し、及び、第2の、マトリックス中に埋め込まれた強化相を有する複合材料に関する。
良好なガラス形成能を有する多くのアモルファス金属合金が、ここ数年にわたって開発されてきた。これらのバルク金属ガラス(BMGs)は、非常に興味深い機械的性質、磁気特性、熱物性及び構造特性を持っている。それらは、例えば、それらの結晶性対応物の2倍もの破壊強度や、4倍もの弾性を示し、構造材料としての使用に非常に高い可能性を有する。残念なことに、これらの特性は、合金の脆性破壊挙動のために完全に十分には引き出すことができない。結晶性構造がない場合、転位の動きによる変形は不可能であるが、1つ又は2,3の高度に局在した剪断帯においては変形が起こる。BMGsは、顕微鏡スケールでは何らかの「延性」破壊メカニズムを示すけれども、破壊エネルギーが試料の非常に小さい体積に集中するため、金属ガラスは概して脆性である。BMGsの塑性の大幅な強化により、構造応用のための画期的な新素材となるであろう。
このような塑性の増加を達成することは、非常に時宜を得た話題であり、これについては、多くの研究者が様々なアプローチを用いて研究している。異粒子強化型BMGs、in−situ生成のBMG複合材料、多孔質パラジウム(Pd)系BMGsや高いポアソン比を示すモノリシックプラチナ(Pt)系BMGsが調査されてきた。全てのアプローチには1つの共通点がある。つまり、破壊エネルギーが試料のより大きな体積にわたり分配されるように、剪断帯密度を増やすことを意図している。
異粒子強化は特に有望であると思われる。強化用異粒子としてこれまでに用いられた材料には、タングステン(W)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)又はスチール等の延性金属や、炭化タングステン(WC)、炭化チタン(TiC)、炭化ケイ素(SiC)又は炭化ジルコニウム(ZrC)等のセラミックが含まれる。
しかしながら、このようなこれまでに開示されている異粒子強化型BMGsの特性、特に降伏強度に対する塑性は、まだ最適ではないと考えられている。
薄板、繊維又はワイヤー等の、粒子以外の構造による強化もまた提案されている。特に、炭素繊維又はカーボン・ナノチューブによる強化は、
−Kim,C.P., Busch,R., Masuhr,A., Choi−Yim,H. & Johnson,W.L. 「炭素繊維強化型Zr41.2Ti13.8Cu12.5Ni10.0Be22.5バルク金属ガラス複合材料の処理」、Appl.Phys.Lett. 79, 1456−1458 (2001)、
−Bian,Z.et al., 「カーボン・ナノチューブ強化型Zr52.5Cu17.9Ni14.6Al10Tiバルク金属ガラス複合材料」、Appl.Phys.Lett. 81, 4739−4741 (2002)、
−Bian,Z.et al., 「カーボン・ナノチューブ強化型Zr系バルク金属ガラス複合材料とその特性」、Adv.Funct.Mater. 14, 55−63 (2004)
に開示されている。
しかしながら、炭素繊維により強化されたBMGsは異方特性を持つことになるであろうし、カーボン・ナノチューブで強化された合金は、小さいナノチューブが不均一核生成サイトとして働くため、結晶化傾向が非常に強い。それらは、対応するモノリシックなBMGよりなお一層脆弱であることが示されている。さらに、カーボン・ナノチューブは製造するのが比較的高価である。
In−situ生成のBMG複合材は、降伏強度と塑性の良好な組み合わせを見せることが示されている。特に、炭化ジルコニウム(ZrC)強化の例が、以下の刊行物に開示されている。
−Wang,W.H. & Bai,H.Y. 「ZrC粒子を含む、炭素付加誘導したバルクZrTiCuNiBeアモルファスマトリックス複合材料」、Mater.Lett. 44, 59−63 (2000)、
−Kato,H., Hirano,T., Matsuo,A., Kawamura,Y. & Inoue,A. 「ZrC粒子を含むZr55Al10NiCu30バルクガラスの高い強度と良好な延性」、Scr.Mater. 43, 503−507 (2000)、
−Hirano,T., Kato,H., Matsuo,A., Akihisa & Inoue,A. 「in−situ反応によって生成されたZrC粒子を含む、Zr55Al10NiCu30バルクガラス複合材料の合成と機械的性質」、Mater.Trans.JIM 41, 1454−1459 (2000)、
−Chen,F.et al. 「ZrC粒子を含む、Zr55Al10NiCu30バルク金属ガラス複合材料の結晶化」、Mater.Trans.JIM 43, 1−4 (2002)。
本発明の目的は、高塑性を有するアモルファス合金相を含む複合材料、特に、高塑性を有し、同時に高い降伏強度を有する材料を提供することである。
本発明のさらなる目的は、熱安定性を改良したアモルファス合金相を有する複合材料を提供することである。
本発明のさらなる目的は、トライポロジー的性質を改良した、特に低い摩擦係数と良好な耐摩耗性を有するアモルファス合金相を含む複合材料を提供することである。
これら及び他の目的は、請求項1に記載の複合材料によって達成される。
従って、少なくとも2つの相を有する複合材料が提供される。この複合材料は、
−実質的に連続なマトリックスを形成する実質的にアモルファスの第1の相で、本質的に(金属)合金からなる第1の相と、
−前記マトリックス中に埋め込まれた第2の相で、グラファイト粒子を含んでいる第2の相
とを含む。
グラファイト粒子をアモルファス合金マトリックス(BMGマトリックス)中に埋め込むことにより、塑性が著しく増加する一方で、降伏強度及び弾性はモノリシックなアモルファス合金と同程度を維持する。同時に、低い摩擦係数(COF)及び高い耐摩耗性等の摩擦下での有利な特性が得られ、これにより、本発明による複合材料が、摩擦(滑り)軸受等のドライ滑り使用に対する良い候補者となる。さらに、モノリシックなマトリックス材料に比べ熱的安定性が増加し、すなわち、結晶化の開始がより高い温度へ移される。
本発明の内容において、「グラファイト」という用語は、実質的に全ての炭素原子(又は少なくともそれらの大部分)がsp2混成状態にある、元素炭素の形を指定すると理解されるべきである。完全なグラファイト構造では、炭素原子が六面構造を有する層に配置されている。しかしながら、より一般的な用語においては、「グラファイト」という用語は、層がある程度共有結合した、熱分解炭素等の構造的により明確でない材料、又は、すす、特に、本質的に、大部分がアモルファス状態にある炭素からなるカーボンブラックをも含むと理解されるべきである。
「粒子」という用語は、対称又はほぼ対称の明確な軸を持たず、空間の全ての方向に沿って大体同じような大きさを有する小さな物体を指定すると理解されるべきである。特に、「粒子」という用語は、好ましい方向に沿って延びる繊維や、同様に好ましい方向(おおよそ対称軸)を有する(ナノ−)チューブを除くとして理解されなければならない。繊維やナノチューブは、強化材料として使用すると、粒子が与えるよりも非常に様々な特性を材料に与える。
本発明で使用される粒子は幅広い大きさの範囲を有する。大きさに対する実際の下限値はないが、いくつかのマトリックス合金では、約10マイクロメータより小さいグラファイト粒子は、マトリックス合金と完全に反応して炭化物を形成することを防ぐのが難しいことがわかった。従って、最小寸法は、約10マイクロメータ、好ましくは約25マイクロメータであることが好ましい。また、グラファイト粒子の大きさに対する「厳密な」上限もないが、実際の問題として、多くの場合、その大きさは約200マイクロメータ未満であろう。好ましくは、グラファイト粒子の大きさは、約25〜約75マイクロメータの範囲である。用語「大きさ」は、空間の全ての方向にわたる、粒子の寸法の平均を指定するとして理解されるべきである。
複合材料の全体積に対する第2の(強化)相の体積分率に対しては、非常に幅広い範囲が可能である。実際の下限値はないが、第2の相が局所的に、複合材料の全体積の少なくとも約1体積百分率を占める場合、より大きな効果が期待される。一方、第2の相の理論的最大体積分率は、全ての粒子が互いに触れるほど粒子が非常に密に分布されている状態により制限されるだけである。この体積分率は、標準的なグラファイト粉末に対しては、50体積百分率を十分に超えると推定される。第2の相の体積分率に対する好ましい範囲は、約1体積百分率と約20体積百分率の間である。最も好ましい範囲は、平均粒度によって決まる。より大きい粒子では、より低い体積分率が有利であると思われる。例を挙げると、約25〜約45マイクロメータの範囲の大きさを有する粒子に対しては、第2の相の体積分率は約3〜約10体積百分率の範囲であるのが好ましく、これにより、塑性の著しい増加及びCOFの著しい低下につながるが、降伏強度及び硬度はやや影響を受けるだけである。約45〜約75マイクロメータの範囲の大きさを有する粒子に対しては、好ましい体積率は約1〜約6体積百分率である。もちろん、正確な量はまた、目的とする用途によって決まる。炭化物層の生成を検討する場合、以下でより明らかになるように、処理条件にも依存するであろう。
第2の相の体積分率又は濃度は、材料から作られる物体の体積にわたって変えることができ、例えば、第2の相の濃度は、バルク中より物体の表面近くでより高いことが可能である。このことは、物体が、主に表面特性が重要であるドライ軸受用に使用される場合、特に有利である。
グラファイト粒子の重要な効果は、材料の試料が変形される場合、材料全体にわたり、密集した剪断帯の形成を引き起こすことである。降伏に至るまでの複合材料の圧縮変形の後、剪断帯の密度は、破断面の光学像から容易に測定できる。好ましくは、第2の相の特性(グラファイト粒子の形状や粒度分布、体積分率等)は、剪断帯がグラファイト粒子の周囲に、約5マイクロメータ未満だけ間隔をあけるように選択される。剪断帯は、平均のグラファイト粒子より実質的に大きい領域にわたって、好ましくはマトリックス全体にわたって、好ましくは実質的に均一に(均質的に)分布されていることが好ましい。
良好な混合、相の密接な接触(原子スケールでの)及びマトリックス中の第2の相の均一な分布を確実にするために、マトリックス合金は、液体状態で、第2の相の粒子をぬらすことができるのが好ましい。言い換えれば、好ましくは、粒子の表面は(液状の)マトリックス合金によりぬらすことができる。湿潤性は通常、いわゆる接触角で定量化される。表面は普通、接触角が90度未満の場合、液体によりぬらすことができるとみなされる。グラファイト表面をぬらすことができるとわかっている液体金属は、特に、ジルコニウム、チタン、銅及び鉄である。これらの金属の1つ以上を大きな部分(例えば、少なくとも約40%)含んでいる合金は、良好なぬれ挙動を有すると期待される。
本発明による複合材料の形成において関係のある他の量は、炭化物を形成するための、合金とグラファイトの間の反応性である。粒子表面におけるそのような反応は、2つの相の間の非常に近接した原子結合を確実にし、複合材料の特性を調整するために使用できるため、ある程度求められる。このことについては、以下でより詳細に検討する。金属炭化物生成のエンタルピーが負であれば、合金とグラファイト粒子との間の反応が起こる。従って、合金は、金属炭化物を生成するためにグラファイトとの反応に対して負の生成エンタルピーを有する1以上の金属を、少なくとも約40原子百分率含むことが好ましい。例として、ジルコニウムとチタンが挙げられる。
好ましくは、合金は、Zr(ジルコニウム)系合金であり、すなわち、少なくとも約40原子百分率のジルコニウムを含む。ジルコニウムは、炭化ジルコニウム(ZrC)を生成するためにグラファイトとの負の生成エンタルピー(−106kJ/mol)を有し、グラファイトに対するぬれ挙動が良好であることがわかっている。ジルコニウム(Zr)とグラファイト間の周知の反応挙動のため、すべてのZr系BMGsは本発明の複合材料にとって適切なマトリックス合金であることが当然期待される。多種多様な組成に合わせるために(date with)、良好なガラス形成能を有する多くのZr系合金(Zr系BMGs)が開発された。限定的な例を以下に示す。
−Zr58Cu22FeAl12(Bio 1)、
−Zr57NbAl10Cu15.4Ni12.6(Vit 106)、
−Zr41.2Ti13.8Cu12.5Ni10Be22.5(Vit 1)、
−Zr46.75Ti8.8Ni10Cu7.5Be27.5(Vit 4)、
−Zr60Al10Cu30、Zr55Al15Ni25、Zr55Cu30Al10Ni、Zr55TiAl10Cu20Ni10及びZr52.5TiAl12.5Cu20Ni10
−と組成(ZrCu100−x80(Fe40Al6020の合金。このような合金は、WO2006/026882において広く研究されており、その内容を、それらの原子組成における固有の原理に従うバルク金属ガラスを教示するために参照することにより本明細書に援用する。特に、x=62,64,66,68,72.5,77,79,81又は83の合金が詳細に調べられた。
−WO2006/026882によるさらなる例は、
(Zr95Ti72Cu13Fe13Al、Zr70Cu13Fe13AlSn、Zr70Cu13Fe13AlCr、Zr70Cu13Fe13AlNb
Zr70Cu13Fe13AlZn、(Zr72Cu13Fe13Al98Mo
(Zr72Cu13Fe13Al98、(Z95Hf72Cu13Fe13Al、Zr70Cu11Fe11Al、Zr71Cu11Fe10Al
(Zr74Cu13Fe1390Al10、Zr72Cu13Fe13Al
(Zr74Cu13Fe1398Al、Zr73Cu13Fe13Al
Zr72Cu13Fe13Al、Zr71Cu13Fe13Al
Zr72Cu12Fe12Al、Zr70Cu13Fe13Al
Zr72Cu11Fe11Al、Zr72Cu11.5Fe11Al5.5
Zr73Cu11Fe11Al、Zr71Cu11Fe11Al
Zr69Cu11Fe11Al、Zr70Cu10.5Fe10.5Al
Zr70Cu10Fe11Al、Zr70Cu11Fe10Al
Zr69Cu10Fe10Al11、Zr69Cu10Fe11Al10
Zr70Cu13Fe13AlSn、Zr72Cu13Fe13Sn
(Zr74Cu13Fe1398Sn
(Zr79Cu2180(Fe40Al6020
(Zr81Cu1980(Fe40Al6020
(Zr83Cu1780(Fe40Al6020
(Zr66Cu3480(Fe40Al6020
(Zr64Cu3680(Fe40Al6020、及び、
(Zr62Cu3880(Fe40Al6020である。
以下でより詳しく記載する、多数の実験は、特に、そのマトリックス合金が本質的に化学式Zr52.5Cu17.9Ni14.6Al10Tiで表される複合材料に対して行った。この合金は優れたガラス形成能を有し、「Vit 105」として知られるようになった。約25マイクロメータから約45マイクロメータまでの大きさの範囲のグラファイト粒子によって強化されたVit 105に対しては、圧縮下で最大15パーセントの塑性と、最大1.5GPaの降伏強度が達成された。約45マイクロメータから約75マイクロメータまでの大きさの範囲の粒子での強化に対しては、圧縮下で最大18.5パーセントの塑性と、最大1.85GPaの降伏強度が達成された。
複合材料の機械的特性は、界面炭化物層によって少なくとも部分的に覆われたグラファイトのコアを有するグラファイト粒子を与えることにより、調整することができる。言い換えれば、好ましい実施形態においては、グラファイト粒子の少なくとも一部分が、本質的にグラファイトから成るコアと、少なくとも1つの金属炭化物を含む界面層、特に、本質的に炭化ジルコニウムからなる界面層を有する。層は、好ましくは、周囲のマトリックス中の少なくとも1つの金属とのグラファイトの反応により、in situ生成される(界面炭化物in situ生成)。
界面層は、非常に薄く、ほんのわずかな原子層になるかもしれない。多くの合金にとって、このような層は、処理中の避けられないin−situ反応のためにさえ、避けられないかもしれない。in situ生成された薄い界面層は、他の特性にあまり影響を与えずに、粒子とマトリックス間の密接な接触を確実にする。より厚い層は、塑性、降伏強度及び、特に、硬度等の複合材料の機械的特性をも変え、硬度は層の厚みが増すに伴い増加する。硬度の増大が望まれる用途にとっては、界面層が少なくとも100ナノメータの厚みを有すると有利である。一方、過度の脆性破壊挙動を引き起こさないように、厚みが約1.5から2マイクロメータを超えず、好ましくは約1マイクロメータ未満であると有利である。
グラファイト粒子が完全に炭化物粒子に変わるのを避けるために、グラファイト粒子は小さすぎないことが有利である。特に、界面炭化物層を含むグラファイト粒子が、少なくとも約25マイクロメータの大きさを有すると有利である。このことは、特にZr系マトリックス合金に当てはまる。
本発明はさらに、合金マトリックス相とグラファイト粒子相に加えて、マトリックス中に埋め込まれた第3の相を含み、この第3の相が粒子を含有する、三相複合材料を提供する。
第3の相は、マトリックス合金と同じ元素からなる結晶状粒子を含むことができる。このような粒子は、通常、溶解物からのマトリックス合金の冷却時に生成される。特に、これらの粒子は、約1マイクロメータ未満の平均寸法を有するナノ結晶であってもよい。ある程度、それらの存在は避けられないが、処理条件は、このような粒子のかなりの分率、例えば最大30又は50%が生成されるように意図的に選択されてもよい。これらの粒子は、普通、マトリックス合金と同じ元素から成るが、個々の元素の異なる原子分率を有する。
代わりに、又は追加として、第3の相は、炭化物粒子を含むことができる。炭化物粒子を予備成形(プリフォーム)してマトリックスに加えることもできるが、好ましくは炭化物粒子が合金とグラファイトの反応によってin situ生成される。このような粒子は、様々なメカニズムにより生成することができる。1つの例では、それらは、多くても微量のグラファイトが残った対応する炭化物への、合金の少なくとも1つの金属成分を有する比較的小さいグラファイト粒子の実質的に完全な変化に起因する。他の例では、それらは、(より大きな)グラファイト粒子の表面に形成された金属炭化物が、この表面から、例えば激しい撹拌により離され、マトリックス中に分散させられたメカニズムの結果である。好ましい実施形態においては、炭化物粒子は本質的に炭化ジルコニウムから成る。
炭化物粒子は、好ましくは、約10マイクロメータ以下の大きさを有する。特に、このような粒子は、マトリックス合金との反応による、同じくらい小さいグラファイト粒子の完全な変化によって、容易にin situ生成することができる。
本発明による各種複合材料は、次の特性、つまり、高塑性、高い降伏強度、高弾性、高弾性定数、低摩擦係数、高耐摩耗性のうち1つ以上が求められる、様々な異なる用途で使用することができる。1つの例は、ドライ摩擦(滑り)軸受で採用される物品である。特に、グラファイト粒子が界面炭化物層を有しないか、又はわずかに有するだけの、上述の二相複合材料は、そのような用途に有望である。より高い硬度がさらに求められる場合、グラファイト粒子と炭化物粒子の両方を有する、上述の三相複合材料が有利である。低い摩擦係数(COF)に加えて、高塑性と高い降伏強度が重要な他の例は、継ぎ目、特に、携帯電話の異なるパーツ間の継ぎ目等の、同程度に高い負荷をうける小さな継ぎ目である。このような用途に対しても、本発明の材料は特に有利である。別の使用分野は、バネである。金属ガラスは、それらの結晶性対応物より、2〜4倍大きい弾性限界を示すことが知られている。しかしながら、工学的応用に対して、大きい弾性限界は、モノリシック材料の脆性破壊挙動のため、十分には利用できない。本発明の複合材料で達成される塑性によって、マトリックス材料の潜在能力を十分に引き出すバネ設計が可能となる。
本発明の複合材料は様々な方法によって作製することができる。有利なプロセスでは、良好なガラス形成能を有する合金が提供される。良好なガラス形成材は、臨界冷却速度で又は臨界冷却速度を超えてその溶解物から冷却されるとき、アモルファス状態を維持することができ、この場合、臨界冷却速度はわずか毎秒約1000Kであり、好ましくはわずか毎秒約100Kである。このプロセスにはその際次のステップが含まれる。つまり、
−液相線温度を超えて合金を加熱して、液体合金を形成し、
−液体合金にグラファイト粉末を分散させて、微細分散混合物を形成し、
−グラファイト粒子を含む第2の相を組み込んだ、アモルファスの、実質的に連続な合金マトリックスを含む複合材料を形成するために、十分急速に、ガラス転位温度より下に混合物を冷却する、
というステップである。
このようなプロセスにおいては、合金を、グラファイト粒子上で誘導溶解することにより、その液相線温度を超えて加熱できる。最後の冷却ステップの前に、炭化物層を前記グラファイト粒子の表面に生成するために十分に長い時間、溶融(液相線)温度を超える温度で、一度又は繰り返し、合金を任意に処理できる。三相合金が求められる場合、前記合金の少なくとも1つの金属成分と反応する前記グラファイト粒子の一部分が金属炭化物粒子を生成するために、十分長い時間、前記溶融温度を超える温度で、一度又は繰り返し、混合物を処理することができる。この場合、合金に最初に分散されるグラファイト粉末が、グラファイト粒子の2つの(bimodal)粒度分布を有することが有利であり、約25マイクロメータより小さい、好ましくは約10マイクロメータより小さい粒子の一部分と、約25マイクロメータより大きい粒子のもう一つの部分を有することが有利である。
本発明を、図に示した典型的な実施形態に関連して、より詳細に記載する。
改良されたBMG系材料を得るという目的を達成するために、異粒子強化は、材料特性を容易に再現でき、直接調整できるため、最も明るい未来を有すると確信される。異粒子強化型BMGsは、例えば、in situ生成された複合材料より微細構造の再現性がより良好であることを示す。というのも、強化微細構造と体積含有率が処理パラメータ、特に冷却速度に無関係であるからである。同様に、多孔性BMGsは高い塑性及び降伏強度の組み合わせを示すが、均一の細孔分布を達成することが非常に困難である。高いポワソン比を有するモノリシックなBMGsもまた有望であると思われるが、塑性が改善されたという結果は、今までのところ、非常に高価なプラチナ(Pt)系合金に観察されただけである。異粒子強化はまた、微細構造ひいては材料特性を調整することができるという大きな利点を有する。結晶性の金属マトリックス複合材料(MMCs)において従来技術であるように、材料特性を、強化粒子の種類、形状、大きさ及び体積分率により調整できる。異粒子強化型BMGsはまた、急速冷却ステップが続く、標準MMC加工技術により処理することができるため、高い再現性を示す。マイクロメータ範囲の強化粒子を用いることによって、不均一核生成面を最小化でき、その結果、現今の良好なガラス形成材を用いて、高い臨界鋳造厚みが常に達成される。
以下、完全にアモルファスな合金マトリックスをグラファイト粒子で強化した、異粒子強化型BMGsの新しい部類について検討する。以下の例においては、Zr52.5Cu17.9Al10Ni14。6Ti(Vit 105)を採用した。強化粒子は、25〜44μm、場合により44〜75μmの大きさを有する。もちろん、本発明は、決して、このベースBMGやこれらの粒径に制限されない。金属ガラスの高い降伏強度(1.85GPa)を犠牲にすることなく、最大18.5%の塑性が達成された。その微細構造は容易に再現でき、冷却速度と無関係である。この新規複合材料は、異粒子強化型BMGsに対して今のところ報告された、降伏強度と延性の最も高い組み合わせを示し、その機械的特性は、上述の他の方法で作製されたアモルファス合金又は複合材料に比較しても、有利なままである。
グラファイト強化型BMGsの特性
図1は、例として、誘導混合により得られた、粒径25〜44μmのグラファイトを5体積%含む複合材料に対する、Vit 105マトリックス中のグラファイト粒子分布を示す。粒子は、ガラス状のVit 105マトリックス中に均一に分布しており、矩形から円形に及ぶ形状を有する。
図2は、モノリシックなVit 105と、粒径25〜44μmを5から20体積%の範囲の様々な強化体積分率で含む複合材料のDSCスキャンを示す。複合材料とモノリシックなVit 105の結晶化エンタルピーを比較すると、マトリックス材料が完全にアモルファスであることがわかる。しかしながら、グラファイトの付加により、結晶化の開始がより高い温度に移り、すなわち、複合材料はモノリシックな金属ガラスより、熱的安定性がより高く、結晶化挙動が変化する。第1の結晶化ピークは、第2の結晶化事象を犠牲にして、グラファイト含有量の増加に伴い増大する。
図3は、異なる鋳造温度における、粒径25〜44μmのグラファイトを3.5体積%含むVit 105複合材料に対するXRDスキャンを示す。2つのはっきりと見られるアモルファスのこぶ(humps)は、ガラス状Vit 105マトリックスに起因し、ブラッグピークは、結晶性炭化ジルコニウム(ZrC)に起因すると考えられる。下方のスキャンにはわずかなZrCが観察されるだけで、ZrC含有量は、鋳造温度が上昇するにつれ著しく増加する。XRDスキャンにグラファイトのピークが現れないのは、存在する他の元素に比べて、炭素があまりに軽すぎて検出できないからである。しかしながら、エネルギー分散型X線回折(EDX)によると、完全に炭化物に変わったグラファイト粒子はなく、マトリックス中のZr及びTiの含有量は公称配合(nominal composition)の0.5%以内であることがわかった。従って、XRDで観察された炭化物は、マトリックス材料と強化粒子間の界面反応によるもののはずである。この重要な観察に対するさらなる証拠を、以下でさらに提供する。
可能な限り少ない界面炭化物生成をともなう複合材料に行われた圧縮試験は、モノリシックなVit 105に比べて降伏強度が僅かに低下しただけで、塑性の大幅な改善を示す。図4は、塑性域が、モノリシックなVit 105に対する3%から、グラファイト3.5体積%に対して約7%、グラファイト5体積%に対して13%、グラファイト10体積%に対して15%まで大きく増加するが、降伏強度は、モノリシックなVit 105に対する1.85GPaから、グラファイト3.5体積%に対して1.7GPa、グラファイト5体積%に対して1.6GPa、グラファイト10体積%強化に対して1.5GPaと、わずかに低下しただけであった(どの場合においても粒子径は25〜44μm)。
別の実験によると、粒径の変化により、降伏強度はわずかに減少するだけで、さらに高い塑性を達成可能なことがわかった。図5は、粒径44〜75μmのグラファイト粒子3.5体積%を含む複合材料の応力−ひずみ挙動を示すが、界面炭化物層の厚みを最小限にするために細心の注意を払った。降伏強度1.85GPaで塑性18.5%が得られた。さらなる最適化が可能であるように思われる。
最小限の炭化物生成をともなう試料に対し、その硬度(ビッカース硬度HV30として測定、標準DIN EN ISO 6507参照)は、図4の差し込み図に見られるように、グラファイトの体積含有量が増加するにつれ低下する。5%の少ない強化体積分率でさえ、材料の顕著な軟化につながり、その硬度は、グラファイト含有量10体積%以上に対して、約25%も低下している。一方、XRDでより多い炭化物を示す複合材料は、最大550HV30のより高い硬度を示した。
図6は、文献中に見つけた他の粒子強化型BMG複合材料と比較して(文献の値の精度:±10%)、5体積%の(粒径25〜44μm)、10体積%の(25〜44μm)及び最適化された(3体積%、44〜75μm)グラファイト強化型BMG複合材料の降伏強度と塑性を示す。明らかに、グラファイト強化型BMG複合材料が、その破壊強度及び塑性の組み合わせにおいて一歩前進している。
図7A〜7Eは、これらのグラファイトBGM複合材料に対する、破断面及び粒子−剪断帯相互作用の代表的なSEM画像を示す(図7A〜7D:粒径25〜44μm、図7E:粒径44〜75μm)。図7Aは、Vit 105マトリックス中の高密度な脈パターン(vein patterns)がグラファイト粒子の周囲に観察される破断面を示す(マトリックスが完全にアモルファスであるさらなる証拠)。図7Bの画像は、グラファイト粒子が、変形(最終の変形事象)中どのように、左上から右下へのマトリックス材料の流動を妨害するかを示す。図7Cは、破壊後の、圧縮試料の外面にある剪断帯と段差を示し(破断面は画像の左側)、図7Dは、破壊後の、圧縮試料の表面の粒子−剪断帯相互作用を示す。図7C及び7Dから結論を下せるように、粒子の周囲の主要な剪断帯の間隔は、1〜5μmの範囲である。図7Eは、44〜75μmの範囲のより大きなグラファイト粒子を用いて得られたマトリックス中の高い剪断帯密度を示す。
界面炭化物生成
さらなる研究の目的は、界面炭化物生成が機械的特性に与える影響であった。ジルコニウム(Zr)は、マトリックス中で、グラファイトとの生成エンタルピーが最も負である元素であるから(Hfor=−106kJ/mol、後にTiの−77kJ/molが続く)、炭化ジルコニウム(ZrC)はグラファイト粒子の表面に生成すると期待される。これまでに、約10μm未満の大きさの、より小さいグラファイト粒子は、Zr系BMGs中の炭化ジルコニウムに完全に変わり、in−situ複合材料を生成することが報告されている。対照的に、本発明においては、すべてのグラファイト粒子の完全な変形が明確に回避される。
25〜44μmのグラファイト粒子と複合材料を異なる温度で鋳造することによって誘導された様々な量の界面炭化物を有する、試料1,2及び3と表した三つの試料を作製した。試料1,2及び3を、それぞれ、Buhler MAM1 システムで、1,2.5及び4の設定(0.35kW、0.9kW及び2.1kWの電源入力に相当)で加熱した。
鋳造温度の上昇に伴う炭化物含有量の変化は、図8に示すXRDスキャンに見ることができる。2つのはっきりと見られるアモルファスのこぶは、ガラス状のVit 105マトリックスに起因する。DSCはまた、マトリックスのガラス状の構造を裏付けた。ブラッグピークは、結晶性ZrCの属性と考えられる。下方のスキャンではわずかな量のZrCだけが観察されるが、ZrC含有量は鋳造温度の上昇にともない著しく増加する。XRDスキャンにグラファイトのピークが現れないのは、存在する他の元素に比べて、炭素があまりに軽すぎて検出できないからである。しかしながら、EDXによると、完全に炭化物に変わったグラファイト粒子はなく、マトリックス中のZr及びTiの含有量は公称配合の1%以内であったことがわかった。従って、XRDで観察された炭化物は、マトリックス材料と強化粒子間の界面反応によるもののはずである。最後のアーク溶解ステップにおける電源入力を調整することにより、BMG複合材料の炭化物含有量を変えることが可能であると結論することができる。従って、粒径、形状、硬度及び体積分率を変える等の、金属マトリックス複合材料の機械的特性を調整する共通の方法に加えて、目下提案するバルク金属ガラス複合材料の機械的特性を、処理パラメータを単に変えるだけで変化させることができる。
図9は、三つの試料に行った圧縮試験の結果を示す。試料1は、炭化物含有量が最も低く、最も高い塑性を示し、試料3は、炭化物の大部分が生成し、脆性破壊挙動を示す。
図10A及び10Bは、それぞれ、試料1及び3の光学顕微鏡画像を示す。0.35kWの非常に低い電源設定で処理された試料1に対する図10Aには、非常に薄い界面反応層が見えるだけで、それは、試料を研磨することによって粉砕された。2.1kWの高い電源設定で処理された試料3に対する図10Bには、グラファイト−マトリックス界面に、約1.5〜2μmの厚さの顕著な反応層が見られる。この反応層は、研磨後もまだ大部分が損なわれず、EDXによってZrCと同定するのに十分に厚かった。明らかに、この試料中でさえ、グラファイト粒子は完全には炭化物に変形しておらず、グラファイト粒子を取り囲む炭化物層が見つけられる。他の試料では、この層はサブミクロン範囲である。図10Bに見られる界面炭化物相は、試料3の脆性破壊挙動に関与するように思われる。他方、炭化物含有量のより高い試料は、ごく少量の炭化物が生成した試料より高い硬度を示す。例えば、図10Bの試料3は、476HV30の硬度を示したが(モノリシック合金に匹敵する)、試料1は、432HV30の硬度を示した。
複合材料の硬度に及ぼす炭化物層の影響を図11に示す。最小限の炭化物生成をもたらす、低電源設定(0.35kW)で処理されたグラファイト−BMG複合材料は、グラファイトの体積分率が増加するにつれ激しい軟化を示す。より厚い炭化物層を有する、より高い電源設定(2.1kW)で処理された試料は、最小限の炭化物生成をともなう複合材料より、著しく高い硬度を示す。最大5%の体積含有率において、2.1kWで処理された複合材料は、純マトリックス材料よりなお高い硬度を示す。
三相複合材料;トライボロジー的性質
本節では、新規の三相グラファイト/ZrC強化型BMGsについて検討する。これらのBMG複合材料のトライボロジー的性質を、上述のグラファイト強化型BMGs、モノリシックBMG及び業務用軸受鋼のトライボロジー的性質と比較する。典型的な例として、Vit 105(Zr52.5Cu17.9Ni14.6Al10Ti)を、BMGs用のベース合金として再度使用するが、本発明は、このベース合金に制限されない。
1つの系のトライボロジー的性質を変化させる1つの方法は、顕微鏡スケールで接触面を変化させることによる。接触面は、アモルファスマトリックスとは異なる硬度を有する第2の相の粒子を加えることにより、著しく影響を受け得る。強化相としてのグラファイトは、その超潤滑性及びZr系BMGs中に非常に硬いZrC粒子をin−situ生成する上述の可能性のために、トライボロジー的性質を最適化するのに有望である。
以下に見られるように、アモルファス合金のCOFは、強化相を加えることにより大幅に減少され得る。これらの新規複合材料の、非常に高い圧縮降伏強度(〜1.8GPa)と組み合わされた低いCOFにより、新規複合材料が、自己潤滑性の摩擦軸受材料の有力な候補となる。
既に上述したように、処理パラメータを調節することにより、グラファイト強化型BMG複合材料の微細構造を調整することが可能である。こうして、三種類のBMG複合材料を製造した。非常に少量のZrC生成をともなうきれいなグラファイト・マトリックス接触面を示す、上述の「標準」グラファイト強化型BMGsについては、既に検討し図10Aに示した。同様に既に検討し図10Bに示したように、最終の鋳造段階での処理温度の増加は、厚さ約2μmの、粒子−マトリックス接触面における顕著なZrC層につながる。このような試料を数回再溶解させるか、又は、より小さなグラファイト粒子を加えた場合、マトリックス中にZrC結晶も現れ、三相複合材料となる。この新規の複合材料を図12に示した。ここで、矢印121はZrC層に囲まれたグラファイト粒子を示し、矢印122はZrC粒子を示す。
図13には、三種類の複合材料のXRDスキャンを見ることができるが、すべてマトリックスからのアモルファス背景信号を示している。図は、三種類の複合材料のXRDスキャンを示し、すべて7体積%のグラファイトを有し、すなわち(下から)、Vit 105−グラファイト複合材料、界面ZrC生成をともなう複合材、及び、界面ZrC生成とマトリックス中のZrC粒子両方をともなう三相複合材料である。界面ZrCをともなう複合材料及びさらにマトリックス中のZrC粒子をともなう複合材料は、ほとんど炭化物生成を示さない標準グラファイト強化型BMG試料に比べて、共に、同様の強さのZrCピークを示す。炭化物生成を示さない試料と三相複合材料を、トライボロジー試験に使用した。
図14は、トライボロジー試験に使用した装置を示す。所定の押圧(荷重)で試料表面の上で円を描くように鋼球を動かし、摩耗痕跡を作る。
トライボロジー試験後の、8体積%のグラファイトを含む試料のSEM画像を、図15に示す。このSEM画像は、異なるパラメータで作られた摩耗痕跡の概観を示す。ここで、第1のパラメータは鉛直荷重を示し、第2のパラメータは鋼球の回転数を示す。均一の粒子分布が現れ、これは全ての複合材料に見つけられた。
図16に見られるように、両種類のBMG複合材料の試料プレートに、トライボロジー試験の前後に行ったXRDスキャンは、何ら特筆すべき変化を示さなかった。しかしながら、トライボロジー試験が作用するのは、試料表面の約5%だけであることを考慮しなければならない。
荷重1Nで実施した1000回転試験において、モノリシックな試料と複合材料に対する摩擦係数(COF)及び摩耗跡深さの比較を行った。アモルファスVit 105は、完全に結晶化された合金より、非常に高いCOFと非常に高いCOF変動を示した。アモルファス試料のCOFは、約300回転後安定するまで、わずかに下がったが、結晶性試料は試験を通して一定のCOFを示した。全ての複合材料が、COFの2つの有意水準を示した。試験の始めには、それらは、モノリシックなマトリックス材料より大幅に低い安定したCOFを示した。100回転を超えた後、それらは、さらに低い水準のCOFに飛び、そこにいくつかの複合材料はとどまるが、他はより高い水準まで飛び戻り、そこに100回転までとどまる。この挙動は、かなりの量のZrCを含む試料において特に目立った。また、より高い強化剤含有量は、COFのより小さい変動につながることがわかった。1000回転に対して試験した全ての試料は、大きなピンの持ち上がり(pin lifting)を示したアモルファスモノリシックのVit 105を除いて、摩耗痕跡深さに大体線形的な増加を示した。
1Nの力で、アモルファスモノリシック合金は、約0.8のCOFを示したが、この値は、硬化軸受鋼に対する測定値(0.78)に匹敵する。結晶化Vit 105は0.6のCOFを示した。図17に見られるように、非常に低い体積含有量のグラファイトでモノリシックガラスを強化することにより、COFが大幅に減少することがわかった。ZrC強化剤をさらに有する複合材料は、1000回転運転で見られるように、COF、特に下方のCOF領域でさらに大幅な減少を示す。荷重5N、100回転で行われた試験に対しては、グラファイト強化剤の影響に大きな差は見られなかったが、ZrCのほうは、荷重1Nで行った試料に対してほど大きいCOFの減少をもたらさなかった。
1Nで、1000回転後、摩耗跡の縁にいくつかの剪断帯が見つかった。剪断帯は滑り方向に約25°に延び、不均一な流れに至るに十分に高い応力の証拠を与える。いくつかの複合材試料において、摩耗跡にこすられたマトリックス材料が見つかった。これは、過冷却液体領域での変形からくると予期される。
概して、複合材試料には、非常に少量のグラファイトのこすれが観察された。SEM検査により、グラファイト粒子全体が、100から1000回転の間の摩耗試験中に、マトリックスからはぎ取られることがわかった。ZrCを含む複合材試料は、その摩耗痕跡にいくつかの溝を示した。溝の深さは、約3μmと推定された。ZrCを含む複合材試料の鋼の先端には、ZrCの破片であると思われる、粒径50〜500nmのたくさんの小さな粒子が表面に見つかった。
摩耗痕跡の幅とピンの深さの比較は、摩耗率の非常に質的な近似を与える。1Nで1000回転後の最も薄い摩耗痕跡は結晶性Vit 105に対して見つかり、最も厚い摩耗痕跡は硬化鋼に対して見つかり、それぞれ約50μmと200μmであった。アモルファス合金と複合材料との間には何ら大きな違いは見られず、すべて約120μmのトレース幅を示した。摩耗痕跡の深さは、観察されるピンの持ち上がり(pin lifting)現象のため比較するのが難しい。荷重1Nで1000回転後のBMG複合材料の摩耗痕跡は、軸受鋼よりわずかに深くない。摩耗痕跡の深さと幅は、モノリシック材料の硬度(軸受鋼で846HV、結晶性Vit 105で547HV及びアモルファスVit 105で478HV)と相関しない。
考察:
上記の結果について考察するにあたり、図1に見られるような均一な粒子分布は、グラファイトとVit 105との間の良好なぬれ挙動のため、及び、提案されている多段階誘導混合手順によって、達成できただけなのかもしれないことが、まず強調されるべきである。非湿潤粒子を用いて複合材料を製造するための予備的な試みは、実際に、粒子の凝集に至った。DSC結果に関しては(図2)、グラファイトの付加が、モノリシック合金に比べて、複合材料の熱的安定性を改善したのは明らかで、これらの複合材料はまた、超塑性鍛造のために使用することができる。改善された熱的安定性の現象はまた、Zr系BMG複合材料中のSiC(炭化ケイ素)強化粒子に対しても観察された。この結果は、モノリシックBMGに比べて熱伝導性が変わったためか、あるいは、界面炭化物反応に起因するマトリックス組成のわずかな変化のためかもしれない。後者はまた、結晶化挙動のわずかな変化に関与しているかもしれない。
本発明の複合材料に発見された破壊強度と塑性の組み合わせは、図6に見られるように、異粒子強化型BMGsに対してこれまで記録された最も高いものであると思われる。同様の塑性は50%Nb強化型Zr系BMGsに見られたが、それらの合金では、分散された強化剤の体積分率が高いため、降伏強度が、モノリシック合金の強度の30%まで大幅に低下した。我々の成功の秘訣は、「柔らかい」強化粒子、すなわち、Vit 105マトリックス(ヤング率Eがほぼ100GPa)より非常に低いヤング率(グラファイトでおよそ15GPa)を有する強化材料の使用であった。対照的に、図6に示した他の強化材料はすべて、マトリックス材料より高いヤング率を有し、例えば、耐熱金属であるニオビウム(Nb)、タンタル(Ta)及びモリブデン(Mo)では、Eの値は105から327GPaに及ぶ。グラファイトのより低いヤング率は、粒子−マトリックス接触面に近いマトリックス材料における局所的な圧縮応力集中につながるが、マトリックスの引張応力は「硬い」粒子強化に対して起こると予期される。従って、一方で、グラファイトは典型的な強化粒子として働き、剪断帯を裂く(このような割裂と粒子−剪断帯相互作用を図7C及び7Dに示す)。他方で、グラファイト粒子は、軟質材料に乗り上げるとき、先端で応力を低減することにより剪断帯の伝播を食い止めることが予期される。このことは実際に、図7A及び7Bに示され、そこでは、強化粒子が変形中のマトリックス流動を明らかに妨害している。グラファイト粒子は、それらの低い強度により、アモルファス合金中の孔隙と似た方法で機能する。圧縮試験中、「柔らかい」粒子(又は孔隙)内の応力が臨界値に達するとすぐに、最初の剪断帯が起こる。この剪断帯の開始後、この粒子の周りの応力は低下し、一方、他の剪断帯が、臨界応力集中に達する粒子で起こる。従って、多数の剪断帯が核となり(nucleate)、材料を通り抜け、横切り、互いに妨害する。このことが、改良された塑性をもたらす。これらの結果−微細構造の再現性と相まり、改良された塑性と強度−は、ナノ構造金属分野において初期の結果がそうだったように、バルク金属ガラスの強化分野に多大な影響を及ぼすことが期待される。そこでは、大きさ300nm未満の粒子のマトリックス中に埋め込まれたマイクロメータサイズの粒子の二相材料の開発をもって、改良が達成された。
明らかに上述の結果の組み合わせ(剪断帯割裂、伝播障害及び剪断帯発生)は、非常に低いグラファイト含有量で塑性の大幅な増加を生み、これにより、モノリシック合金に比べ、降伏強度の減少は最小限となる。粒子周りの領域は、モノリシックのZr系BMGsに対し報告されているものとは対照的に、マイクロメータ、さらにはサブマイクロメータ範囲の、非常に小さな剪断帯間隔を示す(図7Aから7E)。実際には、剪断帯間隔の減少と塑性の強化との間の直接相関が、様々な厚みの金属ガラスリボン及びBMG複合材に対して報告されている。図4に見ることができるように、グラファイト含有量を5から10体積%まで増やしても、大きな塑性のメリットはない。変形中、いったん粒子間距離がマトリックス中に均一な高剪断帯密度を生じるほど十分に小さくなると、より多くの強化粒子がさらに大幅に塑性を改善することはないであろう。実際、強化剤濃度を倍増しても、粒子間距離は約三分の一しか減少しないであろう。
異粒子強化型複合材料はまた、それらの機械的特性を、炭化物生成を調整することにより調整することができるという利点を与える。図3及び8のXRDスキャンに見ることができるように、ZrCに変わるグラファイトの量は、鋳造温度を変えることにより調節できる。しかしながら、脆性破壊挙動を阻止するためには、炭化物含有量をかなり低く維持することが有益であるかもしれず、ZrC含有量は、Zrの高い原子質量のためXRDスキャンで支配的に見えるだけである。他方、EDXは、グラファイト粒子が完全に炭化物に変形しなかったことを示し、図10A及び10Bの光学顕微鏡画像は、高い鋳造温度でさえ、界面炭化物層だけが生じた証拠を与える。実際に、もし多量の炭化物が複合材料中に生成したなら、マトリックス複合材料は変わり、ガラス形成能は減少したであろう。強化材の体積分率の増加にともなう複合材料の軟化(図4差し込み図)はまた、ほんのわずかなグラファイトだけが反応して炭化物になったことを示唆している。類似の、マトリックス粒子接触面での微量の炭化物生成は、炭素繊維強化型Zr系BMG複合材料でもすでに観察されている。しかしながら、対照的に、大抵の他の研究は、ZrCへのグラファイト粒子の完全な変化を示している。例えば、10μm以下の炭素又はグラファイト粒子を、BMG−ZrC複合材料をin situで処理するために使用して、明らかな硬度の増加が観察された。炭化物生成のこの明らかな矛盾、又はその欠如は、この研究では25μm以上のより大きなグラファイト粒子を使用し、処理中特別に注意を払って穏やかに加熱したという事実により説明できる。
今回のケースにおいて、炭化物は、グラファイト粒子の周りに硬い殻を形成するマトリックス粒子接触面で成長し始める。短い拡散経路が必要であるため、界面炭化物生成が好まれる。生成されたZrC層は、拡散障害として機能し、接触面での炭化物生成を遅くして反応を制御する。融液の激しい撹拌は、発達するZrCがグラファイトから分離し、接触面でのさらなる炭化物反応を可能にするため、グラファイトのZrCへの完全な反応につながる。薄い界面炭化物層は、標準のグラファイト複合材料に比べ、硬度の大幅な増加につながる。仮に、グラファイト粒子を35μmの球と見なし、グラファイト層を1.5μmの界面層と見なすと、5体積%のグラファイトを含む複合材料は、0.7体積%未満のZrCを含む。この層によって、5体積%のグラファイトと最小限の炭化物生成をともなう複合材料に比べ、約16%の硬度の増加が観察される。この現象は、グラファイト粒子を囲む炭化物の幾何学的特殊性のため、アシュビーの混合の法則(Ashby’s rules of mixing)によって説明できない。もし、その周りに硬い炭化物の殻を有するグラファイト粒子をモノリシックな強化粒子と見なすなら、固ゆで卵と同様の機械的特性を示すであろう。低い応力では、それは非常に固いだろう。より高い応力がかけられた場合、殻は壊れ、軟らかい粒子のように振る舞うであろう。もちろん、「殻を割る」ために必要な応力値は、炭化物層の厚みと、グラファイト粒子の形状や大きさによっても決定される。非常に低い強化では、グラファイトは硬度の大幅な減少をもたらすが、硬い粒子で強化されたマトリックスに対して予期されるように、炭化物層を有する複合材料はわずかな増加を示す。より高い強化剤含有量では、界面炭化物層を有する複合材料の硬度もまた減少し始め、軟らかいグラファイトが支配的になるように思われる。グラファイトの体積含有量が低い試料に硬度試験を行うと、硬い粒子が軟らかいマトリックスに押し込まれ、粒子にかかる応力が軽減されるが、体積含有量が高いと、硬い粒子が互いに妨害しあい、炭化物の殻を割るのに十分な応力にさらされ、グラファイトが支配的となる。
界面炭化物層の厚みはまた、複合材料の応力−ひずみ挙動に大きな影響を及ぼす。圧縮状態で高い塑性を得るには、ヤング率の低い軟らかいグラファイト粒子が有利である。グラファイト粒子の周りの界面炭化物層が厚ければ厚いほど、それは軟らかいグラファイト粒子ではなく、硬いセラミック粒子のように振る舞うであろう。図9から明らかなように、界面炭化物層が厚ければ厚いほど、材料はより脆弱になる。マトリックス材料の100GPaに比べて約400GPaのヤング率を有する炭化物層は、伝播する剪断帯が強化粒子の周りに導かれる方法で、粒子・マトリックス接触面の近くに引張応力集中をもたらし、剪断帯−粒子相互作用を妨害する。さらに、炭化物層の高い硬度(グラファイトの15HVに比べて約2500HV)が、接近する剪断帯の吸収を妨害し、それらを屈折させ、1つ又はわずかな剪断帯に破壊をもたらす。
よって、塑性を最大にしたい場合、炭化物層はできるだけ薄く維持するべきである。鋳造はなお可能な、できるだけ低いエネルギー入力で処理した試料にさえ、いくらかのZrCがXRDで検出された。従って、炭化物層を完全に排除することは不可能であるが、それでも、粒径を増加することにより、炭化物の殻の強度を弱めることは可能である。再度粒子を、その周りに硬い殻を有する軟らかい球と近似した場合、球がより大きいなら、同じ厚みの殻にはより小さい荷重がかかるであろう。図5に見ることができるように、より大きいグラファイト粒子は、低い強化体積分率で、非常に高い塑性をもたらす。25〜44μmの粒子を3.5体積%有する試料は、45〜75μm粒子の最大18.5%に比べて、約7%の塑性しか示さない。このグラファイトの低い体積含有量は、モノリシック合金に比べて、降伏強度にわずかな低下しかもたらさない。
また、Vit 105のグラファイト強化は、トライボロジー挙動に大きな変化をもたらすことを上に示した。強化は、スティックスリップを減らし、COFの大幅な減少をもたらす。グラファイトは、金属及びポリマー系材料で、トライボロジー・パートナーのCOFを下げることがわかっている。金属系では、グラファイトは特に酸化表面(Zr系BMGsの表面に存在するような)にとくによくくっつき、これにより、顕微鏡スケールで、グラファイトがグラファイト上を滑れるようになり、非常に低いCOFを示す。さらに、本研究ではまた、破片が軟らかいグラファイト粒子又は粒子が取り去られてできた穴に押し込まれることも観察され、これが、より小さい摩損をもたらし、さらにはCOFを低減することにつながる。
さらに、試料を再び溶かし何度も吸引鋳造する場合、図12に示される、新たに開発された三相複合材料が生じることが観察された。おそらく、これは、ZrCがグラファイト粒子を取り除き、ZrC自身を融液に分配することにつながった。COFのさらに目立つ降下が、これらの三相複合材料に対して、特にCOFの下方領域で見つけられた(図17参照)。
ZrCを含む複合材料に観察されたCOFの跳躍(jumps)は、2つの異なる滑り機構に対するはっきりした証拠である。COFの高い領域では、モノリシックマトリックス材料やグラファイトでのみ強化された複合材料ではよく起こる、COFの激しい変動が観察される。これは、マトリックス中の硬い粒子の影響を除いて、グラファイト強化型複合材料内と類似の摩耗機構の予期につながる。しかしながら、いったんCOFが下方領域に降下すると、COFの変動も急激に減少し、このことが、観察された摩耗痕跡の溝状の形態と組み合わされて、新しい滑り機構の証拠を与える。
グラファイト強化型Vit 105又はモノリシックマトリックス材料に見つけられた比較的滑らかな摩耗痕跡とは対照的に、in situ生成ZrCを有する複合材料では摩耗痕跡の溝状の形態が観察された。滑り中の、マイクロスケールで得られた非常に高いひずみ速度(〜10−1)のために、マトリックス材料の不均一な変形により溝が形成されることはありそうもないが、ZrC破片によるマトリックス材料の局所的摩滅により形成されることははるかにあり得る。そのような試験に使用された鋼球上に、ZrC破片であると予想される非常に小さな粒子が見つけられた。より大きな粒子も存在したが、それらのより低い表面の対重量比により離れ落ちたと予期される。いったん浅い溝が生じると、破片が溝にとどまり、局所的摩滅に至り溝を深くする。
これらの発見は、この三相複合材料の摩耗挙動が主に、摩耗跡の幾何学的特殊性に基づくことを示唆する。観察されたトライボロジー特殊性に対する可能な説明は、COFの下方領域中、破片が鋼球の前で押され、摩耗痕跡に観察された溝をもたらすということかもしれない。鋼球が溝の上を滑る定常状態が達成されると、より少ない接触表面が粘着性のより少ない摩擦をもたらすため、グラファイトだけで強化した複合材料よりもCOFはかなり低くなる。COFの高い領域から低い領域への移行は、ほんの2,3の回転以内に起こり、約2μmのピンの高さ(pin height)の大幅な増加が付随して起こる。これは、溝が破片でふさがれ、鋼球が破片上に持ち上げられその上を滑るためと考えられる。破片は、かなり丸いと思われ、摩耗溝で鋼球の下を転がることにより、摩擦力を低減すると考えられる。COFがより高い領域へ飛び戻るのは、グラファイト粒子が摩耗痕跡から取り去られ、球が溝壁上に戻り落ちてその上を滑ることにつながる穴に大量の破片が押し入れられるときに起こるのかもしれない。
非常に低い強化材含有量が両方の複合材料のCOFを下げるのに十分であるという事実は、その機構が、2つの材料の静的対合に基づくものではなく、滑り中の動的接触への破片の影響にいっそう多く基づくという、さらなる証拠を与える。ある場合には、グラファイトが滑剤や破片トラップとして機能し、他の場合には、ZrCが摩耗痕跡の地形を変える溝形成をもたらす。特に、いったん摩耗痕跡が一定の深さに達したら、破片は痕跡内にとどまり、縁を越えて押し出されることはないであろう。
先の説明とは対照的に、摩耗時の破片又は摩耗痕跡の結晶化に対する手がかりは見つからなかったが、マトリックス材料のいくつかのこすれ(smearing)が観察された。このこすれは、過冷却液体領域で起こると予期され、マトリックス材料のかなり大きい部分である。滑り速度が非常に低いため、こすられた材料はおそらく、次の回転が起こる前に、試料バルクへの熱伝導により冷やされる。この冷却は、局部的結晶化を妨げるのに十分に速いと考えられる。トライボロジー試験中、試料にかかる局所的応力はかなり大きくなり得る。もし接触面を摩耗痕跡の直径(120μm)の円であるとみなすと、全体的な応力は1N荷重で約90MPaとなるであろう。しかしながら、もし硬い破片の非常に小さな粒子が球と試料の間にあるかもしれないと考慮すれば、接触表面は大幅に減少し、マトリックス材料の流動応力(約1.9GPa)を容易に超える非常に高い局所応力をもたらし、このことはまた、摩耗痕跡の縁の、観察された局所剪断バンディングをも説明するであろう。
摩耗率に関する限り、本観察は非常に定性的である。しかしながら、摩耗痕跡の幅及び摩耗跡の測定深さは、複合材料の摩耗率がアモルファスVit 105や使用したテスト装置の業務用軸受鋼よりも低いという証拠を与える。これは、少なくとも部分的には、グラファイトの自己潤滑性効果及び、破片用のトラップとして機能するグラファイト粒子を引きはがした穴によると考えられ、この両方が少ない摩損をもたらす。
結論:
結論として、この研究で開発されたBMGグラファイト複合材料は、金属ガラスに特有の高い降伏強度と相まって、結晶質合金に匹敵するその高い塑性により、構造応用のための非常に前途有望な材料を構成する。マトリックス−粒子の接触面、特にその硬度は、これらの複合材料の機械的特性に大きく影響する。これらの異粒子強化型複合材料の微細構造は、特定の用途に対して調整でき、容易に再生可能であるため、これらの新しい複合材料は、アモルファス構造材料の分野全体における研究努力に大きな影響力を持つであろう。
さらに、グラファイト強化型、及び、新規に開発されたグラファイト及び炭化物強化型BMGsのトライボロジー的性質を、アモルファス合金及び結晶質合金並びに軸受鋼のトライボロジー的性質と比較した。グラファイト及び特に炭化物強化はCOFの大幅な低下をもたらすことがわかった。炭化物を含む複合材料は、COFの2つの領域を示した。下方の領域に見られた非常に低いCOFは、炭化物粒子により形成された摩耗痕跡の形状によると考えられる。この摩耗領域では、COFが、モノリシック合金より最大4倍低い。トライボロジー試験後の破片または摩耗痕跡の結晶化は観察されなかった。摩耗率の定性的比較は、新規に開発された複合材料が、参照材料として使用した100Cr6軸受鋼よりずっと低い摩耗率を示すことができる証拠を与える。複合材料の高い降伏強度と組み合わせたこれらのトライボロジー的性質により、複合材料は、ドライ摩擦軸受材料の興味深い候補となる。
上記実施例は、Vit 105に基づく複合材料に関連していたが、異なる組成を有するBMGsに基づく複合材料でも、同様の結果が得られることが予期されると思われ、本発明はVit 105に基づく複合材料に決して制限されない。マトリックス合金による粒子表面の湿潤性が良好な場合、均一な粒子分布はより簡単に達成されるが、湿潤性が乏しい場合もまた、複合材料を製造することができる。同様に、マトリックス合金とグラファイトの間で反応が起き得ることは必要ではない。しかしながら、上述の実験は、Zr系ガラス形成合金が、本発明の複合材料のための、特に良好なマトリックス材料であることを提案する。
方法:
(a)試料の作製
原子組成Zr52.5Cu17.9Ni14.6Al10Ti(Vit 105)を有するプレアロイ(pre−alloys)を、300mbarアルゴン(Ar)6.0雰囲気中で高純度成分(>99.95%)をアーク溶解し、直径13mm、長さ40mmの銅鋳型に溶融合金インゴットを流し込むことによって、Buhler AMシステムで作製した。続く複合材料の作製は、1200mbarアルゴン6.0雰囲気中で行った。25〜44μm又は44〜75μmの粒径を有する、2〜20体積%の導電性グレードの(conducting−grade)グラファイトを、水冷したシルバーボート内でグラファイト粉末上に合金を誘導溶解することにより、マトリックス材料と混合した。粉末を拾い上げた後、試料をシルバーボートで再び溶かし、均一な粒子分布を得た。結晶質複合材料を、Buhler MAM1 アーク溶解装置で、長さ30mmの3mmロッド(圧縮試験、熱物理特性及び画像化用)又は2mm×7mm×30mmのプレート(トライボロジー測定用)に吸引鋳造した。圧縮試験用に、3mmロッドから、5mm長の薄片を切り取った。より薄い薄片を、熱物理調査用に切り取った。トライボロジー用の試料は、まず研磨し、その後0.05μm酸化アルミニウム(Al)分散液で磨いた。
標準試料は、アーク電力設定1(0.35kW電源入力に相当)で鋳造し、界面ZrC生成を引き起こすためには、2.5(1kW)と4(2.1kw)の設定を使用した。必要であれば、より激しい炭化物生成を開始させるために、試料を数回再溶解した。
モノリシックBMG試料を、誘導混合段階なしで作製した。1つの試料は、430℃で75分間アニール処理することにより完全に結晶化した。硬化100Cr6軸受鋼を、トライボロジー試験用の参照資料として使用した。
(b)構造及び熱物理特性
Cu−Kα放射を用い、PANalytical X’Pert 回折計で研磨した試料にXRDを実施した。熱量分析には、Seiko DSC 220CU システム及びSetaram Labsys システムを使用した。熱量測定は、加熱速度20K/minで、約20mgの試料重量を用いて行った。元素分析には、Noran Energy Dispersive X−ray(EDX)検出器を備えたCamScan走査型電子顕微鏡(SEM)を使用した。光学顕微鏡検査用の試料は、0.05μm酸化アルミニウム(Al)懸濁液で研磨し、70ml蒸留水に30ml硝酸(HNO)を溶かした溶液でエッチングした。光学顕微鏡画像を作るために、Leicaカメラと組み合わせたReichert−Jung Polyvar Met顕微鏡を使用した。
(c)機械的特性
硬度測定は、圧時間6秒で、HV30にセットし、Gnehm Brickers 220機器で実施した。圧縮試験は、ひずみ速度毎秒10−3で、Merlin ソフトウェアと組み合わせたSchenk Trebel引張試験器で行った。微細構造の調査に対しては、高解像度Zeiss Gemini 1530 FEG走査型電子顕微鏡を使用した。
(d)トライボロジー特性
材料のトライボロジー的性質を、CETRマイクロトライボメータで調べたが、ここでは、試料を無潤滑、毎分100mmの一定滑り速度で、直径2mmの軸受鋼球に対し組み合わせた。全ての試験は、室温、約40%の相対湿度で行った。球を5N荷重で100回転させた後、同じパラメータで最初の試験を行い、続いて、1N荷重で100、10及び1000(全ての試料に実施しない)回転試験を行った。球を半径2.9mmで引き入れ、続く試験のそれぞれに対し、直径を0.4mmだけ減少させた。COFの高い領域は、100回転試験で得た力のデータの線形近似により決定した。鋼の試料では、酸化物層のせいで100回転後もCOFがまだ平衡状態でなかったため、1000回転のデータを使用した。1000回転試験において2つのCOF領域を示す試料では、下の段の値を平均してCOFの下方領域を決定した。トライボロジー表面のグラファイト体積含有量は、Leica QWinソフトウェアを用いた光学顕微鏡写真の調査によって決定した。
5体積%のグラファイトを有する、グラファイト粒子強化型BMG複合材料の光学顕微鏡画像を示す。 モノリシックなVit 105と、様々なグラファイト粒子体積含有量を含むBMGグラファイト複合材料の示差走査熱量測定(DSC)スキャンを示す。 異なる鋳造温度で製造した、3.5体積%グラファイト強化のBMGグラファイト複合材料のX線回折(XRD)スキャンを示す。 様々な強化材含有量のグラファイト強化型Vit 105複合材料、鋳放し3mmに対する、圧縮応力−ひずみ曲線と硬度(差し込み図)を示す。 最適化された粒径及びプロセスパラメータを有する、鋳放し3mmのグラファイト強化型Vit 105複合材料に対する圧縮応力−ひずみ曲線を示す。 図4及び5から導き出した強度と塑性の、文献値との比較を示す。 破断面及び粒子−剪断帯相互作用の走査電子顕微鏡(SEM)画像を示す 5体積%のグラファイト強化材を有し、界面炭化物含有量を増やした、試料1〜3で表す三つの試料に対するXRDスキャンを示す。 試料1〜3に対する応力−ひずみ曲線を示す。 試料1の光学顕微鏡画像を示し、マトリックス−粒子接触面に沿った異なる程度の炭化物生成を示す。 試料3の光学顕微鏡画像を示し、マトリックス−粒子接触面に沿った異なる程度の炭化物生成を示す。 0.35kW及び2.1kW電源入力で処理された複合材料の硬度を、モノリシックなマトリックス材料と比較して示す図である。 グラファイト/ZrC強化型BMGの光学顕微鏡写真を示す。 上述の三種類の複合材料のXRDスキャンを示す。 トライボロジー的性質を測定するための装置概略図である。 8体積%のグラファイトを含む複合材試料に異なるパラメータで作った摩耗痕跡の概観を示すSEM画像である。 トライボロジー試験前後の、4体積%のグラファイトを有する複合材料、及びin situ生成のZrCをともなう3体積%グラファイトを有する複合材料のXRDスキャンを示す。 in situZrC生成有り及び無しの複合材料に対する、グラファイト含有量に依存するCOFを表す図である。in situZrC生成をともなう複合材料に対しては、上方及び下方領域のCOFが見られる。
[略語の説明]
BMG バルク金属ガラス
COF 摩擦係数
DSC 示差走査熱量測定
EDX エネルギー分散X線回折法
XRD X線回折
SEM 走査電子顕微鏡法
HV30 30N押力で測定したビッカース硬度

Claims (25)

  1. −実質的に連続なマトリックスを形成する実質的にアモルファスの第1の相で、本質的に合金からなる第1の相と、
    −前記マトリックス中に埋め込まれた第2の相で、グラファイト粒子を含む第2の相と、
    を含む複合材料。
  2. 前記グラファイト粒子は、1から100マイクロメータの範囲の大きさを有する、請求項1に記載の複合材料。
  3. 前記グラファイト粒子は、25から75マイクロメータの範囲の大きさを有する、請求項1に記載の複合材料。
  4. 前記第2の相は、前記複合材料の3体積百分率から20体積百分率を占める、請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合材料。
  5. 前記第2の相は、降伏に至るまでの前記複合材料の圧縮変形下で、前記グラファイト粒子の周りに、約5マイクロメータ未満だけ間隔をあけた剪断帯の分布を引き起こすように選ばれる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合材料。
  6. 前記第1の相の合金は、液体状態で、前記第2の相をぬらすことができる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合材料。
  7. 前記合金は、金属炭化物を生成するためのグラファイトとの反応に対し、負の生成エンタルピーを有する金属を、少なくとも約40原子百分率含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の複合材料。
  8. 前記合金は、ジルコニウムを少なくとも約40原子百分率含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の複合材料。
  9. 前記合金は、本質的にZr52.5Cu17.9Ni14.6Al10Tiからなる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の複合材料。
  10. 前記第2の相の前記グラファイト粒子の少なくとも一部分は、本質的にグラファイトからなるコアと、少なくとも1つの金属炭化物を含む表面層を有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の複合材料。
  11. 前記表面層は、少なくとも100ナノメータの厚みを有する、請求項10に記載の複合材料。
  12. 前記グラファイト粒子は、少なくとも約25マイクロメータの大きさを有する、請求項10又は11に記載の複合材料。
  13. 前記表面層は、前記合金とグラファイトの反応によりin situ生成された、少なくとも1つの金属炭化物を含む、請求項10〜12のいずれか1項に記載の複合材料。
  14. 前記表面層は、本質的に炭化ジルコニウムからなる、請求項10〜13のいずれか1項に記載の複合材料。
  15. 前記マトリックス中に埋め込まれた第3の相をさらに含み、前記第3の相は結晶状粒子を含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の複合材料。
  16. 前記第3の相は、前記第1の相の合金と同じ元素から成る結晶状粒子を含む、請求項15の複合材料。
  17. 前記第3の相は、炭化物粒子を含む、請求項15の複合材料。
  18. 前記炭化物粒子は、前記合金とグラファイトとの反応によりin situ生成された少なくとも1つの金属炭化物を含む、請求項17に記載の複合材料。
  19. 前記炭化物粒子は、本質的に炭化ジルコニウムから成る、請求項17又は18に記載の複合材料。
  20. 前記炭化物粒子は、約10マイクロメータ以下の大きさを有する、請求項17〜19のいずれか1項に記載の複合材料。
  21. 摩擦軸受、継ぎ目、バネから選ばれる装置で使用するための物体を製造するための、請求項1〜20のいずれか1項に記載の複合材料の使用。
  22. 複合材料を製造するための方法であって、
    合金をその液相線温度を超えて加熱し、液体合金を形成し、
    前記液体合金にグラファイト粉末を分散させ、微細分散混合物を形成し、
    実質的に連続する合金マトリックスを形成する、実質的にアモルファスの第1の相と、グラファイト粒子を含む、前記マトリックス中に埋め込まれた第2の相を含む複合材料を形成するために十分急速に、そのガラス転移温度より下に混合物を冷却することを含む方法。
  23. 前記合金は、前記グラファイト粉末の上で誘導溶解することにより、その液相線温度を超えて加熱される、請求項22に記載の方法。
  24. 前記混合物は、少なくとも一度、明らかな炭化物層が前記グラファイト粒子の表面に生成するために十分長い時間再溶解される、請求項22又は23に記載の方法。
  25. 前記混合物は、少なくとも一度、前記合金の少なくとも1つの金属成分と反応する前記グラファイト粒子の一部分が金属炭化物粒子を生成するために十分長い時間再溶解される、請求項22〜24のいずれか1項に記載の方法。
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