JP2009508521A - タンパク凝集に関連する疾患の診断予防及び治療のためのvhh - Google Patents

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Abstract

本発明は凝集体を予防及び/又は溶解する為の、重鎖可変領域抗体(VHH)を提供する。本発明のVHHは好ましくは体内の凝集体の形成に関連するヒトの疾患の治療において使用される。本発明はさらに、なかでもVHHの選択および使用のための手段及び方法を提供する。

Description

発明の詳細な説明
本発明はタンパク質の凝集体の望まれない形成、沈着及び/又は存在に関係する疾患の診断、予防及び/又は治療において使用する重鎖可変領域抗体(VHH)に関する。
本発明は特にタンパク又はRNAのような生体材料の凝集体が細胞中に望まれない形成、沈着及び/又は存在することに関係する疾患及び障害の診断、予防及び/又は治療において使用する重鎖可変領域抗体(VHH)に関する。そのような凝集体及び疾患ならびに障害の例は以下の記載により明らかである。
本発明はこのような疾患の診断、予防及び/又は治療において使用する重鎖可変領域抗体(VHH)の選択方法にも関する。
本発明はまた前記VHHからなる又は主に前記VHHで構成されるポリペプチドにも関する。そのようなポリペプチドの非制限的ないくつかの実施例は以下の更なる記載により明らかである。
本発明はまた前記VHH及びポリペプチドをコードする核酸、前記VHH及びポリペプチドの製造方法、前記VHH又はポリペプチドを発現する又は発現することができる宿主細胞、前記VHH、ポリペプチド核酸及び/又は宿主細胞を含む組成物及び特に医薬組成物、及び前記VHH、ポリペプチド、核酸、宿主細胞及び/又は組成物の本明細書中で述べる予防、治療又は診断目的のような、特に予防、治療又は診断のための使用にも関する。
本発明の他の側面、実施態様、優位性、適用は本明細書中の更なる記述から明らかである。
タンパク又はRNAのような生体材料の凝集体が望まれない形成、沈着又は存在することを特徴とする及び/又は原因とするさまざまな疾患及び障害が存在する。このことは例えば、以下に限定されないが、前記生体材料をコードする遺伝子の望まない(過剰)発現及び/又は前記生体材料及び/又は凝集体を除去又は一掃するための生体機構における欠陥の結果である。前記疾患及び障害の非制限的な例を表1に記載する。
従って、本発明の一般的な目的は前記疾患及び障害の診断、予防及び/又は治療に使用することができる化合物又は組成物を提供することである。
本明細書でさらに記載する重鎖可変領域抗体(VHH)及び、それを含むポリペプチド及び組成物がこの目的に特に最適であることが明らかになった。とりわけ、前記VHH及びポリペプチドは、望まない形成、沈着、又は前記凝集体の更なる成長を予防するために使用することができるだけではなく、少なくともそのうちのいくつかは一旦形成した前記凝集体の除去又はサイズを減少することができることが明らかになった(除去又はサイズの減少は本明細書中ではひとまとめに凝集体の「溶解」と呼ぶ。)。本発明以前は一般的に、前記反応はATPの加水分解の代価をもってのみ起こると考えられていた[a1].[Haas IG & Wabl M 1983, Nature 306, 387-。凝集体は、本明細書にさらに記載するようなものであり、及びタンパク凝集体又はRNAのような核酸の凝集体であってもよい。前記凝集体の他の実施例は本明細書の開示に基づき当業者にとって明らかである。
凝集体はヒトのような治療を必要としている対象の任意の器官、部位、組織、細胞に存在しても良い。しばしば凝集体は細胞中に存在するが、本発明はもっとも広い意味においてそのように制限されず、細胞外の凝集体の溶解に本明細書に記載されたVHH及びポリペプチドを使用することを包含する。重ねて、前記凝集体及び凝集が起こる器官、組織又は細胞のいくつかの非制限的実施例は、本明細書の更なる記載より当業者にとって明らかである。
本発明で使用するVHH及びポリペプチドは特定の溶解される凝集体及び/又は治療される疾患に依存する。どの場合においても、VHHは凝集体を形成する物質(例えばタンパク又は核酸)の少なくとも1つの抗原決定基(例えばエピトープの一部分)を認識し、さらに溶解される特定の凝集体に依存する。いくつかの特定の、しかし非制限的な前記抗原決定基の実施例は本明細書の更なる記載により明らかになり、例えば以下で述べるようなポリ-Ala及びポリ-Glnリピートのような特定のアミノ酸リピート又はモチーフを含む。従って、特定の一非制限的実施態様において、本発明のVHH及びポリペプチドは前記エピトープを認識し及びタンパク又は他の前記エピトープを含む生体材料から形成する凝集体を溶解するために使用することができる。本発明はまた前記エピトープを認識するVHHの選択方法及び/又は特定の凝集体を溶解するために使用できる方法及び/又は特定の疾患を予防若しくは治療する方法を提供する。前記方法について本明細書にさらに記載する。
本発明のVHH、ポリペプチド及び組成物はとりわけ表1に示される疾患及び障害の予防、診断、及び治療及び/又は前記疾患及び障害に付随する望まれない凝集体の溶解に使用される。とりわけ、本発明のVHH、ポリペプチド及び組成物はいわゆる 「ポリグルタミン病」 (本明細書に記載されるように、表1に示されるいくつかの特定なしかし非制限的な実施例)、「ポリアラニン病」 (本明細書に記載されるように、表1に示されるいくつかの特定な、しかし非制限的な実施例) 及び/又は「RNA病」(本明細書に記載されるように、表1に示されるいくつかの特定な、しかし非制限的な実施例)、又は表1に示される他の凝集障害のうちの1つの予防及び治療に使用されても良い。重ねて、前記疾患及び障害の更なる実施例は本明細書の記載に基づき当業者にとって明らかである。
本発明で使用されるポリペプチドは本明細書に記載される1又はそれ以上のVHHを含み又は主に構成されていても良い。例えば、本発明で使用されるポリペプチドは本明細書に記載された1つのVHH(「一価の」VHH)からなるか若しくは主に構成されるか、又は2つ以上のVHH(「他価の」VHH)からなるか若しくは主に構成される。
本明細書に記載したVHHの部分、断片、類似体、変異体、変種(variants)、対立遺伝子(alleles)及び/又は誘導体(本明細書ではひとまとめに「類似体類」とする)を使用することも及び/又は一以上の前記類似体類からなる若しくは主に構成されるポリペプチドを使用することも、これらの類似体類及びポリペプチドが本明細書で予想する使用に適しているものであり、及びとりわけ本明細書で記載されている凝集体を溶解することができる限り、また可能である。前記類似体類及びポリペプチドは本明細書における開示に基づき、任意にいくつかの限定的な実験の後に当業者にとって明らかである。
他の非限定的な実施態様によれば、本発明のポリペプチドは、少なくとも1つの本明細書に記載されたVHH及び少なくとも1つの他のアミノ酸配列(タンパク又はポリペプチドのような)及びとりわけVHH及び/又は得られる融合タンパクに少なくとも1つの望ましい特性を付与する少なくとも1つの他のアミノ酸配列からなるか又は主に構成される融合タンパクである。前記アミノ酸配列及び前記融合構成物のいくつかの非制限的実施例は本明細書中のさらなる記載及び/又は以下に引用するさらなる参考文献によって明らかである。
例えば、当業者にとって明らかなように、前記アミノ、酸配列は合成されると、宿主細胞からVHHを分泌するシグナル配列又はリーダー配列を形成する。前記アミノ酸配列はまたVHHを特定の臓器、組織、細胞、又は細胞の部分若しくはコンパートメントに向かわせる及び/又は浸透させる又は入れるための、及び/又はVHHを細胞膜、上皮細胞の層のような細胞層、固形腫瘍を含む腫瘍、又は血液脳関門のような生物学的障壁を浸透し又は通過するようにするための配列又はシグナルを形成する。前記アミノ酸配列の実施例は当業者にとって明らかである。いくつかの非制限的な実施例はWO 03/026700、Temsamani et al., Expert Opin. Biol. Ther., 1, 773 (2001); Temsamani and Vidal, Drug Discov. Today, 9, 1012 (004)及びRousselle, J. Pharmacol. Exp. Ther., 296, 124-131 (2001)に記載されたスモールペプチドベクター(「Pep-trans vectors」)及びZhao et al., Apoptosis, 8, 631-637 (2003)に記載された膜トランスロケーター配列(membrane translocator sequence)である。抗体断片の細胞内標的のためのC末端及びN末端アミノ酸配列は Cardinale et al., Methods, 34, 171 (2004)に記載されている。細胞内ターゲティングのための他の適切な技術には、本明細書に記載するVHH、例えばWO 94/02610、WO 95/22618、US-A-6004940、WO 03/014960、WO 99/07414、WO 05/01690、EP 1 512 696及びCattaneo, A. & Biocca, S. (1997) Intracellular Antibodies: Development and Applications. Landes and Springer-Verlag; and in Kontermann, Methods 34, (2004), 163-170及びこれらの中でさらに記載された引用文献記載されるような実施例を含むいわゆる「イントラボディ(intrabodies)」の発現及び/又は使用が含まれる。
本発明のポリペプチドの特定な、しかし非制限的な実施態様によれば、少なくとも1つの本明細書に記載されたVHH及び少なくとも1つの他のVHH(例えば他のエピトープ、抗原、標的、タンパク又はポリペプチドに対するもの)からなる又は主に構成される。前記タンパク又はポリペプチドはまた、本明細書では「多重特異的(multispecific)」タンパク若しくはポリペプチド又は多重特異的組成物ともいい、及びこれらは対応する一価のVHHと比較していくつかの優位性を示す。重ねて、前記多重特異的組成物のいくつかの非制限的実施例はさらなる本明細書の記載及び/又は本明細書で引用される文献から明らかである。
例えば、前記さらなるVHHは、特定の器官、組織、細胞または細胞の部分若しくは画分に向かうVHH又はペプチドでもよく及び/又はVHH又はポリペプチドが細胞膜、上皮細胞の層のような細胞層、固形腫瘍を含む腫瘍、又は血液脳関門のような生物学的障壁を浸透又は通過させてもよい。前記VHHの実施例は細胞表面タンパク、マーカー、又は望ましい器官、組織又は細胞のエピトープ(例えば腫瘍細胞に関係する細胞表面マーカー)及びWO 02/057445に記載されている単一領域脳標的抗体断片である。
2又はそれ以上の上述の実施態様を組み合わせることもでき、例えば本明細書に記載された2つのVHH及び1つの他のVHH及び任意に1又はそれ以上の他のアミノ酸配列を含む3価の二重特異的(bispecific)な組成物を提供することができる。前記組成物のさらなる非制限的な実施例は本発明の内容において特に好ましいいくつかの組成物と同様に、本明細書のさらなる記載から明らかである。
前記多価及び/又は多重特異的組成物において、1又はそれ以上のVHH及び/又は他のアミノ酸配列が直接結合又は1又はそれ以上のリンカー配列を介して結合していても良い。前記リンカーの適切な実施例は当業者にとって明らかである(例えば以下に引用されている技術を参照せよ)。そのような例として、例えば抗体断片に結合するためのすべてのリンカー(例えばScFv 断片の形成)をも含む。
多価及び多重特異的な組成物及びそれらの設計及び調製の一般的な記載については、Conrath et al., J. Biol. Chem., Vol. 276, 10. 7346-7350, 2001、同様に例えばWO 96/34103及びWO 99/23221を参照されたい。
VHH又はポリペプチドが1又はそれ以上の官能基と結合(例えば共有結合)している、本明細書に記載したVHH及びポリペプチドの誘導体を使用することもまた可能である。前記官能基及びそれらを本明細書に記載したVHH及びポリペプチドに結合する方法は当業者に明らかであり、例えば当該分野で抗体又は抗体断片を修飾するために知られているすべての官能基を含む。例えば、診断目的の為には、VHH又はポリペプチドは、標識VHHの使用意図に依存して、検出可能な部分又は他のシグナル産生基若しくは部分と結合していてもよい。適切な標識及び結合の為の技術、前記基の使用及び検出は当業者にとって明らかである。例えばそのような例として蛍光標識(フルオレセイン、イソチオシアネート、ローダミン、フィコエリスリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o-フタルアルデヒド及びフルオレスカミン及び152Euのような蛍光金属(fluorescent metal)又はランタン系列の他の金属)、リン光標識、化学発光標識又は生物発光標識(ルミナール、イソルミノール、セロマティックアクリジニウムエステル(theromatic acridinium ester)、イミダゾール、アクリジウム塩、オキサレートエステル、ジオキセタン又はGFPおよびその類似体のような)、放射性同位元素(3H、125I、32P、35S、14C、51Cr、36Cl、57Co、58Co、59Fe、及び75Seのような)、金属、金属キレート又は金属カチオン(例えば99mTc、123I、111In、131I、97Ru、67Cu、67Ga及び68Gaのような金属カチオン又は発色団及び酵素(リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、ブドウ球菌ヌクレアーゼ、デルタ-V-ステロイドイソメラーゼ、酵母アルコールデヒドロゲナーゼ、アルファ-グリセロリン酸デヒドロゲナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ビオチンアビジンペルオキシダーゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、アスパラギナーゼ、グルコースオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、リボヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコース-VI-リン酸デヒドロゲナーゼ、グルコアミラーゼ及びアセチルコリンエステラーゼのような)と同様、(157Gd、55Mn、162Dy、52Cr及び 56Fe)のようなin vivo、in vitro又はin situ 診断及びイメージングに特に適している他の金属又は金属カチオンが挙げられるが、これらに限られない。他の適切な標識は当業者にとって明らかであり、例えばNMR又はESR分光器を使用して検出することができる部分を含む。前記標識VHH及びポリペプチドは、in vivoの診断及びイメージングの用途と同様、特定の標識の選択に依存して、例えばin vitro、in vivo又はin situのアッセイ(ELISA、RIA、EIA及び他の“サンドイッチアッセイ”等として知られるイムノアッセイを含む)で使用しても良い。
他の態様において、本発明は、本明細書に記載するVHH及び/又は本明細書に記載したポリペプチドを発現する又は発現することができる及び/又は同じものをコードする核酸を含む又は発現する宿主又は宿主細胞に関する。原則として、任意の適切な宿主細胞又は発現系を使用することができ、及びその実施例は当業者にとって例えば本明細書でさらに引用する参考文献から明らかである。
本発明はさらに、本明細書に記載される少なくとも1つのVHH、本明細書に記載される1つのポリペプチド、及び/又は少なくとも1つのそれらをコードする核酸、並びに、任意に、そのような組成物の成分として知られている1又はそれ以上の成分、すなわち、組成物の使用目的に応じた成分を含む又はそれらから構成される生成物又は組成物に関する。
そのような生成物又は組成物は例えば医薬組成物(本明細書に記載されるように)、動物用医薬組成物又は診断に使用するための組成物(また本明細書に記載されるように)であっても良い。前記生成物又は組成物のいくつかの好ましい、しかし非制限的な実施例は以下に引用する参考文献及び/又は本明細書のさらなる記載により明らかである。
本発明はさらに本明細書に記載されるVHH、ポリペプチド、核酸、宿主細胞、生成物及び組成物の調製又は製造方法に関する。前記方法のいくつかの好ましい、しかし非制限的な例は本明細書中のさらなる記載から明らかである。
本発明はさらに凝集体の望まない形成、沈着、又は存在に関係する疾患及び障害の予防及び/又は治療方法と同様、本明細書に記載されたVHH、ポリペプチド、核酸、宿主細胞、生成物及び組成物の適用および使用に関する。いくつかの好ましい、しかし非制限的な適用および使用はさらなる本明細書の記載から明らかである。
本発明の他の態様、実施態様、優位性及び適用もまた、以下のさらなる本明細書の記載から明らかである。
本発明のVHHは任意のそれ自体が知られている方法で生産され、これは当業者にとって明らかである。一般的に、これは凝集体を形成するタンパク質又は材料の上の少なくとも1つのエピトープか抗原決定基に対するVHHを選択する少なくとも1工程、及び好ましくはまた、所望の凝集体を溶解することができるVHHを選択する(すなわち、このようにして選択されたVHHから)さらなる少なくとも1工程を含む。第一の選択工程は、HoogenboomによってNature Biotechnology, 23, 9, 1105-1116 (2005)でレビューされた技術、いわゆるSLAM技術、(例えば、欧州特許出願0 542 810に記載されるような)、ヒト免疫グロブリンか周知のハイブリドーマ技術を表す遺伝子導入マウスの使用(例えば、Larrick et al, Biotechnology, Vol.7, 1989, p934を参照 )のような所望する抗原に対するVHH又は抗体を選択するためのそれ自体が知られている任意の方法で実行できる。一般的に第二工程は、任意の適切なin vitro、細胞ベース又は、in vivoのアッセイを使用して(特定の凝集体に依存する)行うことができ、適切なアッセイは本明細書の開示に基づいて、当業者にとって明確である。
非免疫ライブラリーから始まる選択においては10e9に関してファージの数は約10e9から10e4に減少されるのに対し、典型的には、免疫ライブラリーで始まる選択において、ファージの数は10e7から10e4に減少される。選択はファージと選択する抗原の結合に基づく。その後の過程は、in vivoにおける選択されたVHHの折りたたみの特性を評価するために、選択されたVHHの遺伝子のDNAフィンガープリント法、E.coli、及び下等真核生物での生産から成り、一般的に陽性ファージの数は10e4から10e2に減少される。選択されたVHHのin vivo における折りたたみ特性のスクリーニングはその細胞の内側及び外側の機能性により選択される。in vivo における正確な折りたたみと in vitro におけるVHHの(再)折りたたみとの間には強い相関があることが見出されている。このスクリーニングの後、典型的には20-50のVHHが適切な候補として残り、これらの候補VHHから核酸配列が決定され、アミノ酸配列が提供される。最終的に、このようにスクリーニングされた陽性VHHは闘うべき疾患の実際の条件下で試験される。本発明において、我々はタンパク誘因性細胞内凝集の発現及びクリーニングが陽性で、アミノ酸配列が異なるVHHの自発的発現について記載する。最終スクリーニング過程は通常、アミノ酸配列が決定された候補VHHの数を20%未満に減少させる。凝集に関係する疾患と闘うには凝集体の予防が好ましいが、さらにもっと好ましいのは存在する凝集体を溶解する特性を有するVHHをスクリーニングすることである。このスクリーニングはVHHの発現前にタンパクを形成する凝集体の合成により行うことが出来る。
一旦生成されると、同じものを含むVHH(又はその誘導体)及びポリペプチドは、以下にさらに記載するようにそれ自体が知られている任意の適切な方法で調製してもよい。
抗体及び抗体誘導体は遺伝子生成物及びその機能をin vitro の系及び自然な状況下で研究する中で最も好ましい手段である [b1-3] [Bradbury A et al 2003a, Trends in Biotechnol 21, 275-281; Bradbury et al 2003b, Trends in Biotech 21, 312- 317; Hust M & Dubel S 2004, Trends in Biotech. 22, 8-14].[1-3]。しかし、従来の抗体生成方法には、種間で高いホモロジーを有するタンパクに対する抗体、膜タンパクに対する抗体の厄介な産生及び時間的若しくは経済的に有効な方式で大規模なモノクロナール抗体供給源を生成することの難しさを含むいくつかの制限がある。
これらの欠点のうちいくつかは、抗体が典型的には重鎖及び軽鎖の可変領域が内因性のファージコートタンパクと融合することなどにより担体の表面に発現したものを含む、抗体ディスプレイライブラリーを使用する事により克服することができる[McCafferty J. et al 1990, Nature 348, 552-554; Smith GP Science 228, 1315-1317]。免疫性[b6][Clackson T et al. 1991, Nature 352, 624-628 及び非免疫性[b4] [McCafferty et al 1990, Nature 348, 552-554] のレパートリーの両方とも、抗体ディスプレイライブラリーを構築するのにうまく使用されている。しかしながら、in vivoの成熟IgG分子の選択的な組み合わせと対照的に、重鎖及び軽鎖V-遺伝子のランダムな組み合わせに関連した技術的な制限により、ディスプレイから誘導した抗体の大多数は非機能的又は非特異的となり、ほとんどの自然に起こるV遺伝子の組み合わせが失われる [b7] [Marks JD 1992, Biotechnology 10, 779-783]。
抗体ディスプレイ法と重鎖可変領域抗体(VHH)から誘導した断片の組み合わせ [b8, 9][Arbabi Ghahroudi M et al. 1997, FEBS Lett. 414, 512-516; v.d. Linden R et al. 2000 , J. Immunol. Methods 240, 185-195] は前記技術的制限を超えて利用できる天然抗体結合領域の新しい源である。ラクダ科はそれらの従来の免疫のレパートリーに加え、同様に、2個の同じ重鎖分子単独で構成される重鎖抗体の通常のレパートリーを発現する。従って、各抗体の抗原結合領域は可変領域の重鎖(VH)及び軽鎖(VL)の遺伝子の組み合わせというよりはむしろ、単一の遺伝子でコードされている。軽鎖の不足を補うために、重鎖の抗体の可変領域はいくつかの適合を受け、一般的には相補性決定領域(CDR)3の拡大としばしば行われるのはいわゆるフレームワーク残基の使用であり、その結果、従来の抗体のものに匹敵した抗原とVHHとのインタフェースを作成する [b10] Desmyter A et al. 1996, Nature Struct Biol 3, 803-811]。高能率的な選択とスクリーニング戦略と組み合わせた非免疫重鎖抗体供給源のディスプレイ技術は特に病気関連のタンパク質に対する高親和性VHHの大きいパネルの迅速で費用対効果に優れた設立をもたらす。本発明においてVHH及びVHH-様分子はVHHと呼ぶ。
ライブラリーからのVHH選択は周知のファージディスプレイ法から開始する。しかしながら、現在多くの異なるディスプレイ法が利用可能である。ディスプレイ法はすべて、VHHを少なくともVHHの抗体結合特異性をコードする核酸を含む担体に結合させる。ディスプレイライブラリーは従ってすべて前記核酸を含む担体に関係するVHHを含む。この結合の結果、VHHの選択はコードする核酸の選択に帰着する。この核酸は配列を決定することができ又選択したVHHを担体と共に又は担体無しで増幅するのに使用することができる。
本発明の1つの態様において、非免疫VHHファージディスプレイライブラリー等からの特異的VHH分離方法を提供する。VHHは連続する選択プロトコールで選択され、第一ラウンドで選択されたVHHは第2ラウンドで出発物質として使用される。選択されたサブセットを直接その後の選択ラウンドで使用しても良い。典型的には、しかしながら、当該サブセットはまず続きの選択ラウンドの開始前に増幅する。したがって本発明の態様において、多数のVHH担体を含むディスプレーライブラリーからの抗原特異的VHH担体の選択方法を提供し、前記方法は、少なくとも2つの連続する抗原結合指示性VHH担体の選択ラウンドを含み、VHH担体と指示性固定した抗原の接触によって前記ライブラリーから1ラウンドの選択VHHが選択され、および一方のラウンドにおいては、抗原特異的VHH担体はVHH担体と受動性固定された抗原との接触により選択される。好ましい実施態様において、本発明は、一選択ラウンドにおいてVHH担体のサブセットが前記ライブラリーを指示性固定した抗原と接触させることにより前記ライブラリーから選択される方法、及び連続する選択ラウンドにおいて、前記抗原特異的VHH担体が前記サブセットまたはその部分を受動性固定した抗原と接触させることにより前記サブセットから選択される前記方法を提供する。この選択工程の順番は、自然な構造を有する、とりわけ抗原と相互作用するタンパクとの複合体の状態の抗原に対し高い親和性を有する、より特異的なVHHを結果として得ることができる。
好ましくは、少なくとも1つのスクリーニングラウンドが少なくとも2つの選択ラウンドに続き、前記スクリーニングラウンドにおいて、2又はそれ以上のVHH又はVHH担体をそれぞれin vivo及び/又はin vitroにおいて、前記抗原を含むタンパクの凝集を少なくとも部分的に予防する特性及び/又は少なくとも部分的に前記抗原を含むタンパクを含む凝集体を溶解する特性について試験する。
本発明の選択ラウンドにおいて、VHH及び/又はVHH担体は使用する条件下での抗原への親和性に基づき、より大規模なコレクションから選択される。好ましくは、これらの条件は疾患に特徴的な条件にできるだけ近似する。スクリーニングラウンドにおいて、VHH及び/又はVHHの前記抗原に対する親和性を含む機能的特性が精査される。スクリーニングラウンドの結果は典型的にはスクリーニングラウンドにかけたコレクションから1又はそれ以上のVHH 及び/又はVHH担体を選択するのに使用される。したがって選択ラウンドは典型的には抗原に対する親和性を有するVHH又はVHH-担体をVHH及び使用する条件下で抗原に結合しないVHHを含む大規模なコレクションから選択する。スクリーニングラウンドは典型的にはVHH又はVHH担体をVHHが親和性を有する抗原を含むタンパク又はタンパクの凝集体について試験する。本発明において試験には、少なくとも前記抗原を含むタンパクの凝集を部分的に予防する特性及び/又は現存する前記抗原を含むタンパクの凝集体を少なくとも部分的に溶解する特性が必然的に伴う。選択及びスクリーニングラウンドは好ましくは連続的に行う。しかしながら、選択及びスクリーニングは一緒にすることもできる。例えば、スクリーニングラウンドは使用条件下で前記抗原に結合しない又は前記抗原に結合するかどうかわからないVHH又はVHH担体を含んでも良い。逆に、選択ラウンドはVHH及び/又はVHH担体の機能性試験を含んでいても良い。
抗原の方向性固定は様々な方法で達成できる。方向性は典型的には抗原と特異的結合メンバー間の親和性相互作用により達成する。前記メンバーは抗原に対する特異的リガンド又は受容体であり得るが、典型的には抗体又はVHHである。この種類の結合は抗原をその天然の構造で固定することができるという優位性を有する。抗原の固定は抗原が通常伴う及び/又は共に複合体を形成するタンパクと共に行うこともできるが、これは必要条件ではない。受動的固定は典型的には非特異的な相互作用による抗原の固定により行われる。本明細書で起用される固定という用語は抗原と固相の結合を意味する。固相との結合により周囲の媒体から抗原(及び結合したVHH又はVHH担体)を分離する。非制限的な固相はプラスチック、ガラス及び金属である。金属は典型的にはビーズの形態で使用される。磁性化することができるビーズがしばしば使用される。抗原の固定化は典型的には抗原をVHH担体にさらす前に行う。しかしながら、これは必須ではない。例えば、方向性固定は特にVHH担体との結合後の抗原の固定に適している。この実施態様において、抗原-VHH担体複合体は周囲の媒体(結合していないVHH担体を含む)から前記媒体を前記特異的結合メンバーと接触させることにより分離することができる。もし特異的結合メンバーが固相に結合すれば抗原-VHH複合体は特異的結合メンバーの抗原への結合により固定される。周囲の媒体の分離は通常通り続いて進むことができる。従って、前記方向性固定化抗原の好ましい実施態様において抗原は前記抗原上のエピトープに特異的な特異的結合メンバーにより固体の表面に固定される。前記エピトープはC-又はN末端がmyc、his、VSV、V5又はin vivoにおけるビオチン化によりC末端がビオチン標識されているような「人工的に誘導された」エピトープでもあり得る。
選択工程はコレクションのいくつかのメンバーがコレクションの他のメンバーから分離/単離される際の選択基準を必然的に伴う。これはVHH担体のコレクションのメンバー(出発ライブラリー又は1又はそれ以上の選択ラウンドで得られたサブセット)が選択ラウンドで使用される条件における抗原への親和性に基づき他のメンバーから分離されることを意味する。選択ラウンドには典型的には、選ばれた結合条件下VHH担体のコレクションが抗体に結合する少なくとも1工程及び選択した洗浄条件下で、結合しないVHH担体から結合した抗原を分離する少なくとも1工程を含む。適切な結合及び洗浄条件を選択することにより、特定の抗原に結合する特性を有するVHHを選択することができる。
抗原は典型的にはタンパクである。タンパクは好ましくは天然のタンパク又はその部分である。抗原は疾患に関連するタンパク又はその部分であり得る。抗原は例えば天然のタンパクの変異型でもあり得る。天然のタンパクとは別に、抗原は又それから加工又は人工的/合成されたものでもあり得る。前記抗原の好ましい実施態様は哺乳類、好ましくは霊長類の遺伝子によってコードされるタンパクの抗原である。哺乳類及び特に霊長類はヒトに密接に関連し及びヒト細胞内で機能し及びヒトのタンパクとエピトープを共にする多くのタンパクを有する。従って、当業者はヒト及び好ましくは霊長類のものから誘導した抗原をを選択することでヒトのタンパクに特異的に結合することができるVHH又はVHH担体を選択することができる。抗原はもちろん非ヒト哺乳類のタンパク及び対応するヒトのタンパクのキメラであり得る。好ましい実施態様において、前記哺乳類遺伝子は霊長類の遺伝子であり、さらに好ましくはヒトの遺伝子である。
タンパクの部分は、本明細書で使用されるように、典型的には少なくとも10及び好ましくは少なくとも20の連続的なアミノ酸を含む。前記タンパクは好ましくはヒトの疾患に関係する遺伝子でコードされたタンパクである。前記疾患の好ましい実施態様において、少なくとも前記タンパク又はその変異体を含む凝集体の蓄積に関係する。前記タンパク又はその部分又は誘導体を含む抗原は通常ヒトの疾患に関係する前記凝集体に存在することが好ましい。前記凝集体に組み込まれるタンパクは ゲノム中の遺伝子でコードされるタンパクまたは前記タンパクの少なくとも10及び好ましくは20の連続するアミノ酸部分であり得る。部分は、典型的には酵素の働きにより生産される。例えば、βアミロイドの場合において、ペプチド断片は統制の解除及び/又は変異した酵素によって生産又は過剰生産され、結果として前記ペプチド断片は凝集体に組み込まれる。前記のように、本発明の方法は特に天然の構造をとる抗原に特異的なVHH担体の選択に適している。天然の構造は全ての形、大きさ及び抗原上に見られる代替物を含む。抗原はヒト又は他の哺乳類のゲノム内の遺伝子によってコードされたタンパクであることがしばしばある。しかしながら、抗原はまた前記タンパクから加工された形態でもあり得、前記抗原は1又はそれ以上の翻訳後の修飾及び/又は1又はそれ以上の少なくとも10及び好ましくは少なくとも20の連続した前記タンパクのアミノ酸を含むタンパク分解性断片を含むがこれらに制限されない。天然の構造はまた、健康な個体中のタンパクと比較した場合、1又はそれ以上のアミノ酸配列の変換を含むヒト/哺乳類の変異体を含む。天然の抗原の構造は好ましくは凝集体の形成に関係のある抗原の構造である。それは典型的に凝集領域における抗原の主な折りたたみ形態である。しかしながら、折りたたまれていない形態と完全に折りたたまれた形態の中間の折りたたみの形態はまた、本発明に従った天然の構造である。
本発明の方法がヒトにおけるタンパク性の凝集体の適切でない構成に関係する抗原に特異的なVHH担体の選択にさらに適しているということが明らかになってきた。本発明はそれゆえ好ましくは前記タンパクが表1の遺伝子でコードされるタンパクである発明の方法を提供する。好ましい実施態様において前記遺伝子はPABPN1又はIT15である。
タンパク凝集体におけるタンパクの凝集は正常タンパク、即ち、健康な個体に見られるアミノ酸配列と同じアミノ酸配列を有するタンパクにも起こり得る。しかしながら、凝集体は典型的には健康な固体におけるタンパクと比較してタンパクの変異型に又は変異した酵素で処理されたタンパク又は前記酵素の制御配列の変異により又は年齢に関係した発現の変化により発現が制御できなくなった酵素に関係する。これらの場合において、発明の方法は好ましくは正常なタンパクから誘導した抗原(すなわち、凝集に関係する変異型ではないアミノ酸配列を有する)を使用して行う。したがって、好ましい実施態様において本発明は前記疾患が前記タンパクの変異体を含む凝集体と関係がある方法を提供する。VHH担体は、凝集が前記タンパクの変異に関係ある場合であっても、少なくとも部分的に凝集体の形成を阻害する機能により選択することができる。少なくともいくつかの選択VHH担体及びそれから誘導したVHHはすでに形成した凝集体を少なくとも部分的に溶解することができることが明らかになってきた。したがって特に好ましい実施態様において本発明の方法はさらに少なくとも一ラウンドのスクリーニングを含み、前記スクリーニングは選択VHH担体またはそれらから誘導されたVHHと、それとは別に凝集体の形成を刺激するin vivoまたはin vitroの条件下及び/又は形成した凝集体の存在下において正常哺乳類遺伝子でコードされた、タンパクの抗原との接触を含む。好ましい実施態様において、前記条件は凝集体の形態である抗原を産生する細胞を含む。
前記発明の観点において、1つの態様において多様なVHH担体を含むディスプレイライブラリーから抗原特異的VHH担体を選択する方法を提供し、前記方法は前記ディスプレーライブラリーからの少なくとも2つの連続するVHH担体の抗原結合指示性選択による前記抗原特異的VHH担体の選択を含み、前記抗原は哺乳類の遺伝子でコードされたタンパクの抗原であり、前記遺伝子はヒトにおける凝集体の集積に関連し、及び前記抗原は正常な哺乳類の遺伝子でコードされるタンパクの抗原である。好ましくは前記遺伝子はヒト遺伝子である。本発明の態様の好ましい実施態様において、前記抗原特異的VHH担体は本明細書の前記方法、すなわち多様なVHH担体を含むディスプレーライブラリーからの抗原特異的VHH担体の選択方法によって選択され、前記方法は少なくとも2つの連続するVHH担体の抗原結合指示性選択を含み、1つの選択ラウンドにおいてVHH担体は前記ライブラリーから、VHH担体と指示性固定された抗原と接触させることで選択され、及びもう一方の選択ラウンドにおいて、抗原特異的VHH担体はVHH担体を受動性固定した抗原と接触させることによって選択され、及びそれらの好ましい実施態様を含む。1つの特に好ましい実施態様には上述のように、少なくとも2つの選択ラウンドに続いて、2又はそれ以上のVHH又はVHH担体を、少なくとも部分的に前記抗原を含むタンパクの凝集を阻害する特性及び/又は少なくとも部分的に前記抗原を含む前記タンパクを含む凝集体を溶解する特性について試験する少なくとも1つのスクリーニングラウンドが含まれることが好ましい。
個体における、タンパク凝集の構成に関係している疾患は、まさしく前記疾患における前記凝集体の構成に関連している遺伝子の遺伝子産物より多くの内容物から成る凝集体を産生する。典型的に、前記凝集体は他のタンパク及び/又はRNAを含む。前記遺伝子の生産物は実際にまた、実際に組み込まれる前記遺伝子の生産物はRNAであり得る。これらの場合において、抗原はタンパク及び/又はその部分を含み、またそれが前記凝集体に組み込まれる。これらの場合において、前記タンパク及び/又はその部分は好ましくは表1の他の遺伝子でコードされる。
本発明のスクリーニングラウンドは好ましくは各々VHH発現ベクターに組み込まれた少なくとも2つの選択VHH担体から少なくとも2つのVHHをコードする核酸をクローニングすることによって行われる。前記好ましいスクリーニングラウンドのために、前記発現ベクターは前記タンパクを含む凝集体を産生するモデル細胞株に導入し、前記好ましいラウンドはさらに前記クローンしたVHHの発現が少なくとも部分的に前記凝集体の形成を阻害するかどうかを決定する及び/又は前記クローンしたVHHが少なくとも部分的に前記凝集体を溶解するかどうか決定することを含む。他の好ましい実施態様において、前記発現ベクターは対応するVHHを生産するのに使用され、前記凝集体を形成するin vitroの系において、1またはそれ以上の前記生産されたVHHが少なくとも部分的に前記凝集体の形成を予防するかどうかを決定する及び/又は1またはそれ以上の前記生産されたVHHが少なくとも部分的に前記凝集体の形成を溶解するかどうかを決定することを含む。好ましくは、前記in vitroの系は既に形成した凝集体、好ましくは自然に形成した凝集体を含む。前記モデル細胞株及びin vitroの系の非限定的な実施例は技術分野においてよく知られている。前記in vitroの系は特に細胞外の凝集に関係するタンパクの抗原にとって好ましい。
抗原は免疫優性エピトープ(immunodominant epitope)を有していても良い。免疫優性エピトープは使用したライブラリーが大量の前記エピトープに特異的なVHH担体を有するエピトープである。代わりに、前記エピトープに特異的なVHH担体は選択したものの中から容易に選択及び又は増幅することができる。一般的な免疫優性エピトープは本明細書中において、本明細書の方法で特に大量の特異的VHH担体を得る抗原のエピトープと定義される。それは免疫優位性エピトープに特異的な抗原特異的VHH担体を選択することを望み得る。しかしながら、前記部位は度々他の生体分子の結合に関与し、in vivoで利用することができないそのような場合、最初にこれらの他の分子を例えば免疫沈降を行い、沈殿の(一部の)アミノ酸配列を決定し、続いてタンパクを分離することにより同定しなければならない。もし抗原特異的VHH担体が所望である場合は、抗原上の免疫優位性エピトープの出現は抗原特異的VHH担体の数を減少させる場合がある。このような場合には、前記免疫優位性エピトープをマスクすることができる。1つの方法は免疫優位性エピトープを、もはや免疫優位性エピトープとして機能しないように変異させた抗原を提供することである。好ましい実施態様においては、しかしながら、前記抗原上の前記免疫優位性エピトープは、VHHと前記抗原が選択ラウンドで接触する前にマスクされている。マスキングはもちろん、他の理由で所望せず、それから免疫優位性であるエピトープでも行うことが出来る。好ましい実施態様において少なくとも1つのアミノ酸リピートが少なくとも部分的にマスクされる。好ましくは、前記アミノ酸リピートはポリアラニン伸展又はポリグルタミン伸展を含む。そのような伸展は少なくとも4つの連続したAla又はGlnアミノ酸を含む。特に好ましい実施態様において、前記アミノ酸リピートはVHHによってマスクされ、前述のVHHの結合は、前述の反復に依存しているが、(伸展した)のリピートの少なくとも1つの残基を凝集体の形成に、関与したか又は不可欠な、連続又は構造的に隣接している非リピートアミノ酸と同様フリーにする。前記方法において、伸展したアミノ酸を低い親和性で認識し及び高い親和性で連続するか構造的に隣接しているアミノ酸を認識する、凝集阻害VHH又は凝集体溶解VHHを選択することができる。
さらに別の好ましい実施態様では、前記抗原上の少なくとも1つのエピトープが前記VHHが凝集に影響しない及び/又は、形成した凝集体を溶解しない前述の抗原特異的なVHHでマスクする。この実施態様は選択ラウンドで前記抗原上で異なったエピトープに結合する選択VHH(担体)の役に立つ。マスキングVHH は例えば、前の選択及び選別ラウンドからを得ることができる。マスクした抗原の使用は候補となる阻害剤又は溶解するVHHの割合を前記抗原に特異的な選択VHHのセットで発明の方法で増加させる。
選択されたVHH担体は直接使用しても良い。しかしながら、典型的には少なくともVHHの抗原の特異性をコードする核酸は単離され、前述の担体に関連しないVHHを生産するのに使用される。前記VHHが生産されるさまざまな方法がある。したがって、好ましい実施態様において、本発明の方法は、さらに前述の抗原特異的なVHHの生産を含む。発明の好ましい実施態様は、タンパク性の凝集体の構成に関連しているタンパク質から得られた抗原に対して発生するVHHに関するので、発明の好ましい実施態様は前述の抗原がタンパク性凝集体の構成に関連しているタンパク質から得られる抗原特異的なVHHを生産するための方法を提供する。前記VHHをさらに凝集VHHと呼ぶ。したがって、好ましい実施態様において、本発明は前述の抗原特異的な凝集VHHを生産するのをさらに含む方法の発明を提供する。
本発明の方法が、特に前記タンパクを含む凝集体の形成を少なくとも減少させることができるVHHの選択及び好ましくはスクリーニングするのに適しているので、好ましい実施態様において、本発明はさらに選択したVHHが前記タンパクを含む凝集体の形成を少なくとも減少させることができるかどうかを決定することを含む。これには凝集体の構成を促進する系を使うことにより行うことができる。前記系は典型的には、必ずしも必要でないが、凝集するタンパク質を生産する細胞の存在が関与する。タンパクが細胞外凝集体を生産する場合には、タンパク質を作り出す細胞の培地に試験VHHを提供することができる。または代わりに、VHHは系における細胞によって生産される。これは典型的には、必ずしも必要ではないが前記タンパクを生産したのと同じ細胞である。タンパクが細胞内凝集体を生産した場合、VHHはまたタンパクを生産した細胞の培地に提供することができる。このことは典型的には、試験VHHが細胞によって取り込まれることを必要とする。これは前記VHHと細胞透過ペプチドを結合させることによって達成することができる。前記細胞透過性ペプチドの非制限的な実施例はペネトラチン、Tat-断片(48-60)、トランスポータン及び両親媒性モデルペプチドである(これら及びさらなる実施例は Lindgren et al; 2000: TiPS Vol 21: pp 99-103を参照のこと)。
前記VHHを標的細胞に導入するための別の方法は、標的細胞上の特異的受容体タンパクを認識するVHHと凝集を阻害する又は既存の凝集体を溶解する機能的特性を有するVHHを含むバイヘッド(bi-head)VHHを組み立てることである(Roovers and van Bergen Henegouwen 投稿準備中)。
好ましい実施態様において、本発明は表2、表5.3、表10、表13又は表14で特定するようなVHH及びその誘導体を提供する。前記VHHの好ましい実施態様はさらに他のVHHを含む。前記さらなるVHHは好ましくは前記第一VHHと同じ配列を含む。他の実施態様において、前記さらなるVHHは血液脳関門を介して脳に移行することができるVHHを含む。好ましい実施態様において本発明は少なくとも2つのVHHを含む分子を提供する。好ましい実施態様において前記少なくとも2つのVHHの第1及び第2VHHは同じCDRアミノ酸残基、好ましくは表2、表5.3、表10、表13又は14に図示したCDRアミノ酸又はその誘導体を含む。好ましい実施態様において前記少なくとも2つのVHHの第1及び第2VHHは同じアミノ酸配列を含み、好ましくは表2、表5.3、表10、表13又は14に図示したアミノ酸又はその誘導体である。前記さらなるVHHの他の実施態様において血液脳関門を介して脳に移行することができるVHH、好ましくは表12のVHHを含む。本発明は少なくとも表2、表5.3、表10、表13又は表14に図示したCDRl、CDR2又はCDR3配列を含む重鎖可変領域抗体(VHH)を提供する。好ましくは、前記VHHは表2、表5.3、表10、表13又は表14に図示した配列又はその誘導体を含む。好ましくは、前記VHHは表3に図示された対応する位置のアミノ酸から選択されたホールマークアミノ酸残基を含む表2、表5.3、表10、表13又は表14に図示した配列を含み、好ましくは表5.2に図示されたように組み合わされる。好ましい実施態様において、前記VHHは表6におけるフレームワーク1、表7におけるフレームワーク2、表8におけるフレームワーク3、及び/又は表9におけるフレームワーク4に図示された対応する位置のアミノ酸から選択されたホールマークアミノ酸残基を含む表2、表5.3、表10、表13又は表14に図示した配列を含む。
好ましくは、表3、表6、表7、表8、及び表9の前記アミノ酸残基は表2、表5.3、表10、表13又は表14の対応するアミノ酸に置き換えられられる。発明はさらに任意の表6−9においてラクダのVHHのものとして図示されたアミノ酸残基を含む本発明のVHHを提供する。好ましくは、本発明のVHHは表2、表5.3、表10、表13又は表14に図示されたものと比較して1-5のアミノ酸置換を含む。この段落に記載されたVHHは好ましくは本発明のVHHであり、修飾することができ、本明細書に記載された方法、細胞、及び生産及び選択方法において使用することが出来る。発明はさらに本明細書に記載するように前記VHHをコードする核酸、前記VHH及びベクターを含む細胞、発現ベクターを提供する。VHH単独又は直列型はさらに本明細書に記載される付加的アミノ酸配列と共に提供され、好ましくは、VHHは、VHHを細胞内の特定の場所に向かわせるシグナル配列と共に提供される。好ましい実施態様において、本発明は同じ特異性のVHHを含む直列型VHH(バイヘッド)及び/又はVHH VHH血液脳関門を介して脳に移行することができるVHH、好ましくは表12のVHHと結合した本発明のVHHを含む直列型VHHを提供する。
少なくとも細胞膜上の輸送は付加的特性であるので、これらの場合では、細胞内凝集体を生産するのと同じ細胞で試験VHHを生産するのが好ましい。特に好ましい実施態様において、前記方法は、さらに前記VHHが前記タンパク質を含む形成した凝集体の大きさを少なくとも減少させることができるかどうか決定することを含む。大きさの減少はVHHの結合の結果として凝集体が溶解することのためでありうる。あるいはまた、それは凝集体に溶解機能を誘引した結果でありえ、又は溶解機能がすでに存在しもはやde novo での形成では対抗できない形成阻害の結果であり得、又は述べた効果の組み合わせでもありうる。溶解機能に関する非制限的実施例はは、プロテアーゼ、プロテアソーム及びシャペロンである。
本発明はさらに本発明の方法で得ることが出来るVHHを提供する。好ましくは、前記 VHHは表1の遺伝子でコードされるタンパクに特異的である。特に好ましい実施態様において前記VHHは凝集VHHである。特に好ましいのは骨格筋及び心筋障害に関係するタンパク(エメリン (EMD)、ポリ(A)結合タンパク (PABPN1)、トロポミオシン-1 (TPM1)及びアクチン (ACTA1))に特異的なVHHである。
エメリン (EMD) は核層に関連するタンパク質ファミリーの広範に発現するメンバーである。EMD遺伝子の変異の結果、X連鎖性エメリ・ドレフュシュ型筋ジストロフィ(EDMD)が起こる。このミオパチーは初期の拘縮、進行性の筋脱力、および上腕骨-腓骨筋組織の消耗及び心臓の伝導欠損で特徴付けられる。エメリンの機能の理解が進んでいるにもかかわらず[b11][Bengtsson L & Wilson KL 2004, Curr Opin Cell Biol 16, 73-79] EDMDはまた分子レベルでは理解されていない。骨格筋アルファ-アクチン (ACTA1)は変異が2つの異なった筋肉疾患に関連しているシンフィラメント(thin filament)を形成する。[b17] [Nowak KJ et al. 1999, Nature Genet. 23, 208-212]: 過剰な細い筋フィラメントを伴う先天的ミオパチー、またアクチンミオパチーとして知られるもの[b18][Goebel HH et al. 1997, Neuromuscul. Disord 7, 160-168]及びネマリンミオパシーである。疾患は筋繊維の構造異常及びさまざまな程度の筋力低下で特徴付けられる。最終的に、トロポミオシン-1(TPM1)はトロポミオシンの横紋筋アイソフォームである。トロポミオシンは、異なったアイソフォームに存在し、筋原繊維及び張力繊維の中でアクチン・フィラメントと結合する。トロポミオシン-1は筋肉のシンフィラメントの重要な内容物であり、ミスセンス変異は家族性肥大型心筋症CMH3を引き起こす[b19] [Thierfelder L et al 1994, Cell 77, 701-712]
前記タンパクの特に好ましい実施態様は疾患に関連する凝集体中にあり、コード領域のヌクレオチド伸展に関連するタンパクを含む。前記タンパクの好ましい実施態様はポリ(A)結合タンパク(ポリ (A) binding protein nuclear 1: PABPN1)を含む。PABPN1は眼咽頭型筋ジストロフィー(OPMD, MIM164300)に関係する。OPMDは、遅い進歩的な眼瞼下垂、嚥下困難、および肢帯衰弱によって臨床的に特徴付けられた遅発性疾患である [c1][Brais B, Cytogenet. Genome Res. 100, 252-560]。OPMDは通常、ポリ(A)-結合タンパク質1(PABPN1)の遺伝子のコード領域において常染色体優性形質として引き継がれ、トリヌクレオチドリピート増殖により引き起こされる[c2] Brais B et al. 1998, Nature Genet. 18, 164-167。このトリヌクレオチド配列によりコードされるアラニン伸展は10アラニンを影響しないタンパク中に含むが、において常染色体内における主なOPMDにおける変位体タンパクの12-17アラニンに拡張される。
PABPN1は広範に発現し、ポリ(A)-テール合成、ポリ(A)テールの長さの調節に関与する。[c3] Wahle E 1991, Cell 66, 759-768]. OPMDの病理学的な顕著な特徴の1つは影響を受ける筋肉の2-5 %の筋核で、PABPN1を含んでいる原繊維様の凝集体が存在することである。[c4-6][Calado A et al. 2000, Human Mol. Genet. 9, 2312-2328; Uyama E et al. 2000, Muscle Nerve 23, 1549-1554; Becher MW et al. 2000, Ann Neurol. 48, 812-815. OPMDの進行における、核内封入体の構成の役割はあまり理解されていない。[c1, 7, 8] [Brais B, Cytogenet. Genome Res. 100, 252-560, Berciano MT et al. 2004, Hum. Mol. Genet 13, 829-838, Davies et al. 2005, Nature Med. 11, 672-677].
最近、ドキシサイクリンを基礎としたOMPDの治療がトランスジェニックマウスを用いた動物における研究を基礎として提案された。 [c8][ Davies et al. 2005, Nature Med. 11, 672-677].これらのマウスはOPMD-様 筋肉欠損及び核内の変異PABPN1の凝集を示す。ドキシサイクリンの治療により、筋肉欠損は改善され、凝集体の形成は減少し、OPMDの病因において凝集体の形成の直接的な役割が示唆されている。
PABPN1凝集はまた野生型及び伸展PABPN1の一過性発現を用いた細胞モデルにおいて研究されてきた。凝集体の形成はこれらのOPMDの細胞モデルにおいて、ドキシサイクリン、今後ーレッド及び過剰発現したシャペロンによって阻害された [c9-11] Abu-Baker et al 2003, 12, 2609-2623; Bao YP et al 2002, 277 12263-12669; Bao YP et al 2004 J. Med. Genet. 41, 47-51]。これらの研究は結果として核内封入物の毒性、形成した封入体に関与するタンパク及び核酸及び核内封入体の動力学的性質についての知識の増加をもたらした [c12] Fan X. et al 2001, Hum. Mol. Genet. 10, 2341-2351。例えば、凝集体の形成の減少により細胞の生存が増加することが示された。
これらのいくつかの凝集還元剤の有効性にもかかわらず、これらのいずれもPABPN1凝集体に対して特異的ではない。それどころか、これらの薬剤の多くが、他のタンパク質凝集条件と同様の条件において試験され、メカニズムがあまり理解されていない状態で使用されている。凝集を減少させるための抗原特異的アプローチについて記述されてきた。細胞内の一本鎖Fv (scFv) の発現により [c13] Davies et al. 2005, Nature Med. 11, 672-677]及びVL VHHの発現により [c14] [Colby DW et al. 2004, Proc. Natl. Acad. Sci. 101, 17616-17121]ハンチントン病の細胞モデルにおいてハンチントンエキソン1凝集を阻害することが可能であった。[13, 14?] Davies et al. 2005, Nature Med. 11, 672-677; Colby DW et al. 2004, Proc. Natl. Acad. Sci. 101, 17616-17121] .
現在、本発明の方法は抗PABPN1VHHを単離するために使用した。VHHを使用し、我々はOPMD細胞モデルにおいて核内の封入体形成を阻害することができた。VHH 担体選択物の組み合わせを使用することにより、我々は異なるセットのVHHを得ることが出来た。これらのうちいくつかのVHHの細胞内の発現により、我々はin situにおいて濃度依存的に凝集を阻害することができた。変異体PABPN1及びPABPN1-特異的VHHの連続発現実験により、現存する凝集体ですら取り除かれることが証明された。
細胞内で生産されるVHHは細胞内(又は細胞外)の特定の位置で作用する必要があるので、本発明のVHHは好ましくは細胞における特定の位置にVHHを向かわせるシグナル配列を含む。多くの異なるシグナル配列が存在する。細胞における特定の位置のためのシグナル配列は典型的には共通の構造的及び/又は アミノ酸 配列モチーフを共有する。好ましい実施態様において、前記シグナル配列は核、小胞体、及び/又は、細胞の外部に前記VHHを向かわせる。前記シグナル配列は好ましくはVHHに付加される。シグナル配列は直接VHHに付加することができる。しかしながら、典型的にはシグナル配列はシグナル配列及びVHHを含む融合タンパクの発現により提供される。
抗体技術は現在非常に発達している。多くの異なる操作技術が技術分野における当業者に利用可能である。例えば、本発明のVHHの抗原特異的性をCDR3 配列を移植することにより他のVHHに移行することができる。したがって、一実施態様において、本発明は表2又は表5.3又は表10に図示されるVHHのCDR3配列を含むVHHを提供する。好ましい実施態様において、前記 VHH は表2又は表5.3.に図示されたVHHのCDR1、CDR2及びCDR3配列を含む。特に好ましい実施態様において、本発明は表2又は表5.3.に図示された配列を含むVHHを提供する。
本発明はさらに本発明のVHHをコードする核酸分子を提供する。他の実施態様において、本発明は組み換え及び/又は本発明のVHHをコードする核酸と共に提供される単離細胞を提供する。さらに他の実施態様において、本発明は組み換え及び/又は本発明のVHHを含む単離細胞を提供する。好ましくは、前記細胞は前記VHHと共に提供される。さらに提供されるのは、組み換え及び/又は本発明のVHHをコードする核酸と共に提供される本発明の単離細胞である。
さらに本発明は、血液脳関門を通過することができるVHH及び脳内の細胞外凝集体を予防又は溶解する機能を有するVHHを含むバイヘッドVHHを提供する。
さらに他の実施態様において、本発明は本発明の核酸を含む単離及び/又は組み換え遺伝子運搬体を提供する。本発明はさらに本発明の核酸と共に細胞を提供すること及び前記細胞が前記VHHを生産するような培養方法???を含む本発明のVHHを生産する方法を提供する。
a) 「抗原決定基」という用語は、抗原‐結合分子(本発明のVHH又はポリペプチドのような)によって及びさらに特には前記分子の抗原‐結合部位によって認識される抗原上のエピトープをいう。
b) 特定の抗原決定基、エピトープ、抗原又はタンパク(又はそれらの断片又はエピトープの少なくとも一部分)に結合することができ、親和性を有し、及び/又は特異性を有するアミノ酸配列(本発明のVHH、抗体、ポリペプチド又は一般的に抗原結合タンパク又はポリペプチド又はそれらの断片のような)は前記抗原決定基、エピトープ、抗原又はタンパクに「対する」又は「対して向かった」という。
c) 「特異性」という用語は、特定の抗原-結合分子又は抗原-結合タンパク(本発明のVHH又はポリペプチドのような)分子が結合することができる異なるタイプの抗原又は抗原決定基の数をいう。抗原-結合タンパクの特異性は親和性及び/又は結合活性に基づいて定量することができる。抗原と抗原結合タンパクの解離平衡定数(KD)で示される親和性は抗原決定基と抗原結合タンパク上の抗原結合部位の間の結合の強さの基準であり、KD値が低いほど、抗原決定基及び抗原結合分子間の結合力が強い(代わりに、親和性は親和定数(KA)(=1/KD)として表すこともできる)。当業者にとって明らかなように(例えば本明細書におけるさらなる開示に基づいて)、親和性は対象とする特定の抗原に依存したそれ自体知られた方法によって測定することができる。結合活性は抗原-結合分子(本発明のVHH又はポリペプチドのような)及び関連する抗原間の結合の強さの基準である。結合活性は抗原決定基及び抗原-結合分子上のその抗原結合部位間と抗原-結合分子上のその抗原結合部位及び抗原-結合分子上に存在する関連する結合部位の数間の両方の親和性に関連する。典型的には、抗原-結合タンパク(本発明のVHH 及び/又は ポリペプチドのような)は10-5〜10-12 mol/L以下の解離定数(KD)で結合する。10-4 liters/mol より大きい任意のKD値は一般的に非特異的結合を示すとみなされる。好ましくは、VHH又は本発明のポリペプチドは所望の抗原に500nM未満、好ましくは200nM未満、より好ましくは10nM未満、500pM未満の親和性で結合する。
d) 本明細書にさらに記載するようにアミノ酸 配列及びVHHの構造は制限のない限り4つのフレームワーク領域又は「FR」を含むとみなすことができ、当該分野で定義される通り及び本明細書ではそれぞれ「フレームワーク領域1」又は「FR1」、「フレームワーク領域2」又は「FR2」、「フレームワーク領域3」又は「FR3」及び「フレームワーク領域4」又は「FR4」という。前記フレームワーク領域は3つの相補性決定領域又は「CDR」で中断され、当該分野で定義される通りそれぞれ「相補性決定領域1」又は「CDR1」、「相補性決定領域2」又は「CDR2」及び「相補性決定領域3」又は「CDR3」という。
e) 本明細書でさらに記載するように、VHHにおけるアミノ酸残基の総数は110-120好ましくは112-115及び最も好ましくは113であり得る。しかしながらVHHの部分、断片、類似体又は誘導体 (本明細書でさらに記載するように)は前記部分、断片、類似体又は誘導体を本明細書に概説するさらなる必要性がある場合及びまた好ましくは本明細書に記載した目的に適している限り、その長さ及び/又は大きさにおいて特異制限されないことに留意すべきである。
f) VHHのアミノ酸残基は、前記参照のRiechmann and Muyldermansの文献中でラクダのVHH領域に適用されているように(例えば前記参考文献の図2参照)、Kabatら. (“Sequence of proteins of immunological interest”, US Public Health Services, NIH Bethesda, MD, Publication No. 91)によって示された一般的なVH領域のナンバリング方法にしたがって番号をつける。このナンバリング方法によれば、VHHのFR1は1-30位のアミノ酸残基を含み、VHHのCDR1は31-36位のアミノ酸残基を含み、VHHのFR2は36-49位のアミノ酸残基を含み、VHHのCDR2は50-65位のアミノ酸残基を含み、VHHのFR3は66-94位のアミノ酸残基を含み、VHHのCDR3は95-102位のアミノ酸残基を含み、VHHのFR4は103-113位のアミノ酸残基を含む[この点で、(VH 領域及びVHH 領域の技術分野においては周知のように)それぞれのCDRにおけるアミノ酸残基の総数が変化し、Kabatナンバリングで示されたアミノ酸残基の総数と対応しないことに留意すべきである。(つまり、Kabatのナンバリングでは1又はそれ以上の位置が実際の配列で占有されないかもしれない、または実際の配列はKabatのナンバリングによる数より多くのアミノ酸残基を含むかもしれない。)。このことは、一般的にKabatのナンバリングは実際の配列における実際の数に対応し又は対応しないかもしれないことを意味する。一般的に、しかしながら、Kabatのナンバリング及びCDR中のアミノ酸残基の数にかかわらず、Kabatのナンバリングに従った1位はFR1の開始点に対応しその逆も同様であり、 Kabatのナンバリングに従った36位はFR2の開始点に対応しその逆も同様であり、Kabatのナンバリングに従った66位はFR3の開始点に対応しその逆も同様であり、Kabatのナンバリングに従った103位はFR4の開始点に対応しその逆も同様でありと言うことができる。
類似の方法でラクダ由来のVHH領域及びVHHにも適用することができる、VH領域のアミノ酸残基をナンバリングする代替方法はChothiaらによって記載された(Nature 342, 877-883 (1989))、いわゆる「AbM 定義」及びいわゆる「接触定義(contact definition)」である。しかしながら、本明細書の記載、請求項、及び図では、他に示さない限り、RiechmannとMuyldermansによりVHH領域に適用されるようにKabatのナンバリングに従う。及び、
g) 図、配列の一覧表及び実験パート/実施例は本発明をさらに例証する為に示されたものであり、どのような方法においても、本明細書で特に明示的に示さない限り発明の範囲及び/又は従属請求項の限定と解釈又はとらえるべきでない。
重鎖抗体およびそれらのさまざまな領域についての一般的な記述として、特に以下の背景技術として記載されている参考文献を参照されたい:WO 94/04678 (= EP 656 946)、 WO 96/34103 (= EP 0 822 985)及びWO 97/49805、すべてVrije Universiteit Brusselによる; WO 97/49805 Vlaams Interuniversitair Instituut voor Biotechnologieによる; WO 94/25591 (= EP 0 698 097)及びWO 00/43507 Unilever N.V.による; WO 01/90190 National Research Council of Canadaによる; WO 03/025020 (= EP 1 433 793) Institute of Antibodyによる; WO 04/062551、WO 04/041863、 WO 04/041865、 WO 04/041862; Hamers-Casterman et al., Nature, Vol. 363, p. 446 (1993); Riechmann and Muyldermans, Journal of Immunological Methods, 231 (1999), p. 25-38; Vu et al., Molecular Immunology, Vol.34, No. 16-17, p. 1121-1131 (1997); Nguyen et al., EMBO J., Vol.19, No.5, 921-930 (2000); Arbabi Ghahroudi et al., FEBS Letters 414 (1997) 521-526; van der Linden et al., J. Immunological Methods, 240 (2000), 185-195; Muyldermans, Reviews in Molecular Biotechnology 74 (2001), 277-302; Nguyen et al., Advances in Immunology; Vol. 79 (2001); 261; 同様に本明細書にさらに記載される参考文献うちのいくつかを含む。
前記参考文献において使用されている技術に従って、天然に存在する4-鎖抗体中に存在する重鎖可変領域(以下「VH領域」という)及び従来の4-鎖抗体中に存在する軽鎖可変領域抗体(以下「VL領域」という)と区別するために、天然重鎖抗体中に存在する可変領域もまた「VHH領域」という。
前記引用する先行技術で述べられているように、VHH領域は多数の特有な構造的特徴及び機能的特性を有し、それらにより、単離したVHH領域(これらの構造的な特性と機能的な特性を天然VHH領域と共有するVHHも同様に)及び同じものを含むタンパクを、機能的抗原-結合領域またはタンパクとしての使用において非常に有利なものとする。特に、制限しない限りVHH領域(本来、軽鎖可変領域の存在なしで及び軽鎖可変領域との相互作用なしで抗原に機能的に結合すると「設計」されてきた)及びVHHは機能的抗原-結合構造の単位、領域またはタンパクとして機能することができる。このことは、それ自体は一般的に抗原結合タンパクまたは領域として適さないが、機能的結合単位を提供するために同じ形態または別の形態(例えば、Fab断片のような従来の抗体断片;又はVL領域に共有的に結合するVH領域からなるScFv 断片の形態のように)と結合する必要がある従来の4鎖抗体のVH及びVL領域からVHH領域を区別する。
これらの特有な特性により、VHH領域及びVHHの抗原-結合タンパク又は抗原-結合領域(すなわち、より大きいタンパクやポリペプチドの一部として)としての使用は従来のVH及びVL領域、scFv又は従来の抗体断片(Fab-又はF(ab)2-断片のような)使用に対して数々の有意な優位性を提供する。
-たった1つの領域しか抗原が高い親和性で及び高い選択性で結合するのに必要でないので、2つの分かれた領域が存在する必要も、これら2つの領域が正しい空間的な構造及び立体配置に存在する(すなわち、特にデザインされたscFvのようなリンカーの使用による)ことを確かめる必要もない
-VHH領域及びVHHは1つの遺伝子から発現することができ、転写後の折りたたみ又は修飾の必要がない;
-VHH領域及びVHHは簡単に多価及び多重特異的な形式(本明細書でさらに議論するように)に設計することができる;
-VHH領域及びVHHは高い可溶性を示し、凝集しやすい傾向(マウス-誘導性 抗原-結合領域”に見られるような、Ward et al., Nature, Vol.341, 1989, p. 544に記載されている)が見られない;
-VHH領域及びVHH は熱、pH、プロテアーゼ及び他の変性剤や変性条件に対して高い安定性を示す;
-VHH領域及びVHHは生産に必要な規模であっても、容易に比較的安価に調製できる。例えば、VHH領域、同じものを含むVHH及びタンパク/ポリペプチドは微生物発酵(例えば、以下にさらに記載するように)を使用して生産でき、従来の抗体断片のように哺乳類の発現系を必要としない;
-VHH領域及びVHH は従来の4-鎖抗体及びそれらの抗原-結合断片と比較して比較的小さく、したがって組織(固形ガンを含むがこれに限定されない)への(より)高い透過性を示す;
-VHH領域及びVHHはいわゆる腔‐結合特性を示し、したがって従来の4-鎖 抗体 及びそれらの抗原-結合断片が接近できなかった標的及びエピトープに接近することができる。例えば、VHH領域及びVHHは酵素を阻害することができることが示されてきた(例えば、WO 97/49805; Transue et al., Proteins: structure, function, genetics, 32: 515-522 (1998; Lauwereys et al., EMBO J., Vol.17, No.13, p. 3512-3520) を参照せよ)。特に有用なVHHの特性は細胞内に発現した場合にCys (22)及びCys (92)間のS-S構造無しに正しく折りたたまれることである。
前記のように、本発明は一般的に本明細書に記載した予防、治療及び/又は診断の目的で使用することができる、前記VHHを含む又は主に構成されるポリペプチドに対するVHHに関する。
本明細書でさらに記載されるように、本発明はさらに前記VHH及びポリペプチドをコードする核酸、前記VHH及びポリペプチドの調製方法、前記VHHまたはポリペプチドを発現している又は発現することができる宿主細胞、前記ポリペプチド、核酸又は宿主細胞を含む組成物、又は前記VHH、ポリペプチド、核酸、宿主細胞又は組成物の使用に関する。
一般的に、本明細書で最も広い意味において使用されるVHHという用語は特定の生物学的供給源又は特定の調製方法に制限されるものではないことに留意すべきである。例えば、以下でさらに詳細について議論されるように、本発明のVHHは一般的に(1)天然の重鎖抗体のVHH領域の単離により、(2)天然VHH領域をコードする核酸の発現により; (3)天然VHH領域の「ヒト化」(本発明に記載するように)又は前記ヒト化VHH領域をコードする核酸の発現により; (4)任意の動物種及び特にヒトのような哺乳類由来の天然VHH領域の「ラクダ化」(本発明に記載するように)又は前記ラクダ化VH領域をコードする核酸の発現。(5) Ward et al (supra)が記載したような「領域抗体」又は「Dab」の「ラクダ化」によって又は前記ラクダ化VH領域をコードする核酸の発現による(6)タンパク、ポリペプチド又は他のアミノ酸配列の調製についてそれ自体知られている合成又は半合成技術を用いて (7) それ自体知られている核酸合成方法を使用してVHHをコードする核酸を調整し、続いて前記核酸を発現させ、得ることにより、及び/又は(8) 1又はそれ以上の前記方法の任意の組み合わせによって得ることが出来る。前記を実現することができる適切な方法及び技術は本明細書における開示基づき当業者にとって明らかであり及び例えば本明細書にさらに詳細に記載する方法及び技術を含む。
1つの好ましいVHHクラスは天然重鎖抗体のVHH 領域である。本明細書でさらに記載するように、前記VHH 配列は一般的に適切に免疫されたラクダの種(すなわち、免疫反応及び/又は重鎖抗体を賦活するように)によって、前記ラクダから適切なサンプルを得ることによって及びそれ自体知られた任意の適切な技術を用いて前記サンプルから出発してそれに対するVHH 配列を生産することにより生産し又は得ることが出来る。前記技術は当業者にとって明らかであり及び/又は本明細書にさらに記載される。
代わりに、前記天然VHH 領域は、ラクダVHH 配列の非免疫性ライブラリーから、例えば1又はそれ以上のそれ自体が知られたスクリーニング技術を使用して、前記ライブラリーを少なくとも1つの部分、断片、抗原決定基またはエピトープに対してスクリーニングすることにより得ることもできる。前記ライブラリーおよび技術は例えばWO 99/37681、WO 01/90190、WO 03/025020及びWO 03/035694に記載されている。代わりに、例としてWO 00/43507に記載されているように、天然VHHライブラリーから 無作為変異導入法(random mutagenesis)及び/又は CDRシャッフリングのような技術を用いて得たVHH ライブラリーのように天然VHHライブラリー由来の改良した合成または半合成ライブラリーを使用してもよい。
VHH 配列を得るためのまた別の技術は重鎖抗体を発現することができる適切に免疫したトランスジェニック哺乳類(すなわち、免疫反応及び/又は指示された重鎖抗体を賦活させるように)、前記トランスジェニック哺乳類から適切なサンプル(血液サンプル、血清サンプル又はB細胞のサンプルのような)を得ること、およびその後前記サンプルから開始して、任意のそれ自体知られた方法を用い、それに対するVHH 配列を生産することを含む。例えば、この目的のために、WO 02/085945 及びWO 04/049794に記載された重鎖抗体-発現マウス及びさらなる方法及び技術を使用することができる。
特に好ましい本発明のVHHクラスは天然VHH領域アミノ酸配列に対応するが、「ヒト化」された、(すなわち、前記天然VHH配列のアミノ酸における一またはそれ以上のアミノ酸残基をヒト由来の従来の4鎖抗体のVH領域(例えば前述の)における対応する位置の一またはそれ以上のアミノ酸残基で置換する)アミノ酸配列を有するVHHを含む。このことはそれ自体が知られている方法で行うことができ、当業者に明らかであり、例えば本明細書のさらなる記載及び本明細書で参照するヒト化についての先行技術に基づいて行うことができる。重ねて、本発明の前記ヒト化VHHはそれ自体知られた任意の適切な方法(すなわち、前記(1)-(8)の点に従って)で得ることができ、及び従って天然VHH領域を出発物質として含むポリペプチドを使用して得たポリペプチドに厳密に制限されないことに留意すべきである。
他の特に好ましい本発明のVHHのクラスは天然VH領域のアミノ酸配列に対応するが、「ラクダ化」された、(すなわち、従来の4鎖抗体由来の天然VH領域中の1又はそれ以上のアミノ酸残基を重鎖抗体のVHH領域における対応する位置の1又はそれ以上のアミノ酸残基で置換する)アミノ酸配列を有するVHHを含む。これはそれ自体知られた、当業者にとって明らかな方法で、例えばさらなる本明細書の記載に基づいて行うことができる。WO 94/04678もまた参考文献である。前記“ラクダ化”置換は、好ましくは形成する及び/又はVH-VLインターフェースに存在するアミノ酸の位置及び/又は本明細書で定義されるようないわゆるラクダホールマーク残基に挿入される(WO 94/04678も例として参照せよ)。ラクダ化VHHを生産する又は設計するための出発材料又は出発点として使用されるVH配列は、好ましくは哺乳動物由来VH配列であり、より好ましくはVH3配列のようにヒト由来ののVH配列である。しかしながら、本発明の前記ラクダ化VHHはそれ自体知られている任意の適切な方法(すなわち、前記(1)-(8)の点に従って)によって得ることができる及び従って天然VH領域を出発物質として含むポリペプチドを使用して得たポリペプチドに厳密に制限されないことに留意すべきである。
例えば、重ねてさらに本明細書に記載するように、「ヒト化」及び「ラクダ化」のいずれも、天然VHH領域又はVH領域をそれぞれコードする核酸配列を供給することによって、及びその後1又はそれ以上の前記ヌクレオチド配列中のコドンをそれ自体知られた方法によって新しいヌクレオチド配列がそれぞれ本発明の「ヒト化」又は「ラクダ化」VHHをコードするように変える事によって行うことができる。この核酸はその後それ自体が知られた方法で本発明の所望するVHHを供給するように発現することができる。代わりにそれぞれ天然VHH領域又はVH領域のアミノ酸配列に基づいて、それぞれ所望する本発明のヒト化又はラクダ化VHHのアミノ酸配列を設計し及び、その後改めてそれ自体が知られているペプチド合成技術を使用して合成することができる。また、それぞれ天然VHH領域又はVH領域のアミノ酸配列又はヌクレオチド配列に基づいて、それぞれ所望する本発明のヒト化又はラクダ化VHHをコードするヌクレオチド配列を設計し及び、その後改めてそれ自体が知られている核酸合成技術を使用して合成することができ、その後こうして得られた核酸をそれ自体知られている方法で所望の本発明のVHHを提供するように発現させることができる。
本発明のVHH及び/又は同じものをコードする核酸を得るための他の適切な方法及び技術は天然VH配列又は好ましくはVHH 配列から出発し、当業者にとって明らかであり、例えば、適切な方法で、本発明のVHH又は同じものをコードするヌクレオチド配列又は核酸を提供するように、1又はそれ以上の天然VH配列(1又はそれ以上のFR配列及び/又はCDR配列のような)、1又はそれ以上の天然VHH配列(1又はそれ以上のFR配列及び/又はCDR配列のような)及び/又は1又はそれ以上の合成又は半合成配列の部分の1又はそれ以上の組み合わせを含んでも良い。
実施例1
方法及び材料
(非免疫VHHライブラリー)
VHH選択の為に、大規模なラマ由来非免疫VHHライブラリー(Hermans et al., in preparation)を使用した。これらは本研究のためにUnilever Research(ヴラールディンゲン、オランダ)より善意で提供された。この5x109のクローン多様性を有するライブラリーは8頭の非免疫ラマの血液から採取した末梢血リンパ球から抽出したRNAで構成される。ファージディスプレイライブラリーは基本的に以前に基視したように作製した[20] [WO 99/37681]。
(組み替えタンパク及びVHHの製造及び精製)
エメリンの1-179位アミノ酸及び全長アクチンをコードするcDNA及びトロポミオシン-1 cDNA's は全ヒト筋肉cDNA調整物からそれぞれ以下のプライマー;エメリンFBAM: 5'-CGCGGATCCATGGACAACTACGCAGATCTT-3'、エメリンRXHO: 5'-CCGCCCTCGAGGTCCAGGGAGCTCCTGGAGGC-3'、ACT1: 5'-CGCGGATCCTGCGACGAAGACGAGACCACC-3'、ACT2: 5'-CGCAAGCTTGGAAGCATTTGCGGTGGACGAT-3'及び TP1: 5'-CGCGGATCCGACGCCATCAAGAAGAAGATG-3'、TP2: 5'-CGCAAGCTTGCATGGAAGTCATATCGTTGAG-3'を用いて、95℃1分間、62℃1分間及び72℃2分間を35サイクル行うことでPCR増幅し、続いて95℃、5分間、最初の変性工程を行った。全てのプライマーにはpET28a発現ベクター(EMD Biosciences, Novagen)においてイン・フレームクローニングできるように5'- BamHI及び3'- HindIII又はXhoI 制限部位を導入した。同様にして全長PABPN1のための発現組成物を調製した。発現組成物の配列を検証した (LGTC、オランダ)。T7・標識及びHis・標識を有する組み替え抗原はE. coli BL-21(DE3)-RIL細胞 (Stratagene)内で標準的なプロトコルに従って生産し、続いてIMAC(Clontech)を用い製品の使用説明書に従って精製した。精製した組み換え抗原はPBS、4℃で透析した。以降の適用の為に全ての抗原濃度を10μg/mlに調整した。選択及びスクリーニング工程において単一のバッチの抗原を用いた。
VHHは対象のファージミドを有するTG1 E. coli細胞の周辺質の画分から精製した。単一のクローンを一晩培養したものを1:100希釈で新しく播種し、培養した。バクテリアはOD600 が0.5-0.7になるまで増殖させ、その後IPTG (ICN)を最終濃度が1mMとなるように4-5時間加えることでVHH産生を誘導した。バクテリアのペレットは最初の培養体積の1/50又は1/25の1mM EDTA 1M NaCl PBS溶液 pH7.4中で4℃、1-2時間ゆっくり回転することにより再懸濁した。ヘキサヒスチジン標識VHHは上清からIMACを用いて前記のように精製した。
ファージライブラリーによる選択の間の抗原提示は、受動的抗原吸着及び抗標識モノクロナール抗体を用いた抗原捕獲(capturing)の連続的及び交代的方式で行った。抗原捕獲のためにポリスチレン96-ウェルプレート (Maxisorp, NUNC デンマーク) を4℃で、10μg/ml 抗-T7標識 モノクロナール抗体 (Novagen)溶液を 100μl加え、12時間コートした。プレートをPBSで3回洗浄しその後30分間室温で4%スキムミルクPBS溶液でブロックし、もう一度PBSで洗浄し、0.1% BSA PBS溶液で 10 μg/mlの濃度にした対象の抗原溶液100μlを加えた。その後プレートをELISA shaker で1000rpm で激しく攪拌しながら2 時間室温でインキュベートした。抗原 (直接コート)の受動的吸着には10 μg/mlの対象タンパク100μlを使用した。PBSで三回洗浄した後、100μl のファージライブラリー混合物(約1011 のファージ及び20% 正常マウス血清 (Sigma-Aldrich, The Netherlands) 2%スキムミルクPBS溶液溶液)を各ウェルに加え、以前のように2時間インキュベートした。プレートをPBST(0.05% Tween-20)で5回洗浄ごとにイライザシェーカーに乗せ1000prm、10分間振とうしながら15回洗浄し、最終的にPBSで3回洗浄した。全ての場合において、結合したファージは100μlの100mMトリエチルアミンで10分間インキュベートして溶出し、続いて50μl の1M Tris pH7.5.で中和した。PABPN1に対するエピトープ-マスキング 選択[[Verheesen P et al 2006 in press]のためには、10μg/ml VHH3F5 をポリスチレンプレートにコートし、前述のようにPABPN1を捕獲した。抗原特異的抗体断片による捕獲は抗原部位及び同じ抗原上の他のエピトープに対する選択を遮断する。溶出したファージの半分は対数増殖期中期(mid-log phase )のE.coli TG1への感染に使用する。各感染混合物の希釈液は各選択ラウンド後の出力を計算するのに使用し、濃縮液はラウンド2の出力/入力比をラウンド1の出力/入力比で割ることにより計算した。ファージはE.coliから前述のように調製した。[[Frenken LG et al 2000, J. Biotechnol 78, 11-21].
(SDS-PAGE及びウエスタンブロット分析)
タンパクをSDS-PAGEで分離し、続いてクマシーブリリアントブルー染色又はPVDFウェスタンブロッティング膜に転写(ロシュ ダイアグノシス、アルメーレ、オランダ) ゲル電気泳動にMini-PROTEAN 3 システムを用いMini Trans-Blot Cellをタンパクブロッティングに (Bio-Rad Laboratories, Hercules, CA, USA)使用する。タンパクの転写後、膜を一晩4-5%スキムミルクPBS溶液、4℃でブロッキングし又は100%メタノールで2回インキュベートしその後乾くまで放置する(Liu B et al. 2002 J. Mol. Biol. 315, 1063-1073)。ファージの希釈 (典型的には107 cfu/mlまで)又はVHH(典型的には50nM1μM)を2-5%スキムミルクPBS溶液中、1-2時間室温で又は一晩4℃でインキュベートした。c-Myc標識VHHは抗-c-Myc モノクロナール抗体 (P.W. Hermans, Biotechnology Application Centre BV、ブッサム、オランダの好意で提供された) 及び 5,000-倍希釈 抗-マウス ホースラディッシュペルオキシダーゼ (HRP)コンジュゲート(Jackson ImmunoResearch, West Grove, USA)を使用して検出する。ファージの検出には、ファージのコートタンパクに結合する10,000-倍希釈のHRP-コンジュゲート モノクロナール抗体(Amersham Biosciences、ウプサラ、スエーデン)を使用した。
(選択工程の評価)
各選択ラウンドで得られたポリクロナールファージを個々のクローンの単離及び特性付けを行う前の1次元ゲル電気泳動及びウェスタンブロッティングによるによる選択の進捗をモニターするため使用した。5%スキムミルクPBS溶液によるファージの希釈(1:1000)をPVDF膜状にブロットした組み換えタンパクの抗原への結合を前記系を利用して及びLiu et al. [24][ Liu B et al. 2002 J. Mol. Biol. 315, 1063-1073]に記載されたプロトコールに従って試験した。
(ファージELISAによる陽性クローンのスクリーニング)
第二選択ラウンドにより得られた単一のコロニーをU底 96-ウェルプレート(NUNC, Denmark)内で37℃、100 μg/ml アンピシリン及び2%グルコースを含む2xTY培地で一晩培養したものを新たな培養(0.1% グルコース)に播種するのに使用した。バクテリアをOD600 =0.5まで増殖させ、続いてVCSM13ヘルパーファージ、カナマイシン及びアンピシリン混合物を最終濃度がそれぞれ109 CFU/mlヘルパーファージ、25 μg/ml カナマイシン及び100 μg/ml アンピシリンとなるように培養物に加えた。バクテリアはさらに220 rpm で振とうしながら37℃で一晩増殖させた。
ELISA用に、Maxisorp プレート(NUNC、デンマーク)を10 μg/mlの各対象抗原を100 μl 加え、まず30分間、室温、1000 rpmで振とうし、次に4℃で一晩維持することによりコーティングした。次の日プレートを1時間5% スキムミルクPBS溶液でブロックし、50μlのファージを含む上清をウェルに加えた。室温、1000 rpmで2時間インキュベートした後、プレートをPBST (0.05% Tween-2 0)で3回、PBSで3回洗浄した。抗原 ファージ-抗体相互作用を検出するために、of ホースラディッシュペルオキシダーゼとコンジュゲートした抗-M13モノクロナール抗体(Amersham Pharmacia)の5% milk-PBS溶液による1:10,000希釈をウェルに加え、1時間インキュベートした。PBSで3回洗浄した後、反応複合体を3.7mM o-フェニレンジアミン(ICN Biomedicals)、50mM Na2HPO4, 25mM クエン酸及び0.03% H2O2を含む100μlのOPD溶液を加えることにより可視化した。酵素反応はH2SO4 を最終濃度が300mMとなるように加えて止める。色の強度はELISAプレートリーダ(BioTek)においてOD490を測定することにより定量した。
(DNAフィンガープリント法によるクローンのスクリーニング)
DNAフィンガープリントを精製するために、以下のプライマーM13Rev: 5'-CAGGAAACAGCTATGAC-3' and MPE25: 5'-TTTCTGTATGGGGTTTTGCTA-3'を用い、の第2選択ラウンド由来の96個のコロニーのパネルに含まれるグリセロールストックをテンプレートとして使用してPCR反応を行った。1x SuperTaq 緩衝液(HT Biotechnology、オランダ)、1.25mM dNTPs、12pMの核プライマー及び一反応あたり0.5UのSilverstar ポリメラーゼ(Eurogentec) を含むPCR マスター混合物を20μlずつ96-ウェルPCRプレートに加えた。増幅は94℃、1分間、 55℃ 1分間及び72℃1.5分を35サイクル、つづいて10分間94℃の初期変性反応を行うことで行った。PCR反応後、5μlの増幅生成物を全量25μlにしてHinfI で消化し、TBEバッファー中3% (w/v)アガロースゲルで分析した。ELISAにより組み替え抗原に結合することを示したクローン及びフィンガープリント分析で異なる制限パターンを示したクローンはM13Rev又はMPE25 (LGTC, The Netherlands)いずれかのプライマーを用いて配列を決定した。
(クローンをE. coli及びS. cerevisiaeに発現することによる、異なるフィンガープリントを用いたVHHクローンのスクリーニング)
VHHが凝集疾患と闘うためには適切な折りたたみが重要な特性であることから、我々はE. coli及び S. cerevisiaeにおけるこれらのVHHの折りたたみを試験した。これらの細胞におけるVHHのクローニングは文献に記載されている[[Frenken LG et al. 2000, J. Biotechnol. 78, 11-20]]。E.coli の周辺質空間における可溶性のVHH及びS. cerevisaeの培養培地中の可溶性VHHの量のこれらの培養のバイオマスの機能としての評価は、適切な折りたたみの良い指標を提供する。スクリーニングの判定基準は単に例えば [Tomassen YE et al 2002, Enzyme and Micobiol. Technology 30, 273-278]と比較したバイオマスで割ったVHHの産生量である。通常、4つのクローンのうちの1のみが設定した判定基準を通過するだろう。
(免疫沈降法)
免疫沈降法はスクリーニングプロトコルの他の工程である。工程は疾患に関係する抗原の構造が本当に候補VHHで認識されるかを確かめる為に導入された。HeLa細胞を標準的プロトコルに従って培養した。細胞を1xNP-40緩衝液(50mM Tris-HCl pH8、150mM NaCl、1%(v/v)NP-40, 1xコンプリートプロテアーゼインヒビター (Roche))にかき取り培養した。細胞懸濁液は透明になるまで超音波処理した。VHH3F5を加え(最終濃度100nM)及び4℃でヘッド・オーバー・ヘッド(head-over-head)回転をしながら一晩インキュベートした。プロテインAセファロースを10%(v/v)になるよう加え、4℃で1時間ヘッド・オーバー・ヘッド回転をしながらインキュベートした。残渣を1xNP-40 bufferで3回、50mM Tris-HCl pH8で一回洗浄した。結合したタンパクは100mM グリシンpH2.5で5分間ヘッド・オーバー・ヘッド回転することにより溶出し、1M Trisで中和した。
(免疫蛍光顕微鏡検査)
免疫蛍光顕微鏡検査のために、コントロールの繊維芽細胞及びLMNA-/-繊維芽細胞(Dr. B. van Engelen、ナイメーヘン、オランダの好意で提供された。; [25] [Muchir A et al. 2003, Exp. Cell. Res. 291, 352-362]) をカバースリップ上で、10%FCS及びバクテリアの増殖を防ぐ為にペニシリン/ストレプトマイシンを添加したF12培地中で増殖させた。細胞はPBSで1度洗浄し10%v/v ホルマリン(J.T. Baker)を用い10分間室温で固定した。細胞の透過処理は0.1%Triton in PBSを用いて10分間室温で行った。50mMグリシンPBS溶液で、室温、10分間及び1%BSA PBS溶液で、室温、30分間ブロッキングした後、VHHを使用する際一次抗体を1%BSA PBS溶液で0.05-1 μMまで希釈し、2時間室温でインキュベートした。結合したVHHを抗-VSV モノクロナール 抗体 (Dr J. Franssen, ナイメーヘン、オランダ の好意で提供された)又は抗-c-Myc モノクロナール 抗体及びAlexa Fluor 488ヤギ抗マウスIgG (Molecular Probes, Eugene, OR, USA)の連続的な組み合わせにより、すべて、1%BSA PBS溶液中、室温で1時間インキュベートし、検出した。ウサギ抗-ラミンAポリクロナール抗体 (Cell Signaling Technology, Beverly, MA, USA)は1%BSA PBS溶液で1:35に希釈し室温で2時間インキュベートした。ウサギ抗体はAlexa Fluor 594 ヤギ抗ウサギ IgG (Molecular Probes)で検出した。F-アクチンの標識はAlexa Fluor 568ファロイジン(Molecular Probes, Invitrogen)で、提供されたプロトコルに従って行った。筋薄層凍結切片6-8 μMはクライオトーム(Shandon, USA)で作製し、続いてSuperFrost Plus (Menzel Glazer)上で溶かし、ガラススライド及び切片は固定し風乾させた。PBSで2回洗浄した後、切片を1%BSA PBS溶液で少なくとも30分間ブロックし、抗体は免疫細胞化学について記載したのと同様の条件でインキュベートした。
結果
(最適な選択戦略の決定)
全長アクチン、トロポミオシン-1、PABPN1 及びエメリンの細胞内領域pET28a 発現ベクターにおいてクローンした。組み替えタンパクはE. coli BL21細胞に導入することにより高い濃度で産生した。ロポミオシン-1, PABPN1及びエメリンは可溶性であるのに対しアクチンは不溶性タンパク画分に出現した。全てはヘキサヒスチジン標識によって親和性を用いて精製され、1リットルの培養物あたり最大20mgの収量が得られた。VHH選択には大規模な非免疫性ライブラリーを使用した (Hermans et al., in preparation)。選択に最適な条件を同定する為、抗原提示の3つの方法を評価した。最初に、バイオパニングの手順に従った抗原のポリスチレン表面への受動的吸着[23] [Marks JD et al. 1991, J. Mol. Biol. 222, 581-597]を利用した2つの同じ組み換えエメリンの選択ラウンドの結果、未変性のヒトタンパクへの結合を証明することができない1つののモノクロナール 抗体 断片を得た。第二に、T7-標識抗原を抗T7-標識モノクロナール 抗体 で捕獲する2つの同じ選択ラウンドの結果、ファージインキュベーション中に過剰な非関連(unrelated)のマウスIgGとの競合にもかかわらず、抗原の濃縮は観察できなかった一方で捕獲抗体への結合物の濃縮をもたらした。我々の第3の戦略において、我々は従って連続した選択ラウンドにおいて抗原の固定の組み合わせについても検討した。第一ラウンドでは、標識した抗原は抗T7-標識マウスモノクロナール抗体で捕獲される。最大2x104のファージ出力数が得られ、これらのサブライブラリーからファージプールが調製された。さらに抗原特異的クローンの選別の可能性を増加させ、捕獲抗体を認識する抗体断片を得る機会を減少させる為に、第2選択ラウンドはポリスチレン表面への抗原の受動的吸着で行った。比較的に、我々は最初に受動的吸着を行い、次に抗原捕獲という逆の順序を評価した。抗原固定がいずれの順番であっても、連続する選択ラウンドにおけるファージ数の増加は回復されたが、第一選択ラウンドで抗原が抗体捕獲され、続いて受動吸着の第2ラウンドの場合に、選択された抗体断片の配列(表10)により説明されるように、より多様なVHHセットを得ることが出来た。抗原提示がいずれの順番であっても、組み替え抗原への結合を示す全てのクローンは、そのDNAフィンガープリントに基づき遺伝子的に異なり、配列が決定された。人の筋肉組織切片におけるエメリンの検出に適用されるクローン(clones EME7E, EME2G and VHH14)はもっぱら第一選択ラウンドにおいて抗原の捕獲を用いた選択によって得た。したがってトロポミオシン-1、アクチン及びPABPN1の選択は同様に抗原固定をこの順番で行った。濃縮は2つの選択ラウンドの後に連続する選択ラウンドにおいて溶出される入力ファージに比例する増加で定義されるように定量した。計算された濃縮が好結果の選択を示したので、選択の出力をさらに評価した。
(選択過程のモニタリング)
全ファージ粒子をディスプレイしている抗体断片をウェスタンブロットにおける抗原検出の為の一次抗体としてうまく使用することができる[24, 26][Liu B et al. 2002, J. Mol. Biol. 315, 1063-1073; Nissim A et al. 1994 EMBO J. 13, 692-698]。我々は全ファージ選択出力を選択進捗をモニターするための一次抗体源として使用できるか検討した。組み換え抗原をウェスタンブロッティングし連続選択ラウンドから得たポリクロナールファージ抗体とインキュベートすることにより、選択が進むにしたがって組み換えエメリン、トロポミオシン-1及びアクチンの正しい分子量のシグナル強度の増加が観察された(図1、パネルa-c)。2つの選択ラウンドの後、 エメリン及びアクチンポリクロナールファージ抗体(図1、パネルa及びc)で特異的に検出することができた。トロポミオシン-1選択のモニタリングにより唯1つの選択ラウンドが、トロポミオシン-1結合剤を、ウエスタンブロッティング試験においてすでにシグナルを示していた第一選択ラウンドから得たポリクロナールファージ抗体として濃縮するのに十分であることをしめした(図1、パネルb)。PABPN1については、選択の進捗はHeLa細胞でモニターし、複合細胞抽出物内の内因性タンパクでさえも使用することができることを例証した(図1、パネルd)。また、モニターしている過程はうまくいかなかった選択又は(免疫優位性な)不純物の選択を明らかにすることもできる。従って、ポリクロナールファージ抗体の特異性の即時のモニターは、選択に続く時間のかかるモノクロナール抗体断片の性質決定を効率的に防ぐことができる。
(内在性抗原を検出する為のポリクロナールファージ抗体)
ウェスタンブロットした組換え型抗原で選択の進捗をモニターするためにうまくポリクロナールファージを適用することができたので、我々は内因性のヒトタンパク質結合におけるそれらの性能を調査することにした。この目的のために、モノクロナールファージ抗体は、HeLa細胞抽出物中のそれらの関連抗原への結合を評価するために直接使用した(図1d及び2)。HeLa細胞抽出中の内因性のトロポミオシン-1、アクチン、およびPABPN1は第2ラウンド選択から得たポリクロナールファージ出力を用いて検出することができた(図1、パネルd;図2、パネルb及びc)。これはポリクロナールファージ 抗体 はウェスタンブロッティングに適し、ヒトタンパクに結合することのできるファージ結合VHHを高い比率で含むことを示した。エメリンに対する選択から得られたポリクロナールファージ出力は特異的なシグナルを示さなかった (図2、パネルa)。
ポリクロナールファージ 抗体の筋肉内の内因性 トロポミオシン-1に対する検出限界を決定する為に、ヒト筋肉ホモジネートの5倍段階希釈を、組み換えトロポミオシン-1の段階希釈に対して平行して、既知の濃度でPVDF膜状にブロットした。トロポミオシン-1に対して選択した第2ラウンド ポリクロナールファージ 抗体を滴定し、104 TU/ml のファージを膜をインキュベートするのに使用した。図3はトロポミオシン-1に対するシグナルの強さはヒト筋肉タンパクの量の減少と共に減少し、ポリクロナールファージ 抗体は50ng未満のヒト筋肉ホモジネートにおける内因性トロポミオシン-1の検出に使用することができることを示す。
(モノクロナール抗体断片のスクリーニング)
選択した抗体 断片のモノクロナール供給源を獲得する為に、抗原1個当たり96個の無作為に選択したクローンを各々の標的への結合をスクリーニングした。スクリーニングは個々の抗体断片結合能力の同定及び遺伝子の相違点の決定の両方により行った。抗体断片を含む一晩導入した培養上清を直接コートした組み換え抗原を用い、かくして第2選択ラウンドと似ているELISAで試験した。平行して、選択したクローンの遺伝子の相違性を、単一コロニーPCR及び繁用の切断酵素HinfIについて制限パターン分析を用いて決定した。エメリン及びアクチンに対する選択物には高い遺伝に相違性が観察された一方で、4つ全ての抗原について50-80%の陽性クローンが同定された(表11)。ELISAにおいて陽性であり及び異なる制限パターンを示すVHHのcDNA の配列が決定され、エメリン、アクチン及びトロポミオシン-1それぞれについて22、4及び1個の異なるVHHが選択された(表11)。
(モノクロナールファージ及び精製抗体断片を用いた内因性タンパクの検出)
ELISA及びフィンガープリント分析で同定した個々のクローンから生産したファージについてウェスタンブロットした内因性抗原を検出する能力について試験した。4つ全ての抗原について、モノクロナールファージ-VHHがウェスタンブロットにおいてHeLa細胞抽出物内の内因性抗原に特異的に結合することを確認することができた(図1、パネルd;図2、パネルa、b、c)。トロポミオシン-1、アクチン、及びPABPN1に関して、モノクローン抗体ファージインキュベーションのについてのシグナル強度がポリクロナールクローンのファージ抗体で得られたシグナルに匹敵していたのは、注目に値する。同じファージ希釈を使用したので、これにより抗原認識ファージが高い比率でポリクロナールファージプールに存在することを確認した。ポリクロナールファージ 抗体が内因性 抗原を検出できなかったエメリンについては、モノクロナールファージクローンが明らかに及び特異的にHeLa細胞抽出物中のエメリンに結合することを確認できた(図2、パネルa)。
次に、我々はウェスタンブロッティングにより精製抗体断片が細胞抽出物及び組織ホモジネート中の内因性抗原を検出する能力を検討した。スクリーニングで同定したファージクローンからえた可溶性の抗体断片はE. coli導入の周辺質調製物から精製した。培養体積中最大2mg/lの収量を得、精製した抗体断片はウェスタンブロットしたHeLa細胞抽出物及び組織ホモジネートを検出するのに使用した。4つ全ての抗原について、選択したVHHはHeLa細胞抽出物中の内因性抗原を認識することができた(図4、パネル a-c)。抗-トロポミオシン-1及び抗-アクチンVHH筋肉中の内因性抗原についても同様にうまく検出した (図 4, パネル d)。
(免疫蛍光顕微鏡検査)
免疫蛍光検査ははじめに選択したVHH又はVHH担体が疾患に関連する組織又は細胞内の抗原を認識するものを得る確立を増加させる為のスクリーニング工程における別の段階である。我々の抗体断片の免疫蛍光顕微鏡検査への適用可能性は繊維芽細胞の初代培養を用いて検討した。トロポミオシン-1及びアクチンに対するVHHの蛍光免疫細胞化学における適用は異なる抗-ACTA1 VHH (D7、B5、B8)は細胞骨格の異なる部分を標識する一方で、抗-TPM1 VHH (G4)はシンフィラメント中に局在する (図5、パネル □)が、必ずしも繊維芽細胞張力繊維のF-アクチンネットワークに伴わない(図5、パネルq、u及びy)ことを示した。抗-エメリン及び抗-PABPN1 VHHをもちいて、エメリン及びPABPN1の局在を正常初代繊維芽細胞及び完全なラミンA及びCの欠損の原因となるLMNA遺伝子におけるホモ接合型ナンセンスY259X変異を起こしている患者から誘導した初代繊維芽細胞において調べた。PABPN1はコントロール繊維芽細胞及び患者細胞いずれにおいても、核スペックル及び核質に局在し (図5, パネルi及びm)他のpre-mRNAすプライシング因子について以前に示されたものと同様であった。[27][Vecerova J 2004, Mol. Biol. Cell 15, 4904-4910]。 As ラミンは核ラミナの形成に重要であるので、これらの細胞においては核整合性が失われ、エメリンは間違った場所、小胞体(ER)の中に局在化している。[25] [Muchir A. et al. 2003, Exp. Cell Res. 291, 352-362]。エメリンをVHH EME7Eで染色したもの及びラミンA及びCで共染色したものは我々の選択した抗体断片がコントロール細胞の角膜中のエメリンを認識し(図5、パネルa)、一方予測されたERへの間違った場所への局在化が患者細胞で観察された(図5、パネルe)ことを示す。コントロール繊維芽細胞の核膜において正常の免疫活性を示す(図5, それぞれパネルg、o及びc、k)一方で、患者細胞において抗-ラミンポリクロナール抗体のシグナルが完全に欠損することはこの染色パターンに一致している。
最後に、我々はVHHの免疫組織化学への適用性を調査した。筋肉の薄凍結切片において、アクチン、トロポミオシン-1及びPABPN1(図6)及びエメリン(図7)に特異的なVHHをもちいて抗原をうまく検出した。アクチン及びトロポミオシンについての典型的なパターン はそれぞれのVHH (抗-アクチン VHHA2 and 抗-トロポミオシン-1 VHHG4)が横断及び縦断切片において使用された (図6、パネルa及びd)。PABPN1については、核の標識が得られた(図5、パネルg)。エメリンは筋核の核縁において薄断面に見られるように特異的に検出され、EDMD患者の筋肉におけるエメリンの免疫反応性の欠落により診断マーカーとしての特異性及び適用性がさらに確認された(図7)。
(考察)
現行のゲノム解析及びプロテオミクスを基礎とするハイスループット技術はタンパクの機能的特性付け及びそれらの修飾を求める大きな需要を作り出す。ハイブリドーマ技術による従来のモノクロナール抗体産生は、高価であって、時間がかかり、遺伝子同定の技術の現在のペースについて行けそうにない。非免疫レパートリーの抗体ファージディスプレー法の使用は、抗体断片の大きいパネルを発生させるように費用対効果に優れ、柔軟で迅速な代替手段を提供する。 [28] [Bradbury AR & Marks JD 2004, J. Immunol. Methods 290, 29-49]. しかしながら、ファージディスプレイ法と組み合わせた従来の抗体レパートリーの使用は、組み合わせの大部分を非機能的にするVHとVLの遺伝子の制御できない組み合わせに関連する重要な欠点に苦しむ。[c7] [Marks et al. 1992, Biotechnology 10, 779-783]。単一の遺伝子でコードされる機能的抗原結合領域の独特の供給源がラクダの単一領域抗体断片とファージディスプレイ法の組み合わせにより入手可能になってきた[c8, 9] Arbabi Gharhoudi M et al. 1997, FEBS Lett. 414, 521-526; v. d. Linden R et al. 2000, J. Immunol. Methods. 240, 185-195]。
免疫学的試薬に対する増加する需要のための解決方法を提供する為に我々は迅速で、信頼性のある及び調節可能な、非免疫ラマからの抗体断片選択プロトコルを開発した。我々は異なる細胞内構造を示し、さまざまな筋肉疾患において役割を果たす4つの抗原に対する単一領域抗体断片を選択した。単離したクローンは加工しやすく、さまざまな免疫学的技術に適応できるモノクロナール抗体断片の供給源である
その固定によって引き起こされたエピトープ到達性における変化又は抗原そのものにおける変化は[29][Smith AD & Wilson JE 1986, J. Immunol. Methods 94, 31-35]、天然の抗原を認識することができない抗体断片の選択を導くことができる。抗原を標識配列によって捕獲することによって、抗原は“溶液中に”存在し、及び抗原特異的抗体又は非方向性固定の使用と比較して、ファージ結合についてより優れたエピトープ到達性を示すようである。さらに、捕獲による抗原固定は親和性精製工程として作用し、それゆえ抗原調製において時折存在する不純物の選択の可能性が減少する。抗-T7抗体を単独で用いたいずれの選択ラウンドにおいても、抗原の固定の結果、過剰の非関連性のモノクロナール抗体が競合の為に使用された場合においても捕獲剤の濃縮が起こった。比較的評価により、我々は抗原固定の特定の順番を第一ラウンドにおいて抗原捕獲による選択及び第二ラウンドにおけるバイオパニングプロトコルに従った選択ラウンドの間に続くように定義した。この順番で異なる適用において内因性抗原を検出できる多様な抗体断片を得ることが出来た一方で、抗原提示を額の順番にすると機能的抗体断片を得ることに失敗した。
さらに、我々の研究は抗原立体配置がその提示と等しく重要であることを示した。全長トロポミオシン-1、アクチン、PABPN1及びエメリンの細胞内領域が 各抗原の異なる部分又は構造領域に対するVHHを選択するという目的を持って選択に使用されたが、選択出力の多様性は非常に異なった。エメリン及びアクチンに対するいくつかの抗体断片が単離されたが、結果として、モノクロナールファージELISA DNAフィンガープリント法 及び陽性クローンの連続的配列分析によって確認される単一VHHクローンを得るトロポミオシン-1内に免疫優位性領域が存在するようであった。第1選択ラウンドで得たポリクロナールファージとヒト筋肉ホモジネート内の内因性 トロポミオシン-1は、ファージウェスタンブロットにおいて既に免疫反応することが出来たので (テータ示さず)、この場合の多様性の限界は選択の評価の間期待されていた。おそらく、エピトープ-マスキングにより [21, 22] [Ditzel HJ, 1995, J. Immunol. 154, 893-906; Sanna PP et al. 1995, Proc. Natl. Acad. Sci. 92, 6439-6443]この優勢なVHHを新しい選択のための捕獲剤として使用することにより、異なる抗体 断片がトロポミオシン-1のために得られる。
エメリン及びPABPN1が単一の遺伝子によってコードされる一方、アクチン及びトロポミオシン-1の両方はそれぞれ6及び4の高い相同性を有するメンバーを含む遺伝子ファミリーに属する。2つの選択ラウンドの後、エメリン及びPABPN1に対するモノクロナールVHHは予測した分子量の単一のタンパクを認識した。アクチン及びトロポミオシン-1に対する選択により、ウェスタンブロッティング(図4)又は免疫蛍光顕微鏡検査(図5)で確認できるように、複数の相同体やアイソフォームをを認識することができるVHHを得た。トロポミオシンは筋原繊維及び張力繊維のアクチン繊維に関連する35-45kDaの、広範に分布するタンパクである。脊椎動物においては、少なくとも4つの既知の多様なアイソフォームをコードするトポロミオシン遺伝子が組織特異的に発現し、交替スプライシング(alternative splicing)機構によって調節されるLees-Millar JP & Helfman DM 1991, Bioessays 13, 429-437]。我々のポリクロナール及びモノクロナールファージをを用いたウェスタンブロッティングの分析は、ヒト筋肉ホモジネートにおいてもHeLa細胞抽出物においてと同様、異なるアイソホームが検出された。この観察はトロポミオシン-1における免疫優位性領域が保存され、全てのトロモマイシン相同体単一抗体断片を選択する結果となるという、我々の予想に従った。
アクチンの場合は、全てのアクチンアイソホームが同じ分子量45kDaを有するので、それらをウェスタンブロットで区別することは出来ない(図2及び4も参照のこと)。しかしながら、選択工程後により高いVHH多様性が観察されたのは、免疫蛍光顕微鏡検査において各抗体断片によって認識された異なる細胞骨格構造に反映されているようである。我々は様々な抗アクチンVHHで細胞骨格の別々の構成物をマークする正確な構造エピトープを決定していないが(図5)、多様な抗体断片が免疫プローブとして異なる特性を示すことは明らかである。
選択が非常に迅速で複数の抗原について平行して行うことが出来る一方で、意図する適用でうまく作用する各抗体クローンのスクリーニングは比較的労働集約的である。より時間効果的な選別アプローチの解決策として、それは多くの抗原に関与することができ、そして、失敗した選択への労働集約的なフォローアップを防ぐために、我々はファージディスプレーによる選択のために「リアルタイムで」のモニタリングシステムを開発した。我々は選択工程と並行して、陽性のバインダーに関する進捗が組換え型の抗原のウェスタンブロッティングにより有効に評価され、抗原検出に対し、選択の各ラウンドから全ファージプールを使用することができることを示した。これらの結合モニタリング実験により組み換え型抗原に直接関連する免疫優性な不純物の同時選択をも明らかにすることができた。
選択の進捗(図1)をモニターするのに効率的にポリクロナールファージ抗体を使用することができるが、エメリンに対する選択により得られたポリクロナール抗体に、見られたように細胞抽出物中にも組織ホモジネート中にも内因性の抗原を検出できないということは起こりうる。HeLa細胞抽出物中でモノクロナールファージが効果的にエメリンを認識するので(図2)、我々はポリクロナールファージ抗体の段階希釈でエメリンを検出できるかどうか検討した。ファージ濃度の増加と共に、バックラウンドは増加し特異的なシグナルをマスクするほどになり、エメリンを検出することが出来なくなった(データ示さず)。実際に、トロポミオシン-1(図3)とアクチン(データ示さず)に対して、ポリクロナールファージ抗体はヒトの筋肉ホモジェネートの中の内因性の抗原を特異的に認識する。従って、既に非免疫ライブラリーによる1又は2つの選択ラウンドの後であるいくつかの抗原に関して、内因性の抗原を検出するのにポリクロナールファージ抗体を使用することができる。(この意味で、従来のポリクローナル抗血清に匹敵する)。
、我々はLMNA遺伝子におけるナンセンスY259X変異を有する患者由来の線維芽細胞培養でエメリンの誤局在を確認できたように、線維芽細胞培養を使用して標的確証研究における我々のVHHの値を示した。EMDの遺伝子はこれらの患者で影響を受けないが、ラミンA及びCの欠損のの副次的効果としてエメリンは小胞体中に分散する。また、我々は、EMDの遺伝子における変異の結果としてEDMD患者の筋肉細胞核におけるエメリンの欠損を示すことによって、単離した抗体断片の診断適用性を示すこともできるだろう。
結論として、非免疫ライブラリからの重鎖抗体断片のためのファージディスプレイ法の技術と最適化された選択方法の相乗作用は費用対効果に優れた方法で今後の大規模な標的確証化のためのかなりの見込みを有する。この手順は時間のかかる免疫化プロトコルを必要とせず、多くの抗原について平行してオートメーション化することも許容されるので、大パネルの抗体断片を迅速に得ることが出来る。さらに、エピトープの選択、選択の方法(例えば、バイオパニング、捕獲、またはエピトープマスキング)を含む選択戦略による柔軟性はこれらの抗体断片とそれらの遺伝子を組み換えた誘導体を、生物学と薬の分野において機能と病理学をゲノム変化に関連させるプロテオミクスのための役に立つツールにする。
実施例2

材料及び方法
(抗体の選択)PABPN1のヒトcDNA 配列は原核生物の発現ベクター pET28a (Novagen)内にクローンした。組み換えタンパクはBL21(DE3)-RIL E. coli (Stratagene)において生産した。タンパクは付加したHis-標識でTALON (BD Biosciences)を用いることによって精製した。2つの選択ラウンドは大規模(5*109)非免疫性ラマ単一領域抗体断片ライブラリー(Unilever Research Vlaardingen, オランダ、の好意により提供された)で標準的な方法を用いて行った[15] [Verheesen P. et al. 2003, Biochim. Biophys. Acta 1624, 21-28]。手短に、記載されたものとの違い: 抗T7-標識モノクロナール抗体 (Novagen) (10μg/ml PBS (137mM NaCl, 2.7mM KCl, 8mM Na2HPO4, 1.5mM KH2PO4)溶液)をmaxisorp 96-ウェルプレート(Nunc)にコートした。4%スキムミルクPBS溶液(4%MPBS)でブロッキングした後、精製したT7-標識 PABPN1 (10μg/ml in 0.1%MPBS) を捕獲した。1011個のファージ(2%MPBS、1%ウシ血清アルブミン(BSA)、10%正常マウス血清(NMS)中)を加え、室温(RT)で90分インキュベートした。0.05%Tween-20 PBS溶液 (PBST)及びPBSでよく洗浄した後、結合ファージを100mMトリエチルアミン(TEA)で室温10分間溶出した。記載したように、ファージを第2選択ラウンド用に調製した。結合ファージを高いPHで溶出した。これらのファージは増殖させ、第2選択ラウンドに使用した。この第2選択ラウンドはPABPN1(10μg/ml PBS溶液)を直接maxisorpプレートにコートし、109個のファージを使用した以外はラウンド1と同様に行った。第2選択ラウンドの後、単一コロニーを96-ウェルプレートに採取しc-myc-標識VHH (VHH-myc)を96-ウェルプレート内で一晩インキュベートすることで生産した。VHH-mycを含む培養上清はELISAで直接コートされたPABPN1 (10μg/ml PBS溶液)への結合を試験した。VHH-mycはマウス 抗-c-myc 抗体 (P.W. Hermans, Biotechnology Application Centre, The Netherlands の好意で提供された)及び抗-マウス ペルオキシダーゼ-標識抗体 (Jackson)で検出した。単一コロニーPCRを本明細書に記載するように行い、PCR 断片 はHinfI (New England Biolabs)で切断し2%アガロースゲルで分析した。
(エピトープマッピング)
以下のPABPN1領域は全長 PABPN1 cDNA からPCR-増幅し、GST-融合ベクターpGEX-3X(Amersham)の誘導体でクローニングした: 低重合化領域264-306[] (OD(264-306)); 低重合化領域155-294(OD(155-294)): アミノ酸173-244 [Fan X et al. 2001, Hum. Mol. Genet. 10, 2341-2351]アミノ酸161-257[c16] [Tavanez JP. Et al. 2005, RNA 11, 752-762 (RNP(173-244))から伸展したほとんどのRNP-領域を含み、メチル化アルギニン(AP(271-291))のクラスターを有するアミノ酸271-291。欠失構成物DN10、DN49、DN92、DN113、アミノ酸1-125をコードするN-末端タンパク断片、及び点突然変異構成物V126S、M129A、E131A、A133S、K135A、L136S、V143A (WB: 040315)は細密なエピトープマッピングに使用され、これらは以前にも記載されており、[] [Kerwitz Y et al. 2003, EMBO J. 22, 3705-3714] ] (Uwe Kuhn, Martin-Luther-University Halle、ドイツ、の好意により提供された) 及びウエスタンブロッティングの為に精製されたタンパクとしてすぐに使用できる形で提供された。
(親和性の測定)
3F5のPABPN1への結合の会合及び解離定数 (それぞれkon及びkoff)はBiacore3000 (Biacore)及び組み替えPABPN1及び3F5が共有結合的に結合したCM5センサーチップを用いて測定した。親和性はBiacore評価ソフトウェアを用いて計算した。
(細胞培養及び免疫蛍光標識)
HeLa及びCOS-1細胞は標準的なプロトコルに従って培養した。細胞をカバースリップ上で24時間培養し、PBSで洗浄し、4%ホルムアルデヒドPBS溶液で15分間室温で固定した。Triton X-100を最終濃度が0.1%になるように加え、細胞を15分間、室温で透過処理した。細胞を100mMグリシンPBS溶液及び1%BSA PBS溶液で共に15分間 室温でブロッキングし、3F5 (1μg/ml in 1%BSA/PBS)と90min RTでインキュベートした。VHHは抗-c-mycモノクロナール抗体及びアレクサフルオロ488-標識抗マウス抗体(Molecular Probes)1%BSA/PBS溶液でそれぞれ1時間反応させて検出した。細胞は核を可視化するために最後の抗体と共に 0.2μg/ml DAPI (Roche)とインキュベートした。コントロールのヒト筋肉生検から6μm横断切片を作成し、30分間風乾した後、培養細胞について記載したように固定し、3F5で標識した。
(凝集体の形質移入および定量)
mPABPN1-ala17 は水疱性口内炎ウイルス糖タンパク-標識 (VSV-標識)のC末端に隣接した真核生物の発現ベクター (pSG8) [19]にクローンした。VSV-標識は形質移入した変異体タンパクの特異的な免疫学的検出を可能にする。3F5をコードするcDNAはV40 T-抗原核局在化シグナル(NLS)及び緑色蛍光タンパク (GFP)と融合して真核生物の発現ベクター (modified pSG8)にクローンされた。PABPN1凝集体の形成のモデルとして、COS-1及びHeLa細胞をFuGENE 6 (Roche, Indianapolis, USA)を用いてVSV-標識 17位アラニン変異 PABPN1 (mPABPN1-ala17)をコードするプラスミドで形質移入した。上記形質移入後24時間及び48時間に細胞は固定し及び透過処理した。形質移入したPABPN1はマウス抗-VSV抗体(clone P5D4, Roche)、続いて抗-マウス Cy3-標識ヤギ抗体 (Jackson, West Grove, USA)でインキュベートすることにより検出した。細胞核はDAPI (Roche, Mannheim, Germany)で染色した。
VHHを有するイントラボディ構成物はSV40 T-抗原核局在化シグナル(NLS)及び緑色蛍光タンパク (GFP)と融合して同時形質移入し、続いてイントラボディ:mPABPN1-ala17=0.5:1、1:1、2:1及び4:1の比率で形質移入した。mPABPN1-ala17は抗-VSV 抗体を用いて上記のように視覚化しイントラボディはGFPとの融合により容易に視覚化した。関連しないイントラボディ及びNLS-GFPをmPABPN1-ala17を1:1の比率で形質移入しコントロールとした。連続形質移入のために、3F5、コントロールイントラボディ及びNLS-GFP単独を既にmPABPN1-ala17を発現している細胞に連続して形質移入し、この第二の形質移入の24時間、48時間後にmPABPN1-ala17を前述のように視覚化した。凝集の予防及び遺伝しよう良好化を評価する為に3つの独立した実験を行った。同時形質移入及び連続形質移入実験より少なくとも200及び100の形質移入細胞核がそれぞれ核内凝集の存在を示した。
SPSSパッケージを用い、公式b1+ln(1+b2*exp(b3*[ag])に従ったロジスティック回帰分析で投与量依存性について説明することができるだろう。式中b1、b2及びb3は評価の為のパラメーターであり、及び[ag]は同時形質移入における凝集/非凝集細胞の比である。
(細胞増殖アッセイ)
我々のmPABPN1及びイントラボディ構成物の一過性の発現により起こりうる毒性効果は細胞の代謝活性に基づいて死細胞及び生細胞を識別するMTT (3-[4,5-ジメチルチアゾール-2-イル]-2,5-ジフェニル-テトラゾリウム ブロミド) (Sigma-Aldrich) 細胞増殖アッセイで検討した。MTTは1mg/mlの濃度で培養培地に溶解した。
(ウェスタンブロッティング)
HeLa細胞の細胞質及び各画分は記載したとおりに調製し[20]、12%SDS-ポリアクリルアミド(SDS-PAGE) ゲルにロードし、PVDFウェスタンブロッティング膜 (Roche)に転写した。膜を3F5 (1μg/ml in 2%MPBS)と共に一晩4℃でインキュベートし、続いて抗-c-myc及び抗-マウス・ペルオキシダーゼ-標識抗体とインキュベートした。同時形質移入した細胞はトリプシン処理しLaemni-緩衝液中で溶解した。溶解物は12%SDS-PAGEゲルにロードし、PVDFウェスタンブロッティング膜に転写し抗-VSV、抗-GFP (Roche)及び抗-アクチン(ICN) 抗体とインキュベートした。
結果
(抗体断片選抜)
PABPN1に対する抗体断片を単離するのに、2つのファージ選択ラウンドを連続してE.coli産生及び全長ヒトPABPN1の親和性精製に対して使用した。以前に、我々は第一ラウンドにおける抗原の捕獲(そのT7標識による)を続く第2ラウンドにおける直接固定と組み合わせることにより最も多様なバインダーのセットを得ることが出来ることを示した(Verheesen, P. et al, 投稿準備中)。異なるエピトープが選択抗体断片により認識されることを確かめる為、我々は前の選択ラウンドで得た抗体断片をPABPN1を捕獲するのに使用したエピトープ-マスキング選択を行った。濃縮されたサブライブラリーについて、PABPN1に対する特異性を有するモノクロナール抗体断片をスクリーニングした。異なる選択からPABPN1に対し5から57nMの親和性を有する全部で6個の異なる抗体断片が同定された(データ示さず)。
(エピトープマッピング)
3つの選択した抗体断片はさらに欠損型組み換えPABPN1タンパクのパネルを使用したウェスタンブロッティングによるエピトープマッピングによって特性付けた。すべてをアミノ末端の155 アミノ酸内のエピトープにマッピングした。VHHの1つ(コードされた3F5)は明らかにウェスタンブロッティングにおいて最も強いシグナルを示した。この抗体断片はまた組み換え型PABPN1及び天然 PABPN1の両方に対し最も高い親和性(5nM)を示すので、我々はこの抗体断片を用いてさらに詳細なエピトープマッピングを続けた。これらのエピトープマッピングから (図8)、我々は3F5のエピトープはアミノ酸113及び133に位置し、両親媒性のα-へリックス又はコイルド-コイル領域を形成すると予測される PABPN1 (アミノ酸s L119-Q147)のほとんどの部分と重なると結論付けた[]. Kerwitz Y et al. 2003, EMBO J. 22, 3705-3714]。PABPN1の連続する異なる点変異を用いることで、我々は126、129及び131位の残基が抗体 断片との結合に重要であることを示した。
(内因性PABPN1の検出)
3F5は続いてHeLa細胞の細胞質及び核画分のウェスタンブロットに使用した。核タンパク各分において予想した分子量50kDaのバンドが特異的に検出された。次に、2つの独立した細胞株、HeLa及びCOS-1細胞において、免疫蛍光顕微鏡検査により、我々は予想した顕著な濃い蛍光シグナルを発する、スペック様のパターンの核染色を観察した。Krause et al. 1994, Exp. Cell. Res. 214, 75-82]。培養細胞に加えて、コントロールヒト筋肉の凍結切片を3F5で同様に染色した。スペックル様パターンで集積した核局在化が観察され、筋肉におけるPABPN1の首尾良い検出が示された。
(PABPN1凝集の細胞モデル)
内因性と過剰発現した変異PABPN1を識別するために、我々はmPABPN1-ala17を水泡性口内炎ウイルス糖タンパク(VSV)標識と融合させ、COS-1およびHeLa細胞に形質移入した。PABPN1の核内凝集が観察された。これらの細胞蛍光オリゴ(dT)、抗-HSP70および抗-ユビキチン抗体のインキュベートによりポリ(A)-RNA、HSP70及びユビキチンが凝集体内に存在することが示され(データ示さず)、以前に報告されているとおりであった。[4, 9].[Calado A et al. 2000, Hum. Mol. Genet 9, 2321-2328; Abu-Baker A 2003, Hum Mol. Genet. 12, 2609-2623]
我々は形質移入したmPABPN1-ala17が内因性 PABPN1と比較して異なった局在化を示すのかどうかを検討した。最後に、HeLa細胞にmPABPN1-ala17に形質移入し、全PABPN1を3F5で視覚化する一方で、形質移入したmPABPN1-ala17を抗-VSV 抗体とインキュベートすることで視覚化した [図11]。
(イントラボディ3F5による凝集の予防)
3F5の細胞内発現の効果を細胞PABPN1凝集モデルにおいて検討した。イントラボディ3F5を核局在化シグナル (NLS)及び緑色蛍光タンパク (GFP) (3F5-NLS-GFP)と融合し、COS-1及びHeLa細胞に形質移入した。GFPシグナルは主に核内に観察され、イントラボディの発現の成功及びその核標的の成功を示した。
続いて、3F5-NLS-GFPをmPABPN1-ala17と異なる比率で同時形質移入した。mPABPN1-ala17を一定に保ち3F5-NLS-GFPの濃度を増加したところ、イントラボディは用量依存的に完全に凝集を阻害した。変異PABPN1及びイントラボディ 3F5、又はNLS-GFPコントロールの発現濃度をウェスタンブロッティングにより分析した。これによりイントラボディの発現はその抗原 mPABPN1-ala17濃度に影響しないことが示された [図12]。
3F5の細胞内発現の結果として起こる細胞毒性を検討する為に、細胞にイントラボディ構成物を単回形質移入し、及び異なる時点でウエスタンブロッティングで分析した。内因性PABPN1濃度に検出可能な影響を与えずにイントラボディ発現の緩やかな増加が時間と共に観察された。イントラボディ構成物を単回形質移入した細胞を顕微鏡でも検討した。3F5の結合場所から明確なエピトープを認識する選択抗体断片のうち一つでPABPN1を標識した。イントラボディ発現細胞に局在するPABPN1は形質移入していない細胞における局在と識別不能であった。細胞増殖実験により、イントラボディ形質移入細胞における代謝活性を形質移入していない細胞と比較した。これらの細胞間において、代謝活性の違いは観察されなかった。したがって3F5の細胞内発現は内因性抗原の濃度及び局在及び細胞生存率に基づいていかなる検出可能な細胞毒性効果も示さなかった。
(現存する凝集体の除去)
既存の凝集体を我々のイントラボディで除去することができるかどうかについて検討する為、我々はmPABPN1-ala17及びイントラボディ3F5を用いてCOS-1及びHeLa細胞に連続形質移入を行った。形質移入の24時間後、38(±4)%のHeLa細胞及び33(±8)%のCOS-1細胞は細胞内の凝集を示した。mPABPN1-ala17の形質移入の24時間後に、イントラボディ 3F5、コントロールイントラボディ又はNLS-GFPコントロールを連続的に形質移入した。コントロールイントラボディ及びNLS-GFPコントロールで時間の経過と共に凝集を示す細胞の比率の増加が観察された(HeLa細胞において、それぞれ140(±5)%及び116(±5)%)。コントロールイントラボディまたはNLS-GFPコントロールのいずれかを形質移入したCOS-1細胞において凝集体形成における同様の増加が観察された (それぞれ126(±16)%及び135(±14)%)。対して、核内凝集体を有する細胞数の有意な減少が3F5の連続形質移入で観察された。COS-1細胞においては89(±10)%への減少が観察された一方で、HeLa細胞においてイントラボディ:mPABPN1-ala17=1:1で70(±4)% (p<0.05)への減少が観察された[図14]。
考察
抗原捕獲、パニング及びエピトープマスキングの組み合わせにより、我々は多様な抗PABPN1抗体 断片を選択した。これらの中で、我々がOPMDの細胞モデルにおいて凝集体の形成の減少又は既に存在する凝集体の除去が可能であることを示したようにOPMDの治療において有効な抗体断片が存在する。
これまで、OPMDにおける特異的な筋肉の欠陥の進行は不明瞭なままである。PABPN1変異体の凝集体では、OPMD患者の有糸分裂後の長寿命の筋核に存在し[4-6][Calado A et al. 2000, Hum Mol. Genet. 9, 2321-2328; Uyama E et al. 2000, Muscle Nerve 23, 1549-1554; Becher MW et al. 2000 Ann. Neurol. 48, 812-815] 、これは細胞の分化状態と検出可能な封入体の間の関係を示す[1][Brais B, 2003, Cytogenet. Genome Res. 100, 252-260]。
変異PABPN1凝集体が高い濃度のポリ(A)-RNAを含み、凝集体中にとらわれたポリ(A)-RNA OPMDの病因における役割をになうことが示唆されることが示された[4][ Calado A et al. 2000, Hum Mol. Genet. 9, 2321-2328]。筋肉特異的な表現型はさらに凝集体でのスキー結合タンパク質(SKIP)の隔離により説明され、PABPN1とSKIPは相乗効果的にMyoDを活性化させることが知られている[22][Kim YJ et al. 2001, Hum Mol. Genet. 10, 1129-1139] 。OPMDの正確な病因機構は部分的にしか理解されていないが、OPMDの細胞及び動物モデルでの研究は凝集過程及びより特異的には初期の低重合変異体タンパクが毒性を有するという意図が含まれる。Brais B, 2003, Cytogenet. Genome Res. 100, 252-260; Calado A et al. 2000, Hum Mol. Genet. 9, 2321-2328 Abu-Baker A 2003, Hum Mol. Genet. 12, 2609-2623]]。
現在、COS-1及びHeLa細胞におけるmPABPN1の過剰発現が細胞死を引き起こすmPABPN1-凝集を示す唯一の細胞評価系である [Bao YP 2004, J. Med. Genet. 41, 47-51]。シャペロン、ドキシサイクリン及びコンゴーレッドによる凝集形成の阻害が報告されている Bao YP 2004, J. Med. Genet. 41, 47-51]。しかしながら、これらのシャペロン及び化学物質はPABPN1 凝集体に特異的ではなく、大量の誤って折りたたまれた又は凝集し、望まない副作用を有するタンパクを認識する。対して、 標的に特異的に結合する抗体は特異的な処置に使用することができる。われわれは従ってPABPN1-特異的モノクロナール抗体断片を、それを用いて用量依存的に変異の凝集体の形成を予防することができることを証明する為に選択した。この抗体断片の細胞内発現は正常な抗原濃度、局在化、又は細胞生存率について評価してもいかなる検出可能な有害な副作用を示さなかった。形質移入された細胞の内因性及び一過性のPABPN1タンパク濃度は正常であるという観察はイントラボディによる凝集体の形成の減少はイントラボディの構造への直接的な効果であり変異タンパク濃度に対するものではないことを示している。これは非常に特異的な相互作用に関し、PABPN1上の他の異なるエピトープに対するVHHは凝集体系性を予防することが出来なかった(データ示さず)。PABPN1において可能性のある低重合化領域が同定され、凝集において役割を担うことが示された[16][]。3F5のこれら又はまだ同定されていない領域への結合が、欠損構造物が示すのと同様に、これらの領域を他の相互作用から遮蔽することにより凝集を予防するかもしれない。 [16][Kerwitz Y et al 2003, EMBO J 22, 3705-3714]。
mPABPN1及び3F5の連続形質移入において、我々はイントラボディ 凝集を予防するだけでなく、既に存在する凝集体を除去することを示した。2つの異なる細胞株への3回の独立した形質移入実験により、過剰の3F5を既に凝集体が既に形成している細胞に発現させると凝集体を含む細胞の有意な減少が示された (p<0.05)。
結論として、我々はラクダ由来の単一領域抗体断片がイントラボディとして機能することができ、高い選択性を有する病理学的工程を阻害又は復旧することができることを示した。患部組織においても3F5が予防的及び治療的特性を有するかどうかを評価するため、さらなる研究はOPMDを患部組織の細胞における単一領域抗体断片の効果的な運搬を目的とした。興味深い疑問は凝集体の予防と除去が患部筋肉の定常性の回復をもたらすかどうかということだろう。
実施例3
(捕獲/パニング選択)
単一領域抗体断片を2つの選択ラウンドにおいてPABPN1に対して選択した。全長 PABPN1は最初の選択ラウンドにおいて、そのT7-標識 (Novagen)によってモノクロナール 抗体で捕獲した。第2選択ラウンドは全長 PABPN1の直接コーティングによって行った。この組み合わせ及び抗原固定の特定の順番により最も多様な抗体 断片セットを得ることを示した (Verheesen, P., Roussis, A., et al., in preparation)。選択はポリクロナールファージを用い、HeLa細胞 溶解物由来の内因性 PABPN1によってモニターした(Verheesen, P., Roussis, A., et al., in preparation). PABPN1の特異的な濃縮が観察された ( “Fast, reliable and controllable selection of phage display-derived antibody fragments from a Camelid nonimmune library”, Verheesen, P., Roussis, A., et al., 中の図、投稿準備中)。選択抗体断片はフィンガープリント分析により遺伝子的多様性を評価した。選択抗原、E. coli-産生全長 PABPN1、への結合はELISAを用いて分析した。PABPN1が結合する遺伝子的に異なるクローンは配列が決定された [図9 はPABPN1を認識する選択及びスクリーニングしたVHHのアミノ酸 配列比較に基づいた樹状図を示す]。最後に3つの異なる抗体断片がさらにin situ における研究に使用するために選択された。
(エピトープマスキングによる選択)
以前に選択した抗体断片3F5(上記参照)を仔牛胸腺(Dr Antje Ostareck-Lederer, Martin-Luther-University Halle-Wittenberg, Halle, Germanyの好意で提供された)から精製した天然PABPN1を捕獲する為に使用した。抗原特異的な抗体断片による捕獲により、抗原性サイトを遮断し、同じ抗原の上で他のエピトープに対する選択を支持する。このことはライブラリーが偏った場合にとりわけ興味深く(必要であれば、私は適切な参照を検索しなければならない。: Sanna 1995?, Ditzel 1995?)、例えば選択工程において、目的とするものよりも他のエピトープに対して免疫反応が賦活された場合などである。明らかに、未処理のライブラリーを使用する場合これはそれほど重要でない。それにもかかわらず、抗原中の免疫優位性エピトープの存在は、すべての状況下で抗体選択に影響を及ぼすだろう。免疫優位性 エピトープを遮断することで、あまり「免疫原生」でないエピトープに対する選択が支持される。したがって、より低い親和性を有する抗体断片を選択する結果となる。第2選択ラウンは抗原の直接コートにより行った{図10}。
これらの抗体断片選抜は捕獲/パニング選択(上記)と比較して評価した。連続した選択ラウンドにおける抗原から溶出されたファージ-VHHの割合の増加が成功した選択を示した。288個のクローンの遺伝子多様性をフィンガープリント分析で試験した。36個のクローンの配列をフィンガープリント分析に基づいて決定した。タンパクレベルで20の異なるVHHが生産され、精製され、免疫細胞化学で試験された(General Introduction, thesis, Verheesen, P.中の図[] /。これらのVHHの配列及び中の配列は分類に使用された[図9]。免疫細胞化学によるスクリーニング工程は我々が細胞内のタンパクと複合体を形成しているPABPN1に結合する抗体 断片の単離を目的とする場合にとりわけ興味深い。イントラボディとして使用する場合は、これらのVHHはおそらくあまり有害な副作用を引きおこさない。重ねて、3つの独特のVHHが同定された。
表12.抗天然PABPN1エピトープ-マスキングにより選択された抗PABPN1VHH
08 BIAcore 親和性測定値: 57 nM
18 BIAcore 親和性測定値: 7 nM
29 BIAcore 親和性測定値: 11 nM
ELISAにおいて選択の構成は模倣された。3F5がコートされ、未処理のPABPN1が捕獲され、及び3A9, 3E9、08、18、29の結合が検討された。VHH29については、相補的なエピトープへの結合が確認された。抗体断片はまた免疫組織化学にも非常に適している。異なるVHHによるPABPN1凝集の予防がOPMDの細胞モデルにおいて検討された。興味深いことに、抗体断片29は凝集を予防することが出来なかった。捕獲/パニング選択から得た抗体断片はおそらく同じエピトープに結合し、凝集を予防することが出来る。自然に低重合化されたPABPN1に留意されたし。おそらく、このことは選択工程においてもまた起こった。にもかかわらず、抗体断片、例えば29は3F5とは別のエピトープに結合すると選択された。
実施例 4 凝集阻害のIn vivo スクリーニング
a. 細胞培養及び免疫蛍光標識
HeLa及びCOS-1細胞を標準的なプロトコルに従って培養した。細胞はカバースリップ上で24時間増殖させ、PBSで洗浄し4%ホルムアルデヒドPBS溶液で15分間、室温で固定した。Triton X-100を最終濃度が0.1%になるように加え、細胞は15分間、室温で透過処理した。細胞を100mMグリシンPBS溶液及び1%BSA PBS溶液でいずれも15分間、室温でブロッキングし、3F5 (1μg/ml 1%BSA/PBS溶液)で90分間、室温でインキュベートした。VHHは抗-c-myc モノクロナール 抗体 及びAlexa Fluor 488-標識抗マウス 抗体 (Molecular Probes)1%BSA/PBS溶液で、それぞれ1時間反応させ検出した。細胞を0.2μg/ml DAPI (Roche)を最後の抗体インキュベーションの際に核を視覚化するために一緒にインキュベートした。コントロールのヒト筋肉生検から6μmの横断切片を作成し30分間風乾し、培養細胞の項に記載したように固定し、3F5で標識した。
b. 選択VHH 断片のin vivoにおける凝集の予防についてのスクリーニング
mPABPN1-ala17は水疱性口内炎ウイルス糖タンパク-標識(VSV-標識)のC末端に隣接した真核生物の発現ベクター(pSG8)にクローンした。VSV-標識は形質移入した変異体タンパクの特異的な免疫学的検出を可能にする。VHH断片の選択物をコードするcDNAは特にクローン08、18、29、3A9、3E9及び3F5はV40 T-抗原核局在化シグナル(NLS)及び緑色蛍光タンパク (GFP)と融合して真核生物の発現ベクター (modified pSG8)にクローンされた[図10]。
PABPN1凝集体系性のモデルとして、COS-1及びHeLa細胞にプラスミドコードVSV-標識変異 PABPN1(17位のアラニンが変異、mPABPN1-ala17)をFuGENE 6 (Roche, Indianapolis, USA)を用いて形質移入した。上記形質移入後24時間及び48時間後に細胞を固定し、透過処理した。形質移入したPABPN1はマウス 抗-VSV 抗体 (clone P5D4, Roche)で、続いて抗-マウス Cy3-標識ヤギ抗体 (Jackson, West Grove, USA)とインキュベートすることで検出した。細胞の核はDAPI(Roche, Mannheim, Germany)で染色した。
イントラボディとVHH 断片 08、18、29、3A9、3E9及び3F5の構成物をSV40 T-抗原 核局在化シグナル(NLS)及び緑色蛍光タンパク (GFP)と融合して同時形質移入し、及びイントラボディ:mPABPN1-ala17の比が0.5:1, 1:1, 2:1 and 4:1になるように連続的に形質移入した。mPABPN1-ala17 は抗-VSV 抗体を用い、上記のように視覚化し、イントラボディはGFPとの融合により容易に視覚化された。関係しないイントラボディ及びNLS-GFPはmPABPN1-ala17と共に1:1の比でコントロールとして形質移入した。3回の独立したVHHs 断片の形質移入を行った。及びこのin vivoスクリーニングの結果を以下に示す。
図9及び10に図示された結果により、生物学的特性からもアミノ酸の相同性検索のようなバイオインフォマティック的方法からもVHH断片のin vivoにおける機能が予測できないことは明らかである。断片29及び3A9及び3F5はアミノ酸 配列において極めて相同的であるのに対し(表2参照)、3A9及び3F5は凝集形成の予防を示すが断片29は凝集に対しなんらの予防をも示さない。3F5が最も優れた候補であることが証明され、したがってさらなる研究で使用される。
結論として、所望の特性を有するVHH断片の選択において、the in vivo スクリーニングは重要な工程である。
c. 細胞増殖アッセイ
我々のmPABPN1及びイントラボディ構成物の一過性の発現により起こりうる毒性効果は細胞の代謝活性に基づいて死細胞及び生細胞を識別するMTT (3-[4,5-ジメチルチアゾール-2-イル]-2,5-ジフェニル-テトラゾリウム ブロミド) (Sigma-Aldrich) 細胞増殖アッセイで検討した。MTTは1mg/mlの濃度で培養培地に溶解した。
d. ウェスタンブロッティング
HeLa細胞の細胞質及び各画分は記載したとおりに調製し[20]、12%SDS-ポリアクリルアミド(SDS-PAGE) ゲルにロードし、PVDFウェスタンブロッティング膜(Roche)に転写した。膜を3F5 (1μg/ml in 2%MPBS)と共に一晩4℃でインキュベートし、続いて抗-c-myc及び抗-マウス・ペルオキシダーゼ-コンジュゲート抗体とインキュベートした。同時形質移入した細胞はトリプシン処理しLaemni-緩衝液中で溶解した。溶解物は12%SDS-PAGEゲルにロードし、PVDF ウェスタンブロッティング膜に転写し抗-VSV、抗-GFP (Roche)及び抗-アクチン(ICN) 抗体とインキュベートした。
e. トランスフェクトしたVHH 断片の細胞局在
3F5の細胞内発現の結果を細胞のPABPN1凝集モデルにおいて検討した。イントラボディ3F5を核局在シグナル(NLS)及び緑色蛍光タンパク(GFP)(3F5-NLS-GFP)と融合させCOS-1及びHeLa細胞に形質移入した。GFPシグナルはもっぱら核内に観察され、これはイントラボディの発現の及びその核への標的化のいずれもの成功を示している。
f. 用量効果の判定
引き続いて、3F5-NLS-GFPはmPABPN1-ala17と異なる比率で同時形質移入した。濃度依存的に、mPABPN1-ala17を定量に保ち、3F5-NLS-GFPの濃度を増加させ、イントラボディは完全に凝集を予防することが出来た。変異PABPN1及びイントラボディ3F5又はNLS-GFPコントロールの発現濃度はウェスタンブロッティングにより分析された。このことはイントラボディの発現はその抗原mPABPN1-ala17の発現濃度に影響を与えないことを示した。
3F5の細胞内発現の結果として起こる細胞毒性を検討する為に、細胞にイントラボディ構成物を単回形質移入し、及び異なる時点でウエスタンブロッティングで分析した。内因性PABPN1濃度に検出可能な影響を与えずにイントラボディ発現の緩やかな増加が時間と共に観察された。イントラボディ構成物を単回形質移入した細胞を顕微鏡でも検討した。3F5の結合場所から明確なエピトープを認識する選択抗体断片のうち一つでPABPN1を標識した。イントラボディ発現細胞に局在するPABPN1は形質移入していない細胞における局在と識別不能であった。細胞増殖実験により、イントラボディ形質移入細胞における代謝活性を形質移入していない細胞と比較した。これらの細胞間において、代謝活性の違いは観察されなかった。したがって3F5の細胞内発現は内因性抗原の濃度及び局在及び細胞生存率に基づいていかなる検出可能な細胞毒性効果も示さなかった。
実施例5 現存する凝集体の除去
既存の凝集体を我々のイントラボディで除去することができるかどうかについて検討する為、我々はmPABPN1-ala17及びイントラボディ3F5を用いてCOS-1及びHeLa細胞に連続形質移入を行った。形質移入の24時間後、38(±4)%のHeLa細胞及び33(±8)%のCOS-1細胞は細胞内の凝集を示した。mPABPN1-ala17の形質移入の24時間後に、イントラボディ3F5、コントロールイントラボディ又はNLS-GFPコントロールを連続的に形質移入した。コントロールイントラボディ及びNLS-GFPコントロールで時間の経過と共に凝集を示す細胞の比率の増加が観察された(HeLa細胞において、それぞれ140(±5)%及び116(±5)%)。コントロールイントラボディまたはNLS-GFPコントロールのいずれかを形質移入したCOS-1細胞において凝集体形成における同様の増加が観察された (それぞれ126(±16)%及び135(±14)%)。対して、核内凝集体を有する細胞数の有意な減少が3F5の連続形質移入で観察された。COS-1細胞においては89(±10)%への減少が観察された一方で、HeLa細胞においてイントラボディ:mPABPN1-ala17=1:1で70(±4)% (p<0.05) への現象が観察された。これは現存する凝集体をVHH 断片により溶解することができることを明らかに証明している。
(凝集体除去のさらなる評価)
既に存在するPABPN1 凝集体の除去又は溶解の作用効果を変異PABPN1 (PABPN1-ala17)及びイントラボディ 3F5の連続発現を用いて検討した。そのような実験で起こるように予想された現象を例証する。凝集体はmPABPN1を単独で形質移入した細胞の中で形成されている(実線)。即時にイントラボディ3F5とmPABPN1を共発現することにより結果として凝集は減少する(大きい点の点線)。mPABPN1の発現の後にイントラボディを発現した場合、阻害効果が予測される(小さい点の点線)。さらに少ない凝集体が観測さればあいは、これは既存の凝集体の可溶化を示しうる (灰色の領域)。
実際に、凝集の減少はイントラボディ3F5の連続発現で観察された。実験における議論の要点は以下の通りである:
- mPABPN1及びイントラボディの目に見える発現を示した細胞のみを凝集体の存在の評価の対象とした。
- mPABPN1発現は常に起こっている。 したがって、イントラボディ発現が始まる際、mPABPN1発現は24時間進行中であり、続く。イントラボディはこの発現に追いつく必要がある。
- 高いmPABPN1濃度及び低いイントラボディ濃度の細胞が存在し、そうでないものもあるだろう。
別の連続の形質移入実験で観測される相対的な凝集を示している。イントラボディ又はコントロールの形質移入の時点の凝集を100%に設定する。この図は異なる量のPABPN1特異的イントラボディの連続形質移入24時間後における効果を示している。この図は24時間後を示しているが、イントラボディ連続形質移入の連続形質移入後48時間の効果について述べていることに留意すべきである。
実施例6 in vitro及びin situにおけるアミロイド-b 凝集体を予防及び/又は溶解するVHHの選択及びスクリーニング
本発明に特定な態様はスクリーニングがin vivo及びin vitroの両方において凝集体を予防し又は溶解さえするVHHを選択するためにスクリーニングを行うことにある。実施例4は神経筋の疾患であるOPMDに関する凝集の模倣におけるin vivo スクリーニングを示す。この実施例はアミロイド-βを認識し及びアミロイド-βの凝集を予防し及びこの凝集体を溶解するVHHの選択及びin vitro及びin situにおけるスクリーニングを取り扱う。
実施例1に記載したものと同じ方法を用いてアルツハイマー病に関連した脳内の凝集体に存在するタンパク断片であるアミロイド b-42を認識する多くのVHH領域を選択した。実施例1に記載されているのと同様の方法で、選択VHH-担体は特性付けられ、VHH領域をコードするDNAを制限酵素を用いて分析し、それらのヌクレオチド配列を決定した。
ヌクレオチドの配列解析の結果を表5.1に示す。
VHHをコードする 配列が全ての場合においてアミノ酸 配列 QVQ又はAVQ又はQVKで始まるのが気になるところである。このことは真実かもしれないが、これはまた領域をコードするDNAのクローニングに使用するプライマーによるのかもしれない。
他の重要な要素は、第1CDRがKabatのナンバリングにしたがって、配列: C(22)-A(T/K)-A-S-G-R(S)-T-F(R )-S(T/P)の直後から開始し、CDR 2はV(I/L)-Aが続く、よく保存された配列 K-E(Q)-R-E-F(L) [本件特許出願のこれより前の部分に記載したVHH'のホールマークの一つを含む]の直後から開始し、CDR 3はC(92)-A(Y)-S/A(T)の直後から開始することである。
DNA配列決定に基づいて6個のVHH領域が生化学的特性、アミロイド-β-40への交差反応性及びウェスタンブロット及び最終的にそして最も重要なin situ における免疫組織化学的方法においてスクリーニングされた。後者にはアミロイドーシスを伴うオランダ型遺伝性大脳出血(HCHWAD) [MIM:609065]を罹患した患者のヒト脳凍結切片を使用した。全ての6個の領域は血管性のアミロイド沈着と一致した染色を示し、VHH領域によるその天然の内容物であるアミロイド-b-42の認識を示した。表5-2に得られた結果をまとめている。
表5.2に記載した領域から、7B及び8Bが最も強い免疫組織反応性を示した。これらの領域が沈着物を予防及び/又は溶解する可能性が示唆された。
Figure 2009508521
好ましいVHHのアミノ酸配列は血液脳関門を介して脳に移動することができる。
下線を引いたアミノ酸はCDRを表す。CDRの1又は2個のアミノ酸の私の以前の表に示したアミノ酸による置換は同様に血液脳関門を通過する性質を示す。VHHの機能的及び生物物理学的特性を改良するようなフレームワーク残基の置換が望ましい。しかしながら、置換はエントロピー変異性表において示された任意の位置のアミノ酸におけるものに制限されるべきである。
実施例7 ベータ-アミロイド
ベータアミロイド特異的(Aβ1-40及びAβ1-42) VHHsを得るために、選択は非免疫ラマ誘導性重鎖ファージディスプレイライブラリー由来のAβ1-40 又は Aβ1-42に対して行われた。5つの断片(3A; 8B; 1B; 11G及び4D) (図16)を得、Aβ1-40及びAβ1-42に対する反応性を表面プラズモン共鳴(SPR)分析及びコントロール、アルツハイマー病(AD)、ダウン症候群 (DS) または血管性痴呆症 (HCHWA-D)の患者の脳凍結切片の免疫組織化学によって試験した。SPR分析はVHHのそれらの抗原Aβ 1-40及びAβ 1-42への特異的結合を示した(図17)。
免疫組織化学的分析はアミロイド沈着、最も著しくは血管障害に対する特異的な反応性についての証拠を提供したがまた、柔組織の沈着に対してもいくらかの反応性を示した (図18及び19)。
結合活性を増加させる為に、VHHはいわゆるバイヘッドを得るように直列にクローンすることができる。相同性8B-8B バイヘッドのin vitroの固定アミロイド Aβ 1-42及びin vivoの前頭皮質におけるアミロイド沈着を検出する能力はSPR分析及び脳患部の凍結切片における免疫組織化学によって連続的に試験した。
相同性の8B-8Bバイヘッドの結合の結合活性を図20に示す。免疫染色は明らかにバイヘッドがこれらの脳内アミロイド沈着を検出する増加性の能力を有することを示す(図21)。
抗体断片を血液脳関門 (BBB)を透過させる目的で、3A又は8Bの抗-アミロイド特性をVHH FC5[1] のBBBを透過する能力に融合させた2つの二官能性バイヘッドを作成した。異種性FC5-3A及びFC5-8BバイヘッドのAβ1-42に対する免疫活性は以前のSPR分析 (データ示さず)に匹敵した。さらに、異種性FC5-3A及びFC5-8Bバイヘッドの脳内アミロイド沈着の検出能力は脳患部の凍結切片の免疫組織化学において試験した。これらの結果は明らかに3A又は8BをFC5に融合してもアミロイドの認識を妨げないことを示している (図22)。
実施例7の参考文献リスト.
1.Muruganandam A, Tanha J, Narang S, Stanimirovic D: Selection of phage-displayed llama single-domain 抗体 that transmigrate across human 血液脳関門 endothelium. FASEB J 2002, 16: 240-242.
実施例8 NMRの結果
NMRは選択VHHとβ-アミロイド(βA)の複合体の特性を原子レベルで評価する為の技術として選択された。
5つの異なるVHHが選択された (2つは抗βA 1-42及び3つは抗βA 1-40)。最初のスクリーニングはどちらの選択VHHが特異的にその抗原に対し親和性を示すというプロジェクトの最終目標に最も有望かを確立する為に必要であると考えられている。2つの異なるVHHが首尾よく15Nで標識されたが、これはNMR研究に必要な工程である。
化学シフト摂動はβAとの複合体形成の間に影響を受けるVHH表面の残基を同定するNMR技術である。
化学シフトは局所の電子環境の変動に対して非常に感受性が高いので、15N標識タンパク(VHH)の[1H-15N] HSQCスペクトルにおける1HN及び15Nシフトのわずかな変化が標識していないβAの適定においても観察された。シフトは結合インターフェースに関与している残基によってのみ示され、複合体のインターフェースのマッピングに使用することができる。
NMR適定実験を介して、タンパク‐ペプチド相互作用の強さに関する情報を得ることが出来る。実際、複合体の強さに従って、異なる現象をNMR適定の間HSQCスペクトルに観察することが出来、弱い結合に関与している複合体はNMRタイムスケールにおける速い交換期間に対応して複合体に関与している残基の(VHH)アミドシグナルがペプチドとの相互作用によりシフトし、各位置は結合の平均的な位置及びフリーのときの形態によって決定されるだろう。結合が堅固な場合には2つの異なるシグナルがHSQCスペクトラムに存在し、一つはフリーのもう一方は結合した形態のものである。ここで示す実験において、0.1mMの15N VHH-8B及びVHH-3Aが別々に1 mMのβA 1-42 (これに対し選択されたペプチド)ストック溶液で、303K、20mMリン酸緩衝液pH 7中で適定された。
VHH-8B HSQCスペクトルのスーパーインポーズ (図23)フリーの形態 (黒)及び結合形態0.8 (青)及び > 1 当量(A 1-42の) (赤) 結合に影響を受けたアミド基の位置を指すことも可能である (図 24 に赤の円で図示する). 化学シフトに観察された変化はフリー及び結合VHH-8B構造が急速に交換していることを示す。VHH-8BのHSQCの指摘がまだ得られないため、βA 1-42 結合に影響を受ける領域を同定することは出来ない。しかしながら、最も優位なシフトはCDRS領域であると主張する異なるVHHの公表された仕事との比較から (Ferrat G. et all. 2002)、この場合も結合に関与する領域が同じであると予測することが出来る。
結論として、VHH-8B及びβA 1-42間の結合は弱いが特異的なようである。
他方で、異なる結果が同様のVHH-3aとβA 1-42の適定中に示された。適定中 (図24)、わずかなピークが見えなくなり、ゆっくりとした交換期間で新しいピークはが現れた(ピークは図 24中、赤い丸で図示する)。さらに、βA1-42の添加でVHHピークの分散が増加することがVHHの折り重なりへのβAの貢献を示すように見える。この場合、サンプルの濃度が低いのでどんな異なった結論の前にも新しい実験が必要であるが、VHH 3A及びβA 1-42 の結合は堅固であるようである。
面白いことに、8B及び3A2つのVHHは15、16及び18位にのみ異なる残基を有し (図25) CDRから離れており、βAとの2つの異なる結合様式を有するようである。
実施例9.脳内のアミロイド線維の非侵襲的イメージングおよび溶解に使用する二官能性VHHの構築
脳障害のイメージングは患者にとって及び経済的に非常に重要である。しかしながら、非侵襲的イメージングは、血液脳関門を通過し、脳内のアミロイド線維を認識する分子と結合した標識でのみ可能である。この実施例においてこれらの要件を満たすいくつかの構成物は文献にしばしば記載されるバイヘッドのような構成物の知識を用いて記載する。
二官能性VHH分子は以下の構造を有することができる。:
アミロイド線維を溶解する二官能性バイヘッドの構造:
LEADER 配列-[FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4]BBB -LINKER-[FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4]アミロイド-β -42

LEADER 配列-[FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4] アミロイド-β -42 -LINKER-[FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4] BBB

非侵襲的イメージングに使用することができる二官能性バイヘッドの構造
LEADER 配列-[FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4] BBB -LINKER-[FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4] アミロイド-β -42-EXTENSION

LEADER 配列-[FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4] アミロイド-β -42 -LINKER-[FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4] BBB -EXTENSION
血液-脳-関門(BBB)の内皮細胞のタンパクを認識するVHHのアミノ酸配列の非制限的な実施例(当該相互作用が二官能性のVHHの脳への移動を確かなものとする)は表12に示される一方で、アミロイド-β-42を認識するVHHのアミノ酸配列は表 5.3に示される。
細胞外で二官能性VHHを調製する為にはリーダー配列が必要である。宿主細胞はバクテリア、下等真核生物又は哺乳類の細胞で有りうる。これら全ての宿主は当該分野で公知の異なるリーダー配列を必要とする。
C末端の伸展は二官能性VHHの官能性が非侵襲的イメージングに必須の標識で損なわれないか確かめることが好ましい。前記伸展の非制限的な実施例は以下の通りである。
His-His-His-His-His-His
His-His-Ala/Gly/Ser-Ala/Gly/Ser-Met-Ala/Gly/Ser-Ala/Gly/Ser-His-His
Ala/Gly/Ser-Met-Ala/Gly/Ser
Ala/Gly/Ser/Cys-Ala/Gly/Ser
Cys-Ala/Gly/Ser
Figure 2009508521
Figure 2009508521
Figure 2009508521
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Figure 2009508521
Figure 2009508521
Figure 2009508521
ポリクロナールファージ抗体及びウエスタンブロットによる選択進捗のモニタリング。ウェスタンブロットした組み換え抗原。連続する選択ラウンドから得られたポリクロナールファージ抗体は標的抗原に対する特異性が増加することを示した。選択2ラウンド後の(a)エメリン及び(c)アクチンは特異的に検出された。(b)トロポミオシン-1は選択1らウインド後で既に検出された。(d)PABPN1の場合は、HeLa細胞抽出物を選択のモニタリングに使用した。抗体融合(hΦ)無しでヘルパーファージとインキュベートすることは複合タンパクのサンプルから生じるバックグランドのバンドを明らかにすることを含む。 L:入力ライブラリーから得たポリクロナールファージ抗体; R1:選択1ラウンド後のポリクロナールファージ抗体; R2:選択2ラウンド後のポリクロナールファージ抗体。M: モノクロナールファージ。 矢印は標的抗原を指し、白抜き矢印 (パネル b)は組み換え トロポミオシン-1の多量体を指す。 ポリクロナール及びモノクロナールファージ 抗体を用いたHeLa細胞抽出物中の内因性 抗原の検出(a)エメリンはモノクロナールファージ (EME7E)で検出される。(b) 第2選択ラウンドで得られたポリクロナールファージ抗体及び抗トロポミオシン-1モノクロナールファージ (G4)は特にトロポミオシン-1に結合する。トロポミオシン-1の複数のアイソフォームは可視化される (白抜き矢印)。(c) アクチンは第2選択ラウンドで得られたポリクロナールファージ 抗体及びモノクロナールファージ (B8)で検出される。 R2: 第2選択ラウンド後のポリクロナールファージ抗体; M: モノクロナールファージ。矢印は内因性抗原を指す。. (a)ポリクロナールファージ抗体による組織ホモジネート内のトロポミオシン-1の検出及び定量組み換え抗原(左)の10倍段階希釈はヒト筋肉ホモジネート(右)の5倍量と比較した。ヒト筋肉ホモジネートにおいて5 ng 未満の組み換えトロポミオシン-1が検出され、50 ng未満の内因性 抗原が検出された。(b) 抗-PABPN1 VHH (3F5)を用いたHeLa抽出物からのPABPN1の免疫沈降 (IP)。ブランク IP レーンではVHHは使用しなかった。矢印は内因性 PABPN1を指す。 精製抗体断片を用いた複合タンパクサンプル中の内因性 抗原の検出 (a, b, c)。単離されたエメリン、アクチン、トロポミオシン-1及び PABPN1に対するVHHはウェスタンブロットされたHeLa細胞抽出物上のそれらの標的に結合する。パネル(c)において、VHH検出に使用される2次(抗-c-myc) および3次 (HRP-conjugated 抗-マウス IgG) 抗体の組み合わせはバックグラウンドのバンドを限定する為に適用される。 (d) トロポミオシン-1及びアクチンに特異的なVHHは筋肉ホモジネート中のそれらの標的に結合する。トロポミオシン-1の複数のアイソフォームは可視化される (白抜き矢印)。矢印は内因性 PABPN1を指す。 免疫蛍光顕微鏡検査へのVHHの適用。選択したVHHをヒト繊維芽細胞において免疫プローブとして使用した。VHHを50nM-500nMの濃度で適用した。抗-エメリン及び抗-PABPN1 VHHについて、コントロール 繊維芽細胞 (a-d)及び(i-l) をそれぞれLMNA遺伝子における同型接合性のナンセンスY259X 変異によりラミンA及びC(それぞれe-h及びm-p)の完全欠損が起こっている患者から誘導した繊維芽細胞と比較した。.繊維芽細胞 を抗-エメリン(EME7E)及び抗-PABPN1 (3F5) (緑チャンネル) (それぞれa,e及びi,m,)VHHと共にインキュベートし、DAPI (青チャンネル) (それぞれb、f及びj、n)で対比染色した。ラミンA及びCは抗ラミン A/Cポリクロナール抗体で検出した(赤チャンネル) (c,g及びk,o)。Dd、h、i、pはオーバーレイ像である。患者の細胞赤チャンネル内(g and o)においてはラミニンが欠損していること及びPABPN1は核小斑点にまだ局在しているのに対し、エメリンは核ラミナ(e)は別として分散した染色の様子に注意されたい。 3つの異なる抗-アクチン VHH (q、u、y)及び抗-トロポミオシン-1 VHH (γ)によるコントロール繊維芽細胞の細胞骨格の染色。細胞は張力繊維中のF-アクチンをマークするファロイジン(赤チャンネル) (s、w、α、ε)及びDAPI (青チャンネル) (r、v、z、δ)で対比染色した。抗-トロポミオシン-1 VHHは F-アクチンと共に局在する一方で(γ)異なる抗-アクチン VHHは細胞骨格の異なる構造と反応する (q、u、y)ことに注意されたい。オーバーレイを示す(t、x、β、ζ)。バーは5μm (a、l、i、m)及び10 μm (q、u、y、γ)を表す。 免疫組織化学におけるVHHの適用。選択したVHHを、健康なヒト筋肉の7μm凍結切片に免疫プローブとして使用した。ヒト筋肉生検の横断切片を抗-アクチン VHH (A2)とインキュベートした(d-f) 抗-トロポミオシン-1 VHHと縦断切片 (G4)。(g-i) 抗-PABPN1 VHH (3F5)は横断切片に使用した。核はDAPIで染色した(パネルb、e、h)。オーバーレイを示す(c、f、i)。バーは10μmを表す。 エメリンはEDMD患者の筋核には存在しない(a-c)。コントロールヒト筋肉凍結切片を(a) VHH 抗-エメリン (EME7E)、(b)抗ラミンA/Cポリクロナール抗体及び(c)核染色のためのDAPIと共にインキュベートした。 エメリンはラミン A/Cと共に核膜内に局在する (d-f)。 EDMD患者の筋肉凍結切片(d) VHH 抗-エメリン (EME7e), (b) 抗ラミンズA/C ポリクロナール抗体及び(c)DAPIと共にインキュベートすることにより完全にエメリンが存在しないことが明らかになった。ラミンA/Cは核膜内に検出された。バー=10μm。 3F5のエピトープマッピング。(a) PABPN1のN-末端 欠失(ΔN10、ΔN49、ΔN92、ΔN113) 及びアミノ酸155-294をウェスタンブロットし3F5とインキュベートした。ΔN49以外のN-末端欠失は3F5で認識された。しかしΔN49タンパクは3F5で不安定に認識されず、当該結果は他の構造と共にアミノ酸113-155が3F5のエピトープを含むことを示唆した。Ala: ポリアラニン伸展; coiled-coil: 予測されたコイルドコイル領域; RRM: RNA-結合領域 (b) 3F5の異なる精製変異体タンパクへの結合 (V126S, M129A, E131A, A133S, K135A, L136S, V143A)。3F5はアミノ酸135から143に置換がある点変異タンパクに対して正常な結合を示した。対して、V126S及びM129A 変異体タンパクは3F5で認識されなかった。2つの異なる実験により、E131A 変異体タンパクへの結合が減少することが観察された。これらの結果はアミノ酸126、129及び131位はエピトープに含まれることを示す。 PABPN1を認識するVHHのアミノ酸配列の相同関係に基づく樹状図、前記VHHは適用したスクリーニング判断基準[E. coli で生産したDNA フィンガープリンティング法 [示さず]、免疫沈降法 [図3]、内因性PABPN1の免疫蛍光 [図6]、及びS. cerevisiaeにおける生産 [データ示さず]をすべて満たした。アミノ酸配列は スクリーニング試験を通過したVHHの遺伝子のDNA配列の決定を介して得た。樹状図 は標準的方法に従ったアミノ酸配列間の距離[=選択及びスクリーニングされた抗-PABPN1 VHHsのアミノ酸バリエーション]を図示する。 OPMDの細胞モデルにおける変異PABPN1-ala17凝集の予防。異なるVHHがmPABPN1と同時形質移入された。VHH 08、VHH 18及びVHH 29はエピトープマスキングを使用して見つけられ、VHH 3F5をVHH 3F5で認識されるエピトープをマスクするのに使用した。VHH29は限定的に異なるエピトープと結合し、著しくPAPBN1凝集体を予防又は溶解することが証明された。VHH 3A 及び3E9は同じエピトープを認識するが明らかにAPBN1凝集体を予防又は溶解することに関してそれほど効果的でない。 HeLa細胞におけるmPABPN1-ala17凝集の予防 [a,b]: HeLa細胞にVSV-標識 mPABPN1を形質移入した。抗-VSV抗体をmPABPN1検出に使用し、核内凝集体 は形質移入後48時間で観察された。細胞の核を視覚化するためにDAPIを使用した。[c,d]: HeLa細胞にNLS-配列及びGFPと融合した3F5を形質移入した。The イントラボディを生産し形質移入の24時間後細胞の核に局在化させた。[e,f]: mPABPN1及び3F5をHeLa細胞に同時形質移入させた。mPABPN1及びイントラボディは同時形質移入した細胞の核に検出された。トランスフェクション後48時間、コントロールイントラボディ及びNLS-GFPと比較して、3F5を同時形質移入したものに凝集の減少が観察された[Fig 12] 。 [h,j] mPABPN1及びNLS-GFPをHeLa細胞に同時形質移入した。mPABPN1及びNLS-GFPは細胞の核で検出された。核内凝集はトランスフェクション後48時間で観察された。バー=10μm 3F5 イントラボディ発現によるin situにおけるmPABPN1-ala17凝集の予防。mPABPN1は3F5と異なるイントラボディ:mPABPN1比において同時形質移入した。3F5を同時形質移入したHeLa細胞は1:1の比でわずかに10(+/- 3)%の核凝集を示した。NLS-GFPを同時形質移入(1:1 比)したHeLa細胞の37(+/-)%は核内の凝集体を含む。3F5 同時形質移入の用量依存的な阻害効果が観察された。*p<0.05, **p<0.01, NS (有意さ無し) p > 0.05 単回形質移入及び同時形質移入細胞におけるmPaBPN1-ala17及び3F5 イントラボディ のタンパク濃度。細胞溶解物はウエスタンブロッティングで分析した(トランスフェクション後48時間のCOS-1細胞)。(I), mPABPN1及び(II) トランスフェクションした対照のイントラボディ(NLS-GFP)は比較可能な濃度で発現している。(III) アクチン内容物は同じ量の細胞が分析されたかどうかを調べるために分析した。 in situ における現存するmPABPN1-ala17凝集体の溶解はm PABPN1及び3F5の連続トランスフェクションにより示される。3F5は連続的に異なるイントラボディにトランスフェクトされる。: mPABPN1比はmPABPN1のトランスフェクション後 24時間のものである。mPABPN1をトランスフェクトしたHeLa及びCOS-1細胞はトランスフェクション後24時間でそれぞれ38 (+/-4)% 及び33 (+/-8)% の細胞内凝集体を含む。連続トランスフェクションの時点での凝集を100%と設定する。二重にトランスフェクションされた細胞については連続トランスフェクション後48時間後、顕微鏡観察により核内凝集を評価した。核内凝集を起こしている細胞数の濃度依存的減少が観測された。*p<0.05, NS (有意差無し p>0.05. 図14で示されたHeLa及びCOS細胞における方法に従い凝集した、現存するmPABPN1凝集体の溶解の用量反応 β-アミロイドに対して選択されたVHH日アミノ酸配列。フレームワーク1-4 (FR)は青で図示され、CDR 1-3 (相補性決定領域) は赤で図示される。 Aβ1-40及びAβ1-42と相互作用するVHHsの結合を例証する複合センサーグラム。 ダウン症候群、前頭皮質。(A)抗Aβ1-42 VHH 8B HCHWA-Dを用いた、前頭皮質のアミロイド班の免疫染色。抗- Aβ1-42 VHH 8B (B)及びVHH 3A (C)を用いた小動脈 CAAの免疫染色。アルツハイマー病、前頭皮質。硬膜動脈における抗- Aβ1-42 VHH 3A (D)を用いたアミロイド沈着の免疫染色 HCHWA-D、前頭皮質。血管性CAAの抗-Aβ1-40 VHH 11G (A) 4D (B)及び1B (C)による免疫染色。免疫染色 of arteriolar CAA with 抗- Aβ1-40 VHH 11G (A)。図8.相同性の8B-8Bバイヘッド(10μg/ml)及びVHH 8B(10μg/ml)の固定されたAβ1-42への結合を例証するセンサーグラム。 相同性の8B-8Bバイヘッド(10μg/ml)及びVHH 8B(10μg/ml)の固定されたAβ1-42への結合を例証するセンサーグラム。 HCHWA-D、前頭皮質。血管性CAAの相同性バイヘッド8B-8Bによる免疫染色 (A)。ダウン症、前頭皮質。アミロイド斑のhomologousバイヘッド8B-8Bによる免疫染色(B)。 HCHWA-D、前頭皮質。血管性CAAのバイヘッドFC5-8Bによる免疫染色(A)。ダウン症、前頭皮質。アミロイド斑のFC5-8Bによる免疫染色(B)。HCHWA-D、前頭皮質。血管性CAAのバイヘッドFC5-3Aによる免疫染色(C)。ダウン症、前頭皮質。アミロイド斑のバイヘッド FC5-3Aによる免疫染色(D)。 15N VHH-8B の15N-1H HSQCスペクトル、フリー形態 (黒)及びbA 1-42との複合体 (0.8 and >1当量、それぞれ青及び赤のオーバーレイ 15N VHH-3A の15N-1H HSQCスペクトル、フリー形態 (黒)及びbA 1-42との複合体 >1当量(赤のオーバーレイ VHH 8B及びVHH 3A 間のアミノ酸配列の比較。 細胞内抗体 3F5-EGFPとQ98の共発現。

Claims (57)

  1. 表2、表5.3、表10、表13又は表14に図示されるCDR1、CDR2又はCDR3配列を少なくとも1つ含む重鎖可変領域抗体(VHH)。
  2. 表2、表5.3、表10、表13又は表14に図示される配列又はその誘導体を含む請求項1記載のVHH。
  3. 表2、表5.3、表10、表13又は表14に図示される配列を含み、表3の対応する位置に図示されるアミノ酸から選択されるホールマークアミノ酸残基を含み、好ましくは表5.2に図示されるように組み合わされた請求項1又は請求項2記載のVHH。
  4. 表2、表5.3、表10、表13又は表14に図示された配列を含み、表6のフレームワーク1、表7のフレームワーク2、表8のフレームワーク3及び/又は表9のフレームワーク4における対応する位置に図示されるアミノ酸から選択されるアミノ酸残基を含む請求項1〜3のいずれか1項記載のVHH。
  5. 表3、表6、表7、表8又は表9の前記アミノ酸残基により表2、表5.3、表10、表13又は表14の対応するアミノ酸に置換された請求項3又は4記載のVHH。
  6. ラクダVHHとして表6-9のいずれかに図示されたアミノ酸残基を含む請求項2-5のいずれか1項記載のVHH。
  7. 表2、表5.3、表10、表13又は表14に図示された配列と比較して、1〜5の間のアミノ酸置換を含む、請求項2〜6のいずれか1項記載のVHH。
  8. PABPN1、ベータ‐アミロイド又はエメリンに特異的な請求項1〜7のいずれか1項記載のVHH。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項記載のVHHがその標的と結合するのを阻害することができる、PABPN1、ベータ‐アミロイド又はエメリンに特異的なVHH。
  10. VHHを細胞内の特定の位置に向かわせるシグナル配列を含む、請求項1〜9のいずれか1項記載のVHH。
  11. 前記シグナル配列が前記VHHを細胞の核、小胞体及び/又は外部に向かわせる請求項10記載のVHH。
  12. 前記VHHが前記シグナル配列と共に提供される請求項10又は11記載のVHH。
  13. ヒト化又は脱免疫化した請求項1〜12のいずれか1項記載のVHH。
  14. 表2、表5.3、表 10、表13又は表14に図示されたVHHのCDR1、CDR2及びCDR3配列を含む請求項1〜13のいずれか1項記載のVHH。
  15. 請求項1〜14いずれか1項記載のVHHをコードする核酸。
  16. 請求項15記載の核酸を含むベクター、好ましくは発現ベクター。
  17. 請求項15記載の核酸又は請求項16記載のベクターと共に提供される、組み換え型及び/又は単離細胞。
  18. 請求項1〜14のいずれか1項記載のVHHを含む組み換え型及び/又は単離細胞。
  19. 請求項1〜14のいずれか1項記載のVHHと共に提供される、請求項18記載の組み換え型及び/又は単離細胞。
  20. 請求項15記載の核酸又は請求項16記載のベクターと共に提供される、請求項17〜19のいずれか1項記載の組み換え型及び/又は単離細胞。
  21. 請求項15記載の核酸又は請求項16記載のベクターを含む、単離及び/又は組み換え型遺伝子運搬媒体。
  22. 請求項15記載の核酸と共に細胞を提供すること及び前記VHHを生産させるために前記細胞を培養することを含む、請求項1〜14のいずれか1項記載のVHHの生産方法。
  23. 前記タンパクの凝集に関与するタンパク上の領域を同定する為の、請求項1〜14のいずれか1項記載のVHHの使用。
  24. 一群の化合物から化合物を選択する方法であって、
    - 特異的結合ペアの第一及び第二員を提供し、
    - 前記特異的結合ペアの前記第一員を前記化合物に接触させ、及び
    - 前記化合物が前記結合ペアの結合を阻害するかどうか測定することを含み、
    - 前記第一員が前記凝集体の形成を伴う疾患における凝集体の形成に関連するタンパクを含み又は前記第一員が前記タンパクの機能的部分、誘導体及び/又は類似体であり、及び、
    前記第二員が、請求項1-14いずれか1項記載のVHHを含む前記方法。
  25. さらに前記化合物が少なくとも部分的に前記凝集体の形成を阻害するかどうかを決定することを含む、請求項24記載の方法。
  26. さらに前記化合物が少なくとも部分的に前記凝集体を溶解するかどうかを決定することを含む、請求項24又は請求項25記載の方法。
  27. 抗原特異的VHH担体を多数のVHH単体を含むディスプレーライブラリーから選択する方法であって、前記方法が少なくとも2つの連続するラウンドの抗原結合指示性VHH担体の選択及び少なくとも1つのラウンドの機能指示性VHH及び/又はVHH担体のスクリーニングを含み、選択の1ラウンドでは、VHH担体は、前記ライブラリーからVHH担体が指示性固定された抗原に結合することで選択され、他の選択ラウンドにおいて、抗原特異的VHH担体はVHH担体と受動性固定された抗原接触させることで選択し、前記少なくとも1つの機能指示性スクリーニングラウンドは2またはそれ以上のVHH又はVHH担体の、前記抗原を含むタンパクの凝集を少なくとも部分的に予防する特性及び/又は前記抗原を含むタンパクの凝集を少なくとも部分的に溶解する特性を試験することを含む前記方法。
  28. 選択の1ラウンドにおいて、VHH担体のサブセットが、前記ライブラリーと方向性固定された抗原が接触することで前記ライブラリーから選択され、及び前記抗原特異的VHH担体の前記選択ラウンドが前記サブセットから前記サブセット又はその部分が受動性固定された抗原と接触することにより選択される、請求項2記載の方法。
  29. 少なくとも一ラウンドの選択の効果が、選択されたVHH担体又はそれから生産されたVHHを抗原の標本を接触させ、前記VHHの結合を測定することによって確認される、請求項27又は請求項28記載の方法。
  30. 前記方向性固定化抗体が前記抗原上のエピトープに特異的な結合体を用いて固体の表面に固定化される請求項27-29いずれか1項記載の方法。
  31. 前記抗原が霊長類の遺伝子にコードされた少なくとも10個の連続したアミノ酸を含む、請求項27〜30いずれか1項記載の方法。
  32. 前記霊長類の遺伝子がヒトの遺伝子である請求項31記載の方法。
  33. 前記遺伝子にコードされるタンパクがヒトにおける疾患に関連している、請求項31又は請求項32記載の方法。
  34. 前記疾患に前記タンパク又はその変異体を含む凝集体の凝集に関連する請求項33記載の方法。
  35. 前記遺伝子が表1の遺伝子である請求項31〜34いずれか1項記載の方法。
  36. 前記遺伝子が自然に起こるアミノ酸リピートの伸展を有する生成物をコードする請求項31‐35いずれか1項記載の方法。
  37. 前記伸展が、アラニン、グルタミン又はヒスチジンリピートを含む請求項36記載の方法。
  38. 前記遺伝子が、表1に図示されるポリGln又はポリAla病に関連する遺伝子である、請求項35〜37いずれか1項記載の方法。
  39. 前記遺伝子がアミロイドβ、タウ又はα-シヌクレインである請求項35記載の方法。
  40. 前記遺伝子が、PABPN1、ARX、ACTA1、HOXD13、RUNX2、SOX3、HOXA、FOXL2又はIT15である、請求項36〜38いずれか1項記載の方法。
  41. 前記疾患が、前記タンパクの変異体を含む凝集体に関連する、請求項34〜40いずれか1項記載の方法。
  42. 少なくとも1ラウンドの選択が、VHH担体と正常な霊長類の遺伝子でコードされたタンパクの抗原の接触を含む請求項41記載の方法。
  43. 少なくとも2つの連続する抗原結合指示性VHH担体選択ラウンド及びVHH及び/又はVHH担体の少なくとも1つの機能指示性スクリーニングにより前記方法が前記ディスプレーライブラリーから前記抗原特異的VHHキャリアを選択する、多くのVHH単体を含むディスプレーライブラリーからの抗原特異的なVHH担体の選択方法であって、
    前記抗原は霊長類の遺伝子でコードされたタンパクの抗原であり、;
    前記ヒト遺伝子の変異体がヒトにおける凝集体の集積に関係し、
    前記抗原は正常な霊長類の遺伝子でコードされたタンパクの抗原であり、及び
    前記少なくとも1ラウンドの機能指示性スクリーニングが 2又はそれ以上のVHH又はVHH 担体を、前記抗原を含むタンパクの凝集を少なくとも部分的に予防する特性及び/又は前記抗原を含む前記タンパクを含む凝集体少なくとも部分的に溶解する特性について試験することを含む前記選択方法。
  44. 前記遺伝子がヒトの遺伝子である請求項43記載の方法。
  45. 前記抗原が前記タンパクを含む請求項43又は請求項44記載の方法。
  46. 前記抗原特異的VHH担体が27〜42いずれか1項記載の方法により選択される、請求項43〜45いずれか1項記載の方法。
  47. 選択ラウンドにおいて、VHHが前記抗原に接触する前に、前記抗原の少なくとも1つのエピトープがマスクされている請求項27〜46いずれか1項記載の方法。
  48. 前記抗原に特異的なVHHの結合により前記エピトープがマスクされている請求項47記載の方法。
  49. 2又はそれ以上のエピトープ及び前記抗原がマスクされている請求項47又は請求項48記載の方法。
  50. 前記タンパク質の凝集に関与しない少なくとも1つのエピトープがマスクされている、請求項47〜49いずれか1項記載の方法。
  51. 少なくとも1つの前記マスクされたエピトープが免疫優性エピトープである請求項47〜50いずれか1項記載の方法。
  52. 少なくとも1つの選択ラウンドが前記抗原を含むタンパク質性の複合体を含む、請求項27〜51いずれか1項記載の方法。
  53. タンパクを含む前記複合体中の抗原が天然の立体構造である請求項52記載の方法。
  54. さらに前記抗原特異的VHHを調製することを含む、請求項27〜53いずれか1項記載の方法。
  55. さらに選択抗原特異的VHHを調製することを含む、請求項27〜54いずれか1項記載の方法。
  56. 前記VHHが少なくとも前記タンパクを含む凝集体の形成を減少させることができるかどうか判定することを含む、請求項55記載の方法。
  57. さらに前記VHHが形成した前記タンパクを含む凝集体の大きさを少なくとも減少させることができるかどうかを決定することを含む請求項55記載の方法。
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