本発明は、オランザピンアナログ、及び睡眠を調整するためのそれらの使用に関する。オランザピン(ZYPREXA(登録商標))は、チエノベンゾジアゼピン類に属し、かつ、分裂病の治療;分裂病での治療応答の維持;単一療法として、並びにジバルプロックス及びリチウムの両者による併用療法にて、躁病発症又は混合型発症を示す被検者での双極性I型障害に関わる急性躁病の治療;更には、双極性障害での維持治療に対する承認を受けている向精神薬である。化学的表記は、2−メチル−4−(4−メチル−1−ピペラジニル)−10H−チエノ[2,3−b][1,5]ベンゾジアゼピンである。オランザピンは、以下の構造を有する。
一態様では、本発明は、被検者に治療上有効量の式Iの化合物、又はその薬理学的に有効な塩を投与することにより、被検者の睡眠を調整する方法に関する。
式中、m、n、o、p、及びqは独立して、整数0、1、2、3、4、5、又は6であり;A及びBは独立して、O、S、NR
7、又はC(R
8)
2であり;X及びYは、それぞれに、存在しないか、O、S、C(O)、SO又はSO
2であり;R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、及びR
8は独立して、H、F、Cl、Br、OH、CH
3、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6直鎖アルキル、C
3、C
4、C
5、C
6分鎖アルキル、C
3、C
4、C
5、C
6、C
7シクロアルキル、C
3、C
4、C
5、C
6、C
7ヘテロシクリル、OCH
3、OCF
3、CH
2OCH
3、CH
2CH
2OCH
3、CH
2OCH
2CH
3、C
1、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6ヒドロキシアルキル、又はC
1、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6アルコキシであり;リンカーのCH
2基のいずれの水素も、H、F、Cl、OH、Br、CF
3、CH
3、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6直鎖アルキル、C
3、C
4、C
5、C
6分鎖アルキル、C
3、C
4、C
5、C
6、C
7シクロアルキル、C
3、C
4、C
5、C
6、C
7ヘテロシクリル、OCH
3、OCF
3、CH
2OCH
3、CH
2CH
2OCH
3、CH
2OCH
2CH
3、C
1、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6ヒドロキシアルキル、又はC
1、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6アルコキシで任意に置換され;R
9、R
10、R
11、及びR
12は独立して、H、C
1、C
2、C
3、C
4、C
5直鎖アルキル、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6分鎖アルキルであるか、又はR
9及びR
10は、それらが付加する炭素と共に存在しないか、若しくは結合して3、4、5、6若しくは7のサイズのスピロ環を形成するか、又はR
11及びR
12は、それらが付加する炭素と共に結合して3、4、5、6、若しくは7のサイズのスピロ環を形成するか、又は異なる2つの炭素原子上の置換基は結合して3、4、5、6、若しくは7のサイズの環を形成し;Zは、CO
2H、CO
2R
13(式中、R
13はC
1、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6アルキルである);CONR
14R
15(式中、R
14及びR
15は独立して水素又は低級アルキルである);CONHS(O)
2−アルキル、CONHS(O)
2−シクロアルキル、CONHS(O)
2−ヘテロアルキル、CONHS(O)
2−アリール、CONHS(O)
2−ヘテロアリール、S(O)
2NHCO−アルキル、S(O)
2NHCO−シクロアルキル、S(O)
2NHCO−ヘテロアルキル、S(O)
2NHCO−アリール、S(O)
2NHCO−ヘテロアリール、CONHS(O)
2N−アルキル、CONHS(O)
2N−シクロアルキル、CONHS(O)
2N−ヘテロアルキル、CONHS(O)
2N−アリール、CONHS(O)
2N−ヘテロアリール、SO
3H、SO
2H、S(O)NHCO−アルキル、S(O)NHCO−アリール、S(O)NHCO−ヘテロアリール、P(O)(OH)
2、P(O)OH、
から選択され
mがゼロの場合、Xは存在しない。
一実施形態において、Zはスルホンアミドである。代表的なスルホンアミドとして、アシルスルホンアミドが挙げられる。例えば、Zは次の式でありうる。
式中、Wは、所望のレベルの経口吸収、CNS浸透、及び尿又は胆汁への排泄速度が得られるように、Z部分の極性表面積の効果を調整すべく、必要に応じて選択される置換基である。この目的のために有用なW置換基の例として、アルキル基(任意に二重又は三重結合を含む)、シクロアルキル基(任意に二重結合を含む)、ヘテロシクリル基、アリール基又はヘテロアリール基(両者とも任意に、以下に示すように置換される:
式中、Vは、アシルスルホンアミド部分のpKaを調整すべく、又は化合物の物性又は代謝特性に効奏するように選択される1以上の側鎖である)が挙げられる。V側鎖の例として、F、Cl、又はBr等のハロゲン;OCH
3又はOCH
2CH
3等のC
1、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6アルコキシ基;CH
3又はCF
3、シクロプロピル等のC
1、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6アルキル又はC
3、C
4、C
5、C
6、C
7、C
8シクロアルキル基;CH
2OCH
3、又はCH
2OCH
2CH
3等の、ヘテロ原子で置換されたC
1、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6アルキル又はC
3、C
4、C
5、C
6、C
7、C
8シクロアルキル;CN、ケトン、アミド、又はスルホン等の電子吸引基が挙げられる。
(及びピリジル異性体)、
(及びピリミジン異性体)、並びに
一実施形態において、Zはスルファミドである。代表的なスルファミドとして、アシルスルファミドが挙げられる。例えば、Zは次の式でありうる。
式中、Ra及びRbは、それぞれに、例えばアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基又はヘテロアリール基で、任意に置換されたものである。例として以下のものが挙げられる。
(式中、Vは、F、Cl、又はBr等のハロゲン;OCH
3又はOCH
2CH
3等のC
1〜C
6アルコキシ;CH
3又はCF
3、シクロプロピル等のC
1、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6アルキル又はC
3、C
4、C
5、C
6、C
7、C
8シクロアルキル;CH
2OCH
3、又はCH
2OCH
2CH
3等の、ヘテロ原子で置換されたC
1、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6アルキル又はC
3、C
4、C
5、C
6、C
7、C
8シクロアルキル、;CN、ケトン、アミド、又はスルホン等の電子吸引基)、
(及びピリジル異性体)、
(及びピリミジン異性体)。
一実施形態において、本発明の方法で使用するための式Iの化合物は、以下の特性の1以上を有する:H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が500nM未満である;M1、M2、M3、D1、D2、α1及びα2から選択されるオフターゲットへのオフターゲット結合に関するKiが、1,000nMを上回り、かつ/又はH1受容体に関するKiの10倍より高い;化合物を被検者に投与してから第3時までのノンレムピーク時間値が、1時間当たりのノンレム睡眠の55%を上回る;最高の睡眠固定をもたらす化合物用量に対し、ノンレム睡眠の累積増加合計が20分未満である;最長睡眠時間が13分よりも長期にわたる;被検者への化合物の投与より少なくとも24時間前に得たベースライン値を用いて調整した場合に、治療後の正味の最長睡眠時間が3分以上である;絶対ピークでの平均睡眠期間が5分よりも長い;被検者への化合物の投与が相当な反跳不眠症を生じさせない;被検者への化合物の投与が特段にレム睡眠を阻害しない;並びに被検者への化合物の投与が、睡眠の通常作用に比して不相応に自発運動活性を阻害することがない。
別の実施形態において、本発明の方法で使用するための式Iの化合物は、以下の特性の1以上を有する:H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が300nM未満である;M1、M2、M3、D1、D2、α1及びα2から選択されるオフターゲットへのオフターゲット結合に関するKiが、1μMを上回る;化合物を被検者に投与してから第3時までのノンレムピーク時間値が、1時間当たりのノンレム睡眠の55%を上回る;最高の睡眠固定をもたらす化合物用量に対し、ノンレム睡眠の累積増加合計が20分未満である;最長睡眠時間が13分よりも長期にわたる;被検者への化合物の投与より少なくとも24時間前に得たベースライン値を用いて調整した場合に、治療後の正味の最長睡眠時間が3分以上である;絶対ピークでの平均睡眠期間が5分よりも長い;被検者への化合物の投与が相当な反跳不眠症を生じさせず;被検者への化合物の投与が特段にレム睡眠を阻害しない;並びに被検者への化合物の投与が、睡眠の通常作用に比して不相応に自発運動活性を阻害することがない。
別の実施形態において、本発明の方法で使用するための式Iの化合物は、以下の特性の1以上を有する:H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が150nM未満である;M1、M2、及びM3から選択されるオフターゲットへのオフターゲット結合に関するKiが、10μMを上回る;化合物を被検者に投与してから第3時までのノンレムピーク時間値が、1時間当たりのノンレム睡眠の55%を上回る;最高の睡眠固定をもたらす化合物用量に対し、ノンレム睡眠の累積増加合計が20分未満である;最長睡眠時間が17分よりも長期にわたる;被検者への化合物の投与より少なくとも24時間前に得たベースライン値を用いて調整した場合に、治療後の正味の最長睡眠時間が5分以上である;絶対ピークでの平均睡眠期間が6分よりも長い;被検者への化合物の投与が相当な反跳不眠症を生じさせない;被検者への化合物の投与が特段にレム睡眠を阻害しない;並びに被検者への化合物の投与が、睡眠の通常作用に比して不相応に自発運動活性も運動状態も阻害することがない。
一実施形態では、本発明の方法で使用する化合物において、R6は水素でもハロゲンでもない。別の実施形態では、R6はメチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、メトキシメチレン(CH2OCH3)、又はヒドロキシである。別の実施形態では、本発明の方法で使用する化合物において、R6はメチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、R1、R2、R3、R4、及びR5は各々、水素である。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、AはNR7である。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、AはNR7であり、R7はH及びCH3から選択される。一実施形態において、R7はHである。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、BはO又はSである。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、BはSである。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、R1、R2、R3、R4、R5、R6の少なくともいずれかは非水素置換基であり、残りのR1、R2、R3、R4、R5、R6は水素である。別の実施形態において、本発明の方法で使用する化合物で、少なくともいずれかの非水素R1、R2、R3、R4、R5、R6は、それぞれに、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、R1、R2、R3、R4、R5、R6の少なくとも2つは非水素置換基であり、残りのR1、R2、R3、R4、R5、R6は水素である。別の実施形態において、本発明の方法で使用する化合物で、少なくとも2つの非水素R1、R2、R3、R4、R5、R6は、それぞれに、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、R1、R2、R3、R4、R5、R6の少なくとも3つは非水素置換基であり、残りのR1、R2、R3、R4、R5、R6は水素である。別の実施形態において、本発明の方法で使用する化合物で、少なくとも3つの非水素R1、R2、R3、R4、R5、R6は、それぞれに、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、R2は非水素置換基である。例えば、R2の例として挙げられるのは、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、R3は非水素置換基である。例えば、R3の例として挙げられるのは、メトキシ、メチル、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、R5は非水素置換基である。例えば、R5の例として挙げられるのは、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、R6は非水素置換基である。例えば、R6の例として挙げられるのは、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、R2及びR3は非水素置換基である。例えば、R2及びR3の例として挙げられるのは、それぞれに、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、R2及びR6は非水素置換基である。例えば、R2及びR6の例として挙げられるのは、それぞれに、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、R2及びR5は非水素置換基である。例えば、R2及びR5の例として挙げられるのは、それぞれに、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、R3及びR6は非水素置換基である。例えば、R3及びR6の例として挙げられるのは、それぞれに、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、R3及びR5は非水素置換基である。例えば、R3及びR5の例として挙げられるのは、それぞれに、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、R5及びR6は非水素置換基である。例えば、R5及びR6の例として挙げられるのは、それぞれに、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、R6はメチル又はメトキシであり、R1、R2、R3、R4、及びR5は水素である。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、R2はメチル又はメトキシであり、R1、及びR3、R4、R5、及びR6は水素である。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、R3はメチル又はメトキシであり、R1、R2、及びR4、R5、R6は水素である。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、R6はメトキシであり、R1、R2、R3、R4、及びR5は水素である。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、R5はメチル又はメトキシであり、R1、R2、R3、R4、及びR6は水素である。
一実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、R2、R5、及びR6の少なくともいずれかは水素でない。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、R2、R5、及びR6の少なくともいずれかはフロロ、メチル、又はメトキシである。
一実施形態において、R9及びR10は、それらが付加する炭素と共に存在しない。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、R11及びR12は各々、メチルである。別の実施形態において、本発明の方法で使用する化合物で、R11及びR12は各々、エチルである。別の実施形態において、本発明の方法で使用する化合物で、R11及びR12は、それらが付加する炭素と共に結合して3、4、5、6、又は7のサイズのスピロ環を形成する。スピロ環は、例えば、シクロプロピル環である。
一実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、qはゼロである。別の実施形態において、qはゼロであり、R9及びR10は、それらが付加する炭素と共に存在しない。別の実施形態において、qはゼロであり、R9及びR10は、それらが付加する炭素と共に存在せず、X及びYは存在しない。別の実施形態において、qはゼロであり、R9及びR10は、それらが付加する炭素と共に存在せず、X及びYは存在せず、m、n、o、及びpの合計は2又は3である。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物は、化合物1〜106から選択される。例えば、本発明の方法で使用する化合物は、化合物1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、又は106である。別の実施形態において、本発明の方法で使用する化合物は、化合物46である。
一実施形態において、本発明の方法は、式Iの化合物を投与することにより睡眠を調整するために使用され、例えば本方法は、就眠までの時間を短くする、平均睡眠期間長を延ばす、及び/又は最高睡眠期間長を延ばすのに使用する。別の実施形態において、本発明の方法は、式Iの化合物を投与することにより睡眠障害を治療するために使用する。睡眠障害は、例えば、概日リズム異常、不眠症、睡眠随伴症(例えば、夢遊症、夜驚症、レム睡眠行動障害、睡眠時歯ぎしり及び睡眠遺尿症等)、例えば中枢型睡眠時無呼吸、閉塞型睡眠時無呼吸及び混合型睡眠時無呼吸等の睡眠時無呼吸障害、睡眠時無呼吸症候群、睡眠発作又は過眠症である。
一実施形態において、本発明の方法は、概日リズム異常を治療するために使用する。別の実施形態において、本発明の方法は、例えば外因性不眠症、精神心理学的不眠症、高所不眠症、下肢静止不能症候群、周期性四肢運動障害、投薬依存性不眠症、薬物依存性不眠症、アルコール依存性不眠症及び精神障害に伴う不眠症を含む不眠症を治療するために使用する。別の実施形態において、本発明の方法は睡眠時無呼吸を治療するために使用する。別の実施形態において、本発明の方法は睡眠発作を治療するために使用する。別の実施形態において、本発明の方法は過眠症を治療するために使用する。
一実施形態において、本発明の方法で、式Iの化合物、又はその薬理学的に許容される塩を、薬理学的に許容できる賦形剤を含む医薬組成物として投与する。
別の実施形態において、本発明の方法で、式Iの化合物、又はその薬理学的に許容される塩を、1以上の付加的療法と併用する。
別の実施形態において、本発明の方法によって治療される被検者は、ヒト、コンパニオンアニマル、家畜、実験動物及び野生動物から選択される。一実施形態において、被検者はヒトである。
別の態様では、本発明は、被検者に治療上有効量の式IIの化合物、又はその薬理学的に有効な塩を投与することにより、被検者の睡眠を調整する方法に関する:
式中、m、n、及びoは独立して、0、1、2、3、4、5、又は6であり、Xは存在しないか、O、S、C(O)、SO又はSO
2であり;R
2、R
3、R
5、及びR
6は独立して、H、F、Cl、Br、OH、CF
3、CH
3、CH
2CH
3、CH(CH
3)
2、シクロプロピル、OCH
3、OCF
3、CH
2OCH
3及びCH
2OCH
2CH
3から選択され;R
9、及びR
10は独立して、H、C
1、C
2、C
3、C
4、C
5直鎖アルキル、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6分鎖アルキルであるか、又はR
9及びR
10は、それらが付加する炭素と共に結合して、3、4、5、6、若しくは7のサイズのスピロ環を形成し;ZはCOOH、COOR
13(式中、R
13は、C
1、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6アルキルである)、CONHS(O)
2−アルキル、CONHS(O)
2−ヘテロアルキル、CONHS(O)
2−アリール、CONHS(O)
2−ヘテロアリール、S(O)
2NHCO−アルキル、S(O)
2NHCO−ヘテロアルキル、S(O)
2NHCO−アリール、S(O)
2NHCO−ヘテロアリール、CONHS(O)
2N−アルキル;CONHS(O)
2N−ヘテロアルキル;CONHS(O)
2N−アリール;CONHS(O)
2N−ヘテロアリール;又はテトラゾールであり、mがゼロの場合に、Xは存在しない。
一実施形態において、本発明の方法で使用するための式IIの化合物は、以下の特性の1以上を有する:H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が500nM未満である;M1、M2、M3、D1、D2、α1及びα2から選択されるオフターゲットへのオフターゲット結合に関するKiが、1,000nMを上回り、かつ/又はH1受容体に関するKiの10倍より高い;化合物を被検者に投与してから第3時までのノンレムピーク時間値が、1時間当たりのノンレム睡眠の55%を上回る;最高の睡眠固定をもたらす化合物用量に対し、ノンレム睡眠の累積増加合計が20分未満である;最長睡眠時間が13分よりも長期にわたる;被検者への化合物の投与より少なくとも24時間前に得たベースライン値を用いて調整した場合に、治療後の正味の最長睡眠時間が3分以上である;絶対ピークでの平均睡眠期間が5分よりも長い;被検者への化合物の投与が相当な反跳不眠症を生じさせない;被検者への化合物の投与が特段にレム睡眠を阻害しない;並びに被検者への化合物の投与が、睡眠の通常作用に比して不相応に自発運動活性を阻害することがない。
別の実施形態において、本発明の方法で使用するための式IIの化合物は、以下の特性の1以上を有する:H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が300nM未満である;M1、M2、M3、D1、D2、α1及びα2から選択されるオフターゲットへのオフターゲット結合に関するKiが、1μMを上回る;化合物を被検者に投与してから第3時までのノンレムピーク時間値が、1時間当たりのノンレム睡眠の55%を上回る;最高の睡眠固定をもたらす化合物用量に対し、ノンレム睡眠の累積増加合計が20分未満である;最長睡眠時間が13分よりも長期にわたる;被検者への化合物の投与より少なくとも24時間前に得たベースライン値を用いて調整した場合に、治療後の正味の最長睡眠時間が3分以上である;絶対ピークでの平均睡眠期間が5分よりも長い;被検者への化合物の投与が相当な反跳不眠症を生じさせない;被検者への化合物の投与が特段にレム睡眠を阻害しない;並びに被検者への化合物の投与が、睡眠の通常作用に比して不相応に自発運動活性を阻害することがない。
別の実施形態において、本発明の方法で使用するための式IIの化合物は、以下の特性の1以上を有する:H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が150nM未満である;M1、M2、及びM3から選択されるオフターゲットへのオフターゲット結合に関するKiが、10μMを上回る;化合物を被検者に投与してから第3時までのノンレムピーク時間値が、1時間当たりのノンレム睡眠の55%を上回る;最高の睡眠固定をもたらす化合物用量に対し、ノンレム睡眠の累積増加合計が20分未満である;最長睡眠時間が17分よりも長期にわたる;被検者への化合物の投与より少なくとも24時間前に得たベースライン値を用いて調整した場合に、治療後の正味の最長睡眠時間が5分以上である;絶対ピークでの平均睡眠期間が6分よりも長い;被検者への化合物の投与が相当な反跳不眠症を生じさせない;被検者への化合物の投与が特段にレム睡眠を阻害しない;並びに被検者への化合物の投与が、睡眠の通常作用に比して不相応に自発運動活性も運動状態も阻害することがない。
一実施形態において、本発明の方法で使用する式IIの化合物で、R6はメチルでない。一実施形態において、本発明の方法で使用する式IIの化合物で、R6はメチルである。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIの化合物で、R6はメトキシ、メトキシメチレン、ブロモ、フロロ、メチル、エチル、イソプロピル、又はヒドロキシである。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIの化合物で、R2〜R3及びR5は、各々水素である。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIの化合物で、R2〜R3及びR5〜R6は、それぞれに、水素、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIの化合物で、R2は非水素置換基である。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIの化合物で、R3は非水素置換基である。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIの化合物で、R5は非水素置換基である。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIの化合物で、R6は非水素置換基である。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIの化合物で、R2及びR3は非水素置換基である。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIの化合物で、R2及びR5は非水素置換基である。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIの化合物で、R2及びR6は非水素置換基である。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIの化合物で、R3及びR5は非水素置換基である。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIの化合物で、R3及びR6は非水素置換基である。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIの化合物で、R5及びR6は非水素置換基である。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIの化合物で、R6はメチル又はメトキシであり、R2、R3及びR5は水素である。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIの化合物で、R2はメチル又はメトキシであり、R3、R5及びR6は水素である。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIの化合物で、R3はメチルであり、R2、R5及びR6は水素である。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIの化合物で、式中R5はメトキシであり、R2、R3及びR6は水素である。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIの化合物で、R9及びR10は、各々メチルである。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIの化合物で、R9及びR10は、各々エチルである。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIの化合物で、R9及びR10は、それらが付加する炭素と共に結合して3、4、5、6、若しくは7のサイズのスピロ環を形成する。例えば、スピロ環の例として挙げられるのは、シクロプロピル環である。
一実施形態において、本発明の方法で使用する式IIの化合物で、oはゼロである。別の実施形態において、oはゼロであり、Xは存在しない。別の実施形態において、oはゼロであり、Xは存在せず、m及びnの合計は2又は3である。
一実施形態において、本発明の方法は、式IIの化合物を投与することにより睡眠を調整するために使用され、例えば、本方法は、就眠までの時間を短くする、平均睡眠期間長を延ばす、及び/又は最高睡眠期間長を延ばすのに使用する。別の実施形態において、本発明の方法は、式IIの化合物を投与することにより睡眠障害を治療するために使用される。睡眠障害は、例えば、概日リズム異常、不眠症、睡眠随伴症、睡眠時無呼吸症候群、睡眠発作又は過眠症である。
別の態様では、本発明は、被検者に治療上有効量の式IIIの化合物、又はその薬理学的に有効な塩を投与することにより、被検者の睡眠を調整する方法に関する:
式中、m及びnは独立して、0、1、2、3、又は4であり、Xは存在しないか、O、S、C(O)、SO又はSO
2であり;R
2、R
3、R
5、及びR
6は独立して、H、F、Cl、Br、OH、CF
3、CH
3、CH
2CH
3、CH(CH
3)
2、OCH
3、CH
2OCH
3、及びCH
2OCH
2CH
3から選択され;R
9、及びR
10は独立して、H、C
1、C
2、C
3、C
4、C
5直鎖アルキル;C
2、C
3、C
4、C
5、C
6分鎖アルキルであるか、又はR
9及びR
10は、それらが付加する炭素と共に結合して3、4、5、6、若しくは7のサイズのスピロ環を形成し;ZはCO
2H、CONHS(O)
2−アルキル、CONHS(O)
2−シクロアルキル、CONHS(O)
2−ヘテロアルキル、CONHS(O)
2−アリール、CONHS(O)
2−ヘテロアリール、及びテトラゾールから選択され;mがゼロの場合に、Xは存在しない。
一実施形態において、本発明の方法で使用するための式IIIの化合物は、以下の特性の1以上を有する:H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が500nM未満である;M1、M2、M3、D1、D2、α1及びα2から選択されるオフターゲットへのオフターゲット結合に関するKiが、1,000nMを上回り、かつ/又はH1受容体に関するKiの10倍より高い;化合物を被検者に投与してから第3時までのノンレムピーク時間値が、1時間当たりのノンレム睡眠の55%を上回る;最高の睡眠固定をもたらす化合物用量に対し、ノンレム睡眠の累積増加合計が20分未満である;最長睡眠時間が13分よりも長期にわたる;被検者への化合物の投与より少なくとも24時間前に得たベースライン値を用いて調整した場合に、治療後の正味の最長睡眠時間が3分以上である;絶対ピークでの平均睡眠期間が5分よりも長い;被検者への化合物の投与が相当な反跳不眠症を生じさせない;被検者への化合物の投与が特段にレム睡眠を阻害しない;並びに被検者への化合物の投与が、睡眠の通常作用に比して不相応に自発運動活性を阻害することがない。
別の実施形態において、本発明の方法で使用するための式IIIの化合物は、以下の特性の1以上を有する:H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が300nM未満である;M1、M2、M3、D1、D2、α1及びα2から選択されるオフターゲットへのオフターゲット結合に関するKiが、1μMを上回る;化合物を被検者に投与してから第3時までのノンレムピーク時間値が、1時間当たりのノンレム睡眠の55%を上回る;最高の睡眠固定をもたらす化合物用量に対し、ノンレム睡眠の累積増加合計が20分未満である;最長睡眠時間が13分よりも長期にわたる;被検者への化合物の投与より少なくとも24時間前に得たベースライン値を用いて調整した場合に、治療後の正味の最長睡眠時間が3分以上である;絶対ピークでの平均睡眠期間が5分よりも長い;被検者への化合物の投与が相当な反跳不眠症を生じさせない;被検者への化合物の投与が特段にレム睡眠を阻害しない;並びに被検者への化合物の投与が、睡眠の通常作用に比して不相応に自発運動活性を阻害することがない。
別の実施形態において、本発明の方法で使用するための式IIIの化合物は、以下の特性の1以上を有する:H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が150nM未満である;M1、M2、及びM3から選択されるオフターゲットへのオフターゲット結合に関するKiが、10μMを上回る;化合物を被検者に投与してから第3時までのノンレムピーク時間値が、1時間当たりのノンレム睡眠の55%を上回る;最高の睡眠固定をもたらす化合物用量に対し、ノンレム睡眠の累積増加合計が20分未満である;最長睡眠時間が17分よりも長期にわたる;被検者への化合物の投与より少なくとも24時間前に得たベースライン値を用いて調整した場合に、治療後の正味の最長睡眠時間が5分以上である;絶対ピークでの平均睡眠期間が6分よりも長い;被検者への化合物の投与が相当な反跳不眠症を生じさせない;被検者への化合物の投与が特段にレム睡眠を阻害しない;並びに被検者への化合物の投与が、睡眠の通常作用に比して不相応に自発運動活性も運動状態も阻害することがない。
一実施形態において、本発明の方法で使用する式IIIの化合物で、R6はH、F、Cl、ではなくBrでもない。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIIの化合物で、R2、R3、及びR7は水素である。別の実施形態において、R2、R3、及びR5は水素である。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIIの化合物で、R2、R3、R5、及びR6は、それぞれに、H、F、Cl、Br、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、メトキシメチレン又はヒドロキシである。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIIの化合物で、R6はメトキシ又はメチルである。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIIの化合物で、R6はメトキシ又はメチルであり、R2、R3及びR5は水素である。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIIの化合物で、R2はメチル又はメトキシであり、R3、R6及びR5は水素である。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIIの化合物で、R3はメチルであり、R2、R6及びR5は水素である。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIIの化合物で、式中R5はメトキシであり、R2、R3及びR6は水素である。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIIの化合物で、R9及びR10は、各々メチルである。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIIの化合物で、R9及びR10は、それらが付加する炭素と共に結合して3のサイズのスピロ環を形成する。一実施形態において、本発明の方法で使用する式IIIの化合物で、Xは存在しない。別の実施形態において、Xは存在せず、m及びnの合計は2又は3である。
一実施形態において、本発明の方法は、式IIIの化合物を投与することにより睡眠を調整するために使用され、例えば本方法は、就眠までの時間を短くする、平均睡眠期間長を延ばす、及び/又は最高睡眠期間長を延ばすのに使用する。別の実施形態において、本発明の方法は、式IIIの化合物を投与することにより睡眠障害を治療するために使用される。睡眠障害は、例えば、概日リズム異常、不眠症、睡眠随伴症、睡眠時無呼吸症候群、睡眠発作又は過眠症である。
別の態様では、本発明は、被検者に治療上有効量の式IVの化合物、又はその薬理学的に有効な塩を投与することにより、被検者の睡眠を調整する方法に関する:
式中、tは、1、2、3、又は4であり;R
2、R
3、R
5及びR
6は独立して、H、F、Cl、Br、CF
3、CH
3、CH
2CH
3、CH(CH
3)
2、OH、OCH
3、CH
2OCH
3、又はCH
2OCH
2CH
3であり;R
9およびR
10はH、CH
3、CH
2CH
3であるか、又はR
9及びR
10は、それらが付加する炭素と共に結合して3、4、5、6、若しくは7のサイズのスピロ環を形成し;ZはCO
2H、CONHS(O)
2−アルキル、CONHS(O)
2−シクロアルキル、CONHS(O)
2−ヘテロアルキル、CONHS(O)
2−アリール、CONHS(O)
2−ヘテロアリール、又はテトラゾールから選択される。
一実施形態において、本発明の方法で使用するための式IVの化合物は、以下の特性の1以上を有する:H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が500nM未満である;M1、M2、M3、D1、D2、α1及びα2から選択されるオフターゲットへのオフターゲット結合に関するKiが、1,000nMを上回り、かつ/又はH1受容体に関するKiの10倍より高い;化合物を被検者に投与してから第3時までのノンレムピーク時間値が、1時間当たりのノンレム睡眠の55%を上回る;最高の睡眠固定をもたらす化合物用量に対し、ノンレム睡眠の累積増加合計が20分未満である;最長睡眠時間が13分よりも長期にわたる;被検者への化合物の投与より少なくとも24時間前に得たベースライン値を用いて調整した場合に、治療後の正味の最長睡眠時間が3分以上である;絶対ピークでの平均睡眠期間が5分よりも長い;被検者への化合物の投与が相当な反跳不眠症を生じさせない;被検者への化合物の投与が特段にレム睡眠を阻害しない;並びに被検者への化合物の投与が、睡眠の通常作用に比して不相応に自発運動活性を阻害することがない。
別の実施形態において、本発明の方法で使用するための式IVの化合物は、以下の特性の1以上を有する:H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が300nM未満である;M1、M2、M3、D1、D2、α1及びα2から選択されるオフターゲットへのオフターゲット結合に関するKiが、1μMを上回る;化合物を被検者に投与してから第3時までのノンレムピーク時間値が、1時間当たりのノンレム睡眠の55%を上回る;最高の睡眠固定をもたらす化合物用量に対し、ノンレム睡眠の累積増加合計が20分未満である;最長睡眠時間が13分よりも長期にわたる;被検者への化合物の投与より少なくとも24時間前に得たベースライン値を用いて調整した場合に、治療後の正味の最長睡眠時間が3分以上である;絶対ピークでの平均睡眠期間が5分よりも長い;被検者への化合物の投与が相当な反跳不眠症を生じさせない;被検者への化合物の投与が特段にレム睡眠を阻害しない;並びに被検者への化合物の投与が、睡眠の通常作用に比して不相応に自発運動活性を阻害することがない。
別の実施形態において、本発明の方法で使用するための式IVの化合物は、以下の特性の1以上を有する:H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が150nM未満である;M1、M2、及びM3から選択されるオフターゲットへのオフターゲット結合に関するKiが、10μMを上回る;化合物を被検者に投与してから第3時までのノンレムピーク時間値が、1時間当たりのノンレム睡眠の55%を上回る;最高の睡眠固定をもたらす化合物用量に対し、ノンレム睡眠の累積増加合計が20分未満である;最長睡眠時間が17分よりも長期にわたる;被検者への化合物の投与より少なくとも24時間前に得たベースライン値を用いて調整した場合に、治療後の正味の最長睡眠時間が5分以上である;絶対ピークでの平均睡眠期間が6分よりも長い;被検者への化合物の投与が相当な反跳不眠症を生じさせない;被検者への化合物の投与が特段にレム睡眠を阻害しない;並びに被検者への化合物の投与が、睡眠の通常作用に比して不相応に自発運動活性も運動状態も阻害することがない。
一実施形態において、本発明の方法で使用する式IVの化合物で、tは1又は2である。一実施形態において、本発明の方法で使用する式IVの化合物は、式IVa、IVb、IVc、IVd、及びIVeの化合物から選択される。
一実施形態において、本発明の方法は、式IVの化合物を投与することにより睡眠を調整するために使用され、例えば本方法は、就眠までの時間を短くする、平均睡眠期間長を延ばす、及び/又は最高睡眠期間長を延ばすのに使用する。別の実施形態において、本発明の方法は、式IVの化合物を投与することにより睡眠障害を治療するために使用される。睡眠障害は、例えば、概日リズム異常、不眠症、睡眠随伴症、睡眠時無呼吸症候群、睡眠発作又は過眠症である。
別の態様では、本発明は、被検者に化合物1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、又は106から選択される治療上有効量の化合物を投与することにより、被検者の睡眠を調整する方法に関する。別の態様では、本発明は、被検者に治療上有効量の化合物46を投与することにより、被検者の睡眠を調整する方法に関する。
別の態様では、本発明は、式Iの化合物又はその薬理学的に有効な塩に関する。
式中、m、n、o、p、qは独立して、0、1、2、3、4、5、又は6の整数であり;A及びBは独立して、O、S、NR
7、又はC(R
8)
2であり;X及びYは独立して、存在しないか、O、S、C(O)、SO又はSO
2であり;R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、及びR
8は独立して、H、F、Cl、Br、OH、CH
3、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6直鎖アルキル、C
3、C
4、C
5、C
6分鎖アルキル、C
3、C
4、C
5、C
6、C
7シクロアルキル、C
3、C
4、C
5、C
6、C
7ヘテロシクリル、OCH
3、OCF
3、CH
2OCH
3、CH
2CH
2OCH
3、CH
2OCH
2CH
3、C
1、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6ヒドロキシアルキル、又はC
1、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6アルコキシであり;リンカーのCH
2基のいずれの水素もH、F、Cl、OH、Br、CF
3、CH
3、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6直鎖アルキル、C
3、C
4、C
5、C
6分鎖アルキル、C
3、C
4、C
5、C
6、C
7シクロアルキル、C
3、C
4、C
5、C
6、C
7ヘテロシクリル、OCH
3、OCF
3、CH
2OCH
3、CH
2CH
2OCH
3、CH
2OCH
2CH
3、C
1、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6ヒドロキシアルキル、又はC
1、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6アルコキシで任意に置換され;R
9、R
10、R
11、及びR
12は独立して、H、C
1、C
2、C
3、C
4、C
5直鎖アルキル、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6分鎖アルキルであるか、又はR
9及びR
10は、それらが付加する炭素と共に、存在しないか又は結合して3、4、5、6、若しくは7のサイズのスピロ環を形成するか、又はR
11及びR
12は、それらが付加する炭素と共に結合して3、4、5、6、若しくは7のサイズのスピロ環を形成するか、又は異なる2つの炭素原子上の置換基は結合して3、4、5、6、又は7のサイズの環を形成し;ZはCO
2H、CO
2R
13(式中、R
13は、C
1、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6アルキルである)、CONR
14R
15(式中、R
14及びR
15は独立して水素又は低級アルキルである)、CONHS(O)
2−アルキル、CONHS(O)
2−シクロアルキル、CONHS(O)
2−ヘテロアルキル、CONHS(O)
2−アリール、CONHS(O)
2−ヘテロアリール、S(O)
2NHCO−アルキル、S(O)
2NHCO−シクロアルキル、S(O)
2NHCO−ヘテロアルキル、S(O)
2NHCO−アリール、S(O)
2NHCO−ヘテロアリール、CONHS(O)
2N−アルキル、CONHS(O)
2N−シクロアルキル、CONHS(O)
2N−ヘテロアルキル、CONHS(O)
2N−アリール、CONHS(O)
2N−ヘテロアリール、SO
3H、SO
2H、S(O)NHCO−アルキル、S(O)NHCO−アリール、S(O)NHCO−ヘテロアリール、P(O)(OH)
2、P(O)OH、
から選択され
mがゼロの場合に、Xは存在しない。
一実施形態において、Zはスルホンアミドである。代表的なスルホンアミドとして、アシルスルホンアミドが挙げられる。
例えば、Zは式:
を有することができ、式中、Wは、所望のレベルの経口吸収、CNS浸透、及び尿又は胆汁への排泄速度が得られるように、Z部分の極性表面積の効果を調整すべく、必要に応じて選択される置換基である。この目的のために有用なW置換基の例として、アルキル基(任意に二重又は三重結合を含む)、シクロアルキル基(任意に二重結合を含む)、ヘテロシクリル基、アリール基又はヘテロアリール基(両者とも任意に、以下に示すように置換される:
式中、Vは、アシルスルホンアミド部分のpKaを調整すべく、又は化合物の物性又は代謝性に効奏するように選択される1以上の側鎖である)が挙げられる。V側鎖の例として、F、Cl、又はBr等のハロゲン;OCH
3又はOCH
2CH
3等のC
1、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6アルコキシ基;CH
3又はCF
3、シクロプロピル等のC
1、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6アルキル又はC
3、C
4、C
5、C
6、C
7、C
8シクロアルキル基;CH
2OCH
3、又はCH
2OCH
2CH
3等の、ヘテロ原子で置換されたC
1、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6アルキル又はC
3、C
4、C
5、C
6、C
7、C
8シクロアルキル;CN、ケトン、アミド、又はスルホン等の電子吸引基が挙げられる。
(及びピリジル異性体)、
(及びピリミジン異性体)、並びに
一実施形態において、Zはスルファミドである。代表的なスルファミドとして、アシルスルファミドが挙げられる。例えば、Zは以下の式:
(式中、Ra及びRbは独立して、例えばアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基又はヘテロアリール基で、任意に置換されたものである)を有することができる。例として以下のものが挙げられる:
(式中、Vは、F、Cl、又はBr等のハロゲン;OCH
3又はOCH
2CH
3等のC
1、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6アルコキシ;CH
3又はCF
3、シクロプロピル等のC
1、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6アルキル又はC
3、C
4、C
5、C
6、C
7、C
8シクロアルキル;CH
2OCH
3、又はCH
2OCH
2CH
3等の、ヘテロ原子で置換されたC
1、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6アルキル又はC
3、C
4、C
5、C
6、C
7、C
8シクロアルキル;CN、ケトン、アミド、又はスルホン等の電子吸引基である)、
(及びピリジル異性体)、
(及びピリミジン異性体)。
一実施形態において、式Iの化合物で、R6は水素でもハロゲンでもない。別の実施形態において、式Iの化合物で、R6は、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ、又はヒドロキシである。
別の実施形態において、式Iの化合物で、R1、R2、R3、R4、及びR5は、各々水素である。別の実施形態において、式Iの化合物で、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6の少なくともいずれかは非水素置換基であり、残りのR1、R2、R3、R4、R5、及びR6は水素である。別の実施形態において、少なくともいずれかの非水素R1、R2、R3、R4、R5、及びR6は、それぞれに、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。別の実施形態において、式Iの化合物で、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6の少なくとも2つは非水素置換基であり、残りのR1、R2、R3、R4、R5、及びR6は水素である。別の実施形態において、少なくとも2つの非水素R1、R2、R3、R4、R5、及びR6は、それぞれに、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。別の実施形態において、式Iの化合物で、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6の少なくとも3つは非水素置換基であり、残りのR1、R2、R3、R4、R5、及びR6は水素である。別の実施形態において、少なくとも3つの非水素R1、R2、R3、R4、R5、及びR6は、それぞれに、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、AはNR7である。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、AはNR7であり、R7はH及びCH3から選択される。一実施形態において、R7はHである。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、BはO又はSである。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、BはSである。
別の実施形態において、式Iの化合物で、R2は非水素置換基である。例えば、R2の例として挙げられるのは、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。別の実施形態において、式Iの化合物で、R3は非水素置換基である。例えば、R3の例として挙げられるのは、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。別の実施形態において、式Iの化合物で、R5は非水素置換基である。例えば、R5の例として挙げられるのは、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。別の実施形態において、式Iの化合物で、R6は非水素置換基である。例えば、R6の例として挙げられるのは、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。
別の実施形態において、式Iの化合物で、R2及びR3は非水素置換基である。例えば、R2及びR3の例として挙げられるのは、それぞれに、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。別の実施形態において、式Iの化合物で、R2及びR6は非水素置換基である。例えば、R2及びR6の例として挙げられるのは、それぞれに、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。別の実施形態において、式Iの化合物で、R2及びR5は非水素置換基である。例えば、R2及びR5の例として挙げられるのは、それぞれに、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。別の実施形態において、式Iの化合物で、R3及びR6は非水素置換基である。例えば、R3及びR6の例として挙げられるのは、それぞれに、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。別の実施形態において、式Iの化合物で、R3及びR5は非水素置換基である。例えば、R3及びR5の例として挙げられるのは、それぞれに、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。別の実施形態において、式Iの化合物で、R6及びR5は非水素置換基である。例えば、R5及びR6の例として挙げられるのは、それぞれに、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。
別の実施形態において、式Iの化合物で、R6はメトキシであり、R1〜R5は水素である。別の実施形態において、式Iの化合物で、R2はメチル又はメトキシであり、R1、及びR3〜R6は水素である。別の実施形態において、式Iの化合物で、R3はメチルであり、R1〜R2、及びR4〜R5は水素である。別の実施形態において、式Iの化合物で、R5はメトキシであり、R1〜R4、及びR6は水素である。
一実施形態において、R2、R6、及びR5の少なくともいずれかは水素でない。別の実施形態において、R2、R6、及びR5の少なくともいずれかは、フロロ、メチル、エチル、イソプロピル、又はメトキシである。
一実施形態において、R9及びR10は、それらが付加する炭素と共に存在しない。別の実施形態において、式Iの化合物で、R11及びR12は、各々メチルである。別の実施形態において、R11及びR12は、各々エチルである。別の実施形態において、R11及びR12は、それらが付加する炭素と共に結合して3、4、5、6、若しくは7のサイズのスピロ環を形成する。スピロ環は、例えば、シクロプロピル環である。
一実施形態において、qはゼロである。別の実施形態において、qはゼロであり、R9及びR10は、それらが付加する炭素と共に存在しない。別の実施形態において、qはゼロであり、R9及びR10は、それらが付加する炭素と共に存在せず、X及びYは存在しない。別の実施形態において、qはゼロであり、R9及びR10は、それらが付加する炭素と共に存在せず、X及びYは存在せず、m、n、o、及びpの合計は2又は3である。別の実施形態において、式Iの化合物は、化合物1〜106から選択される。別の実施形態において、式Iの化合物は化合物46である。
別の態様では、本発明は、式IIの化合物又はその薬理学的に有効な塩に関する。
式中、m、n、及びoは独立して、0、1、2、3、4、5、又は6であり、Xは存在しないか、O、S、C(O)、SO又はSO
2であり;R
2、R
3、R
5、及びR
6は独立して、H、F、Cl、Br、OH、CF
3、CH
3、CH
2CH
3、CH(CH
3)
2、シクロプロピル、OCH
3、OCF
3、CH
2OCH
3又はCH
2OCH
2CH
3であり;R
9及びR
10は独立して、H、C
1、C
2、C
3、C
4、C
5直鎖アルキル;C
2、C
3、C
4、C
5、C
6分鎖アルキルであり、又はR
9及びR
10は、それらが付加する炭素と共に結合して3、4、5、6、若しくは7のサイズのスピロ環を形成し;ZはCOOH、COOR
13(式中、R
13は、C
1、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6アルキルである)、CONHS(O)
2−アルキル、CONHS(O)
2−ヘテロアルキル、CONHS(O)
2−アリール、CONHS(O)
2−ヘテロアリール、S(O)
2NHCO−アルキル、S(O)
2NHCO−ヘテロアルキル、S(O)
2NHCO−アリール、S(O)
2NHCO−ヘテロアリール、CONHS(O)
2N−アルキル;CONHS(O)
2N−ヘテロアルキル;CONHS(O)
2N−アリール;CONHS(O)
2N−ヘテロアリール;又はテトラゾールであり、mがゼロの場合に、Xは存在しない。
一実施形態において、式IIの化合物で、R6は水素でもハロゲンでもない。別の実施形態において、式IIの化合物で、R6は、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、メトキシメチレン又はヒドロキシである。別の実施形態において、式IIの化合物で、R2〜R3及びR5は、各々水素である。別の実施形態において、式IIの化合物で、R2〜R3及びR5〜R6は、それぞれに、水素、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。
別の実施形態において、式IIの化合物で、R2は非水素置換基である。例えば、R2の例として挙げられるのは、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。別の実施形態において、式IIの化合物で、R3は非水素置換基である。例えば、R3の例として挙げられるのは、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。別の実施形態において、式IIの化合物で、R5は非水素置換基である。例えば、R5の例として挙げられるのは、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。別の実施形態において、R6は非水素であり、例えば、R6はメチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。別の実施形態において、式IIの化合物で、R2及びR3は非水素置換基である。例えば、R2及びR3の例として挙げられるのは、それぞれに、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。別の実施形態において、式IIの化合物で、R2及びR6は非水素置換基である。例えば、R2及びR6の例として挙げられるのは、それぞれに、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。別の実施形態において、式IIの化合物で、R2及びR5は非水素置換基である。例えば、R2及びR5の例として挙げられるのは、それぞれに、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。別の実施形態において、式IIの化合物で、R3及びR6は非水素置換基である。例えば、R3及びR6の例として挙げられるのは、それぞれに、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。別の実施形態において、式IIの化合物で、R3及びR5は非水素置換基である。例えば、R3及びR5の例として挙げられるのは、それぞれに、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。別の実施形態において、式IIの化合物で、R6及びR5は非水素置換基である。例えば、R6及びR5の例として挙げられるのは、それぞれに、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。別の実施形態において、式IIの化合物で、R6はメトキシであり、R2、R3及びR5は水素である。別の実施形態において、式IIの化合物で、R2はメチル又はメトキシであり、R3、R6及びR5は水素である。別の実施形態において、式IIの化合物で、R3はメチルであり、R2、R6及びR5は水素である。別の実施形態において、式IIの化合物で、R5はメトキシであり、R2、R3及びR6は水素である。
別の実施形態において、式IIの化合物で、R9及びR10は、各々メチルである。別の実施形態において、R9及びR10は、各々エチルである。別の実施形態において、R9及びR10は、それらが付加する炭素と共に結合して3、4、5、6、若しくは7のサイズのスピロ環を形成する。スピロ環は、例えば、シクロプロピル環である。
一実施形態において、式IIの化合物で、oはゼロである。別の実施形態において、oはゼロであり、Xは存在しない。別の実施形態において、oはゼロであり、Xは存在せず、m及びnの合計は2又は3である。
別の態様では、本発明は、式IIIの化合物又はその薬理学的に有効な塩に関する。
式中、m及びnは独立して、0〜4であり、Xは存在しないか、O、S、C(O)、SO又はSO
2であり;R
2、R
3、R
5、及びR
6は独立して、H、F、Cl、Br、OH、CF
3、CH
3、CH
2CH
3、CH(CH
2)
2、OCH
3、CH
2OCH
3、及びCH
2OCH
2CH
3から選択され;R
9、及びR
10は独立して、H、C
1、C
2、C
3、C
4、C
5直鎖アルキル;C
2、C
3、C
4、C
5、C
6分鎖アルキルであり、又はR
9及びR
10は、それらが付加する炭素と共に結合して3、4、5、6、若しくは7のサイズのスピロ環を形成し;ZはCO
2H、CONHS(O)
2−アルキル、CONHS(O)
2−シクロアルキル、CONHS(O)
2−ヘテロアルキル、CONHS(O)
2−アリール、CONHS(O)
2−ヘテロアリール、及びテトラゾールから選択され;mがゼロの場合に、Xは存在しない。
一実施形態において、式IIIの化合物で、R6はメチルでない。一実施形態において、式IIIの化合物で、R6は水素、F、Cl、Brのいずれでもでない。一実施形態において、式IIIの化合物で、R6は水素、F、Cl、Brのいずれでもでなく、R2、R3、及びR7は水素である。一実施形態において、R2、R3、及びR5は水素である。一実施形態において、式IIIの化合物で、R2、R3、R5、及びR6は、それぞれに、水素、ハロゲン、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシメチレン、メトキシ又はヒドロキシである。
一実施形態において、式IIIの化合物で、R6はメトキシである。別の実施形態において、式IIIの化合物で、R6はメトキシであり、R2、R3及びR5は水素である。別の実施形態において、式IIIの化合物で、R2はメチル又はメトキシであり、R3、R6及びR5は水素である。別の実施形態において、式IIIの化合物で、R3はメチルであり、R2、R6及びR5は水素である。別の実施形態において、式IIIの化合物で、R5はメトキシであり、R2、R3及びR6は水素である。
別の実施形態において、式IIIの化合物で、R9及びR10は、各々メチルである。別の実施形態において、R9及びR10は、それらが付加する炭素と共に結合して3のサイズのスピロ環、例えば、シクロプロピル環を形成する。一実施形態において、式IIIの化合物で、Xは存在しない。別の実施形態において、Xは存在せず、m及びnの合計は2又は3である。
別の態様では、本発明は、式IVの化合物又はその薬理学的に有効な塩に関する。
式中、tは1、2、3、又は4であり;R
2、R
3、R
5及びR
6は、それぞれに、H、F、Cl、Br、CF
3、CH
3、CH
2CH
3、CH(CH
3)
2、OH、OCH
3、CH
2OCH
3、又はCH
2OCH
2CH
3であり;R
9〜R
10は、H、CH
3、CH
2CH
3であるか、又はR
9及びR
10は、それらが付加する炭素と共に結合して3、4、5、6、若しくは7のサイズのスピロ環を形成し;Zは、CO
2H、CONHS(O)
2−アルキル、CONHS(O)
2−シクロアルキル、CONHS(O)
2−ヘテロアルキル、及びテトラゾールから選択され;mがゼロの場合に、Xは存在しない。一実施形態において、式IVの化合物で、tは1又は2である。
一実施形態において、式IVの化合物は式IVa、IVb、IVc、IVd、又はIveの化合物から選択される。
別の態様では、本発明は、化合物1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、32、31、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、又は106から選択される化合物に関する。別の態様では、本発明は、化合物46に関する。
以上の記載では、後述するその詳細な説明が理解されうるように、そして当該技術への本発明の貢献がよりよく認められるように、本発明のより重要な特徴をかなり広く述べている。本発明の他の目的及び特徴は、実施例と合わせて考慮して、以下の詳細な説明から明らかになるはずである。
詳細な説明
本発明の1つ又は複数の実施形態の詳細について、下記の説明に記載する。本明細書に記載されているものと類似又は均等な任意の方法及び材料を、本発明の実施又は試験において用いることができるが、ここでは、典型的な方法及び材料について記載する。本発明の他の特徴、目的及び効果は、説明より明らかである。本明細書において、文脈より明らかにそうでないと解されない限り、単数形は、複数を含む。別途定義されない限り、本明細書において用いられる全ての技術用語及び科学用語は、本発明の属する当該技術の当業者に通常理解されるのと同様の意味を有する。矛盾が生じる場合には、本明細書にしたがう。
(定義)
便宜のために、本明細書、実施例及び特許請求の範囲において用いられる特定の用語を、ここでまとめて示す。
「治療」には、状態、疾病、異常等の改善につながる緩和、軽減、調節又は除去等が含まれる。
「アルキル」としては、直鎖アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル)、分枝アルキル基(例えば、イソプロピル、tert−ブチル、イソブチル)、(脂環式等の)シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル)、アルキル置換シクロアルキル基、及びシクロアルキル置換アルキル基等の飽和脂肪族基が挙げられる。更に、「アルキル」には、1つ又は複数の骨格炭素原子が酸素、窒素、硫黄又はリン原子に置換されたアルキル基が含まれる。ある実施形態において、直鎖又は分枝アルキルは、6個以下、通常4個以下(例えば、直鎖についてはC1〜C6又はC1、C2、C3、C4、C5、C6、枝分れ鎖についてはC3〜C6又はC3、C4、C5、C6)の炭素原子をその骨格に有する。
同様に、典型的なシクロアルキルは、3〜8個の炭素原子を環構造内に有しており、例えば、5又は6個の炭素原子を環構造内に有している。「C1〜C6」には、1〜6個の炭素原子を含むアルキル基が含まれる。
更に、「アルキル」という用語には、「無置換アルキル」及び「置換アルキル」の両者が含まれ、後者は、1つ又は複数の炭化水素骨格上の水素を置換する置換基を有するアルキル基が含まれる。このような置換基には、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボン酸イオン、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、リン酸イオン、ホスホン酸イオン、ホスフィン酸イオン、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、及びアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボン酸イオン、硫酸イオン、アルキルスルフィニル、スルホン酸イオン、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフロロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、又は芳香族若しくはヘテロ芳香族基が含まれる。シクロアルキルは、例えば、上述の置換基によって更に置換されていてもよい。「アルキルアリール」又は「アリールアルキル」基は、アリールで置換されているアルキル(例えば、フェニルメチル(ベンジル))である。また、「アルキル」には、天然又は非天然アミノ酸の側鎖が含まれる。
「アリール」には、0〜4個のヘテロ原子を含んでいてよい5員環又は6員環の「非共役」又は単環式芳香族基、あるいは少なくとも1個の芳香族環を有する「共役」又は多環式芳香族基等の芳香族性を有する基が含まれる。アリール基の例としては、ベンゼン、フェニル、ピロール、フラン、チオフェン、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、及びピリミジン等が挙げられる。更に、「アリール」という用語には、三環式、二環式等の多環式アリール基、例えば、ナフタレン、ベンゾオキサゾール、ベンゾジオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチオフェン、メチレンジオキシフェニル、キノリン、イソキノリン、ナフスリジン、インドール、ベンゾフラン、プリン、ベンゾフラン、デアザプリン、又はインドリジンが含まれる。環構造内にヘテロ原子を有するこれらのアリール基は、「アリールヘテロ環」、「ヘテロ環」、「ヘテロアリール」又は「ヘテロ芳香族」とも呼ばれる。芳香族環は、環上の1つ又は複数の位置において、上述の置換基、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボン酸イオン、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アラルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アラルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、リン酸イオン、ホスホン酸イオン、ホスフィン酸イオン、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、及びアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボン酸イオン、硫酸イオン、アルキルスルフィニル、スルホン酸イオン、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフロロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、又は芳香族若しくはヘテロ芳香族基等により置換されていてもよい。アリール基は、多環系(テトラリン、メチレンジオキシフェニル等)を形成しうる様に芳香族ではない脂環式又はヘテロ環式環と縮合していてもよい。
「アルケニル」には、長さ及び置換の可能性においては上述のアルキルと同様であるが、少なくとも1つの二重結合を含んでいる不飽和脂肪族基が含まれる。例えば、「アルケニル」という用語には、直鎖アルケニル基(例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル)、枝分れ鎖アルケニル基、シクロアルケニル(例えば、脂環式)基(例えば、シクロプロペニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル)、アルキル又はアルケニル置換シクロアルケニル基、及びシクロアルキル又はシクロアルケニル置換アルケニル基が含まれる。更に、「アルケニル」という用語には、1つ又は複数の骨格炭素原子を置換する酸素、窒素、硫黄又はリン原子を有するアルケニル基が含まれる。ある実施形態において、直鎖又は枝分れ鎖アルケニルは、6個以下(例えば、直鎖についてはC2〜C6又はC2、C3、C4、C5、C6、枝分れ鎖についてはC3〜C6又はC3、C4、C5、C6)の炭素原子をその骨格に有する。同様に、シクロアルケニル基は、3〜8個の炭素原子をその環構造内に有していてよく、通常、5又は6個の炭素原子を環構造内に有している。「C2〜C6」という用語には、2〜6個の炭素原子を含むアルケニル基が含まれる。
また、「アルケニル」という用語には、「無置換アルケニル」及び「置換アルケニル」の両者が含まれ、後者は、1つ又は複数の炭化水素骨格上の水素を置換する置換基を有するアルケニル基が含まれる。このような置換基には、例えば、アルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボン酸イオン、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、リン酸イオン、ホスホン酸イオン、ホスフィン酸イオン、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、及びアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボン酸イオン、硫酸イオン、アルキルスルフィニル、スルホン酸イオン、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフロロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、又は芳香族若しくはヘテロ芳香族基が含まれる。
「アルキニル」には、長さ及び置換の可能性においては上述のアルキルと同様であるが、少なくとも1つの三重結合を含んでいる不飽和脂肪族基が含まれる。例えば、「アルキニル」には、直鎖アルキニル基(例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニル)、枝分れ鎖アルキニル基、及びシクロアルキル又はシクロアルケニル置換アルキニル基が含まれる。更に、「アルキニル」という用語には、1つ又は複数の骨格炭素原子を置換する酸素、窒素、硫黄又はリン原子を有するアルキニル基が含まれる。ある実施形態において、直鎖又は枝分れ鎖アルキニルは、6個以下(例えば、直鎖についてはC2〜C6又はC2、C3、C4、C5、C6、枝分れ鎖についてはC3〜C6又はC3、C4、C5、C6)の炭素原子をその骨格に有する。「C2〜C6」という用語には、2〜6個の炭素原子を含むアルキニル基が含まれる。
また、「アルキニル」という用語には、「無置換アルキニル」及び「置換アルキニル」の両者が含まれ、後者は、1つ又は複数の炭化水素骨格上の水素を置換する置換基を有するアルキニル基が含まれる。このような置換基には、例えば、アルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボン酸イオン、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、リン酸イオン、ホスホン酸イオン、ホスフィン酸イオン、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、及びアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボン酸イオン、硫酸イオン、アルキルスルフィニル、スルホン酸イオン、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフロロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、又は芳香族若しくはヘテロ芳香族基が含まれる。
炭素数が別途特定されていない場合、「低級アルキル」には、上述の、しかし、その骨格構造に1〜10個、通常1〜6個の炭素原子を有するアルキル基が含まれる。「低級アルケニル」及び「低級アルキニル」は、例えば、2、3、4、又は5炭素原子の鎖長を有する。
「アシル」には、アシル基(CH3CO−)又はカルボニル基を含む化合物及び基が含まれる。「置換アシル」には、水素原子のうち1つ又は複数が、例えば、アルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボン酸イオン、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、リン酸イオン、ホスホン酸イオン、ホスフィン酸イオン、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボン酸イオン、硫酸イオン、アルキルスルフィニル、スルホン酸イオン、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフロロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、又は芳香族若しくはヘテロ芳香族基等の基で置換されたアシル基が含まれる。
「アシルアミノ」には、アシル基がアミノ基と結合した基が含まれる。例えば、この用語には、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、及びウレイド基が含まれる。
「アロイル」には、カルボニル基に結合したアリール又はヘテロアリール基を有する化合物及び基が含まれる。アロイル基の例としては、フェニルカルボキシ、ナフチルカルボキシ等が挙げられる。
「アルコキシアルキル」、「アルキルアミノアルキル」、及び「チオアルキルアルコキシアルキル」には、炭化水素骨格の1つ又は複数の炭素原子を置換する酸素、窒素、又は硫黄原子等の酸素、窒素、又は硫黄原子を更に有する、上述のようなアルキル基が含まれる。
「アルコキシ」又は「アルコキシル」という用語には、酸素原子に共有結合した置換又は無置換アルキル、アルケニル及びアルキニル基が含まれる。アルコキシ基(又はアルコキシル基)の例としては、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、プロポキシ、ブトキシ、及びペントキシ基が挙げられる。置換アルコキシ基の例としては、ハロゲン化アルコキシ基が挙げられる。アルコキシ基は、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボン酸イオン、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、リン酸イオン、ホスホン酸イオン、ホスフィン酸イオン、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、及びアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボン酸イオン、硫酸イオン、アルキルスルフィニル、スルホン酸イオン、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフロロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、又は芳香族若しくはヘテロ芳香族基等の基で置換されていてもよい。ハロゲン置換アルコキシ基の例としては、フロロメトキシ、ジフロロメトキシ、トリフロロメトキシ、クロロメトキシ、ジクロロメトキシ、及びトリクロロメトキシが挙げられるがこれらに限定されない。
「ヘテロシクリル」又は「ヘテロ環式基」という用語には、1つ又は複数のヘテロ原子を含む、例えば、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10員環、又は4、5、6、若しくは7員環等の閉環構造が含まれる。「ヘテロ原子」には、炭素又は水素以外の任意の元素の原子が含まれる。ヘテロ原子の例としては、窒素、酸素、硫黄及びリンが挙げられる。
ヘテロシクリル基は、飽和又は不飽和であってよく、ピロリジン、オキソラン、チオラン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ラクトン、アゼチジドン及びピロリジノン等のラクタム、サルタム及びサルトンが含まれる。ピロール及びフラン等のヘテロ環式基は、芳香族性を有していてもよい。これらには、キノリン及びイソキノリン等の縮合環構造が含まれる。ヘテロ環式基の他の例としては、ピリジン及びプリンが挙げられる。ヘテロ環式環は、1つ又は複数の位置において、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボン酸イオン、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、リン酸イオン、ホスホン酸イオン、ホスフィン酸イオン、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、及びアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボン酸イオン、硫酸イオン、スルホン酸イオン、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフロロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、又は芳香族若しくはヘテロ芳香族基等の上述の置換基で置換されていてもよい。ヘテロ環式基は、1つ又は複数の構成原子上において、例えば、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、低級アルキルアミノ、低級アルキルカルボキシル、ニトロ、ヒドロキシル、−CF3、−CN等で置換されていてもよい。
「チオカルボニル」又は「チオカルボキシ」という用語には、二重結合で硫黄原子に結合した炭素を有する化合物又は基が含まれる。
「エーテル」という用語には、2つの異なる炭素原子又はヘテロ原子に結合した化合物又は基が含まれる。例えば、この用語には、他のアルキル基に結合した酸素原子と結合したアルキル、アルケニル、又はアルキニル基を指す「アルコキシアルキル」が含まれる。
「エステル」という用語には、カルボニル基の炭素に結合した酸素原子に結合した炭素又はヘテロ原子を含む化合物又は基が含まれる。「エステル」という用語には、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル等のアルコキシカルボニル基が含まれる。アルキル、アルケニル、又はアルキニル基は、上において定義されるとおりである。
「チオエーテル」という用語には、2つの異なる炭素原子及びヘテロ原子に結合した硫黄原子を含む化合物又は基が含まれる。チオエーテルの例としては、アルクチオアルキル、アルクチオアルケニル、及びアルクチオアルキニルが挙げられるがこれらに限定されない。「アルクチオアルキル」という用語には、アルキル基に結合した硫黄原子と結合したアルキル、アルケニル、又はアルキニル基が含まれる。同様に、「アルクチオアルケニル」及び「アルクチオアルキニル」という用語は、アルキル、アルケニル、又はアルキニル基が、アルキニル基に共有結合した硫黄原子と結合した化合物又は基を指す。
「ヒドロキシ」又は「ヒドロキシル」という用語には、−OH又は−O−を有する基が含まれる。
「ハロゲン」という用語には、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が含まれる。「パーハロゲン化」という用語は、通常、全ての水素がハロゲン原子に置換された基を指す。
「非水素置換基」という用語は、水素以外の置換基を指す。非限定的な例としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基、ヒドロキシル基、アリール基等が挙げられる。
「ポリシクリル」又は「多環式基」とは、2つ以上の炭素が2つの隣接する環の間で共通する二環式以上の環(シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、及び/又はヘテロ環等)を指す。隣接しない原子を介して結合した環を「架橋」環という。多環のそれぞれの環は、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボン酸イオン、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アラルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アラルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、リン酸イオン、ホスホン酸イオン、ホスフィン酸イオン、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、及びアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボン酸イオン、硫酸イオン、アルキルスルフィニル、スルホン酸イオン、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフロロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキル、アルキルアリール、又は芳香族若しくはヘテロ芳香族基等の上述の置換基で置換されていてもよい。
本明細書において用いられる場合、「アニオン性基」という用語は、生理的pHにおいて負に荷電している基を指す。典型的なアニオン性基としては、カルボン酸イオン、硫酸イオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、スルファミン酸イオン、テトラゾリル、リン酸イオン、ホスホン酸イオン、ホスフィン酸イオン、又はこれらの機能的等価体が挙げられる。アニオン性基の「機能的等価体」には、カルボン酸イオン基の生物学的等価体等の生物学的等価体が含まれることが意図される。生物学的等価体には、古典的生物学的等価体、及び非古典的生物学的等価体の両者が包含される。古典的生物学的等価体、及び非古典的生物学的等価体は、公知である(例えば、Silverman,R.B.The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action, Academic Press, Inc.:San Diego, Calif.,1992,pp.19−23を参照)。典型的なアニオン性基の1つは、カルボン酸イオンである。
「結晶多形」又は「多形」という用語は、化合物、塩又はこれらの溶媒和物について、2つ以上の結晶形が存在することを指す。オランザピン−アナログ化合物の結晶多形は、異なる条件下での結晶化によって調製することができる。
本発明の化合物のいくつかには不斉炭素原子が含まれることに注意する必要がある。従って、別途示さない限り、本発明の範囲には、このような不斉に起因する異性体(全てのエナンチオマー及びジアステレオマー等)が含まれることが理解されるべきである。このような異性体は、古典的な分離手法及び立体化学選択的な合成により、ほぼ純粋な形態で得ることができる。更に、本明細書において議論する構造及び他の化合物及び基には、これらの全ての互変異性体が含まれる。アルケンには、適当な場合には、E−及びZ−幾何異性体の両者が含まれていてよい。
「オランザピン様化合物」又は「オランザピン−アナログ化合物」又は「オランザピン誘導体化合物」という用語には、例えば、ピペリジン環の窒素原子に結合した、2つの芳香族環に挟まれた含窒素7員環を含む(オランザピンと同様の)三環式構造を含むオランザピンのアナログが含まれることが意図される。本明細書において用いられる場合、「アナログ」という用語は、他の化合物と構造的に類似しているが、組成において僅かに異なる(ある原子が他の元素の原子によって置換され又は特定の官能基が存在し、又はある官能基が他の官能基により置換されたような)化学物質を指す。従って、アナログは、参照化合物と、機能及び外見において類似又は同等であるが、構造又は起源において類似でも同等でもない化合物である。
例えば、参照化合物は、オランザピン等の参照化合物であってよく、アナログは、参照化合物と類似の化学構造又は化学的性質を有する化学物質である。
本明細書において定義されているように、例えば、「オランザピン誘導体」という用語における「誘導体」という用語は、共通のコア構造を有し、上述の置換基によって置換されている化合物を指す。例えば、式I〜IVeで表される全ての化合物はオランザピン誘導体であり、式I〜IVeの1つを共通のコアとして有している。
「生物学的等価体」という用語は、原子又は原子団を、広義の類似な原子又は原子団で置換により生じる化合物を指す。生物学的に等価な置換の目的は、親化合物と類似の生物的性質を有する新規な化合物を作り出すことである。生物学的に等価な置換は、物理化学に基づくものであっても、位相論に基づくものであってもよい。カルボン酸の生物学的等価体の例としては、アシルスルホンアミド、テトラゾール、スルホン酸塩、及びリン酸塩等が挙げられる。
例えば、Patani及びLaVoie、Chem.Rev.96,3147−3176 (1996)を参照。
従って、通常、Z基がカルボン酸及びカルボン酸の生物学的等価体である。
本明細書において用いられる場合、「睡眠障害」という用語には、公知の状態、又は睡眠障害であると提案され、若しくは睡眠障害であることが発見された状態等の、当業者によって睡眠障害であると認識される状態が含まれる。
睡眠障害は、他の医学的疾患、疾病又は損傷を有する被検者、又は他の薬剤又は内科療法による治療を受けている被検者においても起こり、その結果、被検者は、入眠及び/又は睡眠の継続が困難であり、又は爽快でない睡眠又は体力の回復がみられない睡眠に悩んでおり、例えば、睡眠不足に悩んでいる。
また、「睡眠障害を治療する」という用語には、中枢神経系障害(例えば、不安神経症等の精神又は神経障害)等の他の障害の睡眠障害成分の治療が含まれる。
更に、「睡眠障害を治療する」という用語には、障害に関連する他の症状を改善することの有益な効果が含まれる。
「ノンレムピーク睡眠時間」という用語は、LD12:12(12時間の明時間及び12時間の暗時間)の明暗サイクルで暗室中で飼育したラットにおいて、薬物投与による治療後に、消灯後6時間後である概日時間(CT)18時において見られる、1時間当たりのノンレム睡眠の絶対ピーク量であると定義される。1時間あたり55%のノンレム睡眠の名目基準は、1時間あたり33分間のノンレム睡眠に相当する。
本明細書において用いられる場合、「累積ノンレム睡眠」という用語は、常にではないが、通常治療後の最初の6時間に起こる薬剤の催眠効果の全期間にわたって測定された、ノンレム睡眠の分数の増大の総合計として定義され、24時間前に記録された、治療を行っていない、一日のうち対応するベースライン時間の間に見られる、プラセボ対照治療等に対するノンレム睡眠の分数の増大の正味の総合計に対して調整される。
本明細書において定義されているように、「睡眠期間」という用語は、ノンレム睡眠、レム睡眠、又はノンレム及びレム睡眠段階の両者を含み、発現の前後が、2回を超える、連続する10秒間の覚醒状態により区切られる、連続的又はほぼ連続的な睡眠の個々の発現を指す。
本明細書において用いられる場合、「睡眠期間の最大長さ」という用語は、単一の最長の睡眠の発現又は治療後所定時間の初期に見られる「発作」の間に、動物が睡眠状態(ノンレム及び/又はレム睡眠段階)に留まっている全分数であると定義される。「睡眠期間の長さ」の測定基準は、睡眠が10秒間継続して観測されることを前提とし、期間を規定する10秒間隔の間の個々の睡眠段階(睡眠段階は、ノンレム睡眠、レム睡眠、又は覚醒状態として定義される)として、主要な状態に基づいて記録され、計算又は他の方法により決定される。
「睡眠期間の平均長さ」という用語は、所定の時間に始まり、それぞれの発現又は発作の個別の期間とは無関係な、睡眠長さの平均(分)であると定義される。
「リバウンド不眠」とは、睡眠剤又は催眠剤の睡眠促進効果の後に起こる、反動的、逆説的、又は代償的な覚醒期間として定義される。
「レム睡眠阻害」とは、治療後のCT18時(消灯後6時間、明−暗12:12)又はCT5時(点灯後5時間、明−暗12:12)における、レム睡眠時間の減少として定義される。
CT18時又はCT5時のいずれかに投与された場合に、(プラセボ群に対して調整されたベースラインに対する相対値で)15分よりも長時間レム睡眠を減少させる化合物は、許容されないと見なされる。
ノンレム睡眠又は覚醒状態と比較して、レム睡眠は、換気抑制及び発作性心血管変化を引き起こす。リバウンド不眠の間、レム睡眠の生理作用は増強され、通常の睡眠サイクルを阻害する。
本明細書において定義されているように、「不均衡性自発運動阻害」とは、睡眠に起因する、通常の又は予測される自発運動の低下を上回る自発運動の低下である。
「複合治療」(又は「共同治療」)には、本発明の化合物と、少なくとも第2の薬剤とを、これらの治療薬の共同作用による有益な効果を得ることを目的とする特別な治療計画の一部として投与することが含まれる。併用による有益な効果としては、治療薬の組合せによる薬物動態的、又は薬力学的な共同作用が挙げられるが、これらに限定されない。これらの治療薬の複合投与は、通常、所定の時間(通常、選択された組合せに応じて数分、数時間、数日、又は数週間)にわたって行われる。「複合治療」には、2種類以上のこれらの治療薬を、偶然及び任意に本発明の組合せとなるような単独治療計画の一部として投与することが包含されることを目的とすることもできるが、通常はこれを目的としない。「複合治療」には、これらの治療薬を連続的に投与すること、すなわちこれらの治療薬を異なる時間に投与することと共に、これらの治療薬、又は少なくとも2種類の治療薬をほぼ同時に投与することが包含されるものとする。ほぼ同時に投与することは、例えば、これらの治療薬を一定の割合で含む単一のカプセル剤の投与、又はそれぞれの治療薬を含む単一のカプセル剤を複数投与することにより達成される。これらの治療薬を連続的に投与すること、又はほぼ同時に投与することは、経口ルート、静脈内ルート、筋内ルート、及び粘膜組織からの直接吸収が挙げられるがこれらに限定されない任意の適当なルートにより達成することができる。複数の治療薬を、同一のルート又は異なるルートにより投与することができる。例えば、選択された組合せの第1の治療薬を静脈注射しつつ、組合せの他の治療薬を経口投与することができる。あるいは、例えば、全ての治療薬を経口投与し、又は全ての治療薬を静脈注射してもよい。治療薬が投与される順序は、狭義に決定的ではない「複合治療」には、上述の治療薬を、更に他の生物活性成分及び非薬物治療(例えば、外科治療又は放射線治療)と組合せることも包含される。複合治療が非薬物治療を更に含んでいる場合、薬物治療と非薬物治療との組合せによる有益な効果が達成できる限り、非薬物治療は、任意の適当な時点に行うことができる。例えば、好適な場合には、非薬物治療が治療薬の投与から数日、又は数週間の時間をおいて行われた場合にも、有益な効果が達成される。
本明細書において用いられる場合、「非経口投与」及び「非経口的に投与する」という用語は、経腸投与及び局所投与以外の、通常は注射による投与形態を指し、静脈内、筋内、動脈内、クモ膜下、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、上皮下、関節内、被膜下、クモ膜下、髄腔内及び胸骨内注射及び点滴が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書において用いられる場合、「肺(の)」という用語は、被検者内部における主要な機能が外部環境とのガス交換(O2/CO2等)である任意の部位、組織又は器官を指す。「肺」とは、通常、呼吸器の組織を指す。従って、「肺投与」という語句は、主要な機能が外部環境とのガス交換である任意の部位、組織又は器官(口、鼻、咽頭、中咽頭、咽頭喉頭、喉頭、気管、竜骨、気管支、細気管支、肺胞等)への本明細書に記載の製剤の投与を指す。
本発明の目的のために、「肺」には、呼吸器、特に瘻孔に付随する「肺性の」組織又は空孔が含まれる。
開示発明の化合物の「有効量」とは、治療を必要とする被検者に投与された場合に、例えば、被検者における入眠を迅速化し、睡眠をより良質とし、睡眠中の覚醒期間及び頻度を減少させ、睡眠異常、睡眠時異常行動の期間、頻度及び強度を減少させる等、睡眠障害に起因する症状を改善させる量である。被検者に投与される開示発明の化合物の量は、具体的な障害、投与形態、存在する場合には、同時に投与される化合物、及び全般的な健康状態、他の疾病、年齢、性別、遺伝子型、体重及び薬剤耐性等の被検者の特徴に依存する。
当業者は、これらの因子及び他の因子に基づいて、適切な用量を決定することができる。
開示発明の化合物の「薬理学的に許容される塩」又は「塩」は、イオン結合を含む開示発明の化合物の生成物であり、通常、開示発明の化合物を、被検者への投与に適した酸又は塩基と反応させることにより製造される。
「医薬組成物」とは、被検者への投与に好適な形態の開示発明の化合物を含む製剤である。
ある実施形態において、医薬組成物は、バルク又は単位用量形態の形態をとる。単位用量形態は、例えば、カプセル、点滴バッグ、錠剤、エアロゾル吸入剤の1回のポンプ量、又はバイアル等の種々の形態のうち任意のものである。単位用量形態における有効成分(例えば、開示発明の化合物又はその塩)の量は、有効量であり、関係する特定の治療に応じて変化する。
当業者は、被検者の年齢及び状態に応じて、用量に対して所定の変更を加えることが必要な場合があることを認識する。また、用量は、投与ルートにも依存する。経口、肺、直腸、非経口、経皮、皮下、静脈内、筋内、腹腔内、経鼻投与等を含む種々のルートが意図される。本発明の化合物の、局所又は経皮投与のための用量形態には、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、液剤、パッチ及び吸入剤が含まれる。ある実施形態において、有効成分は、滅菌条件下で、医薬として許容される担体及び必要とされる任意の保存料、緩衝溶液、又は推進剤と共に混合される。
「フラッシュ投与」という用語は、迅速に拡散する剤型の化合物の製剤を指す。
「急速放出」という用語は、用量形態からの、通常60分以内の比較的短期間での化合物の放出として定義される。「放出制御」という用語は、遅延放出、延長放出、及びパルス状の放出を含むものとして定義されている。「パルス状の放出」とは、剤形からの一連の放出として定義される。「徐放性」又は「延長放出」とは、剤形からの長時間にわたる連続的な化合物の放出であると定義される。
「被検者」には、ヒト、ペット(イヌ、ネコ、鳥等)、家畜(ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、家禽等)及び実験動物(ネコ、マウス、モルモット、鳥等)等の哺乳類が含まれる。
通常、被検者はヒトである。
本発明は、ヒスタミン受容体又はヒスタミン受容体の一群に対してアンタゴニスト作用を有する本発明のオランザピンアナログの有効量を投与することにより睡眠を調整する方法を提供する。
本発明は新規なオランザピンアナログにも関する。
有効な睡眠調整剤は、有効性を増し、副作用を減少するという明確な特徴を有する。
このような特徴には、被検者内における半減期が所望の値であり、所望の鎮静効果を発生制御し、及び精神運動性又は他の中枢神経系(CNS)への副作用(例えば、記憶欠損、筋緊張の減少、眼瞼の垂下又は嗜眠状態)に対する検出可能な影響を最小化しうることを含む。
例えば、有効な睡眠調整剤は人体内において7時間以下、6時間以下、5時間以下、4時間以下、約3時間、又は3〜7時間の範囲である。
有効な睡眠調整剤開発へのアプローチの1つは、睡眠調整の活性を有する既知の化合物又は化合物ファミリーを戦略的に改質することである。改質は、化合物が性能を発揮して1以上の生物学的特性を活性化する様態を改善しうる。好適な生物学的特性の例は、別々の睡眠又は催眠状態の導入、別々の期間における治療化合物の活性、例えば物質の親油性又は構造的な親油性(すなわち、カルボン酸アニオン及び水素化アミンの間での分子内塩形成等の、特定のコンホメーションの結果としての親油性)から結果する脳血液関門からCNSへの貫通通過、当該治療化合物の半減期の調整、電荷の改変、薬理動態論の改変、1以上の数値によるlogPの改変、受容体選択性の増加、周辺半減期の低下、投薬量増加の可能性、高い周辺排除効、抗ムスカリン活性の減少、抗コリン作用の減少、及びこれらの組合せを含んでなるが、限定しない。
改質は種々の効果を生じ、様々な作用機構を改変する。例えば、ある種の状況において、例えばエステル、カルボン酸、又はアルコール等の特定の官能基を含んでなる化合物は、これらの基をもたない化合物と比較して、望ましくない受容体に対して所望の受容体への選択性が上昇する。他の状況において、前記特定の官能基を含む化合物は、これらの基をもたない対応する化合物と比較して、睡眠障害を治療する治療薬としての活性がより高い。改質した化合物の効果は付加物が何かに依存する。
好適な生物学的特性を増強し、好ましくない副作用を減少するために化合物を改質することにより、潜在的な機構から来る効果又は相互作用に基づいて戦略を立てることが可能になる。
例えば、ある化合物においてはカルボン酸が存在することで、化合物又は塩架橋の中の窒素原子を有する両性イオン化学種等の、対応するカルボキシラートイオンを有する分子間結合を生成しうる結果となる。これらの相互作用はコンホメーション親油性等の好適な生物学的特性の結果を得られる。すなわち、カルボキシラートアニオンと水素化アミンの間の分子間塩形成等、特定のコンホメーションの結果として親油性が増す。このようなコンホメーション親油性により、一般的に2つの極性イオンが存在すると非極性の血液脳関門の交差を阻害すると考えられているにもかかわらず、血液脳関門からCNSへの貫通が可能になる。カルボキン酸が存在する他の利点は、当該化合物の所望の受容体への選択的結合能を増すことである。
本発明の化合物は、プロドラッグ生成のためにも改質されうる。「プロドラッグ」は生体中(in vivo)で代謝変換され活性医薬を生成する、医薬の前駆体を含んでなる。本発明は、生体中において本発明の方法において用いられる睡眠調整化合物に変換されるプロドラッグの用途を更に意図している。(例えば、R B Silverman、「The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action」、第8章、Academic Press、1992年を参照)このようなプロドラッグは、体内分布(例えば、典型的には血液能関門を交差しない化合物が血液能関門を交差できるようにすること)又は睡眠を調整している化合物の薬物動態を変質するために用いうる。例えば、カルボキシラート、スルフェート、又はスルホネート等のアニオン基は、アルキル基(例えばメチル基)又はフェニル基等とエステル化されエステルを生じうる。被検者に投与されるとエステルは酵素的又は非酵素的に、還元的又は加水分解的に切断されてアニオン基が現れる。そうしたエステルは環状でもよく、例えば環状スルファート又はスルホン、又は1以上のアニオン側が連結基を通じてエステル化されうる。アニオン基は、切断により睡眠を調整する中間化合物を生じ、次いで分解して活性をもつ睡眠調整化合物が得られる部分(例えばアシルオキシメチルエステル)によりエステル化されうる。一実施形態において、プロドラッグはカルボキシラート、スルファート、又はスルホネートの還元形、例えばアルコール又はチオールであり、生体中で酸化されて睡眠調整化合物になる。更に、アニオン部分は生体中で能動輸送されるか又は目標の臓器に選択的に取り込まれる官能基へとエステル化されうる。
この戦略は、睡眠調整化合物の臨床用途における有効性及び安全性の向上のために用いられる。睡眠調整に有用な化合物群の1つはオランザピンに係り、これは非定型的な抗精神病薬として周知の化合物ファミリーに属する精神治療薬である。オランザピンはチエノベンゾジアゼピン抗精神病薬であり、多数の抗精神病薬に見られる特徴である、様々な動物種における薬理学的反応を生じる。オランザピンは精神分裂症の治療に推奨されている。
一態様において、本発明は化学式Iを有する化合物の治療上有効量、又は、治療上有効なこれらの塩を投与することにより被検者の睡眠を調整する方法を提供する。
式中、m、n、o、p、qは独立して整数の0、1、2、3、4、5、又は6であり;A及びBは独立してO、S、NR
7又はC(R
8)
2であり;X及びYは独立して、不在、O、S、C(O)、SO又はSO
2であり;R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7及びR
8は独立して、H、F、Cl、Br、OH、CH
3、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6直鎖アルキル、C
3、C
4、C
5、C
6分枝アルキル、C
3、C
4、C
5、C
6、C
7シクロアルキル、C
3、C
4、C
5、C
6、C
7ヘテロシクリル、OCH
3、OCF
3、CH
2OCH
3、CH
2CH
2OCH
3、CH
2OCH
2CH
3、C
1、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6ヒドロキシアルキル又はC
1、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6アルコキシであり;リンカー中CH
2基の任意の水素は適宜H、F、Cl、OH、Br、CF
3、CH
3、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6直鎖アルキル、C
3、C
4、C
5、C
6分枝アルキル、C
3、C
4、C
5、C
6、C
7シクロアルキル、C
3、C
4、C
5、C
6、C
7ヘテロシクリル、OCH
3、OCF
3、CH
2OCH
3、CH
2CH
2OCH
3、CH
2OCH
2CH
3、C
1−C
6ヒドロキシアルキル、又はC
1、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6アルコキシで置換され;R
9、R
10、R
11及びR
12は各々、H、C
1、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6直鎖アルキル、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6分枝アルキル、又はR
9及びR
10は付加する炭素と共に、存在しないか又はサイズ3、4、5、6、又は7のスピロ環を生成するよう結合し、R
11及びR
12は付加する炭素が共にサイズ3、4、5、6、又は7のスピロ環又は2の異なる炭素原子上の置換基がサイズ3、4、5、6、又は7のスピロ環を生成するよう結合し;ZはCO
2H、CO
2R
13(ここでR
13はC
1〜C
6アルキル)、CONR
14R
15(ここでR
14及びR
15は独立して水素又は低級アルキル)、CONHS(O)
2−アルキル、CONHS(O)
2−シクロアルキル、CONHS(O)
2−ヘテロアルキル、CONHS(O)
2−アリール、CONHS(O)
2−ヘテロアリール、S(O)
2NHCO−アルキル、S(O)
2NHCO−シクロアルキル、S(O)
2NHCO−ヘテロアルキル、S(O)
2NHCO−アリール、S(O)
2NHCO−ヘテロアリール、CONHS(O)
2N−アルキル、CONHS(O)
2N−シクロアルキル、CONHS(O)
2N−ヘテロアルキル、CONHS(O)
2N−アリール、CONHS(O)
2N−ヘテロアリール、SO3H、SO2H、S(O)NHCO−アルキル、S(O)NHCO−アリール、S(O)NHCO−ヘテロアリール、P(O)(OH)
2、P(O)OH、
(テトラゾール)、又は、
から選ばれ
mがゼロならばXは存在しない。
一実施形態において、本発明の方法で使用するための式Iの化合物は、以下の特性の1以上を有する:H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が500nM未満である;M1、M2、M3、D1、D2、α1及びα2から選択されるオフターゲットへのオフターゲット結合に関するKiが、1,000nMを上回り、かつ/又はH1受容体に関するKiの10倍より高い;化合物を被検者に投与してから第3時までのノンレムピーク時間値が、1時間当たりのノンレム睡眠の55%を上回る;最高の睡眠固定をもたらす化合物用量に対し、ノンレム睡眠の累積増加合計が20分未満である;最長睡眠時間が13分よりも長期にわたる;被検者への化合物の投与より少なくとも24時間前に得たベースライン値を用いて調整した場合に、治療後の正味の最長睡眠時間が3分以上である;絶対ピークでの平均睡眠期間が5分よりも長い;被検者への化合物の投与が相当な反跳不眠症を生じさせない;被検者への化合物の投与が特段にレム睡眠を阻害しない;並びに被検者への化合物の投与が、睡眠の通常作用に比して不相応に自発運動活性を阻害することがない。
別の実施形態において、本発明の方法で使用するための式Iの化合物は、以下の特性の1以上を有する:H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が300nM未満である;M1、M2、M3、D1、D2、α1及びα2から選択されるオフターゲットへのオフターゲット結合に関するKiが、1μMを上回る;化合物を被検者に投与してから第3時までのノンレムピーク時間値が、1時間当たりのノンレム睡眠の55%を上回る;最高の睡眠固定をもたらす化合物用量に対し、ノンレム睡眠の累積増加合計が20分未満である;最長睡眠時間が13分よりも長期にわたる;被検者への化合物の投与より少なくとも24時間前に得たベースライン値を用いて調整した場合に、治療後の正味の最長睡眠時間が3分以上である;絶対ピークでの平均睡眠期間が5分よりも長い;被検者への化合物の投与が相当な反跳不眠症を生じさせず;被検者への化合物の投与が特段にレム睡眠を阻害しない;並びに被検者への化合物の投与が、睡眠の通常作用に比して不相応に自発運動活性を阻害することがない。
別の実施形態において、本発明の方法で使用するための式Iの化合物は、以下の特性の1以上を有する:H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が150nM未満である;M1、M2、及びM3から選択されるオフターゲットへのオフターゲット結合に関するKiが、10μMを上回る;化合物を被検者に投与してから第3時までのノンレムピーク時間値が、1時間当たりのノンレム睡眠の55%を上回る;最高の睡眠固定をもたらす化合物用量に対し、ノンレム睡眠の累積増加合計が20分未満である;最長睡眠時間が17分よりも長期にわたる;被検者への化合物の投与より少なくとも24時間前に得たベースライン値を用いて調整した場合に、治療後の正味の最長睡眠時間が5分以上である;絶対ピークでの平均睡眠期間が6分よりも長い;被検者への化合物の投与が相当な反跳不眠症を生じさせない;被検者への化合物の投与が特段にレム睡眠を阻害しない;並びに被検者への化合物の投与が、睡眠の通常作用に比して不相応に自発運動活性も運動状態も阻害することがない。
本明細書において用いられる場合、「リンカー」とは、ピペラジンの窒素をZ基に結合させる原子鎖である。
本発明の方法は、例えば、ヒト、ペット、家畜、実験動物及び野生動物等の種々の被検者の治療のために用いられる。
一実施形態において、睡眠の調節方法に用いられる化合物は、化合物1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105又は106である。
一実施形態において、睡眠の調節方法に用いられる化合物は、化合物46である。
一実施形態において、R9及びR10、並びにこれらが結合した炭素が存在しない。
一実施形態において、R9及びR10は、これらが付加した炭素原子と共に結合して、サイズ3、4、5、6、又は7のスピロ環を形成している。一実施形態において、R11及びR12は、これらが付加した炭素原子と共に結合して、サイズ3、4、5、6、又は7のスピロ環を形成している。例えば、R9及びR10は、これらが結合した炭素原子と共に、又はR11及びR12は、これらが付加した炭素原子と共に結合して、スピロ3員環シクロプロピル環を形成している。
一実施形態において、Zは、CO
2H、テトラゾール、又はスルホンアミドである。一実施形態において、Zはスルホンアミドである。典型的なスルホンアミドとしては、アシルスルホンアミドが挙げられる。例えば、Zは下記の式で表されてもよい。
式中、Wは、所望の経口吸収、中枢神経系への浸透、及び尿への排出速度のレベルが得られるように、Z残基の極性表面領域の効果を調節するために必要に応じて選択される置換基である。この目的に対して有用なW置換基の例としては、アルキル基(二重結合又は三重結合を場合によっては含んでいる)、シクロアルキル基(二重結合を場合によっては含んでいる)、ヘテロシクリル基、共に後述の置換基で場合によっては置換されているアリール基又はヘテロアリール基が挙げられる。
(式中、Vは、アシルスルホンアミドのpKaを調節し、又は化合物の物理若しくは代謝特性を変化させるために選択される1つ又は複数の側鎖である)
側鎖Vの例としては、F、Cl、Br等のハロゲン、OCH
3又はOCH
2CH
3等のC
1〜C
6アルコキシ基、CH
3又はCF
3、シクロプロピル等のC
1、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6アルキル又はC
3、C
4、C
5、C
6、C
7、C
8シクロアルキル基、CH
2OCH
3、又はCH
2OCH
2CH
3等のヘテロ原子置換C
1、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6アルキル又はC
3、C
4、C
5、C
6、C
7、C
8シクロアルキル、CN、ケトン、アミド、又はスルホン等の電子求引基が挙げられる。
(及びピリジル異性体)
(及びピリミジン異性体)、及び
一実施形態において、Zはスルファミドである。典型的なスルファミドとしては、アシル・スルファミドが挙げられる。例えば、Zは下記の式で表されてもよい。
式中、Ra及びRbは、各々、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基又はヘテロアリール基であり、場合によっては置換されている。例としては、以下のものが挙げられる。
(式中、Vは、F、Cl、Br等のハロゲン、OCH
3又はOCH
2CH
3等のC
1〜C
6アルコキシ基、CH
3又はCF
3、シクロプロピル等のC
1、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6アルキル又はC
3、C
4、C
5、C
6、C
7、C
8シクロアルキル基、CH
2OCH
3、又はCH
2OCH
2CH
3等のヘテロ原子置換C
1、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6アルキル又はC
3、C
4、C
5、C
6、C
7、C
8シクロアルキル、CN、ケトン、アミド、又はスルホン等の電子求引基である)
(及びピリジル異性体)
(及びピリミジン異性体)
別の実施形態において、ZがCOOHである場合には、R1〜R6の少なくとも1つ、及びR9〜R12の少なくとも1つは水素ではない。
一実施形態において、R6は水素ではない。別の実施形態において、R1〜R5はそれぞれ水素であり、R6は水素ではない。
一実施形態において、R1〜R6の少なくとも1つは水素ではなく、残りのR1〜R6は水素である。別の実施形態において、R1〜R6の少なくとも2つは水素ではなく、残りのR1〜R6は水素である。別の実施形態において、R1〜R6の少なくとも3つは水素ではなく、残りのR1〜R6は水素である。別の実施形態において、R1〜R6の少なくとも4つは水素ではなく、残りのR1〜R6は水素である。一実施形態において、R2は水素ではない。一実施形態において、R3は水素ではない。一実施形態において、R6は水素ではない。一実施形態において、R5は水素ではない。一実施形態において、R3及びR6は水素ではない。別の実施形態において、R2及びR6は水素ではない。別の実施形態において、R3及びR5は水素ではない。別の実施形態において、R2及びR5は水素ではない。別の実施形態において、R2及びR3は水素ではない。別の実施形態において、R5及びR6は水素ではない。
一実施形態において、R1〜R6の少なくとも1つは、メチル、エチル、イソプロピル、クロロ、フロロ、ブロモ、ヒドロキシ、メトキシメチレン、又はメトキシである。別の実施形態において、R2は、メチル、クロロ、フロロ、ブロモ、ヒドロキシ、メトキシメチレン、又はメトキシである。別の実施形態において、R3は、メチル、クロロ、フロロ、ブロモ、ヒドロキシ、メトキシメチレン、又はメトキシである。別の実施形態において、R6は、メチル、エチル、イソプロピル、クロロ、フロロ、ブロモ、ヒドロキシ、メトキシメチレン、又はメトキシである。別の実施形態において、R5は、メチル、クロロ、フロロ、ブロモ、ヒドロキシ、メトキシメチレン、又はメトキシである。
別の実施形態において、R1〜R6の少なくとも1つは、メチル、エチル、イソプロピル、クロロ、フロロ、ブロモ、ヒドロキシ、メトキシメチレン、又はメトキシである。別の実施形態において、R1〜R6の少なくとも2つは、メチル、エチル、イソプロピル、クロロ、フロロ、ブロモ、ヒドロキシ、メトキシメチレン、又はメトキシであり、ZはCOOHである。別の実施形態において、R1〜R6の少なくとも2つは、メチル、エチル、イソプロピル、クロロ、フロロ、ブロモ、ヒドロキシ、メトキシメチレン、又はメトキシであり、R9及びR10は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R3及びR6は、共にメチル、メトキシ、ヒドロキシ、メトキシメチレン、クロロ、フロロ、又はブロモであり、残りのR1〜R2及びR4〜R5は水素である。別の実施形態において、R2及びR6は、共にメチル、メトキシ、ヒドロキシ、メトキシメチレン、クロロ、フロロ、又はブロモであり、残りのR1及びR3〜R5は水素である。一実施形態において、R3及びR5は、共にメチル、メトキシ、ヒドロキシ、メトキシメチレン、クロロ、フロロ、又はブロモであり、残りのR1〜R2、R4及びR6は水素である。一実施形態において、R2及びR5は、共にメチル、メトキシ、ヒドロキシ、メトキシメチレン、クロロ、フロロ、又はブロモであり、残りのR1、R3〜R4及びR6は水素である。一実施形態において、R2及びR3は、共にメチル、メトキシ、ヒドロキシ、メトキシメチレン、クロロ、フロロ、又はブロモであり、残りのR1及びR4〜R6は水素である。
一実施形態において、R6はメチルである。一実施形態において、R6はメチルであり、R2又はR3は、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、クロロ、フロロ、又はブロモである。別の実施形態において、R6はフロロであり、R2又はR3は、メチル、メトキシメチレン、又はメトキシである。一実施形態において、R6はメトキシである。一実施形態において、R6はメトキシであり、R2又はR3は、メチル、メトキシ、ヒドロキシ、メトキシメチレン、クロロ、フロロ、又はブロモである。別の実施形態において、R6はフロロであり、R2又はR3はメトキシである。
一実施形態において、R9及びR10は水素である。
一実施形態において、R9及びR10はメチルである。別の実施形態において、R9及びR10はメチルであり、R6はハロゲンであり、R1〜R5は水素である。別の実施形態において、R9及びR10はメチルであり、R6はハロゲンであり、R1〜R5は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R9及びR10はエチルである。別の実施形態において、R9及びR10はエチルであり、R6は水素、メチル又はハロゲンであり、R1〜R5は水素である。別の実施形態において、R9及びR10はエチルであり、R6は水素、メチル又はハロゲンであり、R1〜R5は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R9及びR10、並びにこれらが結合した炭素は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成している。別の実施形態において、R9及びR10、並びにこれらが結合した炭素は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、R6は水素、メチル又はハロゲンであり、R1〜R5は水素である。別の実施形態において、R9及びR10、並びにこれらが結合した炭素は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、R6は水素、メチル又はハロゲンであり、R1〜R5は水素であり、ZはCOOHである。
別の実施形態において、R9及びR10はメチルであり、R6はメチル又はメトキシであり、R1〜R5は水素である。別の実施形態において、R9及びR10はメチルであり、R6はメチル又はメトキシであり、R1〜R5は水素であり、ZはCOOHである。
別の実施形態において、R9及びR10はエチルであり、R6はメチル又はメトキシであり、R1〜R5は水素である。別の実施形態において、R9及びR10はエチルであり、R6はメチル又はメトキシであり、R1〜R5は水素であり、ZはCOOHである。
別の実施形態において、R9及びR10、並びにこれらが結合した炭素は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、R6はメチル又はメトキシであり、R1〜R5は水素である。別の実施形態において、R9及びR10、並びにこれらが結合した炭素は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、R6はメチル又はメトキシであり、R1〜R5は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R11及びR12はメチルである。別の実施形態において、R11及びR12はメチルであり、R6は水素、メチル又はハロゲンであり、R1〜R5は水素である。別の実施形態において、R11及びR12はメチルであり、R6は水素、メチル又はハロゲンであり、R1〜R5は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R11及びR12はエチルである。別の実施形態において、R11及びR12はエチルであり、R6は水素、メチル又はハロゲンであり、R1〜R5は水素である。別の実施形態において、R11及びR12はエチルであり、R6は水素、メチル又はハロゲンであり、R1〜R5は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R11及びR12、並びにこれらが結合した炭素は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成している。別の実施形態において、R11及びR12、並びにこれらが結合した炭素は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、R6は水素、メチル又はハロゲンであり、R1〜R5は水素である。別の実施形態において、R11及びR12、並びにこれらが結合した炭素は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、R6は水素、メチル又はハロゲンであり、R1〜R5は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R11及びR12はメチルであり、R6はメチル又はメトキシである。別の実施形態において、R11及びR12はメチルであり、R6はメチル又はメトキシであり、R1〜R5は水素である。別の実施形態において、R11及びR12はメチルであり、R6はメチル又はメトキシであり、R1〜R5は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R11及びR12はエチルであり、R6はメチル又はメトキシである。別の実施形態において、R11及びR12はエチルであり、R6はメチル又はメトキシであり、R1〜R5は水素である。別の実施形態において、R11及びR12はエチルであり、R6はメチル又はメトキシであり、R1〜R5は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R11及びR12、並びにこれらが結合した炭素は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、R6はメチル又はメトキシである。別の実施形態において、R11及びR12、並びにこれらが結合した炭素は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、R6はメチル又はメトキシであり、R1〜R5は水素である。別の実施形態において、R11及びR12、並びにこれらが結合した炭素は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、R6はメチル又はメトキシであり、R1〜R5は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、本発明の方法で用いられる式Iの化合物において、qはゼロである。別の実施形態において、qはゼロであり、R9及びR10、並びにこれらが結合した炭素原子は存在しない。別の実施形態において、qはゼロであり、R9及びR10、並びにこれらが結合した炭素原子は存在せず、X及びYは存在しない。別の実施形態において、qはゼロであり、R9及びR10と共にこれらが結合した炭素原子は存在せず、X及びYは存在せず、m、n、o及びpの和は2又は3である。
1つの態様において、本発明の化合物は、例えば、睡眠の開始までの時間の減少、睡眠期間の平均長さの増大、及び/又は睡眠期間の最大長さの増大による睡眠の調節に用いられる。他の態様において、本発明のオランザピンアナログは睡眠障害の治療に用いられる。例えば、本発明のオランザピンアナログは、概日リズム異常、不眠症、睡眠時異常行動、睡眠時無呼吸症候群、発作性睡眠、及び/又は睡眠過剰の治療に用いられる。
一実施形態において、本発明のオランザピンアナログは、時差障害、交代勤務性障害、睡眠相後退症候群、睡眠相前進症候群及び非24時間睡眠覚醒障害等の概日リズム異常の治療に用いられる。
別の実施形態において、オランザピンアナログは、例えば、外因性不眠症、精神生理学的不眠症、高度不眠症、下肢静止不能症候群、周期的四肢運動障害、薬剤依存性不眠症、薬物依存性不眠症、アルコール依存性不眠症、及び精神疾患に関連する不眠症等の不眠症の治療に用いられる。
一実施形態において、本発明のオランザピンアナログは、例えば、夢遊病、夜驚症、レム睡眠行動障害、睡眠時歯ぎしり、及び夜尿等の睡眠時行動障害の治療に用いられる。
別の実施形態において、オランザピンアナログは、例えば、中枢型睡眠時無呼吸、閉塞型睡眠時無呼吸、及び混合型睡眠時無呼吸等の睡眠時無呼吸障害の治療に用いられる。
式Iの化合物、又はその薬理学的に許容される塩を含む医薬組成物は、睡眠を調節する方法において用いられる。一実施形態において、式Iの化合物、又はその薬理学的に許容される塩は、1種類又は複数種類の他の治療薬と共に投与される。
他の態様において、本発明は、治療上有効量の式IIの化合物:
又はその医薬として許容される塩(式中、m、n及びoは独立して、0、1、2、3、4、5、又は6であり、Xは、存在しないか、O、S、C(O)、SO又はSO
2であり、R
2、R
3、R
5及びR
6は独立して、H、F、Cl、Br、CF
3、CH
3、CH
2CH
3、CH(CH
3)
2、シクロプロピル、OH、OCH
3、OCF
3、CH
2OCH
3及びCH
2OCH
2CH
3より選択され、R
9及びR
10は独立して、H、C
1、C
2、C
3、C
4、C
5直鎖アルキル、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6分枝アルキルであり、又はR
9及びR
10は、これらが結合した炭素原子と共に、結合してサイズが3、4、5、6、7のスピロ環を形成しており、ZはCOOH、COOR
13(ここでR
13は、C
1、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6アルキルである)、CONHS(O)
2−アルキル、CONHS(O)
2−ヘテロアルキル、CONHS(O)
2−アリール、CONHS(O)
2−ヘテロアリール、S(O)
2NHCO−アルキル、S(O)
2NHCO−ヘテロアルキル、S(O)
2NHCO−アリール、S(O)
2NHCO−ヘテロアリール、CONHS(O)
2N−アルキル、CONHS(O)
2N−ヘテロアルキル、CONHS(O)
2N−アリール、CONHS(O)
2N−ヘテロアリール、又はテトラゾールであり、mがゼロの場合にはXが存在しない)を投与することにより、被検者における睡眠を調節する方法を提供する。
一実施形態において、本発明の方法で使用するための式IIの化合物は、以下の特性の1以上を有する:H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が500nM未満である;M1、M2、M3、D1、D2、α1及びα2から選択されるオフターゲットへのオフターゲット結合に関するKiが、1,000nMを上回り、かつ/又はH1受容体に関するKiの10倍より高い;化合物を被検者に投与してから第3時までのノンレムピーク時間値が、1時間当たりのノンレム睡眠の55%を上回る;最高の睡眠固定をもたらす化合物用量に対し、ノンレム睡眠の累積増加合計が20分未満である;最長睡眠時間が13分よりも長期にわたる;被検者への化合物の投与より少なくとも24時間前に得たベースライン値を用いて調整した場合に、治療後の正味の最長睡眠時間が3分以上である;絶対ピークでの平均睡眠期間が5分よりも長い;被検者への化合物の投与が相当な反跳不眠症を生じさせない;被検者への化合物の投与が特段にレム睡眠を阻害しない;並びに被検者への化合物の投与が、睡眠の通常作用に比して不相応に自発運動活性を阻害することがない。
別の実施形態において、本発明の方法で使用するための式IIの化合物は、以下の特性の1以上を有する:H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が300nM未満である;M1、M2、M3、D1、D2、α1及びα2から選択されるオフターゲットへのオフターゲット結合に関するKiが、1μMを上回る;化合物を被検者に投与してから第3時までのノンレムピーク時間値が、1時間当たりのノンレム睡眠の55%を上回る;最高の睡眠固定をもたらす化合物用量に対し、ノンレム睡眠の累積増加合計が20分未満である;最長睡眠時間が13分よりも長期にわたる;被検者への化合物の投与より少なくとも24時間前に得たベースライン値を用いて調整した場合に、治療後の正味の最長睡眠時間が3分以上である;絶対ピークでの平均睡眠期間が5分よりも長い;被検者への化合物の投与が相当な反跳不眠症を生じさせず;被検者への化合物の投与が特段にレム睡眠を阻害しない;並びに被検者への化合物の投与が、睡眠の通常作用に比して不相応に自発運動活性を阻害することがない。
別の実施形態において、本発明の方法で使用するための式IIの化合物は、以下の特性の1以上を有する:H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が150nM未満である;M1、M2、及びM3から選択されるオフターゲットへのオフターゲット結合に関するKiが、10μMを上回る;化合物を被検者に投与してから第3時までのノンレムピーク時間値が、1時間当たりのノンレム睡眠の55%を上回る;最高の睡眠固定をもたらす化合物用量に対し、ノンレム睡眠の累積増加合計が20分未満である;最長睡眠時間が17分よりも長期にわたる;被検者への化合物の投与より少なくとも24時間前に得たベースライン値を用いて調整した場合に、治療後の正味の最長睡眠時間が5分以上である;絶対ピークでの平均睡眠期間が6分よりも長い;被検者への化合物の投与が相当な反跳不眠症を生じさせない;被検者への化合物の投与が特段にレム睡眠を阻害しない;並びに被検者への化合物の投与が、睡眠の通常作用に比して不相応に自発運動活性も運動状態も阻害することがない。
一実施形態において、ZはCO2H又はテトラゾールである。一実施形態において、oはゼロである。
一実施形態において、ZがCOOHである場合には、R2、R3、R5、R6のうち少なくとも1つと、R9〜R10のうち少なくとも1つは、水素ではない。一実施形態において、R2、R3、及びR5は、それぞれ水素であり、R6は、水素ではない。一実施形態において、R2、R3、及びR5は、それぞれ水素であり、R6は、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、メトキシメチレン、又はヒドロキシである。
一実施形態において、R2、R3、R6、R5のうち少なくとも2つは水素ではなく、残りのR2、R3、R6、R5は水素である。別の実施形態において、R2、R3、R6、R5のうち少なくとも3つは水素ではなく、残りのR2、R3、R6、R5は水素である。一実施形態において、R2は水素ではない。一実施形態において、R3は水素ではない。一実施形態において、R6は水素ではない。一実施形態において、R5は水素ではない。一実施形態において、R3及びR6は水素ではない。別の実施形態において、R2及びR6は水素ではない。別の実施形態において、R3及びR5は水素ではない。
一実施形態において、R9及びR10はそれぞれメチルである。別の実施形態において、R9及びR10はそれぞれエチルである。別の実施形態において、R9及びR10はそれぞれ水素である。
一実施形態において、R9及びR10は、これらが付加した炭素原子と共に結合して、サイズ3、4、5、6、又は7のスピロ環を形成している。例えば、一実施形態において、R9及びR10は、これらが付加した炭素原子と共に結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成している。
一実施形態において、R9及びR10はメチルであり、R6は水素又はハロゲンであり、残りのR2、R3及びR5は水素である。R9及びR10はメチルであり、R6は水素又はハロゲンであり、残りのR2、R3及びR5は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R9及びR10はエチルであり、R6は水素又はハロゲンであり、残りのR2、R3及びR5は水素である。別の実施形態において、R9及びR10はエチルであり、R6は水素又はハロゲンであり、残りのR2、R3及びR5は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R9及びR10及びこれらが付加した炭素原子は結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成している。別の実施形態において、R9及びR10及びこれらが付加した炭素原子は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、R6は水素又はハロゲンであり、残りのR2、R3及びR5は水素である。別の実施形態において、R9及びR10及びこれらが付加した炭素原子は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、R6は水素又はハロゲンであり、残りのR2、R3及びR5は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、本発明の方法において用いられる式IIの化合物において、oはゼロである。別の実施形態において、oはゼロであり、Xは存在しない。別の実施形態において、oはゼロであり、Xは存在せず、m及びnの和は2又は3である。
一実施形態において、睡眠の調節は、例えば、睡眠の開始までの時間の減少、睡眠期間の平均長さの増大、及び/又は睡眠期間の最大長さの増大である。一実施形態において、睡眠の調節により、睡眠障害を治療する。
式IIの化合物又はその医薬として許容される塩を含む医薬組成物も、被検者において睡眠を調節する化合物において用いられる。一実施形態において、式IIの化合物、又はその薬理学的に許容される塩は、1種類又は複数種類の他の治療薬と共に投与される。
他の態様において、本発明は、治療上有効量の式IIIの化合物:
又はその医薬として許容される塩(式中、m及びnは独立して、0、1、2、3又は4であり、Xは、存在しないか、O又はSであり、R
2、R
3、R
5及びR
6は独立して、H、F、Cl、Br、CF
3、CH
3、OH、CH
2CH
3、CH(CH
3)
2、OCH
3、CH
2OCH
3及びCH
2OCH
2CH
3より選択され、R
9及びR
10は独立して、H、C
1、C
2、C
3、C
4、C
5直鎖アルキル、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6分枝アルキルであり、又はR
9及びR
10は、これらが結合した炭素原子と共に、結合してサイズが3、4、5、6、7のスピロ環を形成しており、ZはCOOH、CONHS(O)
2−アルキル、CONHS(O)
2−ヘテロアルキル、CONHS(O)
2−アリール、CONHS(O)
2−ヘテロアリール、及びテトラゾールであり、mがゼロの場合にはXが存在しない)を投与することにより、被検者における睡眠を調節する化合物を提供する。
一実施形態において、本発明の方法で使用するための式IIIの化合物は、以下の特性の1以上を有する:H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が500nM未満である;M1、M2、M3、D1、D2、α1及びα2から選択されるオフターゲットへのオフターゲット結合に関するKiが、1,000nMを上回り、かつ/又はH1受容体に関するKiの10倍より高い;化合物を被検者に投与してから第3時までのノンレムピーク時間値が、1時間当たりのノンレム睡眠の55%を上回る;最高の睡眠固定をもたらす化合物用量に対し、ノンレム睡眠の累積増加合計が20分未満である;最長睡眠時間が13分よりも長期にわたる;被検者への化合物の投与より少なくとも24時間前に得たベースライン値を用いて調整した場合に、治療後の正味の最長睡眠時間が3分以上である;絶対ピークでの平均睡眠期間が5分よりも長い;被検者への化合物の投与が相当な反跳不眠症を生じさせない;被検者への化合物の投与が特段にレム睡眠を阻害しない;並びに被検者への化合物の投与が、睡眠の通常作用に比して不相応に自発運動活性を阻害することがない。
別の実施形態において、本発明の方法で使用するための式IVの化合物は、以下の特性の1以上を有する:H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が300nM未満である;M1、M2、M3、D1、D2、α1及びα2から選択されるオフターゲットへのオフターゲット結合に関するKiが、1μMを上回る;化合物を被検者に投与してから第3時までのノンレムピーク時間値が、1時間当たりのノンレム睡眠の55%を上回る;最高の睡眠固定をもたらす化合物用量に対し、ノンレム睡眠の累積増加合計が20分未満である;最長睡眠時間が13分よりも長期にわたる;被検者への化合物の投与より少なくとも24時間前に得たベースライン値を用いて調整した場合に、治療後の正味の最長睡眠時間が3分以上である;絶対ピークでの平均睡眠期間が5分よりも長い;被検者への化合物の投与が相当な反跳不眠症を生じさせず;被検者への化合物の投与が特段にレム睡眠を阻害しない;並びに被検者への化合物の投与が、睡眠の通常作用に比して不相応に自発運動活性を阻害することがない。
別の実施形態において、本発明の方法で使用するための式IIIの化合物は、以下の特性の1以上を有する:H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が150nM未満である;M1、M2、及びM3から選択されるオフターゲットへのオフターゲット結合に関するKiが、10μMを上回る;化合物を被検者に投与してから第3時までのノンレムピーク時間値が、1時間当たりのノンレム睡眠の55%を上回る;最高の睡眠固定をもたらす化合物用量に対し、ノンレム睡眠の累積増加合計が20分未満である;最長睡眠時間が17分よりも長期にわたる;被検者への化合物の投与より少なくとも24時間前に得たベースライン値を用いて調整した場合に、治療後の正味の最長睡眠時間が5分以上である;絶対ピークでの平均睡眠期間が6分よりも長い;被検者への化合物の投与が相当な反跳不眠症を生じさせない;被検者への化合物の投与が特段にレム睡眠を阻害しない;並びに被検者への化合物の投与が、睡眠の通常作用に比して不相応に自発運動活性も運動状態も阻害することがない。
一実施形態において、ZはCO2H又はテトラゾールである。一実施形態において、mはゼロである。一実施形態において、ZがCOOHである場合には、R2、R3、R5、R6のうち少なくとも1つと、R9〜R10のうち少なくとも1つは、水素ではない。一実施形態において、R2、R3、及びR5は、それぞれ水素であり、R6は、水素でもハロゲンでもない。一実施形態において、R2、R3、及びR5は、それぞれ水素であり、R6は、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシメチレン、メトキシ又はヒドロキシである。
一実施形態において、R2、R3、及びR5は、それぞれ水素であり、R6は水素でもハロゲンでもはない。一実施形態において、R2、R3、及びR5は、それぞれ水素であり、R6は、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシメチレン、メトキシ又はヒドロキシである。
一実施形態において、R2、R3、R5、R6のうち少なくとも2つは水素ではなく、残りのR2、R3、R5、R6は水素である。一実施形態において、R2、R3、R5、R6のうち少なくとも3つは水素ではなく、残りのR2、R3、R5、R6は水素である。一実施形態において、R2は水素ではない。一実施形態において、R3は水素ではない。一実施形態において、R6は水素ではない。一実施形態において、R5は水素ではない。一実施形態において、R3及びR6は水素ではない。別の実施形態において、R2及びR6は水素ではない。別の実施形態において、R3及びR5は水素ではない。
一実施形態において、R9及びR10はそれぞれメチルである。別の実施形態において、R9及びR10はそれぞれエチルである。別の実施形態において、R9及びR10はそれぞれ水素である。
一実施形態において、R9及びR10は、これらが付加した炭素原子と共に結合して、サイズ3、4、5、6、又は7のスピロ環を形成する。例えば、一実施形態において、R9及びR10は、これらが付加した炭素原子と共に結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成する。
一実施形態において、R9及びR10はメチルであり、R6は水素、メチル、エチル又はイソプロピル、又はハロゲンであり、残りのR2、R3及びR5は水素である。別の実施形態において、R9及びR10はメチルであり、R6は水素、メチル、エチル又はイソプロピル、又はハロゲンであり、残りのR2、R3及びR5は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R9及びR10はエチルであり、R6は水素、メチル、エチル又はイソプロピル、又はハロゲンであり、残りのR2、R3及びR5は水素である。別の実施形態において、R9及びR10はエチルであり、R6は水素、メチル、エチル又はイソプロピル、又はハロゲンであり、残りのR2、R3及びR5は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R9及びR10及びこれらが付加した炭素原子は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成している。別の実施形態において、R9及びR10及びこれらが付加した炭素原子は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、R6は水素、メチル又はハロゲンであり、残りのR2、R3及びR5は水素である。
別の実施形態において、R9及びR10及びこれらが付加した炭素原子は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、R6は水素、メチル又はハロゲンであり、残りのR2、R3及びR5は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、本発明の化合物において用いられる式IIIの化合物において、Xは存在しない。別の実施形態において、Xは存在せず、m及びnの和は2又は3である。
一実施形態において、睡眠の調節は、例えば、睡眠の開始までの時間の減少、睡眠期間の平均長さの増大、及び/又は睡眠期間の最大長さの増大である。一実施形態において、睡眠の調節により、睡眠障害を治療する。
式IIIの化合物又はその薬理学的に許容される塩を含む医薬組成物も、本発明の睡眠を調節する化合物において用いられる。
別の態様において、本発明は、次の化学式IVの化学構造を有する化合物の治療上有効量を投与することにより被検者の睡眠を調整する化合物を提供し、
又は、これらの薬学的有効量の塩を提供し、ここに、tは1、2、3、又は4であり;R
2、R
3、R
5及びR
6は独立して、H、F、Cl、Br、CF
3、CH
3、CH
2CH
3、CH(CH
3)
2、OH、OCH
3、CH
2OCH
3又はCH
2OCH
2CH
3であり;R
9、R
10はH、CH
3、CH
2CH
3であるか又はサイズ3、4、5、6、又は7のスピロ環と結合するように付加する炭素を伴うものであり;ZはCO
2H、CONHS(O)
2−アルキル、CONHS(O)
2−シクロアルキル、CONHS(O)
2−ヘテロアルキル、CONHS(O)
2−アリール、CONHS(O)
2−ヘテロアルキル、又はテトラゾールから選ばれる。
典型的な化合物のtは1又は2である。
一実施形態において、本発明の方法で使用するための式IVの化合物は、以下の特性の1以上を有する:H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が500nM未満である;M1、M2、M3、D1、D2、α1及びα2から選択されるオフターゲットへのオフターゲット結合に関するKiが、1,000nMを上回り、かつ/又はH1受容体に関するKiの10倍より高い;化合物を被検者に投与してから第3時までのノンレムピーク時間値が、1時間当たりのノンレム睡眠の55%を上回る;最高の睡眠固定をもたらす化合物用量に対し、ノンレム睡眠の累積増加合計が20分未満である;最長睡眠時間が13分よりも長期にわたる;被検者への化合物の投与より少なくとも24時間前に得たベースライン値を用いて調整した場合に、治療後の正味の最長睡眠時間が3分以上である;絶対ピークでの平均睡眠期間が5分よりも長い;被検者への化合物の投与が相当な反跳不眠症を生じさせない;被検者への化合物の投与が特段にレム睡眠を阻害しない;並びに被検者への化合物の投与が、睡眠の通常作用に比して不相応に自発運動活性を阻害することがない。
別の実施形態において、本発明の方法で使用するための式IVの化合物は、以下の特性の1以上を有する:H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が300nM未満である;M1、M2、M3、D1、D2、α1及びα2から選択されるオフターゲットへのオフターゲット結合に関するKiが、1μMを上回る;化合物を被検者に投与してから第3時までのノンレムピーク時間値が、1時間当たりのノンレム睡眠の55%を上回る;最高の睡眠固定をもたらす化合物用量に対し、ノンレム睡眠の累積増加合計が20分未満である;最長睡眠時間が13分よりも長期にわたる;被検者への化合物の投与より少なくとも24時間前に得たベースライン値を用いて調整した場合に、治療後の正味の最長睡眠時間が3分以上である;絶対ピークでの平均睡眠期間が5分よりも長い;被検者への化合物の投与が相当な反跳不眠症を生じさせず;被検者への化合物の投与が特段にレム睡眠を阻害しない;並びに被検者への化合物の投与が、睡眠の通常作用に比して不相応に自発運動活性を阻害することがない。
別の実施形態において、本発明の方法で使用するための式IVの化合物は、以下の特性の1以上を有する:H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が150nM未満である;M1、M2、及びM3から選択されるオフターゲットへのオフターゲット結合に関するKiが、10μMを上回る;化合物を被検者に投与してから第3時までのノンレムピーク時間値が、1時間当たりのノンレム睡眠の55%を上回る;最高の睡眠固定をもたらす化合物用量に対し、ノンレム睡眠の累積増加合計が20分未満である;最長睡眠時間が17分よりも長期にわたる;被検者への化合物の投与より少なくとも24時間前に得たベースライン値を用いて調整した場合に、治療後の正味の最長睡眠時間が5分以上である;絶対ピークでの平均睡眠期間が6分よりも長い;被検者への化合物の投与が相当な反跳不眠症を生じさせない;被検者への化合物の投与が特段にレム睡眠を阻害しない;並びに被検者への化合物の投与が、睡眠の通常作用に比して不相応に自発運動活性も運動状態も阻害することがない。
一実施形態において、ZはCO2H又はテトラゾールである。別の実施形態において、ZはCOOHであり、R2、R3、R5及びR6の少なくとも1つは水素ではない。
一実施形態において、R9及びR10はそれぞれメチルである。別の実施形態において、R9及びR10はそれぞれエチルである。一実施形態において、R9及びR10及びこれらに付加する炭素は、3から7のサイズのスピロ環と結合する。例えば、一実施形態において、R9及びR10及びこれらに付加する炭素原子は、3員スピロ環(シクロプロピル)と結合する。
一実施形態において、R9及びR10はメチルであり、R6は水素、メチル、又はハロゲンであり、R2、R3、及びR5は水素である。別の実施形態において、R9及びR10はメチルであり、R6は水素、メチル、又はハロゲンであり、R2、R3、及びR5は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R9及びR10はエチルであり、R6は水素、メチル、エチル、イソプロピル、又はハロゲンであり、R2、R3、R5は水素である。別の実施形態において、R9及びR10はメチルであり、R6は水素、メチル、エチル、イソプロピル、又はハロゲンであり、R2、R3、及びR5は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R9及びR10及びこれらに付加する炭素は、3員スピロ環(シクロプロピル)と結合する。別の実施形態において、R9及びR10及びこれらに付加する炭素は3員スピロ環と結合し、R6は水素、メチル、又はハロゲンであり、R2、R3及びR5は水素である。別の実施形態において、R9及びR10及びこれらに付加する炭素は3員スピロ環(シクロプロピル)と結合し、R6は水素、メチル、又はハロゲンであり、R2、R3、R5は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、睡眠調整は、睡眠到来時間の短縮、平均連続睡眠長の増加、及び最大連続睡眠長の増加から選ばれる。一実施形態において、睡眠調整は不眠症を治療する。
化学式IVの化合物を含んでなる薬学的組成物又はその薬理学的に受容しうる塩は、発明に係り睡眠を調整する化合物中にも用いられる。
一実施形態において、本発明の方法に用いられる化学式IVの化合物は、IVa、IVb、IVc、IVd、又はIVeである。
例えば、R
9及びR
10がメチルであると、化合物は化学式IVaの一般的構造を有し、
R
9及びR
10が3員スピロ環(シクロプロピル)を生成するよう結合すると、化合物は化学式IVbの一般的構造を有し、
R
9及びR
10がエチルであると、化合物は化学式IVcの一般的構造を有し、
R
9及びR
10がエチルであり、C
1炭素が3員スピロ環(シクロプロピル)を生成するよう結合すると、化合物は化学式IVdの一般的構造を有し、
R
9及びR
10が水素であると、化合物は化学式IVeの一般的構造を有する。
別の態様では、本発明は、式Iの化合物又はその薬理学的に有効な塩に関する。
式中、m、n、o、p、qは独立して、0、1、2、3、4、5、又は6の整数であり;A及びBは独立して、O、S、NR
7、又はC(R
8)
2であり;X及びYは独立して、存在しないか、O、S、C(O)、SO又はSO
2であり;R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、及びR
8は独立して、H、F、Cl、Br、OH、CH
3、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6直鎖アルキル、C
3、C
4、C
5、C
6分鎖アルキル、C
3、C
4、C
5、C
6、C
7シクロアルキル、C
3、C
4、C
5、C
6、C
7ヘテロシクリル、OCH
3、OCF
3、CH
2OCH
3、CH
2CH
2OCH
3、CH
2OCH
2CH
3、C
1、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6ヒドロキシアルキル、又はC
1、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6アルコキシであり;リンカーのCH
2基のいずれの水素もH、F、Cl、OH、Br、CF
3、CH
3、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6直鎖アルキル、C
3、C
4、C
5、C
6分鎖アルキル、C
3、C
4、C
5、C
6、C
7シクロアルキル、C
3、C
4、C
5、C
6、C
7ヘテロシクリル、OCH
3、OCF
3、CH
2OCH
3、CH
2CH
2OCH
3、CH
2OCH
2CH
3、C
1、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6ヒドロキシアルキル、又はC
1、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6アルコキシで任意に置換され;R
9、R
10、R
11、及びR
12は独立して、H、C
1、C
2、C
3、C
4、C
5直鎖アルキル、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6分鎖アルキルであるか、又はR
9及びR
10は、それらが付加する炭素と共に、存在しないか又は結合して3、4、5、6、若しくは7のサイズのスピロ環を形成するか、又はR
11及びR
12は、それらが付加する炭素と共に結合して3、4、5、6、若しくは7のサイズのスピロ環を形成するか、又は異なる2つの炭素原子上の置換基は結合して3、4、5、6、又は7のサイズの環を形成し;ZはCO
2H、CO
2R
13(式中、R
13は、C
1、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6アルキルである)、CONR
14R
15(式中、R
14及びR
15は独立して水素又は低級アルキルである)、CONHS(O)
2−アルキル、CONHS(O)
2−シクロアルキル、CONHS(O)
2−ヘテロアルキル、CONHS(O)
2−アリール、CONHS(O)
2−ヘテロアリール、S(O)
2NHCO−アルキル、S(O)
2NHCO−シクロアルキル、S(O)
2NHCO−ヘテロアルキル、S(O)
2NHCO−アリール、S(O)
2NHCO−ヘテロアリール、CONHS(O)
2N−アルキル、CONHS(O)
2N−シクロアルキル、CONHS(O)
2N−ヘテロアルキル、CONHS(O)
2N−アリール、CONHS(O)
2N−ヘテロアリール、SO
3H、SO
2H、S(O)NHCO−アルキル、S(O)NHCO−アリール、S(O)NHCO−ヘテロアリール、P(O)(OH)
2、P(O)OH、
から選択され
mが0の場合に、Xは存在しない。
一実施形態において、当該化合物は化合物1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105又は106である。
一実施形態において、当該化合物は化合物46である。
一実施形態において、ZはCOOH、テトラゾール、スルホンアミド、又はスルホアミドである。
別の実施形態において、ZがCOOHであると、R1〜R6の少なくとも1つ及びR9〜R12の少なくとも1つは水素ではない。
一実施形態において、R6は水素でもハロゲンでもない。別の実施形態において、R1〜R5はそれぞれ水素であり、R6は水素ではない。
一実施形態において、R1〜R6の少なくとも1つは水素ではなく、残りのR1〜R6は水素である。別の実施形態において、R1〜R6の少なくとも2つは水素ではなく、残りのR1〜R6は水素である。別の実施形態において、R1〜R6の少なくとも3つは水素ではなく、残りのR1〜R6は水素である。別の実施形態において、R1〜R6の少なくとも4つは水素ではなく、残りのR1〜R6は水素である。一実施形態において、R2は水素ではない。一実施形態において、R3は水素ではない。一実施形態において、R6は水素ではない。一実施形態において、R5は水素ではない。一実施形態において、R3及びR6は水素ではない。別の実施形態において、R2及びR6は水素ではない。別の実施形態において、R3及びR5は水素ではない。別の実施形態において、R2及びR5は水素ではない。別の実施形態において、R2及びR3は水素ではない。別の実施形態において、R6及びR5は水素ではない。
一実施形態において、R1〜R6の少なくとも1つはメチル、エチル、イソプロピル、メトキシメチレン、クロロ、フロロ、ブロモ、ヒドロキシ、又はメトキシである。一実施形態において、R2はメチル、メトキシメチレン、クロロ、フロロ、ブロモ、ヒドロキシ、又はメトキシである。別の実施形態において、R3はメチル、メトキシメチレン、クロロ、フロロ、ブロモ、ヒドロキシ、又はメトキシである。別の実施形態において、R5はメチル、メトキシメチレン、クロロ、フロロ、ブロモ、ヒドロキシ、又はメトキシである。別の実施形態において、R6はメチル、メトキシメチレン、クロロ、フロロ、ブロモ、ヒドロキシ、又はメトキシである。
一実施形態において、R1〜R6の少なくとも2つはメチル、エチル、イソプロピル、メトキシメチレン、クロロ、フロロ、ブロモ、ヒドロキシ、又はメトキシである。別の実施形態において、R1〜R6のの少なくとも2つはメチル、エチル、イソプロピル、メトキシメチレン、クロロ、フロロ、ブロモ、ヒドロキシ、又はメトキシであり、ZはCOOHである。別の実施形態において、R1〜R6のの少なくとも2つはメチル、エチル、イソプロピル、メトキシメチレン、クロロ、フロロ、ブロモ、ヒドロキシ、又はメトキシであり、R9及びR10は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R3及びR6は、共にメチル、メトキシ、ヒドロキシ、メトキシメチレン、クロロ、フロロ、又はブロモであり、残りのR1〜R2及びR4〜R5は水素である。別の実施形態において、R2及びR6は、共にメチル、メトキシ、ヒドロキシ、メトキシメチレン、クロロ、フロロ、又はブロモであり、残りのR1及びR3〜R5は水素である。一実施形態において、R3及びR5は、共にメチル、メトキシ、ヒドロキシ、メトキシメチレン、クロロ、フロロ、又はブロモであり、残りのR1〜R2、R4及びR6は水素である。一実施形態において、R2及びR5は、共にメチル、メトキシ、ヒドロキシ、メトキシメチレン、クロロ、フロロ、又はブロモであり、残りのR1、R3〜R4及びR6は水素である。一実施形態において、R2及びR3は、共にメチル、メトキシ、ヒドロキシ、メトキシメチレン、クロロ、フロロ、又はブロモであり、残りのR1及びR4〜R6は水素である。
一実施形態において、R6はメチルである。一実施形態において、R6はメチルであり、R2又はR3は、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、クロロ、フロロ、又はブロモである。別の実施形態において、R6はフロロであり、R2又はR3は、メチル、メトキシメチレン、又はメトキシである。一実施形態において、R6はメトキシである。一実施形態において、R6はメトキシであり、R2又はR3は、メチル、メトキシ、ヒドロキシ、メトキシメチレン、クロロ、フロロ、又はブロモである。別の実施形態において、R6はフロロであり、R2又はR3はメトキシである。
一実施形態において、R9及びR10並びにこれらが付加する炭素原子はサイズ3、4、5、6、又は7のスピロ環を生成するよう結合する。一実施形態において、R9及びR10並びにこれらが付加する炭素原子は存在せず、R11及びR12並びにこれらが付加する炭素原子はサイズ3、4、5、6、又は7のスピロ環を生成するよう結合する。一実施形態において、R9及びR10並びにこれらが付加する炭素原子、又は、R11及びR12並びにこれらが付加する炭素原子はスピロ3員環を生成するよう結合する。
一実施形態において、R9及びR10は水素である。
一実施形態において、R9及びR10はメチルである。別の実施形態において、R9及びR10はメチルであり、R6はメチル、エチル、イソプロピル、水素、又はハロゲンであり、R1〜R5は水素である。別の実施形態において、R9及びR10はメチルであり、R6はメチル、エチル、イソプロピル、水素、又はハロゲンであり、R1〜R5は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R9及びR10はエチルである。別の実施形態において、R9及びR10はエチルであり、R6はメチル、エチル、イソプロピル、水素、又はハロゲンであり、R1〜R5は水素である。別の実施形態において、R9及びR10はエチルであり、R6はメチル、水素、又はハロゲンであり、R1〜R5は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R9及びR10、並びにこれらが結合した炭素は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成している。別の実施形態において、R9及びR10、並びにこれらが結合した炭素は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、R6はメチル、水素、又はハロゲンであり、R1〜R5は水素である。別の実施形態において、R9及びR10、並びにこれらが結合した炭素は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、R6はメチル、水素、又はハロゲンであり、R1〜R5は水素であり、ZはCOOHである。
別の実施形態において、R9及びR10はメチルであり、R6はメトキシであり、R1〜R5は水素である。別の実施形態において、R9及びR10はメチルであり、R6はメトキシであり、R1〜R5は水素であり、ZはCOOHである。
別の実施形態において、R9及びR10はメチルであり、R6はメトキシメチレンであり、R1〜R5は水素である。別の実施形態において、R9及びR10はメチルであり、R6はメトキシメチレンであり、R1〜R5は水素であり、ZはCOOHである。
別の実施形態において、R9及びR10はエチルであり、R6はメトキシであり、R1〜R5は水素である。別の実施形態において、R9及びR10はエチルであり、R6はメトキシであり、R1〜R5は水素であり、ZはCOOHである。
別の実施形態において、R9及びR10、並びにこれらが結合した炭素は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、R6はメトキシであり、R1〜R5は水素である。別の実施形態において、R9及びR10、並びにこれらが結合した炭素は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、R6はメトキシであり、R1〜R5は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R9及びR10、並びにこれらと結合した炭素は存在しない。
一実施形態において、R11及びR12はメチルである。別の実施形態において、R11及びR12はメチルであり、R6は水素又はハロゲンであり、R1〜R5は水素である。別の実施形態において、R11及びR12はメチルであり、R6は水素又はハロゲンであり、R1〜R5は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R11及びR12はエチルである。別の実施形態において、R11及びR12はエチルであり、R6は水素又はハロゲンであり、R1〜R5は水素である。別の実施形態において、R11及びR12はエチルであり、R6は水素又はハロゲンであり、R1〜R5は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R11及びR12、並びにこれらが結合した炭素は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成している。別の実施形態において、R11及びR12、並びにこれらが結合した炭素は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、R6は水素又はハロゲンであり、R1〜R5は水素である。別の実施形態において、R11及びR12、並びにこれらが結合した炭素は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、R6は水素又はハロゲンであり、R1〜R5は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R11及びR12はメチルであり、R6はメトキシである。別の実施形態において、R11及びR12はメチルであり、R6はメトキシであり、R1〜R5は水素である。別の実施形態において、R11及びR12はメチルであり、R6はメトキシであり、R1〜R5は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R11及びR12はエチルであり、R6はメトキシである。別の実施形態において、R11及びR12はエチルであり、R6はメトキシであり、R1〜R5は水素である。別の実施形態において、R11及びR12はエチルであり、R6はメトキシであり、R1〜R5は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R11及びR12、並びにこれらが結合した炭素は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、R6はメトキシである。別の実施形態において、R11及びR12、並びにこれらが結合した炭素は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、R6メトキシであり、R1〜R5は水素である。別の実施形態において、R11及びR12、並びにこれらが結合した炭素は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、R6はメトキシであり、R1〜R5は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、qはゼロである。別の実施形態において、qはゼロであり、R9及びR10、並びにこれらが結合した炭素原子は存在しない。別の実施形態において、qはゼロであり、R9及びR10、並びにこれらが結合した炭素原子は存在せず、X及びYは存在しない。別の実施形態において、qはゼロであり、R9及びR10は共にこれらが結合した炭素原子が存在せず、X及びYは存在せず、m、n、o及びpの和は2又は3である。
式Iの化合物を含んでなる医薬品又はその薬理学的に許容される塩も、本発明に係る睡眠調整の方法において用いられる。
他の態様において、本発明は、治療上有効量の式IIの化合物:
又はその医薬として許容される塩(式中、m、n及びoは独立して、0、1、2、3、4、5、又は6であり、Xは、存在しないか、O、S、C(O)、SO又はSO
2であり、R
2、R
3、R
5及びR
6は独立して、H、F、Cl、Br、CF
3、CH
3、CH
2CH
3、CH(CH
3)
2、シクロプロピル、OH、OCH
3、OCF
3、CH
2OCH
3及びCH
2OCH
2CH
3より選択され、R
9及びR
10は独立して、H、C
1、C
2、C
3、C
4、C
5直鎖アルキル、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6分枝アルキルであり、又はR
9及びR
10は、これらが結合した炭素原子と共に、結合してサイズが3、4、5、6、7のスピロ環を形成しており、ZはCOOH、COOR
13(ここでR
13は、C
1、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6アルキルである)、CONHS(O)
2−アルキル、CONHS(O)
2−ヘテロアルキル、CONHS(O)
2−アリール、CONHS(O)
2−ヘテロアリール、S(O)
2NHCO−アルキル、S(O)
2NHCO−ヘテロアルキル、S(O)
2NHCO−アリール、S(O)
2NHCO−ヘテロアリール、CONHS(O)
2N−アルキル、CONHS(O)
2N−ヘテロアルキル、CONHS(O)
2N−アリール、CONHS(O)
2N−ヘテロアリール、又はテトラゾールであり、mがゼロの場合にはXが存在しない)を投与することにより、被検者における睡眠を調節する方法を提供する。
一実施形態において、ZはCO2H又はテトラゾールである。別の実施形態において、ZがCOOHである時、R2、R3、R5、及びR6のうち少なくとも1つと、R9〜R10の少なくとも1つは水素ではない。一実施形態において、oはゼロである。
一実施形態において、ZがCOOHである場合には、R2、R3、R5、R6のうち少なくとも1つと、R9〜R10のうち少なくとも1つは、水素ではない。一実施形態において、R2、R3、及びR5は、それぞれ水素であり、R6は、水素でもハロゲンでもない。一実施形態において、R2、R3、及びR5は、それぞれ水素であり、R6は、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ又はヒドロキシである。
一実施形態において、R2、R3、R5、R6のうち少なくとも2つは水素ではなく、残りのR2、R3、R5、R6は水素である。一実施形態において、R2、R3、R5、R6のうち少なくとも3つは水素ではなく、残りのR2、R3、R5、R6は水素である。一実施形態において、R2は水素ではない。一実施形態において、R3は水素ではない。一実施形態において、R5は水素ではない。一実施形態において、R6は水素ではない。一実施形態において、R3及びR6は水素ではない。別の実施形態において、R2及びR6は水素ではない。別の実施形態において、R3及びR5は水素ではない。
一実施形態において、R9及びR10はそれぞれメチルである。別の実施形態において、R9及びR10はそれぞれエチルである。別の実施形態において、R9及びR10はそれぞれ水素である。
一実施形態において、R9及びR10は、これらが付加した炭素原子と共に結合して、サイズ3、4、5、6、又は7のスピロ環を形成する。例えば、一実施形態において、R9及びR10は、これらが付加した炭素原子と共に結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成する。
一実施形態において、R9及びR10はメチルであり、R6は水素又はハロゲンであり、残りのR2、R3及びR5は水素である。別の実施形態において、R9及びR10はメチルであり、R6は水素又はハロゲンであり、残りのR2、R3及びR5は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R9及びR10はエチルであり、R6は水素又はハロゲンであり、残りのR2、R3及びR5は水素である。別の実施形態において、R9及びR10はエチルであり、R6は水素又はハロゲンであり、残りのR2、R3及びR5は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R9及びR10及びこれらが付加した炭素原子は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成している。別の実施形態において、R9及びR10及びこれらが付加した炭素原子は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、R6は水素又はハロゲンであり、残りのR2、R3及びR5は水素である。別の実施形態において、R9及びR10及びこれらが付加した炭素原子は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、R6は水素又はハロゲンであり、残りのR2、R3及びR5は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態では、化学式IIの化合物において、oはゼロである。別の実施形態では、oはゼロであり、Xは存在しない。別の実施形態では、oはゼロであり、Xは存在せず、m及びnの号英は2又は3である。
式IIの化合物又はその医薬として許容される塩を含む医薬組成物も、本発明の睡眠を調節する化合物において用いられる。
他の態様において、本発明は、治療上有効量の式IIIの化合物:
又はその医薬として許容される塩(式中、m及びnは独立して、0、1、2、3又は4であり、Xは、存在しないか、O又はSであり、R
2、R
3、R
5及びR
6は独立して、H、F、Cl、Br、CF
3、CH
3、OH、CH
2CH
3、CH(CH
3)
2、OCH
3、CH
2OCH
3及びCH
2OCH
2CH
3より選択され、R
9及びR
10は独立して、C
1、C
2、C
3、C
4、C
5直鎖アルキル、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6分枝アルキルであり、又はR
9及びR
10は、これらが結合した炭素原子と共に、結合してサイズが3、4、5、6、7のスピロ環を形成しており、ZはCOOH、CONHS(O)
2−アルキル、CONHS(O)
2−ヘテロアルキル、CONHS(O)
2−アリール、CONHS(O)
2−ヘテロアリール、及びテトラゾールであり、mがゼロの場合にはXが存在しない)を投与することにより、被検者における睡眠を調節する化合物を提供する。
一実施形態において、ZはCO2H又はテトラゾールである。一実施形態において、mはゼロである。一実施形態において、ZがCOOHである場合には、R2、R3、R5、R6のうち少なくとも1つと、R9〜R10のうち少なくとも1つは、水素ではない。一実施形態において、R2、R3、及びR5は、それぞれ水素であり、R6は水素でもハロゲンでもない。一実施形態において、R2、R3、及びR5は、それぞれ水素であり、R6は、メチル、メトキシ、又はヒドロキシである。
一実施形態において、R2、R3、及びR5はそれぞれ水素であり、R6は水素ではない。一実施形態において、R2、R3、及びR5はそれぞれ水素であり、R6はメチル、エチル、イソプロピル、メトキシメチレン、メトキシ、又はヒドロキシである。
一実施形態において、R2、R3、R6、R5のうち少なくとも2つは水素ではなく、残りのR2、R3、R6、R5は水素である。別の実施形態において、R2、R3、R5、R6のうち少なくとも3つは水素ではなく、残りのR2、R3、R5、R6は水素である。一実施形態において、R2は水素ではない。一実施形態において、R3は水素ではない。一実施形態において、R5は水素ではない。一実施形態において、R6は水素ではない。一実施形態において、R3及びR6は水素ではない。別の実施形態において、R2及びR6は水素ではない。別の実施形態において、R3及びR5は水素ではない。
一実施形態において、R9及びR10はそれぞれメチルである。別の実施形態において、R9及びR10はそれぞれエチルである。別の実施形態において、R9及びR10はそれぞれ水素である。
一実施形態において、R9及びR10は、これらが付加した炭素原子と共に結合して、サイズ3、4、5、6、又は7のスピロ環を形成している。例えば、一実施形態において、R9及びR10は、これらが付加した炭素原子と共に結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成している。
一実施形態において、R9及びR10はメチルであり、R6は水素又はハロゲンであり、残りのR2、R3及びR5は水素である。R9及びR10はメチルであり、R6は水素又はハロゲンであり、残りのR2、R3及びR5は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R9及びR10はエチルであり、R6は水素又はハロゲンであり、残りのR2、R3及びR5は水素である。別の実施形態において、R9及びR10はエチルであり、R6は水素又はハロゲンであり、残りのR2、R3及びR5は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R9及びR10及びにこれらが結合した炭素原子は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成している。別の実施形態において、R9及びR10及びこれらが付加した炭素原子は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、R6は水素又はハロゲンであり、残りのR2、R3及びR5は水素である。別の実施形態において、R9及びR10及びこれらが付加した炭素原子は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、R6は水素又はハロゲンであり、残りのR2、R3及びR5は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態では、化学式IIIの化合物において、Xは存在しない。別の実施形態では、Xは存在せず、m及びnの合計は2又は3である。
化学式IIIの化合物又はその医薬として許容される塩を含む医薬組成物も、本発明に係る睡眠調整法において用いられる。
別の態様では、本発明は、式IVの化合物又はその薬理学的に有効な塩に関する。
式中、tは1、2、3、又は4であり;R
2、R
3、R
5及びR
6は独立して、H、F、Cl、Br、CF
3、CH
3、CH
2CH
3、CH(CH
3)
2、OH、OCH
3、CH
2OCH
3、又はCH
2OCH
2CH
3であり;R
9およびR
10は、H、CH
3、CH
2CH
3であるか、又はR
9及びR
10は、それらが付加する炭素と共に結合して3、4、5、6、若しくは7のサイズのスピロ環を形成し;Zは、CO
2H、CONHS(O)
2−アルキル、CONHS(O)
2−シクロアルキル、CONHS(O)
2−ヘテロアルキル、及びテトラゾールから選択され;mが0の場合に、Xは存在しない。
典型的な化合物において、t=1又は2である。
化学式IVの化合物又はその医薬として許容される塩を含む医薬組成物も、本発明に係る睡眠調整法において用いられる。
一実施形態において、Zは、CO2H、スルホンアミド、スルファミド又はテトラゾールである。別の実施形態において、ZがCOOHである場合、R2、R3、及びR5の少なくとも1つ及びR9〜R10の少なくとも1つは水素ではない。
一実施形態において、R9及びR10はそれぞれメチルである。別の実施形態において、R9及びR10はそれぞれエチルである。一実施形態において、R9及びR10及びこれらが付加した炭素原子は結合して、サイズ3、4、5、6、又は7のスピロ環を形成している。別の実施形態において、R9及びR10及びこれらが付加した炭素原子は結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成している。
一実施形態において、R9及びR10はメチルであり、R6は水素、メチル、エチル、イソプロピル、又はハロゲンであり、R2、R3及びR5は水素である。別の実施形態において、R9及びR10はメチルであり、R6は水素又はハロゲンであり、R2、R3及びR5は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R9及びR10はエチルであり、R6は水素、メチル、エチル、イソプロピル、又はハロゲンであり、残りのR2、R3及びR5は水素である。別の実施形態において、R9及びR10はエチルであり、R6は水素又はハロゲンであり、残りのR2、R3及びR5は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R9及びR10及びこれらが付加した炭素原子は結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成している。別の実施形態において、R9及びR10及びこれらが付加した炭素原子は結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、R6は水素、メチル又はハロゲンであり、R2、R3及びR5は水素である。別の実施形態において、R9及びR10及びこれらが付加した炭素原子は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、R6は水素、メチル又はハロゲンであり、R2、R3及びR5は水素であり、ZはCOOHである。
化学式IVの化合物又はその医薬として許容される塩を含む医薬組成物も、本発明に係る睡眠調整法において用いられる。
一実施形態において、化学式IVの化合物は、IVa、IVb、IVc、IVd又はIVeである。
例えば、R
9及びR
10がメチルである場合、化合物は一般的に化学式IVaを有する。
R
9及びR
10が3員スピロ環(シクロプロピル)を形成するよう結合する場合、化合物は一般的に化学式IVbを有する。
R
9及びR
10がエチルである場合、化合物は一般的に化学式IVcを有する。
R
9及びR
10がエチルであり、C
1炭素が3員スピロ環(シクロプロピル)を形成するよう結合する場合、化合物は一般的に化学式IVdを有する。
R
9及びR
10が水素である場合、化合物は一般的に化学式IVeを有する。
本発明の代表的な化合物には、表1にリストされた化合物を含んでなる。
表1 オランザピン誘導体
**環サイズは、R
9及びR
10が付加して3、4、5、6、又は7のスピロ環を形成するよう結合する炭素と共に形成する環のサイズである。例えば、環サイズが3である場合、この環はシクロプロピルである。
代表的化合物は、化合物46である。
一般に、別の態様において、本発明は化学式I〜IVeの睡眠を調整するためのオランザピンアナログに係る。典型的には、化学式I〜IVeの化合物は、副作用を低減して睡眠を調整する。例えば、当該化合物はレム睡眠を妨げず(その結果、これらの化合物により誘導される睡眠はより個人の自然な睡眠サイクルに近くなりうる)、当該化合物の使用はリバウンド不眠を招かず、及び/又は、当該化合物は自発運動活性を阻害せず、体温への悪影響もない。
本発明のオランザピンアナログの試験管条件における(in vitro)選択基準を、表2に示す。
例えば、オフターゲット結合のKiは、H1受容体Kiの50倍の計測値である。ある実施形態においては、オフターゲット結合のKiは、H1受容体Kiの100倍の計測値である。
H1結合(すなわち、主ターゲット結合)、及びM1、M2及びM3結合(すなわち、オフターゲット結合)の計測には、試験管系結合アッセイを用いた。これらの結合アッセイにより、H1、M1、M2、及びM3受容体においてオランザピンアナログが既知標準に代わりうる能力を計測した。ここに、H1はヒスタミン受容体であり、M1、M2、及びM3はコリン(ムスカリン)受容体である。H1及びドーパミン受容体(D1及びD2)、及びH1及びアドレナリン受容体(α1及びα2)について同様のアッセイを実施した。
ヒスタミン受容体H1への結合試験は結合親和性を示すので、これにより結合アッセイの結果からオランザピンアナログ化合物の活性を知ることができる。ムスカリン受容体への結合試験は、当該化合物に抗コリン活性をもたらす、ムスカリン受容体への当該化合物の結合の程度を示す。ムスカリン受容体への結合は、口の渇き等、多くの抗ヒスタミン剤で知られる望ましくない副作用を様々に引き起こす。本発明の化合物はH1受容体への結合と比較してM1〜M3受容体への結合を弱めており、当該化合物がムスカリン受容体よりもヒスタミン受容体への特異性を向上したことを示している。
更に、ヒスタミン受容体への特異性を向上した医薬は、抗コリン性の副作用がより低下したことになる。
本発明のオランザピンアナログ(本願明細書において「供試化合物」又は「本発明の化合物」という参照も同様)のH1結合は、所与の供試化合物、又は一連の供試化合物のH1受容体への特異的結合を計測し、これを既知標準(すなわち参照化合物)の特異的結合と比較することにより決定した。
H1結合アッセイにおいて用いる参照化合物は、例えば、トリプロリジン(Ki 3.3nM)、クロルフェニラミン(Ki 103.0nM)、ピリラミン(Ki 1.9nM)、シクロヘプタジン(Ki 8.5nM)、シメチジン(Ki>10,000)、及びディマプリット(Ki>10,000)を含んでなる。(例えば以下を参照、Changら、Neurochem.、第32巻、1653〜1663ページ、1979年(改変あり);Martinez−Mirら、Brain Res.、第526巻、322〜327ページ、1990年;Haaksmeら、Pharmac. Ther.、第47巻、73〜104ページ、1990年)
例えば、H1結合アッセイの一実施形態においては、H1受容体はウシ細胞膜由来であり、最終リガンド濃度の2.0nM放射性リガンド[3H]ピリミジン(15〜25Ci/mmol)をH1受容体への特異的結合検出に用いた。当該アッセイの特徴は、KD(結合親和性)1.3nM及びBmax(受容体数)6.2fmol/mg組織(湿重量)を含んでなる。トリポリジン(10μM)を、非特異的界面活性剤、参照化合物及びポジティブコントロールとして用いた。結合反応は、50mM Na−KPO4(pH7.5)中、25℃で60分間実施した。当該反応は、グラスファイバーフィルタ上で迅速真空吸引により終了させた。フィルタ上にトラップした放射能レベルを計測し、参照値と比較して、所与の供試化合物とH1結合サイトとの全ての相互作用を確認した。
M1結合アッセイにより、所与の供試化合物のM1への特異的結合を測定し、これを参照化合物の特異的結合と比較して、供試化合物のM1結合を計測した(次を参照:Buckleyら、Mol. Pharmacol.、第35巻、469〜476ページ、1989年(改変あり))。M1結合アッセイに用いる参照化合物には、例えば、スコポラミン、メチルBr(Ki 0.09nM)、4−DAMPメチオジド(Ki 0.27nM)、ピレンゼピン(Ki 2.60nM)、HHSID(Ki 5.00nM)、及びメトクトラミン(Ki 29.70nM)を含んでなる。
例えば、M1結合アッセイの一実施形態においては、M1ムスカリン受容体はCHO細胞に発現したヒト遺伝子組み換えM1であり、最終濃度0.5nMの放射性リガンド[3H]スコポラミン塩化N−メチル(80〜100Ci/mmol)をM1に対する特異的結合の検出に用いた。当該アッセイの特徴は、KD(結合親和性)0.05nM及びBmax(受容体数)4.2pmol/mgタンパクを含んでなる。
(−)−スコポラミン、メチル−、ブロミド(臭化メチルスコポラミン)(1.0μM)を非特異的界面活性剤、参照化合物及びポジティブコントロールとして用いた。
結合反応はPBS中、25℃で60分間実施した。
当該反応は、グラスファイバーフィルタ上で迅速真空吸引により終了させた。
フィルタ上にトラップした放射能レベルを計測し、参照値と比較して、所与の供試化合物とM1結合サイトとの全ての相互作用を確認した。
M2結合アッセイにより、所与の供試化合物のM2への特異的結合を測定し、これを参照化合物の特異的結合と比較して、供試化合物のM2結合を計測した(次を参照:Buckleyら、Mol. Pharmacol.、第35巻、469〜476ページ、1989年(改変あり))。M2結合アッセイに用いる参照化合物には、例えば、スコポラミン、メチルBr(Ki 0.3nM)、4−DAMPメチオジド(Ki 20.7nM)、メトクトラミン(Ki 20.460nM)、HHSID(Ki 212.7nM)、及びピレンゼピン(Ki 832.9nM)を含んでなる。
例えば、M2結合アッセイの一実施形態においては、M2ムスカリン受容体はCHO細胞に発現したヒト遺伝子組み換えM2であり、最終濃度0.5nMの放射性リガンド[3H]スコポラミン塩化N−メチル(80〜100Ci/mmol)をM1に対する特異的結合の検出に用いた。当該アッセイの特徴は、KD(結合親和性)0.29nM及びBmax(受容体数)2.1pmol/mgタンパクを含んでなる。(−)−スコポラミン、メチル−、ブロミド(臭化メチルスコポラミン)(1.0μM)を非特異的界面活性剤、参照化合物及びポジティブコントロールとして用いた。結合反応はPBS中、25℃で60分間実施した。当該反応は、グラスファイバーフィルタ上で迅速真空吸引により終了させた。フィルタ上にトラップした放射能レベルを計測し、参照値と比較して、所与の供試化合物とM2結合サイトとの全ての相互作用を確認した。
M3結合アッセイにより、所与の供試化合物のM3への特異的結合を測定し、これを参照化合物の特異的結合と比較して、供試化合物のM3結合を計測した(次を参照:Buckleyら、Mol. Pharmacol.、第35巻、469〜476ページ、1989年(改変あり))。M3結合アッセイに用いる参照化合物には、例えば、スコポラミン、メチルBr(Ki 0.3nM)、4−DAMPメチオジド(Ki 0.8nM)、HHSID(Ki 14.5nM)、ピレンゼピン(Ki 153.3nM)、及びメトクトラミン(Ki 700.0nM)を含んでなる。
例えば、M3結合アッセイの一実施形態においては、M3ムスカリン受容体はCHO細胞に発現したヒト遺伝子組み換えM3であり、最終濃度0.2nMの放射性リガンド[3H]スコポラミン塩化N−メチル(80〜100Ci/mmol)をM1に対する特異的結合の検出に用いた。当該アッセイの特徴は、KD(結合親和性)0.14nM及びBmax(受容体数)4.0pmol/mgタンパクを含んでなる。(−)−スコポラミン、メチル−、ブロミド(臭化メチルスコポラミン)(1.0μM)を非特異的界面活性剤、参照化合物及びポジティブコントロールとして用いた。結合反応は、10mM MgCl2、1mM EDTAを含む50mM TRIS−HCl(pH7.4)中、25℃で60分間実施した。当該反応は、グラスファイバーフィルタ上で迅速真空吸引により終了させた。フィルタ上にトラップした放射能レベルを計測し、参照値と比較して、所与の供試化合物とM3結合サイトとの全ての相互作用を確認した。
試験管条件における(in vitro)本発明のオランザピンアナログの選択基準を、表3に示す。
例えば、他の試験管条件における本発明のオランザピンアナログの選択基準を、表4に示す。
H1結合及び、M1、M2及びM3結合(オフターゲット結合)は、上述のH1、M1、M2及びM3結合アッセイを用いて計測した。
他の試験管条件における本発明のオランザピンアナログの選択基準は、HERG結合を含んでなる。
主ターゲット結合及びオフターゲット結合を、上述のように計測した。供試化合物による主ターゲット(H1)との結合及び主ターゲット/オフターゲット結合の割り当てが望ましい場合には、哺乳類細胞で発現したクローンhERGチャネルに対する所望の被検物の影響を評価するhERG競合ブロック試験を用いて、HERG結合(オフターゲット結合)を計測した(以下を参照、Brown及びRample、Pharmaceutical News、第7巻、15〜20ページ、2000年;Weirich及びAntoni、Basic Res.Cardiol.、第93巻Suppl.1.125〜132ページ、1998年;Yap及びCamm、Clin. Exp. Allergy,第29巻Suppl.3、174〜181ページ、1999年)。
ヒト心室において迅速な遅延整流電流(IKr)を生じる心臓カリウムチャネルであるhERGのオフターゲット結合を評価した。IKr阻害は非心臓薬による心筋細胞活動電位の延長を起こす最も一般的な原因であるからである(Brown及びRample(2000年)、Weirich及びAntoni(1998年)、Yap及びCamm(1999年)を参照)。心筋細胞活動電位期間が増すと、トルサード・ド・ポワント、すなわち心室性不整脈を伴うQT間隔の延長を引き起こす(Brown及びRample、2000年)。
hERGアッセイにおいて、hERGチャネルは内因性IKrを欠損するヒト胚腎セルライン(HEK293)で発現させた。哺乳類セルラインでの発現は、ツメガエル卵母細胞での一過性の発現よりも好適である。後者はhERGチャネルブロッカーに対して常に10〜100倍低感度だからである(Rampe、1997年を参照)。
hERGアッセイの実施形態において、ポジティブコントロール(すなわち参照化合物)はテルフェナジン(米国ミズリー州セントルイス、Sigma社)であり、濃度60nMにおいてhERG電流を約75%ブロックすることが示された。供試化合物は、0.1%ジメチルスルホキシド(DMSO)を加えたHEPESバッファ/生理食塩水(HB−PS)中に入れた。供試化合物は、それぞれ濃度10μMで、hERGを発現するHEK293細胞(n≧3、ここにnは細胞数)に加えた。細胞は十分な時間被検物に露出して定常状態に落ち着かせたが、10分を超えさせなかった。ポジティブコントロール(60mMテルフェナジン)を2個の細胞(n≧2)に加えた。
次いで、hERG露出細胞はレコーディング用チャンバに移動してHB−PS溶液で超融合した。ホールセルレコーディング用のピペット溶液(mM単位の組成)は、アスパラギン酸カリウム 130mM、MgCl2 5mM、EGTA 5mM、ATP 4mM、及びHEPES 10mMを含んでなり、KOHでpH7.2調整した。供試化合物によるhERG電流の発生及び定常状態を、保持電圧−80mVからの増幅率一定(脱分極:+20mV 2秒、再分極:−50mV 2秒)のパルスパターンを用いて、10秒間隔で繰り返し測定した。ピークのテール電流は、−50mVとなるまで2秒ステップで計測した。供試化合物又はポジティブコントロール化合物を加える前に、定常状態を少なくとも30秒間維持した。ピークテール電流は、新たに定常状態となるまで計測した。
上述の試験管条件における選択基準に加えて、本発明のオランザピンアナログは以下の生理条件における(in vivo)睡眠−覚醒及び生理学的評価を用いて選択した。
(ノンレム睡眠)
雄性Wisterラットの成体において、(i)治療後3時間以内に、ピークノンレム睡眠量が1時間あたり55%を上回り、(ii)薬剤が経口投与された場合、最大の睡眠増強効果をもたらす化合物の用量について、治療後の最初の6時間におけるノンレム睡眠における、睡眠期間の長さで測定されるこのような増大の性質が、累積ノンレム睡眠の正味の総合計(24概日時間前におけるベースラインに対して調整され、プラセボ対照治療等に対する相対値)が20分を下回らない様なものである場合、オランザピンアナログが選択される。
「ノンレムピーク睡眠時間」という用語は、LD12:12(12時間の明時間及び12時間の暗時間)の明暗サイクルで暗室中で飼育したラットにおいて、薬物投与による治療後に、消灯後6時間後である概日時間(CT)18時において見られる、1時間当たりのノンレム睡眠の絶対ピーク量であると定義される。1時間あたり55%のノンレム睡眠の名目基準は、1時間あたり33分間のノンレム睡眠に相当する。
本明細書において用いられる場合、「累積ノンレム睡眠」という用語は、常にではないが、通常治療後の最初の6時間に起こる、薬剤の催眠効果の全期間にわたって測定された、ノンレム睡眠の分数の増大の総合計として定義され、24時間前に記録された、治療を行っていない、一日のうち対応するベースライン時間の間に見られる、プラセボ対照治療等に対するノンレム睡眠の分数の増大の正味の総合計に対して調整される。
本明細書において定義されているように、「睡眠期間」という用語は、ノンレム睡眠、レム睡眠、又はノンレム及びレム睡眠段階の両者を含み、発現の前後が、2回を超える、連続する10秒間の覚醒状態により区切られる、連続的又はほぼ連続的な睡眠の個々の発現を指す。以下の非限定的な説明により、この概念を説明する:WWWWSSSSWSSSSSSSWWSSSSSSSWWWW、ここで、それぞれの文字は、覚醒(S=睡眠、W=覚醒)が有意な状態が、それぞれの10秒間の間観測されたことを示す。測定された睡眠「期間」は、21の10秒間の期間、又は3.5分間である。
(睡眠の増強)
雄性Wisterラットの成体において、(i)最長の連続的な睡眠の発現の絶対的な期間(「睡眠期間」)が13分間以上であり、(ii)治療後の正味の最長睡眠期間が、24概日時間前におけるベースラインに対して調整された場合、プラセボ群に対して3分間以上であり、(iii)全ての睡眠期間の1時間あたりの絶対的な長さの平均が、各時間ごとに5分間以上である場合、オランザピンアナログが選択される。上述の選択基準において、睡眠及び覚醒の段階は、連続する10秒間(例えば、10秒間の睡眠評価「期間」)ごとに決定され、睡眠及び覚醒は、EEG及びEMG基準を用いてポリグラフにより決定され、発現が、連続する2つ以上の10秒間の覚醒期間により中断されるまでの間、睡眠の発現(ノンレム睡眠及び/又はレム睡眠を含む)は、連続する「期間」であると定義されると仮定される。
本明細書において用いられる場合、「睡眠期間の最大長さ」という用語は、単一の最長の睡眠の発現又は治療後所定時間の初期に見られる「発作」の間に、動物が睡眠状態(ノンレム及び/又はレム睡眠段階)に留まっている全分数であると定義される。「睡眠期間の長さ」の測定基準は、睡眠が10秒間継続して観測されることを前提とし、期間を規定する10秒間隔の間の個々の睡眠段階(睡眠段階は、ノンレム睡眠、レム睡眠、又は覚醒状態として定義される)として、主要な状態に基づいて記録され、計算又は他の方法により決定される。
「睡眠期間の平均長さ」という用語は、所定の時間に始まり、それぞれの発現又は発作の個別の期間とは無関係な、睡眠長さの平均(分)であると定義される。
(同時に測定される副作用)
雄性Wisterラットの成体において、これらの化合物が、(i)検知可能な量のリバウンド不眠を生じず、(ii)レム睡眠を明確に阻害せず、(iii)睡眠の通常の効果に対して通常の自発運動及び/又は感覚運動を不均衡に阻害しない場合、オランザピンアナログが選択される。これらの3つの副作用の変数に対するしきい値の定義は下記のとおりである。「リバウンド不眠」とは、睡眠剤又は催眠剤の睡眠促進効果の後に起こる、反動的、逆説的、又は代償的な覚醒期間として定義される。
リバウンド不眠は、通常、治療から6〜18時間後の概日睡眠相の間のCT18時(明−暗12:12の場合において、消灯後6時間)に観測されるが、治療後の最初の30時間の任意の時間において起こりうる。雄性Wisterラットの成体において、治療後の概日睡眠相(点灯時)の間に、リバウンド不眠に関連する過剰な累積的な覚醒が、1時間あたりのノンレム睡眠の回数を10%を超えて減少させる場合、リバウンドは許容されないと見なされる。
雄性Wisterラットの成体において、リバウンド不眠は、ベースライン(24時間前)の対応する回数に対する、薬剤による睡眠誘導効果後の覚醒の増大として現れ、リバウンド不眠は累積値として測定される。
「レム睡眠阻害」とは、治療後のCT18時(消灯後6時間、明−暗12:12)又はCT5時(点灯後5時間、明−暗12:12)における、レム睡眠時間の減少として定義される。CT18時又はCT5時のいずれかに投与された場合に、(プラセボ治療に対して調整されたベースラインに対する相対値で)15分よりも長時間レム睡眠を減少させる化合物は、許容されないと見なされる。
本明細書において定義されているように、「不均衡性自発運動阻害」とは、睡眠に起因する、通常の又は予測される自発運動の低下を上回る自発運動の低下である。論理的には、動物が眠っている場合、通常、それに対応する自発運動の低下が存在する。睡眠性又は催眠性化合物が、睡眠のみで説明できる程度よりも20%を超えて自発運動を低下させる場合、この化合物は許容されないと見なされる。同一の動物において、客観的な睡眠−覚醒測定と同時に行われる限りにおいて、任意の形態の自発運動の監視(非特異的運動、遠隔監視による行動監視、3次元運動検知装置、車回し運動、試験測定、筋電図計測等)を用いて、自発運動(LMA)又は感覚運動を客観的に定量化することができる。
ある実施形態において、動物のケージ内での自発運動は、動物の腹腔内に外科的に埋め込まれた生物遠隔計測装置を用いて計測され、埋め込み可能な装置及び関連する遠隔受信装置により、ケージ内での動物の運動の有無及び程度を検知することができる。睡眠及び覚醒は、10秒間の期間ごとに連続的に測定される。単位時間あたりの自発運動の回数を、併存する同一の単位時間あたりの覚醒量で割ると、当該単位時間あたりの「自発運動強度」(LMAI)が得られる。CT18時(明−暗12:12である場合において、消灯後6時間後)に投与された睡眠性又は催眠性化合物が、睡眠のみで説明できる程度よりもプラセボ比20%を超えて自発運動を低下させる場合、この化合物は許容されないと見なされる。
ある実施形態において、本発明のオランザピンアナログは、表6に示したインビボでの睡眠−覚醒及び生理学的評価基準を用いて選択される。
これらの睡眠−覚醒及び生理学的評価基準を評価する方法は、上述のとおりである。表5の第2列に示した「絶対値」は、各供試化合物について測定された値を意味するが、表5の第3列に示した「変化」値は、絶対値がプラセボとの差である調整された値を反映しており、この場合において、プラセボの値は、ベースラインに対して調整されている。
ある実施形態において、最長睡眠期間は13分間を上回る。他の実施形態において、この期間は17分間を上回る。ある実施形態において、治療後の正味の最長睡眠期間は3分間以上である。他の実施形態において、この期間は6分間以上である。
本発明のオランザピンアナログを選択するために用いられる、インビボでの他の睡眠−覚醒又は生理学的評価基準としては、プラセボに対するベースラインにおける変化としての急性の体温変化及び潜在的な体温変化の測定が挙げられる。急性の体温変化は−0.50℃を超えてはならず、潜在的な体温変化は、1〜6時間で+0.50℃を超えてはならない。急性の体温変化(T1〜6)は、24時間前に測定された、ベースラインに対して調節され、プラセボに対する相対値(プラセボからの減少)である。治療後7〜18時間後に測定された潜在的な体温変化(T7〜18)は、24時間前に測定された、ベースラインに対して調節され、プラセボ群に対する相対値(プラセボからの減少)である。
本発明は、化学式I〜IVの化合物の治療上有効量又はそれらの治療上有効量の塩を被検者に投与ことにより、睡眠を調整する方法を提供する。当該化合物は、睡眠到来時間の短縮、平均連続睡眠長の増加、及び最大連続睡眠長の増加を含んでなる種々の方法で睡眠を調整する。
当該化合物又はその医薬として許容される塩は、経口、経鼻、経皮、経肺、吸引、口内、舌下、腹膜内、静脈内、直腸、胸膜内、腱鞘内、及び非経口的に投与される。一実施形態において、当該化合物は経口投与される。当業者であればを何らかの投与ルートの利点を認識するだろう。
化学式I〜IVの化合物の治療上有効量、又はその塩の治療上有効量を被検者に投与することにより睡眠を調整する方法は、概日リズム異常、不眠症、睡眠時異常行動、睡眠時無呼吸症候群、発作性睡眠、及び睡眠過剰を含んでなる種々の睡眠障害を治療するために用いられる。一実施形態において、当該方法は、時差障害、交代勤務性障害、睡眠相後退症候群、睡眠相前進症候群及び非24時間睡眠覚醒障害等を含んでなる概日リズム異常を治療する。別の実施形態において、当該方法は、外因性不眠症、精神生理学的不眠症、高度不眠症、下肢静止不能症候群、周期的四肢運動障害、薬剤依存性不眠症、薬物依存性不眠症、アルコール依存性不眠症、及び精神疾患に関連する不眠症を含んでなる不眠症の治療に用いられる。
別の実施形態において、当該方法は、夢遊症、夜驚症、レム睡眠行動障害、睡眠時歯ぎしり及び夜尿症を含んでなる睡眠時異常行動を治療する。更に別の実施形態において、当該方法はば中枢型睡眠時無呼吸、閉塞型睡眠時無呼吸、及び混合型睡眠時無呼吸を含んでなる睡眠時無呼吸障害を治療する。加えて、当該方法は、睡眠発作又は過眠症等の他の睡眠障害を治療する。
一実施形態において、化学式I〜IVの化合物はその薬理学的に許容される塩として投与される。
例えば、化合物89は、次に示す化合物89aの薬理学的に許容されるナトリウム塩である。
当業者であれば、薬理学的に許容しうる塩を創製し、適切な塩を同定するための種々の方法を認識するであろう。一実施形態において、当該化合物又はその薬理学的に許容しうる塩は薬理学的組成物を含んでなる。
「被検者」には哺乳類、例えば、ヒト、コンパニオンアニマル(例えば、イヌ、ネコ、鳥及び同等のもの)、農耕動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、ニワトリ及び同等のもの)、及び実験動物(ラット、マウス、モルモット、鳥及び同等のもの)を含んでなる。通常、被検者はヒトである。
治療を必要とする被検者は、被検者が睡眠に至り、かつ/又は睡眠を維持する能力を左右し、かつ/又は再び良好な睡眠に至れないか又は睡眠から回復しない結果となる、睡眠障害を有する。
本願明細書にて用いる用語「睡眠障害」は、当業者に睡眠障害と認識される状態、例えば、睡眠障害として提案され、又は睡眠障害であると見い出された当業者公知の状態を含んでなる。例えば、次を参照:MJ Thorpy、International Classification of Sleep Disorders(再版)、Diagnostic and Coding Manual. American Sleep Disorders Association、米国ミネソタ州Rochester、1997年; ICD−9−CM、 International Classification of Diseases、第9版、Clinical Modification、National Center for Health Statistics、米国ミズリー州Hyattsville。
例えば、睡眠障害は一般的に、内在的外在的及び概日リズム異常等の睡眠障害;覚醒、睡眠覚醒移行障害、及び異常に伴う素早い眼球の動き(REM、レム)及び他の異常行動等の睡眠時異常行動;精神的神経学的及び他の医学的疾患に伴う障害;及び他の睡眠障害に分類されうる。
内在性睡眠障害は、例えば、精神生理性不眠症、睡眠状態誤認、特発性不眠症、睡眠発作、反復性過眠症、特発性過眠症、外傷後過眠症、閉塞性睡眠時無呼吸症候群、中枢型睡眠時無呼吸症候群、周期性四肢運動障害、レストレスレッグ症候群を含んでなる。
外在性睡眠障害は、例えば、不適切な睡眠衛生、環境上睡眠障害、高山不眠症、睡眠調整異常、睡眠不足症候群、限度設定睡眠障害、入眠時随伴障害、食物アレルギー不眠症、夜間摂食(飲水)障害、催眠剤依存性睡眠障害、刺激剤依存睡眠障害、アルコール依存性睡眠障害、及び毒物起因性睡眠障害を含んでなる。
概日リズム睡眠障害は、例えば、時間帯域変化症候群、交代勤務睡眠障、不規則型睡眠・覚醒パターン、睡眠相後退症候群、睡眠相前進症候群、非24時間睡眠覚醒症候群を含んでなる。
覚醒睡眠障害は、例えば、錯乱性覚醒、睡眠時遊行症、及び夜驚症を含んでなる。
睡眠覚醒移行障害は、例えば、律動性運動障害、睡眠時ひきつけ、寝言、及び夜間下肢こむらがえりを含んでなる。
レム睡眠随伴症は、例えば、悪夢、睡眠麻痺、睡眠関連陰茎勃起障害、睡眠関連疼痛性勃起、レム睡眠関連洞停止、及びレム睡眠行動障害を含んでなる。
他の睡眠時随伴症は、例えば、睡眠時歯ぎしり、睡眠時遺尿症、睡眠関連異常嚥下症候群、夜間発作性ジストニア、説明不能の夜間突然死症候群、原発性いびき、乳児睡眠時無呼吸症、先天性虫垂性低換気症候群、乳児突然死症候群、及び良性新生児睡眠時ミオクローヌスを含んでなる。
「睡眠障害」は、他の医学的疾患、疾病又は損傷を有する被検者、又は他の薬剤又は内科療法による治療を受けている被検者においても起こり、その結果、被検者は、入眠及び/又は睡眠の継続が困難であり、又は爽快でない睡眠又は体力の回復がみられない睡眠に悩んでおり、例えば、睡眠不足に悩んでいる。例えば、化学療法、外科手術、又は苦痛か他の物理的傷害の結果として、他の条件での医学治療を受けた後に睡眠が困難になる被検者もいる。
例えば、不安等の精神的神経学的疾患等、中枢神経系(CNS)疾患等、ある種の医学的疾患が、睡眠欠乏等の睡眠障害を構成しうることは当業に周知である。従って、「睡眠障害を治療すること」は、CNS疾患等、他の疾患が構成する睡眠障害を治療することも含んでなる。更に、CNS疾患が構成する睡眠障害を治療することは、疾患に伴う他の症候を改善する有益な効果も有しうる。
例えば、睡眠欠乏と結びついた不安を経験している被検者においては、睡眠欠乏の要素を治療することは不安要素も治療することになる。従って、本発明はこのような医学的疾患を治療する方法も含んでなる。
例えば、精神疾患を伴う睡眠障害には、精神病、気分障害、不安障害、パニック障害、依存症等を含んでなる。特定の精神疾患には、例えば、鬱、強迫性障害、感情神経症/障害、憂鬱神経症/障害、不安神経症、気分変調性障害、行動障害、気分障害、統合失調症、躁鬱病、幻覚及びアルコール依存症を含んでなる。
神経障害を伴う睡眠障害には、例えば、大脳変性性障害、認知症、パーキンソン病、ハンチンソン病、アルツハーマー病、致死性家族性不眠症、睡眠関連てんかん、睡眠時てんかん性発作波重積、睡眠関連頭痛を含んでなる。他の医学的疾患を伴う睡眠障害は、嗜眠病、夜間心虚血、慢性閉塞性肺疾患、睡眠関連喘息、睡眠関連胃食道逆流、消化性潰瘍病、及び結合組織炎症候群を含んでなる。
ある種の状況において、睡眠障害には苦痛を伴う。例えば、下肢静止不能症候群に伴う神経因性疼痛;片頭痛;痛覚過敏、繊維筋痛症疼痛;痛覚過敏等により増大又は過敏である痛みの感受性、カウザルギー及びアロディニア;急性疼痛;熱傷の痛み;複合性局所痛症候群I型及びII型;関節炎;スポーツ障害疼痛;HIV、ポリオ後症候群及び帯状疱疹後疼痛等の感染関連の痛み;幻覚肢痛;産痛;癌疼痛;化学療法後疼痛;脳卒中後中枢性疼痛;手術後疼痛;神経痛;過敏性腸症候群、片頭痛及び狭心症を含んでなる内臓痛を伴う症状、である。
他の睡眠障害には、例えば、短時間睡眠者、長時間睡眠者、亜覚醒症候群、断片型ミオクローヌス、睡眠時多汗症、月経時随伴睡眠障害、妊娠時随伴睡眠障害、恐慌型入眠時幻覚、睡眠関連喉頭けいれん、及び睡眠時窒息症候群を含んでなる。
不眠症は、典型的には、入眠時不眠症(被検者が入眠までに30分以上かかる);睡眠維持不眠症(被検者は睡眠したい期間中に30分以上を覚醒に費やすか、又は、例えば所望の起床時間よりも早く目覚めるのが困難であるか、又は、睡眠に戻れない)に分類される。開示化合物は、入眠及び睡眠維持障害、概日リズム調節障害による不眠症、又はCNS障害による不眠症の治療において特に有効である。一実施形態は、概日リズム調節障害の被検者を治療することである。別の実施形態は、気分障害による不眠症の被検者を治療することである。一実施形態において、睡眠時無呼吸症、夢遊症、夜驚症、下肢静止不能症候群、入眠時不眠症、又は睡眠維持不眠症の被検者が治療される。典型的には、入眠時不眠症、又は睡眠維持不眠症の被検者が治療される。開示化合物は、入眠時不眠症の治療に有効でありうる。開示化合物は、睡眠維持不眠症の治療にも有効でありうる。
本発明を利用する投薬処方は、被検者の型、種、年齢、体重、性別及び医学的条件;治療される状態の重篤さ;投与経路;被検者の腎臓及び肝臓機能;及びそこで用いられる特定の化合物又は塩を含んでなる、種々の要因に従って選択される。通常の技術を有する外科医又は獣医であれば、当該状態の進行を防ぎ、打ち消し、又は停止するために要する薬剤の有効量を直ちに決定し処方しうる。
本発明品の経口投与は、提示した効果のために用いる場合、経口的に約0.05〜5000mg/日の間の範囲でありうる。開示化合物の有効量は、典型的には1日につき約0.01mg/kgから約100mg/kgの範囲であり、典型的1日につきには0.1mg/kgから約10mg/kgの間である。本発明の開示化合物の投与法は次に見られる:Remington、the Science and Practice of Pharmacy、第19版、Mack Publishing Co、米国ペンシルベニア州Easton、1995年。
例えば、ある実施形態において、塩酸、臭素酸、酢酸、過塩素酸等の好適な有機又は無機溶媒で当該化合物を反応させることにより、アミン又は他の塩基を含む化合物の酸性塩が得られる。4級アンモニウム基を伴う化合物は、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、酢酸イオン、過塩素酸イオン等のカウンターアニオンも含んでなる。これらの塩の他の例は、塩酸塩、臭素酸塩、硫酸塩、メタンスルフォナート、硝酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩(例えば、(+)−酒石酸塩、(−)−酒石酸塩、又はラセミ混合物を含んでなるこれらの混合物)、スクシン酸塩、安息香酸塩、及びグルタミン酸等のアミノ酸との塩を含んでなる。
カルボン酸又は他の酸性官能基を含んでなる化合物の塩は、好適な塩基との反応により調整される。このような薬理学的に許容しうる塩は、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モルホリン、ピリジン、ピペリジン、ピコリン、ジクロロrヘキシルアミン、N,N’−ジベンゾエチレンジアミン、2−ヒドロキシエチルアミン、bis−(2−ヒドロキシエチル)アミン、tris−(2−ヒドロキシエチル)アミン、プロカイン、ジベンジルピペリジン、N−ベンジル−β−フェネチルアミン、デヒドロアビエチルアミン、N,N’−ビスデヒドロアビエチルアミン、グルカミン、N−メチルグルカミン、コリジン、キニン、キノリン、及びリジン及びアルギニン等の塩基性アミノ酸等の生理学的に許容しうる有機塩基から作られる塩と同様に、薬理学的に許容しうるカチオン(特にナトリウム及びカリウム)、アルカリ土類金属塩(特にカルシウム及びマグネシウム)、アルミニウム塩及びアンモニウム塩を受け入れる塩基と共に作られる。
一実施形態において、ある化合物とその塩は、例えば水和物のように溶媒和物の形態でも存在する。本願発明は各溶媒和物及びそれらの混合物を含んでなる。
開示化合物及びその塩又は溶媒和物は、例えば「結晶多形」又は「多形」等、1以上の結晶形で存在してもよい。開示化合物の結晶多型は種々の条件下での再結晶により調製される。例えば、種々の再結晶溶媒又は種々の混合溶媒の使用、種々の温度での再結晶、高速から低速の範囲での様々な結晶中冷却モード等である。開示化合物を加熱又は融解した後に、徐々に又は迅速に冷却することで、多形も得られる。多形が生じることは、固体プローブ核磁気共鳴スペクトロスコピー、赤外スペクkトロスコピー、示差走査熱分析、粉末X線回折、及び他の当業公知技術により計測される。
一実施形態において、本願明細書に記載の化合物及びその薬理学的に許容しうる塩は、薬理学的に許容しうるキャリア又はダイリューエントと組合せ、薬理学的調製に用いられる。好適な薬理学的に許容しうるキャリアには、不活性の固体フィラー又はダイリューエント、並びに滅菌した水性又は有機溶媒を含んでなる。当該化合物は、こうした薬理学的に許容しうる組成物中に、本願明細書に記載の範囲で所望の投与量を提供する十分な量で存在しうる。本発明の開示化合物の製剤法及び投与法は次に見られる:Remington、the Science and Practice of Pharmacy(上述)。
典型的には、当該化合物は経口投与用に調製され、開示化合物又はその塩は、カプセル、タブレット、錠剤、粉末、シロップ、溶液、サスペンジョン等に製剤するために、好適な固体又は液体キャリア又はダイリューエントと組合せる。
タブレット、錠剤、カプセル等は、約1〜約99重量%の活性成分及びトランガカントゴム、アラビアガム、コーンスターチ又はゼラチン等の結着剤;リン酸2カルシウム等の賦形剤;コーンスターチ、じゃがいもでんぷん又はアルギニン酸等の分解剤;ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤;及び/又はショ糖、乳糖、サッカリン、キシリトール等の甘味料を含んでなる。服用当量の剤形がカプセルである時には、上述の形式の物質に加えて、脂質等の液体キャリアを含む場合もある。
一実施形態において、服用当量のコーティング又は物理的形態を変更するものとして、種々の他の材料が存在する。例えば、一実施形態において、タブレットはシェラック、砂糖又は両者でコーティングされる。一実施形態において、シロップ又はエリキシル剤は、活性成分に加えて、甘味料としてのショ糖、保存料としてのメチル及びプロピルパラベン、着色料及びチェリー、オレンジ等の香りの香料を含んでなる。
非経口投与に係る実施形態のために、開示化合物又はその塩、溶媒和物又は多形は、滅菌した水溶性又は有機媒体と組合せて、注射用溶液又はサスペンジョンに製剤される。注射用組成物は典型的には水溶性等張溶液又はサスペンジョンである。当該組成物は滅菌してもよく、かつ/又は、保存料、安定剤、保湿剤、乳化剤、溶解促進剤、浸透圧調整用の塩、及び/又は緩衝剤等の補助薬を含んでもよい。加えて、他の治療上の有用な物質を含んでもよい。当該組成物は、通常の混合、粉砕、又は被覆法のそれぞれに従って調製され、約0.1〜70%、典型的には約1〜50%の活性成分を含んでなる。
例えば、注射液は、水溶性の薬理学的に許容しうる当該化合物の塩の水溶液に加えて、ゴマ油、ピーナッツ油又は水溶性プロピレングリコールを用いて作られる。一実施形態において、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、及びこれらの油中混合物において分散剤が調製される。通常の貯蔵及び使用条件下で、これらの調製には微生物の成育を防ぐための保存料を含んでなる。本願明細書に記載の用語「非経口投与」及び「非経口投与された」は、経腸及び局所投与以外の投与モードを意味し、通常は注射であり、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、被膜内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、上皮下、関節内、被膜下、クモ膜下、脊髄内、及び胸骨内を含んでなるが限定しない。
経腸投与に対して好適な薬理学的組成物は、例えば、局所調合品、座薬、又は浣腸剤である。座薬は、脂質乳化剤又はサスペンジョンで調製されるのが好ましい。当該組成物は滅菌され、かつ/又は、保存料、安定剤、保湿剤、乳化剤、溶解促進剤、浸透圧調整用の塩、及び/又は緩衝剤等の補助薬を含んでもよい加えて、他の治療上の有用な物質を含んでもよい。当該組成物は、通常の混合、粉砕、又は被覆法のそれぞれに従って調製され、約0.1〜70%、典型的には約1〜50%の活性成分を含んでなる。
一実施形態において、例えば、手動ポンプスプレー、噴霧器、又は定量噴霧式吸入器により活性成分含有エアロゾル調合を投与する等、当該化合物は活性成分を経肺的に輸送するよう調合される。一実施形態において、このような好適な調合には、開示化合物を有効なエアロゾルに維持するための帯電防止剤等の他の成分も含んでなる。
エアロゾルを輸送するための薬剤輸送装置は、前述の薬理学的エアロゾル調合を含んでなる好適な定量バルブ付きエアロゾル缶、及び前記缶を保持し薬剤輸送するための作動筐体を含んでなる。薬剤輸送装置中の缶は上部スペースを有し、これは缶の全体積の約15%を超える。多くの場合、経肺的投与のために、溶媒、界面活性剤、及びスプレーガスの混合物中には高分子材が溶解、懸濁又は乳化される。混合物は定量バルブで密閉された缶内に加圧保持される。
経鼻投与に対しては、固体又は液体キャリアを用いうる。固体キャリアは、例えば約20〜約500ミクロンの範囲の粒径を有する粗製粉末を含んでなり、当該調合により経鼻経路から迅速吸引投与される。一実施形態において、液体キャリアを用いる調合品が経鼻スプレー又は液滴として投与され、これは活性成分の油又は水溶液を含んでなる。
迅速に服用量を送達する調合もまた意図したものであり、これは「フラッシュ投与」形としても知られている。特に、本願発明の一実施形態は、例えば、約90秒未満、例えば、約30秒未満、又は約10又は15秒未満等、通常は約5分未満の短時間で活性成分を放出する組成物として調合される。このような調合は、例えば体腔内への挿入、又は湿部体表面又は開放創への貼付等の種々の経路を介する患者への投与に好適である。
通常は、「フラッシュ投与」は経口投与される固体服用形であり、これは迅速に口の中で分散するため嚥下に苦労せず、当該化合物は迅速に摂取又は口腔粘膜から吸収される。一実施形態において、好適な迅速分散の服用形態は、外部供給の水分による医薬放出を為しえない傷治療及び他の肉体損傷及び疾病状態を含んでなる他のアプリケーションにも用いられる。
「フラッシュ投与」形は当業公知であり、例えば、米国特許第5578322号及び第5607697号の発泡服用形、不溶性ミクロ粒子の急速放出コーティング;米国特許第4855326号、第5380473号及び第5518730号のメルトスピン服用形;米国特許第6471992号の固体不定形製剤;米国特許第5587172号、第5616344号、第6277406号、及び5622719号の糖類ベースのキャリアマトリクス及び液体バインダー;及び他の当業公知の形態を参照。
本発明のオランザピンアナログは「パルス性放出」調合としても調合され、これは当該アナログを薬理学的組成物から続けて(すなわちパルス的に)放出する。当該オランザピンアナログは「延長放出」調合としても調合され、これは当該アナログを長期間にわたって薬理学的組成物から継続的に放出する。
例えば、円形又は非円形カプセル又はシクロデキストリン、ポリエーテル、又は多糖類(例えばメチルセルロース)等の可溶成分を含んでなる液体、又は典型的にはアルキルエーテルのスペーサ基又は多糖類による親油性空孔から隔離した硫酸ナトリウム基を有するポリアニオン性β−シクロデキストリン誘導体等の形態の調合もまた意図したものである。一実施形態において、当該成分はメチルセルロースである。別の実施形態において、当該成分は、例えばCAPTISOL(登録商標)(米国カンザス州オーバーランド、CyDex社)等の、ブチルエーテルのスペーサ基により親油性空孔から隔離した硫酸ナトリウム塩を有するポリアニオン性β−シクロデキストリン誘導体である。当業の技術を有する者であれば、例えば、溶液40重量%;例えば連続希釈調製により20%、10%、5%、2.5%、0%(参照)等の溶液を作製;当該化合物を過剰添加(当該成分に溶解しうる量に対して);例えば加熱、撹拌、超音波等の適切な条件下で混合;混合物を遠心又はろ過し透明溶液を得る;及び当該溶液を分析し開示化合物の濃度を求めるという、水中での当該成分の溶液調製により好適な成分/開示化合物の調合比率を評価しうる。
上述の治療上の調剤に加えて、本発明の当該化合物を含んでなる治療法は、適宜、1以上の治療法を伴う共同投与、例えば、薬剤又は外科的又は行動治療(例えば、光治療、電気刺激、行動変容、認知療法、概日リズム変容等)を含んでなる。こうした実施は「複合治療」として参照される。複合治療における他の治療又は施術には、例えば、睡眠障害の治療、又は睡眠障害に伴う、任意の睡眠障害又は本願明細書に開示の状況に対する治療等の疾病の治療のために当業にて提案又は発見された当業公知の治療又は施術等、本発明の当該化合物の組合せにおいて上述のように、当業者が認識しうる治療を含んでなる。一実施形態においては、当該化合物は複合治療にて投与されるが、他の実施形態においては単剤療法で投与される。
典型的には、当該化合物は単剤療法として投与される。
当業者であれば、本発明の化合物がターゲットとしているものと同一又は異なるターゲットの障害に対して、本発明の化合物を組合せる治療法が向けられることを認識するであろう。まず、本発明の化合物を投与して他の治療法が続くか、あるいは他の治療法の投薬を最初にしてもよい。他の治療法は、例えば睡眠障害、又は他のCNS障害等、ターゲットである障害の症候を治療し、防止し、又は軽減する、任意の当業公知のものである。加えて、本発明の一実施形態は、ターゲットである障害に対する公知の他の治療法と組合せて投与される化合物を有する。更に、他の治療法は、開示化合物と組合せて投与する場合に患者に有益な成分を含んでなる。
例えば、他の治療法が薬剤である一実施形態では、これは単独の調合として、又は本発明の化合物と同一の調合において投与される。本発明の化合物は、抗ヒスタミン剤、抗菌剤、抗真菌剤、殺菌剤、ホルモン、解熱剤、抗糖尿病剤、気管支拡張剤、下痢止め薬、抗不整脈薬、冠状動脈拡大剤、配糖体、鎮痙薬、降圧薬、抗うつ剤、抗不安薬、他の精神治療薬、ステロイド、コルチコステロイド、鎮痛薬、風邪薬、ビタミン、鎮静薬、催眠薬、避妊薬、非ステロイド系抗炎症薬、血糖低下薬、コレステロール低下薬、抗けいれん剤、他の抗てんかん作用剤、免疫調節薬、抗コリン薬、交感神経遮断薬、交感神経模倣薬、血管拡張剤、抗凝血物質、抗不整脈剤、種々の役知活性を有するプロスタグランジン、利尿薬、睡眠援助、抗ヒスタミン薬、抗ガン剤、抗マラリア剤、抗ライ病剤、及び他の種々の薬剤を含んでなるが限定しない、1以上の市販薬、店頭薬、又は処方箋薬と共に、複合治療において投与される。次を参照:Goodman及びGilman、The Basis of Therapeutics、第8版、米国Pergamon Press,Inc.、1990年、及び、 The Merck Index,第11版、米国Merck & Co.、1989年。
本願明細書に収録の文献及び特許は、これらの出版物又は文献が特異的かつ独自の参照により本願明細書に提示されるかのごとく、全て参照により本願明細書に取り入れられる。出版物及び特許の引用には、適切な従来技術と容認するものが全くないことを意図し、かつ引用により同一内容又は日付と容認する構成も全くない。本発明は書式記載の方法によりここに本願明細書に記載され、当業者であれば、本発明には種々の実施形態における援用が可能であり、後述の記載及び以下の実施例が例示のためであって後述の特許請求の範囲を限定するものではないことを認識するであろう。