JP2009504676A - オランザピンアナログ及びその使用法 - Google Patents

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Abstract

本発明は新規な化合物及び睡眠を調整するためにそれを用いる方法に関する。

Description

本発明は睡眠障害の治療方法及び当該方法に有用な組成物に関する。
入眠又は睡眠継続困難は、種々の理由で起こる重大な医療問題である。場合により、これらの問題は睡眠時無呼吸又は不眠症等の内的状態に起因する。他の場合、これらの問題は交代勤務制の混乱を招く作用及び「時差ボケ」等の、外的ストレスに起因する。内的又は外的原因のいずれにより引き起こされる場合でも、入眠又は睡眠継続困難は、眠気の問題を引き起こす可能性があり、これはその状態に見舞われた人の健康、生活の質及び安全を損なう。
睡眠を誘発するための既存の薬品治療には、ベンゾジアゼピン及びバルビツール酸誘導体等の鎮静薬又は催眠薬が含まれる。これらの治療には、反跳不眠症、所望の鎮静効果の遅発、所望の睡眠期間後の鎮静効果の持続、並びに精神運動及び記憶欠損等の非特異的活性に起因する副作用、筋弛緩、及びレム睡眠阻害を含む睡眠構築の撹乱を包含する多くの欠点がある。更に、鎮静薬及び催眠薬は習慣性になったり、長期間使用後にそれらの有効性を失う可能性があり、人によっては代謝が遅いことがある。
このため、催眠薬の適性が低い場合に、睡眠障害のより緩和な治療として、医師が抗ヒスタミン剤を推奨又は処方することが多い。しかし、多くの抗ヒスタミン剤は、筋緊張及び眼瞼垂下を含め、中枢神経系(CNS)の副作用のみならず、被検者の心電図のQT間隔の延長等、多くの副作用を生じる。最終的に、この種の化合物はムスカリン様受容体に結合でき、これにより、視力障害、口渇、便秘、泌尿器系の問題、眩暈及び不安等、抗コリン作動性の副作用がもたらされる。
その結果、副作用の少ない睡眠障害の治療が必要とされている。加えて、周知の睡眠誘発化合物は、就眠時不眠、すなわち被検者の入眠困難を治療するのに有効であるものの、現在のところ睡眠維持不眠症の治療、すなわち、入眠後の正常睡眠期間中ずっと被検者の睡眠を維持することが示される薬物はない。従って、このような治療を必要とする被検者で睡眠を維持するための薬品治療の改善も必要とされている。
本発明は、オランザピンアナログ、及び睡眠を調整するためのそれらの使用に関する。オランザピン(ZYPREXA(登録商標))は、チエノベンゾジアゼピン類に属し、かつ、分裂病の治療;分裂病での治療応答の維持;単一療法として、並びにジバルプロックス及びリチウムの両者による併用療法にて、躁病発症又は混合型発症を示す被検者での双極性I型障害に関わる急性躁病の治療;更には、双極性障害での維持治療に対する承認を受けている向精神薬である。化学的表記は、2−メチル−4−(4−メチル−1−ピペラジニル)−10H−チエノ[2,3−b][1,5]ベンゾジアゼピンである。オランザピンは、以下の構造を有する。
Figure 2009504676
一態様では、本発明は、被検者に治療上有効量の式Iの化合物、又はその薬理学的に有効な塩を投与することにより、被検者の睡眠を調整する方法に関する。
Figure 2009504676
式中、m、n、o、p、及びqは独立して、整数0、1、2、3、4、5、又は6であり;A及びBは独立して、O、S、NR、又はC(Rであり;X及びYは、それぞれに、存在しないか、O、S、C(O)、SO又はSOであり;R、R、R、R、R、R、R、及びRは独立して、H、F、Cl、Br、OH、CH、C、C、C、C、C直鎖アルキル、C、C、C、C分鎖アルキル、C、C、C、C、Cシクロアルキル、C、C、C、C、Cヘテロシクリル、OCH、OCF、CHOCH、CHCHOCH、CHOCHCH、C、C、C、C、C、Cヒドロキシアルキル、又はC、C、C、C、C、Cアルコキシであり;リンカーのCH基のいずれの水素も、H、F、Cl、OH、Br、CF、CH、C、C、C、C、C直鎖アルキル、C、C、C、C分鎖アルキル、C、C、C、C、Cシクロアルキル、C、C、C、C、Cヘテロシクリル、OCH、OCF、CHOCH、CHCHOCH、CHOCHCH、C、C、C、C、C、Cヒドロキシアルキル、又はC、C、C、C、C、Cアルコキシで任意に置換され;R、R10、R11、及びR12は独立して、H、C、C、C、C、C直鎖アルキル、C、C、C、C、C分鎖アルキルであるか、又はR及びR10は、それらが付加する炭素と共に存在しないか、若しくは結合して3、4、5、6若しくは7のサイズのスピロ環を形成するか、又はR11及びR12は、それらが付加する炭素と共に結合して3、4、5、6、若しくは7のサイズのスピロ環を形成するか、又は異なる2つの炭素原子上の置換基は結合して3、4、5、6、若しくは7のサイズの環を形成し;Zは、COH、CO13(式中、R13はC、C、C、C、C、Cアルキルである);CONR1415(式中、R14及びR15は独立して水素又は低級アルキルである);CONHS(O)−アルキル、CONHS(O)−シクロアルキル、CONHS(O)−ヘテロアルキル、CONHS(O)−アリール、CONHS(O)−ヘテロアリール、S(O)NHCO−アルキル、S(O)NHCO−シクロアルキル、S(O)NHCO−ヘテロアルキル、S(O)NHCO−アリール、S(O)NHCO−ヘテロアリール、CONHS(O)N−アルキル、CONHS(O)N−シクロアルキル、CONHS(O)N−ヘテロアルキル、CONHS(O)N−アリール、CONHS(O)N−ヘテロアリール、SOH、SOH、S(O)NHCO−アルキル、S(O)NHCO−アリール、S(O)NHCO−ヘテロアリール、P(O)(OH)、P(O)OH、
Figure 2009504676
から選択され
mがゼロの場合、Xは存在しない。
一実施形態において、Zはスルホンアミドである。代表的なスルホンアミドとして、アシルスルホンアミドが挙げられる。例えば、Zは次の式でありうる。
Figure 2009504676
式中、Wは、所望のレベルの経口吸収、CNS浸透、及び尿又は胆汁への排泄速度が得られるように、Z部分の極性表面積の効果を調整すべく、必要に応じて選択される置換基である。この目的のために有用なW置換基の例として、アルキル基(任意に二重又は三重結合を含む)、シクロアルキル基(任意に二重結合を含む)、ヘテロシクリル基、アリール基又はヘテロアリール基(両者とも任意に、以下に示すように置換される:
Figure 2009504676
式中、Vは、アシルスルホンアミド部分のpKaを調整すべく、又は化合物の物性又は代謝特性に効奏するように選択される1以上の側鎖である)が挙げられる。V側鎖の例として、F、Cl、又はBr等のハロゲン;OCH又はOCHCH等のC、C、C、C、C、Cアルコキシ基;CH又はCF、シクロプロピル等のC、C、C、C、C、Cアルキル又はC、C、C、C、C、Cシクロアルキル基;CHOCH、又はCHOCHCH等の、ヘテロ原子で置換されたC、C、C、C、C、Cアルキル又はC、C、C、C、C、Cシクロアルキル;CN、ケトン、アミド、又はスルホン等の電子吸引基が挙げられる。
Figure 2009504676
(及びピリジル異性体)、
Figure 2009504676
(及びピリミジン異性体)、並びに
Figure 2009504676
一実施形態において、Zはスルファミドである。代表的なスルファミドとして、アシルスルファミドが挙げられる。例えば、Zは次の式でありうる。
Figure 2009504676
式中、Ra及びRbは、それぞれに、例えばアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基又はヘテロアリール基で、任意に置換されたものである。例として以下のものが挙げられる。
Figure 2009504676
(式中、Vは、F、Cl、又はBr等のハロゲン;OCH又はOCHCH等のC〜Cアルコキシ;CH又はCF、シクロプロピル等のC、C、C、C、C、Cアルキル又はC、C、C、C、C、Cシクロアルキル;CHOCH、又はCHOCHCH等の、ヘテロ原子で置換されたC、C、C、C、C、Cアルキル又はC、C、C、C、C、Cシクロアルキル、;CN、ケトン、アミド、又はスルホン等の電子吸引基)、
Figure 2009504676
(及びピリジル異性体)、
Figure 2009504676
(及びピリミジン異性体)。
一実施形態において、本発明の方法で使用するための式Iの化合物は、以下の特性の1以上を有する:H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が500nM未満である;M1、M2、M3、D1、D2、α1及びα2から選択されるオフターゲットへのオフターゲット結合に関するKiが、1,000nMを上回り、かつ/又はH1受容体に関するKiの10倍より高い;化合物を被検者に投与してから第3時までのノンレムピーク時間値が、1時間当たりのノンレム睡眠の55%を上回る;最高の睡眠固定をもたらす化合物用量に対し、ノンレム睡眠の累積増加合計が20分未満である;最長睡眠時間が13分よりも長期にわたる;被検者への化合物の投与より少なくとも24時間前に得たベースライン値を用いて調整した場合に、治療後の正味の最長睡眠時間が3分以上である;絶対ピークでの平均睡眠期間が5分よりも長い;被検者への化合物の投与が相当な反跳不眠症を生じさせない;被検者への化合物の投与が特段にレム睡眠を阻害しない;並びに被検者への化合物の投与が、睡眠の通常作用に比して不相応に自発運動活性を阻害することがない。
別の実施形態において、本発明の方法で使用するための式Iの化合物は、以下の特性の1以上を有する:H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が300nM未満である;M1、M2、M3、D1、D2、α1及びα2から選択されるオフターゲットへのオフターゲット結合に関するKiが、1μMを上回る;化合物を被検者に投与してから第3時までのノンレムピーク時間値が、1時間当たりのノンレム睡眠の55%を上回る;最高の睡眠固定をもたらす化合物用量に対し、ノンレム睡眠の累積増加合計が20分未満である;最長睡眠時間が13分よりも長期にわたる;被検者への化合物の投与より少なくとも24時間前に得たベースライン値を用いて調整した場合に、治療後の正味の最長睡眠時間が3分以上である;絶対ピークでの平均睡眠期間が5分よりも長い;被検者への化合物の投与が相当な反跳不眠症を生じさせず;被検者への化合物の投与が特段にレム睡眠を阻害しない;並びに被検者への化合物の投与が、睡眠の通常作用に比して不相応に自発運動活性を阻害することがない。
別の実施形態において、本発明の方法で使用するための式Iの化合物は、以下の特性の1以上を有する:H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が150nM未満である;M1、M2、及びM3から選択されるオフターゲットへのオフターゲット結合に関するKiが、10μMを上回る;化合物を被検者に投与してから第3時までのノンレムピーク時間値が、1時間当たりのノンレム睡眠の55%を上回る;最高の睡眠固定をもたらす化合物用量に対し、ノンレム睡眠の累積増加合計が20分未満である;最長睡眠時間が17分よりも長期にわたる;被検者への化合物の投与より少なくとも24時間前に得たベースライン値を用いて調整した場合に、治療後の正味の最長睡眠時間が5分以上である;絶対ピークでの平均睡眠期間が6分よりも長い;被検者への化合物の投与が相当な反跳不眠症を生じさせない;被検者への化合物の投与が特段にレム睡眠を阻害しない;並びに被検者への化合物の投与が、睡眠の通常作用に比して不相応に自発運動活性も運動状態も阻害することがない。
一実施形態では、本発明の方法で使用する化合物において、Rは水素でもハロゲンでもない。別の実施形態では、Rはメチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、メトキシメチレン(CHOCH)、又はヒドロキシである。別の実施形態では、本発明の方法で使用する化合物において、Rはメチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、R、R、R、R、及びRは各々、水素である。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、AはNRである。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、AはNRであり、RはH及びCHから選択される。一実施形態において、RはHである。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、BはO又はSである。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、BはSである。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、R、R、R、R、R、Rの少なくともいずれかは非水素置換基であり、残りのR、R、R、R、R、Rは水素である。別の実施形態において、本発明の方法で使用する化合物で、少なくともいずれかの非水素R、R、R、R、R、Rは、それぞれに、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、R、R、R、R、R、Rの少なくとも2つは非水素置換基であり、残りのR、R、R、R、R、Rは水素である。別の実施形態において、本発明の方法で使用する化合物で、少なくとも2つの非水素R、R、R、R、R、Rは、それぞれに、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、R、R、R、R、R、Rの少なくとも3つは非水素置換基であり、残りのR、R、R、R、R、Rは水素である。別の実施形態において、本発明の方法で使用する化合物で、少なくとも3つの非水素R、R、R、R、R、Rは、それぞれに、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、Rは非水素置換基である。例えば、Rの例として挙げられるのは、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、Rは非水素置換基である。例えば、Rの例として挙げられるのは、メトキシ、メチル、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、Rは非水素置換基である。例えば、Rの例として挙げられるのは、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、Rは非水素置換基である。例えば、Rの例として挙げられるのは、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、R及びRは非水素置換基である。例えば、R及びRの例として挙げられるのは、それぞれに、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、R及びRは非水素置換基である。例えば、R及びRの例として挙げられるのは、それぞれに、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、R及びRは非水素置換基である。例えば、R及びRの例として挙げられるのは、それぞれに、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、R及びRは非水素置換基である。例えば、R及びRの例として挙げられるのは、それぞれに、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、R及びRは非水素置換基である。例えば、R及びRの例として挙げられるのは、それぞれに、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、R及びRは非水素置換基である。例えば、R及びRの例として挙げられるのは、それぞれに、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、Rはメチル又はメトキシであり、R、R、R、R、及びRは水素である。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、Rはメチル又はメトキシであり、R、及びR、R、R、及びRは水素である。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、Rはメチル又はメトキシであり、R、R、及びR、R、Rは水素である。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、Rはメトキシであり、R、R、R、R、及びRは水素である。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、Rはメチル又はメトキシであり、R、R、R、R、及びRは水素である。
一実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、R、R、及びRの少なくともいずれかは水素でない。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、R、R、及びRの少なくともいずれかはフロロ、メチル、又はメトキシである。
一実施形態において、R及びR10は、それらが付加する炭素と共に存在しない。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、R11及びR12は各々、メチルである。別の実施形態において、本発明の方法で使用する化合物で、R11及びR12は各々、エチルである。別の実施形態において、本発明の方法で使用する化合物で、R11及びR12は、それらが付加する炭素と共に結合して3、4、5、6、又は7のサイズのスピロ環を形成する。スピロ環は、例えば、シクロプロピル環である。
一実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、qはゼロである。別の実施形態において、qはゼロであり、R及びR10は、それらが付加する炭素と共に存在しない。別の実施形態において、qはゼロであり、R及びR10は、それらが付加する炭素と共に存在せず、X及びYは存在しない。別の実施形態において、qはゼロであり、R及びR10は、それらが付加する炭素と共に存在せず、X及びYは存在せず、m、n、o、及びpの合計は2又は3である。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物は、化合物1〜106から選択される。例えば、本発明の方法で使用する化合物は、化合物1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、又は106である。別の実施形態において、本発明の方法で使用する化合物は、化合物46である。
一実施形態において、本発明の方法は、式Iの化合物を投与することにより睡眠を調整するために使用され、例えば本方法は、就眠までの時間を短くする、平均睡眠期間長を延ばす、及び/又は最高睡眠期間長を延ばすのに使用する。別の実施形態において、本発明の方法は、式Iの化合物を投与することにより睡眠障害を治療するために使用する。睡眠障害は、例えば、概日リズム異常、不眠症、睡眠随伴症(例えば、夢遊症、夜驚症、レム睡眠行動障害、睡眠時歯ぎしり及び睡眠遺尿症等)、例えば中枢型睡眠時無呼吸、閉塞型睡眠時無呼吸及び混合型睡眠時無呼吸等の睡眠時無呼吸障害、睡眠時無呼吸症候群、睡眠発作又は過眠症である。
一実施形態において、本発明の方法は、概日リズム異常を治療するために使用する。別の実施形態において、本発明の方法は、例えば外因性不眠症、精神心理学的不眠症、高所不眠症、下肢静止不能症候群、周期性四肢運動障害、投薬依存性不眠症、薬物依存性不眠症、アルコール依存性不眠症及び精神障害に伴う不眠症を含む不眠症を治療するために使用する。別の実施形態において、本発明の方法は睡眠時無呼吸を治療するために使用する。別の実施形態において、本発明の方法は睡眠発作を治療するために使用する。別の実施形態において、本発明の方法は過眠症を治療するために使用する。
一実施形態において、本発明の方法で、式Iの化合物、又はその薬理学的に許容される塩を、薬理学的に許容できる賦形剤を含む医薬組成物として投与する。
別の実施形態において、本発明の方法で、式Iの化合物、又はその薬理学的に許容される塩を、1以上の付加的療法と併用する。
別の実施形態において、本発明の方法によって治療される被検者は、ヒト、コンパニオンアニマル、家畜、実験動物及び野生動物から選択される。一実施形態において、被検者はヒトである。
別の態様では、本発明は、被検者に治療上有効量の式IIの化合物、又はその薬理学的に有効な塩を投与することにより、被検者の睡眠を調整する方法に関する:
Figure 2009504676
式中、m、n、及びoは独立して、0、1、2、3、4、5、又は6であり、Xは存在しないか、O、S、C(O)、SO又はSOであり;R、R、R、及びRは独立して、H、F、Cl、Br、OH、CF、CH、CHCH、CH(CH、シクロプロピル、OCH、OCF、CHOCH及びCHOCHCHから選択され;R、及びR10は独立して、H、C、C、C、C、C直鎖アルキル、C、C、C、C、C分鎖アルキルであるか、又はR及びR10は、それらが付加する炭素と共に結合して、3、4、5、6、若しくは7のサイズのスピロ環を形成し;ZはCOOH、COOR13(式中、R13は、C、C、C、C、C、Cアルキルである)、CONHS(O)−アルキル、CONHS(O)−ヘテロアルキル、CONHS(O)−アリール、CONHS(O)−ヘテロアリール、S(O)NHCO−アルキル、S(O)NHCO−ヘテロアルキル、S(O)NHCO−アリール、S(O)NHCO−ヘテロアリール、CONHS(O)N−アルキル;CONHS(O)N−ヘテロアルキル;CONHS(O)N−アリール;CONHS(O)N−ヘテロアリール;又はテトラゾールであり、mがゼロの場合に、Xは存在しない。
一実施形態において、本発明の方法で使用するための式IIの化合物は、以下の特性の1以上を有する:H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が500nM未満である;M1、M2、M3、D1、D2、α1及びα2から選択されるオフターゲットへのオフターゲット結合に関するKiが、1,000nMを上回り、かつ/又はH1受容体に関するKiの10倍より高い;化合物を被検者に投与してから第3時までのノンレムピーク時間値が、1時間当たりのノンレム睡眠の55%を上回る;最高の睡眠固定をもたらす化合物用量に対し、ノンレム睡眠の累積増加合計が20分未満である;最長睡眠時間が13分よりも長期にわたる;被検者への化合物の投与より少なくとも24時間前に得たベースライン値を用いて調整した場合に、治療後の正味の最長睡眠時間が3分以上である;絶対ピークでの平均睡眠期間が5分よりも長い;被検者への化合物の投与が相当な反跳不眠症を生じさせない;被検者への化合物の投与が特段にレム睡眠を阻害しない;並びに被検者への化合物の投与が、睡眠の通常作用に比して不相応に自発運動活性を阻害することがない。
別の実施形態において、本発明の方法で使用するための式IIの化合物は、以下の特性の1以上を有する:H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が300nM未満である;M1、M2、M3、D1、D2、α1及びα2から選択されるオフターゲットへのオフターゲット結合に関するKiが、1μMを上回る;化合物を被検者に投与してから第3時までのノンレムピーク時間値が、1時間当たりのノンレム睡眠の55%を上回る;最高の睡眠固定をもたらす化合物用量に対し、ノンレム睡眠の累積増加合計が20分未満である;最長睡眠時間が13分よりも長期にわたる;被検者への化合物の投与より少なくとも24時間前に得たベースライン値を用いて調整した場合に、治療後の正味の最長睡眠時間が3分以上である;絶対ピークでの平均睡眠期間が5分よりも長い;被検者への化合物の投与が相当な反跳不眠症を生じさせない;被検者への化合物の投与が特段にレム睡眠を阻害しない;並びに被検者への化合物の投与が、睡眠の通常作用に比して不相応に自発運動活性を阻害することがない。
別の実施形態において、本発明の方法で使用するための式IIの化合物は、以下の特性の1以上を有する:H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が150nM未満である;M1、M2、及びM3から選択されるオフターゲットへのオフターゲット結合に関するKiが、10μMを上回る;化合物を被検者に投与してから第3時までのノンレムピーク時間値が、1時間当たりのノンレム睡眠の55%を上回る;最高の睡眠固定をもたらす化合物用量に対し、ノンレム睡眠の累積増加合計が20分未満である;最長睡眠時間が17分よりも長期にわたる;被検者への化合物の投与より少なくとも24時間前に得たベースライン値を用いて調整した場合に、治療後の正味の最長睡眠時間が5分以上である;絶対ピークでの平均睡眠期間が6分よりも長い;被検者への化合物の投与が相当な反跳不眠症を生じさせない;被検者への化合物の投与が特段にレム睡眠を阻害しない;並びに被検者への化合物の投与が、睡眠の通常作用に比して不相応に自発運動活性も運動状態も阻害することがない。
一実施形態において、本発明の方法で使用する式IIの化合物で、Rはメチルでない。一実施形態において、本発明の方法で使用する式IIの化合物で、Rはメチルである。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIの化合物で、Rはメトキシ、メトキシメチレン、ブロモ、フロロ、メチル、エチル、イソプロピル、又はヒドロキシである。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIの化合物で、R〜R及びRは、各々水素である。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIの化合物で、R〜R及びR〜Rは、それぞれに、水素、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIの化合物で、Rは非水素置換基である。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIの化合物で、Rは非水素置換基である。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIの化合物で、Rは非水素置換基である。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIの化合物で、Rは非水素置換基である。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIの化合物で、R及びRは非水素置換基である。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIの化合物で、R及びRは非水素置換基である。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIの化合物で、R及びRは非水素置換基である。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIの化合物で、R及びRは非水素置換基である。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIの化合物で、R及びRは非水素置換基である。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIの化合物で、R及びRは非水素置換基である。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIの化合物で、Rはメチル又はメトキシであり、R、R及びRは水素である。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIの化合物で、Rはメチル又はメトキシであり、R、R及びRは水素である。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIの化合物で、Rはメチルであり、R、R及びRは水素である。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIの化合物で、式中Rはメトキシであり、R、R及びRは水素である。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIの化合物で、R及びR10は、各々メチルである。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIの化合物で、R及びR10は、各々エチルである。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIの化合物で、R及びR10は、それらが付加する炭素と共に結合して3、4、5、6、若しくは7のサイズのスピロ環を形成する。例えば、スピロ環の例として挙げられるのは、シクロプロピル環である。
一実施形態において、本発明の方法で使用する式IIの化合物で、oはゼロである。別の実施形態において、oはゼロであり、Xは存在しない。別の実施形態において、oはゼロであり、Xは存在せず、m及びnの合計は2又は3である。
一実施形態において、本発明の方法は、式IIの化合物を投与することにより睡眠を調整するために使用され、例えば、本方法は、就眠までの時間を短くする、平均睡眠期間長を延ばす、及び/又は最高睡眠期間長を延ばすのに使用する。別の実施形態において、本発明の方法は、式IIの化合物を投与することにより睡眠障害を治療するために使用される。睡眠障害は、例えば、概日リズム異常、不眠症、睡眠随伴症、睡眠時無呼吸症候群、睡眠発作又は過眠症である。
別の態様では、本発明は、被検者に治療上有効量の式IIIの化合物、又はその薬理学的に有効な塩を投与することにより、被検者の睡眠を調整する方法に関する:
Figure 2009504676
式中、m及びnは独立して、0、1、2、3、又は4であり、Xは存在しないか、O、S、C(O)、SO又はSOであり;R、R、R、及びRは独立して、H、F、Cl、Br、OH、CF、CH、CHCH、CH(CH、OCH、CHOCH、及びCHOCHCHから選択され;R、及びR10は独立して、H、C、C、C、C、C直鎖アルキル;C、C、C、C、C分鎖アルキルであるか、又はR及びR10は、それらが付加する炭素と共に結合して3、4、5、6、若しくは7のサイズのスピロ環を形成し;ZはCOH、CONHS(O)−アルキル、CONHS(O)−シクロアルキル、CONHS(O)−ヘテロアルキル、CONHS(O)−アリール、CONHS(O)−ヘテロアリール、及びテトラゾールから選択され;mがゼロの場合に、Xは存在しない。
一実施形態において、本発明の方法で使用するための式IIIの化合物は、以下の特性の1以上を有する:H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が500nM未満である;M1、M2、M3、D1、D2、α1及びα2から選択されるオフターゲットへのオフターゲット結合に関するKiが、1,000nMを上回り、かつ/又はH1受容体に関するKiの10倍より高い;化合物を被検者に投与してから第3時までのノンレムピーク時間値が、1時間当たりのノンレム睡眠の55%を上回る;最高の睡眠固定をもたらす化合物用量に対し、ノンレム睡眠の累積増加合計が20分未満である;最長睡眠時間が13分よりも長期にわたる;被検者への化合物の投与より少なくとも24時間前に得たベースライン値を用いて調整した場合に、治療後の正味の最長睡眠時間が3分以上である;絶対ピークでの平均睡眠期間が5分よりも長い;被検者への化合物の投与が相当な反跳不眠症を生じさせない;被検者への化合物の投与が特段にレム睡眠を阻害しない;並びに被検者への化合物の投与が、睡眠の通常作用に比して不相応に自発運動活性を阻害することがない。
別の実施形態において、本発明の方法で使用するための式IIIの化合物は、以下の特性の1以上を有する:H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が300nM未満である;M1、M2、M3、D1、D2、α1及びα2から選択されるオフターゲットへのオフターゲット結合に関するKiが、1μMを上回る;化合物を被検者に投与してから第3時までのノンレムピーク時間値が、1時間当たりのノンレム睡眠の55%を上回る;最高の睡眠固定をもたらす化合物用量に対し、ノンレム睡眠の累積増加合計が20分未満である;最長睡眠時間が13分よりも長期にわたる;被検者への化合物の投与より少なくとも24時間前に得たベースライン値を用いて調整した場合に、治療後の正味の最長睡眠時間が3分以上である;絶対ピークでの平均睡眠期間が5分よりも長い;被検者への化合物の投与が相当な反跳不眠症を生じさせない;被検者への化合物の投与が特段にレム睡眠を阻害しない;並びに被検者への化合物の投与が、睡眠の通常作用に比して不相応に自発運動活性を阻害することがない。
別の実施形態において、本発明の方法で使用するための式IIIの化合物は、以下の特性の1以上を有する:H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が150nM未満である;M1、M2、及びM3から選択されるオフターゲットへのオフターゲット結合に関するKiが、10μMを上回る;化合物を被検者に投与してから第3時までのノンレムピーク時間値が、1時間当たりのノンレム睡眠の55%を上回る;最高の睡眠固定をもたらす化合物用量に対し、ノンレム睡眠の累積増加合計が20分未満である;最長睡眠時間が17分よりも長期にわたる;被検者への化合物の投与より少なくとも24時間前に得たベースライン値を用いて調整した場合に、治療後の正味の最長睡眠時間が5分以上である;絶対ピークでの平均睡眠期間が6分よりも長い;被検者への化合物の投与が相当な反跳不眠症を生じさせない;被検者への化合物の投与が特段にレム睡眠を阻害しない;並びに被検者への化合物の投与が、睡眠の通常作用に比して不相応に自発運動活性も運動状態も阻害することがない。
一実施形態において、本発明の方法で使用する式IIIの化合物で、RはH、F、Cl、ではなくBrでもない。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIIの化合物で、R、R、及びRは水素である。別の実施形態において、R、R、及びRは水素である。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIIの化合物で、R、R、R、及びRは、それぞれに、H、F、Cl、Br、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、メトキシメチレン又はヒドロキシである。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIIの化合物で、Rはメトキシ又はメチルである。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIIの化合物で、Rはメトキシ又はメチルであり、R、R及びRは水素である。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIIの化合物で、Rはメチル又はメトキシであり、R、R及びRは水素である。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIIの化合物で、Rはメチルであり、R、R及びRは水素である。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIIの化合物で、式中Rはメトキシであり、R、R及びRは水素である。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIIの化合物で、R及びR10は、各々メチルである。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式IIIの化合物で、R及びR10は、それらが付加する炭素と共に結合して3のサイズのスピロ環を形成する。一実施形態において、本発明の方法で使用する式IIIの化合物で、Xは存在しない。別の実施形態において、Xは存在せず、m及びnの合計は2又は3である。
一実施形態において、本発明の方法は、式IIIの化合物を投与することにより睡眠を調整するために使用され、例えば本方法は、就眠までの時間を短くする、平均睡眠期間長を延ばす、及び/又は最高睡眠期間長を延ばすのに使用する。別の実施形態において、本発明の方法は、式IIIの化合物を投与することにより睡眠障害を治療するために使用される。睡眠障害は、例えば、概日リズム異常、不眠症、睡眠随伴症、睡眠時無呼吸症候群、睡眠発作又は過眠症である。
別の態様では、本発明は、被検者に治療上有効量の式IVの化合物、又はその薬理学的に有効な塩を投与することにより、被検者の睡眠を調整する方法に関する:
Figure 2009504676
式中、tは、1、2、3、又は4であり;R、R、R及びRは独立して、H、F、Cl、Br、CF、CH、CHCH、CH(CH、OH、OCH、CHOCH、又はCHOCHCHであり;RおよびR10はH、CH、CHCHであるか、又はR及びR10は、それらが付加する炭素と共に結合して3、4、5、6、若しくは7のサイズのスピロ環を形成し;ZはCOH、CONHS(O)−アルキル、CONHS(O)−シクロアルキル、CONHS(O)−ヘテロアルキル、CONHS(O)−アリール、CONHS(O)−ヘテロアリール、又はテトラゾールから選択される。
一実施形態において、本発明の方法で使用するための式IVの化合物は、以下の特性の1以上を有する:H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が500nM未満である;M1、M2、M3、D1、D2、α1及びα2から選択されるオフターゲットへのオフターゲット結合に関するKiが、1,000nMを上回り、かつ/又はH1受容体に関するKiの10倍より高い;化合物を被検者に投与してから第3時までのノンレムピーク時間値が、1時間当たりのノンレム睡眠の55%を上回る;最高の睡眠固定をもたらす化合物用量に対し、ノンレム睡眠の累積増加合計が20分未満である;最長睡眠時間が13分よりも長期にわたる;被検者への化合物の投与より少なくとも24時間前に得たベースライン値を用いて調整した場合に、治療後の正味の最長睡眠時間が3分以上である;絶対ピークでの平均睡眠期間が5分よりも長い;被検者への化合物の投与が相当な反跳不眠症を生じさせない;被検者への化合物の投与が特段にレム睡眠を阻害しない;並びに被検者への化合物の投与が、睡眠の通常作用に比して不相応に自発運動活性を阻害することがない。
別の実施形態において、本発明の方法で使用するための式IVの化合物は、以下の特性の1以上を有する:H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が300nM未満である;M1、M2、M3、D1、D2、α1及びα2から選択されるオフターゲットへのオフターゲット結合に関するKiが、1μMを上回る;化合物を被検者に投与してから第3時までのノンレムピーク時間値が、1時間当たりのノンレム睡眠の55%を上回る;最高の睡眠固定をもたらす化合物用量に対し、ノンレム睡眠の累積増加合計が20分未満である;最長睡眠時間が13分よりも長期にわたる;被検者への化合物の投与より少なくとも24時間前に得たベースライン値を用いて調整した場合に、治療後の正味の最長睡眠時間が3分以上である;絶対ピークでの平均睡眠期間が5分よりも長い;被検者への化合物の投与が相当な反跳不眠症を生じさせない;被検者への化合物の投与が特段にレム睡眠を阻害しない;並びに被検者への化合物の投与が、睡眠の通常作用に比して不相応に自発運動活性を阻害することがない。
別の実施形態において、本発明の方法で使用するための式IVの化合物は、以下の特性の1以上を有する:H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が150nM未満である;M1、M2、及びM3から選択されるオフターゲットへのオフターゲット結合に関するKiが、10μMを上回る;化合物を被検者に投与してから第3時までのノンレムピーク時間値が、1時間当たりのノンレム睡眠の55%を上回る;最高の睡眠固定をもたらす化合物用量に対し、ノンレム睡眠の累積増加合計が20分未満である;最長睡眠時間が17分よりも長期にわたる;被検者への化合物の投与より少なくとも24時間前に得たベースライン値を用いて調整した場合に、治療後の正味の最長睡眠時間が5分以上である;絶対ピークでの平均睡眠期間が6分よりも長い;被検者への化合物の投与が相当な反跳不眠症を生じさせない;被検者への化合物の投与が特段にレム睡眠を阻害しない;並びに被検者への化合物の投与が、睡眠の通常作用に比して不相応に自発運動活性も運動状態も阻害することがない。
一実施形態において、本発明の方法で使用する式IVの化合物で、tは1又は2である。一実施形態において、本発明の方法で使用する式IVの化合物は、式IVa、IVb、IVc、IVd、及びIVeの化合物から選択される。
一実施形態において、本発明の方法は、式IVの化合物を投与することにより睡眠を調整するために使用され、例えば本方法は、就眠までの時間を短くする、平均睡眠期間長を延ばす、及び/又は最高睡眠期間長を延ばすのに使用する。別の実施形態において、本発明の方法は、式IVの化合物を投与することにより睡眠障害を治療するために使用される。睡眠障害は、例えば、概日リズム異常、不眠症、睡眠随伴症、睡眠時無呼吸症候群、睡眠発作又は過眠症である。
別の態様では、本発明は、被検者に化合物1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、又は106から選択される治療上有効量の化合物を投与することにより、被検者の睡眠を調整する方法に関する。別の態様では、本発明は、被検者に治療上有効量の化合物46を投与することにより、被検者の睡眠を調整する方法に関する。
別の態様では、本発明は、式Iの化合物又はその薬理学的に有効な塩に関する。
Figure 2009504676
式中、m、n、o、p、qは独立して、0、1、2、3、4、5、又は6の整数であり;A及びBは独立して、O、S、NR、又はC(Rであり;X及びYは独立して、存在しないか、O、S、C(O)、SO又はSOであり;R、R、R、R、R、R、R、及びRは独立して、H、F、Cl、Br、OH、CH、C、C、C、C、C直鎖アルキル、C、C、C、C分鎖アルキル、C、C、C、C、Cシクロアルキル、C、C、C、C、Cヘテロシクリル、OCH、OCF、CHOCH、CHCHOCH、CHOCHCH、C、C、C、C、C、Cヒドロキシアルキル、又はC、C、C、C、C、Cアルコキシであり;リンカーのCH基のいずれの水素もH、F、Cl、OH、Br、CF、CH、C、C、C、C、C直鎖アルキル、C、C、C、C分鎖アルキル、C、C、C、C、Cシクロアルキル、C、C、C、C、Cヘテロシクリル、OCH、OCF、CHOCH、CHCHOCH、CHOCHCH、C、C、C、C、C、Cヒドロキシアルキル、又はC、C、C、C、C、Cアルコキシで任意に置換され;R、R10、R11、及びR12は独立して、H、C、C、C、C、C直鎖アルキル、C、C、C、C、C分鎖アルキルであるか、又はR及びR10は、それらが付加する炭素と共に、存在しないか又は結合して3、4、5、6、若しくは7のサイズのスピロ環を形成するか、又はR11及びR12は、それらが付加する炭素と共に結合して3、4、5、6、若しくは7のサイズのスピロ環を形成するか、又は異なる2つの炭素原子上の置換基は結合して3、4、5、6、又は7のサイズの環を形成し;ZはCOH、CO13(式中、R13は、C、C、C、C、C、Cアルキルである)、CONR1415(式中、R14及びR15は独立して水素又は低級アルキルである)、CONHS(O)−アルキル、CONHS(O)−シクロアルキル、CONHS(O)−ヘテロアルキル、CONHS(O)−アリール、CONHS(O)−ヘテロアリール、S(O)NHCO−アルキル、S(O)NHCO−シクロアルキル、S(O)NHCO−ヘテロアルキル、S(O)NHCO−アリール、S(O)NHCO−ヘテロアリール、CONHS(O)N−アルキル、CONHS(O)N−シクロアルキル、CONHS(O)N−ヘテロアルキル、CONHS(O)N−アリール、CONHS(O)N−ヘテロアリール、SOH、SOH、S(O)NHCO−アルキル、S(O)NHCO−アリール、S(O)NHCO−ヘテロアリール、P(O)(OH)、P(O)OH、
Figure 2009504676
から選択され
mがゼロの場合に、Xは存在しない。
一実施形態において、Zはスルホンアミドである。代表的なスルホンアミドとして、アシルスルホンアミドが挙げられる。
例えば、Zは式:
Figure 2009504676
を有することができ、式中、Wは、所望のレベルの経口吸収、CNS浸透、及び尿又は胆汁への排泄速度が得られるように、Z部分の極性表面積の効果を調整すべく、必要に応じて選択される置換基である。この目的のために有用なW置換基の例として、アルキル基(任意に二重又は三重結合を含む)、シクロアルキル基(任意に二重結合を含む)、ヘテロシクリル基、アリール基又はヘテロアリール基(両者とも任意に、以下に示すように置換される:
Figure 2009504676
式中、Vは、アシルスルホンアミド部分のpKaを調整すべく、又は化合物の物性又は代謝性に効奏するように選択される1以上の側鎖である)が挙げられる。V側鎖の例として、F、Cl、又はBr等のハロゲン;OCH又はOCHCH等のC、C、C、C、C、Cアルコキシ基;CH又はCF、シクロプロピル等のC、C、C、C、C、Cアルキル又はC、C、C、C、C、Cシクロアルキル基;CHOCH、又はCHOCHCH等の、ヘテロ原子で置換されたC、C、C、C、C、Cアルキル又はC、C、C、C、C、Cシクロアルキル;CN、ケトン、アミド、又はスルホン等の電子吸引基が挙げられる。
Figure 2009504676
(及びピリジル異性体)、
Figure 2009504676
(及びピリミジン異性体)、並びに
Figure 2009504676
一実施形態において、Zはスルファミドである。代表的なスルファミドとして、アシルスルファミドが挙げられる。例えば、Zは以下の式:
Figure 2009504676
(式中、Ra及びRbは独立して、例えばアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基又はヘテロアリール基で、任意に置換されたものである)を有することができる。例として以下のものが挙げられる:
Figure 2009504676
(式中、Vは、F、Cl、又はBr等のハロゲン;OCH又はOCHCH等のC、C、C、C、C、Cアルコキシ;CH又はCF、シクロプロピル等のC、C、C、C、C、Cアルキル又はC、C、C、C、C、Cシクロアルキル;CHOCH、又はCHOCHCH等の、ヘテロ原子で置換されたC、C、C、C、C、Cアルキル又はC、C、C、C、C、Cシクロアルキル;CN、ケトン、アミド、又はスルホン等の電子吸引基である)、
Figure 2009504676
(及びピリジル異性体)、
Figure 2009504676
(及びピリミジン異性体)。
一実施形態において、式Iの化合物で、Rは水素でもハロゲンでもない。別の実施形態において、式Iの化合物で、Rは、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ、又はヒドロキシである。
別の実施形態において、式Iの化合物で、R、R、R、R、及びRは、各々水素である。別の実施形態において、式Iの化合物で、R、R、R、R、R、及びRの少なくともいずれかは非水素置換基であり、残りのR、R、R、R、R、及びRは水素である。別の実施形態において、少なくともいずれかの非水素R、R、R、R、R、及びRは、それぞれに、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。別の実施形態において、式Iの化合物で、R、R、R、R、R、及びRの少なくとも2つは非水素置換基であり、残りのR、R、R、R、R、及びRは水素である。別の実施形態において、少なくとも2つの非水素R、R、R、R、R、及びRは、それぞれに、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。別の実施形態において、式Iの化合物で、R、R、R、R、R、及びRの少なくとも3つは非水素置換基であり、残りのR、R、R、R、R、及びRは水素である。別の実施形態において、少なくとも3つの非水素R、R、R、R、R、及びRは、それぞれに、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、AはNRである。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、AはNRであり、RはH及びCHから選択される。一実施形態において、RはHである。
別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、BはO又はSである。別の実施形態において、本発明の方法で使用する式Iの化合物で、BはSである。
別の実施形態において、式Iの化合物で、Rは非水素置換基である。例えば、Rの例として挙げられるのは、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。別の実施形態において、式Iの化合物で、Rは非水素置換基である。例えば、Rの例として挙げられるのは、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。別の実施形態において、式Iの化合物で、Rは非水素置換基である。例えば、Rの例として挙げられるのは、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。別の実施形態において、式Iの化合物で、Rは非水素置換基である。例えば、Rの例として挙げられるのは、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。
別の実施形態において、式Iの化合物で、R及びRは非水素置換基である。例えば、R及びRの例として挙げられるのは、それぞれに、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。別の実施形態において、式Iの化合物で、R及びRは非水素置換基である。例えば、R及びRの例として挙げられるのは、それぞれに、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。別の実施形態において、式Iの化合物で、R及びRは非水素置換基である。例えば、R及びRの例として挙げられるのは、それぞれに、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。別の実施形態において、式Iの化合物で、R及びRは非水素置換基である。例えば、R及びRの例として挙げられるのは、それぞれに、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。別の実施形態において、式Iの化合物で、R及びRは非水素置換基である。例えば、R及びRの例として挙げられるのは、それぞれに、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。別の実施形態において、式Iの化合物で、R及びRは非水素置換基である。例えば、R及びRの例として挙げられるのは、それぞれに、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。
別の実施形態において、式Iの化合物で、Rはメトキシであり、R〜Rは水素である。別の実施形態において、式Iの化合物で、Rはメチル又はメトキシであり、R、及びR〜Rは水素である。別の実施形態において、式Iの化合物で、Rはメチルであり、R〜R、及びR〜Rは水素である。別の実施形態において、式Iの化合物で、Rはメトキシであり、R〜R、及びRは水素である。
一実施形態において、R、R、及びRの少なくともいずれかは水素でない。別の実施形態において、R、R、及びRの少なくともいずれかは、フロロ、メチル、エチル、イソプロピル、又はメトキシである。
一実施形態において、R及びR10は、それらが付加する炭素と共に存在しない。別の実施形態において、式Iの化合物で、R11及びR12は、各々メチルである。別の実施形態において、R11及びR12は、各々エチルである。別の実施形態において、R11及びR12は、それらが付加する炭素と共に結合して3、4、5、6、若しくは7のサイズのスピロ環を形成する。スピロ環は、例えば、シクロプロピル環である。
一実施形態において、qはゼロである。別の実施形態において、qはゼロであり、R及びR10は、それらが付加する炭素と共に存在しない。別の実施形態において、qはゼロであり、R及びR10は、それらが付加する炭素と共に存在せず、X及びYは存在しない。別の実施形態において、qはゼロであり、R及びR10は、それらが付加する炭素と共に存在せず、X及びYは存在せず、m、n、o、及びpの合計は2又は3である。別の実施形態において、式Iの化合物は、化合物1〜106から選択される。別の実施形態において、式Iの化合物は化合物46である。
別の態様では、本発明は、式IIの化合物又はその薬理学的に有効な塩に関する。
Figure 2009504676
式中、m、n、及びoは独立して、0、1、2、3、4、5、又は6であり、Xは存在しないか、O、S、C(O)、SO又はSOであり;R、R、R、及びRは独立して、H、F、Cl、Br、OH、CF、CH、CHCH、CH(CH、シクロプロピル、OCH、OCF、CHOCH又はCHOCHCHであり;R及びR10は独立して、H、C、C、C、C、C直鎖アルキル;C、C、C、C、C分鎖アルキルであり、又はR及びR10は、それらが付加する炭素と共に結合して3、4、5、6、若しくは7のサイズのスピロ環を形成し;ZはCOOH、COOR13(式中、R13は、C、C、C、C、C、Cアルキルである)、CONHS(O)−アルキル、CONHS(O)−ヘテロアルキル、CONHS(O)−アリール、CONHS(O)−ヘテロアリール、S(O)NHCO−アルキル、S(O)NHCO−ヘテロアルキル、S(O)NHCO−アリール、S(O)NHCO−ヘテロアリール、CONHS(O)N−アルキル;CONHS(O)N−ヘテロアルキル;CONHS(O)N−アリール;CONHS(O)N−ヘテロアリール;又はテトラゾールであり、mがゼロの場合に、Xは存在しない。
一実施形態において、式IIの化合物で、Rは水素でもハロゲンでもない。別の実施形態において、式IIの化合物で、Rは、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、メトキシメチレン又はヒドロキシである。別の実施形態において、式IIの化合物で、R〜R及びRは、各々水素である。別の実施形態において、式IIの化合物で、R〜R及びR〜Rは、それぞれに、水素、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。
別の実施形態において、式IIの化合物で、Rは非水素置換基である。例えば、Rの例として挙げられるのは、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。別の実施形態において、式IIの化合物で、Rは非水素置換基である。例えば、Rの例として挙げられるのは、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。別の実施形態において、式IIの化合物で、Rは非水素置換基である。例えば、Rの例として挙げられるのは、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。別の実施形態において、Rは非水素であり、例えば、Rはメチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。別の実施形態において、式IIの化合物で、R及びRは非水素置換基である。例えば、R及びRの例として挙げられるのは、それぞれに、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。別の実施形態において、式IIの化合物で、R及びRは非水素置換基である。例えば、R及びRの例として挙げられるのは、それぞれに、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。別の実施形態において、式IIの化合物で、R及びRは非水素置換基である。例えば、R及びRの例として挙げられるのは、それぞれに、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。別の実施形態において、式IIの化合物で、R及びRは非水素置換基である。例えば、R及びRの例として挙げられるのは、それぞれに、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。別の実施形態において、式IIの化合物で、R及びRは非水素置換基である。例えば、R及びRの例として挙げられるのは、それぞれに、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。別の実施形態において、式IIの化合物で、R及びRは非水素置換基である。例えば、R及びRの例として挙げられるのは、それぞれに、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又はヒドロキシである。別の実施形態において、式IIの化合物で、Rはメトキシであり、R、R及びRは水素である。別の実施形態において、式IIの化合物で、Rはメチル又はメトキシであり、R、R及びRは水素である。別の実施形態において、式IIの化合物で、Rはメチルであり、R、R及びRは水素である。別の実施形態において、式IIの化合物で、Rはメトキシであり、R、R及びRは水素である。
別の実施形態において、式IIの化合物で、R及びR10は、各々メチルである。別の実施形態において、R及びR10は、各々エチルである。別の実施形態において、R及びR10は、それらが付加する炭素と共に結合して3、4、5、6、若しくは7のサイズのスピロ環を形成する。スピロ環は、例えば、シクロプロピル環である。
一実施形態において、式IIの化合物で、oはゼロである。別の実施形態において、oはゼロであり、Xは存在しない。別の実施形態において、oはゼロであり、Xは存在せず、m及びnの合計は2又は3である。
別の態様では、本発明は、式IIIの化合物又はその薬理学的に有効な塩に関する。
Figure 2009504676
式中、m及びnは独立して、0〜4であり、Xは存在しないか、O、S、C(O)、SO又はSOであり;R、R、R、及びRは独立して、H、F、Cl、Br、OH、CF、CH、CHCH、CH(CH、OCH、CHOCH、及びCHOCHCHから選択され;R、及びR10は独立して、H、C、C、C、C、C直鎖アルキル;C、C、C、C、C分鎖アルキルであり、又はR及びR10は、それらが付加する炭素と共に結合して3、4、5、6、若しくは7のサイズのスピロ環を形成し;ZはCOH、CONHS(O)−アルキル、CONHS(O)−シクロアルキル、CONHS(O)−ヘテロアルキル、CONHS(O)−アリール、CONHS(O)−ヘテロアリール、及びテトラゾールから選択され;mがゼロの場合に、Xは存在しない。
一実施形態において、式IIIの化合物で、Rはメチルでない。一実施形態において、式IIIの化合物で、Rは水素、F、Cl、Brのいずれでもでない。一実施形態において、式IIIの化合物で、Rは水素、F、Cl、Brのいずれでもでなく、R、R、及びRは水素である。一実施形態において、R、R、及びRは水素である。一実施形態において、式IIIの化合物で、R、R、R、及びRは、それぞれに、水素、ハロゲン、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシメチレン、メトキシ又はヒドロキシである。
一実施形態において、式IIIの化合物で、Rはメトキシである。別の実施形態において、式IIIの化合物で、Rはメトキシであり、R、R及びRは水素である。別の実施形態において、式IIIの化合物で、Rはメチル又はメトキシであり、R、R及びRは水素である。別の実施形態において、式IIIの化合物で、Rはメチルであり、R、R及びRは水素である。別の実施形態において、式IIIの化合物で、Rはメトキシであり、R、R及びRは水素である。
別の実施形態において、式IIIの化合物で、R及びR10は、各々メチルである。別の実施形態において、R及びR10は、それらが付加する炭素と共に結合して3のサイズのスピロ環、例えば、シクロプロピル環を形成する。一実施形態において、式IIIの化合物で、Xは存在しない。別の実施形態において、Xは存在せず、m及びnの合計は2又は3である。
別の態様では、本発明は、式IVの化合物又はその薬理学的に有効な塩に関する。
Figure 2009504676
式中、tは1、2、3、又は4であり;R、R、R及びRは、それぞれに、H、F、Cl、Br、CF、CH、CHCH、CH(CH、OH、OCH、CHOCH、又はCHOCHCHであり;R〜R10は、H、CH、CHCHであるか、又はR及びR10は、それらが付加する炭素と共に結合して3、4、5、6、若しくは7のサイズのスピロ環を形成し;Zは、COH、CONHS(O)−アルキル、CONHS(O)−シクロアルキル、CONHS(O)−ヘテロアルキル、及びテトラゾールから選択され;mがゼロの場合に、Xは存在しない。一実施形態において、式IVの化合物で、tは1又は2である。
一実施形態において、式IVの化合物は式IVa、IVb、IVc、IVd、又はIveの化合物から選択される。
別の態様では、本発明は、化合物1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、32、31、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、又は106から選択される化合物に関する。別の態様では、本発明は、化合物46に関する。
以上の記載では、後述するその詳細な説明が理解されうるように、そして当該技術への本発明の貢献がよりよく認められるように、本発明のより重要な特徴をかなり広く述べている。本発明の他の目的及び特徴は、実施例と合わせて考慮して、以下の詳細な説明から明らかになるはずである。
詳細な説明
本発明の1つ又は複数の実施形態の詳細について、下記の説明に記載する。本明細書に記載されているものと類似又は均等な任意の方法及び材料を、本発明の実施又は試験において用いることができるが、ここでは、典型的な方法及び材料について記載する。本発明の他の特徴、目的及び効果は、説明より明らかである。本明細書において、文脈より明らかにそうでないと解されない限り、単数形は、複数を含む。別途定義されない限り、本明細書において用いられる全ての技術用語及び科学用語は、本発明の属する当該技術の当業者に通常理解されるのと同様の意味を有する。矛盾が生じる場合には、本明細書にしたがう。
(定義)
便宜のために、本明細書、実施例及び特許請求の範囲において用いられる特定の用語を、ここでまとめて示す。
「治療」には、状態、疾病、異常等の改善につながる緩和、軽減、調節又は除去等が含まれる。
「アルキル」としては、直鎖アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル)、分枝アルキル基(例えば、イソプロピル、tert−ブチル、イソブチル)、(脂環式等の)シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル)、アルキル置換シクロアルキル基、及びシクロアルキル置換アルキル基等の飽和脂肪族基が挙げられる。更に、「アルキル」には、1つ又は複数の骨格炭素原子が酸素、窒素、硫黄又はリン原子に置換されたアルキル基が含まれる。ある実施形態において、直鎖又は分枝アルキルは、6個以下、通常4個以下(例えば、直鎖についてはC〜C又はC、C、C、C、C、C、枝分れ鎖についてはC〜C又はC、C、C、C)の炭素原子をその骨格に有する。
同様に、典型的なシクロアルキルは、3〜8個の炭素原子を環構造内に有しており、例えば、5又は6個の炭素原子を環構造内に有している。「C〜C」には、1〜6個の炭素原子を含むアルキル基が含まれる。
更に、「アルキル」という用語には、「無置換アルキル」及び「置換アルキル」の両者が含まれ、後者は、1つ又は複数の炭化水素骨格上の水素を置換する置換基を有するアルキル基が含まれる。このような置換基には、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボン酸イオン、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、リン酸イオン、ホスホン酸イオン、ホスフィン酸イオン、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、及びアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボン酸イオン、硫酸イオン、アルキルスルフィニル、スルホン酸イオン、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフロロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、又は芳香族若しくはヘテロ芳香族基が含まれる。シクロアルキルは、例えば、上述の置換基によって更に置換されていてもよい。「アルキルアリール」又は「アリールアルキル」基は、アリールで置換されているアルキル(例えば、フェニルメチル(ベンジル))である。また、「アルキル」には、天然又は非天然アミノ酸の側鎖が含まれる。
「アリール」には、0〜4個のヘテロ原子を含んでいてよい5員環又は6員環の「非共役」又は単環式芳香族基、あるいは少なくとも1個の芳香族環を有する「共役」又は多環式芳香族基等の芳香族性を有する基が含まれる。アリール基の例としては、ベンゼン、フェニル、ピロール、フラン、チオフェン、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、及びピリミジン等が挙げられる。更に、「アリール」という用語には、三環式、二環式等の多環式アリール基、例えば、ナフタレン、ベンゾオキサゾール、ベンゾジオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチオフェン、メチレンジオキシフェニル、キノリン、イソキノリン、ナフスリジン、インドール、ベンゾフラン、プリン、ベンゾフラン、デアザプリン、又はインドリジンが含まれる。環構造内にヘテロ原子を有するこれらのアリール基は、「アリールヘテロ環」、「ヘテロ環」、「ヘテロアリール」又は「ヘテロ芳香族」とも呼ばれる。芳香族環は、環上の1つ又は複数の位置において、上述の置換基、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボン酸イオン、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アラルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アラルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、リン酸イオン、ホスホン酸イオン、ホスフィン酸イオン、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、及びアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボン酸イオン、硫酸イオン、アルキルスルフィニル、スルホン酸イオン、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフロロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、又は芳香族若しくはヘテロ芳香族基等により置換されていてもよい。アリール基は、多環系(テトラリン、メチレンジオキシフェニル等)を形成しうる様に芳香族ではない脂環式又はヘテロ環式環と縮合していてもよい。
「アルケニル」には、長さ及び置換の可能性においては上述のアルキルと同様であるが、少なくとも1つの二重結合を含んでいる不飽和脂肪族基が含まれる。例えば、「アルケニル」という用語には、直鎖アルケニル基(例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル)、枝分れ鎖アルケニル基、シクロアルケニル(例えば、脂環式)基(例えば、シクロプロペニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル)、アルキル又はアルケニル置換シクロアルケニル基、及びシクロアルキル又はシクロアルケニル置換アルケニル基が含まれる。更に、「アルケニル」という用語には、1つ又は複数の骨格炭素原子を置換する酸素、窒素、硫黄又はリン原子を有するアルケニル基が含まれる。ある実施形態において、直鎖又は枝分れ鎖アルケニルは、6個以下(例えば、直鎖についてはC〜C又はC、C、C、C、C、枝分れ鎖についてはC〜C又はC、C、C、C)の炭素原子をその骨格に有する。同様に、シクロアルケニル基は、3〜8個の炭素原子をその環構造内に有していてよく、通常、5又は6個の炭素原子を環構造内に有している。「C〜C」という用語には、2〜6個の炭素原子を含むアルケニル基が含まれる。
また、「アルケニル」という用語には、「無置換アルケニル」及び「置換アルケニル」の両者が含まれ、後者は、1つ又は複数の炭化水素骨格上の水素を置換する置換基を有するアルケニル基が含まれる。このような置換基には、例えば、アルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボン酸イオン、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、リン酸イオン、ホスホン酸イオン、ホスフィン酸イオン、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、及びアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボン酸イオン、硫酸イオン、アルキルスルフィニル、スルホン酸イオン、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフロロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、又は芳香族若しくはヘテロ芳香族基が含まれる。
「アルキニル」には、長さ及び置換の可能性においては上述のアルキルと同様であるが、少なくとも1つの三重結合を含んでいる不飽和脂肪族基が含まれる。例えば、「アルキニル」には、直鎖アルキニル基(例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニル)、枝分れ鎖アルキニル基、及びシクロアルキル又はシクロアルケニル置換アルキニル基が含まれる。更に、「アルキニル」という用語には、1つ又は複数の骨格炭素原子を置換する酸素、窒素、硫黄又はリン原子を有するアルキニル基が含まれる。ある実施形態において、直鎖又は枝分れ鎖アルキニルは、6個以下(例えば、直鎖についてはC〜C又はC、C、C、C、C、枝分れ鎖についてはC〜C又はC、C、C、C)の炭素原子をその骨格に有する。「C〜C」という用語には、2〜6個の炭素原子を含むアルキニル基が含まれる。
また、「アルキニル」という用語には、「無置換アルキニル」及び「置換アルキニル」の両者が含まれ、後者は、1つ又は複数の炭化水素骨格上の水素を置換する置換基を有するアルキニル基が含まれる。このような置換基には、例えば、アルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボン酸イオン、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、リン酸イオン、ホスホン酸イオン、ホスフィン酸イオン、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、及びアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボン酸イオン、硫酸イオン、アルキルスルフィニル、スルホン酸イオン、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフロロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、又は芳香族若しくはヘテロ芳香族基が含まれる。
炭素数が別途特定されていない場合、「低級アルキル」には、上述の、しかし、その骨格構造に1〜10個、通常1〜6個の炭素原子を有するアルキル基が含まれる。「低級アルケニル」及び「低級アルキニル」は、例えば、2、3、4、又は5炭素原子の鎖長を有する。
「アシル」には、アシル基(CHCO−)又はカルボニル基を含む化合物及び基が含まれる。「置換アシル」には、水素原子のうち1つ又は複数が、例えば、アルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボン酸イオン、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、リン酸イオン、ホスホン酸イオン、ホスフィン酸イオン、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボン酸イオン、硫酸イオン、アルキルスルフィニル、スルホン酸イオン、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフロロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、又は芳香族若しくはヘテロ芳香族基等の基で置換されたアシル基が含まれる。
「アシルアミノ」には、アシル基がアミノ基と結合した基が含まれる。例えば、この用語には、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、及びウレイド基が含まれる。
「アロイル」には、カルボニル基に結合したアリール又はヘテロアリール基を有する化合物及び基が含まれる。アロイル基の例としては、フェニルカルボキシ、ナフチルカルボキシ等が挙げられる。
「アルコキシアルキル」、「アルキルアミノアルキル」、及び「チオアルキルアルコキシアルキル」には、炭化水素骨格の1つ又は複数の炭素原子を置換する酸素、窒素、又は硫黄原子等の酸素、窒素、又は硫黄原子を更に有する、上述のようなアルキル基が含まれる。
「アルコキシ」又は「アルコキシル」という用語には、酸素原子に共有結合した置換又は無置換アルキル、アルケニル及びアルキニル基が含まれる。アルコキシ基(又はアルコキシル基)の例としては、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、プロポキシ、ブトキシ、及びペントキシ基が挙げられる。置換アルコキシ基の例としては、ハロゲン化アルコキシ基が挙げられる。アルコキシ基は、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボン酸イオン、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、リン酸イオン、ホスホン酸イオン、ホスフィン酸イオン、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、及びアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボン酸イオン、硫酸イオン、アルキルスルフィニル、スルホン酸イオン、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフロロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、又は芳香族若しくはヘテロ芳香族基等の基で置換されていてもよい。ハロゲン置換アルコキシ基の例としては、フロロメトキシ、ジフロロメトキシ、トリフロロメトキシ、クロロメトキシ、ジクロロメトキシ、及びトリクロロメトキシが挙げられるがこれらに限定されない。
「ヘテロシクリル」又は「ヘテロ環式基」という用語には、1つ又は複数のヘテロ原子を含む、例えば、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10員環、又は4、5、6、若しくは7員環等の閉環構造が含まれる。「ヘテロ原子」には、炭素又は水素以外の任意の元素の原子が含まれる。ヘテロ原子の例としては、窒素、酸素、硫黄及びリンが挙げられる。
ヘテロシクリル基は、飽和又は不飽和であってよく、ピロリジン、オキソラン、チオラン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ラクトン、アゼチジドン及びピロリジノン等のラクタム、サルタム及びサルトンが含まれる。ピロール及びフラン等のヘテロ環式基は、芳香族性を有していてもよい。これらには、キノリン及びイソキノリン等の縮合環構造が含まれる。ヘテロ環式基の他の例としては、ピリジン及びプリンが挙げられる。ヘテロ環式環は、1つ又は複数の位置において、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボン酸イオン、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、リン酸イオン、ホスホン酸イオン、ホスフィン酸イオン、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、及びアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボン酸イオン、硫酸イオン、スルホン酸イオン、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフロロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、又は芳香族若しくはヘテロ芳香族基等の上述の置換基で置換されていてもよい。ヘテロ環式基は、1つ又は複数の構成原子上において、例えば、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、低級アルキルアミノ、低級アルキルカルボキシル、ニトロ、ヒドロキシル、−CF、−CN等で置換されていてもよい。
「チオカルボニル」又は「チオカルボキシ」という用語には、二重結合で硫黄原子に結合した炭素を有する化合物又は基が含まれる。
「エーテル」という用語には、2つの異なる炭素原子又はヘテロ原子に結合した化合物又は基が含まれる。例えば、この用語には、他のアルキル基に結合した酸素原子と結合したアルキル、アルケニル、又はアルキニル基を指す「アルコキシアルキル」が含まれる。
「エステル」という用語には、カルボニル基の炭素に結合した酸素原子に結合した炭素又はヘテロ原子を含む化合物又は基が含まれる。「エステル」という用語には、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル等のアルコキシカルボニル基が含まれる。アルキル、アルケニル、又はアルキニル基は、上において定義されるとおりである。
「チオエーテル」という用語には、2つの異なる炭素原子及びヘテロ原子に結合した硫黄原子を含む化合物又は基が含まれる。チオエーテルの例としては、アルクチオアルキル、アルクチオアルケニル、及びアルクチオアルキニルが挙げられるがこれらに限定されない。「アルクチオアルキル」という用語には、アルキル基に結合した硫黄原子と結合したアルキル、アルケニル、又はアルキニル基が含まれる。同様に、「アルクチオアルケニル」及び「アルクチオアルキニル」という用語は、アルキル、アルケニル、又はアルキニル基が、アルキニル基に共有結合した硫黄原子と結合した化合物又は基を指す。
「ヒドロキシ」又は「ヒドロキシル」という用語には、−OH又は−O−を有する基が含まれる。
「ハロゲン」という用語には、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が含まれる。「パーハロゲン化」という用語は、通常、全ての水素がハロゲン原子に置換された基を指す。
「非水素置換基」という用語は、水素以外の置換基を指す。非限定的な例としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基、ヒドロキシル基、アリール基等が挙げられる。
「ポリシクリル」又は「多環式基」とは、2つ以上の炭素が2つの隣接する環の間で共通する二環式以上の環(シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、及び/又はヘテロ環等)を指す。隣接しない原子を介して結合した環を「架橋」環という。多環のそれぞれの環は、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボン酸イオン、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アラルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アラルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、リン酸イオン、ホスホン酸イオン、ホスフィン酸イオン、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、及びアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボン酸イオン、硫酸イオン、アルキルスルフィニル、スルホン酸イオン、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフロロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキル、アルキルアリール、又は芳香族若しくはヘテロ芳香族基等の上述の置換基で置換されていてもよい。
本明細書において用いられる場合、「アニオン性基」という用語は、生理的pHにおいて負に荷電している基を指す。典型的なアニオン性基としては、カルボン酸イオン、硫酸イオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、スルファミン酸イオン、テトラゾリル、リン酸イオン、ホスホン酸イオン、ホスフィン酸イオン、又はこれらの機能的等価体が挙げられる。アニオン性基の「機能的等価体」には、カルボン酸イオン基の生物学的等価体等の生物学的等価体が含まれることが意図される。生物学的等価体には、古典的生物学的等価体、及び非古典的生物学的等価体の両者が包含される。古典的生物学的等価体、及び非古典的生物学的等価体は、公知である(例えば、Silverman,R.B.The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action, Academic Press, Inc.:San Diego, Calif.,1992,pp.19−23を参照)。典型的なアニオン性基の1つは、カルボン酸イオンである。
「結晶多形」又は「多形」という用語は、化合物、塩又はこれらの溶媒和物について、2つ以上の結晶形が存在することを指す。オランザピン−アナログ化合物の結晶多形は、異なる条件下での結晶化によって調製することができる。
本発明の化合物のいくつかには不斉炭素原子が含まれることに注意する必要がある。従って、別途示さない限り、本発明の範囲には、このような不斉に起因する異性体(全てのエナンチオマー及びジアステレオマー等)が含まれることが理解されるべきである。このような異性体は、古典的な分離手法及び立体化学選択的な合成により、ほぼ純粋な形態で得ることができる。更に、本明細書において議論する構造及び他の化合物及び基には、これらの全ての互変異性体が含まれる。アルケンには、適当な場合には、E−及びZ−幾何異性体の両者が含まれていてよい。
「オランザピン様化合物」又は「オランザピン−アナログ化合物」又は「オランザピン誘導体化合物」という用語には、例えば、ピペリジン環の窒素原子に結合した、2つの芳香族環に挟まれた含窒素7員環を含む(オランザピンと同様の)三環式構造を含むオランザピンのアナログが含まれることが意図される。本明細書において用いられる場合、「アナログ」という用語は、他の化合物と構造的に類似しているが、組成において僅かに異なる(ある原子が他の元素の原子によって置換され又は特定の官能基が存在し、又はある官能基が他の官能基により置換されたような)化学物質を指す。従って、アナログは、参照化合物と、機能及び外見において類似又は同等であるが、構造又は起源において類似でも同等でもない化合物である。
例えば、参照化合物は、オランザピン等の参照化合物であってよく、アナログは、参照化合物と類似の化学構造又は化学的性質を有する化学物質である。
本明細書において定義されているように、例えば、「オランザピン誘導体」という用語における「誘導体」という用語は、共通のコア構造を有し、上述の置換基によって置換されている化合物を指す。例えば、式I〜IVeで表される全ての化合物はオランザピン誘導体であり、式I〜IVeの1つを共通のコアとして有している。
「生物学的等価体」という用語は、原子又は原子団を、広義の類似な原子又は原子団で置換により生じる化合物を指す。生物学的に等価な置換の目的は、親化合物と類似の生物的性質を有する新規な化合物を作り出すことである。生物学的に等価な置換は、物理化学に基づくものであっても、位相論に基づくものであってもよい。カルボン酸の生物学的等価体の例としては、アシルスルホンアミド、テトラゾール、スルホン酸塩、及びリン酸塩等が挙げられる。
例えば、Patani及びLaVoie、Chem.Rev.96,3147−3176 (1996)を参照。
従って、通常、Z基がカルボン酸及びカルボン酸の生物学的等価体である。
本明細書において用いられる場合、「睡眠障害」という用語には、公知の状態、又は睡眠障害であると提案され、若しくは睡眠障害であることが発見された状態等の、当業者によって睡眠障害であると認識される状態が含まれる。
睡眠障害は、他の医学的疾患、疾病又は損傷を有する被検者、又は他の薬剤又は内科療法による治療を受けている被検者においても起こり、その結果、被検者は、入眠及び/又は睡眠の継続が困難であり、又は爽快でない睡眠又は体力の回復がみられない睡眠に悩んでおり、例えば、睡眠不足に悩んでいる。
また、「睡眠障害を治療する」という用語には、中枢神経系障害(例えば、不安神経症等の精神又は神経障害)等の他の障害の睡眠障害成分の治療が含まれる。
更に、「睡眠障害を治療する」という用語には、障害に関連する他の症状を改善することの有益な効果が含まれる。
「ノンレムピーク睡眠時間」という用語は、LD12:12(12時間の明時間及び12時間の暗時間)の明暗サイクルで暗室中で飼育したラットにおいて、薬物投与による治療後に、消灯後6時間後である概日時間(CT)18時において見られる、1時間当たりのノンレム睡眠の絶対ピーク量であると定義される。1時間あたり55%のノンレム睡眠の名目基準は、1時間あたり33分間のノンレム睡眠に相当する。
本明細書において用いられる場合、「累積ノンレム睡眠」という用語は、常にではないが、通常治療後の最初の6時間に起こる薬剤の催眠効果の全期間にわたって測定された、ノンレム睡眠の分数の増大の総合計として定義され、24時間前に記録された、治療を行っていない、一日のうち対応するベースライン時間の間に見られる、プラセボ対照治療等に対するノンレム睡眠の分数の増大の正味の総合計に対して調整される。
本明細書において定義されているように、「睡眠期間」という用語は、ノンレム睡眠、レム睡眠、又はノンレム及びレム睡眠段階の両者を含み、発現の前後が、2回を超える、連続する10秒間の覚醒状態により区切られる、連続的又はほぼ連続的な睡眠の個々の発現を指す。
本明細書において用いられる場合、「睡眠期間の最大長さ」という用語は、単一の最長の睡眠の発現又は治療後所定時間の初期に見られる「発作」の間に、動物が睡眠状態(ノンレム及び/又はレム睡眠段階)に留まっている全分数であると定義される。「睡眠期間の長さ」の測定基準は、睡眠が10秒間継続して観測されることを前提とし、期間を規定する10秒間隔の間の個々の睡眠段階(睡眠段階は、ノンレム睡眠、レム睡眠、又は覚醒状態として定義される)として、主要な状態に基づいて記録され、計算又は他の方法により決定される。
「睡眠期間の平均長さ」という用語は、所定の時間に始まり、それぞれの発現又は発作の個別の期間とは無関係な、睡眠長さの平均(分)であると定義される。
「リバウンド不眠」とは、睡眠剤又は催眠剤の睡眠促進効果の後に起こる、反動的、逆説的、又は代償的な覚醒期間として定義される。
「レム睡眠阻害」とは、治療後のCT18時(消灯後6時間、明−暗12:12)又はCT5時(点灯後5時間、明−暗12:12)における、レム睡眠時間の減少として定義される。
CT18時又はCT5時のいずれかに投与された場合に、(プラセボ群に対して調整されたベースラインに対する相対値で)15分よりも長時間レム睡眠を減少させる化合物は、許容されないと見なされる。
ノンレム睡眠又は覚醒状態と比較して、レム睡眠は、換気抑制及び発作性心血管変化を引き起こす。リバウンド不眠の間、レム睡眠の生理作用は増強され、通常の睡眠サイクルを阻害する。
本明細書において定義されているように、「不均衡性自発運動阻害」とは、睡眠に起因する、通常の又は予測される自発運動の低下を上回る自発運動の低下である。
「複合治療」(又は「共同治療」)には、本発明の化合物と、少なくとも第2の薬剤とを、これらの治療薬の共同作用による有益な効果を得ることを目的とする特別な治療計画の一部として投与することが含まれる。併用による有益な効果としては、治療薬の組合せによる薬物動態的、又は薬力学的な共同作用が挙げられるが、これらに限定されない。これらの治療薬の複合投与は、通常、所定の時間(通常、選択された組合せに応じて数分、数時間、数日、又は数週間)にわたって行われる。「複合治療」には、2種類以上のこれらの治療薬を、偶然及び任意に本発明の組合せとなるような単独治療計画の一部として投与することが包含されることを目的とすることもできるが、通常はこれを目的としない。「複合治療」には、これらの治療薬を連続的に投与すること、すなわちこれらの治療薬を異なる時間に投与することと共に、これらの治療薬、又は少なくとも2種類の治療薬をほぼ同時に投与することが包含されるものとする。ほぼ同時に投与することは、例えば、これらの治療薬を一定の割合で含む単一のカプセル剤の投与、又はそれぞれの治療薬を含む単一のカプセル剤を複数投与することにより達成される。これらの治療薬を連続的に投与すること、又はほぼ同時に投与することは、経口ルート、静脈内ルート、筋内ルート、及び粘膜組織からの直接吸収が挙げられるがこれらに限定されない任意の適当なルートにより達成することができる。複数の治療薬を、同一のルート又は異なるルートにより投与することができる。例えば、選択された組合せの第1の治療薬を静脈注射しつつ、組合せの他の治療薬を経口投与することができる。あるいは、例えば、全ての治療薬を経口投与し、又は全ての治療薬を静脈注射してもよい。治療薬が投与される順序は、狭義に決定的ではない「複合治療」には、上述の治療薬を、更に他の生物活性成分及び非薬物治療(例えば、外科治療又は放射線治療)と組合せることも包含される。複合治療が非薬物治療を更に含んでいる場合、薬物治療と非薬物治療との組合せによる有益な効果が達成できる限り、非薬物治療は、任意の適当な時点に行うことができる。例えば、好適な場合には、非薬物治療が治療薬の投与から数日、又は数週間の時間をおいて行われた場合にも、有益な効果が達成される。
本明細書において用いられる場合、「非経口投与」及び「非経口的に投与する」という用語は、経腸投与及び局所投与以外の、通常は注射による投与形態を指し、静脈内、筋内、動脈内、クモ膜下、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、上皮下、関節内、被膜下、クモ膜下、髄腔内及び胸骨内注射及び点滴が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書において用いられる場合、「肺(の)」という用語は、被検者内部における主要な機能が外部環境とのガス交換(O/CO等)である任意の部位、組織又は器官を指す。「肺」とは、通常、呼吸器の組織を指す。従って、「肺投与」という語句は、主要な機能が外部環境とのガス交換である任意の部位、組織又は器官(口、鼻、咽頭、中咽頭、咽頭喉頭、喉頭、気管、竜骨、気管支、細気管支、肺胞等)への本明細書に記載の製剤の投与を指す。
本発明の目的のために、「肺」には、呼吸器、特に瘻孔に付随する「肺性の」組織又は空孔が含まれる。
開示発明の化合物の「有効量」とは、治療を必要とする被検者に投与された場合に、例えば、被検者における入眠を迅速化し、睡眠をより良質とし、睡眠中の覚醒期間及び頻度を減少させ、睡眠異常、睡眠時異常行動の期間、頻度及び強度を減少させる等、睡眠障害に起因する症状を改善させる量である。被検者に投与される開示発明の化合物の量は、具体的な障害、投与形態、存在する場合には、同時に投与される化合物、及び全般的な健康状態、他の疾病、年齢、性別、遺伝子型、体重及び薬剤耐性等の被検者の特徴に依存する。
当業者は、これらの因子及び他の因子に基づいて、適切な用量を決定することができる。
開示発明の化合物の「薬理学的に許容される塩」又は「塩」は、イオン結合を含む開示発明の化合物の生成物であり、通常、開示発明の化合物を、被検者への投与に適した酸又は塩基と反応させることにより製造される。
「医薬組成物」とは、被検者への投与に好適な形態の開示発明の化合物を含む製剤である。
ある実施形態において、医薬組成物は、バルク又は単位用量形態の形態をとる。単位用量形態は、例えば、カプセル、点滴バッグ、錠剤、エアロゾル吸入剤の1回のポンプ量、又はバイアル等の種々の形態のうち任意のものである。単位用量形態における有効成分(例えば、開示発明の化合物又はその塩)の量は、有効量であり、関係する特定の治療に応じて変化する。
当業者は、被検者の年齢及び状態に応じて、用量に対して所定の変更を加えることが必要な場合があることを認識する。また、用量は、投与ルートにも依存する。経口、肺、直腸、非経口、経皮、皮下、静脈内、筋内、腹腔内、経鼻投与等を含む種々のルートが意図される。本発明の化合物の、局所又は経皮投与のための用量形態には、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、液剤、パッチ及び吸入剤が含まれる。ある実施形態において、有効成分は、滅菌条件下で、医薬として許容される担体及び必要とされる任意の保存料、緩衝溶液、又は推進剤と共に混合される。
「フラッシュ投与」という用語は、迅速に拡散する剤型の化合物の製剤を指す。
「急速放出」という用語は、用量形態からの、通常60分以内の比較的短期間での化合物の放出として定義される。「放出制御」という用語は、遅延放出、延長放出、及びパルス状の放出を含むものとして定義されている。「パルス状の放出」とは、剤形からの一連の放出として定義される。「徐放性」又は「延長放出」とは、剤形からの長時間にわたる連続的な化合物の放出であると定義される。
「被検者」には、ヒト、ペット(イヌ、ネコ、鳥等)、家畜(ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、家禽等)及び実験動物(ネコ、マウス、モルモット、鳥等)等の哺乳類が含まれる。
通常、被検者はヒトである。
本発明は、ヒスタミン受容体又はヒスタミン受容体の一群に対してアンタゴニスト作用を有する本発明のオランザピンアナログの有効量を投与することにより睡眠を調整する方法を提供する。
本発明は新規なオランザピンアナログにも関する。
有効な睡眠調整剤は、有効性を増し、副作用を減少するという明確な特徴を有する。
このような特徴には、被検者内における半減期が所望の値であり、所望の鎮静効果を発生制御し、及び精神運動性又は他の中枢神経系(CNS)への副作用(例えば、記憶欠損、筋緊張の減少、眼瞼の垂下又は嗜眠状態)に対する検出可能な影響を最小化しうることを含む。
例えば、有効な睡眠調整剤は人体内において7時間以下、6時間以下、5時間以下、4時間以下、約3時間、又は3〜7時間の範囲である。
有効な睡眠調整剤開発へのアプローチの1つは、睡眠調整の活性を有する既知の化合物又は化合物ファミリーを戦略的に改質することである。改質は、化合物が性能を発揮して1以上の生物学的特性を活性化する様態を改善しうる。好適な生物学的特性の例は、別々の睡眠又は催眠状態の導入、別々の期間における治療化合物の活性、例えば物質の親油性又は構造的な親油性(すなわち、カルボン酸アニオン及び水素化アミンの間での分子内塩形成等の、特定のコンホメーションの結果としての親油性)から結果する脳血液関門からCNSへの貫通通過、当該治療化合物の半減期の調整、電荷の改変、薬理動態論の改変、1以上の数値によるlogPの改変、受容体選択性の増加、周辺半減期の低下、投薬量増加の可能性、高い周辺排除効、抗ムスカリン活性の減少、抗コリン作用の減少、及びこれらの組合せを含んでなるが、限定しない。
改質は種々の効果を生じ、様々な作用機構を改変する。例えば、ある種の状況において、例えばエステル、カルボン酸、又はアルコール等の特定の官能基を含んでなる化合物は、これらの基をもたない化合物と比較して、望ましくない受容体に対して所望の受容体への選択性が上昇する。他の状況において、前記特定の官能基を含む化合物は、これらの基をもたない対応する化合物と比較して、睡眠障害を治療する治療薬としての活性がより高い。改質した化合物の効果は付加物が何かに依存する。
好適な生物学的特性を増強し、好ましくない副作用を減少するために化合物を改質することにより、潜在的な機構から来る効果又は相互作用に基づいて戦略を立てることが可能になる。
例えば、ある化合物においてはカルボン酸が存在することで、化合物又は塩架橋の中の窒素原子を有する両性イオン化学種等の、対応するカルボキシラートイオンを有する分子間結合を生成しうる結果となる。これらの相互作用はコンホメーション親油性等の好適な生物学的特性の結果を得られる。すなわち、カルボキシラートアニオンと水素化アミンの間の分子間塩形成等、特定のコンホメーションの結果として親油性が増す。このようなコンホメーション親油性により、一般的に2つの極性イオンが存在すると非極性の血液脳関門の交差を阻害すると考えられているにもかかわらず、血液脳関門からCNSへの貫通が可能になる。カルボキン酸が存在する他の利点は、当該化合物の所望の受容体への選択的結合能を増すことである。
本発明の化合物は、プロドラッグ生成のためにも改質されうる。「プロドラッグ」は生体中(in vivo)で代謝変換され活性医薬を生成する、医薬の前駆体を含んでなる。本発明は、生体中において本発明の方法において用いられる睡眠調整化合物に変換されるプロドラッグの用途を更に意図している。(例えば、R B Silverman、「The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action」、第8章、Academic Press、1992年を参照)このようなプロドラッグは、体内分布(例えば、典型的には血液能関門を交差しない化合物が血液能関門を交差できるようにすること)又は睡眠を調整している化合物の薬物動態を変質するために用いうる。例えば、カルボキシラート、スルフェート、又はスルホネート等のアニオン基は、アルキル基(例えばメチル基)又はフェニル基等とエステル化されエステルを生じうる。被検者に投与されるとエステルは酵素的又は非酵素的に、還元的又は加水分解的に切断されてアニオン基が現れる。そうしたエステルは環状でもよく、例えば環状スルファート又はスルホン、又は1以上のアニオン側が連結基を通じてエステル化されうる。アニオン基は、切断により睡眠を調整する中間化合物を生じ、次いで分解して活性をもつ睡眠調整化合物が得られる部分(例えばアシルオキシメチルエステル)によりエステル化されうる。一実施形態において、プロドラッグはカルボキシラート、スルファート、又はスルホネートの還元形、例えばアルコール又はチオールであり、生体中で酸化されて睡眠調整化合物になる。更に、アニオン部分は生体中で能動輸送されるか又は目標の臓器に選択的に取り込まれる官能基へとエステル化されうる。
この戦略は、睡眠調整化合物の臨床用途における有効性及び安全性の向上のために用いられる。睡眠調整に有用な化合物群の1つはオランザピンに係り、これは非定型的な抗精神病薬として周知の化合物ファミリーに属する精神治療薬である。オランザピンはチエノベンゾジアゼピン抗精神病薬であり、多数の抗精神病薬に見られる特徴である、様々な動物種における薬理学的反応を生じる。オランザピンは精神分裂症の治療に推奨されている。
一態様において、本発明は化学式Iを有する化合物の治療上有効量、又は、治療上有効なこれらの塩を投与することにより被検者の睡眠を調整する方法を提供する。
Figure 2009504676
式中、m、n、o、p、qは独立して整数の0、1、2、3、4、5、又は6であり;A及びBは独立してO、S、NR又はC(Rであり;X及びYは独立して、不在、O、S、C(O)、SO又はSOであり;R、R、R、R、R、R、R及びRは独立して、H、F、Cl、Br、OH、CH、C、C、C、C、C直鎖アルキル、C、C、C、C分枝アルキル、C、C、C、C、Cシクロアルキル、C、C、C、C、Cヘテロシクリル、OCH、OCF、CHOCH、CHCHOCH、CHOCHCH、C、C、C、C、C、Cヒドロキシアルキル又はC、C、C、C、C、Cアルコキシであり;リンカー中CH基の任意の水素は適宜H、F、Cl、OH、Br、CF、CH、C、C、C、C、C直鎖アルキル、C、C、C、C分枝アルキル、C、C、C、C、Cシクロアルキル、C、C、C、C、Cヘテロシクリル、OCH、OCF、CHOCH、CHCHOCH、CHOCHCH、C−Cヒドロキシアルキル、又はC、C、C、C、C、Cアルコキシで置換され;R、R10、R11及びR12は各々、H、C、C、C、C、C、C直鎖アルキル、C、C、C、C、C分枝アルキル、又はR及びR10は付加する炭素と共に、存在しないか又はサイズ3、4、5、6、又は7のスピロ環を生成するよう結合し、R11及びR12は付加する炭素が共にサイズ3、4、5、6、又は7のスピロ環又は2の異なる炭素原子上の置換基がサイズ3、4、5、6、又は7のスピロ環を生成するよう結合し;ZはCOH、CO13(ここでR13はC〜Cアルキル)、CONR1415(ここでR14及びR15は独立して水素又は低級アルキル)、CONHS(O)−アルキル、CONHS(O)−シクロアルキル、CONHS(O)−ヘテロアルキル、CONHS(O)−アリール、CONHS(O)−ヘテロアリール、S(O)NHCO−アルキル、S(O)NHCO−シクロアルキル、S(O)NHCO−ヘテロアルキル、S(O)NHCO−アリール、S(O)NHCO−ヘテロアリール、CONHS(O)N−アルキル、CONHS(O)N−シクロアルキル、CONHS(O)N−ヘテロアルキル、CONHS(O)N−アリール、CONHS(O)N−ヘテロアリール、SO3H、SO2H、S(O)NHCO−アルキル、S(O)NHCO−アリール、S(O)NHCO−ヘテロアリール、P(O)(OH)、P(O)OH、
Figure 2009504676
(テトラゾール)、又は、
Figure 2009504676
から選ばれ
mがゼロならばXは存在しない。
一実施形態において、本発明の方法で使用するための式Iの化合物は、以下の特性の1以上を有する:H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が500nM未満である;M1、M2、M3、D1、D2、α1及びα2から選択されるオフターゲットへのオフターゲット結合に関するKiが、1,000nMを上回り、かつ/又はH1受容体に関するKiの10倍より高い;化合物を被検者に投与してから第3時までのノンレムピーク時間値が、1時間当たりのノンレム睡眠の55%を上回る;最高の睡眠固定をもたらす化合物用量に対し、ノンレム睡眠の累積増加合計が20分未満である;最長睡眠時間が13分よりも長期にわたる;被検者への化合物の投与より少なくとも24時間前に得たベースライン値を用いて調整した場合に、治療後の正味の最長睡眠時間が3分以上である;絶対ピークでの平均睡眠期間が5分よりも長い;被検者への化合物の投与が相当な反跳不眠症を生じさせない;被検者への化合物の投与が特段にレム睡眠を阻害しない;並びに被検者への化合物の投与が、睡眠の通常作用に比して不相応に自発運動活性を阻害することがない。
別の実施形態において、本発明の方法で使用するための式Iの化合物は、以下の特性の1以上を有する:H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が300nM未満である;M1、M2、M3、D1、D2、α1及びα2から選択されるオフターゲットへのオフターゲット結合に関するKiが、1μMを上回る;化合物を被検者に投与してから第3時までのノンレムピーク時間値が、1時間当たりのノンレム睡眠の55%を上回る;最高の睡眠固定をもたらす化合物用量に対し、ノンレム睡眠の累積増加合計が20分未満である;最長睡眠時間が13分よりも長期にわたる;被検者への化合物の投与より少なくとも24時間前に得たベースライン値を用いて調整した場合に、治療後の正味の最長睡眠時間が3分以上である;絶対ピークでの平均睡眠期間が5分よりも長い;被検者への化合物の投与が相当な反跳不眠症を生じさせず;被検者への化合物の投与が特段にレム睡眠を阻害しない;並びに被検者への化合物の投与が、睡眠の通常作用に比して不相応に自発運動活性を阻害することがない。
別の実施形態において、本発明の方法で使用するための式Iの化合物は、以下の特性の1以上を有する:H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が150nM未満である;M1、M2、及びM3から選択されるオフターゲットへのオフターゲット結合に関するKiが、10μMを上回る;化合物を被検者に投与してから第3時までのノンレムピーク時間値が、1時間当たりのノンレム睡眠の55%を上回る;最高の睡眠固定をもたらす化合物用量に対し、ノンレム睡眠の累積増加合計が20分未満である;最長睡眠時間が17分よりも長期にわたる;被検者への化合物の投与より少なくとも24時間前に得たベースライン値を用いて調整した場合に、治療後の正味の最長睡眠時間が5分以上である;絶対ピークでの平均睡眠期間が6分よりも長い;被検者への化合物の投与が相当な反跳不眠症を生じさせない;被検者への化合物の投与が特段にレム睡眠を阻害しない;並びに被検者への化合物の投与が、睡眠の通常作用に比して不相応に自発運動活性も運動状態も阻害することがない。
本明細書において用いられる場合、「リンカー」とは、ピペラジンの窒素をZ基に結合させる原子鎖である。
本発明の方法は、例えば、ヒト、ペット、家畜、実験動物及び野生動物等の種々の被検者の治療のために用いられる。
一実施形態において、睡眠の調節方法に用いられる化合物は、化合物1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105又は106である。
一実施形態において、睡眠の調節方法に用いられる化合物は、化合物46である。
一実施形態において、R及びR10、並びにこれらが結合した炭素が存在しない。
一実施形態において、R及びR10は、これらが付加した炭素原子と共に結合して、サイズ3、4、5、6、又は7のスピロ環を形成している。一実施形態において、R11及びR12は、これらが付加した炭素原子と共に結合して、サイズ3、4、5、6、又は7のスピロ環を形成している。例えば、R及びR10は、これらが結合した炭素原子と共に、又はR11及びR12は、これらが付加した炭素原子と共に結合して、スピロ3員環シクロプロピル環を形成している。
一実施形態において、Zは、COH、テトラゾール、又はスルホンアミドである。一実施形態において、Zはスルホンアミドである。典型的なスルホンアミドとしては、アシルスルホンアミドが挙げられる。例えば、Zは下記の式で表されてもよい。
Figure 2009504676
式中、Wは、所望の経口吸収、中枢神経系への浸透、及び尿への排出速度のレベルが得られるように、Z残基の極性表面領域の効果を調節するために必要に応じて選択される置換基である。この目的に対して有用なW置換基の例としては、アルキル基(二重結合又は三重結合を場合によっては含んでいる)、シクロアルキル基(二重結合を場合によっては含んでいる)、ヘテロシクリル基、共に後述の置換基で場合によっては置換されているアリール基又はヘテロアリール基が挙げられる。
Figure 2009504676
(式中、Vは、アシルスルホンアミドのpKaを調節し、又は化合物の物理若しくは代謝特性を変化させるために選択される1つ又は複数の側鎖である)
側鎖Vの例としては、F、Cl、Br等のハロゲン、OCH又はOCHCH等のC〜Cアルコキシ基、CH又はCF、シクロプロピル等のC、C、C、C、C、Cアルキル又はC、C、C、C、C、Cシクロアルキル基、CHOCH、又はCHOCHCH等のヘテロ原子置換C、C、C、C、C、Cアルキル又はC、C、C、C、C、Cシクロアルキル、CN、ケトン、アミド、又はスルホン等の電子求引基が挙げられる。
Figure 2009504676
(及びピリジル異性体)
Figure 2009504676
(及びピリミジン異性体)、及び
Figure 2009504676
一実施形態において、Zはスルファミドである。典型的なスルファミドとしては、アシル・スルファミドが挙げられる。例えば、Zは下記の式で表されてもよい。
Figure 2009504676
式中、Ra及びRbは、各々、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基又はヘテロアリール基であり、場合によっては置換されている。例としては、以下のものが挙げられる。
Figure 2009504676
(式中、Vは、F、Cl、Br等のハロゲン、OCH又はOCHCH等のC〜Cアルコキシ基、CH又はCF、シクロプロピル等のC、C、C、C、C、Cアルキル又はC、C、C、C、C、Cシクロアルキル基、CHOCH、又はCHOCHCH等のヘテロ原子置換C、C、C、C、C、Cアルキル又はC、C、C、C、C、Cシクロアルキル、CN、ケトン、アミド、又はスルホン等の電子求引基である)
Figure 2009504676
(及びピリジル異性体)
Figure 2009504676
(及びピリミジン異性体)
別の実施形態において、ZがCOOHである場合には、R〜Rの少なくとも1つ、及びR〜R12の少なくとも1つは水素ではない。
一実施形態において、Rは水素ではない。別の実施形態において、R〜Rはそれぞれ水素であり、Rは水素ではない。
一実施形態において、R〜Rの少なくとも1つは水素ではなく、残りのR〜Rは水素である。別の実施形態において、R〜Rの少なくとも2つは水素ではなく、残りのR〜Rは水素である。別の実施形態において、R〜Rの少なくとも3つは水素ではなく、残りのR〜Rは水素である。別の実施形態において、R〜Rの少なくとも4つは水素ではなく、残りのR〜Rは水素である。一実施形態において、Rは水素ではない。一実施形態において、Rは水素ではない。一実施形態において、Rは水素ではない。一実施形態において、Rは水素ではない。一実施形態において、R及びRは水素ではない。別の実施形態において、R及びRは水素ではない。別の実施形態において、R及びRは水素ではない。別の実施形態において、R及びRは水素ではない。別の実施形態において、R及びRは水素ではない。別の実施形態において、R及びRは水素ではない。
一実施形態において、R〜Rの少なくとも1つは、メチル、エチル、イソプロピル、クロロ、フロロ、ブロモ、ヒドロキシ、メトキシメチレン、又はメトキシである。別の実施形態において、Rは、メチル、クロロ、フロロ、ブロモ、ヒドロキシ、メトキシメチレン、又はメトキシである。別の実施形態において、Rは、メチル、クロロ、フロロ、ブロモ、ヒドロキシ、メトキシメチレン、又はメトキシである。別の実施形態において、Rは、メチル、エチル、イソプロピル、クロロ、フロロ、ブロモ、ヒドロキシ、メトキシメチレン、又はメトキシである。別の実施形態において、Rは、メチル、クロロ、フロロ、ブロモ、ヒドロキシ、メトキシメチレン、又はメトキシである。
別の実施形態において、R〜Rの少なくとも1つは、メチル、エチル、イソプロピル、クロロ、フロロ、ブロモ、ヒドロキシ、メトキシメチレン、又はメトキシである。別の実施形態において、R〜Rの少なくとも2つは、メチル、エチル、イソプロピル、クロロ、フロロ、ブロモ、ヒドロキシ、メトキシメチレン、又はメトキシであり、ZはCOOHである。別の実施形態において、R〜Rの少なくとも2つは、メチル、エチル、イソプロピル、クロロ、フロロ、ブロモ、ヒドロキシ、メトキシメチレン、又はメトキシであり、R及びR10は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R及びRは、共にメチル、メトキシ、ヒドロキシ、メトキシメチレン、クロロ、フロロ、又はブロモであり、残りのR〜R及びR〜Rは水素である。別の実施形態において、R及びRは、共にメチル、メトキシ、ヒドロキシ、メトキシメチレン、クロロ、フロロ、又はブロモであり、残りのR及びR〜Rは水素である。一実施形態において、R及びRは、共にメチル、メトキシ、ヒドロキシ、メトキシメチレン、クロロ、フロロ、又はブロモであり、残りのR〜R、R及びRは水素である。一実施形態において、R及びRは、共にメチル、メトキシ、ヒドロキシ、メトキシメチレン、クロロ、フロロ、又はブロモであり、残りのR、R〜R及びRは水素である。一実施形態において、R及びRは、共にメチル、メトキシ、ヒドロキシ、メトキシメチレン、クロロ、フロロ、又はブロモであり、残りのR及びR〜Rは水素である。
一実施形態において、Rはメチルである。一実施形態において、Rはメチルであり、R又はRは、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、クロロ、フロロ、又はブロモである。別の実施形態において、Rはフロロであり、R又はRは、メチル、メトキシメチレン、又はメトキシである。一実施形態において、Rはメトキシである。一実施形態において、Rはメトキシであり、R又はRは、メチル、メトキシ、ヒドロキシ、メトキシメチレン、クロロ、フロロ、又はブロモである。別の実施形態において、Rはフロロであり、R又はRはメトキシである。
一実施形態において、R及びR10は水素である。
一実施形態において、R及びR10はメチルである。別の実施形態において、R及びR10はメチルであり、Rはハロゲンであり、R〜Rは水素である。別の実施形態において、R及びR10はメチルであり、Rはハロゲンであり、R〜Rは水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R及びR10はエチルである。別の実施形態において、R及びR10はエチルであり、Rは水素、メチル又はハロゲンであり、R〜Rは水素である。別の実施形態において、R及びR10はエチルであり、Rは水素、メチル又はハロゲンであり、R〜Rは水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R及びR10、並びにこれらが結合した炭素は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成している。別の実施形態において、R及びR10、並びにこれらが結合した炭素は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、Rは水素、メチル又はハロゲンであり、R〜Rは水素である。別の実施形態において、R及びR10、並びにこれらが結合した炭素は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、Rは水素、メチル又はハロゲンであり、R〜Rは水素であり、ZはCOOHである。
別の実施形態において、R及びR10はメチルであり、Rはメチル又はメトキシであり、R〜Rは水素である。別の実施形態において、R及びR10はメチルであり、Rはメチル又はメトキシであり、R〜Rは水素であり、ZはCOOHである。
別の実施形態において、R及びR10はエチルであり、Rはメチル又はメトキシであり、R〜Rは水素である。別の実施形態において、R及びR10はエチルであり、Rはメチル又はメトキシであり、R〜Rは水素であり、ZはCOOHである。
別の実施形態において、R及びR10、並びにこれらが結合した炭素は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、Rはメチル又はメトキシであり、R〜Rは水素である。別の実施形態において、R及びR10、並びにこれらが結合した炭素は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、Rはメチル又はメトキシであり、R〜Rは水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R11及びR12はメチルである。別の実施形態において、R11及びR12はメチルであり、Rは水素、メチル又はハロゲンであり、R〜Rは水素である。別の実施形態において、R11及びR12はメチルであり、Rは水素、メチル又はハロゲンであり、R〜Rは水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R11及びR12はエチルである。別の実施形態において、R11及びR12はエチルであり、Rは水素、メチル又はハロゲンであり、R〜Rは水素である。別の実施形態において、R11及びR12はエチルであり、Rは水素、メチル又はハロゲンであり、R〜Rは水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R11及びR12、並びにこれらが結合した炭素は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成している。別の実施形態において、R11及びR12、並びにこれらが結合した炭素は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、Rは水素、メチル又はハロゲンであり、R〜Rは水素である。別の実施形態において、R11及びR12、並びにこれらが結合した炭素は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、Rは水素、メチル又はハロゲンであり、R〜Rは水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R11及びR12はメチルであり、Rはメチル又はメトキシである。別の実施形態において、R11及びR12はメチルであり、Rはメチル又はメトキシであり、R〜Rは水素である。別の実施形態において、R11及びR12はメチルであり、Rはメチル又はメトキシであり、R〜Rは水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R11及びR12はエチルであり、Rはメチル又はメトキシである。別の実施形態において、R11及びR12はエチルであり、Rはメチル又はメトキシであり、R〜Rは水素である。別の実施形態において、R11及びR12はエチルであり、Rはメチル又はメトキシであり、R〜Rは水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R11及びR12、並びにこれらが結合した炭素は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、Rはメチル又はメトキシである。別の実施形態において、R11及びR12、並びにこれらが結合した炭素は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、Rはメチル又はメトキシであり、R〜Rは水素である。別の実施形態において、R11及びR12、並びにこれらが結合した炭素は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、Rはメチル又はメトキシであり、R〜Rは水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、本発明の方法で用いられる式Iの化合物において、qはゼロである。別の実施形態において、qはゼロであり、R及びR10、並びにこれらが結合した炭素原子は存在しない。別の実施形態において、qはゼロであり、R及びR10、並びにこれらが結合した炭素原子は存在せず、X及びYは存在しない。別の実施形態において、qはゼロであり、R及びR10と共にこれらが結合した炭素原子は存在せず、X及びYは存在せず、m、n、o及びpの和は2又は3である。
1つの態様において、本発明の化合物は、例えば、睡眠の開始までの時間の減少、睡眠期間の平均長さの増大、及び/又は睡眠期間の最大長さの増大による睡眠の調節に用いられる。他の態様において、本発明のオランザピンアナログは睡眠障害の治療に用いられる。例えば、本発明のオランザピンアナログは、概日リズム異常、不眠症、睡眠時異常行動、睡眠時無呼吸症候群、発作性睡眠、及び/又は睡眠過剰の治療に用いられる。
一実施形態において、本発明のオランザピンアナログは、時差障害、交代勤務性障害、睡眠相後退症候群、睡眠相前進症候群及び非24時間睡眠覚醒障害等の概日リズム異常の治療に用いられる。
別の実施形態において、オランザピンアナログは、例えば、外因性不眠症、精神生理学的不眠症、高度不眠症、下肢静止不能症候群、周期的四肢運動障害、薬剤依存性不眠症、薬物依存性不眠症、アルコール依存性不眠症、及び精神疾患に関連する不眠症等の不眠症の治療に用いられる。
一実施形態において、本発明のオランザピンアナログは、例えば、夢遊病、夜驚症、レム睡眠行動障害、睡眠時歯ぎしり、及び夜尿等の睡眠時行動障害の治療に用いられる。
別の実施形態において、オランザピンアナログは、例えば、中枢型睡眠時無呼吸、閉塞型睡眠時無呼吸、及び混合型睡眠時無呼吸等の睡眠時無呼吸障害の治療に用いられる。
式Iの化合物、又はその薬理学的に許容される塩を含む医薬組成物は、睡眠を調節する方法において用いられる。一実施形態において、式Iの化合物、又はその薬理学的に許容される塩は、1種類又は複数種類の他の治療薬と共に投与される。
他の態様において、本発明は、治療上有効量の式IIの化合物:
Figure 2009504676
又はその医薬として許容される塩(式中、m、n及びoは独立して、0、1、2、3、4、5、又は6であり、Xは、存在しないか、O、S、C(O)、SO又はSOであり、R、R、R及びRは独立して、H、F、Cl、Br、CF、CH、CHCH、CH(CH、シクロプロピル、OH、OCH、OCF、CHOCH及びCHOCHCHより選択され、R及びR10は独立して、H、C、C、C、C、C直鎖アルキル、C、C、C、C、C分枝アルキルであり、又はR及びR10は、これらが結合した炭素原子と共に、結合してサイズが3、4、5、6、7のスピロ環を形成しており、ZはCOOH、COOR13(ここでR13は、C、C、C、C、C、Cアルキルである)、CONHS(O)−アルキル、CONHS(O)−ヘテロアルキル、CONHS(O)−アリール、CONHS(O)−ヘテロアリール、S(O)NHCO−アルキル、S(O)NHCO−ヘテロアルキル、S(O)NHCO−アリール、S(O)NHCO−ヘテロアリール、CONHS(O)N−アルキル、CONHS(O)N−ヘテロアルキル、CONHS(O)N−アリール、CONHS(O)N−ヘテロアリール、又はテトラゾールであり、mがゼロの場合にはXが存在しない)を投与することにより、被検者における睡眠を調節する方法を提供する。
一実施形態において、本発明の方法で使用するための式IIの化合物は、以下の特性の1以上を有する:H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が500nM未満である;M1、M2、M3、D1、D2、α1及びα2から選択されるオフターゲットへのオフターゲット結合に関するKiが、1,000nMを上回り、かつ/又はH1受容体に関するKiの10倍より高い;化合物を被検者に投与してから第3時までのノンレムピーク時間値が、1時間当たりのノンレム睡眠の55%を上回る;最高の睡眠固定をもたらす化合物用量に対し、ノンレム睡眠の累積増加合計が20分未満である;最長睡眠時間が13分よりも長期にわたる;被検者への化合物の投与より少なくとも24時間前に得たベースライン値を用いて調整した場合に、治療後の正味の最長睡眠時間が3分以上である;絶対ピークでの平均睡眠期間が5分よりも長い;被検者への化合物の投与が相当な反跳不眠症を生じさせない;被検者への化合物の投与が特段にレム睡眠を阻害しない;並びに被検者への化合物の投与が、睡眠の通常作用に比して不相応に自発運動活性を阻害することがない。
別の実施形態において、本発明の方法で使用するための式IIの化合物は、以下の特性の1以上を有する:H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が300nM未満である;M1、M2、M3、D1、D2、α1及びα2から選択されるオフターゲットへのオフターゲット結合に関するKiが、1μMを上回る;化合物を被検者に投与してから第3時までのノンレムピーク時間値が、1時間当たりのノンレム睡眠の55%を上回る;最高の睡眠固定をもたらす化合物用量に対し、ノンレム睡眠の累積増加合計が20分未満である;最長睡眠時間が13分よりも長期にわたる;被検者への化合物の投与より少なくとも24時間前に得たベースライン値を用いて調整した場合に、治療後の正味の最長睡眠時間が3分以上である;絶対ピークでの平均睡眠期間が5分よりも長い;被検者への化合物の投与が相当な反跳不眠症を生じさせず;被検者への化合物の投与が特段にレム睡眠を阻害しない;並びに被検者への化合物の投与が、睡眠の通常作用に比して不相応に自発運動活性を阻害することがない。
別の実施形態において、本発明の方法で使用するための式IIの化合物は、以下の特性の1以上を有する:H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が150nM未満である;M1、M2、及びM3から選択されるオフターゲットへのオフターゲット結合に関するKiが、10μMを上回る;化合物を被検者に投与してから第3時までのノンレムピーク時間値が、1時間当たりのノンレム睡眠の55%を上回る;最高の睡眠固定をもたらす化合物用量に対し、ノンレム睡眠の累積増加合計が20分未満である;最長睡眠時間が17分よりも長期にわたる;被検者への化合物の投与より少なくとも24時間前に得たベースライン値を用いて調整した場合に、治療後の正味の最長睡眠時間が5分以上である;絶対ピークでの平均睡眠期間が6分よりも長い;被検者への化合物の投与が相当な反跳不眠症を生じさせない;被検者への化合物の投与が特段にレム睡眠を阻害しない;並びに被検者への化合物の投与が、睡眠の通常作用に比して不相応に自発運動活性も運動状態も阻害することがない。
一実施形態において、ZはCOH又はテトラゾールである。一実施形態において、oはゼロである。
一実施形態において、ZがCOOHである場合には、R、R、R、Rのうち少なくとも1つと、R〜R10のうち少なくとも1つは、水素ではない。一実施形態において、R、R、及びRは、それぞれ水素であり、Rは、水素ではない。一実施形態において、R、R、及びRは、それぞれ水素であり、Rは、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、メトキシメチレン、又はヒドロキシである。
一実施形態において、R、R、R、Rのうち少なくとも2つは水素ではなく、残りのR、R、R、Rは水素である。別の実施形態において、R、R、R、Rのうち少なくとも3つは水素ではなく、残りのR、R、R、Rは水素である。一実施形態において、Rは水素ではない。一実施形態において、Rは水素ではない。一実施形態において、Rは水素ではない。一実施形態において、Rは水素ではない。一実施形態において、R及びRは水素ではない。別の実施形態において、R及びRは水素ではない。別の実施形態において、R及びRは水素ではない。
一実施形態において、R及びR10はそれぞれメチルである。別の実施形態において、R及びR10はそれぞれエチルである。別の実施形態において、R及びR10はそれぞれ水素である。
一実施形態において、R及びR10は、これらが付加した炭素原子と共に結合して、サイズ3、4、5、6、又は7のスピロ環を形成している。例えば、一実施形態において、R及びR10は、これらが付加した炭素原子と共に結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成している。
一実施形態において、R及びR10はメチルであり、Rは水素又はハロゲンであり、残りのR、R及びRは水素である。R及びR10はメチルであり、Rは水素又はハロゲンであり、残りのR、R及びRは水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R及びR10はエチルであり、Rは水素又はハロゲンであり、残りのR、R及びRは水素である。別の実施形態において、R及びR10はエチルであり、Rは水素又はハロゲンであり、残りのR、R及びRは水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R及びR10及びこれらが付加した炭素原子は結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成している。別の実施形態において、R及びR10及びこれらが付加した炭素原子は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、Rは水素又はハロゲンであり、残りのR、R及びRは水素である。別の実施形態において、R及びR10及びこれらが付加した炭素原子は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、Rは水素又はハロゲンであり、残りのR、R及びRは水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、本発明の方法において用いられる式IIの化合物において、oはゼロである。別の実施形態において、oはゼロであり、Xは存在しない。別の実施形態において、oはゼロであり、Xは存在せず、m及びnの和は2又は3である。
一実施形態において、睡眠の調節は、例えば、睡眠の開始までの時間の減少、睡眠期間の平均長さの増大、及び/又は睡眠期間の最大長さの増大である。一実施形態において、睡眠の調節により、睡眠障害を治療する。
式IIの化合物又はその医薬として許容される塩を含む医薬組成物も、被検者において睡眠を調節する化合物において用いられる。一実施形態において、式IIの化合物、又はその薬理学的に許容される塩は、1種類又は複数種類の他の治療薬と共に投与される。
他の態様において、本発明は、治療上有効量の式IIIの化合物:
Figure 2009504676
又はその医薬として許容される塩(式中、m及びnは独立して、0、1、2、3又は4であり、Xは、存在しないか、O又はSであり、R、R、R及びRは独立して、H、F、Cl、Br、CF、CH、OH、CHCH、CH(CH、OCH、CHOCH及びCHOCHCHより選択され、R及びR10は独立して、H、C、C、C、C、C直鎖アルキル、C、C、C、C、C分枝アルキルであり、又はR及びR10は、これらが結合した炭素原子と共に、結合してサイズが3、4、5、6、7のスピロ環を形成しており、ZはCOOH、CONHS(O)−アルキル、CONHS(O)−ヘテロアルキル、CONHS(O)−アリール、CONHS(O)−ヘテロアリール、及びテトラゾールであり、mがゼロの場合にはXが存在しない)を投与することにより、被検者における睡眠を調節する化合物を提供する。
一実施形態において、本発明の方法で使用するための式IIIの化合物は、以下の特性の1以上を有する:H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が500nM未満である;M1、M2、M3、D1、D2、α1及びα2から選択されるオフターゲットへのオフターゲット結合に関するKiが、1,000nMを上回り、かつ/又はH1受容体に関するKiの10倍より高い;化合物を被検者に投与してから第3時までのノンレムピーク時間値が、1時間当たりのノンレム睡眠の55%を上回る;最高の睡眠固定をもたらす化合物用量に対し、ノンレム睡眠の累積増加合計が20分未満である;最長睡眠時間が13分よりも長期にわたる;被検者への化合物の投与より少なくとも24時間前に得たベースライン値を用いて調整した場合に、治療後の正味の最長睡眠時間が3分以上である;絶対ピークでの平均睡眠期間が5分よりも長い;被検者への化合物の投与が相当な反跳不眠症を生じさせない;被検者への化合物の投与が特段にレム睡眠を阻害しない;並びに被検者への化合物の投与が、睡眠の通常作用に比して不相応に自発運動活性を阻害することがない。
別の実施形態において、本発明の方法で使用するための式IVの化合物は、以下の特性の1以上を有する:H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が300nM未満である;M1、M2、M3、D1、D2、α1及びα2から選択されるオフターゲットへのオフターゲット結合に関するKiが、1μMを上回る;化合物を被検者に投与してから第3時までのノンレムピーク時間値が、1時間当たりのノンレム睡眠の55%を上回る;最高の睡眠固定をもたらす化合物用量に対し、ノンレム睡眠の累積増加合計が20分未満である;最長睡眠時間が13分よりも長期にわたる;被検者への化合物の投与より少なくとも24時間前に得たベースライン値を用いて調整した場合に、治療後の正味の最長睡眠時間が3分以上である;絶対ピークでの平均睡眠期間が5分よりも長い;被検者への化合物の投与が相当な反跳不眠症を生じさせず;被検者への化合物の投与が特段にレム睡眠を阻害しない;並びに被検者への化合物の投与が、睡眠の通常作用に比して不相応に自発運動活性を阻害することがない。
別の実施形態において、本発明の方法で使用するための式IIIの化合物は、以下の特性の1以上を有する:H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が150nM未満である;M1、M2、及びM3から選択されるオフターゲットへのオフターゲット結合に関するKiが、10μMを上回る;化合物を被検者に投与してから第3時までのノンレムピーク時間値が、1時間当たりのノンレム睡眠の55%を上回る;最高の睡眠固定をもたらす化合物用量に対し、ノンレム睡眠の累積増加合計が20分未満である;最長睡眠時間が17分よりも長期にわたる;被検者への化合物の投与より少なくとも24時間前に得たベースライン値を用いて調整した場合に、治療後の正味の最長睡眠時間が5分以上である;絶対ピークでの平均睡眠期間が6分よりも長い;被検者への化合物の投与が相当な反跳不眠症を生じさせない;被検者への化合物の投与が特段にレム睡眠を阻害しない;並びに被検者への化合物の投与が、睡眠の通常作用に比して不相応に自発運動活性も運動状態も阻害することがない。
一実施形態において、ZはCOH又はテトラゾールである。一実施形態において、mはゼロである。一実施形態において、ZがCOOHである場合には、R、R、R、Rのうち少なくとも1つと、R〜R10のうち少なくとも1つは、水素ではない。一実施形態において、R、R、及びRは、それぞれ水素であり、Rは、水素でもハロゲンでもない。一実施形態において、R、R、及びRは、それぞれ水素であり、Rは、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシメチレン、メトキシ又はヒドロキシである。
一実施形態において、R、R、及びRは、それぞれ水素であり、Rは水素でもハロゲンでもはない。一実施形態において、R、R、及びRは、それぞれ水素であり、Rは、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシメチレン、メトキシ又はヒドロキシである。
一実施形態において、R、R、R、Rのうち少なくとも2つは水素ではなく、残りのR、R、R、Rは水素である。一実施形態において、R、R、R、Rのうち少なくとも3つは水素ではなく、残りのR、R、R、Rは水素である。一実施形態において、Rは水素ではない。一実施形態において、Rは水素ではない。一実施形態において、Rは水素ではない。一実施形態において、Rは水素ではない。一実施形態において、R及びRは水素ではない。別の実施形態において、R及びRは水素ではない。別の実施形態において、R及びRは水素ではない。
一実施形態において、R及びR10はそれぞれメチルである。別の実施形態において、R及びR10はそれぞれエチルである。別の実施形態において、R及びR10はそれぞれ水素である。
一実施形態において、R及びR10は、これらが付加した炭素原子と共に結合して、サイズ3、4、5、6、又は7のスピロ環を形成する。例えば、一実施形態において、R及びR10は、これらが付加した炭素原子と共に結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成する。
一実施形態において、R及びR10はメチルであり、Rは水素、メチル、エチル又はイソプロピル、又はハロゲンであり、残りのR、R及びRは水素である。別の実施形態において、R及びR10はメチルであり、Rは水素、メチル、エチル又はイソプロピル、又はハロゲンであり、残りのR、R及びRは水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R及びR10はエチルであり、Rは水素、メチル、エチル又はイソプロピル、又はハロゲンであり、残りのR、R及びRは水素である。別の実施形態において、R及びR10はエチルであり、Rは水素、メチル、エチル又はイソプロピル、又はハロゲンであり、残りのR、R及びRは水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R及びR10及びこれらが付加した炭素原子は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成している。別の実施形態において、R及びR10及びこれらが付加した炭素原子は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、Rは水素、メチル又はハロゲンであり、残りのR、R及びRは水素である。
別の実施形態において、R及びR10及びこれらが付加した炭素原子は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、Rは水素、メチル又はハロゲンであり、残りのR、R及びRは水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、本発明の化合物において用いられる式IIIの化合物において、Xは存在しない。別の実施形態において、Xは存在せず、m及びnの和は2又は3である。
一実施形態において、睡眠の調節は、例えば、睡眠の開始までの時間の減少、睡眠期間の平均長さの増大、及び/又は睡眠期間の最大長さの増大である。一実施形態において、睡眠の調節により、睡眠障害を治療する。
式IIIの化合物又はその薬理学的に許容される塩を含む医薬組成物も、本発明の睡眠を調節する化合物において用いられる。
別の態様において、本発明は、次の化学式IVの化学構造を有する化合物の治療上有効量を投与することにより被検者の睡眠を調整する化合物を提供し、
Figure 2009504676
又は、これらの薬学的有効量の塩を提供し、ここに、tは1、2、3、又は4であり;R、R、R及びRは独立して、H、F、Cl、Br、CF、CH、CHCH、CH(CH、OH、OCH、CHOCH又はCHOCHCHであり;R、R10はH、CH、CHCHであるか又はサイズ3、4、5、6、又は7のスピロ環と結合するように付加する炭素を伴うものであり;ZはCOH、CONHS(O)−アルキル、CONHS(O)−シクロアルキル、CONHS(O)−ヘテロアルキル、CONHS(O)−アリール、CONHS(O)−ヘテロアルキル、又はテトラゾールから選ばれる。
典型的な化合物のtは1又は2である。
一実施形態において、本発明の方法で使用するための式IVの化合物は、以下の特性の1以上を有する:H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が500nM未満である;M1、M2、M3、D1、D2、α1及びα2から選択されるオフターゲットへのオフターゲット結合に関するKiが、1,000nMを上回り、かつ/又はH1受容体に関するKiの10倍より高い;化合物を被検者に投与してから第3時までのノンレムピーク時間値が、1時間当たりのノンレム睡眠の55%を上回る;最高の睡眠固定をもたらす化合物用量に対し、ノンレム睡眠の累積増加合計が20分未満である;最長睡眠時間が13分よりも長期にわたる;被検者への化合物の投与より少なくとも24時間前に得たベースライン値を用いて調整した場合に、治療後の正味の最長睡眠時間が3分以上である;絶対ピークでの平均睡眠期間が5分よりも長い;被検者への化合物の投与が相当な反跳不眠症を生じさせない;被検者への化合物の投与が特段にレム睡眠を阻害しない;並びに被検者への化合物の投与が、睡眠の通常作用に比して不相応に自発運動活性を阻害することがない。
別の実施形態において、本発明の方法で使用するための式IVの化合物は、以下の特性の1以上を有する:H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が300nM未満である;M1、M2、M3、D1、D2、α1及びα2から選択されるオフターゲットへのオフターゲット結合に関するKiが、1μMを上回る;化合物を被検者に投与してから第3時までのノンレムピーク時間値が、1時間当たりのノンレム睡眠の55%を上回る;最高の睡眠固定をもたらす化合物用量に対し、ノンレム睡眠の累積増加合計が20分未満である;最長睡眠時間が13分よりも長期にわたる;被検者への化合物の投与より少なくとも24時間前に得たベースライン値を用いて調整した場合に、治療後の正味の最長睡眠時間が3分以上である;絶対ピークでの平均睡眠期間が5分よりも長い;被検者への化合物の投与が相当な反跳不眠症を生じさせず;被検者への化合物の投与が特段にレム睡眠を阻害しない;並びに被検者への化合物の投与が、睡眠の通常作用に比して不相応に自発運動活性を阻害することがない。
別の実施形態において、本発明の方法で使用するための式IVの化合物は、以下の特性の1以上を有する:H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が150nM未満である;M1、M2、及びM3から選択されるオフターゲットへのオフターゲット結合に関するKiが、10μMを上回る;化合物を被検者に投与してから第3時までのノンレムピーク時間値が、1時間当たりのノンレム睡眠の55%を上回る;最高の睡眠固定をもたらす化合物用量に対し、ノンレム睡眠の累積増加合計が20分未満である;最長睡眠時間が17分よりも長期にわたる;被検者への化合物の投与より少なくとも24時間前に得たベースライン値を用いて調整した場合に、治療後の正味の最長睡眠時間が5分以上である;絶対ピークでの平均睡眠期間が6分よりも長い;被検者への化合物の投与が相当な反跳不眠症を生じさせない;被検者への化合物の投与が特段にレム睡眠を阻害しない;並びに被検者への化合物の投与が、睡眠の通常作用に比して不相応に自発運動活性も運動状態も阻害することがない。
一実施形態において、ZはCOH又はテトラゾールである。別の実施形態において、ZはCOOHであり、R、R、R及びRの少なくとも1つは水素ではない。
一実施形態において、R及びR10はそれぞれメチルである。別の実施形態において、R及びR10はそれぞれエチルである。一実施形態において、R及びR10及びこれらに付加する炭素は、3から7のサイズのスピロ環と結合する。例えば、一実施形態において、R及びR10及びこれらに付加する炭素原子は、3員スピロ環(シクロプロピル)と結合する。
一実施形態において、R及びR10はメチルであり、Rは水素、メチル、又はハロゲンであり、R、R、及びRは水素である。別の実施形態において、R及びR10はメチルであり、Rは水素、メチル、又はハロゲンであり、R、R、及びRは水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R及びR10はエチルであり、Rは水素、メチル、エチル、イソプロピル、又はハロゲンであり、R、R、Rは水素である。別の実施形態において、R及びR10はメチルであり、Rは水素、メチル、エチル、イソプロピル、又はハロゲンであり、R、R、及びRは水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R及びR10及びこれらに付加する炭素は、3員スピロ環(シクロプロピル)と結合する。別の実施形態において、R及びR10及びこれらに付加する炭素は3員スピロ環と結合し、Rは水素、メチル、又はハロゲンであり、R、R及びRは水素である。別の実施形態において、R及びR10及びこれらに付加する炭素は3員スピロ環(シクロプロピル)と結合し、Rは水素、メチル、又はハロゲンであり、R、R、Rは水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、睡眠調整は、睡眠到来時間の短縮、平均連続睡眠長の増加、及び最大連続睡眠長の増加から選ばれる。一実施形態において、睡眠調整は不眠症を治療する。
化学式IVの化合物を含んでなる薬学的組成物又はその薬理学的に受容しうる塩は、発明に係り睡眠を調整する化合物中にも用いられる。
一実施形態において、本発明の方法に用いられる化学式IVの化合物は、IVa、IVb、IVc、IVd、又はIVeである。
例えば、R及びR10がメチルであると、化合物は化学式IVaの一般的構造を有し、
Figure 2009504676
及びR10が3員スピロ環(シクロプロピル)を生成するよう結合すると、化合物は化学式IVbの一般的構造を有し、
Figure 2009504676
及びR10がエチルであると、化合物は化学式IVcの一般的構造を有し、
Figure 2009504676
及びR10がエチルであり、C炭素が3員スピロ環(シクロプロピル)を生成するよう結合すると、化合物は化学式IVdの一般的構造を有し、
Figure 2009504676
及びR10が水素であると、化合物は化学式IVeの一般的構造を有する。
Figure 2009504676
別の態様では、本発明は、式Iの化合物又はその薬理学的に有効な塩に関する。
Figure 2009504676
式中、m、n、o、p、qは独立して、0、1、2、3、4、5、又は6の整数であり;A及びBは独立して、O、S、NR、又はC(Rであり;X及びYは独立して、存在しないか、O、S、C(O)、SO又はSOであり;R、R、R、R、R、R、R、及びRは独立して、H、F、Cl、Br、OH、CH、C、C、C、C、C直鎖アルキル、C、C、C、C分鎖アルキル、C、C、C、C、Cシクロアルキル、C、C、C、C、Cヘテロシクリル、OCH、OCF、CHOCH、CHCHOCH、CHOCHCH、C、C、C、C、C、Cヒドロキシアルキル、又はC、C、C、C、C、Cアルコキシであり;リンカーのCH基のいずれの水素もH、F、Cl、OH、Br、CF、CH、C、C、C、C、C直鎖アルキル、C、C、C、C分鎖アルキル、C、C、C、C、Cシクロアルキル、C、C、C、C、Cヘテロシクリル、OCH、OCF、CHOCH、CHCHOCH、CHOCHCH、C、C、C、C、C、Cヒドロキシアルキル、又はC、C、C、C、C、Cアルコキシで任意に置換され;R、R10、R11、及びR12は独立して、H、C、C、C、C、C直鎖アルキル、C、C、C、C、C分鎖アルキルであるか、又はR及びR10は、それらが付加する炭素と共に、存在しないか又は結合して3、4、5、6、若しくは7のサイズのスピロ環を形成するか、又はR11及びR12は、それらが付加する炭素と共に結合して3、4、5、6、若しくは7のサイズのスピロ環を形成するか、又は異なる2つの炭素原子上の置換基は結合して3、4、5、6、又は7のサイズの環を形成し;ZはCOH、CO13(式中、R13は、C、C、C、C、C、Cアルキルである)、CONR1415(式中、R14及びR15は独立して水素又は低級アルキルである)、CONHS(O)−アルキル、CONHS(O)−シクロアルキル、CONHS(O)−ヘテロアルキル、CONHS(O)−アリール、CONHS(O)−ヘテロアリール、S(O)NHCO−アルキル、S(O)NHCO−シクロアルキル、S(O)NHCO−ヘテロアルキル、S(O)NHCO−アリール、S(O)NHCO−ヘテロアリール、CONHS(O)N−アルキル、CONHS(O)N−シクロアルキル、CONHS(O)N−ヘテロアルキル、CONHS(O)N−アリール、CONHS(O)N−ヘテロアリール、SOH、SOH、S(O)NHCO−アルキル、S(O)NHCO−アリール、S(O)NHCO−ヘテロアリール、P(O)(OH)、P(O)OH、
Figure 2009504676
から選択され
mが0の場合に、Xは存在しない。
一実施形態において、当該化合物は化合物1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105又は106である。
一実施形態において、当該化合物は化合物46である。
Figure 2009504676
一実施形態において、ZはCOOH、テトラゾール、スルホンアミド、又はスルホアミドである。
別の実施形態において、ZがCOOHであると、R〜Rの少なくとも1つ及びR〜R12の少なくとも1つは水素ではない。
一実施形態において、Rは水素でもハロゲンでもない。別の実施形態において、R〜Rはそれぞれ水素であり、Rは水素ではない。
一実施形態において、R〜Rの少なくとも1つは水素ではなく、残りのR〜Rは水素である。別の実施形態において、R〜Rの少なくとも2つは水素ではなく、残りのR〜Rは水素である。別の実施形態において、R〜Rの少なくとも3つは水素ではなく、残りのR〜Rは水素である。別の実施形態において、R〜Rの少なくとも4つは水素ではなく、残りのR〜Rは水素である。一実施形態において、Rは水素ではない。一実施形態において、Rは水素ではない。一実施形態において、Rは水素ではない。一実施形態において、Rは水素ではない。一実施形態において、R及びRは水素ではない。別の実施形態において、R及びRは水素ではない。別の実施形態において、R及びRは水素ではない。別の実施形態において、R及びRは水素ではない。別の実施形態において、R及びRは水素ではない。別の実施形態において、R及びRは水素ではない。
一実施形態において、R〜Rの少なくとも1つはメチル、エチル、イソプロピル、メトキシメチレン、クロロ、フロロ、ブロモ、ヒドロキシ、又はメトキシである。一実施形態において、Rはメチル、メトキシメチレン、クロロ、フロロ、ブロモ、ヒドロキシ、又はメトキシである。別の実施形態において、Rはメチル、メトキシメチレン、クロロ、フロロ、ブロモ、ヒドロキシ、又はメトキシである。別の実施形態において、Rはメチル、メトキシメチレン、クロロ、フロロ、ブロモ、ヒドロキシ、又はメトキシである。別の実施形態において、Rはメチル、メトキシメチレン、クロロ、フロロ、ブロモ、ヒドロキシ、又はメトキシである。
一実施形態において、R〜Rの少なくとも2つはメチル、エチル、イソプロピル、メトキシメチレン、クロロ、フロロ、ブロモ、ヒドロキシ、又はメトキシである。別の実施形態において、R〜Rのの少なくとも2つはメチル、エチル、イソプロピル、メトキシメチレン、クロロ、フロロ、ブロモ、ヒドロキシ、又はメトキシであり、ZはCOOHである。別の実施形態において、R〜Rのの少なくとも2つはメチル、エチル、イソプロピル、メトキシメチレン、クロロ、フロロ、ブロモ、ヒドロキシ、又はメトキシであり、R及びR10は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R及びRは、共にメチル、メトキシ、ヒドロキシ、メトキシメチレン、クロロ、フロロ、又はブロモであり、残りのR〜R及びR〜Rは水素である。別の実施形態において、R及びRは、共にメチル、メトキシ、ヒドロキシ、メトキシメチレン、クロロ、フロロ、又はブロモであり、残りのR及びR〜Rは水素である。一実施形態において、R及びRは、共にメチル、メトキシ、ヒドロキシ、メトキシメチレン、クロロ、フロロ、又はブロモであり、残りのR〜R、R及びRは水素である。一実施形態において、R及びRは、共にメチル、メトキシ、ヒドロキシ、メトキシメチレン、クロロ、フロロ、又はブロモであり、残りのR、R〜R及びRは水素である。一実施形態において、R及びRは、共にメチル、メトキシ、ヒドロキシ、メトキシメチレン、クロロ、フロロ、又はブロモであり、残りのR及びR〜Rは水素である。
一実施形態において、Rはメチルである。一実施形態において、Rはメチルであり、R又はRは、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、クロロ、フロロ、又はブロモである。別の実施形態において、Rはフロロであり、R又はRは、メチル、メトキシメチレン、又はメトキシである。一実施形態において、Rはメトキシである。一実施形態において、Rはメトキシであり、R又はRは、メチル、メトキシ、ヒドロキシ、メトキシメチレン、クロロ、フロロ、又はブロモである。別の実施形態において、Rはフロロであり、R又はRはメトキシである。
一実施形態において、R及びR10並びにこれらが付加する炭素原子はサイズ3、4、5、6、又は7のスピロ環を生成するよう結合する。一実施形態において、R及びR10並びにこれらが付加する炭素原子は存在せず、R11及びR12並びにこれらが付加する炭素原子はサイズ3、4、5、6、又は7のスピロ環を生成するよう結合する。一実施形態において、R及びR10並びにこれらが付加する炭素原子、又は、R11及びR12並びにこれらが付加する炭素原子はスピロ3員環を生成するよう結合する。
一実施形態において、R及びR10は水素である。
一実施形態において、R及びR10はメチルである。別の実施形態において、R及びR10はメチルであり、Rはメチル、エチル、イソプロピル、水素、又はハロゲンであり、R〜Rは水素である。別の実施形態において、R及びR10はメチルであり、Rはメチル、エチル、イソプロピル、水素、又はハロゲンであり、R〜Rは水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R及びR10はエチルである。別の実施形態において、R及びR10はエチルであり、Rはメチル、エチル、イソプロピル、水素、又はハロゲンであり、R〜Rは水素である。別の実施形態において、R及びR10はエチルであり、Rはメチル、水素、又はハロゲンであり、R〜Rは水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R及びR10、並びにこれらが結合した炭素は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成している。別の実施形態において、R及びR10、並びにこれらが結合した炭素は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、Rはメチル、水素、又はハロゲンであり、R〜Rは水素である。別の実施形態において、R及びR10、並びにこれらが結合した炭素は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、Rはメチル、水素、又はハロゲンであり、R〜Rは水素であり、ZはCOOHである。
別の実施形態において、R及びR10はメチルであり、Rはメトキシであり、R〜Rは水素である。別の実施形態において、R及びR10はメチルであり、Rはメトキシであり、R〜Rは水素であり、ZはCOOHである。
別の実施形態において、R及びR10はメチルであり、Rはメトキシメチレンであり、R〜Rは水素である。別の実施形態において、R及びR10はメチルであり、Rはメトキシメチレンであり、R〜Rは水素であり、ZはCOOHである。
別の実施形態において、R及びR10はエチルであり、Rはメトキシであり、R〜Rは水素である。別の実施形態において、R及びR10はエチルであり、Rはメトキシであり、R〜Rは水素であり、ZはCOOHである。
別の実施形態において、R及びR10、並びにこれらが結合した炭素は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、Rはメトキシであり、R〜Rは水素である。別の実施形態において、R及びR10、並びにこれらが結合した炭素は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、Rはメトキシであり、R〜Rは水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R及びR10、並びにこれらと結合した炭素は存在しない。
一実施形態において、R11及びR12はメチルである。別の実施形態において、R11及びR12はメチルであり、Rは水素又はハロゲンであり、R〜Rは水素である。別の実施形態において、R11及びR12はメチルであり、Rは水素又はハロゲンであり、R〜Rは水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R11及びR12はエチルである。別の実施形態において、R11及びR12はエチルであり、Rは水素又はハロゲンであり、R〜Rは水素である。別の実施形態において、R11及びR12はエチルであり、Rは水素又はハロゲンであり、R〜Rは水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R11及びR12、並びにこれらが結合した炭素は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成している。別の実施形態において、R11及びR12、並びにこれらが結合した炭素は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、Rは水素又はハロゲンであり、R〜Rは水素である。別の実施形態において、R11及びR12、並びにこれらが結合した炭素は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、Rは水素又はハロゲンであり、R〜Rは水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R11及びR12はメチルであり、Rはメトキシである。別の実施形態において、R11及びR12はメチルであり、Rはメトキシであり、R〜Rは水素である。別の実施形態において、R11及びR12はメチルであり、Rはメトキシであり、R〜Rは水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R11及びR12はエチルであり、Rはメトキシである。別の実施形態において、R11及びR12はエチルであり、Rはメトキシであり、R〜Rは水素である。別の実施形態において、R11及びR12はエチルであり、Rはメトキシであり、R〜Rは水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R11及びR12、並びにこれらが結合した炭素は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、Rはメトキシである。別の実施形態において、R11及びR12、並びにこれらが結合した炭素は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、Rメトキシであり、R〜Rは水素である。別の実施形態において、R11及びR12、並びにこれらが結合した炭素は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、Rはメトキシであり、R〜Rは水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、qはゼロである。別の実施形態において、qはゼロであり、R及びR10、並びにこれらが結合した炭素原子は存在しない。別の実施形態において、qはゼロであり、R及びR10、並びにこれらが結合した炭素原子は存在せず、X及びYは存在しない。別の実施形態において、qはゼロであり、R及びR10は共にこれらが結合した炭素原子が存在せず、X及びYは存在せず、m、n、o及びpの和は2又は3である。
式Iの化合物を含んでなる医薬品又はその薬理学的に許容される塩も、本発明に係る睡眠調整の方法において用いられる。
他の態様において、本発明は、治療上有効量の式IIの化合物:
Figure 2009504676
又はその医薬として許容される塩(式中、m、n及びoは独立して、0、1、2、3、4、5、又は6であり、Xは、存在しないか、O、S、C(O)、SO又はSOであり、R、R、R及びRは独立して、H、F、Cl、Br、CF、CH、CHCH、CH(CH、シクロプロピル、OH、OCH、OCF、CHOCH及びCHOCHCHより選択され、R及びR10は独立して、H、C、C、C、C、C直鎖アルキル、C、C、C、C、C分枝アルキルであり、又はR及びR10は、これらが結合した炭素原子と共に、結合してサイズが3、4、5、6、7のスピロ環を形成しており、ZはCOOH、COOR13(ここでR13は、C、C、C、C、C、Cアルキルである)、CONHS(O)−アルキル、CONHS(O)−ヘテロアルキル、CONHS(O)−アリール、CONHS(O)−ヘテロアリール、S(O)NHCO−アルキル、S(O)NHCO−ヘテロアルキル、S(O)NHCO−アリール、S(O)NHCO−ヘテロアリール、CONHS(O)N−アルキル、CONHS(O)N−ヘテロアルキル、CONHS(O)N−アリール、CONHS(O)N−ヘテロアリール、又はテトラゾールであり、mがゼロの場合にはXが存在しない)を投与することにより、被検者における睡眠を調節する方法を提供する。
一実施形態において、ZはCOH又はテトラゾールである。別の実施形態において、ZがCOOHである時、R、R、R、及びRのうち少なくとも1つと、R〜R10の少なくとも1つは水素ではない。一実施形態において、oはゼロである。
一実施形態において、ZがCOOHである場合には、R、R、R、Rのうち少なくとも1つと、R〜R10のうち少なくとも1つは、水素ではない。一実施形態において、R、R、及びRは、それぞれ水素であり、Rは、水素でもハロゲンでもない。一実施形態において、R、R、及びRは、それぞれ水素であり、Rは、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ又はヒドロキシである。
一実施形態において、R、R、R、Rのうち少なくとも2つは水素ではなく、残りのR、R、R、Rは水素である。一実施形態において、R、R、R、Rのうち少なくとも3つは水素ではなく、残りのR、R、R、Rは水素である。一実施形態において、Rは水素ではない。一実施形態において、Rは水素ではない。一実施形態において、Rは水素ではない。一実施形態において、Rは水素ではない。一実施形態において、R及びRは水素ではない。別の実施形態において、R及びRは水素ではない。別の実施形態において、R及びRは水素ではない。
一実施形態において、R及びR10はそれぞれメチルである。別の実施形態において、R及びR10はそれぞれエチルである。別の実施形態において、R及びR10はそれぞれ水素である。
一実施形態において、R及びR10は、これらが付加した炭素原子と共に結合して、サイズ3、4、5、6、又は7のスピロ環を形成する。例えば、一実施形態において、R及びR10は、これらが付加した炭素原子と共に結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成する。
一実施形態において、R及びR10はメチルであり、Rは水素又はハロゲンであり、残りのR、R及びRは水素である。別の実施形態において、R及びR10はメチルであり、Rは水素又はハロゲンであり、残りのR、R及びRは水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R及びR10はエチルであり、Rは水素又はハロゲンであり、残りのR、R及びRは水素である。別の実施形態において、R及びR10はエチルであり、Rは水素又はハロゲンであり、残りのR、R及びRは水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R及びR10及びこれらが付加した炭素原子は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成している。別の実施形態において、R及びR10及びこれらが付加した炭素原子は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、Rは水素又はハロゲンであり、残りのR、R及びRは水素である。別の実施形態において、R及びR10及びこれらが付加した炭素原子は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、Rは水素又はハロゲンであり、残りのR、R及びRは水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態では、化学式IIの化合物において、oはゼロである。別の実施形態では、oはゼロであり、Xは存在しない。別の実施形態では、oはゼロであり、Xは存在せず、m及びnの号英は2又は3である。
式IIの化合物又はその医薬として許容される塩を含む医薬組成物も、本発明の睡眠を調節する化合物において用いられる。
他の態様において、本発明は、治療上有効量の式IIIの化合物:
Figure 2009504676
又はその医薬として許容される塩(式中、m及びnは独立して、0、1、2、3又は4であり、Xは、存在しないか、O又はSであり、R、R、R及びRは独立して、H、F、Cl、Br、CF、CH、OH、CHCH、CH(CH、OCH、CHOCH及びCHOCHCHより選択され、R及びR10は独立して、C、C、C、C、C直鎖アルキル、C、C、C、C、C分枝アルキルであり、又はR及びR10は、これらが結合した炭素原子と共に、結合してサイズが3、4、5、6、7のスピロ環を形成しており、ZはCOOH、CONHS(O)−アルキル、CONHS(O)−ヘテロアルキル、CONHS(O)−アリール、CONHS(O)−ヘテロアリール、及びテトラゾールであり、mがゼロの場合にはXが存在しない)を投与することにより、被検者における睡眠を調節する化合物を提供する。
一実施形態において、ZはCOH又はテトラゾールである。一実施形態において、mはゼロである。一実施形態において、ZがCOOHである場合には、R、R、R、Rのうち少なくとも1つと、R〜R10のうち少なくとも1つは、水素ではない。一実施形態において、R、R、及びRは、それぞれ水素であり、Rは水素でもハロゲンでもない。一実施形態において、R、R、及びRは、それぞれ水素であり、Rは、メチル、メトキシ、又はヒドロキシである。
一実施形態において、R、R、及びRはそれぞれ水素であり、Rは水素ではない。一実施形態において、R、R、及びRはそれぞれ水素であり、Rはメチル、エチル、イソプロピル、メトキシメチレン、メトキシ、又はヒドロキシである。
一実施形態において、R、R、R、Rのうち少なくとも2つは水素ではなく、残りのR、R、R、Rは水素である。別の実施形態において、R、R、R、Rのうち少なくとも3つは水素ではなく、残りのR、R、R、Rは水素である。一実施形態において、Rは水素ではない。一実施形態において、Rは水素ではない。一実施形態において、Rは水素ではない。一実施形態において、Rは水素ではない。一実施形態において、R及びRは水素ではない。別の実施形態において、R及びRは水素ではない。別の実施形態において、R及びRは水素ではない。
一実施形態において、R及びR10はそれぞれメチルである。別の実施形態において、R及びR10はそれぞれエチルである。別の実施形態において、R及びR10はそれぞれ水素である。
一実施形態において、R及びR10は、これらが付加した炭素原子と共に結合して、サイズ3、4、5、6、又は7のスピロ環を形成している。例えば、一実施形態において、R及びR10は、これらが付加した炭素原子と共に結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成している。
一実施形態において、R及びR10はメチルであり、Rは水素又はハロゲンであり、残りのR、R及びRは水素である。R及びR10はメチルであり、Rは水素又はハロゲンであり、残りのR、R及びRは水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R及びR10はエチルであり、Rは水素又はハロゲンであり、残りのR、R及びRは水素である。別の実施形態において、R及びR10はエチルであり、Rは水素又はハロゲンであり、残りのR、R及びRは水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R及びR10及びにこれらが結合した炭素原子は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成している。別の実施形態において、R及びR10及びこれらが付加した炭素原子は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、Rは水素又はハロゲンであり、残りのR、R及びRは水素である。別の実施形態において、R及びR10及びこれらが付加した炭素原子は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、Rは水素又はハロゲンであり、残りのR、R及びRは水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態では、化学式IIIの化合物において、Xは存在しない。別の実施形態では、Xは存在せず、m及びnの合計は2又は3である。
化学式IIIの化合物又はその医薬として許容される塩を含む医薬組成物も、本発明に係る睡眠調整法において用いられる。
別の態様では、本発明は、式IVの化合物又はその薬理学的に有効な塩に関する。
Figure 2009504676
式中、tは1、2、3、又は4であり;R、R、R及びRは独立して、H、F、Cl、Br、CF、CH、CHCH、CH(CH、OH、OCH、CHOCH、又はCHOCHCHであり;RおよびR10は、H、CH、CHCHであるか、又はR及びR10は、それらが付加する炭素と共に結合して3、4、5、6、若しくは7のサイズのスピロ環を形成し;Zは、COH、CONHS(O)−アルキル、CONHS(O)−シクロアルキル、CONHS(O)−ヘテロアルキル、及びテトラゾールから選択され;mが0の場合に、Xは存在しない。
典型的な化合物において、t=1又は2である。
化学式IVの化合物又はその医薬として許容される塩を含む医薬組成物も、本発明に係る睡眠調整法において用いられる。
一実施形態において、Zは、COH、スルホンアミド、スルファミド又はテトラゾールである。別の実施形態において、ZがCOOHである場合、R、R、及びRの少なくとも1つ及びR〜R10の少なくとも1つは水素ではない。
一実施形態において、R及びR10はそれぞれメチルである。別の実施形態において、R及びR10はそれぞれエチルである。一実施形態において、R及びR10及びこれらが付加した炭素原子は結合して、サイズ3、4、5、6、又は7のスピロ環を形成している。別の実施形態において、R及びR10及びこれらが付加した炭素原子は結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成している。
一実施形態において、R及びR10はメチルであり、Rは水素、メチル、エチル、イソプロピル、又はハロゲンであり、R、R及びRは水素である。別の実施形態において、R及びR10はメチルであり、Rは水素又はハロゲンであり、R、R及びRは水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R及びR10はエチルであり、Rは水素、メチル、エチル、イソプロピル、又はハロゲンであり、残りのR、R及びRは水素である。別の実施形態において、R及びR10はエチルであり、Rは水素又はハロゲンであり、残りのR、R及びRは水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態において、R及びR10及びこれらが付加した炭素原子は結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成している。別の実施形態において、R及びR10及びこれらが付加した炭素原子は結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、Rは水素、メチル又はハロゲンであり、R、R及びRは水素である。別の実施形態において、R及びR10及びこれらが付加した炭素原子は、結合して、3員スピロ(シクロプロピル)環を形成し、Rは水素、メチル又はハロゲンであり、R、R及びRは水素であり、ZはCOOHである。
化学式IVの化合物又はその医薬として許容される塩を含む医薬組成物も、本発明に係る睡眠調整法において用いられる。
一実施形態において、化学式IVの化合物は、IVa、IVb、IVc、IVd又はIVeである。
例えば、R及びR10がメチルである場合、化合物は一般的に化学式IVaを有する。
Figure 2009504676
及びR10が3員スピロ環(シクロプロピル)を形成するよう結合する場合、化合物は一般的に化学式IVbを有する。
Figure 2009504676
及びR10がエチルである場合、化合物は一般的に化学式IVcを有する。
Figure 2009504676
及びR10がエチルであり、C炭素が3員スピロ環(シクロプロピル)を形成するよう結合する場合、化合物は一般的に化学式IVdを有する。
Figure 2009504676
及びR10が水素である場合、化合物は一般的に化学式IVeを有する。
Figure 2009504676
本発明の代表的な化合物には、表1にリストされた化合物を含んでなる。
表1 オランザピン誘導体
Figure 2009504676
Figure 2009504676

Figure 2009504676


Figure 2009504676


Figure 2009504676
**環サイズは、R及びR10が付加して3、4、5、6、又は7のスピロ環を形成するよう結合する炭素と共に形成する環のサイズである。例えば、環サイズが3である場合、この環はシクロプロピルである。
代表的化合物は、化合物46である。
Figure 2009504676
一般に、別の態様において、本発明は化学式I〜IVeの睡眠を調整するためのオランザピンアナログに係る。典型的には、化学式I〜IVeの化合物は、副作用を低減して睡眠を調整する。例えば、当該化合物はレム睡眠を妨げず(その結果、これらの化合物により誘導される睡眠はより個人の自然な睡眠サイクルに近くなりうる)、当該化合物の使用はリバウンド不眠を招かず、及び/又は、当該化合物は自発運動活性を阻害せず、体温への悪影響もない。
本発明のオランザピンアナログの試験管条件における(in vitro)選択基準を、表2に示す。
Figure 2009504676
例えば、オフターゲット結合のKiは、H1受容体Kiの50倍の計測値である。ある実施形態においては、オフターゲット結合のKiは、H1受容体Kiの100倍の計測値である。
H1結合(すなわち、主ターゲット結合)、及びM1、M2及びM3結合(すなわち、オフターゲット結合)の計測には、試験管系結合アッセイを用いた。これらの結合アッセイにより、H1、M1、M2、及びM3受容体においてオランザピンアナログが既知標準に代わりうる能力を計測した。ここに、H1はヒスタミン受容体であり、M1、M2、及びM3はコリン(ムスカリン)受容体である。H1及びドーパミン受容体(D1及びD2)、及びH1及びアドレナリン受容体(α1及びα2)について同様のアッセイを実施した。
ヒスタミン受容体H1への結合試験は結合親和性を示すので、これにより結合アッセイの結果からオランザピンアナログ化合物の活性を知ることができる。ムスカリン受容体への結合試験は、当該化合物に抗コリン活性をもたらす、ムスカリン受容体への当該化合物の結合の程度を示す。ムスカリン受容体への結合は、口の渇き等、多くの抗ヒスタミン剤で知られる望ましくない副作用を様々に引き起こす。本発明の化合物はH1受容体への結合と比較してM1〜M3受容体への結合を弱めており、当該化合物がムスカリン受容体よりもヒスタミン受容体への特異性を向上したことを示している。
更に、ヒスタミン受容体への特異性を向上した医薬は、抗コリン性の副作用がより低下したことになる。
本発明のオランザピンアナログ(本願明細書において「供試化合物」又は「本発明の化合物」という参照も同様)のH1結合は、所与の供試化合物、又は一連の供試化合物のH1受容体への特異的結合を計測し、これを既知標準(すなわち参照化合物)の特異的結合と比較することにより決定した。
H1結合アッセイにおいて用いる参照化合物は、例えば、トリプロリジン(Ki 3.3nM)、クロルフェニラミン(Ki 103.0nM)、ピリラミン(Ki 1.9nM)、シクロヘプタジン(Ki 8.5nM)、シメチジン(Ki>10,000)、及びディマプリット(Ki>10,000)を含んでなる。(例えば以下を参照、Changら、Neurochem.、第32巻、1653〜1663ページ、1979年(改変あり);Martinez−Mirら、Brain Res.、第526巻、322〜327ページ、1990年;Haaksmeら、Pharmac. Ther.、第47巻、73〜104ページ、1990年)
例えば、H1結合アッセイの一実施形態においては、H1受容体はウシ細胞膜由来であり、最終リガンド濃度の2.0nM放射性リガンド[H]ピリミジン(15〜25Ci/mmol)をH1受容体への特異的結合検出に用いた。当該アッセイの特徴は、KD(結合親和性)1.3nM及びBmax(受容体数)6.2fmol/mg組織(湿重量)を含んでなる。トリポリジン(10μM)を、非特異的界面活性剤、参照化合物及びポジティブコントロールとして用いた。結合反応は、50mM Na−KPO(pH7.5)中、25℃で60分間実施した。当該反応は、グラスファイバーフィルタ上で迅速真空吸引により終了させた。フィルタ上にトラップした放射能レベルを計測し、参照値と比較して、所与の供試化合物とH1結合サイトとの全ての相互作用を確認した。
M1結合アッセイにより、所与の供試化合物のM1への特異的結合を測定し、これを参照化合物の特異的結合と比較して、供試化合物のM1結合を計測した(次を参照:Buckleyら、Mol. Pharmacol.、第35巻、469〜476ページ、1989年(改変あり))。M1結合アッセイに用いる参照化合物には、例えば、スコポラミン、メチルBr(Ki 0.09nM)、4−DAMPメチオジド(Ki 0.27nM)、ピレンゼピン(Ki 2.60nM)、HHSID(Ki 5.00nM)、及びメトクトラミン(Ki 29.70nM)を含んでなる。
例えば、M1結合アッセイの一実施形態においては、M1ムスカリン受容体はCHO細胞に発現したヒト遺伝子組み換えM1であり、最終濃度0.5nMの放射性リガンド[H]スコポラミン塩化N−メチル(80〜100Ci/mmol)をM1に対する特異的結合の検出に用いた。当該アッセイの特徴は、KD(結合親和性)0.05nM及びBmax(受容体数)4.2pmol/mgタンパクを含んでなる。
(−)−スコポラミン、メチル−、ブロミド(臭化メチルスコポラミン)(1.0μM)を非特異的界面活性剤、参照化合物及びポジティブコントロールとして用いた。
結合反応はPBS中、25℃で60分間実施した。
当該反応は、グラスファイバーフィルタ上で迅速真空吸引により終了させた。
フィルタ上にトラップした放射能レベルを計測し、参照値と比較して、所与の供試化合物とM1結合サイトとの全ての相互作用を確認した。
M2結合アッセイにより、所与の供試化合物のM2への特異的結合を測定し、これを参照化合物の特異的結合と比較して、供試化合物のM2結合を計測した(次を参照:Buckleyら、Mol. Pharmacol.、第35巻、469〜476ページ、1989年(改変あり))。M2結合アッセイに用いる参照化合物には、例えば、スコポラミン、メチルBr(Ki 0.3nM)、4−DAMPメチオジド(Ki 20.7nM)、メトクトラミン(Ki 20.460nM)、HHSID(Ki 212.7nM)、及びピレンゼピン(Ki 832.9nM)を含んでなる。
例えば、M2結合アッセイの一実施形態においては、M2ムスカリン受容体はCHO細胞に発現したヒト遺伝子組み換えM2であり、最終濃度0.5nMの放射性リガンド[H]スコポラミン塩化N−メチル(80〜100Ci/mmol)をM1に対する特異的結合の検出に用いた。当該アッセイの特徴は、KD(結合親和性)0.29nM及びBmax(受容体数)2.1pmol/mgタンパクを含んでなる。(−)−スコポラミン、メチル−、ブロミド(臭化メチルスコポラミン)(1.0μM)を非特異的界面活性剤、参照化合物及びポジティブコントロールとして用いた。結合反応はPBS中、25℃で60分間実施した。当該反応は、グラスファイバーフィルタ上で迅速真空吸引により終了させた。フィルタ上にトラップした放射能レベルを計測し、参照値と比較して、所与の供試化合物とM2結合サイトとの全ての相互作用を確認した。
M3結合アッセイにより、所与の供試化合物のM3への特異的結合を測定し、これを参照化合物の特異的結合と比較して、供試化合物のM3結合を計測した(次を参照:Buckleyら、Mol. Pharmacol.、第35巻、469〜476ページ、1989年(改変あり))。M3結合アッセイに用いる参照化合物には、例えば、スコポラミン、メチルBr(Ki 0.3nM)、4−DAMPメチオジド(Ki 0.8nM)、HHSID(Ki 14.5nM)、ピレンゼピン(Ki 153.3nM)、及びメトクトラミン(Ki 700.0nM)を含んでなる。
例えば、M3結合アッセイの一実施形態においては、M3ムスカリン受容体はCHO細胞に発現したヒト遺伝子組み換えM3であり、最終濃度0.2nMの放射性リガンド[H]スコポラミン塩化N−メチル(80〜100Ci/mmol)をM1に対する特異的結合の検出に用いた。当該アッセイの特徴は、KD(結合親和性)0.14nM及びBmax(受容体数)4.0pmol/mgタンパクを含んでなる。(−)−スコポラミン、メチル−、ブロミド(臭化メチルスコポラミン)(1.0μM)を非特異的界面活性剤、参照化合物及びポジティブコントロールとして用いた。結合反応は、10mM MgCl、1mM EDTAを含む50mM TRIS−HCl(pH7.4)中、25℃で60分間実施した。当該反応は、グラスファイバーフィルタ上で迅速真空吸引により終了させた。フィルタ上にトラップした放射能レベルを計測し、参照値と比較して、所与の供試化合物とM3結合サイトとの全ての相互作用を確認した。
試験管条件における(in vitro)本発明のオランザピンアナログの選択基準を、表3に示す。
Figure 2009504676
例えば、他の試験管条件における本発明のオランザピンアナログの選択基準を、表4に示す。
Figure 2009504676
H1結合及び、M1、M2及びM3結合(オフターゲット結合)は、上述のH1、M1、M2及びM3結合アッセイを用いて計測した。
他の試験管条件における本発明のオランザピンアナログの選択基準は、HERG結合を含んでなる。
主ターゲット結合及びオフターゲット結合を、上述のように計測した。供試化合物による主ターゲット(H1)との結合及び主ターゲット/オフターゲット結合の割り当てが望ましい場合には、哺乳類細胞で発現したクローンhERGチャネルに対する所望の被検物の影響を評価するhERG競合ブロック試験を用いて、HERG結合(オフターゲット結合)を計測した(以下を参照、Brown及びRample、Pharmaceutical News、第7巻、15〜20ページ、2000年;Weirich及びAntoni、Basic Res.Cardiol.、第93巻Suppl.1.125〜132ページ、1998年;Yap及びCamm、Clin. Exp. Allergy,第29巻Suppl.3、174〜181ページ、1999年)。
ヒト心室において迅速な遅延整流電流(IKr)を生じる心臓カリウムチャネルであるhERGのオフターゲット結合を評価した。IKr阻害は非心臓薬による心筋細胞活動電位の延長を起こす最も一般的な原因であるからである(Brown及びRample(2000年)、Weirich及びAntoni(1998年)、Yap及びCamm(1999年)を参照)。心筋細胞活動電位期間が増すと、トルサード・ド・ポワント、すなわち心室性不整脈を伴うQT間隔の延長を引き起こす(Brown及びRample、2000年)。
hERGアッセイにおいて、hERGチャネルは内因性IKrを欠損するヒト胚腎セルライン(HEK293)で発現させた。哺乳類セルラインでの発現は、ツメガエル卵母細胞での一過性の発現よりも好適である。後者はhERGチャネルブロッカーに対して常に10〜100倍低感度だからである(Rampe、1997年を参照)。
hERGアッセイの実施形態において、ポジティブコントロール(すなわち参照化合物)はテルフェナジン(米国ミズリー州セントルイス、Sigma社)であり、濃度60nMにおいてhERG電流を約75%ブロックすることが示された。供試化合物は、0.1%ジメチルスルホキシド(DMSO)を加えたHEPESバッファ/生理食塩水(HB−PS)中に入れた。供試化合物は、それぞれ濃度10μMで、hERGを発現するHEK293細胞(n≧3、ここにnは細胞数)に加えた。細胞は十分な時間被検物に露出して定常状態に落ち着かせたが、10分を超えさせなかった。ポジティブコントロール(60mMテルフェナジン)を2個の細胞(n≧2)に加えた。
次いで、hERG露出細胞はレコーディング用チャンバに移動してHB−PS溶液で超融合した。ホールセルレコーディング用のピペット溶液(mM単位の組成)は、アスパラギン酸カリウム 130mM、MgCl 5mM、EGTA 5mM、ATP 4mM、及びHEPES 10mMを含んでなり、KOHでpH7.2調整した。供試化合物によるhERG電流の発生及び定常状態を、保持電圧−80mVからの増幅率一定(脱分極:+20mV 2秒、再分極:−50mV 2秒)のパルスパターンを用いて、10秒間隔で繰り返し測定した。ピークのテール電流は、−50mVとなるまで2秒ステップで計測した。供試化合物又はポジティブコントロール化合物を加える前に、定常状態を少なくとも30秒間維持した。ピークテール電流は、新たに定常状態となるまで計測した。
上述の試験管条件における選択基準に加えて、本発明のオランザピンアナログは以下の生理条件における(in vivo)睡眠−覚醒及び生理学的評価を用いて選択した。
(ノンレム睡眠)
雄性Wisterラットの成体において、(i)治療後3時間以内に、ピークノンレム睡眠量が1時間あたり55%を上回り、(ii)薬剤が経口投与された場合、最大の睡眠増強効果をもたらす化合物の用量について、治療後の最初の6時間におけるノンレム睡眠における、睡眠期間の長さで測定されるこのような増大の性質が、累積ノンレム睡眠の正味の総合計(24概日時間前におけるベースラインに対して調整され、プラセボ対照治療等に対する相対値)が20分を下回らない様なものである場合、オランザピンアナログが選択される。
「ノンレムピーク睡眠時間」という用語は、LD12:12(12時間の明時間及び12時間の暗時間)の明暗サイクルで暗室中で飼育したラットにおいて、薬物投与による治療後に、消灯後6時間後である概日時間(CT)18時において見られる、1時間当たりのノンレム睡眠の絶対ピーク量であると定義される。1時間あたり55%のノンレム睡眠の名目基準は、1時間あたり33分間のノンレム睡眠に相当する。
本明細書において用いられる場合、「累積ノンレム睡眠」という用語は、常にではないが、通常治療後の最初の6時間に起こる、薬剤の催眠効果の全期間にわたって測定された、ノンレム睡眠の分数の増大の総合計として定義され、24時間前に記録された、治療を行っていない、一日のうち対応するベースライン時間の間に見られる、プラセボ対照治療等に対するノンレム睡眠の分数の増大の正味の総合計に対して調整される。
本明細書において定義されているように、「睡眠期間」という用語は、ノンレム睡眠、レム睡眠、又はノンレム及びレム睡眠段階の両者を含み、発現の前後が、2回を超える、連続する10秒間の覚醒状態により区切られる、連続的又はほぼ連続的な睡眠の個々の発現を指す。以下の非限定的な説明により、この概念を説明する:WWWWSSSSWSSSSSSSWWSSSSSSSWWWW、ここで、それぞれの文字は、覚醒(S=睡眠、W=覚醒)が有意な状態が、それぞれの10秒間の間観測されたことを示す。測定された睡眠「期間」は、21の10秒間の期間、又は3.5分間である。
(睡眠の増強)
雄性Wisterラットの成体において、(i)最長の連続的な睡眠の発現の絶対的な期間(「睡眠期間」)が13分間以上であり、(ii)治療後の正味の最長睡眠期間が、24概日時間前におけるベースラインに対して調整された場合、プラセボ群に対して3分間以上であり、(iii)全ての睡眠期間の1時間あたりの絶対的な長さの平均が、各時間ごとに5分間以上である場合、オランザピンアナログが選択される。上述の選択基準において、睡眠及び覚醒の段階は、連続する10秒間(例えば、10秒間の睡眠評価「期間」)ごとに決定され、睡眠及び覚醒は、EEG及びEMG基準を用いてポリグラフにより決定され、発現が、連続する2つ以上の10秒間の覚醒期間により中断されるまでの間、睡眠の発現(ノンレム睡眠及び/又はレム睡眠を含む)は、連続する「期間」であると定義されると仮定される。
本明細書において用いられる場合、「睡眠期間の最大長さ」という用語は、単一の最長の睡眠の発現又は治療後所定時間の初期に見られる「発作」の間に、動物が睡眠状態(ノンレム及び/又はレム睡眠段階)に留まっている全分数であると定義される。「睡眠期間の長さ」の測定基準は、睡眠が10秒間継続して観測されることを前提とし、期間を規定する10秒間隔の間の個々の睡眠段階(睡眠段階は、ノンレム睡眠、レム睡眠、又は覚醒状態として定義される)として、主要な状態に基づいて記録され、計算又は他の方法により決定される。
「睡眠期間の平均長さ」という用語は、所定の時間に始まり、それぞれの発現又は発作の個別の期間とは無関係な、睡眠長さの平均(分)であると定義される。
(同時に測定される副作用)
雄性Wisterラットの成体において、これらの化合物が、(i)検知可能な量のリバウンド不眠を生じず、(ii)レム睡眠を明確に阻害せず、(iii)睡眠の通常の効果に対して通常の自発運動及び/又は感覚運動を不均衡に阻害しない場合、オランザピンアナログが選択される。これらの3つの副作用の変数に対するしきい値の定義は下記のとおりである。「リバウンド不眠」とは、睡眠剤又は催眠剤の睡眠促進効果の後に起こる、反動的、逆説的、又は代償的な覚醒期間として定義される。
リバウンド不眠は、通常、治療から6〜18時間後の概日睡眠相の間のCT18時(明−暗12:12の場合において、消灯後6時間)に観測されるが、治療後の最初の30時間の任意の時間において起こりうる。雄性Wisterラットの成体において、治療後の概日睡眠相(点灯時)の間に、リバウンド不眠に関連する過剰な累積的な覚醒が、1時間あたりのノンレム睡眠の回数を10%を超えて減少させる場合、リバウンドは許容されないと見なされる。
雄性Wisterラットの成体において、リバウンド不眠は、ベースライン(24時間前)の対応する回数に対する、薬剤による睡眠誘導効果後の覚醒の増大として現れ、リバウンド不眠は累積値として測定される。
「レム睡眠阻害」とは、治療後のCT18時(消灯後6時間、明−暗12:12)又はCT5時(点灯後5時間、明−暗12:12)における、レム睡眠時間の減少として定義される。CT18時又はCT5時のいずれかに投与された場合に、(プラセボ治療に対して調整されたベースラインに対する相対値で)15分よりも長時間レム睡眠を減少させる化合物は、許容されないと見なされる。
本明細書において定義されているように、「不均衡性自発運動阻害」とは、睡眠に起因する、通常の又は予測される自発運動の低下を上回る自発運動の低下である。論理的には、動物が眠っている場合、通常、それに対応する自発運動の低下が存在する。睡眠性又は催眠性化合物が、睡眠のみで説明できる程度よりも20%を超えて自発運動を低下させる場合、この化合物は許容されないと見なされる。同一の動物において、客観的な睡眠−覚醒測定と同時に行われる限りにおいて、任意の形態の自発運動の監視(非特異的運動、遠隔監視による行動監視、3次元運動検知装置、車回し運動、試験測定、筋電図計測等)を用いて、自発運動(LMA)又は感覚運動を客観的に定量化することができる。
ある実施形態において、動物のケージ内での自発運動は、動物の腹腔内に外科的に埋め込まれた生物遠隔計測装置を用いて計測され、埋め込み可能な装置及び関連する遠隔受信装置により、ケージ内での動物の運動の有無及び程度を検知することができる。睡眠及び覚醒は、10秒間の期間ごとに連続的に測定される。単位時間あたりの自発運動の回数を、併存する同一の単位時間あたりの覚醒量で割ると、当該単位時間あたりの「自発運動強度」(LMAI)が得られる。CT18時(明−暗12:12である場合において、消灯後6時間後)に投与された睡眠性又は催眠性化合物が、睡眠のみで説明できる程度よりもプラセボ比20%を超えて自発運動を低下させる場合、この化合物は許容されないと見なされる。
ある実施形態において、本発明のオランザピンアナログは、表6に示したインビボでの睡眠−覚醒及び生理学的評価基準を用いて選択される。
Figure 2009504676
これらの睡眠−覚醒及び生理学的評価基準を評価する方法は、上述のとおりである。表5の第2列に示した「絶対値」は、各供試化合物について測定された値を意味するが、表5の第3列に示した「変化」値は、絶対値がプラセボとの差である調整された値を反映しており、この場合において、プラセボの値は、ベースラインに対して調整されている。
ある実施形態において、最長睡眠期間は13分間を上回る。他の実施形態において、この期間は17分間を上回る。ある実施形態において、治療後の正味の最長睡眠期間は3分間以上である。他の実施形態において、この期間は6分間以上である。
本発明のオランザピンアナログを選択するために用いられる、インビボでの他の睡眠−覚醒又は生理学的評価基準としては、プラセボに対するベースラインにおける変化としての急性の体温変化及び潜在的な体温変化の測定が挙げられる。急性の体温変化は−0.50℃を超えてはならず、潜在的な体温変化は、1〜6時間で+0.50℃を超えてはならない。急性の体温変化(T1〜6)は、24時間前に測定された、ベースラインに対して調節され、プラセボに対する相対値(プラセボからの減少)である。治療後7〜18時間後に測定された潜在的な体温変化(T7〜18)は、24時間前に測定された、ベースラインに対して調節され、プラセボ群に対する相対値(プラセボからの減少)である。
本発明は、化学式I〜IVの化合物の治療上有効量又はそれらの治療上有効量の塩を被検者に投与ことにより、睡眠を調整する方法を提供する。当該化合物は、睡眠到来時間の短縮、平均連続睡眠長の増加、及び最大連続睡眠長の増加を含んでなる種々の方法で睡眠を調整する。
当該化合物又はその医薬として許容される塩は、経口、経鼻、経皮、経肺、吸引、口内、舌下、腹膜内、静脈内、直腸、胸膜内、腱鞘内、及び非経口的に投与される。一実施形態において、当該化合物は経口投与される。当業者であればを何らかの投与ルートの利点を認識するだろう。
化学式I〜IVの化合物の治療上有効量、又はその塩の治療上有効量を被検者に投与することにより睡眠を調整する方法は、概日リズム異常、不眠症、睡眠時異常行動、睡眠時無呼吸症候群、発作性睡眠、及び睡眠過剰を含んでなる種々の睡眠障害を治療するために用いられる。一実施形態において、当該方法は、時差障害、交代勤務性障害、睡眠相後退症候群、睡眠相前進症候群及び非24時間睡眠覚醒障害等を含んでなる概日リズム異常を治療する。別の実施形態において、当該方法は、外因性不眠症、精神生理学的不眠症、高度不眠症、下肢静止不能症候群、周期的四肢運動障害、薬剤依存性不眠症、薬物依存性不眠症、アルコール依存性不眠症、及び精神疾患に関連する不眠症を含んでなる不眠症の治療に用いられる。
別の実施形態において、当該方法は、夢遊症、夜驚症、レム睡眠行動障害、睡眠時歯ぎしり及び夜尿症を含んでなる睡眠時異常行動を治療する。更に別の実施形態において、当該方法はば中枢型睡眠時無呼吸、閉塞型睡眠時無呼吸、及び混合型睡眠時無呼吸を含んでなる睡眠時無呼吸障害を治療する。加えて、当該方法は、睡眠発作又は過眠症等の他の睡眠障害を治療する。
一実施形態において、化学式I〜IVの化合物はその薬理学的に許容される塩として投与される。
例えば、化合物89は、次に示す化合物89aの薬理学的に許容されるナトリウム塩である。
Figure 2009504676
当業者であれば、薬理学的に許容しうる塩を創製し、適切な塩を同定するための種々の方法を認識するであろう。一実施形態において、当該化合物又はその薬理学的に許容しうる塩は薬理学的組成物を含んでなる。
「被検者」には哺乳類、例えば、ヒト、コンパニオンアニマル(例えば、イヌ、ネコ、鳥及び同等のもの)、農耕動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、ニワトリ及び同等のもの)、及び実験動物(ラット、マウス、モルモット、鳥及び同等のもの)を含んでなる。通常、被検者はヒトである。
治療を必要とする被検者は、被検者が睡眠に至り、かつ/又は睡眠を維持する能力を左右し、かつ/又は再び良好な睡眠に至れないか又は睡眠から回復しない結果となる、睡眠障害を有する。
本願明細書にて用いる用語「睡眠障害」は、当業者に睡眠障害と認識される状態、例えば、睡眠障害として提案され、又は睡眠障害であると見い出された当業者公知の状態を含んでなる。例えば、次を参照:MJ Thorpy、International Classification of Sleep Disorders(再版)、Diagnostic and Coding Manual. American Sleep Disorders Association、米国ミネソタ州Rochester、1997年; ICD−9−CM、 International Classification of Diseases、第9版、Clinical Modification、National Center for Health Statistics、米国ミズリー州Hyattsville。
例えば、睡眠障害は一般的に、内在的外在的及び概日リズム異常等の睡眠障害;覚醒、睡眠覚醒移行障害、及び異常に伴う素早い眼球の動き(REM、レム)及び他の異常行動等の睡眠時異常行動;精神的神経学的及び他の医学的疾患に伴う障害;及び他の睡眠障害に分類されうる。
内在性睡眠障害は、例えば、精神生理性不眠症、睡眠状態誤認、特発性不眠症、睡眠発作、反復性過眠症、特発性過眠症、外傷後過眠症、閉塞性睡眠時無呼吸症候群、中枢型睡眠時無呼吸症候群、周期性四肢運動障害、レストレスレッグ症候群を含んでなる。
外在性睡眠障害は、例えば、不適切な睡眠衛生、環境上睡眠障害、高山不眠症、睡眠調整異常、睡眠不足症候群、限度設定睡眠障害、入眠時随伴障害、食物アレルギー不眠症、夜間摂食(飲水)障害、催眠剤依存性睡眠障害、刺激剤依存睡眠障害、アルコール依存性睡眠障害、及び毒物起因性睡眠障害を含んでなる。
概日リズム睡眠障害は、例えば、時間帯域変化症候群、交代勤務睡眠障、不規則型睡眠・覚醒パターン、睡眠相後退症候群、睡眠相前進症候群、非24時間睡眠覚醒症候群を含んでなる。
覚醒睡眠障害は、例えば、錯乱性覚醒、睡眠時遊行症、及び夜驚症を含んでなる。
睡眠覚醒移行障害は、例えば、律動性運動障害、睡眠時ひきつけ、寝言、及び夜間下肢こむらがえりを含んでなる。
レム睡眠随伴症は、例えば、悪夢、睡眠麻痺、睡眠関連陰茎勃起障害、睡眠関連疼痛性勃起、レム睡眠関連洞停止、及びレム睡眠行動障害を含んでなる。
他の睡眠時随伴症は、例えば、睡眠時歯ぎしり、睡眠時遺尿症、睡眠関連異常嚥下症候群、夜間発作性ジストニア、説明不能の夜間突然死症候群、原発性いびき、乳児睡眠時無呼吸症、先天性虫垂性低換気症候群、乳児突然死症候群、及び良性新生児睡眠時ミオクローヌスを含んでなる。
「睡眠障害」は、他の医学的疾患、疾病又は損傷を有する被検者、又は他の薬剤又は内科療法による治療を受けている被検者においても起こり、その結果、被検者は、入眠及び/又は睡眠の継続が困難であり、又は爽快でない睡眠又は体力の回復がみられない睡眠に悩んでおり、例えば、睡眠不足に悩んでいる。例えば、化学療法、外科手術、又は苦痛か他の物理的傷害の結果として、他の条件での医学治療を受けた後に睡眠が困難になる被検者もいる。
例えば、不安等の精神的神経学的疾患等、中枢神経系(CNS)疾患等、ある種の医学的疾患が、睡眠欠乏等の睡眠障害を構成しうることは当業に周知である。従って、「睡眠障害を治療すること」は、CNS疾患等、他の疾患が構成する睡眠障害を治療することも含んでなる。更に、CNS疾患が構成する睡眠障害を治療することは、疾患に伴う他の症候を改善する有益な効果も有しうる。
例えば、睡眠欠乏と結びついた不安を経験している被検者においては、睡眠欠乏の要素を治療することは不安要素も治療することになる。従って、本発明はこのような医学的疾患を治療する方法も含んでなる。
例えば、精神疾患を伴う睡眠障害には、精神病、気分障害、不安障害、パニック障害、依存症等を含んでなる。特定の精神疾患には、例えば、鬱、強迫性障害、感情神経症/障害、憂鬱神経症/障害、不安神経症、気分変調性障害、行動障害、気分障害、統合失調症、躁鬱病、幻覚及びアルコール依存症を含んでなる。
神経障害を伴う睡眠障害には、例えば、大脳変性性障害、認知症、パーキンソン病、ハンチンソン病、アルツハーマー病、致死性家族性不眠症、睡眠関連てんかん、睡眠時てんかん性発作波重積、睡眠関連頭痛を含んでなる。他の医学的疾患を伴う睡眠障害は、嗜眠病、夜間心虚血、慢性閉塞性肺疾患、睡眠関連喘息、睡眠関連胃食道逆流、消化性潰瘍病、及び結合組織炎症候群を含んでなる。
ある種の状況において、睡眠障害には苦痛を伴う。例えば、下肢静止不能症候群に伴う神経因性疼痛;片頭痛;痛覚過敏、繊維筋痛症疼痛;痛覚過敏等により増大又は過敏である痛みの感受性、カウザルギー及びアロディニア;急性疼痛;熱傷の痛み;複合性局所痛症候群I型及びII型;関節炎;スポーツ障害疼痛;HIV、ポリオ後症候群及び帯状疱疹後疼痛等の感染関連の痛み;幻覚肢痛;産痛;癌疼痛;化学療法後疼痛;脳卒中後中枢性疼痛;手術後疼痛;神経痛;過敏性腸症候群、片頭痛及び狭心症を含んでなる内臓痛を伴う症状、である。
他の睡眠障害には、例えば、短時間睡眠者、長時間睡眠者、亜覚醒症候群、断片型ミオクローヌス、睡眠時多汗症、月経時随伴睡眠障害、妊娠時随伴睡眠障害、恐慌型入眠時幻覚、睡眠関連喉頭けいれん、及び睡眠時窒息症候群を含んでなる。
不眠症は、典型的には、入眠時不眠症(被検者が入眠までに30分以上かかる);睡眠維持不眠症(被検者は睡眠したい期間中に30分以上を覚醒に費やすか、又は、例えば所望の起床時間よりも早く目覚めるのが困難であるか、又は、睡眠に戻れない)に分類される。開示化合物は、入眠及び睡眠維持障害、概日リズム調節障害による不眠症、又はCNS障害による不眠症の治療において特に有効である。一実施形態は、概日リズム調節障害の被検者を治療することである。別の実施形態は、気分障害による不眠症の被検者を治療することである。一実施形態において、睡眠時無呼吸症、夢遊症、夜驚症、下肢静止不能症候群、入眠時不眠症、又は睡眠維持不眠症の被検者が治療される。典型的には、入眠時不眠症、又は睡眠維持不眠症の被検者が治療される。開示化合物は、入眠時不眠症の治療に有効でありうる。開示化合物は、睡眠維持不眠症の治療にも有効でありうる。
本発明を利用する投薬処方は、被検者の型、種、年齢、体重、性別及び医学的条件;治療される状態の重篤さ;投与経路;被検者の腎臓及び肝臓機能;及びそこで用いられる特定の化合物又は塩を含んでなる、種々の要因に従って選択される。通常の技術を有する外科医又は獣医であれば、当該状態の進行を防ぎ、打ち消し、又は停止するために要する薬剤の有効量を直ちに決定し処方しうる。
本発明品の経口投与は、提示した効果のために用いる場合、経口的に約0.05〜5000mg/日の間の範囲でありうる。開示化合物の有効量は、典型的には1日につき約0.01mg/kgから約100mg/kgの範囲であり、典型的1日につきには0.1mg/kgから約10mg/kgの間である。本発明の開示化合物の投与法は次に見られる:Remington、the Science and Practice of Pharmacy、第19版、Mack Publishing Co、米国ペンシルベニア州Easton、1995年。
例えば、ある実施形態において、塩酸、臭素酸、酢酸、過塩素酸等の好適な有機又は無機溶媒で当該化合物を反応させることにより、アミン又は他の塩基を含む化合物の酸性塩が得られる。4級アンモニウム基を伴う化合物は、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、酢酸イオン、過塩素酸イオン等のカウンターアニオンも含んでなる。これらの塩の他の例は、塩酸塩、臭素酸塩、硫酸塩、メタンスルフォナート、硝酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩(例えば、(+)−酒石酸塩、(−)−酒石酸塩、又はラセミ混合物を含んでなるこれらの混合物)、スクシン酸塩、安息香酸塩、及びグルタミン酸等のアミノ酸との塩を含んでなる。
カルボン酸又は他の酸性官能基を含んでなる化合物の塩は、好適な塩基との反応により調整される。このような薬理学的に許容しうる塩は、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モルホリン、ピリジン、ピペリジン、ピコリン、ジクロロrヘキシルアミン、N,N’−ジベンゾエチレンジアミン、2−ヒドロキシエチルアミン、bis−(2−ヒドロキシエチル)アミン、tris−(2−ヒドロキシエチル)アミン、プロカイン、ジベンジルピペリジン、N−ベンジル−β−フェネチルアミン、デヒドロアビエチルアミン、N,N’−ビスデヒドロアビエチルアミン、グルカミン、N−メチルグルカミン、コリジン、キニン、キノリン、及びリジン及びアルギニン等の塩基性アミノ酸等の生理学的に許容しうる有機塩基から作られる塩と同様に、薬理学的に許容しうるカチオン(特にナトリウム及びカリウム)、アルカリ土類金属塩(特にカルシウム及びマグネシウム)、アルミニウム塩及びアンモニウム塩を受け入れる塩基と共に作られる。
一実施形態において、ある化合物とその塩は、例えば水和物のように溶媒和物の形態でも存在する。本願発明は各溶媒和物及びそれらの混合物を含んでなる。
開示化合物及びその塩又は溶媒和物は、例えば「結晶多形」又は「多形」等、1以上の結晶形で存在してもよい。開示化合物の結晶多型は種々の条件下での再結晶により調製される。例えば、種々の再結晶溶媒又は種々の混合溶媒の使用、種々の温度での再結晶、高速から低速の範囲での様々な結晶中冷却モード等である。開示化合物を加熱又は融解した後に、徐々に又は迅速に冷却することで、多形も得られる。多形が生じることは、固体プローブ核磁気共鳴スペクトロスコピー、赤外スペクkトロスコピー、示差走査熱分析、粉末X線回折、及び他の当業公知技術により計測される。
一実施形態において、本願明細書に記載の化合物及びその薬理学的に許容しうる塩は、薬理学的に許容しうるキャリア又はダイリューエントと組合せ、薬理学的調製に用いられる。好適な薬理学的に許容しうるキャリアには、不活性の固体フィラー又はダイリューエント、並びに滅菌した水性又は有機溶媒を含んでなる。当該化合物は、こうした薬理学的に許容しうる組成物中に、本願明細書に記載の範囲で所望の投与量を提供する十分な量で存在しうる。本発明の開示化合物の製剤法及び投与法は次に見られる:Remington、the Science and Practice of Pharmacy(上述)。
典型的には、当該化合物は経口投与用に調製され、開示化合物又はその塩は、カプセル、タブレット、錠剤、粉末、シロップ、溶液、サスペンジョン等に製剤するために、好適な固体又は液体キャリア又はダイリューエントと組合せる。
タブレット、錠剤、カプセル等は、約1〜約99重量%の活性成分及びトランガカントゴム、アラビアガム、コーンスターチ又はゼラチン等の結着剤;リン酸2カルシウム等の賦形剤;コーンスターチ、じゃがいもでんぷん又はアルギニン酸等の分解剤;ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤;及び/又はショ糖、乳糖、サッカリン、キシリトール等の甘味料を含んでなる。服用当量の剤形がカプセルである時には、上述の形式の物質に加えて、脂質等の液体キャリアを含む場合もある。
一実施形態において、服用当量のコーティング又は物理的形態を変更するものとして、種々の他の材料が存在する。例えば、一実施形態において、タブレットはシェラック、砂糖又は両者でコーティングされる。一実施形態において、シロップ又はエリキシル剤は、活性成分に加えて、甘味料としてのショ糖、保存料としてのメチル及びプロピルパラベン、着色料及びチェリー、オレンジ等の香りの香料を含んでなる。
非経口投与に係る実施形態のために、開示化合物又はその塩、溶媒和物又は多形は、滅菌した水溶性又は有機媒体と組合せて、注射用溶液又はサスペンジョンに製剤される。注射用組成物は典型的には水溶性等張溶液又はサスペンジョンである。当該組成物は滅菌してもよく、かつ/又は、保存料、安定剤、保湿剤、乳化剤、溶解促進剤、浸透圧調整用の塩、及び/又は緩衝剤等の補助薬を含んでもよい。加えて、他の治療上の有用な物質を含んでもよい。当該組成物は、通常の混合、粉砕、又は被覆法のそれぞれに従って調製され、約0.1〜70%、典型的には約1〜50%の活性成分を含んでなる。
例えば、注射液は、水溶性の薬理学的に許容しうる当該化合物の塩の水溶液に加えて、ゴマ油、ピーナッツ油又は水溶性プロピレングリコールを用いて作られる。一実施形態において、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、及びこれらの油中混合物において分散剤が調製される。通常の貯蔵及び使用条件下で、これらの調製には微生物の成育を防ぐための保存料を含んでなる。本願明細書に記載の用語「非経口投与」及び「非経口投与された」は、経腸及び局所投与以外の投与モードを意味し、通常は注射であり、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、被膜内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、上皮下、関節内、被膜下、クモ膜下、脊髄内、及び胸骨内を含んでなるが限定しない。
経腸投与に対して好適な薬理学的組成物は、例えば、局所調合品、座薬、又は浣腸剤である。座薬は、脂質乳化剤又はサスペンジョンで調製されるのが好ましい。当該組成物は滅菌され、かつ/又は、保存料、安定剤、保湿剤、乳化剤、溶解促進剤、浸透圧調整用の塩、及び/又は緩衝剤等の補助薬を含んでもよい加えて、他の治療上の有用な物質を含んでもよい。当該組成物は、通常の混合、粉砕、又は被覆法のそれぞれに従って調製され、約0.1〜70%、典型的には約1〜50%の活性成分を含んでなる。
一実施形態において、例えば、手動ポンプスプレー、噴霧器、又は定量噴霧式吸入器により活性成分含有エアロゾル調合を投与する等、当該化合物は活性成分を経肺的に輸送するよう調合される。一実施形態において、このような好適な調合には、開示化合物を有効なエアロゾルに維持するための帯電防止剤等の他の成分も含んでなる。
エアロゾルを輸送するための薬剤輸送装置は、前述の薬理学的エアロゾル調合を含んでなる好適な定量バルブ付きエアロゾル缶、及び前記缶を保持し薬剤輸送するための作動筐体を含んでなる。薬剤輸送装置中の缶は上部スペースを有し、これは缶の全体積の約15%を超える。多くの場合、経肺的投与のために、溶媒、界面活性剤、及びスプレーガスの混合物中には高分子材が溶解、懸濁又は乳化される。混合物は定量バルブで密閉された缶内に加圧保持される。
経鼻投与に対しては、固体又は液体キャリアを用いうる。固体キャリアは、例えば約20〜約500ミクロンの範囲の粒径を有する粗製粉末を含んでなり、当該調合により経鼻経路から迅速吸引投与される。一実施形態において、液体キャリアを用いる調合品が経鼻スプレー又は液滴として投与され、これは活性成分の油又は水溶液を含んでなる。
迅速に服用量を送達する調合もまた意図したものであり、これは「フラッシュ投与」形としても知られている。特に、本願発明の一実施形態は、例えば、約90秒未満、例えば、約30秒未満、又は約10又は15秒未満等、通常は約5分未満の短時間で活性成分を放出する組成物として調合される。このような調合は、例えば体腔内への挿入、又は湿部体表面又は開放創への貼付等の種々の経路を介する患者への投与に好適である。
通常は、「フラッシュ投与」は経口投与される固体服用形であり、これは迅速に口の中で分散するため嚥下に苦労せず、当該化合物は迅速に摂取又は口腔粘膜から吸収される。一実施形態において、好適な迅速分散の服用形態は、外部供給の水分による医薬放出を為しえない傷治療及び他の肉体損傷及び疾病状態を含んでなる他のアプリケーションにも用いられる。
「フラッシュ投与」形は当業公知であり、例えば、米国特許第5578322号及び第5607697号の発泡服用形、不溶性ミクロ粒子の急速放出コーティング;米国特許第4855326号、第5380473号及び第5518730号のメルトスピン服用形;米国特許第6471992号の固体不定形製剤;米国特許第5587172号、第5616344号、第6277406号、及び5622719号の糖類ベースのキャリアマトリクス及び液体バインダー;及び他の当業公知の形態を参照。
本発明のオランザピンアナログは「パルス性放出」調合としても調合され、これは当該アナログを薬理学的組成物から続けて(すなわちパルス的に)放出する。当該オランザピンアナログは「延長放出」調合としても調合され、これは当該アナログを長期間にわたって薬理学的組成物から継続的に放出する。
例えば、円形又は非円形カプセル又はシクロデキストリン、ポリエーテル、又は多糖類(例えばメチルセルロース)等の可溶成分を含んでなる液体、又は典型的にはアルキルエーテルのスペーサ基又は多糖類による親油性空孔から隔離した硫酸ナトリウム基を有するポリアニオン性β−シクロデキストリン誘導体等の形態の調合もまた意図したものである。一実施形態において、当該成分はメチルセルロースである。別の実施形態において、当該成分は、例えばCAPTISOL(登録商標)(米国カンザス州オーバーランド、CyDex社)等の、ブチルエーテルのスペーサ基により親油性空孔から隔離した硫酸ナトリウム塩を有するポリアニオン性β−シクロデキストリン誘導体である。当業の技術を有する者であれば、例えば、溶液40重量%;例えば連続希釈調製により20%、10%、5%、2.5%、0%(参照)等の溶液を作製;当該化合物を過剰添加(当該成分に溶解しうる量に対して);例えば加熱、撹拌、超音波等の適切な条件下で混合;混合物を遠心又はろ過し透明溶液を得る;及び当該溶液を分析し開示化合物の濃度を求めるという、水中での当該成分の溶液調製により好適な成分/開示化合物の調合比率を評価しうる。
上述の治療上の調剤に加えて、本発明の当該化合物を含んでなる治療法は、適宜、1以上の治療法を伴う共同投与、例えば、薬剤又は外科的又は行動治療(例えば、光治療、電気刺激、行動変容、認知療法、概日リズム変容等)を含んでなる。こうした実施は「複合治療」として参照される。複合治療における他の治療又は施術には、例えば、睡眠障害の治療、又は睡眠障害に伴う、任意の睡眠障害又は本願明細書に開示の状況に対する治療等の疾病の治療のために当業にて提案又は発見された当業公知の治療又は施術等、本発明の当該化合物の組合せにおいて上述のように、当業者が認識しうる治療を含んでなる。一実施形態においては、当該化合物は複合治療にて投与されるが、他の実施形態においては単剤療法で投与される。
典型的には、当該化合物は単剤療法として投与される。
当業者であれば、本発明の化合物がターゲットとしているものと同一又は異なるターゲットの障害に対して、本発明の化合物を組合せる治療法が向けられることを認識するであろう。まず、本発明の化合物を投与して他の治療法が続くか、あるいは他の治療法の投薬を最初にしてもよい。他の治療法は、例えば睡眠障害、又は他のCNS障害等、ターゲットである障害の症候を治療し、防止し、又は軽減する、任意の当業公知のものである。加えて、本発明の一実施形態は、ターゲットである障害に対する公知の他の治療法と組合せて投与される化合物を有する。更に、他の治療法は、開示化合物と組合せて投与する場合に患者に有益な成分を含んでなる。
例えば、他の治療法が薬剤である一実施形態では、これは単独の調合として、又は本発明の化合物と同一の調合において投与される。本発明の化合物は、抗ヒスタミン剤、抗菌剤、抗真菌剤、殺菌剤、ホルモン、解熱剤、抗糖尿病剤、気管支拡張剤、下痢止め薬、抗不整脈薬、冠状動脈拡大剤、配糖体、鎮痙薬、降圧薬、抗うつ剤、抗不安薬、他の精神治療薬、ステロイド、コルチコステロイド、鎮痛薬、風邪薬、ビタミン、鎮静薬、催眠薬、避妊薬、非ステロイド系抗炎症薬、血糖低下薬、コレステロール低下薬、抗けいれん剤、他の抗てんかん作用剤、免疫調節薬、抗コリン薬、交感神経遮断薬、交感神経模倣薬、血管拡張剤、抗凝血物質、抗不整脈剤、種々の役知活性を有するプロスタグランジン、利尿薬、睡眠援助、抗ヒスタミン薬、抗ガン剤、抗マラリア剤、抗ライ病剤、及び他の種々の薬剤を含んでなるが限定しない、1以上の市販薬、店頭薬、又は処方箋薬と共に、複合治療において投与される。次を参照:Goodman及びGilman、The Basis of Therapeutics、第8版、米国Pergamon Press,Inc.、1990年、及び、 The Merck Index,第11版、米国Merck & Co.、1989年。
本願明細書に収録の文献及び特許は、これらの出版物又は文献が特異的かつ独自の参照により本願明細書に提示されるかのごとく、全て参照により本願明細書に取り入れられる。出版物及び特許の引用には、適切な従来技術と容認するものが全くないことを意図し、かつ引用により同一内容又は日付と容認する構成も全くない。本発明は書式記載の方法によりここに本願明細書に記載され、当業者であれば、本発明には種々の実施形態における援用が可能であり、後述の記載及び以下の実施例が例示のためであって後述の特許請求の範囲を限定するものではないことを認識するであろう。
<実施例1:オランザピンアナログの合成>
本発明の化合物及び関連誘導体は、当業者に公知の方法により合成しうる。
<実施例2:本発明の化合物の性質>
結合アッセイは、種々の睡眠誘導剤、及び表1に列挙した誘導体より選択された誘導体を用い、拮抗結合アッセイにおいて、H1ヒスタミン受容体、M1、M2及びM3ムスカリン様受容体、α1及びα2受容体、D1及びD2受容体、5HT2a、5HT2b、5HT2c、5HT2c、及び5HT7に対する既知の標準物質を用いて行った。
ヒスタミンH1アッセイは、Changら、Heterogeneity of Histamine H1−Receptors: Species Variation in [H]Mepyramine Binding of Brain Membranes.
Journal of Neurochemistry.32:1653−1663(1979);Martinez−Mir,M.I.,Pollard,H.,Moreau,J.ら、Three Histamine Receptors (H1,H2,and H3)Visualized in the Brain of Human and Non−Human Primates.Brain Res.526:322−327(1990);Haaksma,E.E.J.,Leurs,R.及びTimmerman,H.Histamine Receptors:Subclasses and Specific Ligands.Pharmac.Ther.47:73−104(1990)に記載されている。ムスカリンアッセイは、Buckley,N.J.,Bonner,T.I.,Buckley,C.M.及びBrann,M.R.Antagonist Binding Properties of Five Cloned Muscarinic Receptors Expressed in CHO−K1 Cells.Mol.Pharmacol.35:469−476(1989)に記載されている。アッセイは、上述の文献に従い、以下に示すような改変を加えて行った。以下に記載の化学試薬は、Sigma社(米国ミズーリ州セントルイス)より入手した。
ヒスタミンH1アッセイのために、ウシ小脳膜組織より、Bmax(受容体数)6.2フェムトモル/mg組織(湿潤重量)及びK(結合親和性)1.3nMの受容体を得た。放射性リガンド([H]ピリラミン(15〜25Ci/mol)、K 1.9nM、最終濃度2.0nM)を用い、10μMトリプロリジン(K 3.3nM)を、非特異的決定因子、参照化合物、及び陽性対照として用いた。受容体及び放射性リガンドを、約10−10〜10−6Mの供試化合物濃度の範囲で供試化合物と混合し、混合物を、50mMのNaKPO(pH7.5)中、25℃で60分間インキュベートした。ガラス繊維フィルター上で速やかに真空ろ過することにより、反応を終了させた。供試化合物とヒスタミンH1結合部位との間の相互作用を測定するために、ろ過器上に捕集された、脱離した放射性リガンドからの放射能を測定し、対照と比較した。
ムスカリンアッセイのために、CHO細胞(PerkinElmer社、米国マサチューセッツ州ウェズリー)中で発現させたヒト組換え受容体より受容体を得た。用いた放射性リガンドは、[H]−スコポラミン、N−メチルクロリド(80〜100Ci/mmol)であった。(−)−メチルスコポラミンブロミド(1.0μM)を、非特異的決定因子、参照化合物、及び陽性対照として用いた。インキュベート後、ガラス繊維フィルター上で速やかに真空ろ過することにより、反応を終了させた。供試化合物とそれぞれの受容体との間の相互作用を測定するために、ろ過器上に捕集された、脱離した放射性リガンドからの放射能を測定し、対照と比較した。
M1受容体アッセイのために、Bmax(受容体数)は4.2ピコモル/mgタンパク質であり、受容体のK(結合親和性)は、0.05nMであった。放射性リガンドは、最終濃度0.5nMで用い、一方、(−)−スコポラミンブロミドは、0.09nMのKを有していた。受容体及び放射性リガンドを、約10−12〜10−5Mの供試化合物濃度の範囲で供試化合物と混合し、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中、25℃で60分間インキュベートし、上述のように処理した。
M2受容体アッセイのために、Bmax(受容体数)は2.1ピコモル/mgタンパク質であり、受容体のK(結合親和性)は、0.29nMであった。放射性リガンドは、最終濃度0.5nMで用い、一方(−)−スコポラミンブロミドは、0.3nMのKiを有していた。受容体及び放射性リガンドを、約10−12〜10−5Mの供試化合物濃度の範囲で供試化合物と混合し、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中、25℃で60分間インキュベートし、上述のように処理した。
M2受容体アッセイのために、Bmax(受容体数)は4.0ピコモル/mgタンパク質であり、受容体のKD(結合親和性)は、0.14nMであった。放射性リガンドは、最終濃度0.2nMで用い、一方(−)−スコポラミンブロミドは、0.3nMのKiを有していた。受容体及び放射性リガンドを、約10−12〜10−5Mの供試化合物濃度の範囲で供試化合物と混合し、10mMのMgCl、1mMのEDTAを含む50mMTRIS−HCl(pH7.4)中、25℃で60分間インキュベートし、上述のように処理した。
ドーパミン、D1(ヒト組換え体)結合アッセイは、文献記載の方法により行った。例えば、Jarvieら、J.Recept Res.,13(1−4):573−90(1993)、及びBillardら、Life Sciences,35(18):1885−93(1984)(改変あり)を参照。ドーパミン、D1(ヒト組換え体)結合アッセイは、文献記載の方法により行った。例えば、Jarvieら、J.Recept Res.,13(1−4):573−90(1993)、及びGundlachら、Life Sciences,35(19):1981−8(1984)(改変あり)を参照。
5HT2aとの結合を測定するために、インビトロアッセイを用いる。これらの結合アッセイでは、ベンゾイソオキサゾールアナログが、5HT2a、5HT2b、5HT2c及び5HT7から既知の標準物質を脱離させる能力を測定する。化合物の5HT2aへの結合に対する、化合物のM1〜M3受容体への結合の減少は、化合物がムスカリン様受容体よりも5HT2a受容体に対してより高い特異性を有することの指標である。更に、5HT2aに対する特異性の増大した薬剤は、抗コリン作動性の副作用が低下している。5HT2aへの結合は、例えば、Journal of Pharmacology (1995) 115, 622−628に記載の方法により測定した。
H1への結合は、化合物が望ましい睡眠誘導活性を有することの指標となりうる。ムスカリン様受容体への結合は、非特異的な結合を示し、例えば、視力障害、口渇、便秘、排尿障害、めまい、不安症等の、多くの既知の抗ヒスタミン剤の副作用等の望ましくない副作用を起こす抗コリン活性の指標となりうる化合物のH1受容体への結合に対する、化合物のM1〜M3受容体への結合の減少は、化合物がムスカリン様受容体よりも5HT2a受容体に対してより高い特異性を有することの指標である。更に、ヒスタミン受容体に対する特異性の増大した薬剤は、抗コリン作動性の副作用が低下している。
上述のインビトロでの選択基準に加えて、本発明のオランザピンアナログを、以下のインビボでの睡眠−覚醒及び生理学的評価により選択することができる。
(ノンレム睡眠)
雄性Wisterラットの成体において、(i)治療後3時間以内に、ピークノンレム睡眠量が1時間あたり55%を上回り、(ii)薬剤が経口投与された場合、最大の睡眠増強効果をもたらす化合物の用量について、治療後の最初の6時間におけるノンレム睡眠における、睡眠期間の長さで測定されるこのような増大の性質が、累積ノンレム睡眠の正味の総合計(24概日時間前におけるベースラインに対して調整され、プラセボ対照治療等に対する相対値)が20分を下回らない様なものである場合、オランザピンアナログが選択される。
「ノンレムピーク睡眠時間」という用語は、LD12:12(12時間の明時間及び12時間の暗時間)の明暗サイクルで暗室中で飼育したラットにおいて、薬物投与による治療後に、消灯後6時間後である概日時間(CT)18時において見られる、1時間当たりのノンレム睡眠の絶対ピーク量であると定義される。1時間あたり55%のノンレム睡眠の名目基準は、1時間あたり33分間のノンレム睡眠に相当する。
本明細書において用いられる場合、「累積ノンレム睡眠」という用語は、常にではないが、通常治療後の最初の6時間に起こる、薬剤の催眠効果の全期間にわたって測定された、ノンレム睡眠の分数の増大の総合計として定義され、24時間前に記録された、治療を行っていない、一日のうち対応するベースライン時間の間に見られる、プラセボ対照治療等に対するノンレム睡眠の分数の増大の正味の総合計に対して調整される。
本明細書において定義されているように、「睡眠期間」という用語は、ノンレム睡眠、レム睡眠、又はノンレム及びレム睡眠段階の両者を含み、発現の前後が、2回を超える、連続する10秒間の覚醒状態により区切られる、連続的又はほぼ連続的な睡眠の個々の発現を指す。
以下の非限定的な説明により、この概念を説明する:WWWWSSSSWSSSSSSSWWSSSSSSSWWWW、ここで、それぞれの文字は、覚醒(S=睡眠、W=覚醒)が有意な状態が、それぞれの10秒間の間観測されたことを示す。測定された睡眠「期間」は、21の10秒間の期間、又は3.5分間である。
(睡眠の増強)
雄性Wisterラットの成体において、(i)最長の連続的な睡眠の発現の絶対的な期間(「睡眠期間」)が13分間以上であり、(ii)治療後の正味の最長睡眠期間が、24概日時間前におけるベースラインに対して調整された場合、プラセボ群に対して3分間以上であり、(iii)全ての睡眠期間の1時間あたりの絶対的な長さの平均が、各時間ごとに5分間以上である場合、オランザピンアナログが選択される。上述の選択基準において、睡眠及び覚醒の段階は、連続する10秒間(例えば、10秒間の睡眠評価「期間」)ごとに決定され、睡眠及び覚醒は、EEG及びEMG基準を用いてポリグラフにより決定され、発現が、連続する2つ以上の10秒間の覚醒期間により中断されるまでの間、睡眠の発現(ノンレム睡眠及び/又はレム睡眠を含む)は、連続する「期間」であると定義されると仮定される。
本明細書において用いられる場合、「睡眠期間の最大長さ」という用語は、単一の最長の睡眠の発現又は治療後所定時間の初期に見られる「発作」の間に、動物が睡眠状態(ノンレム及び/又はレム睡眠段階)に留まっている全分数であると定義される。「睡眠期間の長さ」の測定基準は、睡眠が10秒間継続して観測されることを前提とし、期間を規定する10秒間隔の間の個々の睡眠段階(睡眠段階は、ノンレム睡眠、レム睡眠、又は覚醒状態として定義される)として、主要な状態に基づいて記録され、計算又は他の方法により決定される。
「睡眠期間の平均長さ」という用語は、所定の時間に始まり、それぞれの発現又は発作の個別の期間とは無関係な、睡眠長さの平均(分)であると定義される。
(同時に測定される副作用)
雄性Wisterラットの成体において、これらの化合物が、(i)検知可能な量のリバウンド不眠を生じず、(ii)レム睡眠を明確に阻害せず、(iii)睡眠の通常の効果に対して通常の自発運動及び/又は感覚運動を不均衡に阻害しない場合、オランザピンアナログが選択される。これらの3つの副作用の変数に対するしきい値の定義は下記のとおりである。「リバウンド不眠」とは、睡眠剤又は催眠剤の睡眠促進効果の後に起こる、反動的、逆説的、又は代償的な覚醒期間として定義される。リバウンド不眠は、通常、治療から6〜18時間後の概日睡眠相の間のCT18時(明−暗12:12の場合において、消灯後6時間)に観測されるが、治療後の最初の30時間の任意の時間において起こりうる。雄性Wisterラットの成体において、治療後の概日睡眠相(点灯時)の間に、リバウンド不眠に関連する過剰な累積的な覚醒が、1時間あたりのノンレム睡眠の回数を10%を超えて減少させる場合、リバウンドは許容されないと見なされる。
雄性Wisterラットの成体において、リバウンド不眠は、ベースライン(24時間前)の対応する回数に対する、薬剤による睡眠誘導効果後の覚醒の増大として現れ、リバウンド不眠は累積値として測定される。
「レム睡眠阻害」とは、治療後のCT18時(消灯後6時間、明−暗12:12)又はCT5時(点灯後5時間、明−暗12:12)における、レム睡眠時間の減少として定義される。
CT18時又はCT5時のいずれかに投与された場合に、(プラセボ治療に対して調整されたベースラインに対する相対値で)15分よりも長時間レム睡眠を減少させる化合物は、許容されないと見なされる。
本明細書において定義されているように、「不均衡性自発運動阻害」とは、睡眠に起因する、通常の又は予測される自発運動の低下を上回る自発運動の低下である。論理的には、動物が眠っている場合、通常、それに対応する自発運動の低下が存在する。睡眠性又は催眠性化合物が、睡眠のみで説明できる程度よりも20%を超えて自発運動を低下させる場合、この化合物は許容されないと見なされる。同一の動物において、客観的な睡眠−覚醒測定と同時に行われる限りにおいて、任意の形態の自発運動の監視(非特異的運動、遠隔監視による行動監視、3次元運動検知装置、車回し運動、試験測定、筋電図計測等)を用いて、自発運動(LMA)又は感覚運動を客観的に定量化することができる。
ある実施形態において、動物のケージ内での自発運動は、動物の腹腔内に外科的に埋め込まれた生物遠隔計測装置を用いて計測され、埋め込み可能な装置及び関連する遠隔受信装置により、ケージ内での動物の運動の有無及び程度を検知することができる。睡眠及び覚醒は、10秒間の期間ごとに連続的に測定される。単位時間あたりの自発運動の回数を、併存する同一の単位時間あたりの覚醒量で割ると、当該単位時間あたりの「自発運動強度」(LMAI)が得られる。CT18時(明−暗12:12である場合において、消灯後6時間後)に投与された睡眠性又は催眠性化合物が、睡眠のみで説明できる程度よりもプラセボ比20%を超えて自発運動を低下させる場合、この化合物は許容されないと見なされる。
他の実施形態において、本発明のオランザピンアナログは、表6に示したインビボでの睡眠−覚醒及び生理学的評価基準を用いて選択される。
Figure 2009504676
これらの睡眠−覚醒及び生理学的評価基準を評価する方法は、上述のとおりである。表6の第2列に示した「絶対値」は、各供試化合物について測定された値を意味するが、表6の第3列に示した「変化」値は、絶対値がプラセボとの差である調整された値を反映しており、この場合において、プラセボの値は、ベースラインに対して調整されている。
ある実施形態において、最長睡眠期間は13分間を上回る。他の実施形態において、この期間は17分間を上回る。ある実施形態において、治療後の正味の最長睡眠期間は3分間以上である。他の実施形態において、この期間は6分間以上である。
本発明のオランザピンアナログを選択するために用いられる、インビボでの他の睡眠−覚醒又は生理学的評価基準としては、プラセボに対するベースラインにおける変化としての急性の体温変化及び潜在的な体温変化の測定が挙げられる。急性の体温変化は−0.50℃を超えてはならず、潜在的な体温変化は、1〜6時間で+0.50℃を超えてはならない。急性の体温変化(T1〜6)は、24時間前に測定された、ベースラインに対して調節され、プラセボに対する相対値(プラセボからの減少)である。治療後7〜18時間後に測定された潜在的な体温変化(T7〜18)は、24時間前に測定された、ベースラインに対して調節され、プラセボに対する相対値(プラセボからの減少)である。
哺乳類の睡眠は、急速眼球運動(REM)の間に起こり、かなりの脳の活動を伴う睡眠と、ノンレム(NREM)睡眠の間に起こり、脳の活動の低下を伴う睡眠とに大別することができる。通常、正常な夜間の睡眠期間は主にNレム睡眠によって占められ、このように、NREMの累積値は、全睡眠の累積値の尺度として用いることができ、例えば、NREMの大幅な減少は、不眠、及び十分な量の追加の睡眠が蓄積されるまで続く傾向のある、蓄積された生理学的要求等の「睡眠負債」の蓄積と関連づけることができる。従って、治療と関連するNREMの増大は、不眠の治療における治療の有効性の指標とすることができる。
睡眠の質は、睡眠の継続性又は睡眠の維持と関連づけることができる。例えば、睡眠時無呼吸の被検者は、睡眠時間中に何度も覚醒し、例えば、被検者は、連続した睡眠の維持に問題を有している。このような被検者は、例えば、8時間、通常の夜間の睡眠を蓄積することができるが、睡眠時無呼吸に起因する覚醒のために、睡眠は爽快感を伴わず、体力の回復も得られない。従って、治療と関連する最長連続睡眠期間(LUSB、最長睡眠期間としても知られている)は、睡眠の連続性を向上させ、従って睡眠持続障害不眠症を治療する治療の効果の指標となりうる。
睡眠−覚醒、自発運動、及び体温を、最初に10mg/kgの濃度の供試化合物(オランザピンアナログ)で治療した雄性Wisterラットにおいてモニターした。選択した化合物について、より高用量及び低用量(例えば、最高45mg/kg及び効果のない用量を確認するために必要な最低限の用量)でアッセイを行う。治療剤は、活性優位期間のピークであるCT18時(消灯後6時間)に投与され、ノンレム睡眠時間の増大、睡眠の連続性を特徴とするが、レム睡眠の阻害又はリバウンド不眠に関する徴候を主なわない催眠(睡眠誘導)効果をもたらす。
睡眠−覚醒、自発運動及び体温を、本発明の種々の化合物を用いてインビボでモニターした。雄性Wistarラットの成体(外科手術時250g、Charles River Laboratories、米国マサチューセッツ州ウィルミントン)を、麻酔(2%のイソフロランを含む医療用グレードの酸素)し、長期にわたる電気脳造影図(EEG)及び筋電図(EMG)の記録を可能にするための頭蓋インプラントを用いて外科的に処置した。体温及び自発運動は、腹部に外科的に埋め込んだミニチュアトランスミッター(Mini−mitter、Bend社、米国オレゴン州)によってモニターした。頭蓋インプラントは、EEG記録のためのステンレス鋼ねじ(前頭部に2本(ブレグマから+3.2AP、±2.0ML)、及び後頭部に2本(−6.9AP、±5.5ML))からなるものであった。2本のテフロン(登録商標)コートされたステンレスワイヤを、EMG記録のために項部菱形筋肉の下に配置した。全てのリードを、手術の前にミニチュアコネクターにはんだ付けし、エチレンオキシド中でガス滅菌した。インプラントアセンブリを、歯科用アクリルで頭蓋に固定した。少なくとも3週間、外科手術から回復させた。
ラットをそれぞれ、特注のステンレス製キャビネットの、別々に換気される区画内に配置した、それぞれの記録用ケージで恒久的に飼育した。各ケージを、フィルタートップライザー及び低トルク回転整流器を用いて増強した。食餌及び水は、適宜供給した。試験期間中、24時間明−暗サイクル(12時間明、12時間暗)を、維持した。動物を、処置の前後少なくとも48時間、平静にした。
睡眠及び覚醒を、インターネットベースの睡眠−覚醒及び生理学的モニタリングシステムである、「SCORE−2000(商品名)」(ハイプニオン社、米国マサチューセッツ州ウースター)を用いて測定した。このシステムは、増幅されたEEG(帯域1〜30Hz)、EMGの積分値(帯域10〜100Hz、遠隔測定法による体温及び非特異的自発運動(LMA)、並びに飲用活性を、連続的かつ同時にモニターする。覚醒状態を、10秒ごとに、ノンレム(NREM)睡眠、レム睡眠、覚醒、又はθ優性覚醒としてオンラインで分類した。EEG特徴抽出及びパターンマッチングアルゴリズムを用いて、飲用活性及び自発運動の計数値並びに体温を、1分ごとに定量及び記録した。このデータより、最長連続睡眠期間(LUSB)を得た。用いた分類アルゴリズムは、個々に教示されたEEG覚醒状態テンプレート、及びレム睡眠をθ優性覚醒から区別するためのEMG基準、及び挙動依存前後関係規則(例えば、動物が水を飲む場合には覚醒している)を使用する。飲用及び自発運動(LMA)を、10秒ごとに別個の事象として記録しつつ、体温を1分ごとに記録した。自発運動を、ケージの下の遠隔測定受信器(Mini−mitter)によって検出した。遠隔測定値(LMA及び体温)は、スコア付けアルゴリズムの一部ではないため、睡眠スコア付け及び遠隔測定データは、独立の測定値であった。
活動優位期間のピークであるCT18時に化合物を投与し、点灯前(治療後6時間)の治療効果の時間経過を見るために、十分な時間放置した。化合物を、滅菌した0.25%又は0.5%メチルセルロース中に懸濁させた(1〜2ml/kg)。治療剤は、経口投与又はボーラスとして投与した。
並列群試験デザインを採用した。ビヒクル対照を、多数の予備要員(N>200)から引き出した:プールされたビヒクル対照のサブセットを、活性処置群の治療前24時間ベースラインとの計算された一致に基づいて、選択した。
NREM及びLUSBパラメータの結果を、本発明の種々の化合物について測定した。結果を、表7A及び7Bに示す。
表7A:化合物の性質
Figure 2009504676
表7B:化合物の性質
Figure 2009504676
<実施例3:Irwinスクリーン副作用>
Irwinスクリーンは、化合物の全般的な生理的機能及び行動機能に対して起こりうる副作用に関する有用な情報を提供しうる。このスクリーニングは、このような研究によく用いられ、そのためのバックグラウンドデータが速やかに得られる雄性Wisterラットを用いて、0.25%のメチルセルロース水溶液中に溶解した供試化合物を経口投与することによって行われる。
Irwinスクリーンは、供試化合物を投与された動物における種々のパラメータについて試験を行う。例えば、スクリーンには、分散、呼吸速度、自発運動、不安、闘争、敏捷性、感情鈍麻、及び眼球突出症等のケージ飼育の効果、転移覚醒、空間歩行運動、下垂症、驚愕、尾部上昇、立毛、接触逃避、位置的受動性、カタレプシー、強直反射、視覚性置き直し反射、握力、耳介反射、角膜反射、疼痛反射、及びワイヤー行動等のアリーナ内での効果、チアノーゼ、皮膚の血流、低体温症、体調、瞳孔サイズ、光瞳孔応答、流涙、毛繕い、赤色染色、唾液分泌等の取り扱い時に観察される因子、恐怖、興奮性、異常歩行、異常な身体移動、振戦、痙縮、けいれん、異常行動、苦悶、発声、下痢、排便回数、排尿回数、瀕死状態、致死、及び検知された異常等の一般的スコアが含まれていてよい。詳細は、Irwin,S;Comprehensive observational assessment:Ia.A systematic,quantitative procedure for assessing the behavioural and physiological state of the mouse.Psychopharmacologia(Berl.)13:222−257,1968に記載されており、その全手法は、参照により本明細書に組み込まれる。
開示された睡眠誘導剤のIrwinスクリーニングは、上述のIrwinの方法にしたがうCovance(米国ニュージャージー州プリンストン)の方法;Covance Standard Operating Procedure (current revision of SOP PHARM 8.10);relevant regulatory authority guidelines ICH (International Committee for Harmonization) Guideline(Topic S7A; CPMP/ICH/539/00) on Safety Pharmacology Studies for human pharmaceuticals(November 2000)によって行われ、生きた動物に対して行われる全ての手順は、英国法、特に、全ての英国の研究機関に、動物の使用が熟慮され正当に行われるようにするための独自の倫理評価プロセスを維持し、減少、改善、及び置換のための全ての可能性について適切に考慮を払い、適応及び処置のための高い基準を義務づける、1986年制定の動物(科学的処置)法の規定にしたがう。
別途記載されていない場合、全ての化学物質は英国ケント州ダートフォードのColorcon社より購入され、ACS試薬グレード又はそれ以上の純度を有する。全ての供試化合物の製剤は、投与日に、Covance Harrogate薬局で調剤される。供試化合物は、高濃度が必要な場合には、0.25%メチルセルロース水溶液中で調剤される。低用量の薬剤は、高濃度製剤を、0.25%メチルセルロース水溶液を用いて順次希釈することによって得られる。用量レベルは、純度及び活性含量に関わりなく、投与される供試化合物の量で表される。全ての製剤は、密封容器中、遮光して室温(名目上10〜30℃)で保管される。
十分な数の雄性Wister(Crl:WI(Glx/BRL/Han)BR:WH)ラットは、Charles River社(英国ケント州マーゲート)より入手できる。ラットは約5週齢であり、到着時の体重は150〜170gである。動物は、6頭以下のグループごとに、堅牢な床と、床材として10等級のウッドフレーク(Datesand社、英国チェシャー)を敷いた、(33×15×13cm)又は(45×28×20cm)のポリプロピレン製のケージ中で飼育する。ケージは、使用前に洗浄し、乾燥する。環境改善材の一形態として、Aspen社製のかじり木をケージ内に配置する。日常的に、飼育室を、温度及び相対湿度に対する許容範囲(通常、それぞれ、19〜25℃、及び40%〜70%)内に維持する。これらの部屋は、蛍光灯を用いて、それぞれ24時間周期のうち12時間照明され、1時間あたり少なくとも15回新鮮な空気を受容するように設計されている。食餌(RM1.(E).SQC.(Special Diets Services社、英国ウィトハム))及び水道水を、適宜(操作中を除き)供給する。これらは、特定の成分について分析され、試験系を妨害するいかなる生体物質及び化学物質を含まないことが確認される。到着時に、全ての動物は、疾患の有無について検査される。動物は、少なくとも5日間馴致される。この間、動物はケージの標識によって区別される。試験への適応性を確認するために、実験手順の開始前に獣医学的検査が行われる。試験の開始前に、動物を治療群にランダムに割り振り、入手時に個別に尾部標識する。試験終了時に、動物は安楽死させる。
それぞれの動物は、1mg/kgの一定の用量を用いて、プラセボ又は供試物質の単回経口投与を受ける。それぞれの用量は、投与日に得られたそれぞれの体重に基づく。
上述のIrwinスクリーニングのパラメータは、関連する対照に従って、え系統的に評価される。一般的に、通常の動物には存在しない薬物に誘導される変化は、「0」が正常を示す、増加する整数値(変化の有/無を示す+/−を用いてもよい)を用いて記録される。通常の動物におけるパラメータは、増減を記録することができるように、整数値を用いて記録される。投与から30、60、90、180、及び300分後に、詳細な観測を行う。投与後7日間動物を飼育し、その間、毒性及び死亡率の徴候を毎日観測する。
<実施例4:hERGの副作用>
心臓のカルシウムチャネルであるhERGは、ヒト心室における急速な遅延整流電流(IKr)を生じる原因である。このチャネルが評価のために選ばれる理由は、IKrの阻害は非心臓薬により心臓活動電位が不適切に延長される最も一般的な原因だからである。活動電位期間が増加すると、危険な心室性不整脈(トルサード・ド・ポワント)を伴うQT期間の延長が生じる(AM Brown、D Rampe、 ”Drug−induced long QT syndrome”、2000年:D Rampe、ML Roy、A Dennis、AM Brown、”is hERG the root of all evil?”、Pharmaceutical News、第7巻、15〜20頁、1997年:これらの教示全体は参照により本明細書に取り入れられる)。hERGチャネルは、内因性IKrを欠損するヒト胚腎臓細胞株(HEK293)で発現させた。哺乳類細胞株における発現はツメガエル卵母細胞における一過性発現よりも好ましい。後者はhERGブロッカーに対し一貫して10〜100倍低い感度を示すからである。例えば、以下も参照。「シサプリド(プロパルシド)の不整脈誘発効果の機序、ヒト心臓カリウムチャネルhERGへの高親和性遮断」、FEBS Lett.、第417巻、28〜32ページ;J Weirich、H Antoni、1998年、「抗不整脈薬の速度依存性及びクラスI及びクラスIII抗不整脈薬の不整脈誘発特性」、Basic Res Cardiol、第93巻Suppl 1、125〜132ページ:及び、YG Yap、AJ Camm、1999年、及び「抗ヒスタミンを非鎮静する不整脈原生機序」、Clin. Exp. Allergy、第29巻Suppl 3、174〜181ページ。
前述の文献の教示全体は参照により本明細書に取り入れられる。
本開示の睡眠誘発剤の、hERGチャネル電流(IKr、心臓カリウム流を迅速活性化し遅延整流する)における試験管系(in vitro)の効果は、ChanTest(米国オハイオ州クリーブランド)の標準手順に従って計測した。
使用した全ての化合物はシグマ(米国ミズリー州セントルイス)等から購入し、ACS試薬グレード純度又はそれ以上である。被検物保存液及びテルフェナジン(陽性参照)はジメチルスルホキシド(DMSO)を用いて調製し冷凍保存した。被検物及び陽性参照濃縮物は、HEPES(N−[2−ヒドロキシエチル]ピペラジン−N’−[2−エタンスルホン酸])緩衝生理食塩水(HB−PS)溶液(組成はmM単位:NaCl 137、KCl 4.0、CaCl 1.8、MgCl 1、HEPES 10、グルコース 10:週単位で調製し使用まで冷蔵したNaOHでpH7.4に調節)中で保存溶液を希釈して調製した。以前の結果から0.3%DMSOはチャネル電流に影響がないので、全ての被検及び参照溶液は0.1%DMSOを含んでなる。最終的にDMSO濃度が0.3%より大きくなければならない場合は、特定の被検物濃度に到達するよう、別途n>2のプラセボ参照テストを最大の最終DMSO濃度において実施した。被検及び参照溶液は日ごとに保存液から調製した。
使用する細胞は、ヒト胚上皮腎臓細胞(HEK293、ソースストレインは米国バージニア州マナサスAmerican Type Culture Collection社、サブストレインは米国オハイオ州クリーブランドChanTest社)であり、アデノウィルス5DNAで転換し、hERGのcDNAを移入した。安定性トランスフェクタントを、発現プラスミドに組み込まれるG418抵抗性遺伝子の共発現によって選択した。培地にG418を含ませることにより選択圧を維持した。細胞はダルベッコ改変イーグル培地/ニュートリエントミックスチャーF−12(D−MEM/F−12)に10%ウシ胎仔血清、100U/mLペニシリンGナトリウム、100μg/mL硫酸ストレプトマイシン及び500μg/mLジェネテシンを補充して培養した。
データ収集及び解析は、pCLAMPプログラム(米国カリフォルニア州Axon Instruments)セットを用いて実施した。定常状態とは、被検物アプリケーションの前後で時間に対し有限で一定の(直線的な時間依存性)変化率を指す。定常状態への到達において電流の振幅が減少することを用いて、参照に対するブロック百分率を計算した。
実験は全て室温(18〜24℃)で実施した。細胞はいずれも自己制御にて動作させた。単一濃度(10μM)の各被検物を、hERG発現細胞(n≧3、ここにnは細胞数)に添加した。各濃縮に対する暴露時間は、定常状態ブロックに到達するまでの十分な時間に制限したが、10分以上ではない。単一濃度のポジティブコントロール物(60nMテルフェナジン)を、2つの細胞(n≧2)に添加した。細胞はレコーディング用チャンバに移動してHB−PS溶液で超融合した。ホールセルレコーディング用のピペット溶液(mM単位の組成)は、アスパラギン酸カリウム 130、MgCl 5、EGTA(エチレングリコール4酢酸)5、ATP(アデノシン3リン酸)4、HEPES 10、KOHにてpH7.2に調整、である。ピペット溶液は処理単位に調製して等分し、凍結保存し、新鮮な等分を毎日解凍した。パッチピペットはP−97マイクロピペット製作器(米国カリフォルニア州Sutter Instruments社)を用いてガラス毛細管から製作した。ホールセルレコーディングには市販パッチクランプアンプを用いた。デジタル化の前に、標本化の5分の1の周波数で記録電流にローパスフィルタをかけた。
被検物によるhERG電流へのブロック発生及び定常状態は、振幅を固定し(脱分極:+20mV 2秒、再分極:−50mV 2秒)、−80mVの保持電圧パルスパターンを用いて、10秒間隔で繰り返し計測した。前記2秒ステップの期間中に−50mVへのピークのテール電流を計測した。被検物又はポジティブコントロールの添加前の定常状態は短くとも30秒維持した。ピークのテール電流は、新たな定常状態となるまで計測した。
通常は、約10%又はそれ以下の値が好適であり、化合物の睡眠誘導性が強く他に顕著な副作用がなければ約12%から約30%までも容認しうるが、約30%以上は好ましくないと考えられる。
<実施例5:受容体結合>
H1ヒスタミン受容体、及びM1、M2、及びM3ムスカリン受容体、アルファ1及びアルファ2受容体、及びD1及びD2受容体に対する公知の標準物を用いる競合結合アッセイにおいて、本発明の種々の化合物を用いて結合アッセイを実施した。
ヒスタミンH1受容体は以下に記載がある。Changら、「ヒスタミンH1受容体の異質性:脳膜の[H]メピラミン結合における変種」、Journal of Neurochemistry、第32巻、1653〜1663ページ、1979年;MI Martinez−Mir、H Pollard、J Moreauら、「ヒト及び非ヒト霊長類の脳中3ヒスタミン受容体(H1、H2、及びH3)の可視化」、Brain Res、第526巻、322〜327ページ、1990年;EEJ Haaksma、R Leurs、H Timmerman、「ヒスタミン受容体:サブクラス及び特異的リガンド」、Pharmac Ther、第47巻、73〜104ページ、1990年。
ムスカリンアッセイは以下に記載がある。NJ Buckley、TI Bonner、CM Buckley、MR Brann、「CHO−K1細胞中に発現した5クローンムスカリン受容体のアンタゴニスト結合特性」、Mol. Pharmacol.、第35巻、469〜476ページ、1989年。当該アッセイは先行文献に従い、以下の変更と共に実施した。以下の化学試薬は、米国ミズリー州セントルイスSigma社から入手した。
ヒスタミンH1受容体アッセイ用には、ウシ小脳膜組織から、Bmax(受容体数)6.2フェムトモル/mg(湿重量)、KD(結合アフィニティ)1.3nMの受容体を得た。放射性リガンド([H]ピリラミン、15〜25Ci/mmol、Ki 1.9nM、最終濃度2.0nM)を使用し、10μMトリプロリジン(Ki 3.3nM)を非特異的決定因子、参照化合物、及びポジティブコントロールとして用いた。受容体及び放射性リガンドを、供試化合物濃度が約10−10〜約10−6の範囲で供試化合物と結合させ、当該混合物を50mMリン酸ナトリウム/カリウム(pH7.5)中、25℃で60分間インキュベートした。ガラス繊維フィルタ上、迅速真空ろ過により反応を終了した。供試化合物とヒスタミンH1結合サイトとの全ての相互作用を測定するため、前記フィルタ上にトラップした、置換した放射性リガンドの由来の放射線を計測し、参照値と比較した。
ムスカリンアッセイ用には、CHO細胞(米国マサチューセッツ州ウェルズレイPerkinElmer、Inc)中に発現したヒト組み換え受容体から受容体を得た。放射性リガンドは[H]−スコポラミン、N−メチルクロリド(80〜100Ci/mmol)を用いた。(−)−メチルスコポラミンブロミド1.0μMを、非特異的決定因子、参照化合物、及びポジティブコントロールとして用いた。インキュベート後、ガラス繊維フィルタ上、迅速真空ろ過により反応を終了した。供試化合物と各結合サイトとの全ての相互作用を測定するため、前記フィルタ上にトラップした、置換した放射性リガンドの由来の放射線を計測し、参照値と比較した。
M1受容体アッセイ用において、Bmax(受容体数)は4.2ピコモル/mgタンパク、K(結合)アフィニティは0.05nMだった。放射性リガンドは最終濃度0.5nMで使用し、(−)−メチルスコポラミンブロミドのKiは0.09nMだった、受容体及び放射性リガンドは、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中25℃60分間のインキュベート及び上述の検査により、被検物濃度が約10−12〜10−5Mの範囲で被検物と結合した。
M2受容体アッセイにおいて、Bmax(受容体数)は2.1ピコモル/mgタンパク、K(結合)アフィニティは0.29nMだった。放射性リガンドは最終濃度0.5nMで使用し、(−)−メチルスコポラミンブロミドのKiは0.3nMだった。受容体及び放射性リガンドは、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中25℃60分間のインキュベート及び上述の検査により、被検物濃度が約10−12〜10−5Mの範囲で被検物と結合した。
M3受容体アッセイにおいて、Bmax(受容体数)は4.0ピコモル/mgタンパク、K(結合)アフィニティは0.14nMだった。放射性リガンドは最終濃度0.2nMで使用し、(−)−メチルスコポラミンブロミドのKiは0.3nMだった。受容体及び放射性リガンドは、10mM MgCl、1mM EDTAを含む50mM TRIS−HCl(pH7.4)中、25℃60分間のインキュベート及び上述の検査により、被検物濃度が約10−12〜10−5Mの範囲で被検物と結合した。
アデノシン、プリン受容体A結合アッセイは文献の手順に従い実施した。例えば以下を参照:Brunsら、Naunyn Schmiedebergs Arch. Pharmacol.、第335巻1号、59〜63ページ、1987年、軽微な変更を追加;Ferlanyら、Drug Dev. Res.、第9巻、85〜93ページ、1986年。
アデノシン、プリン受容体A結合アッセイは文献の手順に従い実施した。例えば以下を参照:Jarvisら、J. Pharmacol. Exper. Ther.、第251巻3号、888〜893ページ、1989年、変更を追加;Brunsら、Mol. Pharmacol.、第29巻4号、331〜346ページ1986年、変更を追加。
ドーパミン、D(ヒト組み換え)結合アッセイは文献の手順に従い実施した。例えば以下を参照:Jarvieら、J. Recept Res.、第13巻1〜4号、573〜590ページ、1993年;Billardら、Life Sciences、第35巻18号、1885〜1893ページ、1984年、変更を追加。
ドーパミン、D(ヒト組み換え)結合アッセイは文献の手順に従い実施した。例えば以下を参照:J Jarvieら、J. Recept Res.、第13巻1〜4号、573〜590ページ、1993年;Gundlachら、Life Sciences、第35巻19号、1981〜1988ページ、1984年、変更を追加。
H1への結合は、当該化合物の睡眠誘導活性が所望であることを示しうる。ムスカリン受容体への結合は非特異的結合を示し、例えば、抗ヒスタミン剤の副作用、また例えば、目のかすみ、口の渇き、便秘、尿障害、めまい、苦悶等の望ましくない副作用につながる抗コリン活性を示しうる。当該化合物のM1〜M3受容体への結合がH1受容体への結合に対して減少することは当該化合物がムスカリン受容体よりもヒスタミン受容体に対して特異性がより高いことを示す。また、ヒスタミン受容体に対して特異性を増した医薬は抗コリン性副作用がより小さいであろう。
表6Aに、H1及びムスカリン受容体に地する阻害定数KiをnM単位で示す。化合物46はムスカリン受容体よりもH1に非常に特異的であると言える。従って、本開示の化合物は、ムスカリン受容体阻害を伴う副作用が限られた、良好な睡眠誘導性能を発揮すると期待しうる。
<実施例6:オランザピンアナログの評価>
以下の薬学動態パラメータは、非コンパートメント法及び適切かつ有効な薬学動態ソフトウェア(例えば、WinNonlin Professional)を用い、修飾抗ヒスタミン化合物の個々の血漿濃度から計算した。BLQとして記載の濃度値はゼロにした。濃度データが使用可能の場合、可能であれば期間中の臨時計算(非QC.dデータ)を行った。投与量の増大は薬学動態に依存しなかった
平均、標準偏差、変動係数、幾何平均、中央値、最小及び最大を含んでなる記述統計を投与グループごとに計算し、薬学動態パラメータを求めた。自然対数変換したAUC(0−t)、AUC(0−無限大)、及びCmaxに対する記述統計を各投与レベルにおいて提供する。加えて、時間に対する平均及び中央値のグラフを提供する。
自然体数変換した投与量を共変量として含む直線モデルにおいて、自然体数変換したAUC(0−t)、AUC(0−無限大)、及びCmaxを解析することにより、投薬比に従う投薬治療スタディを調査した。投薬比の結果は、共変量の傾きに対する95%信頼係数の値が1を含む場合に得られた。AUC(0−t)、AUC(0−無限大)、及びCmaxに対する投与の直線性も直線モデルにより調査した。例えば次を参照:Gibaldi、Perrier、Pharmacokinetics第2版、Marcel Dekker New York、New York、1982年。計算においては、実際のサンプリング時間が当該プロトコル指定の許容しうる時間範囲を逸脱する場合を除き、名目上のサンプル収集時間を用いた。
以下のパラメータを見積もった。
Cmax 最大血漿濃度
Tmax 最大濃度までの時間
Cmax及びTmaxは濃度−時間データから直接得られた。
AUC0−t 計測可能濃度において時間9から最終時刻までの血漿濃度−時間カーブ内の面積、直線的台形ルールで概算。
AUC0−∞ 無限大まで外挿した血漿濃度−時間カーブ内の面積であり、次式から概算される。
AUC0−∞=AUC0−t+C/λ
ここに、Cは血漿中、最後の計測可能濃度であり、λは終末消失相の期間において対数−直線回帰により見積もられる終末相消失速度定数である。λ計算において用いる計算点の数は、終末相を表すデータを視認して決定した。少なくとも計測可能な値を有する最後の3つの時点をλ計算に用いた。
λ計算に用いた点数は、当該時点が終末消失相を最もよい相関(rを調整)で表すことに基づく。回帰線におけるrの調整値は、値が0.7よりも大きければ正確に終末消失相を定義すると考えられる。
1/2 ln(2)λにより決定する消失半減期
CL 系統的クリアランス、次式から計算される静脈内ボーラス又は注入液
CL=投与量/AUC0−∞
CL/Fをレポートし、ここにFは全ての他の投薬経路に対する生物的利用可能性の絶対量である。
次式から計算される全ての投薬経路に対する供給体積。
=CLλ
CL/Fはリンパ管外の投薬ルートに対するV/Fを計算するために用いる。
WinNonlin Professional Edition(Pharsight Corporation、バージョン3.3又は4.1)を用いて薬学動態解析を実施した。平均及び標準偏差等の記述統計はMicrosoft Excel(バージョン8.0e)で計算した。
サル及びヒトの極低温凍結した肝実質細胞における被検物代謝を以下のようにアッセイした。
材料
Figure 2009504676
(インキュベート前調製)
試料をDMSOで希釈し、100μM及び10μMのストックを調製した。1Lアセトニトリルに対して1mLのギ酸を添加し、アセトニトリル中0.1%ギ酸を調製した。10分、60分及び120分用96穴クエンチングプレートの各ウェルに、0.1%ギ酸を加えた150μLアセトニトリルを調製した。氷上、又は冷蔵保存した。
次いで、肝実質細胞を解凍し、細胞サスペンジョン100μLをミクロチューブ中0.4%トリパンブルー溶液100μLに入れ、反転させて穏やかに混ぜた。染色した細胞サスペンジョンの少量(約15μL)をカバーガラスと共に清浄な血球計算盤に入れた。血球計算盤を顕微鏡ステージに乗せ、単一の計数正方形が視野いっぱいに広がるよう焦点及び力を調節した。血球計算盤の正方分割された4コーナー内にある細胞数を計数した。生存細胞は乳白色で丸く、外周がより暗く青白かった。
非生存細胞は、暗く不透明で青かった。
%生存率は、全細胞数で生存細胞数を割り100倍した数として計算した。
生存細胞濃度及び生存細胞の全数を計算した。
生存細胞濃度(D)=計数した平均3細胞(C)×104×f2、生存細胞全数(E)=D×26(再サスペンジョン体積)
濃度が1×10となるよう追加を要する培地を計算した。
Figure 2009504676
このようにして細胞を希釈し、室温で保存した。
(インキュベーション)
肝実質細胞198μLを投与プレート上の各ウェルに移した。残りの肝実質細胞サスペンジョンは1つにまとめ、ほぼ沸騰水の適切な容器中に5分間放置して細胞を不活性化した(不活性参照及び標準カーブ調整のため)。
不活性の肝実質細胞198μLを参照ウェルに移し、ブランクの培地をバッファー参照ウェルに移した。少なくとも15分間、プレートを予備インキュベートした。投与プレートからの適切な被検物希釈液2μLの反応を開始した。37℃約10分間、インキュベートセット中でプレートをインキュベートし、次いでインキュベート50μLを、150μLアセトニトリル及び0.1%ギ酸を含む10分用クエンチングプレートに取り出し、冷蔵又は氷上保存した。続く60分間、インキュベート50μLを、150μLアセトニトリル及び0.1%ギ酸を含む60分用クエンチングプレートに取り出し、冷蔵又は氷上保存した。続く120分間、インキュベート50μLを、150μLアセトニトリル及び0.1%ギ酸を含む120分用クエンチングプレートに取り出し、冷蔵又は氷上保存した。
残りの50μLはインキュベーションプレート中で凍結した。次いでチューブを4℃、1400×g(重力加速度)で10分間、遠心分離した。上清を分析プレート中100μLの水で希釈し、分析前にプレートを−20℃で凍結保存した。
(標準カーブの調節)
0.1μL標準品は、10μL投与溶液2μLを、標準調製プレート中で198μL不活性肝実質細胞に加えて調製した。150μLアセトニトリル及び0.1%ギ酸を、前記標準クエンチングプレートに加えた。0.1μM標準品の150μLを標準プレートの1つのカラムに移した。75μLの不活性肝実質細胞を残りのウェルに加えた。0.1μM標準品の75μLを当該プレートのカラムにおける隣接ウェルに移し滴定法によりよく混ぜた。続いて希釈を継続した。最終標準品から75μLを取り出した(全てのウェルが75μLを含む)。プレートを約37℃で10分間インキュベートした。50μLを、150μLアセトニトリル及び0.1%ギ酸を含む標準クエン値プレートに移した。プレートを試料と共に遠心分離し、上清を上述の用に水で1:1に希釈した。試料を−20℃で凍結保存した。
<実施例7:オランザピンアナログの臨床評価>
ヒト臨床試験の目的は、オランザピンアナログの効果に関するデータを収集することである。このようなデータには、例えば、身体検査からの臨床徴候及び症状、有害事象、(血液学検査、血清臨床化学検査、尿検査等の)検査安全性、バイタルサイン(例えば、血圧、心拍数、体温、呼吸数)、及び心電図(ECG)のデータが挙げられる。臨床検査は、以下のように行われる。
I.被検者の選択
最低18名の被検者(それぞれ9名の被検者よりなる2つの登録群)を用いる。以下の包括的な基準を満たしている被験候補者が、この検査に参加する資格がある。
・18〜45歳の健康な成人男性被検者。
・少なくとも体重60kgで、理想体重の15%以内(Desirable Weights of Adults,Metropolitan Life Insurance Company,1983の表を参照)。
・臨床的に有意でないスクリーニング結果(例えば、検査プロフィール、病歴、ECGS、身体検査)を有する、医学的に健康な被検者。
以下の除外基準の1つを満たしている被験候補者は、試験には不適格である。
・循環器、肺、肝、腎、血液、消化器、内分泌、免疫、皮膚、神経又は精神疾患の明らかな病歴又は存在。
・睡眠障害の病歴又は存在。
・試験前90日以内における、H1受容体アンタゴニスト(テルフェナジン、アステミゾール)を用いる処置を必要とする慢性又は季節性のアレルギーの病歴。
・過去2年以内におけるアルコール中毒又は薬剤乱用の病歴又は存在。
・試験前90日以内におけるたばこ又はニコチンの使用。
・試験用薬剤、試験用製剤に用いられる可能性のある賦形剤(カプチゾール(登録商標);サッカリンナトリウム、F.C.C.;グリセリン,U.S.P.;オレンジ香料;メチルセルロール400センチポアズ,U.S.P.;精製水)又は関連した化合物に対する既知の過敏症又は特異体質。
・検査前90日以内における(標準提供量以上の)血液又は血液製剤の提供。
・最初の投与前90日以内における、別の臨床試験への参加。
・薬剤の吸収、代謝、分布又は排泄において影響を及ぼす可能性のある疾病、医学的状態又は外科手術のいずれかの病歴又は存在。
・検査前30日以内における体重の増減(±10%)。
・検査前30日以内における、過剰量のカフェイン含有飲料(例えば、1日あたり5杯以上のコーヒー)の習慣的な消費(例えば、飲まない日より飲む日が多い)。
・試験者又は臨床試験依頼者の意見において、被検者が試験に不適格とする任意の症状。
・禁止薬物の試験前の使用又は併用。
試験のスクリーニング評価を終え、全ての適格基準に適合し、試験を了承した各被検者に、個別の識別番号を割り当て、改変した抗ヒスタミン剤の指定用量及びプラセボを、無作為化スキームに従って与える。無作為化スキームは、薬剤を調製する薬剤部のスタッフ(薬剤の投与には関与しない)のみが入手可能で、被検者、分析者又は有害事象のモニタリング及び評価を担うスタッフメンバーは入手できない。
被検者は以下の理由により、試験責任者により試験から除外される場合がある。
・二次的な主要排除基準の発生
・健康を守るため
・有害事象
・採血の困難
・試験の完全性を守るため
・プロトコールへの違反
・試験指導に従わない。
臨床報告には、被検者の除外の理由及び除外に関する詳細が含まれる。試験の完了前に試験から除外した被検者は、試験の完了のために計画された全ての手順を実行する。何らかの有害事象(重篤であるか否かのいかんに関わりなく)又は臨床的に有意な異常検査値により除外した被検者は、試験者又は監視を行う医師により評価され、試験者の判断により、症状又は数値が正常値又は許容値に戻るまで処置され、かつ/又は経過観察される。
II.試験制限
被検者は、試験前の7日間、最終薬剤動態サンプリング期間中の最後のサンプリングまで、処方薬及び一般薬(ハーブ製品を含む)を摂取しない。更に、以下に示すように、下記の物質を含む食物及び飲料の摂取が禁止される。
・メチルキサンチン:各投与前72時間及びサンプル採取の期間を通して、すなわちカフェイン飲料及び等価なもの(例えばチョコレートバー)は禁止される。
・アルコール:各投与前72時間及びサンプル採取の期間を通して禁止される。
試験開始前30日の間に摂取される全ての薬剤は記録される。試験前90日に摂取される慢性又は季節性のアレルギーのためあらゆる薬剤も記録する。
(試験前の被検者のスクリーニング)
インフォームドコンセントの書類を、スクリーニング時に与える。投与前14日以内に、氏名、性別、年齢、人種、体重(kg)、身長(cm)、アルコールの使用、タバコの使用を含む医療履歴データ及び人口統計学的データを記録する。各被検者は、完全なバイタルサイン、12リードのECG及び指定される臨床検査を含む身体検査を受ける。臨床検査としては、以下のものが挙げられる:
a)ヘモグロビン、MCV、赤血球細胞数、ヘマトクリット、MCHC、分化血小板及びMCHを含む白血球数等の血液検査、
b)血液尿素窒素、アルブミン、ALT(SGOT)、クレアチニン、アルカリホスファターゼ、グルコース、総ビリルビン、クレアチニンホスホキナーゼ(CPK)、ナトリウム、尿酸、AST(SGOT)及びトリグリセリド、
c)外観及び色、グルコース、窒素、pH、ケトン、ウロビリノーゲン、比重、ビリルビン、白血球、タンパク質及び血液等の尿分析、
d)HIV、尿中薬剤スクリーン、HbsAg、カンナビノイド、HCV、ベンゾジアゼピン、HCV、アンフェタミン、A型肝炎(lgM)、オピエート、アルコール、コカイン及びコチニン等の追加試験。
(被検者の管理)
被検者は、投与前少なくとも36時間から投与後24時間の事象が終了するまで宿泊する。被検者は、最終投与後又は早期除外の1週間後に、追跡訪問のために戻って来る。
薬剤投与後の最初の4時間、被検者は、ベッドに半横臥の状態を保つ。しかし、有害事象の発生時には、常に被検者を適切な場所に配置し、又は適切な向きに横臥させる。被検者は、拘束期間中は、常に激しい運動を行わない。
第1日、第2日に、標準的な食事を提供する。第1日において被検者は、投与前少なくとも終夜10時間、及び投与後少なくとも4時間、絶食させられる。しかし、食事の状態において、前回の投与のオプションが第2群の第3期間において用いられる場合、標準高脂肪食が投与の30分前に与えられる。この場合、高脂肪(脂肪からのカロリーがおよそ50%)朝食は、バターで炒められた2個の卵、2片のベーコン、バターを塗った2枚のトースト、4オンスのハッシュブラウンポテト及び8オンスの全乳からなる。カフェインを含む食品及び飲料又はそれに等価なもの(例えば、チョコレートバー)は、拘束期間中禁止される。
投与前2時間から投与後2時間までの間、水は許容されない。それ以外の全ての時間において、水は許容される。標準的な食事は、投与後約4時間及び9時間、その後は適切な時間に提供される。
III.薬剤投与
被検者は、無作為化スケジュールに従って割り当てられた各投与(登録)群の投与順序に従う各時間に投与を受ける。被検者は、1杯の投与用ガラスコップに入れた割り当てられた投与を受け、二重盲検を維持するために、各投与群内で全ての用量、活性薬剤及びプラセボが同量投与される。被検者は用量を飲むための指導を受ける。
全量240mLの水が用量と共に与えられる。指定された量の水(投与量に基づき、薬剤師により割り当てられる)を空になった投与カップに加え、回して中をすすいだ後、被検者により飲まれる。この手順を2回繰り返し、残りの水は、被検者により消費される。
第一のヒト用量レベルに関する開始用量は、全臨床試験の毒性プロフィール及び安全性プロフィールに基づくものである。ヒトからラットへの等価体表面積変換率は1/6である(Toxicological Handbook,Michael J.Dereleko,CRC press,米国フロリダ州ボカ・ラストン)。ラットのための30mg/kg/日のNOAEL(無毒性量)及び等価体表面積の基準に基づき、60kgの個人における等価用量は300mg/日(1/6×30mg/kg/日[ラットのNOAEL]×60kg)である。ラット(30mg/kg/日)におけるNOAEL用量に基づくと、3mgの用量は、ラットにおけるNOAEL用量の約1/1ゼロである。提案された160mgの最大用量も、ラットにおけるNOAELを下回る。
いかなる投与量レベルにおいても、試験の投与に関連すると判断される、用量規定毒性(WHO Common Toxicity Criteria−Appendix Iに基づいて修正された、グレードスケールによるグレード3又はグレード4)が6名の被検者のうち2名に観察される場合、用量の増大を止め、投与前に最大耐用量(MTD)を考慮する。
いかなる用量レベルにおいても、1名の被検者が用量規定毒性を経験する場合、試験責任者(臨床試験依頼者との協議のうえ)は、適切な臨床判断により、計画されている次の用量レベルへ進むか、あるいは計画した用量から次の用量レベルを下方に調整するかを決定する。この協議は、計画した用量で進めるか、又は用量を下方に調整するかを決定するために、前回投与群の後の全ての群について行われる。更に、増大を緩和させる必要を示唆する前回の用量より、新たに安全性の問題又は耐用性の問題を起こすことが明らかになる場合(すなわち、グレード3又はグレード4の事象でない)、計画した用量を中間の用量で置換することができる。
投与量の増大は、試験責任者の見解において、前の低用量より、十分な安全性及び耐用性が証明される場合にのみ許容される。全ての場合において、試験責任者は被検者の安全性に関連する全ての因子の評価に基づき、用量の調整、又は試験の中止を決定するために、よい臨床判断を用いる。
試験責任者は、スクリーニング期間又はその前の期間から臨床的に有意な変化を起こすために、チェックインデータ(例えば、身体検査の結果、バイタルサイン、質問表及び臨床検査結果(例えば、血清化学、血液検査、尿検査及び尿中薬剤スクリーニング))を再調査する。試験責任者は、この評価結果に基づき、被検者に対して投与を行うべきか、試験から除外すべきかを決定する。
IV.臨床所見
スクリーニング時、各投与から24時間後、及び最終投与から1週間後又は早期除外時点に、各チェックインにおいて、血液学パネル、血清化学パネル及び尿検査を行う。血液サンプル(約7mL)を、投与前、内在している静脈内カテーテルからヘパリンナトリウムを含む空のガラスチューブに採取後、投与から0.25時間、0.5時間、0.75時間、1.0時間、1.5時間、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、18時間及び24時間後に採取する。投与前、及び0〜8時間インターバルで、尿サンプルを採取する。インターバルの間に採取されたサンプルは貯蔵しない。各排泄をサンプルとみなす。排尿時間は自由意思によるものであり、(投与前の排泄及び8時間インターバルの最後での排泄を除き)スケジュールは設定されない。
スクリーニング中、バイタルサインを測定する。バイタルサインの時間がECGのみと一致するとき、バイタルサインは、ECGの10分前に測定される。バイタルサインの時間が、採血、又は採血及びECGと一致するとき、10分前に採血を行う。呼吸及び体温を各投与後24時間、及び最終投与から1週間後又は早期除外時点に、各チェックインでモニターする。少なくとも5分後に、血圧及び心拍数の単回測定を、半横臥状態で行う。試験拘束中に測定される測定値を、0(投与前)、投与から0.25時間、0.5時間、0.75時間、1.0時間、1.5時間、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、18時間及び24時間後、及び最終投与から1週間後、又は早期除外時点に、各チェックインで、AVS装置を用いてモニターする。1分あたり100を超える全ての心拍数測定値については、2分後に心拍数を再チェックする。第1日において、投与の約24時間前に、血圧及び心拍数を、2分間隔を置いて3回、上述のように測定する。
標準的な12リードのECGを第1日において、投与の1時間前、及び投与から1時間、1.5時間、2時間、3時間、4時間及び6時間の第1日の時間と一致する時間;第1日において投与前1時間及び投与後1時間、1.5時間、2時間、3時間、4時間、6時間及び24時間後、及び最終投与又は早期除外から1週間後に、各被検者に、スクリーニングで行う。更にECGは、必要と判断された場合、他の時間に行う。全ての標準的な12リードECGは、10秒間記録される。EGCのタイミング及び記録手法を、全ての被検者について統一する。各12リードECG評価の前の少なくとも1分間、被検者を横臥させる。試験責任者は、PR間隔、QRS間隔、QT間隔及びQTc間隔を評価する。ECGの時間が採血と一致する場合、採血後にECGを測定する。
医師は、各投与から24時間後、及び最終投与又は早期除外から1週間後に、各チェックインスクリーニングで、それぞれの被検者を検査する。追加の検査が必要と判断された場合には、他の時間に行う。
投与の1時間前及び投与から1時間、2時間,6時間及び24時間後のバイタルサインの測定(バイタルサインは、これらの時間に割り当てられた採血の10分前に測定される)の直前に、被検者は、ビジュアルアナログスケールを提示され、100mmの線上の、非常に眠い(Very Sleepy)から非常に/完全に覚醒(Alert/Wide Awake)にわたる、その時点における覚醒レベルを最もよく示す点に、垂直な印を描くよう依頼される。
被検者は、試験中に経験したあらゆる有害事象又は併発する疾患について、試験医師又は試験スタッフに報告するよう指導を受ける。更に、有害事象に関連する特別な問診を、投与前、投与から2時間、4時間,8時間及び24時間後、並びに最終投与又は早期除外から1週間後に実施する。回答にバイアスがかからないように、質問は特別でない方法で提示する。
有害事象(重篤であるか否かのいかんに関わりなく)又は臨床的に異常な臨床検査値を有する全ての被検者は、試験者又は監視を行う医師により評価され、症状又は値が正常又は受容可能な値に戻るまで、処置及び/又は追跡される。医師は、その場、又は近くの救急治療室のいずれかで、あらゆる重篤な有害事象に対する処置を施す。適当な場合には、事象の解決を記録するために、医学的試験及び検査を行う。結果を、例えば、解決した、改善した、変化しない、悪化した、致命的である、又は不明(追跡不能)に分類する。
V.報告
臨床試験中に起こる全ての有害事象を記録する。MedDRA(バージョン4.1)を用いて、有害事象をコードする。有害事象(adverse event/experience(AE))は、医薬品を投与される被検者又は臨床試験の被検者において、いずれも不当な医学的事象であり、必ずしもこの処置との間に因果関係を有するわけではない(ICH/WHO)。従って、有害事象(AE)は、医薬品の使用と時間的に関連する、好ましくなく、かつ意図的でないあらゆる徴候(例えば、異常な検査所見を含む)、症状又は疾病であり、いずれにせよ医薬品と関連しているとみなされる(ICH/WHO)。
試験者は、各事象を再調査し、薬剤処置との関係を評価する(すなわち、無関係、蓋然性なし、可能性がある、蓋然性高し、ほぼ確実)。報告される徴候及び症状を、それぞれ、3点の重症度スケール(軽度、中等度、重篤)に等級化し、このデータ並びに各事象の開始時間、薬剤投与との時間関連性、期間及び結果を記録する。重篤度を評価するために、以下の定義を用いる:(1)軽度:有害事象は容易に耐えることができ、日常の活動に影響しない;(2)中等度:有害事象は日常の活動に影響するが、被検者は機能できる;(3)重篤:有害事象は耐えられず、医療介入を必要とする。
上記の有害事象がいずれも重篤な場合、特別な手続きに従う。あらゆる重篤な有害事象は、有害事象と薬剤との関連の有無に関わらず、24時間以内に依頼者に報告され、その後、48時間以内に文書により報告される。
重篤な有害事象(SAE)は、あらゆる有害な医学的事象であり、あらゆる用量において、死を招き、生命を脅かし、恒久的な身体障害又は不能を招き、入院加療を必要とし、入院加療が長期にわたり、先天的異常であり、被検者を危険にさらすおそれがあり、又は上述の1つ又は複数の他の結果を防止するために介入が必要となる場合がある。
VI.薬物動態
以下の薬物動態パラメーターを、ノンコンパートメント手法、及び適切で有効な薬物動態ソフトウェア(WinNonlin Professional等)を用いて、改変された抗ヒスタミン化合物の個々の血漿濃度から計算する。BLQとして報告される濃度の値をゼロに設定する。濃度データが入手可能な場合、可能であれば、暫定的な計算を時点の間に行う(非QC.dデータ)。用量増加は、薬物動態計算に依存しない。
平均、標準偏差、変動係数、相乗平均、中央値及び最大値を含む記述統計を、投与群による各薬物動態パラメーターについて計算する。自然対数に変換したAUC(0〜t)、AUC(0〜inf)及びCmaxに対する記述統計が、各用量レベルについて提供される。更に、時間に対する平均濃度及び中央値濃度のグラフが提供される。
試験薬剤に付随する用量比例性を、自然対数に変換した用量を共変量として含む線形モデルを用いて、自然対数に変換した薬物動態変数のAUC(0〜t)、AUC(0〜inf)及びCmaxを解析することにより調査する。共変量の傾きの95%信頼区間が数値1を含む場合、用量比例性が結論される。また、AUC(0〜t)、AUC(0〜inf)及びCmaxの用量線形性も線形モデルにより調査される。
VII.安全性の評価
逐語的用語、好ましい用語、処置、重篤度及び処置との関係を含む、被検者処置により発生する有害事象のデータリストが提供される。
有害事象を経験する被検者の数及び有害事象の数を、頻度数を用いて、用量レベルにより集計する。
検査評価及びバイタルサインの評価を含む安全性データを投与群及び収集時間点でまとめる。定量的な安全性データについて記述統計を算出し、定量的安全性データの分類について頻度を集計する。更に、ベースラインの表からの平均変化をバイタルサインに対して提供し、正常範囲外のシフトを表すシフト表を臨床検査結果に対して提供する。
ECGの結果は、正常及び異常に分類し、投与群及び収集時間点による頻度を用いて集計する。記述統計は、PR間隔、QRS間隔、QT間隔及びQTc間隔で計算される。
身体検査における変化を、最終報告のテキストに記載する。
記述統計及びベースラインの値からの個々の変化を用いて、心拍数データを、処置群及び時間点により集計する。各時間点における活性投与群をプラセボ群と比較するために、ベースラインからの平均変化の結果が用いられる。各用量レベルあたり6名の、検査を終了した被検者からのデータは、1分あたり心拍数20の差を検出するために、80%の確実性を提供する。暫定的な解析は、以降の各期間に完了する。
VIII.有効性の評価
VASの鎮静スコアは、記述統計を用いて各用量レベルで収集時点により集計される。
<実施例8:オランザピンアナログの前臨床評価>
化合物のヒト臨床試験の前に、前臨床試験を行う。前臨床評価には、以下の試験が含まれる。
i.前臨床の吸収、分布、代謝及び排泄
化合物を、ラット、イヌ及びカニクイザルに対し、3mg/kgの用量で、経口投与及び静脈内投与する。薬物動態解析のために、全ての種から血漿サンプルを採取する。各動物モデルにおいて、試験化合物のTmax(時間単位)及び半減期(時間単位)を決定する。ラット及びヒト血漿における結合率も測定される。
親化合物の脳レベルを決定するために、経口投与後のラットから脳を採取する。
チトクロームP450の阻害を、インビトロで検討する。更に、ラット、イヌ、サル及びヒトの培養肝細胞において、各化合物についてインビトロの代謝速度を決定する。
ii.心臓への影響の焦点
プロジェクトの臨床候補者の選択期間中に評価される最初の毒性学的問題は、QT間隔の延長である。歴史的に、H1アンタゴニストはこの作用に関連している。まれな事例において、QT延長は、生命を脅かす心臓の不整脈に発展し得る。化合物がQT延長を引き起こす可能性を予測するための最良のインビトロ試験であるhERG結合アッセイは、化合物がこの作用を生じる可能性を試験するために選択される試験系である。安定な細胞株にトランスフェクトされたヒトhERGチャネルを電気生理学的に試験し、チャネル電流の阻害率を報告する。
化合物がQT間隔に何らかの変化をもたらすかについて決定するために、遠隔測定装置を取り付けたビーグル犬において化合物を試験する。ECG及び動脈血圧を持続的にモニターするための装置をイヌに埋め込む。イヌ(4の群)をラテン方格クロスオーバーデザインで試験し、3つの異なる用量及びプラセボを受ける各イヌを用いる。2つの試験を、0.3mg/kg、1mg/kg、3mg/kg、10mg/kg及び30mg/kgの用量で実施する。
iii.急性ラット試験
本試験の目的は、ラットに強制経口投与を介して与えられる場合における、供試物質の毒性及び最大耐容用量(MTD)を評価することである。雄性Crl:CD(登録商標)(SD)IGSBRラットを5つの群に分けた。投与の開始時、動物は体重172g〜206gの範囲で約7週齢である。各群に、5日間にわたり、1日1回、50mg/kg、100mg/kg、150mg/kg、200mg/kg又は250mg/kgの化合物を与える。生きている全ての動物を6日目に屠殺する。毒性の評価は、死亡率、臨床観察及び体重のデータに基づく。
iv.急性イヌ試験
本試験の目的は、用量を増加しながらイヌに強制経口投与を介して与えられる場合における、試験化合物の毒性及び最大耐容用量(MTD)を評価することである。2頭の雄性純血ビーグル犬を試験に割り当てる。投与の開始時、動物は体重8.0kg〜10.9kgの範囲で少なくとも6月齢である。イヌに試験化合物を含む投与調製物各群を、5日間にわたり、1日1回、25mg/kg、50mg/kg又は75mg/kgと用量を増加させて与える。
イヌは、投与から0.25時間±5分、0.5時間±5分、0.75時間±5分、1.0時間±5分、1.5時間±5分及び2.0時間±5分及び8時間±15分及び24時間±15分後に観察される。第1日及び第6日に体重を量る。
投与前、及び第5日の40mg/kgの投与から1時間、4時間及び24時間後に心電図測定を行い、血圧を測定する。
範囲及び観測された臨床的徴候の重篤度に基づいて、化合物に対するMTDを計算する。
v.リカバリー試験を含む14日ラット試験
本試験の目的は、少なくとも14日間ラットに強制経口投与を介して投与する場合における、化合物の毒性及び最大耐容用量(MTD)を評価し、リカバリー期間後14日以内における、作用の可逆性、持続性又は遅延発生を評価することである。
雄性Crl:CD(登録商標)(SD)IGSBRラットを4つの主要試験群と毒物動態学のための3つの群の7群に分ける。各群に、200mMの酢酸緩衝液中に0.25%のメチルセルロース400cps又は体重1kgあたり10mg、30mg又は150mgの供試物質(mg/kg/日)を含む投与用製剤を、5mL/kgの投与容量で与える。
毒性の評価は、死亡率、臨床観察及び眼の観察、体重、食物消費、臨床病理学、臓器重量並びに肉眼的所見及び顕微鏡的所見に基づく。毒物動態学の評価のために、血液サンプルを採取する。
vi.リカバリー試験を含む14日イヌ試験
強制経口投与(1相)又はカプセル(2相)を介して少なくとも14日間、毎日イヌに投与した場合における、本発明の化合物の毒性及び毒物動態を決定した。また、7日(1相)又は14日(2相)のリカバリー期間の後に観察できる作用の可逆性、持続性又は遅延した発生についても評価する。3mg/kg/日、10mg/kg/日、30mg/kg/日及び70mg/kg/日の用量で試験した。全ての第1相及び第2相のイヌは、予定された屠殺日まで生存した。
上記の方法及びプロトコールは本発明のオランザピンアナログの前臨床試験において有用である。
<実施例9:鎮痛活性の評価>
オランザピンアナログの経口投与後の鎮痛活性を解析する。鎮痛活性は、ラット及びマウスにおける腹部痙縮試験により評価される。また、鎮痛活性は、マウスにおけるテイルクリップ試験、ラットにおけるテイルフリック試験、ラットにおけるRandall−Selitto試験を用いて評価され、プラセボ対照群と比較される。参照化合物であるASA(アセチルサリチル酸)及びモルフィンも、比較に含められる。
テイルクリップ及びテイルフリック試験は、供試物質の中枢性鎮痛活性に関する有用な情報を提供する。Randall−Selitto試験は、化合物が痛覚過敏状態を改善する能力に関する情報を提供し、腹部痙縮試験は、供試物質の末梢鎮痛活性に関する情報を提供する。
供試物質は、経口チューブによって投与されるが、これは、意図される臨床的な投与経路である。用いられる投与量レベルには、有効投与量が含まれることが期待され、十分な安全マージンが提供される。
(供試物質、参照化合物、及び刺激性製剤)
製剤は全て、それぞれの投与日に調剤した。供試物質は、必要とされる最高濃度で、0.25%(w/v)メチルセルロース水溶液中で調剤される。低用量は、最高濃度の薬剤を、0.25%(w/v)メチルセルロース水溶液で順次希釈することによって得られる。参照化合物であるアセチルサリチル酸を、必要とされる濃度で、0.25%(w/v)メチルセルロース水溶液中で調剤する。ビール酵母を、必要とされる濃度で、水中で注射用に調剤する。酢酸を、投与に必要とされる濃度で提供するために水で希釈する。
投与量レベルは、純度及び活性含量に関わりなく、供試物質I参照化合物/投与される刺激剤の量で表される。
(動物)
十分な数の雄性Crl:CD−I(ICR)BRマウス及びWisterラットは、Charles River社(英国)、ケント州マーゲートより入手できる。マウスは約4週齢であり、到着時の体重は18〜22gである。ラットは約5週齢であり、到着時の体重は150〜170gである。試験の開始時における動物の年齢及び体重を、生データ及び最終報告書に記録する。
動物は、用いられる、科学的処置に使用される動物の飼育に関する実施規約(動物の科学的措置に関する法律、1986年英国内務省制定)に準拠するケージのサイズに対して適当な数の集団で飼育される。床材には、清潔なAspenウッドチップ(Dates and Ltd、英国マンチェスター)を用い、各ケージに1週間ごとに供給する。床材は、特定の不純物について分析され、結果は、Covance社のファイルに保存される。ケージは、使用前に洗浄し、乾燥する。環境改善材の一形態として、Aspen社製のかじり木をケージ内に配置する。日常的に、飼育室を、温度及び相対湿度に対する許容範囲(通常、それぞれ、19〜25℃、及び40%〜70%)内に維持する。これらの部屋は、蛍光灯を用いて、それぞれ24時間周期のうち12時間照明され、1時間あたり少なくとも15回新鮮な空気を受容するように設計されている。
食餌(RM1.(E).SQC.(Special Diets Services社、英国ウィトハム)及び水道水を、適宜(操作中を除き)供給する。これらは、特定の成分について分析され、試験系を妨害するいかなる生体物質及び化学物質を含まないことが確認される。
試験のために用いた治療群は、表9に示すとおりである。
表9:治療群
Figure 2009504676
プラセボ、供試物質又は参照化合物の投与の直前、及び経口投与後30、60、120、及び240分後に、それぞれの動物について、左及び右下肢の血圧測定を行う。血圧測定の順序は、左肢、次いで右肢である。
(ラットにおける腹部痙縮試験)
それぞれの動物は、経口チューブより、10mg/kgの一定の用量を用いて、プラセボ、供試物質又は参照化合物の単回投与を受ける。それぞれの用量は、投与日に得られたそれぞれの体重に基づく。治療群を表10に示す。
表10 治療群
Figure 2009504676
経口投与から45分後に、それぞれの動物は、1mLの1%酢酸の腹腔内投与を受ける。動物は、すぐに個別の観察室に移され、その後25分間に腹部痙縮を誘発された個体数が記録される。
(マウスにおける腹部痙縮試験)
それぞれの動物は、経口チューブより、10mg/kgの一定の用量を用いて、プラセボ、供試物質又は参照化合物の単回投与を受ける。それぞれの用量は、投与日に得られたそれぞれの体重に基づく。治療群を表11に示す。
表11 治療群
Figure 2009504676
経口投与から45分後に、それぞれの動物は、0.25mLの0.5%酢酸の腹腔内投与を受ける。動物は、すぐに個別の観察室に移され、その後25分間に腹部痙縮を誘発された個体数が記録される。
(最終処理)
個々の試験の終了後に、Schedule 1 compound(例えば、濃度を上昇させながら二酸化炭素ガスに暴露後、頸部を脱臼させる)を用いて動物を人道的に屠殺し、解剖は行わずに廃棄した。試験中に、動物が何らかの重篤な不快症状の徴候を示す場合には、その動物を、速やかに、かつ人道的に屠殺する。試験中に早期に死亡し、又は屠殺された動物は、解剖に供される。胸郭及び腹腔を切開した後に、組織の外観をその場で観察することにより、巨視的な検査を行った。全ての異常について記録する。
(他の実施形態)
詳細な説明と関連づけて本発明を説明したが、上記の記載は説明のためのものであり、添付される特許請求の範囲によって定められる本発明の範囲を限定することを意図するものではない。他の態様、利点、及び改変は、特許請求の範囲に含まれる。添付される特許請求の範囲に含まれる本発明の範囲を逸脱することなく、形式及び詳細において種々の改変を加えることができることは、当業者によって理解されよう。

Claims (41)

  1. 化学式Iの化合物、
    Figure 2009504676
    〔式中、m、n、o、p、qは独立して整数の0、1、2、3、4、5、又は6であり;
    A及びBは独立してO、S、NR又はC(Rであり;
    X及びYは独立して、存在しないか、O、S、C(O)、SO又はSOであり;
    、R、R、R、R、R、R及びRは各々独立して、H、F、Cl、Br、OH、CH、C、C、C、C、C直鎖アルキル、C、C、C、C分枝アルキル、C、C、C、C、Cシクロアルキル、C、C、C、C、Cヘテロ環状、OCH、OCF、CHOCH、CHCHOCH、CHOCHCH、C、C、C、C、C、Cヒドロキシアルキル又はC、C、C、C、C、Cアルコキシであり;
    リンカー中CH基の任意の水素は適宜H、F、Cl、OH、Br、CF、CH、C、C、C、C、C直鎖アルキル、C、C、C、C分枝アルキル、C、C、C、C、Cシクロアルキル、C、C、C、C、Cヘテロ環状、OCH、OCF、CHOCH、CHCHOCH、CHOCHCH、C、C、C、C、C、Cヒドロキシアルキル、又はC、C、C、C、C、Cアルコキシで置換され;
    、R10、R11及びR12は独立して、H、C、C、C、C、C5、直鎖アルキル、C、C、C、C、C分枝アルキル、又はR及びR10は付加する炭素と共に、存在しないか又はサイズ3、4、5、6、又は7のスピロ環を生成するよう結合し、R11及びR12は付加する炭素と共に、サイズ3、4、5、6、又は7のスピロ環を生成するよう結合し、又は二つの異なる炭素原子上の置換基がサイズ3、4、5、6、又は7のスピロ環を生成するよう結合し;
    ZはCOH、CO13(ここにR13はC、C、C、C、C、Cアルキル)、CONR1415(ここにR14及びR15は独立して、水素又は低級アルキル)、CONHS(O)−アルキル、CONHS(O)−シクロアルキル、CONHS(O)−ヘテロアルキル、CONHS(O)−アリール、CONHS(O)−ヘテロアリール、S(O)NHCO−アルキル、S(O)NHCO−シクロアルキル、S(O)NHCO−ヘテロアルキル、S(O)NHCO−アリール、S(O)NHCO−ヘテロアリール、CONHS(O)N−アルキル、CONHS(O)N−シクロアルキル、CONHS(O)N−ヘテロアルキル、CONHS(O)N−アリール、CONHS(O)N−ヘテロアリール、SOH、SOH、S(O)NHCO−アルキル、S(O)NHCO−アリール、S(O)NHCO−ヘテロアリール、P(O)(OH)、P(O)OH、
    Figure 2009504676
    より選択され;
    mがゼロならばXは存在しない。〕
    又はその薬理学的に有効な塩。
  2. 、R、R、R、及びRはそれぞれ水素である、請求項1に記載の化合物。
  3. 、R、R、R、R又はRの少なくとも1つは非水素置換基であり、当該残りのR、R、R、R、R又はRは水素である、請求項1に記載の化合物。
  4. 、R、R、R、R又はRの少なくとも2つは非水素置換基であり、当該残りのR、R、R、R、R又はRは水素である、請求項1に記載の化合物。
  5. 、R、R、R、R又はRの少なくとも3つは非水素置換基であり、当該残りのR、R、R、R、R又はRは水素である、請求項1に記載の化合物。
  6. 、R、R、R、R又はRの少なくとも1つの非水素置換基は各々独立してメチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又は水酸基である、請求項3に記載の化合物。
  7. 、R、R、R、R又はRの少なくとも2つの非水素置換基は各々独立してメチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又は水酸基である、請求項4に記載の化合物。
  8. 、R、R、R、R又はRの少なくとも3つの非水素置換基は各々独立してメチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又は水酸基である、請求項5に記載の化合物。
  9. 及びR10はそれらが付加する炭素と共になって、存在しない、請求項1に記載の化合物。
  10. 11及びR12はそれぞれメチルである、請求項1に記載の化合物。
  11. 11及びR12はそれらが付加する炭素と共になって、3、4、5、6、又は7の大きさのスピロ環を生成するよう結合する、請求項1に記載の化合物。
  12. 当該スピロ環はシクロプロピル環である、請求項11に記載の化合物。
  13. 化学式IIの化合物、
    Figure 2009504676
    〔式中、m、n、oは独立して整数の0、1、2、3、4、5、又は6であり;
    Xは存在しないか、O、S、C(O)、SO又はSOであり;
    、R、R及びRは独立して、H、F、Cl、Br、OH、CF、CH、CHCH、CH(CH、シクロプロピル、OCH、OCF、CHOCH及びCHOCHCHから選ばれ;
    及びR10は独立して、H、C、C、C、C、C直鎖アルキル、C、C、C、C、C分枝アルキル、又はR及びR10はそれらが付加する炭素と共にサイズ3、4、5、6、又は7のスピロ環を生成するよう結合し;
    ZはCOH、CO13(ここにR13はC、C、C、C、C、Cアルキル)、CONHS(O)−アルキル、CONHS(O)−ヘテロアルキル、CONHS(O)−aryl、CONHS(O)−ヘテロアリール、S(O)NHCO−アルキル、S(O)NHCO−ヘテロアルキル、S(O)NHCO−アリール、S(O)NHCO−ヘテロアリール、CONHS(O)N−アルキル、CONHS(O)N−ヘテロアルキル、CONHS(O)N−アリール、CONHS(O)N−ヘテロアリール、及びデトラゾールから選択され;
    mがゼロならばXは存在しない。〕
    又はその薬理学的に有効な塩。
  14. 化学式IIIの化合物、
    Figure 2009504676
    〔式中、m及びnは独立して、0、1、2、3、又は4であり、Xは存在しないか、O、S、C(O)、SOまたはSOであり;
    、R、R及びRは独立して、H、F、Cl、Br、OH、CF、CH、CHCH、CH(CH、OCH、CHOCH及びCHOCHCHから選ばれ;
    及びR10は独立してH、C、C、C、C、C直鎖アルキル、C、C、C、C、C分枝アルキルであるか又はR及びR10はそれらが付加する炭素と共にサイズ3、4、5、6、または7のスピロ環を生成するよう結合し;
    ZはCOH、CONHS(O)−アルキル、CONHS(O)−シクロアルキル、CONHS(O)−ヘテロアルキル、CONHS(O)−アリール、CONHS(O)−ヘテロアリール、及びテトラゾールから選ばれ、
    mがゼロならばXは存在しない。〕
    又はその薬理学的に有効な塩。
  15. 化学式IVの化合物、
    Figure 2009504676
    〔式中、tは1、2、3、又は4であり;
    2、3、及びRは独立して、H、F、Cl、Br、CF、CH、CHCH、CH(CH、OH、OCH、CHOCH又はCHOCHCHであり;
    −R10はH、CH、CHCHであるか、又はR及びR10はそれらが付加する炭素と共にサイズ3、4、5、6、又は7のスピロ環を生成するよう結合し;
    ZはCOH、CONHS(O)−アルキル、CONHS(O)−シクロアルキル、CONHS(O)−ヘテロアルキル、CONHS(O)−アリール、CONHS(O)−ヘテロアリール、又はテトラゾールである。〕
    又はその薬理学的に有効な塩。
  16. tは1又は2である、請求項15に記載の化合物。
  17. 当該化合物は化学式IVa、IVb、IVc、IVd、又はIVeから選ばれる化合物である、請求項15に記載の化合物。
  18. はメチル、エチル、イソプロピル、メトキシメチレン、メトキシ又は水酸基である、請求項1から17のいずれか1項に記載の化合物。
  19. は非水素置換基である、請求項1から17のいずれか1項に記載の化合物。
  20. は非水素置換基である、請求項1から17のいずれか1項に記載の化合物。
  21. は非水素置換基である、請求項1から17のいずれか1項に記載の化合物。
  22. 当該化合物は化合物1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、及び106から選ばれる、請求項1、13、14及び15のいずれか1項に記載の化合物。
  23. 当該化合物は化合物46である、請求項22に記載の化合物。
  24. 、R、及びRはそれぞれ水素である、請求項1から17に記載の化合物。
  25. 、R、R及びRは各々独立して、水素、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、メトキシメチレン、フロロ、クロロ、ブロモ又は水酸基である、請求項1から17のいずれか1項に記載の化合物。
  26. は非水素置換基である、請求項1から17のいずれか1項に記載の化合物。
  27. 及びR10はそれぞれメチルである、請求項1から8および10から16のいずれか1項に記載の化合物。
  28. 及びR10はそれぞれエチルである、請求項1から8および10から16のいずれか1項に記載の化合物。
  29. 及びR10がそれらが付加する炭素と共に、3、4、5、6、又は7の大きさのスピロ環を生成するよう結合する、請求項1から8及び10から16のいずれか1項に記載の化合物。
  30. 当該スピロ環はシクロプロピル環である請求項29に記載の化合物。
  31. 請求項1から17のいずれか1項に記載の化合物、その塩、溶媒和化合物、ハイドレート又はプロドラッグと、少なくとも1つの薬理学的不活性成分とを含んでなる医薬組成物。
  32. 睡眠調整のための医薬製造における、請求項1から17のいずれか1項に記載の化合物の使用。
  33. 当該睡眠調整は、睡眠到来時間の短縮、平均連続睡眠長の増加、及び最大連続睡眠長の増加から選ばれる、請求項32に記載の使用。
  34. 当該睡眠調整は睡眠障害を治療するものである、請求項32に記載の使用。
  35. 当該睡眠障害は、不眠症、睡眠過剰、睡眠発作、睡眠無呼吸症候群、睡眠時異常行動、下肢静止不能症候群及び概日リズム障害から選ばれる、請求項34に記載の使用。
  36. 当該睡眠障害は、概日リズム障害である、請求項35に記載の使用。
  37. 当該概日リズム障害は、時差ぼけ、交代作業障害、及び遅延又は早発睡眠位相症状から選ばれる、請求項36に記載の使用。
  38. 当該睡眠障害は睡眠時異常行動である、請求項35に記載の使用。
  39. 当該睡眠障害が不眠症である、請求項35に記載の使用。
  40. 睡眠到来時間の短縮、平均連続睡眠長の増加、及び最大連続睡眠長の増加を含んでなる群から選ばれる少なくとも1の行動の遂行において有効であることにより被検者において不眠症を治療する、請求項39に記載の使用。
  41. 当該化合物は化合物1〜106から選ばれる、請求項32に記載の使用。
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