JP2009500389A - 抗菌剤としてのアゼチジンおよびシクロブタンを含むオキサゾリジノンカルボキサミド - Google Patents

抗菌剤としてのアゼチジンおよびシクロブタンを含むオキサゾリジノンカルボキサミド Download PDF

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Abstract

本発明は、抗菌剤としての式(I)の化合物、または薬学的に許容できるその塩を提供する。
【化1】

Description

本発明は、アゼチジンおよびシクロブタン環を有する新規なオキサゾリジノンカルボキサミド誘導体、それらの医薬組成物、それらの使用方法、およびこれらの化合物を調製するための方法に関する。これらの化合物は、グラム陽性菌および/またはグラム陰性菌に対して強力な活性を有する。
抗菌耐性は、近年になって驚くべき速さで浮上してきた世界的な臨床および公衆衛生問題であり、近い将来に増加することは疑いない。耐性は、共同社会ならびに細菌の伝染が著しく増幅される医療環境における問題である。多剤耐性は、増大しつつある問題であるため、医師は、有効な治療の存在しない感染症に今や直面している。結果として、新たな作用機作を持つ構造的に新規な抗菌薬は、細菌感染症の治療においてますます重要になっている。
最近の抗菌剤の中で、オキサゾリジノン化合物は、最新の合成抗菌薬である。本発明は、細菌の多剤耐性株を含む多くのヒトおよび動物病原体によって引き起こされる重篤な感染症を治療するための細菌タンパク質合成の阻害薬としてのオキサゾリジノンのアゼチジンおよびシクロブタン誘導体を提供する。
情報開示
DE10129725、JP11322729、US4705799、WO9613502、WO9710223、WO9854161、WO9912914、WO200027830、WO200032599、WO200232857、WO200206278、WO2003072553、WO2003008389、WO2003007870、WO2003006440、WO2004014392は、抗菌剤として有用なオキサゾリジノン化合物を開示している。
本発明は、式Iの化合物、
Figure 2009500389
または薬学的に許容できるその塩を提供し、式中
Wは、OまたはSであり、
、Y、Y、Yは、独立して、CHまたはCFであり、
Zは、CHまたはNであり、
およびRは、独立して、
(a)−H、
(b)ハロ、
(c)−CN
(d)−C(=W)NR
(e)−(C=O)C1〜6アルキル
(f)−(C=O)C3〜8シクロアルキル
(g)−COOH
(h)−C1〜6アルキル、
(i)−WC1〜6アルキル、
(j)−C3〜8シクロアルキル、
(k)−OC3〜8シクロアルキルであるか、または
(l)RおよびRは、一緒になって、=O、=N−OH、=N−OC1〜4アルキル、=CH−CNを形成し、
は、−H、−C1〜6アルキル、または−OC1〜6アルキルであり、
出現するごとに、C1〜6アルキル、またはC3〜8シクロアルキルは、CF、1〜3個のハロ、OH、OC1〜4アルキル、CN、N、O(C=O)C1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、NH、NHC(=O)C1〜4アルキル、またはC(=O)C1〜4アルキルで置換されていてもよく、
nは、0、1、または2である。
別の態様において、本発明は、
薬学的に許容できる担体および有効量の式Iの化合物を含む医薬組成物、
治療有効量の式Iの化合物または薬学的に許容できるその塩を必要としている対象に投与することにより哺乳動物においてグラム陽性微生物感染症を治療するための方法、および
グラム陽性またはグラム陰性微生物感染症を治療するための医薬品を調製するための式Iの化合物または薬学的に許容できるその塩の使用も提供する。
本発明は、式Iの化合物を調製するのに有用である新規な中間体および新規なプロセスも提供することができる。
特に指定のない限り、本明細書および特許請求の範囲において使用される以下の用語は、以下に示す意味を有する。
様々な炭化水素含有部分の炭素原子含有量は、その部分における炭素原子の最小数および最大数を指定する接頭語によって示され、すなわち、接頭語Ci〜jは、整数「i」〜整数「j」個の炭素原子の部分を示す。したがって、例えば、C1〜6アルキルは、1〜6個の炭素原子のアルキルを指す。
用語アルキル、またはアルケニルなどは、直鎖基と分岐基の双方を指すが、「プロピル」などの個々の基への言及は、直鎖基のみを包含し、「イソプロピル」などの分岐鎖異性体は、具体的に呼ばれる。
用語「C3〜8シクロアルキル」または「C3〜6シクロアルキル」は、3〜8個または3〜6個の炭素原子の環状飽和一価炭化水素基、例えば、シクロプロピル、シクロヘキシルなどを指す。
用語「ハロ」は、フルオロ(F)、クロロ(Cl)、ブロモ(Br)、またはヨード(I)を指す。
ある化合物の用語「薬学的に許容できる塩」は、薬学的に許容でき、親化合物の望ましい薬理学的活性を有する塩を意味する。
用語「薬学的に許容できる担体」は、一般的に安全であり、無毒性であり、生物学的にも他の点からも望ましくないことはない医薬組成物を調製するのに有用である担体を意味し、獣医学的使用ならびにヒトの製薬学的使用に許容できる担体が含まれる。本明細書および特許請求の範囲において使用する「薬学的に許容できる担体」には、1種と2種以上の両方のそのような担体が含まれる。
用語「哺乳動物」は、ヒトまたは家畜およびコンパニオンアニマルを含む温血動物を指す。
用語「任意選択の」または「場合により」は、続いて記載される事象または環境が、起こらなくてもよいが起こる可能性があり、その記載には、事象または環境が起こる場合および事象または環境が起こらない場合が含まれる。
同じ分子式を有するが、それらの原子の結合の性質もしくは順序または空間におけるそれらの原子の配置が異なる化合物は、「異性体」と呼ばれる。空間におけるそれらの原子の配置が異なる異性体は、「立体異性体」と呼ばれる。
当業者には当然のことながら、キラル中心を有する本発明の化合物は、光学活性な形態およびラセミの形態で存在し単離されることがある。一部の化合物は、多形性を示すことがある。当然のことながら、本発明は、本明細書に記載される有用な特性を有する本発明の化合物の任意のラセミの、光学活性な、多形性の、互変異性の、もしくは立体異性の形態、またはそれらの混合物を包含し、当技術分野において、光学活性な形態を調製する方法(例えば、再結晶技法によるラセミの形態の分割による、光学活性な出発材料からの合成による、キラル合成による、またはキラルな固定相を使用するクロマトグラフ分離による)および本明細書に記載される標準試験を用い、または当技術分野においてよく知られている他の類似試験を用い抗ウイルス活性を決定する方法はよく知られている。
用語ある疾患を「治療すること」またはある疾患の「治療」には、(1)その疾患を予防すること、すなわち、その疾患の臨床症状を、その疾患に曝されているか、またはその疾患を罹患しやすいが、その疾患の症状をまだ経験または示していない哺乳動物に発症させないこと、(2)その疾患を抑制すること、すなわち、その疾患もしくはその臨床症状の発症を停止もしくは減少させること、または(3)その疾患を軽減すること、すなわち、その疾患もしくはその臨床症状の退行を引き起こすことが含まれる。
用語「治療有効量」は、ある疾患を治療するために哺乳動物に投与される場合に、その疾患のそのような治療を行うのに十分である化合物の量を意味する。「治療有効量」は、化合物、その疾患およびその重症度ならびに治療すべき哺乳動物の年齢、体重などによって異なるであろう。
用語「脱離基」は、合成有機化学においてこの用語と慣習的に関連する意味、すなわち、求核試薬によって置換することができる原子または基であり、クロロ、ブロモ、ヨード、メシルオキシ、トシルオキシ、トリフルオロスルホニルオキシ、メトキシ、N,O−ジメチルヒドロキシル−アミノなどのハロゲン、アルキルスルホニルオキシ、エステル、またはアミノが含まれる。
本発明の化合物は、一般的に、IUPACまたはCAS命名システムに従って命名される。
当業者によく知られている略語(例えば、フェニルについては「Ph」、メチルについては「Me」、エチルについては「Et」、1時間または数時間については「h」および室温については「rt」)を使用することがある。
基、置換基、および範囲について以下に列挙する具体的および好ましい値は、例示のために過ぎず、それらは、基および置換基についての他の定義値または定義範囲内の他の値を除外するものではない。
具体的に、アルキルは、メチルまたはエチルである。
具体的に、ハロは、フルオロ(F)である。
具体的に、RおよびRは、独立して、H、F、OH、OC1〜2アルキル、C1〜2アルキルまたはCFである。
具体的に、YおよびYは、CHであり、YおよびYは、独立して、CHまたはCFである。
具体的に、Rは、HまたはCHである。
本発明の例は、
(1)(5R)−3−[3,5−ジフルオロ−4−(3−フルオロアゼチジン−1−イル)フェニル]−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキサミド、
(2)(5R)−3−[4−(3,3−ジフルオロアゼチジン−1−イル)−3,5−ジフルオロフェニル]−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキサミド、
(3)(5R)−3−[4−(3−メトキシアゼチジン−1−イル)−3,5−ジフルオロフェニル]−2−オキソ−1,3オキサゾリジン−5−カルボキサミド、
(4)(5R)−3−{3,5−ジフルオロ−4−[3−ヒドロキシ−3−(トリフルオロメチル)アゼチジン−1−イル]フェニル}−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキサミド、
(5)(5R)−3−[4−(3,3−ジフルオロアゼチジン−1−イル)−3−フルオロフェニル]−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキサミド、
(6)(5R)−N−メチル−3−[4−(3,3−ジフルオロアゼチジン−1−イル)−3−フルオロフェニル]−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキサミド、
(7)(5R)−3−[3−フルオロ−4−(3−ヒドロキシシクロブチル)フェニル]−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキサミド、
(8)(5R)−3−[3−フルオロ−4−(3−メトキシシクロブチル)フェニル]−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキサミド、
(9)(5R)−3−[4−(2,2−ジオキシド−2−チア−6−アザスピロ[3.3]ヘプト−6−イル)−3,5−ジフルオロフェニル]−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキサミド、または
(10)(5R)−3−[4−(2,2−ジオキシド−2−チア−6−アザスピロ[3.3]ヘプト−6−イル)−3,5−ジフルオロフェニル]−N−メチル−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキサミド
である。
本発明の化合物は、以下で議論されるスキームのうちの1つまたは複数に従って調製することができる。すべての出発材料は、市販されているか、または有機化学の当業者によく知られているであろう手順によって調製することができる。スキームにおいて使用される変数は、以下に定義する通りであるか、または本発明の要約または特許請求の範囲と同様である。
Figure 2009500389
スキームIは、オキサゾリジノンのC−5にカルボキサミド置換を有する類似体の合成について記載している。まず、米国特許出願公開第US2004/0044052号に記載されているように、アニリン中間体1を、(2R)−エポキシプロパン酸アルキルおよびリチウムトリフレートなどのルイス酸と反応させる。
ステップ2において、当業者に知られている方法を用い、アミノアルコール(2)を環化すると、アリールオキサゾリジノン3が得られる。例えば、中間体2を、適切な温度にて、通常は20℃〜80℃の範囲で、アセトニトリルまたはテトラヒドロフランなどの溶媒中、1,1’−カルボニルジイミダゾールで処理すると、オキサゾリジノン3が得られる。あるいは、2を、適切な温度にて、通常は−10℃〜25℃の範囲で、トリエチルアミノなどの塩基の存在下に、トルエンもしくは塩化メチレン、またはそれらの混合物などの溶媒中、ホスゲンと反応させると、オキサゾリジノン3が得られる。生成物は、集めたままで使用するか、分取TLCまたはHPLC、クロマトグラフィー、沈殿、結晶化などの従来の技法を用いてまず精製することができる。
続いて、オキサゾリジノンエステル3を、メタノールまたはアセトニトリルなどの適当な溶媒中、アンモニアまたは場合により置換アミン(RNH)で処理すると、アミド4(R=Hまたは置換されていてもよいアルキル)が得られる。同様に、エステル3を、O−アルキルヒドロキシルアミンまたはヒドラジンで処理すると、それぞれヒドロキサメート(R=O−アルキル)またはヒドラジド(R=NH)が得られる。生成物は、集めたままで使用するか、分取TLCまたはHPLC、クロマトグラフィー、沈殿、結晶化などの従来の技法を用いてまず精製することができる。
Figure 2009500389
アゼチジン置換を有する中間体は、3−ヒドロキシアゼチジンとフッ素化ニトロ芳香族化合物との求核芳香族置換反応により都合良く調製される。そのような反応は、当業者によく知られており、これらの反応について記載している総説論文が入手可能である(Zoltewicz(Top.Curr.Chem.1975、第59巻、33〜64ページ)を参照)。一般的に、これらの変換は、アセトニトリルまたはジメチルホルムアミドなどの極性非プロトン性溶媒を用い、トリエチルアミンまたはN,N−ジイソプロピルエチルアミンなどの酸を捕捉する塩基の存在下、40℃〜90℃にて行われる。3−ヒドロキシアゼチジン1は、1−ベンジル−3−トリメチルシリルオキシアゼチジン(Higgins,R.H.J.Heterocyclic Chem.1987、24、1489により記載されているように調製した)の水素化分解により(例えば、メタノール中のPd/Cにより)調製される。生成物は、集めたままで使用するか、分取TLCまたはHPLC、クロマトグラフィー、沈殿、結晶化などの従来の技法を用いてまず精製することができる。
スキーム4のステップ2は、保護、酸化、さもなければヒドロキシアゼチジン環のより高度に官能基化された状態への変換に必要な1つまたは複数のステップを示している。有機化学の当業者は、この官能基化に必要とされる様々な反応に精通しているであろう。これは、例えば、シリルエーテルとしての保護、フッ素化、アゼチジノンへの酸化、そのようにして得られるアゼチジノンのオレフィン化、そのようにして得られるアゼチジノンと求核試薬との反応、またはヒドロキシ基の活性化および求核試薬による置換を含むことがある。生成物は、集めたままで使用するか、分取TLCまたはHPLC、クロマトグラフィー、沈殿、結晶化などの従来の技法を用いてまず精製することができる。
最後に、ステップ3は、アニリン中間体5を得るためのニトロ基の還元を含む。一般的に、この還元は、ニトロ中間体4を鉄金属と反応させることにより行われる。反応は、反応混合物を緩衝化するための塩化アンモニウムの存在下、溶媒としての水とアルコール(メタノール、エタノールなど)の混合物中、60℃〜90℃の温度にて行われる。場合により、このタイプの還元は、スズまたは亜鉛などの他の金属との反応により、またはパラジウムまたは白金触媒下の水素化により行われる(Rylander Hydrogenation Methods;Academic Press:New
York、1985、104〜116ページを参照)。生成物は、集めたままで使用するか、分取TLCまたはHPLC、クロマトグラフィー、沈殿、結晶化などの従来の技法を用いてまず精製することができる。
Figure 2009500389
スキームIIIは、シクロブタン環を有する中間体の合成について記載している。中間体2は、4−ブロモベンズアルデヒド出発材料(1)とカルバミン酸アルキル、例えば、カルバミン酸ベンジルとの遷移金属触媒反応を含む単一ステップで調製することができる。このタイプの反応は、当業者によく知られており(例えば、Buchwald他 J.Am.Chem.Soc.2002、124、7421〜7428を参照)、通常は、パラジウムまたは銅触媒でBINAPなどのリガンドまたは関連するホスフィンもしくはアルシンリガンドを用いて行われる。反応は、約50℃から110℃までの温度にてトルエンまたはベンゼンなどの溶媒中で行われることが好ましい。生成物は、集めたままで使用するか、分取TLCまたはHPLC、クロマトグラフィー、沈殿、結晶化などの従来の技法を用いてまず精製することができる。
スキーム5のステップ2は、ベンズアルデヒド中間体2のスチレン3への変換を含む。2のオレフィン化は、有機化学の当業者によく知られている条件下、例えば、アルデヒドとリンイリド(メチルトリフェニルホスホニウム塩と水素化ナトリウムまたはカリウムビス(トリメチルシリル)アミドなどの塩基との反応により生成される)との反応により行われる。通常、反応は、約−50℃から25℃までの温度にて、THFまたはDMFなどの溶媒中で行われる。生成物は、集めたままで使用するか、分取TLCまたはHPLC、クロマトグラフィー、沈殿、結晶化などの従来の技法を用いてまず精製することができる。
スキーム5のステップ3において、シクロブタン環は、スチレン中間体3とジクロロカルベンとの反応と、続く脱塩素ステップによって形成され、4が得られる。ジクロロカルベンの生成およびオレフィンとの[2+2]環化付加はよく知られており、これらの反応について記載している総説論文が入手可能である(例えば、Brady,W.T.Tetrahedron 1981、17、2949〜2966を参照)。次いで、環化付加反応で形成されるジクロロシクロブタノン中間体を、還元性金属との(例えば、Zn−Cuカップルとの)反応により脱塩素化すると、望ましいシクロブタノン中間体が形成する。そのような還元反応は、よく知られており、上記で言及したものを含む総説論文で議論されている。これらの反応の生成物は、集めたままで使用するか、分取TLCまたはHPLC、クロマトグラフィー、沈殿、結晶化などの従来の技法を用いてまず精製することができる。
スキーム5のステップ4は、保護、還元、さもなければアゼチジノン環のより高度に官能基化された状態への変換に必要な1つまたは複数のステップを示している。これは、例えば、還元、そのようにして形成されるアルコールのシリルエーテルとしての保護、フッ素化、オレフィン化反応、オキシム形成、または求核試薬との反応を含むことがある。生成物は、集めたままで使用するか、分取TLCまたはHPLC、クロマトグラフィー、沈殿、結晶化などの従来の技法を用いてまず精製することができる。
医学的および獣医学的使用
本発明の化合物は、長期療法(>28日)を必要とする感染症を含む、様々な細菌性生物によって引き起こされる感染性のグラム陽性菌感染症を治療するために使用することができる。
細菌性生物の例には、多剤耐性ブドウ球菌、例えば、黄色ブドウ球菌(S.aureus)および表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)、多剤耐性連鎖球菌、例えば、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)および化膿連鎖球菌(S.pyogenes)、ならびに多剤耐性腸球菌、例えば、エンテロコッカスフェカリス(E.faecalis)などのグラム陽性菌、ヘモフィルス属、例えば、インフルエンザ菌(H.influenzae)およびモラクセラ属、例えば、モラクセラカタラーリス(M.catarrhalis)などのグラム陰性好気性菌、ならびにバクテロイド属およびクロストリジウム種などの嫌気性生物、およびマイコバクテリウム属、例えば、結核菌(M.tuberculosis)などの抗酸性生物、および/またはトリ型結核菌(Mycobacterium avium)が含まれる。他の例には、エシェリキア属、例えば、大腸菌(E.coli)、細胞間微生物、例えば、クラミジア属およびリケッチア属が含まれる。
本発明の化合物で治療することができる感染症の例には、中枢神経系感染症、外耳感染症、急性中耳炎などの中耳の感染症、硬膜静脈洞の感染症、眼感染症、歯、歯肉および粘膜の感染症などの口腔の感染症、上気道感染症、下気道感染症、泌尿生殖器感染症、胃腸感染症、婦人科感染症、敗血症、骨および関節感染症、皮膚および皮膚構造感染症、細菌性心内膜炎、火傷、手術の抗菌予防、および癌化学療法を受けている患者、または臓器移植患者などの免疫抑制患者における抗菌予防が含まれる。具体的に、本発明の化合物で治療することができる感染性疾患は、骨髄炎、心内膜炎および糖尿病足などのグラム陽性感染症である。
抗菌活性
本発明の化合物のin vitro抗菌活性は、(1)米国臨床検査標準委員会(National Committee for Clinical Laboratory Standards)(2003年1月)、Methods for dilution antimicrobial tests for bacteria that grow aerobically、Approved Standard(第6版)、M7−A6、NCCLS、Wayne、PA、(2)米国臨床検査標準委員会(2001年3月)、Methods for antimicrobial susceptibility testing of anaerobic bacteria、Approved Standard(第5版)、M11−A4、NCCLS、Wayne、PA、(3)米国臨床検査標準委員会(2003年1月)、MIC testing supplemental tables、M100−S13(M7−A6との使用のため)、NCCLS、Wayne、PA、および(4)Murray PR、Baron EJ、Jorgensen JH、他 Manual of Clinical Microbiology(第8版)Washington,DC、American Society for Microbiology Press、2003において推奨されている以下の手順によって評価することができる。抗菌活性は、MIC値の形で示すことができる。MIC値は、試験の条件下で肉眼的に見える発育を阻止する薬物の最小濃度である。抗菌活性を表1に示す。
Figure 2009500389
薬学的塩
式Iの化合物は、そのままの形態で、または塩として使用することができる。安定な無毒性の酸または塩基塩を形成することが望ましい場合には、薬学的に許容できる塩として化合物を投与することが適切なことがある。本発明の薬学的に許容できる塩の例には、塩酸塩、臭化水素塩、硫酸塩、硝酸塩、重炭酸塩、炭酸塩などの無機塩、およびトシル酸塩、メタンスルホン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、マロン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、アスコルビン酸塩、エトグルタル酸塩(etoglutarate)、およびグリセロリン酸塩などの有機塩が含まれる。
薬学的に許容できる塩は、当技術分野においてよく知られている標準的な手順を用い、例えば、アミンなどの十分に塩基性の化合物を、生理学的に許容できる陰イオンを提供する適当な酸と反応させて得ることができる。カルボン酸のアルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウムまたはリチウム)またはアルカリ土類金属(例えば、カルシウム)塩も製造することができる。
投与経路
哺乳動物(すなわち、ヒトおよび動物)における細菌感染症を治療するか、または細菌感染症と闘うための治療的使用において、本発明のオキサゾリジノンプロドラッグまたはその医薬組成物は、経口的に、非経口的に、局所的に、経直腸的に、経粘膜的に、または経腸的に投与することができる。
非経口投与には、全身的効果を生み出すための間接注射または罹患部への直接注射が含まれる。非経口投与の例は、皮下、静脈内、筋肉内、皮内、髄腔内、眼内、鼻腔内、脳室内の注射または注入技法である。
局所投与には、例えば、眼、外耳および中耳感染症を含む耳、膣、開放創、表皮および下部皮膚構造を含む皮膚、または他の下部腸管などの、局所適用によって容易に接近可能な感染性領域または器官の治療が含まれる。局所投与には、全身的効果を生み出すための経皮送達も含まれる。
直腸投与には、坐剤の形態が含まれる。
経粘膜投与には、鼻エアロゾルまたは吸入適用が含まれる。
好ましい投与経路は、経口および非経口である。
組成物/製剤
本発明の医薬組成物は、当技術分野においてよく知られているプロセスにより、例えば、従来の混合、溶解、造粒、糖剤製造、研和(levigating)、乳化、カプセル化、封入(entrapping)、凍結乾燥プロセスまたは噴霧乾燥によって製造することができる。
本発明に従って使用するための医薬組成物は、活性化合物の加工を容易にする賦形剤および助剤を含む1つまたは複数の生理学的に許容できる担体を用いる従来の方法で、薬学的に使用することができる調製物に製剤化することができる。適切な製剤は、選ばれた投与経路によって決まる。
経口投与の場合、化合物は、活性化合物を、当技術分野においてよく知られている薬学的に許容できる担体と混ぜ合わせることによって製剤化することができる。そのような担体は、本発明の化合物を、患者による経口摂取のための錠剤、丸剤、ロゼンジ剤、糖剤、カプセル剤、液剤(liquids)、液剤(solutions)、乳剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤などとして製剤化することを可能にする。担体は、希釈剤、矯味剤、可溶化剤、滑沢剤、懸濁化剤、結合剤、錠剤崩壊剤、およびカプセル化剤としても機能することができる少なくとも1つの物質であってよい。そのような担体または賦形剤の例には、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、スクロース、ペクチン、デキストリン、マンニトール、ソルビトール、デンプン、ゼラチン、セルロース系材料、低融点ワックス、カカオ脂または粉末、ポリエチレングリコールなどのポリマーおよび他の薬学的に許容できる材料が含まれるが、これらに限定されるものではない。
糖剤コアには、適当なコーティングが提供される。この目的には、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、および適当な有機溶媒または溶媒混合物を含有していてもよい濃縮糖液を使用することができる。染料または色素を、識別のため、または活性化合物投与量の異なる組合せを特徴付けるために錠剤または糖剤コーティングに添加することができる。
経口的に使用することができる医薬組成物には、ゼラチン製のプッシュフィット(push−fit)カプセル剤、ならびにゼラチンおよびグリセロールまたはソルビトールなどの可塑剤製の軟質密閉カプセル剤が含まれる。プッシュフィットカプセル剤は、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、および/またはタルクまたはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、場合により安定化剤との混合物として活性成分を含有することができる。軟質カプセル剤において、活性化合物は、脂肪油、液体パラフィン、液体ポリエチレングリコール、クレモホール、キャプムル(capmul)、媒体または長鎖モノ−、ジ−もしくはトリグリセリドなどの適当な液体に溶解または懸濁することができる。安定化剤も、これらの製剤に添加することができる。
液体形態の組成物には、液剤、懸濁剤および乳剤が含まれる。例えば、適当な従来の着色剤、矯味剤、安定化剤および粘稠剤を含有していてもよい水および水−プロピレングリコールおよび水−ポリエチレングリコール系に溶かされた本発明の化合物の液剤を提供することができる。
化合物は、例えば、注射、ボーラス注射または持続注入による非経口投与のために製剤化することもできる。非経口投与のための製剤は、保存剤を添加した例えば、アンプルまたはマルチドーズ容器に単位用量形態で提供することができる。組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁剤、液剤または乳剤などの形態をとることができ、懸濁化剤、安定化剤および/または分散剤などの製剤化材料を含有することができる。
注射の場合、本発明の化合物は、水溶液中、好ましくは生理学的に適合する緩衝液または生理学的食塩水緩衝液中で製剤化することができる。適当な緩衝剤には、オルトリン酸三ナトリウム、重炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、N−メチルグルカミン、L(+)−リシンおよびL(+)−アルギニンが含まれる。
非経口投与には、活性化合物の塩などであるがそれに限定されない水溶性形態の水溶液も含まれる。さらに、活性化合物の懸濁剤は、親油性ビヒクル中で調製することができる。適当な親油性ビヒクルには、ゴマ油などの脂肪油、オレイン酸エチルおよびトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、またはリポソームなどの材料が含まれる。水性注射懸濁剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランなどの懸濁液の粘性を高める物質を含有することができる。場合により、懸濁液は、安定化剤および/または高度に濃縮された液剤の調製を可能にするために化合物の溶解性を高める試剤も含有することができる。
あるいは、活性成分は、使用前に、適当なビヒクル、例えば、滅菌した発熱物質を含まない水による再構成のための粉末形態であってよい。
坐剤投与の場合、化合物は、薬剤を、室温にて固体であるが直腸温度にて液体であるため、直腸で融解して薬物を放出する適当な刺激性のない賦形剤と混合することによっても製剤化することができる。そのような材料には、カカオ脂、蜜蝋および他のグリセリドが含まれる。
吸入による投与の場合、本発明の化合物は、溶液、乾燥粉末、または懸濁剤の形態でエアロゾルスプレーを介して都合良く送達することができる。エアロゾルは、加圧パックまたはネブライザーおよび適当な噴射剤を使用することがある。加圧エアロゾルの場合、用量単位は、一定量を送達するためのバルブを提供することによって制御することができる。ラクトースまたはデンプンなどの粉末基剤を含有する、例えば、インヘイラーで使用するためのゼラチンのカプセル剤およびカートリッジ剤を製剤化することができる。
局所適用の場合、医薬組成物は、1つまたは複数の担体に懸濁または溶解された活性成分を含有する適当な軟膏に製剤化することができる。本発明の化合物を局所投与するための担体には、鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化蝋および水が含まれるが、これらに限定されるものではない。あるいは、医薬組成物は、1つまたは複数の薬学的に許容できる担体に懸濁または溶解された活性成分を含有する懸濁剤、エマルジョン、またはクリームなどの適当なローションに製剤化することができる。適当な担体には、鉱油、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水が含まれるが、これらに限定されるものではない。
眼科および耳炎使用の場合、医薬組成物は、塩化ベンジルアルコニウム(benzylalkonium)などの保存剤の有無にかかわらず、等張性のpHを調整した滅菌食塩水中の微粉化懸濁剤として、好ましくは、等張性のpHを調整した滅菌食塩水中の液剤として製剤化することができる。あるいは、眼科使用の場合、医薬組成物は、ワセリンなどの軟膏に製剤化することができる。
前述の製剤の他に、化合物は、デポー調製物としても製剤化することができる。そのような長時間作用性の製剤は、インプラントの形態であってよい。本発明の化合物は、適当なポリマー、疎水性材料と一緒に、またはやや溶けにくい塩などであるがそれに限定されないやや溶けにくい誘導体として、この投与経路のために製剤化することができる。
さらに、化合物は、持続放出システムを用いて送達することができる。様々な持続放出材料が確立されており、当業者によく知られている。持続放出カプセル剤は、それらの化学的性質に応じて、24時間または最長で数日間、化合物を放出することができる。
用量
本発明において使用するのに適している医薬組成物には、活性成分が、意図した目的、すなわち、感染性疾患の治療または予防を達成するのに十分な量で含有されている組成物が含まれる。より具体的に、治療有効量は、疾患の症状を予防、軽減もしくは改善する、または治療されている対象の生存を延長するのに有効な量の化合物を意味する。
医薬組成物およびその単位剤形中の活性成分、すなわち、本発明の化合物の量は、投与の方法、特定の化合物の効力および望ましい濃度に応じて幅広く変更または調整することができる。治療有効量の決定は、十分に当業者が対応できる範囲にある。一般的に、活性成分の量は、組成物の0.5重量%〜90重量%であろう。
一般的に、治療有効量の活性成分の用量は、1日につき体重1kg当たり約0.1〜約400mg、より好ましくは1日につき体重1kg当たり約1.0〜約50mgの範囲であろう。当然のことながら、用量は、各対象の要件および治療されている細菌感染症の重症度に応じて変わることがある。平均して、活性成分の有効量は、1日につき約200mg〜800mg、好ましくは600mgである。
望ましい投与量は、単一量で、または適切な間隔、例えば、1日につき2、3、4またはそれ以上の部分用量(sub−doses)として投与される分割量として提供することができる。部分用量それ自体は、例えば、インサフレーターからの多重吸入などの多くの不連続な大まかに間隔を置いた投与へ、または眼の中への複数個の液滴の適用によりさらに分割することができる。
また、当然のことながら、投与される初期用量を上記の上位レベルを超えて増加させ、望ましい血漿濃度を速やかに達成することができる。一方、初期用量は、最適より少ないことがあり、1日用量は、特定の状況に応じて、治療の過程において徐々に増加させることができる。望ましい場合、1日投与量は、例えば、1日につき2〜4回投与するための複数回投与に分割することもできる。
局所投与または選択的取り込みの場合、薬物の有効な局所濃度は、血漿濃度と関係しないことがあり、当技術分野において知られている他の手順を用い、望ましい投与量を決定することができる。
上記の議論および以下の実施例において、以下の略語は、以下の意味を有する。ある略語が定義されていない場合、その略語は、その一般的に許容される意味を有する。
bm=幅の広い多重線
bd=幅の広い二重線
bs=幅の広い一重線
bt=幅の広い三重線
br=幅の広いシグナル
CDI=1,1’−カルボニルジイミダゾール
d=二重線
dd=二重線の二重線
dq=四重線の二重線
dt=三重線の二重線
dm=多重線の二重線
DMF=ジメチルホルムアミド
DMAP=ジメチルアミノピリジン
DIEA=ジイソプロピルエチルアミン
DMSO=ジメチルスルホキシド
eq.=当量
g=グラム
h=時間
HPLC=高速液体クロマトグラフィー
HATU=ヘキサフルオロリン酸N−[(ジメチルアミノ)−1H−1,2,3−トリアゾロ−[4,5−b]ピリジン−1−イル−メチレン]−N−メチルメタナミニウムN−オキシド
LG=脱離基
m=多重線
M=モル
M%=モルパーセント
max=最大
meq=ミリ当量
mg=ミリグラム
mL=ミリリットル
mm=ミリメートル
mmol=ミリモル
q=四重線
s=一重線
tまたはtr=三重線
TBS=トリブチルシリル
TFA=トリフルオロ酢酸
THF=テトラヒドロフラン
TLC=薄層クロマトグラフィー
p−TLC=分取薄層クロマトグラフィー
μL=マイクロリットル
N=規定度
MeOH=メタノール
DCM=ジクロロメタン
HCl=塩酸
ACN=アセトニトリル
MS=質量分析法
rt=室温
EtOAc=酢酸エチル
EtO=エトキシ
Ac=アセテート
NMP=1−メチル−2−ピロリジノン
μL=マイクロリットル
J=結合定数
NMR=核磁気共鳴
MHz=メガヘルツ
Hz=ヘルツ
m/z=質量電荷比
min=分
Boc=tert−ブトキシカルボニル
CBZ=ベンジルオキシカルボニル
DCC=1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド
PyBop=ヘキサフルオロリン酸ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリスピロリジノホスホニウム
(実施例1)
(5R)−3−[3,5−ジフルオロ−4−(3−フルオロアゼチジン−1−イル)フェニル]−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキサミドの調製
Figure 2009500389
1,1’−カルボニルジイミダゾール(0.163g、0.98mmol)を、アセトニトリル(8mL)中の(2R)−3−{[3,5−ジフルオロ−4−(3−フルオロアゼチジン−1−イル)フェニル]アミノ}−2−ヒドロキシプロパン酸メチル(0.150g、0.49mmol)の溶液に加え、溶液を、3日間50℃まで加熱する。冷却した後、酢酸エチルを加え、溶液を、希クエン酸、希NaHCOで2回、食塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過して濃縮すると、(5R)−3−[3,5−ジフルオロ−4−(3−フルオロアゼチジン−1−イル)フェニル]−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチルが得られ、さらに精製することなく使用する。
メタノール性アンモニア(2.0M溶液2.0mL、4.0mmol)を、メタノール3mL中の(5R)−3−[3,5−ジフルオロ−4−(3−フルオロアゼチジン−1−イル)フェニル]−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチル(0.160g、0.49mmol)の溶液に加える。90分後、溶液を濃縮し、残渣を、分取TLC(5%MeOH−ジクロロメタン)により精製すると、表題化合物が得られる。
MS(m/z):[M+H]=316
H NMR(300MHz,CDCN):3.96(dd,J=9,6Hz,1H)、4.18(m,3H)、4.42(m,2H)、4.93(dd,J=10,6Hz,1H)、5.22〜5.42(dm,J=58Hz,1H)、6.17(br s,1H)、6.70(br s,1H)、7.12(dd,J=10,2Hz,2H)
実施例1を合成するための中間体は、以下の通り調製する。
I.(2R)−3−{[3,5−ジフルオロ−4−(3−フルオロアゼチジン−1−イル)フェニル]アミノ}−2−ヒドロキシプロパン酸メチルの調製
10%Pd/C(0.04g)を含むメタノール2mL中の1−(2,6−ジフルオロ−4−ニトロフェニル)−3−フルオロアゼチジン(0.36g、1.5mmol)の溶液を、水素の雰囲気下で撹拌する。18時間後、溶液を、メタノールを用いてセライトに通して濾過し、濾液を濃縮すると、1−(4−アミノ−2,6−ジフルオロフェニル)−3−フルオロアゼチジンが得られ、直接次のステップで使用する。
アセトニトリル(5mL)中の1−(4−アミノ−2,6−ジフルオロフェニル)−3−フルオロアゼチジン(1.5mmol)の溶液を、(R)−グリシド酸メチル(0.18g、1.8mmol)およびリチウムトリフレート(0.28g、1.8mmol)で処理し、3時間70℃まで加熱し、次いで、冷却して濃縮する。残渣を、分取TLC(2%MeOH−ジクロロメタン)により精製すると、表題化合物が得られる。
H NMR(300MHz,CDCl):3.04(br s,1H)、3.35〜3.48(m,2H)、3.81(s,3H)、3.91(br s,1H)、4.06〜4.17(m,2H)、4.31〜4.50(m,3H)、5.19〜5.39(dm,J=58Hz,1H)、6.16(dd,J=10,2Hz,2H)
(実施例2)
(5R)−3−[4−(3,3−ジフルオロアゼチジン−1−イル)−3,5−ジフルオロフェニル]−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキサミドの調製
Figure 2009500389
1,1’−カルボニルジイミダゾール(0.155g、0.93mmol)を、アセトニトリル(4.0mL)中の(2R)−3−{[4−(3,3−ジフルオロアゼチジン−1−イル)−3,5−ジフルオロフェニル]アミノ}−2−ヒドロキシプロパン酸メチル(0.10g、0.31mmol)の溶液に加え、溶液を、3日間50℃まで加熱する。冷却した後、酢酸エチルを加え、溶液を、希クエン酸、希NaHCOで2回、食塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過して濃縮すると、(5R)−3−[4−(3,3−ジフルオロアゼチジン−1−イル)−3,5−ジフルオロフェニル]−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチルが得られ、さらに精製することなく使用する。
メタノール性アンモニア(2.0M溶液2.0mL、4.0mmol)を、メタノール3mL中の(5R)−3−[4−(3,3−ジフルオロアゼチジン−1−イル)−3,5−ジフルオロフェニル]−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチル(0.107g、0.31mmol)の溶液に加える。90分後、溶液を濃縮し、残渣を、分取TLC(5%MeOH−ジクロロメタン)により精製すると、表題化合物が得られる。
MS(m/z):[M+H]=334
H NMR(300MHz,CDCN):3.96(m,1H)、4.18(m,1H)、4.40〜4.52(m,4H)、4.93(dd,J=10,6Hz,1H)、6.16(br s,1H)、6.70(br s,1H)、7.17(dd,J=10,2Hz,2H)
実施例2を合成するための中間体は、以下の通り調製する。
I.(2R)−3−{[4−(3,3−ジフルオロアゼチジン−1−イル)−3,5−ジフルオロフェニル]アミノ}−2−ヒドロキシプロパン酸メチルの調製
Figure 2009500389
10%Pd/C(0.050g)を含むメタノール2mL中の1−(2,6−ジフルオロ−4−ニトロフェニル)−3,3−ジフルオロアゼチジン(0.25g、1.0mmol)の溶液を、水素の雰囲気下で撹拌する。2.5時間後、溶液を、メタノールを用いてセライトに通して濾過し、濾液を濃縮すると、4−(3,3−ジフルオロアゼチジン−1−イル)−3,5−ジフルオロアニリンが得られ、直接次のステップで使用する。
アセトニトリル(4mL)中の4−(3,3−ジフルオロアゼチジン−1−イル)−3,5−ジフルオロアニリン(1.0mmol)の溶液を、(R)−グリシド酸メチル(0.185g、1.2mmol)およびリチウムトリフレート(0.236g、1.5mmol)で処理し、3時間70℃まで加熱し、次いで、冷却して濃縮する。残渣を、分取TLC(2%MeOH−ジクロロメタン)により精製すると、表題化合物が得られる。
H NMR(300MHz,CDCl):3.17(br s,1H)、3.30〜3.45(m,2H)、3.81(s,3H)、3.91(br s,1H)、4.39(m,5H)、6.16(dd,J=10,2Hz,2H)
(実施例3)
(5R)−3−[4−(3−メトキシアゼチジン−1−イル)−3,5−ジフルオロフェニル]−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキサミドの調製
Figure 2009500389
n−ブチルリチウム溶液(1.6Mヘキサン溶液2.1mL、3.32mmol)を、THF(11mL)中の3,5−ジフルオロ−4−(3−メトキシアゼチジン−1−イル)フェニルカルバミン酸ベンジル(0.77g、2.21mmol)の冷却した(−78℃)溶液に加える。10分後、(2R)−2,3−エポキシプロパン酸エチル(0.77g、6.63mmol)を加え、溶液を室温まで温め、18時間撹拌する。飽和水性塩化アンモニウムを反応混合物に加え、ジクロロメタンで抽出する。水相を、1N HClでpH1まで酸性化し、ジクロロメタンで2回抽出する。次いで、合わせた有機相を乾燥し(MgSO)、濾過して濃縮すると、粗製の(5R)−3−[4−(3−メトキシアゼチジン−1−イル)−3,5−ジフルオロフェニル]−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−カルボン酸が得られ、直接次の反応に使用する。
(トリメチルシリル)ジアゾメタン溶液(2Mジエチルエーテル溶液0.24mL、0.48mmol)を、MeOH(0.5mL)中の(5R)−3−[4−(3−メトキシアゼチジン−1−イル)−3,5−ジフルオロフェニル]−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−カルボン酸(0.24mmol)の溶液に加える。室温にて2時間撹拌した後、反応混合物を濃縮し、メタノール性アンモニア(2.0M溶液1.0mL、2.0mmol)で処理する。24時間後、溶液を濃縮し、残渣を、分取TLC(5%MeOH−ジクロロメタン)により精製すると、表題化合物が得られる。
MS(m/z):[M+H]=328
H NMR(300MHz,d−DMSO):3.20(s,3H)、3.84〜3.95(m,3H)、4.14〜4.27(m,4H)、4.98(m,1H)、7.22(dd,J=9,2Hz,2H)、7.60(br s,1H)、7.83(br s,1H)
(実施例4)
(5R)−3−{3,5−ジフルオロ−4−[3−ヒドロキシ−3−(トリフルオロメチル)アゼチジン−1−イル]フェニル}−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキサミドの調製
Figure 2009500389
1,1’−カルボニルジイミダゾール(0.018g、0.108mmol)を、アセトニトリル(0.8mL)中の(2R)−3−({3,5−ジフルオロ−4−[3−ヒドロキシ−3−(トリフルオロメチル)アゼチジン−1−イル]フェニル}アミノ)−2−ヒドロキシプロパン酸メチル(0.020g、0.054mmol)の溶液に加え、溶液を、3日間50℃まで加熱する。冷却した後、酢酸エチルを加え、溶液を、希クエン酸、希NaHCOで2回、食塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過して濃縮すると、(5R)−3−{3,5−ジフルオロ−4−[3−ヒドロキシ−3−(トリフルオロメチル)アゼチジン−1−イル]フェニル}−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキシレートが得られ、さらに精製することなく使用する。メタノール性アンモニア(2.0M溶液2.0mL、4.0mmol)を、メタノール0.5mL中の(5R)−3−{3,5−ジフルオロ−4−[3−ヒドロキシ−3−(トリフルオロメチル)アゼチジン−1−イル]フェニル}−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチル(0.021g、0.054mmol)の溶液に加える。90分後、溶液を濃縮し、残渣を、分取TLC(5%MeOH−ジクロロメタン)により精製すると、表題化合物が得られる。
MS(m/z):[M−H]=380
H NMR(300MHz,CDCN):3.96(dd,J=9,6Hz,1H)、4.18(m,3H)、4.42(m,2H)、4.80(s,1H)、4.93(dd,J=10,6Hz,1H)、6.16(br s,1H)、6.70(br s,1H)、7.12(dd,J=10,2Hz,2H)
実施例4を合成するための中間体は、以下の通り調製する。
I.1−(2,6−ジフルオロ−4−ニトロフェニル)アゼチジン−3−オンの調製
ジクロロメタン(10mL)中のDMSO(0.84mL、12mmol)の溶液を、ジクロロメタン(20mL)中の塩化オキサリル(3.0mL、6.0mmol)の冷却した(−65℃)溶液に加える。25分間撹拌した後、5%DMSO−ジクロロメタン20mL中の1−(2,6−ジフルオロ−4−ニトロフェニル)アゼチジン−3−オール(1.25g、5.4mmol)の溶液を滴加する。反応混合物を−60℃にて30分間撹拌し、次いで、トリエチルアミン(3.7mL、27mmol)で処理し、室温まで温める。4時間撹拌した後、反応混合物を水に注加し、層を分離し、水相をより多くのジクロロメタンで抽出する。合わせた有機相を、飽和NaHCO、食塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過して濃縮する。残渣を、カラムクロマトグラフィー(0〜30%酢酸エチル−ヘキサン)により精製すると、表題化合物が得られる。
H NMR(300MHz,CDCl):5.17(tr,J=1Hz,4H)、7.80(dd,J=8,2Hz,2H)
II.1−(2,6−ジフルオロ−4−ニトロフェニル)−3−(トリフルオロメチル)アゼチジン−3−オールの調製
(トリフルオロメチル)トリメチルシラン(0.11mL、0.75mmol)、次いでフッ化テトラブチルアンモニウム(1.0M溶液0.028mL、0.028mmol)を、0℃まで冷却させた1−(2,6−ジフルオロ−4−ニトロフェニル)アゼチジン−3−オン(0.16g、0.70mmol)のTHF(3.5mL)溶液に加える。室温まで温めて5時間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム溶液(1.2mL)およびフッ化テトラブチルアンモニウム(1.0M溶液1.1mL、1.1mmol)を加え、反応混合物をさらに1時間撹拌する。次いで、酢酸エチルおよび水を加え、層を分離し、水相をより多くの酢酸エチルで抽出する。合わせた有機相を、水、食塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過して濃縮する。粗製残渣を、分取TLC(20%酢酸エチル−ヘキサン)により精製すると、表題化合物が得られる。
H NMR(300MHz,CDCl):2.84(s,1H)、4.40(d,J=10Hz,2H)、4.68(d,J=10Hz,2H)、7.74(dd,J=8,2Hz,2H)
III.(2R)−3−({3,5−ジフルオロ−4−[3−ヒドロキシ−3−(トリフルオロメチル)アゼチジン−1−イル]フェニル}アミノ)−2−ヒドロキシプロパン酸メチルの調製
10%Pd/C(0.020g)を含むメタノール2mL中の1−(2,6−ジフルオロ−4−ニトロフェニル)−3−(トリフルオロメチル)アゼチジン−3−オール(0.027g、0.091mmol)の溶液を、水素の雰囲気下で撹拌する。2.5時間後、溶液を、メタノールを用いてセライトに通して濾過し、濾液を濃縮すると、1−(4−アミノ−2,6−ジフルオロフェニル)−3−(トリフルオロメチル)アゼチジン−3−オールが得られ、直接次のステップで使用する。
アセトニトリル(0.3mL)中の1−(4−アミノ−2,6−ジフルオロフェニル)−3−(トリフルオロメチル)アゼチジン−3−オール(0.091mmol)の溶液を、(R)−グリシド酸メチル(0.014g、0.14mmol)およびリチウムトリフレート(0.022g、0.14mmol)で処理し、3時間70℃まで加熱し、次いで、冷却して濃縮する。残渣を、分取TLC(5%MeOH−ジクロロメタン)により精製すると、表題化合物が得られる。
H NMR(300MHz,CDCl):2.78(br s,1H)、3.04(br s,1H)、3.30〜3.45(m,2H)、3.81(s,3H)、3.91(br s,1H)、4.06(d,J=10Hz,2H)、4.38(app d,J=10Hz,3H)、6.16(dd,J=10,2Hz,2H)
(実施例5)
(5R)−3−[4−(3,3−ジフルオロアゼチジン−1−イル)−3−フルオロフェニル]−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキサミドの調製
Figure 2009500389
1,1’−カルボニルジイミダゾール(0.14g、0.83mmol)を、アセトニトリル(5mL)中の(2R)−3−{[4−(3,3−ジフルオロアゼチジン−1−イル)−3−フルオロフェニル]アミノ}−2−ヒドロキシプロパン酸メチル(0.13g、0.43mmol)の溶液に加え、溶液を、3日間50℃まで加熱する。冷却した後、酢酸エチルを加え、溶液を、希クエン酸、希NaHCOで2回、食塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過して濃縮すると、(5R)−3−[4−(3,3−ジフルオロアゼチジン−1−イル)−3−フルオロフェニル]−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチルが得られ、さらに精製することなく使用する。
メタノール性アンモニア(2.0M溶液2.0mL、4.0mmol)を、メタノール3mL中の(5R)−3−[4−(3,3−ジフルオロアゼチジン−1−イル)−3−フルオロフェニル]−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチル(0.10g、0.31mmol)の溶液に加える。90分後、溶液を濃縮し、残渣を、分取TLC(5%MeOH−ジクロロメタン)により精製すると、表題化合物が得られる。
MS(m/z):[M+H]=316
H NMR(300MHz,CDCN):4.02(dd,J=9,6Hz,1H)、4.17〜4.32(m,5H)、4.93(dd,J=10,6Hz,1H)、6.17(br s,1H)、6.63(m,1H)、6.70(br s,1H)、7.12(m,1H)、7.42(dd,J=15,3Hz,1H)
実施例5を合成するための中間体は、以下の通り調製する。
I.(2R)−3−{[4−(3,3−ジフルオロアゼチジン−1−イル)−3−フルオロフェニル]アミノ}−2−ヒドロキシプロパン酸メチルの調製
10%Pd/C(0.020g)を含むメタノール10mL中の1−(2−フルオロ−4−ニトロフェニル)−3,3−ジフルオロアゼチジン(0.19g、0.84mmol)の溶液を、水素の雰囲気下で撹拌する。2.5時間後、溶液を、メタノールを用いてセライトに通して濾過し、濾液を濃縮すると、1−(4−アミノ−2−フルオロフェニル)−3,3−ジフルオロアゼチジンが得られ、直接次のステップで使用する。
アセトニトリル(5mL)中の1−(4−アミノ−2−フルオロフェニル)−3,3−ジフルオロアゼチジン(0.84mmol)の溶液を、(R)−グリシド酸メチル(0.13g、1.3mmol)およびリチウムトリフレート(0.21g、1.3mmol)で処理し、3時間70℃まで加熱し、次いで、冷却して濃縮する。残渣を、分取TLC(2%MeOH−ジクロロメタン)により精製すると、表題化合物が得られる。
H NMR(300MHz,CDCl):3.25〜3.50(m,4H)、3.78(s,3H)、4.18(m,4H)、4.36(m,1H)、6.43(m,3H)
(実施例6)
(5R)−N−メチル−3−[4−(3,3−ジフルオロアゼチジン−1−イル)−3−フルオロフェニル]−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキサミドの調製
Figure 2009500389
メチルアミン(2.0M溶液1.0mL、2.0mmol)を、メタノール0.5mL中の(5R)−3−[4−(3,3−ジフルオロアゼチジン−1−イル)−3−フルオロフェニル]−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチル(0.030g、0.091mmol)の溶液に加える。90分後、溶液を濃縮し、残渣を、分取TLC(3%MeOH−ジクロロメタン)により精製すると、表題化合物が得られる。
MS(m/z):[M+H]=330
H NMR(300MHz,CDCN):2.73(d,J=3Hz,3H)、3.98(m,1H)、4.16〜4.32(m,5H)、4.93(dd,J=10,6Hz,1H)、6.63(m,1H)、6.96(br s,1H)、7.14(m,1H)、7.43(dd,J=15,3Hz,1H)
(実施例7)
(5R)−3−[3−フルオロ−4−(3−ヒドロキシシクロブチル)フェニル]−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキサミドの調製
Figure 2009500389
メタノール性アンモニア(2.0M溶液2.0mL、4.0mmol)を、(5R)−3−[3−フルオロ−4−(3−ヒドロキシシクロブチル)フェニル]−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチル(0.12g、0.39mmol)に加え、室温にて撹拌する。1時間後、溶液を濃縮し、残渣を、分取TLC(5%MeOH−ジクロロメタン)により精製すると、表題化合物が得られる。
MS(m/z):[M+H]=295
H NMR(300MHz,d−DMSO):1.82〜1.92(m,2H)、2.55〜2.61(m,2H)、2.98(m,1H)、3.95〜4.08(m,2H)、4.24(tr,J=9Hz,1H)、4.98〜5.03(m,1H)、5.11(d,J=6Hz,1H)、7.30〜7.35(m,2H)、7.42(d,J=12Hz,1H)7.60(s,1H)、7.84(s,1H)
実施例7を合成するための中間体は、以下の通り調製する。
I.3−フルオロ−4−(3−{tert−ブチルジメチルシリルオキシ}−シクロブチル)アニリンの調製
20%Pd(OH)/C(0.3g)を含むメタノール25mL中の3−フルオロ−4−(3−{tert−ブチルジメチルシリルオキシ}−シクロブチル)フェニルカルバミン酸ベンジル(1.2g、2.79mmol)の溶液を、水素の雰囲気下で撹拌する。4時間後、溶液を、メタノールを用いてセライトに通して濾過し、濾液を濃縮すると、表題化合物が得られ、直接次のステップで使用する。
MS(m/z):[M+H]=296
H NMR(300MHz,CDCl):0.067(s,6H)、0.89(s,9H)、1.94〜2.01(m,2H)、2.58〜2.63(m,2H)、2.94(m,1H)、3.45(s,2H)、4.19(m,1H)、6.29(dd,J=12,2Hz,1H)、6.40(dd,J=9,2Hz,1H)6.99(tr,J=9Hz,1H)
II.(5R)−3−[3−フルオロ−4−(3−{tert−ブチルジメチルシリルオキシ}−シクロブチル)フェニル]−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチルの調製
アセトニトリル(10.0mL)中の3−フルオロ−4−(3−{tert−ブチルジメチルシリルオキシ}−シクロブチル)アニリン(0.83g、2.8mmol)の溶液を、(R)−グリシド酸メチル(0.43g、4.2mmol)およびリチウムトリフレート(0.66g、4.2mmol)で処理し、16時間60℃まで加熱し、次いで、冷却して濃縮すると、(2R)−3−{[3−フルオロ−4−(3−{tert−ブチルジメチルシリルオキシ}−シクロブチル)フェニル]アミノ}−2−ヒドロキシプロパン酸メチルが得られ、さらに精製することなく次のステップに使用する。
1,1’−カルボニルジイミダゾール(0.9g、5.6mmol)を、アセトニトリル(28mL)中の(2R)−3−{[3−フルオロ−4−(3−{tert−ブチルジメチルシリルオキシ}−シクロブチル)フェニル]アミノ}−2−ヒドロキシプロパン酸メチル(1.1g、2.8mmol)の溶液に加え、溶液を、16時間65℃まで加熱する。冷却した後、酢酸エチルを加え、溶液を、希クエン酸、飽和NaHCO、食塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過して濃縮する。カラムクロマトグラフィー(0〜4%MeOH−ジクロロメタン)により、表題化合物が得られた。
MS(m/z):[M+H]=424
H NMR(300MHz,CDCl):0.043(s,6H)、0.87(s,9H)、1.93〜2.03(m,2H)、2.61〜2.69(m,2H)、3.03(m,1H)、3.84(s,3H)、4.06〜4.11(m,1H)、4.21〜4.28(m,2H)、5.02〜5.07(m,1H)、7.11(dd,J=9,2Hz,1H)、7.22(tr,J=9Hz,1H)、7.33(dd,J=12,2Hz,1H)
III.(5R)−3−[3−フルオロ−4−(3−ヒドロキシシクロブチル)フェニル]−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチルの調製
フッ化水素トリエチルアミン錯体(0.58mL、3.54mmol)を、室温にて(5R)−3−[3−フルオロ−4−(3−{tert−ブチルジメチルシリルオキシ}−シクロブチル)フェニル]−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチル(0.5g、1.18mmol)のTHF(12.0mL)溶液に加える。5時間後、溶液を希NaHCOで滴加処理し、ジクロロメタンで抽出する。有機抽出液を食塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、濃縮する。カラムクロマトグラフィー(0〜4%MeOH−ジクロロメタン)により精製すると、表題化合物が得られた。
MS(m/z):[M+H]=310
H NMR(300MHz,CDCl):1.93〜2.03(m,2H)、2.70〜2.79(m,2H)、3.04〜3.08(m,1H)、3.85(m,3H)、4.06〜4.11(m,1H)、4.21〜4.32(m,2H)、5.02〜5.07(m,1H)、7.11〜7.20(m,2H)、7.33(dd,J=12,2Hz,1H)
(実施例8)
(5R)−3−[3−フルオロ−4−(3−メトキシシクロブチル)フェニル]−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキサミドの調製
Figure 2009500389
メタノール性アンモニア(2.0M溶液1.0mL、2.0mmol)を、(5R)−3−[3−フルオロ−4−(3−メトキシシクロブチル)フェニル]−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチル(0.08g、0.25mmol)に加え、室温にて撹拌する。1時間後、溶液を濃縮すると、表題化合物が得られる。
MS(m/z):[M+H]=309
H NMR(300MHz,CDCl):1.93〜2.02(m,2H)、2.67〜2.73(m,2H)、3.15(m,1H)、3.25(s,3H)、3.87(m,1H)、4.17〜4.29(m,2H)、4.94〜4.99(m,1H)、5.61(s,1H)、6.55(s,1H)、7.10〜7.22(m,2H)、7.36(dd,J=12,2Hz,1H)
実施例8の合成は、以下の通り調製する。
I.(5R)−3−[3−フルオロ−4−(3−メトキシシクロブチル)フェニル]−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチルの調製
II.
Figure 2009500389
テトラフルオロホウ酸トリメチルオキソニウム(0.077g、0.52mmol)を、ジクロロメタン(3.25mL)中の(5R)−3−[3−フルオロ−4−(3−ヒドロキシシクロブチル)フェニル]−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−カルボン酸メチル(0.16g、0.52mmol)および2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルピリジン(0.21g、1.0mmol)の冷却した(0℃)溶液に加える。4℃にて16時間撹拌した後、反応混合物をジクロロメタンで希釈し、飽和NaHCOおよび食塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過して濃縮する。粗製残渣を、pTLC(4%MeOH−ジクロロメタン)により精製すると、表題化合物が得られる。
MS(m/z):[M+H]=324
H NMR(300MHz,CDCl):1.92〜2.02(m,2H)、2.64〜2.72(m,2H)、3.11〜3.18(m,1H)、3.24(s,3H)、3.81〜3.89(m,4H)、4.06〜4.11(m,1H)、4.24(tr,J=9Hz,1H)、5.02〜5.06(m,1H)、7.11(dd,J=9,2Hz,1H)、7.21(tr,J=6Hz,1H)、7.34(dd,J=12,2Hz,1H)

Claims (16)

  1. 式Iの化合物
    Figure 2009500389
    または薬学的に許容できるその塩
    [式中、
    Wは、O、またはSであり、
    、Y、Y、Yは、独立して、CH、またはCFであり、
    Zは、CH、またはNであり、
    およびRは、独立して、
    (a)−H、
    (b)ハロ、
    (c)−CN、
    (d)−C(=W)NR
    (e)−(C=O)C1〜6アルキル、
    (f)−(C=O)C3〜8シクロアルキル、
    (g)−COOH、
    (h)−C1〜6アルキル、
    (i)−WC1〜6アルキル、
    (j)−C3〜8シクロアルキル、
    (k)−OC3〜8シクロアルキルであるか、または
    (l)RおよびRは、一緒になって、=O、=N−OH、=N−OC1〜4アルキル、=CH−CNを形成し、
    は、−H、−C1〜6アルキル、または−OC1〜6アルキルであり、
    出現するごとに、C1〜6アルキル、またはC3〜8シクロアルキルは、CF、1〜3個のハロ、OH、OC1〜4アルキル、CN、N、O(C=O)C1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、NH、NHC(=O)C1〜4アルキル、またはC(=O)C1〜4アルキルで置換されていてもよく、
    nは、0、1、または2である]。
  2. およびYが、独立して、CHまたはCFであり、YおよびYが、CHである、請求項2に記載の化合物。
  3. およびRが、独立して、H、F、OH、OC1〜2アルキル、C1〜2アルキル、またはCFである、請求項2に記載の化合物。
  4. が、HまたはCHである、請求項2に記載の化合物。
  5. (1)(5R)−3−[3,5−ジフルオロ−4−(3−フルオロアゼチジン−1−イル)フェニル]−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキサミド、
    (2)(5R)−3−[4−(3,3−ジフルオロアゼチジン−1−イル)−3,5−ジフルオロフェニル]−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキサミド、
    (3)(5R)−3−[4−(3−メトキシアゼチジン−1−イル)−3,5−ジフルオロフェニル]−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキサミド、
    (4)(5R)−3−{3,5−ジフルオロ−4−[3−ヒドロキシ−3−(トリフルオロメチル)アゼチジン−1−イル]フェニル}−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキサミド、
    (5)(5R)−3−[4−(3,3−ジフルオロアゼチジン−1−イル)−3−フルオロフェニル]−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキサミド、
    (6)(5R)−N−メチル−3−[4−(3,3−ジフルオロアゼチジン−1−イル)−3−フルオロフェニル]−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキサミド、
    (7)(5R)−3−[3−フルオロ−4−(3−ヒドロキシシクロブチル)フェニル]−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキサミド、
    (8)(5R)−3−[3−フルオロ−4−(3−メトキシシクロブチル)フェニル]−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキサミド、
    (9)(5R)−3−[4−(2,2−ジオキシド−2−チア−6−アザスピロ[3.3]ヘプト−6−イル)−3,5−ジフルオロフェニル]−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキサミド、または
    (10)(5R)−3−[4−(2,2−ジオキシド−2−チア−6−アザスピロ[3.3]ヘプト−6−イル)−3,5−ジフルオロフェニル]−N−メチル−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−カルボキサミド
    である、請求項2に記載の化合物。
  6. 請求項1に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩、および薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物。
  7. 治療有効量の請求項1に記載の化合物を治療されている哺乳動物に投与することを含む細菌感染症を治療するための方法。
  8. 請求項1に記載の化合物が、経口的に投与される、請求項7に記載の方法。
  9. 請求項1に記載の化合物が、非経口的に、局所的に、経腸的に、または鼻腔内に投与される、請求項7に記載の方法。
  10. 前記化合物が、1日につき体重1kg当たり約0.1〜約100mgの量で投与される、請求項7に記載の方法。
  11. 前記化合物が、1日につき体重1kg当たり約1〜約50mgの量で投与される、請求項7に記載の方法。
  12. 耳感染症、眼感染症、気道感染症、皮膚および皮膚構造感染症、細菌性心内膜炎、骨髄炎、心内膜炎または糖尿病足である、請求項7に記載の細菌感染症。
  13. グラム陽性菌、グラム陰性菌、嫌気性生物、および抗酸性生物によって引き起こされる、請求項7に記載の細菌感染症。
  14. ブドウ球菌、連鎖球菌、腸球菌、ヘモフィルス属、モラクセラ属、バクテロイド属、クロストリジウム、マイコバクテリア属、またはクラミジア属を含む細菌が原因である、請求項7に記載の細菌感染症。
  15. ブドウ球菌が、黄色ブドウ球菌(S.aureus)および表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)であり、連鎖球菌が、化膿連鎖球菌(S.pyogenes)の肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)であり、腸球菌が、エンテロコッカスフェカリス(E.faecalis)であり、ヘモフィルス属が、インフルエンザ菌(H.influenzae)であり、モラクセラ属が、モラクセラカタラーリス(M.catarrhalis)であり、マイコバクテリウム属が、結核菌(M.tuberculosis)、またはトリ型結核菌(Mycobacterium avium)である、請求項14に記載の細菌。
  16. 多剤耐性黄色ブドウ球菌(S.aureus)によって引き起こされる、請求項7に記載の細菌感染症。
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