JP2009300620A - レンズ装置および撮影装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】エッジ面における反射光の発生を抑制することにより、絞りを原因とするフレア発生を従来に比して抑制することができるレンズ装置を提供する。
【解決手段】プリズム本体20の内部には厚み1μm程度の金属薄膜を反射レンズ形状にした薄膜絞り5が備えられている。この薄膜絞り5はプリズム本体20内にアルミニウムを蒸着して形成した金属薄膜であるとともに、物側から入射される入射光6を略直角に屈曲させ、像側に反射させるように反射面51を向けられている。
【選択図】図3

Description

本発明は、絞りに特徴を有するレンズ装置に関し、また、かかるレンズ装置を用いた撮影装置に関する。
従来、レンズ装置に用いられる絞りは金属板や遮光性フィルムを用いて形成されている。しかし、図7および図8に示すように、絞り105の光路方向に平行な面(以下、エッジ面153する。)に入射光165が当たった場合、エッジ面153で反射し、反射光166が、結像面であるCCDイメージセンサ108に到達することがある。CCDイメージセンサ108に到達した反射光166はフレア発生の原因となるなど、写像に悪影響を及ぼすことが知られている。エッジ面153における反射光166の発生を抑制するためには、エッジ面153の面積を小さくすることにより、反射光166の量を小さくすることが有効である。そのため、絞りを形成する素材を薄いものとすることにより、エッジ面153の面積を小さくすることが、求められている。
例えば特許文献1には、「カーボンブラックを練りこんだ延伸ポリエステル(PET)等の合成樹脂フィルムからなる中絞り部(特許文献1、 [0034])」をレンズ装置に用いた例が記載されている。合成樹脂フィルムからなる絞りは通常の金属板による絞りに比べ薄く形成することができるため、エッジ面も小さくできる。
特開2006−201378号公報
特許文献1において提示されたカーボンブラックを練りこんだポリエステルフィルムは26μm以上の厚みで十分な遮光性を有することが知られている。しかし、この程度の厚みではフレア対策として十分でなく、一層薄い素材を絞りとして用いることにより、エッジ面における反射光の発生を抑制することが課題となっていた。
本発明はかかる実情を鑑みてなされたもので、エッジ面における反射光の発生を抑制することにより、絞りを原因とするフレア発生を従来に比して抑制することができるレンズ装置を、提供することを目的とする。
本発明にかかるレンズ装置は、表面で光を反射させることにより光の透過を防止する金属薄膜により形成された薄膜絞りを備える。
上記構成によると、レンズ装置は、表面で光を反射させることにより光の透過を防止する金属薄膜により形成された薄膜絞りを備える。この金属薄膜は表面で光を反射させることにより光が透過することを防止する。従って、光を反射する表面を形成できれば、光の透過を防止できるのであるから、従来の光を吸収して透過を防止する部材で絞りを形成する場合に比して、絞りの厚みを薄くすることが可能となる。従って、金属薄膜により形成された薄膜絞りを用いることにより、絞りの、光路方向に平行な面(エッジ面)に当たった光が乱反射し、集光面に悪影響を及ぼすことを抑制できる。
本発明にかかるレンズ装置の前記薄膜絞りは、入射光のうち結像させるための光を反射させ、結像に用いない光を透過させる反射型絞りであることが好ましい。
上記構成によると、薄膜絞りは、入射光のうち結像させるための光を反射させ、結像に用いない光を透過させる反射型絞りである。結像させるための光を透過させる従来の絞りを用いて屈曲系のレンズ装置を構成すると、結像させるための光を屈曲させるための構造が別個に必要となるのに比して、反射型の絞りは結像させるための光を反射させることにより屈曲させることが可能であるため、光を屈曲させるための構造を別個に設ける必要がなく、レンズ装置の小型化およびコストダウンに資する。
本発明にかかるレンズ装置は、入射光を略90度屈曲させた後に結像させる屈曲系のレンズ装置であることが好ましい。
上記構成によると、入射光を略90度屈曲させた後に結像させる屈曲系のレンズ装置であるため、結像に必要な光線を屈曲させるための屈曲構造として反射型絞りを用いることができる。従来の結像させるための光を透過させる絞りを用いて屈曲系のレンズ装置を構成すると、結像させるための光を屈曲させるための構造が必要となるのに比して、反射型の絞りを用いたレンズ装置は光を屈曲させるための屈曲構造を別個に設ける必要がなく、レンズ装置の小型化およびコストダウンに資する。
本発明にかかるレンズ装置は、前記薄膜絞りが反射型レンズを兼ねていることが好ましい。
上記構成によると、薄膜絞りが反射型レンズを兼ねているため、レンズ装置が必要とする別個のレンズを1枚割愛することが可能となる。従って、レンズ装置の小型化およびコストダウンに資する。
本発明にかかるレンズ装置は、入射光の光路を反射させることにより屈折させる反射プリズムを更に備え、前記薄膜絞りは前記反射プリズム表面または前記反射プリズム内部に備えられることが好ましい。
上記構成によると、薄膜絞りは反射プリズム表面または反射プリズム内部に備えられるため、薄膜絞りを支持するための別個の支持部材が不用となる。従って、小型化およびコストダウンに資する。
本発明にかかるレンズ装置は前記反射プリズムの物側面および像側面の少なくともいずれか一方にレンズが形成されていることが好ましい。
上記構成によると、反射プリズムの物側面および像側面の少なくともいずれか一方にレンズが形成されているため、別個に備えるレンズ数を削減することが可能となる。従って、小型化およびコストダウンに資する。また、反射プリズムの物側面および像側面の双方にレンズを形成する場合、従来の反射型プリズムにおいては反射面の存在によって不可能であった方向からも紫外線を当てることが可能となるため、紫外線硬化樹脂を用いて容易に反射プリズムの物側面および像側面の双方にレンズを形成することが可能となる。
また本発明にかかるレンズ装置は、撮影装置に好適に用いることができる。
本発明によれば、エッジ面における反射光の発生を抑制することにより、絞りを原因とするフレア発生を従来に比して抑制することができるレンズ装置を、提供することができる。
(第1の実施形態)
本発明を具体化したレンズ装置、および同レンズ装置を用いた撮影装置の一実施形態を図1〜図4を用いて、以下に説明する。本実施形態においては撮像装置としてカメラ付携帯電話を例示している。
図1に示すように、本実施形態にかかる携帯電話はヒンジHを中心に折り畳む構成の電話である。図1は折り畳んだ状態を示す図であり前面にはレンズ装置10の一部であるカバーガラス1が露出している。図2(a)は、この携帯電話を開いて表示部81、操作部82を前面にした図である。図2(b)は、開いた携帯電話を背面から見た図である。撮影者は、このように携帯電話を開いた状態でカバーガラス1を撮影したい対象に向けて操作部82を操作することによりシャッターを切り、対象物を撮影することができる。
図3は、この携帯電話が備えるレンズ装置10の模式図である。また、レンズ装置に入射する光線の光路を併せて表示する一方で、機能説明上不要な筐体等は除いて図示している。
レンズ装置10の最も撮影対象に近い側には(以下、「物側」という。)上述のカバーガラス1が設けられている。このカバーガラス1は埃や水分からレンズ装置内部を保護するために設けられているが、更に紫外線カット機能等の付加機能を有することもある。カバーガラス1の反物側には略直方体形状のレンズ付反射プリズム2が備えられている。レンズ付反射プリズム2のプリズム本体20はガラス製であるが、レンズ付反射プリズム2の物側の面には紫外線硬化樹脂製のレンズ3および結像面側(以下、「像側」という。)の面には紫外線硬化樹脂製のレンズ4が備えられている。また、プリズム本体20の内部には光を表面で反射する金属薄膜を反射レンズ形状にした薄膜絞り5が備えられている。この薄膜絞り5はプリズム本体20内にアルミニウムを蒸着して形成した金属薄膜であるとともに、物側から入射される入射光6を略直角に屈曲させ、像側に反射させるように反射面51を向けられている。
この薄膜絞り5を形成している金属薄膜の厚みは、1μm程度であることが好ましい。数nm程度であれば、金属幕の表面が連続的に形成されず、光が透過するためである。また、5μmを超えると、上述のエッジ反射の抑制が十分にできないためである。カーボンブラックを練りこんだポリエステルフィルムは、厚みが26μm以下になるとカーボンによる光の吸収が十分にできなくなり、実用的な遮光性を得られないのに比して、金属薄膜は表面で光を反射するので、表面が連続的に形成されれば遮光性を得られるため、ポリエステルフィルムに比べて小さい厚みで、絞りを形成することができる。また、絞りの口径が同じであれば、エッジ反射の原因となるエッジ面の面積は、エッジ素材の厚みに比例するため、例えば薄膜絞りの厚みが1μmであれば、エッジ面の面積は面積比にしてポリエステルフィルムにの約4%弱となる。そのため、カーボンブラックを練りこんだポリエステルフィルムを用いた絞りに対して、エッジ反射も単純計算で上記従来の約4%弱となると考えられ、従来に比して大きくエッジ反射が抑制されている。
また、この薄膜絞り5は、像側から入射した入射光6のうち、画像形成に必要な光線61のみを反射面51によって反射させ、像側に向わせる反射型絞りである。つまり、この薄膜絞り5は、不要な光線62を透過させ、必要な光線を反射させることにより像側に送る点で従来と異なる構造を有する絞りであり、例えば図7に示した反射プリズムと別個に設けた従来型の絞り105は不要となる。
更に、レンズ付反射プリズム2の更に像側には更に収差を補正する等を目的とした凹レンズ7が備えられている。この凹レンズ7の更に像側に、撮影素子としてのCCD(charged coupled device)イメージセンサ8が備えられているとともに、撮像対象から発射された光線がこのCCDイメージセンサ8上に結像するようにこのレンズ装置は光学的に調整されている。シャッターが切られた場合に、このCCDイメージセンサ8上に結像した映像が、CCDイメージセンサ8により電気信号に変換され、図示しない記録媒体に保存される。
従って撮影対象から発射された光は光線61としてカバーガラス1を介してレンズ付反射プリズム2に備えられたレンズ3に到達し、光路を変化させられる。その後、プリズム本体20内部の薄膜絞り5の反射面51に到達した光線61は像側に光路を屈折させられるとともに、薄膜絞り5が有する反射レンズ形状に応じて光路を変化させられる。像側に向った光線61はレンズ4を透過するとともに光路を修正され、更に凹レンズ7を透過することにより収差を補正された上で、CCDイメージセンサ8上に集光する。一方、結像に不要な光線62は光反射面51に到達することなく、薄膜絞り5の外周部分を通過し、反像側に向かい、レンズ装置10外部に放出されるか、プリズム本体20の端部で反射し、再び物側に向けられる。ここで、結像に不要な光が、プリズム本体20の端部で再反射しても、物側、つまり像側とは略直交する方向に反射するため、結像面に到達し、画像に悪影響を及ぼすことはない。
このように、プリズム本体20内部に形成された、薄膜絞り5は金属薄膜を反射レンズ形状に形成したものであるため、反射型レンズとして機能する。従って、薄膜絞り5が平面で構成されている場合に比して、レンズ装置10が必要とする別個のレンズの総数を削減することが可能となる。
更に、レンズ付反射プリズム2の物側の面には紫外線硬化樹脂製のレンズ3が備えられているとともに、レンズ付反射プリズム2の像側の面には紫外線硬化樹脂製のレンズ4が備えられているため、レンズ装置10が必要とする別個のレンズの総数を一層削減することが可能となる。紫外線硬化樹脂製のレンズ3および紫外線硬化樹脂製のレンズ4の製造方法を以下に説明する。
図4(a)に示すように、金型31の内部にゲル状の紫外線硬化樹脂32を必要量挿入し、更にプリズム本体20で開口部を封じると、金型31とプリズム本体20とによって形成された空間内に紫外線硬化樹脂32のゲルが密実される。更に紫外線硬化樹脂32に紫外線を照射することにより紫外線硬化樹脂32を硬化させ、樹脂層33が形成された後、金型31をとりはずすことにより図3におけるレンズ3が製造される。この紫外線照射は像側および反物像側の2方向から行われる。像側から照射された紫外線71が薄膜絞り5の反射面51により反射されて樹脂層33の中央部分33aに到達することにより、樹脂層33の中央部分33aが硬化される。一方、反物側から照射された紫外線72が樹脂層33の周辺部分33bに到達することにより、樹脂層33の周辺部分33bが硬化される。
次に図4(b)に示すように、金型41の内部にゲル状の紫外線硬化樹脂42を必要量挿入し、更にプリズム本体20で開口部を封じると、金型41とプリズム本体20とによって形成された空間内に紫外線硬化樹脂42のゲルが密実される。更に紫外線硬化樹脂42に紫外線を照射することにより紫外線硬化樹脂42を硬化させ、樹脂層43が形成された後、金型41をとりはずすことによりレンズ4が製造される。この紫外線照射は物側および反像側の2方向から行われる。物側から照射された紫外線73が薄膜絞り5の反射面51により反射されて樹脂層43の中央部分43aに到達することにより、樹脂層43の中央部分43aが硬化される。一方、反物側から照射された紫外線74が樹脂層43の周辺部分43bに到達することにより、樹脂層43の周辺部分43bが硬化される。
比較のため従来の反射プリズム本体の物側および像側にレンズを設けたレンズ付反射プリズムの製造方法を説明する。図9(a)に示すように、金型131の内部にゲル状の紫外線硬化樹脂132を必要量挿入し、更にプリズム本体120で開口部を封じると、金型131とプリズム本体120とによって形成された空間内に紫外線硬化樹脂132のゲルが密実される。更に紫外線硬化樹脂132に紫外線を照射することにより紫外線硬化樹脂132を硬化させることにより樹脂層133が形成された後、金型131をとりはずすことによりレンズ103が製造される。この紫外線照射は像側の方向から行われる。像側から照射された紫外線171がプリズムの反射面151により反射されて樹脂層133に到達することにより、樹脂層133全域が硬化される。
次に図9(b)に示すように、金型141の内部にゲル状の紫外線硬化樹脂142を必要量挿入し、更にプリズム本体120で開口部を封じると、金型141とプリズム本体120とによって形成された空間内に紫外線硬化樹脂142のゲルが密実され、る。更に紫外線硬化樹脂142に紫外線を照射することにより紫外線硬化樹脂142を硬化させることにより樹脂層143が形成された後、金型141をとりはずすことによりレンズ104が製造される。この紫外線照射は物側の方向から行われる。物側から照射された紫外線173が反射面151により反射されて樹脂面に到達することにより、樹脂層143が硬化される。しかし、物側からプリズム本体120に至る光路にはすでにレンズ103が形成されているため、紫外線173の光路が屈折するため、反射面151により反射された紫外線は樹脂層143の中央部分143aに集中し、周辺部分143bには十分に到達しない。そのため、樹脂層143の周辺部分143bまで十分に硬化させるためには、長時間紫外線を照射する、紫外線照射角を調整する手段を講じる、あるいは金型141に換えて石英金型など紫外線を透過させる金型を使用し、像側から紫外線照射を行う、等の特殊な処理を行う必要があり、かかる処理を行うことがコストアップ要因となっていた。上述のように本実施形態においては特に特殊な装置や部材を使用することなく、2方向より紫外線照射を行うことにより、紫外線硬化樹脂を用いて容易にレンズ付反射プリズム2を製造することが可能である。
上記実施形態のレンズ装置によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態によると、レンズ装置10は、表面で光を反射させることにより光の透過を防止する金属薄膜により形成された薄膜絞り5を備える。この金属薄膜は表面で光を反射させることにより光が透過することを防止する。従って、光を反射する表面を形成できれば、光の透過を防止できるのであるから、従来の光を吸収して透過を防止する部材で絞りを形成する場合に比して、絞りの厚みを薄くすることが可能となる。従って、金属薄膜により形成された薄膜絞り5を用いることにより、絞りの、光路方向に平行な面(エッジ面)に当たった光が乱反射し、集光面に悪影響を及ぼすことを抑制できる。
(2)上記実施形態によると、薄膜絞り5は、入射光6のうち結像させるための光線61を反射させ、結像に用いない光線62を透過させる反射型絞りである。図7に示すように、結像させるための光線161を透過させる従来の絞り105を用いて屈曲系のレンズ装置を構成すると、結像させるための光線161を屈曲させるための構造、例えば、反射板150が別個に必要となる。一方、反射型の絞り5は結像させるための光線61を反射させることにより屈曲させることが可能であるため、光を屈曲させるための構造を別個に設ける必要がなく、レンズ装置の小型化およびコストダウンに資する。
(3)上記実施形態によると、薄膜絞り5が反射型レンズを兼ねているため、レンズ装置10が必要とする別個のレンズを1枚割愛することが可能となる。従って、レンズ装置10の小型化およびコストダウンに資する。
(4)上記実施形態によると、薄膜絞り5はレンズ付反射プリズム2の内部に備えられるため、薄膜絞り5を支持するための別個の支持部材が不用である。従って、小型化およびコストダウンに資する。
(5)上記実施形態によると、レンズ付反射プリズム2の物側面にレンズ3および像側面にレンズ4が形成されているため、別個に備えるレンズ数を削減することが可能となる。従って、レンズ装置10の小型化およびコストダウンに資する。また、レンズ付反射プリズム2の物側面および像側面の双方にレンズ3およびレンズ4を形成する場合、従来の反射型プリズム120においては反射板150によって不可能であった方向からも紫外線を当てることが可能となるため、紫外線硬化樹脂を用いて容易に反射プリズムの物側面および像側面の双方にレンズを形成することが可能となる。
(第2の実施形態)
次に、本発明を具体化した撮影装置の第2の実施形態を説明する。なお、第2の実施形態は、第1の絞りの形状を変更したのみの構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
第2の実施形態にかかるレンズ装置においては、図5に示すように、カバーガラス1の結像面側(以下、「像側」と言う。)には略直方体形状のレンズ付反射プリズム2が備えられている。このレンズ付反射プリズム2のプリズム本体20はガラス製であるが、レンズ付反射プリズム2の物側面には紫外線硬化樹脂製のレンズ3および像側面には紫外線硬化樹脂製のレンズ4が備えられている。また、プリズム本体20の内部には金属薄膜により形成された絞りである薄膜絞り5が備えられている。この薄膜絞り5はプリズム本体20内にアルミニウムを蒸着して形成した金属薄膜である。
この薄膜絞り5を形成している金属薄膜の厚みは、1μm程度であることが好ましい。数nmであれば、金属幕の表面が連続的に形成されず、光が透過するためである。また、5μmを超えると、上述のエッジ反射の抑制が十分にできないためである。カーボンブラックを練りこんだポリエステルフィルムは、厚みが26μm以下となるとカーボンによる光の吸収が十分にできなくなり、実用的な遮光性を得られないのに比して、金属反膜は表面で光を反射するので、表面が連続的に形成されれば遮光性を得られるため、ポリエステルフィルムに比べて小さい厚みで、絞りを形成することができる。また、絞りの口径が同じであれば、エッジ反射の原因となるエッジ面の面積は、エッジ素材の厚みに比例するため、例えば薄膜絞りの厚みが1μmであれば、エッジ面の面積は面積比にしてポリエステルフィルムの約4%弱となる。そのため、カーボンブラックを練りこんだポリエステルフィルムを用いた絞りに対して、エッジ反射も単純計算で上記従来の約4%弱となると考えられ、従来に比して大きくエッジ反射が抑制されている。
また、この薄膜絞り5は入射光に対して略45度に傾けられた平面状に形成されており、像側から入射した入射光6のうち、画像形成に不要な光線62を光反射面51によって反射させ、像側と略直交する方向に向わせる。一方で結像に必要な光線61は中央部に形成された楕円形状の中央孔52より像側に通過させる。つまり、この薄膜絞り5は、必要な光線61を透過させることにより像側に送る一方、不要な光線62を遮断する点で従来と同様の構成であるが、不要な光線62は反射させる点で従来と異なる構造を有する絞りである。ここで、像側と略直交する方向に向う不要な光線62が、プリズム本体20の端部で再反射しても、像側とは略直交する方向において反対向きに反射するため、結像面に到達し、画像に悪影響を及ぼすことはない。
レンズ付反射プリズム2の更に像側には収差を補正する等を目的とした凹レンズ7が備えられている。この凹レンズ7の更に像側に、撮影素子としてのCCD(charged coupled device)センサ8が備えられているとともに、撮像対象から発射された光線がこのCCDイメージセンサ8上に結像するようにこのレンズ装置は光学的に調整されている。CCDイメージセンサ8上に結像した映像は、CCDイメージセンサ8に電気信号に変換され、図示しない記録媒体に保存される。
従って撮影対象から発射された光は光線61としてカバーガラス1を介してレンズ付反射プリズム2に備えられたレンズ3に到達し、光路を変化させられる。その後、プリズム本体20内部の薄膜絞り5に到達した入射光6のうち結像に必要な光線61は、中央孔52を通過し像側に向かう。像側に向った光線61はレンズ4を透過するとともに光路を修正され、更に凹レンズ7を透過することにより収差を補正された上でCCDイメージセンサ8上に集光する。一方、薄膜絞り5の反射面51に到達した入射光6のうち結像に不要な光線62は、反射面51により反射され、像側に略直交する方向に向いレンズ装置10の外部に放出されるか、内部で多重反射し、吸収される。
このように、プリズム本体20内部に形成された、薄膜絞り5は金属薄膜で形成されたものであるため、遮断した不要な光線62を吸収することはできないが、結像面に影響を与えない方向に反射させることができるため従来の絞りと同等に用いることができる。
更に、レンズ付反射プリズム2の物側の面には紫外線硬化樹脂製のレンズ3が備えられているとともに、レンズ付反射プリズム2の像側の面には紫外線硬化樹脂製のレンズ4が備えられているため、レンズ装置10が必要とする別個のレンズの総数を一層削減することが可能となる。
従って、第2の実施形態によれば、反射絞りではない通常型の絞りに対しても本発明が適応できることが示される。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態においては、アルミニウムを用いて金属薄膜を形成しているが、他の材料であっても良い。例えば、金、亜鉛、銀、プラチナ、ニッケルであっても良い。
・上記実施形態においては、薄膜絞り5をレンズ付反射プリズム2の内部に形成しているが、他の構成であっても良い。例えば、プリズム本体20の表面に薄膜絞りを形成すれば、製造が容易となる。
・上記実施形態においては、CCDイメージセンサ8を撮像素子に用いているが、他の部材であっても良い。即ち、撮影面上の像を電気信号に変換できれば特に限定されず、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサであっても良い。また、銀塩写真用の撮影装置であれば、光学フィルムであっても良い。
・上記実施形態においては、別個のレンズとしては、凹レンズ7のみ用いているが、他の構成であっても良い。レンズ装置の用途に応じて、他のレンズを用いても良いし、多数のレンズを組み合わせて用いても良い。
・第2の実施形態において、薄膜絞り5は入射光に対して略45度に傾けられた平面状に形成されているが、他の構成であっても良い。即ち、反射された結像に不要な光線62が、撮像素子に到達しなければよいのであり、例えば、図6に示すように従来の絞り同様に光路に略直交する向きに配設されていても良い。
・上記実施形態において、レンズ付反射プリズム2はレンズ3およびレンズ4を備えているが、他の構成であっても良い。別個のレンズを用いる等の理由により、特に必要がなければ、一方または双方を割愛することにより、製造コストを削減することができる。
・第1の実施形態において、薄膜絞り5は金属薄膜を反射レンズ形状に形成したものであるため、反射型レンズとして機能するが、他の構成であっても良い。別個のレンズを用いる等の理由により、特に必要がなければ、平面状の反射板とすることにより、製造コストを削減することができる。
本発明は、絞りに特徴を有するレンズ装置に関するものであり、また、かかるレンズ装置を用いた撮影装置に関するものであるため、産業上広く利用可能である。
本発明にかかる撮影装置の一実施形態について説明する図面であって、撮影装置である携帯電話の閉じた状態を示す模式図である。 本発明にかかる撮影装置の一実施形態について説明する図面であって、撮影装置である携帯電話の開いた状態を示す模式図であるとともに、(a)は内面を示す斜視図であり、(b)は背面を示す斜視図である。 本発明にかかるレンズ装置の一実施形態について説明する図面であって、反射型の薄膜絞りを用いたレンズ装置を示す模式図である。 本発明にかかるレンズ装置の一実施形態について説明する図面であって、(a),(b)はレンズ装置に用いるレンズ付反射プリズムの製造方法を示す図面である。 本発明にかかるレンズ装置の第2の実施形態について説明する図面であって、非反射型の薄膜絞りを用いたレンズ装置を示す模式図である。 本発明にかかるレンズ装置の第2の実施形態の変形例について説明する図面であって、非反射型の薄膜絞りを光路に垂直に配したレンズ装置を示す模式図である。 従来のレンズ装置について説明する図面であって、屈曲型のレンズ装置を示す模式図である。 従来のレンズ装置について説明する図面であって、非屈曲型のレンズ装置を示す模式図である。 従来のレンズ装置について説明する図面であって、(a),(b)はレンズ装置に用いるレンズ付反射プリズムの製造方法を示す図面である。
符号の説明
1…カバーガラス、2…レンズ付反射プリズム、3…レンズ、4…レンズ、5…薄膜絞り、6…入射光、7…凹レンズ、8…CCDイメージセンサ、10…レンズ装置、20…プリズム本体、31…金型、32…紫外線硬化樹脂、33…樹脂層、33a…中央部分、33b…周辺部分、41…金型、42…紫外線硬化樹脂、43…樹脂層、43a…中央部分、43b…周辺部分、51…反射面、52…中央孔、61…光線、62…光線、71…紫外線、72…紫外線、73…紫外線、74…紫外線、81…表示部、82…操作部、103…レンズ、104…レンズ、108…CCDイメージセンサ、120…プリズム本体、131…金型、132…紫外線硬化樹脂、133…樹脂層、141…金型、142…紫外線硬化樹脂、143…樹脂層、143a…中央部分、143b…周辺部分、150…反射板、151…反射面、153…エッジ面、161…光線、165…入射光、166…反射光、171…紫外線、173…紫外線、H…ヒンジ。

Claims (7)

  1. 表面で光を反射させることにより光の透過を防止する金属薄膜により形成された薄膜絞りを備えることを特徴とするレンズ装置。
  2. 前記薄膜絞りは、入射光のうち結像させるための光を反射させ、結像に用いない光を透過させる反射型絞りであることを特徴とする請求項1に記載のレンズ装置。
  3. 入射光を略90度屈曲させた後に結像させる屈曲系のレンズ装置であることを特徴とする請求項2に記載のレンズ装置。
  4. 前記薄膜絞りが反射型レンズを兼ねていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のレンズ装置。
  5. 入射光の光路を反射させることにより屈折させる反射プリズムを更に備え、前記薄膜絞りは前記反射プリズム表面または前記反射プリズム内部に備えられることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のレンズ装置。
  6. 前記反射プリズムの物側面および像側面の少なくともいずれか一方にレンズが形成されていることを特徴とする請求項5に記載のレンズ装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のレンズ装置を備えた撮影装置。
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