JP2009300507A - 回折レンズならびにその製造方法および製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】頂点部付近がへこんでいるレンズ部とその表面に形成されたコーティング層とを備え高い光学特性を有する回折レンズ、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の製造方法は、同心円状の段差を有する回折格子が形成されたレンズ部21とコーティング層30とを備える回折レンズ10の製造方法である。回折格子は、同心円状の段差の最も内側の段差によって囲まれる領域であって中央部がへこんでいる第1の領域21aと、第1の領域21aの周囲を囲む第2の領域21bとを含む。本発明の製造方法は、(a)第1の領域21aの外縁よりも内側であって光軸21cを含む領域に、コーティング層30の第1の材料を配置する工程と、工程(a)の前または後に、(b)パッド印刷法およびスクリーン印刷法から選ばれるいずれかの方法によって、レンズ部21の全体を覆うようにコーティング層30の第2の材料を配置する工程とを含む。
【選択図】図1B
【解決手段】本発明の製造方法は、同心円状の段差を有する回折格子が形成されたレンズ部21とコーティング層30とを備える回折レンズ10の製造方法である。回折格子は、同心円状の段差の最も内側の段差によって囲まれる領域であって中央部がへこんでいる第1の領域21aと、第1の領域21aの周囲を囲む第2の領域21bとを含む。本発明の製造方法は、(a)第1の領域21aの外縁よりも内側であって光軸21cを含む領域に、コーティング層30の第1の材料を配置する工程と、工程(a)の前または後に、(b)パッド印刷法およびスクリーン印刷法から選ばれるいずれかの方法によって、レンズ部21の全体を覆うようにコーティング層30の第2の材料を配置する工程とを含む。
【選択図】図1B
Description
本発明は、回折レンズ、ならびにその製造方法および製造装置に関する。
回折格子形状を有する回折レンズに形成されるコーティング層の一例として、回折レンズの色収差を補正する光学調整層が挙げられる。そのような光学調整層は、使用される波長域における特定次数の回折効率が100%付近に到達するよう設計される。光学調整層を用いることによって、不要な回折光およびフレアを抑制でき、その結果、回折レンズを撮像光学系等へ適用することが可能となる。
光学調整層を有する回折レンズの例として、非球面のベースカーブ上に回折格子形状が形成された回折レンズと、ベースカーブとほぼ同じ形状の光学面を有する光学調整層とを備える回折レンズがある。そのような回折レンズを成型によって製造する方法が開示されている(特許文献1、2)。
特許文献1および特許文献2に開示されている製造方法では、成型によって光学調整層を形成するため、回折レンズの光軸と金型の位置とを調整する工程が必要不可欠である。そのため、その製造方法では、生産性の向上に限界があった。
一方、表面に凹凸を有する回折レンズに対して、コーティング層の表面が凹凸にならないようにコーティング層を形成する方法が提案されている。たとえば、コーティング液のレベリング性を利用する方法が開示されている(特許文献3)。また、表面が曲面であるレンズにコーティング層を形成する方法としては、上記の成型の他に、スピンコート法やパッド印刷法といった方法が開示されている(特許文献4、5)。
特開2005−164840号公報
特開2006−12393号公報
特開2005−296827号公報
特開2005−218994号公報
特開2000−263755号公報
回折レンズおよび光学調整層は、一方が高屈折率・低波長分散の材料で形成され、他方が低屈折率・高波長分散の材料で形成される。回折レンズを低屈折率・高波長分散の材料で形成し、光学調整層を高屈折率・低波長分散の材料で形成する場合、樹脂系材料によって回折レンズを形成することが容易になる。樹脂系材料は屈折率を高くすることが難しいためである。樹脂系材料を用いて回折レンズを形成することによって、回折格子の微細化・狭ピッチ化による性能向上や、生産性の向上が可能である。
回折レンズを低屈折率・高波長分散の材料で形成し、光学調整層を高屈折率・低波長分散の材料で形成する場合、光学調整層を有さない通常の回折光学素子とは位相が反転する。ここで、レンズ作用を有する曲面上に同心円状の回折格子が形成された回折レンズと、その表面に形成された光学調整層とを備える回折光学素子について考える。そのような回折光学素子において上記材料構成を選択する場合、位相の関係で、レンズの頂点部付近(回折格子の同心円状の段差のうち最も内側の段差によって囲まれる円の表面)を、へこんだ形状とする必要がある。
上記形状を有する回折レンズの表面に、特許文献3〜5に記載の方法によって光学調整層の材料を塗布すると、レンズの頂点部付近において光学調整層の材料の量が必要な量よりも少なくなってしまう。その結果、光学調整層の表面形状が、設計された形状(レンズ作用を有する曲面とほぼ同一の形状)から逸脱する。このように、従来の方法を用いた場合、製造される回折光学素子の集光特性が低下し、充分なMTF性能(Modulation Transfer Function)を得ることが困難となる。
たとえば、図15(a)に示す回折レンズ1の表面に光学調整層を形成する場合について考える。回折レンズ1は、同心円状に配置された複数の輪帯によって形成された回折格子を備える。その回折格子には、中央の第1の領域2と、その周囲に配置された第2の領域3とが存在する。第1の領域2の表面は、へこんだ曲面である。このような回折レンズ1に従来の方法によってコーティング層4を形成すると、第1の領域2と第2の領域3との境界部分で不連続部分4aが生じ、表面が平滑なコーティング層が得られない。そのため、従来の方法では、目的とする光学特性を有するレンズが得られなかった。
このような状況において、本発明の目的の1つは、頂点部付近がへこんでいるレンズ部とその表面に形成されたコーティング層とを備え高い光学特性を有する回折レンズ、およびその製造方法を提供することである。また、本発明の目的の他の1つは、そのような回折レンズを製造するための装置を提供することである。
上記の目的を達成するため、回折レンズを製造するための本発明の方法は、同心円状の段差を有する回折格子が表面に形成された凸状のレンズ部と、前記レンズ部の表面に形成されたコーティング層とを備える回折レンズの製造方法である。前記回折格子は、前記同心円状の段差の最も内側の段差によって囲まれる領域であって中央部がへこんでいる第1の領域と、前記第1の領域の周囲を囲むように配置された複数の輪状部を含む第2の領域とを含む。前記製造方法は、(a)前記第1の領域の外縁よりも内側であって前記レンズ部の光軸を含む領域に、前記コーティング層の第1の材料を配置する工程と、前記(a)の工程の前または後に、(b)パッド印刷法およびスクリーン印刷法から選ばれるいずれかの方法によって、前記レンズ部の全体を覆うように前記コーティング層の第2の材料を配置する工程と、を含む。
本発明の回折レンズは、本発明の製造方法で製造された回折レンズである。
本発明の製造装置は、同心円状の段差を有する回折格子が表面に形成された凸状のレンズ部と、前記レンズ部の表面に形成されたコーティング層とを備える回折レンズの製造装置である。前記回折格子は、前記同心円状の段差の最も内側の段差によって囲まれる領域であって中央部がへこんでいる第1の領域と、前記第1の領域の周囲を囲むように配置された複数の輪状部を含む第2の領域とを含む。前記製造装置は、前記第1の領域の外縁よりも内側であって前記レンズ部の光軸を含む領域に、前記コーティング層の第1の材料を塗布する第1の塗布機構と、パッド印刷法およびスクリーン印刷法から選ばれるいずれかの方法によって、前記レンズ部の全体を覆うように前記コーティング層の第2の材料を塗布する第2の塗布機構とを備える。
本発明の製造方法によれば、頂点部がへこんでいるレンズ部の表面に、形状が精密に制御された平滑なコーティング層を容易に形成できる。また、本発明の製造方法は、プロセスが簡易である。そのため、本発明の製造方法によれば、優れた光学特性を有する回折レンズを、生産性よく製造できる。本発明によれば、光学調整層の表面形状が設計した形状からずれることを抑制できるため、色収差が小さく、良好な光学特性を有する回折レンズを得ることができる。
以下、本発明の実施形態について例を挙げて説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されない。以下の説明では、特定の数値や特定の材料を例示する場合があるが、本発明の効果が得られる限り、他の数値や他の材料を適用してもよい。
[回折レンズの製造方法]
本発明の製造方法は、同心円状の段差を有する回折格子が表面に形成された凸状のレンズ部と、そのレンズ部の表面に形成されたコーティング層とを備える回折レンズの製造方法である。コーティング層は、レンズの光学的な特性を調整するための層であり、典型的には色収差補正層である。
本発明の製造方法は、同心円状の段差を有する回折格子が表面に形成された凸状のレンズ部と、そのレンズ部の表面に形成されたコーティング層とを備える回折レンズの製造方法である。コーティング層は、レンズの光学的な特性を調整するための層であり、典型的には色収差補正層である。
回折格子は、同心円状の段差の最も内側の段差によって囲まれる領域であって少なくとも中央部がへこんでいる第1の領域と、第1の領域の周囲を囲むように配置された複数の輪状部を含む第2の領域とを含む。本発明の製造方法は、以下の工程(a)および(b)を含む。
工程(a)では、第1の領域の外縁よりも内側であってレンズ部の光軸を含む領域(以下、「領域(A)」という場合がある)に、コーティング層の第1の材料を配置する。工程(b)は、工程(a)の前または後に行われる。工程(b)では、パッド印刷法およびスクリーン印刷法から選ばれるいずれかの方法によって、レンズ部の全体を覆うようにコーティング層の第2の材料を配置する。第1の材料と第2の材料とは異なってもよいが、通常、同じ材料である。以下、工程(a)を局所印刷工程または局所塗布工程と呼び、工程(b)を全体印刷工程または全体塗布工程と呼ぶ場合がある。
本発明の製造方法では、工程(a)において、パッド印刷法およびスクリーン印刷法から選ばれるいずれかの方法によって、第1の材料を領域(A)に配置してもよい。
本発明の製造方法では、工程(a)の後に工程(b)が行われてもよい。また、本発明の製造方法では、工程(a)の前に工程(b)が行われてもよい。
本発明の製造方法では、工程(a)において、インクジェット法、およびディスペンサを用いて滴下する方法から選ばれるいずれかの方法によって、第1の材料を領域(A)に配置してもよい。
本発明の製造方法では、工程(a)の前に工程(b)を行ってもよい。
本発明の製造方法では、コーティング層の表面形状が、レンズ部の内側の段差を結ぶ曲面の形状と実質的に一致していてもよい。
本発明の製造方法では、第1の材料および第2の材料がともに、樹脂(たとえば光硬化性樹脂)および無機物粒子を含んでもよい。このような複合材料をコーティング層の材料に用いることによって、コーティング層の光学特性の調整が容易になる。特に、樹脂からなるレンズ部を用いる場合、複合材料をコーティング層の材料に用いることによってレンズの設計が容易になるといった利点が得られる。第1および第2の材料が樹脂(第1の樹脂)を含む場合、それとは異なる樹脂(第2の樹脂)をレンズ部(基材)が含んでもよい。
本発明の製造方法では、第1の材料および第2の材料が、同じ光硬化性樹脂を含んでもよい。そして、工程(a)および(b)の後に、光照射によって第1および第2の材料を硬化させる工程をさらに含んでもよい。なお、第1および第2の材料はともに、同じエネルギー線硬化性樹脂であってもよい。そして、工程(a)および(b)の後に、エネルギー線(紫外線、可視光線、電子線等)を照射することによって第1および第2の材料を硬化させてもよい。
本発明の製造方法では、工程(a)において、第1の材料が配置される領域(A)は、第1の円と同じかまたはそれよりも大きく、且つ、第2の円と同じかまたはそれよりも小さくてもよい。ここで、第1の円とは、半径が第1の領域の半径の30%であり光軸を中心とする円である。第2の円とは、半径が第1の領域の半径の80%であり光軸を中心とする円である。
本発明の製造方法では、コーティング層の屈折率がレンズ部の屈折率よりも高く、コーティング層のアッベ数がレンズ部のアッベ数よりも大きくてもよい。
本発明の製造方法では、工程(a)および(b)ののちに、(c)コーティング層上に、さらに他の層を形成する工程を含んでもよい。たとえば、反射防止膜などの膜を、寄贈成膜法などで形成してもよい。
本発明の回折レンズは、本発明の製造方法で製造された回折レンズである。
本発明の製造装置は、同心円状の段差を有する回折格子が表面に形成された凸状のレンズ部と、レンズ部の表面に形成されたコーティング層とを備える回折レンズの製造装置である。回折格子は、同心円状の段差の最も内側の段差に囲まれる領域であって少なくとも中央部がへこんでいる第1の領域と、第1の領域の周囲を囲むように配置された複数の輪状部を含む第2の領域とを含む。
本発明の製造装置は、第1および第2の塗布機構を備える。第1の塗布機構は、第1の領域の外縁よりも内側であってレンズ部の光軸を含む領域に、コーティング層の第1の材料を塗布する。第2の塗布機構は、パッド印刷法およびスクリーン印刷法から選ばれるいずれかの方法によって、レンズ部の全体を覆うように前記コーティング層の第2の材料を塗布する。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態の例について説明する。なお、同様の部分については同一の符号を付して重複する説明を省略する場合がある。
[実施形態1]
実施形態1では、本発明の回折レンズについて説明する。この回折レンズは、本発明の製造方法によって製造できる。
実施形態1では、本発明の回折レンズについて説明する。この回折レンズは、本発明の製造方法によって製造できる。
実施形態1の回折レンズ10の上面図を図1Aに示し、図1Aの線IB−IBにおける断面図を図1Bに示す。なお、図1Bにおいて、基材20のハッチングは省略する。
実施形態1の回折レンズ10は、凸状のレンズ部21を含む基材20と、レンズ部21の表面を覆うように形成されたコーティング層(光学調整層)30とを備える。ここで、凸状のレンズ部21とは、レンズ部21を全体としてみたときに凸状となっていることを意味し、一部がくぼんでいたり段差があったりしても全体としてみたときに凸状であれば凸状のレンズ部に該当する。基材20は、レンズ部21とその他の部分が異なる材料で形成されていてもよいが、通常は同じ材料で形成される。
レンズ部21は、レンズ作用を有する曲面22の表面に同心円状の段差を有する回折格子23を付加した形状を有する。第1の領域21aの表面の最下部と回折格子23の内側の角部とを結ぶ曲面22が、レンズ作用を有する曲面となる。回折格子23の断面は、鋸歯状である。レンズ部21は、回折格子23の最も内側の段差によって囲まれる第1の領域21aと、第1の領域21aの周囲を囲む第2の領域21bとを含む。レンズ部21の光軸21cは、複数の同心円状の段差の中心を通る。
第1の領域21aは、図1Aの最も内側の円の部分であり、レンズ部21の頂点部に存在する。第1の領域21aの表面は、その外縁部よりも低い領域を少なくともレンズ部21の光軸21c付近に有する。典型的には、第1の領域21aの表面は、その外縁部よりも内側の領域の全体が外縁部よりも低い形状を有する。第1の領域21aの一例の断面図を図1Cに示す。図1Cに示す一例では、第1の領域21aの表面は、凹凸なくなだらかにへこんでいる。図1Cの第1の領域21aの表面は、その外縁部21pよりも内側の領域の全体が外縁部21pよりも低い形状を有する。
第1の領域21aは、図1Dに示す断面を有する形状であってもよい。図1Dの第1の領域21aでは、光軸21c近傍が凸になっている。しかし、外縁部21pよりも内側の領域の全体は、外縁部21pよりも低くなっている。
一例では、外縁部21pを含む面と光軸21cにおける第1の領域21aの表面との距離hと、外縁部21pの直径Lとは(図1Cおよび1D参照)、h/L=0.0001〜0.25を満たしてもよく、たとえばh/L=0.004〜0.05を満たしてもよい。
第2の領域21bは、第1の領域21aの周囲を囲むように配置された複数の輪状部(輪帯)を含む。第2の領域21bを構成する輪状部の数に限定はない。輪状部のピッチ(隣接する輪状部のそれぞれの外縁間の距離)、各輪状部の段差d(図1B参照)に、特に限定はない。各輪状部の高さdは、同じかほぼ同じであってもよいし、異なってもよい。なお、1つの輪状部の外縁は、環状であればよく、本発明の効果が得られる限り真円でなくてもよい。
良好な光学特性を得るためには、通常、第1の領域21aにおける単位面積当たりのコーティング層30の体積は、第2の領域21bにおける単位面積当たりのコーティング層30の体積よりも大きくする必要がある。一例では、第1の領域21aにおける単位面積当たりのコーティング層30の体積は、第2の領域21bにおける単位面積当たりのコーティング層30の体積の、1.5〜5倍の範囲(たとえば2〜4倍の範囲)にある。
回折格子23は、その形状と基材の材質に応じた方法で形成される。例えば、回折格子23は、成形、転写、切削、研磨、レーザー加工、放電加工、エッチングなどの方法で形成できる。
コーティング層30の表面30aの形状は、曲面22と実質的に一致していることが好ましい。具体的には、曲面22の頂点がコーティング層30の表面30aの頂点と一致するように曲面22を光軸方向に移動させたときに、曲面22と表面30aとの光軸方向におけるずれが、レンズ部21の高さの±5%以内(たとえば±1%以内)であることが好ましい。曲面22の形状と表面30aの形状とをほぼ同じにすることによって、優れたMTF特性が得られる。
曲面22は、たとえば、球面形状または非球面形状である。曲面22が非球面形状である場合、球面形状では補正できないレンズ収差を補正することが可能になる。なお、非球面形状である曲面の一例は、以下の式(1)を満たす曲面である。
上記式は、X−Y平面に垂直なZ軸の周りに回転させた場合の非球面を表す式である。式(1)中、cは中心曲率を表し、A,B,C,Dは2次曲面からのずれを表す係数である。また、Kの値によって、以下のような非球面となる。
0<Kの場合、短径を光軸とする楕円面
−1<K<0の場合、長軸を光軸とする楕円面
K=−1の場合、放物面
K<−1の場合、双曲面
0<Kの場合、短径を光軸とする楕円面
−1<K<0の場合、長軸を光軸とする楕円面
K=−1の場合、放物面
K<−1の場合、双曲面
図1の回折レンズ10では、レンズ部21が基材20の片側のみに形成されている。しかし、本発明の回折レンズは、レンズ部が基材の両側に形成されていてもよい。レンズ部が基材の両側に形成される場合、2つのレンズ部は同じ形状であってもよいし、異なる形状であってもよい。たとえば、一方のレンズ部は凹状または平面状であってもよい。また、それぞれのレンズ部に形成される2つのコーティング層は、それらの厚さおよび材料が同じであってもよいし、異なってもよい。
レンズ部21の表面にコーティング層30を形成する場合、ある波長λにおいて回折レンズ10の1次回折効率が100%となる回折格子深さd’は、式(2)によって与えられる。なお、式(2)において、nCOMλは波長λにおける光学調整層の屈折率であり、nLλは波長λにおける基材20の屈折率である。
d’=λ/(nCOMλ−nLλ)・・・(2)
d’=λ/(nCOMλ−nLλ)・・・(2)
式(2)の右辺がある波長領域においてほぼ一定値になれば、その波長領域内において1次回折効率の波長依存性がなくなることになる。そのためには、基材20の材料とコーティング層30の材料との組み合わせとして、低屈折率・高波長分散の材料と高屈折率・低波長分散の材料との組み合わせを用いればよい。すなわち、基材20の材料は、コーティング層30よりも屈折率が低く且つアッベ数が小さい材料、又は、コーティング層30よりも屈折率が高く且つアッベ数が大きい材料であることが好ましい。特に、波長400〜700nmの可視光の全領域において、式(2)における回折格子深さd’がほぼ一定値となるような材料の組合せを用いることによって、1次回折効率が可視光領域において波長に依存しない回折レンズが得られる。そのような回折レンズを撮像用途に適用した場合、フレアの発生が抑制されるため、画質の向上が可能となる。
基材20は、本発明の製造方法によってその上にコーティング層30を形成できる基材である。基材20の材料としては、レンズの材料として一般的な透明光学材料を用いることができる。例えば、ガラスを含む材料や、樹脂を含む材料を用いることができる。レンズ部21の形状が複雑な形状である場合、樹脂を含む材料で基材20を形成することが好ましい。金型成形(たとえば射出成形)は生産性が高いが、ガラス材料を用いた場合には、金型の耐久性が樹脂材料を用いた場合の1/10以下となる。そのため、樹脂を含む材料は、ガラス材料に比べて射出成形などの金型成形に適しており、樹脂を含む材料を用いることによって生産性をより高めることが可能である。さらに、樹脂を含む材料は加工が容易であるため、回折格子の狭ピッチ化による性能向上も期待できる。なお、基材20の材質として、樹脂と無機粒子とを含む複合材料を用いてもよい。
基材20の材料として用いることができる樹脂は、光学特性や耐光性に優れ、成形性の良い材料の中から、回折レンズの光学設計に応じて選択すればよい。例えば、ポリシクロオレフィン系樹脂(例えば、日本ゼオン社製“ZEONEX”、三井化学社製“アペル”等)、ポリカーボネート系樹脂(例えば、帝人化成社製“パンライト”、SABICイノベーティブプラスチックス社製“レキサン”、“ザイレックス”等)、ポリエステル系樹脂(例えば、大阪ガスケミカル社製“OKP4”等)、ポリアクリル系樹脂等を用いることができる。
基材20が樹脂を含む材料からなる場合、回折格子23の段差d(図1B参照)を20μm以下にすることが望ましい。深さdを20μm以下とすることによって、金型の加工が容易になり、また、レンズ性能に優れた回折格子の形成や、周辺温度に対する安定性の確保が可能になる。一般にバイト(turning tool)を用いて金型の加工を行うが、回折格子23の段差が大きいと加工量が増え、バイトの先端が磨耗して加工精度が劣化する。そのため、回折格子の段差が20μmを越える場合、そのような回折格子を形成するための金型を精度よく加工することは難しい。また、回折格子23の段差が深くなると、回折格子23のピッチを狭くすることができない。また、回折格子23の段差が深くなると、先端の曲率半径が大きいバイトで金型を加工する必要がある。そのため、回折格子23のピッチをある程度広げないと金型の加工ができない。これらの理由から、回折格子23の段差が大きいほど、回折格子形状の設計自由度がなくなり、また、回折格子23による収差低減効果が小さくなる。
特に、後述する全体印刷工程をパッド印刷によって行う場合には、回折格子23の段差dを20μm以下とすることによって、パッド印刷の少ない繰り返しでコーティング層30を形成でき、生産性が向上する。
コーティング層30の材料は、レンズのコーティング層に用いられる一般的な材料の中から選択でき、要求される物性(光学特性、機械特性、耐環境性等)、および形成プロセス全体への対応性等を考慮して選択される。例えば、樹脂を含む材料や、ガラスを含む材料等を用いることができる。本発明の製造方法は、パッド印刷法またはスクリーン印刷法によってコーティング層30の材料を配置する工程を含むため、コーティング層30の材料としては樹脂を含む材料が好ましく、たとえば樹脂(合成樹脂)を用いることができる。
コーティング層30の材料として用いることができる樹脂の例には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、及びエネルギー線硬化性樹脂といった樹脂の中から、透光性の高い樹脂を使用できる。エネルギー線硬化性樹脂とは、紫外線などの光線、電子線、X線などの照射によって硬化する樹脂である。コーティング層30の材料として、例えば、アクリル樹脂;ポリメタクリル酸メチル等のメタクリル樹脂;エポキシ樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びポリカプロラクトン等のポリエステル樹脂;ポリスチレン等のポリスチレン樹脂;ポリプロピレン等のオレフィン樹脂;ナイロン等のポリアミド樹脂;ポリイミドやポリエーテルイミド等のポリイミド樹脂;ポリビニルアルコール;ブチラール樹脂;酢酸ビニル樹脂;脂環式ポリオレフィン樹脂を用いてもよい。また、ポリカーボネート、液晶ポリマー、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、非晶性ポリオレフィン等のエンジニアリングプラスチックを用いてもよい。また、これらの樹脂(高分子)の混合体や共重合体を用いてもよい。また、これらの樹脂を変性したものを用いてもよい。
これらの中でも、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ブチラール樹脂、ポリオレフィン、及びポリカーボネート樹脂は、透明性が高く、成形性も良好である。さらに、メタクリル基、アクリル基、およびエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1つ以上を含有するエネルギー線硬化性樹脂の使用は、生産性を向上させるため、より好ましい。
樹脂の光学特性、機械特性、化学特性等の各種特性は、分子骨格や分子中に含まれる官能基等の設計により制御することが可能である。そのため、コーティング層30の目的(例えば回折レンズ10においては光学特性の調整)に適合し、かつレンズの性能を低下させることのない樹脂を、上述の樹脂の中から選択すればよい。
また、コーティング層30の材料として、光学特性やその他の特性を改善する目的で、樹脂と他の成分とを含む組成物を用いてもよい。樹脂に添加される成分としては、例えばコーティング層30の屈折率等の光学特性や機械特性等を改善する無機物粒子、その無機物粒子の分散性を改善する分散剤、コーティング層30の吸収スペクトルを調節する色素や紫外線吸収剤、コーティング層30の表面平滑性を改善するレベリング剤、重合開始剤、離型剤、安定剤、帯電防止剤等が挙げられる。樹脂及び無機物粒子を除いた他の成分の含有率は、通常、10重量%未満であり、例えば1重量%未満である。
コーティング層30の材料は、樹脂と無機物粒子とを含む複合材料であることがより好ましい。そのような複合材料は、樹脂を含むため成形が容易であり、且つ、無機物粒子を含むため屈折率及びアッベ数を広い範囲で制御できる。無機物粒子の中には、樹脂よりも屈折率が高い種類が多く存在する。そのため、樹脂及び無機物粒子の種類、ならびに無機物粒子の体積比を選択することによって、基材20に比べて高屈折率・低波長分散又は低屈折率・高波長分散の複合材料を調製できる。すなわち、基材20との屈折率差を適切な値に設定する際の材料選択の幅が拡がる。例えば、複合材料として、式(2)を満たしつつ高い屈折率を有する材料を使用することができれば、回折格子23の段差を小さくすることができる。
さらに、複合材料では、樹脂単体と比べて、熱膨張係数を低減し、また屈折率の温度変化を低減することが可能である。そのため、複合材料を用いてコーティング層30を形成することによって、信頼性および光学安定性に優れ、周辺温度が変化しても光学特性の変動が小さい回折レンズ10が得られる。
無機物粒子は、粒子状の無機化合物であり、その材料や粒子径に特に限定はない。無機物粒子の平均粒子径は、1nm以上100nm以下の範囲であることが好ましく、1nm以上50nm以下の範囲であることがより好ましい。なお、「平均粒子径が1nm以上100nm以下の範囲」とは、例えば、粒度分布計や、透過型電子顕微鏡画像処理等の方法によって無機物粒子の直径を測定したとき、粒子径の頻度分布の中央値が1nm以上100nm以下の範囲にあり、かつその粒子径の中央値を中心に、頻度分布の50%以上が1nm以上100nm以下の範囲にあることを意味する。
無機物粒子の粒子径が光の波長よりも充分に小さい場合、複合材料を屈折率のばらつきがない均一な媒体とみなすことができる。なお、無機物粒子の平均粒子径が光の波長の1/4以上、例えば100nmを超えると、複合材料中の無機物粒子によってミー散乱が生じ、複合材料の透明性が顕著に低下する。また、無機物粒子の平均粒子径が1nm未満であると、量子的な効果により蛍光が生じる等、光学性能へ悪影響を与えることがある。したがって、無機物粒子の粒子径が1nm以上100nm以下の範囲であれば、無機物粒子による光散乱はレーリー散乱のみとなり、透明性の高い複合材料が得られるとともに、蛍光等の付加的な光学性能が発現することもない。特に、無機物粒子の平均粒径が1nm以上20nm以下の範囲にあると、透光性がより高くなるので一層好ましい。
複合材料では、樹脂と無機物粒子との体積比を選択することによって、その屈折率及びアッベ数を制御できる。なお、本明細書において、「複合材料の屈折率」とは、その複合材料を1つの屈折率を有する媒体とみなしたときの、実効的な屈折率を意味する。
複合材料の屈折率は、例えば、マクスウェル−ガーネット理論に基づき、以下の式(3)によって推定できる。但し、nCOMは複合材料の平均屈折率であり、npは無機物粒子の屈折率であり、nmは樹脂の屈折率であり、Pは複合材料に占める無機物粒子の体積比である。また、無機物粒子が光を吸収する場合や無機物粒子が金属からなる場合には、複素屈折率として計算が行われる。
なお、複合材料の実際の屈折率は、成形後に、例えばエリプソメトリ法、アベレス法、プリズムカプラ法、光導波路法、分光反射率法等を用いて測定することによって求めることができる。また、コーティング層30の屈折率は、基材20の屈折率と、回折レンズ10における各回折次数の光量とに基づいて、推定することも可能である。
上記複合材料に占める無機物粒子の重量比は、5重量%以上90重量%以下の範囲であることが好ましい。重量比が5重量%未満であると、従来の樹脂の屈折率・分散特性から逸脱した特性を示す複合材料を構成できず、回折格子の段差を小さくできない場合がある。また、重量比が90重量%を超えると、複合材料の光透過率が低下してその影響を無視できなくなる場合がある。無機物粒子の重量比が10重量%以上85重量%以下の範囲にあれば、より優れた光学特性が得られる。なお、式(3)による複合材料の屈折率の推定は、無機物粒子の体積比を用いて行われるが、無機物粒子の体積比と重量比とは、各成分の比重を用いて容易に換算できる。
コーティング層30の厚さは、最も厚い部分で回折格子23の段差d以上100μm以下であることが好ましい。厚さが100μmを超えると光散乱が大きくなり、レンズとして充分な光透過率が得られなくなる可能性がある。無機物粒子の粒径をさらに小さくすると光透過率が高くなるため、コーティング層30の厚さを増すことができるが、コーティング層30はできるだけ薄い方が好ましく、50μm以下であることが好ましい。なお、コーティング層30の厚さは、通常1μm以上である。
コーティング層30の材料として、基材20よりも高屈折率・低波長分散性の材料を選択する場合について考える。この場合、高屈折率・低波長分散性の材料としてガラス材料を選択すると、ガラス材料を高温で加工することが必要であるために、基材20を損傷してしまったり、損傷しない場合においても生産性が低下する。したがって、生産性を考慮すると、基材20及びコーティング層30の両方を樹脂を含む材料で形成することが好ましい。しかし、光学用の汎用の樹脂では、屈折率はほぼ1.7以下である。このような汎用の樹脂の中からコーティング層30の材料を選択する場合、基材20との屈折率の差が大きくなる材料がないために、上記式(2)の条件を満たす回折格子23の段差d’が大きくなってしまう。その結果、基材20の加工及びコーティング層30の作製がともに困難となる。
そこで、基材20が樹脂を含む材料からなる場合には、コーティング層30の材料として、基材20に対して高屈折率・低波長分散の特性を有する上記複合材料を用いることが好ましい。この場合、基材20は、光学的特性や製造的な容易さから、ポリカーボネートを含む樹脂であることが好ましい。高屈折率・低波長分散の特性を有する複合材料によってコーティング層30を形成することによって、基材20の材料の選択肢が広くなる。このような複合材料を用いることによって、回折格子23の段差が小さくて、回折効率の波長依存性が少ない回折レンズ10が得られる。このため、回折格子23のピッチを細かくすることができ、MTF特性の向上や、色収差の低減がより容易となる。
コーティング層30の材料として複合材料を使用する場合には、樹脂及び無機物粒子の種類(材質)とそれらの混合量とを上記式(3)に基づいて選択することによって、好ましい屈折率を有する組成を決定すればよい。
コーティング層30の材料として高屈折率・低波長分散性の複合材料を使用する場合、複合材料に含まれる樹脂としては、基材20よりも屈折率の波長分散性が低い、すなわち基材20よりも大きいアッベ数を有するものが好ましい。このような樹脂を用いることによって、複合材料の屈折率の波長分散性を低くすることが容易になる。そのような樹脂の中でも屈折率が高い樹脂は、無機粒子の混合量を低下させることができるのでより好ましい。複合材料に含まれる樹脂は、無機粒子の分散性、コーティング層30の製造の容易さ、及び基材20の非浸食性を考慮して選択すればよい。また、この樹脂は、取り扱い性がよく、形成後に安定していることが好ましい。光学的に選択の幅が広く且つ製造が容易である点で、基材20の回折格子23上に樹脂材料を配置した後にそれを硬化させてコーティング層30を安定に形成できる樹脂を用いることが好ましい。基材20が樹脂を含む材料である場合には、コーティング層30の形成による基材20への影響を少なくするために、低エネルギーで製造でき製造時間が短いの光硬化性樹脂(たとえば紫外線硬化性樹脂)を用いることが好ましい。特に、紫外線硬化性のアクリル系樹脂やエポキシ系樹脂が好ましい。
また、無機物粒子としては、例えば、酸化チタン、酸化タンタル、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化イットリウム、酸化シリコン、酸化ニオブ、酸化セリウム、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ハフニウム等の金属酸化物を用いることができる。無機物粒子はこれらの酸化物のいずれか1つで形成されていてもよいし、これらの酸化物の複合酸化物で形成されていてもよい。また、無機物粒子の材料としては、窒化シリコン等の金属窒化物、炭化シリコン等の金属炭化物、ダイヤモンドやダイヤモンドライクカーボン等の光透過性の炭素系材料を用いてもよい。また、硫化銅や硫化スズ等の硫化物、金、白金、銀、パラジウム、銅およびアルミニウム等の金属、シリコンやゲルマニウム等の半導体材料を用いてもよい。
前述の無機物粒子の中でも、d線(波長587.6nm)における屈折率が1.7以上であり、アッベ数が30以上であるものが特に好適に用いられる。これらの無機物粒子は、汎用の樹脂より屈折率が高く、かつ樹脂との混合によって高いアッベ数を確保するのに適している。特に、酸化ジルコニウム(d線屈折率:2.05、アッベ数:32)、酸化イットリウム(d線屈折率:1.88、アッベ数:35)、酸化アルミニウム(d線屈折率:1.76、アッベ数:76)を主な成分とする無機酸化物粒子は、分散性の良好さ、入手のしやすさの観点から優れている。これらの無機酸化物粒子は、それらを混合して用いてもよいし、屈折率を調整するために他の無機酸化物粒子を混合して用いてもよい。
基材20の材料として樹脂を含む材料を用い、コーティング層30の材料として基材20よりも高屈折率・低波長分散性の複合材料を用いることによって、本発明の回折レンズを、印刷及び/または塗布工程を用いて容易に作製できる。このような回折レンズ10については、回折格子23の位相が光学調整層を有さない通常の回折レンズに対して反転する関係上、第1の領域21aをへこんだ形状とする必要がある。そのような形状を有するレンズ部21上に、回折格子23の曲面22と形状が一致する光学調整層を従来の方法によって形成しようとすると、第1の領域21aにおいて、光学調整層が本来必要とされる量に対して不足する。その結果、コーティング層30の表面形状が、回折格子23の曲面22の形状から逸脱する。一例を挙げると、第1の領域21aと第2の領域21bとの境界において不連続な部分が発生する。その結果、一部の光線が本来集光されるべき部分に集光されず、MTF特性が低下し、撮像用途に適用した場合に画質が低下するという問題が生じる。
本発明の製造方法を用いることによって、レンズ部21上に、不連続な部分を生じることなく、回折格子23の曲面22の形状とほぼ一致する形状を有するコーティング層30を形成できる。その結果、MTF特性が高く、撮像用途に適用した場合にも高画質が得られる、高性能の回折レンズ10を容易に作製できる。
以下、コーティング層30のうち、局所印刷工程によって形成される部分を「コーティング層30a」と呼び、全体印刷工程によって形成される部分を「コーティング層30b」と呼ぶ場合がある。
局所印刷工程によって配置されるコーティング層30aの平面形状は、第1の領域21aの平面形状より小さい円形である。コーティング層30aの平面形状を、第1の領域21aと同じ形状、あるいは第1の領域21aより大きい形状とすると、第1の領域21aにおけるコーティング層30の厚さが過剰となってMTF特性が低下する。
局所印刷工程によって配置されるコーティング層30aの面積が極端に小さいと、本発明の効果が低下する場合がある。また、局所印刷工程によって配置されるコーティング層30aの厚さは、回折格子23の段差から大きく逸脱しないことが好ましい。コーティング層30aが薄すぎると本発明の効果が充分に得られない場合がある。また、局所印刷工程によって配置されるコーティング層30aが厚すぎると、本発明の効果が充分に得られない場合がある。
そのため、局所印刷工程によって配置されるコーティング層30aの平面形状は、第1の領域21aの直径の30%〜80%の直径を有する円形状であることが好ましい。また、コーティング層30aの厚さは、回折格子23の1段目の段差(最も内側(最上段)の段差d)の20%〜150%の範囲とすることが好ましい。コーティング層30aの平面形状および厚さを上記範囲とすることによって、コーティング層30の表面形状が、回折格子23の曲面22の形状と一致しやすくなる。特に、コーティング層30aの平面形状が、第1の領域21aの直径の40%〜80%の直径を有する円形状であり、且つ、コーティング層30aの厚さが、回折格子23の1段目の段差の50%〜120%の範囲にあることが好ましい。
さらに、局所印刷工程においてコーティング層30aが配置される位置は、その円形状の中心が、レンズ部21の光軸21cから20μm以内にあることが好ましい。コーティング層30aの中心が光軸21cから20μmより大きくずれると、コーティング層30に偏芯が発生し、MTF特性が低下する要因となる。
全体印刷工程によって配置されるコーティング層30bは、レンズ特性を確保するために、少なくともレンズ有効径内の全域を被覆する必要がある。レンズ有効径内の一部領域が被覆されなかった場合は、被覆されなかった領域を通過した光線が集光されないで迷光となり、撮像用途に適用した場合にコントラスト低下等の画質劣化の要因となる。
全体印刷工程によって配置されるコーティング層30bは、それが形成される下地の形状を反映しない、可能な限り平滑な表面形状を有することが好ましい。たとえば、回折格子23の形状、および局所印刷工程が先に実施される場合は局所印刷工程によって配置されたコーティング層30aの形状を反映しないことが好ましい。平滑な表面形状を得るために、パッド印刷装置およびスクリーン印刷装置に特有のパラメータや、塗料の物性(粘度および表面張力など)を、回折レンズ10の設計に応じて最適化することが好ましい。
回折レンズ10は、コーティング層(光学調整層)30の表面に形成された反射防止膜をさらに備えていてもよい。反射防止膜は、コーティング層30の材料よりも低い屈折率を有する材料からなることが好ましい。反射防止膜を備えることによって、回折レンズ10に入射した光のうち、全反射する光を少なくすることができるので、光透過率を高くすることができる。
反射防止膜の材料としては、酸化シリコン、フッ化マグネシウムやITOといった無機化合物、フッ素樹脂等の低屈折率樹脂、樹脂と無機物粒子とを含む複合材料等を使用することができる。複合材料を使用すると、成形性が良好な上、コーティング層30との屈折率差を適切な値に設定する際の材料選択の幅が拡がる。複合材料としては、上述した光学調整層に用いた複合材料と同様の材料を用いることができる。その中でも、無機物粒子は、酸化シリコンであることが好ましい。酸化シリコンは、光透過性に優れ、屈折率が低く、アッベ数が高いという特徴を有するため、酸化シリコンを用いることによって広い波長領域で反射を防止できる。
反射防止膜は、一般的な方法で形成できる。たとえば、無機化合物からなる反射防止膜であれば真空蒸着、スパッタリング、CVDといった方法で形成できる。また、樹脂や複合材料からなる反射防止膜は、スピンコート、ディップコート、スプレーコートといった方法で形成できる。
本発明の回折レンズ10では、コーティング層30が、局所配置工程によって形成されるコーティング層30aと、全体配置工程によって形成される第2のコーティング層30bとによって構成されていてもよい。なお、本発明の製造方法で製造される場合、局所配置工程によって形成される部分と、全体配置工程によって形成される部分とが一体となって境界が分からない場合がある。
[実施形態2]
実施形態2では、局所印刷工程と全体印刷工程とをともにパッド印刷法によって行う一例について説明する。
実施形態2では、局所印刷工程と全体印刷工程とをともにパッド印刷法によって行う一例について説明する。
パッド印刷法では、まず、シリコンゴム等の軟質材料で構成されるパッドを印刷版内に形成されたパターンに密着させ、そのパターン内に充填されたコーティング層材料をパッドに転写させる。その後、そのパッドを基材に密着させることによって、基材上にコーティング層材料を転写する。パッド印刷法では、軟質の材料で構成されるパッドが、基材の形状に追従して変形する。そのため、パッド印刷法は、凹凸形状を有する基材上に比較的均一なコーティング層を形成できるという特長を有する。
一方で、へこんだ第1の領域21aを含むレンズ部21の表面に、従来のパッド印刷法によってコーティング層材料を配置する場合、パッドの追従性が非常に大きいことから、第1の領域21aにおいてコーティング層材料が不足する。その結果、図Aに示すように、第1の領域と第2の領域との境界で不連続な部分が生じ、平滑なコーティング層が形成できない場合がある。
実施形態2の製造方法は、パッド印刷法による局所印刷工程と、パッド印刷法による全体印刷工程とを含む。このため、レンズ部21の一部の領域におけるコーティング層の不足を解消し、不連続な部分のない平滑なコーティング層30を回折レンズ10の全体に形成できる。
全体印刷工程としてパッド印刷を実施する場合、基材20のレンズ部21(第1の領域21aと第2の領域21b)のサイズは、50μm四方から20cm四方の範囲にあることが好ましく、たとえば100μm四方から1cm四方の範囲としてもよい。レンズ部21が50μm四方より小さいと、印刷版の加工が難しくなるという問題、および、パッド印刷の位置精度に対して印刷面積が小さくなりすぎるという問題が生じる場合がある。一方、レンズ部21が20cm四方より大きいと、特に周辺部においてコーティング層の均一性が低下する傾向が生じる。そのような場合には、後述するスクリーン印刷法によって全体印刷工程を実施するとよい。
パッド印刷法において、コーティング層の厚さは、印刷版に形成されたパターンの形状、コーティング層材料の粘度、印刷の回数などによって制御できる。
1回のパッド印刷工程によって形成可能なコーティング層の厚さは、使用する塗料の組成や運転条件にも依存するが、一般的には10μm以下である。そのため、パッド印刷によって全体印刷工程を行う場合は、第2の領域21bの回折格子の段差d(図1B参照)は、100μm以下であることが好ましい。回折格子の段差dが100μmを超える場合、平滑なコーティング層を形成するためには、パッド印刷を多数回繰り返す必要が生じる。
パッド印刷によって局所印刷工程を行う場合、回折レンズ10の第1の領域21aのサイズは、50μm四方から20cm四方の範囲にあることが好ましく、100μm四方から1cm四方の範囲にあることがより好ましい。第1の領域21aが50μm四方より小さいと、印刷版の加工が難しいという問題、および、パッド印刷の位置精度に対して印刷面積が小さくなりすぎるという問題が生じる場合がある。一方、第1の領域21aが20cm四方より大きいと、特に周辺部においてコーティング層の均一性が低下する傾向が生じる。
実施形態2の製造方法に用いることができる製造装置(塗布装置)について、正面図を図2Aに模式的に示し、図2Aの左側面図を図2Bに模式的に示す。図2Aの製造装置40は、第1の塗布機構40aと第2の塗布機構40bとを含む。
第1の塗布機構40aは、塗料収納部41a、印刷版42a、塗料充填機構43a、パッド44a、パッド移動機構45a、基材保持機構46、基材搬送機構47および印刷位置制御部(図示せず)を含む。同様に、第2の塗布機構40bは、塗料収納部41b、印刷版42b、塗料充填機構43b、パッド44b、パッド移動機構45b、基材保持機構46、基材搬送機構47および印刷位置制御部(図示せず)を含む。第1の塗布機構40aと第2の塗布機構40bとは基本的に同じ構成を有するため、第1の塗布機構40aのみについて図2Bを参照しながら説明する。
塗料収納部41aは、レンズ部21上に印刷される塗料(コーティング層30の材料)を収納する。塗料は、コーティング層30に要求される機能を実現するコーティング層材料(コーティング層原料)を含む。コーティング層材料は、印刷後の処理によってコーティング層へと変化する材料であってもよい。樹脂系の材料でコーティング層を形成する場合、コーティング層の原料として、樹脂の単量体やオリゴマー、低分子量体などを用いることができる。無機系の材料でコーティング層を形成する場合、コーティング層の原料として、金属アルコキシドや金属塩に代表される前駆体などを用いることができる。印刷後の処理は、原料の種類に応じて、熱処理、エネルギー線(紫外線、可視光線、電子線等)照射、化学処理(加水分解等)等の中から適宜選定すればよい。
また塗料は、架橋剤、重合開始剤、増感剤、硬化剤、分散剤、レベリング剤、化学反応触媒等の添加剤を必要に応じて含有してもよい。
塗料は、印刷工程中におけるハンドリング性改善、印刷形状制御、コーティング層材料またはコーティング層原料の分散性確保等の目的で、溶媒を含有してもよい。溶媒は、塗料に含まれる成分の溶解性や分散性、回折レンズ10を構成する材質への非浸食性、回折レンズ10への濡れ性、揮発速度等を考慮して選択される。
塗料収納部41aを構成する材質は、塗料の組成等に応じて、金属や樹脂、ガラス等の中から適宜選定される。特に、揮発性の高い有機溶媒を含む塗料や、環境によって変質しやすい塗料を使用する場合は、塗料収納部41aは密閉可能な構造を有することが好ましい。
印刷版42aは、回折レンズ10へ印刷される塗料の形状を規定する。印刷版42aの材質は、使用する塗料の組成や印刷版自身に要求される耐久性等に応じて、金属や樹脂、ガラス等の中から適宜選定される。印刷版42の表面には、塗料の塗布形状に応じたパターン48aが形成されている。
塗料充填機構43aは、先端が印刷版42aに接触するブレード49a及びこれらを駆動する駆動機構50aによって構成される。塗料充填機構43aは、印刷版42aのパターン48aの内部に、塗料収納部41aから塗料を充填する。ブレード49aを構成する材質も、塗料の組成や要求される耐久性等に応じて金属や樹脂、ガラス等から適宜選定される。
なお、塗料充填機構43aは、図2Aに示したものと異なる構成であってもよく、公知の塗料充填機構を用いてもよい。例えば、塗料を供給するプレートならびに印刷版42a上の余剰の塗料を掻き取るドクターブレードを、印刷版42aと接触した状態で印刷版42上を往復運動することによって、印刷版42へ塗料を充填してもよい。
パッド44aは、印刷版42aのパターン48aの内部に充填された塗料を、回折レンズ10上に転写する。パッド44aの材質としては、シリコンゴムやウレタン等の軟質の材料が使用される。回折レンズ10の形状に応じて軟質の材料を使用したパッドが変形することにより、表面に凹凸形状を有する回折レンズ10に対しても均一に塗料を転写することが可能となる。
パッド移動機構45aは、パッド44aを、印刷版42a付近の位置と回折レンズ10付近の位置との間で移動させる機構、ならびに印刷版42a及び回折レンズ10に圧着及び離脱させる機構を有する。パッド移動機構45aは、圧縮空気等を利用したシリンダや、モータ等を使用してパッド44aを移動させることができる。図2Bにおいては、パッド移動機構45aによるパッド44aの移動は直線的なものとなっているが、ガイド溝、ねじ溝、カム、ジョイント等による機械的方法や、モータ制御等による電気的方法等を用いて、2次元的あるいは3次元的な移動を行う構成としてもよい。また、パッド移動機構45aの駆動と前述した塗料充填駆動機構50aの駆動とを、機械的もしくは電気的な手段で同期させてもよい。
基材保持機構46は、基材20を保持する機能を有する。基材保持機構46は、基材20の位置ずれが発生しないものである限り特に限定はない。たとえば、基材保持機構46は、基材20の大きさ、重量、形状、強度、さらに前後の工程等を考慮して、真空吸着、基材の形状に応じた凹凸やつめ等による保持、治具による挟み込み、ねじやクランプ等による締め付け、ばねや圧縮空気等による押し付け、粘着剤による保持等を組み合わせて構成できる。
基材搬送機構47は、回折レンズ10(および場合によっては基材保持機構46)を印刷工程における適当な位置に搬送する。図2Aおよび2Bに示す装置では、局所印刷工程と全体印刷工程とを異なるパッド44aおよび44bで実施する。そのため、局所印刷工程が終了した段階で、基材搬送機構47によって、回折レンズ10をパッド44aの直下の位置からパッド44bの直下の位置へ搬送する。図2Aおよび2Bにおいては、基材搬送機構47の一例としてベルトコンベアを一例として図示している。しかし、基材搬送機構47はベルトコンベアに限定されず、工程の搬送機構を用いてもよい。たとえば、回折レンズ10や基材保持機構46の大きさ、重量、形状、強度、さらに前後の工程等に応じて、圧縮空気等を利用したシリンダや、モータといった、公知の搬送機構を用いてもよい。
また、基材保持機構46または基材搬送機構47は、パッド44aの上下駆動方向と垂直な面内において基材20を回転させる機構をさらに備えてもよい。
図2Aの製造装置40を使用した本発明の製造方法について、図3を用いて説明する。
まず、レンズ部21の第1の領域21a上に、パッド印刷による局所印刷工程を実施する。具体的には、まず、パッド44aをパッド移動機構45aによって印刷版42aの上面に圧着させ(図3(a))、印刷版42aのパターン48a内部に充填された塗料51aをパッド44aに転写する(図3(b))。次に、(c)基材保持機構46によって保持された基材20の印刷領域の上方へ、パッド移動機構45aによってパッド44aを移動させる(図3(c))。次に、パッド44aを下方へ移動させてレンズ部21に圧着させ、パッド44a上の塗料51aをレンズ部21に転写する(図3(d)および図3(e))。
次に、基材20は、基材保持機構46に設置された状態のまま、基材搬送機構47によって後段の工程へと送られる。パッド44aは、パッド移動機構45aによって、回折レンズ10から離脱して印刷版42aの上方へ戻る。この工程の間に、塗料充填機構43aによる印刷版42aへの塗料の充填が実施される。なお、製造装置40は、パッド44a上に残留した塗料を除去するパッドクリーニング機構をさらに備えてもよい。そして、そのパッドクリーニング機構を用いて、パッド印刷による塗布工程のいずれかのタイミングにおいて、パッド44aをクリーニングしてもよい。また、製造装置40では、局所印刷工程が終了した基材20が基材保持機構46に設置された状態で基材搬送機構47によって後段の工程に搬送される。しかし、基材20を基材保持機構46からいったん取り外し、後段の工程において基材保持機構46に再度設置してもよい。
局所印刷工程において第1の領域21a上に形成されるコーティング層30aの面積は、第1の領域21aおよび第2の領域21bの形状や面積等に応じて決定されるが、第1の領域21aより小さい。第1の領域21aと同じ面積、あるいは第1の領域21aより大きい面積の塗料を配置すると、コーティング層30aの体積が過剰となり、後述する全体印刷工程を実施してもコーティング層30の表面に不連続な部分が形成される。コーティング層30aの厚さは、レンズ部21の第1の領域21aおよび第2の領域21bの形状、第2の領域21bの凹凸形状の高さや配置パターン等を考慮して決定される。
コーティング層30aの厚さおよび形状の精度は、印刷版42aに形成されたパターン48aの深さならびに形状、塗料中の粘度、印刷回数などによって制御できる。パッド印刷については重ね塗りが可能であることから、レンズ部21の形状や要求されるコーティング層30の膜厚に応じて、局所印刷工程を繰り返し実施してもよい。
局所印刷工程の後、必要であれば、塗料を乾燥させる工程や、熱処理、エネルギー線照射等による塗料中のコーティング層原料からコーティング層材料への変換等の後工程を実施する。また、後工程を実施した後にも、要求されるコーティング層形状ならびに膜厚が得られるまで、さらに局所印刷工程を繰り返してもよい。
次に、パッド印刷による全体印刷工程を実施することによって、局所印刷工程を完了したレンズ部21の全体(第1の領域21aおよび第2の領域21b)にコーティング層30bを形成する。すなわち、第1の領域21aにおいては、局所印刷工程によって形成されたコーティング層aの上に、さらにコーティング層30bが形成される。
パッド印刷の全体的動作に関しては、前述した局所印刷工程(図3(f)、(g)、(h)および(i))と同様である。ただし、印刷膜厚、形状ならびにそれらの精度を規定するパラメータ(前述)については、最終的なコーティング層30の形状への要求に応じて、局所印刷工程の条件とは異なる条件を選択する必要がある。このうちパッドに関しては、局所印刷工程と共通とすることもできるが、局所印刷工程と全体印刷工程における印刷面積や印刷形状が大きく異なる場合などには、図3に示すように、局所印刷工程と全体印刷工程とで異なるパッドを使用してもよい。異なるパッドを用いることによって、最終的に得られるコーティング層30の形状をより精密に制御できる。
全体印刷工程についても局所印刷工程と同様に、レンズ部21の形状や要求されるコーティング層30の膜厚に応じて、繰り返し実施してもよい。
全体印刷工程の後、必要であれば、塗料を乾燥する工程や、熱処理、エネルギー線照射等による塗料中のコーティング層原料からコーティング層材料への変換等の後工程を実施する。また、後工程を実施した後にも、要求されるコーティング層30の形状ならびに膜厚が得られるまで、さらに全体印刷工程を繰り返してもよい。
なお、第1の領域21aおよび第2の領域21bへの全体印刷工程を先に実施した後、第1の領域21a上への局所印刷工程を行うことも可能である。しかし、図3に示したように、局所印刷工程を実施した後に全体印刷工程を行うことによって、局所印刷工程において形成されたコーティング層30aとレンズ部21との間の段差を、全体印刷工程において配置される塗料が軽減する方向に作用する。そのため、局所印刷工程を実施した後に全体印刷工程を行うことによって、第1の領域21a上と第2の領域21b上とでコーティング層30に不連続部分がより発生しにくくなる。特に、第1の領域21aの面積が小さい場合には、局所印刷工程を先に実施することによって局所印刷工程を行う面積ならびに膜厚が小さくなりすぎないため、印刷版42a上のパターン48aの加工やパッド印刷の位置制御が容易になる。
本発明の製造方法によって、複雑な表面形状を有するレンズ部に、形状が精密に制御された平滑なコーティング層を簡単に形成できる。実施形態2では、局所印刷工程および全体印刷工程をともにパッド印刷によって行うため、曲面形状を有するレンズ部に対しても均一なコーティング層を容易に形成できる。
[実施形態3]
実施形態3では、スクリーン印刷による局所印刷工程とスクリーン印刷による全体印刷工程とを含む製造方法、およびそれに用いられる製造装置について説明する。
実施形態3では、スクリーン印刷による局所印刷工程とスクリーン印刷による全体印刷工程とを含む製造方法、およびそれに用いられる製造装置について説明する。
スクリーン印刷は、印刷形状がパターニングされたスクリーン版に塗料を充填し、スクリーン版上から圧力を加えながらスキージを移動させ、基材上に塗料を押し出すことにより印刷を行う手法である。スクリーン印刷では、スキージで定量的に塗料を押し出すため、大面積の基材に対して、塗料を均一な膜厚に印刷できる。
一方で、第1の領域21aと第2の領域21bとを備える基材20に対し、スクリーン印刷によってコーティング層を形成する場合、基材の形状へのスキージの追従性が大きいことから、図15(b)に示すように、レンズ部の一部の領域、例えばへこんだ第1の領域の一部でコーティング層が不足し、その結果、第1の領域と第2の領域との境界においてコーティング層に不連続部分が生じ、平滑なコーティング層が形成できない場合がある。
これに対し、実施形態3の製造方法はスクリーン印刷による局所印刷工程とスクリーン印刷による全体印刷工程とを含むため、図1に示すように、不連続部分のない平滑なコーティング層30をレンズ部21の全体に形成できる。
基材20に使用される材質については、スクリーン印刷工程において問題なく形状が保持されるものであれば特に限定されない。
全体印刷工程としてスクリーン印刷を実施する場合、レンズ部21の第1の領域21aと第2の領域21bとを合わせたサイズは、50μm四方以上が好ましく、100μm四方以上であればより好ましい。第1の領域21aが50μm四方より小さいと印刷版の加工が困難となる場合があり、また、スクリーン印刷位置の精度に対して印刷面積が小さくなりすぎる場合がある。スクリーン印刷は、幅が100cmを超える大きな基材に対しても均一な印刷が可能である。小型の基材に対しても、複数の基材を適切に配置して同時に印刷を実施することにより、生産性を向上できる。
スクリーン印刷におけるコーティング層の厚さは、スクリーン版の厚さやメッシュ径、印刷時のスキージ圧力、塗料の粘度、印刷回数などによって制御できる。1回のスクリーン印刷工程によって形成可能な塗料の膜厚は、一般的に0.5μm〜100μmとされており、パッド印刷よりも厚い膜を形成することが可能である。そのため、スクリーン印刷は、段差が高い回折格子23を備えるレンズ部21についても適用できる。このことから、全体印刷工程としてスクリーン印刷を実施する場合、レンズ部21の第2の領域21bにおける段差d(図1A参照)は、500μm以下であることが好ましい。高さが500μmを超える段差dを備える回折レンズについては、その上に平滑なコーティング層を形成するために必要なスクリーン印刷の繰り返し回数が増大して生産性が低下するため、スクリーン印刷を適用するメリットがなくなる。
局所印刷工程としてスクリーン印刷を実施する場合、回折レンズ10の第1の領域21aのサイズは、先述した理由より、50μm四方以上が好ましく、100μm四方以上がより好ましい。第1の領域21aの形状は、へこんでいる。
実施形態3の製造方法では、局所印刷工程および全体印刷工程をスクリーン印刷によって行うため、第1の領域21aおよび第2の領域21bのベースとなる形状が平面であっても曲面であっても、均一なコーティング層を形成することが可能となる。一般的にスクリーン印刷は、平面形状を有する基材への適用が主であるが、スクリーン版として柔軟性のある素材のものを選択したり、スキージの形状を基材形状に合わせて加工したりすることにより、レンズなどのような曲面部を有する基材に対しても適用することが可能となる。
本発明の製造方法を実現する製造装置(塗布装置)の一例について、図4Aおよび4Bを用いて説明する。図4Aは側面図であり、図4Bは印刷版の上面図である。
図4Aおよび4Bに示す製造装置60は、スクリーンメッシュ61、乳剤62、版枠63からなる印刷版64、スキージ65、スキージ65の摺動を制御するスキージ駆動機構66、印刷版64への塗料充填機構67、基材保持ステージ68、およびステージ駆動機構69を含む。
製造装置60では、局所印刷工程と全体印刷工程とを同一の塗布装置において印刷版64内の異なる場所を使用して実施する。しかし、局所印刷工程と全体印刷工程とを異なるスクリーン印刷装置で行ってもよい。この場合、局所印刷工程と全体印刷工程とを独立に実施してもよいし、2つのスクリーン印刷装置を接続し、両工程を連動させて実施してもよい。
図4Aの製造装置60を使用した本発明の製造方法について、図5を用いて説明する。
まず、基材20を基材保持ステージ68に設置し、スクリーン印刷によって局所印刷工程を実施することによって、第1の領域21a上にコーティング層を形成する。具体的には、まず、印刷版64の乳剤62に形成されたパターン70aおよび70b内に、塗料充填機構67によって塗料を供給する(図5(a))。次に、印刷版64に接触させたスキージ65をスキージ駆動機構66によって駆動させることにより、パターン70a内に配置された塗料をレンズ部21の第1の領域21a上に配置する(図5(b))。この際、印刷版64のスクリーンメッシュ61として柔軟性のあるものを使用し、レンズ部21の形状に印刷版64を追従させることによって、レンズ部21の形状に関わらず均一なコーティング層を形成できる。
局所印刷工程によって第1の領域21a上に配置される塗料の面積は、前述のパッド印刷による局所印刷工程と同様に、レンズ部21の第1の領域21aならびに第2の領域21bの形状や面積等により決定されるが、第1の領域21aより小さい。塗料の膜厚については、レンズ部21の第1の領域21aおよび第2の領域21bの形状、第2の領域21b上の凹凸形状の高さや配置パターン等を考慮して決定される。
スクリーン印刷におけるコーティング層の膜厚ならびに形状精度は、スクリーンメッシュ61の形状や、塗料の粘度、印刷回数などによって制御できる。スクリーン印刷については重ね塗りが可能であることから、レンズ部21の形状や要求されるコーティング層30の膜厚に応じて、局所印刷工程を繰り返し実施することができる。
局所印刷工程の後、必要であれば、塗料を乾燥する工程や、熱処理、エネルギー線照射等による塗料中のコーティング層原料のコーティング層材料への変換等の後工程を実施する。また、後工程を実施した後にも、要求されるコーティング層形状ならびに膜厚が得られるまで、さらに局所印刷工程を繰り返してもよい。
続いて、局所印刷工程を経た基材20をステージ駆動機構69によって搬送する(図5(c))。そして、スクリーン印刷による全体印刷工程を実施する(図5(d))。このようにして、第1の領域21aおよび第2の領域21bの全体にコーティング層を形成する。
スクリーン印刷の全体的動作に関しては、前述した局所印刷工程と同様である。ただし、印刷膜厚、形状ならびにそれらの精度を規定するパラメータ(前述)については、最終的なコーティング層30の形状に応じて、局所印刷工程とは異なるパラメータとする必要がある。このうちスキージ65に関しては、図5に示すとおり、局所印刷工程と共通とすることもできる。しかし、局所印刷工程と全体印刷工程における印刷面積や印刷形状が大きく異なる場合には、局所印刷工程と全体印刷工程とで、形状や硬度等が異なるスキージ65を使用してもよい。
全体印刷工程についても局所印刷工程と同様、基材の形状や要求されるコーティング層膜厚に応じて繰り返し実施することができる。
全体印刷工程の後、必要であれば、塗料を乾燥する工程や、熱処理、エネルギー線照射等による塗料中のコーティング層原料のコーティング層材料への変換等の後工程を実施する。また、後工程を実施した後にも、要求されるコーティング層形状ならびに膜厚が得られるまで、さらに全体印刷工程を繰り返してもよい。
なお、スクリーン印刷によって局所印刷工程および全体印刷工程を実施する場合において、第1の領域21aおよび第2の領域21bへの全体印刷工程を実施した後、第1の領域21a上への局所印刷工程を行うことも可能である。しかし、図5に示したように、局所印刷工程の後に全体印刷工程を行った場合、局所印刷工程によって形成されたコーティング層とレンズ部21との段差を、全体印刷工程によって配置される塗料が軽減する方向に作用する。そのため、局所印刷工程の後に全体印刷工程を行うことによって、第1の領域21a上と第2の領域21b上との境界においてコーティング層30に不連続部分が発生しにくくなる。
実施形態3の製造方法によれば、複雑な表面形状を有する基材に対して、形状が精密に制御された平滑なコーティング層を簡単に形成できる。特に、実施形態3の製造方法では、スクリーン印刷によって局所印刷工程および全体印刷工程を実施するため、比較的大面積の基材や、凹凸形状の高さが大きい基材に対して適用しやすい。
[実施形態4]
実施形態4では、ディスペンサを使用した滴下によって局所塗布工程を行い、パッド印刷によって全体印刷工程を行う製造方法、およびそれに用いる製造装置について説明する。
実施形態4では、ディスペンサを使用した滴下によって局所塗布工程を行い、パッド印刷によって全体印刷工程を行う製造方法、およびそれに用いる製造装置について説明する。
ディスペンサは、所定の量の液体を精度よく供給する装置である。ディスペンサは、液体を吐出するノズルと、吐出量を制御するコントローラ部とによって主に構成される。ディスペンサは、液体の定量方式により、液体に与えられる圧力の大きさと印加時間によって吐出量を制御する流量制御方式と、流路中に設けた計量室によってあらかじめ計量された液体を吐出する容積計量方式とに、大きく分類される。使用する塗料の物性や、局所塗布工程に要求される吐出量及びその精度、塗布面積等を考慮して適宜選定すればよい。
ディスペンサによる塗料の吐出量及び吐出形状は、ノズルの径や形状、塗料の粘度などによって制御できる。圧縮流体を使用する流量制御方式のディスペンサであれば、たとえば、圧縮流体の圧力及び印加時間をコントローラ部によって制御することによって吐出量の制御が可能である。また、容積計量方式のディスペンサであれば、プランジャー、ローラー、鍵盤等、計量室を構成する機構部分のストロークの制御等の方法によって吐出量を調整できる。
ノズル径ならびにノズル形状は、局所塗布工程によって塗布すべき塗料の面積、膜厚、形状、ならびにその配置等を考慮して決定すればよい。ノズルを構成する材質は、吐出する塗料の物性に影響を与えず、かつ塗料による侵食、変形を受けないものであれば特に限定されない。
ディスペンサを使用した局所塗布工程における塗料の適正粘度は、ディスペンサの方式や塗料の組成等にも依存するが、0.1mPa・s以上1000000mPa・s以下であり、後述するインクジェット法と比較すると非常に広範囲である。塗料の粘度は、要求されるコーティング層30の形状との相関性や、前後の工程との整合性等を考慮して決定すればよい。
滴下された後の塗料の形状は、粘度、表面張力等のレオロジー特性と乾燥速度のバランスにより規定される。局所塗布工程にディスペンサを使用することにより、広範囲の粘度を有する塗料の使用が可能となる。そのため、様々なレオロジー特性と乾燥特性とを有する塗料を用いて局所塗布した塗料の形状を調整できる。
ディスペンサを用いて局所塗布工程を実施する場合、第1の領域21aのサイズは、20μm四方以上であることが好ましい。第1の領域21aのサイズが20μmより小さい場合は、ノズルより吐出される塗料の直径が第1の領域21aより大きくなったり、塗布を実施すべき領域が吐出位置の制御が可能な領域よりも小さくなったりする場合がある。なお、第1の領域21aが10cm四方より大きい場合は、ディスペンサノズルを複数使用すること等で局所印刷工程を短縮することができるが、パッド印刷やスクリーン印刷による局所印刷工程を適用すると生産性がさらに向上する。
実施形態4の製造方法を実現する製造装置の一例について、図6を用いて説明する。図6において、図2Aに示した構成要素と同じものについては、同じ符号を用いて説明を省略する。なお、実施形態4では、パッド印刷によって全体印刷工程を実施するが、スクリーン印刷によって全体印刷工程を実施してもよい。なお、図6には一例として、圧縮流体により塗料の吐出を行う流量制御方式のディスペンサを図示しているが、その方式に限定されない。
図6の製造装置80は、レンズ部21の第1の領域21aおよび第2の領域21bの全体に全体印刷工程を実施するパッド印刷部81、第1の領域21aの一部に局所塗布工程を実施するディスペンサ部82、ならびに基材20及び印刷版42bを保持するステージ83を含む。パッド印刷部81の構成は、実施形態1で説明したものと同様である。ディスペンサ部82は、ノズル84、塗料を収納するシリンジ85、ノズル84及びシリンジ85を移動させるディスペンサ移動機構86、塗料の滴下量を制御するコントローラ部87を含む。
製造装置80は、パッド印刷部81とディスペンサ部82とを備える。この構成では、コーティング層形成の全工程において、一度の設定で基材の位置合わせが完了するため、生産性を向上させることが可能である。また、製造装置80は、ディスペンサ部82を使用して印刷版42bへの塗料充填を行うため、印刷版42bへの塗料の供給量を精密に制御することができ、印刷版42b上に余剰の塗料が配置されないという特長を有する。したがって、従来のパッド印刷装置で必要であった印刷版42b上の余剰の塗料をかき取るドクターブレードやスキージ等の構成部品が不要となり、従来の装置に比べて大幅に小型化できる。
また、製造装置80では、パッド移動機構45とディスペンサ移動機構86とが連結され、パッド44b、ノズル84及びシリンジ85の水平方向の移動が同期される。しかし、パッド44bとノズル84及びシリンジ85が各々独立に移動できる構成であってもよい。
なお、公知の構造を有するディスペンサ及びパッド印刷装置を用いて、本実施形態の局所塗布工程および全体印刷工程を実施してもよい。この場合、局所塗布工程と全体印刷工程とを独立に実施してもよいし、ディスペンサ及びパッド印刷装置を接続し、両工程を連動させて実施してもよい。
図6の製造装置80を使用した本発明のコーティング層形成方法について、図7を用いて説明する。
まず、基材20をステージ83に設置し、パッド印刷による全体印刷工程によって、第1の領域21aおよび第2の領域21bの全体にコーティング層を形成する。具体的には、まず、ディスペンサ部82によってパッド印刷部の印刷版42に形成されたパターン48内に塗料を配置する(図7(a))。次に、パッド44、ノズル84及びシリンジ85が右方向に移動した後、全体印刷工程を行う(図7(b))。パッド印刷の動作(図7(c)〜(g))に関しては前述したとおりである。必要に応じて、全体印刷工程を繰り返したり、後工程を実施したりしてよい。
続いて、パッド44、ノズル84及びシリンジ85が左方向に移動する(図7(h))。次に、ディスペンサ部82による局所塗布工程を実施し、レンズ部21の第1の領域21a上に塗料を塗布する(図7(i))。図6に示す流量制御方式のディスペンサを使用する場合、たとえば、コントローラ部85によって圧力を制御された圧縮流体を、コントローラ部85で規定した時間だけノズル84内の塗料に与えて、ノズル84からレンズ部21の第1の領域21a上へ吐出する。なお、凸状のレンズ部21に塗布するために、ノズル84と塗料が塗布される領域との間の距離が最適となるよう、ノズル84を上下させてもよい。
局所塗布工程の後、必要であれば、塗料を乾燥する工程や、熱処理、エネルギー線照射等による塗料中のコーティング層原料のコーティング層材料への変換等の後工程を実施する。
なお、第1の領域21a上への局所塗布工程を先に実施した後、第1の領域21aおよび第2の領域21bへの全体印刷工程を行うことも可能である。しかし、ディスペンサによる塗布については、印刷と比較して配置できる塗料の最小量が少ないため、図7(a)〜(i)に示すように、全体印刷工程を実施した後に局所塗布工程を行うことが可能である。このことにより、局所塗布に使用する塗料の量を低減することが可能となる。
実施形態4の製造方法によれば、複雑な表面形状を有する基材に対して、形状が精密に制御された平滑なコーティング層を簡単に形成できる。特に、実施形態4の製造方法ではディスペンサを使用して局所塗布工程を行うため、簡易な製造装置で実施できる。また、この製造方法では比較的高粘度の塗料を用いることが可能であるため、塗料の物性を調整することによってコーティング層の形状を制御できる範囲が広くなる。
[実施形態5]
実施形態5では、インクジェット法による局所塗布工程とパッド印刷による全体印刷工程とを含む製造方法、およびそれに用いる製造装置について説明する。
実施形態5では、インクジェット法による局所塗布工程とパッド印刷による全体印刷工程とを含む製造方法、およびそれに用いる製造装置について説明する。
インクジェット法は、インクヘッドに配置されたノズルから塗料の微小な液滴を吐出し、その液滴を非接触で基材に塗布する手法である。インクジェット法では非接触で塗布が行われるため、曲面形状を有する基材に対しても適用が可能である。
インクジェット法は、塗料をノズルから吐出する機構により、ヒーター加熱により塗料内に発生する気泡を利用するサーマル方式、圧電素子の伸縮を利用するピエゾ方式、電磁バルブの開閉を利用するバルブ方式、超音波発振器等により微細化した塗料粒に荷電して噴射方向を制御する連続吐出方式等に分類される。どの方式を用いるかは、使用する塗料の物性や、局所塗布工程に要求される吐出量及びその精度、塗布面積等を考慮して決定すればよい。
インクジェット法において、塗料の滴下量は、ノズルの径や形状、塗料の粘度などによって制御できる。塗料の吐出方式に依存するパラメータの例としては、ピエゾ方式については駆動電圧の波形や印加時間等が挙げられ、サーマル方式についてはヒーターへの通電時間等が挙げられる。
インクジェット法を使用した局所塗布工程における塗料の適正粘度は、吐出方式や塗料の組成等にも依存するが、1mPa・s〜100mPa・sが好ましく、先述したディスペンサと比較すると低粘度領域での使用となる。なお、インクヘッドの近傍に温度調整機構を設け、加熱によって低粘度化した塗料を吐出する構成としてもよい。そのような構成によれば、適用可能な塗料の範囲を広げることが可能である。
インクジェット法では、ノズルから噴射される塗料を、最低で1滴あたり1pL程度(直径として約12μmに相当)と非常に微量にできる。そのため、インクジェット法は、塗布量及び塗布面積を非常に精密に制御することが可能であるという特長を有する。
インクジェット法によって局所塗布工程を実施する場合、第1の領域21aのサイズは、15μm四方以上であることが好ましい。第1の領域21aのサイズが15μmより小さい場合は、ノズルから吐出される塗料の直径が第1の領域21aより大きくなったり、塗布を実施すべき領域が吐出位置の制御可能領域より小さくなったりする場合がある。また、第1の領域21aが10cm四方より大きい場合、インクジェット法よりもパッド印刷やスクリーン印刷による局所印刷工程の方が生産性が高い。
実施形態5の製造装置について、図8を用いて説明する。図8において、図2に示した構成要素と同じものについては、同じ符号を用いて説明を省略する。なお本実施形態においては、全体印刷工程をパッド印刷によって実施することとしているが、パッド印刷に替えてスクリーン印刷を用いてもよい。
図8の製造装置100は、全体印刷工程を実施するパッド印刷部101、局所印刷工程を実施するインクジェット部102、ならびに回折レンズ10及び印刷版42を保持するステージ103とを含む。パッド印刷部101の構成は、実施形態2において記載したものと同様である。インクジェット部102は、ノズルを搭載したインクヘッド104、インクヘッド駆動機構(図示せず)、インクヘッド104及びインクヘッド駆動機構を移動させるインクジェット部移動機構105とを含む。
なお、図8の製造装置100では、コーティング層形成の全工程において、一度の設定で基材の位置合わせが完了するため、生産性を向上させることが可能である。また、製造装置100では、インクジェット部を使用して印刷版への塗料充填を行うため、印刷版への塗料の供給量を精密に制御することができ、印刷版上に余剰の塗料が配置されることがない。したがって、従来のパッド印刷装置で必要であった印刷版上の余剰の塗料をかき取るドクターブレードやスキージ等の構成部品が不要となり、パッド印刷装置として大幅な小型化を図ることができる。
また、製造装置100では、パッド移動機構45とインクジェット部移動機構105とが連結され、パッド44、ノズル84、インクヘッド104及びインクヘッド駆動機構の水平方向の移動が同期される。しかし、それらが各々独立に移動できる構成としてもよい。
なお、公知の構造を有するインクジェット装置及びパッド印刷装置を用い、本実施形態に示した局所塗布および全体印刷工程を実施してもよい。この場合、局所塗布工程と全体印刷工程とを独立に実施してもよいし、インクジェット装置及びパッド印刷装置を接続し、両工程を連動させて実施してもよい。
実施形態5の製造方法について、図9を用いて説明する。まず、パッド印刷による全体印刷工程を実施し、レンズ部21の第1の領域21aおよび第2の領域21bの全体へコーティング層を形成する。パッド印刷の動作(図9(a)〜(g))に関しては前述したとおりである。必要に応じて、全体印刷工程を繰り返したり、後工程を実施したりしてよい。
続いて、インクジェット法による局所塗布工程を実施し、レンズ部21の第1の領域21a上にコーティング層を形成する。具体的には、まず、インクジェット部移動機構105によって回折レンズ10の第1の領域21a上の上方へインクヘッド104を移動させる(図9(g))。次に、インクヘッド駆動機構によって塗料を回折レンズ10上へ吐出させる(図9(h))。なお、凸状のレンズ部21に塗料を塗布するために、インクヘッド104と塗料が塗布される領域との間の距離が最適となるように、インクヘッド104を上下させてもよい。
局所塗布工程の後、必要であれば、塗料を乾燥する工程や、熱処理、エネルギー線照射等による塗料中のコーティング層原料のコーティング層材料への変換等の後工程を実施する。
なお、局所塗布工程の後に全体印刷工程を行うことも可能である。しかし、インクジェット法は、印刷や他の塗布方法と比較して配置できる塗料の最小量が少ないため、図9に示したように、全体印刷工程の後に局所塗布工程を行うことが可能である。全体印刷工程の後に局所塗布工程を行うことによって、局所塗布工程に使用する塗料の量を低減すできる。
実施形態5の製造方法によれば、複雑な表面形状を有する基材に対して、形状が精密に制御された平滑なコーティング層を簡単に形成できる。実施形態5の方法では、インクジェット法によって局所塗布工程を行うため、第1の領域21aへの塗料の吐出量ならびに吐出位置を非常に精密に制御することが可能となる。その結果、コーティング層全体としての形状精度が向上するとともに、非常に微細な形状を有する基材に対しても本発明を適用できる。
以下に、本発明の回折レンズおよびその製造方法の例について説明する。
[実施例1]
本発明の回折レンズとして、以下の方法によって積層型回折格子レンズを作製した。光学調整層の原料を含有する塗料として、脂環式炭化水素基含有アクリル系オリゴマー(d線屈折率1.53、アッベ数52、硬化後の密度1.18g/cm3)と酸化ジルコニウムフィラー(一次粒径3〜10nm、酸化ジルコニウム100重量部に対してシラン系表面処理剤を40重量部含有、固形分中における重量比が62重量%)のイソプロピルアルコール分散液(全固形分62重量%)を使用した。レンズ基材として、ポリカーボネート樹脂製(6mm四方、厚さ0.8mm、d線屈折率1.585、アッベ数27.9)の非球面レンズを用い、これに1つの輪帯の段差が15μmである輪帯状回折格子を付加した。レンズ部有効半径は0.821mm、輪帯数は33本、最小輪帯ピッチ13μm、回折面の近軸R(曲率半径)は−1.0094mmであった。レンズ基材の頂上部には、平面形状が直径0.3mmの円形であり表面がへこんでいる第1の領域21aを形成した。
本発明の回折レンズとして、以下の方法によって積層型回折格子レンズを作製した。光学調整層の原料を含有する塗料として、脂環式炭化水素基含有アクリル系オリゴマー(d線屈折率1.53、アッベ数52、硬化後の密度1.18g/cm3)と酸化ジルコニウムフィラー(一次粒径3〜10nm、酸化ジルコニウム100重量部に対してシラン系表面処理剤を40重量部含有、固形分中における重量比が62重量%)のイソプロピルアルコール分散液(全固形分62重量%)を使用した。レンズ基材として、ポリカーボネート樹脂製(6mm四方、厚さ0.8mm、d線屈折率1.585、アッベ数27.9)の非球面レンズを用い、これに1つの輪帯の段差が15μmである輪帯状回折格子を付加した。レンズ部有効半径は0.821mm、輪帯数は33本、最小輪帯ピッチ13μm、回折面の近軸R(曲率半径)は−1.0094mmであった。レンズ基材の頂上部には、平面形状が直径0.3mmの円形であり表面がへこんでいる第1の領域21aを形成した。
このレンズ基材上に、実施形態2で説明した製造装置40を用いて局所印刷工程を実施し、第1の領域21aの中央に塗料を配置した。このとき、印刷版のパターン形状は直径0.20mm、深さ20μmとした。次に、25℃で圧力が1.3kPa未満の条件で、5分間減圧乾燥を行った。次に、メタルハライドランプを用いて塗料に紫外線を照射し、塗料を硬化させた。以上の工程によって、第1の領域21aの中央部にコーティング層(直径0.20mm、高さ15μm)を形成した。コーティング層の直径は、第1の領域の直径の67%であった。
次に、実施形態2で説明した製造装置40を使用して全体印刷工程を実施し、回折格子全体を被覆するように塗料を配置した。印刷版のパターン形状は、直径2.4mm、深さ20μmとした。次に、25℃で圧力が1.3kPa未満の条件で、5分間減圧乾燥を行った。この印刷、乾燥の工程を、合計4回繰り返した。その後、メタルハライドランプを用いて塗料に紫外線を照射し、塗料を硬化させた。以上の工程によって、コーティング層が形成されたレンズを得た。コーティング層は、d線屈折率が1.623で、アッベ数が43であった。また、コーティング層は回折格子を完全に被覆しており、その表面の平滑性は良好であった。コーティング層が形成されたレンズのFナンバーは2.8であり、焦点距離は2.584mmであった。
[比較例1]
比較例1では、従来のパッド印刷装置によってコーティング層を形成した。コーティング層の原料を含有する塗料、ならびにレンズ基材は実施例1と同じものを使用した。従来のパッド印刷装置を使用し、実施例1における全体印刷工程と同じ条件によって、回折格子を被覆するように塗料を印刷し、さらに乾燥および紫外線硬化を行った。この印刷、乾燥および紫外線硬化の工程を、4回実施した。
比較例1では、従来のパッド印刷装置によってコーティング層を形成した。コーティング層の原料を含有する塗料、ならびにレンズ基材は実施例1と同じものを使用した。従来のパッド印刷装置を使用し、実施例1における全体印刷工程と同じ条件によって、回折格子を被覆するように塗料を印刷し、さらに乾燥および紫外線硬化を行った。この印刷、乾燥および紫外線硬化の工程を、4回実施した。
[比較例2]
局所印刷工程における印刷版のパターン形状を直径0.25mm、深さ25μmとした以外は、実施例1と同様に積層型回折光学レンズを作製した。なお、比較例2の局所印刷工程によって形成されたコーティング層は、直径0.30mm、高さ15μmであった。そのため、比較例2では、局所印刷工程によって形成されたコーティング層の直径は、第1の領域21aの直径と同じであった。
局所印刷工程における印刷版のパターン形状を直径0.25mm、深さ25μmとした以外は、実施例1と同様に積層型回折光学レンズを作製した。なお、比較例2の局所印刷工程によって形成されたコーティング層は、直径0.30mm、高さ15μmであった。そのため、比較例2では、局所印刷工程によって形成されたコーティング層の直径は、第1の領域21aの直径と同じであった。
次に、実施例および比較例で得られたレンズのコーティング層の厚さを測定した。測定した厚さを図10に模式的に示す。なお、図10では、レンズ部21のハッチングを省略する。
まず、レーザー反射式形状測定装置を用いて、レンズの中心(光軸)を含む任意の一断面について、コーティング層の形成前後の形状を測定した。次に、コーティング層形成前の形状の測定から、回折格子の段差の内側の角部と第1の領域21aの表面中央部とを結ぶ非球面曲線111(図10における破線)を求めた。そして、コーティング層形成後に測定されたコーティング層の表面と、非球面曲線111との間の距離t1、t2、t3・・・を求め、これをコーティング層30の厚さとした。t1、t2、t3・・・が一定であれば、コーティング層30の表面形状は非球面曲線111(包絡面)の形状と一致する。一方、コーティング層30の設計厚さとt1、t2、t3・・・とに差がある場合、その差が、非球面曲線111とコーティング層30の表面形状とのずれに相当する。
実施例1および比較例1のレンズについて上記方法で測定したコーティング層の厚さを、図11に示す。図11に示すように、局所印刷工程を実施していない比較例1では、レンズ中心部付近において、コーティング層の厚さが非球面曲線から最大で7μmずれている領域が確認された。一方、局所印刷工程を実施した実施例1では、レンズ中心部付近においても、コーティング層の厚さの非球面曲線からのずれは3μm未満にとどまっており、レンズ有効領域の全域にわたってほぼ均一なコーティング層が形成されていた。つまり、実施例1では、レンズ形状のベースである非球面形状とほぼ一致した形状を有するコーティング層を形成できた。
また、実施例1と比較例2のレンズについて、コーティング層の厚さの測定結果を図12に示す。比較例2においては、コーティング層の形状が比較例1と逆方向に最大5μmずれている領域が確認された。
[実施例2]
実施例2では、パッド印刷によって全体印刷工程を行った後、ディスペンサを用いて局所塗布工程を行うことによってコーティング層を形成した。レンズ基材およびコーティング層の原料を含有する塗料には、実施例1と同じものを使用した。
実施例2では、パッド印刷によって全体印刷工程を行った後、ディスペンサを用いて局所塗布工程を行うことによってコーティング層を形成した。レンズ基材およびコーティング層の原料を含有する塗料には、実施例1と同じものを使用した。
まず、レンズ基材上に、実施形態4で説明した製造装置を用いて全体印刷工程を行い、回折格子全体を被覆するようにコーティング層を形成した。印刷版のパターン形状は、直径が2.4mmで、深さが20μmとした。次に、25℃で、圧力が1.3kPa未満の条件で、5分間減圧乾燥を行った。この印刷、乾燥の工程を合計4回繰り返した後、メタルハライドランプを用いて紫外線を塗料に照射し、塗料を硬化させた。このようにして、全体印刷工程を経たレンズ基材を得た。
次に、全体印刷工程を経たレンズ基材に対し、実施形態4で説明した塗布装置を用いて局所塗布工程を実施した。具体的には、ディスペンサノズル(内径0.02mm)から、レンズ部の第1の領域21aの中央に、塗料を2nL滴下した。次に、25℃で、圧力が1.3kPa未満の条件で、5分間減圧乾燥を行った。次に、メタルハライドランプを用いて塗料に紫外線を照射し、塗料を硬化させた。以上の工程によって、コーティング層が形成されたレンズを得た。コーティング層は回折格子を完全に被覆しており、その表面の平滑性は良好であった。
実施例2で得られたレンズについて、第1の領域21aにおけるコーティング層の厚さを測定した結果を図13に示す。
図13に示すように、局所塗布工程を実施した実施例2では、レンズ中心部付近においても、コーティング層の厚さの非球面形状からのずれは3μm未満にとどまっており、レンズ有効領域の全域にわたってほぼ均一なコーティング層が形成されていた。つまり、実施例2では、レンズ形状のベースである非球面形状とほぼ一致する形状を有するコーティング層を形成できた。
[実施例3]
実施例3では、パッド印刷による全体印刷工程を行った後、インクジェット法による局所塗布工程を行うことによってコーティング層を形成した。レンズ基材およびコーティング層の原料を含有する塗料には、実施例1と同じものを使用した。
実施例3では、パッド印刷による全体印刷工程を行った後、インクジェット法による局所塗布工程を行うことによってコーティング層を形成した。レンズ基材およびコーティング層の原料を含有する塗料には、実施例1と同じものを使用した。
まず、レンズ基材上に、実施形態5で説明した製造装置を用いて全体印刷工程を実施し、回折格子全体を被覆するように塗料を配置した。印刷版のパターン形状は、直径が2.4mm、深さが20μmとした。次に、25℃で、圧力が1.3kPa未満の条件で、5分間減圧乾燥を行った。この印刷、乾燥の工程を合計4回繰り返した。次に、メタルハライドランプを用いて紫外線を塗料に照射し、塗料を硬化させた。このようにして、全体印刷工程を経たレンズ基材を得た。
続いて、全体印刷工程を経たレンズ基材に対し、実施形態5に示した製造装置を用いて局所塗布工程を実施した。具体的には、インクジェットノズル(内径0.02mm)から、レンズ部の第1の領域21aの中央に、塗料を2nL吐出した。次に、25℃で、圧力が1.3kPa未満の条件で、5分間減圧乾燥を行った。この印刷、乾燥の後、メタルハライドランプを用いて塗料に紫外線を照射することによって、塗料を硬化させた。以上の工程によって、コーティング層が形成されたレンズを得た。コーティング層は回折格子を完全に被覆しており、その表面の平滑性は良好であった。
実施例3で得られたレンズについて、第1の領域21aにおけるコーティング層の厚さを測定した結果を図14に示す。
図14に示すように、局所塗布工程を実施した実施例3では、レンズ中心部付近においても、コーティング層の厚さの非球面形状からのずれは3μm未満にとどまっており、レンズ有効領域の全域にわたってほぼ均一なコーティング層が形成されていた。つまり、実施例3では、レンズ形状のベースである非球面形状とほぼ一致した形状を有するコーティング層を形成できた。
本発明は、中央部がくぼんだ回折格子を備える回折レンズに利用できる。
10 回折レンズ
20 基材
21 レンズ部
21a 第1の領域
21b 第2の領域
21c 光軸
23 回折格子
30 コーティング層
20 基材
21 レンズ部
21a 第1の領域
21b 第2の領域
21c 光軸
23 回折格子
30 コーティング層
Claims (11)
- 同心円状の段差を有する回折格子が表面に形成された凸状のレンズ部と、前記レンズ部の表面に形成されたコーティング層とを備える回折レンズの製造方法であって、前記回折格子は、前記同心円状の段差の最も内側の段差によって囲まれる領域であって中央部がへこんでいる第1の領域と、前記第1の領域の周囲を囲むように配置された複数の輪状部を含む第2の領域とを含み、前記製造方法は、
(a)前記第1の領域の外縁よりも内側であって前記レンズ部の光軸を含む領域に、前記コーティング層の第1の材料を配置する工程と、
前記(a)の工程の前または後に、(b)パッド印刷法およびスクリーン印刷法から選ばれるいずれかの方法によって、前記レンズ部の全体を覆うように前記コーティング層の第2の材料を配置する工程と、を含む回折レンズの製造方法。 - 前記(a)の工程において、パッド印刷法およびスクリーン印刷法から選ばれるいずれかの方法によって、前記第1の材料を配置する請求項1に記載の製造方法。
- 前記(a)の工程の後に前記(b)の工程が行われる請求項2に記載の製造方法。
- 前記(a)の工程において、インクジェット法、およびディスペンサを用いて滴下する方法から選ばれるいずれかの方法によって、前記第1の材料を配置する請求項1に記載の製造方法。
- 前記(a)の工程の前に前記(b)の工程を行う請求項4に記載の製造方法。
- 前記第1の材料および前記第2の材料がともに、樹脂および無機物粒子を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記(a)の工程において前記第1の材料が配置される前記領域は、半径が前記第1の領域の半径の30%であり前記光軸を中心とする第1の円と同じかまたはそれよりも大きく、且つ、半径が前記前記第1の領域の半径の80%であり前記光軸を中心とする第2の円と同じかまたはそれよりも小さい、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記コーティング層の屈折率が前記レンズ部の屈折率よりも高く、前記コーティング層のアッベ数が前記レンズ部のアッベ数よりも大きい請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記(a)および(b)の工程ののちに、(c)前記コーティング層上に、さらに他の層を形成する工程を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法で製造された回折レンズ。
- 同心円状の段差を有する回折格子が表面に形成された凸状のレンズ部と、前記レンズ部の表面に形成されたコーティング層とを備える回折レンズの製造装置であって、前記回折格子は、前記同心円状の段差の最も内側の段差によって囲まれる領域であって中央部がへこんでいる第1の領域と、前記第1の領域の周囲を囲むように配置された複数の輪状部を含む第2の領域とを含み、前記製造装置は、
前記第1の領域の外縁よりも内側であって前記レンズ部の光軸を含む領域に、前記コーティング層の第1の材料を塗布する第1の塗布機構と、
パッド印刷法およびスクリーン印刷法から選ばれるいずれかの方法によって、前記レンズ部の全体を覆うように前記コーティング層の第2の材料を塗布する第2の塗布機構とを備える、回折レンズの製造装置。
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JP2008151659A JP2009300507A (ja) | 2008-06-10 | 2008-06-10 | 回折レンズならびにその製造方法および製造装置 |
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- 2008-06-10 JP JP2008151659A patent/JP2009300507A/ja active Pending
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