JP2009300281A - 超音波流量計 - Google Patents
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Abstract
【課題】メッシュ部材等の超音波透過ユニットの流体淀み空間に対する組み付け性に優れ、かつ測定感度も良好な超音波流量計を提供する。
【解決手段】 超音波透過ユニット20が、振動子配置筒状部2g内に装着される。超音波透過ユニット20は、振動子配置筒状部2gの流路形成部3の壁部に対する開口部を覆うとともに、流路GFと平行な第一シート状部20aと、該第一シート状部20aと、超音波送振動子STの超音波放出面2Qとの間に配置され、該超音波放出面2Qと平行に対向する第二シート状部20cと、第一シート状部20aと第二シート状部20cとを連結するとともに、振動子配置筒状部2gの内周面を覆う内周面被覆部20bとを有する。
【選択図】 図3
【解決手段】 超音波透過ユニット20が、振動子配置筒状部2g内に装着される。超音波透過ユニット20は、振動子配置筒状部2gの流路形成部3の壁部に対する開口部を覆うとともに、流路GFと平行な第一シート状部20aと、該第一シート状部20aと、超音波送振動子STの超音波放出面2Qとの間に配置され、該超音波放出面2Qと平行に対向する第二シート状部20cと、第一シート状部20aと第二シート状部20cとを連結するとともに、振動子配置筒状部2gの内周面を覆う内周面被覆部20bとを有する。
【選択図】 図3
Description
本発明は超音波流量計に関する。
従来、都市ガスや水などの流量を計測するための超音波流量計が知られている。その際の測定原理として、一般には「伝搬時間差法」が用いられる。これは、流路の流体流れ方向上流側及び下流側に一対の超音波送受信部を設け、それら超音波送受信部間の超音波送受信方向を交互に切り替えるとともに、上流側超音波送受信部から発信された超音波ビームが下流側超音波送受信部に到達するまでの時間(順方向伝播時間)と、下流側超音波送受信部から発信された超音波ビームが上流側超音波送受信部に到達するまでの時間(逆方向伝播時間)とを計測して、両者の時間差から流路を流れる流体の平均流速度及び流量を求めるものである。
対をなす上流側超音波送受信部のうち、流路の上流側に配置される上流側超音波送受信部は、ビーム中心軸線が反射部材の反射面の法線方向に対し上流側に一定角度傾斜して定められる第一基準方向と一致するよう流路形成部の壁部に傾けて取り付けられるのが通常である。同様に、流路の下流側に配置される下流側超音波送受信部は、ビーム中心軸線が反射部材の反射面の法線方向に対し第一基準方向と同一角度にて下流側に傾斜して定められる第二基準方向と一致するよう流路形成部の壁部に傾けて取り付けられる。この場合、各超音波送受信部に組み込まれた超音波振動子STは、流路形成部の壁部とその外面に一体化された振動子取付部とを斜めに貫通する形で流路と連通するように形成された振動子配置孔内に、自身の超音波ビーム放出面が、振動子配置孔の内周面と、流路形成部の壁部内面の該振動子配置孔側への延長面との間で三角形状の流体淀み空間を生ずる形で配置される。この流体淀み空間は流速の小さい空間領域であり、流路本体を流れる被測定流体の流速が大きい場合には、この流体淀み空間に流体が流れ込むことにより超音波ビームが遮られる等の悪影響があり、測定精度の低下につながる問題がある。
そこで、特許文献1,2には、流体淀み空間と流路本体との境界位置にメッシュ部材を配置し、流路本体から流体淀み空間への流体流入を該メッシュ部材により抑制しつつ超音波ビームを流路本体側へ透過させる流量計の構成が開示されている。
しかしながら、特許文献1,2には、メッシュ部材を流体淀み空間の境界位置に組み付ける際の利便性に注意が払われておらず、製造能率が悪い欠点がある。
本発明の課題は、メッシュ部材等の超音波透過ユニットの流体淀み空間に対する組み付け性に優れ、かつ測定感度も良好な超音波流量計を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明の超音波流量計は、
被測定流体の流路を形成する流路形成部と、
流路形成部に対し被測定流体の流通方向において互いに異なる位置に設けられ、一方が被測定流体への測定用超音波の送出側となり、他方が該測定用超音波の受信側となるように機能するとともに、各々測定用超音波として、予め定められた向きへの指向性を有する超音波ビームを送出可能な対をなす超音波送受信部とを有し、
各超音波送受信部に組み込まれた超音波振動子STは、流路形成部の壁部の外面に形成され該流路形成部の壁部を斜めに貫通する振動子配置筒状部内に、自身の超音波ビーム放出面が、振動子配置筒状部の内周面と、流路形成部の壁部内面の該振動子配置筒状部側への延長面との間で三角形状の流体淀み空間を生ずる形で配置されてなり、
各々厚さ方向に貫通する超音波透過孔が面内に分散形成されるシート状部であって、振動子配置筒状部の流路形成部の壁部に対する開口部を覆うとともに、流路と平行な第一シート状部と、該第一シート状部と、超音波振動子STの超音波放出面との間に配置され、該超音波放出面と平行に対向する第二シート状部と、第一シート状部と第二シート状部とを連結するとともに、振動子配置筒状部の内周面を覆う内周面被覆部とを有する超音波透過ユニットが、振動子配置筒状部内に装着されてなることを特徴とする。
被測定流体の流路を形成する流路形成部と、
流路形成部に対し被測定流体の流通方向において互いに異なる位置に設けられ、一方が被測定流体への測定用超音波の送出側となり、他方が該測定用超音波の受信側となるように機能するとともに、各々測定用超音波として、予め定められた向きへの指向性を有する超音波ビームを送出可能な対をなす超音波送受信部とを有し、
各超音波送受信部に組み込まれた超音波振動子STは、流路形成部の壁部の外面に形成され該流路形成部の壁部を斜めに貫通する振動子配置筒状部内に、自身の超音波ビーム放出面が、振動子配置筒状部の内周面と、流路形成部の壁部内面の該振動子配置筒状部側への延長面との間で三角形状の流体淀み空間を生ずる形で配置されてなり、
各々厚さ方向に貫通する超音波透過孔が面内に分散形成されるシート状部であって、振動子配置筒状部の流路形成部の壁部に対する開口部を覆うとともに、流路と平行な第一シート状部と、該第一シート状部と、超音波振動子STの超音波放出面との間に配置され、該超音波放出面と平行に対向する第二シート状部と、第一シート状部と第二シート状部とを連結するとともに、振動子配置筒状部の内周面を覆う内周面被覆部とを有する超音波透過ユニットが、振動子配置筒状部内に装着されてなることを特徴とする。
上記の構成によると、超音波透過ユニットを、振動子配置筒状部の流路形成部の壁部に対する開口部(つまり、三角形状の流体淀み空間と流路との境界部)を覆う第一シート状部と、超音波放出面と平行に対向する第二シート状部と、両者を連結するととも振動子配置筒状部の内周面を覆う内周面被覆部との一体形成物として構成した。これにより、該一体形成物を三角形状の流体淀み空間内に装着するだけで、該流体淀み空間と流路との境界部に第一シート状部を、超音波放出面との平行対向位置に第二シート状部を容易に位置決めしつつ取り付けでき、超音波透過ユニットの流体淀み空間に対する組み付け性に優れる。この第一シート状部の機能は特許文献1及び2に開示されているものと同じであり、超音波ビームの透過を許容しつつ、流体が流体淀み空間に流れ込むことを抑制し、流体淀み空間での乱流等による影響を軽減して測定精度の向上に寄与する。
一方、超音波ビームは、超音波送信素子の超音波送出面の法線方向(ビーム中心軸線方向)においてビーム強度が最大となる指向性を有するが、上記ビーム中心軸線方向から傾斜した向きにも一定強度の波束の広がりを有しており、この広がり波束成分はビーム中心軸線方向の主波束とは異なる角度で流路内に入射することになる。該広がり波束成分は、伝播経路が傾いている分だけ主波束よりも伝播長が長く、受信側の超音波送受信部対し異なった位相にて到達し、測定誤差要因となりうる。しかし、本発明では、第一シート状部よりも出射側の超音波送受信部に近い側に、超音波放出面と平行に対向する第二シート状部を設けている。該第二シート状部は、これに直角に入射される主波束は優先的に通過させるが、その周囲に広がった上記測定誤差要因となる波束成分は、超音波透過孔を区画する周囲区画材料部分により吸収ないし散乱されて減衰するので、測定感度を向上することができる。
第一シート状部と第二シート状部とは、高分子材料繊維からなる織布又は不織布として形成しておくとよい。高分子材料は超音波の吸収能が比較的高く、第二シート状部ないし第一シート状部の超音波入射側表面での超音波反射が比較的生じにくく、該反射波が超音波送受信に戻ることにより測定誤差を軽減でき、また、広がり波束成分の減衰にも寄与するので測定感度の更なる向上を図ることができる。なお、高分子材料繊維の繊維径は、測定用の超音波ビーム(周波数:例えば25〜500kHz)の波長の1/2よりも小さく設定しておくと、主波束の透過効率を高めることができ、測定感度の更なる向上に寄与する。また、同様の観点から、第一シート状部と第二シート状部との厚さも、測定用の超音波ビームの波長の1/2よりも小さく設定しておくとよい。
第一シート状部と第二シート状部とは、超音波透過孔のシート全面積に対する開口面積比率を、例えば55%以上75%以下に設定しておくとよい。開口面積比率が55%未満では超音波ビームの減衰が著しくなり、開口面積比率が75%を超えると流体淀み空間への流体流入阻止効果が不十分となるほか、シート状部の機械的強度も確保しにくくなる。
次に、本発明の超音波流量計では、流路形成部の内部に、各々流路に沿って配置される板状に形成された仕切り壁部材を、1つ又は板面法線方向に所定の間隔で複数設けることができる。この場合、仕切り壁部材の超音波ビームの伝播系路と交差する位置に貫通形成される超音波透過孔に、厚さ方向に貫通する超音波透過孔が面内に分散形成される補助シート状部を配置することができる。
この構成によると、仕切り壁部材によって流路がその軸断面内にて複数に分割されるが、仕切り壁部材は被測定流体に対する整流板として機能し、流れの安定化と均一化とを図ることができるので、流量測定精度の更なる向上に寄与する。仕切り壁部材による流路の分割方向に流れを十分均一化することができれば、測定対象となる流れを近似的に二次元流として取り扱うことが可能となり、測定精度向上の観点においてさらに有利となる。そして、この仕切り壁部材を貫く超音波透過孔に超音波ビーム伝播経路を設定し、該超音波透過孔に多孔質の補助シート状部を配置することにより、分割された流路内空間毎に、それぞれ均一化された流れ内を超音波ビームが横切ることになり、流路断面全体に渡る流速分布を的確に反映した、平均化した流れの計測が可能となる。
また、主波束の伝播経路に合わせて仕切り壁部材に超音波透過孔を孔設することで、該超音波透過孔での主波束の通過のみが許容されるので、前述の広がり波束成分等に由来した伝播方向及び位相の異なる波束成分は、超音波透過孔以外の領域において仕切り壁部材表面で反射され、受信側となる超音波送受信部に到達しないので、感度向上を図ることができる。また、超音波透過孔が補助シート状部にて塞がれるので、該超音波透過孔位置での流れの乱れ等も効果的に防止できる。
本発明に係る超音波流量計の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
図1は、一般住宅用ガスメータ等として用いられる超音波流量計の一実施例の基本構成である。図1は、一般住宅用ガスメータ等として用いられる超音波流量計の一実施例の基本構成である。この超音波流量計1には、被測定流体Fの流路GFを形成する流路形成部3と、流路形成部3に対し被測定流体Fの流通方向Oにおいて互いに異なる位置に設けられ、一方が送出側となり他方が受信側となるように機能するとともに、各々指向性を有する超音波ビームSWを送出可能な対をなす超音波送受信部2a,2bとを備えている。流路形成部3と超音波送受信部2a,2bとが流量計本体1Mを構成し、該流量計本体1Mと制御回路部1Eとにより超音波流量計1の全体が構成されている。
図1は、一般住宅用ガスメータ等として用いられる超音波流量計の一実施例の基本構成である。図1は、一般住宅用ガスメータ等として用いられる超音波流量計の一実施例の基本構成である。この超音波流量計1には、被測定流体Fの流路GFを形成する流路形成部3と、流路形成部3に対し被測定流体Fの流通方向Oにおいて互いに異なる位置に設けられ、一方が送出側となり他方が受信側となるように機能するとともに、各々指向性を有する超音波ビームSWを送出可能な対をなす超音波送受信部2a,2bとを備えている。流路形成部3と超音波送受信部2a,2bとが流量計本体1Mを構成し、該流量計本体1Mと制御回路部1Eとにより超音波流量計1の全体が構成されている。
流路形成部3と超音波送受信部2a,2bとが流量計本体1Mを構成し、該流量計本体1Mと制御回路部1Eとにより超音波流量計1の全体が構成されている。その流路GFには、流量測定用ガス(流体)Fが図示の流れ方向に流通するとともに、流れ方向下流側に下流側超音波送受信部2bが設けられ、流れ方向上流側に上流側超音波送受信部2aが設けられている。これらの超音波送受信部2a,2bは圧電振動子などからなる超音波振動子を有した超音波トランスデューサであり、駆動電圧の印加により超音波ビームを送出する超音波送出機能と、超音波ビームの受信により電気信号(受信信号)を出力する超音波受信機能とを複合して備えるものである。測定用の超音波ビームは、流路内にて超音波送受信部2a,2b間に定在波を生じないよう、所定波数以下のパルス状に送出される(図6は3パルスの場合の駆動例を示している)。
測定対象がガスの場合、流路GFを形成する流路形成部3の軸断面形状は壁部3Jにより閉鎖された空間を形成するものであればよく、例えば、円形状、楕円形状、正方形状、矩形状等のいずれを採用してもよい。本実施形態では、図1に示すごとく流路形成部3は矩形状に形成され、上壁部3Jaに上流側超音波送受信部2aが、また下壁部3Jbに下流側超音波送受信部2bが取り付けられている。つまり、対をなす超音波送受信部2a,2bが、流路形成部3に対し、複数の反射部材31,32群を配列方向に挟む形で振り分けて配置されている。
図2は、流量計本体1Mの要部構造の詳細を示すものである。各超音波送受信部2a,2bに組み込まれた超音波振動子STは、流路形成部3の壁部の外面に形成され該流路形成部3の壁部を斜めに貫通する振動子配置筒状部2g内に、自身の超音波ビーム放出面2Qが、振動子配置筒状部2gの内周面と、流路形成部3の壁部内面の該振動子配置筒状部2g側への延長面との間で三角形状の流体淀み空間2dを生ずる形で配置されている。
振動子配置筒状部2g内の流体淀み空間2dには超音波透過ユニット20が装着されている。超音波透過ユニット20は、厚さ方向に貫通する超音波透過孔OPが面内に分散形成されるシート状部であって、振動子配置筒状部2gの流路形成部3の壁部に対する開口部を覆うとともに、流路GFと平行な第一シート状部20aと、該第一シート状部20aと、超音波振動子STの超音波放出面2Qとの間に配置され、該超音波放出面2Qと平行に対向する第二シート状部20cとを有する。また、第一シート状部20aと第二シート状部20cとは、振動子配置筒状部2gの内周面を覆う内周面被覆部20bにより連結されている。
例えば、図9に示すように、シート状部MS(第一シート状部20aと第二シート状部20c)とは、高分子材料繊維SNからなる織布として形成できる(不織布としてもよい)。採用可能な高分子材料繊維SNとしては、例えば熱可塑性樹脂繊維を採用でき、代表的なものとしてポリアミド樹脂繊維(例えば、ナイロン6、ナイロン6,6等)やポリエステル樹脂繊維を例示できる。高分子材料繊維SNの繊維径は、測定用の超音波ビームSW(周波数:例えば25〜500kHz)の波長の1/2よりも小さく設定され、第一シート状部20aと第二シート状部20cとの厚さも、測定用の超音波ビームSWの波長の1/2よりも小さく設定される。また、シート状部MS(第一シート状部20aと第二シート状部20c)は、超音波透過孔OPのシート全面積に対する開口面積比率を、例えば55%以上75%以下に設定される。
また、内周面被覆部20bも高分子材料、例えば熱可塑性樹脂にて構成される。内周面被覆部20bは、上記のような超音波透過孔性を有する多孔質繊維形成物として構成することもできるし、超音波透過孔を有さない筒状樹脂成型物として構成してもよい。第一シート状部20aと第二シート状部20cとは、各々外周縁にて内周面被覆部20bの内周面に融着等により接合・一体化される。なお、内周面被覆部20bの超音波放出面2Q側の端部は、第二シート状部20cよりも超音波放出面2Q側に延出しており、超音波放出面2Qに対する第二シート状部20cの対向距離を規定するスペーサ部20sを形成している。
このような超音波透過ユニット20を振動子配置筒状部2gに対し、流路形成部3の壁部に対する開口部側から挿入し、スペーサ部20sの末端を超音波放出面2Qに当て止めする形で装着する。このとき、流路形成部3の壁部に対する振動子配置筒状部2gの開口に第一シート状部20aが一致するように、内周面被覆部20bの軸方向寸法を定めておくと、流路形成部3に対する振動子配置筒状部2gの内面開口が第一シート状部20aによりちょうど塞がれ、流れに対する撹乱を生じにくくなる。
図1に戻り、制御回路部1Eには、前述の超音波駆動機構4と周辺回路ブロック7〜11が設けられている。超音波駆動機構4は、送信部5、受信部6及び切り替え部4sを有する。送信部5は、超音波送受信素子2a,2bに対して駆動信号を入力するための回路である。受信部6はスイッチ等から構成され、このスイッチを切り替えることにより、前述の駆動モードの切り替えがなされる。この受信部6の切り替え制御は切り替え部4sにより行われる。増幅部7は、受信部6により受信された超音波を所定の増幅率で増幅し、ゼロクロス点検出部9に入力する。ゼロクロス点検出部9は、図6に示すように、受信した超音波波形に含まれる、閾値を超える特定順位波のゼロクロス点を検出するものである。時間計測部10は、第一駆動モードでの、上流側超音波送受信素子2aから発信された超音波ビームSWが下流側超音波送受信素子2bに到達するまでの順方向伝播時間txと、第二駆動モードにおける下流側超音波送受信素子2bから発信された超音波ビームSWが上流側超音波送受信素子2aに到達するまでの逆方向伝播時間tx’とを、検出された上記ゼロクロス点に基づいて計測するものである。また、マイコン11は、上記の順方向伝播時間と逆方向伝播時間との時間差から、流路を流れる被測定流体の平均流速度及び流量を計算する。
図4は、ゼロクロスコンパレータ部9の回路構成例を示すものであり、増幅部7の波形出力の入力信号は、該入力信号をGND基準で二値化する第一コンパレータ91と、同じく下限振幅(振幅下限値Vs)を規制しつつ二値化する第二コンパレータ92とに分配入力される。いずれのコンパレータも、オペアンプICを用いたアナログコンパレータ回路として構成されている。第一コンパレータ91の出力は、セットリセットフリップフロップ(RSFF)回路93のセット端子に、第二コンパレータ92の出力は同じくリセット端子に入力され、該セットリセットフリップフロップ(RSFF)回路93の出力変化エッジをトリガとする形で、単安定回路にて構成されたゼロクロス点パルス発生回路94が、増幅部7からの入力波形のうち振幅Vsを超える半波によるゼロクロス点に対応したパルス波形を出力する。このパルス波形は、クロックパルス発生回路96からのクロック入力と同期して動作するパルスカウンタ回路95にて計測され、規定数のパルス入力を計数することにより伝播時間の検出信号を出力する。
図5は、各部の動作シーケンスを示すタイミング図である。駆動パルス入力により励起された振動波形の増幅出力(Va)は、第一コンパレータ91によりゼロ点基準電圧V0と比較され、その結果が方形波(Vb)として出力される。他方、第二コンパレータ92は、振幅Vsを閾値とした反転波形にて上記振動波形を二値化する。これにより、第一コンパレータ91の方形波出力は、振幅Vsを超える半波が入力された場合にのみRSFF回路93によりラッチされ、ゼロクロス点パルス発生回路94へのパルス出力トリガとなる入力エッジを生ずる。本実施形態では、振幅が漸増する初期振動波形の所定順位波のゼロクロス点(ここでは、第二正半波のゼロクロス点(つまり、波形開始点から3番目のゼロクロス点))から認識されるように、第二コンパレータ92の振幅閾値Vsが定められている。なお、振幅閾値Vsは、可変抵抗RV1の設定値により変更可能とされている。
流量測定時においては、まず、上流側の超音波送受信素子2aが振動励起される。これにより発生する超音波ビームは流体中を通過し、下流側超音波送受信素子2bによる受信される。その受信波形は増幅部7を経てゼロクロスコンパレータ9に入力され、所定順位波のゼロクロス点が特定され、伝播時間検出信号が時間計測回路10に出力される。時間計測回路10は、駆動信号の入力タイミングを起点として、受信波形の上記ゼロクロス点までの時間を順方向伝播時間txとして測定する。続いて、上流側超音波送受信素子2aと下流側超音波送受信素子2bとの送受信関係を入れ替えて同様の測定が行なわれ、逆方向伝播時間tx’を測定する。そして、前述の順方向伝播時間txを合わせ用いて、周知の方法にて流速(あるいは流量)が算出される。
ここで、図3に示すごとく、超音波透過ユニット20が、振動子配置筒状部2gの流路形成部3の壁部に対する開口部(つまり、三角形状の流体淀み空間2dと流路GFとの境界部)を覆う第一シート状部20aと、超音波放出面2Qと平行に対向する第二シート状部20cと、両者を連結するととも振動子配置筒状部2gの内周面を覆う内周面被覆部20bとの一体形成物として構成され、流体淀み空間2d内に装着されている。
図3において、第一シート状部20aは、超音波ビームSWの透過を許容しつつ、流体が流体淀み空間2dに流れ込むことを抑制し、該流体淀み空間2dでの乱流等による影響を軽減して測定精度の向上に寄与する。一方、超音波ビームSWは、超音波送受信部2aの超音波送出面2Qの法線方向(ビーム中心軸線O方向)においてビーム強度が最大となる指向性を有する。しかし、上記ビーム中心軸線O方向から傾斜した向きにも一定強度の波束の広がりを有しており、この広がり波束成分BFはビーム中心軸線方向の主波束MFとは異なる角度で流路GF内に入射する。該広がり波束成分BFは、伝播経路が傾いている分だけ主波束MFよりも伝播長が長く、受信側の超音波送受信部(2b:図2)対し異なった位相にて到達し、測定誤差要因となりうる。しかし、上記の超音波透過ユニット20を設けることで、第一シート状部20aよりも出射側の超音波送受信部2a,2bに近い側に、超音波放出面2Qと平行に対向する第二シート状部20cが設けられる。該第二シート状部20cは、これに直角に入射する主波束MFは優先的に通過させるが、広がり波束成分BFについては、図9の超音波透過孔OPを区画する周囲区画材料部分、すなわち高分子材料繊維SNによる吸収ないし散乱により、これを減衰させることができる。なお、本発明者の検討によると、実際の流速測定時にあっては、超音波ビームの受信波形に対し図6のように第二正半波のゼロクロス点を採用したとき、他のゼロクロス点を採用した場合よりも、超音波透過ユニット20の配置に伴なう感度低下の影響を受けにくいことがわかっている。
なお、シート状部MS(第一シート状部20a及び第二シート状部20c)は、図10に示すように、超音波透過孔OPを有した金属ないし樹脂製の網状の骨格部20cに対し、それよりも細径の高分子材料繊維20sを巻きつけて形成したもの(あるいは、骨格部20cに短繊維を植設したもの)を使用してもよい。
また、図7に示すように、流路形成部3の内部に、各々流路GFに沿って配置される板状に形成された仕切り壁部材31,32を、板面法線方向に所定の間隔で複数設けることができる。仕切り壁部材31,32の超音波ビームSWの伝播系路と交差する位置には、超音波伝播経路孔31h,32hが貫通形成される。そして、各超音波伝播経路孔31h,32hには、図7ないし図8に示すような、厚さ方向に貫通する超音波透過孔OPが面内に分散形成されるシート状部MSからなる補助シート状部120を配置することができる。
図7に示すように、流路GFは、仕切り壁部材31,32により軸断面内にて複数の部分流路内空間PGF1,PGF2,PGF3に分割される。ここでは、仕切り壁部材31,32は、流路の断面中心軸線Oに関して両側に対をなして、具体的には、流路の断面中心軸線Oに関して対称となる位置関係で配置されている。
仕切り壁部材31,32は被測定流体Fに対する整流板として機能し、流路内空間PGF1,PGF2,PGF3毎に流れの安定化と均一化とを図ることができる。流路GF内の流速分布は、仕切り壁部材31,32が存在しない場合は、流路壁部近傍が流体摩擦により低速化し、流路中心付近で流速が最大化する放物線状の形状となるが、仕切り壁部材31,32を設けることで、流速変化幅の小さい小放物線状の流速分布が部分流路内空間PGF1,PGF2,PGF3毎に形成される形となる。仕切り壁部材31,32による流路GFの分割方向に流れを十分均一化することができれば、測定対象となる流れを近似的に二次元流として取り扱うことも可能となり、測定精度向上の観点においてより有利となる。
この仕切り壁部材31,32を貫く超音波伝播経路孔31h,32hに超音波ビームSWの伝播経路を設定し、該超音波伝播経路孔31h,32hに補助シート状部120を配置すると、分割された流路内空間毎に、それぞれ均一化された流れ内を超音波ビームSWが横切ることになり、流路GF断面全体に渡る流速分布を的確に反映した平均化した流れの計測が可能となる。また、主波束MFの伝播経路に合わせて仕切り壁部材31,32に超音波伝播経路孔31h,32hを孔設することで、該超音波伝播経路孔31h,32hでの主波束MFの通過のみが許容されるので、前述の広がり波束成分BF等に由来した伝播方向及び位相の異なる波束成分は、超音波伝播経路孔31h,32h以外の領域において仕切り壁部材31,32表面で反射され、受信側となる超音波送受信部2a,2bに到達しないので、感度向上を図ることができる。また、超音波伝播経路孔31h,32hが補助シート状部120にて塞がれるので、該超音波伝播経路孔31h,32h位置での流れの乱れ等も効果的に防止できる。
なお、図8に示すように、音波ビームSWを、仕切り壁部材31,32間で多重反射させつつ送受信させる構成も可能である。 図8において、仕切り壁部材31,32は、超音波ビームSWの反射面が流路の中心軸線と平行となるように配置されている。超音波伝播経路孔31h,32hは、対応する超音波送受信部2a,2bからの超音波ビームにおいて、ビーム中心軸線(4次の主反射波の向き)からその半径方向に拡散する波束成分のうち、仕切り壁部材31,32間に形成される空間内で4次以外の次数の多重反射波束成分が遮断されるように、仕切り壁部材31,32への形成位置及び開口寸法を定められている。
ここでは、測定に採用されるの4次の主反射波である。そして、これよりも低次の、具体的には仕切り壁部材31,32への入射角度の小さい2次の副反射波がカットされるように、超音波伝播経路孔31h,32hの受信側の超音波送受信部2a,2bに近い側の内縁位置が定められている。また、超音波伝播経路孔31h,32hの、受信側の超音波送受信部2a,2bに遠い側の内縁位置は、主反射波よりも高次の、具体的には仕切り壁部材31,32への入射角度の大きい6次以上の副反射波がカットされるように定められている。
1 超音波流量計
F 流体
2a,2b 超音波送受信部
ST 超音波振動子
2Q 超音波ビーム放出面
2g 振動子配置筒状部
2d 流体淀み空間
3 流路形成部
GF 流路
20 超音波透過ユニット
20a 第一シート状部
20c 第二シート状部
20b 内周面被覆部
31,32 仕切り壁部材
31h,32h 超音波伝播孔
120 補助シート状部
F 流体
2a,2b 超音波送受信部
ST 超音波振動子
2Q 超音波ビーム放出面
2g 振動子配置筒状部
2d 流体淀み空間
3 流路形成部
GF 流路
20 超音波透過ユニット
20a 第一シート状部
20c 第二シート状部
20b 内周面被覆部
31,32 仕切り壁部材
31h,32h 超音波伝播孔
120 補助シート状部
Claims (3)
- 被測定流体の流路を形成する流路形成部と、
前記流路形成部に対し前記被測定流体の流通方向において互いに異なる位置に設けられ、一方が前記被測定流体への測定用超音波の送出側となり、他方が該測定用超音波の受信側となるように機能するとともに、各々前記測定用超音波として、予め定められた向きへの指向性を有する超音波ビームを送出可能な対をなす超音波送受信部とを有し、
各前記超音波送受信部に組み込まれた超音波振動子は、前記流路形成部の壁部の外面に形成され該流路形成部の壁部を斜めに貫通する振動子配置筒状部内に、自身の超音波ビーム放出面が、前記振動子配置筒状部の内周面と、前記流路形成部の壁部内面の該振動子配置筒状部側への延長面との間で三角形状の流体淀み空間を生ずる形で配置されてなり、
各々厚さ方向に貫通する超音波透過孔が面内に分散形成されるシート状部であって、前記振動子配置筒状部の前記流路形成部の壁部に対する開口部を覆うとともに、前記流路と平行な第一シート状部と、該第一シート状部と、前記超音波振動子STの前記超音波放出面との間に配置され、該超音波放出面と平行に対向する第二シート状部と、前記第一シート状部と前記第二シート状部とを連結するとともに、前記振動子配置筒状部の内周面を覆う内周面被覆部とを有する超音波透過ユニットが、前記振動子配置筒状部内に装着されてなることを特徴とする超音波流量計。 - 前記第一シート状部と前記第二シート状部とは、高分子材料繊維からなる織布又は不織布として形成されている請求項1記載の超音波流量計。
- 前記流路形成部の内部に、前記流路に沿って配置される板状に形成された仕切り壁部材が、1つ又は板面法線方向に所定の間隔で複数設けられ、
前記仕切り壁部材の前記超音波ビームの伝播系路と交差する位置に貫通形成される超音波透過孔に、厚さ方向に貫通する超音波透過孔が面内に分散形成される補助シート状部が配置されている請求項1又は請求項2に記載の超音波流量計。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008155733A JP2009300281A (ja) | 2008-06-13 | 2008-06-13 | 超音波流量計 |
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JP2009300281A true JP2009300281A (ja) | 2009-12-24 |
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ID=41547332
Family Applications (1)
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JP2008155733A Pending JP2009300281A (ja) | 2008-06-13 | 2008-06-13 | 超音波流量計 |
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JP (1) | JP2009300281A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN104596600A (zh) * | 2013-10-30 | 2015-05-06 | 克洛纳有限公司 | 超声波流量计 |
-
2008
- 2008-06-13 JP JP2008155733A patent/JP2009300281A/ja active Pending
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CN104596600A (zh) * | 2013-10-30 | 2015-05-06 | 克洛纳有限公司 | 超声波流量计 |
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