JP2009300148A - シンチレータプレート - Google Patents

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美香 坂井
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康史 永田
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Abstract

【課題】耐衝撃性、鮮鋭性及び解像度に優れたシンチレータプレートを提供することにある。
【解決手段】基板上に柱状結晶からなるシンチレータ層を有したシンチレータプレートのシンチレータ層を被覆するように設けられた保護フィルムからなるシンチレータプレートにおいて、保護フィルムのシンチレータ側表面の粗さ(Ra)が0.5μm以上、3.0μm以下であることを特徴とするシンチレータプレート。
【選択図】なし

Description

本発明は被写体の放射線画像を形成する際に用いられるシンチレータプレートに関する。
従来から、X線画像のような放射線画像は医療現場において病状の診断に広く用いられている。特に、増感紙−フィルム系による放射線画像は、長い歴史のなかで高感度化と高画質化が図られた結果、高い信頼性と優れたコストパフォーマンスを併せ持った撮像システムとして、いまなお、世界中の医療現場で用いられている。
しかしながらこれら画像情報はいわゆるアナログ画像情報であって、近年発展を続けているデジタル画像情報のような、自由な画像処理や瞬時の電送ができない。
そして、近年ではコンピューテッドラジオグラフィ(CR)やフラットパネル型の放射線ディテクタ(FPD)等に代表されるデジタル方式の放射線画像検出装置が登場している。これらは、デジタルの放射線画像が直接得られ、陰極管や液晶パネル等の画像表示装置に画像を直接表示することが可能なので、必ずしも写真フィルム上への画像形成が必要なものではない。その結果、これらのデジタル方式のX線画像検出装置は、銀塩写真方式による画像形成の必要性を低減させ、病院や診療所での診断作業の利便性を大幅に向上させている。
X線画像のデジタル技術の一つとしてコンピューテッド・ラジオグラフィ(CR)が現在医療現場で受け入れられている。しかしながら鮮鋭性が十分でなく空間分解能も不充分であり、スクリーン・フィルムシステムの画質レベルには到達していない。そして、さらに新たなデジタルX線画像技術として、例えば雑誌Physics Today,1997年11月号24頁のジョン・ローランズ論文“Amorphous Semiconductor Usher in Digital X−ray Imaging”や、雑誌SPIEの1997年32巻2頁のエル・イー・アントヌクの論文”Development of a High Resolution,Active Matrix,Flat−Panel Imager with Enhanced Fill Factor”等に記載された、薄膜トランジスタ(TFT)を用いた平板X線検出装置(FPD)が開発されている。
平板X線検出装置(FPD)はCRより装置が小型化し、高線量での画質が優れているという特徴がある。しかし、一方ではTFTや回路自体のもつ電気ノイズのため、低線量の撮影においてSN比が低下し十分な画質レベルには至っていない。
放射線を可視光に変換する為に放射線により発光する特性を有するX線蛍光体で作られたシンチレータプレートが使用されるが、低線量の撮影においてSN比を向上するためには、発光効率の高いシンチレータプレートを使用することが必要になってくる。一般にシンチレータプレートの発光効率は、蛍光体層の厚さ、蛍光体のX線吸収係数によって決まるが、蛍光体層の厚さは厚くすればするほど、蛍光体層内での発光光の散乱が発生し、鮮鋭性は低下する。そのため、画質に必要な鮮鋭性を決めると、膜厚が決定する。
その中でも、ヨウ化セシウム(CsI)はX線から可視光に対する変更率が比較的高く、蒸着によって容易に蛍光体を柱状結晶構造に形成できるため、光ガイド効果により結晶内での発光光の散乱が抑えられ、蛍光体層の厚さを厚くすることが可能であった(特許文献1参照)
また、発光効率を向上させるため、タリウム、ナトリウム、ルビジウムなどの賦活剤と呼ばれる元素をヨウ化セシウムに含有させることが知られている。
上記ヨウ化セシウムの結晶は、蒸着によって柱状結晶を作成することができ、柱状構造によって得られるライトガイド効果を効果的に用いるためには、先端形状が60度程度であることが重要である。しかし、その一方で尖った先端形状はもろく、TFTや平面フィルムとの摩擦により先端形状が破壊されることがある。その結果、衝撃を受けた結晶先端の形が崩れ、ライトガイド効果を有効に利用できなくなり、画像の鮮鋭性が劣化してくることが問題である。
特開昭63−215987号公報
本発明の目的は、上記問題に鑑みてなされたものであり、耐衝撃性、鮮鋭性及び解像度に優れたシンチレータプレートを提供することにある。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
1.基板上に柱状結晶からなるシンチレータ層を有したシンチレータプレートのシンチレータ層を被覆するように設けられた保護フィルムからなるシンチレータプレートにおいて、保護フィルムのシンチレータ側表面の粗さ(Ra)が0.5μm以上、3.0μm以下であることを特徴とするシンチレータプレート。
2.前記シンチレータ層がヨウ化セシウムと賦活剤を含有する蒸着柱状結晶からなることを特徴とする前記1記載のシンチレータプレート。
本発明の上記手段により、耐衝撃性、鮮鋭性及び解像度に優れたシンチレータプレートを提供することにある。
本発明は、基板上に柱状結晶からなるシンチレータ層を有したシンチレータプレートのシンチレータ層を被覆するように設けられた保護フィルムからなるシンチレータプレートにおいて、保護フィルムと接するシンチレータが実質的にずれないことを特徴とする。シンチレータ層と接触する保護フィルムの表面形状は、使用する樹脂フィルムを選択することや樹脂フィルム表面に無機物等を含んだ塗膜を塗設することで容易に調整することが可能である。本発明に係わるシンチレータ層の結晶先端を覆うようにフィルムの粗さ面が接することで、結晶先端部へかかる物理的力を分散し、結晶形状の崩れを防止することが出来る。即ち、保護フィルムのシンチレータ側表面の粗さ(Ra)が0.5以上、3.0μm以下であることが必要であり、表面粗さが0.5μm未満では平面性が高くなり結晶先端部へかかる物理的力を分散しにくくなり、耐衝撃性の劣ったシンチレータプレートとなる。一方、前記粗さが3.0μm以上では結晶先端部を深く覆うことでその鮮鋭性は劣るものになる。尚、本発明の表面粗さは、蒸着結晶の断面を走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)にて観察し、結晶先端形状の粗さが0.5以上、3.0μm以下であることから見出した値である。
本発明のシンチレータプレートは、基板上に、シンチレータ層を有する。
本発明に係るシンチレータ層は、X線等の入射された放射線のエネルギーを吸収して、波長が300nmから800nmの電磁波、すなわち、可視光線を中心に紫外光から赤外光にわたる電磁波(光)を発光する蛍光体(シンチレータ)を含有する層であり、ヨウ化セシウムと賦活剤を含有する蒸着結晶からなる。
(基板)
本発明に係る基板は、シンチレータ層を担持可能な板状、フィルム体であり、X線等の放射線を入射線量に対し10%以上を透過させることが可能なものである。
基板としては、各種のガラス、高分子材料、金属等を用いることができる。
基板としては、例えば、石英、ホウ珪酸ガラス、化学的強化ガラスなどの板ガラス、サファイア、チッ化珪素、炭化珪素などのセラミック基板、シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素、ガリウム燐、ガリウム窒素など半導体基板、セルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム、炭素繊維強化樹脂シート等の高分子フィルム(プラスチックフィルム)、アルミニウムシート、鉄シート、銅シート等の金属シートおよび該金属酸化物の被覆層を有する金属シートなどが挙げられる。
基板としては、厚さ50〜500μmの可とう性を有する高分子フィルムであることが好ましい。
ここで、「可とう性を有する基板」とは、120℃での弾性率(E120)が1000〜6000N/mmである基板をいい、かかる基板としてポリイミド又はポリエチレンナフタレートを含有する高分子フィルムが好ましい。
なお、「弾性率」とは、引張試験機を用い、JIS−C2318に準拠したサンプルの標線が示すひずみと、それに対応する応力が直線的な関係を示す領域において、ひずみ量に対する応力の傾きを求めたものである。これがヤング率と呼ばれる値であり、本発明では、かかるヤング率を弾性率と定義する。
本発明に用いられる基板は、上記のように120℃での弾性率(E120)が1000N/mm〜6000N/mmであることが好ましい。より好ましくは1200N/mm〜5000N/mmである。
具体的には、ポリエチレンナフタレート(E120=4100N/mm)、ポリエチレンテレフタレート(E120=1500N/mm)、ポリブチレンナフタレート(E120=1600N/mm)、ポリカーボネート(E120=1700N/mm)、シンジオタクチックポリスチレン(E120=2200N/mm)、ポリエーテルイミド(E120=1900N/mm)、ポリアリレート(E120=1700N/mm)、ポリスルホン(E120=1800N/mm)、ポリエーテルスルホン(E120=1700N/mm)等からなる高分子フィルムが挙げられる。
これらは単独で用いてもよく積層あるいは混合して用いてもよい。中でも、特に好ましい高分子フィルムとしては、上述のように、ポリイミド又はポリエチレンナフタレートを含有する高分子フィルムが好ましい。
(シンチレータ層)
本発明に係るシンチレータ層は、放射線の照射により、蛍光を発する放射線蛍光体を含有する層であり、ヨウ化セシウムと賦活剤を含有する蒸着結晶からなる。
本発明に係る賦活剤とは、ヨウ化セシウム中に含有されることで、発光効率を上昇し得る元素である。賦活剤としては、タリウム、ナトリウム、ルビジウム等が挙げられるが、特にタリウムが好ましく用いられる。ヨウ化セシウム中に含有させるには、例えば、ヨウ化セシウムとタリウム化合物を含む蒸着原を加熱し、上記基板上に蒸着する方法により行うことができる。
本発明に係る蒸着結晶とは、ヨウ化セシウムと、賦活剤を含む化合物とを、含有する蒸着原を加熱し、基板上に蒸着して形成された結晶である。
(反射層)
本発明においては、基板とシンチレータ層との間に反射層を有してもよい。
反射層は、シンチレータ層で発せられた蛍光の基板方向に放射進行する電磁波を反射しうる層である。
反射層としては、金属薄膜が好ましく用いられる。金属薄膜としては、Al、Ag、Cr、Cu、Ni、Ti、Mg、Rh、Pt及びAuからなる群の中の物質を含む材料からなる膜が好ましく用いられる。更に、Cr膜上にAu膜を形成する等、金属薄膜を2層以上形成してもよい。
反射層としては、上記のなかでも特にアルミニウムを含有する膜を用いる態様が好ましい態様である。
(中間層)
本発明においては、反射層とシンチレータ層の間に、中間層を有してもよい。
中間層としては、例えばポリエステル樹脂、ポリアクリル酸共重合体、ポリアクリルアミド又はこれらの誘導体及び部分加水分解物、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルニトリル、ポリアクリル酸エステル等のビニル重合体及びその共重合体、ロジン、シェラック等の天然物及びその誘導体などの樹脂を含有する層が挙げられる。
(シンチレータプレート)
本発明に係るシンチレータプレートについて図1を参照して説明する。
本発明に係るシンチレータプレート10は、図1に示すように基板1上にシンチレータ層2を備えるものであり、シンチレータ層2に放射線が照射されると、シンチレータは入射した放射線のエネルギーを吸収して、波長が300nmから800nmの電磁波、すなわち、可視光線を中心に紫外光から赤外光にわたる電磁波(光)を発光する。
以下、基板1上にシンチレータ層2を形成させる方法について説明する。
シンチレータ層2は、蒸着法により形成される。蒸着法は基板1を公知の蒸着装置内に設置するとともに、蒸着源にヨウ化セシウムおよび賦活剤を含むシンチレータ層2の原材料を充填したのち、装置内を排気すると同時に窒素等の不活性なガスを導入口から導入して1.333Pa〜1.33×10−3Pa程度の真空とし、次いで、原材料を抵抗加熱法、エレクトロンビーム法などの方法で加熱蒸発させて基板1表面にヨウ化セシウムの蒸着結晶を堆積し、基板1上にシンチレータ層2が形成される。
次に、図2を参照して、蒸着法を行う際に使用する蒸着装置の一例として、蒸着装置20について説明する。
蒸着装置20には、真空ポンプ21と、真空ポンプ21の作動により内部が真空となる真空容器22とが備えられている。真空容器22の内部には、蒸着源として抵抗加熱ルツボ23が備えられており、この抵抗加熱ルツボ23の上方には回転機構24により回転可能に構成された基板1が基板ホルダ25を介して設置されている。また、抵抗加熱ルツボ23と、基板1との間には、必要に応じて抵抗加熱ルツボ23から蒸発する蛍光体の蒸気流を調節するためのスリットが設けられている。なお、基板1は、蒸着装置20を使用する際に基板ホルダ25に設置して使用するようになっている。
(保護フィルム)
保護フィルムの構成例としては、保護層(最外層)/中間層(防湿性層)/最内層(熱溶着層)の構成を有した多層積層材料が挙げられる。又、更に各層は必要に応じて多層とすることも可能となっている。
最内層(熱溶着層)
最内層の熱可塑性樹脂フィルムとしてはEVA、PP、LDPE、LLDPE及びメタロセン触媒を使用して製造したLDPE、LLDPE、又、これらフィルムとHDPEフィルムの混合使用したフィルムを使用することが好ましい。最内層の表面形状は、使用する樹脂フィルムを選択することや樹脂フィルム表面に無機物等を含んだ塗膜を塗設することで容易に調整することが可能である。結晶先端を覆うようにフィルムの粗さ面が接することで、結晶先端部へかかる物理的力を分散し、結晶形状の崩れを防止することが出来る。
中間層(防湿性層)
特開平6−95302号及び真空ハンドブック増訂版p132〜p134(ULVAC 日本真空技術K.K)に記載されている如き、無機膜を少なくとも一層有する層が挙げられる。無機膜としては金属蒸着膜及び無機酸化物の蒸着膜が挙げられる。
金属蒸着膜としては、例えばZrN、SiC、TiC、Si、単結晶Si、ZrN、PSG、アモルファスSi、W、アルミニウム等が挙げられ、特に好ましい金属蒸着膜としては、例えばアルミニウムが挙げられる。
無機物蒸着膜としては薄膜ハンドブックp879〜p901(日本学術振興会)、真空技術ハンドブックp502〜p509、p612、p810(日刊工業新聞社)、真空ハンドブック増訂版p132〜p134(ULVAC 日本真空技術K.K)に記載されている如き無機物蒸着膜が挙げられる。これらの無機物蒸着膜としては、例えば、Cr、Si(x=1、y=1.5〜2.0)、Ta、ZrN、SiC、TiC、PSG、Si、単結晶Si、アモルファスSi、W、AI等が用いられる。
中間層(防湿性層)の基材として使用する熱可塑性樹脂フィルムとしてはエチレンテトラフルオロエチル共重合体(ETFE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、延伸ポリプロピレン(0PP)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、2軸延伸ナイロン6、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド、ポリエーテルスチレン(PES)など一般の包装用フィルムに使用されているフィルム材料を使用することが出来る。
蒸着膜を作る方法としては真空技術ハンドブック及び包装技術Vol29−No.8に記載されている如き一般的な方法、例えば抵抗又は高周波誘導加熱法、エレクトロビーム(EB)法、プラズマ(PCVD)等により作ることが出来る。蒸着膜の厚さとしては40〜200nmの範囲が好ましく、より好ましくは50〜180nmの範囲である。
最外層(保護層)
蒸着フィルムシートを介して用いられる熱可塑性樹脂フィルムとしては一般の包装材料として使用されている高分子フィルム(例えば機能性包装材料の新展開株式会社東レリサーチセンター記載の高分子フィルム)である低密度ポリエチレン(LDPE)、HDPE、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン、未延伸ポリプロピレン(CPP)、OPP、延伸ナイロン(ONy)、PET、セロハン、ポリビニルアルコール(PVA)、延伸ビニロン(OV)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVOH)、塩化ビニリデン(PVDC)、フッ素を含むオレフィン(フルオロオレフィン)の重合体又はフッ素を含むオレフィンを共重合体等が使用出来る。
又、これら熱可塑性樹脂フィルムは、必要に応じて異種フィルムと共押し出しで作った多層フィルム、延伸角度を変えて張り合わせて作った多層フィルム等も当然使用出来る。更に必要とする包装材料の物性を得るために使用するフィルムの密度、分子量分布を組み合わせて作ることも当然可能である。最内層の熱可塑性樹脂フィルムとしてはLDPE、LLDPE及びメタロセン触媒を使用して製造したLDPE、LLDPE、又、これらフィルムとHDPEフィルムの混合使用したフィルムが使用されている。
無機物蒸着層を使用しない場合は、保護層に中間層としての機能を持たせる必要がある。この場合、保護層に使用する熱可塑性樹脂フィルムのなかより必要に応じて単体でもよいし又は、2種以上のフィルムを積層させて用いることが出来る。例えばCPP/OPP、PET/OPP/LDPE、Ny/OPP/LDPE、CPP/OPP/EVOH、サランUB/LLDPE(ここでサランUBとは旭化成工業株式会社製の塩化ビニリデン/アクリル酸エステル系共重合樹脂を原料とした2軸延伸フィルムを示す。)K−OP/PP、K−PET/LLDPE、K−Ny/EVA(ここでKは塩化ビニリデン樹脂をコートしたフィルムを示す)等が使用されている。
これら保護フィルムの製造方法としては、一般的に知られている各種の方法が用いられ、例えばウェットラミネート法、ドライラミネート法、ホットメルトラミネート法、押し出しラミネート法、熱ラミネート法を利用して作ることが可能である。無機物を蒸着したフィルムを使用しない場合も同様な方法が当然使えるがこれらの他に使用材料によっては多層インフレーション方式、共押し出し成形方式により作ることが出来る。
積層する際に使用される接着剤としては一般的に知られている接着剤が使用可能である。例えば各種ポリエチレン樹脂、各種ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系熱可塑性樹脂熱溶解接着剤、エチレン−プロピレン共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体樹脂等のエチレン共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体樹脂、アイオノマー樹脂等の熱可塑性樹脂熱溶融接着剤、その他熱溶融型ゴム系接着剤等がある。エマルジョン、ラテックス状の接着剤であるエマルジョン型接着剤の代表例としては、ポリ酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル−エチレン共重合体樹脂、酢酸ビニルとアクリル酸エステル共重合体樹脂、酢酸ビニルとマレイン酸エステル共重合体樹脂、アクリル酸共重合物、エチレン−アクリル酸共重合物等のエマルジョンがある。ラテックス型接着剤の代表例としては、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)等のゴムラテックスがある。又、ドライラミネート用接着剤としてはイソシアネート系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤等があり、その他、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体樹脂等をブレンドしたホットメルトラミネート接着剤、感圧接着剤、感熱接着剤等公知の接着剤を用いることも出来る。エクストルージョンラミネート用ポリオレフィン系樹脂接着剤はより具体的に言えば、各種ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレン樹脂などのポリオレフィン樹脂からなる重合物及びエチレン共重合体(EVA、EEA、等)樹脂の他、L−LDPE樹脂の如く、エチレンと他のモノマー(α−オレフィン)を共重合させたもの、Dupot社のサーリン、三井ポリケミカル社のハイミラン等のアイオノマー樹脂(イオン共重合体樹脂)及び三井石油化学(株)のアドマー(接着性ポリマー)等がある。その他紫外線硬化型接着剤も最近使われはじめた。特にLDPE樹脂とL−LDPE樹脂が安価でラミネート適性に優れているので好ましい。又前記記載樹脂を2種以上ブレンドして各樹脂の欠点をカバーした混合樹脂は特に好ましい。例えばL−LDPE樹脂とLDPE樹脂をブレンドすると延展性が向上し、ネックインが小さくなるのでラミネート速度が向上し、ピンホールが少なくなる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の実施態様はこれに限定されるものではない。下記の方法に従って実施例と比較例の放射線用シンチレータプレートを作製した。
(実施例)
(シンチレータプレートの作製)
ヨウ化セシウム(CsI)に添加剤としてTlを混合し、蒸着材料を得た。TlはCsIに対して0.3mol%の蒸着材料を作製した。蒸着材料を抵抗加熱ルツボに充填し、また回転する支持体ホルダに、厚さ125μmのポリイミド樹脂基板を設置し、基板と2個の蒸発源との間隔を400mmに調節した。
続いて蒸着装置内を一旦排気した後に、Arガスを導入して0.1Paに真空度を調整した後、10rpmの速度で基板ホルダ25を回転しながら基板1の温度を200℃に保持した。次いで、蒸着材料が入っている抵抗加熱ルツボを加熱してシンチレータ用蛍光体を蒸着する。シンチレータ(蛍光体層)の膜厚が500μmになったところで、蒸着を終了させシンチレータプレートを得た。
(保護フィルム)
シンチレータ層側の保護フィルムとして、表1に示す様に表面粗さを変えた厚さ30μmのポリプロピレンフィルム(PP)を用意し、サンプル1〜5とした。保護フィルムの表面形状は、使用する樹脂フィルムを選択することや樹脂フィルム表面に無機物等を含んだ塗膜を塗設することで容易に調整することが可能である。
尚、表面粗さRaは、東京精密社製サーフコム1400Dにより測定した値を示す。「表面粗さRa」は、JIS B 0601:1994に準拠して規定される算術平均粗さ(μm)を表す。
表面粗さ(Ra)の測定方法としては、25℃、65%RH環境下で測定試料同士が重ね合わされない条件で24時間調湿した後、当該環境下で測定した。
ここでいう「重ね合わされない条件」とは、例えば、フィルムの間に紙を挟んで重ねる方法、厚紙等で枠を作製しその四隅を固定する方法のいずれかである。
本願の表面粗さRaは、東京精密社製サーフコム1400Dを用い、カットオフ0.16mmで測定した値を示す。
(評価)
上記で作成したシンチレータプレートを上記保護フィルムで覆ったシンチレータプレートをPaxScan2520(Varian社製FPD)にセットし、鮮鋭性を以下に示す方法で評価した。なお、作製直後とPaxScanへの取り付け、取り外しを50回行った後の鮮鋭性を評価した。表1記載の鮮鋭性はシンチレータプレート作成直後のMTF値を1としたときの相対値である。
「鮮鋭性の評価」
鉛製のMTFチャートを通して管電圧80kVpのX線をFPDの放射線入射面側に照射し、画像データを検出しハードディスクに記録した。その後、ハードディスク上の記録をコンピュータで分析して当該ハードディスクに記録されたX線像の変調伝達関数MTF(空間周波数1サイクル/mmにおけるMTF値)を鮮鋭性の指標とした。MTFはModulation Transfer Functionの略号を示す。
表1のように、シンチレータ層を被覆するように設けられた保護フィルムからなる本発明のシンチレータプレートは、保護フィルムと接するシンチレータが実質的にずれないことで、作業による結晶先端形状の崩れを低減し、その結果、鮮鋭性が保持されていることが分かる。
Figure 2009300148
シンチレータプレートの断面図 蒸着装置の概略構成図
符号の説明
1 基板
2 シンチレータ層(蛍光体層)
3 絶縁層
4 金属反射層
5 保護層
10 シンチレータプレート
20 蒸着装置
21 真空ポンプ
22 真空容器
23 抵抗加熱ルツボ
24 回転機構
25 基板ホルダ

Claims (2)

  1. 基板上に柱状結晶からなるシンチレータ層を有したシンチレータプレートのシンチレータ層を被覆するように設けられた保護フィルムからなるシンチレータプレートにおいて、保護フィルムのシンチレータ側表面の粗さ(Ra)が0.5μm以上、3.0μm以下であることを特徴とするシンチレータプレート。
  2. 前記シンチレータ層がヨウ化セシウムと賦活剤を含有する蒸着柱状結晶からなることを特徴とする請求項1記載のシンチレータプレート。
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