JP2009299814A - 無段変速機及び変速比制御装置 - Google Patents

無段変速機及び変速比制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】実入力回転速度が最終目標入力回転速度に到達するまでの時間の増大を抑制すること。
【解決手段】アクセル開度から算出される最終目標入力回転速度NINCがステップ的に変化した場合に、徐々に変化する過渡時目標入力回転速度NINTを算出し、最終目標入力回転速度NINCがステップ的に変化すると、まず目標入力回転速度を過渡時目標入力回転速度NINTに設定して実入力回転速度NINを変化させ、実入力回転速度NINが最終目標入力回転速度NINCに到達する前に、目標入力回転速度を過渡時目標入力回転速度NINTから最終目標入力回転速度NINCに切り替えて実入力回転速度NINを変化させる変速比制御装置を備える。
【選択図】 図11

Description

この発明は、無段変速機及び変速比制御装置に関する。
従来、変速比が無段階に変更される無段変速機がある。例えば、特許文献1には、フィードフォワード制御及びフィードバック制御によって実入力回転速度が目標入力回転速度となるように変速するベルト式無段変速機が開示されている。
特開2006−144977号公報
ここで、特許文献1に開示されているようなベルト式無段変速機は、最終目標入力回転速度(基本目標入力回転速度)がステップ的に変化する際に、徐々に変化して最終目標入力回転速度に到達するフィードフォワード制御用目標入力回転速度が設定される。しかしながら、最終目標入力回転速度がステップ的に変化した後に最終目標入力回転速度が徐々に変化する場合、フィードフォワード制御用目標入力回転速度に追従するように変化する実入力回転速度が最終目標入力回転速度に到達するまでの時間が増大するおそれがある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、実入力回転速度が最終目標入力回転速度に到達するまでの時間の増大を抑制することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る無段変速機は、動力発生手段から取り出された回転が入力される入力側回転体と、前記入力側回転体からの回転が伝えられる出力側回転体と、前記入力側回転体から前記出力側回転体へと前記回転を伝える前記入力側回転体の部分から前記入力側回転体の回転軸までの第1距離と、前記入力側回転体からの前記回転が伝えられる前記出力側回転体の部分から前記出力側回転体の回転軸までの第2距離と、のうち少なくとも一方を変更することで前記入力側回転体の回転速度を前記出力側回転体の回転速度で除算した変速比を調節して前記入力側回転体の実際の回転速度である実入力回転速度を調節する変速比制御手段であって、アクセル開度から算出される最終目標入力回転速度がステップ的に変化した場合に、最終的に前記実入力回転速度が前記最終目標入力回転速度に到達するように徐々に変化する過渡時目標入力回転速度を算出し、前記最終目標入力回転速度がステップ的に変化すると、まず前記入力側回転体の目標とする回転速度を前記過渡時目標入力回転速度に設定して前記実入力回転速度を変化させ、前記実入力回転速度が前記最終目標入力回転速度に到達する前に、前記入力側回転体の目標とする回転速度を前記過渡時目標入力回転速度から前記最終目標入力回転速度に切り替えて前記実入力回転速度を変化させる変速比制御手段と、を備えることを特徴とする。
上記構成により、本発明に係る無段変速機は、最終目標入力回転速度がステップ的に変化した後に、まず入力側回転体が過渡時目標入力回転速度を目標に回転する。そして、前記無段変速機は、途中から入力側回転体が目標とする回転速度を過渡時目標入力回転速度から最終目標入力回転速度に切り替えられる。これにより、過渡時目標入力回転速度が迅速に最終目標入力回転速度に到達できなくとも、前記無段変速機は、実入力回転速度が迅速に最終目標入力回転速度に到達できる。
本発明の好ましい態様としては、前記変速比制御手段は、前記第1距離と前記第2距離とのうちの少なくとも一方を変更するための可動部材に力を与える油圧室に導かれる作動油の量を調節する作動油流量調節手段に入力される作動油流量調節信号を調節することで前記変速比を調節し、前記実入力回転速度が前記過渡時目標入力回転速度となる前記作動油流量調節信号の候補である第1候補作動油流量調節信号を算出し、前記実入力回転速度が前記最終目標入力回転速度となる前記作動油流量調節信号の候補である第2候補作動油流量調節信号を算出し、算出された前記第2候補作動油流量調節信号で前記作動油流量調節手段を制御した時の前記油圧室に導かれる前記作動油の流量が、前記作動油流量調節手段が前記油圧室に実際に導ける前記作動油の流量である最大流量を超える場合は、前記第1候補作動油流量調節信号で前記作動油流量調節手段を制御し、前記第2候補作動油流量調節信号で前記作動油流量調節手段を制御した時の前記油圧室に導かれる前記作動油の流量が、前記最大流量以下である場合は、前記第2候補作動油流量調節信号で前記作動油流量調節手段を制御することが望ましい。
本発明の好ましい態様としては、前記変速比制御手段は、前記実入力回転速度が前記入力側回転体の目標とする回転速度である目標入力回転速度に到達するまでに必要になる前記作動油の量を、前記変速比の変更の指令があってから実際に前記変速比が変更されるまでの反応の遅れである無駄時間がない理論上の前記作動油の量よりも大きく設定して前記第2候補作動油流量調節信号を算出することが望ましい。
本発明の好ましい態様としては、前記変速比制御手段は、前記無段変速機を搭載する車両の加速度の変化速度が大きいほど前記実入力回転速度が前記目標入力回転速度に到達するまでに必要な前記作動油の量を小さく設定し、前記加速度の変化速度が小さいほど前記実入力回転速度が前記目標入力回転速度に到達するまでに必要な前記作動油の量を大きく設定することが望ましい。
本発明の好ましい態様としては、前記変速比制御手段は、前記変速比の変化速度が大きいほど前記実入力回転速度が前記目標入力回転速度に到達するまでに必要な作動油の量を小さく設定し、前記変速比の変化速度が小さいほど前記実入力回転速度が前記目標入力回転速度に到達するまでに必要な作動油の量を大きく設定することが望ましい。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る変速比制御装置は、動力発生手段から取り出された回転が入力される入力側回転体から前記入力側回転体からの回転が伝えられる出力側回転体へと前記回転を伝える前記入力側回転体の部分から前記入力側回転体の回転軸までの第1距離と、前記入力側回転体からの前記回転が伝えられる前記出力側回転体の部分から前記出力側回転体の回転軸までの第2距離と、のうち少なくとも一方を変更することで前記入力側回転体の回転速度を前記出力側回転体の回転速度で除算した変速比を調節して前記入力側回転体の実際の回転速度である実入力回転速度を調節する変速比制御装置であって、アクセル開度から算出される最終目標入力回転速度がステップ的に変化した場合に、最終的に前記実入力回転速度が前記最終目標入力回転速度に到達するように徐々に変化する過渡時目標入力回転速度を算出し、前記最終目標入力回転速度がステップ的に変化すると、まず前記入力側回転体の目標とする回転速度を前記過渡時目標入力回転速度に設定して前記実入力回転速度を変化させ、前記実入力回転速度が前記最終目標入力回転速度に到達する前に、前記入力側回転体の目標とする回転速度を前記過渡時目標入力回転速度から前記最終目標入力回転速度に切り替えて前記実入力回転速度を変化させることを特徴とする。
上記構成により、本発明に係る変速比制御装置は、最終目標入力回転速度がステップ的に変化した後に、まず入力側回転体に過渡時目標入力回転速度を目標に回転させる。そして、前記変速比制御装置は、途中から入力側回転体が目標とする回転速度を過渡時目標入力回転速度から最終目標入力回転速度に切り替える。これにより、過渡時目標入力回転速度が迅速に最終目標入力回転速度に到達できなくとも、実入力回転速度が迅速に最終目標入力回転速度に到達できる。
本発明の好ましい態様としては、前記変速比制御装置は、前記第1距離と前記第2距離とのうちの少なくとも一方を変更するための可動部材に力を与える油圧室に導かれる作動油の量を調節する作動油流量調節手段に入力される作動油流量調節信号を調節することで前記変速比を調節し、前記実入力回転速度が前記過渡時目標入力回転速度となる前記作動油流量調節信号の候補である第1候補作動油流量調節信号を算出し、前記実入力回転速度が前記最終目標入力回転速度となる前記作動油流量調節信号の候補である第2候補作動油流量調節信号を算出し、算出された前記第2候補作動油流量調節信号で前記作動油流量調節手段を制御した時の前記油圧室に導かれる前記作動油の流量が、前記作動油流量調節手段が前記油圧室に実際に導ける前記作動油の流量である最大流量を超える場合は、前記第1候補作動油流量調節信号で前記作動油流量調節手段を制御し、前記第2候補作動油流量調節信号で前記作動油流量調節手段を制御した時の前記油圧室に導かれる前記作動油の流量が、前記最大流量以下である場合は、前記第2候補作動油流量調節信号で前記作動油流量調節手段を制御することが望ましい。
本発明の好ましい態様としては、前記変速比制御装置は、前記実入力回転速度が前記入力側回転体の目標とする回転速度である目標入力回転速度に到達するまでに必要になる前記作動油の量を、前記変速比の変更の指令があってから実際に前記変速比が変更されるまでの反応の遅れである無駄時間がない理論上の前記作動油の量よりも大きく設定して前記第2候補作動油流量調節信号を算出することが望ましい。
本発明の好ましい態様としては、前記変速比制御装置は、前記無段変速機を搭載する車両の加速度の変化速度が大きいほど前記実入力回転速度が前記目標入力回転速度に到達するまでに必要な前記作動油の量を小さく設定し、前記加速度の変化速度が小さいほど前記実入力回転速度が前記目標入力回転速度に到達するまでに必要な前記作動油の量を大きく設定することが望ましい。
本発明の好ましい態様としては、前記変速比制御装置は、前記変速比の変化速度が大きいほど前記実入力回転速度が前記目標入力回転速度に到達するまでに必要な作動油の量を小さく設定し、前記変速比の変化速度が小さいほど前記実入力回転速度が前記目標入力回転速度に到達するまでに必要な作動油の量を大きく設定することが望ましい。
本発明に係る無段変速機及び無段変速機の変速比制御装置は、実入力回転速度が最終目標入力回転速度に到達するまでの時間の増大を抑制できる。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この発明を実施するための最良の形態(以下実施形態という)によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
(実施形態1)
図1は、ベルト式無段変速機を備えた車両の動力伝達部分における全体を示す構成図である。図1に示すように、車両100の動力伝達機構は、ベルト式無段変速機110と、動力発生手段としての内燃機関120と、トルクコンバータ130と、前後進切換機構140と、減速装置150と、差動装置160と、を備える。
内燃機関120は、円筒形状に形成されるシリンダの中心軸方向にピストンが往復運動し、前記ピストンの往復運動を回転運動に変換するクランクシャフト121から回転を出力する。
なお、内燃機関120は、ピストンとシリンダとを備えるいわゆるレシプロ式の内燃機関に限定されない。内燃機関120は、回転力を出力できるものであればよく、例えば、内燃機関120は、ロータリー式の内燃機関でもよいし、モータでもよい。
トルクコンバータ130は、流体クラッチの一種であり、内燃機関120から取り出された回転を、作動油を介して前後進切換機構140に伝える。また、トルクコンバータ130は内燃機関120から取り出されたトルクを増幅する。
前後進切換機構140は、トルクコンバータ130からの回転の回転方向を切り替えてベルト式無段変速機110へ前記回転を伝える。
ベルト式無段変速機110は、前後進切換機構140から入力される回転の回転速度を所望の回転速度に変更して出力する。なお、本実施形態では、例えば、無段変速機をベルト式無段変速機として説明するが、無段変速機はこれに限定されない。無段変速機は、例えば、トロイダル式でもよい。ベルト式無段変速機110の詳細な説明は後述する。
減速装置150は、ベルト式無段変速機110からの回転の回転速度を減速して差動装置160に前記回転を伝える。
差動装置160は、車両100が旋回する際に生じる旋回の中心側、つまり内側の車輪180と、外側の車輪180との回転速度の差を吸収する。
上記構成によって車両100の動力伝達機構は形成される。内燃機関120から取り出された回転は、クランクシャフト121を介してトルクコンバータ130に伝えられる。トルクコンバータ130によってトルクが増幅された回転は、インプットシャフト131を介して前後進切換機構140に伝えられる。
前後進切換機構140によって回転方向が切り替えられた回転は、プライマリシャフト51を介してベルト式無段変速機110に伝えられる。ベルト式無段変速機110によって、回転速度を変更された回転は、減速装置150に伝えられる。
減速装置150によって減速された回転は、減速装置150のファイナルドライブピニオン151と、ファイナルドライブピニオン151に噛み合う差動装置160のリングギア161とを介して差動装置160に伝えられる。
差動装置160に伝えられた回転は、ドライブシャフト170に伝達される。ドライブシャフト170の差動装置160側とは反対側には、車輪180が取り付けられる。ドライブシャフト170に伝えられた回転は車輪180に伝達される。これにより、車輪180は回転し、車輪180が路面に前記回転を伝達することにより車両100は走行する。
ベルト式無段変速機110は、入力側回転体としてのプライマリプーリ50と、出力側回転体としてのセカンダリプーリ60と、ベルト80とを含んで構成される。ベルト式無段変速機110は、プライマリプーリ50に回転が入力される。プライマリプーリ50に入力された回転は、セカンダリプーリ60に伝えられる。この時、前記回転は、その回転速度を調整される。
セカンダリプーリ60に伝えられた回転は、減速装置150に伝えられる。なお、入力軸であるプライマリシャフト51の回転速度をセカンダリシャフト61の回転速度で除算した値を変速比という。また、変速比を変更することを、以下、変速という。
図2は、実施形態1に係るプライマリプーリを示す断面図である。ベルト式無段変速機110は、プライマリプーリ50とセカンダリプーリ60とが、ほぼ同様に構成される。よって、本実施形態では、プライマリプーリ50を主に説明する。
プライマリプーリ50は、プライマリシャフト51と、プライマリ固定シーブ52と、可動部材としてのプライマリ可動シーブ53と、プライマリプーリ油圧室54と、スプライン55と、プライマリ隔壁56とを備える。プライマリシャフト51は、図1及び図2に示すように、軸受81、軸受82によってインプットシャフト131の回転軸と同軸上に回転可能に支持される。ここで、セカンダリシャフト61は、図1に示すように、軸受83、軸受84によってプライマリシャフト51に対して平行に回転可能に支持される。
プライマリシャフト51は、筒状に形成される。図2に示すように、プライマリシャフト51は、回転軸RLを軸として回転する。プライマリ固定シーブ52は、通常は、プライマリシャフト51と一体に形成される。なお、プライマリ固定シーブ52は、プライマリシャフト51と別個に形成され、プライマリシャフト51に固定して設けられてもよい。このように構成されて、プライマリ固定シーブ52は、回転軸RLを軸にプライマリシャフト51と一体に回転する。ここで、回転軸RLと直交する方向を径方向という。プライマリ固定シーブ52は、プライマリシャフト51の外周から径方向に突出して形成される。
プライマリ可動シーブ53は、プライマリシャフト51とは別個に形成される。プライマリ可動シーブ53は、プライマリシャフト51が嵌め込まれる貫通孔を有して形成される。前記貫通孔の内周面には、スプライン55が形成される。プライマリ可動シーブ53は、スプライン55を介してプライマリシャフト51に嵌め込まれて取り付けられる。プライマリ可動シーブ53は、プライマリ固定シーブ52と対向してプライマリシャフト51に嵌め込まれる。
スプライン55は、プライマリ可動シーブ53がプライマリシャフト51上をプライマリシャフト51の回転軸RLに沿って摺動できるようにプライマリ可動シーブ53を支持する。加えて、スプライン55は、回転軸RLを軸とする回転をプライマリシャフト51からプライマリ可動シーブ53へ伝える。よって、プライマリ可動シーブ53は、スプライン55により、プライマリシャフト51上をスライドして移動すると共に、プライマリシャフト51と一体に回転する。
プライマリ固定シーブ52とプライマリ可動シーブ53との間には、略V字形状のプライマリ溝80aが形成される。また、プライマリ可動シーブ53がプライマリシャフト51上を摺動することにより、プライマリ固定シーブ52とプライマリ可動シーブ53との距離が変化する。ここで、セカンダリプーリ60にも、図1に示すように、プライマリ溝80aと同様のセカンダリ溝80bが形成される。
プライマリ溝80aとセカンダリ溝80bとの間には、金属製の無端ベルトであるベルト80が巻き掛けられている。ベルト80は、プライマリプーリ50の回転をセカンダリプーリ60へ伝える。
図2に示すように、プライマリプーリ油圧室54は、プライマリシャフト51と、プライマリ可動シーブ53と、プライマリ隔壁56とによって囲まれて形成される空間である。プライマリ隔壁56は、貫通孔を有して形成される。プライマリ隔壁56は、前記貫通孔にプライマリシャフト51が嵌め込まれてプライマリシャフト51に設けられる。プライマリ隔壁56は、プライマリ可動シーブ53を境にして、プライマリ固定シーブ52側とは反対側に設けられる。
プライマリプーリ油圧室54に供給される作動油は、プライマリプーリ油圧室54内での圧力により、プライマリ可動シーブ53をプライマリ固定シーブ52側へ押す。これにより、プライマリ可動シーブ53は、プライマリシャフト51に沿ってプライマリ固定シーブ52側へ押される。このようにして、プライマリプーリ油圧室54は、プライマリ溝80aに巻き掛けられるベルト80に対して挟圧力を発生させる。
前記挟圧力により、プライマリ可動シーブ53とプライマリ固定シーブ52との距離が変化すると、セカンダリプーリ60が備えるセカンダリ固定シーブ62とセカンダリ可動シーブ63との距離もベルト80の張力を一定に保つように変化する。
ここで、プライマリ溝80aでベルト80が接触する部分がプライマリプーリ50からセカンダリプーリ60へと回転を伝える部分となる。このプライマリ溝80aでベルト80が接触する部分から回転軸RLまでの第1距離がプライマリプーリ50に対するベルト80の接触半径である。
セカンダリ溝80bでベルト80が接触する部分がプライマリプーリ50からセカンダリプーリ60へと回転を伝えられる部分となる。このセカンダリ溝80bでベルト80が接触する部分から回転軸までの第2距離がセカンダリプーリ60に対するベルト80の接触半径である。
ベルト式無段変速機110は、プライマリプーリ50に対するベルト80の接触半径と、セカンダリプーリ60に対するベルト80の接触半径とのうち少なくとも一方が変化することにより、変速比が変化する。このようにして、ベルト式無段変速機110は、内燃機関120から取り出された回転を変速する。
なお、トロイダル式の無段変速機の場合、無段変速機は、入力側回転体としての入力ディスクと、出力側回転体としての出力ディスクと、回転を入力ディスクから出力ディスクに伝える可動部材としてのパワーローラとを備える。この場合、無段変速機は、入力ディスクとパワーローラとが接触する部分から入力ディスクの回転軸までの距離と、出力ディスクとパワーローラとが接触する部分から出力ディスクの回転軸までの距離とを変更することで変速比が調節される。
プライマリシャフト51は、第1油路OL01を有する。第1油路OL01は、一方の端部が作動油の供給元であるオイルタンクOTに接続され、他方の端部がプライマリプーリ油圧室54に開口する。これにより、第1油路OL01は、オイルタンクOTとプライマリプーリ油圧室54との間で作動油を流す。第1油路OL01は、プライマリシャフト51の回転軸RLに沿う方向に形成される複数の軸方向油路OL01aと、回転軸RLと直交する方向に形成される複数の径方向油路OL01bとを含んで形成される。
第1油路OL01上には、オイルタンクOTからプライマリプーリ油圧室54に向かって順に、オイルポンプOPと、作動油流量調節手段としての作動油流量調節装置30とが設けられる。オイルポンプOPは、オイルタンクOTからプライマリプーリ油圧室54に向けて作動油を送る。
作動油流量調節装置30は、作動油流量調整弁ORと、電磁弁ORaとを含んで構成される。作動油流量調整弁ORは、プライマリプーリ油圧室54へ供給する作動油の量を調節する。作動油流量調整弁ORは、作動油が流れる油路によって電磁弁ORaと接続される。作動油流量調整弁ORには、前記油路を介して電磁弁ORaから信号油圧が入力される。この信号油圧に基づいて作動油流量調整弁ORはプライマリプーリ油圧室54に導く作動油の流量を調節する。
電磁弁ORaは、作動油が流れる油路によってオイルポンプOPと接続される。これにより、電磁弁ORaは作動油流量調整弁ORへと出力する信号油圧に必要な作動油を得る。また、電磁弁ORaは、ECU40と電気的に接続される。これにより、電磁弁ORaは、ECU40によって作動油流量調整弁ORへ出力する信号油圧が調節される。
電磁弁ORaは、例えば、ECU40が設定した作動油流量調節信号としてのデューティー比に応じた信号油圧を作動油流量調整弁ORへ出力する。ここで、電磁弁ORaは、電磁弁ORaに入力されるパルス信号により作動油流量調整弁ORへ出力する信号油圧が調節される。デューティー比とは、前記パルス信号のパルス幅をパルス周期で除算したものである。
電磁弁ORaは、例えば、前記パルス信号が入力された際に弁体が開弁する形式、いわゆるノーマルクローズ形式の電磁弁であった場合、デューティー比が0%である場合に信号油圧が最低圧となり、デューティー比が100%である場合に、信号油圧が最高圧となる。
作動油流量調整弁ORは、例えば、信号油圧が低下するほどプライマリプーリ油圧室54に導かれる作動油の流量が減少する。つまり、作動油流量調整弁ORは、デューティー比が高くなるほどプライマリプーリ油圧室54に導かれる作動油の流量が減少する。
また、作動油流量調整弁ORは、信号油圧が上昇するほどプライマリプーリ油圧室54に供給される作動油の流量が増加する。つまり、作動油流量調整弁ORは、デューティー比が低くなるほどプライマリプーリ油圧室54に供給される作動油の流量が増加する。
また、作動油流量調整弁ORは、プライマリプーリ油圧室54に導く作動油のうち、余分な作動油やプライマリプーリ油圧室54から排出された作動油をオイルタンクOTに戻す。このように、作動油流量調整弁ORは、いわゆるドレンとしての機能も実現する。
なお、作動油流量調節装置30は、弁体の開弁時間と閉弁時間との比によってプライマリプーリ油圧室54に導かれる作動油の流量を調節するものに限定されない。作動油流量調節装置30は、例えば、弁体の開度が調節されることによってプライマリプーリ油圧室54に導かれる作動油の流量を調節するものでもよい。この場合の作動油流量調節信号は、デューティー比ではなく、弁体の開度を調節するための情報を含む信号となる。
つまり、ECU40は、作動油流量調節装置30がプライマリプーリ油圧室54に導く作動油の流量を調節できる信号を作動油流量調節装置30に対して出力できればよい。これにより、ECU40の後述する変速比制御装置20は、プライマリプーリ油圧室54に導く作動油の流量を調節できる。
ベルト式無段変速機110は、図1に示す変速比センサD01と、車速センサD02と、アクセル開度開速度センサD03と、ECU40に組み込まれて構成される変速比制御手段としての変速比制御装置20とを備える。
変速比センサD01は、入力側回転速度センサD01aと、出力側回転速度センサD01bとを含んで構成される。入力側回転速度センサD01aは、プライマリシャフト51に設けられて、プライマリシャフト51の回転速度を検出する。
出力側回転速度センサD01bは、セカンダリシャフト61に設けられて、セカンダリシャフト61の回転速度を検出する。入力側回転速度センサD01a及び出力側回転速度センサD01bは、ECU40と電気的に接続される。これにより、ECU40は、変速比センサD01からベルト式無段変速機110の現在の変速比を取得する。
車速センサD02は、例えばドライブシャフト170に設けられる。車速センサD02は、車両100の車速を検出する。車速センサD02は、ECU40と電気的に接続される。これにより、ECU40は車速センサD02から車両100の速度を取得する。
アクセル開度開速度センサD03は、車両100の運転者が操作するアクセルペダル装置に設けられる。アクセル開度開速度センサD03は、アクセルペダルの開度及び開速度を検出する。ここで、アクセルペダルの開速度とは、単位時間あたりのアクセルペダルの開度の変化量である。アクセル開度開速度センサD03は、ECU40と電気的に接続される。これにより、ECU40はアクセル開度開速度センサD03からアクセルペダルの開度及び開速度を取得する。
図3は、変速比制御装置の構成を示すブロック図である。ECU40は、図1に示す内燃機関120、図2に示す電磁弁ORa等と電気的に接続され、これら内燃機関120、電磁弁ORa等の制御対象の動作を制御する。
ECU40は、例えば、内燃機関120のインジェクタ、点火プラグ、電子スロットル弁の開度を調節するアクチュエータ等とも電気的に接続される。これにより、ECU40は、インジェクタの燃料噴射量及び燃料噴射時期、点火プラグの点火時期、電子スロットル弁の開度等を制御する。つまり、ECU40は、インジェクタ、点火プラグ、電子スロットル弁等を制御することにより、内燃機関120から取り出されるトルクを制御する。
また、ECU40は、図1に示す変速比センサD01、車速センサD02、アクセル開度開速度センサD03、その他にも内燃機関120の各検出手段類に電気的に接続され、これらの検出手段から各種の情報を取得する。
図3に示すように、変速比制御装置20は、ECU40の中央演算装置Epに組み込まれて構成されている。ECU40は、中央演算装置Epと、記憶部Emと、入力ポートINp及び出力ポートOUTpと、入力インターフェースIFin及び出力インターフェースIFoutとから構成される。なお、ECU40とは別個に、変速比制御装置20を用意し、これをECU40に接続してもよい。
変速比制御装置20は、情報取得部21と、比較判定部22と、演算部23と、変速比制御部24と、を含んで構成される。情報取得部21は、変速比センサD01、車速センサD02、アクセル開度開速度センサD03等の検出手段が検出した結果、後述する記憶部Emに格納された情報、後述する機関制御部25が有する情報、等を取得する。
比較判定部22は、情報取得部21が各検出手段から得た数値や記憶部Emから取得した数値を比較する。演算部23は、情報取得部21が取得した数値に対して演算を行う。演算部23は、例えば、中央演算装置Epが有するカウンタに対して加算等の演算を行う。変速比制御部24は、プライマリシャフト51の回転速度が、目標とする回転速度になるように、ベルト式無段変速機110の変速比を制御する。
中央演算装置Epは、変速比制御装置20に加えて、機関制御部25を有する。機関制御部25は、内燃機関120の運転制御を行う。中央演算装置Epと記憶部Emとは、バスBcとにより接続される。中央演算装置Epと入力ポートINpとは、バスBaとにより接続される。中央演算装置Epと出力ポートOUTpとは、バスBbとにより接続される。
変速比制御装置20の情報取得部21は、機関制御部25が有する内燃機関120の運転制御データを取得し、これを利用する。また、変速比制御装置20は、ベルト式無段変速機110の変速比を制御する手順を、機関制御部25があらかじめ備えている内燃機関120の運転制御ルーチンに割り込ませてもよい。
入力ポートINpには、入力インターフェースIFinが接続されている。入力インターフェースIFinには、変速比センサD01、車速センサD02、アクセル開度開速度センサD03、その他各種検出手段が接続されている。
これらの各種検出手段から出力される信号は、入力インターフェースIFin内のアナログ/デジタルコンバータADCやディジタル入力バッファDIBにより、中央演算装置Epが利用できる信号に変換されて入力ポートINpへ送られる。これにより、中央演算装置Epは、ベルト式無段変速機110の変速比の制御や、内燃機関120の制御に必要な情報を取得できる。
出力ポートOUTpには、出力インターフェースIFoutが接続されている。出力インターフェースIFoutには、電磁弁ORaが接続される。また、出力インターフェースIFoutには、内燃機関120のインジェクタ、点火プラグ、電子スロットル弁のアクチュエータ、その他内燃機関120における制御対象が接続されている。
出力インターフェースIFoutは、制御回路IFouta、制御回路IFoutb等を備えており、中央演算装置Epで演算された制御信号に基づき、前記制御対象を動作させる。このような構成により、前記検出手段からの出力信号に基づき、ECU40の中央演算装置Epは、電磁弁ORa、インジェクタ、点火プラグ、電子スロットル弁を制御して、ベルト式無段変速機110の変速比及び内燃機関120の出力を制御する。
記憶部Emには、ベルト式無段変速機110の変速比を制御する手順を含むコンピュータプログラムや制御データマップが格納されている。記憶部Emは、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、フラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせにより構成できる。
上記コンピュータプログラムは、中央演算装置Epへ既に記録されているコンピュータプログラムとの組み合わせによって、ベルト式無段変速機110の変速比を制御する手順を実現できるものであってもよい。また、この変速比制御装置20は、前記コンピュータプログラムの代わりに専用のハードウェアを用いて、同等の機能を実現するものであってもよい。
図4は、アクセル開度の変化と各目標入力回転速度の変化とを示すグラフである。変速比制御装置20は、複数の目標入力回転速度を設定し車両100の走行状況やベルト式無段変速機110の運転状況によってプライマリシャフト51が目標とする目標入力回転速度を決定する。
変速比制御装置20は、フィードフォワード制御及びフィードバック制御により、変速比を調節することでプライマリシャフト51の回転速度を調節する。変速比制御装置20は、まず最終目標入力回転速度NINCを算出して、最終目標入力回転速度NINCから過渡時目標入力回転速度NINTを算出する。次に、変速比制御装置20は、プライマリシャフト51の実際の回転速度である実入力回転速度が過渡時目標入力回転速度NINTになるようにデューティー比を設定しベルト式無段変速機110を制御する。
また、変速比制御装置20は、目標入力回転速度と実入力回転速度との間に偏差が生じた際は、前記偏差の大きさに基づいてデューティー比を補正することでベルト式無段変速機110の変速比を制御する。ここで、偏差とは、目標入力回転速度と実入力回転速度との差である。
以下、過渡時目標入力回転速度NINTを算出し、プライマリシャフト51の実入力回転速度が過渡時目標入力回転速度NINTになるようにベルト式無段変速機110の変速比を制御することをフィードフォワード制御という。また、以下、目標入力回転速度と実入力回転速度との間に偏差が生じた場合、前記偏差に基づいてデューティー比を補正することをフィードバック制御という。以下に、各目標入力回転速度の算出方法の一例を説明する。まずは、最終目標入力回転速度NINCの算出方法の一例を説明する。
図4に示す最終目標入力回転速度NINCは、プライマリシャフト51が最終的に目標とする目標入力回転速度である。例えば、変速比制御装置20は、車速、アクセル開度をパラメータとして要求駆動力を算出する。
この要求駆動力の算出結果に基づいて、内燃機関120の出力が燃費最適線に沿うように、変速比制御装置20は、最終目標入力回転速度NINCを算出する。なお、燃費最適線とは、内燃機関120の各出力に燃料の消費量を最小に抑制できる機関トルクと機関回転速度との関係を示す線である。
図4に示すように、時期t01でアクセル開度PAPに変化があると、最終目標入力回転速度NINCは、時期t01でステップ的に変化する。ここで、ステップ的にとは、徐々に変化するのではなく一気に変化することをいう。
しかしながらプライマリシャフト51の実際の回転速度である実入力回転速度は、このようにステップ的に変化することはない。これは、ベルト式無段変速機110は、変速するためにプライマリ可動シーブ53がプライマリシャフト51上を移動する時間や、作動油が流動する時間等が必要となるためである。
そこで、変速比制御装置20は、プライマリ可動シーブ53がプライマリシャフト51上を移動できる速度を考慮し、また、作動油が流動する時間等を考慮して過渡時目標入力回転速度NINTを設定する。
過渡時目標入力回転速度NINTは、最終的に実入力回転速度が最終目標入力回転速度NINCとなるように時間の経過と共に徐々に変化する目標入力回転速度である。ここでは、過渡時目標入力回転速度NINTは、時期t02で最終目標入力回転速度NINCに到達する。以下に過渡時目標入力回転速度NINTの算出方法の一例を説明する。
過渡時目標入力回転速度NINTは、例えば、下記の式(1)により求められる。
NINT(i)=NINT(i−1)+K1×(NINC(i)−NINT(i−1))+K2・・・(1)
ここで、係数K1はなまし係数であり、係数K2は補正値(0でもよい)である。また、「(i)」は、制御ルーチンの実行周期における(i)番目の周期を意味する。また、「(i−1)」は(i)番目の前回を意味する。
このように、過渡時目標入力回転速度NINTは、現在の過渡時目標入力回転速度NINTと最終目標入力回転速度NINCとの差になまし係数が乗算された値に前回の過渡時目標入力回転速度NINTが加算されて算出される。
プライマリシャフト51の実入力回転速度は、時期t01以降、過渡時目標入力回転速度NINTを目標入力回転速度として過渡時目標入力回転速度NINTに追従するように変化し、最終的に例えば時期t02で最終目標入力回転速度NINCに到達する。
図5は、アクセル開度が徐々に変化する場合の、各目標入力回転速度の変化を示すグラフである。しかしながら、図5に示すように、時期t01以降、アクセル開度PAPが徐々に変化する場合、最終目標入力回転速度NINCがステップ的に変化した後に過渡時目標入力回転速度NINTのみでなく最終目標入力回転速度NINCも徐々に変化する。
これにより、過渡時目標入力回転速度NINTと最終目標入力回転速度NINCとの差が迅速に減少されず、過渡時目標入力回転速度NINTが迅速に最終目標入力回転速度NINCに到達できない。これにより、過渡時目標入力回転速度NINTを目標入力回転速度として過渡時目標入力回転速度NINTに追従するように変化する実入力回転速度が、最終目標入力回転速度NINCに到達するまでの時間が増大する。
このように、実入力回転速度が最終目標入力回転速度NINCに迅速に到達せず、プライマリシャフト51が最終目標入力回転速度NINCからはずれた回転速度で回転する時間が長くなると、車両100が単位燃料量あたりで走行できる距離が低下するおそれがある。これは、上述したように、最終目標入力回転速度NINCは内燃機関120の出力が燃費最適線に沿うように算出されたものであるためである。
変速比制御装置20は、以下に記す構成を備え、以下に記す手順を実行することにより、最終目標入力回転速度NINCがステップ的に変化した後にアクセル開度PAPが徐々に変化する際、実入力回転速度が最終目標入力回転速度NINCに到達するまでの時間の増大を抑制できる。
図3に示すように、変速比制御装置20は、演算部23に、第1制御量算出部23aと第2制御量算出部23bとが含まれて構成される。変速比制御装置20は、演算部23が、第1候補作動油流量調節信号としての第1候補デューティー比と、第2候補作動油流量調節信号としての第2候補デューティー比とを並行して算出する点に特徴がある。
第1候補デューティー比は第1制御量算出部23aにより算出される。また、第2候補デューティー比は第2制御量算出部23bにより算出される。
図6は、実施形態1に係る変速比制御装置が変速比の変更を実行するまでに実行する手順を示すフローチャートである。ベルト式無段変速機110に変速が要求されると、変速比制御装置20は、図6に示す2通りの手順を含む手順を実行する。
ここで、一方の一連の手順を第1候補デューティー比算出手順とし、他方の一連の手順を第2候補デューティー比算出手順とする。変速比制御装置20は、第1候補デューティー比算出手順と第2候補デューティー比算出手順とを例えば同時に並行して実行する。
第1候補デューティー比算出手順は、ステップST101、ステップST102、ステップST103の手順を含んで構成される。また、第2候補デューティー比算出手順は、ステップST101、ステップST104、ステップST105、ステップST106の手順を含んで構成される。ステップST101は、第1候補デューティー比算出手順と第2候補デューティー比算出手順との両方に含まれる共通の手順である。
まず、ステップST101で、演算部23は、上述の算出方法で最終目標入力回転速度NINCを算出する。以下に、最終目標入力回転速度NINCの算出方法の一例を具体的に説明する。
図7は、通常目標駆動力を求めるためのマップである。図7に示すマップm01で、縦軸は車両100が目標とする駆動力である目標駆動力、横軸は車速を示す。マップm01は、各アクセル開度PAPにおける車速と目標駆動力との関係を記述したものである。なお、マップm01は、記憶部Emに格納されている。
情報取得部21は、ECU40の記憶部Emからマップm01を取得する。次に、演算部23は、情報取得部21が取得したマップm01に基づいて目標駆動力を求める。なお、本実施形態では、演算部23はマップm01を用いて目標駆動力を求めたが、演算部23は、例えば、マップm01に相当する数式に基づいて目標駆動力を求めてもよい。
次に、演算部23は、車両100が目標とする出力である目標出力を求める。演算部23は、目標駆動力と車速とに基づいて目標出力を求める。具体的には、演算部23は、目標駆動力と車速と1000/3600とを乗算して目標出力を求める。演算部23は、この目標出力に基づいて最終目標入力回転速度NINCを算出する。
図8は、最終目標入力回転速度を求めるためのマップである。図8に示すマップm02において縦軸は最終目標入力回転速度NINC、横軸は目標出力を示す。マップm02は、各目標出力に基づいて最終目標入力回転速度NINCを記述したものである。ここで、マップm02は、燃費最適線によって導き出される。マップm02は、記憶部Emに格納されている。
まず、情報取得部21は、記憶部Emからマップm02を取得する。次に、演算部23は、情報取得部21が取得したマップm02に基づいて前記目標出力から最終目標入力回転速度NINCを求める。なお、本実施形態では、演算部23はマップm02を用いて最終目標入力回転速度NINCを求めたが、演算部23は、マップm02に相当する数式に基づいて最終目標入力回転速度NINCを求めてもよい。
変速比制御装置20は、以上の手順を実行することにより、図6に示すステップST101で最終目標入力回転速度NINCを算出する。まずは、第1候補デューティー比算出手順の残りの手順を説明する。
ステップST102で、第1制御量算出部23aは、上述の式(1)を用いて過渡時目標入力回転速度NINTを算出する。次に、ステップST103で、第1制御量算出部23aは過渡時目標入力回転速度NINTから第1候補デューティー比Du01を算出する。以下に、第1候補デューティー比Du01の算出方法を説明する。
図9は、第1候補デューティー比の算出方法の一例を示すフローチャートである。まず、ステップST201で、第1制御量算出部23aは、過渡時目標入力回転速度NINTに基づいて目標変速比を算出する。目標変速比とは、ベルト式無段変速機110が目標とする変速比である。第1制御量算出部23aは、プライマリシャフト51の回転速度が過渡時目標入力回転速度NINTとなる目標変速比を算出する。
次に、ステップST202で、第1制御量算出部23aは、目標変速比に基づいて目標シーブ位置を算出する。目標シーブ位置とは、ベルト式無段変速機110の変速比が目標変速比となるときのプライマリ可動シーブ53のプライマリ固定シーブ52に対する位置である。第1制御量算出部23aは、ベルト式無段変速機110の変速比が目標変速比となる目標シーブ位置を算出する。
次に、ステップST203で、情報取得部21は、変速比センサD01から現在の変速比を取得する。次に、ステップST204で、第1制御量算出部23aは、現在の変速比に基づいて現在のシーブ位置を算出する。
現在のシーブ位置とは、ベルト式無段変速機110が現在の変速比を実現するときのプライマリ可動シーブ53のプライマリ固定シーブ52に対する位置である。第1制御量算出部23aは、ベルト式無段変速機110の変速比が現在の変速比となる現在のシーブ位置を算出する。
次に、ステップST205で、第1制御量算出部23aは、現在のシーブ位置から目標シーブ位置までプライマリ可動シーブ53を移動させる際のプライマリ可動シーブ53の移動量を算出する。次に、ステップST206で、第1制御量算出部23aは、現在のシーブ位置から目標シーブ位置までのプライマリ可動シーブ53の移動量と受圧面積を乗算してプライマリ可動シーブ53を目標シーブ位置まで移動させるために必要な作動油の量を算出する。ここで、受圧面積とは、プライマリ可動シーブ53がプライマリ固定シーブ52へ近づく方向の力をプライマリ可動シーブ53が作動油から受ける面積である。
次に、ステップST207で、第1制御量算出部23aは、変速するために必要な作動油の量に基づいて第1候補デューティー比Du01を算出する。上記手順を実行することにより、第1制御量算出部23aは、プライマリシャフト51の回転速度が過渡時目標入力回転速度NINTとなるような第1候補デューティー比Du01を算出する。
次に、第2候補デューティー比算出手順の残りの手順を説明する。図6に示すステップST104で、情報取得部21は、アクセル開度開速度センサD03からアクセル開度PAP及びアクセル開速度PAPvを取得する。
次に、ステップST105で、比較判定部22は、アクセル開度PAPが0より大きく所定のアクセル開度である所定値a以下かつ、アクセル開速度PAPvが0より大きく所定のアクセル開速度である所定値b以下である状態が持続中か否かを判定する。
このようにして、比較判定部22は、ステップST105で持続して緩変速が要求されているか否かを判定する。緩変速とは、変速速度が比較的遅い場合の変速であり、車両100の運転者がアクセルペダルをわずかに操作した場合である。
所定値a及び所定値bは、ベルト式無段変速機110に要求されている変速が緩変速か急変速かを判定できる閾値である。上述のように、ベルト式無段変速機110が緩変速を要求されている場合、運転者はアクセルペダルをわずかに踏み込む。
この時のアクセル開度PAPは、比較的小さい値である。より具体的には、ベルト式無段変速機110に緩変速が要求される時のアクセル開度PAPは、ベルト式無段変速機110に急変速が要求される時のアクセル開度PAPよりも小さい値である。
また、ベルト式無段変速機110が緩変速を要求されている場合のアクセル開速度PAPvは、ベルト式無段変速機110が急変速を要求されている場合のアクセル開速度PAPvよりも小さくなる。このように所定値a及び所定値bを設定することにより、比較判定部22は、アクセル開度PAPが0より大きく所定値a以下、かつ、アクセル開速度PAPvが0より大きく所定値b以下の場合に、ベルト式無段変速機110は緩変速が要求されていると判定する。
比較判定部22は、このような緩変速がベルト式無段変速機110に例えば所定期間要求されている場合に、持続して緩変速が要求されていると判定する。具体的には、変速比制御装置20は、ベルト式無段変速機110に緩変速が要求されているか否かを所定の期間をあけて所定の回数判定し、ベルト式無段変速機110に緩変速が要求されていると判定された回数が閾値を超えた場合に、持続してベルト式無段変速機110に緩変速が要求されていると判定する。
持続してベルト式無段変速機110に緩変速が要求されていない場合(ステップST105、No)、変速比制御装置20は、第2候補デューティー比算出手順を終了する。
持続してベルト式無段変速機110に緩変速が持続して要求されている場合(ステップST105、Yes)、ステップST106で、第2制御量算出部23bは最終目標入力回転速度NINCから第2候補デューティー比Du02を算出する。以下に、第2候補デューティー比Du02の算出方法を説明する。
図10は、第2候補デューティー比の算出方法の一例を示すフローチャートである。なお、図10に示す一連の手順は、図9に示す一連の手順と同様な手順が含まれる。具体的には、ステップST302はステップST202と、ステップST303はステップST203と、ステップST304はステップST204と、ステップST305はステップST205と、ステップST306はステップST206と、内容が同様である。
よって、図10に示すステップST302からステップST306までの手順の説明を省略する。ステップST301で、第2制御量算出部23bは、最終目標入力回転速度NINCに基づいて目標変速比を算出する。目標変速比とは、ベルト式無段変速機110が目標とする変速比である。第2制御量算出部23bは、プライマリシャフト51の回転速度が最終目標入力回転速度NINCとなる目標変速比を算出する。
次に、第2制御量算出部23bは、ステップST302からステップST306の手順を実行する。次に、ステップST307で、第2制御量算出部23bは、無駄時間を考慮して変速するために必要な前記作動油の量を補正する。
ここで、無駄時間について説明する。仮に変速比制御装置20が、プライマリプーリ油圧室54に作動油を供給するように電磁弁ORaを制御したとする。しかし、実際に作動油がプライマリプーリ油圧室54に供給される時期は変速比の変更の指令がECU40から電磁弁ORaに入力された時期よりも後になる。
これは、作動油をプライマリプーリ油圧室54に供給するためには、作動油が油路を流れる時間や、電磁弁ORa及び作動油流量調整弁ORの動作に要する時間等が必要であるためである。このように、電磁弁ORa及び作動油流量調整弁ORの動作に要する時間によって、変速比の変更の指令が変速比制御装置20によって電磁弁ORaへ出力されてから実際に変速比が変更されるまでの時間を無駄時間という。
ステップST307では、第2制御量算出部23bは、例えば、変速するために必要な前記作動油の量であって補正後の作動油の量Qf1をステップST306で算出された作動油の量Qよりも大きく設定する。具体的には、補正後の作動油の量Qf1は、例えば、補正前の作動油の量Qに係数K3を乗算して算出される。
なお、係数K3は1より大きい値である。係数K3の具体的な値は無駄時間の大きさにより変わる。ここで、無駄時間の大きさはベルト式無段変速機110のオイルポンプOPの仕様や、作動油が流れる油路の長さや太さ、プライマリプーリ油圧室54の容量等により変わる。よって、係数K3の値は、あらかじめ試験やシミュレーションによって調査された無駄時間の大きさに基づいて設定される。
次に、ステップST308で、第2制御量算出部23bは、変速するために必要な作動油の量に基づいて第2候補デューティー比Du02を算出する。上記手順を実行することにより、第2制御量算出部23bは、プライマリシャフト51の回転速度が最終目標入力回転速度NINCとなるような第2候補デューティー比Du02を算出する。
次に、図6に示すステップST107で、比較判定部22は、第2候補デューティー比算出手順で算出した第2候補デューティー比Du02が100%以下であるか否かを判定する。これにより、ステップST107では、比較判定部22は、第2候補デューティー比Du02で作動油流量調節装置30を制御した場合、作動油流量調節装置30が必要な作動油の流量を実際に確保できるか否かを判定する。
第2候補デューティー比Du02は、計算により算出される理論上のデューティー比である。よって、第2候補デューティー比Du02は、100%を超える場合がある。ここで、デューティー比が100%を超える場合、プライマリプーリ油圧室54に導く作動油の流量が最大流量より大きくなる。これにより、ベルト式無段変速機110はそのデューティー比で作動油流量調節装置30を制御すると必要な作動油の流量を確保できない。
一方、デューティー比が100%以下である場合、プライマリプーリ油圧室54に導く作動油の流量が最大流量以下となる。これにより、ベルト式無段変速機110はそのデューティー比で作動油流量調節装置30を制御した場合すると必要な作動油の流量を確保できる。
第2候補デューティー比Du02が100%よりも大きい場合(ステップST107、No)、ステップST108で、変速比制御部24は、実際に用いるデューティー比を第1候補デューティー比Du01に設定する。
次に、ステップST109で、変速比制御部24は、フィードバック制御での目標値を過渡時目標入力回転速度NINTに設定する。つまり、変速比制御部24は、過渡時目標入力回転速度NINTと実入力回転速度との間に差が生じた場合に、この差を0にするようにデューティー比を補正するように設定する。次に、ステップST110で、変速比制御部24は、前記デューティー比でベルト式無段変速機110の変速比を変更する。
第2候補デューティー比Du02が100%以下である場合(ステップST107、Yes)、ステップST111で、変速比制御部24は、実際に用いるデューティー比を第2候補デューティー比Du02に設定する。
次に、ステップST112で、変速比制御部24は、フィードバック制御での目標値を最終目標入力回転速度NINCに設定する。つまり、変速比制御部24は、最終目標入力回転速度NINCと実入力回転速度との間に差が生じた場合に、この差を0にするようにデューティー比を補正するように設定する。次に、ステップST110で、変速比制御部24は、前記デューティー比でベルト式無段変速機110の変速比を変更する。
図11は、実入力回転速度の変化の一例を示すグラフである。変速比制御装置20が図6、図9、図10に示す手順を実行すると、実入力回転速度NINは例えば図11に示すように変化する。図11に示す時期t01から時期t03までの間は、第2候補デューティー比Du02が100%より大きい(図6のステップST107、No)期間であり、図11に示す時期t03以降は、第2候補デューティー比Du02が100%以下(図6のステップST107、Yes)の期間である。
時期t01から時期t03の間の期間、変速比制御装置20は、図6に示すステップST108で第1候補デューティー比Du01をデューティー比に設定し、ステップST109で過渡時目標入力回転速度NINTをフィードバック制御での目標値に設定する。よって、実入力回転速度NINは、時期t01から時期t03の間の期間中、過渡時目標入力回転速度NINTに追従するように変化する。
時期t03で、第2候補デューティー比Du02が100%以下(図6のステップST107、Yes)になると、時期t03以降、変速比制御装置20は、図6に示すステップST111で第2候補デューティー比Du02を実際に用いるデューティー比に設定し、ステップST112で最終目標入力回転速度NINCをフィードバック制御での目標値に設定する。
実入力回転速度NINは、時期t03以降、まずは最終目標入力回転速度NINCとの差を減少させるように変化する。次に、時期t04で最終目標入力回転速度NINCに到達すると、時期t04以降、実入力回転速度NINは最終目標入力回転速度NINCに追従するように変化する。
仮に、常に過渡時目標入力回転速度NINTを目標として実入力回転速度NINが過渡時目標入力回転速度NINTに追従するように変化した場合、アクセル開度PAPが徐々に変化する際、実入力回転速度が最終目標入力回転速度NINCに到達するまでの時間が増大する。
これは、最終目標入力回転速度NINCも徐々に変化するため、最終目標入力回転速度NINCと過渡時目標入力回転速度NINTとの差が迅速に縮まらないためである。よって、実入力回転速度が過渡時目標入力回転速度NINTに追従して変化する場合、実入力回転速度が最終目標入力回転速度NINCに到達するまでの時間が増大する。
しかしながら、図6に示す手順を実行することで、変速比制御装置20は、プライマリシャフト51が目標とする回転速度を過渡時目標入力回転速度NINTから最終目標入力回転速度NINCに切り替える。これにより、最終目標入力回転速度NINCと過渡時目標入力回転速度NINTとの差が迅速に縮まらなくても、実入力回転速度NINが最終目標入力回転速度NINCに到達するまでの時間の増大を抑制できる。
また、変速比制御装置20は、実入力回転速度NINが最終目標入力回転速度NINCに到達した後、実入力回転速度NINが最終目標入力回転速度NINC上を追従するように変化する。ここで、上述のように、最終目標入力回転速度NINCは燃費最適線に基づいて設定されている。よって、変速比制御装置20は、車両100が単位燃料量あたりで走行できる距離の低下を抑制できる。
図12は、実入力回転速度が目標入力回転速度に対してオーバーシュートする様子を示すグラフである。ここで、変速比制御装置20は、時期t01以降、時期t03までは、最終目標入力回転速度NINCを目標入力回転速度とせず、過渡時目標入力回転速度NINTを目標入力回転速度としてフィードフォワード制御によって変速比を制御する。
このように、変速比制御装置20は、実入力回転速度NINと最終目標入力回転速度NINCとの差がある程度減少されてから、目標入力回転速度を過渡時目標入力回転速度NINTから最終目標入力回転速度NINCに切り替える。
これにより、変速比制御装置20は、実入力回転速度NINが最終目標入力回転速度NINCに対してオーバーシュートするおそれや、最終目標入力回転速度NINCの周辺をハンチングするおそれを抑制できる。
オーバーシュートとは、実入力回転速度NINが目標入力回転速度よりも大きくなる現象である。オーバーシュートは、実入力回転速度NINと目標入力回転速度との差が大きいほど発生しやすい。
また、目標入力回転速度に対して実入力回転速度NINがオーバーシュートすると、オーバーシュートによって生じた実入力回転速度NINと目標入力回転速度との偏差を0にしようとして、実入力回転速度NINが目標入力回転速度の周辺を振動する。この現象がハンチングである。
このように、変速比制御装置20は、実入力回転速度NINが最終目標入力回転速度NINCに対してオーバーシュートするおそれや、最終目標入力回転速度NINCの周辺をハンチングするおそれを抑制できる。ここで、上述のように、最終目標入力回転速度NINCは燃費最適線に基づいて設定されている。よって、変速比制御装置20は、車両100が単位燃料量あたりで走行できる距離の低下をより良好に抑制できる。
なお、図11に示す時期t03で目標入力回転速度を最終目標入力回転速度NINCに切り替える場合、常に過渡時目標入力回転速度NINTを目標とする場合よりも変速速度が上昇するため、時期t04で変速速度の変化によりショックが発生するおそれが考えられる。
また、変速速度が変化することにより、イナーシャトルクが増大するおそれも考えられる。イナーシャトルクが増大すると、車両100が単位燃料量あたりで走行できる距離が低下するおそれがある。なお、イナーシャトルクとは、回転する回転体の慣性に逆らって前記回転体の回転速度を変更する際に損失されるトルクのことである。
イナーシャトルクが大きくなると、損失されたトルクを補うために、内燃機関120のインジェクタはより多くの燃料を噴射する。これにより、イナーシャトルクが増大すると、車両100が単位燃料量あたりで走行できる距離が低下する。
また、変速速度が増加すると、これにともなって車両100の駆動力の変化速度も大きくなる。これにより、車両100の運転者は、車両100の車速をアクセルペダルで修正する動作が増える。また、アクセル開度の変化量が同じであっても車両100の駆動力の変化量が大きくなると、運転者によるアクセルペダルの操作も難しくなる。このように、変速速度が上昇すると、ドライバビリティが低下するおそれが考えられる。
しかしながら、図6のステップST105で比較判定部22が判定するように、ここではベルト式無段変速機110に要求されている変速が緩変速の場合を前提としている。ベルト式無段変速機110に要求されている変速が緩変速である場合、最終目標入力回転速度NINCの単位時間あたりの変化量がそもそも緩やかである。
よって、変速比制御装置20は、時期t03で目標入力回転速度を過渡時目標入力回転速度NINTから最終目標入力回転速度NINCに切り替えても、時期t04で変速速度の変化により生じるショックは許容できる大きさになる。また、イナーシャトルクによる車両100が単位燃料量あたりで走行できる距離の低下量も許容できる大きさになる。また、ドライバビリティの低下も許容できる。
図13は、実入力回転速度の変化の他の一例を示すグラフである。ここで、変速比制御装置20は、図10に示すステップST307で、第2制御量算出部23bが無駄時間を考慮して変速するために必要な作動油の量を補正するものとして説明したが、変速比制御装置20は、変速するために必要な作動油の量を補正しなくてもよい。この場合、実入力回転速度NINは、図13に示すように、最終目標入力回転速度NINCと過渡時目標入力回転速度NINTとの間を変化する。
ここで、無駄時間が0であれば、実入力回転速度NINは最終目標入力回転速度NINCに到達し、最終目標入力回転速度NINC上を追従するように変化する。しかしながら、実際はベルト式無段変速機110の変速比が変化する際に無駄時間が生じる。よって、変速するために必要な作動油の量を、無駄時間を考慮して補正しない場合、実入力回転速度NINは、最終目標入力回転速度NINCよりも小さい値となる。
しかしながらこの場合であっても、常に過渡時目標入力回転速度NINTを目標入力回転速度として実入力回転速度NINが過渡時目標入力回転速度NINT上を追従するように変化する場合よりも、実入力回転速度NINと最終目標入力回転速度NINCとの差は小さくなる。
これにより、変速比制御装置20は、常に過渡時目標入力回転速度NINTを目標入力回転速度として実入力回転速度NINが過渡時目標入力回転速度NINT上を追従するように変化する場合よりも車両100が単位燃料量あたりで走行できる距離の低下を抑制できる。
なお、変速比制御装置20は、第1候補デューティー比Du01と、第2候補デューティー比Du02とを並行して算出するものとして説明したが、変速比制御装置20は、第1候補デューティー比Du01と、第2候補デューティー比Du02とを順に算出してもよい。この場合、変速比制御装置20は、図3に示す演算部23がまず第2候補デューティー比Du02を算出する。
ここで、第2候補デューティー比Du02が100%より大きかった場合のみ、演算部23が第1候補デューティー比Du01を算出する。その後、変速比制御部24は、実際に用いるデューティー比を第1候補デューティー比Du01に設定する。次に、変速比制御部24は、フィードバック制御での目標値を過渡時目標入力回転速度NINTに設定する。次に、変速比制御部24は、変速比を変更する。
また、第2候補デューティー比Du02が100%以下であった場合、演算部23は、第1候補デューティー比Du01を算出しない。変速比制御部24は、実際に用いるデューティー比を第2候補デューティー比Du02に設定する。次に、変速比制御部24は、フィードバック制御での目標値を最終目標入力回転速度NINCに設定する。次に、変速比制御部24は、変速を実行する。
変速比制御装置20は、このような手順を実行することでも、実入力回転速度が最終目標入力回転速度NINCに到達するまでの時間の増大を抑制できる。また、変速比制御装置20は、第1候補デューティー比Du01と、第2候補デューティー比Du02とを同時に並行して算出しないため、変速比制御装置20は、第1制御量算出部23aと第2制御量算出部23bとの両方を備えなくてもよい。
但し、変速比制御装置20は、第1候補デューティー比Du01と、第2候補デューティー比Du02とを同時に並行して算出した方が、実行すべき手順を同時に実行する分、ベルト式無段変速機110の変速比を変更するための一連の手順を実行するために要する時間が低減される。
(実施形態2)
実施形態1では、持続してベルト式無段変速機110に緩変速が要求されている場合を前提として、変速比制御装置20が実行する手順を説明した。実施形態2では、ベルト式無段変速機110に急変速が要求されている場合を前提として、変速比制御装置20が実行する手順を説明する。
図14は、実施形態2に係るベルト式無段変速機に急変速が要求された場合の各目標入力回転速度の変化と実入力回転速度の変化の一例を示すグラフである。図14に示すように、ベルト式無段変速機110に急変速が要求される場合もベルト式無段変速機110に緩変速が持続して要求される場合と同様に、式(1)によって算出される過渡時目標入力回転速度NINTが最終目標入力回転速度NINCに迅速に到達できないおそれがある。以下にその理由を説明する。
図14に示すように、時期t05で、ベルト式無段変速機110に急変速が要求された場合、時期t05以降にアクセル開度PAPが一定に保たれた場合であっても、変速比制御装置20は最終目標入力回転速度NINCを上昇させる。これは、ベルト式無段変速機110に急変速が要求された場合、アクセル開度PAPが一定であっても実入力回転速度を上昇させることでより強い加速感を車両100の運転者に与えるためである。
このように、ベルト式無段変速機110に急変速が要求される場合も、ベルト式無段変速機110に緩変速が持続して要求される場合と同様に最終目標入力回転速度NINCが時期t05でステップ的に変化した後、徐々に変化し続ける。これにより、過渡時目標入力回転速度NINTが最終目標入力回転速度NINCに到達するまでの時間が長くなる。
そこで、変速比制御装置20は、ベルト式無段変速機110に急変速が要求される場合も、ベルト式無段変速機110に緩変速が持続して要求される場合と同様の手順を実行することにより、実入力回転速度NINが最終目標入力回転速度NINCに到達するまでの時間の増大を抑制できる。
具体的には、変速比制御装置20は、ベルト式無段変速機110に急変速が要求される際に、第2候補デューティー比Du02が100%以下となった場合に実際に用いるデューティー比を第2候補デューティー比Du02に変更し、フィードバック制御での目標値を最終目標入力回転速度NINCに切り替えることで、実入力回転速度NINが最終目標入力回転速度NINCに到達するまでの時間の増大を抑制できる。
ここで、実入力回転速度NINは、例えば、時期t07で最終目標入力回転速度NINCに到達するとする。また、時期t06以降、第2候補デューティー比Du02が100%以下になるとする。
変速比制御装置20は、時期t06以降、第2候補デューティー比Du02が100%以下である場合に、第2候補デューティー比Du02を実際に用いるデューティー比に設定する。これにより、図14に示すように、実入力回転速度NINは、時期t07で最終目標入力回転速度NINCに到達し、時期t07以降は、最終目標入力回転速度NINC上を追従するように変化する。
しかしながら、時期t07で実入力回転速度NINが最終目標入力回転速度NINCに到達して変速速度が変化する際に生じるショックの大きさは、ベルト式無段変速機110に緩変速が持続して要求される場合よりもベルト式無段変速機110に急変速が要求される場合の方が大きい。
よって、ベルト式無段変速機110が以下に記す構成を備え、変速比制御装置20が以下に記す手順を実行することにより、実入力回転速度NINが最終目標入力回転速度NINCに到達して変速速度が変化する際に生じるショックを抑制する。
図1に示すように、ベルト式無段変速機110は、加速度センサD04を備える。加速度センサD04は、車両100の構造部材に設けられる。ここで、加速度センサD04は、クランクシャフト121や、プライマリシャフト51等の回転部材やその他の可動部材以外に設けられる。加速度センサD04は、車両100の加速度Gを検出する。よって、加速度センサD04は、車両100の加速度Gを検出できる部位に設けられればよい。
図3に示すように、加速度センサD04は、ECU40のディジタル入力バッファDIBと電気的に接続される。これにより、ECU40は加速度センサD04から車両100の加速度Gを取得する。なお、ECU40は車両100の加速度を取得できればよく、例えば、ECU40は、車速センサD02から車両100の加速度を取得してもよい。以下に、車速センサD02から車両100の加速度Gを取得する方法を説明する。
ECU40は、まず、図3に示す情報取得部21が車速センサD02から車速Cv(i)を取得する。次に、ECU40は、所定時間が経過してから情報取得部21が車速センサD02から車速Cv(i+1)を取得する。次に、ECU40は、演算部23が車速Cv(i+1)から車速Cv(i)を減算した値を前記所定時間で除算することで車両100の加速度Gを算出する。この場合、ベルト式無段変速機110は加速度センサD04を備えなくてもよい。
図15は、実施形態2に係る変速比制御装置が変速比の変更を実行するまでに実行する手順を示すフローチャートである。図15に示す一連の手順は、図6に示す一連の手順と同一な手順が含まれる。
具体的には、ステップST401はステップST101と、ステップST402はステップST102と、ステップST403はステップST103と、ステップST404はステップST104と、ステップST408はステップST108と、ステップST409はステップST109と、ステップST410はステップST110と、ステップST412はステップST112と、内容が同一である。
よって、図15に示す一連の手順のうち、図6に示す一連の手順と内容が同一な手順の説明を省略する。ステップST405で、比較判定部22は、アクセル開度PAPが所定値aよりも大きく、かつ、アクセル開速度PAPvが所定値bよりも大きいか否かを判定する。
このようにして、比較判定部22は、ステップST405で、ベルト式無段変速機110に急変速が要求されているか否かを判定する。急変速とは、変速速度が比較的速い場合の変速であり、車両100の運転者がアクセルペダルを一気に操作した場合である。
ベルト式無段変速機110に急変速が要求されていない場合(ステップST405、No)、変速比制御装置20は、第2候補デューティー比算出手順を終了する。ベルト式無段変速機110に急変速が要求されている場合(ステップST405、Yes)、ステップST406で、第2制御量算出部23bは最終目標入力回転速度NINCから第2候補デューティー比Du03を算出する。以下に、第2候補デューティー比Du03の算出方法を説明する。
図16は、第2候補デューティー比の算出方法の一例を示すフローチャートである。なお、図16に示す一連の手順は、図10に示す一連の手順と同一な手順が含まれる。
具体的には、ステップST501はステップST301と、ステップST502はステップST302と、ステップST503はステップST303と、ステップST504はステップST304と、ステップST505はステップST305と、ステップST506はステップST306と、内容が同一である。
よって、図16に示すステップST501からステップST506までの手順の説明を省略する。第2制御量算出部23bは、ステップST501からステップST506の手順を実行する。次に、ステップST507で、第2制御量算出部23bは、無駄時間及び図14の時期t06で生じるショックを考慮して変速するために必要な前記作動油の量を補正する。
ステップST507では、第2制御量算出部23bは、例えば、変速するために必要な前記作動油の量であって補正後の作動油の量Qf2をステップST506で算出された作動油の量Qよりも大きく設定する。具体的には、補正後の作動油の量Qf2は、例えば、補正前の作動油の量Qに係数K4を乗算して算出される。
なお、係数K4は1より大きい値、かつ、係数K4は上述の係数K3よりも小さい値である。係数K4は1より大きい値であるため、補正後の作動油の量Qf2は、補正前の作動油の量Qよりも大きくなる。さらに、係数K4は上述の係数K3よりも小さい値であるため、補正後の作動油の量Qf2は、無駄時間を考慮して補正されたの作動油の量Qf1よりも小さくなる。
ここで、係数K4は、1より大きく係数K3よりも小さい値であればあらかじめ設定される一定の値でもよい。但し、係数K4は、車両100の走行状況や、ベルト式無段変速機110の運転状況によって変化する値であるとより好ましい。以下に、係数K4の設定方法の一例を説明する。
係数K4は、例えば、車両100の加速度Gの変化速度である加速度変化速度ΔGに基づいて大きさが変わる。ここで、加速度変化速度ΔGは、単位時間あたりの加速度Gの変化量であり、いわゆるジャークである。係数K4は、加速度変化速度ΔGが大きいほど1に近い値に設定される。また、係数K4は、加速度変化速度ΔGが小さいほど係数K3に近い値に設定される。
変速比制御装置20は、係数K4として、例えば、係数K41、係数K42、係数K43・・・のように複数の値を記憶部Emに有する。そして、変速比制御装置20は、加速度変化速度ΔGの大きさによって、変速するために必要な作動油の量を補正する際に乗算する係数K4を係数K41、係数K42、係数K43・・・の中から選択する。
または、変速比制御装置20は、加速度変化速度ΔGの大きさ毎に、変速するために必要な作動油の量を補正する際に乗算する係数K4の大きさを記したマップを記憶部Emに有する。そして、変速比制御装置20は、現在の加速度変化速度ΔGの大きさを前記マップと照らし合わせて、変速するために必要な作動油の量を補正する際に乗算する係数K4を設定する。
このように前記マップを用いる場合、係数K41、係数K42、係数K43・・・の中から係数K4を選択する場合よりも係数K4の値がより細かく変化する。これにより、変速比制御装置20は、より精度よく変速するために必要な作動油の量を補正できる。
また、変速比制御装置20は、前記マップの代わりに、加速度変化速度ΔGの大きさと、係数K4の大きさとの関係を記した式に基づいて、係数K4を設定してもよい。この場合、前記式は、加速度変化速度ΔGが大きいほど係数K4が小さくなり、加速度変化速度ΔGが小さいほど係数K4が大きくなるような式である。
また、変速比制御装置20は、加速度変化速度ΔGの代わりに、変速比の変化速度である変速速度Δγに基づいて係数K4を設定してもよい。係数K4は、変速速度Δγが大きいほど1に近い値に設定される。また、係数K4は、変速速度Δγが小さいほど係数K3に近い値に設定される。
変速比制御装置20は、例えば、変速速度Δγを変速比センサD01から取得する。具体的には、情報取得部21が前回の変速比を記憶部Emから取得する。次に、演算部23が前回の変速比を現在の変速比を除算したものを「前回」と「現在」の間に経過した時間で乗算して変速速度Δγを算出する。
なお、変速速度Δγは、プライマリ可動シーブ53の移動速度と相関関係にある。変速速度Δγが大きいほど、プライマリ可動シーブ53の移動速度も大きい。よって、変速比制御装置20は、プライマリ可動シーブ53の移動速度を検出する手段を備えるのであれば、変速速度Δγの代わりに、プライマリ可動シーブ53の移動速度に基づいて係数K4を設定してもよい。
次に、ステップST508で、第2制御量算出部23bは、変速するために必要な作動油の量に基づいて第2候補デューティー比Du03を算出する。上記手順を実行することにより、第2制御量算出部23bは、プライマリシャフト51の回転速度が最終目標入力回転速度NINCとなるような第2候補デューティー比Du03を算出する。
次に、図15に示すステップST407で、比較判定部22は、第2候補デューティー比算出手順で算出した第2候補デューティー比Du03が100%以下であるか否かを判定する。これにより、ステップST407では、比較判定部22は、第2候補デューティー比Du03で作動油流量調節装置30を制御した場合、作動油流量調節装置30が必要な作動油の流量を実際に確保できるか否かを判定する。
第2候補デューティー比Du03が100%よりも大きい場合(ステップST407、No)、ステップST408で、変速比制御部24は、実際に用いるデューティー比を第1候補デューティー比Du01に設定する。
第2候補デューティー比Du03が100%以下である場合(ステップST407、Yes)、ステップST411で、変速比制御部24は、実際に用いるデューティー比を第2候補デューティー比Du03に設定する。次に、変速比制御装置20は、ステップST412、ステップST410を実行する。
図17は、急変速が要求されてベルト式無段変速機が第2候補デューティー比で変速する場合の実入力回転速度の変化の一例を示すグラフである。変速比制御装置20が図15に示す一連の手順を実行することにより、実入力回転速度NINは、図17に示すように時期t08で最終目標入力回転速度NINCに到達する。ここで、時期t08は、時期t07よりも後の時期である。
このように、変速比制御装置20は係数K4で必要な作動油の量を補正することにより、図17に示す実入力回転速度NINの変化速度が、係数K3で作動油の量を補正したときの図14に示す実入力回転速度NINの変化速度よりも小さくなる。よって、変速比制御装置20は、実入力回転速度NINが最終目標入力回転速度NINCに到達して変速速度が変化する際に生じるショックを抑制できる。
また、変速比制御装置20は、実入力回転速度NINが最終目標入力回転速度NINCに到達した際の実入力回転速度NINの変化速度が低減されることにより、イナーシャトルクによる車両100が単位燃料量あたりで走行できる距離の低下量を低減できる。
また、変速比制御装置20は、実入力回転速度NINが最終目標入力回転速度NINCに到達した際の実入力回転速度NINの変化速度が低減されることにより、ドライバビリティの低下を抑制できる。
以上のように、本発明に係る無段変速機及び無段変速機の変速比制御装置は、実入力回転速度が目標入力回転速度となるように変速する無段変速機に適しており、特に、実入力回転速度が最終も目標入力回転速度に到達するまでの時間の増大を抑制することに適している。
ベルト式無段変速機を備えた車両の動力伝達部分における全体を示す構成図である。 実施形態1に係るプライマリプーリを示す断面図である。 変速比制御装置の構成を示すブロック図である。 アクセル開度の変化と各目標入力回転速度の変化とを示すグラフである。 アクセル開度が徐々に変化する場合の、各目標入力回転速度の変化を示すグラフである。 実施形態1に係る変速比制御装置が変速比の変更を実行するまでに実行する手順を示すフローチャートである。 通常目標駆動力を求めるためのマップである。 最終目標入力回転速度を求めるためのマップである。 第1候補デューティー比の算出方法の一例を示すフローチャートである 第2候補デューティー比の算出方法の一例を示すフローチャートである。 実入力回転速度の変化の一例を示すグラフである。 実入力回転速度が目標入力回転速度に対してオーバーシュートする様子を示すグラフである。 実入力回転速度の変化の他の一例を示すグラフである。 実施形態2に係るベルト式無段変速機に急変速が要求された場合の各目標入力回転速度の変化と実入力回転速度の変化の一例を示すグラフである。 実施形態2に係る変速比制御装置が変速比の変更を実行するまでに実行する手順を示すフローチャートである。 第2候補デューティー比の算出方法の一例を示すフローチャートである。 急変速が要求されてベルト式無段変速機が第2候補デューティー比で変速する場合の実入力回転速度の変化の一例を示すグラフである。
符号の説明
20 変速比制御装置
21 情報取得部
22 比較判定部
23 演算部
23a 第1制御量算出部
23b 第2制御量算出部
24 変速比制御部
25 機関制御部
30 作動油流量調節装置
OR 作動油流量調整弁
ORa 電磁弁
40 ECU
50 プライマリプーリ
51 プライマリシャフト
52 プライマリ固定シーブ
53 プライマリ可動シーブ
54 プライマリプーリ油圧室
55 スプライン
56 プライマリ隔壁
60 セカンダリプーリ
61 セカンダリシャフト
62 セカンダリ固定シーブ
63 セカンダリ可動シーブ
80 ベルト
80a プライマリ溝
80b セカンダリ溝
81 軸受
82 軸受
83 軸受
84 軸受
100 車両
110 ベルト式無段変速機
120 他内燃機関
120 内燃機関
121 クランクシャフト
130 トルクコンバータ
131 インプットシャフト
140 前後進切換機構
150 減速装置
151 ファイナルドライブピニオン
160 差動装置
161 リングギア
170 ドライブシャフト
180 車輪
a、b 所定値
ADC アナログ/デジタルコンバータ
Ba バス
Bb バス
Bc バス
Cv 車速
Cv01 車速
Cv02 車速
D01 変速比センサ
D01a 入力側回転速度センサ
D01b 出力側回転速度センサ
D02 車速センサ
D03 アクセル開度開速度センサ
D04 加速度センサ
DIB ディジタル入力バッファ
dt 無駄時間
t01〜t09 時間
Em 記憶部
Ep 中央演算装置
IFin 入力インターフェース
IFout 出力インターフェース
IFouta 制御回路
IFoutb 制御回路
IFoutc 制御回路
INp 入力ポート
K1、K2、K3、K4 係数
m01、m02 マップ
NIN 実入力回転速度
NINC 最終目標入力回転速度
NINT 過渡時目標入力回転速度
OL01 第1油路
OL01a 軸方向油路
OL01b 径方向油路
OP オイルポンプ
OT オイルタンク
OUTp 出力ポート
RL 回転軸
PAP アクセル開度
PAPv アクセル開速度
G 加速度
Q 作動油の量
ΔG 加速度変化速度
Δγ 変速速度
t01〜t08 時期

Claims (10)

  1. 動力発生手段から取り出された回転が入力される入力側回転体と、
    前記入力側回転体からの回転が伝えられる出力側回転体と、
    前記入力側回転体から前記出力側回転体へと前記回転を伝える前記入力側回転体の部分から前記入力側回転体の回転軸までの第1距離と、前記入力側回転体からの前記回転が伝えられる前記出力側回転体の部分から前記出力側回転体の回転軸までの第2距離と、のうち少なくとも一方を変更することで前記入力側回転体の回転速度を前記出力側回転体の回転速度で除算した変速比を調節して前記入力側回転体の実際の回転速度である実入力回転速度を調節する変速比制御手段であって、
    アクセル開度から算出される最終目標入力回転速度がステップ的に変化した場合に、最終的に前記実入力回転速度が前記最終目標入力回転速度に到達するように徐々に変化する過渡時目標入力回転速度を算出し、
    前記最終目標入力回転速度がステップ的に変化すると、まず前記入力側回転体の目標とする回転速度を前記過渡時目標入力回転速度に設定して前記実入力回転速度を変化させ、
    前記実入力回転速度が前記最終目標入力回転速度に到達する前に、前記入力側回転体の目標とする回転速度を前記過渡時目標入力回転速度から前記最終目標入力回転速度に切り替えて前記実入力回転速度を変化させる
    変速比制御手段と、
    を備えることを特徴とする無段変速機。
  2. 前記変速比制御手段は、
    前記第1距離と前記第2距離とのうちの少なくとも一方を変更するための可動部材に力を与える油圧室に導かれる作動油の量を調節する作動油流量調節手段に入力される作動油流量調節信号を調節することで前記変速比を調節し、
    前記実入力回転速度が前記過渡時目標入力回転速度となる前記作動油流量調節信号の候補である第1候補作動油流量調節信号を算出し、
    前記実入力回転速度が前記最終目標入力回転速度となる前記作動油流量調節信号の候補である第2候補作動油流量調節信号を算出し、
    算出された前記第2候補作動油流量調節信号で前記作動油流量調節手段を制御した時の前記油圧室に導かれる前記作動油の流量が、前記作動油流量調節手段が前記油圧室に実際に導ける前記作動油の流量である最大流量を超える場合は、前記第1候補作動油流量調節信号で前記作動油流量調節手段を制御し、
    前記第2候補作動油流量調節信号で前記作動油流量調節手段を制御した時の前記油圧室に導かれる前記作動油の流量が、前記最大流量以下である場合は、前記第2候補作動油流量調節信号で前記作動油流量調節手段を制御する
    ことを特徴とする請求項1に記載の無段変速機。
  3. 前記変速比制御手段は、
    前記実入力回転速度が前記入力側回転体の目標とする回転速度である目標入力回転速度に到達するまでに必要になる前記作動油の量を、前記変速比の変更の指令があってから実際に前記変速比が変更されるまでの反応の遅れである無駄時間がない理論上の前記作動油の量よりも大きく設定して前記第2候補作動油流量調節信号を算出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の無段変速機。
  4. 前記変速比制御手段は、
    前記無段変速機を搭載する車両の加速度の変化速度が大きいほど前記実入力回転速度が前記目標入力回転速度に到達するまでに必要な前記作動油の量を小さく設定し、前記加速度の変化速度が小さいほど前記実入力回転速度が前記目標入力回転速度に到達するまでに必要な前記作動油の量を大きく設定することを特徴とする請求項3に記載の無段変速機。
  5. 前記変速比制御手段は、
    前記変速比の変化速度が大きいほど前記実入力回転速度が前記目標入力回転速度に到達するまでに必要な作動油の量を小さく設定し、前記変速比の変化速度が小さいほど前記実入力回転速度が前記目標入力回転速度に到達するまでに必要な作動油の量を大きく設定することを特徴とする請求項3に記載の無段変速機。
  6. 動力発生手段から取り出された回転が入力される入力側回転体から前記入力側回転体からの回転が伝えられる出力側回転体へと前記回転を伝える前記入力側回転体の部分から前記入力側回転体の回転軸までの第1距離と、前記入力側回転体からの前記回転が伝えられる前記出力側回転体の部分から前記出力側回転体の回転軸までの第2距離と、のうち少なくとも一方を変更することで前記入力側回転体の回転速度を前記出力側回転体の回転速度で除算した変速比を調節して前記入力側回転体の実際の回転速度である実入力回転速度を調節する変速比制御装置であって、
    アクセル開度から算出される最終目標入力回転速度がステップ的に変化した場合に、最終的に前記実入力回転速度が前記最終目標入力回転速度に到達するように徐々に変化する過渡時目標入力回転速度を算出し、
    前記最終目標入力回転速度がステップ的に変化すると、まず前記入力側回転体の目標とする回転速度を前記過渡時目標入力回転速度に設定して前記実入力回転速度を変化させ、
    前記実入力回転速度が前記最終目標入力回転速度に到達する前に、前記入力側回転体の目標とする回転速度を前記過渡時目標入力回転速度から前記最終目標入力回転速度に切り替えて前記実入力回転速度を変化させる
    ことを特徴とする変速比制御装置。
  7. 前記第1距離と前記第2距離とのうちの少なくとも一方を変更するための可動部材に力を与える油圧室に導かれる作動油の量を調節する作動油流量調節手段に入力される作動油流量調節信号を調節することで前記変速比を調節し、
    前記実入力回転速度が前記過渡時目標入力回転速度となる前記作動油流量調節信号の候補である第1候補作動油流量調節信号を算出し、
    前記実入力回転速度が前記最終目標入力回転速度となる前記作動油流量調節信号の候補である第2候補作動油流量調節信号を算出し、
    算出された前記第2候補作動油流量調節信号で前記作動油流量調節手段を制御した時の前記油圧室に導かれる前記作動油の流量が、前記作動油流量調節手段が前記油圧室に実際に導ける前記作動油の流量である最大流量を超える場合は、前記第1候補作動油流量調節信号で前記作動油流量調節手段を制御し、
    前記第2候補作動油流量調節信号で前記作動油流量調節手段を制御した時の前記油圧室に導かれる前記作動油の流量が、前記最大流量以下である場合は、前記第2候補作動油流量調節信号で前記作動油流量調節手段を制御する
    ことを特徴とする請求項6に記載の変速比制御装置。
  8. 前記実入力回転速度が前記入力側回転体の目標とする回転速度である目標入力回転速度に到達するまでに必要になる前記作動油の量を、前記変速比の変更の指令があってから実際に前記変速比が変更されるまでの反応の遅れである無駄時間がない理論上の前記作動油の量よりも大きく設定して前記第2候補作動油流量調節信号を算出することを特徴とする請求項6または請求項7に記載の変速比制御装置。
  9. 前記無段変速機を搭載する車両の加速度の変化速度が大きいほど前記実入力回転速度が前記目標入力回転速度に到達するまでに必要な前記作動油の量を小さく設定し、前記加速度の変化速度が小さいほど前記実入力回転速度が前記目標入力回転速度に到達するまでに必要な前記作動油の量を大きく設定することを特徴とする請求項8に記載の変速比制御装置。
  10. 前記変速比の変化速度が大きいほど前記実入力回転速度が前記目標入力回転速度に到達するまでに必要な作動油の量を小さく設定し、前記変速比の変化速度が小さいほど前記実入力回転速度が前記目標入力回転速度に到達するまでに必要な作動油の量を大きく設定することを特徴とする請求項8に記載の変速比制御装置。
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