JP3606130B2 - 無段変速機の変速制御装置 - Google Patents

無段変速機の変速制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トラクションコントロール装置(TCS)等の駆動力制御装置と無段変速機とが共に搭載された車両に適用される無段変速機の変速制御装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、トラクションコントロール装置と自動変速機が共に搭載された車両の変速制御装置としては、例えば、特開平4−64764号公報に記載のものが知られている。
【0003】
この公報には、トラクションコントロール装置が作動しているとき、駆動力の増減を原因として駆動輪車速が変動する。よって、この駆動輪車速を変速制御車速とする変速制御では変速比が変動する無用な変速制御が行われる。
【0004】
そこで、トラクションコントロール装置の作動時に安定した変速制御を確保するため、トラクションコントロール装置の作動時には、変速目標値を決める変速制御車速を、駆動輪速(車速センサ車速)に代えて従動輪速(推定車体速)を用いる技術が示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の自動変速機の変速制御装置にあっては、トラクションコントロール装置の作動中には、図9に示すように、変速制御に使っている従動輪速(推定車体速)が小さく、駆動輪速(車速センサ車速)の方が大きくなるため、変動を抑えた変速比が得られる指令を出しているものの、駆動輪速を変速制御に使う非作動時に比べてシフトアップしづらくなる。
【0006】
よって、トラクションコントロール装置が非作動時は、駆動輪速の上昇によってシフトアップすることによりエンジン回転数が低下するが、トラクションコントロール装置の作動時は、シフトアップしづらくなるためエンジン回転数が高めとなり、しかも、駆動輪スリップによる駆動輪速の上昇に伴ってエンジン回転数が上昇し、いわゆる、機関オーバーレブ状態が発生してしまうおそれがある。
【0007】
本発明は上記問題点に着目してなされたもので、駆動力制御装置の作動時に変速比変動を抑えた変速制御と、駆動力制御装置の作動時に機関オーバーレブを防止する変速制御との両立を図った無段変速機の変速制御装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のうち請求項1記載の発明では、タイヤと路面間に作用する制動力と駆動力のうち少なくとも一方を制御するスリップ制御装置と、エンジンからの入力回転を無段階に変速して駆動輪への出力回転を得る無段変速機とが搭載された車両であって、
少なくとも車両の変速制御車速を含む走行状態を入力とし、前記無段変速機の変速後の入力回転数或いは変速比を設定する変速制御手段と、
前記スリップ制御装置の作動状態を判断する作動状態判断手段と、
該作動状態判断手段によりスリップ制御装置が作動していない場合には、駆動輪速である車速センサ車速に基づく変速制御車速を前記変速制御手段に入力し、スリップ制御装置が作動している場合には、制駆動力制御に用いる推定車体速に基づく変速制御車速を前記変速制御手段に入力する無段変速機の変速制御装置において、
前記スリップ制御装置のうち駆動力制御装置が作動している場合、推定車体速を使用して現在の運転状態での定常的な目標変速比を算出する定常目標変速比算出手段と、
前記定常目標変速比算出手段により算出された定常目標変速比を、車速センサ車速により求められるロー側変速比制限値により制限する定常目標変速比制限手段と、
を備えていることを特徴とする。
【0009】
本発明のうち請求項2記載の発明では、請求項1記載の無段変速機の変速制御装置において、
前記定常目標変速比制限手段を、その時の車速センサ車速によりロー側変速比制限値をリアルタイムに求め、算出された定常目標変速比がロー側変速比制限値より低い場合にロー側変速比制限値に制限する手段としたことを特徴とする。
【0010】
本発明のうち請求項3記載の発明では、請求項1または請求項2記載の無段変速機の変速制御装置において、
前記定常目標変速比制限手段を、車速センサ車速とロー側変速比制限値との関係を示すロー側変速比制限値マップを予め設定し、検出された車速センサ車速を用いたマップ検索によりロー側変速比制限値を求める手段としたことを特徴とする。
【0011】
本発明のうち請求項4記載の発明では、請求項3記載の無段変速機の変速制御装置において、
前記ロー側変速比制限値マップを、エンジン回転数の上限値を一定値に規定するように車速センサ車速とロー側変速比制限値との関係を決めたマップとしたことを特徴とする。
【0012】
【発明の作用および効果】
本発明のうち請求項1記載の発明にあっては、エンジンからの入力回転を無段階に変速して駆動輪への出力回転を得る無段変速機の変速制御手段において、少なくとも車両の変速制御車速を含む走行状態を入力とし、無段変速機の変速後の入力回転数或いは変速比が設定される。
【0013】
この変速制御時、作動状態判断手段によりスリップ制御装置が作動していないと判断された場合には、駆動輪速である車速センサ車速に基づく変速制御車速を変速制御手段に入力される。一方、作動状態判断手段によりスリップ制御装置が作動していると判断された場合には、制駆動力制御に用いる推定車体速に基づく変速制御車速を変速制御手段に入力される。
【0014】
そして、スリップ制御装置のうち駆動力制御装置が作動している場合、定常目標変速比算出手段において、推定車体速を使用して現在の運転状態での定常的な目標変速比が算出され、定常目標変速比制限手段において、定常目標変速比算出手段により算出された定常目標変速比が、車速センサ車速により求められるロー側変速比制限値により制限される。
【0015】
このように、駆動力制御装置の作動時には、定常目標変速比を算出する変速制御車速として推定車体速が使用されるため、駆動力制御装置の作動時においても変速制御車速を車速センサ車速とする場合のように、駆動輪速である車速センサ車速の変動に伴う変速比変動が抑えられる。
【0016】
一方、変速制御に従動輪速に基づく推定車体速を使用すると、変速制御に駆動輪速に基づく車速センサ車速を使用する場合に比べ、変速制御車速が小さくなりシフトアップしづらくなる。これに対し、駆動力制御装置の作動時には、定常目標変速比制限手段において、推定車体速を使用して得られた定常目標変速比を、車速センサ車速により求められるロー側変速比制限値により制限するようにしているため、定常目標変速比のうちロー側変速比は、車速センサ車速を使用した変速制御レベルの変速比とされ、駆動力制御装置の作動時であるにもかかわらずエンジン回転数が低めに抑えられ、さらに、駆動輪スリップによる駆動輪速の上昇があっても制限のないシフトアップ方向には変速し易く、エンジン回転数の上昇を抑えることができる。
【0017】
すなわち、駆動力制御装置の作動時に変速制御車速を推定車体速とすることでの変速比変動を抑えた変速制御と、駆動力制御装置の作動時に車速センサ車速により定常目標変速比のロー側変速比を制限することでの機関オーバーレブを防止する変速制御との両立を図ることができる。
【0018】
本発明のうち請求項2記載の発明にあっては、定常目標変速比制限手段において、その時の車速センサ車速によりロー側変速比制限値がリアルタイムに求められ、算出された定常目標変速比がロー側変速比制限値より低い場合にはロー側変速比制限値に制限される。
【0019】
定常目標変速比制限手段で使用する車速センサ車速は、例えば、定常目標変速比の算出を開始するときに推定車体速と共に読み込まれたデータを用いることができる。しかし、この場合、車速センサ車速の読み込み時点から、定常目標変速比の算出処理を経過して定常目標変速比を制限する時点までに演算処理時間を要し、ロー側変速比制限値を決める車速センサ車速データが古いデータとなり、駆動力制御装置の作動による駆動輪速の上昇や下降の変動に対応できない。
【0020】
これに対し、定常目標変速比制限する時の車速センサ車速によりロー側変速比制限値がリアルタイムに求められることで、駆動力制御装置の作動による駆動輪速の上昇や下降の変動に対応し、エンジン回転数を上昇させることのない定常目標変速比を得ることができる。
【0021】
本発明のうち請求項3記載の発明にあっては、車速センサ車速とロー側変速比制限値との関係を示すロー側変速比制限値マップが予め設定されていて、定常目標変速比制限手段において、検出された車速センサ車速を用いたマップ検索によりロー側変速比制限値が容易に求められる。
【0022】
本発明のうち請求項4記載の発明にあっては、ロー側変速比制限値マップが、エンジン回転数の上限値を一定値に規定するように車速センサ車速とロー側変速比制限値との関係を決めたマップとされる。
【0023】
したがって、駆動力制御装置の作動中であって、ダウンシフト方向には定常目標変速比がロー側変速比制限値により制限される状態で推移する場合、ロー側変速比の制限により、エンジン回転数が設定されたエンジン回転数上限値を上回るような変速比変化によるダウンシフトが行われることが無く、確実に機関オーバーレブを防止することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明による無段変速機の変速制御装置を、図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
[無段変速機の伝動ユニット及び変速制御装置の構成について]
図1及び図2は、本発明による無段変速機の変速制御装置を備えるトロイダル型無段変速機を示し、図1はトロイダル型無段変速機の伝動ユニットを示す縦断側面図、図2はトロイダル型無段変速機の変速制御装置を示す図である。
【0026】
まず、トロイダル型無段変速機の主要部である伝動ユニットを、図1により説明する。この伝動ユニットは、図示しないエンジンからの回転が伝達される入力軸20を備え、この入力軸20は、図1に示すように、エンジンから遠い端部を変速機ケース21内に軸受22を介して回転自在に支持し、中央部を変速機ケース21の中間壁23内に軸受24及び中空出力軸25を介して回転自在に支持する。
【0027】
前記入力軸20には入力コーンディスク1を支持し、前記中空出力軸25には出力コーンディスク2を支持し、入出力コーンディスク1,2は、そのトロイド曲面1a,2aが互いに対向するように同軸配置する。
【0028】
そして、入出力コーンディスク1,2の対向するトロイド曲面1a,2a間には、入力軸20を挟んでその両側に配置した一対のパワーローラ3,3を介在させ、これらのパワーローラ3,3を入出力コーンディスク1,2間に挟圧するために、以下の構成を採用する。
【0029】
すなわち、入力軸20の軸受22側端部にローディングナット26を螺合し、このローディングナット26により抜け止めして入力軸20上に回転係合させたカムディスク27と、入力コーンディスク1のトロイド曲面1aから遠い端面との間にローディングカム28を介在させ、このローディングカム28を介して、入力軸20からカムディスク27への回転が入力コーンディスク1に伝達されるようになす。
【0030】
ここで、入力コーンディスク1の回転は両パワーローラ3,3の回転を介して出力コーンディスク2に伝わり、この伝動中、ローディングカム28は伝達トルクに比例したスラストを発生して、パワーローラ3,3を入出力コーンディスク1,2間に狭圧し、上記動力伝達を可能にする。
【0031】
前記出力コーンディスク2は、出力軸25に楔着し、この出力軸25上に出力歯車29を一体回転するように嵌着する。
【0032】
出力軸25はさらに、ラジアル兼スラスト軸受30を介して変速機ケース21の端蓋31内に回転自在に支持し、この端蓋31内には別にラジアル兼スラスト軸受32を介して入力軸20を回転自在に支持する。ここで、ラジアル兼スラスト軸受30,32は、スペーサ33を開始て相互に接近しないように突き合わせ、また相互に遠ざかる方向への相対変位不能になるよう、対応する出力歯車29入力軸20に対し軸線方向に衝接させる。
【0033】
上記構成により、ローディングカム28によって入出力コーンディスク1,2間に作用するスラストは、スペーサ33を挟むような内力となり、変速機ケース21に作用することがない。
【0034】
各パワーローラ3,3は、図2にも示すように、トラニオン41,41に回転自在に支持し、このトラニオン41,41は、それぞれ上端を球面継手42によりアッパリンク43の両端に回転自在及び揺動自在に、また、下端を球面継手44によりロアリンク45の両端に回転自在及び揺動自在に連結する。
【0035】
そして、アッパリンク43及びロアリンク45は、中央を球面継手46,47により変速機ケース21に上下方向揺動可能に支持し、両トラニオン41,41を相互逆向きにに同期して上下動させ得るようにする。
【0036】
このように、両トラニオン41,41を、相互逆向きに同期して上下動させることによって変速を行う変速制御装置を、図2に基づいて説明する。
【0037】
各トラニオン41,41は、これらを個々に上下方向へストロークさせるためのピストン6,6を設け、両ピストン6,6の両側に、それぞれ上方室51,52及び下方室53,54を画成する。そして両ピストン6,6を相互逆向きにストローク制御するために、変速制御弁5を設置する。
【0038】
ここで、変速制御弁5は、スプール型の内弁体5aと、スリーブ型の外弁体5bとを相互に摺動可能に嵌合し、外弁体5bを弁ケース5cに摺動自在に嵌合して構成する。
【0039】
上記変速制御弁5は、入力ポート5dを圧力源55に接続し、一方の連絡ポート5eをピストン室51,54に、また、他方の連絡ポート5fをピストン知る52,53にそれぞれ接続する。
【0040】
そして、内弁体5aを、一方のトラニオン41の下端に固着したプリセスカム7のカム面に、ベルクランク型の変速レバー8を介して共働させ、外弁体5bを変速アクチュエータとしてのステップモータ4に、ラックアンドピニオン型式で駆動係合させる。
【0041】
変速制御弁5の操作指令は、アクチュエータ駆動位置指令Astep(ステップ位置指令)に応動するステップモータ4が、ラックアンドピニオンを介し外弁体5bにストロークとして与えることとする。
【0042】
この操作指令で、変速制御弁5の外弁体5bが内弁体5aに対し相対的に中立位置から、例えば、図2の位置に変位されて変速制御弁5が開くとき、圧力源55からの流体圧(ライン圧PL)が室52,53に供給される一方、他の室51,54がドレンされ、また、変速制御弁5の外弁体5bが内弁体5aに対し相対的に中立位置から逆方向に変位されて変速制御弁5が開くとき、圧力源55からの流体圧が室51,54に供給される一方、他の室52,53がドレンされ、両トラニオン41,41が流体圧でピストン6,6を介して図中、対応した上下方向へ相互逆向きに変位されるものとする。
【0043】
これにより両パワーローラ3,3は、回転軸軸Oが入出力コーンディスク1,2の回転軸線Oと交差する図示位置からオフセット(オフセット量y)されることになり、核オフセットによりパワーローラ3,3は入出力コーンディスク1,2からの首振り分力で、自己の回転軸線Oと直行する首振り軸線Oの周りに傾転(傾転角φ)されて無段変速を行うことができる。
【0044】
このような変速中、一方のトラニオン41の下端に結合したプリセスカム7は、変速リンク8を介して、トラニオン41及びパワーローラ3の上述した上下動(オフセット量y)及び傾転角φを変速制御弁5の内弁体5aに機械的にxで示すようにフィードバックされる。
【0045】
そして上記無段変速により、ステップモータ4へのアクチュエータ駆動位置指令Astepに対応した変速比指令値が達成される時、上記のプリセスカム7を介した機械的フィ一ドバックが変速制御弁5の内弁体5aをして、外弁体5bに対し相対的に初期の中立位置に復帰させ、同時に、両パワーローラ3,3は、回転軸線Oが入出力コーンディスク1,2の回転軸線0と交差する図示位置に戻ることで、上記変速比指令値の達成状態を維持することができる。
【0046】
なお、パワーローラ傾転角φを変速比指令値に対応した値にすることが制御の狙いであるから、基本的にプリセスカム7はパワーローラ傾転角φのみをフィードバックすればよいことになるが、ここでパワーローラオフセット量yをもフィードバックする理由は、変速制御が振動的になるのを防止ずるダンピング効果を与えて、変速制御のハンチング現象を回避するためである。
【0047】
ステップモータ4へのアクチュエ一タ駆動位置指令Astepは、コントローラ61によって決定される。
【0048】
このためにコントローラ61には図2に示すように、エンジンスロットル開度TVOを検出するスロットル開度センサ62からの信号、車速VSPを検出する車速センサ63からの信号、入力コーンディスク1の回転数Ni(エンジン回転数Neでもよい)を検出する入力回転センサ64からの信号、出力コーンディスク2の回転数Noを検出する出力回転センサ65からの信号、変速機作動油温TMPを検出ずる油温センサ66からの信号、前記油圧源55からのライン圧Pを検出する(通常は、ライン圧Pをコントローラ61で制御するからコントローラ61の内部信号から検知する)ライン圧センサ67からの信号、工ンジン回転数Neを検出するエンジン回転センサ68からの信号、インヒビタスイッチ60からのレンジ情報についての信号、UP/DOWNスイッチ69からのUP/DOWN情報についての信号、モード選択スイッチ70からの選択モード信号、工ンジン制御装置310からのトルクダウン許可信号、アンチスキッド制御装置(ABS)320からのABS制御信号、トラクションコントロール装置(TCS)330からのTCS制御信号及び定速走行装置340からのASCDクルーズ信号をそれぞれ入力する。
【0049】
コントローラ61は、上記の各種入力情報を基にして以下の演算によってステップモータ4へのアクチュエータ駆動位置指令Astep(変速指令値)を決定するものとする。
【0050】
[コントローラの構成について]
本実施の形態では、コントローラ61を図3に示すように構成する。
【0051】
変速マップ選択部71は、図2のセンサ66で検出した油温TMPや、排気浄化触媒の活性化運転中か否かなど、各種条件に応じて変速マッブを選択する。
【0052】
到達入力回転数算出部72は、このようにして選択された変速マップが例えば図4に示すようなものである場合について説明すると、図2のセンサ62,63でそれぞれ検出したスロットル開度TVO及び車速VSPから、同図の変速線図に対応した変速マップをもとに、現在の運転状態での定常的な目標入力回転数とすべき到達入力回転数Niを検索して求める。
【0053】
到達変速比演算部73は、到達入力回転数Niを図2のセンサ65で検出した変速機出力回転数Noで除算することによって、到達入力回転数Niに対応する定常的な目標変速比である到達変速比iを求める。
【0054】
変速時定数算出部74は、選択レンジ(前進通常走行レンジD、前進スポーツ走行レンジDs)、車速VSP、スロットル開度TVO、エンジン回転数Ne、アクセルペダル操作速度、トルクダウン制御装置(図示せず)からのトルクダウン量に関する信号及びトルクダウン許可信号、アンチスキッド制御信号、トラクション制御信号、定速走行信号、後に説明する目標変速比Ratio0との変速比偏差RtoERR、などの各種条件に応じて変速制御の第1変速時定数Tg1及び第2変速時定数Tg2を決定するとともに、到達変速比iと目標変速比Ratio0との偏差Eipを算出する。
【0055】
ここでトロイダル型無段変速機の2次的な遅れ系に対応するために決定される第1変速時定数Tg1及び第2変速時定数Tg2は、到達変速比iに対する変速の応答性を決定して変速速度を定めるためのもので、目標変速比算出部75は、到達変速比iを第1変速時定数Tg1及び第2変速時定数Tg2で定めた変速応答をもって実現するための過渡的な時時刻々の目標変速比Ratio0及び中間変速比Ratio00をそれぞれ算出し、目標変速比Ratio0のみを出力する。
【0056】
入力トルク算出部76は、周知の方法によって変速機入力トルクTiを求めるものであり、先ずスロットル開度TVO及びエンジン回転数Neからエンジン出力トルクを求め、次いでトルクコンバータの入出力回転数(Ne,Ni)比である速度比からトルクコンバータのトルク比tを求め、最後にエンジン出力トルクにトルク比tを乗じて変速機入力トルクTiを算出する。
【0057】
トルクシフト補償変速比算出部77は、過渡的な上記目標変速比Ratio0及び当該変速機入力トルクTiから、トロイダル型無段変速機に特有なトルクシフト(変速比の不正)をなくすためのトルクシフト補償変速比TSrtoを算出する。
【0058】
ここで、トロイダル型無段変速機のトルクシフトを補足説明すると、トロイダル型無段変速機の伝動中には、既に説明したようにしてパワーローラ3,3を入出力コーンディスク1,2間に挟圧することからトラニオン41の変形が発生し、これによりこのトラニオンの下端におけるプリセスカム7の位置が変化してプリセスカム7及び変速リンク8からなる機械的フィードバック系の系路長変化を惹起し、これによって上記トルクシフトを発生させる。
【0059】
したがって、トロイダル型無段変速機のトルクシフトは、目標変速比Ratio0及び変速機入力トルクTiによって異なり、トルクシフト補償変速比算出部77は、これらの2次元マップからトルクシフト補償変速比TSrtoを検索によって求める。
【0060】
実変速比算出部78は、変速機入力回転数Niを図2のセンサ65で検出した変速機出力回転数Noで除算することによって、実変速比Ratioを算出する。変速比偏差算出部79は、上記目標変速比Ratio0から実変速比Ratioを差し引いて、両者間における変速比偏差RtoERR(=Ratio0−Ratio)を求める。
【0061】
第1フィードバック(FB)ゲイン算出部80は、変速比偏差RtoERRに応じた周知のPID制御(Pは比例制御、Iは積分制御、Dは微分制御)による変速比フィードバック補正量を算出するときに用いられ、それぞれの制御のフィードバックゲインのうち、変速機入力回転数Ni及び車速VSPに応じて決定すべき第1の比例制御用フィードバックゲインfbpDATA1、積分制御用フィードバックゲインfbiDATA1、及び微分制御用フィードバックゲインfbdDATA1をそれぞれ求める。
【0062】
これら第1のフィードバックゲインfbpDATA1,fbiDATA1,fbdDATA1は、変速機入力回転数Ni及び車速VSPの2次元マップとして予め定めておき、このマップを基に変速機入力回転数Ni及び車速VSPから検素により求めるものとする。
【0063】
第2フィードバック(FB)ゲイン算出部81は、上記PID制御による変速比フィードバック補正量を算出するときに用いるフィードバックゲインのうち、変速機作動油温TMP及びライン圧Pに応じて決定すべき第2の比例制御用フィードバックゲインfbpDATA2、積分制御用フィードバックゲインfbiDATA2、及び微分制御用フィードバックゲインfbdDATA2をそれぞれ求める。
【0064】
これら第2のフィードバックゲインfbpDATA2,fbiDATA2,fbdDATA2は、作動油温TMP及びライン圧Pの2次元マップとして予め定めておき、このマップを基に作動油温TMP及びライン圧Pから検索により求めるものとする。
【0065】
フィードバックゲイン算出部83は、上記第1のフィ一ドバックゲイン及び第2のフィードバックゲインを対応するもの同士掛け合わせて、比例制御用フィードバックゲインfbpDATA(=fbpDATA1×fbpDATA2)、積分制御用フィードバックゲインfbiDATA(=fbiDATA1×fbiDATA2)、及び微分制御用フィードバックゲインfbdDATA(=fbdDATA1×fbdDATA2)を求める。
【0066】
PID制御部84は、以上のようにして求めたフィードバックゲインを用い、変速比偏差RtoERRに応じたPID制御による変速比フィードバック補正量FBrtoを算出するために、
先す比例制御による変速比フィードバック補正量をRtoERR×fbpDATAにより求め、
次いで積分制御による変速比フィードバック補正量を∫RtoERR×fbiDATAにより求め、
更に微分制御による変速比フィードバック補正量を(d/dt)RtoERR×fbdDATAにより求め、
最後にこれら3者の和値をPID制御による変速比フィードバック補正量FBrto(=RtoERR×fbpDATA+∫RtoERR×fbiDATA+(d/dt)RtoERR×fbdDATA)とする。
【0067】
目標変速比補正部85は、目標変速比Ratio0をトルクシフト補償変速比TSrto及び変速比フィードバック補正量FBrtoだけ補正して、補正済目標変速比DsrRTO(=Ratio0+TSrto+FBrto)を求める。目標ステップ数(アクチュエータ目標駆動位置)算出部86は、上記の補正済目標変速比DsrRTOを実現するためのステップモータ(アクチュエータ)4の目標ステップ数(アクチュエータ目標駆動位置)DsrSTPをマップ検索により求める。
【0068】
ステップモータ駆動位置指令算出部87は、ステップモータ駆動速度決定部88が変速機作動油温TMPなどから決定するステップモータ4の限界駆動速度でも1制御周期中にステップモータ4が上記目標ステップ数DsrSTPに変位し得ないとき、ステップモータ4の上記限界駆動速度で実現可能な実現可能限界位置をステップモータ4への駆動位置指令Astepとなし、ステップモータ4が1制御周期中に上記目標ステップ数DsrSTPに変位し得るときは、当該目標ステッブ数DsrSTPをそのままステップモータ4への駆動位置指令Astepとなすものとする。
【0069】
したがって、駆動位置指令Astepは常時ステップモータ4の実駆動位置とみなすことができる。
【0070】
ステップモータ4は、駆動位置指令Astepに対応する方向及び位置に変位されてラックアンドピニオンを介し変速制御弁5の外弁体5bをストロ一クさせ、トロイダル型無段変速機を既に説明したように所定通りに変速させることができる。
【0071】
この変速によって駆動位置指令Astepに対応した変速比指令値が達成される時、プリセスカム7を介した機械的フィードバックが変速制御弁5の内弁体5aをして、外分体5bに対し相対的に初期の中立位置に復帰させ、同時に、両パワーローラ3,3は、回転軸線0が入出力コーンディスク1,2の回転軸線0と交差する図示位置に戻ることで、上記変速比指令値の達成状態を維持することができる。
【0072】
なお、本実施の形態では、ステップモータ追従可能判定部89を付加して設ける。
【0073】
このステップモータ追従可能判定部89は、ステップモータ4が補正済目標変速比DsrRTOに対応した目標ステップ数(アクチュエータ目標駆動位置)DsrSTPに追従可能か否かを、以下により判定するものである。
【0074】
つまり判定部89は先ず、目標ステップ数(アクチュエータ目標駆動位置)DsrSTPと、実駆動位置とみなすことができる駆動位置指令Astepとの間におけるステップ数偏差(アクチュエータ駆動位置偏差)△STPを求める。
【0075】
そして判定部89は、ステップモータ駆動速度決定部88によって既に説明したように決定されたステップモ一夕4の限界駆動速度でもステップモータ4が1制御周期中に解消し得ないステップ数偏差(アクチュエータ駆動位置偏差)の下限値△STPLIMよりもステップ数偏差(アクチュエータ駆動位置偏差)△STPが小さい時(△STP<△STPLIM)、ステップモータ4が補正済目標変速比DsrRTOに対応した目標ステップ数(アクチュエータ目標駆動位置)DsrSTPに追従可能であると判定し、
逆に△STP≧△STPLIMである時、ステップモータ4が目標ステップ数(アクチュエータ目標駆動位置)DsrSTPに追従不能であると判定する。
【0076】
判別部89は、ステップモータ4が補正済目標変速比DsrRTOに対応した目標ステップ数(アクチュエータ目標駆動位置)DsrSTPに追従可能であると判定する場合、PID制御部84で、既に説明した通りのPID制御による変速比フィードバック補正量FBrtoの演算を継続させる。
【0077】
このようにして、ステップモータ4が目標ステップ数(アクチュエータ目標駆動位置)DsrSTPに追従不能であると判定した場合は、積分制御による変速比フィードバック補正量∫RtoERR×fbiDATAを当該判定時における値に保持するようPID制御部84に指令する。
【0078】
さらに本実施の形態では、ステップモータ駆動位置指令算出部87において、ステップモータ4の限界駆動速度でも1制御周期中にステップモータ4が目標ステップ数DsrSTPに変位し得ないとき、ステップモータ4の限界駆動速度で実現可能な実現可能限界位置をステップモータ4への駆動位置指令Astepとなすようにし、この駆動位置指令Astepをステップモータ4の実駆動位置として判定部89でのステップモータ追従可能判定に資することにしたから、
このような追従可能判定を行うに際して必要なステップモータ4の実駆動位置を、変速制御装置からステップモータ4への駆動位置指令Astepで検知することとなり、上記の追従可能判定を、ステップモータ4の実駆動位置の実測に頼ることなく廉価に行うことができる。
【0079】
また本実施の形態では、ステップモータ追従可能判定部89において、目標ステップ数(アクチュエータ目標駆動位置)DsrSTPと、実駆動位置(駆動位置指令)Astepとの間におけるステップ数偏差(アクチュエータ駆動位置偏差)△STFが、ステップモータ4の限界駆動速度ごとに定めた追従判定基準偏差△STPLIMよりも小さい時(△STP<△STPLIM)、ステップモータ4が補正済目標変速比DsrRTOに対応した目標ステップ数(アクチュエータ目標駆動位置)DsrSTPに追従可能であると判定し、逆に△STP≧△STPLIMである時、ステップモータ4が目標ステップ数(アクチュエータ目標駆動位置)DsrSTPに追従不能であると判定するため、
油温TMPなどで種々に変化するステップモータ4の限界駆動速度に関係なくステップモータ4の追従可能判定を確実に行うことができる。
【0080】
[変速制御の全体について]
図2のコントローラ61をマイクロコンピュータで構成する場合、図3について説明した変速制御は図5〜図7のプログラムでこれを実行する。
【0081】
図5は変速制御の全体を示し、このルーチンは、例えば、10msごとに実行される。先ず、ステップ91において、変速時定数設定部74(図3)は、車速センサ63(図2)によって検出された車速VSP、エンジン回転センサ68(図2)によって検出されたエンジン回転数Ne、入力回転センサ64(図2)によって検出された変速機入力回転数Ni、スロットル開度センサ62(図2)によって検出されたスロットル開度TVO、インヒビタスイッチ60(図2)からのレンジ情報(自動変速(D)レンジ、スポーツ走行(S)レンジ等)等を読み込む。
【0082】
次いで、ステップ92において、到達入力回転数算出部72(図3)は、入力回転数Niを変速機出力回転数Noによって除算することによって、実変速比Ratioを算出する。次いで、ステップ93において、スロットル開度TVO及び車速VSPから図4に図示したような変速マップを基にして到達入力回転数Niを検索して求める。
【0083】
次いで、到達変速比設定手段としてのステップ94において、到達変速比算出部73(図3)は、この到達入力回転数Niを変速機出力回転数Noで除算することによって到達変速比iを算出する。次いで、偏差算出手段としてのステップ95において、変速時定数算出部74(図3)は、到達変速比iから、前回のルーチンで算出した目標変速比Ratio0(これは後のステップ99で算出される。)を減算して偏差Eipを算出する。
【0084】
次いで、ステップ96において、モード切替、マニュアル変速による有段の変速(以下、「スイッチ変速」という。)があったか否か判定する。具体的には、モード選択スイッチ70(図2)からの選択モード信号に応じて、パワーモードとスノーモードとの間の切替の有無を検出し、インヒビタスイッチ60(図2)からマニュアルレンジ信号を検出するとともにUP/DOWNスイッチ69(図2)からUP/DOWN情報についての信号を検出したか否か判定する。次いで、モード設定手段としてのステップ97、ステップ98及び目標変速比設定手段としてのステップ99において、変速時定数算出部74(図3)は、時定数算出モードと、第1及び第2変速時定数Tg1及びTg2と、目標変速比Ratio0及び中間変速比Ratio00とをそれぞれ算出する。
【0085】
その後、ステップ100において、トルクシフト補償変速比算出部77(図3)は、目標変速比Ratio0及び変速機入力トルクTiに関するマップからトルクシフト補償変速比TSrtoを算出する。次いで、ステップ101において、PID制御部84(図3)は、PID制御によって変速比フィードバック補正量FBrtoを算出する。次いで、ステップ102において、目標変速比補正部85(図3)は、目標変速比Ratio0にトルクシフト補償変速比TSrto及び変速比フィードバック補正量FBrto加算して、補正済目標変速比DsrRTOを算出する。次いで、ステップ103において、ステップモータ4(図2)への駆動位置指令Astepを算出し、本ルーチンを終了する。
【0086】
[変速制御車速の設定処理]
上記説明ではABSまたはTCSが非作動であることを前提とし、車速センサ63からの車速VSPを用いて到達入力回転数Niを求める場合について説明してきたが、本実施の形態では、アンチスキッド制御装置320やトラクションコントロール装置330から作動信号が入力された場合、車速センサ63からの車速VSP(以下、車速センサ車速VSPSEN)に代え、推定車体速VSPFLを変速制御車速SftVSPとして設定する構成を採用している。
【0087】
図6は変速制御プログラム中の変速制御車速設定処理を示すフローチャートである。この処理は、到達入力回転数算出部72及び(図3)において実行されるものである。
【0088】
先ず、ステップ104では、アンチスキッド制御装置320からの作動信号によりABS作動かどうかが判断される(作動状態判断手段に相当)。非作動であると判断されるとステップ105へ進み、作動であると判断されるとステップ107へ進む。
【0089】
ステップ105では、トラクションコントロール装置330からの作動信号によりTCS作動かどうかが判断される(作動状態判断手段に相当)。非作動であると判断されるとステップ106へ進み、作動であると判断されるとステップ107へ進む。
【0090】
ステップ106では、変速制御車速SftVSPとして駆動輪速を検出する車速センサ63からの車速センサ車速VSPSENが設定され、ステップ104へ戻る。
【0091】
ステップ107では、変速制御車速SftVSPとして推定車体速VSPFLが設定され、ステップ108へ進む。ここで、推定車体速VSPFLとは、ABS制御やTCS制御で従動輪速に基づいて決められる疑似車体速や前後加速度センサからの出力信号を積分演算することで得られる車体速演算値をいう。
【0092】
ステップ108では、アンチスキッド制御装置320からの作動信号によりABS作動かどうかが判断される(作動状態判断手段に相当)。非作動であると判断されるとステップ109へ進み、作動であると判断されるとステップ107へ進む。
【0093】
ステップ109では、トラクションコントロール装置330からの作動信号によりTCS作動かどうかが判断される(作動状態判断手段に相当)。非作動であると判断されるとステップ110へ進み、作動であると判断されるとステップ107へ進む。
【0094】
ステップ110では、スロットル開度TVO及び推定車体速VSPFLから図4に示したような変速マップを基にして到達入力回転数NiFLが算出されると共に、スロットル開度TVO及び車速センサ車速VSPSENから図4に示したような変速マップを基にして到達入力回転数NiSENが算出され、ステップ111へ進む。
【0095】
ステップ111では、推定車体速VSPFLを用いて算出された到達入力回転数NiFLと、車速センサ車速VSPSENを用いて算出された到達入力回転数NiSENとの差の絶対値が、設定しきい値A以下かどうかが判断される。ここで、変速制御車速SftVSPを推定車体速VSPFLから車速センサ車速VSPSENへ戻すことにより変速比が変化する場合、乗員にとって変速比変化を許容できる最大値を実験等により求め、この求められた1つの値が設定しきい値Aとされる。このステップ111でYESと判断されると、ステップ106へ進み、変速制御車速SftVSPが推定車体速VSPFLから車速センサ車速VSPSENに戻される。また、ステップ111でNOと判断されると、ステップ112へ進む。
【0096】
ステップ112では、推定車体速VSPFLが固定値B以下かどうかが判断される。ここで、変速制御車速SftVSPの最小値として設定されている値が固定値Bとされる。このステップ112でYESと判断されると、ステップ106へ進み、変速制御車速SftVSPが推定車体速VSPFLから車速センサ車速VSPSENに戻される。また、ステップ112でNOと判断されると、ステップ107へ進む。
【0097】
したがって、TCS作動信号が正常であって、ABSもTCSも非作動である車両走行時には、変速制御車速SftVSPとして車速センサ車速VSPSENの設定が維持され、ABS或いはTCSが作動を開始すると、変速制御車速SftVSPが車速センサ車速VSPSENから推定車体速VSPFLに切り換えられ、ABS或いはTCSが作動を維持している間は、推定車体速VSPFLが維持され、ABSもTCSも非作動状態になると、ステップ111もしくはステップ112の戻し条件が成立すると、変速制御車速SftVSPが推定車体速VSPFLから車速センサ車速VSPSENに戻される。
【0098】
このようにTCS作動時には、変速制御車速SftVSPとして推定車体速VSPFLが使用されるため、TCS作動時に変速制御車速SftVSPを車速センサ車速VSPSENとする場合、駆動輪速である車速センサ車速VSPSENの変動に伴う変速比変動が抑えられ、TCS制御作用への変速影響(変速比が低変速比側に変化して駆動スリップを助長する等)を防止するというTCS対応変速制御が確保される。
【0099】
また、変速制御車速SftVSPを推定車体速VSPFLから車速センサ車速VSPSENに切り換える場合、変速比の急変がないように確認してから切り換えられるため、ショックの発生等も防止される。
【0100】
[目標変速比の算出処理]
図7は変速制御プログラム中の目標変速比算出処理を示すフローチャートである。この処理は、到達入力回転数算出部72,到達変速比算出部73及び目標変速比算出部75(図3)において実行されるものである。
【0101】
ステップ113では、スロットル開度TVO及び図6の処理により設定された変速制御車速SftVSPと、図4に示す変速マップに基づき、現在の運転状態での定常的な目標入力回転とするべき到達入力回転数Niが検索により算出される。
【0102】
ステップ114では、到達入力回転数Niを変速機出力回転数Noで除算することによって、到達入力回転数Niに対応する定常的な目標変速比である到達変速比iが算出される(請求項記載の定常目標変速比算出手段に相当し、請求項記載の定常目標変速比と到達変速比iが対応)。
【0103】
ステップ115では、トラクションコントロール装置330からの作動信号によりTCS作動かどうかが判断される。非作動であると判断されるとステップ118へ進み、作動であると判断されるとステップ116へ進む。
【0104】
ステップ116では、ステップ114で算出された到達変速比iが、その時の車速センサ車速VSPSENにより求められたロー側変速比制限値iLOWLIMより大きいかどうかが判断され、YESであるとき、つまり、到達変速比iがロー側変速比制限値iLOWLIMよりロー側の変速比であるときにはステップ117へ進み、NOであるとき、つまり、到達変速比iがロー側変速比制限値iLOWLIMよりハイ側の変速比であるときにはステップ118へ進む。
【0105】
ここで、ロー側変速比制限値iLOWLIMは、図8に示すように、予め設定されたロー側変速比制限値マップにより検索される。
【0106】
ステップ117では、到達変速比iがロー側変速比制限値iLOWLIMの値に制限され、ステップ118へ進む。なお、ステップ116及びステップ117は、定常目標変速比制限手段に相当する。
【0107】
ステップ118では、到達変速比iと、第1変速時定数Tg1と、第2変速時定数Tg2に基づいて、目標変速比Ratio0が算出される。
【0108】
よって、TCSが作動している場合、到達変速比iが車速センサ車速VSPSENにより求められたロー側変速比制限値iLOWLIMよりロー側の変速比であるときには、到達変速比iがロー側変速比制限値iLOWLIMの値に制限される。
【0109】
このように、TCS作動時には、到達変速比iを算出する変速制御車速SftVSPとして推定車体速VSPFLが使用されるため、TCS作動時においても変速制御車速SftVSPを車速センサ車速VSPSENとする場合のように、駆動輪速である車速センサ車速VSPSENの変動(図9参照)に伴う変速比変動が抑えられる。
【0110】
一方、変速制御に従動輪速に基づく推定車体速VSPFLを使用すると、変速制御に駆動輪速に基づく車速センサ車速VSPSENを使用する場合に比べ、変速制御車速SftVSPが小さくなりシフトアップしづらくなる(図9参照)。
【0111】
これに対し、TCS作動時には、推定車体速VSPFLを使用して得られた到達変速比iを、車速センサ車速VSPSENにより求められたロー側変速比制限値iLOWLIMにより制限するようにしているため、到達変速比iのうちロー側変速比は、車速センサ車速VSPSENを使用した変速制御レベルの変速比とされ、TCS作動時であるにもかかわらずエンジン回転数Neが低めに抑えられ、さらに、駆動輪スリップによる駆動輪速の上昇があっても制限のないシフトアップ方向には変速し易く、エンジン回転数Neの上昇を抑えることができる。
【0112】
すなわち、TCS作動時に変速制御車速SftVSPを推定車体速VSPFLとすることでの変速比変動を抑えた変速制御と、TCS作動時に車速センサ車速VSPSENにより到達変速比iのロー側変速比を制限することでの機関オーバーレブを防止する変速制御との両立を図ることができる。
【0113】
また、ステップ116において、その時の車速センサ車速VSPSENによりロー側変速比制限値iLOWLIMがリアルタイムに求められ、算出された到達変速比iがロー側変速比制限値iLOWLIMより低い場合にはロー側変速比制限値iLOWLIMに制限されるため、TCS作動による車速センサ車速VSPSEN(駆動輪速)の上昇や下降の変動に対応し、エンジン回転数Neを上昇させることのない到達変速比iを得ることができる。
【0114】
すなわち、ステップ116で使用する車速センサ車速VSPSENは、例えば、到達変速比iの算出を開始するときに推定車体速VSPFLと共に読み込まれたデータを用いることができる。しかし、この場合、車速センサ車速VSPSENの読み込み時点から、到達変速比iの算出処理を経過して到達変速比iを制限する時点までに演算処理時間を要し、ロー側変速比制限値iLOWLIMを決める車速センサ車速データが古いデータとなり、TCS作動による車速センサ車速VSPSENの上昇や下降の変動に対応できない。
【0115】
さらに、車速センサ車速VSPSENとロー側変速比制限値iLOWLIMとの関係を示すロー側変速比制限値マップが図8に示すように予め設定されていて、ステップ116では、検出された車速センサ車速VSPSENを用いたマップ検索によりロー側変速比制限値iLOWLIMが容易に求められる。
【0116】
加えて、図8に示すロー側変速比制限値マップは、、エンジン回転数Neの上限値を一定値(例えば、5000rpm)に規定するように車速センサ車速VSPSENとロー側変速比制限値iLOWLIMとの関係を決めた反比例特性線によるマップとされるため、TCS作動中であって、ダウンシフト方向には到達変速比iがロー側変速比制限値iLOWLIMにより制限される状態で推移する場合、ロー側変速比の制限により、エンジン回転数Neが設定されたエンジン回転数上限値を上回るような変速比変化によるダウンシフトが行われることが無く、確実に機関オーバーレブを防止することができる。
【0117】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。
【0118】
例えば、上記実施の形態では、本発明による無段変速機の変速制御装置をトロイダル型無段変速機に適用する場合について説明したが、本発明の変速制御装置をVベルト式無段変速機に適用することもできる。
【0119】
また、上記実施の形態では、選択されたいる変速制御車速情報に基づき到達入力回転数を算出した後、到達変速比を算出する例を示したが、変速制御車速から直接的に到達変速比を算出するものにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による無段変速機の変速制御装置を備えるトロイダル型無段変速機の縦断側面図である。
【図2】図1のトロイダル型無段変速機をその変速制御システムと共に示す縦断正面図である。
【図3】図2のコントローラが実行する変速制御の機能ブロック線図である。
【図4】無段変速機の変速パターンを例示する変速線図である。
【図5】本発明による無段変速機の変速制御装置の変速制御プログラムの全体を示すフローチャートである。
【図6】変速制御プログラム中の変速制御車速設定処理を示すフローチャートである。
【図7】変速制御プログラム中の目標変速比算出処理を示すフローチャートである。
【図8】実施の形態で使用されたロー側変速比制限値マップ例を示す図である。
【図9】TCS作動中における駆動輪速(車速センサ車速)と従動輪速(推定車体速)の特性を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
1 入力コーンディスク
2 出力コーンディスク
3 パワーローラ
4 ステップモータ
5 変速制御弁
6 ピストン
7 プリセスカム
8 変速リンク
20 入力軸
28 ローディングカム
41 トラニオン
43 アッパリンク
45 ロアリンク
60 インヒビタスイッチ
61 コントローラ
62 スロットル開度センサ
63 車速センサ
64 入力回転センサ
65 出力回転センサ
66 油温センサ
67 ライン圧センサ
68 エンジン回転センサ
69 UP/DOWNスイッチ
70 モード選択スイッチ
71 変速マップ選択部
72 到達入力回転数算出部
73 到達変速比算出部
74 変速時定数算出部
75 目標変速比算出部
310 エンジン制御スイッチ
320 アンチスキッド制御装置
330 トラクションコントロール装置
340 定速走行装置

Claims (4)

  1. タイヤと路面間に作用する制動力と駆動力のうち少なくとも一方を制御するスリップ制御装置と、エンジンからの入力回転を無段階に変速して駆動輪への出力回転を得る無段変速機とが搭載された車両であって、
    少なくとも車両の変速制御車速を含む走行状態を入力とし、前記無段変速機の変速後の入力回転数或いは変速比を設定する変速制御手段と、
    前記スリップ制御装置の作動状態を判断する作動状態判断手段と、
    該作動状態判断手段によりスリップ制御装置が作動していない場合には、駆動輪速である車速センサ車速に基づく変速制御車速を前記変速制御手段に入力し、スリップ制御装置が作動している場合には、制駆動力制御に用いる推定車体速に基づく変速制御車速を前記変速制御手段に入力する無段変速機の変速制御装置において、
    前記スリップ制御装置のうち駆動力制御装置が作動している場合、推定車体速を使用して現在の運転状態での定常的な目標変速比を算出する定常目標変速比算出手段と、
    前記定常目標変速比算出手段により算出された定常目標変速比を、車速センサ車速により求められるロー側変速比制限値により制限する定常目標変速比制限手段と、
    を備えていることを特徴とする無段変速機の変速制御装置。
  2. 請求項1記載の無段変速機の変速制御装置において、
    前記定常目標変速比制限手段を、その時の車速センサ車速によりロー側変速比制限値をリアルタイムに求め、算出された定常目標変速比がロー側変速比制限値より低い場合にロー側変速比制限値に制限する手段としたことを特徴とする無段変速機の変速制御装置。
  3. 請求項1または請求項2記載の無段変速機の変速制御装置において、
    前記定常目標変速比制限手段を、車速センサ車速とロー側変速比制限値との関係を示すロー側変速比制限値マップを予め設定し、検出された車速センサ車速を用いたマップ検索によりロー側変速比制限値を求める手段としたことを特徴とする無段変速機の変速制御装置。
  4. 請求項3記載の無段変速機の変速制御装置において、
    前記ロー側変速比制限値マップを、エンジン回転数の上限値を一定値に規定するように車速センサ車速とロー側変速比制限値との関係を決めたマップとしたことを特徴とする無段変速機の変速制御装置。
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