JP2009298652A - 黒鉛ルツボ及び該黒鉛ルツボを用いた石英ルツボの変形防止方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】シリコン単結晶の引上げ法において、石英ルツボの変形を防止する黒鉛ルツボ及び該黒鉛ルツボを用いた石英ルツボの変形防止方法を提供する。
【解決手段】黒鉛ルツボ30の内壁面に石英ルツボ32を黒鉛ルツボ30内壁面に吸引する複数の石英ルツボ32の吸気孔31が設けられ、黒鉛ルツボ30の外壁底面に吸気孔により石英ルツボ32を吸引するエアを排気する単一の排気孔33が設けられ、黒鉛ルツボ30の内部に吸気孔31と排気孔33に連通する中空部33dが設けられた黒鉛ルツボ30を用いてシリコン単結晶の引上げを行う際に、前記黒鉛ルツボの複数の吸気孔からエアを吸引し、前記チャンバ内の圧力と、前記石英ルツボと前記黒鉛ルツボの隙間の圧力との差が5〜60Torrになるように、前記石英ルツボ32を前記黒鉛ルツボ30の内壁面に吸引させることにより、石英ルツボ32の上端に生じる倒れ込み変形を防止することができる。
【選択図】図1
【解決手段】黒鉛ルツボ30の内壁面に石英ルツボ32を黒鉛ルツボ30内壁面に吸引する複数の石英ルツボ32の吸気孔31が設けられ、黒鉛ルツボ30の外壁底面に吸気孔により石英ルツボ32を吸引するエアを排気する単一の排気孔33が設けられ、黒鉛ルツボ30の内部に吸気孔31と排気孔33に連通する中空部33dが設けられた黒鉛ルツボ30を用いてシリコン単結晶の引上げを行う際に、前記黒鉛ルツボの複数の吸気孔からエアを吸引し、前記チャンバ内の圧力と、前記石英ルツボと前記黒鉛ルツボの隙間の圧力との差が5〜60Torrになるように、前記石英ルツボ32を前記黒鉛ルツボ30の内壁面に吸引させることにより、石英ルツボ32の上端に生じる倒れ込み変形を防止することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、石英ルツボ内に溶融されたシリコン融液からシリコン単結晶を引上げる際に生じる、石英ルツボの変形を防止する黒鉛ルツボ及び該黒鉛ルツボを用いた石英ルツボの変形防止方法に関する。
シリコンウェーハの素材となるシリコン単結晶の製造方法には、チョクラルスキー法(以下、CZ法という)と呼ばれる単結晶引上げ方法が広く工業的に採用されている。CZ法は、石英ルツボ内に充填した多結晶シリコン等をヒータで溶解した後、この融液の表面に種結晶を浸し、シリコン融液に浸した種結晶と石英ルツボを回転させつつ種結晶を上方に引上げることによって種結晶と同一の結晶方位をもつ単結晶を育成する方法である。
図5は、このCZ法により単結晶を引上げる際に用いられる引上げ装置を模式的に示した断面図であり、引上げ装置10はチャンバ11を有する。チャンバ11の中央部には有底円筒形状をした石英ルツボ12が配設され、石英ルツボ12内にはシリコン融液13が貯留される。また石英ルツボ12の外周にはこの石英ルツボ12を支持する有底円筒形状をした黒鉛ルツボ14が配設される。石英ルツボ12と黒鉛ルツボ14は支軸16を介して駆動手段17に接続され、駆動手段17を駆動させると石英ルツボ12が所定速度で回転するとともに昇降する。
また石英ルツボ12の外側は、石英ルツボ12から所定の間隔をあけてヒータ18により包囲され、このヒータ18は保温筒19により包囲される。ヒータ18により石英ルツボ12内に充填されたシリコン原料が溶解されてシリコン融液13になる。
またチャンバ11の上端には円筒状のケーシング21が接続され、このケーシング21には引上げ手段22が設けられる。引上げ手段22は棒状のシリコン単結晶15を回転させながら引上げるように構成される。
更にシリコン融液13から引上げられたシリコン単結晶15へのヒータ18からの熱を遮蔽するために、シリコン単結晶15の外周面が所定の間隔をあけて熱遮蔽部材23により包囲される。チャンバ11上部にはガス供給管26が接続され、チャンバ11底部にはガス排出管27が接続される。このガス供給管26からAr等の不活性ガスが所定流量、チャンバ11内に供給され、ガス排出管27から排出される。
このように構成された引上げ装置10を用い、CZ法により単結晶を引上げる場合、まず石英ルツボ12内にシリコン原料を充填し、真空ポンプ等を駆動させてチャンバ11内を所定圧力に設定するとともに、ガス供給管26からチャンバ11内に所定流量の不活性ガスをキャリアガスとして導入する。次にヒータ18に電流を供給して石英ルツボ12を加熱し、シリコン融液13を形成する。
次に引上げ手段22先端に取り付けられた種結晶25をシリコン融液13表面に接触させた後、石英ルツボ12を所定速度で回転させながら引上げ手段22により引上げ、シリコン単結晶15を育成させる。
上記単結晶の引上げは、高温に加熱された状態で行われるが、特に、450mm以上の大口径の単結晶の引上げ工程においては、通電時間が非常に長くなるため、これにより石英ルツボ12への熱負荷が大きくなる。このことが原因となり、石英ルツボ12上端部がルツボ内方に倒れ込んだり、或いはルツボ底部近傍のルツボ直胴部が座屈してルツボ内に沈み込む熱変形を生じ易い。ルツボ上端がルツボ内方に倒れ込んで、熱遮蔽部材23の下部と接触した場合も、ルツボ直胴部が座屈して沈み込んだ場合も、単結晶の引上げを続行できなくなる問題を生じる。
このような高温下での引上げにおける不具合を防止する石英ガラスルツボとして、少なくともルツボ壁部の外表面が、長さ200μm以下、幅20μm以下、深さ3μm以上〜20μm以下の微小な溝によって覆われていることを特徴とする、石英ガラスルツボが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2004−299927号公報(請求項1)
しかしながら、上記特許文献1記載の石英ガラスルツボを、450mm以上の大口径の単結晶を引上げるのに用いた場合、ルツボの熱変形を防止することはできない。
本発明の目的は、黒鉛ルツボの内壁面に石英ルツボを吸引させ、石英ルツボ上端での倒れ込み等の変形を防止することができる黒鉛ルツボ及び該黒鉛ルツボを用いた石英ルツボの変形防止方法を提供することにある。
請求項1に係る発明は、シリコン単結晶の引上げに用いられる石英ルツボを支持する黒鉛ルツボにおいて、黒鉛ルツボの内壁面に石英ルツボを黒鉛ルツボ内壁面に吸引する複数の吸気孔が設けられ、黒鉛ルツボの外壁底面に吸気孔により石英ルツボを吸引するエアを排気する単一の排気孔が設けられ、黒鉛ルツボの内部に吸気孔と排気孔に連通する中空部が設けられたことを特徴とするシリコン単結晶の製造方法である。
請求項2に係る発明は、請求項1記載の黒鉛ルツボを用いた石英ルツボの変形防止方法であって、シリコン単結晶引上げ装置のチャンバ内に設置された石英ルツボにシリコン融液を貯留し、石英ルツボに貯留したシリコン融液からシリコン単結晶の引上げを行う際に、黒鉛ルツボの複数の吸気孔からエアを吸引し、チャンバ内の圧力と、石英ルツボと黒鉛ルツボの隙間の圧力との差が5〜60Torrになるように、石英ルツボを黒鉛ルツボの内壁面に吸引させることを特徴と石英ルツボの変形防止方法である。
本発明によれば、黒鉛ルツボの内壁面に設けられた吸気孔からエアを吸引し、石英ルツボを黒鉛ルツボの内壁面に吸引させることができる。これにより、シリコン単結晶の引上げの際、石英ルツボ上端に生じる倒れ込みや石英ルツボの底部近傍の直胴部に生じる座屈変形を防止することができる。
次に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明の黒鉛ルツボ30は、図4に示すように、6分割されたルツボ片30aが合体した有底円筒体からなっている。図1に示すように、有底円筒体の黒鉛ルツボ30の内側には石英ルツボ32が収容される。黒鉛ルツボ30の内壁面には、石英ルツボ32を黒鉛ルツボ30の内壁面に吸引するための複数の吸気孔31が設けられる。
本発明の黒鉛ルツボ30は、図4に示すように、6分割されたルツボ片30aが合体した有底円筒体からなっている。図1に示すように、有底円筒体の黒鉛ルツボ30の内側には石英ルツボ32が収容される。黒鉛ルツボ30の内壁面には、石英ルツボ32を黒鉛ルツボ30の内壁面に吸引するための複数の吸気孔31が設けられる。
図2は、本発明の黒鉛ルツボを構成するルツボ片30aを示す図である。図2(b)はこのルツボ片30aの平面図である。図2(a)は図2(b)におけるB矢指図である。また図2(c)は図2(b)におけるC矢指図である。このルツボ片30aは、内壁面側ルツボ片30bと外壁面側ルツボ片30cとを接合することにより形成される。内壁面側ルツボ片30bには複数の吸気孔31が設けられ、外壁面側ルツボ片30cの内端には、単一の排気孔33が設けられる。接合した両ルツボ片30bと30cの間には、吸気孔31から吸引されたエアを排気孔33へ送るための中空部30dが設けられる。中空部30dは複数の吸気孔31と単一の排気孔33に連通する。
図1に戻って、6個のルツボ片30aを合体した黒鉛ルツボ30は台座34に載せられ、シリコン原料(図示せず)を充填した石英ルツボ32を収容する。台座34の中心には第1孔34aが、また台座34が載るベース35の中心には第2孔35aがそれぞれ設けられる。
石英ルツボ32と黒鉛ルツボ30は支軸36を介して駆動手段37に接続され、駆動手段37を駆動させると石英ルツボ32と黒鉛ルツボ30が所定速度で回転するとともに昇降する。支軸36の中心には第3孔36aが設けられ、支軸36の下部には支軸外面に開口する第4孔36bが設けられる。この支軸36の下部には、リング状のカップリング38が周設される。カップリング38の内側には周溝38aが形成され、この周溝38aとカップリング38の外面とを連通する第5孔38bが設けられる。
カップリング38は、回転する支軸36と気密状態を保つように固定される。カップリング38の第5孔38bには排気管39が接続され、排気管39の途中には吸引ポンプ40が設けられる。黒鉛ルツボ30の排気孔33と台座34の第1孔34aとベース35の第2孔35aと支軸36の第3孔36a、第4孔36bとカップリング38の周溝38aと第5孔38bとはそれぞれ連通するように構成される。なお符号41はチャンバの底部である。
次に本発明の石英ルツボの変形防止方法について説明する。石英ルツボ32に図示しないシリコン原料を充填し、ヒータにより加熱しシリコン原料を溶解する。石英ルツボ32内にシリコン融液が貯留され、融液からシリコン単結晶が引上げられるとシリコン融液が減少する。シリコン原料が溶解し始めた時点から吸引ポンプ40を作動させ、黒鉛ルツボ30の吸気孔31からチャンバ内のエアを吸引する。このエアの吸引とともに熱軟化した石英ルツボ32が黒鉛ルツボ30の内壁面に吸引される。
このときの吸引ポンプ40によるエアの吸引は、チャンバ内の圧力と、石英ルツボ32と黒鉛ルツボ30の隙間の圧力との差が5〜60Torrになるように行われる。この結果、石英ルツボ32と黒鉛ルツボ30の隙間の圧力が0〜5Torrになる。
通常、石英ガラスの密度は2.5g/cm2程度であり、石英ルツボの上端における厚さは2cm程度であるため、黒鉛ルツボの内表面に、5g/cm2程度の圧力をかければ、石英ルツボを黒鉛ルツボの内壁面に押しつけることができる。
チャンバ内の圧力と、石英ルツボと黒鉛ルツボの隙間の圧力との差は、好ましくは5〜50Torrである。チャンバ内の圧力と、石英ルツボと黒鉛ルツボの隙間の圧力との差が5Torr未満であると、石英ルツボの吸引が十分でない。60Torrを越えると黒鉛ルツボの内側ルツボ片が変形する。
以上により、黒鉛ルツボの内壁面に設けられた吸気孔からエアを吸引し、石英ルツボを黒鉛ルツボの内壁面に吸引させ、石英ルツボの上端に生じる倒れ込み変形を防止することができる。
30 黒鉛ルツボ
31 吸気孔
32 石英ルツボ
33 排気孔
33d 中空部
31 吸気孔
32 石英ルツボ
33 排気孔
33d 中空部
Claims (2)
- シリコン単結晶の引上げに用いられる石英ルツボを支持する黒鉛ルツボにおいて、
前記黒鉛ルツボの内壁面に前記石英ルツボを前記黒鉛ルツボ内壁面に吸引する複数の吸気孔が設けられ、
前記黒鉛ルツボの外壁底面に前記吸気孔により前記石英ルツボを吸引するエアを排気する単一の排気孔が設けられ、
前記黒鉛ルツボの内部に前記吸気孔と前記排気孔に連通する中空部が設けられたこと
を特徴とする黒鉛ルツボ。 - 請求項1記載の黒鉛ルツボを用いた石英ルツボの変形防止方法であって、
シリコン単結晶引上げ装置のチャンバ内に設置された前記石英ルツボにシリコン融液を貯留し、前記石英ルツボに貯留したシリコン融液からシリコン単結晶の引上げを行う際に、
前記黒鉛ルツボの複数の吸気孔からエアを吸引し、前記チャンバ内の圧力と、前記石英ルツボと前記黒鉛ルツボの隙間の圧力との差が5〜60Torrになるように、
前記石英ルツボを前記黒鉛ルツボの内壁面に吸引させることを特徴とする石英ルツボの変形防止方法。
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