JP2009298224A - 動力出力装置およびその制御方法並びに車両 - Google Patents
動力出力装置およびその制御方法並びに車両 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】発電機の制御性の低下を抑制する。
【解決手段】要求トルクTr*に基づいてエンジンの目標トルクTe*を設定すると共に(S160)、設定した目標トルクTe*に基づいて発電機(モータMG1)の目標トルクTm1tmpを設定し(S170)、駆動制御の状態が定常状態にあると判定されたときに目標トルクTm1tmpに対するモータMG1の出力トルクTm1の比であるトルク比Rgを設定し(S220)、その後に所定時間が経過した以降はトルク比Rgが小さいほど大きさが大きくなる傾向にモータMG1のトルク指令Tm1*を設定してモータMG1を制御する(S245,S250)。これにより、目標トルクTm1tmpにより適応したトルクをモータMG1から出力することができ、経年変化などに基づくモータMG1の制御性の低下を抑制することができる。
【選択図】図2
【解決手段】要求トルクTr*に基づいてエンジンの目標トルクTe*を設定すると共に(S160)、設定した目標トルクTe*に基づいて発電機(モータMG1)の目標トルクTm1tmpを設定し(S170)、駆動制御の状態が定常状態にあると判定されたときに目標トルクTm1tmpに対するモータMG1の出力トルクTm1の比であるトルク比Rgを設定し(S220)、その後に所定時間が経過した以降はトルク比Rgが小さいほど大きさが大きくなる傾向にモータMG1のトルク指令Tm1*を設定してモータMG1を制御する(S245,S250)。これにより、目標トルクTm1tmpにより適応したトルクをモータMG1から出力することができ、経年変化などに基づくモータMG1の制御性の低下を抑制することができる。
【選択図】図2
Description
本発明は、動力出力装置およびその制御方法並びに車両に関する。
従来、この種の動力出力装置としては、エンジンと、エンジンのクランクシャフトがキャリアに接続されると共に駆動輪に連結された駆動軸にリングギヤが接続された動力分配統合機構と、動力分配統合機構のサンギヤに接続された第1のモータ(MG1)と、駆動軸に接続された第2のモータ(MG2)と、を備え、要求トルクに基づく運転ポイントでエンジンが運転されると共に要求トルクが駆動軸に出力されるようエンジンとモータMG1,MG2とを制御するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、エンジンの目標運転ポイントにおける回転数に対応するモータMG1の目標回転数でモータMG1を回転させるために、エンジンからサンギヤに伝達されるトルクを打ち消すためのフィードフォワード項とモータMG1の目標回転数と実際の回転数との差を打ち消すためのフィードバック項とからなる式により、モータMG1のトルク指令を設定してモータMG1を制御している。
特開2006−63865号公報
こうした動力出力装置では、経年変化(例えば、ロータに取り付けられた永久磁石の減磁など)などにより、モータMG1,MG2のトルク指令と実際に出力される出力トルクとにズレが生じる場合がある。この場合、上述の動力出力装置と同様にモータMG1を制御するものにおいて、フィードバック項によりこのズレを調整しようとすると、ズレの程度によっては制御性が低下してしまうことがある。
本発明の動力出力装置およびその制御方法並びに車両は、発電機の制御性の低下を抑制することを主目的とする。
本発明の動力出力装置およびその制御方法並びに車両は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、
内燃機関と、
動力を入出力する発電機と、
前記駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に接続され、該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、
前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、
前記駆動軸に要求される要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
前記設定された要求駆動力に基づいて前記内燃機関の目標運転ポイントを設定する目標運転ポイント設定手段と、
前記設定された目標運転ポイントに基づいて前記発電機から出力すべき目標トルクである発電機目標トルクを設定する発電機目標トルク設定手段と、
前記設定された発電機目標トルクに対する前記発電機から出力されるトルクの比である発電機トルク比が小さいほど大きさが大きくなる傾向に前記発電機のトルク指令である発電機トルク指令を設定する発電機トルク指令設定手段と、
前記設定された目標運転ポイントで前記内燃機関が運転されると共に前記設定された発電機トルク指令により前記発電機が駆動され、前記設定された要求駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
内燃機関と、
動力を入出力する発電機と、
前記駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に接続され、該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、
前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、
前記駆動軸に要求される要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
前記設定された要求駆動力に基づいて前記内燃機関の目標運転ポイントを設定する目標運転ポイント設定手段と、
前記設定された目標運転ポイントに基づいて前記発電機から出力すべき目標トルクである発電機目標トルクを設定する発電機目標トルク設定手段と、
前記設定された発電機目標トルクに対する前記発電機から出力されるトルクの比である発電機トルク比が小さいほど大きさが大きくなる傾向に前記発電機のトルク指令である発電機トルク指令を設定する発電機トルク指令設定手段と、
前記設定された目標運転ポイントで前記内燃機関が運転されると共に前記設定された発電機トルク指令により前記発電機が駆動され、前記設定された要求駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の動力出力装置では、駆動軸に要求される要求駆動力に基づいて内燃機関の目標運転ポイントを設定し、設定した目標運転ポイントに基づいて発電機から出力すべき目標トルクである発電機目標トルクを設定し、発電機目標トルクに対する発電機から出力されるトルクの比である発電機トルク比が小さいほど大きさが大きくなる傾向に発電機のトルク指令である発電機トルク指令を設定し、目標運転ポイントで内燃機関が運転されると共に発電機トルク指令により発電機が駆動され、要求駆動力が駆動軸に出力されるよう内燃機関と発電機と電動機とを制御する。即ち、発電機トルク比が小さいほど大きさが大きくなる傾向の発電機トルク指令により発電機を駆動するのである。これにより、発電機トルク比に応じてより適正に発電機を駆動することができ、経年変化などに基づく発電機の制御性の低下を抑制することができる。ここで、「3軸式動力入出力手段」は、シングルピニオン式やダブルピニオン式の遊星歯車機構であるものとすることもできるし、デファレンシャルギヤであるものとすることもできる。
こうした本発明の動力出力装置において、前記発電機目標トルク設定手段は、前記設定された目標運転ポイントにおけるトルクに基づいて前記発電機目標トルクを設定する手段であり、前記発電機トルク指令設定手段は、前記設定された発電機目標トルクと前記発電機トルク比とに基づいて該発電機トルク比が小さいほど大きさが大きくなる傾向に設定されるフィードフォワード項と、前記内燃機関の回転数と前記設定された目標運転ポイントにおける目標回転数との差が打ち消されるよう設定されるフィードバック項と、を加算して前記発電機トルク指令を設定する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、発電機トルク比に応じたフィードフォワード項の調整により、より適正に発電機を駆動することができる。この場合、前記発電機トルク指令設定手段は、前記発電機トルク比の逆数を前記設定された発電機目標トルクに乗じたものを前記フィードフォワード項として前記発電機トルク指令を設定する手段であるものとすることもできる。
また、本発明の動力出力装置において、前記制御手段は、前記設定された要求駆動力に基づいて前記電動機から出力すべき目標トルクである電動機目標トルクを設定し、前記設定された電動機目標トルクに対する前記電動機から出力されるトルクの比である電動機トルク比が小さいほど大きさが大きくなる傾向に前記電動機のトルク指令である電動機トルク指令を設定し、該設定した電動機トルク指令により前記電動機が駆動されるよう該電動機を制御する手段であるものとすることもできる。こうすれば、電動機トルク比に応じてより適正に電動機を駆動することができ、電動機の制御性の低下を抑制することができる。
この電動機トルク比が小さいほど大きさが大きくなる傾向に電動機トルク指令を設定する態様の本発明の動力出力装置において、前記制御手段は、前記内燃機関を運転停止した状態で前記電動機から前記駆動軸に動力を出力しているときに前記電動機トルク比を設定する手段であり、前記発電機トルク指令設定手段は、前記電動機トルク比が設定された後であって前記内燃機関からの動力の出力を伴って前記駆動軸に動力を出力しているときに前記発電機トルク比を設定する手段である、ものとすることもできる。ここで、「電動機トルク比」や「発電機トルク比」は、イグニッションオンからイグニッションオフまで(1トリップ)に1回だけ設定するものとすることもできる。また、「電動機トルク比」は、内燃機関を運転停止した状態で電動機から駆動軸に動力を出力しているときであって電動機の駆動制御の状態が定常状態にあるときに設定するものとすることもできる。「発電機トルク比」は、電動機トルク比が設定された後であって内燃機関からの動力の出力を伴って駆動軸に動力を出力しているときであって内燃機関や発電機,電動機の駆動制御の状態が定常状態にあるときに設定するものとすることもできる。この態様の本発明の動力出力装置において、前記発電機トルク指令設定手段は、前記駆動軸の回転数の変化率に関連する物理量と路面勾配と前記設定された電動機目標トルクとに基づいて前記発電機から出力されるトルクを設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、駆動軸の回転数の変化率に関連する物理量と路面勾配と電動機目標トルクとを考慮して発電機から出力されるトルクを設定することができる。ここで、「駆動軸の回転数の変化率に関連する物理量」は、駆動軸の回転数の変化率そのものであるものとすることもできるし、動力出力装置が車両に搭載される場合には車速の変化率(加速度)であるものとすることもできる。また、この態様の本発明の動力出力装置において、前記制御手段は、少なくとも前記電動機トルク比を設定する前は前記設定された電動機目標トルクを前記電動機トルク指令として設定する手段であり、前記発電機トルク指令設定手段は、前記設定された発電機目標トルクと前記発電機トルク比とに基づいて該発電機トルク比が小さいほど大きさが大きくなる傾向に設定されるフィードフォワード項と、前記内燃機関の回転数と前記設定された目標運転ポイントにおける目標回転数との差が打ち消されるよう設定されるフィードバック項と、の加算により発電機トルク指令を設定するものにおいて、少なくとも前記発電機トルク比を設定する前は前記設定された発電機目標トルクをフィードフォワード項に設定するものとすることもできる。
また、電動機トルク比が小さいほど大きさが大きくなる傾向に電動機トルク指令を設定する態様の本発明の動力出力装置において、前記制御手段は、前記駆動軸の回転数の変化率に関連する物理量と路面勾配とに基づいて前記電動機から出力されるトルクを設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、駆動軸の回転数の変化率に関連する物理量と路面勾配とを考慮して電動機から出力されるトルクを設定することができる。
本発明の車両は、上述のいずれかの態様の本発明の動力出力装置、即ち、基本的には、駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、内燃機関と、動力を入出力する発電機と、前記駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に接続され、該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記駆動軸に要求される要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、前記設定された要求駆動力に基づいて前記内燃機関の目標運転ポイントを設定する目標運転ポイント設定手段と、前記設定された目標運転ポイントに基づいて前記発電機から出力すべき目標トルクである発電機目標トルクを設定する発電機目標トルク設定手段と、前記設定された発電機目標トルクに対する前記発電機から出力されるトルクの比である発電機トルク比が小さいほど大きさが大きくなる傾向に前記発電機のトルク指令である発電機トルク指令を設定する発電機トルク指令設定設定手段と、前記設定された目標運転ポイントで前記内燃機関が運転されると共に前記設定された発電機トルク指令により前記発電機が駆動され、前記設定された要求駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する制御手段と、を備える動力出力装置を搭載し、車軸が前記駆動軸に連結されてなることを要旨とする。
この本発明の車両では、上述のいずれかの態様の本発明の動力出力装置を搭載するから、本発明の動力出力装置が奏する効果、例えば、発電機の制御性の低下を抑制することができる効果などと同様の効果を奏することができる。
本発明の動力出力装置の制御方法は、
内燃機関と、動力を入出力する発電機と、駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、を備える動力出力装置の制御方法であって、
(a)前記駆動軸に要求される要求駆動力に基づいて前記内燃機関の目標運転ポイントを設定し、
(b)前記設定した目標運転ポイントに基づいて前記発電機から出力すべき目標トルクである発電機目標トルクを設定し、
(c)前記設定された発電機目標トルクに対する前記発電機から出力されるトルクの比である発電機トルク比が小さいほど大きさが大きくなる傾向に前記発電機のトルク指令である発電機トルク指令を設定し、
(d)前記設定した目標運転ポイントで前記内燃機関が運転されると共に前記設定した発電機トルク指令により前記発電機が駆動され、前記要求駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する、
ことを要旨とする。
内燃機関と、動力を入出力する発電機と、駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、を備える動力出力装置の制御方法であって、
(a)前記駆動軸に要求される要求駆動力に基づいて前記内燃機関の目標運転ポイントを設定し、
(b)前記設定した目標運転ポイントに基づいて前記発電機から出力すべき目標トルクである発電機目標トルクを設定し、
(c)前記設定された発電機目標トルクに対する前記発電機から出力されるトルクの比である発電機トルク比が小さいほど大きさが大きくなる傾向に前記発電機のトルク指令である発電機トルク指令を設定し、
(d)前記設定した目標運転ポイントで前記内燃機関が運転されると共に前記設定した発電機トルク指令により前記発電機が駆動され、前記要求駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する、
ことを要旨とする。
この本発明の動力出力装置の制御方法では、駆動軸に要求される要求駆動力に基づいて内燃機関の目標運転ポイントを設定し、設定した目標運転ポイントに基づいて発電機から出力すべき目標トルクである発電機目標トルクを設定し、発電機目標トルクに対する発電機から出力されるトルクの比である発電機トルク比が小さいほど大きさが大きくなる傾向に発電機のトルク指令である発電機トルク指令を設定し、目標運転ポイントで内燃機関が運転されると共に発電機トルク指令により発電機が駆動され、要求駆動力が駆動軸に出力されるよう内燃機関と発電機と電動機とを制御する。即ち、発電機トルク比が小さいほど大きさが大きくなる傾向の発電機トルク指令により発電機を駆動するのである。これにより、発電機トルク比に応じてより適正に発電機を駆動することができ、経年変化などに基づく発電機の制御性の低下を抑制することができる。ここで、「3軸式動力入出力手段」は、シングルピニオン式やダブルピニオン式の遊星歯車機構であるものとすることもできるし、デファレンシャルギヤであるものとすることもできる。
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例であるハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、動力分配統合機構30に接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに取り付けられた減速ギヤ35と、この減速ギヤ35に接続されたモータMG2と、車両全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32にはリングギヤ軸32aを介して減速ギヤ35がそれぞれ連結されており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aからギヤ機構60およびデファレンシャルギヤ62を介して、最終的には車両の駆動輪63a,63bに出力される。
モータMG1およびモータMG2は、いずれも、永久磁石が貼り付けられたロータと三相コイルが巻回されたステータとを有し発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介してバッテリ50と電力のやりとりを行なう。インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン54は、各インバータ41,42が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2のいずれかで発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。したがって、バッテリ50は、モータMG1,MG2のいずれかから生じた電力や不足する電力により充放電されることになる。なお、モータMG1,MG2により電力収支のバランスをとるものとすれば、バッテリ50は充放電されない。モータMG1,MG2は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からの信号に基づいてモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2も演算している。
バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧,バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51からの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。また、バッテリECU52は、バッテリ50を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量(SOC)を演算したり、演算した残容量(SOC)と電池温度Tbとに基づいてバッテリ50を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限Win,Woutを演算している。なお、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、電池温度Tbに基づいて入出力制限Win,Woutの基本値を設定し、バッテリ50の残容量(SOC)に基づいて出力制限用補正係数と入力制限用補正係数とを設定し、設定した入出力制限Win,Woutの基本値に補正係数を乗じることにより設定することができる。
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速V,勾配センサ89からの路面勾配θなどが入力ポートを介して入力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。なお、トルク変換運転モードと充放電運転モードは、いずれもエンジン22の運転を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようエンジン22とモータMG1,MG2とを制御するモードであり、実質的な制御における差異はないため、以下、両者を合わせてエンジン運転モードという。
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作について説明する。図2および図3はハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば数msec毎)に繰り返し実行される。
駆動制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや車速センサ88からの車速V,エンジン22の回転数Ne,モータMG2の回転数Nm2,勾配センサ89からの路面勾配θなど制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS100)。ここで、エンジン22の回転数Neは、図示しないクランクポジションセンサからの信号に基づいて演算されたものをエンジンECU24から通信により入力するものとした。また、モータMG2の回転数Nm2は、回転位置検出センサ44により検出されたモータMG2の回転子の回転位置に基づいて演算されたものをモータECU40から通信により入力するものとした。
こうしてデータを入力すると、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいて車両に要求されるトルクとして駆動輪63a,63bに連結された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*とエンジン22に要求される要求パワーPe*とを設定する(ステップS110)。要求トルクTr*は、実施例では、アクセル開度Accと車速Vと要求トルクTr*との関係を予め定めて要求トルク設定用マップとしてROM74に記憶しておき、アクセル開度Accと車速Vとが与えられると記憶したマップから対応する要求トルクTr*を導出して設定するものとした。図4に要求トルク設定用マップの一例を示す。要求パワーPe*は、設定した要求トルクTr*にリングギヤ軸32aの回転数Nrを乗じたものとバッテリ50が要求する充放電要求パワーPb*とロスLossとの和として計算することができる。なお、リングギヤ軸32aの回転数Nrは、車速Vに換算係数kを乗じること(Nr=k・V)によって求めたり、モータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで割ること(Nr=Nm2/Gr)によって求めることができるが、実施例では、後者によって求めるものとした。
続いて、要求パワーPe*を閾値Prefと比較する(ステップS120)。ここで、閾値Prefは、エンジン運転モードとモータ運転モードとのうち一方を選択するために用いられるものであり、エンジン22から効率よく出力できるパワーの下限値やその近傍の値として設定することができる。
要求パワーPe*が閾値Pref未満のときには、モータ運転モードを選択し、エンジン22が運転停止されるようエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とに共に値0を設定し(ステップS130)、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定し(ステップS140)、要求トルクTr*を減速ギヤ35のギヤ比Grで除することによりモータMG2から出力すべきトルクとしての目標トルクTm2tmpを設定する(ステップS150)。
続いて、イグニッションオン時に初期値として値0が設定されると共に後述のモータMG2のトルク比Rmが設定されたときに値1が設定されるトルク比設定フラグFmの値を調べる(ステップS270)。ここで、トルク比Rmは、モータMG2の目標トルクTm2tmpに対するモータMG2から出力される出力トルクTm2の比率である。トルク比設定フラグFmが値0のときには、モータMG2のトルク比Rmが未だ設定されていないと判断し、モータ運転モードであるか否かを判定すると共に(ステップS280)、モータ運転モードであると判定されたときには、駆動制御の状態が定常状態にあるか否かを判定する(ステップS290)。ここで、駆動制御の状態が定常状態にあるか否かの判定は、例えば、設定したエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*(モータ運転モードであえるときには共に値0)が所定時間(例えば、数秒など)に亘って変化していないか(小さな閾値以内の変化であるか)の判定や、エンジン22の回転数Neが所定時間(例えば、数秒など)に亘って変化していないか(小さな閾値以内の変化であるか)の判定、モータMG1の目標トルクTm1tmpやトルク指令Tm1*,モータMG2の目標トルクTm2tmpやトルク指令Tm2*が所定時間(例えば、数秒など)に亘って変化していないか(小さな閾値以内の変化であるか)の判定、モータMG1の回転数Nm1やモータMG2の回転数Nm2が所定時間(例えば、数秒など)に亘って変化していないか(小さな閾値以内の変化であるか)の判定、などにより行なうことができる。いま、モータ運転モードであるときを考えているから、例えば、モータMG2の目標トルクTm2tmp,トルク指令Tm2*,回転数Nm2が所定時間(例えば、数秒など)に亘って変化していない(小さな閾値以内の変化である)ときに、駆動制御の状態が定常状態にあると判定することができる。このステップS280,S290の処理は、モータMG2のトルク比Rmを設定する条件が成立しているか否かを判定する処理である。
モータ運転モードでない(エンジン運転モードである)と判定されたときや、駆動制御の状態が定常状態にないと判定されたときには、モータMG2のトルク比Rmを設定する条件が成立していないと判断し、モータMG2の目標トルクTm2tmpをモータMG2のトルク指令Tm2*に設定し(ステップS330)、エンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*についてはエンジンECU24に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40にそれぞれ送信して(ステップS370)、駆動制御ルーチンを終了する。目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信したエンジンECU24は、エンジン22が目標回転数Ne*と目標トルクTe*とによって示される運転ポイントで運転されるようにエンジン22における吸入空気量制御や燃料噴射制御,点火制御などの制御を行なう。いま、目標回転数Ne*と目標トルクTe*とが値0のときを考えているから、エンジン22を運転停止するためにエンジン22の燃料噴射を停止する。また、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*でモータMG1が駆動されると共にトルク指令Tm2*でモータMG2が駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
ステップS280,S290で、モータ運転モードであって駆動制御の状態が定常状態にあると判定されたときには、モータMG2のトルク比Rmを設定する条件が成立していると判断し、車速Vの変化率である車速変化率ΔVと車両の質量mと重力加速度gと路面勾配θと走行用の駆動力を駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるトルクに換算するための換算係数Gaとを用いて次式(1)によりモータMG2の出力トルクTm2を計算すると共に(ステップS300)、計算した出力トルクTm2を前回のモータMG2の目標トルク(前回Tm2tmp)で除することによりモータMG2のトルク比Rmを式(2)により計算し(ステップS310)、トルク比設定フラグFmに値1を設定し(ステップS320)、モータMG2の目標トルクTm2tmpをモータMG2のトルク指令Tm2*に設定し(ステップS330)、エンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*についてはエンジンECU24に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40にそれぞれ送信して(ステップS370)、駆動制御ルーチンを終了する。ここで、車両の質量mは、例えば、1名乗車時や2名乗車時のものを用いるものとしたり、図示しない質量センサから入力される値を入力して用いるものとしたりすることができる。また、車速変化率ΔVは、今回の車速Vから前回の車速(前回V)を減じたものをこのルーチンの実行間隔で除することにより計算することができる。このようにしてモータMG2のトルク比Rmを計算することができる。なお、いま、駆動制御の状態が定常状態にあると判定されたときを考えているから、モータMG2の目標トルクTm2tmpは変化していないか小さな閾値以内の変化であるため、式(2)において、前回のモータMG2の目標トルク(前回Tm2tmp)に代えて今回のモータMG2の目標トルクTm2tmpを用いるものとしてもよい。また、モータMG2のトルク比Rmは、イグニッションオンからイグニッションオフまで(1トリップ)に1度だけ設定する、即ち、一旦設定された以降はイグニッションオフまで保持するものとした。
Tm2=m(ΔV+g・sinθ)・Ga (1)
Rm=Tm2/前回Tm2tmp (2)
Rm=Tm2/前回Tm2tmp (2)
そして、次回以降にこのルーチンが実行されたときには、ステップS270でトルク比設定フラグFmが値1であるから、モータMG2のトルク比Rmが設定されてから所定時間(例えば、数秒など)が経過したか否かを判定し(ステップS340)、所定時間が経過していないと判定されたときには、モータMG2の目標トルクTm2tmpをモータMG2のトルク指令Tm2*に設定し(ステップS330)、エンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*についてはエンジンECU24に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40にそれぞれ送信して(ステップS370)、駆動制御ルーチンを終了する。この場合、モータMG2のトルク指令Tm2*は、モータMG2のトルク比Rmが反映されずに設定されることになる。一方、ステップS340で所定時間が経過したと判定されたときには、モータMG2の目標トルクTm2tmpにトルク比Rmの逆数を乗じることによりモータMG2のトルク指令Tm2*を計算し(ステップS350)、イグニッションオン時に値0が設定されると共にトルク比Rmを反映してトルク指令Tm2*が設定されるときに値1が設定されるトルク比反映フラグFm2に値1を設定し(ステップS360)、エンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*についてはエンジンECU24に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40にそれぞれ送信して(ステップS370)、駆動制御ルーチンを終了する。この場合、モータMG2のトルク指令Tm2*は、トルク比Rmが小さいほど大きくなる傾向に設定されることになる。通常、モータMG2の経年変化(例えば、ロータに取り付けられた永久磁石の減磁など)などにより、運転者の要求に応じて設定されるモータMG2の目標トルクTm2tmpと実際にモータMG2から出力される出力トルクTm2とにはズレが生じる場合がある。しかしながら、このようにズレの程度を反映したトルク指令Tm2*を用いてモータMG2を制御することにより、目標トルクTm2tmpにより適応したトルクをモータMG2から出力することができ、経年変化などによってモータMG2の制御性が低下する(目標トルクTm2tmpと出力トルクTm2とのズレが大きくなるのを抑制する)ことができる。なお、トルク指令Tm2*の設定において、モータMG2のトルク比Rmを設定してから所定時間が経過するまでトルク比Rmを反映しないのは、制御の安定性を図るためである。
ステップS120で要求パワーPe*が閾値Pref以上のときには、エンジン運転モードを選択し、要求パワーPe*に基づいてエンジン22を運転すべき運転ポイントとしての目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する(ステップS160)。この設定は、エンジン22を効率よく動作させる動作ラインと要求パワーPe*とに基づいて行なわれる。エンジン22の動作ラインの一例と目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する様子を図5に示す。図示するように、目標回転数Ne*と目標トルクTe*は、動作ラインと要求パワーPe*(Ne*×Te*)が一定の曲線との交点により求めることができる。
続いて、エンジン22の目標回転数Ne*と動力分配統合機構30のギヤ比ρとを用いて次式(3)によりモータMG1から出力すべきトルクとしての目標トルクTm1tmpを計算する(ステップS170)。ここで、エンジン22からパワーを出力している状態で走行しているときの動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を図6に示す。図中、左のS軸はモータMG1の回転数Nm1であるサンギヤ31の回転数を示し、C軸はエンジン22の回転数Neであるキャリア34の回転数を示し、R軸はモータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで除したリングギヤ32の回転数Nrを示す。なお、R軸上の2つの太線矢印は、モータMG1から出力されたトルクTm1がリングギヤ軸32aに作用するトルクと、モータMG2から出力されるトルクTm2が減速ギヤ35を介してリングギヤ軸32aに作用するトルクとを示す。式(3)は、この共線図を用いれば容易に導くことができる。
Tm1tmp=-ρ・Te*/(1+ρ) (3)
次に、イグニッションオン時に初期値として値0が設定されると共に後述のモータMG1のトルク比Rgが設定されたときに値1が設定されるトルク比設定フラグFgの値を調べる(ステップS180)。ここで、モータMG1のトルク比Rgは、モータMG1の目標トルクTm1tmpに対するモータMG1から出力される出力トルクTm1の比率である。トルク比設定フラグFgが値0のときには、モータMG1のトルク比Rgが未だ設定されていないと判断し、トルク比反映フラグFm2の値を調べると共に(ステップS190)、前述したステップS290の処理と同様に、駆動制御の状態が定常状態にあるか否かを判定する(ステップS200)。このステップS190,200の処理は、モータMG1のトルク比Rgを設定する条件が成立しているか否かを判定する処理である。
トルク比反映フラグFm2が値0のときや、駆動制御の状態が定常状態にないと判定されたときには、モータMG1のトルク比Rgを設定する条件が成立していないと判断し、目標トルクTm1tmpとエンジン22の目標回転数Ne*と入力した回転数Neとを用いて次式(4)によりモータMG1のトルク指令Tm1*を計算し(ステップS240)、要求トルクTr*とモータMG1のトルク指令Tm1*と動力分配統合機構30のギヤ比ρと減速ギヤ35のギヤ比Grとを用いてモータMG2の目標トルクTm2tmpを次式(5)により計算し(ステップS260)、ステップS270以降の処理を実行する。ここで、式(4)は、エンジン22を目標回転数Ne*で回転させるためのフィードバック制御における関係式であり、右辺第1項はフィードフォワード項であり、右辺第2項はフィードバック項における比例項、右辺第3項はフィードバックバック項における積分項である。この式(4)中、右辺第2項の「k1」は比例項のゲインであり、右辺第3項の「k2」は積分項のゲインである。式(5)は、図6の共線図を用いれば容易に導くことができる。
Tm1*=Tm1tmp+k1・(Ne*-Ne)+k2・∫(Ne*-Ne)dt (4)
Tm2tmp=(Tr*+Tm1*/ρ)/Gr (5)
Tm2tmp=(Tr*+Tm1*/ρ)/Gr (5)
ステップS190,S200で、トルク比反映フラグFm2が値1であり駆動制御の状態が定常状態にあると判定されたときには、モータMG1のトルク比Rgを設定する条件が成立していると判断し、車速変化率ΔVと車両の質量mと重力加速度gと路面勾配θと前述の換算係数Gaと前回のモータMG2の目標トルク(前回Tm2tmp)と動力分配統合機構30のギヤ比ρとを用いて次式(6)によりモータMG1の出力トルクTm1を計算すると共に(ステップS210)、計算した出力トルクTm1を前回のモータMG1の目標トルク(前回Tm1tmp)で除することによりモータMG1のトルク比Rgを式(7)により計算し(ステップS220)、トルク比設定フラグFgに値1を設定し(ステップS230)、前述の式(4)によりモータMG1のトルク指令Tm1*を設定し(ステップS240)、式(5)によりモータMG2の目標トルクTm2tmpを設定し(ステップS260)、ステップS270以降の処理を実行する。このようにしてモータMG1のトルク比Rgを計算することができる。ここで、前述のモータMG1のトルク比Rgを設定する条件が成立しているか否かの判定において、トルク比反映フラグFm2が値1であることを条件とするのは以下の理由による。前述したように、モータMG2の目標トルクTm2tmpにトルク比Rmの逆数を乗じて設定したトルク指令Tm2*を用いてモータMG2を制御することにより、目標トルクTm2tmpと出力トルクTm2とのズレを小さくすることができる。このため、モータMG1の出力トルクTm1を計算する際に、トルク比Rmを反映してトルク指令Tm2*が設定されるときの目標トルクTm2tmpを用いれば、トルク比Rmが反映されずにトルク指令Tm2*が設定されるときの目標トルクTm2を用いるもの比してより適正に出力トルクTm1を計算することができる。こうしてより適正に出力トルクTm1を計算できれば、より適正にトルク比Rgを計算することができるため、実施例では、トルク比Rgを設定する条件が成立しているか否かの判定においてトルク比反映フラグFm2が値1であることを条件とするものとした。なお、いま、駆動制御の状態が定常状態にあると判定されたときを考えているから、モータMG1の目標トルクTm1tmpは変化していないか小さな閾値以内の変化であるため、式(7)において、前回のモータMG1の目標トルク(前回Tm1tmp)に代えて今回のモータMG1の目標トルクTm1tmpを用いるものとしてもよい。また、モータMG1のトルク比Rgは、モータMG2のトルク比Rmと同様に、イグニッションオンからイグニッションオフまで(1トリップ)に1度だけ設定する、即ち、一旦設定された以降はイグニッションオフまで保持するものとした。
Tm1=(m(ΔV+g・sinθ)・Ga-前回Tm2tmp)・(-ρ) (6)
Rg=Tm1/前回Tm1tmp (7)
Rg=Tm1/前回Tm1tmp (7)
そして、次回以降にこのルーチンが実行されたときには、ステップS180でトルク比設定フラグFgが値1であるから、トルク比Fgが設定されてから所定時間(例えば、数秒など)が経過したか否かを判定し(ステップS245)、所定時間が経過していないと判定されたときには、前述の式(4)によりモータMG1のトルク指令Tm1*を設定し(ステップS240)、ステップS260以降の処理を実行する。この場合、モータMG1のトルク指令Tm1*は、モータMG1のトルク比Rgが反映されずに設定されることになる。一方、ステップS245で所定時間が経過したと判定されたときには、式(4)の右辺第1項(フィードフォワード項)を目標トルクTm1tmpから目標トルクTm1tmpにトルク比Rgの逆数を乗じたもの(Tm1tmp/Rg)に置き換えたものによりモータMG1のトルク指令Tm1*を設定し(ステップS250)、ステップS260以降の処理を実行する。この場合、モータMG1のトルク指令Tm1*は、トルク比Rgが小さいほど大きさが大きくなる(発電用トルクとして大きくなる)傾向に設定されることになる。いま、エンジン運転モードで定常走行するときを考える。このときに、モータMG1の経年変化(例えば、ロータに取り付けられた永久磁石の減磁など)などにより、モータMG1の目標トルクTm1tmpと実際にモータMG1から出力される出力トルクTm1とにはズレが生じる場合がある。しかしながら、このようにズレの程度を反映したフィードフォワード項を用いてモータMG1のトルク指令Tm1*を設定すると共にこのトルク指令Tm1*を用いてモータMG1を制御することにより、フィードバック項の影響が大きくなるのを抑制することができ、目標トルクTm1tmpにより適応したトルクをモータMG1から出力することができ、経年変化などによってモータMG1の制御性が低下するのを抑制することができる。なお、トルク指令Tm1*の設定において、モータMG1のトルク比Rgを設定してから所定時間が経過するまでトルク比Rgを反映しないのは、制御の安定性を図るためである。
図7は、車両が走行するときの制御モード(エンジン運転モードまたはモータ運転モード),モータMG2の目標トルクTm2tmpと出力トルクTm2,モータMG1の目標トルクTm1tmpと出力トルクTm1,要求トルクTr*と出力トルクTrの時間変化の様子の一例を示す説明図である。なお、図7では、簡単のために、モータ運転モードからエンジン運転モードに移行する際(エンジン22を始動する際)にエンジン22をモータリングするためにモータMG1から出力されるトルクについては省略した。図示するように、イグニッションオン後にモータ運転モードで走行するときには、最初は、モータMG2の目標トルクTm2tmpと出力トルクTm2とのズレにより、要求トルクTr*とリングギヤ軸32aに出力される出力トルクTrとにズレが生じているが、駆動制御の状態が定常状態にあると判定された時刻t1にモータMG2のトルク比Rmを計算し、その後の時刻t2以降は、モータMG2のトルク比Rmを反映して設定されるモータMG2のトルク指令Tm2*を用いてモータMG2を制御することにより、目標トルクTm2tmpと出力トルクTm2とのズレを小さくすることができ、要求トルクTr*と出力トルクTrとのズレを小さくすることができる。その後、時刻t3でモータ運転モードからエンジン運転モードに移行すると、最初は、モータMG1の目標トルクTm1tmpと出力トルクTm1とのズレにより、要求トルクTr*とリングギヤ軸32aに出力される出力トルクTrとにズレが生じているが、駆動制御の状態が定常状態にあると判定された時刻t4にモータMG1のトルク比Rgを計算し、その後の時刻t5以降は、モータMG1のトルク比Rgを反映して設定されるモータMG1のトルク指令Tm1*を用いてモータMG1を制御することにより、目標トルクTm1tmpと出力トルクTm1とのズレを小さくすることができ、要求トルクTr*と出力トルクTrとのズレを小さくすることができる。
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、要求トルクTr*に基づいて設定されるエンジン22の目標トルクTe*に基づいてモータMG1の目標トルクTm1tmpを設定し、駆動制御の状態が定常状態にあると判定されたときに目標トルクTm1tmpに対する出力トルクTm1の比であるトルク比Rgを設定し、設定したトルク比Rgが小さいほど大きさが大きくなる傾向に(発電トルクとして大きくなる傾向に)モータMG1のトルク指令Tm1*を設定してモータMG1を制御するから、目標トルクTm1tmpにより適応したトルクをモータMG1から出力することができ、経年変化などに基づくモータMG1の制御性の低下を抑制することができる。しかも、モータMG2の制御についても、駆動制御の状態が定常状態にあると判定されたときに目標トルクTm2tmpに対する出力トルクTm2の比であるトルク比Rmを設定し、設定したトルク比Rmが小さいほど大きさが大きくなる傾向にモータMG2のトルク指令Tm2*を設定してモータMG2を制御するから、目標トルクTm2tmpにより適応したトルクをモータMG2から出力することができ、経年変化などに基づくモータMG2の制御性の低下を抑制することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン運転モードであるときには、前述の式(4)で示されるエンジン22を目標回転数Ne*で回転させるためのフィードバック制御における関係式を用いてモータMG1のトルク指令Tm1*を設定するものとしたが、モータMG1のトルク比Rgを反映した以降は、トルク比Rgが小さいほど大きさが大きくなる傾向にモータMG1のトルク指令Tm1*を設定するものであればよく、式(4)とは異なる関係式を用いてモータMG1のトルク指令Tm1*を設定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、イグニッションオンされてからモータMG2のトルク比Rmを反映してトルク指令Tm2*を設定するまでは、モータMG2のトルク指令Tm2*に目標トルクTm2tmpをそのまま設定するものとしたが、前回のトリップ(前回のイグニッションオンからイグニッションオフまで)で設定したトルク比(前トリップRm)の逆数を目標トルクTm2tmpに乗じたものをトルク指令Tm2*を設定するものとしてもよい。この場合、モータMG2のトルク比Rmを設定する際には、モータMG2の出力トルクTm2に前回のトリップのトルク比(前トリップRm)が反映されるため、前述の式(2)に代えて、次式(8)により設定する必要がある。また、実施例のハイブリッド自動車20では、イグニッションオンされてからモータMG1のトルク比Rgを反映してトルク指令Tm1*を設定するまでは、モータMG1の目標トルクTm1tmpをそのままフィードフォワード項として用いて前述の式(4)によりモータMG1のトルク指令Tm1*を設定するものとしたが、前回のトリップで設定したトルク比(前トリップRg)の逆数を目標トルクTm1tmpに乗じたものをフィードフォワード項として用いてモータMG1のトルク指令Tm1*を設定するものとしてもよい。この場合、モータMG1のトルク比Rgを設定する際には、モータMG1の出力トルクTm1に前回のトルク比(前トリップRg)が反映されるため、前述の式(7)に代えて、式(9)により設定する必要がある。これらのように、今回のトリップにおけるモータMG1,MG2のトルク比Rg,Rmを反映してモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定するまで、前回のトリップのモータMG1,MG2のトルク比(前トリップRg),(前トリップRm)を反映してモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定することにより、このときにおける目標トルクTm1tmp,Tm2tmpと出力トルクTm1,Tm2とのズレの程度をより小さくすることができる。
Rm=前トリップRm・Tm2/前回Tm2tmp (8)
Rg=前トリップRg・Tm1/前回Tm1tmp (9)
Rg=前トリップRg・Tm1/前回Tm1tmp (9)
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2のトルク比Rmを設定してから所定時間が経過した以降はモータMG2の目標トルクTm2tmpにトルク比Rmの逆数を乗したものをモータMG2のトルク指令Tm2*に設定するものとしたが、モータMG2のトルク比Rmを設定した以降であれば所定時間が経過したか否かに拘わらずモータMG2の目標トルクTm2tmpにトルク比Rmの逆数を乗したものをモータMG2のトルク指令Tm2*に設定するものとしてもよい。また、実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG1のトルク比Rgを設定してから所定時間が経過した以降はモータMG1の目標トルクTm1tmpにトルク比Rgの逆数を乗じたものをフィードフォワード項として用いてモータMG1のトルク指令Tm1*を設定するものとしたが、モータMG1のトルク比Rgを設定した以降であれば所定時間が経過したか否かに拘わらずモータMG1の目標トルクTm1tmpにトルク比Rgの逆数を乗じたものをフィードフォワード項として用いてモータMG1のトルク指令Tm1*を設定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG1,MG2のトルク比Rg,Rmは、イグニッションオンからイグニッションオフまで(1トリップ)に一度だけ設定するものとしたが、所定時間(例えば、数十分〜数時間)が経過した以降であってそれぞれの設定条件成立したとき(例えば、モータMG2のトルク比Rmであれば、モータ運転モードであって駆動制御の状態が定常状態にあると判定されたとき)に再設定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、車速変化率ΔVと車両の質量mと重力加速度gと路面勾配θと換算係数Gaとを用いて式(1)によりモータMG2の出力トルクTm2を計算するものとしたが、車両の走行状態に基づいてモータMG2の出力トルクTm2を計算するものであれば如何なるものとしても構わない。また、実施例のハイブリッド自動車20では、車速変化率ΔVと車両の質量mと重力加速度gと路面勾配θと前回のモータMG2の目標トルク(前回Tm2tmp)と動力分配統合機構30のギヤ比ρと換算係数Gaとを用いて式(6)によりモータMG1の出力トルクTm1を計算するものとしたが、車両の走行状態に基づいてモータMG1の出力トルクTm1を計算するものであれば如何なるものとしても構わない。
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG1,MG2の出力トルクTm1,Tm2を計算する際に、車速Vの変化率である車速変化率ΔVを用いるものとしたが、車速変化率ΔVに代えて、加速度センサを備える場合には加速度センサからの車両の加速度αを用いるものとしてもよい。また、これらに代えて、駆動軸としてのリングギヤ軸32aの回転数Nr(=Nm2/Gr)の変化率を用いるものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG1,MG2の出力トルクTm1,Tm2を計算する際に、勾配センサ89からの路面勾配θを用いるものとしたが、例えば、予め定められている走行区間(例えば信号機間や交差点間など)毎の道路情報(例えば、距離情報や幅員情報,地域情報(市街地,郊外),種別情報(一般道路,高速道路),勾配情報,法定速度など)などが記憶されているナビゲーションシステムを備える場合にはナビゲーションシステムからの勾配情報を用いるものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG1,MG2の両方についてトルク比Rg,Rmを反映してトルク指令Tm1*,Tm2*を設定するものとしたが、モータMG1にだけトルク比Rgを反映してトルク指令Tm1*を設定するものとしてもよい。この場合でも、経年変化などに基づくモータMG1の制御性の低下を抑制することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、簡単のために、バッテリ50の入出力制限Win,Woutについては考慮していないが、実際には、バッテリ50を保護するために、バッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内でモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定することが望ましい。
実施例のハイブリッド自動車20では、減速ギヤ35を介して駆動軸としてのリングギヤ軸32aにモータMG2を取り付けるものとしたが、リングギヤ軸32aにモータMG2を直接取り付けるものとしてもよいし、減速ギヤ35に代えて2段変速や3段変速,4段変速などの変速機を介してリングギヤ軸32aにモータMG2を取り付けるものとしても構わない。
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2の動力を減速ギヤ35により変速してリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図8の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2の動力をリングギヤ軸32aが接続された車軸(駆動輪63a,63bが接続された車軸)とは異なる車軸(図8における車輪64a,64bに接続された車軸)に出力するものとしてもよい。
また、こうしたハイブリッド自動車に適用するものに限定されるものではなく、自動車以外の車両や船舶,航空機などの移動体に搭載される動力出力装置の形態や建設設備などの移動しない設備に組み込まれた動力出力装置の形態としても構わない。さらに、こうした動力出力装置の制御方法の形態としてもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン22が「内燃機関」に相当し、モータMG1が「発電機」に相当し、動力分配統合機構30が「3軸式動力入出力手段」に相当し、モータMG2が「電動機」に相当し、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて要求トルクTr*を設定する図2および図3の駆動制御ルーチンのステップS110の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「要求駆動力設定手段」に相当し、要求トルクTr*に基づいて設定される要求パワーPe*が閾値Pref以上のときに要求パワーPe*に基づいてエンジン22の目標回転数Ne*および目標トルクTe*を設定する図2および図3の駆動制御ルーチンのステップS160の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「目標運転ポイント設定手段」に相当し、目標トルクTe*に基づいてモータMG1の目標トルクTm1tmpを設定する図2および図3の駆動制御ルーチンのステップS170の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「発電機目標トルク設定手段」に相当し、モータMG2の目標トルクTm2tmpに対する出力トルクTm2の比であるトルク比Rmを反映してモータMG2のトルク指令Tm2*が設定されるときであってエンジン運転モードで駆動制御の状態が定常状態にあると判定されたときにモータMG1の目標トルクTm1tmpに対する出力トルクTm1の比であるトルク比Rgを設定し、モータMG1のトルク比Rgを設定してから所定時間が経過した以降はモータMG1の目標トルクTm1tmpにトルク比Rgの逆数を乗じて設定されるフィードフォワード項とエンジン22の目標回転数Ne*と回転数Neとの差が打ち消されるよう設定されるフィードバック項との和によりモータMG1のトルク指令Tm1*を設定する図2および図3の駆動制御ルーチンのステップS180〜S250の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「発電機トルク指令設定手段」に相当し、要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるよう要求トルクTr*とモータMG1のトルク指令Tm1*とを用いてモータMG2のトルク指令Tm2*を設定し、エンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*についてはエンジンECU24に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40にそれぞれ送信する図2および図3の駆動制御ルーチンのステップS150,S260〜S370の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70と、受信した目標回転数Ne*と目標トルクTe*とに基づいてエンジン22を制御するエンジンECU24と、受信したトルク指令Tm1*,Tm2*に基づいてモータMG1,MG2を制御するモータECU40と、が「制御手段」に相当する。
ここで、「内燃機関」としては、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関に限定されるものではなく、水素エンジンなど如何なるタイプの内燃機関であっても構わない。「発電機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG1に限定されるものではなく、誘導電動機など、動力を入出力可能なものであれば如何なるタイプの発電機としても構わない。「3軸式動力入出力手段」としては、上述の動力分配統合機構30に限定されるものではなく、ダブルピニオン式の遊星歯車機構を用いるものや複数の遊星歯車機構を組み合わせて4以上の軸に接続されるものやデファレンシャルギヤのように遊星歯車とは異なる作動作用を有するものなど、駆動軸と内燃機関の出力軸と発電機の回転軸との3軸に接続され3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力するものであれば如何なるものとしても構わない。「電動機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG2に限定されるものではなく、誘導電動機など、駆動軸に動力を入出力可能なものであれば如何なるタイプの電動機であっても構わない。「要求駆動力設定手段」としては、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて要求トルクTr*を設定するものに限定されるものではなく、アクセル開度Accだけに基づいて要求トルクを設定するものや走行経路が予め設定されているものにあっては走行経路における走行位置に基づいて要求トルクを設定するものなど、走行に要求される要求駆動力を設定するものであれば如何なるものとしても構わない。「目標運転ポイント設定手段」としては、要求トルクTr*に基づいて設定される要求パワーPe*が閾値Pref以上のときに要求パワーPe*に基づいてエンジン22の目標回転数Ne*および目標トルクTe*を設定するものに限定されるものではなく、要求駆動力に基づいて内燃機関の目標運転ポイントを設定するものであれば如何なるものとしても構わない。「発電機目標トルク設定手段」としては、目標トルクTe*に基づいてモータMG1の目標トルクTm1tmpを設定するものに限定されるものではなく、目標運転ポイントに基づいて発電機から出力すべき目標トルクである発電機目標トルクを設定するものであれば如何なるものとしても構わない。「発電機トルク指令設定手段」としては、モータMG2の目標トルクTm2tmpに対する出力トルクTm2の比であるトルク比Rmを反映してモータMG2のトルク指令Tm2*が設定されるときであってエンジン運転モードで駆動制御の状態が定常状態にあると判定されたときにモータMG1の目標トルクTm1tmpに対する出力トルクTm1の比であるトルク比Rgを設定し、モータMG1のトルク比Rgを設定してから所定時間が経過した以降はモータMG1の目標トルクTm1tmpにトルク比Rgの逆数を乗じて設定されるフィードフォワード項とエンジン22の目標回転数Ne*と回転数Neとの差が打ち消されるよう設定されるフィードバック項との和によりモータMG1のトルク指令Tm1*を設定するものに限定されるものではなく、発電機目標トルクに対する発電機から出力されるトルクの比である発電機トルク比が小さいほど大きさが大きくなる傾向に発電機のトルク指令である発電機トルク指令を設定するものであれば如何なるものとしても構わない。「制御手段」としては、ハイブリッド用電子制御ユニット70とエンジンECU24とモータECU40とからなる組み合わせに限定されるものではなく単一の電子制御ユニットにより構成されるなどとしてもよい。また、「制御手段」としては、エンジン22が目標回転数Ne*と目標トルクTe*とからなる運転ポイントで運転されると共にトルク指令Tm1*によりモータMG1が駆動され、要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようエンジン22とモータMG1,MG2とを制御するものに限定されるものではなく、目標運転ポイントで内燃機関が運転されると共に発電機トルク指令により発電機が駆動され、要求駆動力が駆動軸に出力されるよう内燃機関と発電機と電動機とを制御するものであれば如何なるものとしても構わない。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための最良の形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、動力出力装置や車両の製造産業などに利用可能である。
20,120 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、35 減速ギヤ、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、51 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、60 ギヤ機構、62 デファレンシャルギヤ、63a,63b 駆動輪、64a,64b 車輪、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、89 勾配センサ、MG1,MG2 モータ。
Claims (8)
- 駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、
内燃機関と、
動力を入出力する発電機と、
前記駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に接続され、該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、
前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、
前記駆動軸に要求される要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
前記設定された要求駆動力に基づいて前記内燃機関の目標運転ポイントを設定する目標運転ポイント設定手段と、
前記設定された目標運転ポイントに基づいて前記発電機から出力すべき目標トルクである発電機目標トルクを設定する発電機目標トルク設定手段と、
前記設定された発電機目標トルクに対する前記発電機から出力されるトルクの比である発電機トルク比が小さいほど大きさが大きくなる傾向に前記発電機のトルク指令である発電機トルク指令を設定する発電機トルク指令設定手段と、
前記設定された目標運転ポイントで前記内燃機関が運転されると共に前記設定された発電機トルク指令により前記発電機が駆動され、前記設定された要求駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する制御手段と、
を備える動力出力装置。 - 請求項1記載の動力出力装置であって、
前記発電機目標トルク設定手段は、前記設定された目標運転ポイントにおけるトルクに基づいて前記発電機目標トルクを設定する手段であり、
前記発電機トルク指令設定手段は、前記設定された発電機目標トルクと前記発電機トルク比とに基づいて該発電機トルク比が小さいほど大きさが大きくなる傾向に設定されるフィードフォワード項と、前記内燃機関の回転数と前記設定された目標運転ポイントにおける目標回転数との差が打ち消されるよう設定されるフィードバック項と、を加算して前記発電機トルク指令を設定する手段である、
動力出力装置。 - 前記制御手段は、前記設定された要求駆動力に基づいて前記電動機から出力すべき目標トルクである電動機目標トルクを設定し、前記設定された電動機目標トルクに対する前記電動機から出力されるトルクの比である電動機トルク比が小さいほど大きさが大きくなる傾向に前記電動機のトルク指令である電動機トルク指令を設定し、該設定した電動機トルク指令により前記電動機が駆動されるよう該電動機を制御する手段である請求項1または2記載の動力出力装置。
- 請求項3記載の動力出力装置であって、
前記制御手段は、前記内燃機関を運転停止した状態で前記電動機から前記駆動軸に動力を出力しているときに前記電動機トルク比を設定する手段であり、
前記発電機トルク指令設定手段は、前記電動機トルク比が設定された後であって前記内燃機関からの動力の出力を伴って前記駆動軸に動力を出力しているときに前記発電機トルク比を設定する手段である、
動力出力装置。 - 前記発電機トルク指令設定手段は、前記駆動軸の回転数の変化率に関連する物理量と路面勾配と前記設定された電動機目標トルクとに基づいて前記発電機から出力されるトルクを設定する手段である請求項4記載の動力出力装置。
- 前記制御手段は、前記駆動軸の回転数の変化率に関連する物理量と路面勾配とに基づいて前記電動機から出力されるトルクを設定する手段である請求項3ないし5のいずれか1つの請求項に記載の動力出力装置。
- 請求項1ないし6のいずれか1つの請求項に記載の動力出力装置を搭載し、車軸が前記駆動軸に連結されてなる車両。
- 内燃機関と、動力を入出力する発電機と、駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、を備える動力出力装置の制御方法であって、
(a)前記駆動軸に要求される要求駆動力に基づいて前記内燃機関の目標運転ポイントを設定し、
(b)前記設定した目標運転ポイントに基づいて前記発電機から出力すべき目標トルクである発電機目標トルクを設定し、
(c)前記設定された発電機目標トルクに対する前記発電機から出力されるトルクの比である発電機トルク比が小さいほど大きさが大きくなる傾向に前記発電機のトルク指令である発電機トルク指令を設定し、
(d)前記設定した目標運転ポイントで前記内燃機関が運転されると共に前記設定した発電機トルク指令により前記発電機が駆動され、前記要求駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する、
動力出力装置の制御方法。
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JP2008153079A JP2009298224A (ja) | 2008-06-11 | 2008-06-11 | 動力出力装置およびその制御方法並びに車両 |
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2008
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