本発明の一実施形態のパチンコ遊技機1の主な構成について図1と図2を用いて説明する。図1は、パチンコ遊技機1の外観を正面から見た正面図で、パチンコ遊技機1は、縦長の長方形に形成された外枠2と、外枠2に対してヒンジ3によって開閉可能に取り付けられる内枠4とから構成される。さらに内枠4は複層で構成され、遊技者側に開閉可能なガラスパネル5と球皿パネル6とを上下に備え、背面側の構成として図示しない遊技盤収納枠、及び、同じく図示しないが遊技球の払い出しに係る機構部品等が取り付けられた機構板を備えている。ガラスパネル5の内側には遊技盤7が設けられている。内枠4或いはガラスパネル5を開放する時には、専用鍵を鍵穴8に差し込み、専用鍵の回動操作方向によって開放する側が選択される。
ガラスパネル5は、略楕円形の開口窓部9が形成されており、開口窓部9の背面には着脱自在に2枚のガラスが取り付けられている。また、開口窓部9の周囲は合成樹脂製の装飾パネル10で囲まれ、装飾パネル10には演出発光部11や効果音発音部12が設けられている。球皿パネル6の中央位置には発射される遊技球を貯留する球皿13が設けられており、球皿13の天面には、遊技者が操作することで球貸しが行われる球貸しボタン14が、左下位置には遊技者が操作することで演出状態の選択を可能とする演出選択操作部15が、球皿パネル5の右下位置には、図示しない発射装置の発射力を調整するための発射ハンドル16が設けられている。
外枠2の左側には、パチンコ遊技機1とは別体のCR球貸しユニット20が、双方向で信号の送受信可能に接続されている。CR球貸しユニット20にはパチンコ遊技機との接続状態が正常であるか、球貸しボタン14の球貸し操作を受け付け可能であるか等の状態を報知する状態報知ランプ21と、紙幣の挿入口22と、貸し球数情報が記録されたカードを挿入する挿入口23と、カードが挿入されていることを報知するカード挿入ランプ24と、挿入されているカードを返却させる返却ボタン25が設けられている。
図2は、遊技盤7上に形成された遊技領域30内の構成の一例を示している。遊技領域30には、作動ゲート31、該作動ゲートを遊技球が通過することを作動契機として変動を開始する普通図柄表示装置32、該普通図柄表示装置32に当たり図柄が確定表示された場合に遊技球が入賞しやすいように拡開し、第1始動領域としての機能が付与された普通電動役物33、拡開する普通電動役物33に遊技球が入賞することを作動契機として変動を開始する特別図柄1表示装置35、第2始動領域としての機能が付与された始動口34、該始動口34に遊技球が入賞することを作動契機として変動を開始する特別図柄2表示装置36、特定遊技状態期間中に点灯して遊技状態を表示する状態表示装置37、普通図柄の作動保留回数を表示する普通図柄記憶数表示装置38、特別図柄1の作動保留回数を表示する特別図柄1記憶数表示装置39、特別図柄2の作動保留回数を表示する特別図柄2記憶数表示装置40、特別図柄1表示装置35又は特別図柄2表示装置36に大当たり図柄が確定表示された場合に遊技球が入賞しやすいように拡開する大入賞口41、遊技盤7の中央位置には特別図柄1及び特別図柄の図柄変動に対応して行われる演出表示、特別遊技状態での各ラウンドでの演出表示、各作動保留回数を視覚的に認識しやすくする画像を表示するとともに、特定遊技状態の残り変動回数Sの計数表示を行うなど遊技に進行に応じて行われる各種演出表示を表示する演出表示装置42、遊技領域30に打ち込まれた遊技球のうち普通電動役物33や大入賞口41や図示しない一般入賞口に入賞しなかった遊技球が流入するアウト口45、そのほか図示しないが、複数のLED等発光部を備え、遊技の進行に対応した点滅・点灯作動が行われる盤面飾りが設けられている。なお、特別図柄表示装置として特別図柄1表示装置35と特別図柄2表示装置の2つが設けられているが、同時には作動できず、演出表示装置42が行う演出表示は作動している側に対応した演出画像を表示することになる。
次に、パチンコ遊技機1の主な電気的構成と、パチンコ遊技機1の裏面側での主たる制御基板の配置状況について図3及び図4を参照して説明する。外部からの電源となるAC24V電源100は、電源基板101にて5V、12V、32Vのパチンコ遊技機で使用する所要の電圧に変換され、中抜き矢印の示す方向で基板ベースにおける電源の供給が行われる。黒矢印の示す方向が信号の接続先と送信方向で、矢印が片側か両側によって一方向或いは双方向であるかをを示している。
主制御基板130には、マイクロプロセッサ131が搭載されている。このマイクロプロセッサ131は、メインCPU132、ユーザプログラムやユーザプログラムを実行するために必要なデータが格納された内蔵ROM133、ユーザプログラムの作業領域として使用する内蔵RAM134、遊技領域30に設けられた各種スイッチからの検出信号を受け取り、また普通図柄表示装置33や普通電動役物34等を制御するための制御信号及び後述するサブ基板に対しての制御コマンドを送信する入出力ポート135を備える。そして主制御基板130は遊技盤7に設けられ、遊技盤中継端子板140を介して電気的に接続された各種スイッチからの信号に基づいて、パチンコ遊技としての全体の遊技進行に係る電装品の作動を制御する。
主制御基板130に遊技盤中継端子板140を介してダイレクトに接続されているスイッチとしては、作動ゲート31を通過した遊技球を検出する作動ゲートスイッチ141、始動口34に入賞した遊技球を検出する始動口スイッチ142、拡開した普通電動役物33に入賞した遊技球を検出する普通電動役物入賞スイッチ143、拡開した大入賞口41に入賞した遊技球を検出する大入賞口入賞スイッチ144が挙げられる。
主制御基板130が遊技進行に応じて直接に制御を行う電装品としては、普通電動役物33を開放状態に変換する普通電動役物開放ソレノイド145、大入賞口41を開放状態に変換する大入賞口開放ソレノイド146、普通図柄表示装置32として2個のLEDが設けられた普通図柄表示基板147、特別図柄1表示装置35としての2個のLEDが設けられた特別図柄1表示基板148、特別図柄2表示装置36としての2個のLEDが設けられた特別図柄2表示基板149、普通図柄・特別図柄1・特別図柄2の作動保留回数を表示する普通図柄記憶数表示基板150・特別図柄1記憶数表示基板151・特別図柄2記憶数表示基板152、確変状態か否かなどを示す状態表示装置37しての状態表示基板153などが挙げられる。
また、主制御基板130には、主制御基板130からの制御コマンドに基づいて所定の制御内容を実行するサブ基板が接続されている。そのサブ基板としては、マイクロプロセッサ111を備えて賞球及び貸し球として遊技球の払出制御を行うとともに、発射停止スイッチ121・タッチセンサ122からの信号状態に応じて発射装置の発射ソレノイド112への通電を制御して発射制御を行う払出制御基板110、マイクロプロセッサ161を備え、画像処理基板170を介して演出表示装置42としての液晶表示ユニット175の表示制御を行う演出画像制御基板160、マイクロプロセッサ181を備えて演出操作ボタン16と内枠4側に設けられた枠装飾LED基板182や遊技盤7側に設けられた盤装飾LED基板183や効果音発音部としてのスピーカ12などを制御する電飾音声制御基板180である。なお、画像処理基板170にはグラフィックチップ171・画像データが格納されたROM172が搭載されており、グラフィックチップ171は、演出画像制御基板160からの制御情報に基づいてROM172から必要な画像データを取り出し、重ね合わせ等の描画処理を行い、液晶表示ユニット175に描画させ、演出画像制御基板160と画像処理基板170とで演出画像制御手段を構成する。また、パチンコホールのホールコンピュータへ送信するための外部情報端子基板125も接続されており、遊技盤7に設けられた各種スイッチからの検出信号が発生する都度、或いは、大当たりの発生・終了タイミングや払い出した賞球数などを各種ホール側で営業管理する際に有用となる情報が出力可能となっている。なお、図4に示すように、主制御基板130や払出制御基板110など、遊技者への利益付与に関わる基板は、パチンコ遊技機1の裏面側に基板内部の状態が確認し易いように設けられている。
発射ハンドル15に設けられた発射停止スイッチ121、タッチセンサ122からの信号はハンドル接続基板120を介して払出制御基板110に送られ、スイッチ状態に応じて遊技球を発射或いは発射停止させる。遊技球の発射強度を変更させるには、遊技者がタッチセンサ122に触れた状態で発射ハンドル15を右方向に回動させると、発射ハンドル15に連動して図示しない発射強度ボリュームの回転角度が変わり、発射ソレノイド112の強度が変更される。なお、発射ソレノイド112が1回駆動すると図示しない発射槌が1回動作し、1個の遊技球が発射される。また、図示しない発射停止ボタンを押すと、発射停止スイッチ121がオフ状態になり、払出制御基板110が発射停止スイッチ121のオフ状態を検出すると、タッチセンサ122に触れていない場合同様、発射ソレノイド112への通電を停止し、遊技球の発射は停止される。
また、始動口スイッチ142、普通電動役物入賞スイッチ143、大入賞口入賞スイッチ144などの入賞検知機構をなすスイッチからの入賞信号が主制御基板130に送られると、スイッチ別に設定されている払出個数を決定し、主制御基板130から払出制御基板110へ賞球数信号が送られる。賞球数信号を受け取った払出制御基板110は、払出モータ116を回転させて遊技球を1個ずつ払い出させ、賞球カウントスイッチ117からの検出信号によって払出制御基板110は遊技球の払い出し数を計数する。
次に、パチンコ遊技機1の一般的な状態である通常遊技状態における遊技の流れから説明する。遊技領域30に発射された遊技球が作動ゲート31を通過し、作動ゲートスイッチ141が検出すると、普通図柄表示装置32の普通図柄が変動を開始する。同時に、順次更新される0〜99の100コマの普通図柄判定値カウンタより、遊技球を検出時点での判定値を取得し、予め定められた当たり値「7」と等しければ当たりと判定し、それ以外であればハズレと判定する。当たり・ハズレの結果に応じた停止図柄と停止表示するまでの変動時間(平均25秒)を選択し、選択した変動時間が経過すれば、当たり・ハズレの結果に応じた停止図柄を普通図柄表示装置32に表示する。当たり判定がされていれば、当たり図柄を表示した後、第1始動領域としての機能が付与された普通電動役物33が0.2秒/回開放される。開放した普通電動役物33に遊技球が入賞して普通電動役物入賞スイッチ143が当該遊技球を検出すると特別図柄1表示装置35の特別図柄1が変動を開始する。同時に、順次更新される0〜299の300コマの特別図柄1判定値カウンタより、遊技球を検出時点での第1判定値を取得し、予め定められた当たり値「7」と等しければ大当たりと判定し、それ以外であればハズレと判定する。大当たり・ハズレの結果に応じた停止図柄と停止表示するまでの変動時間を選択し、選択した変動時間が経過すれば、大当たり・ハズレの結果に応じた停止図柄を特別図柄1表示装置35に表示する。大当たり図柄が表示されると、通常遊技状態から特別遊技状態(大当たり)に移行する。特別遊技状態では、大入賞口41が、例えば、13回繰り返し開放され、1回の開放は、遊技球が9個入賞するか、又は、開放後29秒が経過するかのいずれかの終了条件が成立すると開放が終了して一旦閉口される。1回の開放をラウンドと呼称するので、上記の場合は13ラウンドとなる。特別遊技状態への移行過程はもう1パターンあり、遊技球が第2始動領域としての機能が付与された始動口34に入賞して始動口スイッチ142が当該遊技球を検出すると特別図柄2表示装置36の特別図柄2が変動を開始する。同時に、順次更新される0〜299の300コマの特別図柄2判定値カウンタより、遊技球を検出時点での第2判定値を取得し、予め定められた当たり値「7」と等しければ大当たりと判定し、それ以外であればハズレと判定する。大当たり・ハズレの結果に応じた停止図柄と停止表示するまでの変動時間を選択し、選択した変動時間が経過すれば、大当たり・ハズレの結果に応じた停止図柄を特別図柄2表示装置36に表示し、大当たり図柄が表示されると、通常遊技状態から特別遊技状態に移行する。特別遊技状態における大入賞口41の開放態様は特別図柄1の場合と同じなので割愛する。
大入賞口41が規定ラウンド数開放され、特別遊技状態が終了すると、特別図柄の変動が50回終了するまでとの期間が限定された特定遊技状態に移行し、特定遊技状態の期間中に特別遊技状態が発生しなければ通常遊技状態に戻り、特定遊技状態期間中に大当たり図柄が表示されると再び特別遊技状態に移行する。なお、特定遊技状態の期間中であることは状態表示装置37のLEDが点灯していることと、演出表示装置42の画面内に残り回数を示す画像が表示されており、容易に認識できる。
特定遊技状態においては、例えば、普通図柄表示装置32の平均変動時間2秒/回、当たり確率99/100、普通電動役物33の開放時間3秒/回、特別図柄1表示装置35の平均変動時間3秒/回、大当たり確率1/37.5、特別図柄2表示装置36の平均変動時間4秒/回、大当たり確率1/37.5というように変更され、通常遊技状態よりも大当たりが発生しやすい状態となっている。この大当たりの発生のし易さは、特別図柄側の大当たり確率が確率変動していることが大きく寄与している。使用する判定値カウンタは同じ300コマであるが、大当たり値として設定されている値が、通常遊技状態における通常当たり値の「7」だけではなく、「37」「79」「107」など、7個の数値からなる拡大当たり値も加えられているので、大当たり確率が8倍に確率変動している。この拡大当たり値を取得した場合には、判定が行われるタイミングによって結果が替わり、特定遊技状態で図柄変動が開始されれば大当たりと判定されるが、通常遊技状態で図柄変動が開始されるとハズレと判定される。
特別図柄1表示装置35と特別図柄2表示装置36は、普通電動役物入賞スイッチ143或いは始動口スイッチ142が遊技球を検出するというように作動契機を異ならせていても、同時に2つが図柄変動を行うことはできず、さらに特別遊技状態の期間中はいずれも図柄変動を開始することはできない。また、特別図柄1表示装置35と特別図柄2表示装置36は、自らが図柄変動中に新たに作動契機が成立した場合にも変動することができないため、これらの変動が開始できない場合には、取得した判定値を所定の記憶領域に格納して作動を保留することになる。この作動を保留したことを始動記憶と呼称し、それぞれ成立順に最大4個(4回)が認められ、上限に達すればその後に成立した作動契機は無効として処理される。そして、特別遊技状態が終了、或いは、変動中であったものが停止表示されて、新たな図柄変動を開始することが可能となった場合に、始動記憶が1個消化されて図柄の変動が開始される。その際、特別図柄1に係る始動記憶と特別図柄2に係る始動記憶が同時に存在している場合には、特別図柄1に係る始動記憶を優先的に消化し、全ての特別図柄1に係る始動記憶を消化した後、特別図柄2に係る始動記憶が消化可能となる。このため、特別図柄1に係る始動記憶が消化されている途中で消化分に相当するだけ次々と新たな特別図柄1に係る始動記憶が発生した場合には、特別図柄2に係る始動記憶に基づく図柄変動は延々と後回しにされる。この様子は、演出表示装置42の表示画面内に始動記憶数Mが把握できるように表示された特別図柄1に係る始動記憶の演出画像の消失・更新されていく状態と、始動記憶数Nが把握できるように表示された特別図柄2に係る始動記憶の演出画像が更新されない状態から容易に理解される。
しかしながら、前述のように普通図柄表示装置32の当たり確率は1/100であり、普通電動役物33の開放時間も0.2秒/回であるため、通常遊技状態では、普通電動役物入賞スイッチ143が遊技球を検出して特別図柄1表示装置35の作動契機が成立することは稀であり、優先・非優先を考慮しなければいけない事態は発生しない。通常遊技状態で図柄変動が行われるのは特別図柄2表示装置35であり、その作動契機である始動口スイッチ142が遊技球を検出することの成立頻度は、概ね6回/分で、この頻度は特別遊技状態や後述する特定遊技状態でも保たれる。
また、特定遊技状態では普通に遊技を継続していると、成立する特別図柄の作動契機の種類と成立回数が通常遊技状態とは全く異なってくる。通常遊技状態では特別図柄2表示装置36に大当たり図柄が得られることに限られるが、特定遊技状態では、平均5〜6秒ごとに第1始動領域としての機能が付与された普通電動役物33が開放され、しかも開放の都度、数個の遊技球の入賞が期待できるため普通電動役物入賞スイッチ143が遊技球を検出する頻度が大幅に高まる。一定頻度で成立する特別図柄2表示装置36の作動契機に比して、特別図柄1表示装置35の作動契機が圧倒的に成立し易くなるだけでなく、優先消化−記憶補充が行われ、特別図柄2に係る始動記憶が全て消化されず、特別図柄2表示装置36の作動契機は、成立しても始動記憶の満杯状態が継続しているので無効となるばかりである。このため、特定遊技状態では、大当たり図柄が得られるのは特別図柄1表示装置35においてとなるが、限定期間中に特別図柄1表示装置の作動契機が成立した時に取得した判定値が全てハズレの場合に本願で取り上げた問題が生じる。
それは、非優先消化される特別図柄2に係る始動記憶に中に、特定遊技状態期間中に図柄変動を開始しないとハズレ判定に替わってしまう拡大当たり値が格納された場合である。非優先側の特別図柄2に係る始動記憶に基づく図柄変動を強制的に開始させようとすると、優先側の特別図柄1に係る始動記憶を全て消化するまで遊技を中断する必要があるが、最大8回の図柄変動が終了するまで待っているのは退屈であるだけでなく、時間をかけて中断したからといって大当たりが非優先側の始動記憶に含まれている保証もなく、あくまで探りに行くだけのことである。しかも、優先側の特別図柄1表示装置35の作動契機は、特定遊技状態の期間中であれば成立頻度が高いが、通常遊技状態に戻ってしまうとほとんど成立することが期待できない状態となるので、特定遊技状態として許容された変動回数が近づいてきた段階では、大当たりの発生を期待するよりも、許容される始動記憶を満杯にしておきたいとの気持ちが芽生えるので、通常遊技状態では成立しない特別図柄1に係る始動記憶を消化しきってまで、特別図柄2の始動記憶の大当たりを探りに行くことも踏め出せず、拡大当たりが含まれていたのではとの残念な想いを抱くことになる。
そこで、本願では、非優先消化される特別図柄2に係る始動記憶に中に拡大当たり値が格納されている場合は、遊技者に特定遊技状態の遊技者に非優先消化される特別図柄2に係る始動記憶に基づく図柄変動を開始するように示唆することとしている。特に、特定遊技状態の期間中に変動開始していれば特別遊技状態(大当たり)を発生させることができたにも拘わらず、優先消化の特別図柄1表示装置の作動契機を次々と成立させてしまったために、当該始動記憶に基づく図柄変動が開始された時には、時すでに遅しで、ハズレ判定となってしまうのを防ぐようにしている。
まずは、非優先側の特別図柄2に係る始動記憶数について考えると、上述したように、第2始動領域としての機能が付与された始動口34への入賞に基づくものであり、通常遊技状態・特別遊技状態・特定遊技状態に関わりなく、ほぼ同じようなペース、例えば、6回/分で発生するものであるため、特別図柄2表示装置36が変動を開始して、演出表示装置42でのリーチ演出が終了するのと同期させて大当たり図柄が停止表示され、さらに、大入賞口41が所定ラウンド数に亘って繰り返し開放される特別遊技状態(大当たり)が終了するまでには、特別図柄2表示装置36の始動記憶は、余程のことがない限り最大4個の満杯状態に至る。しかし、特別遊技状態が終了して特定遊技状態に移行した時点では、普通図柄表示装置32の変動終了タイミングを大入賞口41の開閉タイミング等の特別遊技状態の進行とは同期させることはないので、普通図柄表示装置32はほぼ図柄変動途中にある。しかも、通常遊技状態・特別遊技状態で変動開始した普通図柄表示装置32は、特定遊技状態との差別化を図るために、平均25秒/回というように変動時間が長く設定されているため、優先消化となる特別図柄2表示装置の作動契機となる普通電動役物入賞スイッチ143による遊技球が検出されるようになるまでには特定遊技状態移行後15〜20秒後となり、その間に図柄変動が開始されることで、平均1〜2回分の特別図柄2に係る始動記憶が消化されるが、満杯状態の全てを消化しきるまでには至らない。
つまり、特定遊技状態における非優先側の特別図柄2に係る始動記憶には、特定遊技状態に移行時にすでに残されている始動記憶と、優先側始動記憶が発生するまでに消化された相当分新たに記憶される始動記憶の2種類が発生する。このため、図柄変動開始時に大当たり判定を行うことを前提としながらも、非優先側始動記憶に拡大大当たりが存在するか否かを事前判定するに際し、特定遊技状態移行時に既に存在している始動記憶と、特定遊技状態移行後に新たに発生した始動記憶とについて分けて考える必要がある。
まずは、特定遊技状態移行時に既に存在している始動記憶の中に拡大当たり値が格納されている場合のうち、先に記憶された始動記憶については、非優先であっても優先側始動記憶が発生できない間には変動開始が可能となり、その中に拡大当たり値があれば、保留連玉チャンとして大当たりが連続発生し、かつ、その大当たりが確変大当たりであるとも限らないので、特定遊技状態移行時に存在している特別図柄2に係る始動記憶を記憶順に事前判定し、事前判定で拡大当たりと判定されれば、当該記憶以降の記憶順の始動記憶については事前判定を省略できるようにする。
特定遊技状態移行後に新たに発生した始動記憶も、大半は特定遊技状態の初期段階で発生するため、第2判定値を取得したタイミングで、事前判定としての拡大当たり値との比較判定までを行い、拡大当たりと判定された始動記憶が発生すれば、その時点から、優先消化される特別図柄1に係る始動記憶の更新に応じて当該始動記憶が変動開始するまでに実行されなければいけない図柄変動回数の演算結果と、特別図柄の変動が開始されることによって減算されていく特定遊技状態としての特別図柄の残り変動回数S(残り期間)との演算結果を比較し、所定の関係式で規定された範囲内になった時、遊技者に非優先側始動記憶の中に拡大当たりが含まれており、このまま遊技を継続してしまうと、当該拡大当たりを失うことになる旨を示唆するようにする。なお、演出表示装置42の表示画面内に特別図柄1に係る始動記憶の演出画像を始動記憶数Mが把握できるように表示し、同様に、特別図柄2に係る始動記憶数Nについても始動記憶数Mと区別がつくように表示され、特定遊技状態の期間中には、限定期間としての残り変動回数Sの回数画像も表示することで、それらの関係が把握できるようになっている。
遊技者への状況示唆の方法としては、例えば、「電チューに入賞させるな」「手を挙げろ!(Hold Up!)」「ミッション発令 そのまま待機せよ」「緊急指令 発射停止せよ」のように、大当たりを発生させるために遊技者が獲るべき遊技方法についてのメッセージ画像が挙げられる。非優先側の拡大当たり値が格納された始動記憶の記憶順、即ち、特別図柄2に係る始動記憶数Nの中での当該始動記憶が変動開始するまでの図柄変動回数をN´と、優先側の特別図柄1に係る始動記憶数Mとの合計値(M+N´)を一方の監視値とし、比較する他方の監視値を、その時点での特定遊技状態として許容された特別図柄の変動回数(期間)の残り変動回数(残り期間)Sとして、その報知タイミングを説明するため、一つの想定状態でもって説明する。
上記したように非優先側の特別図柄2に係る始動記憶は、特定遊技状態に移行して間もない段階で2個消化され、更新された1個目(全体では3番目)に拡大当たり値が格納され、続いて4個目の始動記憶(ハズレ)が発生して、以降は満杯状態が継続する、他方特別図柄1に係る始動記憶は2個目が消化された後に記憶されはじめ、瞬く間に満杯近くになり以降は消化・更新が繰り返されているという状態を想定した場合、その時点での特別図柄2に係る始動記憶数N=4個であるが、拡大当たり値までのN´=3個であることから、この先特別図柄1に係る始動記憶が消化・更新されても、監視値の(M+N´)=(M+3)、0<M≦4で推移する。ちなみに特別図柄2に係る始動記憶が更新されるようなことがあればN´の数値が小さくなるだけで、特別図柄2に係る始動記憶数Nは本監視には関わらない。
特定遊技状態に移行間もない段階ではSは50から減算されても40以上の数値であり{S≫(M+3)}の状態であって緊急性はなく、特別図柄1側での大当たり発生を期待していればよい。その後、特別図柄1表示装置35の図柄変動が開始されてSが徐々に小さくなってくるが、S=(M+N´)=(M+3)まで減少しては、直ちに遊技球が普通電動役物入賞スイッチ143を通過すること阻止しなければ、監視対象としていた拡大当たりを発生させることができなくなる。つまり、{S=(M+N´)}で示された状態は、非優先側に記憶された拡大当たり値の始動記憶が、高確率状態である特定遊技状態期間中に消化できるぎりぎりの回数であることを示している。そのため、特別図柄1に係る始動記憶が新たに5個発生しても間に合う{(M+5)+3}={(M+5)+N´}=(M+N´+5)を報知開始タイミングとし、遊技者に普通電動役物33には入賞させないために発射を停止するように促し始め、素早い対応がとられることを期待しつつ、かつ、遊技領域30を流下する遊技球が普通電動役物33に入賞する可能性があることも踏まえ、Sの値が、(M+N´+5)≧S≧(M+N´)の範囲内にあれば繰り返し、発射停止を示唆する示唆情報を表示させるようにする。この時、演出表示装置42でのメッセージ画像に加え、同一画面上に表示されている特別図柄2に係る始動記憶の演出画像のうち、N´番目の演出画像だけを他の演出画像とは表示サイズを大きくしたり、色調を異ならせたりして強調すれば、特別図柄1に係る始動記憶の演出画像個数とによって(M+N´)個を把握することができると共に、残り変動回数Sの計数値演出画像との対比で、これ以上特別図柄1に係る始動記憶を発生させなければ特定遊技状態期間内に強調表示されている始動記憶での変動開始が可能となることも把握することができる。
遊技者が示唆情報に従い、発射ハンドル15から手を離す、或いは発射停止スイッチ121を押せば、発射を停止する。示唆情報を報知しているときに、発射停止が確認され、しかも、S≧(M+N´)、かつ、6≧(M+N´)≧4、を満足するようになれば、即ち、特定遊技状態期間中に拡大当たり値に基づく図柄変動が開始可能であって、当該図柄変動までの変動回数が4回以上6回以下となった時には、当該図柄変動までの間、大当たりの発生を盛り上げていく連続予告を開始する。これは、示唆されたとおりに発射を止めた遊技者へのサービスであって、当該拡大大当たりまでに行われる最大6回の図柄変動期間中、装飾LEDの点灯等が継続される。このように、遊技者に発射中断を伴う指示を例えば「ミッション」の形で与え、その「ミッション」どおりに従い、主基板130が発射中断が行われたことを確認した場合には、その時点で拡大当たり値に対応した始動記憶が消化されるまでに変動開始しなければいけない変動回数分に跨る連続予告を行うようにサブ基板側に情報出力する。
連続予告期間中は必然的に特別図柄1表示装置35での変動表示に続いて特別図柄2表示装置36での変動表示となるが、拡大当たり判定は特別図柄2表示装置の作動契機についてのみ行っているので、運良く、判定が行われていない特別図柄1表示装置で大当たり図柄が停止表示されれば遊技者は報知対象がこの大当たりであったのかと誤って得心する可能性もあり、何ら支障はない。逆に、本来備えていない機能まで備えていると良い方に過大評価されたり、極めて稀な事態に遭遇したと感動してもらえる可能性も生まれてくる。
示唆情報や連続予告は遊技を中断して、大当たり発生まで待ってもらうことを強いることになるが、それはある種の警告でもあり、警告を無視すれば問題が生じることはやむを得ず、発射が再開されれば、発射停止が確認できないため、連続予告を行っていれば直ちに取り止め、運悪く、発射された遊技球が開放された普通電動役物33に入賞し、普通電動役物入賞スイッチ143で検出されることによって、S<(M+N´)となってしまっては、特定遊技状態期間中に非優先側に潜んでいる拡大大当たりを発生させることはできないので、示唆情報の報知も直ちに取り止めることになる。この時、演出表示装置42で示唆情報の表示を行わなくするだけでなく、拡大当たりであった始動記憶の演出画像を、それまでの煌びやかな表示形態から落ちぶれたイメージの表示形態に切り換えることで、拙いことをしてしまったことをより強く印象づけするようにしてもよい。
なお、示唆情報の報知開始タイミングを(M+N´+5)ではなく、許容変動回数Sに対してもっと余裕のある段階から開始し、例えば、(M+N´+15)前後なら「大当たり潜伏か?」(M+N´+10)前後で「様子見しては!」(M+N´+2)では「非常停止!!」というように、許容変動回数Sの減少に伴って逼迫感のある報知を行うようにしても良い。
非優先側の始動記憶が更新される可能性が高い時期が特定遊技状態の開始早々なので、その段階で直ちに非優先側始動記憶の中に拡大当たり値が含まれていることを遊技者に報知するようにしてもよい。その場合、発射停止を示唆する報知をうけた遊技者は、示唆どおり発射を停止して、優先側始動記憶を消化させ、さらに非優先側始動記憶を順次消化することで、非優先側始動記憶に含まれる大当たりを発生させるようにしても良いし、特定遊技状態の残り期間を自らが確認しながら、ぎりぎりまで優先側始動記憶を成立させるように暫くは発射を継続するなど、遊技者の戦略的な思考に基づいた遊技を提供することができる。その場合、特別図柄1表示装置35と特別図柄2表示装置36の大当たり確率は同じでも、例えば、特別遊技状態でのラウンド数が、例えば、13Rと7Rのように複数用意され、特別図柄1表示装置35側がラウンド数大となる出現率(振分率)を大きくして異ならせるとか、所謂、「突確」と呼ばれる2Rの、しかも大入賞口が短時間しか開放されず遊技球の入賞が期待できない大当たりを設け、当該突確大当たりの出現率(振分率)を異ならせるなど、2つの特別図柄表示装置での大当たりで得られる利益状態に格差が設けられていると、特定遊技状態が継続すればするほどより大きな利益が獲得できるようにするのが常道であり、早々に特別図柄2表示装置36側で大当たりが得られていたとしても、特別図柄1表示装置35での大当たりを発生させることを第1に考える遊技者も一部のはいるかもしれないので、そのような人たちにも自分の趣向にあった遊技を提供できる。しかしながら、そのような人たちでも、そのままでは大当たりが得られない可能性が強くなって不安にかられた時に、大当たりが確保されていることを示唆してもらってあれば安心して優先側始動記憶を成立させることができる。そのため、拡大大当たりが発生していることを示唆することが大切で、上記したように大当たりによる付与利益に差がある場合に、どの利益が付与される大当たりであるかまでを明示することも可能であるが、その場合、意識的にその大当たりを実現させない場合も生じるので、利益内容までは明示せず、仮想の中で戦略的に思考させてどのような対応を取るのが最善と考えて選択させる方が好ましい。また、早期に示唆するのではなく、特定遊技状態の終了が近づいてきて、その残り回数と、2つの始動記憶数とが所定の関係になったときに示唆するようにすると、不安が増長されてきた時期であり、突然の朗報への有難味が強く、利益の少ない可能性の高い大当たりであってもうれしいものであるため、記憶消化が非優先側の大当たりにマイナス格差を設けた遊技性の場合には、特定遊技状態の終了間際であることが最善となる。
なお、本願内容を拡張し変形した実施形態として、拡大大当たりについての判定を、非優先側始動記憶について行うだけでなく、優先側・非優先側の両方について判定を行い、拡大大当たりが存在して、優先側であれば遊技継続を指示し、非優先側であれば遊技中断を指示するというように、示唆する内容が逆の内容で報知をして、いずれの始動記憶の中に含まれているかまでを識別可能としても良い。
なお、特別図柄2表示装置36における図柄変動時間を決める際に、大当たり判定で用いる第2判定値の値で決定されるようにしておくと便利である。第2判定値が通常当たり値の場合は何時いかなる場合でも大当たりに繋がるので、演出表示装置42でのリーチ演出を行うことを見越した60秒〜120秒の長めの変動時間を選択するとし、拡大当たり値の場合も遊技状態が特定遊技状態であれば大当たりに繋がるので、これについてもリーチ演出を行うことを見越した60秒〜120秒の長めの変動時間を選択するようにしておけば、遊技状態が切り替わって判定結果が大当たりからハズレに、ハズレから大当たりに切り替わっても、同じ時間のまま結果のみ異なるパターンから選択すればよくなる。変動時間を別の独立したカウンタ値で決めると、ハズレから大当たりに切り替わった場合に、参照すべきテーブルを切り換える程度では対応できず、10秒未満の短時間変動で大当たり表示をしなければいけない事態も生じるので、遊技の興趣を盛り上げるには第2判定値の値で変動時間範囲が規制されるように設定しておくのが望ましい。
次に、上述した遊技の流れを制御する主制御基板130が実行する遊技進行に係る制御内容を、図5〜図10を用いて説明する。まず図5は、電源の投入によるセキュリティチェック、初期設定の終了後に開始されるメイン制御処理内容を説明するフローチャートで、周期的に発生する割込み、例えば4msごとに発生するCH0割込みに基づいて開始され、順番に以下のサブルーチンが実行される。遊技領域30に設けられた各種スイッチの検出状況を確認するとともに、遊技の進行に基づいて関連して制御を行う各サブ基板に対する制御コマンドや、遊技領域30に設けられた電装品への駆動指示等を行う入出力処理(S100)、第1判定値・第2判定値をはじめとする遊技進行や演出態様を選択する際に用いる各種乱数を更新する乱数更新処理(S200)、普通図柄の表示制御を行う普通図柄処理(S300)、普通電動役物の作動を制御する普通電動役物処理(S400)、図6を用いて説明する始動口処理(S500)、図7を用いて説明する特別図柄1処理(S600)、図8を用いて説明する特別図柄2処理(S700)、図9を用いて説明する状況示唆処理(S800)、図10を用いて説明する大当たり処理(S900)、図示しない振動センサや磁力センサが不適切或いは不正な行為を検出した場合や異常が発生した場合等における措置を行うエラー処理(S1000)が終了すると、新たなCH0割込みの発生待ちとなる。
図6と図7は、サブルーチンの一つである始動口処理(S500)の処理内容を説明するフローチャートで、まずS501で、特定遊技状態としての残り変動回数Sが50であるかを判定する。つまり、特定遊技状態へ移行した時であるかを判別し、S=50であれば(S501がyes)特別図柄2に係る始動記憶1個目に格納されている第2判定値が拡大当たり値であるか否かを判定し、拡大当たり値であれば(S502がyes)、拡大当たりフラグをONし(S503)、特別図柄2に係る始動記憶の中での拡大当たり発生までの変動回数N´を1にセット(S504)して、2個目以降についての判定は行わずに第1検出スイッチの通過判定(S521)に移る。拡大当たり値以外の値であれば(S502がno)、始動記憶2個目の判定に移り、拡大当たり値であれば(S505がyes)、拡大当たりフラグをONし(S506)、変動回数N´を2にセット(S504)して、第1検出スイッチの通過判定(S521)に移る。同様に、始動記憶3個目についての判定(S508)、始動記憶4個目についての判定(S511)を行う。このS502からS511では、特定遊技状態移行時に既に存在している特別図柄2に係る始動記憶について、拡大当たりについて事前判定を行うことを目的としている。
次に、第1始動領域としての機能が付与された普通電動役物33に入賞した遊技球を検出する普通電動役物入賞スイッチ141(第1検出スイッチ)が遊技球を検出していれば(S521がyes)その時点における第1判定値を取得し(S522)、特別図柄1がその取得した第1判定値に基づいて直ちに変動開始可能な状態、即ち、図柄変動そのものが開始できない特別遊技状態ではなく、もう一方の特別図柄2が変動中の状態でもなく、かつ、特別図柄1の図柄変動が開始可能であっても、始動記憶が存在しない場合は取得した第1判定値に基づいて直ちに変動開始可となり(S523がyes)、特別図柄1変動フラグをONして(S524)、別のサブルーチンである特別図柄1変動処理へジャンプする。その取得した第1判定値に基づいて直ちに変動開始ができない場合(S523がno)であれば、その時の特別図柄1の記憶数Mが4個の上限数に達しているか否か判定し、達していれば(S525がno)取得した第1判定値を破棄する(S526)。
特別図柄1の記憶数Mが記憶上限数に達していなければ(S525がyes)取得した第1判定値を所定の記憶領域の格納(S527)し、記憶数Mを+1し(S528)、その時点で、非優先側の始動記憶の中に、高確率に変動している特定遊技状態の期間中では大当たりと判定される拡大当たり値が第2判定値として含まれていることを示す拡大当たりフラグがONされているか否かを判定し、拡大当たりフラグがONされていれば(S529がyes)、特定遊技状態として許容されている残り期間S(図柄変動回数)が優先側の始動記憶Mが1個追加されたことで、当該拡大当たり値の第2記憶で図柄が変動開始するまでに待機しなければいけない回数(M+N´)の更新値との大小比較を行い、非優先側に記憶された拡大当たり値での図柄変動を開始できる時には特定遊技状態の期間が過ぎてしまうことが判明すれば(S530がno)、当該拡大当たりフラグをOFF(S531)するが、特定遊技状態の期間内に非優先側に記憶された拡大当たり値での図柄変動を開始でき、特定遊技期間が終了するまでには、まだまだ優先側の始動記憶が発生できる余裕がある場合には(S530がyes)大小比較のみ行って、特別図柄2の始動口スイッチの処理に移行する。
第2始動領域としての機能が付与された始動口34に入賞した遊技球を検出する始動口スイッチ142(第2検出スイッチ)が遊技球を検出していれば(S541がyes)、その時点における第2判定値を取得し(S542)、特別図柄2が取得した第2判定値に基づいて直ちに変動開始可能な状態、即ち、図柄変動そのものが開始できない特別遊技状態ではなく、もう一方の特別図柄1が変動中の状態でもなく、かつ、特別図柄2の図柄変動が開始可能であっても、始動記憶が存在しない場合は取得した第2判定値に基づいて直ちに変動開始可となり(S543がyes)、特別図柄2変動フラグをONして(S544)、別のサブルーチンである特別図柄2変動処理へジャンプする。その取得した第2判定値に基づいて直ちに変動開始ができない場合(S543がno)であれば、その時の特別図柄2の記憶数Nが4個の上限数に達しているか否か判定し、達していれば(S545がno)、取得した第2判定値を破棄して(S546)、特別図柄2の記憶数Nが記憶上限数に達していなければ(S545がyes)取得した第2判定値を所定の記憶領域の格納(S547)し記憶数Nを+1し(S548)、拡大当たりフラグがONしているか、即ち、特定遊技状態下で始動記憶に拡大当たり値が含まれていると既に判定されているのか否かを判定する。ここまで第2判定値に対する判定は行っていないため(S549がno)であり、当該記憶がその時点では特定遊技状態の期間中に変動開始できる状態にあるか否かを判定し、期間中に変動開始できるならば(S550がyes)取得し格納した第2判定値が高確率に変動している特定遊技状態の期間中では大当たりと判定される拡大当たり値であるか否かの判定まで行い、拡大当たり値であれば(S551がyes)拡大当たりフラグをONし(S552)、その時点での特別図柄2の始動記憶数Nを特別図柄2の始動記憶の中での当該拡大当たり値の始動記憶の順番N´としてセット(S533)し、優先消化される特別図柄1のその後の始動記憶発生によって後回しにされてていく順番を(M+N´)で計算される回数で監視していく。新たに取得した第2判定値か特定遊技状態移行前に取得された第2判定値かに関わらず、いずれかで拡大当たりフラグがONとなれば、それ以降の始動記憶について判定する必要性がないので、拡大当たりフラグがON(S549がyes)となれば、このサブルーチンは終了し、メイン制御処理に戻る。
図8は、サブルーチンの一つである特別図柄1処理(S600)の処理内容を説明するフローチャートで、まずは特別図柄1が変動開始できない状態であるか否かを判定し、特別遊技状態であることを示す大当たり作動フラグがONしておらず(S601がno)、特別図柄2が変動中であることを示す図柄2変動フラグがONしておらず(S602がno)、特別図柄1が変動中であることを示す図柄1変動フラグがONしていなければ(S603がno)、特別図柄1変動フラグがONしているか否か、つまり、普通電動役物入賞スイッチ141(第1検出スイッチ)が遊技球を検出したことによって直ちに図柄変動が開始されるのか否か判定し、ONしていれば、取得したばかりの第2判定値での大当たり判定作業に移行し、ONしていなければ(S604がno)特別図柄1の始動記憶状態を確認し、記憶があれば(S605がno)記憶数Mを1減じて(S606)取得後格納されている第1判定値での大当たり判定作業に移行する。
大当たり判定に先立ち、遊技状態が特定遊技状態であるか否か、即ち、確変フラグがONされているか否かによって、第1判定値の比較対象値を異ならせる必要があるため、確変フラグがONであれば(S607がyes)、特定遊技状態許容期間Sの値を1減じて(S608)、第1判定値が拡大当たり値との比較判定を行い、拡大当たり値と等しい(S609がyes)ならばS611へ進み、等しくなければ(S609がno)、通常当たり値との比較判定を行い、(S610がyes)となれば大当たり図柄を選択(S611)し、大当たり図柄を確定表示するまでの変動時間を選択し(S612)、大当たりフラグをON(S613)した後、図柄1変動中フラグをONして(S614)変動が開始される。第1判定値が通常当たり値と等しくなくハズレ値ならば(S610がno)、特別図柄1の確定表示する図柄としてハズレ図柄を選択(S615)し、選択した当該ハズレ図柄を確定表示するまでの変動時間を選択(S616)した後、大当たりの場合同様、図柄1変動中フラグをON(S614)して変動が開始される。
図柄変動が開始されると、図柄1変動中フラグがON(S603がyes)となり、セットされた変動時間の進行度合いを確認し、タイムアップしていなければ(S620がno)このサブルーチンは終了して、図柄変動が継続される。タイムアップすれば(S620がyes)大当たりフラグ状態を判定し、大当たりフラグがONでなければ(S621がno)選択されたハズレ図柄を確定表示(S622)して、図柄1変動フラグをOFF(S623)してサブルーチンを終了する。大当たりフラグがON(S621がyes)であれば、大当たり図柄を確定表示(S624)させてから大当たりフラグをOFF(S625)し、大入賞口の開放作動を開始させるために大当たり作動フラグをON(S626)してから図柄1変動フラグをOFF(S623)してサブルーチンを終了する。
図9は、サブルーチンの一つである特別図柄2処理(S700)の処理内容を説明するフローチャートで、まずは特別図柄2が変動開始できない状態であるか否かを判定し、特別遊技状態であることを示す大当たり作動フラグがONしておらず(S701がno)、特別図柄1が変動中であることを示す図柄1変動フラグがONしておらず(S702がno)、特別図柄2が変動中であることを示す図柄2変動フラグがONしていなければ(S703がno)、特別図柄2変動フラグがONしているか否か、つまり、始動口スイッチ142(第2検出スイッチ)が遊技球を検出したことによって直ちに図柄変動が開始できる状態にあるのか否か判定し、ONしていれば取得したばかりの第2判定値での大当たり判定作業に移行するためS709へ進み、ONしていなければ(S704がno)特別図柄2の始動記憶状態を確認し、記憶があれば(S705がno)記憶数Nを1減じて(S706)、さらに、拡大当たりフラグ状態を判別し、拡大当たりフラグがON(S707がyes)していれば、記憶数Nとは別に監視される特別図柄2の記憶の中に含まれる拡大当たり値までの順番N´を1減じ(S708)、拡大当たりフラグがONされていなければ、そのまま第2判定値での大当たり判定作業に移行するため、S709へ進む。
大当たり判定に先立ち、比較対象となる大当たり値を決定しておくために、まず確変フラグ状態が判別され、確変フラグがON(S709がyes)されていると、特定遊技状態許容期間Sの値を1減じて(S710)、第2判定値が確率変動中のみ大当たりと判定される拡大当たり値と等しいか否かの判断(S710)をし、等しくなれば(S711がyes)大当たりと判定されて、S713へ進み、拡大当たり値とは等しくならない場合(S711がno)でも通常当たり値と等しいか否かの判断(S712)が行われ、通常当たり値と等しければ(S712がyes)大当たりと判定されて、特別図柄2の確定図柄として大当たり図柄が選択(S713)され、変動時間を選択(S714)、大当たりフラグをON(S715)、図柄2変動中フラグをON(S716)して特別図柄2が変動開始される。大当たり判定で大当たりではない(S712がno)となると、ハズレ図柄を選択(S717)、当該ハズレ図柄を確定表示するまでの変動時間を選択(S718)した後、図柄2変動中フラグをON(S716)して特別図柄2が変動開始される。
特別図柄2が変動開始されると、図柄2変動中フラグがONとなり(S703がyes)、セットされた特別図柄2の変動時間の進行を確認し、タイムアップしていなければ(S720がno)このサブルーチンは終了して、図柄変動が継続される。タイムアップしていれば(S720がyes)大当たりフラグ状態を判別(S721)し、大当たりフラグがOFFならば(S721がno)選択されているハズレ図柄を確定表示(S722)して、図柄2変動フラグをOFF(S723)してサブルーチンを終了する。大当たりフラグがON(S721がyes)していれば、大当たり図柄を確定表示(S724)、大当たりフラグをOFF(S725)、大当たり作動フラグをON(S726)、図柄2変動フラグをOFF(S723)してサブルーチンを終了して、メインルーチンに戻る。
図10は、サブルーチンの一つで、拡大当たりフラグがONの場合のみに実行される状況示唆処理(S800)の処理内容を説明するフローチャートで、まずは、拡大当たりフラグの状態を判別し、拡大当たりフラグがON(S801がyes)であれば、続いて示唆情報フラグの状態判別(S802)が行われる。この示唆情報フラグは、特定遊技状態として残された期間が特定範囲に該当する場合にのみ成立するフラグなので、通常は(S802がno)となり、S803の判断に進む。S803は、特定遊技状態として残された期間がその特定範囲内であるか否かの判断であって、特定遊技状態として許容される残り期間=特別図柄の変動回数Sが{(M+N´+5)≧S≧(M+N´)}を満たす場合(S803がyes)には示唆情報フラグをON(S804)するが、範囲外であれば(S803がno)このサブルーチンは終了しメイン処理に戻る。この範囲外には大側と小側とがあるが、大側範囲外は、その時点では残り回数が充分に残っており、優先消化される特別図柄1の始動領域を遊技球が通過して、非優先側の記憶が後回しになっても限定期間内には図柄変動を開始することが十分担保されている状態である。小側の範囲外では、非優先側の拡大当たりの始動記憶が特定遊技状態期間中には変動開始できないこととなり、示唆情報を提供する前提そのものが失われている。
ここで「M」は優先消化される特別図柄1の始動記憶数であり、普通電動役物入賞スイッチ141(第1検出スイッチ)が遊技球を検出した時に取得した第1判定値が所定記憶領域に格納されている。「N´」は非優先消化される特別図柄2の始動記憶数であって、始動口スイッチ142(第2検出スイッチ)が、高確率に変動している特定遊技状態下で取得・格納された第2判定値が高確率期間中では大当たりと判定される拡大当たり値の始動記憶におけるの特別図柄2のすべての始動記憶数Nの中での当該拡大当たり値の始動記憶の順番である。つまり、(M+N´)は、その時点で記憶されている始動記憶を順に消化していった場合に、拡大当たり値に係る図柄変動が開始されるまでに必要な変動回数であって、{S=(M+N´)}で示された状態は、非優先側に記憶された拡大当たり値の始動記憶が、高確率状態中に消化できるぎりぎりの回数であることを示している。そして{(M+N´+5)=S}で示された状態は、ぎりぎり丁度の回数よりも5変動分だけ余裕を持った状態であるが、特別図柄2側に新たな始動記憶が発生したとしてもその記憶は拡大当たり値に係る記憶よりも後に変動開始されるので、高確率期間の残り回数Sと関わることはなく、この5回はすべて優先消化される特別図柄1の図柄作動契機が成立しても高確率状態中に拡大当たり値に係る図柄変動を開始できることを示している。このため、{(M+N´+5)≧S≧(M+N´)}とは、現時点での拡大当たり値に係る始動記憶が消化されるまでに新たに発生しても構わない特別図柄1側の始動記憶数Pで表すことも可能で、上記の式は(5≧P≧0)に書き換えられ、この範囲になると示唆情報フラグがONとされる。
示唆情報フラグがON(S802がyes)となると、発射中断フラグ状態を確認(S805)することになるが、発射中断フラグは遊技者が発射を止めることでONとなるもので、示唆情報フラグがONになってから遊技者に遊技方法を変更することを求めることになる。その流れを説明すると、示唆情報フラグがONになればS100で示したサブルーチンの入出力処理にて主制御基板130から演出画像制御基板160に対して「発射の中断を促す画像」を表示させる制御コマンドが送信され、演出表示装置42では「発射の中断を促す画像」が表示されるようになる。当該表示を見た遊技者には、発射を継続するか停止するかは自己判断で選択可能で、当該表示の示唆どおり、発射ハンドル15に設けられた発射停止スイッチ121を操作して発射を停止しようとする、又は、発射ハンドル15から手を離して発射を停止しようとすると、発射停止指示手段としての発射停止スイッチ121或いはタッチセンサ122からの信号が発射装置制御手段としての機能を有する払出制御基板110に送られ、払出制御基板110が発射ソレノイド112への通電を停止するために、遊技球の発射が停止される。同時に払出制御基板110が発射を停止させたことは主制御基板130に送信され、発射停止情報を受け取った主制御基板130では遊技機の一つの状態情報としての発射中断フラグをONする。
遊技球の発射が中断され、発射中断フラグがONとなると、連続予告フラグの状態が判別される。連続予告は、示唆どおり発射を中断した遊技者に対して、非優先側の始動記憶の中に含まれている大当たりが徐々に近づきつつあることを認識させるためのもので、少し早めの示唆情報提供により発射が停止されたとしても、余り長い期間引っ張るのも気分がダレるため、{S≧(M+N´)}、かつ、{6≧(M+N´)≧4}、を満足するようになれば(S812がyes)、連続予告フラグがONされる(S813)。示唆情報フラグがONされてから連続予告フラグがONされるまでは、遊技者が発射を中断するまで時間バラツキを吸収する期間として考えることができる。
連続予告フラグがONになる(S811がyes)と、大当たりの発生を盛り上げていく連続予告を実行していく一方、発射中断フラグの状態を監視することになり、発射が再開されれば発射中断フラグがONではなくなり(S805がno)、ON(S806がyes)となっている連続予告フラグをOFF(S807)とすることになる。発射再開が短時間でS812の条件を満たせば、再び連続予告を実施することもできるが、示唆情報表示を無視して発射が継続して行われた結果、特別図柄1に係る始動記憶が消化・更新されて{S<(M+N´)}の関係に陥ってしまっては、もはや連続予告どころか、拡大大当たりの可能性が失われているので、示唆情報フラグをOFF(S809)、拡大当たりフラグをOFF(S810)して、メイン制御処理に戻る。
遊技者の発射再開が、必ずしも特別図柄1の作動契機である普通電動役物入賞スイッチ141を遊技球が通過することとは結びつかないが、特定遊技状態が、当たり確率が高確率に変動しているだけではなく、普通電動役物33の開放頻度・開放時間等も変更され、遊技球の入賞がし易い状態であるため、万一、1個でも特別図柄1側の記憶が増加することとなると、非優先消化の特別図柄2の拡大当たり値に係る始動記憶による図柄変動は、当たり確率が低確率に復帰してから開始されてハズレ扱いになるため、安全のため発射フラグ状態と連続予告フラグ状態が同調させている。なお、発射が再開され、連続予告が行われなくなっても、普通電動役物33に遊技球を入賞させなければ、始動記憶数に変化はなく、所定の変動回数分、図柄変動が行われた後、大当たりが発生することに変わりはないが、大当たり発生までの連続予告に基づく盛り上げ演出は省かれることになる。
なお、普通電動役物入賞スイッチ141がどこに設けられているかによっては、拡大当たり値に係る始動記憶が消化されるまでに新たに発生しても構わない特別図柄1側の始動記憶数P値の範囲を調整するのが望ましい。本実施例では、普通電動役物33が比較的下方にあり、入賞した遊技球が検出されたタイミングでは遊技盤7の遊技領域30上に遊技球が残っており、直ちに発射を停止したとしても、入賞しやすくなっている普通電動役物33へはいくつかの遊技球が立て続けに入賞する可能性があるため、Pが5個になった時点で発射中断を示唆するが実質2〜3個で示唆開始するケースがでてくる。
図11は、サブルーチンの一つで、大入賞口が開放される大当たり処理(S900)の処理内容を説明するフローチャートで、まずは、大入賞口の開放契機である大当たり図柄が確定表示されたことによる大当たり作動フラグ状態を判別する。大当たり作動フラグがONでなければ(S901がno)本処理は関与しないので、直ちにメイン制御処理に戻る。大当たり作動フラグがON(S901がyes)ならば大入賞口の開放状態を判別するが、はじめは開放されていないので(S902がno)に進み、大入賞口1回の開放における規定入賞数として9個をセット(S903)し、大入賞口1回の開放時間として29秒をセット(S904)した後、特別電動役物開放ソレノイド146を作動させて、大入賞口を開放する(S905)。
特別遊技状態における大入賞口は、1回の開放(1ラウンド)が、規定数の入賞、開放時間の経過の二つの開放終了条件のうち先にいずれかが成立すると一旦閉口され、これを所定回数(所定ラウンド数)繰り返すように制御されるため、大入賞口が開放中(S902がyes)に規定数の入賞判定(S906)・開放時間の経過判定(S907)のいずれかがyesとなると、特別電動役物開放ソレノイド146が作動して、大入賞口の開放は終了され(S908)、ラウンド数Rが+1(S909)される。そしてラウンド数Rが設定された最大値、例えば13Rに達すると、大当たり作動フラグはOFF(S911)して特別遊技状態を終了させ、特別図柄の当たり確率が高確率に変動し、かつ、特別図柄1及び特別図柄2の合計変動回数によって規定された特定遊技状態に移行するため、許容変動回数の初期値としてS=50をセット(S912)する。