JP2009296952A - フライドポテトのテクスチャーコントロール - Google Patents

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Abstract

【課題】長期保存時にも、表面の食感がしんなりせずサクサクしており、美味しさが低下しないフライドポテトおよびその製造方法を提供すること。
【解決手段】高度分岐環状デキストリンを含有する高度分岐環状デキストリン含有液を、フライドポテトにコーティングすること、および高度分岐環状デキストリンを含有する高度分岐環状デキストリン含有液のコーティング層上に粉末状のパン粉をコーティングすることにより製造したフライドポテトおよびその製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、高度分岐環状デキストリンが付着してなるフライドポテトに関する。当該フライドポテトは長時間を経てもシナリが少なく、歯ごたえに優れている。また、本発明は上記の製造方法に関する。
食品の価値を決める要因には、栄養性、嗜好性、機能性、安全性がある。その中でも嗜好性に関する消費者の要求は多様であるが、美味しいことが特に重要である。美味しさは、多くの要因(食品自体の化学的、物理的な嗜好性品質における要因および食べる人の先天的、後天的な素質や摂食時の環境における要因)の複合的かつ総合的な評価によって決定される。食品における美味しさの要因は、詳細には、味や香りなどの化学的性質、口触り(テクスチャー)や咀嚼音のような物理的性質が挙げられる。これら物理的性質は、保存中の温度、湿度、時間、露光、振動等によって著しく変化する。加工食品の場合には、製造から食べられるまでの期間が長いと予想されるため、製造後保存期間中に品質低下への対応策が講じられる必要がある。
例えば、フライドポテトでは、油ちょう後長期間保存することによりサクサクとした食感が失われることが指摘されている。外食産業や中食産業等で販売するフライドポテトは、油ちょう後すぐには食されないことがあり、長期間食感を維持することが重要である。この問題を解決するために、冷凍前にデンプン、ピロデキストリンおよび米粉末を混合したクリアコート調合物でコーティングする(特許文献1)、油ちょう前にデキストリン還元物を含有する水溶液を用いてブランチング処理を行う(特許文献2)などの手段が講じられてきた。しかしながら、依然、フライ後30分程度で表面の食感が“しんなり”するために、美味しさが著しく低下するという問題が存在していた。
また、高度分岐環状デキストリンは(1)高分子であるにもかかわらず分子量分布が狭い、(2)水によく溶け、安定性が極めて高い、(3)雑味や粉臭、甘味が少ない、(4)浸透圧が低いという性質を有している。したがって、スポーツ飲料や味質改良剤、粉末化基剤にこれまで使用されていた(非特許文献1)。
さらに、高度分岐環状デキストリンは、均一な分子量分布からなる高分子デキストリンであることや、皮膜形成能があること、分子内に環状構造を有するため、油との親和性が良いことなどの特性がある。具材の表面にまぶされた均一な高分子の高度分岐環状デキストリンが油で加熱され、具材表面で皮膜を形成し、具材内部の水分の揮発を抑制することができる。したがって、から揚げ粉やまぶし粉中に他の主食材と混合するかたちで含有させて使用した場合に、パリっとした食感が得られることが特許文献3に開示されている。
さらに、高度分岐環状デキストリンを冷凍パン生地用改良剤として使用することが特許文献4に開示されている。この改良剤により、リッチな配合の冷凍パン生地だけでなく、リーンな配合の冷凍パン生地においても、軟らかなパンにすることができ、冷凍パン生地の発酵の低下、パン体積の減少、生地のだれ、パン表面の梨肌の出現、内相の劣化、風味の減少、保湿性の低下等の冷凍障害を防止できることが記載されている。
特開平11−221012号公報 WO2003/065824 特開2004−65180号公報 特開平10−117672号公報 化学と生物 vol.45, No.6, 2007, 430-434
本発明は、長期間保存しても、表面がしんなりせず食感がサクサクしており、美味しさが低下しないフライドポテトおよびその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、フライドポテトに高度分岐環状デキストリンを付着させると、特に該付着後に油ちょうした場合には、サクサクとした食感が長期間持続することを見出した。さらに、粉末状のパン粉を付着させると、特に該付着後に油ちょうした場合には、さらにサクサクとした食感が出せることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下を提供する。
〔1〕 高度分岐環状デキストリンが付着してなるフライドポテト。
〔2〕 高度分岐環状デキストリン含有液と接触させてなる〔1〕に記載のフライドポテト。
〔3〕 該高度分岐環状デキストリン含有液の基剤が水または炭酸水である、〔2〕記載のフライドポテト。
〔4〕 該高度分岐環状デキストリン含有液中の高度分岐環状デキストリンの濃度が5〜70重量%である、〔2〕記載のフライドポテト。
〔5〕 さらにパン粉を付着してなる、〔1〕記載のフライドポテト。
〔6〕 パン粉の粒径が30μm〜2mmである、〔5〕記載のフライドポテト。
〔7〕 ポテトに高度分岐環状デキストリンを付着させる工程を有することを特徴とする、フライドポテトの製造方法。
〔8〕 ポテトを高度分岐環状デキストリン含有液と接触させる工程を有することを特徴とする、〔7〕記載の製造方法。
〔9〕 ポテトを高度分岐環状デキストリン含有液と接触させた後油ちょうすることを特徴とする、〔8〕記載の製造方法。
〔10〕 該高度分岐環状デキストリン含有液の基剤が水または炭酸水である、〔8〕記載の製造方法。
〔11〕 該高度分岐環状デキストリン含有液中の高度分岐環状デキストリンの濃度が5〜70重量%である、〔8〕記載の製造方法。
〔12〕 さらにパン粉を付着させる工程を含む、〔7〕記載の製造方法。
〔13〕 パン粉の粒径が30μm〜2mmである、〔12〕記載の製造方法。
本発明によれば、油ちょう後に長期間(例えば、20分〜3時間)保存してもサクサクとした食感が残るフライドポテトを提供することができる。
本発明のフライドポテトは、高度分岐環状デキストリンが付着してなるフライドポテトである。本発明において、高度分岐環状デキストリンは糖転移酵素であるブランチングエンザイム(アミロペクチンのクラスター構造の継ぎ目に作用し、環状化を行いながら分解する酵素)を用いて、デンプン中のアミロペクチンを部分分解して得られる高分子の水溶性多糖類である。これは、皮膜形成能に優れている。また甘味や雑味、異臭がほとんどなく、食品の味をほとんど損なうことがない。高度分岐環状デキストリンは、モチ種トウモロコシデンプンを用いて好熱性菌(Bacillus stearothermophilus)TRBE株のブランチングエンザイムを作用することによって調製され得るが、江崎グリコ株式会社から市販されているクラスターデキストリン(登録商標)(CCD)等を使用することも可能である。クラスターデキストリンは、高度分岐環状デキストリンを約90%含有している。
高度分岐環状デキストリンのポテトに対する付着量は、ポテトの表面積(100cm当たり)に対して0.1g〜1g、好ましくは0.4g〜0.6gである。
高度分岐環状デキストリンは、通常仕上げ油ちょう前のポテトに付着させ、これを仕上げ油ちょうすることによって、本発明のフライドポテト、即ち高度分岐環状デキストリンが付着してなるフライドポテトとすることができる。該フライドポテトの製造には、高度分岐環状デキストリンのコーティングが仕上げ油ちょう前に少なくとも1回行われていれば良く、予備的油ちょう、冷凍保存、解凍、2回目以上のコーティングの工程を適宜加えることができる。これら工程の実施順序は特に限定されない。特に好ましくは、生のポテトをカットして成型(スティック、サイコロ状など)し、成型品の表面の濡れを排除したのち、高度分岐環状デキストリンのコーティングを行って、仕上げ油ちょうする製造方法が挙げられる。
高度分岐環状デキストリンは、好ましくは高度分岐環状デキストリン含有液にポテトを接触させることによって、より好ましくはポテトを該液に浸漬することによって、またはポテトに該液を塗布すること等によって、付着させることができる。高度分岐環状デキストリンは、ポテト表面の一部をコーティングしていれば良いが、表面の全部をコーティングすることが好ましい。コーティング率は、通常ポテト全表面の30%〜100%、好ましくは60%〜100%、より好ましくは90%〜100%であり、全面コーティングが最も好ましい。また、コーティングの厚みは、好ましくは10μm〜300μm、より好ましくは50μm〜100μmである。
浸漬する方法の場合は、コーティング率は100%である。接触あるいは塗布する方法の場合は、該コーティング率は全表面と接触あるいは塗布した部分の面積の割合を算出することにより%表示することができる。
高度分岐環状デキストリンを付着させる対象であるポテトは、予備的油ちょうした後のポテト、予備的油ちょう前のポテトの何れでもよい。また、冷凍していないもの、冷凍したもの、解凍したものの何れでもよい。予備的油ちょうした後のポテトは高度分岐環状デキストリン付着後、さらに仕上げ油ちょうすることが好ましい。予備的油ちょう前のポテトは高度分岐環状デキストリン付着後に仕上げ油ちょうする。
ポテトの形状、大きさ等には特に制限はないが、通常は短冊状に切断されたものが使用される。
本発明のフライドポテトは、好ましくは一旦予備的油ちょうされたポテト等のポテトを高度分岐環状デキストリン含有液でコーティングし、それを仕上げ油ちょうすることによって製造することができる。
本発明で用いるポテトはどのような保存状態等であっても特に限定されないが、冷凍状態で流通している一旦油ちょう(予備的油ちょう)済みのもの、予備的油ちょうを行っていないものなどを挙げることができる。
該高度分岐環状デキストリン含有液は、基剤として水、炭酸水、ジュース類、炭酸飲料類、アルコール飲料類等が使用可能である。好ましくは水または炭酸水であり、より好ましくは水である。
高度分岐環状デキストリン含有液に含まれる高度分岐環状デキストリンの濃度は、5〜70重量%が好ましいが、20〜60重量%がより好ましく、40〜50重量%がさらに好ましい。
高度分岐環状デキストリン含有液としては、上記濃度の高度分岐環状デキストリンとパン粉とを予め混合し、それを上記基剤と混合して液状にしたものを使用することもできる。
高度分岐環状デキストリン含有液には、さらに調味料、風味剤、香辛料、甘味料、着色料、香料、食品添加物、増粘剤等の添加剤を含んでいてもよい。これら添加剤を高度分岐環状デキストリン含有液に含ませる場合には、添加剤の総量が0.001〜1重量%の割合であることが好ましい。
調味料としては、例えば醤油、味噌、食塩、砂糖、グルタミン酸ソーダ、核酸が挙げられる。
風味剤としては、例えばフルーツ風味剤、野菜風味剤、水産加工品風味剤、畜産加工品風味剤、乳加工品風味剤、醗酵品風味剤が挙げられる。
香辛料としては、例えばコショウ、トウガラシ、ワサビ、マスタード、クローブ、オールスパイス、セロリ、シナモン、ナツメグ、ローズマリー、バニラ、コリアンダー、ローレル、カルダモン、ウコン、パプリカ、カレー粉、サンショウ、ショウガ、ニンニク、ミョウガ、ペパーミントが挙げられる。
甘味料としては、例えばデンプン糖、還元麦芽糖水あめ、ソルビット、砂糖、果糖、乳糖、蜂蜜、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、サッカリン、甘草およびその抽出物、グリチルリチン酸、甘茶、アスパルテーム、ステビア、ソーマチンが挙げられる。
着色料としては、例えば黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、食用タール色素、天然色素が挙げられる。
香料としては、例えばストロベリー、レモン、レモンライム、オレンジ、l−メントール、ハッカ油が挙げられる。
食品添加物としては、例えばアルギン酸、ペクチン、カラギナン、タマリンドシードガム、キサンタンガム、アラビアガム、グァーガム、カードラン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムが挙げられる。
増粘剤としては、例えば澱粉、寒天、ゼラチンが挙げられる。
本発明のフライドポテトの製造においては、前記高度分岐環状デキストリン含有液によるコーティング処理を行った後、油ちょう前にさらにパン粉によるコーティング処理を行っても良い。
パン粉は、風味付けなどの調理や加工が行われていないものであれば、市販のパン粉等、いかなるものを使用しても良い。好適には、表面への付着しやすさ、油ちょう後の表面の嗜好性品質の点から、通常粒径30μm〜2mm、より好ましくは50μm〜0.5mm、さらに好ましくは50μm〜100μmのパン粉が使用される。
パン粉は、フライドポテトの表面に30〜100%のコーティング率で付着していることが好ましく、60〜100%であることがより好ましく、90〜100%であることがさらに好ましい。
パン粉のコーティング率は、パン粉は高度分岐環状デキストリン部分に主として付着するので、高度分岐環状デキストリンのコーティング率をパン粉のコーティング率と見なすことができる。
パン粉は、粉に埋めるようにしてまぶす、あるいは粉を振りかけてまぶす等の方法によって、好適には高度分岐環状デキストリンのコーティング上に、コーティングすることができる。
本発明において、油ちょうの条件は特に限定されるものではなく、使用するポテトの種類、大きさ、所望の揚げ上がりの状態等により当業者が適宜変更することができる。
油ちょうの油温は、160〜190℃が好ましく、170〜185℃がより好ましく、175〜185℃がさらに好ましい。
油ちょうの時間は、2〜20分が好ましく、3〜15分がより好ましく、4〜10分がさらに好ましい。
油ちょうの回数は特に限定されないが、好ましくは1〜3回、より好ましくは1〜2回、さらに好ましくは1回である。
油ちょう処理に使用する油は特に限定されないが、例えば、菜種油、大豆油、ヤシ油、パーム核油、コーン油、ひまわり油、米油、紅花油、ごま油、サフラワー油、綿実油、マーガリン、ショートニング、ラード、バター、およびこれらの硬化油・エステル交換油・分別油、それらのブレンド油等を挙げることができる。
さらに、油ちょう後のフライドポテトを保存する条件は特に限定されないが、食感や風味などの嗜好性品質の保持の点から発熱体や湯気、蒸気が発生する場所から離れた位置であることが好ましい。
実施例1〜3で使用した冷凍フライドポテトはラムウェストン社製冷凍フライドポテト・レギュラーカットタイプであり、クラスターデキストリンは江崎グリコ株式会社製である。
(実施例1)
以下の2通りでフライドポテトを作成した。揚げたて、15分後、30分後の嗜好性を128人について検査した(図1A〜C)。結果、揚げたて時は双方に大差はなく、15分後および30分後では「おいしい」または「ややおいしい」と答えた人の割合は、(2)が(1)を上回った。
(1)高温で短時間フライ:180℃に熱した油(1L)に冷凍フライドポテト(100g)を冷凍のまま投入し、キツネ色になるまで(約10分間)揚げる。
(2)低温から長時間フライ:常温の油(1L)に冷凍フライドポテト(100g)を冷凍のまま投入し、5分間その状態を保つ。次いで強火で加温し、180℃に達するまでの約20分間、キツネ色になるまで揚げる。
(実施例2)
冷凍フライドポテト(100g)をクッキングシートに平面に並べ、電子レンジ(200W)(シャープ社製、ヘルシオ、AX−1000)で約5分間、全体が柔らかくなるまで解凍した。クラスターデキストリン、マンナン(粉末状)、ピュアマンナン(ゲル状)を各濃度が52.8重量%、0.5重量%、30重量%になるように純水中に溶解し、解凍したフライドポテトを該液に浸漬する方法でコーティングした。これを180℃の油でキツネ色になるまで約10分間揚げた。
マンナンおよびピュアマンナンは粘性が著しく高く、コーティング操作が困難であったが、クラスターデキストリンは粘性がコーティング操作に支障をきたさない程度であったため、被覆が適切に行われ、コーティング剤として適していることが明らかになった。マンナン、ピュアマンナン、クラスターデキストリンの各被覆率は100%、100%、100%であった。
(実施例3)
フライドポテト表面に付着しやすい粘度を有し、なおかつ厚く付着しすぎない程度のクラスターデキストリン含有液中のクラスターデキストリン濃度を検討した。クラスターデキストリン濃度39.6〜59.4%(39.6%、46.2%、52.8%、59.4%)の溶液を調製し、アルミホイル皿に液面が約0.5mmになるように流し込み、ウォーターオーブン(ヘルシオ、シャープ)を用いて高温加熱処理(180℃、10分間(できるだけ油ちょうと同じ条件になるように))を行い、クラスターデキストリン溶液による皮膜を形成させた。クラスターデキストリン濃度52.8%の溶液では、薄く、サクサクとした皮膜形成が目視で確認できた。ここで、サクサクした状態とは、指で押して皮膜がパラパラと破れる状態が目視で確かめられる状態をいう。
(実施例4)
方法
クラスターデキストリンを純水あるいは炭酸水で濃度52.8重量%になるように溶解し、ハンドミキサーで撹拌処理する場合と撹拌処理しない場合の組み合わせでクラスターデキストリン溶液15mLを調製した。攪拌する場合は、ハンドミキサー(テスコム電機株式会社製、THM−250、スピードメモリ1)で3分間攪拌した。炭酸水は、純水よりも気泡の発生が多くなることを期待して溶媒に用いた。以下、純水を溶媒とし、ハンドミキサーで撹拌したものを「撹拌水CCD液」、炭酸水を溶媒とし、ハンドミキサーで撹拌したものを「撹拌炭酸水CCD液」、撹拌しなかったものを「無撹拌炭酸水CCD液」と表す。調製したクラスターデキストリン溶液を300rpmで4分間、遠心分離機にかけ、無撹拌炭酸水CCD液、撹拌水CCD液、撹拌炭酸水CCD液の3試料の時間経過や作業中に加わる振動などの物理的刺激に対する安定性を評価した。結果を図2に示す。
なお、目視による評価をしやすくするために、攪拌前に食用色素(赤色102号)を用いて着色した。遠心後の溶液上部に見られる泡の多少が、起泡性の程度を示す。溶液の濁りは、溶液中に気泡が存在することによるものである。透明な液体は光を通過するが、泡立った液体は気泡があるため光が乱反射し濁って見える。すなわち、起泡性の小さい溶液は刺激によって気泡が外気へ逃げるため、気泡の抱き込みの安定性のあるものほど遠心後の溶液が濁って見える。
さらに、フライドポテトのフライ30分後における表面層の水分率を、常温加熱乾燥法(アルミニウム箔法)により測定した。該測定は、具体的には以下のように行った。
恒温乾燥器は105℃に設定した。アルミニウム箔製はかり容器(約25×25cmのアルミニウム箔を封筒状に折って袋を作成)の重量を測定した(W)。解凍した冷凍フライドポテトは、5〜7g程度の直方体になるよう成形した。フライしたフライドポテト表面(長方形部分4面)を包丁で切り、表面の側に付着しているフライドポテト内側のじゃがいもはスプーンで削ぎ落とした。はかり容器に試料(フライドポテト表面)を採取し、口を折って気密とし、重量を測定した(W)。その後、はかり容器は水分が蒸発するよう開封し、105℃の恒温乾燥器中で3時間乾燥させた。乾燥終了後、素早くはかり容器の口を折って、気密にした。はかり容器を青着色シリカゲルの入ったデシケーターに移して、放冷後、重量を測定した(W)。水分率(%)=(W−W)/(W−W)×100の式に数値を代入して、水分率を算出した。
結果
遠心前(図2A)ではいずれの試料でも大差は見られないが、遠心後(図2B)では顕著な変化が見られた。濁り(図中、矢印で示した)が最も下部まである撹拌水CCD液は泡持ちがよく、物理的刺激に対する安定性があると言える。
また、図3に、油ちょう30分後における表面層の水分率を示す。攪拌水CCD液および攪拌炭酸水CCD液では、同程度の水分率であった。水は、炭酸水に比べて実用的であるため、水を溶媒とする攪拌水CCD液をコーティング剤とすることが好ましいと考えられた。なお有意差検定は実験回数が十分でないため、行っていない。
コーティング効果の測定では、無撹拌炭酸水CCD液は、撹拌していない分、他のコーティング試料に比べて溶存空気が多く含まれており、油ちょう時に飛散が激しく起こり、コーティングが剥がれ落ちたのではないかと考えられる。無撹拌炭酸水CCD液で標準試料以上に水分移動が起こった理由としては、コーティングが油ちょう時に飛散したことで表面にできた凹凸により、標準試料に比べて表面積が大きく、外気の水分をより吸収しやすくなったことが考えられる。また、撹拌炭酸水CCD液では撹拌操作によって空気が追い出されたため、撹拌水CCD液と同程度の溶存空気になり、フライ時に表面にできた凹凸の度合いが同程度になったのではないかと推察した。
(実施例5)
解凍したフライドポテトにクラスターデキストリン溶液を塗布後、余分なクラスターデキストリン溶液を除くため、網の上で約10分間放置した。途中5分経過した時点で、フライドポテトを縦に90度回転させた。続いて、パン粉をまぶす処理を行った。パン粉の大きさは、市販のもの、すり鉢で擦りやや細かくしたもの、卓上型粉砕機ミルサー(山本電気株式会社製)にかけ粉末状にしたものの3種類を用いた。
結果を図4に示す。市販のものは天ぷらやフライの衣のように表面に厚く付いた一方、卓上型粉砕機ミルサーにより粉末状にしたパン粉は、フライドポテトへの付着が均一でしっかりしており、より本来のフライドポテトの形態に近く、ダブルコーティング剤として適当であった。これは粒度が小さいためであると考えられる。
(実施例6)
「シングルコーティング」では、解凍したフライドポテトにクラスターデキストリン溶液を塗布後、余分な溶液を除くため、網の上で約10分間放置した。途中5分経過した時点で、フライドポテトを縦に90度回転させた。「ダブルコーティング」では、前記シングルコーティングに続いて、卓上型粉砕機ミルサーにかけ粉末状にしたパン粉をまぶす処理を行った。また、「標準試料」としてコーティングしていないものを準備した。これらのフライドポテトを180℃の植物油(日清オイリオグループ株式会社、日清キャノーラ油)で8分間揚げた。油ちょう30分後に、実施例4と同じ方法で表面層の水分率を測定した。結果を図5に示す。
シングルコーティングおよびダブルコーティングでは、表面層の水分率が標準試料に比べて少なく、空気中からの水分移動が抑制されていることが明らかになった。特に、ダブルコーティングの場合では、低水分率であり、コーティング方法として好ましいと考えられた。
実施例1〜6より、以下のことが考えられる。
クラスターデキストリンは多糖類であるため溶液が粘性を示し、撹拌した際に抱き込んだ気泡および溶存空気を液体中に含んでいる。これにより、コーティング後のフライ過程で微小な表面の凹凸構造を生じ、食べた時のサクサク感をもたらすものと考えられる。ダブルコーティング用に使用した粉末状のパン粉は、粒度が小さいため、フライドポテト表面への付着が均一でしっかりしており、クラスターデキストリンの飛散を効果的に防ぐことができた。またコーティングは内側から表面、外気から表面への水分移動を抑制することに寄与していると推定される。
皮膜の水分率を低減してしんなり化を抑制し、かつ皮膜の微細な凹凸構造によりサクサク感を付与することによって、油ちょう30分後における食感の変化や嗜好性の低下が抑止できたものと推察される。
(実施例7)官能検査
29名を対象に、官能検査を行った。「サクサクしている」という食感について、「そう感じない」(1)〜「そう感じる」(5)、の5段階で評価してもらい、各評価をつけた人数の割合を算出した。結果を図6A〜Cに示す。試料は、実施例6で作成した3種であり、それぞれ揚げたてと油ちょう30分後のものを検査に使用した。以下、「ややそう感じる」、「そう感じる」という回答を「サクサクしている」という評価に置き換えて述べる。
30分後の標準試料でも、「サクサクしている」と感じた人が約35%いた。一方、30分後のコーティング試料では、「サクサクしている」と回答した人の割合は約70〜80%であった。
30分後の標準試料でも、「サクサクしている」と感じた人が約35%いた理由として、フライドポテトの個体差によるものだと考えられる。その他の要因としては、クラスターデキストリンが結晶化したことも考えられる。しかしながら30分後のコーティング試料では、「サクサクしている」と回答した人の割合は30分後の標準試料の場合と比べて2倍以上であった。このことより「サクサク感」は必ずしもコーティングに起因するとは言えないが、コーティングによりサクサクとした食感を感じる人が増える傾向にある。すなわち、「サクサクした」フライドポテトの数が多くなる傾向にある。
ポテトの加工製造段階でコーティングを行うことにより、大量供給の場面での改良フライドポテトの製造への応用の可能性が広がるものと期待される。また、コーティング技術の将来性として、バラエティに富むフライドポテトが展開できることを示唆している。
図1Aは、油ちょう条件の違いによる嗜好性(揚げたて)を示す図である。図1Bは、油ちょう条件の違いによる嗜好性(15分後)を示す図である。図1Cは、油ちょう条件の違いによる嗜好性(30分後)を示す図である。 図2Aは、クラスターデキストリン溶液の泡立ち性を示す図である。図2Bは、クラスターデキストリン溶液の泡持ち性を示す図である。 図3は、クラスターデキストリン溶液の違いによる水分率の違いを示す図である。 図4は、粒度の違いによるフライドポテトの形態を示す図である。 図5は、パン粉使用の有無による水分率の違いを示す図である。 図6Aは、コーティング方法による食感評価(標準試料)の結果を示す図である。図6Bは、コーティング方法による食感評価(シングルコーティング)の結果を示す図である。図6Cは、コーティング方法による食感評価(ダブルコーティング)の結果を示す図である。各図において、横軸が評価、縦軸が人の割合である。

Claims (13)

  1. 高度分岐環状デキストリンが付着してなるフライドポテト。
  2. 高度分岐環状デキストリン含有液と接触させてなる請求項1に記載のフライドポテト。
  3. 該高度分岐環状デキストリン含有液の基剤が水または炭酸水である、請求項2記載のフライドポテト。
  4. 該高度分岐環状デキストリン含有液中の高度分岐環状デキストリンの濃度が5〜70重量%である、請求項2記載のフライドポテト。
  5. さらにパン粉を付着してなる、請求項1記載のフライドポテト。
  6. パン粉の粒径が30μm〜2mmである、請求項5記載のフライドポテト。
  7. ポテトに高度分岐環状デキストリンを付着させる工程を有することを特徴とする、フライドポテトの製造方法。
  8. ポテトを高度分岐環状デキストリン含有液と接触させる工程を有することを特徴とする、請求項7記載の製造方法。
  9. ポテトを高度分岐環状デキストリン含有液と接触させた後油ちょうすることを特徴とする、請求項8記載の製造方法。
  10. 該高度分岐環状デキストリン含有液の基剤が水または炭酸水である、請求項8記載の製造方法。
  11. 該高度分岐環状デキストリン含有液中の高度分岐環状デキストリンの濃度が5〜70重量%である、請求項8記載の製造方法。
  12. さらにパン粉を付着させる工程を含む、請求項7記載の製造方法。
  13. パン粉の粒径が30μm〜2mmである、請求項12記載の製造方法。
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JP2012085579A (ja) * 2010-10-20 2012-05-10 Matsutani Chem Ind Ltd 揚げ物用バッター

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