JP2009295689A - 多層プリント配線板用接着フィルム - Google Patents

多層プリント配線板用接着フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】ハロゲン原子を含まず、熱膨張係数が低く、且つ、難燃性を有する多層プリント配線板の材料として信頼性を有する多層プリント配線板用接着フィルムを提供する。
【解決手段】支持フィルム上に、(A)1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、常圧下、温度20℃において液状であるエポキシ樹脂、(B)1分子中に3個以上のエポキシ基を有し、常圧下、温度20℃において固体である芳香族系エポキシ樹脂、(C)ビス(アミノフェニル)フェニルホスフェート構造を有するアミノ基含有リン酸エステル化合物、(D)有機高分子成分及び(E)無機充填材を含有する樹脂組成物からなる樹脂組成物層が形成されてなる多層プリント配線板用接着フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、難燃性樹脂組成物を用いた多層プリント配線板用接着フィルムに関するものである。
近年電子機器の小型化、高性能化が進み、多層プリント配線板のビルドアップ層が複層化され、ビアホールが複数のビルドアップ層にまたがって接続されたスタッガードビア、スタックトビアと呼ばれる多段ビア構造を有する多層プリント配線板の需要が高まっている。このような多段ビア構造を有する多層プリント配線板は層間に絶縁層を有するが、ビアホールを接続する銅配線と絶縁層との熱膨張係数が異なるため、サーマルサイクル等の信頼性試験を行うと銅配線または絶縁層にクラックが入る等の問題が発生していた。そこで、絶縁層を構成する樹脂組成物の熱膨張率を低く抑えることが急務となっている。
その一方で、多層プリント配線板を構成するための樹脂材料は、電気回路のショート等により発火し、火災の原因とならないよう、耐トラッキング性能、難燃性が要求されている。従来難燃性を出すためには、臭素化エポキシ樹脂等の臭素系難燃剤が使用されてきた(例えば特許文献1)。
これらの方法により、多層プリント配線板は難燃化されるとともに、上記の優れた電気特性、絶縁信頼性を併せ持ち、且つ、優れた自己消火性を有するものとして、多層プリント配線板の構成材として用いられてきた。
これに対して、近年の環境問題に対する関心の高まりから、臭素に代表されるハロゲン類化合物を排除しようとする検討が行われている。これは、ハロゲン類化合物は、廃棄後に適正な燃焼処理を行わなければ有害なダイオキシン系化合物を発生する場合があるとされるためである。即ち、ハロゲン類を排除した「ハロゲンフリー樹脂」と称される樹脂組成物への転換が、既に市場で進行している。
具体的なハロゲンフリー樹脂とするための手法は、添加型の難燃剤であるリン酸エステル化合物またはホスファゼン化合物を配合する方法(特許文献1、特許文献2)、リン原子を含有したエポキシ樹脂等を使用する方法等(特許文献3、特許文献4、特許文献5)が提案されてきた。
特開2001−105555号公報 特開2001−302883号公報 特開平11−279258号公報 特開2000−309623号公報 特開2001−288247号公報
上述した方法により、樹脂付銅箔の樹脂層を構成する樹脂組成物にハロゲン類を含ませることなく難燃性を付与したエポキシ樹脂を製造することが可能となるが、それぞれの方法には下記の如き問題点がある。
添加型難燃剤であるリン酸エステル化合物やホスファゼン化合物を添加した場合は、熱膨張係数の増大、硬化物のガラス転移温度の低下(耐熱性の低下)、ブリードにより導体層との密着性が大幅に低下する問題点が指摘されており、多層プリント配線板の信頼性が低下する。また、反応型の難燃剤となるリン含有エポキシ樹脂を配合する方法の場合、前記問題点は解決できるが、リン含有エポキシ樹脂だけの配合では、十分な難燃性を得ることはできない。
そこで、本発明者らは、支持フィルム上に接着剤層が形成されてなる接着フィルムを用いて多層プリント配線板の絶縁層を形成する方法を検討した。すなわち、本発明の課題は、ハロゲン原子を含まず、熱膨張係数が低く、且つ、難燃性を有する多層プリント配線板の材料として信頼性を有する多層プリント配線板用接着フィルムを提供することである。
本発明者は上記目的を達成するため、鋭意研究したところ、支持フィルム上に、特定のアミノ基含有リン酸エステル化合物を含有する難燃性樹脂組成物からなる接着剤層が形成されてなる多層プリント配線板用接着フィルムによれば、上記課題が解決されることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明は、
1.支持フィルム上に、
(A)1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、常圧下、温度20℃において液状であるエポキシ樹脂、
(B)1分子中に3個以上のエポキシ基を有し、常圧下、温度20℃において固体である芳香族系エポキシ樹脂、
(C)下記一般式(1)で示されるアミノ基含有リン酸エステル化合物、
(D)有機高分子成分、及び
(E)無機充填材、
を含有する難燃性樹脂組成物からなる接着剤層が形成されてなる多層プリント配線板用接着フィルム、
Figure 2009295689
(式中、X1〜X5は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であり、互いに同一であっても異なっていてもよい)
2.前記(C)アミノ基含有リン酸エステル化合物が、下記一般式(2)で示される化合物である上記1に記載の多層プリント配線板用接着フィルム、
Figure 2009295689
(式中、X1〜X5は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であり、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
3.前記(C)アミノ基含有リン酸エステル化合物が、下記一般式(3)又は(4)で示される化合物である上記2に記載の多層プリント配線板用接着フィルム、及び
Figure 2009295689
4.前記(D)有機高分子成分がポリビニルアセタール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド樹脂及びポリアミドイミド樹脂からなる群から選択される1種以上である上記1〜3のいずれかに記載の多層プリント配線板用接着フィルム、
を提供するものである。
本発明によれば、ハロゲン原子を含まなくても十分な難燃性を得られると同時に、熱膨張係数が小さく、なおかつ難燃剤のブリードが起こらず、耐熱性、銅箔との密着性の点で優れることから、長期信頼性に優れる多層プリント配線板用接着フィルムを提供することができる。
本発明の多層プリント配線板用接着フィルムに用いられる接着剤層は支持フィルム上に形成され、(A)1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、常圧下、温度20℃において液状であるエポキシ樹脂、(B)1分子中に3個以上のエポキシ基を有し、常圧下、温度20℃において固体である芳香族系エポキシ樹脂、(C)上記一般式(1)で示されるアミノ基含有リン酸エステル化合物、(D)有機高分子成分及び(E)無機充填材を含む。
(A)1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、常圧下、温度20℃において液状であるエポキシ樹脂
本発明で用いられる上記(A)1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、常圧下、温度20℃で液状であるエポキシ樹脂(以下、(A)液状エポキシ樹脂と略すことがある。)としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert−ブチル−カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの液状エポキシ樹脂の内、硬化物の物性等の観点から芳香族系エポキシ樹脂が好ましい。なお、本発明において芳香族系エポキシ樹脂とは、その分子内に芳香環骨格を有するエポキシ樹脂を意味する。これらのエポキシ樹脂は、各々単独で用いても良く、2種以上組み合わせて使用しても良い。なお(A)液状エポキシ樹脂は、常圧下、温度20℃において液状であることが必要であり、温度5℃においても液状であるものが好ましい。(A)液状エポキシ樹脂として、常圧下、温度20℃で固体のものを用いた場合、接着フィルムを取り扱う常温(20〜30℃)で接着フィルムの十分な可撓性が得られず、接着フィルムの取り扱い性が低下する。また、回路基板へのラミネートの際に、ビアホールやスルーホール内を充填するだけの難燃性樹脂組成物の十分な流動性が得られない。
(B)1分子中に3個以上のエポキシ基を有し、常圧下、温度20℃において固体である芳香族系エポキシ樹脂
本発明で用いられる上記(B)1分子中に3個以上のエポキシ基を有し、常圧下、温度20℃において固体である芳香族系エポキシ樹脂(以下、(B)固体エポキシ樹脂と略すことがある。)としては、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレンアラルキル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの(B)固体エポキシ樹脂は各々単独で用いてもよく、2種類以上組み合わせて使用しても良い。(B)固体エポキシ樹脂は、常圧下、温度20℃において固体であることが必要であり、温度40℃においても固体であるものが好ましい。(B)固体エポキシ樹脂は、難燃性樹脂組成物の硬化物の破断強度を向上させ、また硬化物の架橋密度を向上させ、無機充填材が35質量%以上、さらには40質量%以上存在しても粗化処理後の硬化物表面に無機物が剥き出しになるのを抑制し、安定して高いメッキピール強度を得るために重要な役割を果たす。
本発明において用いられる難燃性樹脂組成物における(A)液状エポキシ樹脂と(B)固体エポキシ樹脂との配合割合は、質量比で1:0.3〜1:2の範囲内であると好ましく、1:0.5〜1:1の範囲内であるとより好ましい。(A)液状エポキシ樹脂の配合割合が上記配合割合を超えて多すぎる場合には、得られる難燃性樹脂組成物の粘着性が高くなり、真空ラミネート時の脱気性が低下してボイドが発生しやすくなったり、あるいは、硬化後の耐熱性が不十分になるなどの問題が発生する。一方、成分(B)固体エポキシ樹脂の配合割合がこの配合割合を超えて多すぎる場合には、得られる難燃性樹脂組成物は、常圧下、常温において脆くなり、接着フィルムとした場合には取り扱いが困難となる。
本発明において用いられる難燃性樹脂組成物中における(A)液状エポキシ樹脂と(B)固体エポキシ樹脂の合計量は、難燃性樹脂組成物から溶剤を除いた不揮発分(以下、不揮発分と略すことがある)を100質量%として、好ましくは10〜50質量%であり、より好ましくは20〜40質量%である。
尚、本発明において用いられる難燃性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない程度に(A)液状エポキシ樹脂、(B)固体エポキシ樹脂以外の多官能エポキシ樹脂を含んでもよい。例えば、難燃性を向上させる目的で、前記各種エポキシ樹脂に、反応性リン化合物を反応させてリン原子を結合させた各種リン含有エポキシ樹脂も非ハロゲン系エポキシ樹脂として用いることができる。かかる反応性リン化合物としては、例えば、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキシド(三光株式会社製、商品名:HCA)あるいはジフェニルホスフィンオキサイドとベンゾキノンあるいはナフトキノンとの反応生成物(下記式a〜d)等が挙げられる。
Figure 2009295689
(C)アミノ基含有リン酸エステル化合物
本発明における(C)下記一般式(1)で示されるアミノ基含有リン酸エステル化合物は(以下、(C)アミノ基含有リン酸エステル化合物と略すことがある。)、本発明の多層プリント配線板用の接着フィルムの接着剤層の成分である(A)液状エポキシ樹脂及び/又は(B)固体エポキシ樹脂の硬化剤あるいは硬化触媒として作用すると同時に、難燃剤として作用するものであり、下記一般式(1)で示される。この化合物を難燃剤として用いることにより、十分な難燃性を付与すると同時に熱膨張係数の増大を抑制することができる。
Figure 2009295689
(式中、X1〜X5は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であり、互いに同一であっても異なっていてもよい)
かかる一般式(1)で表される(C)アミノ基含有リン酸エステル化合物の製造方法は、特に制限されることはなく、ジャーナル・オブ・ポリマーサイエンス・パートA(Journal of Polymer Science Part A)、Polymer Chemistry Vol.35,No.3 p. 565-574 (1997)等に記載されているような従来公知の方法に従って製造することができる。かかる方法の中でも、ニトロフェノール化合物又はアミノフェノール化合物と、ジクロロリン酸化合物とを、非プロトン性有機溶媒中で反応させる方法が好ましく、特に、所定の一般式で表されるアミノフェノール化合物と、所定の一般式で表されるジクロロリン酸化合物とを、塩基性化合物の存在下、非プロトン性有機溶媒中で反応させる方法は、1段階の反応によって容易に調製することができるので生産効率及びコストの面において好ましい。上記塩基性化合物としては、有機塩基性化合物及び無機塩基性化合物から選択される1種以上を用いることができる。
(C)アミノ基含有リン酸エステル化合物の製造に好ましく用いられるアミノフェノール化合物は、次の一般式(i)で表される。
Figure 2009295689
このようなアミノフェノール化合物としては、例えば、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール及びp−アミノフェノールを挙げることができる。また、アミノフェノール化合物は、アルキル基及びアルコキシ基等の置換基を有していてもよい。
(C)アミノ基含有リン酸エステル化合物の製造に好ましく用いられるジクロロリン酸化合物は、次の一般式(ii)で表される。
Figure 2009295689
上記式中、X1〜X5は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であり、互いに同一であっても異なっていてもよい。
このようなジクロロリン酸化合物としては、例えば、フェニルジクロロリン酸、2−メチルフェニルジクロロリン酸、4−メチルフェニルジクロロリン酸、2,6−ジメチルフェニルジクロロリン酸、2,4,6−トリメチルフェニルジクロロリン酸、4−エチルフェニルジクロロリン酸及び4−プロピルフェニルジクロロリン酸等を挙げることができる。
アミノフェノール化合物とジクロロリン酸化合物との割合は、ジクロロリン酸化合物の塩素原子1モルに対して、アミノフェノール化合物が1.0〜3.0モルであることが好ましく、1.1〜1.6モルであることがより好ましい。アミノフェノール化合物が1.0モル未満であると、アミノ基含有リン酸エステル化合物の所望の収率が得られないことがあり、またハロゲン化合物であるジクロロリン酸化合物が生成物に混入する可能性がある。アミノフェノール化合物が3.0モルを超えると、未反応のアミノフェノール化合物の量が多すぎ、経済的でない。
(C)アミノ基含有リン酸エステル化合物の製造に好ましく用いられる有機塩基性化合物としては、例えば、ピリジン、コリジン、ルチジン等のピリジン類、DBU、DBN等の含窒素環状化合物、ジエチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン等のアミン類、N,N,N',N'−テトラメチルグアニジン等が挙げられる。無機塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化物や、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸塩等を挙げることができる。これらの中でも、ピリジン類、アミン類、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウム等アルカリ金属炭酸塩は、反応の選択性を高め、副反応生成物の量を少なくすることができるので好ましい。
塩基性化合物の使用量は、ジクロロリン酸化合物の塩素原子1モルに対して、1.0〜4.0モルが好ましく、1.1〜3.0モルがより好ましい。塩基性化合物の使用量が1.0モル未満では、反応において発生する塩素イオンを十分にトラップできず、反応系が酸性となって反応速度が低下することがある。一方、塩基性化合物の使用量が4.0モルを超えると、過剰の塩基性化合物が多すぎるため、経済的でない。
(C)アミノ基含有リン酸エステル化合物の製造に好ましく用いられる非プロトン性有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族系;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン及びジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系;アセトニトリル等のニトリル系を挙げることができる。これらの中でも、アセトニトリルは、アミノフェノール化合物及びジクロロリン酸化合物の溶解性に優れるので好ましい。
非プロトン性有機溶媒の使用量は、アミノフェノール化合物及びジクロロリン酸化合物を溶解し得る量であれば良く、特に限定されることはない。
(C)アミノ基含有リン酸エステル化合物の製造方法において、上記成分の添加順序は特に制限されることはないが、副反応を抑えて(C)アミノ基含有リン酸エステル化合物の収率を高める観点からは、アミノフェノール化合物を溶解させた非プロトン性有機溶媒に無機塩基性化合物を溶解又は分散させ、その後にジクロロリン酸化合物をゆっくり加えることが好ましい。
反応温度は、使用する非プロトン性有機溶媒の種類等によって変化するが、一般に40〜100℃が好ましい。反応温度が40℃以上であると、反応速度が良好であり、また100℃以下であると副反応による生成物が減少しやすい。
反応時間は、上記成分の使用量等によって変化するが、一般に0.5〜10時間が好ましい。反応時間が0.5時間未満であると、アミノフェノール化合物とジクロロリン酸化合物とが十分に反応する。一方、反応時間が10時間以下であると、副反応が起こりにくく、収率に優れ、また経済的にも好ましい。
反応終了後、濾過及び洗浄等の公知方法によって、反応物から(C)アミノ基含有リン酸エステル化合物を単離することができる。
具体的には、反応物を濾過することによって、触媒及び生成した塩等の不純物を反応物から除去する。次いで、濾液を減圧濃縮した後、該濾液に多量の水を加えることによって固形物を析出させる。次いで、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機アルカリを加えてよく撹拌することで、固形物中に含まれる未反応のアミノフェノール化合物を水に可溶化させる。次いで、該固形物を濾過した後、水等を用いて該固形物を洗浄し、乾燥させることによって(C)アミノ基含有リン酸エステル化合物を得ることができる。
かかる(C)アミノ基含有リン酸エステル化合物は、分子中にハロゲン原子を有しておらず、加工時に加熱する際及び使用後に焼却する際にダイオキシン類を発生することがないので、難燃剤として樹脂付銅箔の樹脂層に用いることができる。
上記一般式(1)で表される(C)アミノ基含有リン酸エステル化合物の中でも、次の一般式(2)で表される(C)アミノ基含有リン酸エステル化合物を用いると、優れた難燃性を有する難燃剤樹脂組成物が得られる。
Figure 2009295689
上記一般式(2)中、X1〜X5は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であり、互いに同一であっても異なっていてもよい。
また、上記一般式(2)で表わされる(C)アミノ基含有リン酸エステル化合物の中でも、次の化学式(3)で表される化合物を用いると、特に優れた難燃性を有する難燃性樹脂組成物が得られる。また、次の化学式(4)で表される化合物を用いると、上記難燃性に加えて、耐加水分解性にも優れた難燃性樹脂組成物が得られる。
Figure 2009295689
かかる(C)アミノ基含有リン酸エステル化合物の配合量は、難燃性を損なわないように、本発明に用いられる難燃性樹脂組成物中において、難燃性樹脂組成物の不揮発分を100質量%として、好ましくは5〜30質量%であり、より好ましくは10〜20質量%である。5質量%以上では難燃性が改善し、30質量部以下では耐水性が向上する。さらに、本発明に用いられる難燃性樹脂組成物では、不揮発分中のリン含有量が0.8〜3.0質量%の範囲となるように配合することが好ましい。かかるリン含有量が0.8質量%以上であると、難燃性が改善する。また、リン含有量が3.0質量%以下であると、接着性等の物性が向上する。
(D)有機高分子成分
本発明で用いられる(D)有機高分子成分は、難燃性樹脂組成物のラミネート時における熱流動性と、酸化剤による硬化物の粗化性、熱膨張係数、導体層との密着性に影響を与える。好ましい(D)有機高分子成分の具体例としては、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等を例示できる。
本発明で用いられる難燃性樹脂組成物における(D)有機高分子成分の含有割合は、難燃性樹脂組成物の不揮発分を100質量%として、2〜35質量%であると好ましく、5〜30質量%であるとより好ましい。2質量%以上であると、難燃性樹脂組成物のラミネート時の熱流動性が大きくなりすぎず、絶縁層が均一となり、また、難燃性樹脂組成物の十分な粗化性が得られる。一方35質量%以下であると熱流動性が低くなりすぎないため、回路基板に存在するビアホールやスルーホールに十分に難燃性樹脂組成物が充填される。
(E)無機充填材
本発明で用いられる(E)無機充填材としては、シリカ、アルミナ、硫酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、ホウ酸アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウムなどが挙げられるが、シリカが好ましく、球形シリカがより好ましく、アミノシラン処理球形シリカが特に好ましい。(E)無機充填材は平均粒径が5μm以下のものが好ましい。平均粒径が5μm以下であると、導体層に回路パターンを形成する際にファインパターンの形成を安定的に行うことができる。また、(E)無機充填材としては、耐湿性を向上させる観点から、シランカップリング剤等の表面処理剤で表面処理してあるものが好ましい。
本発明で用いられる難燃性樹脂組成物における(E)無機充填材の含有割合は、難燃性樹脂組成物の不揮発分を100質量%として、難燃性樹脂組成物に要求される特性によって異なるが、35〜75質量%の範囲内であると好ましく、40〜70質量%の範囲内であるとより好ましい。(E)無機充填材の含有割合が35質量%以上であると、熱膨張率が高くなりすぎず、本発明の効果が発現され、また、75質量%以下であると、絶縁層のピール強度が低下しない。
(F)アミノ基含有リン酸エステル化合物以外のエポキシ樹脂の硬化剤
本発明で用いられる難燃性樹脂組成物には、硬化物の耐熱性、柔軟性、導体層との密着性等を調整する観点から、さらにエポキシ樹脂の硬化剤となりうる(F)アミノ基含有リン酸エステル化合物以外のエポキシ樹脂の硬化剤(以下、(F)その他の硬化剤と略すことがある)を含有させることができる。(F)その他の硬化剤としては、ジアミン化合物あるいはフェノール化合物等を使用することができる。
上記(F)その他の硬化剤として使用可能なジアミン化合物としては、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、m−キシレンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ジアミノジフェニルメタン及びビス(4−アミノフェニル)スルホン等を挙げることができ、これらのジアミン化合物は、単独又は混合して使用することができる。また、上記(F)その他の硬化剤として使用可能なフェノール化合物としては、ビスフェノールF、フェノールノボラック樹脂、アルキルフェノールノボラック樹脂、トリアジン構造含有ノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、ザイロック(Xylok)型フェノール樹脂等を挙げることができる。
かかる(F)その他の硬化剤の配合量は、本発明に用いられる難燃性樹脂組成物の特性を損なわない範囲であれば特に限定されることはないが、一般に、本発明で用いられる難燃性樹脂組成物に対して、(F)その他の硬化剤の含有割合は、難燃性樹脂組成物の不揮発分を100質量%として、5〜30質量%の範囲内であると好ましく、5〜10質量%の範囲内であるとより好ましい。
(G)硬化促進剤
本発明で用いられる難燃性樹脂組成物には、エポキシ樹脂と(C)アミノ基含有リン酸エステル化合物及び任意の上記ジアミン化合物のアミノ基、フェノール化合物との架橋反応を促進させる観点から、さらに(G)硬化促進剤を含むことができる。
本発明において使用可能な(G)硬化促進剤としては、サリチル酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、ベンゼンスルホン酸、及びp−トルエンスルホン酸等の有機酸や、三フッ化ホウ素モノメチルアミン、及び三フッ化ホウ素ピペリジン等のルイス酸等を挙げることができ、これらは単独又は混合して使用することができる。また、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール化合物を用いても構わない。
かかる(G)硬化促進剤の配合量は、本発明に用いられる難燃性樹脂組成物の特性を損なわない範囲であれば特に限定されることはないが、一般に、(A)液状エポキシ樹脂、(B)固体エポキシ樹脂、(C)アミノ基含有リン酸エステル化合物及び(F)その他の硬化剤の合計100質量部に対して、0.1〜5質量部が好ましく、0.2〜3質量部がより好ましい。かかる(G)硬化促進剤の配合量が、0.1質量部以上であると、(G)硬化促進剤を配合することによる効果が十分に得られ、かかる(G)硬化促進剤の配合量が5質量部以下であると、所望のシェルフライフが得られる。
(H)その他成分
本発明で用いられる難燃性樹脂組成物には、上記成分の他、本発明の効果を阻害しない範囲で、熱硬化性樹脂、添加剤等のその他成分を配合することができる。熱硬化性樹脂としては、例えばブロックイソシアネート、ラジカル重合性樹脂などが挙げられる。添加剤としては、シリコーンパウダー、ナイロンパウダー、フッ素パウダー等の有機充填剤、ベントン等の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系の消泡剤またはレベリング剤、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系、シランカップリング剤等の密着性付与剤、フタロシアニンブルー、ジスアゾイエロー、カーボンブラック等の着色剤を挙げることができる。
(使用方法)
本発明の多層プリント配線板用接着フィルムは、多層プリント配線板の絶縁層を形成する接着フィルムとして好適に用いられる。すなわち、接着剤層側を回路基板等にラミネートした後、支持フィルムを剥離し、さらに回路基板等を積層することで、多層プリント配線板の層間接着を担いつつ、層間の絶縁層として機能する。
本発明の多層プリント配線板用接着フィルムにおいて、接着剤層を構成する難燃性樹脂組成物は、真空ラミネート法におけるラミネートの温度条件(通常70〜140℃)で軟化し、回路基板に存在するビアホールあるいはスルーホール内の樹脂充填が可能な流動性(樹脂流れ)を示すものが好ましい。多層プリント配線板のスルーホールの直径は通常0.1〜0.5mm、深さは通常0.1〜1.2mmであり、通常この範囲で樹脂充填を可能とするのが好ましい。なお回路基板の両面をラミネートする場合は、スルーホールの1/2が充填されれば良い。
本発明の接着フィルムは、当業者に公知の方法、例えば、有機溶剤に難燃性樹脂組成物を溶解した樹脂ワニスを調製し、支持フィルムを支持体として、この樹脂ワニスを塗布し、更に加熱、あるいは熱風吹きつけ等により有機溶剤を乾燥させて接着剤層を形成させることにより製造することができる。
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。これらの有機溶剤は2種類以上組み合わせて用いても良い。
乾燥条件は特に限定されないが、接着剤層の有機溶剤の含有割合が通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。好ましい乾燥条件は、50〜150℃で3〜10分程度乾燥させることができる。
形成される接着剤層の厚さは、通常導体層の厚さ以上とする。回路基板が有する導体層の厚みは通常5〜70μmの範囲であるので、接着剤層の厚さは10から100μmの厚みを有するのが好ましい。
なお、本発明における接着剤層は、後述する保護フィルムで保護されていても良い。保護フィルムで保護することにより、難燃性樹脂組成物表面へのゴミの付着やキズの防止することができる。
本発明における支持フィルム及び保護フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(以下PETと略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド等をフィルム状としたもの、更には離型紙や銅箔、アルモニウム箔等の金属箔などを挙げることができる。なお支持フィルム及び保護フィルムはコロナ処理、離型処理を施してあっても良い。
支持フィルムの厚みは特に限定されないが、通常10〜150μmであり、好ましくは25〜50μmの範囲で用いられる。また、保護フィルムの厚さは1〜40μmとするのが好ましい。なお、後述するように、接着フィルムの製造工程で支持フィルムを接着剤層表面を保護する保護フィルムとして使用することもできる。
本発明における支持フィルムは、回路基板にラミネートした後に、或いは加熱硬化することにより絶縁層を形成した後、支持フィルムを剥離するものであり、硬化工程でのゴミの付着を防ぐことができる。硬化後に剥離する場合、通常支持フィルムには、予め離型処理が施される。なお、支持フィルム上に形成される接着剤層は、層の面積が支持フィルムの面積より小さくなるように形成するのが好ましい。また、接着フィルムは、ロール状に巻き取って、保存、貯蔵することができる。
次に、本発明の接着フィルムを用いて多層プリント配線板を製造する方法について説明する。接着剤層が保護フィルムで保護されている場合は、これらを剥離した後、接着剤層が回路基板に直接接するように、回路基板の片面または両面にラミネートする。本発明の接着フィルムにおいては、真空ラミネート法により減圧下で回路基板にラミネートする方法が好適に用いられる。ラミネートの方法はバッチ式であってもロールでの連続式であっても良い。またラミネートを行う前に接着フィルム及び回路基板を必要により加熱(プレヒート)しておいても良い。
ラミネートの条件は、圧着温度(ラミネート温度)を好ましくは70から140℃、圧着圧力を好ましくは1〜11kgf/cm2(9.8×104〜107.9×104N/cm2)とし、空気圧20mmHg(26.7hPa)以下の減圧下でラミネートするのが好ましい。
本発明における回路基板とは、主として、ガラスエポキシ、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等の基板の片面または両面にパターン加工された導体層(回路)が形成されたものをいう。また導体層と絶縁層とが交互に形成され、片面または両面がパターン加工された導体層(回路)となっている多層プリント配線板も本発明にいう回路基板に含まれる。なお導体回路層表面は黒化処理等により予め粗化処理が施されていた方が絶縁層の回路基板への密着性の観点から好ましい。
このように接着フィルムを回路基板にラミネートした後、支持フィルムを剥離する場合は剥離し、熱硬化することにより回路基板に絶縁層を形成することができる。加熱硬化の条件は、150〜220℃で20〜180分の範囲で選択され、より好ましくは160〜200℃で30〜120分である。
絶縁層を形成した後、硬化前に支持フィルムを剥離しなかった場合は、ここで剥離する。次に回路基板上に形成された絶縁層に穴あけを行いビアホール、スルーホールを形成する。穴あけは例えば、ドリル、レーザー、プラズマ等の公知の方法により、または必要によりこれらの方法を組み合わせて行うことができるが、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー等のレーザーによる穴あけが最も一般的な方法である。
次いで、絶縁層表面を酸化剤により粗化処理を行う。酸化剤としては、過マンガン酸塩(過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム等)、重クロム酸塩、オゾン、過酸化水素/硫酸、硝酸等が挙げられる。好ましくはビルドアップ工法による多層プリント配線板の製造における絶縁層の粗化に汎用されている酸化剤である、アルカリ性過マンガン酸溶液(例えば過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウムの水酸化ナトリウム水溶液)を用いて粗化を行うのが好ましい。
次に、粗化処理により凹凸のアンカーが形成された難燃性樹脂組成物表面に、無電解メッキと電解メッキを組み合わせた方法で導体層を形成する。または導体層とは逆パターンのメッキレジストを形成し、無電解メッキのみで導体層を形成することもできる。なお、導体層形成後、150〜200℃で20〜90分アニール処理することにより、導体層のピール強度を得ることができる。多層プリント配線板に好ましいピール強度は、通常0.6kgf/cm以上、好ましくは0.7kgf/cm以上である。
また、導体層をパターン加工し回路形成する方法としては、例えば当業者に公知のサブトラクティブ法、セミアディティブ法などを用いることができる。
以下、実施例を用いて本発明についてより詳細に説明するが、これらの実施例は本発明を何ら限定するものではない。
<アミノ基含有リン酸エステル化合物の調製>
合成例1(ビス(4−アミノフェニル)フェニルホスフェート(以下4−APPと略記することがある)の調製)
197g(1.42mol)のp−ニトロフェノール、135gの無水ピリジン、310gの無水アセトニトリルを、攪拌装置、乾燥窒素導入管、温度計、滴下漏斗及びコンデンサーを備えた4つ口フラスコに仕込み、4つ口フラスコ内を乾燥窒素雰囲気とした。次に、フラスコ内を激しく撹拌しながら、150g(0.710mol)のフェニルジクロロリン酸を内容物にゆっくり滴下した後、加熱還流を1時間行った。次に、反応液を室温まで冷却した後、3Lの冷水にゆっくり投入し、結晶を析出させた。得られた結晶を濾過した後、水で十分に洗浄し、90℃で24時間乾燥させることで、281g(0.68mol)のビス(4−ニトロフェニル)フェニルホスフェートが得られた(収率95%)。
次に、250g(0.60mol)のビス(4−ニトロフェニル)フェニルホスフェート、624gのジオキサン、70gのジオキサンに分散した50gのラネーニッケル触媒(Ni-Alアロイ)を、撹拌機を付したオートクレーブに仕込んだ。次いで、水素添加反応を50℃、80kg/cm2の圧力で、5時間行った。水素消費が止まってからさらに2時間反応を行った後、過剰な水素をオートクレーブから排気した。反応液を濾過した後、濃縮し、5Lの2%ジエチルアミン水溶液に投入した。次いで、析出した固形物を濾過した後、水で十分に洗浄した。次いで、かかる固形物を90℃、24時間乾燥することで、192gの上記化学式(3)で表される4−APP(収率85%)を得た。
合成例2(4−APPの調製)
165g(1.66mol)の無水炭酸カリウム、及び700gの脱水処理したアセトニトリルと101g(0.926mol)のp−アミノフェノールとの混合液を、攪拌装置、乾燥窒素導入管、温度計、滴下漏斗及びコンデンサーを備えた4つ口フラスコに仕込み、4つ口フラスコ内を乾燥窒素雰囲気とした。内容物を攪拌しながら60〜65℃に昇温した後、65.1g(0.309mol)のフェニルジクロロリン酸と60gの脱水処理したアセトニトリルとの混合液を内容物にゆっくりと滴下した。滴下終了後、さらに1時間加熱還流した後、室温まで反応液を冷却した。生成した塩及び炭酸カリウムを濾過により除き、さらに50mlのアセトニトリルで洗浄した。得られた濾液を減圧濃縮後、約600mlの水に投入した。次いで、5%の炭酸カリウム水溶液約600mlを投入して30分間撹拌した後、析出した固形物を濾過し、水で丁寧に洗浄後、固形物を乾燥させた。得られた固形物を、メタノールを用いて再結晶させることによって、66.6gの上記化学式(3)で表される4−APPを得た(収率65%)。
合成例3(ビス(4−アミノフェニル)−2,6−ジメチルフェニルホスフェート(以下4−ADMPと略記することがある)の調製)
107.7g(0.882mol)の2,6−ジメチルフェノール、80.7ml(0.884mol)のオキシ塩化リン、1.5gの無水塩化カルシウムを、攪拌装置、乾燥窒素導入管、温度計、滴下漏斗及びコンデンサーを備えた4つ口フラスコに仕込み、4つ口フラスコ内を乾燥窒素雰囲気とした。内容物を撹拌しながら15時間加熱還流を行い、得られた反応生成物を減圧下蒸留することにより、119.4g(収率56.7%)の2,6−ジメチルフェニルジクロロリン酸を得た。
139g(1.00mol)のp−ニトロフェノール、94.9gの無水ピリジン、300gの無水アセトニトリルを、攪拌装置、乾燥窒素導入管、温度計、滴下漏斗及びコンデンサーを備えた4つ口フラスコに仕込み、4つ口フラスコ内を乾燥窒素雰囲気とした。次に、フラスコ内を激しく撹拌しながら、上記で得られた119.4g(0.50mol)の2,6−ジメチルフェニルジクロロリン酸を内容物にゆっくり滴下した後、加熱還流を1時間行った。次に、反応液を室温まで冷却した後、2Lの冷水にゆっくり投入し、結晶を析出させた。得られた結晶を濾過した後、水で十分に洗浄し、90℃で24時間乾燥させることで、204.5g(0.46mol)のビス(4−ニトロフェニル)−2,6−ジメチルフェニルホスフェートが得られた(収率92%)。
次に、120g(0.27mol)のビス(4−ニトロフェニル)−2,6−ジメチルフェニルホスフェート、300gのジオキサン、30gのジオキサンに分散した30gのラネーニッケル触媒(Ni-Alアロイ)を、撹拌機を付したオートクレーブに仕込んだ。次いで、水素添加反応を50℃、80kg/cm2の圧力で、2時間行った。水素消費が止まってからさらに2時間反応を行った後、過剰な水素をオートクレーブから排気した。反応液を濾過した後、濃縮し、3Lの2%ジエチルアミン水溶液に投入した。次いで、析出した固形物を濾過した後、水で十分に洗浄した。次いで、かかる固形物を90℃、24時間乾燥することで、86gの上記化学式(4)で表される4−ADMP(収率83%)を得た。
<多層プリント配線板用接着フィルムの製造>
実施例1〜4
表1に示す配合割合にて各成分を混合し、難燃性樹脂組成物のワニスを調製した。球形シランは、予め3−アミノプロピルトリエトキシシランで表面処理を施したものを用いた。
得られた樹脂ワニスをPETフィルム上に、乾燥後の樹脂厚みが70μmとなるようにダイコーターにて塗布し、100℃で6分間乾燥した(残存溶媒量約2質量%)。ついで難燃性樹脂組成物の表面に厚さ15μmのポリプロピレンフィルムを貼り合わせながら、ロール状に巻き取った。ロール状の接着フィルムを幅500mmにスリットし、500×300mmサイズのシート状の接着フィルムを製造した。
比較例1〜3
表1に示す配合割合にて各成分を混合することによってワニスを調製した以外は、実施例1〜4と同様にして接着フィルムを製造した。
<使用した材料>
上記実施例1〜4および比較例1〜3に用いた各配合成分は以下の通りである。
[(A)液状エポキシ樹脂]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名:ARALDAITE AER2603、エポキシ当量=190グラム/モル、常圧、20℃において液状)
[(B)固体エポキシ樹脂]
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製、商品名:EPICLON N−680、エポキシ当量=208グラム/モル、常圧、20℃において固体)
リン含有エポキシ樹脂(東都化成株式会社製、商品名:FX−305、エポキシ当量=485、リン含有量:3.0質量%、常圧、20℃において固体)
[(D)有機高分子成分]
フェノキシ樹脂(東都化成株式会社、商品名:フェノトート、YP−50EK35(不揮発分濃度35%、MEK溶液)
[(E)無機充填材]
球形シリカ(株式会社アドマテックス製、商品名:SO−E6、平均粒径:2.0μm)
[(F)その他の硬化剤]
ビス(4−アミノフェニル)スルホン(東京化成工業株式会社製、DDS)
[(G)硬化促進剤]
三フッ化ホウ素モノエチルアミン(和光純薬工業株式会社製、F3BMEA)
1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール(四国化成工業株式会社製、商品名:キュアゾール、C11Z−CN)
[添加型リン系難燃剤]
1,3−フェニレンビス(ジ−2,6−キシレニルホスフェート)(リン酸エステル系難燃剤、大八化学工業株式会社製、商品名:PX-200、リン含有率9.0質量%)
フェノキシホスファゼン(大塚化学株式会社製、商品名:SPE−100)
<試験方法>
実施例及び比較例で製造したワニスを用いて得られる接着フィルムの特性評価は、次の測定によって行った。
[難燃性]
銅箔厚み18μm、板厚0.3mmのFR4両面銅張積層板から内層回路基板を作製し(直径0.2mmのスルーホールあり)、実施例1〜4及び比較例1〜3で得られた接着フィルムのポリプロピレンフィルムを剥離したのち、難燃性樹脂組成物を回路面にして、株式会社名機製真空ラミネーターにより、温度110℃、圧力7kgf/cm2、気圧5mmHg(1.33hPa)以下の条件で両面にラミネートした。次いでPETフィルムを剥離し、180℃、30分加熱硬化させた。この基板をUL規格 UL94V法に基づき、燃焼試験を実施し、燃焼性に従いV−0〜V−3の区分に分けた。
[銅箔ピール強度]
銅箔厚み18μm、板厚0.3mmのFR4両面銅張積層板から内層回路基板を作製し(直径0.2mmのスルーホールあり)、実施例1〜4及び比較例1〜3で得られた接着フィルムのポリプロピレンフィルムを剥離したのち、難燃性樹脂組成物を回路面にして、株式会社名機製作所製の真空ラミネーターにより、温度110℃、圧力7kgf/cm2、気圧5mmHg(1.33hPa)以下の条件で両面にラミネートした。次いでPETフィルムを剥離し、180℃、30分加熱硬化させた。次いで、過マンガン酸塩のアルカリ性酸化剤で硬化した接着剤層表面を粗化処理し、無電解メッキ及び電解メッキを行い、さらに180℃で30分アニール処理を行った。得られた導体層の導体メッキ厚は約30μmであった。なお、ピール強度はJIS C6481に準じて評価した。
[ガラス転移温度(Tg)]
Tgは、熱機械測定(Thermal Mechanical Analysis:TMA)により測定を行った。TMA測定には理学電機株式会社製TAS200を使用し測定を行った。TMA測定用の硬化物は、調製したワニスを60℃で2時間真空乾燥し、得られた固体を、190℃で1時間加熱加圧成形することにより得た。
[線膨張係数]
線膨張係数は、熱機械測定(Thermal Mechanical Analysis:TMA)により測定を行った。TMA測定には理学電機株式会社製TAS200を使用しZ軸方向の膨張率より線膨張係数の測定を行った。TMA測定用の硬化物は、「ガラス転移温度」の測定と同じ方法で調製した。ここでα1はTg−50℃〜Tg−10℃の線膨張係数を意味する。
Figure 2009295689
表1に示すように、アミノ基含有リン酸エステル化合物を含む実施例1〜4の接着フィルムでは、銅箔剥離強度、Tg、線膨張係数及び難燃性の全てにおいて良好であった。これに対して、比較例1の樹脂組成物は、本発明のアミノ基含有リン酸エステル化合物も、従来からある添加型難燃剤も加えてなく、酸素指数が低く、難燃性(UL−94)試験では試験片が全焼してしまったため、評価不可能である。また、添加型難燃剤である縮合リン酸エステル化合物を配合した比較例2の樹脂組成物では、難燃性は良好であったものの、線膨張係数の増加が見られた。また、添加型難燃剤であるホスファゼン化合物を配合した比較例3の樹脂組成物では、難燃性は良好であったものの、銅箔剥離強度及びTgの低下が見られた。これら物性の低下は硬化時にリン含有化合物が架橋構造中に組み込まれない事や硬化物からのブリードアウトが原因となっている事が考えられる。
以上説明したように、本発明の多層プリント配線用接着フィルムは、バランス良い性能を有することが示された。
本発明は、ハロゲン原子を含まず、銅箔層と樹脂層の接着強度が高く、難燃性が高い樹脂付銅箔を提供するものであり、プリント配線板の材料として有用である。

Claims (4)

  1. 支持フィルム上に、
    (A)1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、常圧下、温度20℃において液状であるエポキシ樹脂、
    (B)1分子中に3個以上のエポキシ基を有し、常圧下、温度20℃において固体である芳香族系エポキシ樹脂、
    (C)下記一般式(1)で示されるアミノ基含有リン酸エステル化合物、
    (D)有機高分子成分、及び
    (E)無機充填材、
    を含有する難燃性樹脂組成物からなる接着剤層が形成されてなる多層プリント配線板用接着フィルム。
    Figure 2009295689
    (式中、X1〜X5は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であり、互いに同一であっても異なっていてもよい)
  2. 前記(C)アミノ基含有リン酸エステル化合物が、下記一般式(2)で示される化合物である請求項1に記載の多層プリント配線板用接着フィルム。
    Figure 2009295689
    (式中、X1〜X5は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であり、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
  3. 前記(C)アミノ基含有リン酸エステル化合物が、下記一般式(3)又は(4)で示される化合物である請求項2に記載の多層プリント配線板用接着フィルム。
    Figure 2009295689
  4. 前記(D)有機高分子成分がポリビニルアセタール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド樹脂及びポリアミドイミド樹脂からなる群から選択される1種以上である請求項1〜3のいずれかに記載の多層プリント配線板用接着フィルム。
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