特許文献1に記載の技術は、試験に用いるインスタンス情報を適宜切替えることで、CORBAクライアントを含む単一の試験装置によって試験対象の複数種のコンピュータの試験を実現する技術であり、試験装置側の稼働状態を切替える(IDLの異なるCORBAサーバと通信可能な状態へ切替える)ことは記載されているものの、試験対象のCORBAサーバの稼働状態を切替えるものではなく、CORBAサーバを別の稼働状態へ切替えて試験を行うことは示唆されていない。
一方、特許文献2に記載の技術は、メモリカードに書き込んでおいた動作定義ファイルを読み取って用いることで所定の機能(キー入力操作の自動化)を実現するものであり、この技術思想をシステム変更のためのテスト作業に適用し、システム変更対象のコンピュータのうちの記憶媒体(ストレージ)のみ新たに設け、新たに設けた記憶媒体にテスト対象のプログラム等を記憶させておき、テスト作業の開始時及び終了時に記憶媒体を切替えることで、システム変更対象のコンピュータの稼働状態を通常稼働時の環境とテスト作業時の環境に切替えることは可能である。しかしながら、記憶媒体の切替えは非常に煩雑な作業であると共に、記憶媒体を複数台(又は複数組)設ける必要があり、かつシステム変更の完了後に余剰な記憶媒体が生ずるので、記憶媒体の記憶容量が大容量となるに従ってコストが嵩んでくるという問題もある。
本発明は上記事実を考慮して成されたもので、テスト作業等を行う場合に好適な安全性の高いコンピュータの稼働状態の切替えを、簡易かつ構成の複雑化を招くことなく実現できる稼働状態切替装置、稼働状態切替方法及び稼働状態切替プログラムを得ることが目的である。
上記目的を達成するために請求項1記載の発明に係る稼働状態切替装置は、コンピュータに接続され、第1ファイルシステムの情報を記憶すると共に、前記第1ファイルシステムと異なる名称が付与された第2ファイルシステムの情報を前記第1ファイルシステムと同一のボリュームグループ内に記憶する記憶手段と、前記コンピュータ上で稼働しているオペレーティング・システムに前記第1ファイルシステムがマウントされて前記第1ファイルシステムが稼働している状態で、前記コンピュータの稼働状態の切替が指示されると、前記第1ファイルシステムをアンマウントして前記第1ファイルシステムの稼働を停止させた後に、前記オペレーティング・システムに前記第2ファイルシステムをマウントして前記第2ファイルシステムの稼働を開始させる処理を含む一連の第1切替処理を行う第1切替処理手段と、前記コンピュータ上で稼働しているオペレーティング・システムに前記第2ファイルシステムがマウントされて前記第2ファイルシステムが稼働している状態で、前記コンピュータの稼働状態の切替が指示されると、前記第2ファイルシステムをアンマウントして前記第2ファイルシステムの稼働を停止させた後に、前記オペレーティング・システムに前記第1ファイルシステムをマウントして前記第1ファイルシステムの稼働を開始させる処理を含む一連の第2切替処理を行う第2切替処理手段と、を含んで構成されている。
本願発明者は、コンピュータの稼働状態を切替える場合の切替方式について検討を行った。大規模なシステム変更を行う場合はファイルシステムの切替が必須となるが、稼働させるファイルシステムを切替えることでコンピュータの稼働状態を切替える場合の切替方式の選択肢としては、異なるファイルシステムの情報を記憶手段の同一のボリュームグループ内に記憶させる場合と、異なるファイルシステムの情報を記憶手段の異なるボリュームグループに記憶させる場合がある。異なるファイルシステムの情報を記憶手段の異なるボリュームグループに記憶させる場合、一方のファイルシステムの情報が記憶手段に既に記憶されている(一方のファイルシステムの稼働環境が既に構築されている)とすると、例えばボリュームグループを追加する等のように記憶手段内のレイアウトを変更する必要があり、記憶手段内のレイアウト変更に伴い記憶手段に既に記憶されているファイルシステムの情報が誤って書き替えされる恐れがある。一方、異なるファイルシステムの情報を記憶手段の同一のボリュームグループ内に記憶させる場合は、一方のファイルシステムの情報が記憶手段に既に記憶されていたとしても、他方のファイルシステムの情報を既存のボリュームグループ内に追加するのみで済むので、記憶手段に既に記憶されているファイルシステムの情報が誤って書き替えされることはなく、異なるファイルシステムの情報を記憶手段の異なるボリュームグループに記憶させる場合よりも安全性は向上する。
また、異なるファイルシステムの情報を記憶手段の同一のボリュームグループ内に記憶させる場合の選択肢としては、異なるファイルシステムの名称を同一にする場合と、異なるファイルシステムの名称を相違させる場合がある。記憶手段の同一のボリュームグループ内に記憶させる異なるファイルシステムの名称を同一にする場合、稼働状態の切替時に、稼働していたファイルシステムの情報を記憶手段から待避させ、稼働させるファイルシステムの情報を記憶手段に書き込むバックアップ/リストア処理を行う必要があり、稼働状態切替前に稼働していたファイルシステムの情報がバックアップ時に誤って破壊されると、リストア処理を行っても復旧できなくなる恐れがある一方、記憶手段の同一のボリュームグループ内に記憶させる異なるファイルシステムの名称を相違させた場合は、第1及び第2ファイルシステムの情報を記憶手段に併存させることができ、上記のバックアップ/リストア処理を行う必要が無くなるので、より安全性が高い。
上記に基づき請求項1記載の発明では、コンピュータに接続された記憶手段に、第1ファイルシステムの情報が記憶されていると共に、第1ファイルシステムと異なる名称が付与された第2ファイルシステムの情報が第1ファイルシステムと同一のボリュームグループ内に記憶されている。なお、第1ファイルシステムとしては、例えば請求項8に記載したように、所定のサービスを提供するためのサービス提供アプリケーションのプログラムがコンピュータによって常時実行されている通常稼働状態で稼働されるファイルシステムを適用することができ、第2ファイルシステムとしても、例えば請求項8に記載したように、テスト対象アプリケーションのプログラムをコンピュータによって実行させてテスト対象アプリケーションのテストを行うためのテスト稼働状態で稼働されるファイルシステムを適用することができるが、第1及び第2ファイルシステムは他のファイルシステムであってもよい。
そして、請求項1記載の発明では、コンピュータ上で稼働しているオペレーティング・システムに第1ファイルシステムがマウントされ(オペレーティング・システムの管理下に配置され)て第1ファイルシステムが稼働している状態で、コンピュータの稼働状態の切替が指示されると、第1切替処理手段により、第1ファイルシステムをアンマウントして第1ファイルシステムの稼働を停止させた後に、オペレーティング・システムに第2ファイルシステムをマウントして第2ファイルシステムの稼働を開始させる処理を含む一連の第1切替処理が行われる。また、コンピュータ上で稼働しているオペレーティング・システムに第2ファイルシステムがマウントされて第2ファイルシステムが稼働している状態で、コンピュータの稼働状態の切替が指示されると、第2切替処理手段により、第2ファイルシステムをアンマウントして第2ファイルシステムの稼働を停止させた後に、オペレーティング・システムに前記第1ファイルシステムをマウントして第1ファイルシステムの稼働を開始させる処理を含む一連の第2切替処理が行われる。
このように、請求項1記載の発明では、第1ファイルシステムの情報及び第2ファイルシステムの情報を同一の記憶手段に記憶させ、ファイルシステムのアンマウント/マウントによってコンピュータの稼働状態の切替を行うので、新たなコンピュータや記憶手段を用意する必要はなく、構成の複雑化を招くことを回避することができる。また、請求項1記載の発明では、第1ファイルシステムの情報及び第2ファイルシステムの情報を同一の記憶手段の同一のボリュームグループ内に記憶させるので、記憶手段内のレイアウトを変更する必要がなくなると共に、第1ファイルシステムの名称と第2ファイルシステムの名称を相違させていることで、第1切替処理手段による第1切替処理や第2切替処理手段による第2切替処理で前述のバックアップ/リストア処理を行う必要も無くなり、稼働状態の切替時に高い安全性を確保することができる。従って、請求項1記載の発明によれば、テスト作業等を行う場合に好適な安全性の高いコンピュータの稼働状態の切替えを、簡易かつ構成の複雑化を招くことなく実現することができる。
なお、請求項1記載の発明において、例えば請求項2に記載したように、記憶手段は、第1ファイルシステムが稼働している状態でコンピュータによって実行させるための第1アプリケーションのプログラムファイルと、第2ファイルシステムが稼働している状態でコンピュータによって実行させるための第2アプリケーションのプログラムファイルも各々記憶し、第1切替処理手段は、第1ファイルシステムの稼働停止に先立ち、コンピュータによる第1アプリケーションの実行を停止させると共に、第2ファイルシステムの稼働開始後にコンピュータによる前記第2アプリケーションの実行を開始させ、第2切替処理手段は、前記第2ファイルシステムの稼働停止に先立ち、コンピュータによる第2アプリケーションの実行を停止させると共に、第1ファイルシステムの稼働開始後にコンピュータによる第1アプリケーションの実行を開始させるように構成してもよい。
これにより、第1ファイルシステムが稼働している状態ではコンピュータによって第1アプリケーションのプログラムが常時実行され、第2ファイルシステムが稼働している状態ではコンピュータによって第2アプリケーションのプログラムが常時実行される構成において、ファイルシステムの切替によるコンピュータの稼働状態の切替と同時に、コンピュータによって常時実行されるアプリケーションの切替も実現することができる。
また、請求項1又は請求項2記載の発明において、例えば請求項3に記載したように、記憶手段は、第1ファイルシステムが稼働している状態でコンピュータによって実行させるための第1のバッチ処理のプログラムファイルと、第2ファイルシステムが稼働している状態でコンピュータによって実行させるための第2のバッチ処理のプログラムファイルも各々記憶し、第1切替処理手段は、第2ファイルシステムの稼働開始後に、所定のタイミングでコンピュータに実行させるバッチ処理を登録するための記憶手段のバッチ処理登録ディレクトリに、既に登録されている第1のバッチ処理のプログラムファイルに上書きして第2のバッチ処理のプログラムファイルを登録する処理を行い、第2切替処理手段は、第1ファイルシステムの稼働開始後に、記憶手段のバッチ処理登録ディレクトリに、既に登録されている第2のバッチ処理のプログラムファイルに上書きして第1のバッチ処理のプログラムファイルを登録する処理を行うように構成してもよい。
これにより、第1ファイルシステムが稼働している状態ではコンピュータによって第1のバッチ処理のプログラムが任意のタイミングで実行され、第2ファイルシステムが稼働している状態ではコンピュータによって第2のバッチ処理のプログラムが任意のタイミングで実行される構成において、ファイルシステムの切替によるコンピュータの稼働状態の切替と同時に、コンピュータによって実行されるバッチ処理の切替も実現することができる。また、請求項3記載の発明では、新たなバッチ処理のプログラムファイルをバッチ処理登録ディレクトリに登録するに際し、バッチ処理登録ディレクトリに既に登録されているバッチ処理のプログラムファイルに上書きして新たなバッチ処理のプログラムファイルを登録するので、バッチ処理登録ディレクトリに既に登録されているバッチ処理のプログラムファイルを一旦消去した後に、新たなバッチ処理のプログラムファイルをバッチ処理登録ディレクトリに登録する態様と比較して、記憶手段に記憶されている情報が誤って消去される確率を低減することができ、コンピュータの稼働状態の切替えにおける安全性を更に向上させることができる。
また、請求項1〜請求項3の何れかに記載の発明において、例えば請求項4に記載したように、コンピュータの稼働中は、定期実行の対象として予め登録されたプログラムファイルを定期的にコンピュータに実行させる自動実行制御プログラムがコンピュータによって実行されており、記憶手段は、第1ファイルシステムが稼働している状態でコンピュータによって定期的に実行させるための第1の定期実行処理のプログラムファイルと、第2ファイルシステムが稼働している状態でコンピュータによって定期的に実行させるための第2の定期実行処理のプログラムファイルも各々記憶し、第1切替処理手段は、第1ファイルシステムの稼働停止に先立ち、コンピュータによる自動実行制御プログラムの実行を停止させると共に、第2ファイルシステムの稼働開始後に、定期実行の対象として第2の定期実行処理のプログラムファイルを登録し、コンピュータによる自動実行制御プログラムの実行を開始させ、第2切替処理手段は、第2ファイルシステムの稼働停止に先立ち、コンピュータによる自動実行制御プログラムの実行を停止させると共に、第1ファイルシステムの稼働開始後に、定期実行の対象として第1の定期実行処理のプログラムファイルを登録し、コンピュータによる自動実行制御プログラムの実行を開始させるように構成してもよい。
これにより、第1ファイルシステムが稼働している状態ではコンピュータ(によって実行させる自動実行制御プログラム)により第1の定期実行処理のプログラムが定期的に実行され、第2ファイルシステムが稼働している状態ではコンピュータ(によって実行させる自動実行制御プログラム)により第2の定期実行処理のプログラムが定期的に実行される構成において、ファイルシステムの切替によるコンピュータの稼働状態の切替と同時に、コンピュータによって定期的に実行される定期実行処理の切替も実現することができる。なお、請求項4記載の発明における定期実行処理のプログラムファイルの登録についても、請求項3記載の発明と同様に、所定のディレクトリに既に登録されている定期実行処理のプログラムファイルに上書きして新たな定期実行処理のプログラムファイルを登録することで行うようにしてもよい。
また、請求項3記載の発明において、例えば請求項5に記載したように、記憶手段は、第1のバッチ処理の実行に必要な第1の定義ファイルと、第2のバッチ処理の実行に必要な第2の定義ファイルも各々記憶し、第1切替処理手段は、記憶手段のバッチ処理登録ディレクトリに第2のバッチ処理のプログラムファイルを登録する処理を行う際に、所定のタイミングでコンピュータに実行させるバッチ処理に関連する定義ファイルを登録するための記憶手段の定義ファイル登録ディレクトリに、既に登録されている第1の定義ファイルに上書きして第2の定義ファイルを登録する処理を行い、第2切替処理手段は、記憶手段のバッチ処理登録ディレクトリに第1のバッチ処理のプログラムファイルを登録する処理を行う際に、記憶手段の定義ファイル登録ディレクトリに、既に登録されている第2の定義ファイルに上書きして第1の定義ファイルを登録する処理を行うように構成してもよい。
これにより、第1ファイルシステムが稼働している状態でコンピュータによって実行される第1のバッチ処理のプログラムが、第1の定義ファイルを参照しながら第1のバッチ処理を行い、第2ファイルシステムが稼働している状態でコンピュータによって実行される第2のバッチ処理のプログラムが、第2の定義ファイルを参照しながら第2のバッチ処理を行う構成において、ファイルシステムの切替によるコンピュータの稼働状態の切替と同時に、コンピュータによって実行されるバッチ処理によって参照される定義ファイルの切替も実現することができる。また、請求項5記載の発明では、新たなバッチ処理のプログラムファイルを定義ファイル登録ディレクトリに登録するに際し、定義ファイル登録ディレクトリに既に登録されている定義ファイルに上書きして新たな定義ファイルを登録するので、定義ファイル登録ディレクトリに既に登録されている定義ファイルを一旦消去した後に、新たな定義ファイルを定義ファイル登録ディレクトリに登録する態様と比較して、記憶手段に記憶されている情報が誤って消去される確率を低減することができ、コンピュータの稼働状態の切替えにおける安全性を更に向上させることができる。
また、請求項1〜請求項5の何れかに記載の発明において、第1切替処理手段及び第2切替処理手段は、例えば請求項6に記載したように、少なくとも稼働させるファイルシステムの切替時に、記憶手段の各ディレクトリに記憶されているファイルのうち更新されたファイルを検出し、実際に更新を行ったファイル以外に更新ファイルが検出されたか否かを確認する改竄チェック処理を行うように構成することが好ましい。これにより、記憶手段の各ディレクトリに記憶されているファイルの一部が、故意に書き替えされるか、又は誤って書き替えされた場合にも、上記の改竄チェック処理によってこれを検知することができ、コンピュータの稼働状態の切替えにおける安全性を更に向上させることができる。
また、請求項1〜請求項6の何れかに記載の発明は、例えば請求項7に記載したように、コンピュータ上で第1ファイルシステムが稼働している状態は、所定のサービスを提供するためのサービス提供アプリケーションのプログラムがコンピュータによって常時実行されている通常稼働状態であり、コンピュータ上で第2ファイルシステムが稼働している状態は、テスト対象アプリケーションのプログラムをコンピュータによって実行させてテスト対象アプリケーションのテストを行うためのテスト稼働状態であり、テスト対象アプリケーションのテストを開始する際に、通常稼働状態からテスト稼働状態への切り替えが指示され、テスト対象アプリケーションのテスト終了後に、テスト稼働状態から通常稼働状態への切り替えが指示される場合に適用可能である。この場合、テスト対象アプリケーションのテストを開始する際及び終了後のコンピュータの稼働状態の切替えを、安全性が高くかつ構成の複雑化を招くことなく簡易に実現することができる。
請求項8記載の発明に係る稼働状態切替方法は、第1ファイルシステムの情報を記憶すると共に、前記第1ファイルシステムと異なる名称が付与された第2ファイルシステムの情報を前記第1ファイルシステムと同一のボリュームグループ内に記憶する記憶手段と接続されたコンピュータを、前記コンピュータ上で稼働しているオペレーティング・システムに前記第1ファイルシステムがマウントされて前記第1ファイルシステムが稼働している状態で、前記コンピュータの稼働状態の切替が指示された場合には、前記第1ファイルシステムをアンマウントして前記第1ファイルシステムの稼働を停止させた後に、前記オペレーティング・システムに前記第2ファイルシステムをマウントして前記第2ファイルシステムの稼働を開始させる処理を含む一連の第1切替処理を行わせ、前記コンピュータ上で稼働しているオペレーティング・システムに前記第2ファイルシステムがマウントされて前記第2ファイルシステムが稼働している状態で、前記コンピュータの稼働状態の切替が指示された場合には、前記第2ファイルシステムをアンマウントして前記第2ファイルシステムの稼働を停止させた後に、前記オペレーティング・システムに前記第1ファイルシステムをマウントして前記第1ファイルシステムの稼働を開始させる処理を含む一連の第2切替処理を行わせるので、請求項1記載の発明と同様に、テスト作業等を行う場合に好適な安全性の高いコンピュータの稼働状態の切替えを、簡易かつ構成の複雑化を招くことなく実現することができる。
請求項9記載の発明に係る稼働状態切替プログラムは、第1ファイルシステムの情報を記憶すると共に、前記第1ファイルシステムと異なる名称が付与された第2ファイルシステムの情報を前記第1ファイルシステムと同一のボリュームグループ内に記憶する記憶手段と接続されたコンピュータを、前記コンピュータ上で稼働しているオペレーティング・システムに前記第1ファイルシステムがマウントされて前記第1ファイルシステムが稼働している状態で、前記コンピュータの稼働状態の切替が指示されると、前記第1ファイルシステムをアンマウントして前記第1ファイルシステムの稼働を停止させた後に、前記オペレーティング・システムに前記第2ファイルシステムをマウントして前記第2ファイルシステムの稼働を開始させる処理を含む一連の第1切替処理を行う第1切替処理手段、及び、前記コンピュータ上で稼働しているオペレーティング・システムに前記第2ファイルシステムがマウントされて前記第2ファイルシステムが稼働している状態で、前記コンピュータの稼働状態の切替が指示されると、前記第2ファイルシステムをアンマウントして前記第2ファイルシステムの稼働を停止させた後に、前記オペレーティング・システムに前記第1ファイルシステムをマウントして前記第1ファイルシステムの稼働を開始させる処理を含む一連の第2切替処理を行う第2切替処理手段 として機能させる。
請求項9記載の発明に係る稼働状態切替プログラムは、上記の記憶手段と接続されたコンピュータを、上記の第1切替処理手段及び第2切替処理手段として機能させるためのプログラムであるので、コンピュータが請求項9記載の発明に係る稼働状態切替プログラムを実行することで、コンピュータが請求項1に記載の稼働状態切替装置として機能することになり、請求項1記載の発明と同様に、テスト作業等を行う場合に好適な安全性の高いコンピュータの稼働状態の切替えを、簡易かつ構成の複雑化を招くことなく実現することができる。
請求項10記載の発明に係る稼働状態切替プログラムは、第1ファイルシステムの情報を第1ディレクトリに記憶すると共に、第2ファイルシステムの情報を前記第1ディレクトリと同一のボリュームグループ内の第2ディレクトリに記憶する記憶手段と接続されたコンピュータを、請求項1〜請求項7の何れか1項記載の稼働状態切替装置を構成する各手段として機能させるので、上記の記憶手段と接続されたコンピュータが請求項10記載の発明に係る稼働状態切替プログラムを実行することで、コンピュータが請求項1〜請求項7の何れかに記載の稼働状態切替装置として機能することになり、請求項1〜請求項7の何れかに記載の発明と同様の効果を有する。
以上説明したように本発明は、第1ファイルシステムの情報と、第1ファイルシステムと異なる名称が付与された第2ファイルシステムの情報を記憶手段の同一のボリュームグループ内に記憶させておき、コンピュータ上で第1ファイルシステムが稼働している状態で稼働状態の切替が指示されると、第1ファイルシステムをアンマウントして第1ファイルシステムの稼働を停止させた後に、第2ファイルシステムをマウントして第2ファイルシステムの稼働を開始させる処理を含む一連の第1切替処理を行い、コンピュータ上で第2ファイルシステムが稼働している状態で稼働状態の切替が指示されると、第2ファイルシステムをアンマウントして第2ファイルシステムの稼働を停止させた後に、第1ファイルシステムをマウントして第1ファイルシステムの稼働を開始させる処理を含む一連の第2切替処理を行うようにしたので、テスト作業等を行う場合に好適な安全性の高いコンピュータの稼働状態の切替えを、簡易かつ構成の複雑化を招くことなく実現できる、という優れた効果を有する。
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。図1には本実施形態に係るコンピュータ・システム10が示されている。コンピュータ・システム10は、特定金融機関のコンピュータ・システム12を含んで構成されており、コンピュータ・システム12は、特定金融機関の情報センタ等に設置されたサーバ・コンピュータ14と、特定金融機関内に構築されたコンピュータ・ネットワーク16を含んで構成されている。コンピュータ・ネットワーク16は、複数台のコンピュータ(例えば特定金融機関の各支店に各々設置されたブランチ・サーバ等)や複数台の端末(例えば営業店端末(特定金融機関の従業員が操作するための端末)やATM(Automatic Teller Machine:現金自動預け払い機)等)が通信回線を介して互いに接続されて構成されている。
一方、サーバ・コンピュータ14は汎用の大型コンピュータから成り、CPU14A、メモリ14B、記憶部14C及びネットワーク・インタフェース(I/F)部14Dを備えている。CRTやLCD等から成るディスプレイ18及びキーボード20が各々接続されている。なお、サーバ・コンピュータ14は請求項8〜請求項10に記載のコンピュータに対応している。サーバ・コンピュータ14のネットワークI/F部14Dは、前述のコンピュータ・ネットワーク16と通信回線を介して接続されており、更に、日本銀行に設置されたコンピュータ・システム(日銀システム)22とも通信回線を介して接続されている。また、特定金融機関以外の各金融機関にもサーバ・コンピュータ24が設置されており(図1では、例として金融機関A,B,Cに設置されたサーバ・コンピュータに24A,24B,24Cの符号を付して示している)、各金融機関に設置されたサーバ・コンピュータ24も通信回線を介して日銀システム22に各々接続されている。
また、サーバ・コンピュータ14の記憶部14Cには、定期実行制御プログラムを含むオペレーティングシステムのプログラム、改竄チェックプログラム、及び、稼働状態切替プログラムがインストールされており、複数種のファイルシステムの情報や各種のアプリケーション・プログラムを含むアプリケーション情報(詳細は後述)も記憶されている。このうち、稼働状態切替プログラムは請求項9,10に記載の稼働状態切替プログラムに対応しており、改竄チェックプログラムは稼働状態切替プログラムと共に請求項10に記載の稼働状態切替プログラムの一態様に対応している。サーバ・コンピュータ14は、CPU14Aによって稼働状態切替プログラム(及び改竄チェックプログラム)が実行されることで本発明に係る稼働状態切替装置として機能する。なお、サーバ・コンピュータ14上で稼働するオペレーティングシステムとしてはUNIX(登録商標)系のオペレーティングシステムが好適であるが、他のオペレーティングシステムを適用してもよい。
次に、サーバ・コンピュータ14の記憶部14Cに記憶されているアプリケーション情報について説明する。本実施形態に係るサーバ・コンピュータ14は、コンピュータ・ネットワーク16を日銀システム22と接続するためのゲートウェイとして機能させる目的で設けられたコンピュータであり、図2に示すように、サーバ・コンピュータ14の記憶部14Cには、日銀システム22との通信における予め策定された通信方式の仕様(以下、当該仕様の通信方式を便宜上「既存通信方式」という)に準拠して、サーバ・コンピュータ14を既存通信方式でゲートウェイとして機能させるためのアプリケーション情報が記憶されている。アプリケーション情報は、ファイルシステムの情報を含む各種のプログラムファイルやデータファイルから構成されているが、図2では、既存通信方式に対応する各アプリケーション情報を「通常環境用」と表記して実線で示している。
図2からも明らかなように、記憶部14Cの記憶領域には「ルートVG(ボリュームグループ)」と「共有VG」の2つのボリュームグループが設けられており、既存通信方式に対応するアプリケーション情報のうち、「通常環境用ファイルシステムA」「通常環境用ファイルシステムB」「通常環境用ファイルシステムC」及び「通常環境用スクリプト群」は「ルートVG」に記憶されている一方、「通常環境用ファイルシステムD」「通常環境用ファイルシステムE」及び「通常環境用定義ファイル群」は「共有VG」に記憶されている(なお「通常環境用ファイルシステムE」は所定ディレクトリの配下に記憶されている)。そしてサーバ・コンピュータ14は、特定金融機関が営業しておりコンピュータ・ネットワーク16が通常に稼働している通常稼働時には、既存通信方式に対応するアプリケーション情報により、既存通信方式でコンピュータ・ネットワーク16を日銀システム22と接続するためのゲートウェイとして機能するように稼働される。
すなわち、サーバ・コンピュータ14の電源が投入されている間、サーバ・コンピュータ14上ではオペレーティングシステムが稼働している(オペレーティングシステムのプログラムがCPU14Aによって実行されている)が、通常稼働時には、既存通信方式に対応するアプリケーション情報に含まれる通常環境用ファイルシステムA〜E(これらのファイルシステムは本発明に係る第1ファイルシステムに対応している)の情報がオペレーティング・システムにマウントされることで、サーバ・コンピュータ14上で通常環境用ファイルシステムA〜Eが稼働される。
また図2に示すように、「ルートVG」にはCPU14Aによって実行すべきスクリプトファイル(プログラムファイル)群を記憶するためのスクリプト群記憶ディレクトリ(このスクリプト群記憶ディレクトリは請求項3に記載のバッチ処理登録ディレクトリに対応している)が設けられているが、このスクリプト群記憶ディレクトリには当初、通常稼働時に実行されるスクリプトファイル群(通常環境用スクリプト群:請求項3に記載の第1のバッチ処理のプログラムファイルに相当)が固定的に記憶されており、通常稼働時には、スクリプト群記憶ディレクトリに記憶されたスクリプトファイル群がCPU14Aによって適宜実行される(スクリプト群記憶ディレクトリに記憶されたスクリプトファイル群のうちの一部のスクリプトファイルは通常稼働中に常時実行され、別の一部のスクリプトファイルは定期実行制御プログラムによって定期的に実行される)。
更に図2に示すように、「共有VG」にはスクリプトファイル群の実行時に参照される定義ファイル群を記憶するための定義ファイル群記憶ディレクトリが設けられているが、この定義ファイル群記憶ディレクトリには当初、通常稼働時に実行されるスクリプトファイル群によって参照される定義ファイル群(通常環境用定義ファイル群:請求項5に記載の第1の定義ファイルに相当)が固定的に記憶されており、通常稼働時には、スクリプト群記憶ディレクトリに記憶されておりCPU14Aによって実行されたスクリプトファイルにより、定義ファイル群記憶ディレクトリに記憶された定義ファイルが適宜参照される。これにより、サーバ・コンピュータ14は、既存通信方式でコンピュータ・ネットワーク16を日銀システム22と接続するためのゲートウェイとして機能する。
ところで、サーバ・コンピュータ14と日銀システム22との通信における通信方式については、既に新たな仕様が策定されており(以下、当該新たな仕様の通信方式を便宜上「新通信方式」という)、将来的に新通信方式へ切替えることが予定されている。新通信方式はアプリケーションレイヤを含む複数レイヤに亘って既存通信方式と相違しており、新通信方式への切替えにあたってはプログラム(アプリケーション情報)の総入れ替えに近い大規模なシステム変更が必要となる。また、サーバ・コンピュータ14はコンピュータ・ネットワーク16を日銀システム22と接続するためのゲートウェイとして機能するので、サーバ・コンピュータ14で不具合が発生すると、コンピュータ・ネットワーク16が日銀システム22と通信できないという重大な問題が発生する。
このため、サーバ・コンピュータ14のようにシステム変更対象のコンピュータが安定稼働についての要求水準の高いコンピュータに対する大規模なシステム変更では、システム変更対象のコンピュータと同一構成のコンピュータを新たに用意し、既存のコンピュータ上では既存のシステムを稼働させる一方で、既存のシステムの稼働と並行して、システム変更のために新たに開発したプログラムを新たに用意したコンピュータ上で実行させて正常に動作するか否かを確認するテスト作業を行い、システム変更時には、稼働させるコンピュータ自体を既存のコンピュータから新たに設けたコンピュータへ切替えることで行うことが一般的である。しかしこの方式は、既存のコンピュータ上に構築した既存のシステムを一切変更する必要が無く安全性が高いという利点を有するが、コンピュータを複数台設ける必要があり、かつシステム変更の完了後に余剰なコンピュータが生ずるので、システム変更に要するコストが大幅に嵩むという問題がある。
上記実情に鑑み、本実施形態では、サーバ・コンピュータ14のシステム変更のためのプログラム、すなわち、サーバ・コンピュータ14を新通信方式でゲートウェイとして機能させるためのアプリケーション情報を新たに開発すると共に、サーバ・コンピュータ14上でテスト作業も行うことを目的として、サーバ・コンピュータ14の稼働状態を通常環境(通常稼働状態)からテスト環境(テスト稼働状態)へ、又はその逆へ切替えるプログラム(稼働状態切替プログラム)も開発し、図2に示すように、新たに開発した新通信方式に対応するアプリケーション情報(このアプリケーション情報は請求項7に記載のテスト対象アプリケーションに対応している)をサーバ・コンピュータ14の記憶部14Cに記憶させると共に、図1に示すように、新たに開発した稼働状態切替プログラムもサーバ・コンピュータ14の記憶部14Cに記憶させている。なお図2では、新通信方式に対応する各アプリケーション情報を「テスト環境用」と表記して破線で示している。
なお、図2からも明らかなように、新通信方式に対応する各アプリケーション情報は、記憶部14Cの記憶領域のうち既存通信方式に対応する同種のアプリケーション情報と同一のボリュームグループ内に記憶されている。すなわち、新通信方式に対応するアプリケーション情報のうち、「テスト環境用ファイルシステムA」「テスト環境用ファイルシステムB」及び「テスト環境用ファイルシステムC」は同種の通常環境用ファイルシステムA〜Cと同様に「ルートVG」に記憶されている。また「通常環境用スクリプト群」は、「ルートVG」内にスクリプト群記憶ディレクトリと別に設けられた保管領域(通常環境用スクリプト群保管領域)に記憶され、新通信方式に対応するアプリケーション情報の一部を構成する「テスト環境用スクリプト群」(請求項3に記載の第2のバッチ処理のプログラムファイルに相当)についても、「ルートVG」内にスクリプト群記憶ディレクトリと別に設けられた保管領域(テスト環境用スクリプト群保管領域)に記憶されている。なお、テスト環境用スクリプト群保管領域に記憶されているテスト環境用スクリプト群には、テスト環境で常時実行されるスクリプトファイルと、テスト環境で定期実行制御プログラムによって定期的に実行されるスクリプトファイルが含まれている。
また、新通信方式に対応するアプリケーション情報のうち、「テスト環境用ファイルシステムD」及び「テスト環境用ファイルシステムE」は同種の通常環境用ファイルシステムD,Eと同様に「共有VG」に記憶されている(「テスト環境用ファイルシステムE」は、より詳しくは「通常環境用ファイルシステムE」と同様に所定ディレクトリの配下に記憶されている)。また「通常環境用定義ファイル群」は「共有VG」内に定義ファイル群記憶ディレクトリと別に設けられた保管領域(通常環境用定義ファイル群保管領域)に記憶され、新通信方式に対応するアプリケーション情報の一部を構成する「テスト環境用定義ファイル群」(請求項5に記載の第2の定義ファイルに相当)についても「共有VG」内に定義ファイル群記憶ディレクトリと別に設けられた保管領域(テスト環境用定義ファイル群保管領域)に記憶されている。
なお、新通信方式に対応するアプリケーション情報は、サーバ・コンピュータ14が通常環境で稼働している期間を含めて継続的に記憶部14Cに記憶され、既存通信方式に対応するアプリケーション情報についても、サーバ・コンピュータ14がテスト環境で稼働している期間を含めて継続的に記憶部14Cに記憶される。また、新通信方式に対応するテスト環境用ファイルシステムA〜E(これらのファイルシステムは本発明に係る第2ファイルシステムに対応している)は、既存通信方式に対応する同種の通常環境用ファイルシステムA〜Eと同一のボリュームグループ内に記憶されることから、同種の通常環境用ファイルシステムA〜Eとは異なる名称が各々付与されている。このように記憶部14Cは本発明に係る記憶手段に対応している。
また本実施形態では、コンピュータ・ネットワーク16が稼働を停止している特定金融機関の非営業日に、サーバ・コンピュータ14のシステム変更のためのプログラム(新通信方式に対応するアプリケーション情報)に対するテスト作業が行われるが、このテスト作業の開始時には、サーバ・コンピュータ14の稼働状態(稼働環境)を通常環境からテスト環境へ切替えるために稼働状態切替プログラムが起動され、切替後のテスト環境で上記のテスト作業が行われると共に、上記のテスト作業の終了後には、サーバ・コンピュータ14の稼働状態(稼働環境)をテスト環境から通常環境へ切替えるために稼働状態切替プログラムが起動される。以下、起動された稼働状態切替プログラムがCPU14Aによって実行されることで実現される稼働状態切替処理について、図3を参照して説明する。
稼働状態切替処理では、まずステップ50において、記憶部14Cに記憶されている改竄チェックプログラムを起動し、起動した改竄チェックプログラムにより、記憶部14Cに記憶されている各情報(プログラムファイルやデータファイル等)の改竄の有無をチェックする改竄チェック処理を実行させる。この改竄チェック処理は、或る時点での改竄チェック対象の各情報の状態を表す情報を改竄DB(データベース)に記憶しておき、改竄チェック対象の各情報の状態を各々検知すると共に、検知した状態を改竄DBに記憶されている状態と各々比較し、改竄チェック対象の各情報のうち状態が不一致と判断した情報を改竄(変更)が加えられている情報として抽出する。ステップ50における改竄チェック処理は、今回の稼働状態の切替以前に各情報に改竄(変更)が加えられていないことを確認することが目的であり、改竄DBに記憶されている各情報の状態は、何れの時点での状態であってもよい。
次のステップ52では、ステップ50の改竄チェック処理において、各情報に改竄(変更)が加えられていないことが確認されたか否か判定する。改竄チェック処理で改竄(変更)が加えられている情報が1つ以上抽出された場合は、ステップ52の判定が否定されてステップ108へ移行し、図示しないブザーを鳴らす等によりオペレータを呼び出すと共に、改竄(変更)が加えられていると判断された情報をディスプレイ18に明示する等の処理を行い、稼働状態切替処理を終了する。この場合、呼び出されたオペレータにより、改竄(変更)が加えられていると判断された情報の内容を確認し、原因を調査する等の作業が行われることになる。
一方、改竄チェック処理で改竄(変更)が加えられている情報が抽出されなかった場合は、ステップ52の判定が肯定されてステップ54へ移行し、改竄DBを初期化する(改竄チェック対象の各情報の現在の状態を表す情報を改竄DBに記憶させる)処理を行う。次のステップ56では、今回の稼働状態切替処理でサーバ・コンピュータ14の稼働状態(稼働環境)を通常環境とテスト環境の何れに切替えるかを判定する。サーバ・コンピュータ14の現在の稼働状態(稼働環境)が通常環境である場合、切替先の稼働環境はテスト環境であると判断できるのでステップ58へ移行する。サーバ・コンピュータ14が通常環境で稼働している場合、記憶部14Cの「ルートVG」内のスクリプト群記憶ディレクトリには通常環境用スクリプト群が記憶されているが、このうちの一部のスクリプトファイルは通常環境で稼働している間常時実行されている。このためステップ58では、サーバ・コンピュータ14の稼働状態を切替えるために、通常環境で常時実行されている各スクリプトファイル(この場合の各スクリプトファイルは請求項2に記載の第1アプリケーションのプログラムファイルに対応している)の実行を予め設定された順序で停止させ、ステップ62へ移行する。
また、サーバ・コンピュータ14の現在の稼働状態(稼働環境)がテスト環境である場合、切替先の稼働環境は通常環境であると判断できるのでステップ60へ移行する。サーバ・コンピュータ14がテスト環境で稼働している場合、記憶部14Cの「ルートVG」内のスクリプト群記憶ディレクトリにはテスト環境用スクリプト群が記憶されているが、このうちの一部のスクリプトファイルについてもテスト環境で稼働している間常時実行されている。このためステップ60では、サーバ・コンピュータ14の稼働状態を切替えるために、テスト環境で常時実行されている各スクリプトファイル(この場合の各スクリプトファイルは請求項2に記載の第2アプリケーションのプログラムファイルに対応している)の実行を予め設定された順序で停止させ、ステップ62へ移行する。
本実施形態において、サーバ・コンピュータ14で稼働するオペレーティングシステムのプログラムには定期実行制御プログラム(図1参照)が付加されている。定期実行制御プログラムはオペレーティングシステムが稼働している間常時実行されており、定期的に実行すべきスクリプトファイル等のプログラムファイルの名称や実行タイミング等が登録された定期実行登録ファイルを参照し、当該ファイルに名称が登録された各プログラムファイルについて、実行タイミングが到来したか否かを判定し、実行タイミングが到来したと判断したプログラムファイルをCPU14Aによって実行させる定期実行制御処理を行っている。このためステップ62では、サーバ・コンピュータ14の稼働状態を切替えるために、定期実行制御プログラムの実行を停止させる。
次のステップ64では、今回の稼働状態切替処理でサーバ・コンピュータ14の稼働状態(稼働環境)を通常環境とテスト環境の何れに切替えるかを再度判定する。切替先の稼働環境がテスト環境である場合、サーバ・コンピュータ14の現在の稼働状態(稼働環境)は通常環境であり、通常環境用の各ファイルシステム(通常環境用ファイルシステムA〜E)がオペレーティングシステムにマウントされているので、ステップ66へ移行し、通常環境用の各ファイルシステムを予め設定された順序でオペレーティングシステムからアンマウントすることで、通常環境用の各ファイルシステムの稼働を停止させ、ステップ70へ移行する。また、切替先の稼働環境が通常環境である場合、サーバ・コンピュータ14の現在の稼働状態(稼働環境)はテスト環境であり、テスト環境用の各ファイルシステム(テスト環境用ファイルシステムA〜E)がオペレーティングシステムにマウントされているので、ステップ68へ移行し、テスト環境用の各ファイルシステムを予め設定された順序でオペレーティングシステムからアンマウントすることで、テスト環境用の各ファイルシステムの稼働を停止させ、ステップ70へ移行する。
ステップ70では、改竄チェックプログラムを再度起動して改竄チェック処理を再度実行させる。このとき、改竄DBには先のステップ54で改竄DBの初期化を行った時点での改竄チェック対象の各情報の状態を表す情報が記憶されているので、ステップ70における改竄チェック処理では、先のステップ54における改竄DBの初期化から現時点迄の期間に改竄(変更)が加えられた情報の有無がチェックされる。次のステップ72では、ステップ70の改竄チェック処理によって抽出された情報(改竄(変更)が加えられていると判断された情報)を、ステップ54における改竄DBの初期化以降に稼働状態切替処理で変更を加えた情報(変更を加えたことを把握している情報)と比較・照合し、改竄チェック対象の各情報のうち変更を加えたことを把握している情報以外には改竄(変更)が加えられていないか否か判定する。この判定が否定された場合は前述のステップ108へ移行してオペレータを呼び出すことで、呼び出されたオペレータによって前述の確認・調査作業が行われる。これにより、改竄チェック対象の情報に想定外の改竄(変更)が加えられた場合に、これを検知して処理を停止させることができ、サーバ・コンピュータ14の稼働状態の切替えにおける安全性を向上させることができる。
一方、ステップ72の判定が肯定された場合はステップ74へ移行する。改竄チェックプログラムには、改竄チェック対象の情報に加えることが可能な各種の改竄(変更)のうち、検出対象とする改竄(変更)(又は検出対象としない改竄(変更))を定義する定義情報を登録するための定義ファイルが付加されており、改竄チェックプログラムによる改竄チェック処理は、より詳しくは、定義ファイルに登録された定義情報を参照しながら、定義情報によって検出対象とされた改竄(変更)が加えられた情報を探索することによって成される。但し、通常環境とテスト環境では改竄チェック対象の情報に通常加えられる変更の種類が一部相違している。このため、本実施形態では、上記の定義ファイルとして、通常環境用の定義ファイルとテスト環境用の定義ファイルが各々用意されており、ステップ74では、以降の改竄チェック処理で用いる定義ファイルを切替先の稼働環境に対応する定義ファイルへ切替える。またステップ76では、改竄チェック対象の各情報の現在の状態を表す情報を改竄DBに記憶させることで改竄DBを初期化する。
次のステップ78では、今回の稼働状態切替処理でサーバ・コンピュータ14の稼働状態(稼働環境)を通常環境とテスト環境の何れに切替えるかを再度判定する。切替先の稼働環境がテスト環境である場合はステップ80へ移行し、テスト環境用の各ファイルシステム(テスト環境用ファイルシステムA〜E)を予め設定された順序でオペレーティングシステムにマウントすることで、テスト環境用の各ファイルシステムの稼働を開始させる。またステップ82では、記憶部14Cの「ルートVG」内のテスト環境用スクリプト群保管領域に記憶されているテスト環境用スクリプト群を、「ルートVG」内のスクリプト群記憶ディレクトリに既に記憶されている通常環境用スクリプト群に上書きして記憶させる(この処理は請求項3に記載の「第2のバッチ処理のプログラムファイルを登録する処理」に対応している)と共に、記憶部14Cの「共有VG」内のテスト環境用定義ファイル群保管領域に記憶されているテスト環境用定義ファイル群を、「共有VG」内の定義ファイル群記憶ディレクトリに既に記憶されている通常環境用定義ファイル群に上書きして記憶させ(この処理は請求項5に記載の「第2の定義ファイルを登録する処理」に対応している)、ステップ88へ移行する。
また、切替先の稼働環境が通常環境である場合はステップ78からステップ84へ移行し、通常環境用の各ファイルシステム(通常環境用ファイルシステムA〜E)を予め設定された順序でオペレーティングシステムにマウントすることで、通常環境用の各ファイルシステムの稼働を開始させる。またステップ86では、記憶部14Cの「ルートVG」内の通常環境用スクリプト群保管領域に記憶されている通常環境用スクリプト群を、「ルートVG」内のスクリプト群記憶ディレクトリに既に記憶されているテスト環境用スクリプト群に上書きして記憶させる(この処理は請求項3に記載の「第1のバッチ処理のプログラムファイルを登録する処理」に対応している)と共に、記憶部14Cの「共有VG」内の通常環境用定義ファイル群保管領域に記憶されている通常環境用定義ファイル群を、「共有VG」内の定義ファイル群記憶ディレクトリに既に記憶されているテスト環境用定義ファイル群に上書きして記憶させ(この処理は請求項5に記載の「第1の定義ファイルを登録する処理」に対応している)、ステップ88へ移行する。
ステップ88では、改竄チェックプログラムを再度起動して改竄チェック処理を再度実行させる。このとき、改竄DBには先のステップ76で改竄DBの初期化を行った時点での改竄チェック対象の各情報の状態を表す情報が記憶されているので、ステップ88における改竄チェック処理では、先のステップ76における改竄DBの初期化から現時点迄の期間に改竄(変更)が加えられた情報の有無がチェックされる。次のステップ90では、ステップ88の改竄チェック処理によって抽出された情報(改竄(変更)が加えられていると判断された情報)を、ステップ76における改竄DBの初期化以降に稼働状態切替処理で変更を加えた情報(変更を加えたことを把握している情報)と比較・照合し、改竄チェック対象の各情報のうち変更を加えたことを把握している情報以外には改竄(変更)が加えられていないか否か判定する。この判定が否定された場合は前述のステップ108へ移行してオペレータを呼び出すことで、呼び出されたオペレータによって前述の確認・調査作業が行われる。これにより、改竄チェック対象の情報に想定外の改竄(変更)が加えられた場合に、これを検知して処理を停止させることができ、サーバ・コンピュータ14の稼働状態の切替えにおける安全性を向上させることができる。また、ステップ90の判定が肯定された場合はステップ92へ移行し、改竄チェック対象の各情報の現在の状態を表す情報を改竄DBに記憶させることで改竄DBを初期化する。
次のステップ94では、定期実行登録ファイルを切替先の稼働環境に対応する内容(切替先の稼働環境で定期的に実行すべきプログラムファイルの名称や実行タイミング等が登録された内容)に書き替え(この書き替えは、請求項4に記載の「定期実行の対象として第2の定期実行処理のプログラムファイルを登録」する処理、又は、「定期実行の対象として第1の定期実行処理のプログラムファイルを登録」する処理に対応している)た後に、先のステップ62で実行を停止させた定期実行制御プログラムの実行を再開させる。ステップ96では、切替先の稼働環境が通常環境かテスト環境かを再度判定する。切替先の稼働環境がテスト環境である場合はステップ98へ移行し、記憶部14Cの「ルートVG」内のスクリプト群記憶ディレクトリに既に記憶されているテスト環境用スクリプト群のうち、テスト環境で常時実行すべき各スクリプトファイルを予め設定された順序で起動し、CPU14Aによる実行を開始させた後に、ステップ102へ移行する。また、切替先の稼働環境が通常環境である場合はステップ100へ移行し、記憶部14Cの「ルートVG」内のスクリプト群記憶ディレクトリに既に記憶されている通常環境用スクリプト群のうち、通常環境で常時実行すべき各スクリプトファイルを予め設定された順序で起動し、CPU14Aによる実行を開始させた後に、ステップ102へ移行する。
ステップ102では、改竄チェックプログラムを再度起動して改竄チェック処理を再度実行させる。このとき、改竄DBには先のステップ92で改竄DBの初期化を行った時点での改竄チェック対象の各情報の状態を表す情報が記憶されているので、ステップ102における改竄チェック処理では、先のステップ92における改竄DBの初期化から現時点迄の期間に改竄(変更)が加えられた情報の有無がチェックされる。次のステップ104では、ステップ102の改竄チェック処理によって抽出された情報を、ステップ92の改竄DBの初期化以降に稼働状態切替処理で変更を加えた情報(変更を加えたことを把握している情報)と比較・照合し、改竄チェック対象の各情報のうち変更を加えたことを把握している情報以外には改竄(変更)が加えられていないか否か判定する。この判定が否定された場合はステップ108へ移行してオペレータを呼び出すことで、呼び出されたオペレータによって前述の確認・調査作業が行われる。また、ステップ104の判定が肯定された場合はステップ106へ移行し、改竄チェック対象の各情報の現在の状態を表す情報を改竄DBに記憶させることで改竄DBを初期化し、稼働状態切替処理を終了する。
なお、上述した稼働状態切替処理のうち、ステップ50〜58、ステップ62〜66、ステップ70〜82、ステップ88〜98、ステップ102〜108は本発明に係る第1切替処理に対応しており、上記処理を行うサーバ・コンピュータ14は本発明に係る第1切替処理手段として機能する。また、上述した稼働状態切替処理のうち、ステップ50〜56、ステップ60〜64、ステップ68〜78、ステップ84〜96、ステップ100〜108は本発明に係る第2切替処理に対応しており、上記処理を行うサーバ・コンピュータ14は本発明に係る第2切替処理手段として機能する。
テスト作業の開始時に上述した稼働状態切替処理が行われた場合には、サーバ・コンピュータ14の稼働状態(稼働環境)が通常環境からテスト環境へ切替わるので、新通信方式に対応するアプリケーション情報に含まれるプログラムをサーバ・コンピュータ14上で実行させ、新通信方式に対応するアプリケーション情報により、サーバ・コンピュータ14を新通信方式でコンピュータ・ネットワーク16を日銀システム22と接続するためのゲートウェイとして正常に機能させることができるか否かを確認するテスト作業を行うことが可能となる。また、その日のテスト作業が終了した等のタイミングで上述した稼働状態切替処理が行われた場合には、サーバ・コンピュータ14の稼働状態(稼働環境)がテスト環境から通常環境へ切替わるので、サーバ・コンピュータ14が、既存通信方式に対応するアプリケーション情報により、既存通信方式でコンピュータ・ネットワーク16を日銀システム22と接続するためのゲートウェイとして機能する状態(通常稼働状態)へ戻ることになる。
このように、本実施形態では、通常環境用ファイルシステムA〜Eを含む既存通信方式に対応するアプリケーション情報と、テスト環境用ファイルシステムA〜Eを含む新通信方式に対応するアプリケーション情報を、同一の記憶部14Cの同一のボリュームグループに各々記憶させ、通常環境用ファイルシステムA〜E及びテスト環境用ファイルシステムA〜Eのうち、稼働している一方のファイルシステムA〜Eをアンマウントし、他方のファイルシステムA〜Eをマウントする処理を含む切替処理を行うことで、サーバ・コンピュータ14の稼働状態の切替を行うので、サーバ・コンピュータ14のシステム変更を前提としたテスト作業を行うために、サーバ・コンピュータ14と別に新たなコンピュータを設けたり、記憶部14Cと別に新たな記憶部を設ける必要はなく、構成の複雑化を招くことを回避することができる。
また、本実施形態では、通常環境用ファイルシステムA〜Eを含む既存通信方式に対応するアプリケーション情報と、テスト環境用ファイルシステムA〜Eを含む新通信方式に対応するアプリケーション情報を、同一の記憶部14Cの同一のボリュームグループに各々記憶させるので、記憶部14Cに新たなボリュームグループを追加する等の記憶部14C内のレイアウトを変更する必要がなくなる。また、通常環境用ファイルシステムA〜Eの名称とテスト環境用ファイルシステムA〜Eの名称を相違させていることで、サーバ・コンピュータ14の稼働状態の切替えにあたり、既存通信方式に対応するアプリケーション情報及び新通信方式に対応するアプリケーション情報のうちの一方のアプリケーション情報を記憶部14Cから待避させ、待避させていた他方のアプリケーション情報を記憶部14Cに書き戻す等のバックアップ/リストア処理を行う必要はなく、サーバ・コンピュータ14の稼働状態を切替える際の安全性を向上させることができる。
また、上述したテスト作業が全て完了し、通常稼働状態でのサーバ・コンピュータ14と日銀システム22との通信方式を新通信方式へ切替える(サーバ・コンピュータ14が新通信方式でゲートウェイとして機能するようにサーバ・コンピュータ14のシステム変更を行う)場合にも、上述した稼働状態切替処理を実行させるのみで済み、サーバ・コンピュータ14のシステム変更時の安全性も大幅に向上させることができる。
なお、上記ではコンピュータ・ネットワーク16を日銀システム22と接続するためのゲートウェイとして機能するサーバ・コンピュータ14において、日銀システム22との通信における通信方式の切替えが予定されていることを前提としたテスト作業の実施のために本発明を適用した態様を説明したが、本発明は上記に限定されるものではなく、任意のコンピュータに対してファイルシステムの切替えを含む稼働状態の切替えを行う場合に適用可能であり、アプリケーションのテストを行う場合に限定されるものでもない。
また、上記では本発明に係る稼働状態切替プログラムがサーバ・コンピュータ14の記憶部14Cに予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、本発明に係る稼働状態切替プログラムは、MTやCD−ROM、DVD−ROM等の記録媒体に記録されている形態で提供することも可能である。