JP2009294197A - センサ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】センサ部の内部抵抗のばらつきに関わらず、センサ出力を精度よく検出することができるセンサ装置を提供する。
【解決手段】検出回路3は、センサ部2のセンサ出力と基準電圧Vrefとの電圧差に応じた電流を出力する電圧電流変換器4と、電圧電流変換器4の出力と回路グランドとの間に接続されたコンデンサC1と、リセット信号によって駆動されるスイッチング素子SW1とを有する。ここで、コンデンサC1の両端電圧が検出回路3の出力電圧Voutとして取り出される。電圧電流変換器4は、センサ部2の出力に接続された第1の入力端In1と、基準電圧Vrefが印加された第2の入力端In2とを具備し、第1および第2の両入力端In1,In2間に生じた電圧差に相当する大きさの電流を出力端Toから出力する。
【選択図】図1
【解決手段】検出回路3は、センサ部2のセンサ出力と基準電圧Vrefとの電圧差に応じた電流を出力する電圧電流変換器4と、電圧電流変換器4の出力と回路グランドとの間に接続されたコンデンサC1と、リセット信号によって駆動されるスイッチング素子SW1とを有する。ここで、コンデンサC1の両端電圧が検出回路3の出力電圧Voutとして取り出される。電圧電流変換器4は、センサ部2の出力に接続された第1の入力端In1と、基準電圧Vrefが印加された第2の入力端In2とを具備し、第1および第2の両入力端In1,In2間に生じた電圧差に相当する大きさの電流を出力端Toから出力する。
【選択図】図1
Description
本発明は、物理量あるいは化学量を検出して電圧信号を出力するセンサ装置に関するものである。
従来から、物理量あるいは化学量を電気量に変換するセンサ部と、センサ部の出力を検出する検出回路とを備えたセンサ装置が知られている。
この種のセンサ装置に用いられるセンサ部としては、前記電気量の変化に応じた電流値の変化を出力する所謂電流検出型のものと、前記電気量の変化に応じた電圧値の変化を出力する所謂電圧検出型のものとがある。
電流検出型のセンサ部と共に用いられる検出回路は、センサ部から出力される電荷を蓄積する容量成分と、オンオフ動作により前記容量成分に蓄積された電荷の充放電を行うスイッチング素子とを具備し、前記容量成分の両端電圧を出力電圧として出力するものが一般的である(たとえば特許文献1参照)。なお、特許文献1においては、前記容量成分として、センサ部と検出回路とを接続する信号線と、接地または電源との間の寄生容量を用いることが記載されている。
また、この種の検出回路においては、スイッチング素子のスイッチングにより発生するノイズを低減するために、一般的にローパスフィルタが設けられる(たとえば特許文献2参照)。
一方、電圧検出型のセンサ部と共に用いられる検出回路においても、図20に示すように、特許文献1と同様の構成の検出回路3を用いることが考えられる。図20の構成では、スイッチング素子SW1をオンすることで容量成分C1’の蓄積電荷をリセットし、その後、所定のサンプリング期間にスイッチング素子SW1をオフしてセンサ部2の出力により容量成分C1’を充電する。これにより、センサ部2の出力を容量成分C1’の両端電圧として取り出すことができる。なお、図20の検出回路3の出力段にはバッファ回路15が設けられている。
特開2003−65847号公報
特開2007−57449号公報
しかし、上記構成の検出回路3を電圧検出型のセンサ部2と共に用いた場合、実際には電圧検出型のセンサ部2は内部抵抗Rpを有しており、センサ部2の出力であるセンサ出力Vsと、内部抵抗Rpの抵抗値とに応じた電流(=Vs/Rp)によって容量成分C1’が充電される。そのため、容量成分C1’と内部抵抗Rpとで決まる時定数が影響し、サンプリング期間においてセンサ出力Vsの変化を容量成分C1’の両端電圧が追従できない場合がある。この場合、サンプリング期間の終了時点での容量成分C1’の両端電圧の大きさはセンサ部2の内部抵抗Rpの抵抗値に依存するため、内部抵抗Rpの抵抗値のばらつきに起因して、センサ出力Vsとセンサ装置1から取り出される出力電圧Voutとの間に誤差を生じ、センサ出力の検出精度が低下する可能性がある。
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであって、センサ部の内部抵抗のばらつきに関わらず、センサ出力を精度よく検出することができるセンサ装置を提供することを目的とする。
請求項1の発明は、物理量あるいは化学量を電圧値に変換する電圧検出型のセンサ部の出力を、所定のサンプリング周波数で読み出して増幅する検出回路を備え、検出回路が、センサ部の出力が印加される第1の入力端と基準電圧が印加される第2の入力端とを具備し両入力端に印加された電圧の差分に相当する電流を出力する電圧電流変換器と、電圧電流変換器の出力電流によって充電され、両端電圧が出力電圧として取り出されるコンデンサと、コンデンサの放電経路を形成するスイッチング素子とを具備し、サンプリング周波数の1周期ごとに、スイッチング素子をオンしてコンデンサの電荷量を初期値にリセットするリセット期間と、電圧電流変換器の出力電流によってコンデンサを充電するサンプリング期間とを有することを特徴とする。
この構成によれば、電圧電流変換器が第1の入力端に印加されるセンサ部の出力と第2の入力端に印加される基準電圧との差分に相当する電流を出力し、コンデンサが当該出力電流によって充電されるので、コンデンサの両端間には、センサ部の出力と基準電圧との差分に応じた出力電圧が生じることとなる。ここで、電圧電流変換器は、電圧を入力とするものであって高い入力インピーダンスを有しているから、センサ部の出力でコンデンサを直接充電する従来構成のように、センサ部から取り出されるセンサ出力の大きさがセンサ部の内部抵抗の抵抗値に依存することはない。したがって、センサ部の内部抵抗のばらつきに関わらず、センサ出力を精度よく検出することが可能である。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記検出回路が、前記電圧電流変換器の出力インピーダンスおよび前記コンデンサの回路定数で決まるカットオフ周波数を超える周波数領域においては、入力の周波数が高くなるほど利得が低下する特性を持ち、前記カットオフ周波数を前記サンプリング周波数よりも低く設定していることを特徴とする。
この構成によれば、検出回路のカットオフ周波数をサンプリング周波数よりも低く設定しているので、カットオフ周波数をサンプリング周波数以上とする場合に比べて、検出回路の利得が得られる周波数帯域が狭くなり、帯域内の熱雑音およびフリッカ雑音を低減することができる。
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記カットオフ周波数が、前記サンプリング周波数の1/10以下に設定されていることを特徴とする。
この構成によれば、センサ部の出力と基準電圧との差分に応じた電流でコンデンサが充電される時間が、電圧電流変換器の出力インピーダンスおよびコンデンサの回路定数で決まる時定数に比べて十分に短い時間となるので、コンデンサの両端に生じる出力電圧の大きさはコンデンサの充電時間の長さに応じて略線形に変化する。したがって、コンデンサの充電時間と検出回路におけるセンサ部の出力の増幅率とが略比例の関係となり、検出回路における増幅率の設定が容易になる。
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかの発明において、前記検出回路が、前記サンプリング期間の長さが所定範囲内で調整可能であることを特徴とする。
この構成によれば、コンデンサの両端に生じる出力電圧の大きさはサンプリング期間の長さに応じて変化するので、サンプリング期間の長さを所定範囲内で調整することによって、検出回路におけるセンサ部の出力の増幅率を調整することが可能となる。
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記検出回路が、前記センサ部の出力の増幅率が既定値よりも高ければ前記サンプリング期間を短縮し、前記増幅率が既定値よりも低ければサンプリング期間を延長するように、前記増幅率に応じてサンプリング期間の長さを調整する増幅率調整回路を有することを特徴とする。
この構成によれば、増幅率調整回路が、検出回路におけるセンサ部の出力の増幅率に応じてサンプリング期間の長さを調整するので、検出回路における増幅率のばらつきを抑制することができる。
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかの発明において、前記検出回路が、前記サンプリング期間に、前記センサ部の出力を受け付ける信号検出期間と、センサ部の出力を受け付けないオフセット検出期間とを含み、信号検出期間の終了時点での出力電圧とオフセット検出期間の終了時点での出力電圧との差分を出力する差分回路が設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、オフセット検出期間においては、検出回路に固有の回路オフセットに相当するオフセット成分がコンデンサに蓄積される。信号検出期間においては、センサ部の出力と基準電圧との差分に相当する信号成分と、前記オフセット成分とがコンデンサに蓄積される。したがって、信号検出期間の終了時点での出力電圧とオフセット検出期間の終了時点での出力電圧との差分を出力する差分回路により、上記回路オフセットの影響を取り除いて信号成分のみを出力電圧として取り出すことができる。
請求項7の発明は、請求項6の発明において、前記検出回路が、前記サンプリング期間を所定回数繰り返す間に前記差分回路で得られた前記差分の累積値を出力する累積手段を有することを特徴とする。
この構成によれば、各サンプリング期間に差分回路で得られる差分の値が比較的小さくても、所定回数のサンプリング期間に得られた差分の累積値を取ることで、比較的大きな値として取り出すことができる。しかも、各サンプリング期間に得られる差分は、回路オフセットの影響が取り除かれたものであるから、その累積値においても、回路オフセットが影響することはなく信号成分のみを取り出すことができる。また、各サンプリング期間に差分回路で得られる差分の値は小さくてもよいことから、サンプリング周波数を比較的高く設定することができ、この場合、差分回路で得られる差分に含まれる熱雑音やフリッカ雑音等の雑音成分を低減することができるという利点もある。
請求項8の発明は、請求項7の発明において、前記電圧電流変換器の利得が、前記コンデンサの両端電圧が飽和しない範囲で、前記サンプリング周波数が高くなるほど高くなるように、サンプリング周波数に関連付けて設定されていることを特徴とする。
この構成によれば、サンプリング周波数を比較的高く設定することで、電圧電流変換器の利得も高くすることができ、電圧電流変換器のSN比の向上を図ることができる。なお、サンプリング周波数が高くなると、コンデンサの充電時間が短くなるため、電圧電流変換器の利得を高く設定しても、コンデンサの両端電圧の飽和が生じにくくなる。
請求項9の発明は、請求項7または請求項8の発明において、前記累積手段の後段にAD変換器を備え、累積手段が、AD変換器の入力レンジに合わせて前記差分回路の出力を積分する積分器を有することを特徴とする。
この構成によれば、各サンプリング期間に差分回路で得られる差分の値に比べて、積分器から出力される値は大きくなるので、前記差分をAD変換器に直接入力する場合に比べて、AD変換器に要求される分解能を下げることができる。また、AD変換後に積分処理を施す場合に比べると、量子化雑音の影響を低減できる。
請求項10の発明は、請求項1ないし請求項9のいずれかの発明において、前記センサ部が、電圧検出型の赤外線センサであることを特徴とする。
この構成によれば、センサ部での赤外線の受光量が小さくセンサ部から取り出される電気量の変化が小さい場合でも、十分な出力電圧の変化が得られるように検出回路の利得を設定し、十分な感度を確保することができる。なお、電圧検出型の赤外線センサには、焦電素子やサーモパイル等がある。
請求項11の発明は、請求項1ないし請求項10のいずれかの発明において、前記入力端が、前記センサ部の出力を択一的に出力するセレクタを介して複数のセンサ部に接続されていることを特徴とする。
この構成によれば、複数のセンサ部を入力端に接続することによって、1個の検出回路を複数のセンサ部で共用することができるので、各センサ部に個別に検出回路を設ける場合に比べてセンサ装置の構成が単純になる。
請求項12の発明は、請求項1ないし請求項11のいずれかの発明において、前記各入力端には、検出対象となる物理量あるいは化学量の変化を受ける検出用の前記センサ部の出力と、検出対象となる物理量あるいは化学量の変化を受けない参照用のセンサ部の出力とがそれぞれ入力されることを特徴とする。
この構成によれば、検出用のセンサ部の出力と参照用のセンサ部の出力との差分を取り出すことができるので、センサ部の温度特性や、センサ部の経年変化等によるオフセット成分を取り除いた出力電圧を得ることができる。
本発明は、電圧電流変換器が、電圧を入力とするものであって高い入力インピーダンスを有しているから、センサ部の内部抵抗のばらつきに関わらず、センサ出力を精度よく検出することができるという利点がある。
(実施形態1)
本実施形態のセンサ装置1は、図1に示すように、物理量あるいは化学量を電気量に変換するセンサ部2と、センサ部2の出力を所定のサンプリング周波数fsで読出して増幅し出力する検出回路3とを具備している。本実施形態ではセンサ部2の一例として、赤外線を吸収することによる温度上昇に応じて電気量を変化させる赤外線センサであって、焦電素子やサーモパイルのように、前記電気量の変化に応じた電圧値の変化を出力する所謂電圧検出型のものを用いる。
本実施形態のセンサ装置1は、図1に示すように、物理量あるいは化学量を電気量に変換するセンサ部2と、センサ部2の出力を所定のサンプリング周波数fsで読出して増幅し出力する検出回路3とを具備している。本実施形態ではセンサ部2の一例として、赤外線を吸収することによる温度上昇に応じて電気量を変化させる赤外線センサであって、焦電素子やサーモパイルのように、前記電気量の変化に応じた電圧値の変化を出力する所謂電圧検出型のものを用いる。
ここで、センサ部2の出力にはセット信号φSにて駆動されるスイッチング素子SW0が挿入されており、当該スイッチング素子SW0がオンのときのみセンサ部2の出力(以下、センサ出力という)を取り出すことができる。
検出回路3は、図1に示すようにセンサ部2のセンサ出力と基準電圧Vrefとの電圧差に応じた電流を出力する電圧電流変換器4と、電圧電流変換器4の出力と回路グランドとの間に接続されたコンデンサC1と、リセット信号φRによって駆動されるスイッチング素子SW1とを有する。ここで、コンデンサC1の両端電圧が検出回路3の出力電圧Voutとして取り出される。電圧電流変換器4としては、一般的にgm素子あるいはOTA(Operational Transconductance Amplifier)と呼ばれるものを用いる。
電圧電流変換器4は、センサ部2の出力に接続された第1の入力端In1と、基準電圧Vrefが印加された第2の入力端In2とを具備し、第1および第2の両入力端In1,In2間に生じた電圧差に相当する大きさの電流を出力端Toから出力する。
具体的には、図2に示すように第1入力端In1と第2入力端In2には、PチャネルMOSFETからなるトランジスタQ1,Q2の各ゲートがそれぞれ接続される。両トランジスタQ1,Q2には直流電圧VDDが印加されており、両トランジスタQ1,Q2はソース電位が等しくなるようにそれぞれのソースを共通のバイアス用トランジスタQ0に接続している。バイアス用トランジスタQ0は、ゲートに印加されるバイアス電圧Vbの大きさに従ってバイアス電流を流すバイアス電流源として機能する。これにより、各トランジスタQ1,Q2に流れるドレイン電流は、それぞれのゲート電圧の大きさ、つまりセンサ部2から入力端In1への入力の大きさ、入力端In2に印加される基準電圧Vrefの大きさに従って決定され、バイアス用トランジスタQ0を通して供給される電流が第1および第2の入力端In1,In2への入力の比に応じて各トランジスタQ1,Q2に分配されることになる。
トランジスタQ1のドレインは、第1のカレントミラーM1の入力側となるトランジスタQ3を通して接地され、トランジスタQ2のドレインは、第2のカレントミラーM2の入力側となるトランジスタQ4を通して接地される。具体的には、各トランジスタQ3,Q4はいずれもNチャネルMOSFETからなり、ドレインおよびゲートを各トランジスタQ1,Q2のドレインにそれぞれ接続する形で、トランジスタQ1,Q2のソース−ドレインと直列にドレイン−ソースを接続している。これにより、各トランジスタQ1,Q2に流れるドレイン電流はそれぞれ各トランジスタQ3,Q4のドレイン電流となる。
トランジスタQ3を入力側とした第1のカレントミラーM1の出力側のトランジスタQ5は、NチャネルMOSFETからなり、ゲートおよびソースがトランジスタQ3のゲートおよびソースにそれぞれ接続され、トランジスタQ4を入力側とした第2のカレントミラーM2の出力側のトランジスタQ6は、NチャネルMOSFETからなり、ゲートおよびソースがトランジスタQ4のゲートおよびソースにそれぞれ接続されている。これにより、各トランジスタQ3,Q4のドレイン電流と同じ大きさのドレイン電流がそれぞれ対応する各トランジスタQ5,Q6に流れることになる。
トランジスタQ5のドレインはトランジスタQ7に接続されている。また、トランジスタQ6のドレインはトランジスタQ8に接続されている。トランジスタQ7,Q8はそれぞれPチャネルMOSFETからなり、トランジスタQ7を入力側、トランジスタQ8を出力側とする第3のカレントミラーM3を形成している。すなわち、トランジスタQ7のゲートおよびソースはトランジスタQ8のゲートおよびソースにそれぞれ接続されている。各トランジスタQ7,Q8は、ドレインがそれぞれトランジスタQ5,Q6のドレインに接続される。ここで、トランジスタQ7は、ドレインおよびゲートをトランジスタQ5のドレインに接続しており、トランジスタQ7のソース−ドレインとトランジスタQ5のドレイン−ソースとの直列回路、およびトランジスタQ8のソース−ドレインとトランジスタQ6のドレイン−ソースとの直列回路には、それぞれ直流電圧VDDが印加される。
そして、上記構成の電圧電流変換器4は、トランジスタQ8とトランジスタQ6との間に、コンデンサC1に接続される出力端Toを設定している。
上述した構成によれば、トランジスタQ1のドレイン電流は、第1および第3のカレントミラーM1,M3によって、トランジスタQ8のドレイン電流の大きさを決定し、トランジスタQ2のドレイン電流は、第2のカレントミラーM2によってトランジスタQ6のドレイン電流の大きさを決定する。これにより、トランジスタQ8は、第1の入力端In1への入力電圧(つまりセンサ部2のセンサ出力)に応じた大きさの電流を出力端Toに流し、トランジスタQ6は、第2の入力端In2への入力電圧(つまり基準電圧Vref)に応じた大きさの電流を出力端Toから引き抜くように機能する。すなわち、電圧電流変換器4は、第1の入力端In1への入力電圧と第2の入力端In2への入力電圧との差分を電流に変換し、この電流を出力端Toから出力する。
電圧電流変換器4においてセンサ部2の出力電圧に応じて発生した電流は、出力端ToからコンデンサC1に流入してコンデンサC1を充電し、出力電圧(コンデンサC1の両端電圧)を増加させる。リセット信号φRによってオンオフされるスイッチング素子SW1は、電圧電流変換器4の出力端Toと基準電圧Vrefが印加されたリセット端子Qとの間に挿入されており、オン時にコンデンサC1の両端電圧を基準電圧Vrefにリセットするための放電経路を形成する。スイッチング素子SW1の動作タイミングとしては、図3に示すタイミングチャートのように、まずリセット期間Trにおいてスイッチング素子SW1をオンし、コンデンサC1の両端電圧である出力電圧Voutを基準電圧Vrefにリセットする。その後、センサ部2のセンサ出力を読み出すサンプリング期間Tsにおいては、スイッチング素子SW1をオフするとともにセット信号φSによってスイッチング素子SW0をオンし、検出回路3にてセンサ部2のセンサ出力の読み出しを行う。
ここにおいて、基準電圧Vrefは赤外線を受光していない状態でのセンサ部2の出力と同じ大きさに設定される。つまり、センサ部2の出力と基準電圧Vrefとの差分は、赤外線を受光したことによるセンサ部2の出力変化に相当し、言い換えればセンサ部2での赤外線受光量に相当する。したがって、出力電圧Voutにおける基準電圧Vrefからの上昇分は、サンプリング期間Tsにおけるセンサ部2のセンサ出力の積分値を反映することとなり、言い換えればサンプリング期間Tsにおけるセンサ部2での赤外線受光量の累積値に相当する。
ここで、電圧電流変換器4は、オープンループ制御を採用している。すなわち、センサ出力をトランジスタQ1のゲートだけで受けるため、非常に高い入力インピーダンスを確保できる。したがって、検出回路3は、センサ部2の内部抵抗Rpのばらつきによる出力電圧Voutのばらつきを生じることがなく、安定した検出を行うことが可能となる。しかも、帰還容量が不要になる分、回路規模を小さくすることができる。
ところで、本実施形態では、検出回路3は所定のサンプリング周波数fsでセンサ出力を読み出しており、このサンプリング周波数fsは、上述したサンプリング期間Tsにリセット期間Trを加えたものの逆数で表すことができる(つまり、fs=1/(Ts+Tr))。一方、検出回路3においては、所定のカットオフ周波数fcが存在し、当該カットオフ周波数fcを超える領域では、周波数が高くなるほど利得が低下する。本実施形態では、このカットオフ周波数fcをサンプリング周波数fsよりも低く設定してある。
図4に検出回路3の利得の周波数特性とサンプリング周波数fsとの関係を示す。図4では、本実施形態の検出回路3の利得を実線で表し、一般的な離散系の検出回路の利得を2点鎖線で表す。
すなわち、一般的な離散系の検出回路(増幅器)の場合、センサ出力を収束させ、収束後の安定した電圧を用いて信号処理を行うので、センサ出力を収束させるために、通常、検出回路のカットオフ周波数fc’をサンプリング周波数fsの3〜4倍以上に設定している。これに対し、本実施形態では、検出回路3のカットオフ周波数fcをサンプリング周波数fsよりも低く設定している。そのため、図3のタイミングチャートに示すように、出力電圧Voutが完全に収束しない過渡的な状態でサンプリング期間Tsを終了する。以下、上述のように過渡的な状態で信号を読み出すことを「非収束読出し」という。
非収束読出しを採用することによる利点は、図4から分かるように、検出回路3の利得の周波数帯域が狭いので、帯域内の熱雑音やフリッカ雑音が少なく、出力を収束させる一般的な離散系の検出回路に比較して、低雑音な検出回路3を実現できる点にある。なお、センサ出力はカットオフ周波数fcよりも十分に低い周波数帯域(図4の破線領域)を使用するため、検出回路3ではセンサ出力に関して十分な利得を確保できる。
検出回路3のカットオフ周波数fcについてより詳しく説明すると、カットオフ周波数fcは、電圧電流変換器4の出力インピーダンスと出力端Toに接続される負荷容量(コンデンサC1の容量)とによって決定される。検出回路3の出力電圧Voutの立ち上りの過渡特性(収束速度)は、電圧電流変換器4の出力インピーダンスとコンデンサC1の容量との積で表される時定数により決定される。時定数は出力電圧Voutが定常値の63.2%に達するまでに要する時間を表しており、時定数が大きいほど出力電圧Voutの立ち上りが遅くなる。カットオフ周波数fcと時定数τoとの関係はfc=1/(2πτo)で表される。ここで、出力電圧Voutが最終的に収束する定常値は、電圧電流変換器4の電源電圧(直流電圧VDD)である。
ここにおいて、出力電圧Voutは時定数の4倍の時間(4τo)で定常値の98.2%に達し、時定数の5倍の時間(5τo)では定常値の99.4%に達するので、本実施形態では、上述したようにカットオフ周波数fcをサンプリング周波数fsより低く設定し、サンプリング期間Tsを4τoあるいは5τoで表される時間より短く設定することで、出力電圧Voutが完全に収束しない過渡的な状態でサンプリング期間Tsが終了するようにしてある。
以下、時間経過に伴う出力電圧Voutの立ち上がりの過渡特性を示す図5を参照して説明する。図5では、出力電圧VoutはVout=VDD×{1−e(−Ts/τo)}で表されるものとし、時定数τo=5、出力電圧Voutが収束する定常値を直流電圧VDD=1としてある。
ここに、センサ出力を一定としてサンプリング期間Tsを3〜15秒の範囲で変化させた場合、出力電圧Voutは時間変化に対して非線形に変化するが、センサ出力を一定としてサンプリング期間Tsを0〜3秒の範囲で変化させた場合、出力電圧Voutは時間変化に対し略線形に変化する。すなわち、図5の例では、サンプリング期間Tsを0〜3秒の範囲内に設定すれば、出力電圧Voutは図6に示すようにサンプリング期間Ts内での時間経過に対して線形に変化することとなる。したがって、図5の例において、出力電圧Voutの立ち上がりの直線性が良好な領域を使ってセンサ出力の増幅を行うのであれば、サンプリング期間Tsを時定数に比べて十分に短くすればよい。なお、サンプリング期間Tsが一定の場合、時定数をサンプリング期間Tsに比べて十分に大きくすればよい。
このことは、言い換えれば、図7に示すように、サンプリング周波数fsに対し検出回路3のカットオフ周波数fcを図4の例から更に低域側にシフトすることとなる。検出回路3のカットオフ周波数fcをサンプリング周波数fsに対してどの程度低く設定するかについては、実際には、システム上どの程度の非線形まで許容できるかという基準に基づいて決定されるが、目安としてはカットオフ周波数fcをサンプリング周波数fsの少なくとも1/10以下とすることが望ましい。
なお、時定数を大きくするに当たり、出力インピーダンスを高くするための手段としては、電圧電流変換器4の出力段をカスコード化するのが効果的である。出力段をカスコード化したものの例として、カスコード形オペアンプ(たとえば図8に示すフォールデッドカスコード形オペアンプや、図9に示すテレスコピックカスコード形オペアンプなど)がある。これらのカスコード形オペアンプは出力インピーダンスおよび負荷容量によりカットオフ周波数fcが決定され、また、負荷が大きいほどアンプは安定動作するという特徴を有しており、回路を低雑音化する上でも負荷容量を大きくできるアンプ方式が好ましい。
ところで、上述したようにセンサ部2と検出回路3との接続関係を一対一とする構成に限らず、たとえば図10(a)に示すように1つの検出回路3に対して複数のセンサ部2を接続するようにしてもよい。この場合、電圧電流変換器4の入力端In1はセンサ部2の出力を択一的に出力するセレクタ5を介して複数のセンサ部2に接続される。セレクタ5は、それぞれ各センサ部2と入力端In1との間に挿入される複数個のスイッチ要素6を有し、各スイッチ要素6を1個ずつ順番にオンすることにより、入力端In1に接続するセンサ部2を択一的に切り替えるものである。このように複数のセンサ部2を順次接続する場合には、接続するセンサ部2を切り替える毎にコンデンサC1の電荷をリセットするようにする。ここで、各スイッチ要素6はそれぞれNチャネルMOSFETからなり、ゲートに入力された図10(b)のスイッチ信号φA、φB、φC、…がHレベルの期間にオンする。
(実施形態2)
本実施形態のセンサ装置1は、サンプリング期間Tsの長さを所定範囲内で調整可能とした点が実施形態1のセンサ装置1と相違する。
本実施形態のセンサ装置1は、サンプリング期間Tsの長さを所定範囲内で調整可能とした点が実施形態1のセンサ装置1と相違する。
ここで、検出回路3は、センサ部2からのセンサ出力を電圧電流変換器4にてgm倍した電流をサンプリング期間Ts分だけコンデンサC1に蓄積することによってセンサ出力の増幅を行うものであるから、図11に示すように、サンプリング期間Tsの長さに応じて検出回路3の利得が変化する。言い換えれば、サンプリング期間Tsの長さを制御することによって、利得を制御できることになる。なお、本実施形態では、実施形態1で説明したように出力電圧Voutが時間変化に対し略線形に変化する範囲内でサンプリング期間Tsを調整可能としてある。なお、検出回路3のファーストポールは、電圧電流変換器4の出力インピーダンスと負荷容量(コンデンサC1の容量)とによって決定されるので、サンプリング期間Tsに対し時定数τoを十分に大きくするには、電圧電流変換器4の出力インピーダンスを大きく設計すればよい。
この検出回路3の利得は、信号が収束する前に読み出しを終えるため、サンプリング期間Tsの長さによって利得が決定される。数1に検出回路3の利得Avの算出式を示す。また、数1中のλは数2により得られる。
要するに、サンプリング期間Tsを延長することにより、検出回路3の利得を大きくすることができ、一方、サンプリング期間Tsを短縮することにより、検出回路3の利得を小さくすることができる。
ところで、本実施形態のセンサ装置1の具体的な構成としては、図12に示すように検出回路3の利得(増幅率)を既定値に補正するように、実際の検出回路3の利得に基づいてサンプリング期間Tsの長さを自動的に調整する増幅率調整回路7を設けることが考えられる。
増幅率調整回路7は、出力電圧Voutが任意に設定した利得(既定値)で増幅されているか否かを判断する判定回路8と、判定回路8の結果に基づき、タイミング発生回路9から出力されサンプリング期間Tsの長さを決定するセット信号φSのパルス幅を調整するパルス幅調整回路10とを具備している。パルス幅調整回路10は、検出回路3の利得が前記既定値よりも小さければセット信号φSのパルス幅を広げてサンプリング期間Tsを延長し、逆に、検出回路3の利得が前記既定値よりも大きければセット信号φSのパルス幅を狭めてサンプリング期間Tsを短縮する。
判定回路8の具体例としては、図13に示すように2値(電圧)の差分を算出する減算器8a、あるいはコンパレータなどが用いられる。また、パルス幅調整回路10の具体例としては、図13のようにパルス変調器10a、あるいは電圧制御遅延素子(VCD)等が用いられる。
実際に、サンプリング期間Tsの長さ(時間幅)の調整により利得補正を行う場合、センサ部2のセンサ出力を既定の電圧値に固定した上で、その電圧値に対する検出回路3の出力電圧Voutの増幅率(利得)を把握できる状態で、利得補正を行うことになる。
図13に示す構成例では、減算器8aの一方の入力端子には検出回路3の出力電圧Voutが入力され、他方の入力端子には、設計通りの利得(既定値)で前記既定のセンサ出力を増幅したときに得られる検出回路3の出力電圧Voutの期待値が参照電圧として入力される。減算器8aの出力は、スイッチSW6を介してパルス変調器10aに接続される。これにより、検出回路3は、スイッチSW6がオンの状態で減算器8aの出力によって利得を補正する利得補正モードとして動作し、SW6がオフの状態でセンサ出力の検出を行う計測モードとして動作する。
すなわち、利得補正モードにおいては、減算器8aは、図14に示すように出力電圧Voutと参照電圧との差分を求め、パルス変調器10aは、減算器8aの出力値に応じてセット信号φSのパルス幅を調整する(図示例ではパルス幅を広げ、サンプリング期間Tsを延長している)。利得補正は出力電圧Voutと参照電圧とが一致するまで行われ、両者が一致した時点のセット信号φSのパルス幅を記憶して、当該セット信号φSをその後の計測モードでのセンサ出力の検出に用いる。
以上説明した構成によれば、電圧電流変換器4の利得のばらつきやセンサ部2の感度のばらつきに起因して検出回路3の利得にばらつきがあっても、利得のばらつきを補正できるという効果がある。
その他の構成および機能は実施形態1と同様である。
(実施形態3)
本実施形態のセンサ装置1は、相関2重サンプリング(Correlated Double Sampling:以下、CDSという)を行う点が実施形態1のセンサ装置1と相違する。CDSとは、連続してサンプリングしたデータが低周波成分に対して高い相関を持っていることを利用し、オフセット成分と信号成分とをそれぞれサンプリングして双方の差分を取ることで低周波雑音(オフセット誤差とフリッカ雑音)を除去する手法である。
本実施形態のセンサ装置1は、相関2重サンプリング(Correlated Double Sampling:以下、CDSという)を行う点が実施形態1のセンサ装置1と相違する。CDSとは、連続してサンプリングしたデータが低周波成分に対して高い相関を持っていることを利用し、オフセット成分と信号成分とをそれぞれサンプリングして双方の差分を取ることで低周波雑音(オフセット誤差とフリッカ雑音)を除去する手法である。
すなわち、検出回路3からセンサ部2の出力変化のみに対応する出力電圧Voutを出力することができればセンサ装置1としての検出精度は高くなるが、実際には、センサ部2の出力変化に相当する信号成分以外に、検出回路3に固有の回路オフセットが検出回路3の出力電圧Voutに重畳する可能性が高い。本実施形態のセンサ装置1は、以下に説明する構成により上記回路オフセットの影響を取り除いた出力電圧Voutを得ることができるものである。
具体的には、検出回路3の構成が実施形態1と異なっており、図15に示すように電圧電流変換器4の出力端Toの後段に、コンデンサC1およびスイッチング素子SW1を具備する信号検出回路11の他、当該信号検出回路11と同様にコンデンサC2およびスイッチング素子SW2を具備するオフセット検出回路12が接続されている。信号検出回路11並びにオフセット検出回路12は、出力端Toに対してそれぞれスイッチSW3,SW4を介して接続されている。ここに、信号検出回路11およびオフセット検出回路12の後段には差分回路13が設けられており、検出回路3の出力電圧Voutは、信号検出回路11のコンデンサC1の両端電圧V1からオフセット検出回路12のコンデンサC2の両端電圧V2を差し引いたものとなる。電圧電流変換器4の第1および第2の両入力端In1,In2間には、オフセット検出回路12側のスイッチSW4と同時にオンするスイッチSW5が挿入されている。
以下、本実施形態のセンサ装置1の動作について図16のタイミングチャートを参照して説明する。
まず、リセット期間Trにおいて、リセット信号φRによりスイッチング素子SW1,SW2をオンして、コンデンサC1とコンデンサC2とをそれぞれ初期化する。次に、サンプリング期間Tsのうちのオフセット検出期間において、オフセット信号φoffによりオフセット検出回路12側のスイッチSW4をオンし、オフセット成分をコンデンサC2に蓄積する。つまり、このとき、電圧電流変換器4の第1および第2の両入力端In1,In2間はスイッチSW5により短絡させられるので、コンデンサC2に蓄積される電荷には、センサ部2のセンサ出力に相当する成分は含まれず、回路のオフセット成分(回路オフセットおよびフリッカ雑音)が含まれる。
その後、サンプリング期間Tsのうちの信号検出期間において、スイッチSW4,SW5をオフするとともにセット信号φSによりスイッチング素子SW0および信号検出回路11側のスイッチSW3をオンし、センサ部2のセンサ出力を読出してコンデンサC1に蓄積する。コンデンサC1に蓄積された電荷には、センサ出力に相当する信号成分の他に、図16に1点鎖線で示すようにコンデンサC2に蓄積された電荷と同様のオフセット成分(回路オフセットおよびフリッカ雑音)が含まれる。そして、サンプリング期間Tsのうちの差分検出期間において、コンデンサC1に蓄積された電荷量とコンデンサC2に蓄積された電荷量との差分を取ることにより、オフセット成分が除去されて、信号成分のみを取り出すことができる。
この構成によれば、フリッカ雑音を除去する効果が向上し、さらに検出回路3の回路オフセットを除去できるという利点がある。
その他の構成および機能は実施形態1と同様である。
(実施形態4)
本実施形態のセンサ装置1は、上記CDSを所定回数繰り返して行い、当該所定回数のCDSで得られた差分回路13の出力電圧の累積値を出力するようにした点が実施形態3のセンサ装置1と相違する。
本実施形態のセンサ装置1は、上記CDSを所定回数繰り返して行い、当該所定回数のCDSで得られた差分回路13の出力電圧の累積値を出力するようにした点が実施形態3のセンサ装置1と相違する。
ここではまず、実施形態3の構成について検証する。実施形態3のように1回のCDSにてオフセット成分(回路オフセットおよびフリッカ雑音)を除去する場合には、オフセット成分を含んだ信号成分と、オフセット成分とをそれぞれコンデンサC1,C2に蓄積する必要がある。ここにおいて、電圧電流変換器4は、オープンループ制御を採用しているので、回路レイアウトのばらつきなどにより、回路オフセットが大きくばらつくことがある。そこで、電圧電流変換器4の出力によりコンデンサC1,C2の両端電圧を飽和させないためには、電圧電流変換器4の利得は余裕を持って上限より低く設定せざるを得ず、これにより、電圧電流変換器4のSN比が必要以上に制限される。
その結果、サンプリング期間Tsに得られる差分回路13の出力電圧Voutは比較的小さな値となり、電圧電流変換器4の後段にAD変換器を設ける場合、AD変換器の入力レンジに電圧電流変換器4の出力レンジを合わせるためには、電圧電流変換器4とAD変換器との間に増幅回路を付加するか、あるいはAD変換器として高精度(高分解能)のものを用いる必要がある。また、サンプリング周波数fsを低くして1回当たりのサンプリング期間Tsを長くし、差分回路13の出力電圧Voutを大きくすることも考えられるが、コンデンサC1,C2の両端電圧の飽和を避けるためには、サンプリング周波数fsについても下限が設定されることとなる。さらに、サンプリング周波数fsを低くすると、CDSによるフリッカ雑音の除去効率が低下するという問題もある。
これに対して、本実施形態のセンサ装置1は、以下に説明する構成により1回のサンプリング期間Tsで得られる差分回路13の出力電圧Vout1が小さくても、最終的に比較的大きな検出回路3の出力電圧Vout2として取り出すことを可能としている。
すなわち、本実施形態では、検出回路3は図17に示すように、差分回路13の後段に設けられ差分回路13の出力電圧Vout1を積分する積分器16と、積分器16の出力電圧Vout2をデジタル値に変換するAD変換器(ADC)17とを具備している。ここで、積分器16は、サンプリング期間Tsを所定回数(以下、N回とする)繰り返す間に、差分回路13で得られた差分の累積値を出力する累積手段を構成する。つまり、積分器16では、差分回路13の出力電圧Vout1をN回のサンプリング期間Tsに亘って積分し、AD変換器17の入力レンジに合わせた出力電圧Vout2に増幅して出力するする。AD変換器17ではN回分の出力電圧Vout1の積分結果についてAD変換を行う。なお、積分器16は、N回分の出力電圧Vout1の積分後、次回のサンプリング期間Tsに備えて出力電圧Vout2をリセットする機能を有している。
以下、本実施形態のセンサ装置1の動作について図18のタイミングチャートを参照して説明する。ここではN=4回の場合を例として説明する。
まず、1回目のサンプリング期間Tsの差分検出期間において、コンデンサC1に蓄積された電荷量とコンデンサC2に蓄積された電荷量との差分を取ることにより、オフセット成分を除去した信号成分のみが差分回路13の出力電圧Vout1として出力される。積分器16の出力電圧Vout2は、前記出力電圧Vout1の積分値であるから、前記1回目のサンプリング期間Tsの終了時点では出力電圧Vout1の大きさに相当する値まで上昇する。
その後、2回目のサンプリング期間Tsの差分検出期間においても、コンデンサC1に蓄積された電荷量とコンデンサC2に蓄積された電荷量との差分を取ることにより、オフセット成分を除去した信号成分のみが差分回路13の出力電圧Vout1として出力される。そのため、積分器16の出力電圧Vout2は、前記2回目のサンプリング期間Tsの終了時点では、前記1回目のサンプリング期間Tsの終了時点から、出力電圧Vout1の大きさに相当する分だけさらに上昇する。同様に、3回目、4回目の各サンプリング期間Tsにおいても出力電圧Vout2は段階的に上昇する。
そして、4回目(N回目)のサンプリング期間Ts終了時点での出力電圧Vout2がAD変換器17にてAD変換される。AD変換された出力電圧Vout2(つまり、出力電圧Vout2に相当するデジタル値)は、検出回路3の出力として取り出される。
この構成によれば、1〜N回目の各サンプリング期間Tsに得られる差分回路13の出力電圧Vout1が比較的小さい場合でも、N回のサンプリング期間Tsで得られた出力電圧Vout1の累積値をとることで、比較的大きな値として取り出すことが可能である。しかも、CDSにてオフセット成分が除去された出力電圧Vout1の累積を取っているから、その累積値である出力電圧Vout2においてもオフセット成分の影響はない。つまり、オフセット成分の大きさに関係なく、検出回路3全体としての利得を高め、SN比を低減することができる。その結果、電圧電流変換器4とAD変換器17との間に増幅回路を付加することなく、AD変換器17に要求される分解能を下げることができる。
また、実施形態3の構成に比べると、1〜N回目の各サンプリング期間Tsに差分回路13で抽出される出力電圧Vout1自体は小さくてもよいので、サンプリング周波数fsを高くしサンプリング期間Tsを短くしても不都合は生じない。そのため、サンプリング周波数fsを高く設定して、CDSによるフリッカ雑音の除去効率を高く維持できるので、低雑音な検出回路3を実現することができる。さらに、サンプリング周波数fsを高くすると、コンデンサC1,C2の充電時間(サンプリング期間Ts)が短くなってコンデンサC1,C2の飽和が生じにくくなるので、電圧電流変換器4の利得を高く設定することもできる。電圧電流変換器4の利得を高くすれば、熱雑音が低減されてSN比が向上するという利点がある。
なお、本実施形態では積分器16の後段にAD変換器17を設けAD変換前に積分処理を施しているため、AD変換後に積分処理を施す場合に比べて、AD変換器17に入力される信号が大きくなって量子化雑音の影響が小さくなるという利点がある。
その他の構成および機能は実施形態3と同様である。
(実施形態5)
本実施形態のセンサ装置1は、図19(a)に示すように、第1および第2の各入力端In1、In2にそれぞれ個別のセンサ部2を接続している点が実施形態1のセンサ装置1と相違する。しかも、本実施形態では、図10に示した例と同様に、第1の入力端In1に対しては、セレクタ5を介して複数のセンサ部2を接続してある。
本実施形態のセンサ装置1は、図19(a)に示すように、第1および第2の各入力端In1、In2にそれぞれ個別のセンサ部2を接続している点が実施形態1のセンサ装置1と相違する。しかも、本実施形態では、図10に示した例と同様に、第1の入力端In1に対しては、セレクタ5を介して複数のセンサ部2を接続してある。
この構成によれば、出力電圧においては、両センサ部2が共通して持つ不要な信号成分は除去されることになる。したがって、両センサ部2間の出力の差分のみを感度よく検出することができる。
本実施形態においては、第1の入力端In1に対して赤外線の変化を受ける検出用のセンサ部2を接続し、第2の入力端In2に対して赤外線の変化を受けない(つまり赤外線の入射が遮断された)参照用のセンサ部2を接続することが望ましい。ここで、第1の入力端In1と検出用の各センサ部2との間にそれぞれ挿入される各スイッチ要素6はNチャネルMOSFETからなり、ゲートに入力された図19(b)のスイッチ信号φA、φB、…がHレベルの期間にオンする。第2の入力端In2と参照用のセンサ部2との間に挿入されるスイッチ要素6はNチャネルMOSFETからなり、論理和回路14を介してゲートに入力されたスイッチ信号φA、φB、…のいずれかがHレベルの期間にオンする。
参照用のセンサ部2と検出用のセンサ部2とは、出力の整合をとるため同一基板上に同一の加工プロセスにより形成される。この構成では、参照用のセンサ部2の出力に対する相対的な検出用のセンサ部2の出力を得ることができ、結果的に、センサ部2の実装された基板温度等に依存したオフセット成分を取り除いた出力電圧を得ることができる。
その他の構成および機能は実施形態1と同様である。
1 センサ装置
2 センサ部
3 検出回路
4 電圧電流変換器
5 セレクタ
16 積分器
17 AD変換器
C1 コンデンサ
fc カットオフ周波数
fs サンプリング周波数
In1 第1の入力端
In2 第2の入力端
SW1 スイッチング素子
Ts サンプリング期間
Vout 出力電圧
Vref 基準電圧
2 センサ部
3 検出回路
4 電圧電流変換器
5 セレクタ
16 積分器
17 AD変換器
C1 コンデンサ
fc カットオフ周波数
fs サンプリング周波数
In1 第1の入力端
In2 第2の入力端
SW1 スイッチング素子
Ts サンプリング期間
Vout 出力電圧
Vref 基準電圧
Claims (12)
- 物理量あるいは化学量を電圧値に変換する電圧検出型のセンサ部の出力を、所定のサンプリング周波数で読み出して増幅する検出回路を備え、検出回路は、センサ部の出力が印加される第1の入力端と基準電圧が印加される第2の入力端とを具備し両入力端に印加された電圧の差分に相当する電流を出力する電圧電流変換器と、電圧電流変換器の出力電流によって充電され、両端電圧が出力電圧として取り出されるコンデンサと、コンデンサの放電経路を形成するスイッチング素子とを具備し、サンプリング周波数の1周期ごとに、スイッチング素子をオンしてコンデンサの電荷量を初期値にリセットするリセット期間と、電圧電流変換器の出力電流によってコンデンサを充電するサンプリング期間とを有することを特徴とするセンサ装置。
- 前記検出回路は、前記電圧電流変換器の出力インピーダンスおよび前記コンデンサの回路定数で決まるカットオフ周波数を超える周波数領域においては、入力の周波数が高くなるほど利得が低下する特性を持ち、前記カットオフ周波数を前記サンプリング周波数よりも低く設定していることを特徴とする請求項1記載のセンサ装置。
- 前記カットオフ周波数は、前記サンプリング周波数の1/10以下に設定されていることを特徴とする請求項2記載のセンサ装置。
- 前記検出回路は、前記サンプリング期間の長さが所定範囲内で調整可能であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のセンサ装置。
- 前記検出回路は、前記センサ部の出力の増幅率が既定値よりも高ければ前記サンプリング期間を短縮し、前記増幅率が既定値よりも低ければサンプリング期間を延長するように、前記増幅率に応じてサンプリング期間の長さを調整する増幅率調整回路を有することを特徴とする請求項4記載のセンサ装置。
- 前記検出回路は、前記サンプリング期間に、前記センサ部の出力を受け付ける信号検出期間と、センサ部の出力を受け付けないオフセット検出期間とを含み、信号検出期間の終了時点での出力電圧とオフセット検出期間の終了時点での出力電圧との差分を出力する差分回路が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のセンサ装置。
- 前記検出回路は、前記サンプリング期間を所定回数繰り返す間に前記差分回路で得られた前記差分の累積値を出力する累積手段を有することを特徴とする請求項6記載のセンサ装置。
- 前記電圧電流変換器の利得は、前記コンデンサの両端電圧が飽和しない範囲で、前記サンプリング周波数が高くなるほど高くなるように、サンプリング周波数に関連付けて設定されていることを特徴とする請求項7記載のセンサ装置。
- 前記累積手段の後段にAD変換器を備え、累積手段は、AD変換器の入力レンジに合わせて前記差分回路の出力を積分する積分器を有することを特徴とする請求項7または請求項8記載のセンサ装置。
- 前記センサ部は、電圧検出型の赤外線センサであることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のセンサ装置。
- 前記入力端は、前記センサ部の出力を択一的に出力するセレクタを介して複数のセンサ部に接続されていることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載のセンサ装置。
- 前記各入力端には、検出対象となる物理量あるいは化学量の変化を受ける検出用の前記センサ部の出力と、検出対象となる物理量あるいは化学量の変化を受けない参照用のセンサ部の出力とがそれぞれ入力されることを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載のセンサ装置。
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Cited By (1)
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JP2013541272A (ja) * | 2010-09-14 | 2013-11-07 | アドヴァンスト・シリコン・ソシエテ・アノニム | 静電容量式タッチアプリケーション用の回路 |
-
2008
- 2008-12-18 JP JP2008322718A patent/JP2009294197A/ja not_active Withdrawn
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EP2617132B1 (en) * | 2010-09-14 | 2020-12-02 | Advanced Silicon SA | Circuit for capacitive touch applications |
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