JP2007057449A - 赤外線センサ - Google Patents
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Abstract
【課題】 電流源や積分器を構成するMOSトランジスタのゲート面積の増大や、ゲート・ソース間の電圧の増加を伴うことなく低雑音化を図った、高感度の熱型赤外線センサを提供する。
【解決手段】 入射赤外線によりその温度が変化する検知素子と、検知素子に定電流を供給するための定電流トランジスタと、検知素子の出力に接続されたフィルタ回路とを含み、フィルタ回路から出力されるセンサ出力により検知素子に入射した赤外線を検出する赤外線センサである。定電流トランジスタが、並列に接続された2つのMOSトランジスタからなり、そのゲートに、定電流を供給する電圧レベルとゲート下が蓄積状態となる電圧レベルとを有し、互いに位相が逆転した矩形波電圧がそれぞれ印加され、矩形波電圧のクロック周波数が、フィルタ回路のカットオフ周波数より高い。
【選択図】図1
【解決手段】 入射赤外線によりその温度が変化する検知素子と、検知素子に定電流を供給するための定電流トランジスタと、検知素子の出力に接続されたフィルタ回路とを含み、フィルタ回路から出力されるセンサ出力により検知素子に入射した赤外線を検出する赤外線センサである。定電流トランジスタが、並列に接続された2つのMOSトランジスタからなり、そのゲートに、定電流を供給する電圧レベルとゲート下が蓄積状態となる電圧レベルとを有し、互いに位相が逆転した矩形波電圧がそれぞれ印加され、矩形波電圧のクロック周波数が、フィルタ回路のカットオフ周波数より高い。
【選択図】図1
Description
本発明は、赤外線センサに関し、特に、1/f雑音を低減した高感度の熱型赤外線センサに関する。
従来技術として、定電流で駆動されたダイオードの順方向電圧温度依存性を利用した熱型赤外線センサが、例えば非特許文献1に記載されている。かかる熱型赤外線センサでは、ダイオードは中空構造の上に形成され、定電流源から定電流が供給されている。ダイオードに赤外線が入射することによりダイオードの温度が変化する。ダイオードの温度変化は、ダイオードに接続された出力端子の電圧変化として検出され、ダイオードが温度センサとして機能する。出力端子には、定電流源と増幅器と帯域制限フィルタが接続されている。帯域制限フィルタは雑音帯域を制限するものである。定電流源は増幅器に接続されるので低雑音である必要がある
Infrared Phys. Vol.33, No.4, pp. 229-236, (1992)
Infrared Phys. Vol.33, No.4, pp. 229-236, (1992)
熱型赤外線センサの高感度化には、回路の低雑音化が必須であるが、MOSトランジスタを用いてこれらの回路を形成する場合、MOSトランジスタの1/f雑音の低減が重要になる。谷口研二著「LSI設計者のためのCMOSアナログ回路入門」CQ出版社(2005年)96−98頁によれば、MOSトランジスタの雑音因子には熱雑音と1/f雑音がある。同書によると、飽和領域で動作するMOSトランジスタの熱雑音電流密度SIth(A2/Hz)は次の式1で表される。
ここで、kはボルツマン定数、Tは絶対温度、gmはトランジスタの相互コンダクタンスである。
また、1/f雑音電流密度SI1/f(A2/Hz)は次の式2で表される。
ここで、Ktは製造プロセスに依存する定数で10−24V2F程度の値となる。L、W、Coxはそれぞれ、トランジスタのゲート長、ゲート幅、単位面積あたりのゲート酸化膜容量で、fは周波数である。なお、観測される量は、通常、電圧であるが、これは、式1、式2をそれぞれ帯域内で積分したのち、平方根をとった値に回路インピーダンスを乗じた値である。なお、熱雑音と1/f雑音とが合成された合成雑音は、それぞれの雑音の平均2乗和として求められる。
図1に、具体例として、gm=50μA/V、LW=500μm2、Cox=3.45x10−3pF/μm(ゲート酸化膜厚=0.01μm)として計算したMOSトランジスタの雑音を示す。図1では、横軸にMOSトランジスタの使用周波数、縦軸に雑音電流密度SIを示す。
図1に示すように、MOSトランジスタの雑音(全雑音)は、低周波側では1/f雑音が支配的となる。通常の熱型赤外線センサでは、帯域制限周波数は高くてもせいぜい数kHzであるため、センサー回路の低雑音化を図るには、1/f雑音の低減が非常に有効である。
一方、式2より、1/f雑音低減には電流源及び積分器を構成するMOSトランジスタのゲート面積を増やす、もしくはgmを小さくするしかない。
しかしながら、ゲート面積増大はその平方根としての効果しかなく、また、電流一定のもとでのgmの減少を行うにはトランジスタのゲート・ソース間電圧を増やす必要があり、低電圧駆動において問題となる。
しかしながら、ゲート面積増大はその平方根としての効果しかなく、また、電流一定のもとでのgmの減少を行うにはトランジスタのゲート・ソース間電圧を増やす必要があり、低電圧駆動において問題となる。
そこで、本発明は、電流源や積分器を構成するMOSトランジスタのゲート面積の増大や、ゲート・ソース間の電圧の増加を伴うことなく低雑音化を図った、高感度の熱型赤外線センサの提供を目的とする。
本発明は、入射赤外線によりその温度が変化する検知素子と、検知素子に定電流を供給するための定電流トランジスタと、検知素子の出力に接続されたフィルタ回路とを含み、フィルタ回路から出力されるセンサ出力により検知素子に入射した赤外線を検出する赤外線センサであって、定電流トランジスタが、並列に接続された2つのMOSトランジスタからなり、そのゲートに、定電流を供給する電圧レベルとゲート下が蓄積状態となる電圧レベルとを有し、互いに位相が逆転した矩形波電圧がそれぞれ印加され、矩形波電圧のクロック周波数が、フィルタ回路のカットオフ周波数より高いことを特徴とする赤外線センサである。
本発明にかかる熱型赤外線センサでは、定電流の供給と積分動作を維持しつつ、MOSトランジスタの1/f雑音を低減でき、高感度の熱型赤外線センサを実現できる。
また、スイッチング周波数を積分器の通過帯域より高い周波数に設定したので、スイッチングに伴う切替えノイズは外部に出力されず、高感度の熱型赤外線センサを実現できる。
実施の形態1.
図2は、全体が100で表される、本発明の実施の形態1にかかる熱型赤外線センサの回路図である。
熱型温度センサ100は、温度センサ102を構成する検知素子であるダイオード101を含む。ダイオード101の陽極側は電源線103に接続され、陰極側は互いに並列接続された2つのNチャネルMOSトランジスタ104、105のドレインに接続されている。MOSトランジスタ104、105のソースは接地されている。
図2は、全体が100で表される、本発明の実施の形態1にかかる熱型赤外線センサの回路図である。
熱型温度センサ100は、温度センサ102を構成する検知素子であるダイオード101を含む。ダイオード101の陽極側は電源線103に接続され、陰極側は互いに並列接続された2つのNチャネルMOSトランジスタ104、105のドレインに接続されている。MOSトランジスタ104、105のソースは接地されている。
MOSトランジスタ104、105のゲートには、クロックΦca、Φcbが入力される。図3は、クロックΦca、Φcbのタイミングチャートであり、クロックΦca、Φcbは、互いに位相が反転した方形波となっている。また、クロックの高(H)レベルは定電流を供給する電圧(VH)、低(L)レベルはゲート下が蓄積状態となるのに十分な電圧(VL)とする。
このように、MOSトランジスタのゲート電圧に、ゲート下反転電圧(VH)と蓄積電圧を交互に与えることにより、例えば「Appl. Phys. Lett. Vol.58, No.15, pp.1664-1666, (1991)」に記載されているように、1/f雑音を約1/3に低減できる。なお、この文献に示したように、1/f雑音の低減については、詳しくメカニズムはわかっていない。
図3に示すように、MOSトランジスタ105のゲートに低い電圧(VL)を印加した場合、ゲート下が蓄積状態になり、MOSトランジスタ105には電流は流れない。一方、このタイミングで、並列に接続されたMOSトランジスタ106のゲートに高い電圧(VH)が印加され、ゲート下が反転状態となり、MOSトランジスタ106には電流が流れる。この結果、ダイオード101には従来と同様に、常に一定の定電流が供給されることとなる。
なお、従来の単一トランジスタ構造に比較してトランジスタが2個に増加するが、ゲート面積を2倍にした単一トランジスタでは、1/f雑音は1/√2にしか低減できないのに対し、本実施の形態にかかる熱型赤外線センサ100では、上述のように、1/f雑音を1/3に低減できる。
ダイオード101とトランジスタ104、105との接続点の電圧Vinは、フィルタ回路106に入力される。フィルタ回路106には、例えば、受動素子を用いた低域通過フィルタ、能動素子を用いた低域通過フィルタ、積分器等が使用される。
フィルタ回路106からの出直電圧Voutは、熱型赤外線センサ100の出力となる。
フィルタ回路106からの出直電圧Voutは、熱型赤外線センサ100の出力となる。
ここで、クロックΦca、Φcbの周波数を、フィルタ回路106のカットオフ周波数より高くしておくことで、クロックΦca、Φcbの電圧遷移に伴うスイッチングノイズはVoutに重畳されない。
図4は、全体が400で表される、受動素子を用いたフィルタ回路の一例である。フィルタ回路400は、容量素子401と抵抗素子402とからなる。
図5は、全体が500で表される、互いに反転するクロックΦca、Φcbを供給するための回路の一例である。
図5中、502、505は、NチャネルMOSトランジスタ、503、504はPチャネルMOSトランジスタとなっている。NチャネルMOSトランジスタ502は、電源線501に接続されている。
PチャネルMOSトランジスタ504とNチャネルMOSトランジスタ505とは、インバータ回路を形成する。これにより、入力クロックΦcaに対して反転した出力クロックΦcbが得られる。
一方、NチャネルMOSトランジスタ502とPチャネルMOSトランジスタ503では、クロックがHレベル、Lレベルの各状態で、片方のトランジスタのみが導通し、入力クロックΦcaと同相の出力クロックΦcbを得る。また、インバータとほぼ同じ遅延時間を与えている。
図5中、502、505は、NチャネルMOSトランジスタ、503、504はPチャネルMOSトランジスタとなっている。NチャネルMOSトランジスタ502は、電源線501に接続されている。
PチャネルMOSトランジスタ504とNチャネルMOSトランジスタ505とは、インバータ回路を形成する。これにより、入力クロックΦcaに対して反転した出力クロックΦcbが得られる。
一方、NチャネルMOSトランジスタ502とPチャネルMOSトランジスタ503では、クロックがHレベル、Lレベルの各状態で、片方のトランジスタのみが導通し、入力クロックΦcaと同相の出力クロックΦcbを得る。また、インバータとほぼ同じ遅延時間を与えている。
実施の形態2.
図6は、全体が600で表される、本実施の形態2にかかるフィルタ回路であり、熱型赤外線センサ100のフィルタ回路106として使用される。かかるフィルタ回路600では、能動素子を用いた低域通過フィルタとして、スイッチドキャパシタフィルタが用いられている。
図6は、全体が600で表される、本実施の形態2にかかるフィルタ回路であり、熱型赤外線センサ100のフィルタ回路106として使用される。かかるフィルタ回路600では、能動素子を用いた低域通過フィルタとして、スイッチドキャパシタフィルタが用いられている。
フィルタ回路600では、互いに位相が180°ずれたクロックΦsa、Φsbが与えられるMOSトランジスタ601、602が直列に接続されている。その接続点には、サンプリング容量603が接続されている。MOSトランジスタ602のソース側には容量605で帰還接続されたオペアンプ604が接続されている。
スイッチドキャパシタフィルタの動作原理は一般に知られており、ここでは説明を省略するが、周波数fcのクロックが与えられたMOSトランジスタ601、602と容量603で、等価的に1/(C・fc)の抵抗として機能する。
図7、8は、フィルタ600を、熱型赤外線センサ100に適用した場合の、制御クロックΦca、Φcbと、クロックΦsa、Φsbとのタイミングチャートを示す。図7、8では、容量603へのサンプリングを制御するクロックΦsaを、制御クロックΦcaまたはΦcbの一方のみが高レベル(VH)となる期間のみ与える。
制御クロックΦca、Φcbは、理想的には図3に示すような反転クロックだが、クロック形成手法によっては、図7に示すように、VL期間互いにオーバラップする場合や、図8に示すように、VH期間が互いにオーバラップする場合が起こり得る。
図7の場合、ダイオード101に電流が流れない期間(双方ともVLとなる期間)が発生し、出力電圧Vinは、電源電圧側に大きく振れる。
逆に、図8の場合、ダイオード101に電流が通常より2倍になる期間(双方ともVHとなる期間)が発生し、出力電圧Vinは接地側に大きく振れる。
このような電圧変動は、フィルタ回路106で完全に除去できない場合が発生するとともに、電源電流の変動によりダイオード101の温度変化係数が変化し、赤外線感度の変動をもたらすという問題もある。
逆に、図8の場合、ダイオード101に電流が通常より2倍になる期間(双方ともVHとなる期間)が発生し、出力電圧Vinは接地側に大きく振れる。
このような電圧変動は、フィルタ回路106で完全に除去できない場合が発生するとともに、電源電流の変動によりダイオード101の温度変化係数が変化し、赤外線感度の変動をもたらすという問題もある。
これに対して、図7、図8に示したクロックΦsa、Φsbを用いることにより、ダイオード101の電流が通常と異なる期間(双方ともVHまたはVLとなる期間)の出力を外部に出さないことが可能となり、1/f雑音が少なくかつ、出力電圧変動や感度変動の少ない熱型赤外線センサが実現できる。
実施の形態3.
図9は、全体が200で表される、本発明の実施の形態3にかかる熱型赤外線センサの回路図であり、図2と同一符合は、同一又は相当箇所を示す。熱型赤外線センサ200では、フィルタ回路106に、能動素子を使った積分器(ゲート変調積分器)が用いられている。ゲート変調積分器については、例えば、「Proc. SPIE 3698, pp.556-564, (1999)」に記載がある。
図9は、全体が200で表される、本発明の実施の形態3にかかる熱型赤外線センサの回路図であり、図2と同一符合は、同一又は相当箇所を示す。熱型赤外線センサ200では、フィルタ回路106に、能動素子を使った積分器(ゲート変調積分器)が用いられている。ゲート変調積分器については、例えば、「Proc. SPIE 3698, pp.556-564, (1999)」に記載がある。
熱型赤外線センサ200では、入力信号電圧を電流に変換するMOSトランジスタ(積分トランジスタ)901、902が並列接続されている。MOSトランジスタ901、902のソースには、バイアス線903からバイアス電圧が与えられる。一方、MOSトランジスタ901、902のドレインには、スイッチ907により、リセット電源線908から周期的にリセット電圧が与えられる積分容量906が接続されている。
MOSトランジスタ901のゲートには切り替えスイッチ904が、MOSトランジスタ902のゲートには切り替えスイッチ905が、それぞれ接続される。これにより、図10に示したように、MOSトランジスタ901、902のゲート電圧が、交互にVin電圧とGND電圧に切り替えられる。図10のタイミングチャートに示すように、スイッチ904、905の切り替えは、制御クロックΦca、Φcbと同期しておくことが好ましい。
かかるゲート変調積分器を用いることにより、従来と同じ積分動作を維持しながら熱型赤外線センサ200の1/f雑音を低減でき、より高感度な熱型赤外線センサ200が実現できる。
図11は、全体のクロックのタイミングチャートである。スイッチ907がOFFの期間が、ゲート変調積分器の積分時間Tiに相当する。積分容量906の電位は、図11の1101で示されるように、MOSトランジスタ(積分トランジスタ)の電流により放電され、リセット電圧Vrから次のリセットまでにVhだけ下がる。MOSトランジスタ(積分トランジスタ)のゲート電圧、すなわちVinが変化することで放電量が変化する。Vinが大きくなると放電量は1102のように大きくなり、Vinが小さくなると放電量は1103のように小さくなる。リセット直前の電圧をサンプルホールド回路でサンプリングして外部に出力する。このような積分器の周波数特性G(f)は以下の式3で表される。
ここで、gmはMOSトランジスタ(積分トランジスタ)901、902の相互コンダクタンスである。
式3から得られる等価雑音帯域幅は、1/2Tiとなる。よって、制御クロックΦca、Φcbとスイッチ904、905の切り替え周波数を1/2Tiより大きくすることで、切り替えにともなうスイッチング雑音が外部に出力されないようにできる。
更に、式3から、周波数fがn/Ti(nは自然)で、応答が0になることがわかる。よって、制御クロックΦca、Φcbと、スイッチ904、905の切り替え周波数をn/Ti(nは自然)とすることで、切り替えにともなうスイッチング雑音の除去効果はより大きくなる。
実施の形態4.
上述の実施の形態2と同様に、制御クロックΦca、Φcbの一方のみがVHレベルになるタイミングで、MOSトランジスタ901、902のゲートをVinに接続すれば、ダイオードの電流が通常と異なる期間(制御クロックΦca、Φcbの双方がVHレベルになる期間)の出力を外部に出さないことが可能になり、1/f雑音が少なくかつ、出力電圧変動や感度変動の少ない熱型赤外線センサが実現できる。
上述の実施の形態2と同様に、制御クロックΦca、Φcbの一方のみがVHレベルになるタイミングで、MOSトランジスタ901、902のゲートをVinに接続すれば、ダイオードの電流が通常と異なる期間(制御クロックΦca、Φcbの双方がVHレベルになる期間)の出力を外部に出さないことが可能になり、1/f雑音が少なくかつ、出力電圧変動や感度変動の少ない熱型赤外線センサが実現できる。
図12、13は、本実施の形態にかかるクロックのタイミングチャートである。
図12では、制御クロックΦca、Φcbが、互いにVLの期間がオーバラップする場合を示し、一方、図13は、互いにVH期間がオーバラップする場合を示している。904、905(スイッチ)で示すように、制御クロックΦca、Φcbの一方のみがVHレベルになり、電流源のゲートにVHレベルの電圧が加わっている期間のみMOSトランジスタ901、902のゲートにViが入力されるようにする。これにより、ダイオードの電流が通常と異なる期間の出力を積分しないことが可能になり、1/f雑音が少なくかつ、出力電圧変動や感度変動の少ない熱型赤外線センサが実現できる。
図12では、制御クロックΦca、Φcbが、互いにVLの期間がオーバラップする場合を示し、一方、図13は、互いにVH期間がオーバラップする場合を示している。904、905(スイッチ)で示すように、制御クロックΦca、Φcbの一方のみがVHレベルになり、電流源のゲートにVHレベルの電圧が加わっている期間のみMOSトランジスタ901、902のゲートにViが入力されるようにする。これにより、ダイオードの電流が通常と異なる期間の出力を積分しないことが可能になり、1/f雑音が少なくかつ、出力電圧変動や感度変動の少ない熱型赤外線センサが実現できる。
この場合、MOSトランジスタ901、902は、積分時間Tiに渡って連続的には通電しないことになり、従来に比べてTiが短くなり、式3より、利得の低下と等価雑音帯域幅の増大がおこる。式3より、利得の低下分は積分容量の減少で補えるが、雑音帯域については、スイッチ904と905がVinに接続される期間の総和を、可能な限り積分時間Tiに近づけるのが望ましい。
雑音帯域幅の影響については、熱雑音に対しては、帯域幅の平方根で影響し、1/f雑音に対しては、帯域幅の自然対数の平方根で影響する。仮に、雑音帯域幅の増大による雑音増加を10%以下にするには、熱雑音で考えると積分時間の変化は1/1.12=83%までにすればよい。
上述の文献「Proc. SPIE 3698, pp.556-564, (1999)」で示された雑音帯域幅は、10kHz弱である。従って、雑音を考慮する低域側の下限周波数を1Hzとすると、通電時間が従来の83%に減少したことによる1/f雑音の増加割合は、√(ln(10E3/0.83)/ln(10E3))=1.01、即ち、約1%の増加の留まり、ほとんど無視することができる。
実施の形態5.
図14は、全体が700で表される、本発明の実施の形態5にかかるフィルタ回路であり、熱型赤外線センサ100のフィルタ回路106として使用される。かかるフィルタ回路106には、差動電圧電流変換アンプが用いられる。
このように、フィルタ回路106に差動電圧電流変換アンプ用いることにより、一方の入力端子には信号(Vin)を入力し、他方の入力端子には基準信号(VREF)を入力する。基準信号としては、例えば、文献「Technical Digest of the 11th Sensors Symposium, pp. 99-102 (1992)」に記載されたようなセンサ温度を反映した信号を入力することで、センサの温度ドリフトを低減することができる。
図14は、全体が700で表される、本発明の実施の形態5にかかるフィルタ回路であり、熱型赤外線センサ100のフィルタ回路106として使用される。かかるフィルタ回路106には、差動電圧電流変換アンプが用いられる。
このように、フィルタ回路106に差動電圧電流変換アンプ用いることにより、一方の入力端子には信号(Vin)を入力し、他方の入力端子には基準信号(VREF)を入力する。基準信号としては、例えば、文献「Technical Digest of the 11th Sensors Symposium, pp. 99-102 (1992)」に記載されたようなセンサ温度を反映した信号を入力することで、センサの温度ドリフトを低減することができる。
MOSトランジスタを用いた差動電圧電流変換アンプは他にも存在するが、本実施の形態にかかる差動電圧電流変換アンプでは、主な雑音発生源であるドライバトランジスタ1402、1403、1404、1405が互いに並列接続され、各トランジスタのゲートにスイッチ1411、1412、1409、1410が接続され、これによりVin又は基準信号とVLを交互に入力させるようにしている。
上述の実施の形態4の場合と同じく、並列に接続されたドライバトランジスタ14021403、およびドライバトランジスタ1404、1405は、互いに交互に通電されるようにスイッチ1409〜1412を動作させればよい。この場合、スイッチ1411とスイッチ1412、スイッチ1409とスイッチ1410とが互いに逆位相で動けばよい。
ここで、トランジスタ1401は、差動電圧電流変換アンプの動作電流を決めるためのトランジスタであり、ゲートには一定バイアスが与えられる。トランジスタ1406、1407は、電源線1408とドライバトランジスタ1402〜1405の間に接続されたアクティブロードトランジスタである。
トランジスタ1401の雑音電流は、差動対の両方に均等に流れるため外部には出力されない。一方、アクティブロードトランジスタ1406、1407の雑音電流は出力に影響を与える。
このアクティブロードトランジスタ1406、1407も並列に接続して、蓄積状態と反転状態を繰り返すように切り替えるクロックをいれてもよいが、通常の設計ではドライバトランジスタ1402〜1405のgmをアクティブロードトランジスタ1406、1407のgmよりも大きく設計するため、ドライバトランジスタ1402〜1405をクロックでスイッチングするだけで十分である。
このアクティブロードトランジスタ1406、1407も並列に接続して、蓄積状態と反転状態を繰り返すように切り替えるクロックをいれてもよいが、通常の設計ではドライバトランジスタ1402〜1405のgmをアクティブロードトランジスタ1406、1407のgmよりも大きく設計するため、ドライバトランジスタ1402〜1405をクロックでスイッチングするだけで十分である。
実施の形態6.
上述の実施の形態1〜5は、全て、単一のダイオード101を用いた赤外センサに関するものであったが、ダイオード101をアレイ状に配置することで、定電流源と積分回路で1/f雑音が低減された、高感度な熱型赤外線イメージセンサを実現できる。
上述の実施の形態1〜5は、全て、単一のダイオード101を用いた赤外センサに関するものであったが、ダイオード101をアレイ状に配置することで、定電流源と積分回路で1/f雑音が低減された、高感度な熱型赤外線イメージセンサを実現できる。
図15は、全体が800で表される、本実施の形態6にかかる熱型赤外線イメージセンサの回路図である。
熱型赤外線イメージセンサ800では、垂直走査回路1501とスイッチ1503により、電源端子1502から駆動線1504に、行単位で電圧が印加され、ダイオード101を通して電流源であるMOSトランジスタ104、105に電流が流れる。電流源は、MOSトランジスタ104、105の並列接続になっており、そのゲートに位相が互いに反転した制御クロックΦca、Φcbが入力される。
MOSトランジスタ104、105にとって、制御クロックの高(VH)レベルを定電流を供給する電圧とし、低(VL)レベルをゲート下が蓄積状態となるのに十分な電圧としている。
フィルタ回路106は、上述のように、受動素子を用いた低域通過フィルタ、能動素子を用いた低域通過フィルタ、又は積分器である。その出力はサンプルホールド回路1506でサンプリングされ、水平走査回路1507とスイッチ1508により順に出力アンプ1509を介して出力端子1510に出力される。
フィルタ回路106は、上述のように、受動素子を用いた低域通過フィルタ、能動素子を用いた低域通過フィルタ、又は積分器である。その出力はサンプルホールド回路1506でサンプリングされ、水平走査回路1507とスイッチ1508により順に出力アンプ1509を介して出力端子1510に出力される。
低域通過フィルタもしくは積分器であるフィルタ回路106として、上述のような回路(図6、図9、図14)を適用すれば、電流源だけでなく、この回路で発生する1/f雑音も低減できる。
なお、出力アンプ1509をMOSトランジスタで構成すれば、1/f雑音が問題になる。この場合、図9、図14で示したような増幅機能を有する積分器を用いると、後段の回路の雑音は見かけ上、1/(積分器の利得)の影響しか与えなくなるので、フィルタ回路106には増幅機能を有する積分器を用いるのが好ましい。
なお、出力アンプ1509をMOSトランジスタで構成すれば、1/f雑音が問題になる。この場合、図9、図14で示したような増幅機能を有する積分器を用いると、後段の回路の雑音は見かけ上、1/(積分器の利得)の影響しか与えなくなるので、フィルタ回路106には増幅機能を有する積分器を用いるのが好ましい。
なお、以上の実施の形態1〜6において、Nチャネル型のエンハンスメントトランジスタを用いる場合は、高レベル(VL)の電位は、接地電位でよい。
また、1/f雑音の低減を行うトランジスタを、全てNチャネル型MOSトランジスタを用いて説明したが、Pチャネル型MOSトランジスタを用いても構わない。この場合、例えば、図2ではダイオードの向きを逆にし、接地と電源の関係を全て逆にすればよい。また、ゲートの高電圧(VH)側が蓄積状態となり、低電圧(VL)側が反転状態になる。
図9では、このような変更に加え、リセット電源(Vr)が接地電位となる。
図14では、PチャネルMOSトランジスタをドライバトランジスタとバイアストランジスタに用い、ロードトランジスタをNチャネルMOSトランジスタとし、電源と接地を逆にすればよい。更に、リセット電源Vrを接地電位とすればよい。
また、実施の形態1〜5において、温度センサとして、ダイオードの代わりにボロメータを用いても構わない。
100 熱型赤外線センサ、102 温度センサ、105、104 MOSトランジスタ、106 フィルタ回路、603 サンプリング容量、904、905 スイッチ、901、902 MOSトランジスタ、1402〜1405 ドライバMOSトランジスタ、1409〜1412 スイッチ。
Claims (7)
- 入射赤外線によりその温度が変化する検知素子と、該検知素子に定電流を供給するための定電流トランジスタと、該検知素子の出力に接続されたフィルタ回路とを含み、該フィルタ回路から出力されるセンサ出力により該検知素子に入射した赤外線を検出する赤外線センサであって、
該定電流トランジスタが、並列に接続された2つのMOSトランジスタからなり、そのゲートに、該定電流を供給する電圧レベルとゲート下が蓄積状態となる電圧レベルとを有し互いに位相が逆転した矩形波電圧がそれぞれ印加され、
該矩形波電圧のクロック周波数が、該フィルタ回路のカットオフ周波数より高いことを特徴とする赤外線センサ。 - 上記フィルタ回路が、サンプリング容量を備えたスイッチドキャパシタフィルタから構成され、該サンプリング容量へのサンプリングが、上記MOSトランジスタの、いずれか一方のゲートに上記定電流を供給する電圧レベルが与えられている間にのみ行われることを特徴とする請求項1に記載の赤外線センサ。
- 上記フィルタ回路が、積分トランジスタの電圧電流変換機能を利用したゲート変調積分回路から構成され、
該積分トランジスタは並列に接続された2つのMOSトランジスタからなり、そのゲートには、上記センサ出力を出力する電圧レベルとゲート下が蓄積状態となる電圧レベルとを有し互いに位相が逆転した矩形波電圧がそれぞれ印加され、
該矩形波電圧のクロック周波数が、該ゲート積分回路の等価雑音帯域周波数より高いことを特徴とする請求項1に記載の赤外線センサ。 - 上記積分トランジスタのゲートに印加される矩形波電圧の切替えスイッチを含み、該切替えスイッチの周波数と、上記定電流トランジスタのゲートに与えられるクロック周波数が、nを自然数として、n/(積分時間)に設定されていることを特徴とする請求項3に記載の赤外線センサ。
- 上記積分トランジスタのゲートが上記センサ出力を供給する期間が、上記定電流トランジスタのいずれか一方のみのゲートに定電流を供給する電圧が与えられている期間内に設定されたことを特徴とする請求項3または4に記載の赤外線センサ。
- 上記フィルタ回路が、ドライバトランジスタによる電圧電流変換機能を利用した差動積分回路により構成され、
該差動積分回路の一方の入力端子には上記センサ出力が、他方の入力端子には該センサ出力に依存した基準信号が入力され、
該ドライバトランジスタは並列に接続された2つのMOSトランジスタからなり、そのゲートには、該センサ出力または該基準信号を出力する電圧レベルとゲート下が蓄積状態となる電圧レベルとを有し互いに位相が逆転した矩形波電圧がそれぞれ印加され、
該矩形波電圧のクロック周波数が、該差動積分回路の等価雑音帯域周波数より大きいことを特徴とする請求項1に記載の赤外線センサ。 - 上記フィルタ回路が、受動素子を用いた低域通過フィルタ、能動素子を用いた低域通過フィルタ、および積分器から選択される一の回路であることを特徴とする請求項1に記載の赤外線センサ。
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---|---|---|---|---|
WO2009136630A1 (ja) * | 2008-05-09 | 2009-11-12 | パナソニック電工株式会社 | センサ装置 |
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2005
- 2005-08-26 JP JP2005245243A patent/JP2007057449A/ja active Pending
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