JP2009293744A - 可変容量型ポンプモータ式変速機 - Google Patents

可変容量型ポンプモータ式変速機 Download PDF

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Abstract

【課題】最高速段での変速機の動力伝達効率を向上できる可変容量型ポンプモータ式変速機を提供すること。
【解決手段】油圧を発生することに伴う反力を動力源1が連結されている差動機構6,8に動力源1から伝達される入力トルクに対する反力トルクとして与える可変容量型ポンプモータ7,9と、差動機構6,8からトルクが伝達される中間軸4,5と出力部材17との間に設けられ、それらの間を選択的に動力伝達可能な状態にする複数の変速段用伝動機構14,18,19,20,21,22とを有する可変容量型ポンプモータ式変速機TMにおいて、動力源1および差動機構6,8と出力部材17との間に設けられ、選択的に、動力源1と出力部材17との間を動力伝達可能な状態にしかつ差動機構6,8と出力部材17との間を動力伝達不可能な状態にする直結段用伝動機構12,15を設ける。
【選択図】図1

Description

この発明は、内燃機関などの動力源を差動機構および変速用伝動機構を介して出力部材に伝達し、かつその差動機構に対して可変容量型ポンプモータで反力トルクを与えることにより出力部材のトルクを制御できる変速機に関するものである。
この種の変速機の一例が特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載された変速機は、2組の差動機構における入力要素のそれぞれにエンジンを連結する一方、各差動機構における反力要素に可変容量型の油圧ポンプモータを連結するとともに、いずれかの油圧ポンプモータは押出容積を正負の両方向に変化させることのできるいわゆる両振り型とし、さらに各差動機構における出力要素と出力部材との間に、同期連結機構(例えばシンクロナイザー)を介して選択的にトルク(動力)伝達可能とされる複数の変速段用ギヤ対を設けて構成されている。さらに、それらの油圧ポンプモータは、いわゆる正回転状態で圧油を吐出する吐出口同士、および圧油を吸入する吸入口同士を連通させる閉油圧回路によって接続されている。
したがって、特許文献1に記載されている変速機では、それぞれの油圧ポンプモータの押出容積を所定の容積に設定するとともに、隣接する変速段を設定するための変速段用ギヤ対を出力部材に対してトルク伝達が可能な状態にすることにより、一方の油圧ポンプモータがポンプとして機能して油圧を発生し、それに伴う反力が一方の差動機構における反力要素に作用する。その差動機構では、入力要素に動力源からのトルクが作用し、反力要素には油圧ポンプモータによる反力トルクが作用しているので、これらのトルクを合成したトルクが出力要素から所定の変速段用ギヤ対に出力される。そして、その変速段用ギヤ対のギヤ比に応じて増幅されたトルクが出力部材に伝達される。
これに対して、他方の油圧ポンプモータは閉油圧回路を介して圧油が供給されることによりモータとして機能し、そのトルクが他方の差動機構における反力要素に伝達される。その他方の差動機構では、入力要素に動力源からのトルクが入力されているので、そのトルクと反力要素に伝達されたトルクとが合成されて出力要素から所定の変速段用ギヤ対に出力される。そして、その変速段用ギヤ対のギヤ比に応じて増幅されたトルクが出力部材に伝達される。すなわち、出力部材には2組の変速用ギヤ対を介して伝達されたトルクを合成したトルクが現れる。そして、そのトルクは、油圧を介して伝達されるトルクの割合すなわちポンプモータの押出容積に応じて変化し、したがって変速比を連続的に変化させることができる。
さらに、特許文献1に記載された変速機では、いずれか一方のポンプモータの押出容積を“0”にすれば、閉油圧回路での圧油の流動が阻止されるので、他方のポンプモータがロックされる。その結果、そのポンプモータが連結されている差動機構の反力要素が固定されるので、動力源が出力した動力は、その差動機構および所定の変速段用ギヤ対を介して出力部材に伝達される。そして、その変速用ギヤ対のギヤ比に応じた固定段変速比(固定変速段)が設定される。したがってこの場合、油圧を介した動力の伝達が生じないので、動力伝達効率が相対的に良好になる。
なお、特許文献2には、油圧による動力伝達と機械的な動力伝達とを行う油圧−機械式(動力分割式)の変速装置(ハイドロ・メカニカル・トランスミッション;HMT)であって、入力軸から出力軸への動力伝達を遊星歯車機構のみにより行う機械的直結領域が設定できるようにして、この機械的直結領域において油圧伝動部における圧油の流動を阻止する手段(ロッククラッチ、連通弁など)を設けた構成のHMTに関する発明が記載されている。
また、特許文献3には、4段の変速比を選択して設定できる主変速機構と、減速状態および直結状態を設定できる副変速機構とを並列に組み合わせた自動変速機であって、主変速機構を3速(直結)状態で保持するとともに副変速機構を直結状態にすることにより、変速比が1となる第4速(直結変速段)を設定することができ、その第4速の状態から副変速機構を直結状態で保持するとともに主変速機構を4速(増速)状態にすることにより、変速比が1より小さくなる第5速(いわゆるオーバードライブ)を設定することができるように構成した自動変速機に関する発明が記載されている。
特開2007−64269号公報 特開2005−76788号公報 特開平2−62470号公報
上述したように、上記の特許文献1に記載されている変速機では、一方のポンプモータの押出容積を“0”にして他方のポンプモータをロックすれば、他方の差動機構における反力要素が固定されるので、動力源が出力した動力は、その差動機構および所定の変速段用ギヤ対を介して出力部材に伝達される。これは、動力を油圧の流動に変換することのないいわゆる機械的な動力伝達になるので、変速機の動力伝達効率が相対的に良好になる。この動力伝達効率が良好な油圧を介さない機械的な動力伝達状態、すなわち固定段変速比(固定変速段)を設定した状態で、動力源の出力トルクを直接(すなわち直結状態で)もしくは増速して(すなわちオーバードライブ状態で)出力軸側に伝達することができれば、変速機の動力伝達効率は一層良好なものになる。
しかしながら、上記の特許文献1に記載されている変速機は、動力源の出力トルクを直結状態もしくはオーバードライブ状態で出力軸側に伝達できる構成にはなっておらず、変速機の、特に高速段での動力伝達効率を向上させるためには、未だ改良の余地があった。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、油圧を介した動力伝達を伴わない変速段もしくはこれに近い変速比での変速機の動力伝達効率を向上させることができる可変容量型ポンプモータ式変速機を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、流体圧を発生することに伴う反力を動力源が連結されている差動機構に該動力源から伝達される入力トルクに対する反力トルクとして与える可変容量型ポンプモータと、その差動機構から出力されたトルクが伝達される中間軸と出力部材との間に設けられ、それら中間軸と出力部材との間を選択的に動力伝達可能な状態にする複数の変速段用伝動機構とを有する可変容量型ポンプモータ式変速機において、前記動力源および前記差動機構と前記出力部材との間に設けられ、選択的に、前記動力源と前記出力部材との間を動力伝達可能な状態にしかつ前記差動機構と前記出力部材との間を動力伝達不可能な状態にする直結段用伝動機構を備えていることを特徴とする変速機である。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記直結段用伝動機構により前記動力源と前記出力部材との間を動力伝達不可能な状態から動力伝達可能な状態に切り替える際に、前記動力源の回転を制動する同期補助機構を更に備えていることを特徴とする変速機である。
さらに、請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記直結段用伝動機構が、前記動力源からのトルクを前記出力部材へ伝達する場合の前記出力部材の回転数に対する前記動力源の回転数の比である変速比が前記変速段用伝動機構のいずれの変速段の変速比よりも小さく設定された機構を含むことを特徴とする変速機である。
そして、請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記直結段用伝動機構が、前記変速比が“1”以下の所定値に設定された機構を含むことを特徴とする変速機である。
請求項1の発明によれば、直結段用伝動機構により差動機構と出力部材との間を動力伝達可能な状態にするとともに動力源と出力部材との間の動力伝達を遮断し、かつ可変容量型ポンプモータで流体圧を発生させることにより差動機構に対して反力トルクを与えている状態では、動力源が出力したトルクと反力トルクとが差動機構で合成され、そのトルクが所定の変速段用伝動機構を介して出力部材に伝達される。これに対して、直結段用伝動機構により差動機構と出力部材との間の動力伝達を遮断するとともに動力源と出力部材との間を動力伝達可能な状態にすることにより、動力源の出力トルクがそのまま出力部材に伝達されて、いわゆる直結段となる。その場合、可変容量型ポンプモータが反力を出力する必要がなく、また動力源から出力部材への動力伝達経路と可変容量型ポンプモータとの間の動力伝達が遮断されている。そのため、油圧の漏れやギヤでの摩擦などによる動力損失あるいは可変容量型ポンプモータの引き摺り損失の発生を回避もしくは抑制し、変速機の動力伝達効率を向上させることができる。
また、請求項2の発明によれば、アップシフトのために動力源と出力部材との間を動力伝達不可能な状態から動力伝達可能な状態へ切り替える際の所定の回転部材間での回転同期を促進して補助することができる。すなわち、直結段用伝動機構により動力源と出力部材との間を動力伝達を遮断した状態から動力伝達可能な状態へ切り替える際に、動力源の出力トルクにより駆動されている入力側の回転部材の回転数と、その入力側回転部材と係合して出力部材へ動力源の出力トルクを伝達する出力側の回転部材の回転数との同期が必要になる。特に、動力源と出力部材との間を動力伝達を遮断した状態から動力伝達可能な状態へ切り替えることにより変速比が小さくなる場合すなわちアップシフトされる場合は、入力側の回転部材の回転数を低下させる必要がある。その場合、同期補助機構で動力源の回転を制動することにより、入力側の回転部材の回転数を低下させることができる。そのため、入力側の回転部材の回転数と出力側の回転部材の回転数との同期を促進して、動力源と出力部材との間の動力伝達状態の切り替えをスムーズに行うことができる。また、その際の同期連結機構による各回転部材間の同期を、同期補助機構によって補助することができるので、同期連結機構を小容量の小型のものとすることができる。
さらに、請求項3の発明によれば、直結段用伝動機構により、動力源と出力部材との間を動力伝達可能な状態にすることにより、変速段用伝動機構により設定される他の変速段の変速比よりも小さい変速比の変速段、すなわち変速機の最高速段が設定される。したがって、最高速段設定時の変速機の動力伝達効率を向上させることができる。例えば、内燃機関を動力源としてこの発明の変速機に連結した場合、変速機を動力伝達効率の良い最高速段にして内燃機関を運転効率の良い領域で運転させることができ、内燃機関の燃費を向上させることができる。
そして、請求項4の発明によれば、直結段用伝動機構により、動力源と出力部材との間を動力伝達可能な状態にすることにより、変速比が“1”以下の変速段、すなわち変速機の直結段もしくは増速段が設定される。したがって、直結段もしくは増速段設定時の変速機の動力伝達効率を向上させることができる。例えば、内燃機関を動力源としてこの発明の変速機に連結した場合、変速機を動力伝達効率の良い直結段もしくは増速段にして内燃機関を運転効率の良い領域で運転させることができ、内燃機関の燃費を向上させることができる。
(第1の実施形態)
つぎにこの発明を具体例に基づいて説明する。図1にこの発明に係る変速機TMの第1の実施形態の一例を示す。この図1に示す例は、伝達するべき動力(エネルギ)の形態を変更せずに設定できるいわゆる固定変速比(固定変速段)として4つの前進段および1つの後進段を設定するように構成した例であり、特にエンジンなどの動力源1を車両の前後方向に向けて搭載するFR車(フロントエンジン・リヤドライブ車)に適するように構成した例である。すなわち、動力源1が出力した動力を伝達する入力軸2と同一の軸線上、もしくはこれに平行な軸線上に、動力を分配し、また伝達および遮断する機構が配置されている。
ここで、動力源1は、内燃機関や電気モータあるいはこれらを組み合わせた構成など、車両に使用されている一般的な動力源であってよい。以下の説明では、動力源1をエンジン(ENG)1と記す。また、入力軸2はエンジン1の出力した動力を伝達できる部材であればよく、ドライブプレートや回転軸であってよい。これらエンジン1と入力軸2との間に、ダンパーやクラッチ、トルクコンバータなどの適宜の伝動手段を介在させることができる。なお、符号3はサブポンプあるいはチャージポンプと称されるオイルポンプで、変速機TM内の各部への潤滑油の供給や、後述する各油圧ポンプモータとの間に形成されている油路への圧油の補給などのために使用されるものである。
前記各軸線上に配置されている機構は、入力された動力をそのまま出力し、あるいはその一部をそのまま出力するとともに、他の動力を、エネルギ形態を変換して出力し、さらには空転して動力の伝達を行わないように構成された伝動手段の一種である。図1に示す例では、差動機構と、これに反力を与えかつその反力の可変な反力機構とによって構成されている。差動機構は、要は、3つの回転要素によって差動作用を行うものであればよく、歯車やローラを回転要素とした機構であり、そのうちの歯車式差動機構としてはシングルピニオン型遊星歯車機構やダブルピニオン型遊星歯車機構を使用することができる。また、反力機構は、選択的にトルクを出力できる機構であればよく、油圧などの流体圧式のポンプモータや電気的に動作するモータ・ジェネレータなどを用いることができる。
図1に示す例では、差動機構としてシングルピニオン型遊星歯車機構が用いられ、また反力を生じさせるための反力機構として可変容量型油圧ポンプモータが用いられている。以下の説明では、エンジン1および入力軸2に平行な第1ドライブ軸4およびこれに回転自在に嵌合させられている第2ドライブ軸5と同一軸線上に配置された遊星歯車機構を第1遊星歯車機構6と記し、また油圧ポンプモータを第1ポンプモータ7と記す。さらに、これらと平行に配置されている遊星歯車機構を第2遊星歯車機構8と記し、また油圧ポンプモータを第2ポンプモータ9と記す。なお、図では、第1ポンプモータ7をPM1と記し、第2ポンプモータ9をPM2と記している。
第1ドライブ軸4と第2ドライブ軸5とはこの発明における中間軸に相当し、これらのうち一方のドライブ軸(この例では、第2ドライブ軸5)は中空構造であって、第1ドライブ軸4の外周側に相互に回転自在に嵌合している。そして、これらの各ドライブ軸4,5は、第1遊星歯車機構6を挟んで第1ポンプモータ7とは軸線方向で反対側(図1の右側)に配置されている。
第1遊星歯車機構6は、外歯歯車であるサンギヤ6Sと、これと同心円上に配置された内歯歯車であるリングギヤ6Rと、これらのサンギヤ6Sとリングギヤ6Rとに噛み合っているピニオンギヤを自転かつ公転自在に保持しているキャリア6Cとを回転要素とするシングルピニオン型の遊星歯車機構である。前記の入力軸2にカウンタギヤ対10のカウンタドライブギヤ10Aが取り付けられており、これに噛み合っている一方のカウンタドリブンギヤ10Bが、第1ポンプモータ7および第1遊星歯車機構6と同一軸線上に回転自在に配置されている。そして、このカウンタドリブンギヤ10Bは、スタート(S)シンクロ11を介してリングギヤ6Rに連結されている。
ここで、スタートシンクロ11は、いわゆる発進用切替機構であり、第1遊星歯車機構6のリングギヤ6Rとエンジン1との間を選択的にトルク伝達可能な状態にするとともに、リングギヤ6Rの回転を規制すること、すなわちリングギヤ6Rを固定することができるように構成されている。したがってリングギヤ6Rが入力要素となっている。また、サンギヤ6Sに反力機構としての第1ポンプモータ7のロータ軸7Aが接続されている。したがってサンギヤ6Sが反力要素となっている。そして、キャリア6Cに第1ドライブ軸4が連結されている。したがって、キャリア6Cが出力要素となっている。
第1ポンプモータ7は、押出容積を変更できる可変容量型であり、この図1に示す例では、特に押出容積を“0”から正負のいずれか一方向に変化させることのできるいわゆる片振り型のものであり、第1遊星歯車機構6に対してエンジン1側(図1の左側)に、第1遊星歯車機構6と同一軸線上に配置されている。この種の第1ポンプモータ7としては、各種の形式のものを採用することができ、例えば斜板ポンプや斜軸ポンプ、あるいはラジアルピストンポンプなどを用いることができる。
一方、第2遊星歯車機構8は、上記の第1遊星歯車機構6と同様の構成であって、サンギヤ8Sとリングギヤ8Rとこれらに噛み合っているピニオンギヤを自転および公転自在に保持しているキャリア8Cとを回転要素とし、これら3つの回転要素によって差動作用を行うシングルピニオン型の遊星歯車機構である。
そして上記の第1遊星歯車機構6と同様に、入力軸2に取り付けられたカウンタドライブギヤ10Aに噛み合っている他方のカウンタドリブンギヤ10Cが、リングギヤ8Rに連結されている。すなわち、リングギヤ8Rに入力軸2がカウンタギヤ対10を介して連結されている。したがってリングギヤ8Rが入力要素となっている。また、サンギヤ8Sに反力機構としての第2ポンプモータ9のロータ軸9Aが接続されている。したがってサンギヤ8Sが反力要素となっている。そして、キャリア8Cに、直結用シンクロ12を介してこれらと同一軸線上にあるキャリア軸13上に配置された第3速ギヤ対14の第3速駆動ギヤ14Aが連結されている。したがってキャリア8Cが出力要素となっている。
上記のキャリア軸13には、第4速ギヤ対15の第4速従動ギヤ15B(もしくは第4速遊転ギヤ15B)が回転自在に嵌合されており、その第4速従動ギヤ15Bに噛み合っている第4速駆動ギヤ15Aが、入力軸2に一体となって回転するように設けられている。また、直結用シンクロ12は、いわゆる直結段形成用の切替機構であり、第2遊星歯車機構8のキャリア8Cと上記のキャリア軸13との間を選択的にトルク伝達可能な状態にするとともに、第4速従動ギヤ15Bとキャリア軸13との間を選択的にトルク伝達可能な状態にすること、すなわち第4速ギヤ対15を介して入力軸2とキャリア軸13との間を選択的にトルク伝達可能な状態にすることができるように構成されている。上記の第3速ギヤ対14および第4速ギヤ対15およびスタートシンクロ11ならびに直結用シンクロ12の詳細については後述する。
第2ポンプモータ9は、押出容積を変更できる可変容量型であり、図1に示す例では、押出容積を“0”から正負のいずれか一方向に変化させることのできるいわゆる片振り型のものであり、第2遊星歯車機構8に対してエンジン1側(図1の左側)に、第2遊星歯車機構8と同一軸線上に配置されている。この種の第2ポンプモータ9としては、各種の形式のものを採用することができ、例えば斜板ポンプや斜軸ポンプ、あるいはラジアルピストンポンプなどを用いることができる。
ここで、発進用切替機構としてのスタートシンクロ11について説明すると、このスタートシンクロ11は、例えば同期連結機構(シンクロナイザー)や噛み合いクラッチ(ドグクラッチ)もしくは摩擦式クラッチからなるものであって、図1には同期連結機構からなるスタートシンクロ11が記載されている。このスタートシンクロ11は、第1遊星歯車機構6のリングギヤ6Rに一体のハブにスプライン嵌合したスリーブ11Sを備えており、このスリーブ11Sを挟んだ両側に、前述のカウンタギヤ対10のカウンタドリブンギヤ10Bおよび例えば変速機TMのケーシング(図示せず)などに固定された固定部16に一体化させたスプラインが配置されている。
具体的には、スリーブ11Sの図1の左側に、カウンタギヤ対10のカウンタドリブンギヤ10Bに一体化させたスプラインが配置され、スリーブ11Sの図1の右側に、固定部16に一体化させたスプラインが配置されている。したがって、スタートシンクロ11は、そのスリーブ11Sを図1の左側(「S」の位置)に移動させることにより、カウンタギヤ対10のカウンタドリブンギヤ10Bを第1遊星歯車機構6のリングギヤ6Rに連結し、スリーブ11Sを図1の右側(「D」の位置)に移動させることにより、第1遊星歯車機構6のリングギヤ6Rを固定部16に連結してリングギヤ6Rの回転を規制し、すなわちリングギヤ6Rを固定し、さらにスリーブ11Sを中央(「N」の位置)に位置させることにより、カウンタドリブンギヤ10Bあるいは固定部16のいずれとも係合せずにニュートラル状態となるように構成されている。
上記のように、この例における第1遊星歯車機構6は、リングギヤ6Rおよびサンギヤ6Sおよびキャリア6Cを、それぞれ入力要素および反力要素ならびに出力要素とするシングルピニオン型遊星歯車機構により構成されている。そのため、上記のようにスタートシンクロ11のスリーブ11Sを図1の右側に移動させてリングギヤ6Rを固定することにより、サンギヤ6Sの回転数に対してキャリア6Cの回転数を減速することができる。すなわち、第1遊星歯車機構6は、スタートシンクロ11を動作させて第1遊星歯車機構6の入力要素となっているリングギヤ6Rを固定することにより、第1遊星歯車機構6の反力要素となっているサンギヤ6Sに第1ポンプモータ7の出力トルクが入力された場合に、そのサンギヤ6Sのトルクを増幅して第1遊星歯車機構6の出力要素となっているキャリア6Cから出力する減速機構として機能する構成となっている。
この発明における出力部材に相当し、各ドライブ軸4,5から動力が伝達される出力軸17が、各ドライブ軸4,5と平行になるように、また入力軸2と同一軸線上に配置されている。したがって、図1に示す変速機TMは、その主要部分がいわゆる2軸構造になっている。これら各ドライブ軸4,5と出力軸17との間には、異なる変速比を設定するための複数の伝動機構が設けられている。これらの各伝動機構は、トルクの伝達に関与した場合にそれぞれの回転数比に応じて、入力軸2と出力軸17との間の変速比を設定するためのものであり、歯車機構や巻き掛け伝動機構、摩擦車を使用した機構などを採用することができる。図1に示す例では、前進走行のための3つのギヤ対14,18,20と後進走行のためのギヤ対19とが設けられている。
すなわち、出力軸17上には、エンジン1側から順に、第3速従動ギヤ14B、第1速従動ギヤ18B、リバース従動ギヤ19B、第2速従動ギヤ20Bが配置されるとともに、これら各従動ギヤ14B,18B,19B,20Bは、出力軸17に対して回転自在に嵌合している。
これに対して、第2ドライブ軸5上には、上記の第3速従動ギヤ14Bに噛み合っているカウンタギヤ14Cと、上記の第1速従動ギヤ18Bに噛み合っている第1速駆動ギヤ18Aとが、それぞれ第2ドライブ軸5に一体となって回転するように設けられている。なお、第1速駆動ギヤ18Aは、第1速従動ギヤ18Bより歯幅の広い歯車であって、第1速従動ギヤ18Bに隣接して配置されているリバース従動ギヤ19Bとの間に設けられたアイドルギヤ19Aにも噛み合っている。したがって、第1速駆動ギヤ18Aはリバース駆動ギヤを兼ねている。さらに、第1ドライブ軸4は、その外周側の第2ドライブ軸5からその先端側(図1の右側)に突出しており、その突出部分には、上記の第2速従動ギヤ20Bに噛み合っている第2速駆動ギヤ20Aが第1ドライブ軸4に一体となって回転するように設けられている。
上述した各ギヤ対14,18,19,20のうち、前進走行のための変速比(変速段)を設定する第1速ないし第3速の各ギヤ対18,20,14のギヤ比(従動側のギヤの歯数に対する駆動側のギヤの歯数の比)は、ここに挙げたギヤ対18,20,14の順に小さくなっている。すなわち、「第1速ギヤ対18のギヤ比」>「第2速ギヤ対20のギヤ比」>「第3速ギヤ対14のギヤ比」となっている。
そして、上記の各ギヤ対14,18,19,20を選択的に動力伝達可能な状態にするための切替機構が設けられている。この切替機構は、各ギヤ対14,18,19,20におけるいずれかの回転自在なギヤを、そのギヤが取り付けられている軸に対してトルクを伝達できるように連結する機構であり、したがって従来の手動変速機などにおける同期連結機構(シンクロナイザー)を使用することができ、あるいは噛み合いクラッチ(ドグクラッチ)や摩擦式クラッチなどを使用することができる。
図1に示す例では、切替機構として同期連結機構が使用されており、上記の出力軸17上で、第3速従動ギヤ14Bと第1速従動ギヤ18Bとの間に第1シンクロ21が配置され、また同様に出力軸17上で、リバース従動ギヤ19Bと第2速従動ギヤ20Bとの間に第2シンクロ22が配置されている。これらのシンクロ21,22は、従来の手動変速機で用いられているものと同様であって、出力軸17に一体のハブにスリーブがスプライン嵌合され、そのスリーブを軸線方向に移動することにより次第にスプライン嵌合するチャンファーもしくはスプラインが各従動ギヤに一体に設けられ、さらにスリーブの移動に伴って、従動ギヤ側の所定の部材に次第に摩擦接触して回転を同期させるリングが設けられている。すなわち、同期機構を備えたクラッチ機構である。
したがって第1シンクロ21は、そのスリーブ21Sを図1の右側(「1st」の位置)に移動させることにより、第1速従動ギヤ18Bを出力軸17に連結し、またスリーブ21Sを図1の左側(「3rd」の位置)に移動させることにより、第3速従動ギヤ14Bを出力軸17に連結し、さらにスリーブ21Sを中央(「N」の位置)に位置させることにより、いずれの従動ギヤ18B,14Bとも係合せずにニュートラル状態となるように構成されている。
また、第2シンクロ22は、そのスリーブ22Sを図1の右側(「2nd」の位置)に移動させることにより、第2速従動ギヤ20Bを出力軸17に連結し、またスリーブ22Sを図1の左側(「R」の位置)に移動させることにより、リバース従動ギヤ19Bを出力軸17に連結し、さらにスリーブ22Sを中央(「N」の位置)に位置させることにより、いずれの従動ギヤ20B,19Bとも係合せずにニュートラル状態となるように構成されている。
上記のように、この第1の実施形態では、第1速ギヤ対18および第2速ギヤ対20および第3速ギヤ対14ならびにリバースギヤ対19の各伝動機構と、第1シンクロ21および第2シンクロ22の各切替機構とによって、各ドライブ軸4,5と出力軸17との間を選択的に動力伝達可能な状態にすることができる。したがって、上記の各ギヤ対18,20,14,19と各シンクロ21,22とが、この発明における変速段用伝動機構に相当している。
ここで、前述した直結段形成用の切替機構としての直結用シンクロ12について説明すると、この直結用シンクロ12は、前述のスタートシンクロ11と同様に、例えば同期連結機構(シンクロナイザー)や噛み合いクラッチ(ドグクラッチ)もしくは摩擦式クラッチからなるものであって、図1には同期連結機構からなる直結用シンクロ12が記載されている。この直結用シンクロ12は、キャリア軸13に一体のハブにスプライン嵌合したスリーブ12Sを備えており、このスリーブ12Sを挟んだ両側に、前述の第2遊星歯車機構8のキャリア8Cおよび第4速従動ギヤ15Bに一体化させたスプラインが配置されている。具体的には、スリーブ12Sの図1の左側に、第2遊星歯車機構8のキャリア8Cに一体化させたスプラインが配置され、スリーブ12Sの図1の右側に、第4速従動ギヤ15Bに一体化させたスプラインが配置されている。
したがって、直結用シンクロ12は、そのスリーブ12Sを図1の左側(「CV」の位置)に移動させることにより、第2遊星歯車機構8のキャリア8Cを第3速駆動ギヤ14Aが一体化されているキャリア軸13に連結し、スリーブ12Sを図1の右側(「4th」の位置)に移動させることにより、第4速従動ギヤ15Bを第3速駆動ギヤ14Aが一体化されているキャリア軸13に連結し、さらにスリーブ12Sを中央(「N」の位置)に位置させることにより、キャリア8Cあるいは第4速従動ギヤ15Bのいずれとも係合せずにニュートラル状態となるように構成されている。
このように、直結用シンクロ12のスリーブ12Sを図1の左側(「CV」の位置)に移動させて第2遊星歯車機構8のキャリア8Cとキャリア軸13とを連結することにより、変速機TMを、前述した複数の伝動機構すなわち第1速ないし第3速の各ギヤ対18,20,14のギヤ比に応じた第1速ないし第3速の各変速段を設定する状態、およびそれら第1速ないし第3速の各変速段の間で変速比を連続的に変化させる無段変速状態にすることができる。
そして、この発明の変速機TMは、前述の第1速ないし第3速の各ギヤ対18,20,14のギヤ比に応じて設定されるいずれの変速比よりも小さな、すなわち第3速の変速比よりも小さなこの変速機TMの最高速段としての第4速を設定できるように構成されている。すなわち、第3速ギヤ対14を出力軸17に対してトルク伝達可能な状態にするとともに、上記のように直結用シンクロ12のスリーブ12Sを図1の右側に移動させて第4速従動ギヤ15Bとキャリア軸13とを連結することにより、入力軸2に伝達されたエンジン1の出力トルクを、第4速ギヤ対15および第3速ギヤ対14を介して出力軸17に伝達すること、すなわちエンジン1の出力トルクを第2ポンプモータ9および第2遊星歯車機構8を経由させずに出力軸17に直接伝達するができる。言い換えると、直結用シンクロ12のスリーブ12Sを図1の右側に移動させて第4速従動ギヤ15Bとキャリア軸13とを連結することにより、第2ポンプモータ9および第2遊星歯車機構8と出力軸17との間の動力伝達を遮断しかつエンジン1と出力軸17との間を第4速ギヤ対15および第3速ギヤ対14を介して動力伝達可能な状態にすることができる。
さらに、上記の第4速ギヤ対15のギヤ比が、エンジン1の出力トルクが第4速ギヤ対15および第3速ギヤ対14を経由して出力軸17へ伝達される際の変速比が“1”もしくは“1”よりも小さい所定値となるように設定されている。したがって、この変速機TMは、直結用シンクロ12によって第2ポンプモータ9および第2遊星歯車機構8と出力軸17との間の動力伝達を遮断しかつエンジン1と出力軸17との間を第4速ギヤ対15および第3速ギヤ対14を介して動力伝達可能な状態にすることにより、変速比が“1”となるいわゆる直結段、もしくは変速比が“1”よりも小さな増速段を設定することができる。
上記のように、この第1の実施形態では、第4速ギヤ対15と、直結用シンクロ12とによって、選択的に、エンジン1と出力軸17との間を動力伝達可能な状態にしかつ第2遊星歯車機構8と出力軸17との間を動力伝達不可能な状態にすることができる。したがって、上記の第4速ギヤ対15と直結用シンクロ12とが、この発明における直結段用伝動機構に相当している。
上記の各シンクロ11,12,21,22の各スリーブ11S,12S,21S,22Sは、リンケージ(図示せず)を介して手動操作によって切り替え動作させるように構成することができ、あるいはそれぞれに個別に設けたアクチュエータ(図示せず)によって切り替え動作させるように構成することができる。また、前述の各ポンプモータ7,9の押出容積、あるいは各アクチュエータの動作は、電子制御装置(ECU)23によって電気的に制御される。この電子制御装置23は、マイクロコンピュータを主体として構成され、入力されたデータや予め記憶しているデータおよびプログラムに従って演算を行い、押出容積を設定し、あるいは各シンクロ11,12,21,22を動作させるための指令信号を出力するようになっている。
つぎに、上記の各ポンプモータ7,9を制御するための流体圧回路(油圧回路)について説明する。各ポンプモータ7,9がいわゆる正回転した場合の吸入口7S,9S同士、および吐出口7D,9D同士が、図2に示すように、油路24,25によって互いに連通され、全体として閉回路を構成している。その油路24,25同士の間には、一方の油路24の圧力が設定圧力を超えた場合に開弁して圧油を他方の油路25に排出する電磁リリーフ弁26と、他方の油路25の圧力が設定圧力を超えた場合に開弁して圧油を一方の油路24に排出する電磁リリーフ弁27とが設けられている。なお、これらの電磁リリーフ弁26,27は、設定圧(リリーフ圧)を電気的に制御し、あるいは設定圧を“0”にする制御を電気的に行うことのできる電磁弁である。
また、上記の閉回路には流体(具体的にはオイル)を補給するためのチャージポンプ(もしくはブーストポンプ)28が設けられている。このチャージポンプ28は、上記の閉回路からの漏れなどによるオイルの不足を補うためのものであって、前述したエンジン1や図示しないモータなどによって駆動されて、オイルパン29からオイルを汲み上げて閉回路に供給するようになっている。このチャージポンプ28の吐出口は、閉回路における油路24と油路25とにそれぞれチェック弁30,31を介して連通されている。なお、これらのチェック弁30,31は、チャージポンプ28からの吐出方向に開き、これとは反対方向に閉じるように構成されている。さらに、チャージポンプ28の吐出圧を調整するためのリリーフ弁32が、チャージポンプ28の吐出口に連通されている。このリリーフ弁32は、スプリングによる弾性力とパイロット圧もしくはソレノイドによる押圧力との和より高い圧力が作用した場合に開いてオイルをオイルパン29に排出するように構成されており、したがってチャージポンプ28の吐出圧をパイロット圧に応じた圧力に設定するように構成されている。
つぎに、上述した変速機TMの作用について説明する。図3は、いずれかのギヤ対18,20,14,15,19のギヤ比で決まる各変速段を設定する際の各ポンプモータ(PM1,PM2)7,9、および各シンクロ11,12,21,22、ならびに各電磁リリーフ弁26,27の動作状態をまとめて示す図表であって、この図3における各ポンプモータ7,9についての「0」は、ポンプ容量(押出容積)を実質的に“0”(ゼロ)とし、そのロータ軸が回転させられても圧油を発生することがなく、また油圧が供給されてもロータ軸が回転しない状態(フリー)を示し、「LOCK」はそのロータの回転を止めている状態を示している。さらに「PUMP」は、ポンプ容量を実質的な“0”より大きくするとともに圧油を吐出している状態を示し、したがって該当するポンプモータ7(もしくは9)はポンプとして機能している。また、「MOTOR」は、一方のポンプモータ7(もしくは9)が吐出した圧油が供給されてモータとして機能している状態を示し、したがって該当するポンプモータ9(もしくは7)は軸トルクを発生している。
そして、各シンクロ11,12,21,22についての「1st」、「2nd」、「3rd」、「4th」、「D」、「S」、「R」、「CV」は、それぞれのスリーブ11S,12S,21S,22Sの図1での位置を示し、そして「N」は該当するシンクロ11,12,21,22をOFF状態(中立位置)に設定する位置を示している。なお、スタートシンクロ11についての「B」は、後述する第2の実施形態での変速機TMにおいて、シンクロ11Sを、エンジン1の回転を制動する状態の位置を示している。
図示しないシフト装置によってニュートラルポジションが選択されていることによりニュートラル状態を設定する際には、各ポンプモータ7,9の押出容積が“0”とされ、また各シンクロ11,12,21,22がOFF状態とされる。すなわちそれぞれのスリーブ11S,12S,21S,22Sが「N」の位置(図1の中央位置)に設定される。したがって、いずれのギヤ対18,20,14,15,19も出力軸17に連結されていないニュートラル状態となる。その結果、各ポンプモータ7,9がいわゆる空回り状態となる。したがって、各遊星歯車機構6,8のリングギヤ6R,8Rにエンジン1からトルクが伝達されても、サンギヤ6S,8Sに反力が作用しないため、出力要素であるキャリア6C,8Cに連結されている各ドライブ軸4,5にはトルクが伝達されない。なお、この場合、閉回路の各電磁リリーフ弁26,27は、開状態すなわちリリーフ圧が“0”となるように制御されるのが好ましい。
シフトポジションがドライブポジションなどの走行ポジションに切り替えられると、スタートシンクロ11のスリーブ11Sが「S」の位置(図1の右側)に、直結用シンクロ12のスリーブ12Sが「CV」の位置(図1の左側)に、第1シンクロ21のスリーブ21Sが「1st」の位置(図1の右側)に、第2シンクロ22のスリーブ22Sが「2nd」の位置(図1の右側)に、それぞれ移動させられる。したがって、第1速従動ギヤ18Bおよび第2速従動ギヤ20Bが出力軸17に連結されて、出力軸17に対してトルク伝達可能な状態になる。その結果、第2ドライブ軸5と出力軸17とが第1速ギヤ対18を介して連結され、第1ドライブ軸4と出力軸17とが第2速ギヤ対20を介して連結される。また、第2遊星歯車機構8のキャリア8Cとキャリア軸13すなわち第3速駆動ギヤ14Aとが連結される。したがって、キャリア軸13と出力軸17とが第3速ギヤ対14および第2ドライブ軸5ならびに第1速ギヤ対18を介して連結される。そして、第1遊星歯車機構6のリングギヤ6Rがスタートシンクロ11を介して固定される。
すなわち、各変速段を設定する伝動機構すなわち各ギヤ対の連結状態としては、第1速および第2速を設定する状態となる。そして、第1遊星歯車機構6のリングギヤ6Rが固定されるので、第1遊星歯車機構6は、サンギヤ6Sにロータ軸7Aを介して第1ポンプモータ7の出力したトルクが入力された場合にそのサンギヤ6Sの回転数に対して第1遊星歯車機構6の出力要素であるキャリア6Cの回転数が減速される減速機構、言い換えると、サンギヤ6Sにロータ軸7Aを介して第1ポンプモータ7の出力したトルクが入力された場合にそのサンギヤ6Sのトルクに対して第1遊星歯車機構6の出力要素であるキャリア6Cのトルクが増幅されるトルク増幅機構として機能する状態となる。
したがって、車両の発進時に、シフトポジションが走行ポジションに切り替えられることに伴い、エンジン1の動力が第2遊星歯車機構8および第3速ギヤ対14およびカウンタギヤ14Cおよび第2ドライブ軸5ならびに第1速ギヤ対18を介して出力軸17に伝達される動力伝達経路と、第1ポンプモータ7が出力したトルクが第1遊星歯車機構6で増幅されて第1ドライブ軸4ならびに第2速ギヤ対20を介して出力軸17に伝達される動力伝達経路との2つの動力伝達経路が形成されることになる。
この状態では、車両が未だ停止しているので、第2遊星歯車機構8では、キャリア8Cが停止している状態でリングギヤ8Rにエンジン1から動力が入力され、したがってサンギヤ8Sがリングギヤ8Rの回転方向とは反対の方向に回転する。この状態で、各ポンプモータ7,9の押出容積を次第に大きくすると、第2ポンプモータ9がポンプとして機能して油圧を発生する。すると、それに伴う反力が第2遊星歯車機構8におけるサンギヤ8Sに作用するので、キャリア8Cにこれをリングギヤ8Rと同方向に回転させるトルクが現れる。その結果、第3速ギヤ対14およびカウンタギヤ14Cならびに第1速ギヤ対18を介して出力軸17に動力が伝達される。
上記の第2ポンプモータ9はいわゆる逆回転してポンプとして機能しているから、その吸入ポート9Sから圧油を吐出し、これが第1ポンプモータ7の吸入ポート7Sに供給される。その結果、第1ポンプモータ7がモータとして機能し、そのロータ軸7Aからいわゆる正回転方向のトルクが出力され、そのトルクが第1遊星歯車機構6におけるサンギヤ6Sに入力される。このとき、第1遊星歯車機構6は、上記のようにリングギヤ6Rが固定されてキャリア6Cを出力要素とする減速機構として機能するので、サンギヤ6Sに入力されたトルクは、第1遊星歯車機構6で増幅されて第1ドライブ軸4ならびに第2速ギヤ対20を介して出力軸17に伝達される。すなわち第1ポンプモータ7から出力されたトルクが増幅されて出力軸17へ伝達される。なお、この場合、閉回路の各電磁リリーフ弁26,27は、上記の各ポンプモータ7,9間での圧油の給排制御と併せてそれらのリリーフ圧が所定の圧力に適宜に制御される。
このように、車両の発進時には、エンジン1から入力された動力の一部が第2遊星歯車機構8および第3速ギヤ対14およびカウンタギヤ14Cならびに第1速ギヤ対18を介して出力軸17に伝達され、また他の動力が圧油の流動の形にエネルギ変換され、これが第1ポンプモータ7に伝達され、さらにこの第1ポンプモータ7から出力軸17にトルクが増幅されて伝達される。このように発進時には、いわゆる機械的な動力伝達と流体を介した動力伝達が行われ、しかも流体を介した動力伝達の際にはトルクが増幅されて、これらの動力を合算した動力が出力軸17に出力される。すなわち、発進時には、第1ポンプモータ7が出力するトルクを増幅して変速機TMが出力するトルクに付加することができる。言い換えると、車両の発進時に、第1ポンプモータ7の出力トルクを増幅して出力軸17へ伝達することができ、第2遊星歯車機構8および第2ドライブ軸5ならびに第1速ギヤ対18を介して出力軸17へ動力が伝達される動力伝達系統と併せて、2つの動力伝達系統を成立させることができる。その結果、大きな駆動力が要求される車両の発進時に、より大きな駆動トルクを得ることができ、車両の発進加速性を向上することができる。
上記のような動力の伝達状態では、出力軸17に現れるトルクは、第1速ギヤ対18を介した機械的伝達のみの場合のトルクより大きくなり、したがって変速機TMの全体としての変速比は、第1速ギヤ対18によって決まるいわゆる固定変速比より大きくなる。また、その変速比は、流体を介した動力の伝達割合に応じて変化する。そのため、第1遊星歯車機構6におけるサンギヤ6Sおよびこれに連結されている第1ポンプモータ7の回転数が次第に“0”に近づくのに従って流体を介した動力伝達の割合が低下し、変速機TMの全体としての変速比は第1速の固定変速比に近づく。そして、第1ポンプモータ7の押出容積が“0”になると、閉回路での圧油の流動が阻止されるので第2ポンプモータ9がロックされ、固定変速比である第1速となる。
こうして第2ポンプモータ9がロックされると、第2遊星歯車機構8のサンギヤ8Sにはこれを固定するトルクが作用することになる。そのため、第2遊星歯車機構8ではサンギヤ8Sを固定した状態でリングギヤ8Rに動力が入力されるので、出力要素であるキャリア8Cにはこれをリングギヤ8Rと同方向に回転させるトルクが生じ、これがキャリア軸13および第3速ギヤ対14およびカウンタギヤ14Cおよび第2ドライブ軸5ならびに第1速ギヤ対18を介して、出力軸17に伝達される。こうして固定変速比である第1速が設定される。
なお、この第1速の状態で第2シンクロ22をOFF状態に設定すれば、すなわちそのスリーブ22Sを中立位置に設定すれば、第1ポンプモータ7を連れ回すことがないので、いわゆる引き摺りによる動力の損失を回避することができる。また、この第1速から後述する第3速を設定するまで間は、閉回路の各電磁リリーフ弁26,27は、所定のリリーフ圧となる閉状態に制御される。
第1速から第2速へのアップシフトでは、第1ポンプモータ7およびこれに連結されているサンギヤ6Sがリングギヤ6Rとは反対の方向に回転している。したがって第1ポンプモータ7の押出容積を正の方向に増大させると、第1ポンプモータ7がポンプとして機能し、それに伴う反力がサンギヤ6Sに作用する。その結果、リングギヤ6Rに入力されたトルクとサンギヤ6Sに作用する反力とを合成したトルクがキャリア6Cに作用し、これが正回転し、かつその回転数が次第に増大する。言い換えれば、エンジン1の回転数が次第に引き下げられる。そのキャリア6Cから第1ドライブ軸4ならびに第2速ギヤ対20を介して出力軸17にトルクが伝達される。
第1ポンプモータ7がポンプとして機能することにより発生した圧油はその吸入ポート7Sから第2ポンプモータ9の吸入ポート9Sに供給される。そのため、第2ポンプモータ9がモータとして機能して正回転方向にトルクを出力し、これが第2遊星歯車機構8のサンギヤ8Sに作用する。第2遊星歯車機構8のリングギヤ8Rにはエンジン1から動力が入力されているので、そのトルクとサンギヤ8Sに作用するトルクとが合成されてキャリア8Cからキャリア軸13および第3速ギヤ対14ならびにカウンタギヤ14Cを介して第2ドライブ軸5に出力される。すなわち、油圧を介した動力伝達が、機械的な動力伝達と並行して生じ、出力軸17にはこれらの動力を合算した動力が伝達される。
そして、第1ポンプモータ7の回転数が次第に低下することにより、第1遊星歯車機構6および第2速ギヤ対20を介した機械的動力伝達の割合が次第に増大し、変速機TMの全体としての変速比は、第1速ギヤ対18で決まる変速比から第2速ギヤ対20で決まる変速比に次第に低下する。すなわちアップシフトする。その変化は、上述した発進後に固定変速比である第1速に変化する場合と同様に、連続的な変化となる。すなわち、無段変速となる。そして、第1ポンプモータ7の押出容積が最大まで増大し、かつ第2ポンプモータ9の押出容積が“0”になって閉回路での圧油の流動が阻止されることにより、第1ポンプモータ7がロックされて、固定変速比である第2速となる。
すなわち、各ポンプモータ7,9を連通させている閉回路が第2ポンプモータ9によって閉じられることになるので、押出容積が最大になっている第1ポンプモータ7は圧油を供給および吐出できなくなり、その回転が止められる。その結果、第1遊星歯車機構6のサンギヤ6Sにはこれを固定するトルクが作用することになる。そのため、第1遊星歯車機構6ではサンギヤ6Sを固定した状態でリングギヤ6Rに動力が入力されるので、出力要素であるキャリア6Cにはこれをリングギヤ6Rと同方向に回転させるトルクが生じ、これが第1ドライブ軸4ならびに第2速ギヤ対20を介して、出力軸17に伝達される。こうして固定変速比である第2速が設定される。
なお、この第2速の状態で第1シンクロ21をOFF状態に設定すれば、すなわちそのスリーブ21Sを中立位置に設定すれば、第2ポンプモータ9を連れ回すことがないので、いわゆる引き摺りによる動力の損失を回避することができる。また、第1シンクロ21のスリーブ21Sを「3rd」の位置(図1の左側)に移動させて第3速従動ギヤ14Bを出力軸17に連結しておけば、固定変速比である第3速へのアップシフト待機状態となる。一方、第1シンクロ21のスリーブ21Sを「1st」の位置(図1の右側)に移動させて第1速従動ギヤ18Bを出力軸17に連結しておけば、第1速へのダウンシフト待機状態となる。
第2速から第3速へのアップシフトでは、第2ポンプモータ9およびこれに連結されているサンギヤ8Sがリングギヤ8Rとは反対の方向に回転している。そのため、第2ポンプモータ9の押出容積を正の方向に増大させると、第2ポンプモータ9がポンプとして機能し、それに伴う反力がサンギヤ8Sに作用する。したがって、リングギヤ8Rに入力されたトルクとサンギヤ8Sに作用する反力とを合成したトルクがキャリア8Cに作用してこれが正回転し、第1シンクロ21のスリーブ21Sを「3rd」の位置(図1の左側)に移動させて第3速従動ギヤ14Bを出力軸17に連結することにより、キャリア8Cに作用するトルクがキャリア軸13および第3速ギヤ対14を介して出力軸17に伝達される。また、変速比の低下に伴ってエンジン1の回転数が次第に引き下げられる。
第2ポンプモータ9がポンプとして機能することにより発生した圧油はその吸入ポート9Sから第1ポンプモータ7の吸入ポート7Sに供給される。そのため、第1ポンプモータ7がモータとして機能して正回転方向にトルクを出力し、これが第1遊星歯車機構6のサンギヤ6Sに作用する。第1遊星歯車機構6のリングギヤ6Rにはエンジン1から動力が入力されているので、そのトルクとサンギヤ6Sに作用するトルクとが合成されてキャリア6Cから第1ドライブ軸4に出力される。すなわち、油圧を介した動力伝達が、機械的な動力伝達と並行して生じ、出力軸17にはこれらの動力を合算した動力が伝達される。そして、第2ポンプモータ9の回転数が次第に低下することにより、第2遊星歯車機構8およびキャリア軸13ならびに第3速ギヤ対14を介した機械的動力伝達の割合が次第に増大し、変速機TMの全体としての変速比は、第2速ギヤ対20で決まる変速比から第3速ギヤ対14で決まる変速比に次第に低下する。すなわち、アップシフトする。その変化は、上述した発進後に固定変速比である第1速に変化する場合や第1速から第2速にアップシフトする場合と同様に、連続的な変化となる。すなわち、無段変速となる。そして、第2ポンプモータ9の押出容積が最大まで増大し、かつ第1ポンプモータ7の押出容積が“0”になって閉回路での圧油の流動が阻止されることにより、第2ポンプモータ9がロックされて、固定変速比である第3速となる。
すなわち、第2遊星歯車機構8のサンギヤ8Sにはこれを固定するトルクが作用することになる。そのため、第2遊星歯車機構8ではサンギヤ8Sを固定した状態でリングギヤ8Rに動力が入力されるので、出力要素であるキャリア8Cにはこれをリングギヤ8Rと同方向に回転させるトルクが生じ、これが第2ドライブ軸5およびカウンタギヤ14Cならびに第3速従動ギヤ14Bを介して、出力軸17に伝達される。こうして固定変速比である第3速が設定される。
なお、この第3速の状態で第2シンクロ22をOFF状態に設定すれば、すなわちそのスリーブ22Sを中立位置に設定すれば、第1ポンプモータ7を連れ回すことがないので、いわゆる引き摺りによる動力の損失を回避することができる。また、第2シンクロ22のスリーブ22Sを「N」の位置に移動させて第2シンクロ22をOFF状態に設定しておけば、この変速機TMの最高速段の固定変速比である第4速へのアップシフト待機状態となる。
第3速から第4速へのアップシフトでは、第1ポンプモータ7の押出容積が“0”にされて第2ポンプモータ9がロックされた状態のまま、またスタートシンクロ11のスリーブ11Sおよび第1シンクロ21のスリーブ21Sを、それぞれ「D」および「3rd」の位置に設定したまま、第2シンクロ22がOFF状態とされる。すなわち第2シンクロ22のスリーブ22Sが「N」の位置に設定される。また直結用シンクロ12が一旦OFF状態とされる。すなわち直結用シンクロ12のスリーブ12Sが「N」の位置に設定される。
そして、その状態から直結用シンクロ12のスリーブ12Sを「4th」の位置(図1の左側)に移動させることにより、この第1の実施形態での変速機TMの最高速段である第4速が設定される。すなわち、直結用シンクロ12のスリーブ12Sが「4th」の位置に移動させられると、第2遊星歯車機構8のキャリア8Cとキャリア軸13との間の動力伝達が遮断されるとともに、第4速従動ギヤ15Bがキャリア軸13に連結される。したがって、入力軸2を介してエンジン1の動力が直接伝達される第4速ギヤ対15が、キャリア軸13および第3速ギヤ対14を介して出力軸17に対して動力伝達可能な状態になる。その結果、エンジン1の動力が各ポンプモータ7,9および各遊星歯車機構6,8に伝達されることなく、第4速ギヤ対15および第3速ギヤ対14を介して直接出力軸17に伝達される状態になる。すなわち、いわゆる直結段としての第4速が設定される。なお、このとき、各ポンプモータ7,9は、上記のようにいずれも動力の伝達に関与しないので、押出容積が最大にされてロックされていた状態の第2ポンプモータ9の押出容積が、第1ポンプモータ7の押出容積と共に“0”にされる。
この第4速の状態でスタートシンクロ11をOFF状態に設定すれば、すなわちそのスリーブ11Sを中立位置に設定すれば、第1ポンプモータ7を連れ回すことがないので、いわゆる引き摺りによる動力の損失を回避することができる。また、この第4速へのアップシフトを実行する場合、あるいはこの第4速から第3速へのダウンシフトを実行する場合、閉回路の各電磁リリーフ弁26,27は、第2ポンプモータ9のロック状態を維持するようにそれらのリリーフ圧が所定の圧力に適宜に制御されるとともに、固定変速段である第4速もしくは第3速が設定される際に、所定のリリーフ圧となる閉状態に制御される。
ここで、この第4速を設定する際の第3速から第4速へのアップシフトにおける変速機TMの変速制御例、およびこの第4速から第3速へのダウンシフトにおける変速機TMの変速制御例を、それぞれフローチャートを用いて説明する。初めに、図4は、第3速から第4速へのアップシフトにおける変速制御例を説明するためのフローチャートであって、このフローチャートで示されるルーチンは、所定の短時間毎に繰り返し実行される。図4において、先ず、第3速から第4速への変速すなわちアップシフトの指令が出力されたか否かが判断される(ステップS101)。
第3速から第4速へアップシフトの指令が未だ出力されないことにより、このステップS101で否定的に判断された場合は、以降の制御は実行されず、このルーチンを一旦終了する。一方、第3速から第4速へアップシフトの指令が出力されたことにより、ステップS101で肯定的に判断された場合には、ステップS102へ進み、第2シンクロ22のスリーブ22Sが、「2nd」の位置から「N」の位置に移動させられて係合させられる。
続いて、各電磁リリーフ弁26,27のリリーフ圧が制御されて、各電磁リリーフ弁26,27が閉状態から開状態に移行させられる(ステップS103)。また、エンジン1の出力を一時的に低下させるトルクダウン制御が行われる(ステップS104)。具体的には、例えば、エンジン1のスロットル開度が閉方向に制御され、またエンジン1の点火時期が遅角制御される。
そして、各電磁リリーフ弁26,27が全開状態になったか否かが判断される(ステップS105)。具体的には、各電磁リリーフ弁26,27のリリーフ圧が“0”になったか否かが判断される。各電磁リリーフ弁26,27が未だ全開状態でないことにより、このステップS105で否定的に判断された場合は、以降の制御は実行されず、このルーチンを一旦終了する。これに対して、各電磁リリーフ弁26,27が全開状態になったことにより、ステップS105で肯定的に判断された場合には、ステップS106へ進む。すなわち、各電磁リリーフ弁26,27が全開状態になるまで、上記のステップS101ないしS105の制御が繰り返される。
ステップS106では、直結用シンクロ12のスリーブ12Sが、「CV」の位置から「N」の位置に移動させられ、さらに、その直結用シンクロ12のスリーブ12Sが、「N」の位置から「4th」の位置に移動させられる(ステップS107)。このとき、スリーブ12Sは、「4th」の位置に移動させられるのに伴い、第4速従動ギヤ15B側の所定の回転部材に押し付けられて摩擦接触させられ、第4速従動ギヤ15Bの回転とキャリア軸13の回転との同期が行われる。
そして、それら第4速従動ギヤ15Bとキャリア軸13との回転同期が完了したか否かが判断される(ステップS108)。第4速従動ギヤ15Bとキャリア軸13との回転同期が未だ完了していないことにより、このステップS108で否定的に判断された場合は、以降の制御は実行されず、このルーチンを一旦終了する。これに対して、第4速従動ギヤ15Bとキャリア軸13との回転同期が完了したことにより、ステップS108で肯定的に判断された場合には、ステップS109へ進む。すなわち、第4速従動ギヤ15Bとキャリア軸13との回転同期が完了するまで、上記のステップS101ないしS108の制御が繰り返される。
ステップS109では、「N」の位置から「4th」の位置に移動させられて第4速従動ギヤ15B側の所定の回転部材に押し付けられていた直結用シンクロ12のスリーブ12Sが、「4th」の位置で係合させられる。すなわち、キャリア軸13に対して第4速従動ギヤ15Bが動力伝達可能に連結される。また、各電磁リリーフ弁26,27のリリーフ圧が制御されて、各電磁リリーフ弁26,27が開状態から閉状態に移行させられる(ステップS110)。
そして、トルクダウン制御されていたエンジン1を通常の状態に復帰させる復帰制御が行われる(ステップS111)。すなわち、例えば、閉方向に制御されていたエンジン1のスロットル開度が通常の開度に戻され、また遅角制御されていたエンジン1の点火時期が通常のタイミングに戻される。そしてその後、このルーチンを一旦終了する。すなわち、第3速から第4速へのアップシフトが完了する。
つぎに、図5は、第4速から第3速へのダウンシフトにおける変速制御例を説明するためのフローチャートであって、このフローチャートで示されるルーチンは、所定の短時間毎に繰り返し実行される。図5において、先ず、第4速から第3速への変速すなわちダウンシフトの指令が出力されたか否かが判断される(ステップS201)。
第4速から第3速へアップシフトの指令が未だ出力されないことにより、このステップS201で否定的に判断された場合は、以降の制御は実行されず、このルーチンを一旦終了する。一方、第4速から第3速へダウンシフトの指令が出力されたことにより、ステップS201で肯定的に判断された場合には、ステップS202へ進み、スタートシンクロ11のスリーブ11Sが、「D」の位置に移動させられて係合させられる。第1ポンプモータ7の引き摺り損失を低減するためにスタートシンクロ11のスリーブ11Sが「N」の位置に設定されていた場合には、そのスリーブ11Sが、「N」の位置から「D」の位置に移動させられて係合させられる。
続いて、各電磁リリーフ弁26,27のリリーフ圧が制御されて、各電磁リリーフ弁26,27が閉状態から開状態に移行させられる(ステップS203)。また、エンジン1の出力を一時的に低下させるトルクダウン制御が行われる(ステップS204)。具体的には、例えば、エンジン1のスロットル開度が閉方向に制御され、またエンジン1の点火時期が遅角制御される。
そして、各電磁リリーフ弁26,27が全開状態になったか否かが判断される(ステップS205)。具体的には、各電磁リリーフ弁26,27のリリーフ圧が“0”になったか否かが判断される。各電磁リリーフ弁26,27が未だ全開状態でないことにより、このステップS205で否定的に判断された場合は、以降の制御は実行されず、このルーチンを一旦終了する。これに対して、各電磁リリーフ弁26,27が全開状態になったことにより、ステップS205で肯定的に判断された場合には、ステップS206へ進む。すなわち、各電磁リリーフ弁26,27が全開状態になるまで、上記のステップS201ないしS205の制御が繰り返される。
ステップS206では、直結用シンクロ12のスリーブ12Sが、「4th」の位置から「N」の位置に移動させられるとともに、ダウンシフト時の直結用シンクロ12における係合ショックを低減させるため、エンジン1の回転数を上昇させるようにスロットル開度を制御するスロットル制御が行われる(ステップS207)。そして直結用シンクロ12のスリーブ12Sが、「N」の位置から「CV」の位置に移動させられる(ステップS208)。このとき、スリーブ12Sは、「CV」の位置に移動させられるのに伴って、第2遊星歯車機構8のキャリア8C側の所定の回転部材に押し付けられて摩擦接触させられ、キャリア8Cの回転とキャリア軸13の回転との同期が行われる。
そして、それらキャリア8Cとキャリア軸13との回転同期が完了したか否かが判断される(ステップS209)。キャリア8Cとキャリア軸13との回転同期が未だ完了していないことにより、このステップS209で否定的に判断された場合は、以降の制御は実行されず、このルーチンを一旦終了する。これに対して、キャリア8Cとキャリア軸13との回転同期が完了したことにより、ステップS209で肯定的に判断された場合には、ステップS210へ進む。すなわち、キャリア8Cとキャリア軸13との回転同期が完了するまで、上記のステップS201ないしS209の制御が繰り返される。
ステップS210では、「N」の位置から「CV」の位置に移動させられてキャリア8C側の所定の回転部材に押し付けられていた直結用シンクロ12のスリーブ12Sが、「CV」の位置で係合させられる。すなわち、キャリア軸13に対してキャリア8Cが動力伝達可能に連結される。
また、第2シンクロ22のスリーブ22が、「N」の位置から「2nd」の位置に移動させられて係合させられる(ステップS211)。さらに、各電磁リリーフ弁26,27のリリーフ圧が制御されて、各電磁リリーフ弁26,27が開状態から閉状態に移行させられる(ステップS212)。
そして、トルクダウン制御されていたエンジン1を通常の状態に復帰させる復帰制御が行われる(ステップS213)。すなわち、例えば、閉方向に制御されていたエンジン1のスロットル開度が通常の開度に戻され、また遅角制御されていたエンジン1の点火時期が通常のタイミングに戻される。そしてその後、このルーチンを一旦終了する。すなわち、第4速から第3速へのダウンシフトが完了する。
つぎに後進段について説明する。シフトポジションがニュートラルポジションからリバースポジションに切り替えられるなどのことによって後進段を設定する指示が行われると、図3の「Rev発進」の欄に示すように、直結用シンクロ12のスリーブ12Sが「CV」の位置に移動させられて、第2遊星歯車機構8のキャリア8Cがキャリア軸13に連結させられ、また、第1シンクロ21のスリーブ21Sが「N」の位置に移動させられてニュートラルの状態にされる。
そして、第2シンクロ22のスリーブ22Sが「R」の位置(図1の左側)に移動させられて、リバース従動ギヤ19Bが出力軸17に連結される。このように、後進段での発進時には、入力軸2から第2遊星歯車機構8および第3速ギヤ対14およびカウンタギヤ14Cおよび第2ドライブ軸5ならびにリバースギヤ対19を経由して出力軸17に到る動力伝達経路が形成される。なお、スタートシンクロ11のスリーブ11Sの位置は、この場合「S」、「N」、「D」のいずれでもよいが、後進発進した後に前進で発進することを考慮して、ここではスリーブ11Sを「S」(もしくは「N」)に位置に移動しておくのが好ましい。
この状態で第1ポンプモータ7の押出容積が“0”にされ、第2ポンプモータ9の押出容積が最大にされる。したがって、第2ポンプモータがロックされて閉回路内に油圧が発生する。この油圧が第2遊星歯車機構8における反力となり、第2遊星歯車機構8のリングギヤ8Rに入力されたエンジン1のトルクが増幅されて第2遊星歯車機構8のキャリア8Cから第3速ギヤ対14およびカウンタギヤ14Cを介して第2ドライブ軸5に出力される。すなわち、第2遊星歯車機構8の出力要素であるキャリア8Cにはこれを前進走行時と同方向に回転させるトルクが生じ、これが第3速ギヤ対14およびカウンタギヤ14Cを介して第2ドライブ軸5に伝達される。
このとき、第2遊星歯車機構8のキャリア8Cから第2ドライブ軸5へのトルクの伝達をスムーズに行うために、閉回路の各電磁リリーフ弁26,27のリリーフ圧が適宜制御される。具体的には、上記のように第1ポンプモータ7の押出容積が“0”の状態で第2ポンプモータ9がロックされることにより閉回路内に発生した油圧による反力が、第2遊星歯車機構8のサンギヤ8Sに徐々に作用するように、すなわち閉回路内の油圧が徐々に増大するように各電磁リリーフ弁26,27のリリーフ圧が制御される。
このようにして第2ドライブ軸5にトルクが伝達されると、第2ドライブ軸5と出力軸17との間に配置されているリバースギヤ対19は、アイドルギヤ19Aを備えているので、第2ドライブ軸5が前進走行時と同方向に回転すると、出力軸17はこれとは反対に方向に回転し、したがって後進走行することになる。すなわち、固定変速比としての後進段が設定される。
(第2の実施形態)
図6にこの発明に係る変速機TMの第2の実施形態の一例を示す。この第2の実施形態では、変速機TMの最高速段を設定する際すなわち固定変速比としての第3速から第4速にアップシフトする際の直結用シンクロ12における回転同期を補助するために、前述の第1の実施形態で示した構成に対してエンジン1の回転を制動するブレーキ機構を付加した構成の例を示している。したがって、そのブレーキ機構に関連する部分以外の他の構成は、図1に示した第1の実施形態における構成と同じであるので、図6に図1と同じ参照符号を付けてその詳細な説明は省略する。
図6において、この第2の実施形態におけるスタートシンクロ11は、図1に示した第1の実施形態の場合と同様に、第1遊星歯車機構6のリングギヤ6Rに一体のハブにスプライン嵌合したスリーブ11Sを備えており、このスリーブ11Sを挟んだ両側に、前述のカウンタギヤ対10のカウンタドリブンギヤ10Bおよび例えば変速機TMのケーシング(図示せず)などに固定された固定部16に一体化させたスプラインが配置されている。さらに、この第2の実施形態におけるスタートシンクロ11は、カウンタドリブンギヤ10Bの側に、そのカウンタドリブンギヤ10Bとハブすなわちリングギヤ6Rとを制動するブレーキ機構33が設けられている。
具体的には、スリーブ11Sの図6の右側に、固定部16に一体化させたスプラインが配置され、スリーブ11Sの図6の左側に、カウンタギヤ対10のカウンタドリブンギヤ10Bに一体化させたスプラインが配置されている。そして、スリーブ11Sの図6の更に左側に、スリーブ11Sの図6での左端面側に形成されたスリーブ側摩擦部材33Aと、例えば固定部16に一体化させた固定側摩擦部材33Bとから構成されるブレーキ機構33が配置されている。
すなわち、この第2の実施形態におけるスタートシンクロ11は、そのスリーブ11Sを図6の右側(「S」の位置)に移動させることにより、第1遊星歯車機構6のリングギヤ6Rを固定部16に連結してリングギヤ6Rの回転を規制し、すなわちリングギヤ6Rを固定し、スリーブ11Sを図6の左側(「D」の位置)に移動させることにより、カウンタギヤ対10のカウンタドリブンギヤ10Bを第1遊星歯車機構6のリングギヤ6Rに連結し、さらに、スリーブ11Sを図6の「D」の位置よりも左側(「B」の位置)に移動させることにより、カウンタドリブンギヤ10Bとリングギヤ6Rとを連結した状態でブレーキ機構33を係合してそれらカウンタドリブンギヤ10Bおよびリングギヤ6Rの回転を制動するように構成されている。そして、スリーブ11Sを中央(「N」の位置)に位置させることにより、カウンタドリブンギヤ10Bあるいは固定部16のいずれとも係合せず、またブレーキ機構33が解放されているニュートラル状態となるように構成されている。
したがって、この第2の実施形態におけるスタートシンクロ11のスリーブ11Sを図6の最も左側(「B」の位置)に移動させてスリーブ11Sのスリーブ側摩擦部材33Aを固定側摩擦部材33Bに当接させることにより、ブレーキ機構33を係合もしくは半係合状態にして、カウンタドリブンギヤ10Bおよびリングギヤ6Rの回転数を低下させること、すなわちカウンタドライブギヤ10Bおよび第4速駆動ギヤ15Aの回転を制動することができる。言い換えると、スタートシンクロ11のスリーブ11Sを図6の最も左側(「B」の位置)に移動させてカウンタドリブンギヤ10Bおよび第4速駆動ギヤ15Aの回転を制動することにより、カウンタドライブギヤ10Aを介してカウンタドライブギヤ10Bと連結しているエンジン1および第4速駆動ギヤ15Aと噛み合っている第4速従動ギヤ15Bの回転を制動することができる。
上記のように、この第2の実施形態では、スタートシンクロ11と、そのスタートシンクロ11に設けられたブレーキ機構33とによって、前述のこの発明における直結段用伝動機構によりエンジン1と出力軸17との間を動力伝達不可能な状態から動力伝達可能な状態に切り替える際に、エンジン1の回転を制動することができる。したがって、上記のスタートシンクロ11とブレーキ機構33とが、この発明における同期補助機構に相当している。
つぎに、この第2の実施形態における変速機TMの作用について説明する。前述したように、この第2の実施形態における変速機TMは、第3速から最高速段の第4速にアップシフトする際の直結用シンクロ12における回転同期を補助するために、上記のようにエンジン1の回転を制動することが可能なブレーキ機構33を、前述の第1の実施形態における変速機TMに付加した構成となっている。したがって、ここでは第3速から第4速へのアップシフトの場合について説明する。
この第2の実施形態での変速機TMにおける第3速から第4速へのアップシフトでは、第3速の各ポンプモータ7,9の状態、すなわち第1ポンプモータ7の押出容積が“0”にされて第2ポンプモータ9がロックされた状態のまま、また第1シンクロ21のスリーブ21Sを「3rd」の位置に設定したまま、第2シンクロ22がOFF状態にされる。すなわち第2シンクロ22のスリーブ22Sが「N」の位置に設定される。また直結用シンクロ12が一旦OFF状態とされる。すなわち直結用シンクロ12のスリーブ12Sが「N」の位置に設定される。
そして、その状態から直結用シンクロ12のスリーブ12Sを「4th」の位置(図6の左側)に設定することにより、この第2の実施形態での変速機TMの最高速段である第4速が設定されるが、このとき、直結用シンクロ12のスリーブ12Sが「4th」の位置に移動させられて押し付けられることによりキャリア軸13すなわち第3速駆動ギヤ14Aと第4速従動ギヤ15Bとの回転同期が行われるのに併せて、図3の「3→4変速」の欄の括弧内に示すように、スタートシンクロ11のスリーブ11Sが「B」の位置に移動させられて押し付けられることにより、その回転同期が補助される。
すなわち、直結用シンクロ12のスリーブ12Sが「4th」の位置に移動させられると、第2遊星歯車機構8のキャリア8Cとキャリア軸13すなわち第3速駆動ギヤ14Aとの間の動力伝達が遮断されるとともに、第4速従動ギヤ15Bがキャリア軸13に連結される。したがって、直結用シンクロ12の同期連結機構によって第4速従動ギヤ15Bの回転とキャリア軸13すなわち第3速駆動ギヤ14Aの回転とが同期させられるが、この場合は第3速から第4速へのアップシフトであるため、エンジン1の回転数が第3速での回転数に対して低下させられることになる。このとき、スタートシンクロ11のスリーブ11Sを「B」の位置に移動して押し付けることにより、カウンタギヤ対10の回転すなわちエンジン1の回転が制動されてエンジン1の回転数が低下させられる。すなわち、第3速から第4速へのアップシフトの際の直結用シンクロ12における回転同期が促進される。
そして、直結用シンクロ12のスリーブ12Sが「4th」の位置で係合されることにより、入力軸2を介してエンジン1の動力が直接伝達される第4速ギヤ対15が、キャリア軸13および第3速ギヤ対14を介して出力軸17に対して動力伝達可能な状態になる。その結果、エンジン1の動力が各ポンプモータ7,9および各遊星歯車機構6,8に伝達されることなく、第4速ギヤ対15および第3速ギヤ対14を介して直接出力軸17に伝達される状態、すなわち直結段である第4速が設定される。
ここで、この第2の実施形態での第3速から第4速へのアップシフトにおける変速機TMの変速制御例をフローチャートを用いて説明する。図7は、上記の第3速から第4速へのアップシフトにおける変速制御例を説明するためのフローチャートであって、この図7のフローチャートにおけるステップS101からステップS107までの制御内容は、前述の第2の実施形態での図4のフローチャートにおけるステップS101からステップS107までの制御内容と同一であるので、詳細な説明は省略する。
ステップS106で直結用シンクロ12のスリーブ12Sが「CV」の位置から「N」の位置に移動させられ、さらに、ステップS107で直結用シンクロ12のスリーブ12Sが「N」の位置から「4th」の位置に移動させられると、スタートシンクロ11のスリーブ11Sが、「D」の位置から「B」の位置に移動させられ、スリーブ11Sに形成されているブレーキ機構33のスリーブ側摩擦部材33Aが固定側摩擦部材33Bに押し付けられて摩擦接触させられる(ステップS301)。すなわち、カウンタギヤ対10を介してエンジン1の回転および第4速ギヤ対15の回転が制動される。
直結用シンクロ12のスリーブ12Sが「N」の位置から「4th」の位置に移動させられる場合、スリーブ12Sは「4th」の位置に移動させられるのに伴い、第4速従動ギヤ15B側の所定の回転部材に押し付けられて摩擦接触させられ、第4速従動ギヤ15Bの回転とキャリア軸13の回転との同期が行われる。この場合は、第3速から第4速へのアップシフトであるので、第4速従動ギヤ15Bの回転とキャリア軸13の回転との同期に伴ってエンジン1の回転数が低下させられることになるが、同時に、上記のように、スタートシンクロ11とブレーキ機構33とによってエンジン1の回転が制動されることにより、エンジン1の回転数を所定の回転数まで速やかに低下させること、あるいはエンジン1の回転数が速やかに所定の回転数付近になるように調整することができる。
そして、それら第4速従動ギヤ15Bとキャリア軸13との回転同期が完了したか否かが判断される(ステップS302)。第4速従動ギヤ15Bとキャリア軸13との回転同期が未だ完了していないことにより、このステップS302で否定的に判断された場合は、以降の制御は実行されず、このルーチンを一旦終了する。これに対して、第4速従動ギヤ15Bとキャリア軸13との回転同期が完了したことにより、ステップS302で肯定的に判断された場合には、ステップS303へ進む。すなわち、第4速従動ギヤ15Bとキャリア軸13との回転同期が完了するまで、上記のステップS101ないしS107,S301,S302の制御が繰り返される。
ステップS303では、「D」の位置から「B」の位置に移動させられてブレーキ機構33の固定側摩擦部材33Bに押し付けられていたスタートシンクロ11のスリーブ11Sが、「D」の位置に戻されて係合させられる。すなわち、エンジン1の回転に対する制動が終了させられる。また、「N」の位置から「4th」の位置に移動させられて第4速従動ギヤ15B側の所定の回転部材に押し付けられていた直結用シンクロ12のスリーブ12Sが、「4th」の位置で係合させられる(ステップS304)。すなわち、キャリア軸13に対して第4速従動ギヤ15Bが動力伝達可能に連結される。さらに、各電磁リリーフ弁26,27のリリーフ圧が制御されて、各電磁リリーフ弁26,27が開状態から閉状態に移行させられる(ステップS305)。
そして、トルクダウン制御されていたエンジン1を通常の状態に復帰させる復帰制御が行われる(ステップS306)。すなわち、例えば、閉方向に制御されていたエンジン1のスロットル開度が通常の開度に戻され、また遅角制御されていたエンジン1の点火時期が通常のタイミングに戻される。そしてその後、このルーチンを一旦終了する。すなわち、第3速から第4速へのアップシフトが完了する。
(第3の実施形態)
図8にこの発明に係る変速機TMの第3の実施形態の一例を示す。前述の第1,第2の実施形態が、FR車に適するように構成した例であるのに対して、この図8に示す第3の実施形態の例は、特にエンジン1を車両の幅方向(左右方向)に向けて搭載するFF車(フロントエンジン・フロントドライブ車)に適するように構成した例である。そして、設定できる固定変速比(固定変速段)は、前述の第1,第2の実施形態の構成と同様に、4つの前進段および1つの後進段を設定することが可能な構成となっている。この図8に示す第3の実施形態の構成において、図1,図6に示した前述の第1,第2の実施形態と同じ構成の部分あるいは同様に機能する部分は、図8に図1,図6と同じ参照符号を付けてある。なお、この図8では電子制御装置(ECU)23の記載は省略してある。
図8において、エンジン1と入力軸2との間に、サブポンプ(チャージポンプ)3が設けられている。そして、入力軸2と同一の軸線上、もしくはこれに平行な軸線上に、動力を分配し、また伝達および遮断する機構、すなわち差動機構とこれに反力を与えかつその反力の可変な反力機構とが配置されている。この図8に示す例では、差動機構としてダブルピニオン型の遊星歯車機構35,37が用いられ、また反力を生じさせるための反力機構としては、前述の第1,第2の実施形態と同様、可変容量型油圧ポンプモータ7,9が用いられている。以下の説明では、エンジン1および入力軸2に平行な第1ドライブ軸34と同一軸線上に配置された遊星歯車機構を第1遊星歯車機構35と記し、また油圧ポンプモータを第1ポンプモータ(PM1)7と記す。さらに、第1ドライブ軸34とは別のエンジン1および入力軸2に平行な第2ドライブ軸36と同一軸線上に配置された遊星歯車機構を第1遊星歯車機構37と記し、また油圧ポンプモータを第2ポンプモータ(PM2)9と記す。
第1ドライブ軸34と第2ドライブ軸36とはこの発明における中間軸に相当するものであって、第1ドライブ軸34は、第1遊星歯車機構35を挟んで第1ポンプモータ7とは軸線方向で反対側(図8の左側)に配置されていて、第2ドライブ軸36は、第2遊星歯車機構37を挟んで第2ポンプモータ9とは軸線方向で反対側(図8の左側)に配置されている。
第1遊星歯車機構35は、外歯歯車であるサンギヤ35Sと、これと同心円上に配置された内歯歯車であるリングギヤ35Rと、これらのサンギヤ35Sとリングギヤ35Rとにそれぞれ噛み合っている2つのピニオンギヤを自転かつ公転自在に保持しているキャリア35Cとを回転要素とするダブルピニオン型の遊星歯車機構である。
前記の入力軸2にカウンタギヤ対10のカウンタドライブギヤ10Aが取り付けられており、これに噛み合っている一方のカウンタドリブンギヤ10Bが、第1ポンプモータ7および第1遊星歯車機構35と同一軸線上に回転自在に配置されている。そして、このカウンタドリブンギヤ10Bは、スタートシンクロ11を介してリングギヤ35Rに連結されている。
ここで、スタートシンクロ11は、いわゆる発進用切替機構であり、第1遊星歯車機構35のリングギヤ35Rとエンジン1との間を選択的にトルク伝達可能な状態にするとともに、リングギヤ35Rの回転を規制すること、すなわちリングギヤ35Rを固定することができるように構成されている。したがってリングギヤ35Rが入力要素となっている。また、サンギヤ35Sに反力機構としての第1ポンプモータ7のロータ軸7Aが接続されている。したがってサンギヤ35Sが反力要素となっている。そして、キャリア35Cに第1ドライブ軸34が連結されている。したがって、キャリア35Cが出力要素となっている。このスタートシンクロ11の詳細については後述する。
第1ポンプモータ7は、押出容積を変更できる可変容量型であり、この図8に示す例では、特に押出容積を“0”から正負のいずれか一方向に変化させることのできるいわゆる片振り型のものであり、第1遊星歯車機構35に対してエンジン1側(図8の右側)に、第1遊星歯車機構35と同一軸線上に配置されている。
一方、第2遊星歯車機構37は、上記の第1遊星歯車機構35と同様の構成であって、サンギヤ37Sと、リングギヤ37Rと、これらにそれぞれ噛み合っている2つのピニオンギヤを自転および公転自在に保持しているキャリア37Cとを回転要素とし、これら3つの回転要素によって差動作用を行うダブルピニオン型の遊星歯車機構である。
そして上記の第1遊星歯車機構35と同様に、入力軸2に取り付けられたカウンタドライブギヤ10Aに噛み合っている他方のカウンタドリブンギヤ10Cが、リングギヤ37Rに連結されている。すなわち、リングギヤ37Rに入力軸2がカウンタギヤ対10を介して連結されている。したがってリングギヤ37Rが入力要素となっている。また、サンギヤ37Sに反力機構としての第2ポンプモータ9のロータ軸9Aが接続されている。したがってサンギヤ37Sが反力要素となっている。そして、キャリア37Cに、直結用シンクロ12を介してこれらと同一軸線上にあるキャリア軸13上に配置された第3速ギヤ対14の第3速駆動ギヤ14Aおよび第1速ギヤ対18の第1速駆動ギヤ18Aが連結されている。したがってキャリア37Cが出力要素となっている。
上記のキャリア軸13には、第4速ギヤ対15の第4速従動ギヤ15B(もしくは第4速遊転ギヤ15B)が回転自在に嵌合されており、その第4速従動ギヤ15Bにカウンタギヤ15C,15Dを介して噛み合っている第4速駆動ギヤ15Aが、入力軸2に一体となって回転するように設けられている。すなわち、第4速従動ギヤ15Bには、キャリヤ軸13に平行なカウンタ軸15Sの両端部分に一体の左右のカウンタギヤ15C,15Dのうちの一方のカウンタギヤ15Cが噛み合っていて、他方のカウンタギヤ15Dに、入力軸2に一体の第4速駆動ギヤ15Aが噛み合っている。
また、直結用シンクロ12は、いわゆる直結段形成用の切替機構であり、第2遊星歯車機構37のキャリア37Cと上記のキャリア軸13との間を選択的にトルク伝達可能な状態にするとともに、第4速従動ギヤ15Bとキャリア軸13との間を選択的にトルク伝達可能な状態にすること、すなわち第4速駆動ギヤ15Aと第4速従動ギヤ15Bとカウンタギヤ15C,15Dおよびカウンタ軸15Sとからなる第4速ギヤ対15を介して入力軸2とキャリア軸13との間を選択的にトルク伝達可能な状態にすることができるように構成されている。
そして、第2ポンプモータ9は、押出容積を変更できる可変容量型であり、図8に示す例では、押出容積を“0”から正負のいずれか一方向に変化させることのできるいわゆる片振り型のものであり、第2遊星歯車機構37に対してエンジン1側(図8の右側)に、第2遊星歯車機構37と同一軸線上に配置されている。
ここで、発進用切替機構としてのスタートシンクロ11について説明すると、このスタートシンクロ11は、例えば同期連結機構(シンクロナイザー)や噛み合いクラッチ(ドグクラッチ)もしくは摩擦式クラッチからなるものであって、図8には同期連結機構からなるスタートシンクロ11が記載されている。このスタートシンクロ11は、第1遊星歯車機構35のリングギヤ35Rに一体のハブにスプライン嵌合したスリーブ11Sを備えており、このスリーブ11Sを挟んだ両側に、前述のカウンタギヤ対10のカウンタドリブンギヤ10Bおよび固定部16に一体化させたスプラインが配置されている。さらに、この第3の実施形態におけるスタートシンクロ11は、前述の第2の実施形態と同様、カウンタドリブンギヤ10Bの側に、そのカウンタドリブンギヤ10Bとハブすなわちリングギヤ35Rとを制動するブレーキ機構33が設けられている。
具体的には、スリーブ11Sの図8の左側に、固定部16に一体化させたスプラインが配置され、スリーブ11Sの図8の右側に、カウンタギヤ対10のカウンタドリブンギヤ10Bに一体化させたスプラインが配置されている。そして、スリーブ11Sの図8の更に左側に、スリーブ11Sの図8での右端面側に形成されたスリーブ側摩擦部材33Aと、例えば固定部16に一体化させた固定側摩擦部材33Bとから構成されるブレーキ機構33が配置されている。
すなわち、この第3の実施形態におけるスタートシンクロ11は、そのスリーブ11Sを図8の左側(「S」の位置)に移動させることにより、第1遊星歯車機構35のリングギヤ35Rを固定部16に連結してリングギヤ35Rの回転を規制し、すなわちリングギヤ35Rを固定し、スリーブ11Sを図8の右側(「D」の位置)に移動させることにより、カウンタギヤ対10のカウンタドリブンギヤ10Bを第1遊星歯車機構35のリングギヤ35Rに連結し、さらに、スリーブ11Sを図8の「D」の位置よりも右側(「B」の位置)に移動させることにより、カウンタドリブンギヤ10Bとリングギヤ35Rとを連結した状態でブレーキ機構33を係合してそれらカウンタドリブンギヤ10Bおよびリングギヤ35Rの回転を制動するように構成されている。そして、スリーブ11Sを中央(「N」の位置)に位置させることにより、カウンタドリブンギヤ10Bあるいは固定部16のいずれとも係合せず、またブレーキ機構33が解放されているニュートラル状態となるように構成されている。
したがって、この第3の実施形態におけるスタートシンクロ11のスリーブ11Sを図8の最も右側(「B」の位置)に移動させてスリーブ11Sのスリーブ側摩擦部材33Aを固定側摩擦部材33Bに当接させることにより、ブレーキ機構33を係合もしくは半係合状態にして、カウンタドリブンギヤ10Bおよびリングギヤ35Rの回転数を低下させること、すなわちカウンタドライブギヤ10Bおよび第4速駆動ギヤ15Aの回転を制動することができる。言い換えると、スタートシンクロ11のスリーブ11Sを図8の最も右側(「B」の位置)に移動させてカウンタドリブンギヤ10Bおよび第4速駆動ギヤ15Aの回転を制動することにより、カウンタドライブギヤ10Aを介してカウンタドライブギヤ10Bと連結しているエンジン1およびカウンタギヤ15C,15Dを介して第4速駆動ギヤ15Aと噛み合っている第4速従動ギヤ15Bの回転を制動することができる。
上記のように、この例における第1遊星歯車機構35は、リングギヤ35Rおよびサンギヤ25Sおよびキャリア35Cを、それぞれ入力要素および反力要素ならびに出力要素とするダブルピニオン型の遊星歯車機構により構成されている。そのため、上記のようにスタートシンクロ11のスリーブ11Sを図8の左側に移動させてリングギヤ35Rを固定することにより、サンギヤ35Sの回転数に対してキャリア35Cの回転数を反転してかつ減速することができる。すなわち、第1遊星歯車機構35は、スタートシンクロ11を動作させて第1遊星歯車機構35の入力要素となっているリングギヤ35Rを固定することにより、第1遊星歯車機構35の反力要素となっているサンギヤ35Sに第1ポンプモータ7の出力トルクが入力された場合に、そのサンギヤ35Sのトルクを増幅し、かつその回転方向を反転させて第1遊星歯車機構35の出力要素となっているキャリア35Cから出力する減速機構として機能する構成となっている。
各ドライブ軸34,36から動力が伝達される出力軸17が、各ドライブ軸34,36および入力軸2と平行になるように配置されている。これら各ドライブ軸34,36と出力軸17との間には、異なる変速比を設定するための複数の伝動機構が設けられている。この図8に示す例では、前述の第1,第2の実施形態の場合と同様に、前進走行のための3つのギヤ対14,18,20と後進走行のためのギヤ対19とが設けられている。
すなわち、出力軸17上には、エンジン1側から順に、第2速従動ギヤ20B、リバース従動ギヤ19B、第1速従動ギヤ18B、第3速従動ギヤ14B、が配置されるとともに、これら各従動ギヤ20B,19B,18B,14Bは、出力軸17に対して回転自在に嵌合している。
これに対して、キャリア軸13上には、上記の第3速従動ギヤ14Bに噛み合っている第3速駆動ギヤ14Aと、上記の第1速従動ギヤ18Bに噛み合っている第1速駆動ギヤ18Aとが、それぞれキャリア軸13に一体となって回転するように設けられている。なお、第1速駆動ギヤ18Aは、第1速従動ギヤ18Bより歯幅の広い歯車であって、第1速従動ギヤ18Bに隣接して配置されているリバース従動ギヤ19Bとの間に設けられたアイドルギヤ19Aにも噛み合っている。したがって、第1速駆動ギヤ18Aはリバース駆動ギヤを兼ねている。また、第2速従動ギヤ20Bと噛み合う第2速駆動ギヤ20Aは、第1ドライブ軸34の先端(図8の左側)部分に、その第1ドライブ軸34に一体となって回転するように設けられている。
なお、前述の第1,第2の実施形態の場合と同様に、上述した各ギヤ対14,18,19,20のうち、前進走行のための変速比(変速段)を設定する第1速ないし第3速の各ギヤ対18,20,14のギヤ比(従動側のギヤの歯数に対する駆動側のギヤの歯数の比)は、ここに挙げたギヤ対18,20,14の順に小さくなっている。すなわち、「第1速ギヤ対18のギヤ比」>「第2速ギヤ対20のギヤ比」>「第3速ギヤ対14のギヤ比」となっている。
そして、上記の各ギヤ対14,18,19,20を選択的に動力伝達可能な状態にするための切替機構が設けられている。図8に示す例では、切替機構として同期連結機構が使用されており、上記の出力軸17上で、第3速従動ギヤ14Bと第1速従動ギヤ18Bとの間に第1シンクロ21が配置され、また同様に出力軸17上で、リバース従動ギヤ19Bと第2速従動ギヤ20Bとの間に第2シンクロ22が配置されている。
第1シンクロ21は、そのスリーブ21Sを図8の右側(「1st」の位置)に移動させることにより、第1速従動ギヤ18Bを出力軸17に連結し、またスリーブ21Sを図8の左側(「3rd」の位置)に移動させることにより、第3速従動ギヤ14Bを出力軸17に連結し、さらにスリーブ21Sを中央(「N」の位置)に位置させることにより、いずれの従動ギヤ18B,14Bとも係合せずにニュートラル状態となるように構成されている。
また、第2シンクロ22は、そのスリーブ22Sを図8の右側(「2nd」の位置)に移動させることにより、第2速従動ギヤ20Bを出力軸17に連結し、またスリーブ22Sを図8の左側(「R」の位置)に移動させることにより、リバース従動ギヤ19Bを出力軸17に連結し、さらにスリーブ22Sを中央(「N」の位置)に位置させることにより、いずれの従動ギヤ20B,19Bとも係合せずにニュートラル状態となるように構成されている。
そして、出力軸17の出力側の先端(図8の右側)部分には、カウンタギヤ38が出力軸17に一体となって回転するように設けられていて、そのカウンタギヤ38にリングギヤ39Rが噛み合っているデファレンシャル39を介して、左右の駆動軸40と出力軸17との間が動力伝達可能に連結されている。
ここで、前述の直結用シンクロ12について説明すると、この直結用シンクロ12は、キャリア軸13に一体のハブにスプライン嵌合したスリーブ12Sを備えており、このスリーブ12Sを挟んだ両側に、前述の第2遊星歯車機構37のキャリア37Cおよび第4速従動ギヤ15Bに一体化させたスプラインが配置されている。具体的には、スリーブ12Sの図8の右側に、第2遊星歯車機構37のキャリア37Cに一体化させたスプラインが配置され、スリーブ12Sの図8の左側に、第4速従動ギヤ15Bに一体化させたスプラインが配置されている。
したがって、直結用シンクロ12は、そのスリーブ12Sを図8の右側(「CV」の位置)に移動させることにより、第2遊星歯車機構37のキャリア37Cを第3速駆動ギヤ14Aが一体化されているキャリア軸13に連結し、スリーブ12Sを図8の左側(「4th」の位置)に移動させることにより、第4速従動ギヤ15Bを第3速駆動ギヤ14Aが一体化されているキャリア軸13に連結し、さらにスリーブ12Sを中央(「N」の位置)に位置させることにより、キャリア8Cあるいは第4速従動ギヤ15Bのいずれとも係合せずにニュートラル状態となるように構成されている。
このように、直結用シンクロ12のスリーブ12Sを図8の右側(「CV」の位置)に移動させて第2遊星歯車機構37のキャリア37Cとキャリア軸13とを連結することにより、変速機TMを、前述した複数の伝動機構すなわち第1速ないし第3速の各ギヤ対18,20,14のギヤ比に応じた第1速ないし第3速の各変速段を設定する状態、およびそれら第1速ないし第3速の各変速段の間で変速比を連続的に変化させる無段変速状態にすることができる。
そして、この発明の変速機TMは、前述の第1速ないし第3速の各ギヤ対18,20,14のギヤ比に応じて設定されるいずれの変速比よりも小さな、すなわち第3速の変速比よりも小さなこの変速機TMの最高速段としての第4速を設定できるように構成されている。すなわち、第3速ギヤ対14を出力軸17に対してトルク伝達可能な状態にするとともに、上記のように直結用シンクロ12のスリーブ12Sを図8の左側(「4th」の位置)に移動させて第4速従動ギヤ15Bとキャリア軸13とを連結することにより、入力軸2に伝達されたエンジン1の出力トルクを、第4速ギヤ対15および第3速ギヤ対14を介して出力軸17に伝達すること、すなわちエンジン1の出力トルクを第2ポンプモータ9および第2遊星歯車機構37を経由させずに出力軸17に直接伝達するができる。言い換えると、第2ポンプモータ9および第2遊星歯車機構37と出力軸17との間の動力伝達を遮断しかつエンジン1と出力軸17との間を第4速ギヤ対15および第3速ギヤ対14を介して動力伝達可能な状態にすることができる。
さらに、上記の第4速ギヤ対15のギヤ比が、エンジン1の出力トルクが第4速ギヤ対15および第3速ギヤ対14を経由して出力軸17へ伝達される際の変速比が“1”もしくは“1”よりも小さい所定値となるように設定されている。したがって、この変速機TMは、直結用シンクロ12によって第2ポンプモータ9および第2遊星歯車機構8と出力軸17との間の動力伝達を遮断しかつエンジン1と出力軸17との間を第4速ギヤ対15および第3速ギヤ対14を介して動力伝達可能な状態にすることにより、変速比が“1”となるいわゆる直結段、もしくは変速比が“1”よりも小さな増速段を設定することができる。
なお、第3速駆動歯車14Aと第3速従動歯車14Bと、および第4速駆動ギヤ15Aとカウンタギヤ15Dと、ならびに第1速駆動ギヤ18Aと第1速従動ギヤ18Bおよびアイドルギヤ19Aとは、図8の図面上ではそれぞれ互いに離れた位置に記載されているが、実際には、上記の説明のように、それぞれ互いに噛み合う位置に配置されている。すなわち、この図8に示すように構成した変速機TMは、入力軸2、キャリア軸13、出力軸17、第1ドライブ軸34、第2ドライブ軸36、カウンタ軸15S等は、図9に示すように、それら各軸2,13,17,34,36の軸線方向の直角な平面上における配置が設計上適切な位置に設定されていて、上記の各ギヤ対14,15,18等は、いずれも互いに直接噛み合っている。
上記のように、この第3の実施形態では、第1速ギヤ対18および第2速ギヤ対20および第3速ギヤ対14ならびにリバースギヤ対19の各伝動機構と、第1シンクロ21および第2シンクロ22の各切替機構とによって、各ドライブ軸34,36と出力軸17との間を選択的に動力伝達可能な状態にすることができる。したがって、上記の各ギヤ対18,20,14,19と各シンクロ21,22とが、この発明における変速段用伝動機構に相当している。
また、この第3の実施形態では、第4速駆動ギヤ15Aと第4速従動ギヤ15Bとカウンタギヤ15C,15Dおよびカウンタ軸15Sとからなる第4速ギヤ対15と、直結用シンクロ12とによって、選択的に、エンジン1と出力軸17との間を動力伝達可能な状態にしかつ第2遊星歯車機構8と出力軸17との間を動力伝達不可能な状態にすることができる。したがって、上記の第4速ギヤ対15と直結用シンクロ12とが、この発明における直結段用伝動機構に相当している。
そして、この第3の実施形態では、前述の第2の実施形態と同様に、スタートシンクロ11と、そのスタートシンクロ11に設けられたブレーキ機構33とによって、この発明における直結段用伝動機構によりエンジン1と出力軸17との間を動力伝達不可能な状態から動力伝達可能な状態に切り替える際に、エンジン1の回転を制動することができる。したがって、上記のスタートシンクロ11とブレーキ機構33とが、この発明における同期補助機構に相当している。
この第3の実施形態での変速機TMにおける上記の各ポンプモータ7,9を制御するための流体圧回路(油圧回路)については、前述の第1の実施形態で図2に示して説明した構成と同じであるので、ここではその流体圧回路(油圧回路)についての説明を省略する。また、この第3の実施形態での変速機TMの作用についても、前述の図3を基に第1,第2の実施形態の場合と同様の説明ができるため、ここではその作用についての説明を省略する。
(第4の実施形態)
図10にこの発明に係る変速機TMの第4の実施形態の一例を示す。前述の第1,第2の実施形態が、FR車に適する構成であって、4つの前進段および1つの後進段を設定することが可能なように構成した例であるのに対して、この図10に示す第4の実施形態の例は、FR車に適する構成であって、5つの前進段および1つの後進段を設定することが可能なように構成した例である。すなわち、いわゆる直結段であって変速機TMの最高速段として第5速を設定できるように構成した例である。この図10に示す第4の実施形態の構成において、図1,図6に示した前述の第1,第2の実施形態と同じ構成の部分あるいは同様に機能する部分は、図10に図1,図6と同じ参照符号を付けてある。なお、この図10では電子制御装置(ECU)23の記載は省略してある。
図10において、エンジン1と入力軸2との間に、サブポンプ(チャージポンプ)3が設けられている。そして、入力軸2と同一の軸線上、もしくはこれに平行な軸線上に、動力を分配し、また伝達および遮断する機構、すなわち差動機構とこれに反力を与えかつその反力の可変な反力機構とが配置されている。この図10に示す例では、前述の第1,第2の実施形態の場合と同様に、差動機構としてシングルピニオン型の遊星歯車機構6,8が用いられ、また反力を生じさせるための反力機構としては、可変容量型油圧ポンプモータ7,9が用いられている。以下の説明では、エンジン1および入力軸2に平行な第1ドライブ軸41およびこれに回転自在に嵌合させられている第2ドライブ軸42と同一軸線上に配置された遊星歯車機構を第1遊星歯車機構6と記し、また油圧ポンプモータを第1ポンプモータ(PM1)7と記す。さらに、これらと平行に配置されている遊星歯車機構を第2遊星歯車機構8と記し、また油圧ポンプモータを第2ポンプモータ(PM2)9と記す。
上記の第1ドライブ軸41と第2ドライブ軸42とはこの発明における中間軸に相当し、これらのうち一方のドライブ軸(この例では、第2ドライブ軸42)は中空構造であって、第1ドライブ軸4の外周側に相互に回転自在に嵌合している。そして、これらの各ドライブ軸41,42は、第1遊星歯車機構6を挟んで第1ポンプモータ7とは軸線方向で反対側(図10の右側)に配置されている。
第1遊星歯車機構6は、前述の第1,第2の実施形態と同様、サンギヤ6Sとリングギヤ6Rとキャリア6Cとを回転要素とし、これら3つの回転要素によって差動作用を行うシングルピニオン型の遊星歯車機構である。
前記の入力軸2にカウンタギヤ対10のカウンタドライブギヤ10Aが取り付けられており、これに噛み合っている一方のカウンタドリブンギヤ10Bが、第1ポンプモータ7および第1遊星歯車機構6と同一軸線上に回転自在に配置されている。そして、このカウンタドリブンギヤ10Bは、スタートシンクロ11を介してリングギヤ6Rに連結されている。
スタートシンクロ11は、いわゆる発進用切替機構であり、第1遊星歯車機構6のリングギヤ6Rとエンジン1との間を選択的にトルク伝達可能な状態にするとともに、リングギヤ6Rの回転を規制すること、すなわちリングギヤ6Rを固定することができるように構成されている。したがってリングギヤ6Rが入力要素となっている。また、サンギヤ6Sに反力機構としての第1ポンプモータ7のロータ軸7Aが接続されている。したがってサンギヤ6Sが反力要素となっている。そして、キャリア6Cに、直結用シンクロ12を介してこれらと同一軸線上にある第1ドライブ軸41がキャリア軸41として連結されている。
第1ポンプモータ7は、押出容積を変更できる可変容量型であり、この図10に示す例では、特に押出容積を“0”から正負の両方向に変化させることのできるいわゆる両振り型のものであり、第1遊星歯車機構6に対してエンジン1側(図10の左側)に、第1遊星歯車機構6と同一軸線上に配置されている。
一方、第2遊星歯車機構8は、上記の第1遊星歯車機構6と同様の構成であって、サンギヤ8Sとリングギヤ8Rとキャリア8Cとを回転要素とし、これら3つの回転要素によって差動作用を行うシングルピニオン型の遊星歯車機構である。
そして上記の第1遊星歯車機構6と同様に、入力軸2に取り付けられたカウンタドライブギヤ10Aに噛み合っている他方のカウンタドリブンギヤ10Cが、リングギヤ8Rに連結されている。すなわち、リングギヤ8Rに入力軸2がカウンタギヤ対10を介して連結されている。したがってリングギヤ8Rが入力要素となっている。また、サンギヤ8Sに反力機構としての第2ポンプモータ9のロータ軸9Aが接続されている。したがってサンギヤ8Sが反力要素となっている。そして、キャリア8Cに第3ドライブ軸43が連結されていて、その第3ドライブ軸43に第3速ギヤ対14の第3速駆動ギヤ14Aが連結されている。したがってキャリア8Cが出力要素となっている。
前記の第1ドライブ軸(キャリア軸)41には、第5速ギヤ対45の第5速従動ギヤ45B(もしくは第5速遊転ギヤ45B)が回転自在に嵌合されており、その第5速従動ギヤ45Bに噛み合っている第5速駆動ギヤ45Aが、入力軸2に一体となって回転するように設けられている。また、直結用シンクロ12は、いわゆる直結段形成用の切替機構であり、第1遊星歯車機構6のキャリア6Cと上記のキャリア軸(第1ドライブ軸)41との間を選択的にトルク伝達可能な状態にするとともに、第5速従動ギヤ45Bとキャリア軸41との間を選択的にトルク伝達可能な状態にすること、すなわち第5速ギヤ対45を介して入力軸2とキャリア軸41との間を選択的にトルク伝達可能な状態にすることができるように構成されている。
第2ポンプモータ9は、押出容積を変更できる可変容量型であり、図10に示す例では、押出容積を“0”から正負のいずれか一方向に変化させることのできるいわゆる片振り型のものであり、第2遊星歯車機構8に対してエンジン1側(図10の左側)に、第2遊星歯車機構8と同一軸線上に配置されている。
ここで、発進用切替機構としてのスタートシンクロ11について説明すると、この第4の実施形態におけるスタートシンクロ11は、前述の第2の実施形態の場合と同様に、第1遊星歯車機構6のリングギヤ6Rに一体のハブにスプライン嵌合したスリーブ11Sを備えており、このスリーブ11Sを挟んだ両側に、前述のカウンタギヤ対10のカウンタドリブンギヤ10Bおよび固定部16に一体化させたスプラインが配置されている。さらに、この第4の実施形態におけるスタートシンクロ11は、カウンタドリブンギヤ10Bの側に、そのカウンタドリブンギヤ10Bとハブすなわちリングギヤ6Rとを制動するブレーキ機構33が設けられている。
具体的には、スリーブ11Sの図10の右側に、固定部16に一体化させたスプラインが配置され、スリーブ11Sの図10の左側に、カウンタギヤ対10のカウンタドリブンギヤ10Bに一体化させたスプラインが配置されている。そして、スリーブ11Sの図10の更に左側に、スリーブ11Sの図10での左端面側に形成されたスリーブ側摩擦部材33Aと、例えば固定部16に一体化させた固定側摩擦部材33Bとから構成されるブレーキ機構33が配置されている。
すなわち、この第4の実施形態におけるスタートシンクロ11は、そのスリーブ11Sを図10の右側(「S」の位置)に移動させることにより、第1遊星歯車機構6のリングギヤ6Rを固定部16に連結してリングギヤ6Rの回転を規制し、すなわちリングギヤ6Rを固定し、スリーブ11Sを図10の左側(「D」の位置)に移動させることにより、カウンタギヤ対10のカウンタドリブンギヤ10Bを第1遊星歯車機構6のリングギヤ6Rに連結し、さらに、スリーブ11Sを図10の「D」の位置よりも左側(「B」の位置)に移動させることにより、カウンタドリブンギヤ10Bとリングギヤ6Rとを連結した状態でブレーキ機構33を係合してそれらカウンタドリブンギヤ10Bおよびリングギヤ6Rの回転を制動するように構成されている。そして、スリーブ11Sを中央(「N」の位置)に位置させることにより、カウンタドリブンギヤ10Bあるいは固定部16のいずれとも係合せず、またブレーキ機構33が解放されているニュートラル状態となるように構成されている。
したがって、この第4の実施形態におけるスタートシンクロ11のスリーブ11Sを図10の最も左側(「B」の位置)に移動させてスリーブ11Sのスリーブ側摩擦部材33Aを固定側摩擦部材33Bに当接させることにより、ブレーキ機構33を係合もしくは半係合状態にして、カウンタドリブンギヤ10Bおよびリングギヤ6Rの回転数を低下させること、すなわちカウンタドライブギヤ10Bおよび第4速駆動ギヤ44Aの回転を制動することができる。言い換えると、スタートシンクロ11のスリーブ11Sを図10の最も左側(「B」の位置)に移動させてカウンタドリブンギヤ10Bおよび第5速駆動ギヤ45Aの回転を制動することにより、カウンタドライブギヤ10Aを介してカウンタドライブギヤ10Bと連結しているエンジン1および第5速駆動ギヤ45Aと噛み合っている第5速従動ギヤ45Bの回転を制動することができる。
上記のように、この例における第1遊星歯車機構6は、前述の第1,第2の実施形態の場合と同様に、リングギヤ6Rおよびサンギヤ6Sおよびキャリア6Cを、それぞれ入力要素および反力要素ならびに出力要素とするシングルピニオン型遊星歯車機構により構成されている。そのため、上記のようにスタートシンクロ11のスリーブ11Sを図10の右側に移動させてリングギヤ6Rを固定することにより、サンギヤ6Sの回転数に対してキャリア6Cの回転数を減速することができる。すなわち、第1遊星歯車機構6は、スタートシンクロ11を動作させて第1遊星歯車機構6の入力要素となっているリングギヤ6Rを固定することにより、第1遊星歯車機構6の反力要素となっているサンギヤ6Sに第1ポンプモータ7の出力トルクが入力された場合に、そのサンギヤ6Sのトルクを増幅して第1遊星歯車機構6の出力要素となっているキャリア6Cから出力する減速機構として機能する構成となっている。
各ドライブ軸41,42,43から動力が伝達される出力軸17が、各ドライブ軸41,42,43と平行になるように、また入力軸2と同一軸線上に配置されている。そして、これら各ドライブ軸41,42,43と出力軸17との間には、異なる変速比を設定するための複数の伝動機構が設けられている。この図10に示す例では、前進走行のための4つのギヤ対14,18,44,20と後進走行のためのギヤ対19とが設けられている。
すなわち、出力軸17上には、エンジン1側から順に、第3速従動ギヤ14B、第1速従動ギヤ18B、リバース従動ギヤ19B、第4速従動ギヤ44B、第2速従動ギヤ20Bが配置されている。これら各従動ギヤ14B,18B,19B,44B、20Bのうち、第3速従動ギヤ14Bおよび第1速従動ギヤ18Bならびにリバース従動ギヤ19Bは、出力軸17に対して回転自在に嵌合している。そして、第4速従動ギヤ44Bおよび第2速従動ギヤ20Bは、出力軸17に一体となって回転するように設けられている。
これに対して、第2ドライブ軸42上には、上記の第3速従動ギヤ14Bに噛み合っているカウンタギヤ14Cと、上記の第1速従動ギヤ18Bに噛み合っている第1速駆動ギヤ18Aとが、それぞれ第2ドライブ軸42に一体となって回転するように設けられている。なお、第1速駆動ギヤ18Aは、第1速従動ギヤ18Bより歯幅の広い歯車であって、第1速従動ギヤ18Bに隣接して配置されているリバース従動ギヤ19Bとの間に設けられたアイドルギヤ19Aにも噛み合っている。したがって、第1速駆動ギヤ18Aはリバース駆動ギヤを兼ねている。さらに、第1ドライブ軸41は、その外周側の第2ドライブ軸42からその先端側(図10の右側)に突出しており、その突出部分には、上記の第4速従動ギヤ44Bに噛み合っている第4速駆動ギヤ44Aと、上記の第2速従動ギヤ20Bに噛み合っている第2速駆動ギヤ20Aとが、それぞれ第1ドライブ軸41に対して回転自在に嵌合している。さらに、第3ドライブ軸43の先端(図10の右側)部分には、上記の第3速従動ギヤ14Bに噛み合っている第3速駆動ギヤ14Aが一体となって回転するように設けられている。
上述した各ギヤ対14,44,18,19,20のうち、前進走行のための変速比(変速段)を設定する第1速ないし第4速の各ギヤ対18,20,14,44のギヤ比(従動側のギヤの歯数に対する駆動側のギヤの歯数の比)は、ここに挙げたギヤ対18,20,14,44の順に小さくなっている。すなわち、「第1速ギヤ対18のギヤ比」>「第2速ギヤ対20のギヤ比」>「第3速ギヤ対14のギヤ比」>「第4速ギヤ対44のギヤ比」となっている。
そして、上記の各ギヤ対14,44,18,19,20を選択的に動力伝達可能な状態にするための切替機構が設けられている。この図10に示す例では、切替機構として同期連結機構が使用されており、上記の出力軸17上で、第3速従動ギヤ14Bと第1速従動ギヤ18Bとの間に第1シンクロ46が配置され、またリバース従動ギヤ19Bに隣接して(図10の右側に)第2シンクロ47が配置されている。さらに、上記の第1ドライブ軸(キャリア軸)41上で、第4速駆動ギヤ44Aと第2速駆動ギヤ20Aとの間に第3シンクロ48が配置されている。
したがって第1シンクロ46は、そのスリーブ46Sを図10の右側(「1st」の位置)に移動させることにより、第1速従動ギヤ18Bを出力軸17に連結し、またスリーブ46Sを図10の左側(「3rd」の位置)に移動させることにより、第3速従動ギヤ14Bを出力軸17に連結し、さらにスリーブ46Sを中央(「N」の位置)に位置させることにより、いずれの従動ギヤ18B,14Bとも係合せずにニュートラル状態となるように構成されている。
また、第2シンクロ47は、そのスリーブ47Sを図10の左側(「R」の位置)に移動させることにより、リバース従動ギヤ19Bを出力軸17に連結し、またスリーブ47Sを中央(「N」の位置)に位置させることにより、いずれの従動ギヤ19Bとも係合せずにニュートラル状態となるように構成されている。
そして、第3シンクロ48は、そのスリーブ48Sを図10の右側(「2nd」の位置)に移動させることにより、第2駆動ギヤ20Aを第1ドライブ軸(キャリア軸)41に連結し、またスリーブ48Sを図10の左側(「4th」の位置)に移動させることにより、第4速駆動ギヤ44Bを第1ドライブ軸(キャリア軸)41に連結し、さらにスリーブ48Sを中央(「N」の位置)に位置させることにより、いずれの駆動ギヤ20A,44Aとも係合せずにニュートラル状態となるように構成されている。
ここで、前述した直結段形成用の切替機構としての直結用シンクロ12について説明すると、この直結用シンクロ12は、キャリア軸(第1ドライブ軸)41に一体のハブにスプライン嵌合したスリーブ12Sを備えており、このスリーブ12Sを挟んだ両側に、前述の第1遊星歯車機構6のキャリア6Cおよび第5速従動ギヤ45Bに一体化させたスプラインが配置されている。具体的には、スリーブ12Sの図10の左側に、第1遊星歯車機構6のキャリア6Cに一体化させたスプラインが配置され、スリーブ12Sの図10の右側に、第5速従動ギヤ45Bに一体化させたスプラインが配置されている。
したがって、直結用シンクロ12は、そのスリーブ12Sを図10の左側(「CV」の位置)に移動させることにより、第1遊星歯車機構6のキャリア6Cをキャリア軸(第1ドライブ軸)41に連結し、スリーブ12Sを図10の右側(「4th」の位置)に移動させることにより、第5速従動ギヤ45Bをキャリア軸41に連結し、さらにスリーブ12Sを中央(「N」の位置)に位置させることにより、キャリア6Cあるいは第5速従動ギヤ45Bのいずれとも係合せずにニュートラル状態となるように構成されている。
このように、直結用シンクロ12のスリーブ12Sを図10の左側(「CV」の位置)に移動させて第2遊星歯車機構8のキャリア8Cとキャリア軸41とを連結することにより、変速機TMを、前述した複数の伝動機構すなわち第1速ないし第4速の各ギヤ対18,20,14,44のギヤ比に応じた第1速ないし第4速の各変速段を設定する状態、およびそれら第1速ないし第4速の各変速段の間で変速比を連続的に変化させる無段変速状態にすることができる。
そして、この第4の実施形態における変速機TMは、前述の第1速ないし第4速のギヤ対18,20,14,44のギヤ比に応じて設定されるいずれの変速比よりも小さな、すなわち第4速の変速比よりも小さなこの変速機TMの最高速段としての第5速を設定できるように構成されている。すなわち、第4速ギヤ対44を出力軸17に対してトルク伝達可能な状態にするとともに、上記のように直結用シンクロ12のスリーブ12Sを図10の右側に移動させて第5速従動ギヤ45Bとキャリア軸41とを連結することにより、入力軸2に伝達されたエンジン1の出力トルクを、第5速ギヤ対45および第4速ギヤ対44を介して出力軸17に伝達すること、すなわちエンジン1の出力トルクを第1ポンプモータ9および第1遊星歯車機構6を経由させずに出力軸17に直接伝達することができる。言い換えると、直結用シンクロ12のスリーブ12Sを図10の右側に移動させて第5速従動ギヤ45Bとキャリア軸41とを連結することにより、第1ポンプモータ9および第1遊星歯車機構6と出力軸17との間の動力伝達を遮断しかつエンジン1と出力軸17との間を第5速ギヤ対45および第4速ギヤ対44を介して動力伝達可能な状態にすることができる。
上記のように、この第4の実施形態では、第1速ギヤ対18および第2速ギヤ対20および第3速ギヤ対14および第4速ギヤ対44ならびにリバースギヤ対19の各伝動機構と、第1シンクロ46および第2シンクロ47ならびに第3シンクロ48の各切替機構とによって、各ドライブ軸41,42,43と出力軸17との間を選択的に動力伝達可能な状態にすることができる。したがって、上記の各ギヤ対18,20,14,44,19と各シンクロ46,47,48とが、この発明における変速段用伝動機構に相当している。
また、この第4の実施形態では、第5速ギヤ対45と、直結用シンクロ12とによって、選択的に、エンジン1と出力軸17との間を動力伝達可能な状態にしかつ第1遊星歯車機構6と出力軸17との間を動力伝達不可能な状態にすることができる。したがって、上記の第5速ギヤ対45と直結用シンクロ12とが、この発明における直結段用伝動機構に相当している。
そして、この第4の実施形態では、前述の第2,第3の実施形態と同様に、スタートシンクロ11と、そのスタートシンクロ11に設けられたブレーキ機構33とによって、この発明における直結段用伝動機構によりエンジン1と出力軸17との間を動力伝達不可能な状態から動力伝達可能な状態に切り替える際に、エンジン1の回転を制動することができる。したがって、上記のスタートシンクロ11とブレーキ機構33とが、この発明における同期補助機構に相当している。
この第4の実施形態での変速機TMにおける上記の各ポンプモータ7,9を制御するための流体圧回路(油圧回路)については、前述の第1の実施形態で図2に示して説明した構成と同じであるので、ここではその流体圧回路(油圧回路)についての説明を省略する。
つぎに、第4の実施形態での変速機TMの作用について説明する。図11は、いずれかのギヤ対18,20,14,44,45,19のギヤ比で決まる各変速段を設定する際の各ポンプモータ(PM1,PM2)7,9、および各シンクロ11,12,46,47,48、ならびに各電磁リリーフ弁26,27の動作状態をまとめて示す図表である。この図11の記載を基に、この第4の実施形態での変速機TMの作用について説明する。
図示しないシフト装置によってニュートラルポジションが選択されていることによりニュートラル状態を設定する際には、各ポンプモータ7,9の押出容積が“0”とされ、また各シンクロ11,12,46,47,48がOFF状態とされる。すなわちそれぞれのスリーブ11S,12S,46S,47S,48Sが「N」の位置(図11の中央位置)に設定される。したがって、いずれのギヤ対18,20,14,44,19,44も出力軸17に連結されていないニュートラル状態となる。その結果、各ポンプモータ7,9がいわゆる空回り状態となる。したがって、各遊星歯車機構6,8のリングギヤ6R,8Rにエンジン1からトルクが伝達されても、サンギヤ6S,8Sに反力が作用しないため、出力要素であるキャリア6C,8Cに連結されている各ドライブ軸41,42,43にはトルクが伝達されない。なお、この場合、閉回路の各電磁リリーフ弁26,27は、開状態すなわちリリーフ圧が“0”となるように制御されるのが好ましい。
シフトポジションがドライブポジションなどの走行ポジションに切り替えられると、スタートシンクロ11のスリーブ11Sが「S」の位置(図10の右側)に、直結用シンクロ12のスリーブ12Sが「CV」の位置(図10の左側)に、第1シンクロ46のスリーブ46Sが「1st」の位置(図10の右側)に、そして第3シンクロ48のスリーブ48Sが「2nd」(図10の右側)の位置に、それぞれ移動させられる。なお、第2シンクロ47のスリーブ47Sは「N」の位置に維持される。
したがって第1速従動ギヤ18Bが出力軸17に連結され、また第2速駆動ギヤ20Aが第1ドライブ軸(キャリア軸)41に連結される。その結果、第2ドライブ軸42と出力軸17とが第1速ギヤ対18を介して連結され、第1ドライブ軸(キャリア軸)41と出力軸17とが第2速ギヤ対20を介して連結される。また、第1遊星歯車機構6のキャリア6Cとキャリア軸41とが連結される。そして、第1遊星歯車機構6のリングギヤ6Rがスタートシンクロ11を介して固定される。
すなわち、各変速段を設定する伝動機構すなわち各ギヤ対の連結状態としては、第1速および第2速を設定する状態となる。そして、第1遊星歯車機構6のリングギヤ6Rが固定されるので、第1遊星歯車機構6は、サンギヤ6Sにロータ軸7Aを介して第1ポンプモータ7の出力したトルクが入力された場合にそのサンギヤ6Sの回転数に対して第1遊星歯車機構6の出力要素であるキャリア6Cの回転数が減速される減速機構、言い換えると、サンギヤ6Sにロータ軸7Aを介して第1ポンプモータ7の出力したトルクが入力された場合にそのサンギヤ6Sのトルクに対して第1遊星歯車機構6の出力要素であるキャリア6Cのトルクが増幅されるトルク増幅機構として機能する状態となる。
したがって、車両の発進時に、シフトポジションが走行ポジションに切り替えられることに伴い、エンジン1の動力が第2遊星歯車機構8および第3速ギヤ対14およびカウンタギヤ14Cおよび第2ドライブ軸42ならびに第1速ギヤ対18を介して出力軸17に伝達される動力伝達経路と、第1ポンプモータ7が出力したトルクが第1遊星歯車機構6で増幅されてキャリア軸すなわち第1ドライブ軸41および第2速ギヤ対20を介して出力軸17に伝達される動力伝達経路との2つの動力伝達経路が形成されることになる。
この状態では、車両が未だ停止しているので、第2遊星歯車機構8では、キャリア8Cが停止している状態でリングギヤ8Rにエンジン1から動力が入力され、したがってサンギヤ8Sがリングギヤ8Rの回転方向とは反対の方向に回転する。この状態で、各ポンプモータ7,9の押出容積を次第に大きくすると、第2ポンプモータ9がポンプとして機能して油圧を発生する。すると、それに伴う反力が第2遊星歯車機構8におけるサンギヤ8Sに作用するので、キャリア8Cにこれをリングギヤ8Rと同方向に回転させるトルクが現れる。その結果、第3速ギヤ対14およびカウンタギヤ14Cならびに第1速ギヤ対18を介して出力軸17に動力が伝達される。
上記の第2ポンプモータ9はいわゆる逆回転してポンプとして機能しているから、その吸入ポート9Sから圧油を吐出し、これが第1ポンプモータ7の吸入ポート7Sに供給される。その結果、第1ポンプモータ7がモータとして機能し、そのロータ軸7Aからいわゆる正回転方向のトルクが出力され、そのトルクが第1遊星歯車機構6におけるサンギヤ6Sに入力される。このとき、第1遊星歯車機構6は、上記のようにリングギヤ6Rが固定されてキャリア6Cを出力要素とする減速機構として機能するので、サンギヤ6Sに入力されたトルクは、第1遊星歯車機構6で増幅されて第1ドライブ軸4ならびに第2速ギヤ対20を介して出力軸17に伝達される。すなわち第1ポンプモータ7から出力されたトルクが増幅されて出力軸17へ伝達される。なお、この場合、閉回路の各電磁リリーフ弁26,27は、上記の各ポンプモータ7,9間での圧油の給排制御と併せてそれらのリリーフ圧が所定の圧力に適宜に制御される。
このように、車両の発進時には、エンジン1から入力された動力の一部が第2遊星歯車機構8および第3速ギヤ対14およびカウンタギヤ14Cならびに第1速ギヤ対18を介して出力軸17に伝達され、また他の動力が圧油の流動の形にエネルギ変換され、これが第1ポンプモータ7に伝達され、さらにこの第1ポンプモータ7から出力軸17にトルクが増幅されて伝達される。このように発進時には、いわゆる機械的な動力伝達と流体を介した動力伝達が行われ、しかも流体を介した動力伝達の際にはトルクが増幅されて、これらの動力を合算した動力が出力軸17に出力される。その結果、大きな駆動力が要求される車両の発進時に、より大きな駆動トルクを得ることができ、車両の発進加速性を向上することができる。
上記のような動力の伝達状態では、出力軸17に現れるトルクは、第1速ギヤ対18を介した機械的伝達のみの場合のトルクより大きくなり、したがって変速機TMの全体としての変速比は、第1速ギヤ対18によって決まるいわゆる固定変速比より大きくなる。また、その変速比は、流体を介した動力の伝達割合に応じて変化する。そのため、第1遊星歯車機構6におけるサンギヤ6Sおよびこれに連結されている第1ポンプモータ7の回転数が次第に“0”に近づくのに従って流体を介した動力伝達の割合が低下し、変速機TMの全体としての変速比は第1速の固定変速比に近づく。そして、第1ポンプモータ7の押出容積が“0”になると、閉回路での圧油の流動が阻止されるので第2ポンプモータ9がロックされ、固定変速比である第1速となる。
こうして第2ポンプモータ9がロックされると、第2遊星歯車機構8のサンギヤ8Sにはこれを固定するトルクが作用することになる。そのため、第2遊星歯車機構8ではサンギヤ8Sを固定した状態でリングギヤ8Rに動力が入力されるので、出力要素であるキャリア8Cにはこれをリングギヤ8Rと同方向に回転させるトルクが生じ、これがキャリア軸41および第3速ギヤ対14およびカウンタギヤ14Cおよび第2ドライブ軸42ならびに第1速ギヤ対18を介して、出力軸17に伝達される。こうして固定変速比である第1速が設定される。なお、この第1速から後述する第4速を設定するまで間は、閉回路の各電磁リリーフ弁26,27は、所定のリリーフ圧となる閉状態に制御される。
第1速から第2速へのアップシフトでは、第1ポンプモータ7およびこれに連結されているサンギヤ6Sがリングギヤ6Rとは反対の方向に回転している。したがって第1ポンプモータ7の押出容積を正の方向に増大させると、第1ポンプモータ7がポンプとして機能し、それに伴う反力がサンギヤ6Sに作用する。その結果、リングギヤ6Rに入力されたトルクとサンギヤ6Sに作用する反力とを合成したトルクがキャリア6Cに作用し、これが正回転し、かつその回転数が次第に増大する。言い換えれば、エンジン1の回転数が次第に引き下げられる。そのキャリア6Cから第1ドライブ軸4ならびに第2速ギヤ対20を介して出力軸17にトルクが伝達される。
第1ポンプモータ7がポンプとして機能することにより発生した圧油はその吸入ポート7Sから第2ポンプモータ9の吸入ポート9Sに供給される。そのため、第2ポンプモータ9がモータとして機能して正回転方向にトルクを出力し、これが第2遊星歯車機構8のサンギヤ8Sに作用する。第2遊星歯車機構8のリングギヤ8Rにはエンジン1から動力が入力されているので、そのトルクとサンギヤ8Sに作用するトルクとが合成されてキャリア8Cからキャリア軸41および第3速ギヤ対14ならびにカウンタギヤ14Cを介して第2ドライブ軸42に出力される。すなわち、油圧を介した動力伝達が、機械的な動力伝達と並行して生じ、出力軸17にはこれらの動力を合算した動力が伝達される。
そして、第1ポンプモータ7の回転数が次第に低下することにより、第1遊星歯車機構6および第2速ギヤ対20を介した機械的動力伝達の割合が次第に増大し、変速機TMの全体としての変速比は、第1速ギヤ対18で決まる変速比から第2速ギヤ対20で決まる変速比に次第に連続的に低下する。すなわち、無段変速となる。そして、第1ポンプモータ7の押出容積が最大まで増大し、かつ第2ポンプモータ9の押出容積が“0”になって閉回路での圧油の流動が阻止されることにより、第1ポンプモータ7がロックされて、固定変速比である第2速となる。
すなわち、各ポンプモータ7,9を連通させている閉回路が第2ポンプモータ9によって閉じられることになるので、押出容積が最大になっている第1ポンプモータ7は圧油を供給および吐出できなくなり、その回転が止められる。その結果、第1遊星歯車機構6のサンギヤ6Sにはこれを固定するトルクが作用することになる。そのため、第1遊星歯車機構6ではサンギヤ6Sを固定した状態でリングギヤ6Rに動力が入力されるので、出力要素であるキャリア6Cにはこれをリングギヤ6Rと同方向に回転させるトルクが生じ、これが第1ドライブ軸4ならびに第2速ギヤ対20を介して、出力軸17に伝達される。こうして固定変速比である第2速が設定される。
なお、この第2速の状態で第1シンクロ46をOFF状態に設定すれば、すなわちそのスリーブ46Sを中立位置に設定すれば、第2ポンプモータ9を連れ回すことがないので、いわゆる引き摺りによる動力の損失を回避することができる。また、第1シンクロ46のスリーブ46Sを「3rd」の位置(図10の左側)に移動させて第3速従動ギヤ14Bを出力軸17に連結しておけば、固定変速比である第3速へのアップシフト待機状態となる。一方、第1シンクロ46のスリーブ46Sを「1st」の位置(図10の右側)に移動させて第1速従動ギヤ18Bを出力軸17に連結しておけば、第1速へのダウンシフト待機状態となる。
第2速から第3速へのアップシフトでは、第2ポンプモータ9およびこれに連結されているサンギヤ8Sがリングギヤ8Rとは反対の方向に回転している。そのため、第2ポンプモータ9の押出容積を正の方向に増大させると、第2ポンプモータ9がポンプとして機能し、それに伴う反力がサンギヤ8Sに作用する。したがって、リングギヤ8Rに入力されたトルクとサンギヤ8Sに作用する反力とを合成したトルクがキャリア8Cに作用してこれが正回転し、第1シンクロ46のスリーブ46Sを「3rd」の位置(図10の左側)に移動させて第3速従動ギヤ14Bを出力軸17に連結することにより、キャリア8Cに作用するトルクがキャリア軸41および第3速ギヤ対14を介して出力軸17に伝達される。また、変速比の低下に伴ってエンジン1の回転数が次第に引き下げられる。
第2ポンプモータ9がポンプとして機能することにより発生した圧油はその吸入ポート9Sから第1ポンプモータ7の吸入ポート7Sに供給される。そのため、第1ポンプモータ7がモータとして機能して正回転方向にトルクを出力し、これが第1遊星歯車機構6のサンギヤ6Sに作用する。第1遊星歯車機構6のリングギヤ6Rにはエンジン1から動力が入力されているので、そのトルクとサンギヤ6Sに作用するトルクとが合成されてキャリア6Cからキャリア軸41に出力される。すなわち、油圧を介した動力伝達が、機械的な動力伝達と並行して生じ、出力軸17にはこれらの動力を合算した動力が伝達される。そして、第2ポンプモータ9の回転数が次第に低下することにより、第2遊星歯車機構8およびキャリア軸41ならびに第3速ギヤ対14を介した機械的動力伝達の割合が次第に増大し、変速機TMの全体としての変速比は、第2速ギヤ対20で決まる変速比から第3速ギヤ対14で決まる変速比に次第に低下する。すなわち、無段変速となる。そして、第2ポンプモータ9の押出容積が最大まで増大し、かつ第1ポンプモータ7の押出容積が“0”になって閉回路での圧油の流動が阻止されることにより、第2ポンプモータ9がロックされて、固定変速比である第3速となる。
すなわち、第2遊星歯車機構8のサンギヤ8Sにはこれを固定するトルクが作用することになる。そのため、第2遊星歯車機構8ではサンギヤ8Sを固定した状態でリングギヤ8Rに動力が入力されるので、出力要素であるキャリア8Cにはこれをリングギヤ8Rと同方向に回転させるトルクが生じ、これが第2ドライブ軸42およびカウンタギヤ14Cならびに第3速従動ギヤ14Bを介して、出力軸17に伝達される。こうして固定変速比である第3速が設定される。
なお、この第3速の状態で第3シンクロ48のスリーブ48Sを「4th」の位置(図10の左側)に移動させて第4速駆動ギヤ44Aをキャリア軸41に連結しておけば、固定変速比である第4速へのアップシフト待機状態となる。一方、第3シンクロ48のスリーブ48Sを「2nd」の位置(図10の右側)に移動させて第2速駆動ギヤ20Aをキャリア軸41に連結しておけば、第1速へのダウンシフト待機状態となる。
第3速から第4速へのアップシフトでは、第1ポンプモータ7およびこれに連結されているサンギヤ6Sがリングギヤ6Rとは反対の方向に回転している。そのため、第2ポンプモータ7の押出容積を正の方向に増大させると、第1ポンプモータ7がポンプとして機能し、それに伴う反力がサンギヤ6Sに作用する。したがって、リングギヤ6Rに入力されたトルクとサンギヤ6Sに作用する反力とを合成したトルクがキャリア6Cに作用してこれが正回転し、第3シンクロ48のスリーブ48Sを「4th」の位置(図10の左側)に移動させて第4速駆動ギヤ44Aをキャリア軸41に連結することにより、キャリア6Cに作用するトルクがキャリア軸41および第4速ギヤ対44を介して出力軸17に伝達される。また、変速比の低下に伴ってエンジン1の回転数が次第に引き下げられる。
第1ポンプモータ7がポンプとして機能することにより発生した圧油はその吸入ポート7Sから第2ポンプモータ9の吸入ポート9Sに供給される。そのため、第2ポンプモータ9がモータとして機能して正回転方向にトルクを出力し、これが第2遊星歯車機構8のサンギヤ8Sに作用する。第2遊星歯車機構8のリングギヤ8Rにはエンジン1から動力が入力されているので、そのトルクとサンギヤ8Sに作用するトルクとが合成されてキャリア8Cから第3ドライブ軸43に出力される。すなわち、油圧を介した動力伝達が、機械的な動力伝達と並行して生じ、出力軸17にはこれらの動力を合算した動力が伝達される。そして、第1ポンプモータ7の回転数が次第に低下することにより、第1遊星歯車機構6およびキャリア軸41ならびに第4速ギヤ対44を介した機械的動力伝達の割合が次第に増大し、変速機TMの全体としての変速比は、第3速ギヤ対14で決まる変速比から第4速ギヤ対44で決まる変速比に次第に低下する。すなわち、無段変速となる。そして、第1ポンプモータ7の押出容積が最大まで増大し、かつ第2ポンプモータ9の押出容積が“0”になって閉回路での圧油の流動が阻止されることにより、第1ポンプモータ7がロックされて、固定変速比である第4速となる。
すなわち、第1遊星歯車機構6のサンギヤ6Sにはこれを固定するトルクが作用することになる。そのため、第1遊星歯車機構6ではサンギヤ6Sを固定した状態でリングギヤ6Rに動力が入力されるので、出力要素であるキャリア6Cにはこれをリングギヤ6Rと同方向に回転させるトルクが生じ、これがキャリア軸41および第4速従動ギヤ対44Bを介して、出力軸17に伝達される。こうして固定変速比である第4速が設定される。
なお、この第4速の状態で第1シンクロ46をOFF状態に設定すれば、すなわちそのスリーブ46Sを中立位置に設定すれば、第2ポンプモータ9を連れ回すことがないので、いわゆる引き摺りによる動力の損失を回避することができる。また、第1シンクロ46のスリーブ46Sを「N」の位置に移動させて第1シンクロ46をOFF状態に設定しておけば、この変速機TMの最高速段の固定変速比である第5速へのアップシフト待機状態となる。
第4速から第5速へのアップシフトでは、第2ポンプモータ9の押出容積が“0”にされ、第1ポンプモータ7がロックされた状態のまま、また第3シンクロ48のスリーブ48Sを「4th」の位置に設定したまま、さらに第1シンクロ46および第2シンクロ47のスリーブ46S,47Sをいずれも「N」の位置に設定したまま、直結用シンクロ12およびスタートシンクロ11が一旦OFF状態にされる。すなわち直結用シンクロ12およびスタートシンクロ11のスリーブ11S,12Sが、いずれも、一旦「N」の位置に設定される。
そして、その状態から直結用シンクロ12のスリーブ12Sを「5th」の位置(図10の右側)に設定することにより、この第4の実施形態での変速機TMの最高速段である第5速が設定されるが、このとき、直結用シンクロ12のスリーブ12Sが「5th」の位置に移動させられて押し付けられることによりキャリア軸41と第5速従動ギヤ45Bとの回転同期が行われるのに併せて、スタートシンクロ11のスリーブ11Sが「B」の位置に移動させられて押し付けられることにより、その回転同期が補助される。
すなわち、直結用シンクロ12のスリーブ12Sが「5th」の位置に移動させられると、第1遊星歯車機構6のキャリア6Cとキャリア軸41すなわち第1ドライブ軸41との間の動力伝達が遮断されるとともに、第5速従動ギヤ45Bがキャリア軸41に連結される。したがって、直結用シンクロ12の同期連結機構によって第5速従動ギヤ45Bの回転とキャリア軸41の回転とが同期させられるが、この場合は第4速から第5速へのアップシフトであるため、エンジン1の回転数が第4速での回転数に対して低下させられることになる。このとき、スタートシンクロ11のスリーブ11Sを「B」の位置に移動して押し付けることにより、カウンタギヤ対10の回転すなわちエンジン1の回転が制動されてエンジン1の回転数が低下させられる。すなわち、第4速から第5速へのアップシフトの際の直結用シンクロ12における回転同期が促進される。
そして、直結用シンクロ12のスリーブ12Sが「5th」の位置で係合されることにより、入力軸2を介してエンジン1の動力が直接伝達される第5速ギヤ対45が、キャリア軸41および第4速ギヤ対44を介して出力軸17に対して動力伝達可能な状態になる。その結果、エンジン1の動力が各ポンプモータ7,9および各遊星歯車機構6,8に伝達されることなく、第5速ギヤ対45および第4速ギヤ対44を介して直接出力軸17に伝達される状態になる。すなわち、この第4の実施形態での変速機TMの最高速段である第5速が設定される。
上記のように、直結用シンクロ12のスリーブ12Sが「5th」の位置に移動させられると、第1遊星歯車機構6のキャリア6Cとキャリア軸41との間の動力伝達が遮断されるとともに、第5速従動ギヤ45Bがキャリア軸41に連結される。したがって、入力軸2を介してエンジン1の動力が直接伝達される第5速ギヤ対45が、キャリア軸41および第4速ギヤ対44を介して出力軸17に対して動力伝達可能な状態になる。その結果、エンジン1の動力が各ポンプモータ7,9および各遊星歯車機構6,8に伝達されることなく、第5速ギヤ対45および第4速ギヤ対44を介して直接出力軸17に伝達されることになる。なお、このとき、各ポンプモータ7,9は、上記のようにいずれも動力の伝達に関与しないので、押出容積が最大にされてロックされていた状態の第1ポンプモータ7の押出容積が、第2ポンプモータ9の押出容積と共に“0”にされる。
この第5速の状態でスタートシンクロ11をOFF状態に設定すれば、すなわちそのスリーブ11Sを中立位置に設定すれば、第1ポンプモータ7を連れ回すことがないので、いわゆる引き摺りによる動力の損失を回避することができる。また、この第5速へのアップシフトを実行する場合、あるいはこの第5速から第4速へのダウンシフトを実行する場合、閉回路の各電磁リリーフ弁26,27は、第1ポンプモータ7のロック状態を維持するようにそれらのリリーフ圧が所定の圧力に適宜に制御されるとともに、固定変速段である第5速もしくは第4速が設定される際に、所定のリリーフ圧となる閉状態に制御される。
つぎに後進段について説明する。シフトポジションがニュートラルポジションからリバースポジションに切り替えられるなどのことによって後進段を設定する指示が行われると、スタートシンクロ11のスリーブ11Sが「S」の位置(図10の右側)に移動させられて、第1遊星歯車機構6のリングギヤ6Rが固定部16に連結され、リングギヤ6Rが固定された状態になる。また、第1シンクロ46のスリーブ46Sが「N」の位置に移動させられてニュートラルの状態にされ、第2シンクロ47のスリーブ47Sが「R」の位置(図10の左側)に移動させられてリバース従動ギヤ19Bが出力軸17に連結され、リバースギヤ対19がトルク伝達可能な状態になる。さらに、第3シンクロ48のスリーブ48Sが「2nd」(図10の右側)に移動させられて第2速駆動ギヤ20Aが第1ドライブ軸(キャリア軸)41に連結され、第2速ギヤ対20がトルク伝達可能な状態になる。
すなわち、入力軸2から第2遊星歯車機構8および第3速ギヤ対14およびカウンタギヤ14Cおよび第2ドライブ軸42ならびにリバースギヤ対19を経由して出力軸17に到る動力伝達経路と、第1ポンプモータ7のロータ軸7Aから第1遊星歯車機構6および第1ドライブ軸41ならびに第2速ギヤ対20を経由して出力軸17に到る動力伝達経路との2つの動力伝達経路が形成される。
この状態で第2ポンプモータ9の押出容積を次第に増大させる。また、両振り型である第1ポンプモータ7の押出容積を、上述した前進段(前進走行)の場合とは反対の負の方向に次第に増大させる。車両が停止している状態では出力軸17は回転していないから、これに連結された第1ポンプモータ7は停止している。これに対して、第2遊星歯車機構8では第2ドライブ軸42に連結されているキャリア8Cが固定されている状態でリングギヤ8Rにエンジン1から動力が入力されるから、サンギヤ8Sおよびこれに連結されている第2ポンプモータ9がリングギヤ8Rとは反対方向に回転している。なお、第2ポンプモータ9の押出容積をゼロにしておくことにより、第2ポンプモータ9は空転するのみで油圧を発生しない。
したがって、第2ポンプモータ9のトルク容量を次第に増大させると、第2ポンプモータ9がポンプとして機能し、油圧を発生する。それに伴う反力がサンギヤ8Sに作用するので、出力要素であるキャリア8Cにはこれを前進走行時と同方向に回転させるトルクが生じ、これが第3速ギヤ対14およびカウンタギヤ14Cを介して第2ドライブ軸42に伝達される。この第2ドライブ軸42と出力軸17との間に配置されているリバースギヤ対19は、アイドルギヤ19Aを備えているので、第2ドライブ軸42が前進走行時と同方向に回転すると、出力軸17はこれとは反対に方向に回転し、したがって後進走行することになる。
また、第2ポンプモータ9がポンプとして機能して発生した圧油が、その吸入ポート9Sから第1ポンプモータ7の吸入ポート7Sに供給される。その第1ポンプモータ7の押出容積は上述したように負側に設定されるから、第1ポンプモータ7は、圧油が吸入ポート7Sに供給されることにより、前進走行時とは反対方向に回転し、そのトルクが第1遊星歯車機構6および第1ドライブ軸41ならびに第2速ギヤ対20を介して出力軸17に伝達される。
このとき、第1遊星歯車機構6は、第1遊星歯車機構6のリングギヤ6Rが固定されているため、前述の発進時と同様に、キャリア6Cを出力要素とする減速機構として機能するので、サンギヤ6Sに入力されたトルクは、第1遊星歯車機構6で増幅されて第1ドライブ軸41ならびに第2速ギヤ対20を介して出力軸17に伝達される。すなわち第1ポンプモータ7から出力されたトルクが増幅されて出力軸17へ伝達される。
したがって、エンジン1から入力された動力の一部が第2遊星歯車機構8およびリバースギヤ対19を介して出力軸17に伝達され、また他の動力が圧油の流動の形にエネルギ変換され、これが第1ポンプモータ7に伝達され、さらにこの第1ポンプモータ7から出力軸17に、トルクが増幅されて伝達される。すなわち、後進時においても、前進方向への発進時と同様に、いわゆる機械的な動力伝達と流体を介した動力伝達が行われ、しかも流体を介した動力伝達の際にはトルクが増幅されて、これらの動力を合算した動力が出力軸17に出力される。そのため、前進方向への発進時と同様、大きな駆動力が要求される車両の後進方向への発進時においても、より大きな駆動トルクを得ることができる。
そして、第2ポンプモータ9の押出容積を次第に大きくすることによりその回転数が次第に低下し、それに伴って流体を介した動力伝達の割合が次第に低下するので、変速比はリバースギヤ対19のギヤ比によって決まる変速比に次第に低下する。すなわち、変速比が連続的に変化する。そして、各ポンプモータ7,9の押出容積を最大にすることにより、固定変速比としての後進段が設定される。
以上のように、この発明の可変容量型ポンプモータ式変速機TMによれば、第4速ギヤ対15もしくは第5速ギヤ対45と直結用シンクロ12とからなるこの発明における直結段用伝動機構により、第1遊星歯車機構6もしくは第2遊星歯車機構8と出力軸17との間を動力伝達可能な状態にするとともにエンジン1と出力軸17との間の動力伝達を遮断し、かつ第1ポンプモータ7もしくは第2ポンプモータ9で油圧を発生させることにより第1遊星歯車機構6もしくは第2遊星歯車機構8に対して反力トルクを与えている状態では、エンジン1が出力したトルクと反力トルクとが第1遊星歯車機構6もしくは第2遊星歯車機構8で合成され、そのトルクが各ギヤ対18,20,14,44,19からなる所定の変速段用伝動機構を介して出力軸17に伝達される。
一方、上記の第4速ギヤ対15もしくは第5速ギヤ対45と直結用シンクロ12とからなるこの発明における直結段用伝動機構により、第1遊星歯車機構6もしくは第2遊星歯車機構8と出力軸17との間の動力伝達を遮断するとともにエンジン1と出力軸17との間を動力伝達可能な状態にすることによって、エンジン1の出力トルクがそのまま出力軸17に伝達されて、いわゆる直結段となる。その場合、各ポンプモータ7,9が反力を出力する必要がなく、またエンジン1から出力軸7への動力伝達経路と各ポンプモータ7,9との間の動力伝達が遮断されている。そのため、油圧の漏れやギヤでの摩擦などによる動力損失あるいは各ポンプモータ7,9の引き摺り損失の発生を回避もしくは抑制し、変速機TMの動力伝達効率を向上させることができる。
また、上記の第4速ギヤ対15もしくは第5速ギヤ対45と直結用シンクロ12とからなるこの発明における直結段用伝動機構により、第4速もしくは第5速へのアップシフトを実行するためにエンジン1と出力軸17との間を動力伝達を遮断した状態から動力伝達可能な状態へ切り替える際に、スタートシンクロ11とブレーキ機構33とからなるこの発明における同期補助機構でエンジン1の回転を制動することにより、入力側の回転部材の回転数を低下させることができる。そのため、第4速もしくは第5速へのアップシフトの際の直結用シンクロ12における回転同期を促進して、エンジン1と出力軸17との間の動力伝達状態の切り替えをスムーズに行うことができる。また、その際の直結用シンクロ12による同期を、上記の同期補助機構によって補助することができるので、直結用シンクロ12を小容量の小型のものとすることができる。
なお、この発明は上述した具体例に限定されないのであって、この発明における変速用伝動機構はギヤ対に限られず、ベルトやチェーンを用いた機構、あるいはローラ式伝動機構などであってもよい。また、各ポンプモータ7,9から排圧する手段として上述した電磁リリーフ弁に替えて適宜の開閉弁を設けてもよい。さらに、この発明における出力部材は出力軸以外にギヤなどの回転部材であってもよい。
この発明で対象とする可変容量型ポンプモータ式変速機の第1の実施形態における構成例を模式的に示すスケルトン図である。 図1に示す変速機の各ポンプモータを連通させている閉回路の構成を示す油圧回路図である。 図1,図2に示す変速機における各変速比を設定する際の各ポンプモータおよび各シンクロ等の動作状態をまとめて示す図表である。 図1,図2に示す変速機おいて第3速から第4速へのアップシフトする場合の変速制御例を説明するためのフローチャートである。 図1,図2に示す変速機おいて第4速から第3速へのダウンシフトする場合の変速制御例を説明するためのフローチャートである。 この発明で対象とする可変容量型ポンプモータ式変速機の第2の実施形態における構成例を模式的に示すスケルトン図である。 図6に示す変速機おいて第3速から第4速へのアップシフトする場合の変速制御例を説明するためのフローチャートである。 この発明で対象とする可変容量型ポンプモータ式変速機の第3の実施形態における構成例を模式的に示すスケルトン図である。 図8に示す変速機の各回転軸および回転部材の位置関係を説明するための模式図である。 この発明で対象とする可変容量型ポンプモータ式変速機の第4の実施形態における構成例を模式的に示すスケルトン図である。 図10に示す変速機における各変速比を設定する際の各ポンプモータおよび各シンクロ等の動作状態をまとめて示す図表である。
符号の説明
1…エンジン(動力源,ENG)、 2…入力軸、 4,34,41…第1ドライブ軸、 5,36,42…第2ドライブ軸、 6,35…第1遊星歯車機構、 7…第1ポンプモータ(PM1)、 8,37…第2遊星歯車機構、 9…第2ポンプモータ(PM2)、 11…スタートシンクロ、 12…直結用シンクロ、 13,41…キャリア軸、 14…第3速ギヤ対、 15,44…第4速ギヤ対、 17…出力軸、 18…リバースギヤ対、 19…第1速ギヤ対、 20…第2速ギヤ対、 21,46…第1シンクロ、 22,47…第2シンクロ、 23…電子制御装置(ECU)、 33…ブレーキ機構、 43…第3ドライブ軸、 45…第5速ギヤ対、 48…第3シンクロ、 TM…可変容量型ポンプモータ式変速機。

Claims (4)

  1. 流体圧を発生することに伴う反力を動力源が連結されている差動機構に該動力源から伝達される入力トルクに対する反力トルクとして与える可変容量型ポンプモータと、その差動機構から出力されたトルクが伝達される中間軸と出力部材との間に設けられ、それら中間軸と出力部材との間を選択的に動力伝達可能な状態にする複数の変速段用伝動機構とを有する可変容量型ポンプモータ式変速機において、
    前記動力源および前記差動機構と前記出力部材との間に設けられ、選択的に、前記動力源と前記出力部材との間を動力伝達可能な状態にしかつ前記差動機構と前記出力部材との間を動力伝達不可能な状態にする直結段用伝動機構を備えていることを特徴とする可変容量型ポンプモータ式変速機。
  2. 前記直結段用伝動機構により前記動力源と前記出力部材との間を動力伝達不可能な状態から動力伝達可能な状態に切り替える際に、前記動力源の回転を制動する同期補助機構を更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の可変容量型ポンプモータ式変速機。
  3. 前記直結段用伝動機構は、前記動力源からのトルクを前記出力部材へ伝達する場合の前記出力部材の回転数に対する前記動力源の回転数の比である変速比が前記変速段用伝動機構のいずれの変速段の変速比よりも小さく設定された機構を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の可変容量型ポンプモータ式変速機。
  4. 前記直結段用伝動機構は、前記変速比が“1”以下の所定値に設定された機構を含むことを特徴とする請求項3に記載の可変容量型ポンプモータ式変速機。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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