JP2009293630A - 伝動装置および伝動ベルト - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明は、従来のベルト−CVT用のベルトとの対比で、原理および機構の点から根本
的に相違しかつ作用効果の点からも格段にすぐれている伝動ベルトを提供すること、およ
びそのような伝動ベルトを用いた伝動装置を提供すること、を目的とするものである。
【解決手段】
複数のプーリー(P) ‥とそのプーリー(P) ‥間に張設する閉ループ状の伝動ベルト(B)
とからなり、前記伝動ベルト(B) が、各プーリー(P) を転回するプーリー転回経路(R1)と
プーリー(P) ‥に架かるプーリー間経路(R2)とを閉ループ状に走行する伝動装置において
、前記プーリー転回経路(R1)は、各プーリー(P) の中心を中心点とする第1アーク(A1)に
形成してあり、前記プーリー間経路(R2)は、隣接するプーリー(P), (P)間に架かる第2ア
ーク(A2)に形成してあり、もって、前記伝動ベルト(B) が走行する全経路がアークに形成
されていること、を特徴とする伝動装置である。
【選択図】 図1

Description

〈発明の属する技術分野〉
本発明は、複数のプーリーと該プーリー間に張設する閉ループ状の伝動ベルトとからな
る伝動装置、殊に自動車分野をはじめとする種々の分野に用いられる無段変速機(CVT
; continuously variable transmission )、に関するものである。
また、本発明は、複数のプーリー間に張設する閉ループ状の伝動ベルト、殊に自動車分
野をはじめとする種々の分野に用いられる無段変速機用の伝動ベルト、に関するものであ
る。
〈従来の技術〉
[ベルトCVT]
自動車に搭載する無段変速機(CVT)には、ベルト−CVT(belt-CVT)、トロイダル
−CVT(toroidal traction-CVT) をはじめとする種々の方式のものがある。
CVTのうちのベルト−CVTは、V形溝を有する2つのプーリー間に閉ループ状のV
ベルトを張設した(掛け渡した)ものである。ここでVベルトとは、プーリーに接触する
部分がテーパー断面を有するベルトのことである。
なお、非特許文献1(「無段変速機CVT入門、著者:守本佳郎、発行所:株式会社グ
ランプリ出版、発行日:2004年10月25日初版発行」)には、ベルト−CVTをは
じめとするCVT全般に関して詳細な解説がなされているので、CVTの全体像を知るこ
とができる。
[ベルト−CVTの種々のタイプ]
ベルト−CVTに用いるVベルトには、いくつかのタイプがある。過去に実用化したこ
とのあるベルト、現在実用化しているベルト、あるいは現在の実用化に影響を与えたと考
えられるベルトには、次のようなものがある。
V1:ゴム製Vベルト
V2:重層フープ式Vベルト(つまり、メタルフープを入れ子状に多重に重層したVベ
ルト)
V3:重層フープ−エレメント併用式Vベルト(つまり、メタルフープを入れ子状に非
固定状態で多重に重層した重層フープの全周にわたり多数のエレメントが嵌め込まれた構
造のVベルト)
V4:チェーン式Vベルト
V5:複合Vベルト(金属板の補強を入れた耐熱樹脂ブロックを、芯線入りゴムベルト
張力帯で挟んだ構造のVベルト)
[V1:ゴム製Vベルト]
ゴム製Vベルトは、両サイド面が傾斜面となった芯材入りのゴムベルトである。
このゴム製Vベルトを用いたときには、ベルトの両サイド面がプーリーのV形溝の傾斜
面に直接接触してベルト−プーリー相互間のトルクの伝達が行われる。ベルトの引張力は
芯材により高められている。
[V2:重層フープ式Vベルト]
重層フープ式Vベルトは、帯状のメタル薄板の始端と終端とを溶接して作製されるフー
プ(環帯)を用いるものであって、周長がわずかずつ異なると共に巾もわずかずつ異なる
フープを作製し、それらのフープを両サイド面が傾斜面になるように入れ子状に非固定状
態で多重に重層したVベルトである。このベルトにあっては、重層フープの両サイド面が
プーリーのV形溝の傾斜面に直接接触し、ベルト−プーリー相互間のトルクの伝達が行わ
れる。ベルトの引張力は個々のフープが担っている。
この重層フープ式Vベルトの代表例は、優先日が1968年である米国特許第3604
283号(特許文献1)であり、次に述べる「V3:重層フープ−エレメント式Vベルト
」の直接的な前身技術になっているものと思われる。
[V3:重層フープ−エレメント併用式Vベルト]
重層メタルフープ−エレメント併用式Vベルトは、上記に準じた重層メタルフープ(た
だし、各フープは周長がわずかずつ異なるものの巾は同一)と両サイド面がV形の傾斜面
になった多数のエレメント(ブロック)とを組み合わせたベルトである。
このVベルトにあっては、重層メタルフープはプーリーのV形溝の傾斜面には接触せず
、エレメントの両サイド面がプーリーのV形溝の傾斜面に接触するので、ベルト−プーリ
ー相互間のトルクの伝達はエレメントを介して行われる。
さて、一般に、2つのプーリー間にベルトを張設して作動させることにより力およびト
ルクの伝達を行うと、張り側の経路と緩み側の経路を生ずることになる。
上記の重層メタルフープ−エレメント併用式Vベルトにおいてもベルトの引張力は個々
のフープが担っているので、引張力の点だけから見れば、力およびトルクの伝達を行うと
張り側の経路と緩み側の経路を生ずるはずである。
ところが、重層メタルフープ−エレメント併用式Vベルトにおいては、従動プーリー側
に負荷をかけて駆動した場合、次のような現象が起きている。すなわち、張り側の経路に
おいては、引張力のみが働いている。緩み側の経路については、駆動プーリーを出る少し
前から緩み側の経路を経て従動プーリーを転回し終える少し手前の段階において、エレメ
ント同士が圧縮された状態になっていて押し力を発生するので、重層メタルフープによる
引張力を利用しているものの、エレメントによる押し力も補完的に働いている。
従って、この重層フープ−エレメント併用式Vベルトは、一般に圧縮式ベルト(エレメ
ント同士の圧縮で動力を伝達するタイプのベルト)と言われているが、主役はあくまで引
張力であって、引張力では賄いきれない部分を圧縮力が補完しているベルトであると言う
ことができる。非特許文献2(「金原、北川、黒川、藤井:“CVT用金属ベルトのブロ
ック間押し力及びリング張力の分布”,自動車技術協会論文集、Vol. 25, No. 4, Octobe
r 1994, p.125-130 」)の130頁の3.3の箇所を参照。
この重層フープ−エレメント併用式Vベルトには、1971年の出願にかかる米国特許
第3720113号(特許文献2)がある。また、その改良にかかるおびただしい数の出
願がなされている。
この方式のベルトは、自動車メーカーが現在多くの(というより大多数の)車種におい
て採用している自動車用のベルト−CVTの代表的なものということができる。
[V4:チェーン式Vベルト]
チェーン式Vベルトについても古くから提案されている。
一般にチェーンはプレートとピンとを主たる部品として構成されているものであるとこ
ろ、チェーン式ベルトには、そのチェーンのどの部分をプーリーのV形溝に接触させるか
によって、たとえば次のような機構のものがある。
V4a:チェーンのプレートの部分をプーリーのV形溝に接触させる方式(つまり、チ
ェーンの構成部材であるプレートの側面に設けた凸部分をプーリーに接触させる構造)
このタイプのチェーン式Vベルトには、たとえば、1908年の出願にかかる米国特許
第959532号(特許文献3)がある。
V4b:チェーンのプレート自体に凹凸を設け、その凸部をプーリーのV形溝に接触さ
せる方式
このタイプのチェーン式Vベルトには、たとえば、優先日が2002年の出願にかかる
特開2004−197948(特許文献4)がある。
V4c:チェーンのプレートに設けた開口部に付設の部材をプーリーのV形溝に接触さ
せる方式(つまり、チェーンの構成部材であるプレートに設けた開口部に挿入した多数の
薄板の束を、プーリーに接触させる構造)
このタイプのチェーン式Vベルトには、たとえば、米国出願日が1934年である米国
特許第2038583号(特許文献5)がある。
V4d:チェーンのプレートを囲んで設けた部材をプーリーのV形溝に接触させる方式
(つまり、チェーンの構成部材であるプレートを囲んで枠状の部材を設け、その部材をプ
ーリーに接触させる構造)
このタイプのチェーン式Vベルトには、たとえば、1980年の出願にかかる米国特許
第4392843号(特許文献6)がある。
V4e:チェーンのピンの両端面をプーリーのV形溝に接触させる方式
このタイプのチェーン式Vベルトには、たとえば、優先日が1999年である米国特許
第6293887号(特許文献7)がある。
V4f:チェーンの下部(ベルトの内周側)に設けたブロックをプーリーのV形溝に接
触させる方式
このタイプのチェーン式Vベルトには、たとえば、1995年の出願にかかる特開平9
−42383号公報(特許文献8)がある。
V4g:内部をチェーン構造としたブロックをプーリーのV形溝に接触させる方式
このタイプのチェーン式Vベルトには、たとえば、1983年の出願にかかる特開平6
−185578号公報(特許文献9)がある。
[V5:複合Vベルト]
複合Vベルトは、金属板の補強を入れた耐熱樹脂ブロックを、芯線入りゴムベルト張力
帯で挟んだ構造のベルトである。
このタイプの複合Vベルトは、1983年の出願にかかる特開昭60−49151号公
報(特許文献10)を元にして、実用化のための改良がなされたものと思われる。この複
合ベルトにあっては、ゴムベルト張力帯が引張力を受け持つ。力は、主として「プーリー
→ブロック→ゴムベルト張力帯」で伝達するが、ゴムベルト張力帯もプーリーに接触する
ため、力の一部は「プーリー→ゴムベルト張力帯」と伝達される。
1998年の出願にかかる特開平11−280849号公報(特許文献11)にも、上
記と同様の複合ベルトが示されている。ブロックに相当する部材は、アーチ形状の上ビー
ム部と下方に伸びるピラー(2つのサイドピラーおよび1つのセンターピラー)とからな
り、ブロック側面とプーリーとの接触部は、図面では、芯線入りゴムベルト張力帯に相当
するセンターベルトの上半分部側であるように見える。(なおアーチ形状の上ビーム部と
は、上ビーム部の両脇側が面取りされたブロックの正面視の形状のことである。)
[力およびトルクの伝達方式から見たベルト−CVT]
プーリー間に閉ループ状のVベルトを張設したときには、ベルトがプーリーを転回する
プーリー転回経路においてプーリーとベルトとの間でトルクが伝達される。このときのト
ルクの伝達には、ベルトとプーリーとの間に発生するクランプ力に基く摩擦力が利用され
るわけであるが、そのためにはベルトに対するプーリーの押し付け力(クランプ力)を所
定の値以上に設定して、ベルトが滑らないようにしなければならない。
一方、プーリーとプーリーとの間のプーリー間経路においては、ベルトによって力が伝
達される。そして、プーリー間経路における力の伝達方式には、
1.プーリー間の往復経路において発生するベルトの張力差のみを利用する方式(「引
張式ベルト」)と、
2.上述の「V3:重層フープ−エレメント併用式Vベルト」のように、プーリー間の
往復経路のうち片方の経路においては(より正確には、駆動プーリーを出る少し前から緩
み側の経路を経て従動プーリーを転回し終える少し手前の段階においては)フープに引張
力を発揮させつつエレメント同士の圧縮力を補完的に利用し、他方の経路においてはベル
トの引張力のみを利用する方式(いわゆる「圧縮式ベルト」)
との2つの方式がある。
先に述べた5つのタイプのベルト−CVTにおいて有効に利用している力の伝達方式を
まとめると、次の表1のようになる。
V3の重層フープ−エレメント併用式Vベルトは、「圧縮式ベルト」として説明されて
いることが多いが、往復経路において引張力を担っている重層フープと、往復経路のうち
の一方の経路において圧縮力を発揮することにより補完的に伝動に貢献しているエレメン
トとが、それぞれの役割を果たすので、「圧縮力を補完的に利用した引張式ベルト」とい
う方が正確である。
(表1)

ベルト−CVTのタイプ 力の伝達方式
V1:ゴム製Vベルト 引張式
V2:重層フープ式Vベルト 引張式
V3:重層フープ−エレメント併用式 圧縮力を補完的に利用した引張式
Vベルト
V4:チェーン式Vベルト 引張式
V5:複合Vベルト 引張式
〈従来技術の問題点〉
上に述べたV1〜V5の5つのタイプのベルト−CVTにあっては、V3タイプのベル
ト−CVTのようにすでに広く実用化されているものも含めて、次に述べるような限界、
問題点または解決課題を含んでいる。
[引張式ベルトであることに共通の問題点]
−1−
最大かつ本質的な問題点は、V3を含むV1〜V5のベルトのいずれのベルトについて
も共通して言えることであるが、これらのベルトにおける力の伝達方式が引張力を利用し
ていることに起因する問題点である。
−2−
すなわち、引張式ベルトにあっては、従動軸に対する負荷が大きくなるほどベルトに加
わる張力も大きくなることを考慮して、負荷が大きいときの張力にも耐えられるような耐
張力部品を用いなければならない。
そして、プーリーを転回することのできるフレキシブル性を確保しながら自動車用(殊
に排気量の大きい自動車用)に使えるような高引張強度を有するベルトを製作するために
は、ベルトの材質やベルトの構造が制約されたり、ベルトが大型化したり重量増となった
りすることを免れない。これらの問題点は、ベルトの製作コストの増大、そのベルトを搭
載したCVTの重量増に基く燃費上の不利などに直結することになる。
しかも引張式ベルトは、初期に充分の引張力を有するものを使用しても、その引張強度
の限界に近い条件下において使用するため、使用期間の経過と共にベルト周長が徐々に伸
びてくることを免れない。ベルトの伸びを吸収するためには、プーリーに加える油圧を大
きくしてV形溝の巾を狭くする(つまりベルトをプーリーの外周側に張設させる)調整や
プーリー間の間隔(軸間距離)を広げる調整を施すことになるが、そのような調整を施し
ても再びベルトが伸びることになるので、いずれは調整だけでは済まない事態になること
がある(調整の限界に達することがある)。
−3−
また、たとえば自動車用に用いる引張式ベルトにあっては、変速比が1:1以外でかつ
負荷が加わった状態においては、駆動側(小径とする)のプーリー入口でベルトに大きな
引張力が加わってプーリーに対する噛み込み半径が小さくなろうとし、一方、被駆動側(
大径とする)のプーリー入口では緩み側となるため小さな引張力となってベルトのプーリ
ーへの噛み込み半径が大きくなろうとする結果、勝手にロー側に変速しようとする力が働
くことを免れない。なお、エンジンブレーキ時のような逆駆動のときには、上記と逆にな
る。(先の非特許文献1(無段変速機CVT入門)の58頁の図3−21と126〜12
7頁の図5−4および図5−5の箇所の説明を参照。)
この問題については、それぞれのプーリーについての油圧制御に際して、上記のロー側
への変速傾向を打ち消すような項目を加味した制御プラグラムを採用して押し付け力(ク
ランプ力)を調節しなければならないところ、そのプログラムが相当に複雑になる上、ク
ランプ力が過大になってエネルギー的に不利になる傾向がある。
そのほか、引張式ベルトにあっては、プーリーの可動シーブには固定シーブとは反対方
向に強い力が働くので、プーリーに変形を起こす傾向があり、またプーリー軸にも大きな
負担を与えている。そのため、プーリー(およびその軸)は頑丈に設計しなければならず
、そのコンパクト化、軽量化の余地は少ない。(先の非特許文献1(無段変速機CVT入
門)の40〜44頁の説明と図3−7、図3−9を参照。)
[V1〜V5のベルトについての個別の問題点]
次に、V1〜V5のベルトの問題点につき、個別に見ていくことにする。
−1−
V1のゴム製Vベルトは、上に述べた引張式であることに起因する問題点をそのまま有
するほか、トルクの伝達および力の伝達に限界があり、また耐久性や耐熱性にも限界があ
る。そのため、二輪車用のCVTベルトとしては実用化されているものの、自動車用のC
VTベルトについては、検討の実績はあるものの実用化は容易ではない。
−2−
V2の重層フープ式Vベルトは、帯状のメタル薄板の始端と終端とを溶接してフープを
作製することが容易ではなく、またそのようなフープとして周長がわずかずつ異なると共
に巾もわずかずつ異なるものを正確に製作することも容易ではなく、製品ベルトの検査も
容易ではなく、製造コストも大きいという不利がある。またこれらの問題点が製造技術の
向上により克服されても、上に述べた引張式ベルトであることに起因する本質的な問題点
は克服されない。
ただし、このV2の重層フープ式VベルトがV3の重層フープ−エレメント式Vベルト
を生み出したという歴史的意義は大きいものと考えられる。
−3−
V3の重層フープ−エレメント併用式Vベルトは、重層フープにエレメントを組み合わ
せ、そのエレメントにプーリーとベルトとの間のトルクの伝達の役割を果たさせると共に
、そのエレメントにベルトのプーリー間の往復経路のうちの片方の経路において(より正
確には、駆動プーリーを出る少し前から緩み側の経路を経て従動プーリーを転回し終える
少し手前の段階において、以下同様)補完的に圧縮力を発揮させるという役割を果たさせ
ている点で、引張式Vベルトの中では独創的なものであるということができる。
しかしながら、このV3のベルトにあっても、引張力と共に発揮される圧縮力はベルト
のプーリー間の往復経路のうちの片方の経路のみに限られる上(他方の経路は引張力のみ
が発揮される)、その圧縮力は緩み側に張力が残るという状態においてしか発現せず、上
に述べた引張式ベルトであることに起因する本質的な問題点については充分には解消でき
ない。
先に[引張式ベルトであることに共通の問題点]の−3−で述べた問題点は、V3のベ
ルトにあっても解決が難しい。
また、V3のベルトは、フープおよびエレメントの製作に要求される精度に応えること
が容易ではないため、不良率の低減や低コスト化に限界がある。すなわち、フープについ
ては周長がわずかずつ異なるものを正確に製作することが要求され、エレメントについて
はその表裏面には隣接するエレメントとの接触部(エレメントの巾×高さ1mm程度の領域
)に高精度の平行度が要求されるところ、フープ、エレメントとも、最終的な検査工程で
規格外とされる率が大きい。
加えて、このV3のベルトにあっては、
・重層フープとエレメントとがそれぞれ独自の働きおよび動きをし、重層フープの走行
とエレメントの走行とは同期していないので(1周走行すると必ずずれる)、摩擦による
伝達ロスが大きくなること、
・ベルトがプーリーを転回する経路において、エレメントがきれいに整列しないこと(
たとえば、エレメント同士が棒状になるための前後のエレメントの接触点と、プーリー転
回時の渋滞による前後のエレメントの接触点とが異なることに起因し、プーリーの中心か
ら見たときのエレメントの姿勢が前傾や後傾に傾く傾向がある)、
・重層フープ(層数は10層前後とすることが多い)を構成している各フープ間にもず
れを生ずること(1周走行すると必ずずれを生じ、そのときのずれは外周側のフープほど
大きい)、
・重層フープのうちの最内層のフープに最も応力がかかるので、その最内層のフープが
最も損傷を受けやすいこと、
などの問題点を包含しているため、エネルギーロスの点、ベルトの寿命の点で、限界があ
る。
たとえばエネルギーロスの観点から見ると、このV3のベルトは、無段変速機(CVT
)の有利さを有しながらも、ギヤ式の自動変速機(AT(automatic transmission))を用
いた場合に比し特に高速走行における燃費の点で優位性が出ないという不利がある。
そのほか、V3のベルトは、排気量の大きい車への搭載に耐えるためにはベルトの重量
や寸法を大きくしなければならず、そのコンパクト化、軽量化が容易ではない。
また、V3のベルトは、ベルトの組み立てにあたり重層フープの全周にエレメントを嵌
め込む作業も容易ではないという問題点がある上、重層フープの全周にきっちりとエレメ
ントを嵌め込むことができないため、エレメント間に隙間があくことを防止できないとい
う問題点もある。
−4−
V4のチェーン式Vベルトにあっても、上に述べた引張式ベルトであることに起因する
本質的な問題点は克服されない。
また、プレートとピンとを主たる部品として構成されたチェーン式でありかつ引張力で
力の伝達を図ることは、使用するプレートやピンを軽量化、小型化することが難しく、そ
の結果ベルト全体の重量が大きくなり、騒音の低減も容易ではない、という不利にもつな
がっている。
−5−
V5の複合Vベルトも、他の方式に比しいくつかの利点はあるものの、上に述べた引張
式ベルトであることに起因する本質的な問題点は克服されない上、ゴムを用いることによ
る耐熱性の不足の問題点もあって、耐久性に疑問がある。そのため、軽自動車のような排
気量の小さい自動車への適用が精一杯で、さらに排気量の大きい自動車に搭載するベルト
−CVT用のVベルトとしての主流にはなれないという限界があるようである。
「無段変速機CVT入門」、著者:守本佳郎、発行所:株式会社グランプリ出版、発行日:2004年10月25日初版発行 「金原、北川、黒川、藤井:"CVT用金属ベルトのブロック間押し力及びリング張力の分布",自動車技術協会論文集、Vol. 25, No. 4, October 1994, p.125-130 」 米国特許3604283号 米国特許3720113号 米国特許959532号 特開2004−197948 米国特許2038583号 米国特許4392843号 米国特許6293887号 特開平9−42383号公報 特開平6−185578公報 特開昭60−49151公報 特開平11−280849公報
[発明の目的]
本発明は、伝動ベルトを提供することを目的とするものである。殊に、従来のベルト−
CVT用のベルトとの対比で原理および機構の点からも根本的に相違し、かつ従来のベル
ト−CVT用のベルトとの対比で作用効果の点からも格段にすぐれている伝動ベルトを提
供することを目的とするものである。
また、本発明は、そのような伝動ベルトを用いた伝動装置を提供すること、特に無段変
速機(CVT)を提供することを目的とするものである。
[本発明の伝動装置]
本発明の伝動装置は、
複数のプーリー(P) ‥とそのプーリー(P) ‥間に張設する閉ループ状の伝動ベルト(B)
とからなり、前記伝動ベルト(B) が、各プーリー(P) を転回するプーリー転回経路(R1)と
プーリー(P) ‥間に架かるプーリー間経路(R2)とを閉ループ状に走行する伝動装置におい
て、
(X)前記プーリー転回経路(R1)は、各プーリー(P) の中心を中心点とする第1アーク
(A1)に形成してあり、
(Y)前記プーリー間経路(R2)は、隣接するプーリー(P), (P)間に架かる第2アーク(A
2)に形成してあり、
もって、前記伝動ベルト(B) の走行する全経路がアークに形成されていること、
を特徴とするものである。
[本発明の伝動ベルト]
本発明の伝動ベルトは、
複数のプーリー(P) ‥間に張設することにより、各プーリー(P) を転回するプーリー転
回経路(R1)とプーリー(P) ‥間に架かるプーリー間経路(R2)とを走行させるための閉ルー
プ状の伝動ベルト(B) であって、
前記伝動ベルト(B) は、多数個の旋回子(1) ‥が拘束手段(2) により拘束部(S) におい
て拘束されて閉ループ状に配列された配列体からなること、および、
拘束部(S) において拘束された個々の旋回子(1) は、
(M)その拘束部(S) 回りに揺動可能に構成されていると共に、
(N)旋回子(1) ‥同士がそれらの背腹部(1b), (1b)が対向するように圧接したときに
、ベルトの外周側または内周側に凸のアークとなる圧接集合体(1n)構造が自律的に形成さ
れる形状または構造を有しており、
もって、前記伝動ベルト(B) は、これをプーリー(P) ‥間に張設した状態において、
(x)プーリー転回経路(R1)は、拘束部(S) において拘束されている旋回子(1) ‥が展
開(unfold)することにより、各プーリー(P) の中心を中心点とする第1アーク(A1)に形
成してあり、
(y)プーリー間経路(R2)は、拘束部(S) において拘束されている旋回子(1) ‥が互い
に接触するように重なって(foldして)、ベルトの外周側または内周側に凸のアークとな
る圧接集合体(1n)構造が自律的に形成されることにより、隣接するプーリー(P), (P)間に
架かる第2アーク(A2)に形成してあること、
を特徴とするものである。
[発明の詳細な説明]
以下、本発明を詳細に説明する。
[伝動装置]
[伝動装置における伝動ベルト(B) の走行経路]
本発明の伝動装置は、複数のプーリー(P) ‥とそのプーリー(P) ‥間に張設する閉ルー
プ状の伝動ベルト(B) とからなる。この伝動ベルト(B) が、各プーリー(P) を転回するプ
ーリー転回経路(R1)とプーリー(P) ‥間に架かるプーリー間経路(R2)とを閉ループ状に走
行する。
[プーリー(P) ]
プーリー(P) としては、種々のタイプのものが用いられるが、伝動装置が無段変速機(
CVT)であるときは、V形溝を有するプーリーが用いられる。以下においては、このV
形溝を有するプーリーを用いる場合について説明する。
V形溝を有するプーリーの典型例は、図3のように、固定シーブ(Pfs) と可動シーブ(P
ms) とをそれぞれのコーン面(円錐面)が対向するように配置したものである。V形溝を
有するプーリーには、これ以外にも種々のタイプのものがある。
それぞれのシーブのコーン面の傾斜角をシーブ角αと称することにする。従って、プー
リーのV形溝の角度は2αとなる。
無段変速のためには、
・プーリー(P), (P)間の軸間距離は一定にすると共に、駆動側および従動側の双方のプ
ーリーのV形溝の巾を可変とする方式、
・プーリー(P), (P)間の軸間距離を可変にすると共に、駆動側または従動側の一方また
は双方のプーリーのV形溝の巾を可変とする方式、
のいずれの方式も採用可能であるが、たとえば自動車用の無段変速機の場合には前者の軸
間距離一定方式を採用することが多い。
上に述べたシーブ角αは、プーリー(P) の材質、プーリー(P) の表面状態、旋回子(1)
の材質、旋回子(1) の両サイド面の表面状態、旋回子(1) −拘束手段(2) 間の係合機構、
プーリー(P) −伝動ベルト(B) 間の摩擦低減用のオイルの使用の有無などによって最適値
を選ぶべきである。
プーリー(P) のV形溝に嵌まり込む大きさおよび形状を有する伝動ベルト(B) をオイル
使用下に使用してプーリー(P) −伝動ベルト(B) 間の摩擦係数がたとえば0.08〜 0.1また
はその前後であるときには、たとえば11°程度(たとえば11°±2°)とすることが
多い。
その伝動ベルト(B) を空気中で使用するときは、摩擦係数などを考慮して、たとえば1
3°程度(たとえば13°±2°)とすることもある。
なお、プーリー(P) のシーブ角αは上記のように設定することが多いが、変速時の伝動
ベルト(B) の追随性を円滑にするために、プーリー(P) を構成するシーブ(固定シーブ(P
fs) および可動シーブ(Pms) )のコーン面を、わずかに凸になるような曲面に形成したり
、徐々に傾斜角が変わるような曲面に形成したりすることもできる。
プーリー(P) の数は、通常は2つとするが、3つあるいはそれより多くすることもでき
る。以下においては、主として2つのプーリー(P), (P)間に伝動ベルト(B) を張設する場
合について説明する。
[伝動ベルト(B) ]
本発明の伝動ベルト(B) は、複数のプーリー(P) ‥間に張設することにより、各プーリ
ー(P) を転回するプーリー転回経路(R1)とプーリー(P) ‥間に架かるプーリー間経路(R2)
とを走行させるための閉ループ状の伝動ベルトである。
そして、本発明の伝動ベルト(B) は、多数個の旋回子(1) ‥が拘束手段(2) により拘束
部(S) において拘束されて閉ループ状に配列された配列体からなる。
該伝動ベルト(B) を構成する旋回子(1) および拘束手段(2) については、後に項を改め
て詳述する。
[経路の形]
−1−
本発明の伝動装置にあっては、
(X)前記プーリー転回経路(R1)は、各プーリー(P) の中心を中心点とする第1アーク
(A1)に形成してあり、
(Y)前記プーリー間経路(R2)は、隣接するプーリー(P), (P)間に架かる第2アーク(A
2)に形成してあり、
もって、前記伝動ベルト(B) が走行する全経路がアークに形成されている、ようにする
−2−
プーリー転回経路(R1)を各プーリー(P) の中心を中心点とするアークに形成することは
従来の引張式ベルトと類似しているが(ただし、後の説明を参照)、プーリー間経路(R2)
をアークに形成し、もって伝動ベルト(B) が走行する全経路がアークに形成されているよ
うにするところが本発明の伝動装置の最大の特徴点である。
ちなみに、従来の技術の説明と箇所で述べたV1〜V5のVベルト(ベルトCVT用の
Vベルト)におけるプーリー間経路は、いずれも直線である(往路も復路も直線))。
−3−
なお、上においては「プーリー転回経路(R1)を各プーリー(P) の中心を中心点とするア
ークに形成することは従来の引張式ベルトと類似している」と述べたが、プーリー転回経
路(R1)におけるベルトの巻き付け角θは相違しており、その相違は作用効果に大きな影響
を与えているので、その意味では伝動ベルト(B) は従来の引張式ベルトとはプーリー転回
経路(R1)の点でも相違している。この点については、後に「発明の効果」の箇所で詳述す
る。
[伝動ベルト(B) が走行する経路の詳細な説明]
上記のように第1アークに形成されたプーリー転回経路(R1)および第2アークに形成さ
れたプーリー間経路(R2)に沿って伝動ベルト(B) が走行するわけであるが、このときには
、前記伝動ベルト(B) を前記プーリー(P) ‥間に張設して初期設定した状態においては、
第1アーク(A1)と第2アーク(A2)との間の移行点(tr)が、第1アーク(A1)の中心点(O1)と
第2アーク(A2)の中心点(O2)との双方を通る直線上に位置するように設定される。これを
作動させた状態においても、基本的には同じ関係が維持される。
(図を参照しての説明)
図1は、伝動ベルト(B) が描く経路の形を説明するための模式的な説明図である。
本発明によれば、第1アーク(A1)と第2アーク(A2)との間の移行点(tr)(4箇所ある)
においても伝動ベルト(B) は円滑に走行するので、力およびトルクの伝達に際してのエネ
ルギーロスが最小限になり、伝動ベルト(B) の寿命の点でも有利となり、騒音低減の点で
も好ましいものとなる。
ここで、図1(および後述の図2)における線および符号の意味は次の通りである。
・太い破線:プーリー転回経路(R1)(第1アーク(A1)を形成している)
・太い実線:プーリー間経路(R2)(第2アーク(A2)を形成している)
・(O11) : 左の第1アーク(A1)の中心点(プーリー(P) の中心でもある)
・(O12) : 右の第1アーク(A1)の中心点(プーリー(P) の中心でもある)
・(O2): 第2アーク(A2)の中心点(2箇所ある)
・(tr): 第1アーク(A1)と第2アーク(A2)との間の移行点
・t: 移行点(tr)における接線
・c: 左右の内接円における移行点(tr), (tr)を結ぶ弦
・γ: 左右の内接円における移行点(tr), (tr)を結ぶ弦cと、その移行点(tr)に
おける接線tとのなす角度(ラジアン)
・r11: 左のプーリー(P) 側の第1アーク(A1)の半径
・r12: 右のプーリー(P) 側の第1アーク(A1)の半径
・R: 第2アーク(A2)の半径
・β: 第2アーク(A2)の両端点と第2アーク(A2)の中心点(O2)とを結ぶ線のなす
角度(ラジアン)
・θ11: 左のプーリー(P) に対するベルト巻き付け角(ラジアン)
・θ12: 右のプーリー(P) に対するベルト巻き付け角(ラジアン)
・D: 2つのプーリー(P), (P)の軸間距離(O11-O12 間の距離)
・L: ベルトの周長(拘束部(S) の位置を基準にした周長)
(関係式/基本式)
まず、ベルトの周長Lは次の式1で表わされる。式1の右辺第1項は第2アーク(A2)の
弧長の2倍、右辺第2項は図中の左側のプーリー(P) 側の第1アーク(A1)の弧長、右辺第
3項は図中の右側のプーリー(P) 側の第1アーク(A1)の弧長である。
L=2Rβ+r11θ11+r12θ12 (式1)
次に、(O11) 、(O12) 、(O2)を3頂点とする三角形の内角の和はπ(ラジアン)である
から、次の式2が成り立つ。
β+θ11/2+θ12/2=π
つまり、2β+θ11+θ12=2π (式2)
一方、軸間距離Dは次の式3で表わされる((O11) 、(O12) 、(O2)を3頂点とする三角
形の底辺の長さが軸間距離Dになることに着目すればよい)。
D=(R−r11)cos(θ11/2) +(R−r12)cos(θ12/2) (式3)
(変速比が1:1のとき)
今、変速比=1:1、つまり、r11=r12=r、θ11=θ12=θのときは、先の式1、
式2、式3は次のように簡単化される。
L=2Rβ+2rθ (式1a)
β+θ=π (式2a)
D=2(R−r)cos(θ/2) (式3a)
ここでベルト周長L、プーリー(P), (P)の軸間距離D、第2アーク(A2)の半径Rは予め
定める設定値であり、かつ式1a、式2bおよび式3aの3つの式において変数はβ、θ
、rの3つであるから、式1a、式2bおよび式3aの3式からβ、θ、rが求められる
(変速比が任意のとき)
−1−
上に述べた基本式1、2、3、すなわち、
L=2Rβ+r11θ11+r12θ12 (式1)
2β+θ11+θ12=2π (式2)
D=(R−r11)cos(θ11/2) +(R−r12)cos(θ12/2) (式3)
においてL、D、Rを設定すれば、式1、2、3の変数は次のようになる。
式1: β、r11、r12、θ11、θ12
式2: β、θ11、θ12
式3: r11、r12、θ11、θ12
−2−
この場合、図1からも容易に理解できるように、半径Rの上下2つのアーク(A2), (A2)
の双方に内接する半径r11の左側の内接円を決めると、その内接円の中心点(O11) および
巻き付け角θ11が決まる。そうすると、その左側の内接円から中心点間距離がDだけ離れ
たところに中心点(O12) を持つ内接円の半径r12および巻き付け角θ12も決まる。そして
、θ11、θ12が決まれば式2からβが直ちに決まる。
すなわち、半径Rの上下2つの円弧で形成される図形から見た場合、変速比が変わると
、半径Rの上下2つの円弧の双方に内接する2つの内接円が、その中心点間距離Dを保ち
ながら左右方向に揺動する形になる。
実際には図1の2つの内接円の中心点の位置(O11) 、(O12) (つまりプーリー(P), (P)
の軸の位置)は固定されているので、左右の内接円の半径r11、r12および巻き付け角θ
11、θ12が変化し、それに応じてプーリー転回経路(R1)における第1アーク(A1)の弧長お
よびプーリー間経路(R2)における第2アーク(A2)の弧長が変化し、第2アーク(A2)の見か
けの角度βおよびその第2アーク(A2)の中心点(O2)の位置も変化することになる。
−3−
上記のように、図1においては、前記の伝動ベルト(B) を前記のプーリー(P), (P)間に
張設して初期設定した状態および作動させた状態において、第1アーク(A1)と第2アーク
(A2)との間の移行点(tr)が、第1アーク(A1)の中心点(O1)と第2アーク(A2)の中心点(O2)
とを結ぶ直線上に位置するようになる。換言すると、第1アーク(A1)の終点(または始点
)における接線と第2アーク(A2)の始点(または終点)における接線とは同一になる(共
通接線になる)。
その結果、図1の場合には、第1アーク(A1)と第2アーク(A2)との間の移行点(tr)(4
箇所ある)においても、伝動ベルト(B) の円滑走行が確保されることがわかる。
[アークの曲率]
第1アーク(A1)の曲率は、プーリー(P) の中心から見て、V形溝のどの深さの位置にベ
ルトが位置するかによって決まる。
第2アーク(A2)の曲率に関しては、図1において、第2アーク(A2)の中心点(O2)と左右
の内接円における移行点(tr), (tr)とを3つの頂点とする半径Rの扇形の図形を考えたと
き、2つの移行点(tr), (tr)を結ぶ弦cとその移行点(tr)における接線tとのなす角度γ
(ラジアン)が
0<γ<π/2
の関係を満たすように設定する。好ましい範囲は
0<γ<π/4
である。さらに好ましい範囲は
π/200≦γ≦π/6
であり、特に好ましい範囲は
π/100≦γ≦π/9
である。
後に述べる図2のケースにおける第2アーク(A2)の曲率も、上記と同様になる。ただし
、角度はマイナスとなり、また上下の第2アーク(A2)同士の間で干渉を起こさないという
制約が加わる。
[伝動ベルト(B) が描く経路の他の形]
−1−
先に述べた図1においては、プーリー間経路(R2)(2箇所ある)をベルトの「外周側」
に凸のアークとなる第2アーク(A2)に形成した場合を示してあるが、プーリー間経路(R2)
(2箇所ある)をベルトの「内周側」に凸のアークとなる第2アーク(A2)に形成すること
もできる。
図2はこの場合を示した模式的な説明図である。
−2−
この態様を採用するときは、プーリー(P), (P)にベルトを最初に張設するときあるいは
伝動装置が作動停止の状態にあるときにベルトが(ちょうどダイアフラム弁のように)反
転して、緩んでしまうおそれがある。反転防止のための手段の一例は、回転体やガイド体
などの適当な部材をたとえば図2の白抜き矢印の位置に適当な付勢力で接当させることで
ある。従動側のプーリー(P) の軸に負荷が加わった状態でベルトが走行しているときはそ
のようなベルト緩みは生じないが、運転開始時や運転停止時にはベルト緩みを生ずるおそ
れがあるので、確実な機能維持のためにも、白抜き矢印からの回転体やガイド体の接当は
常時維持しておくことが望ましい。
−3−
図2の態様は、プーリー(P), (P)に対するベルトの巻き付け角θ11,θ12を大きくとる
ことができるので、プーリー転回経路(R1)におけるプーリー(P), (P)−ベルト間の滑り防
止がより確実になり、プーリ−ベルト間のトルク伝達の点で好ましい。ただし、走行中の
ベルトのアークの曲率が、プーリー転回経路(R1)(第1アーク(A1))にさしかかったとき
にはプラス、プーリー間経路(R2)(第2アーク(A2))にさしかかったときにはマイナスと
いうように変化するので(つまり、1周旋回する間にアークの曲率がプラス−マイナス−
プラス−マイナスというように変化するので)、ベルトを高速走行させる用途には必ずし
も向いてはいない。つまり、図2の態様は、力強さが優先し、速度は低速でもよいとする
用途に向いているということができる。
−4−
なお、プーリー間経路(R2)をベルトの「内周側」に凸のアークとなる第2アーク(A2)に
形成した図2のタイプのベルトと、プーリー間経路(R2)をベルトの「外周側」に凸のアー
クとなる第2アーク(A2)に形成した図1のタイプのベルトとを、前者の内周側に凸の部分
と後者の外周側に凸の部分とが対向するように組み合わせることもできる(後の実施例の
箇所を参照)。
[伝動ベルト(B) の具体的構成]
−1−
前記伝動ベルト(B) は、典型的には、多数個の旋回子(1) ‥が拘束手段(2) により拘束
部(S) において拘束されて閉ループ状に配列された配列体からなる。
より具体的には、拘束部(S) において拘束された個々の旋回子(1) は、
(M)その拘束部(S) 回りに揺動可能に構成されていると共に、
(N)旋回子(1) ‥同士がそれらの背腹部(1b), (1b)が対向するように圧接したときに
、ベルトの外周側または内周側に凸のアークとなる圧接集合体(1n)構造が自律的に形成さ
れる形状または構造を有している、
ようにされることが特に好ましい。
なお、拘束手段(2) は旋回子(1) とは別の部材で構成するのが通常であるが、旋回子(1
) の形状または構造を工夫することにより旋回子(1) の一部を拘束手段(2) とすることも
できる。
−2−
伝動ベルト(B) をこのように構成すると、該伝動ベルト(B) を前記プーリー(P) ‥間に
張設した状態において、
(x)プーリー転回経路(R1)は、拘束部(S) において拘束されている旋回子(1) ‥が展
開(unfold)することにより、各プーリー(P) の中心を中心点とする第1アーク(A1)に形
成され、
(y)プーリー間経路(R2)は、拘束部(S) において拘束されている旋回子(1) ‥が互い
に接触するように重なって(foldして)、ベルトの外周側または内周側に凸のアークとな
る圧接集合体(1n)構造が自律的に形成されることにより、隣接するプーリー(P), (P)間に
架かる第2アーク(A2)に形成される、
ようになる。
−3−
なお、前記のプーリー(P) ‥および前記の伝動ベルト(B) からなる伝動装置が無段変速
機であって、該プーリー(P) ‥がV形溝を有するものであるときは、伝動ベルト(B) もそ
のプーリー(P) のV形溝に嵌まり込む大きさおよび形状を有するものにする。
以下においては、特に断りのない限り、プーリー(P) ‥がV形溝を有し、伝動ベルト(B
) もそのプーリー(P) のV形溝に嵌まり込む大きさおよび形状を有し、伝動ベルト(B) に
組み立てられた旋回子(1) もV形溝に嵌まり込む大きさおよび形状を有する場合を例にと
って、詳細に説明することにする。
[V形溝に嵌まり込む大きさおよび形状]
−1−
ここで、プーリー(P) のV形溝に嵌まり込む大きさおよび形状を有する伝動ベルト(B)
について、伝動ベルト(B) のどの部位がプーリー(P) のV形溝のどの部位に接触するかに
ついて述べる。この場合、その接触の態様は、当然ながら変速が円滑に達成できるもので
なければならない。
−2−
その1つは、旋回子(1) の両サイド部(1a), (1a)を、プーリー(P) のシーブ角α(図3
参照)に見合う角度の傾斜面に形成しておくことである。ここで「シーブ角αに見合う角
度」とは、シーブ角αと実質的に同一の角度という意味である。旋回子(1) は、その両サ
イド部(1a), (1a)の傾斜面の少なくとも1箇所または1領域において、プーリー(P) のV
形溝の傾斜面と、1点接触、複数点接触、面接触または線接触の状態で接触することにな
る。
なお、すでに述べたプーリー(P) の説明の箇所においては、変速時の旋回子(1) の動き
を円滑にするために、プーリー(P) のシーブ面(固定シーブ(Pfs) および可動シーブ(Pms
) が互いに対向する面)をわずかに凸のコーン面に形成することもできると述べたが、次
のような工夫をすることもできる。
(i)プーリー(P) のシーブ面をコーン面にすると共に、旋回子(1) の両サイド部(1a)
, (1a)の傾斜面を外側にわずかに凸の曲面にする。
(ii)プーリー(P) のシーブ面をわずかに凸のコーン面に形成すると共に、旋回子(1)
の両サイド部(1a), (1a)の傾斜面を外側にわずかに凸の曲面にする。
−3−
他の1つは、個々の旋回子(1) は拘束手段(2) により拘束部(S) において拘束されてい
るわけであるが、旋回子(1) の特定部位の1以上と拘束手段(2) の特定部位の1以上とを
プーリー(P) のV形溝と接触させることである。
[接触部(C) と拘束部(S) との位置関係]
次に、伝動ベルト(B) に組み立てられた旋回子(1) において、該旋回子(1) の両サイド
部(1a), (1a)におけるプーリー(P) のV形溝との接触部(C) と、旋回子(1) を拘束してい
る拘束部(S) との位置関係について述べる。
この位置関係については、図7に模式図を示したように、前記接触部(C) がベルトの「
外周側」に位置しかつ前記拘束部(S) がベルトの「内周側」に位置するように設計される
ことが特に好ましい。
というのは、接触部(C) がベルトの内周側に位置しかつ拘束部(S) がベルトの外周側に
位置したり、ベルトの同じ位置に接触部(C) と拘束部(S) とが位置したりすると、プーリ
ー間経路(R2)における第2アーク(A2)の形成が不安定になるおそれがあるからである。
[旋回子(1) の動きと拘束手段(2) の動きとの関係]
−1−
拘束手段(2) は、多数個の旋回子(1) ‥を拘束部(S) において閉ループ状に配列するた
めの手段である。従って、旋回子(1) を閉ループ状に配列できるのであれば、拘束手段(2
) の動きは旋回子(1) の動きとは原則的には別々であっても差し支えない。ただし、この
場合には、ベルトがプーリー(P) ‥を周回するごとに(特にプーリー転回経路(R1)におい
て)旋回子(1) と拘束手段(2) との間にずれないし滑りを生ずることがあるので、相応の
エネルギーロスを生ずることになる。
ちなみに、「従来の技術」、「従来の技術の問題点」の箇所で述べた「V3の重層フー
プ−エレメント併用式Vベルト」にあっては、エレメントは重層フープによって拘束され
てはいるものの、エレメントの動きと重層フープの動き(さらには重層フープにおけるそ
れぞれの層のフープの動き)は本質的には別々であるため、ベルトがプーリーを周回する
間に必ずずれを生じる結果、エレメントの姿勢が崩れて前傾や後傾姿勢になったり、エレ
メント−重層フープ間でおよび重層フープを構成する各フープ間で滑りに基く摩擦が発生
することを免れず、無視しえないエネルギーロスを生ずる。
−2−
従って、本発明においては、上記のように接触部(C) がベルトの外周側に位置し、前記
拘束部(S) がベルトの内周側に位置するように設計するのみならず、旋回子(1) の動きと
拘束部(S) の動きとが別々にならないような工夫を施すことが特に好ましい。
−3−
すなわち、旋回子(1) が拘束部(S) 回りに揺動可能にされているようにすれば、伝動ベ
ルト(B) をプーリー(P) ‥間に張設した状態において、
・プーリー転回経路(R1)においては、拘束部(S) において拘束されている旋回子(1) ‥
が展開(unfold)することにより、各プーリー(P) の中心でもある第1アーク(A1)の中心
点(O1)から見て放射状の正姿勢を保ちつつ走行し、かつ、
・プーリー間経路(R2)においては、拘束部(S) において拘束されている旋回子(1) ‥が
互いに接触するように重なって(foldして)圧接した状態で、第2アーク(A2)の中心点(O
2)から見て放射状の正姿勢を保ちつつ走行するようになる、
ので、旋回子(1) の動きと拘束部(S) との動きとが常に「同期(連動)」することになっ
て、無駄な動きや無駄な摩擦がなくなり、エネルギーロスが最小となる。
[旋回子(1) が閉ループ状に配列された配列体]
伝動ベルト(B) は、多数個の旋回子(1) ‥が拘束手段(2) により拘束部(S) において拘
束されて閉ループ状に配列された配列体からなる。拘束手段(2) が旋回子(1) とは別部材
であるときは、旋回子(1) の側も拘束手段(2) の拘束を受けることのできる形状または構
造にする。
[旋回子(1) ]
(旋回子(1) の両サイド部(1a), (1a))
すでに述べたように、旋回子(1) の両サイド部(1a), (1a)は、プーリー(P) のV形溝の
傾斜面との接触部である。
旋回子(1) の両サイド部(1a), (1a)は、プーリー(P) のV形溝の傾斜面との摩擦係数の
調整のため、摩擦抵抗が少ない表面にしたり、逆に摩擦抵抗が大きい表面にしたり、ある
いは方向によって摩擦係数が異なるような表面としたりすることができる。たとえば、鏡
面加工面;粗面;凹凸、エンボス、溝、盛り上がり等の非平面加工面;とすることができ
る。このうち非平面加工面の例は、#状、波線状、散点状、斜線状、T字状、十字状、基
端−遊端方向の直線状、厚み方向(背−腹方向)の直線ないし曲線状などである。
(旋回子(1) の背腹部(1b), (1b))
旋回子(1) の背腹部(1b), (1b)は、平面、曲面、段差面などとすることができる。
旋回子(1) の背腹部(1b), (1b)の表面は、上記の旋回子(1) の両サイド部(1a)の説明の
箇所で述べたように、鏡面加工面;粗面;凹凸、エンボス、溝、盛り上がり等の非平面加
工面;とすることもできる。
(他の工夫)
旋回子(1) には、種々の配慮(たとえば応力上の配慮や軽量化の配慮)から、貫通孔、
窓、窪みなどを設けることもできる。
(旋回子(1) の形状)
旋回子(1) の側面視(サイド部(1a), (1a)側から見たとき)の形状は、楔形、四角形、
凹レンズ形、凸レンズ形、逆台形などとすることができる。
旋回子(1) の正面視(背腹部(1b), (1b)側からの見たとき)の形状は、逆三角形状、逆
台形状、扇状、野球ベース状などとする。両サイド部(1a), (1a)がプーリー(P) のV形溝
に接触する面になるので、正面視ではベルトの内周側に向かって狭くなる形状とするので
ある。
(旋回子(1) の材質)
旋回子(1) の材質は、必要な強度や耐摩耗性を有する限りにおいて(オイル使用下に使
用するときには耐油性も)、任意の材質とすることができる。材質の例は、金属、プラス
チックス、セラミックス、炭素材、天然物(石、木質材、竹材、貝殻、甲羅、牙等)など
である。
プラスチックスの場合には、長繊維や短繊維と組み合わせて繊維強化プラスチックス(
FRP)や繊維強化熱可塑性プラスチックス(FRTP)としたり、樹脂にウイスカー、
フィラー等を配合したものを成形材料とすることも多い。炭素材(木炭、竹炭など)の場
合は、これに樹脂成分を含浸、硬化させるなどして強化することもできる。金属の場合も
、繊維やカーボンを配合して強度やその他の性質を上げることができる。木質材や竹材の
場合には、強化木や強化竹としたものを用いることができる。
旋回子(1) は、1つの材料で構成するだけでなく、2以上の材料を組み合わせて複合構
造とすることもできる。たとえば、内側部−外側部、外層−内層−外層のような多層構造
である。旋回子(1) の表面に各種のコーティング処理やメッキ加工を施すこともできる。

旋回子(1) が金属であるときは、熱処理、加工硬化処理、表面処理などの加工または処
理を施すことも多い。
旋回子(1) は、1ピース(1片)で構成するだけでなく、複数のピースで構成すること
もできる。たとえば、巾方向(サイド部(1a)−サイド部(1a)方向)にスライスした形の複
数個のピースを準備し、それらのピースを積層して旋回子(1) とすることができる。また
、厚み方向(背腹部(1b)−背腹部(1b)方向)にスライスした形の複数個のピースを準備し
、それらのピースを積層して旋回子(1) とすることができる。これらの場合の各ピースは
、同一の材料で構成してもよく、異種の材料で構成してもよい。
(旋回子(1) の作製法)
旋回子(1) を作製する方法には制限はない。材質が金属であるときは、打ち抜き、鋳造
、切削加工、研磨加工、曲げ加工、折り畳み加工をはじめとする任意の方法を採用するこ
とができる。パイプを押し潰して変形させる方法も可能であり、そのときにはパイプに芯
材を挿入してから変形させることもできる。各部に分割したものを作製してから、接着、
嵌め合い、溶接などにより組み立てる方法も採用できる。
材質がプラスチックスであるときは、切削加工、打ち抜き加工などの加工法;射出成形
、押出成形、圧縮成形などの成形法;光造形法;をはじめとする任意の方法を採用するこ
とができる。
その他の材質である場合も、それぞれの材質に見合った作製法ないし成形法が採用され
る。
[拘束手段(2) ]
−1−
拘束手段(2) は、旋回子(1) を拘束して閉ループ状にする手段である。
この場合、旋回子(1) は拘束手段(2) との拘束部(S) 回りに揺動するようにすること(
拘束部(S) を起点にして屈曲により揺動させる場合も含む)が特に望ましい。
拘束手段(2) が旋回子(1) とは別部材であるときは、そのような拘束手段(2) としては
、ヒンジ(蝶番)機構を利用した手段、チェーン機構を利用した手段、フープ(つまり閉
ループ状のベルト)を利用した手段などがあげられる。
−2−
拘束手段(2) がヒンジ(蝶番)機構を利用した手段であるときは、拘束手段(2) はピン
のみ、またはピンと筒状軸受けとの組み合わせだけで足りることが多い。旋回子(1) 側に
は、そのピンや筒状軸受けを受ける部分である貫通孔(軸受け孔)を用いればよい。貫通
孔に替えて、パイプを用いたり、折り曲げによる「6」の字状の部分を設けたりすること
もできる。
上記のピンとしては、断面形状が、円、楕円、半円、三日月状、多角形(三角形、四角
形、六角形、八角形等)、十字形、星形などである棒状物またはパイプ状物が用いられる
。半円や三日月状の断面形状の棒状物を背中合わせに2つ組み合わせて用いることもある
。ピンの両端または片端は、ストレートのほか、先細り、ストレート、頭付きなどであっ
てもよい。ピンを抜け止め構造とするために、最終的にはピンの両端を膨頭状にしたり、
割りピン、クリップ、ねじなどにより固定したり、かしめたりするのが通常である。
−3−
拘束手段(2) がチェーン機構を利用した手段であるときは、外プレート、内プレート、
ピン、ブッシュ、筒状軸受けなどのパーツを組み合わせて用いる。
拘束手段(2) がチェーン機構を利用した手段であるときの変形例として、旋回子(1) を
拘束補助部を介して拘束手段(2) と連絡することも可能である(後の実施例の箇所を参照
)。
−4−
拘束手段(2) がフープ(閉ループ状のベルト)を利用した手段であるときのフープとし
ては、必要な強度、フレキシブル性、巾方向の形状維持性を兼ね備えたフープが用いられ
る。
そのようなフープの例としては、
・織布製の閉ループ状のベルトであって、巾方向の糸に相当する材料が、ピンの役割を
果たす棒状物やパイプ状物であるもの;
・高強力繊維でできた糸を巻回すると共に巾方向の散開を防止する手段を施した閉ルー
プ状のベルトであって、旋回子(1) の基端側を連結または拘束する手段を備えたもの;
・高強力繊維でできた織布製ベルト、金属製フープ、芯線入りのゴムベルトなどのフー
プであって、旋回子(1) の基端側を連結または拘束する手段を備えたもの;
腕時計のベルトに類似のものであって、旋回子(1) の基端側を連結または拘束する手段
を備えたもの;
・立体織布でできたフープであって、その織布の織り目の空隙にピンの役割を果たす棒
状物やパイプ状物を挿入設置できるもの;
などがあげられる。これらのフープは、2層以上の積層または重層フープであってもよい
[旋回子(1) および拘束手段(2) の具体例]
旋回子(1) および拘束手段(2) については、後述の実施例の箇所において、そのいくつ
かを図と共に例示する。
[伝動ベルト(B) の組み立て]
多数個の旋回子(1) ‥を閉ループ状に配列して伝動ベルト(B) を組み立てるときの旋回
子(1) の配列は、同じ形状の旋回子(1) を配設することが多く(たとえば、AAAAA・
・というように)、その方が旋回子(1) の製造コストや品質管理の点においても好ましい
ことが多い。
しかしながら、2種あるいはそれ以上の種類の形状のものを一定の規則で組み合わせて
(たとえば、ABABAB・・、ABCABC・・・、AABAAB・・というように)
、伝動ベルト(B) に組み立てることも多い。
なお、拘束手段(2) による旋回子(1) の拘束は、隣接する旋回子(1), (1)間を連結する
態様のみならず、一つ飛ばしや二つ飛ばしのように、ある旋回子(1) から見て1個ないし
数個前方(または後方)の旋回子(1) を連結するようにすることも可能である。
[変速を行うための装置]
本発明の伝動装置が無段変速機であるときは、プーリー(P) にはV形溝を有するものを
用い、伝動ベルト(B) にはそのプーリー(P) のV形溝に嵌まり込む大きさおよび形状を有
するものを用いる。
変速を行うためには、ベルトがスリップをしないように、必要な押し付け力(クランプ
力)が得られるような制御を行う。制御とは、プーリー(P) のV形溝の間隙の制御のこと
である。この制御は、通常は油圧で行い、必要に応じてスプリングによる押し付け力を併
用する。油圧制御に代えまたは油圧制御と共に、モーターを用いて電動制御することも可
能である。なお、プーリー(P) のV形溝の間隙の制御に代えてあるいはその制御と共に、
プーリー(P), (P)の軸間距離の制御を行うこともある。
現行のベルト−CVTにおけるプライマリープーリーおよびセカンダリープーリーの可
動シーブへの油圧供給方式には、
・片調圧方式:セカンダリープーリーにライン圧を供給し、プライマリープーリーに変
速のための変速圧を供給する方式、
・両調圧方式:ロー変速比側では、セカンダリープーリーにライン圧を供給し、プライ
マリープーリーに変速のための変速圧を供給し、ハイ変速比側では、プライマリープーリ
ーにライン圧を供給し、セカンダリープーリーに変速のための変速圧を供給する方式)
などがあるが(非特許文献1(「無段変速機CVT入門」)の128〜130頁の説明を
参照)、本発明の伝動装置(無段変速機)においても、そのような既存の油圧制御法を含
め任意の油圧制御法を採用することができる。
本発明の伝動装置(無段変速機)にあっては、後述のように、伝動ベルト(B) に加わる
引張力が従来のベルト(引張式ベルト)に比し格段に小さいので、それに応じて装置を小
型化したり、油圧による力を小さくしたり、油圧室を小さくしたり、油圧制御のための電
子制御プログラムを簡単化したりすることができる。これらの利点は、車両重量の軽量化
、燃費の低減にも貢献する。
たとえば自動二輪車やスノーモービル用のベルトCVTの場合には、遠心錘(遠心力を
利用するウエイトローラ)に働く遠心力を利用して、プーリー(P) のV形溝の間隙(固定
シーブ(Pfs) と可動シーブ(Pms) との間の間隙)を制御することにより変速を行う方式も
採用できる。
たとえば自転車用のベルトCVTの場合には、ハンドル操作やスロットル操作により手
動で、またはセンサを利用して自動で、プーリー(P) のV形溝の間隙を変更し、変速を行
うこともできる。
無段変速機に代表される伝動装置に搭載する各プーリー(P) ‥の配置の仕方は、水平方
向、上下方向、斜め上下方向をはじめ任意である。
〈用途〉
−1−
本発明の伝動装置および伝動ベルトは、下記に例示するような用途に好適に用いること
ができる。
この場合、本発明の伝動装置が変速機でかつ本発明の伝動ベルトが変速機用のVベルト
である場合に限らず、変速を伴わない使い方をする用途(たとえば、従来のVベルト、平
ベルト、タイミングベルト、チェーンなどが使われている各種の用途)であっても差し支
えない。
−2−
・大型自動車、普通乗用車、小型乗用車、軽自動車、バス、トラックなどの内燃機関や
モーターを駆動力とする自動車用。
・軌道車、無限軌道車用。
・自動二輪車用。
・自転車、三輪自転車、電動アシスト機能付き自転車、原動機付き自転車用。
・電動または手動の車椅子用。
・農業用機械器具(耕耘機、収穫機(刈り取り機、脱穀機)等)、漁業用機械器具。
・化学機械器具、繊維機械器具、金属加工機械器具、鉱山機械器具、土木機械器具、荷
役機械器具、食品加工機械器具、製材・木工機械器具、製紙用機械器具、印刷機械器具な
どの産業用機械器具用。
・民生用機械器具用。
・エレベーター;エスカレーター;移動歩道;建物用リフト、鉱山用リフト;クレーン
;コンベア;巻き上げ機(ウインチなど);索道;揚重装置;牽引装置などの搬送装置ま
たは牽引装置用。
・船舶関連装置、船外推進装置(スクリュー駆動装置)、航空機関連装置、発電システ
ム(風力発電機を含む)、建築または土木関連装置。
[従来技術としてのV1〜V5のVベルト]
背景技術の箇所の〈従来の技術〉の項においては、無段変速機(CVT)のうちベルト
−CVTに属する従来技術として、次のV1〜V5のVベルトがあることを述べた。
V1:ゴム製Vベルト
V2:重層フープ式Vベルト
V3:重層フープ−エレメント併用式Vベルト
V4:チェーン式Vベルト
V5:複合Vベルト
そして、背景技術の箇所の〈従来の技術の問題点〉の項においては、これらのV1〜V
5の5つのタイプのベルトがいずれも引張式ベルトであることに起因する共通の問題点を
有していることを述べた。なお、上記5つのタイプのベルトのうちV3のタイプのベルト
は、「稼働時に生ずるエレメント間の圧縮力を補完的に利用した引張式ベルト」である点
で他の4つのタイプのベルトとは相違しているが、基本はあくまで引張式であるので、引
張式であることの限界を有している。
〈本発明の作用効果〉
以下、本発明の作用または効果を詳細に述べる。
[第1の特徴点(その1):アーク(円弧)構造]
(プーリー間経路(R2)における第2アーク(A2))
−1−
本発明の伝動装置および伝動ベルトにおける第1の特徴点は、プーリー間経路(R2)をア
ーク(円弧)(第2アーク(A2))に形成したことである。この特徴点は従来技術とは構成
要件の点で決定的に異なる上、作用効果の点でも決定的に異なる。
−2−
本発明の伝動装置においてプーリー間経路(R2)を第2アーク(A2)に形成するための具体
的手段の代表例は、本発明の伝動ベルト(B) を次のように構成することである。
1.伝動ベルト(B) は、多数個の旋回子(1) ‥が拘束手段(2) により拘束部(S) におい
て拘束されて閉ループ状に配列された配列体からなること。(ここで拘束手段(2) は旋回
子(1) とは別の部材で構成してもよく、旋回子(1) の一部を拘束手段(2) とすることもで
きる。)
2.そして、拘束部(S) において拘束された個々の旋回子(1) は、
(M)その拘束部(S) 回りに揺動可能に構成されていると共に、
(N)旋回子(1) ‥同士がそれらの背腹部(1b), (1b)が対向するように圧接したときに
、ベルトの外周側または内周側に凸のアークとなる圧接集合体(1n)構造が自律的に形成さ
れる形状または構造を有していること。
[第1の特徴点(その1)に基く作用効果]
−1−(第2アーク(A2)による押し力)
-1.1-
プーリー間経路(R2)をアーク(第2アーク(A2))に形成するという特徴点を有する本発
明にあっては、拘束部(S) において拘束された旋回子(1) がプーリー間経路(R2)において
アーク状の圧接集合体(1n)構造を自律的に形成するため、プーリー間経路(R2)における力
の伝達は本質的には「押し力」になる。たとえばプーリー数が2つでプーリー間経路(R2)
が往路と復路とからなるときは、力の伝達は往路および復路の双方とも「押し力」になる
。以下に種々の観点から説明するように、本発明においては、プーリー間経路(R2)におけ
る力の伝達には引張力はほとんど関与しないのである。
すなわち、本発明にあっては、上流のプーリー(P) のV形溝から吐き出された1つの旋
回子(1) は、プーリー間経路(R2)に形成されているアーク状の圧接集合体(1n)からなる第
2アーク(A2)をその始端側から押し、もともと始端側にあった旋回子(1) の席を占める。
これにより、第2アーク(A2)は旋回子(1) 1個分だけ該アークの中心点(O2)回りに回転移
動し、当初の第2アーク(A2)の終端側に位置していた旋回子(1) は、当初のアークから押
し出されて下流のプーリー(P) のV形溝に噛み込み、その下流のプーリー(P) を回転させ
る。このようにして、上流のプーリー(P) の回転力は、第2アーク(A2)による押し力に変
換された後、直ちに下流のプーリー(P) を回転させる力に変換されるので、円滑なトルク
の伝達が図られる。

上流側の プーリー間経路(R2) 下流側の
プーリー 旋回子(1) ‥の圧接集合体(1n) プーリー
10 → (11 12 13 14 15 16 17 18 19)
(10 11 12 13 14 15 16 17 18) → 19
-1.2-
付言するに、本発明においては、伝動ベルト(B) をプーリー(P), (P)間に閉ループ状に
張設する初期設定段階においてすでにプーリー間経路(R2)にはアーム状の第2アーク(A2)
構造が完成している。言い換えれば、すでに初期設定段階において、第2アーク(A2)によ
る「押し力」を介しての上流のプーリー(P) から下流のプーリー(P) への回転力の伝達(
つまりトルクの伝達)がなされる体制にある(スタンバイの状態にある)。
-1.3-
これに対し、従来の技術の箇所で述べたV3のベルトにあっては、初期設定段階におい
てはまだエレメント間に圧縮力は発生していない。V3のベルトにおいて「引張力」と共
に発揮させようとしている「圧縮力」は、ベルトが稼働しはじめたときに、先行のエレメ
ントに後行のエレメントが次々と追い付いて渋滞することによりエレメント間の圧縮力が
ゼロから所定の程度にまでしだいに蓄積されていく現象を利用するものであるので、ベル
トが稼働してからはじめて圧縮力が生ずるのである。
-1.4-
一般の引張式ベルトにおいては、従動側プーリーに負荷がかかった状態でベルトが稼働
したときには、往復の経路のうち張り側の張力Tx と緩み側の張力Ty との張力差ΔTに
基くエネルギーEが負荷Rに打ち勝つようになったときに力の伝達がなされる。
従動側プーリーの負荷が大きくなればなるほど大きな張力差ΔTが必要となるので、T
x もそれに合わせて大きくしなければならないが、ベルトには強度上の限界があるので(
ベルトの破壊、または破壊にまで至らなくても永久伸びを生ずる)、余り負荷が大きくな
ると対処しえなくなる。
ここで、引張式ではあるがエレメント間に圧縮力を発生させているV3のベルトについ
て、式aと関連させながら考察してみる。
V3のベルトにおける引張力の発現は、一般の引張式ベルトと同じく、張り側の張力T
x と緩み側の張力Ty との間に張力差ΔTがあることに起因している(この張力差ΔTに
基くエネルギーをEとする)。ところがV3ベルトにおいては、その張力差ΔTに起因し
て、引張力だけでなく、エレメント間の圧縮力も生じている(その圧縮力に基くエネルギ
ーをeとする)。このように、同じ張力差ΔTに起因して圧縮力に基くエネルギーeが発
現するので、引張力に基くエネルギーは(E−e)にまで減ずることになる(このエネル
ギー(E−e)は、新たにバランスした張り側の張力Tx'と緩み側の張力Ty'との間に張
力差ΔT’に基いている)。
結局、V3のベルトにおいては「(E−e)+e=E」のエネルギーが負荷Rに抗して
ベルトを稼働させていることになり、圧縮力が発現しない一般の引張式ベルトに比してエ
ネルギー上の得失はないが、引張力に基くエネルギー(E−e)は、新たにバランスした
張り側の張力Tx'と緩み側の張力Ty'との間に張力差ΔT’に基いているので(Tx'はT
x より小さくすることができるので)、ベルトの耐久性にとって有利である。あるいは、
ベルトの引張強度の上限まで張り側の張力を上げて、より大きな負荷に対処することも可
能となる。
-1.5-
これに対し、本発明においてプーリー間経路(R2)に形成される第2アーク(A2)は、往路
も復路も「押し力」である(引張力はほとんど関係していない)ので、一般の引張式ベル
トとは力の発生機構が相違している。
また、張力差を引張力に利用すると共にエレメント間の圧縮力も発現させているV3の
ベルトとも、力の発生機構が相違している。
さらに、本発明においてプーリー間経路(R2)に形成される第2アーク(A2)に基く「押し
力」には上限がないので、V3のベルトを含む引張式ベルトでは対処しえないような格段
に大きな負荷に対しても対処し可能である。
−2−(第2アーク(A2)により発揮される押し力の伝達と向き)
次に、本発明において第2アーク(A2)により発揮される押し力の伝達と向きについて検
討してみるが、その前に理解を容易にするためのアナローグとして、次に述べる図4のモ
デルを考えてみる。
図4(i)のように、同じ長さRの糸でつないだいくつかの球を同一の中心点(O2)から
1つの垂直平面に並べてみると、球1〜球7は互いに密接して集合体となりアークを描く
。この状態で図の左側から新たな球0を押し当てることにより力Qを入力して各球を1ピ
ッチ分だけ動かしたならば、図4(ii)のように、力Qは、球1から球2に、球2から球
3にというように次々に伝達され(そのときのベクトルの向きをアークの接線方向に沿う
)、最後に球7から力Qが出力される。このときには、各球の位置は1ピッチずつ右側に
移り、当初の座標において球1〜球7の集合体が占めていた位置は球0〜球6の集合体が
占めるようになる。観点を変えてみると、各球は互いに接触してアーク状の集合体になっ
ているので、球列からなるアークは、力の方向をアーク方向に変えつつ力を無駄なく伝達
する変換機の役割を果たしている。
図4のモデルにおいては、球の集合体で形成されているアークは安定であり、力Qの伝
達方向はアークの接線方向であり、かつその力Qの伝達が円滑であることは容易に理解で
きるであろう。
−3−(第2アーク(A2)のメンバーである個々の旋回子(1) に加わる力)
本発明にあっては、プーリー間経路(R2)において、アーク状の圧接集合体(1n)からなる
第2アーク(A2)が形成されているので、その第2アーク(A2)における力の伝達について、
上記−2−の状態を念頭におきながら、具体的に考察してみる。
まず、プーリー(P), (P)間に伝動ベルト(B) を張設した初期設定段階において、すでに
プーリー間経路(R2)には圧接集合体(1n)からなる第2アーク(A2)が形成される。この第2
アーク(A2)は、従動側のプーリー(P) に負荷がかかった状態において駆動側のプーリー(P
) を駆動させたときにも維持される。
プーリー間経路(R2)に形成された圧接集合体(1n)からなるからなる第2アーク(A2)は、
図5に模式図を描いたように、旋回子(1) が楔(くさび)のように配列されてアーク状に
なったものである。この状態は、図4のモデルと非常に良く似ている。
このように、本発明においても図1のように旋回子(1) ‥の圧接集合体(1n)により、(O
2)を中心点とする半径Rの第2アーク(A2)が形成されており、力Qの伝達はそのアークの
接線方向になされるので、図4のモデルと同様の挙動がなされると共に力Qの円滑な伝達
がなされるわけである。
では、もし圧接集合体(1n)を構成する旋回子(1) に、アークの接線方向以外に向く力が
働いたときはどうなるであろうか。このような力として起こりうるのは、図6に模式図を
示したアークから旋回子(1) が飛び出す方向に働く力である(図6の下側の図はδ角度を
誇張して作図している)。
図6において、両隣に位置する旋回子(1), (1)に挟まれた旋回子(1) は、その両隣に位
置する旋回子(1), (1)から楔の斜面に垂直なQ,Qの力を受けているため、ベルトの外周
方向に向かう分力Pが働くことが考えられる。
今、旋回子(1) の頂角(旋回子(1) の背腹部の斜面がなす角度)を2δ(その角度の1
/2はδ)とすると、図6において、
P/2=Q sinδ
の関係にあるから、
・δが 0.9°(0.005 ラジアン)のときは、P≒Q/200、
・δが 1.8°(0.01ラジアン)のときは、P≒Q/100、
・δが 3.6°(0.02ラジアン)のときは、P≒Q/50
となる。
すなわち、圧接集合体(1n)からなる第2アーク(A2)を構成メンバーである旋回子(1) を
ベルトの外周側にはじき出そうとする分力Pが働いたとしても、その力Pは上記の力Qに
比し圧倒的に小さいので、旋回子(1) を拘束する拘束手段(2) または拘束部(S) をそのP
に耐えうるように設計することは容易である。ちなみに、上記のPに耐える力は、従来の
引張式Vベルトに要求される引張耐性に比すれば非常に小さい。
−4−(旋回子(1) 、拘束手段(2) の製作上の制約)
先に述べたように、本発明においては、プーリー間経路(R2)における力の伝達は、本質
的には「押し力」になり、引張力はほとんど関与しない。拘束手段(2) による拘束部(S)
における旋回子(1) の飛び出しを防ぐ力Pの源泉として、引張力が関与する場合も考えら
れるが、その力Pは押し力に直接関与する力Qに比しては格段に小さい。本発明において
は、従来の引張式のVベルトの場合のような引張力は、原理上ほとんど発生しないのであ
る。
そして、第2アーク(A2)構造を介してプーリー間経路(R2)の一端から他端に伝えられる
力Qが大きくなればなるほど、むしろ第2アーク(A2)構造は安定化し、しかもその安定性
は原理上も旋回子(1) の背腹部(1b), (1b)表面の製作精度にはそれほど影響しないばかり
か、第2アーク(A2)の形成は、隣接する旋回子(1) 同士の背腹部(1b), (1b)のみでの面接
触である必要すらなく、旋回子(1) 同士の背腹部(1b), (1b)における2点接触;旋回子(1
) と拘束部(S) との2点ないし3点接触;をはじめ、アーク構造を維持できる接触であれ
ば任意の接触態様が可能である。
ちなみに、従来のV3のベルトにあっては、エレメントの背腹面の製作精度がほんのわ
ずかでも狂うと圧縮体の構造が崩れ、フープからエレメントがはじき出されてしまう場合
があるようである。
さらに、本発明においてプーリー間経路(R2)に形成された第2アーク(A2)構造にあって
は、拘束部(S) にはそれほどの引張力はかからないので、旋回子(1) 間の拘束に関与する
拘束手段(2) および拘束部(S) についても、V3のベルトを含む従来の引張式Vベルトに
比し、その製作に際しての引張強度上の制約が少なくなる。
−5−(引張応力と圧縮応力)
何度も述べるように、本発明にあっては、拘束部(S) において拘束された旋回子(1) に
よりプーリー間経路(R2)においてアーク状の圧接集合体(1n)構造が自律的に形成されるよ
うにしてあるため、プーリー間経路(R2)における力の伝達は本質的には「押し力」になる
。従って、従動プーリにかかる負荷が大きくなればなるほど、圧接集合体(1n)を構成する
各旋回子(1) には大きな圧縮力がかかることになる。
さて、ある物体に「引張応力」をかけたときと「圧縮応力」をかけたときとを比較する
と、一般に、圧縮強度は引張強度に比べてはるかに高いということができる。
たとえば、「おはなし科学・技術シリーズ、金属材料試験のおはなし、財団法人日本規
格協会発行、2002年8月5日第1版第1刷発行」の107〜108頁および図4.2
.5には、「ねずみ鋳鉄のようにミクロの亀裂が内部に存在する材料は、引張応力が作用
すると引張強さが低いもと考えられているが、ひとたび圧縮に用いると引張りのときとは
比べものにならないほど高い強度値が得られる。」とあり、また「コンクリートの場合に
も、圧縮強度は引張強度に比べて約6倍程度高く、また圧縮による変形量も非常に小さい
ことが知られている。」とある。
「技能ブックス20、金属材料のマニュアル、株式会社大河出版発行、平成17(20
05)年5月15日発行」の42頁には、金属材料の圧縮試験に関して、「圧縮試験は引
張試験の反対であることは理解できるが、実際には圧縮ではめったに壊れないので規格も
ない。」とある。
従って、本発明においては、旋回子(1) には大きな引張力は働かないので引張力につい
てはさほど顧慮するまでもなく、一方旋回子(1) には大きな圧縮力が加わるものの、その
圧縮力に耐えるように設計することは容易である。
−6−(静的アーチ構造との対比)
付言するに、古来より建築・土木分野においては、トンネル、橋、窓などを構築するた
めの工夫として、煉瓦や石造りのアーチ構造(上方に凸のアーチ構造)が知られている。
このアーチ構造は、静的状態で構造を維持するものであって、煉瓦や石の自重(つまり重
力)により発生する圧縮力が構造物の安定に巧みに利用されている。この静的アーチ構造
に上部からさらに加重が加わっても、依然として極めて安定である。
ただし、この静的アーチ構造にあっては、アーチの脚部には極めて大きな力がかかるの
で、脚部の位置する土台部分をそれに耐える構造にしないとアーチが壊れてしまう。
一方、本発明においてプーリー間経路(R2)に自律的に形成される第2アーク(A2)は、旋
回子(1) ‥の圧接集合体(1n)からなるので、上記の静的アーチ構造の場合と同様に安定な
構造を有する。
そして、本発明の伝動装置における伝動ベルト(B) は、閉ループが走行する動的なもの
であって、駆動側のプーリーからプーリー間経路(R2)(第2アーク(A2))を経て送られた
押し力Qは小さくても大きくても従動側のプーリの回転(つまり、プーリー転回経路(R1)
におけるベルト−プーリー間のトルクの伝達)に無駄なく有効利用されるので、Qが大き
くなっても第2アーク(A2)の破壊につながることはない。というより、Qが大きくなれば
なるほど第2アーク(A2)の安定性は高まるようになる。
−7−(従来のV3のベルトとの対比)
先にも述べたように、従来の技術の箇所で述べたV3のベルトにおいて引張力と共に発
揮させている「圧縮力」は、従動プーリーを転回する経路内でエレメントが渋滞すること
により後行のエレメントが次々と追い付いてエレメント間の圧縮力が蓄積されていく現象
を利用してプーリー(P), (P)間のトルクの伝達の一助とするものである。
このときの圧縮状態は、定常状態においては、ベルトが駆動プーリーを出る少し手前の
時点から圧縮の程度が徐々に高まって、駆動プーリーを出るときにはほぼ一定の圧縮力に
なり、その圧縮状態は往路である従動プーリーに至る経路および従動プーリーを転回する
経路を経てから、その従動プーリーから離れる手前になって徐々に小さくなり、従動プー
リーを離れたときには圧縮がゼロになって、その圧縮ゼロの状態は復路である駆動プーリ
ーに戻る経路および駆動プーリーにおいて圧縮状態がはじまるまで続くものとされている

ここで忘れてならないことは、エレメントを支えながら旋回するフープに働く「引張力
」である。V3のベルトにおいてエレメント間に圧縮力を発揮させるためには、全周にわ
たり(エレメント間の圧縮がなされないルートのみならず、エレメント間の圧縮がなされ
るルートにおいても)フープに引張力が働かなければならないことである。換言すれば、
全周にわたりフープの引張力がゼロになる部位はないことである。このときの「引張力」
は、負荷をかけてベルトを稼働させたときにおいて、ベルトが駆動プーリーを出るあたり
から従動プーリーを少し転回する所までが比較的小さく、従動ベルトを転回するにつれて
徐々に高まり、従動プーリーを出てから駆動プーリーを転回する時点で最大になり、駆動
プーリーを転回する間に徐々に小さくなるものとされている。
そして、V3のVベルトにあってはプーリー間経路は直線となるが、直線では寸法精度
の誤差から真っ直ぐの方向に圧縮力を働かせることは難しく、圧縮力が発揮されるときに
エレメント列にほんの少しでも寸法精度の誤差があると、力の方向が分散されて走行に乱
れを生じるためエネルギーロスとなるばかりか、そのわずかの誤差(エレメントの背腹面
の製作精度)がフープからエレメントをはじき飛ばしてしまうという致命的な問題を招く
おそれがある。このように、従来のV3のベルトは、圧縮力を働かせながら直線を維持し
なければならないという難しさをかかえており、その構造上かなり無理をしている。
V3のベルトにおける上記のようなエレメントの圧縮挙動およびフープの引張挙動は、
本発明とは本質的に相違している。本発明は、V3のベルト(および他の従来の引張式ベ
ルト)とは、原理も機構も相違しているのである。
[第1の特徴点(その2):アーク(円弧)構造]
(プーリー転回経路(R1)における第1アーク(A1))
−1−
本発明の伝動装置においてプーリー転回経路(R1)がアーク(第1アーク(A1))を形成す
るのは、従来のV1〜V5のVベルトを用いた場合と類似しているように見える。
しかしながら、本発明の伝動装置において、プーリー転回経路(R1)における第1アーク
(A1)は、プーリー間経路(R2)における第2アーク(A2)による拘束を受けているので、従来
のV1〜V5のVベルトを用いた場合のプーリー転回経路とは質的に相違している。
そこで、本発明におけるプーリー転回経路(R1)の第1アーク(A1)に働く引張力について
検討する。
−2−
まず従来の引張式のVベルトの場合には、その作動時にプーリーとの間で滑りを生じな
いように、極めて大きな引張力がベルトにかかっている。
これをプーリー(P) の立場から見ると、2つのプーリー(P), (P)には互いに近づく方向
の大きな力をベルトから受けているため、各プーリー(P) の軸には極めて大きな力がかか
っている。また、各プーリー(P) についても、その固定シーブ−可動シーブ間の平行関係
を変形させようとする(歪ませようとする)極めて大きな曲げモーメントがかかっており
、その曲げモーメントにより小径のプーリー側の方にベルトが必要以上に食い込んでロー
側に変速しやすくなるという傾向がある。
従来の引張式のVベルトのうちV3のVベルトにあっても、重層フープに働く引張力が
大きいので、駆動プーリーと従動プーリーとは互いに近づく方向の大きな力をベルトから
受けている。そのため、特に小径のプーリー側においてプーリーのV形溝にベルトが深く
噛み込みやすくなり、固定シーブ−可動シーブ間の平行性が損なわれ、そのままでは勝手
にロー側に変速するような力が働いてしまうという現象が起きる。
そのような予期せぬロー側への変速を防止するためには、プーリーに加える油圧を必要
以上に過大にせざるをえないが、このことはエネルギー的に見て不利となる。ベルトの走
行は、プーリーとの間で滑りを起こさない範囲において油圧が小さい方が円滑であり、か
つエネルギー的にも有利であるからである。
−3−
これに対し、本発明においては、拘束部(S) において拘束された旋回子(1) は、プーリ
ー間経路(R2)において自律的にアーク状の圧接集合体(1n)構造に形成されている。その結
果、各プーリー(P) は、その圧接集合体(1n)によるアーク状の腕でかかえられているよう
になっており、かつ各プーリー(P) を転回するプーリー転回経路(R1)の第1アーク(A1)も
、同様にその両端側をアーク状の腕でかかえられているようになっている。
このような状態は、図1によっても理解できる。図1において如何ように変速作動させ
ても、2つの内接円は、第1アーク(A1)および第2アーク(A2)で囲まれた経路に内接する
ようになっているので、各プーリー(P) には極端に無理な力は働かず、プーリー転回経路
(R1)においてプーリーのV形溝に挟まれている状態の個々の旋回子(1) 間の間隙を離そう
とするような無理な力も働かない。
−4−
図1において、もし左側の内周円の第1アーク(A1)を構成している旋回子(1) ‥に対し
てたとえば半径方向外周側に滑動するような強い力がかかったとしても、それは隣接する
旋回子(1) ‥の間隙が開いて隣接する旋回子(1) 間に強い引張力が働くことにはならず、
プーリー間経路(R2)における第2アーク(A2)の弧長および角度βの変化、左側の内周円の
第1アーク(A1)の弧長およびθ11の変化、第2アーク(A2)および第1アーク(A1)における
旋回子(1) の数の増減、に吸収され、結局はプーリー転回経路(R1)においてプーリーのV
形溝に挟まれている状態の個々の旋回子(1) 間の距離を離そうとするような無理な力は発
生しないのである。
つまり、伝動装置の一例である無段変速機を図1の状態になるように初期設定すれば、
その無段変速機の作動後も図1の関係が保たれるように働くのである。
[第2の特徴点:アークからアークへの移行点]
本発明の伝動装置における第2の特徴点は、伝動ベルト(B) をプーリー(P) ‥間に張設
した状態において(そして作動させた状態においても)、第1アーク(A1)と第2アーク(A
2)との間の移行点(tr)が、第1アーク(A1)の中心点(O1)と第2アーク(A2)の中心点(O2)と
の双方を通る直線上に実質的に位置するように設定されることである。
そのため、第1アーク(A1)と第2アーク(A2)との間の移行点(tr)においても伝動ベルト
(B) の走行が最も円滑になり、上記の第1の特徴点を採用したことによる利点が最大限に
生かされる。
[第3の特徴点:接触部(C) と拘束部(S) との位置関係の工夫]
本発明における第3の特徴点は、伝動ベルト(B) に組み立てられた旋回子(1) において
、図7に模式図を示したように、該旋回子(1) の両サイド部(1a), (1a)におけるプーリー
(P) のV形溝との接触部(C) がベルトの外周側に位置し、該旋回子(1) を拘束する拘束部
(S) がベルトの内周側に位置するようにすることである。
このようにすると、プーリー間経路(R2)において第2アーク(A2)の形成がさらに安定し
てなされるようになり、上記の第1の特徴点、さらには上記第2の特徴点を採用したこと
による利点が最大限に生かされる。
[第4の特徴点:旋回子(1) の動きと拘束部(S) の動きとの関係の工夫]
本発明における第4の特徴点は、
・旋回子(1) が拘束部(S) 回りに揺動可能にされていること、および、それにより伝動
ベルト(B) をプーリー(P) ‥間に張設した状態において、
・プーリー転回経路(R1)においてもプーリー間経路(R2)においても、拘束部(S) におい
て拘束されている旋回子(1) が、第1アーク(A1)の中心点(O1)、第2アーク(A2)の中心点
(O2)から見て、放射状の正姿勢を保ちつつ走行するようにしてあること
である。
このようにすると、旋回子(1) の動きと拘束部(S) の動きとが常に「同期(連動)」す
ることになって、ベルト走行時の無駄な動きや無駄な摩擦が著減し、エネルギーロスが最
小となる。そのため、上記の第1の特徴点、上記第2の特徴点、さらには上記第3の特徴
点を採用したことによる利点が最大限に生かされる。
[まとめ]
よって、本発明の伝動ベルトを使用すれば、動力伝達に引張力を利用していた従来の各
種の引張式のベルトにおける種々の制約および限界から解放されるので、ベルト構成部材
の材料の選択肢の拡大、ベルト構成部材の製作精度の緩和、ベルトの長寿命化、ベルトの
小型化、ベルトの軽量化が図れるようになり、さらには関連部材ないし装置(プーリー、
油圧制御機構、電子制御機構など)の簡単化やシンプル化が図られ、ひいては本発明の伝
動ベルトおよび伝動装置を搭載した自動車等の軽量化、燃費向上、振動や騒音の抑制など
も図られる。
以下、実施例をあげて本発明をさらに説明する。
[図の説明]
図8は、本発明の伝動ベルト(B) の一例を示した側面図であり、プーリー(P), (P)に張
設した状態を示してある。
図9は、図8の伝動ベルト(B) の構成部材である旋回子(1) の一例を示した説明図であ
る。
図10は、図8の伝動ベルト(B) の構成部材である拘束手段(2) の一例を示した説明図
である。
[伝動ベルト(B) ]
−1−(旋回子(1) 、拘束手段(2) )
金属の一例としてのアルミニウム合金2017(ジュラルミン)の板材を切削加工する
ことにより、図9に示した形状を有する旋回子(1) を作製した。
図9中、(1) は旋回子であり、(1a)はサイド部、(1b)は背腹部、(1c)は、図10の拘束
手段(2) のピン(2c)を挿入するための貫通孔である。
旋回子(1) の背腹部(1b), (1b)は、わずかにテーパーを有する形状にしてある。これは
、プーリー間経路(R2)において旋回子(1) ‥の圧縮集合体(1n)からなる第2アーク(A2)が
形成されるようにするためである。
上記の旋回子(1) は、「b」と「d」の形の2片を「bd」のように向かい合わせにし
てピンを通した構造の通常のヒンジ(蝶番)から一旦ピンを外し、順序を入れ替えて「d
b」のように背中合わせにすると共にその背中合わせの部分を一体化してからピンを嵌め
直した構造に類似するものである。
拘束手段(2) として、上記の旋回子(1) の貫通孔(1c)に挿入するピン(2c)を準備した(
図10を参照)。
−2−(伝動ベルト(B) の組み立て)
上記で準備した旋回子(1) の多数個を用い、その貫通孔(1c)に上記で準備した拘束手段
(2) (ピン(2c))を挿入設置することにより(その挿入設置部位が拘束部(S) となる)、
閉ループ状に連結した。これにより、図8に示した伝動ベルト(B) が作製された。
−3−(プーリー(P), (P)の準備)
シーブ角αがいずれも11°である固定シーブ(Pfs) と可動シーブ(Pms) とからなるプ
ーリー(P) (V形溝の角度はシーブ角αの2倍の2α)を2組準備し、一方のプーリー(P
) は駆動側の軸に装着し、他方のプーリー(P) は従動側の軸に装着した。従動側の軸には
、ブレーキによる負荷をかけることができるようにした。なお、張設した伝動ベルト(B)
の様子が見えるようにするため、可動シーブ(Pms) は半透明のプラスチックス製のものを
用いた。
−4−(初期設定)
上記のプーリー(P) のうちの一方(プライマープーリーと称することにする)を、モー
ターを動力源とする駆動軸に装着した。また、上記のプーリー(P) のうちの他方(セカン
ダリープーリーと称することにする)を、ブレーキにより負荷をかけることができる従動
軸に装着した。
続いて、上記で作製した伝動ベルト(B) をプーリー(P), (P)のV形溝に嵌め、まずプー
リー(P), (P)のV形溝の間隙を調節することにより伝動ベルト(B) が両プーリー(P), (P)
のV形溝の同じ深さの位置に(つまり変速比=1:1となるように)張設されるようにし
、ついでプーリー(P), (P)間の軸間距離を調節して、伝動ベルト(B) がプーリー(P), (P)
に閉ループ状にきっちりと張設されるようにした。
−5−(作動実験1)
このようにして張設した伝動ベルト(B) につき、変速比を1:1に保った状態で、従動
側のプーリー軸に対する負荷(ブレーキ)を、0(負荷なし)からはじめて、A、B、C
と段階的に高めて走行させる実験を行った。(装置の関係上、負荷の変更は手動により行
った。)
なお、伝動ベルト(B) のプーリー(P) との接触面には潤滑油を吹き付けて潤滑した。
その結果、従動側のプーリー軸に対する負荷(ブレーキ)が0の状態はもとより、A、
B、Cのいずれの状態であっても、安定して滑らかにベルトを走行させることができた。
ベルトの上下動、軋み、騒音は、無視できるほどであった。
走行時のベルトの状態は図1の如くであり、
・左右のプーリー転回経路(R1)においては、左右のプーリー(P), (P)のそれぞれの中心
を中心点とする第1アーク(A1)が形成され、
・上下のプーリー間経路(R2)においては、中心点(O2), (O2)を中心点とする第2アーク
(A2)に形成され、
・両経路(R1), (R2)の移行点(tr)における両経路(R1), (R2)の接線は、共通接線となっ
ていた。
−6−(作動実験2)
次に、左右のプーリー(P), (P)のV形溝に嵌め込むときの伝動ベルト(B) の位置を変更
することにより、変速比(従動側ベルト半径:駆動側ベルト半径)を、上記の1:1のほ
か、ロー変速比(およそ1:2)およびハイ変速比(およそ1:2)の水準に設定、また
従動側のプーリー軸に対する負荷を上記のA、B、Cの水準に変更して、ベルトを作動さ
せる実験を行った。
なお、伝動ベルト(B) のプーリー(P) との接触面には潤滑油を吹き付けて潤滑した。
ハイ変速比でかつ従動軸への負荷が水準Cの高負荷の場合については、評価を行ってい
ない。というのは、実際の車の走行にあたっては、「ロー変速比/高負荷」の組みわせが
ベースとなっており、場合により「中間変速比/高負荷」の組みあわせはありえても、「
ハイ変速比/高負荷」の組み合わせはありえないからである。
結果を、作動実験1の結果と共に次の表2に示す。表2中、○は「円滑走行」であり、
−は「評価を行っていない」ことを意味する。
(表2)

変速比の 従動軸への負荷の水準
水準 O A B C
ロー変速比 ○ ○ ○ ○
中間変速比 ○ ○ ○ ○
ハイ変速比 ○ ○ ○ −
[図の説明]
図11は、本発明の伝動ベルト(B) の一例を示した側面図であり、プーリー(P), (P)に
張設した状態を示してある。
図12は、図11の伝動ベルト(B) の構成部材である旋回子(1) の一例を示した説明図
である。
図13は、図11の伝動ベルト(B) の構成部材である拘束手段(2) の一例を示した説明
図である。
[伝動ベルト(B) ]
−1−(旋回子(1) )
金属の一例としてのアルミニウム合金2017(ジュラルミン)の板材を切削加工する
ことにより、図12に示した形状を有する旋回子(1) を作製した。図12中の符号の意味
は実施例1の場合と同じである。
−2−(拘束手段(2) )
図13に示した拘束手段(2) 用のパーツとして、外プレート(2a)、内プレート(2b)、ピ
ン(2c)を準備した。外プレート(2a)および内プレート(2b)には、貫通孔(2d)を2つ設けて
ある。各プレート(2a), (2b)のそれぞれにおける2つの貫通孔(2d)−(2d)間の中心間距離
がピッチである。
−3−(伝動ベルト(B) の組み立て)
上記で準備した旋回子(1) の多数個と拘束手段(2) 用のパーツを用い、旋回子(1) の貫
通孔(1c)には拘束手段(2) のピン(2c)を挿入設置するようにして(その挿入設置部位が拘
束部(S) となる)、閉ループ状に連結した。これにより、図11に示した伝動ベルト(B)
が作製された。
−4−(初期設定)
実施例1の場合と同じプーリー(P), (P)を用い、上記で作製した伝動ベルト(B) を図1
1のようにプーリー(P), (P)のV形溝に嵌め込み、まずプーリー(P), (P)間の軸間距離を
調節してから、プーリー(P), (P)のV形溝の間隙を調節することにより、伝動ベルト(B)
が両プーリー(P), (P)のV形溝の同じ位置に(つまり変速比=1:1となるように)きっ
ちりと張設されるようにした。
−5−(作動実験1)
この状態で実施例1の場合と同様の作動実験1を行った。走行時のベルトの状態は、図
1の如くであった。従動側のプーリー軸に対する負荷(ブレーキ)が0の状態はもとより
、A、B、Cのいずれの状態であっても、安定して滑らかにベルトを走行させることがで
きた。ベルトの上下動、軋み、騒音は、無視できるほどであった。
−6−(作動実験2)
続いて実施例1の場合と同様の作動実験2を行ったが、実施例1の表2の場合と同様の
好ましい結果が得られた。
[図の説明]
図14は、本発明の伝動ベルト(B) の一例を示した側面図であり、プーリー(P), (P)に
張設した状態を示してある。
図15は、図14の伝動ベルト(B) の構成部材である旋回子(1) の一例を示した説明図
である。
[伝動ベルト(B) ]
実施例2にかかる図12に準じて、図15の旋回子(1) を作製した。ただし、この実施
例3においては、図15のように旋回子(1) の厚み方向に貫通孔(1d)を2つ設けると共に
、その貫通孔(1d), (1d)に針金(1e)を通して捻って絞ることにより、旋回子(1) ‥が圧縮
状態になったときに隣接する旋回子(1) ‥間にスペースが形成されるようにして、プーリ
ー間経路(R2)に第2アーク(A2)が形成されるようにした。
拘束手段(2) については、実施例2にかかる図13と同じものを用いた。
針金(1e)を種々の太さのものに交換することにより、プーリー間経路(R2)に形成される
第2アーク(A2)の曲率を簡単に変更できる。また、針金(1e)を外すことにより、プーリー
間経路(R2)を直線にすることができる。
上記の旋回子(1) を多数個準備し、そのうち1つおきの旋回子(1) の貫通孔(1d)に針金
(1e)を挿入して絞った。ついで、旋回子(1) の貫通孔(1d)に上記で準備した拘束手段(2)
のピン(2c)を挿入設置することにより(その挿入設置部位が拘束部(S) となる)、閉ルー
プ状に連結した。これにより、図14に示した伝動ベルト(B) が作製された。
(初期設定)
実施例1、2の場合と同じプーリー(P), (P)を用い、上記で作製した伝動ベルト(B) を
図14のようにプーリー(P), (P)のV形溝に嵌め込み、まずプーリー(P), (P)間の軸間距
離を調節してから、プーリー(P), (P)のV形溝の間隙を調節することにより、伝動ベルト
(B) が両プーリー(P), (P)のV形溝の同じ位置に(つまり変速比=1:1となるように)
きっちりと張設されるようにした。
(作動実験1)
この状態で実施例1、2と同様の作動実験1を行った。走行時のベルトの状態は、図1
の如くであった。従動側のプーリー軸に対する負荷(ブレーキ)が0の状態はもとより、
A、B、Cのいずれの状態であっても、安定して滑らかにベルトを走行させることができ
た。ベルトの上下動、軋み、騒音は、無視できるほどであった。
(比較)
比較のため、旋回子(1) の貫通孔(1d)に針金(1e)を挿入しない場合についても試験を行
った。この場合にはプーリー間経路(R2)は直線となり、第2アーク(A2)は形成されない。
この比較例の伝動装置は引張ベルト方式になり、上下のプーリー間経路(R2)のいずれにお
いても圧縮力は働かない。圧縮力が働かないことは、旋回子(1) 間に挟んだ紙が落下する
ことからも確かめられる。
作動実験1の結果を次の表3に示す。
(表3)

針金の直径 巻き付け角 ベルトの
(mm) θ (°) 上下動
針金なし 180 あり
0.30 176 ほぼなし
0.35 170 なし
0.45 160 なし
0.55 156 なし
0.70 150 なし
0.90 140 なし
1.20 110 なし
(表3の説明)
−変速比−
1:1に設定。
−巻き付け角θ−
ベルトをプーリー間に変速比=1:1になるように懸架し、初期張力を掛けた状態で、
ベルトがプーリー(可動シーブ(Pms) は半透明樹脂製)に接触している部分を目視し、分
度器で実測した値である。
−ベルトの上下動−
上下のプーリー間経路(R2), (R2)における走行中のベルトの挙動を観察し、ベルトの張
設位置が高くなったり低くなったりする上下動を起こすかどうかを観察した。上下動を起
こす原因は、ベルトのプーリー離れの非円滑性(つまり、ベルトが各プーリー(P) の出口
付近でV字溝に食い込まれたままプーリー(P) の回転に追随し、ついでそのV字溝から外
れること)に起因するためと思われる。
(作動実験2)
続いて、針金の直径が0.35mm、0.45mm、0.70mm、0.90mm、1.20mmのそれぞれ場合につき
、実施例1の場合と同様の作動実験2を行ったが、実施例1の表2の場合と同様の好まし
い結果が得られた。
(実施例4〜28についての注記)
以下の実施例4〜28においては、旋回子(1) の圧接集合体(1n)が第2アーク(A2)を形
成する手段について説明または対応図面上の記載を省略している場合があるが、実際には
旋回子(1) の作製に際しその背腹部(1b), (1b)に段差や膨出部を設けたりスペーサーに相
当する部材を設置したりするなどの工夫を講じて第2アーク(A2)を形成している。
(ヒンジ型/一体タイプの例)
図16は、旋回子(1) の一例を示した説明図である。この旋回子(1) の多数個を拘束手
段(2) の一例であるピンを用いて連結すれば、伝動ベルト(B) に組み立てることができる
(ヒンジ型/一体タイプの例)
図17は、旋回子(1) の一例を示した説明図である。
伝動ベルト(B) は、この旋回子(1) の多数個を拘束手段(2) の一例であるピン(2c)を用
いて連結することにより組み立てることができる。
(ヒンジ型/合体タイプの例)
図18は、旋回子(1) の一例を示した説明図である。
この実施例6においては、プーリー(P) との接触部(1a)を有する旋回子(1) 部分と、拘
束手段(2) の一例としてのピン(2c)を挿入させるための旋回子(1) 部分とを別々に作製し
、これら2種類の旋回子(1) 部分を嵌め合うと共に接合して、1つの旋回子(1) に構成し
てある。
伝動ベルト(B) は、このようにして作製した旋回子(1) の多数個を拘束手段(2) として
のピンを用いて連結することにより組み立てることができる。
(ヒンジ型/拘束手段(2) と一体タイプの例)
図19は、旋回子(1) および拘束手段(2) の一例を示した説明図である。
この実施例7においては、旋回子(1) 自体に拘束手段(2) (ピン(2c))が一体化して設
けてあるので、別途拘束手段(2) を用意することなく伝動ベルト(B) を作製することがで
きる。
(ヒンジ型/カップタイプの例)
図20は、旋回子(1) の一例を示した説明図である。
伝動ベルト(B) は、この旋回子(1) の多数個を拘束手段(2) の一例であるピンを用いて
連結することにより作製することができる。
(ヒンジ型/折り曲げタイプで内曲げの例)
図21は、旋回子(1) の一例を示した説明図である。
図22は、図21の旋回子(1) の作製工程の一例を示した説明図である。
図23は、図21の旋回子(1) に準じた作製工程の他の一例を示した説明図である。
図24は、図21の旋回子(1) の作製工程のさらに他の一例を示した説明図である。
この実施例9においては、平板(金属板)を素材として用いて、図22の(a),(b
),(c)の工程に従って図21の旋回子(1) を作製してある。
図21の旋回子(1) は、図23に示した形の平板を折り曲げていくことによっても作製
することができ、また図24に示した形の平板を折り曲げていくことによっても作製する
ことができる。
伝動ベルト(B) は、このようにして得られた図21の旋回子(1) の多数個を拘束手段(2
) の一例であるピンを用いて連結することにより作製することができる。
(ヒンジ型/折り曲げタイプで外曲げの例)
図25は、旋回子(1) の一例を示した説明図である。
この実施例10の旋回子(1) は、実施例9と同じ図22(a)に示すような形の平板を
、図22(b)とは逆の方向に折り曲げていくことにより作製してある。
伝動ベルト(B) は、このようにして得られた図25の旋回子(1) の多数個を拘束手段(2
) の一例であるピンを用いて連結することにより作製することができる。
(ヒンジ型/折り曲げタイプで内曲げの例)
図26は、旋回子(1) の一例を示した説明図である。
この実施例11の旋回子(1) は、実施例9と同じ図22(a)に示すような形の平板に
に、図26の形になるように切り欠きを入れ、実施例9と同様の手順で折り曲げていくこ
とにより作製してある。
伝動ベルト(B) は、このようにして得られた図26の旋回子(1) の多数個を拘束手段(2
) の一例であるピンを用いて連結することにより作製することができる。
(ヒンジ型/折り曲げタイプ+補助キャップの例)
図27は、旋回子(1) の一例を示した説明図である。
この実施例10の旋回子(1) は、長方形の板に図27の形になるように切り欠きを入れ
たものを折り曲げ、上部側にその形状に合わせて切削加工した断面形状がコの字型の部材
(キャップ)を被せることによって作製してある。
伝動ベルト(B) は、このようにして得られた図27の旋回子(1) の多数個を拘束手段(2
) の一例であるピンを用いて連結することにより作製することができる。
(ヒンジ型/箱潰しタイプの例)
図28は、旋回子(1) の一例を示した説明図である。
この実施例12の旋回子(1) は、板を2枚介在させた筒状物を扁平に変形することによ
り作製してある。
伝動ベルト(B) は、このようにして得られた図28の旋回子(1) の多数個を拘束手段(2
) の一例であるピンを用いて連結することにより作製することができる。
(ヒンジ型/箱タイプの例)
図29は、旋回子(1) の一例を示した説明図であり、部品1、2のそれぞれの斜視図、
および部品1と部品2とを組み合わせた後の完成品の斜視図を示してある。
この実施例14においては、長方形の板に図29(b)の形になるように切り込みを入
れた段階(足の部分が真っ直ぐな段階)の部品1を、図29(c)の部品2にその上方側
から挿入し、最後に図29(b)の部品1の足の部分を広げるように折り曲げて、図29
(a)に示す旋回子(1) の完成品を作製してある。
伝動ベルト(B) は、このようにして得られた図29(a)の旋回子(1) の多数個を拘束
手段(2) の一例であるピンを用いて連結することにより作製することができる。
(ヒンジ型/箱タイプの例)
図30は、旋回子(1) の一例を示した説明図であり、部品1、2、3のそれぞれの斜視
図、および部品1、部品2、部品3を組み合わせた後の完成品の斜視図を示してある。
この実施例15においては、長方形の板に図30(b)の形になるように切り込みを入
れた段階(足の部分が真っ直ぐな段階)の部品1の両側から、図30(c)に示すような
板状の部品2を挟み込むような形で、図30(d)の部品3にその上方側から挿入し、最
後に図30(b)の部品1の足の部分を広げるように折り曲げて、図30(a)に示す旋
回子(1) の完成品を作製してある。
伝動ベルト(B) は、このようにして得られた図30(a)の旋回子(1) の多数個を拘束
手段(2) の一例であるピンを用いて連結することにより作製することができる。
(ヒンジ型/箱タイプの例)
図31は、旋回子(1) の一例を示した説明図であり、部品1、2、3、4のそれぞれの
斜視図、および部品1、部品2、部品3、部品4を組み合わせた後の第1および第2完成
品の斜視図を示してある。
この実施例16においては、図31(c)の部品1の2個と図31(d)の部品2の1
個とを交互に配置して、図31(e)の部品3に下方側から挿入し、最後に図31(f)
の部品4を横から差し込んで、図31(a)の第1完成品を作製した。
同様に、図31(c)の部品1の1個と図31(d)の部品2の2個とを交互に配置し
て、図31(e)の部品3に下方側から挿入し、最後に図31(f)の部品4を横から差
し込んで、図31(b)の第2完成品を作製した。
伝動ベルト(B) は、上記の第1完成品と第2完成品とを交互に組み合わせるようにして
拘束手段(2) の一例であるピンを用いて連結することにより作製することができる。
(ヒンジ型/箱タイプの例)
図32は、旋回子(1) の一例を示した説明図であり、部品1、2、3、4のそれぞれの
斜視図、および部品1、部品2、部品3、部品4を組み合わせた後の第1および第2完成
品の斜視図を示してある。
この実施例17においては、図32(c)の部品1の2個と図32(d)の部品2の1
個とを交互に配置して、図32(e)の部品3に下方側から挿入し、最後に図32(f)
の部品4を横から差し込んで、図32(a)の第1完成品を作製した。
同様に、図32(c)の部品1の1個と図32(d)の部品2の2個とを交互に配置し
て、図32(e)の部品3に下方側から挿入し、最後に図32(f)の部品4を横から差
し込んで、図32(b)の第2完成品を作製した。
伝動ベルト(B) は、上記の第1完成品と第2完成品とを交互に組み合わせるようにして
拘束手段(2) の一例であるピンを用いて連結することにより作製することができる。
(ヒンジ型/箱タイプの例)
図33は、旋回子(1) の一例を示した説明図であり、部品1、2、3、4のそれぞれの
斜視図、および部品1、部品2、部品3、部品4を組み合わせた後の第1および第2完成
品の斜視図を示してある。
この実施例18においては、図33(c)の部品1の2個と図33(d)の部品2の1
個とを交互に配置して、図33(e)の部品3に下方側から挿入し、最後に図33(f)
の部品4を横から差し込んで、図33(a)の第1完成品を作製した。
同様に、図33(c)の部品1の1個と図33(d)の部品2の2個とを交互に配置し
て、図33(e)の部品3に下方側から挿入し、最後に図33(f)の部品4を横から差
し込んで、図33(b)の第2完成品を作製した。
伝動ベルト(B) は、上記の第1完成品と第2完成品とを交互に組み合わせるようにして
拘束手段(2) の一例であるピンを用いて連結することにより作製することができる。
(ヒンジ型/箱タイプの例)
図34は、旋回子(1) の一例を示した説明図であり、部品1、2、3、4のそれぞれの
斜視図、および部品1、部品2、部品3、部品4を組み合わせた後の第1および第2完成
品の斜視図を示してある。
この実施例19においては、図34(c)の部品1の2個と図34(d)の部品2の1
個とを交互に配置して、図34(e)の部品3に後方側から挿入し、最後に図34(f)
の部品4を横から差し込んで、図34(a)の第1完成品を作製した。
同様に、図34(c)の部品1の1個と図34(d)の部品2の2個とを交互に配置し
て、図34(e)の部品3に後方側から挿入し、最後に図34(f)の部品4を横から差
し込んで、図34(b)の第2完成品を作製した。
伝動ベルト(B) は、上記の第1完成品と第2完成品とを交互に組み合わせるようにして
拘束手段(2) の一例であるピンを用いて連結することにより作製することができる。
(ヒンジ型/ボルトどめタイプの例)
図35は、旋回子(1) の一例を示した説明図であり、部品1、2、3、4のそれぞれの
斜視図、および部品1、部品2、部品3、部品4を組み合わせた後の第1および第2完成
品の斜視図を示してある。
この実施例20においては、図35(c)の部品1の2個と図35(d)の部品2の1
個とを交互に配置し、さらに図35(e)の部品3の2個を両端側に配置し、最後に図3
5(f)の部品4を横から差し込んで固定することにより、図35(a)の第1完成品を
作製した。
同様に、図35(c)の部品1の1個と図35(d)の部品2の2個とを交互に配置し
、さらに図35(e)の部品3の2個を両端側に配置し、最後に図35(f)の部品4を
横から差し込んで固定することにより、図35(b)の第2完成品を作製した。
伝動ベルト(B) は、上記の第1完成品と第2完成品とを交互に組み合わせるようにして
拘束手段(2) の一例であるピンを用いて連結することにより作製することができる。
(ピンを使用しない伝動ベルト(B) の例)
図36は、拘束手段(2) 兼用の旋回子(1) の連接体からなる伝動ベルト(B) の一例を示
した説明図であり、斜視図で示してある。
図37は、拘束手段(2) 兼用の旋回子(1) の作製に用いるシート状の部品1の例を示し
た説明図である。
図38は、図37のシート状の部品1と芯体の役割を果たす部品2とから完成品である
旋回子(1) を作製する方法の例を示した説明図である。
図37(a)のスリット付の長尺シート状の部品1を折り曲げ線に沿って次々に折り曲
げると共に立体状に変形させることにより空間を作り、ついでその空間に、別途準備して
おいた芯体の役割を果たす板状の部品2を図38(a)のように挟み込んでいくことによ
り連接体を作製し、最後にその連接体の両端を接合して、図36に示した拘束手段(2) 兼
用の旋回子(1) からなる伝動ベルト(B) を作製した。この伝動ベルト(B) にあっては、ピ
ンは使用していない。
上述のようなピンを使用しない伝動ベルト(B) は、
・図37(b)のシート状の部品1と芯体の役割を果たす板状の部品2とを用いて、図
38(b)の組み立て方法に従って、あるいは、
・図37(c)の1組のシート状の部品1と芯体の役割を果たす板状の部品2とを用い
て、図38(c)または図38(d)の組み立て方法に従って、
作製することもできる。なお、図38(d)の組み立て方法は、図37(c)を用いて拘
束部(S) が図38(c)とは逆になるように配列させたものである。
(複数のピースで作製した旋回子(1) の例)
図39は、複数のピースで作製した旋回子(1) の例を示した説明図である。
この実施例22においては、旋回子(1) の作製のために、両端側の部品1とその両端側
の部品1,1間に配置される部品2との2種類の部品を用いている。
伝動ベルト(B) は、拘束手段(2) としてピン(2c)を用いることにより作製される。部品
1は、組み立て後の旋回子(1) の両端側に位置してプーリー(P) のV形溝と接触する。部
品1のベルト周長方向の長さは、部品2の周長方向の長さの1/2になっている。なお、
部品2は、周長方向で同列となる部品の前後で接触させているので、その接触によりアー
クが形成されるように外周側の周長方向の長さが内周側のそれに比して長くなっている。
部品2においては、アーク形成ののための接触はさせていない。
(1本足タイプの旋回子(1) の例)
図40は、1本足タイプの旋回子(1) の例を示した説明図であり、斜視図で示してある

この実施例23においては、拘束手段(2) としてチェーン機構を利用したものを用いる
ことにより、伝動ベルト(B) を作製できるようにしてある。
なお、先に述べた実施例2においては、図40の1本足タイプの旋回子(1) を用いて伝
動ベルト(2) を作製している。
(2本足タイプの旋回子(1) の例)
図41は、2本足タイプの旋回子(1) の例を示した説明図であり、斜視図で示してある

この実施例24においては、拘束手段(2) としてチェーン機構を利用したものを用いる
ことにより、伝動ベルト(B) を作製できるようにしてある。
(1本足タイプの旋回子(1) +リング状の拘束手段(2) の例)
図42は、1本足タイプの旋回子(1) を用いて伝動ベルト(B) を作製する様子を示した
説明図である。
旋回子(1) として図42(a)に示したものを用い、かつ拘束手段(2) として四角形の
リングを用いて組み立てることにより、図42(b)に示した伝動ベルト(B) を作製する
ことができる。
(2本足タイプの旋回子(1) +フープ状の拘束手段(2) の例)
図43は、2本足タイプの旋回子(1) を用いて伝動ベルト(B) を作製する様子を示した
説明図である。
旋回子(1) として図43(a)に示したものを用い、かつ拘束手段(2) として重層フー
プを用いて組み立てることにより、図43(b)に示した伝動ベルト(B) を作製すること
ができる。
また、旋回子(1) として図43(a)に示したものを用い、かつ拘束手段(2) として時
計の金属バンド様のフープを用いて組み立てることにより、図43(c)に示した伝動ベ
ルト(B) を作製することができる。
(引っ掛けタイプの例)
図44は、旋回子(1) の一例を示した説明図であり、斜視図で示してある。
伝動ベルト(B) は、図44の旋回子(1) を、図示せざる拘束手段(2) としてフープを用
いることにより作製することができる。
(バンドタイプの例)
図45は、旋回子(1) の一例を示した説明図であり、斜視図で示してある。
伝動ベルト(B) は、図45の旋回子(1) を、図示せざる拘束手段(2) としてフープを用
いることにより作製することができる。
(参考例1)
図46は、手軽に入手できる市販の蝶番を利用して本発明のヒンジ型の旋回子(1) を作
製するための手順を示す説明図であり、正面図および側面図で示してある。
この図46において、(i) は市販されているヒンジ(蝶番)を示し、(ii)はそのヒンジ
のピンの頭を削った後の状態を示し、(iii) はピンを抜いた左右の部品のサイド部分とピ
ン挿入部分とを削った後に、背中合わせにすることを示し、(iv)は背中合わせした部分を
固着して旋回子(1) が完成した状態を示している。
図47は、伝動ベルト(B) の一例を示した説明図であり、プーリー(P), (P)に張設した
状態を示してある。
図47の伝動ベルト(B) は、実施例9にかかる図21の旋回子(1) と拘束手段(2) の一
例であるピン(2c)とを用いて作製したものである。
図48は、プーリー間経路(R2)をベルトの外周側に凸のアークに形成した図1のタイプ
のベルトまたは/およびプーリー間経路(R2)をベルトの内周側に凸のアークに形成した図
2のタイプのベルトを用いたときの使い方の例を示した説明図である。ただし、プーリー
(P) は図示を省略してある。
図48(i)は図1のタイプのベルト1本と図2のタイプのベルト1本とを組み合わせ
て用いた場合、図48(ii)は図1のタイプのベルト2本と図2のタイプのベルト1本と
を組み合わせて用いた場合、図48(iii) は図1のタイプのベルト2本を組み合わせて用
いた場合、図48(iv)は図2のタイプのベルト1本をロールと組み合わせて用いた場合
である。
図48の使い方は、紙、織布、プラスチックスシート、金属シートをはじめとするの任
意のシート材料に対して任意の加工を施すときに採用することができる。
(旋回子(1) の他の例)
図49は、旋回子(1) の他の例を示した説明図であり、側面図の部分図で示してある。
図中の1点鎖線は、それより下側が図示を省略していることを示す。
図49(a),(b),(c)は、2種の形状の旋回子(1) を交互に用いた場合である
。図49(d),(e)は、側面視で屈曲または湾曲した形状の旋回子(1) を用いた場合
である。
(拘束手段(2) の他の例)
図50は、拘束手段(2) の他の例を示した説明図である。
この拘束手段(2) はチェーン機構を利用したものであるが、拘束補助部(2')を設けて、
その拘束補助部(2')で旋回子(1) を拘束することができるようにしてある。この態様は、
拘束手段(2) の1単位に2つの旋回子(1) を設けることができるので、旋回子(1) として
厚みの薄いものを用いることができるという特徴がある。
図1は、伝動ベルト(B) が描く経路の形の模式的な説明図である。 図2は、伝動ベルト(B) が描く経路の他の形の模式的な説明図である。 図3は、V形溝を有するプーリー(P) の一例を示した説明図である。 図4は、第2アーク(A2)により発揮される押し力の伝達と向きについて説明を行うためのモデルである。 図5は、第2アーク(A2)の模式図である。 図6は、圧縮集合体(1n)を構成する旋回子(1) に働く力を示した模式図である。 図7は、接触部(c) と拘束部(S) との位置関係を示した模式図である。 図8は、本発明の伝動ベルト(B) の一例を示した側面図であり、プーリー(P), (P)に張設した状態を示してある。 図9は、図8の伝動ベルト(B) の構成部材である旋回子(1) の一例を示した説明図である。 図10は、図8の伝動ベルト(B) の構成部材である拘束手段(2) の一例を示した説明図である。 図11は、本発明の伝動ベルト(B) の一例を示した側面図であり、プーリー(P), (P)に張設した状態を示してある。 図12は、図11の伝動ベルト(B) の構成部材である旋回子(1) の一例を示した説明図である。 図13は、図11の伝動ベルト(B) の構成部材である拘束手段(2) の一例を示した説明図である。 図14は、本発明の伝動ベルト(B) の一例を示した側面図であり、プーリー(P), (P)に張設した状態を示してある。 図15は、図14の伝動ベルト(B) の構成部材である旋回子(1) の一例を示した説明図である。 図16は、旋回子(1) の一例を示した説明図である。 図17は、旋回子(1) の一例を示した説明図である。 図18は、旋回子(1) の一例を示した説明図である。 図19は、旋回子(1) および拘束手段(2) の一例を示した説明図である。 図20は、旋回子(1) の一例を示した説明図である。 図21は、旋回子(1) の一例を示した説明図である。 図22は、図21の旋回子(1) の作製工程の一例を示した説明図である。 図23は、図21の旋回子(1) に準じた作製工程の他の一例を示した説明図である。 図24は、図21の旋回子(1) の作製工程のさらに他の一例を示した説明図である。 図25は、旋回子(1) の一例を示した説明図である。 図26は、旋回子(1) の一例を示した説明図である。 図27は、旋回子(1) の一例を示した説明図である。 図28は、旋回子(1) の一例を示した説明図である。 図29は、旋回子(1) の一例を示した説明図であり、部品1、2のそれぞれの斜視図、および部品1と部品2とを組み合わせた後の完成品の斜視図を示してある。 図30は、旋回子(1) の一例を示した説明図であり、部品1、2、3のそれぞれの斜視図、および部品1、部品2、部品3を組み合わせた後の完成品の斜視図を示してある。 図31は、旋回子(1) の一例を示した説明図であり、部品1、2、3、4のそれぞれの斜視図、および部品1、部品2、部品3、部品4を組み合わせた後の第1および第2完成品の斜視図を示してある。 図32は、旋回子(1) の一例を示した説明図であり、部品1、2、3、4のそれぞれの斜視図、および部品1、部品2、部品3、部品4を組み合わせた後の第1および第2完成品の斜視図を示してある。 図33は、旋回子(1) の一例を示した説明図であり、部品1、2、3、4のそれぞれの斜視図、および部品1、部品2、部品3、部品4を組み合わせた後の第1および第2完成品の斜視図を示してある。 図34は、旋回子(1) の一例を示した説明図であり、部品1、2、3、4のそれぞれの斜視図、および部品1、部品2、部品3、部品4を組み合わせた後の第1および第2完成品の斜視図を示してある。 図35は、旋回子(1) の一例を示した説明図であり、部品1、2、3、4のそれぞれの斜視図、および部品1、部品2、部品3、部品4を組み合わせた後の第1および第2完成品の斜視図を示してある。 図36は、拘束手段(2) 兼用の旋回子(1) の連接体からなる伝動ベルト(B) の一例を示した説明図であり、斜視図で示してある。 図37は、拘束手段(2) 兼用の旋回子(1) の作製に用いるシート状の部品1の例を示した説明図である。 図38は、図37のシート状の部品1と芯体の役割を果たす部品2とから完成品である旋回子(1) を作製する方法の例を示した説明図である。 図39は、複数のピースで作製した旋回子(1) の例を示した説明図である。 図40は、1本足タイプの旋回子(1) の例を示した説明図であり、斜視図で示してある。 図41は、2本足タイプの旋回子(1) の例を示した説明図であり、斜視図で示してある。 図42は、1本足タイプの旋回子(1) を用いて伝動ベルト(B) を作製する様子を示した説明図である。 図43は、2本足タイプの旋回子(1) を用いて伝動ベルト(B) を作製する様子を示した説明図である。 図44は、旋回子(1) の一例を示した説明図であり、斜視図で示してある。 図45は、旋回子(1) の一例を示した説明図であり、斜視図で示してある。 図46は、市販の蝶番を利用して本発明のヒンジ型旋回子(1) を作製するための手順を示す説明図であり、正面図および側面図で示してある。 図47は、伝動ベルト(B) の一例を示した側面図であり、プーリー(P), (P)に張設した状態を示してある。 図48は、図1のタイプのベルトまたは/および図2のタイプのベルトを用いたときの使い方の例を示した説明図である。 図49は、旋回子(1) の他の例を示した説明図であり、側面図の部分図で示してある。 図50は、拘束手段(2) の他の例を示した説明図である。
符号の説明
(1) …旋回子、
(1a)…サイド部、(1b)…背腹部、(1c)…貫通孔、(1d)…貫通孔、(1e)…針金、
(2) …拘束手段、
(2a)…外プレート、(2b)…内プレート、(2c)…ピン、(2d)…貫通孔、
(2')…拘束補助部、
(P) …プーリー、
(Pfs) …固定シーブ、(Pms) …可動シーブ、
(B) …伝動ベルト、
(S) …拘束部、
(C) …接触部、
(R1)…プーリー転回経路、
(R2)…プーリー間経路、
(A1)…第1アーク、
(A2)…第2アーク、
(O11), (O12)…第1アーク(A1)の中心点、
(O2)…第2アーク(A2)の中心点、
(tr)…第1アーク(A1)と第2のアーク(A2)との間の移行点

Claims (7)

  1. 複数のプーリー(P) ‥とそのプーリー(P) ‥間に張設する閉ループ状の伝動ベルト(B)
    とからなり、前記伝動ベルト(B) が、各プーリー(P) を転回するプーリー転回経路(R1)と
    プーリー(P) ‥間に架かるプーリー間経路(R2)とを閉ループ状に走行する伝動装置におい
    て、
    (X)前記プーリー転回経路(R1)は、各プーリー(P) の中心を中心点とする第1アーク
    (A1)に形成してあり、
    (Y)前記プーリー間経路(R2)は、隣接するプーリー(P), (P)間に架かる第2アーク(A
    2)に形成してあり、
    もって、前記伝動ベルト(B) の走行する全経路がアークに形成されていること、
    を特徴とする伝動装置。
  2. 前記伝動ベルト(B) は、多数個の旋回子(1) ‥が拘束手段(2) により拘束部(S) におい
    て拘束されて閉ループ状に配列された配列体からなること、
    前記伝動ベルト(B) を前記プーリー(P) ‥間に張設した状態において、
    (x)前記プーリー転回経路(R1)は、拘束部(S) において拘束されている旋回子(1) ‥
    が展開(unfold)することにより、各プーリー(P) の中心を中心点とする第1アーク(A1)
    に形成してあり、
    (y)前記プーリー間経路(R2)は、拘束部(S) において拘束されている旋回子(1) ‥が
    互いに接触するように重なって(foldして)、ベルトの外周側または内周側に凸のアーク
    となる圧接集合体(1n)構造が自律的に形成されることにより、隣接するプーリー(P), (P)
    間に架かる第2アーク(A2)に形成してあること、
    を特徴とする請求項1記載の伝動装置。
  3. 前記プーリー(P) ‥がV形溝を有するものであり、
    前記伝動ベルト(B) が前記プーリー(P) のV形溝に嵌まり込む大きさおよび形状を有す
    るものであり、かつ、
    前記プーリー(P) ‥および前記伝動ベルト(B) からなる伝動装置が無段変速機であるこ
    と、
    を特徴とする請求項1または2記載の伝動装置。
  4. 複数のプーリー(P) ‥間に張設することにより、各プーリー(P) を転回するプーリー転
    回経路(R1)とプーリー(P) ‥間に架かるプーリー間経路(R2)とを走行させるための閉ルー
    プ状の伝動ベルト(B) であって、
    前記伝動ベルト(B) は、多数個の旋回子(1) ‥が拘束手段(2) により拘束部(S) におい
    て拘束されて閉ループ状に配列された配列体からなること、および、
    拘束部(S) において拘束された個々の旋回子(1) は、
    (M)その拘束部(S) 回りに揺動可能に構成されていると共に、
    (N)旋回子(1) ‥同士がそれらの背腹部(1b), (1b)が対向するように圧接したときに
    、ベルトの外周側または内周側に凸のアークとなる圧接集合体(1n)構造が自律的に形成さ
    れる形状または構造を有しており、
    もって、前記伝動ベルト(B) は、これをプーリー(P) ‥間に張設した状態において、
    (x)プーリー転回経路(R1)は、拘束部(S) において拘束されている旋回子(1) ‥が展
    開(unfold)することにより、各プーリー(P) の中心を中心点とする第1アーク(A1)に形
    成してあり、
    (y)プーリー間経路(R2)は、拘束部(S) において拘束されている旋回子(1) ‥が互い
    に接触するように重なって(foldして)、ベルトの外周側または内周側に凸のアークとな
    る圧接集合体(1n)構造が自律的に形成されることにより、隣接するプーリー(P), (P)間に
    架かる第2アーク(A2)に形成してあること、
    を特徴とする伝動ベルト。
  5. 伝動ベルト(B) に組み立てられた旋回子(1) において、該旋回子(1) の両サイド部(1a)
    , (1a)におけるプーリー(P) のV形溝との接触部(C) がベルトの外周側に位置し、該旋回
    子(1) を拘束している拘束部(S) がベルトの内周側に位置するようにされていること、を
    特徴とする請求項4記載の伝動ベルト。
  6. 旋回子(1) が拘束部(S) 回りに揺動可能にされていること、および、それにより伝動ベ
    ルト(B) をプーリー(P) ‥間に張設した状態において、
    ・プーリー転回経路(R1)においては、拘束部(S) において拘束されている旋回子(1) ‥
    が展開(unfold)することにより、各プーリー(P) の中心でもある第1アーク(A1)の中心
    点(O1)から見て放射状の正姿勢を保ちつつ走行し、かつ、
    ・プーリー間経路(R2)においては、拘束部(S) において拘束されている旋回子(1) ‥が
    互いに接触するように重なって(foldして)圧接した状態で、第2アーク(A2)の中心点(O
    2)から見て放射状の正姿勢を保ちつつ走行するようにしてあること、
    を特徴とする請求項5記載の伝動ベルト。
  7. 前記プーリー(P) ‥がV形溝を有するものであり、
    前記伝動ベルト(B) が前記プーリー(P) のV形溝に嵌まり込む大きさおよび形状を有す
    るものであり、かつ、
    前記伝動ベルト(B) が無段変速機用の伝動ベルトであること、
    を特徴とする請求項4、5または6記載の伝動ベルト。
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