JP2009286908A - プロトン伝導性膜及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高プロトン伝導性を有し、燃料遮断性及び耐久性にも優れるプロトン伝導性膜の提供。
【解決手段】ケイ素−酸素結合を有する架橋性化合物(A’)、ケイ素−酸素−ケイ素結合を形成し得る基及び重合性不飽和二重結合を有するシラン化合物(α)、酸基及び重合性不飽和二重結合を有する酸基含有化合物(β)及び重合開始剤を混合して、重合性組成物を調製する第一工程と、該重合性組成物を成膜する第二工程と、成膜した重合性組成物を重合させる第三工程とを有し、前記構造体(A’)が、下記一般式(1’)で表され、前記重合開始剤として、10時間半減期温度が異なる複数種類の重合開始剤を使用することを特徴とするプロトン伝導性膜の製造方法。
〔化1〕
Figure 2009286908

【選択図】なし

Description

本発明は、燃料電池への使用に好適で、燃料遮断性、高耐久性、高プロトン伝導性を有するプロトン伝導性膜及びその製造方法に関する。
従来の火力発電では、石油や天然ガスなどの化石燃料が有する化学エネルギーを熱エネルギーに変換し、この熱エネルギーでタービンを動かすことで熱エネルギーを運動エネルギーに変換して、さらに運動エネルギーを電気エネルギーに変換している。これに対し燃料電池は、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換できるために、火力発電よりも発電効率が高く且つ環境特性に優れている。そこで、近年の地球環境保護への取り組みが活発化する中、燃料電池は大きな脚光を浴びている。また近年では、小型移動機器や携帯機器の電源としても注目されており、例えば、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池などの二次電池に代わり、携帯電話やパーソナルコンピュータなどへの搭載が期待されている。
一般的に燃料電池は、その電解質の種類によりいくつかのタイプに分類されるが、なかでも固体高分子形燃料電池(以下、「PEFC」と略記する)は、他のいずれのタイプと比べても小型かつ高出力であり、小規模オンサイト型、例えば、車輌のパワーソース等、移動体機器用又は携帯機器用等の電源として、次世代の主力になると考えられている。
PEFCでは、水素ガスを燃料とする従来のものに加えて、アルコールやジメチルエーテル等を燃料とし、これらを水素に改質することなく直接供給する直接型燃料電池、特に室温付近での出力が高い直接メタノール型燃料電池(以下、「DMFC」と略記する)が注目されている。DMFCは従来のPEFCに比べて出力が低いものの、燃料が液体で改質器が不要であるため、エネルギー密度が高く、一充填あたりの搭載機器の使用時間が長くなるという利点がある。
DMFC等、PEFCの電解質膜には、高プロトン伝導性と燃料遮断性が要求される。電解質膜中の燃料透過は、燃料クロスオーバーと呼ばれ、電池出力及びエネルギー効率が低下するという問題を引き起こす。
従来、固体高分子型燃料電池の電解質膜においては、例えば、スルホン酸基含有フッ素系高分子であるナフィオン(Nafion、デュポン社)(登録商標)が用いられてきた。しかし、ナフィオンは、電解質膜中のスルホン酸基がクラスター構造を形成するために、メタノールなどの燃料クロスオーバーが大きいという問題点があった。そこで、ナフィオン同等の高プロトン伝導性を有し、且つ燃料クロスオーバーが抑制された電解質膜の実用化が市場から望まれていた。
一方、燃料用電池用電解質膜としては、フッ素系高分子以外にも、炭化水素系、無機系等、様々な種類の材質からなるものも盛んに開発されている。その中で、有機ケイ素化合物は、強い結合エネルギーを有するケイ素−酸素結合からなる架橋構造を有するため、プロトン伝導性膜のような強い酸性(プロトン存在)条件下で、高温高湿状態にさらされた場合でも比較的安定であり、電解質膜内部の架橋構造体として好適に使用できる(例えば、特許文献1参照)。
特許第3679104号公報
しかしながら、膜中に含まれるケイ素−炭素結合は、その周囲への分子間力が、ケイ素−酸素結合よりも若干弱く、温度変化等の環境変化に対して耐衝撃性が低い。そのため、例えば、高温低温下における高プロトン伝導性が要求される燃料電池用電解質膜として有機ケイ素化合物を用いた場合、温度変動に伴い、プロトン伝導性や燃料遮断性が低下することがあるという問題点があった。
これらの問題を解決するために、例えば、ケイ素−酸素結合を有する架橋性化合物(A)と、シラン化合物と共有結合し、且つ酸基を有する酸基含有構造体(B)とがケイ素−酸素結合によって連結されたプロトン伝導性膜が考えられる。しかし、このようなプロトン伝導性膜は、その製造過程において、原料同士の重合反応の反応度が低いと、原料が溶液、特にメタノール水溶液等の極性溶媒中に溶け出し、その結果、燃料遮断性が低下する可能性があるという問題点があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、高プロトン伝導性を有し、燃料遮断性及び耐久性にも優れるプロトン伝導性膜を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、
請求項1にかかる発明は、ケイ素−酸素結合を有する架橋性化合物(A’)、ケイ素−酸素−ケイ素結合を形成し得る基及び重合性不飽和二重結合を有するシラン化合物(α)、酸基及び重合性不飽和二重結合を有する酸基含有化合物(β)及び重合開始剤を混合して、重合性組成物を調製する第一工程と、該重合性組成物を成膜する第二工程と、成膜した重合性組成物を重合させる第三工程とを有するプロトン伝導性膜の製造方法であって、前記ケイ素−酸素結合を有する架橋性化合物(A’)が、下記一般式(1’)で表され、前記重合開始剤として、10時間半減期温度が異なる複数種類の重合開始剤を使用することを特徴とするプロトン伝導性膜の製造方法である。
Figure 2009286908
(式中、Rは炭素数1〜50の二価の炭化水素基又は酸素原子であり;R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、水酸基又は式「−O−Si−」で表される基であり、少なくとも一つはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基又は水酸基であり;R〜Rが複数である場合には、複数のR〜Rはぞれぞれ同一でも異なっていても良く;mは0以上の整数である。)
請求項2にかかる発明は、前記第三工程における前記シラン化合物(α)及び前記酸基含有化合物(β)の重合温度の範囲内に10時間半減期温度がある前記重合開始剤を複数種類使用し、これら重合開始剤の10時間半減期温度の差が最大で16℃以上であることを特徴とする請求項1に記載のプロトン伝導性膜の製造方法である。
請求項3にかかる発明は、前記第三工程において、前記重合開始剤の10時間半減期温度のうち、最も低い温度以下の温度で反応を開始し、且つ最も高い温度以上の温度まで昇温して反応を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のプロトン伝導性膜の製造方法である。
請求項4にかかる発明は、さらに、前記シラン化合物(α)又は前記酸基含有化合物(β)と結合可能な官能基を1分子中に2つ以上有する架橋剤(C)を添加して前記第一工程を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のプロトン伝導性膜の製造方法である。
請求項5にかかる発明は、前記R、R、R、R、R及びRが、それぞれ独立にメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基又は水酸基であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のプロトン伝導性膜の製造方法である。
請求項6にかかる発明は、前記R、R、R、R、R及びRが、それぞれ独立にメトキシ基又は水酸基であることを特徴とする請求項5に記載のプロトン伝導性膜の製造方法である。
請求項7にかかる発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法で製造されたことを特徴とするプロトン伝導性膜である。
請求項8にかかる発明は、ケイ素−酸素結合を有する架橋性化合物(A)と、シラン化合物と共有結合し、且つ酸基を有する酸基含有構造体(B)とが、ケイ素−酸素−ケイ素結合によって連結されてなるプロトン伝導性膜であって、ゲル分率が96%以上であり、前記ケイ素−酸素結合を有する架橋性化合物(A)が、下記一般式(1)で表され、前記酸基含有構造体(B)が、ケイ素−酸素−ケイ素結合を形成し得る基及び重合性不飽和二重結合を有するシラン化合物(α)と、酸基及び重合性不飽和二重結合を有する酸基含有化合物(β)とが共有結合してなる構造体を含むことを特徴とするプロトン伝導性膜である。
Figure 2009286908
(式中、Rは炭素数1〜50の二価の炭化水素基又は酸素原子であり;R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、水酸基又は式「−O−Si−」で表される基であり、少なくとも一つはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基又は水酸基であり;R〜Rが複数である場合には、複数のR〜Rはぞれぞれ同一でも異なっていても良く;mは1以上の整数である。)
本発明によれば、高プロトン伝導性を有し、燃料遮断性及び耐久性にも優れるプロトン伝導性膜が得られる。
以下、本発明について詳しく説明する。
なお、以下の説明において、例えば、「架橋性化合物(A)とシラン化合物(α)との反応」は、便宜上「架橋性化合物(A)と、酸基含有構造体(B)中のシラン化合物(α)由来の部位との反応」も含むものとする。
同様に、「シラン化合物(α)と酸基含有化合物(β)との重合反応」は、便宜上「シラン化合物(α)に由来する重合体と、酸基含有化合物(β)との重合反応」及び「シラン化合物(α)と、酸基含有化合物(β)に由来する重合体との重合反応」も含むものとする。
同様に、「シラン化合物(α)と架橋剤(C)との結合」は、便宜上「シラン化合物(α)に由来する重合体と架橋剤(C)との結合」も含むものとする。「酸基含有化合物(β)と架橋剤(C)との結合」についても同様である。
<プロトン伝導性膜>
本発明のプロトン伝導性膜は、ケイ素−酸素結合を有する架橋性化合物(A)(以下、「架橋性化合物(A)」と略記することがある)と、シラン化合物と共有結合し、且つ酸基を有する酸基含有構造体(B)(以下、「酸基含有構造体(B)」と略記することがある)とが、ケイ素−酸素−ケイ素結合によって連結されてなり、ゲル分率が96%以上であり、前記架橋性化合物(A)が、下記一般式(1)で表され、前記酸基含有構造体(B)が、ケイ素−酸素−ケイ素結合を形成し得る基及び重合性不飽和二重結合を有するシラン化合物(α)(以下、「シラン化合物(α)」と略記することがある)と、酸基及び重合性不飽和二重結合を有する酸基含有化合物(β)(以下、「酸基含有化合物(β)」と略記することがある)とが共有結合してなる構造体を含むことを特徴とする。
Figure 2009286908
(式中、Rは炭素数1〜50の二価の炭化水素基又は酸素原子であり;R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、水酸基又は式「−O−Si−」で表される基であり、少なくとも一つはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基又は水酸基であり;R〜Rが複数である場合には、複数のR〜Rはぞれぞれ同一でも異なっていても良く;mは1以上の整数である。)
[架橋性化合物(A)]
架橋性化合物(A)は、本発明のプロトン伝導性膜において、架橋基本構造体となるものであり、前記一般式(1)で表される。
一般式(1)中、Rは炭素数1〜50の二価の炭化水素基又は酸素原子である。
の二価の炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでも良く、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基のいずれでも良い。
前記脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基及び不飽和脂肪族炭化水素基のいずれでも良いが、飽和脂肪族炭化水素基であることが好ましく、直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族炭化水素基であることがより好ましく、直鎖状の飽和脂肪族炭化水素基であることが特に好ましい。
該脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましい。
該脂肪族炭化水素基の特に好ましいものとしては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基が例示できる。
前記芳香族炭化水素基は、単環式及び多環式のいずれでも良いが、単環式であることが好ましく、フェニレン基が特に好ましい。
また、Rの二価の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基が結合した2価の基でも良く、このようなものとしては、芳香族炭化水素基の二個の水素原子が2価の脂肪族炭化水素基で置換されたものが好ましい。ここで、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基としては、上記で説明したものの中から、炭素数の総数が50以下となる組み合わせを選択すれば良い。好ましいものとして具体的には、ベンゼンの1位及び4位の水素原子がアルキレン基で置換されたものが例示でき、該アルキレン基としては炭素数1〜5であるものが好ましく、炭素数1〜3であるものがより好ましく、エチレン基が特に好ましい。
一般式(1)中、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、水酸基又は式「−O−Si−」で表される基である。ここで、R〜Rのいずれかが、式「−O−Si−」で表される基である場合には、架橋性化合物(A)が、他の架橋性化合物(A)と結合していることを示す。
そして、R〜Rの少なくとも一つはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基又は水酸基であるので、該水酸基、あるいは該水酸基を除くこれらの基が酸又は塩基触媒存在下で加水分解されて生じた水酸基(シラノール基)が、シラノール基を有する他の分子と縮合反応することが可能となっている。
本発明においては、R〜Rがそれぞれ独立にメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基又は水酸基であることが好ましく、R〜Rがそれぞれ独立にメトキシ基又は水酸基であることがより好ましい。
〜Rが複数である場合には、複数のR〜Rはぞれぞれ同一でも異なっていても良い。例えば、一般式(1)において、mが2以上の整数である場合には、架橋性化合物(A)は、Rとして炭素数1〜50の二価の炭化水素基と酸素原子とを両方含むものであっても良く、このようなものとして、一般式「−Si−R’−Si−O−(式中、R’は炭素数1〜50の二価の炭化水素基を表す)」で表される繰り返しの基本骨格を有するものが例示できる。同様に、複数のRもそれぞれ同一でも異なっていても良く、複数のRもそれぞれ同一でも異なっていても良い。
一般式(1)中、mは1以上の整数である。
前記一般式(1)で表されるように、架橋性化合物(A)は、無機化合物でも良いし、無機化合物に有機化合物が複合された有機無機複合体でも良い。なかでも、有機無機複合体の場合には、有機化合物及び無機化合物の組み合わせを目的に応じて適宜選択することにより、プロトン伝導性膜の物性を調整できる。例えば、無機化合物が有する耐熱性と有機化合物が有する柔軟性とを兼ね備えたプロトン伝導性膜を形成できる。また、架橋性化合物(A)の架橋度やその他の構造を調整することで、プロトン伝導性膜の重要な特性の一つである燃料遮断性も調整できる。
本発明のプロトン伝導性膜は、電解質の構造が粒子状であって、この粒子状構造が互いに結合した粒子の連続体であることが好ましい。このような粒子の連続体においては、その架橋密度や粒子間結合強度を調整することで、プロトン伝導性膜の強度や可撓性も適宜調整できる。さらに、粒子表面は酸基を有しており、粒子と粒子との間にプロトン伝導経路が形成されていることが好ましい。このような構造をとることにより、電解質の機械的強度が向上し、かつ効率的にプロトンが伝導される。ここで粒子は球形が好ましいが、不定形粒子でもよい。ここで不定形粒子とは、完全な曲面により構成されておらず、一部または全部に角のある箇所を有する粒子のことを指す。粒子の平均粒子径は3〜200nmであることが好ましく、10〜100nmであることがより好ましい。平均粒子径が200nmを超えるとプロトン伝導を担う粒子の表面積が減少し、高い伝導度が得られなくなり、また、粒子の間隙が大きくなりすぎて脆くなる。一方、平均粒子径が3nmよりも小さいと均一層に近くなり、より少ない酸基で効率的なプロトン伝導をさせることができなくなる場合がある。平均粒子径の範囲を前述の好ましい範囲とすることにより、十分な強度を確保しつつ、プロトン伝導経路を十分に確保することができる。粒径は、例えば電界放射形走査電子顕微鏡(FE−SEM)等の電子顕微鏡写真から直接求めることも出来るが、小角X線散乱などの手段によって求めることも出来る。また、粒径の分布については、均一な粒径の粒子の連続体であってもよく、不均一な粒径の粒子の連続体であってもよい。ここで、粒子の粒径分布が均一であると、粒径にもよるが、幾何学的に間隙が出来やすく、高いイオン伝導度を発揮できる可能性がある。一方、粒径分布に幅があると、密なパッキングが可能であり、燃料遮断性の向上や膜の強度向上に寄与する。従って使用状況に応じて粒径分布を選ぶようにするのが好ましい。粒径制御は、用いる原料の構造、分子量、溶媒の種類・濃度、反応温度などの条件の調整により可能である。
架橋性化合物(A)は、前記条件を満たすものであれば特に限定されないが、好ましいものとして、具体的には、下記化合物からなる群から選択される一種以上をモノマーとし、該モノマーが重合してなる重合体が例示できる。
1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、1,9−ビス(トリエトキシシリル)ノナン、1,8−ビス(トリエトキシシリル)オクタン等のビス(アルコキシシリル)アルカン;
1,8−ビス(ジエトキシメチルシリル)オクタン、1,8−ビス(エチルジメトキシシリル)オクタン等のビス(アルキルアルコキシシリル)アルカン;
1,4−ビス(トリメトキシシリルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリルエチル)ベンゼン等のビス(トリアルコキシシリルアルキル)ベンゼン;
テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン等のアルコキシシラン;
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、ジメチルジ−n−ブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリイソプロポキシシラン、n−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリイソプロポキシシラン、イソプロピルトリ−n−ブトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリイソプロポキシシラン、n−ブチルトリ−n−ブトキシシラン等のアルキルアルコキシシラン;
フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリ−n−ブトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジイソプロポキシシラン、フェニルメチルジ−n−ブトキシシラン等のアリールアルコキシシラン;
上記化合物の中でも、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランは汎用品であり、安価で大量且つ容易に入手可能であることから、これらの一種以上が重合してなる重合体を架橋性化合物(A)として使用するのが好適である。
ケイ素−酸素結合を有する架橋性化合物(A)は、一種を単独で使用しても良いし、二種以上を併用しても良い。二種以上を併用する場合には、その組み合わせ及び比率は目的に応じて適宜選択すれば良い。
[酸基含有構造体(B)]
酸基含有構造体(B)は、シラン化合物(α)と酸基含有化合物(β)とが共有結合してなる構造体を含む。
(シラン化合物(α))
シラン化合物(α)は、ケイ素−酸素−ケイ素結合を形成し得る基及び重合性不飽和二重結合を有するものであれば良い。なかでも好ましいものとして、下記一般式(2)で表される化合物が例示できる。
Figure 2009286908
(式中、Rは置換基を有していても良い二価の炭化水素基、該炭化水素基とオキシカルボニル基(−O−C(=O)−)とが結合した二価の基又はヘテロ原子であり;R、R10、R11はそれぞれ独立に置換基を有していても良い炭化水素基、該炭化水素基がヘテロ原子に結合した基、水酸基、水素原子、ヘテロ原子又はハロゲン原子であり、少なくとも一つはケイ素−酸素−ケイ素結合を形成し得る基であり;Rは水素原子又はメチル基であり;nは1以上の整数であり、nは0又は1であり、ただしnが0である場合、nは1である。)
一般式(2)中、Rは置換基を有していても良い二価の炭化水素基、該炭化水素基とオキシカルボニル基(−O−C(=O)−)とが結合した二価の基又はヘテロ原子である。
の二価の炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでも良く、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基のいずれでも良く、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基が結合した2価の基でも良い。
前記脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基及び不飽和脂肪族炭化水素基のいずれでも良いが、飽和脂肪族炭化水素基であることが好ましく、直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族炭化水素基であることがより好ましく、直鎖状の飽和脂肪族炭化水素基であることが特に好ましい。
該脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜5であることがより好ましい。
該脂肪族炭化水素基の特に好ましいものとしては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基が例示できる。
前記芳香族炭化水素基は、単環式及び多環式のいずれでも良いが、単環式であることが好ましく、フェニレン基が特に好ましい。
の前記炭化水素基とオキシカルボニル基(−O−C(=O)−)とが結合した二価の基とは、エステル結合を有する二価の基であり、前記炭化水素基の末端の炭素原子と、オキシカルボニル基(−O−C(=O)−)の酸素原子(−O−)とが結合した基である。
のヘテロ原子は、酸素原子又は硫黄原子であることが好ましい。
が有していても良い置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子が例示できる。
置換基としてのアルキル基又はアルコキシ基は、炭素数1〜3であることが好ましい。
置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が例示できる。
置換基の数は特に限定されないが、0又は1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
、R10、R11はそれぞれ独立に置換基を有していても良い炭化水素基、該炭化水素基がヘテロ原子に結合した基、水酸基、水素原子、ヘテロ原子又はハロゲン原子である。
〜R11の炭化水素基としては、前記Rの二価の炭化水素基に水素原子が結合した一価の炭化水素基が例示できる。なかでも、脂肪族炭化水素基であることが好ましく、飽和脂肪族炭化水素基であることがより好ましく、直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族炭化水素基であることが特に好ましい。
該脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜5であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基が例示できる。
〜R11のヘテロ原子としては、酸素原子又は硫黄原子が例示でき、酸素原子が特に好ましい。
〜R11の前記炭化水素基がヘテロ原子に結合した基におけるヘテロ原子は、前記と同様であり、なかでも、R〜R11の前記炭化水素基が酸素原子に結合した基が好ましく、直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基であることが特に好ましい。
〜R11のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が例示できる。
〜R11の少なくとも一つは、ケイ素−酸素−ケイ素結合を形成し得る基であり、好ましいものとしてアルコキシ基、水酸基が例示できる。アルコキシシリル基は、加水分解反応後にシラノール基等と縮合させることで、分子間でケイ素−酸素−ケイ素結合を形成する。
は水素原子又はメチル基である。
は1以上の整数であり、1〜5であることが好ましく、1〜3であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
は0又は1であり、ただしnが0である場合、nは1である。
好ましいシラン化合物(α)として具体的には、3−(トリメトキシシリル)プロピルアクリレート、3−(メチルジメトキシシリル)プロピルアクリレート、3−(トリエトキシシリル)プロピルアクリレート、3−(メチルジエトキシシリル)プロピルアクリレート、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリルレート、3−(メチルジメトキシシリル)プロピルメタクリルレート、3−(トリエトキシシリル)プロピルメタクリルレート、3−(メチルジエトキシシリル)プロピルメタクリルレート、p−スチリルトリメトキシシラン、p−スチリルトリエトキシシラン等が例示できる。
これらの中でもシラン化合物(α)としては、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、トリメトキシビニルシランが特に好ましい。
シラン化合物(α)は、一種を単独で使用しても良いし、二種以上を併用しても良い。二種以上を併用する場合には、その組み合わせ及び比率は目的に応じて適宜選択すれば良い。
(酸基含有化合物(β))
酸基含有化合物(β)は、酸基及び重合性不飽和二重結合を有するものであれば良い。
酸基としては、水中での酸解離定数で定義される該酸基含有化合物(β)のpKaを5以下とするものが好ましく、スルホ基(−SOH)、カルボキシ基、リン酸基等が例示でき、スルホ基が特に好ましい。
酸基含有化合物(β)としては、好ましいものとして、例えば、プロトン付加が可能なヘテロ原子を3つ以上有し、且つメチレン基が2つ以上連結した直鎖構造を含む(メタ)アクリレートが例示できる。ここでプロトン付加が可能なヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子が例示でき、スルホ基等、前記酸基を構成する原子団中の原子であっても良い。
酸基含有化合物(β)としては、好ましいものとして、下記一般式(3)〜(5)で表される化合物が例示できる。
Figure 2009286908
(式中、R12は置換基を有していても良い炭素数10以下のアルキレン基、アリーレン基又はカルボニルオキシアルキレン基であり;R13は置換基を有していても良い炭素数10以下のアルキル基、アリール基、カルボニルオキシアルキル基又はアミノカルボニル基であり;Xは酸基である。)
式中、R12は置換基を有していても良い炭素数10以下のアルキレン基、アリーレン基又はオキシカルボニルアルキレン基である。
12のアルキレン基は、直鎖状及び分岐鎖状のいずれでも良く、炭素数2〜8であることが好ましく、炭素数2〜5であることが好ましい。
12のアリーレン基は、フェニレン基が好ましい。
12のカルボニルオキシアルキレン基におけるアルキレン基は、炭素数2〜6であることが好ましく、炭素数2〜4であることがより好ましく、直鎖状であることが好ましい。なお、該カルボニルオキシアルキレン基のカルボニル基を構成する炭素原子は、上記式中の炭素=炭素二重結合を構成する炭素原子に結合するものとする。
12のアルキレン基、アリーレン基又はカルボニルオキシアルキレン基は、置換基を有していても良い。ここで置換基を有するとは、前記アルキレン基、アリーレン基又はカルボニルオキシアルキレン基の炭素原子に結合している水素原子の一部が置換基で置換されていることを示す。
ここで置換基としては、好ましいものとしてアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、スルホ基、カルボキシ基が例示できる。置換基としてのアルキル基及びアルコキシ基は、炭素数1〜3であることが好ましい。置換基としてのハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が例示できる。これらの中でも、置換基としては、アルコキシ基、カルボキシ基、アミノ基又はスルホ基が好ましく、アミノ基又はスルホ基がより好ましい。
式中、R13は置換基を有していても良い炭素数10以下のアルキル基、アリール基、カルボニルオキシアルキル基又はアミノカルボニル基である。
13のアルキレン基は、R12のアルキレン基に水素原子が結合したものが例示できる。
13のアリール基は、R12のアリーレン基に水素原子が結合したものが例示できる。
13のカルボニルオキシアルキル基は、R12のカルボニルオキシアルキレン基に水素原子が結合したものが例示できる。
13のアルキル基、アリール基、カルボニルオキシアルキル基又はアミノカルボニル基は、置換基を有していても良い。ここで置換基を有するとは、前記アルキル基、アリール基又はカルボニルオキシアルキル基の炭素原子に結合している水素原子の一部が置換基で置換されていること、あるいはアミノカルボニル基の窒素原子に結合している水素原子の一部又は全部が置換基で置換されていることを示す。
前記アルキル基、アリール基又はカルボニルオキシアルキル基における置換基としては、R12における置換基と同様のものが例示できる。
前記アミノカルボニル基における置換基としては、好ましいものとして炭素数1〜3のアルキル基が例示できる。
式中、Xは酸基であり、上記の酸基含有化合物(β)における酸基と同じである。
好ましい酸基含有化合物(β)として、具体的には、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタクリロイルオキシ)エチルスルホン酸、3−スルホプロピルメタクリレート、p−スチルスルホン酸、4,4’−ジアミノスチルベンゼン−2,2’−ジスルホン酸、イタコン酸ビス(3−スルホプロピル)等が例示できる。
これらの中でも、酸基含有化合物(β)としては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が特に好ましい。
酸基含有化合物(β)は、一種を単独で使用しても良いし、二種以上を併用しても良い。二種以上を併用する場合には、その組み合わせ及び比率は目的に応じて適宜選択すれば良い。
[架橋剤(C)]
本発明のプロトン伝導性膜は、必要に応じて、前記架橋性化合物(A)及び酸基含有構造体(B)以外に、さらに架橋剤(C)が配合されてなるものでも良い。このように、プロトン伝導性膜を架橋剤(C)で架橋された構造とすることにより、柔軟性が一層向上し且つ強固な架橋構造が得られるため、耐衝撃性及び耐極性溶媒性がより一層向上する。
架橋剤(C)は、酸基含有構造体(B)の原料である前記シラン化合物(α)又は前記酸基含有化合物(β)と結合可能な官能基を1分子中に2つ以上有するものが好ましい。好ましい架橋剤(C)として、具体的には、N,N’−メチレンビス(アクリルアミド)、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,4−ビス(アクリロイルオキシ)ブタン、1,3−ビス(メタクリロイルオキシ)−2−プロパノール、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1−(アクリロイルオキシ)−3−(メタクリロイルオキシ)−2−プロパノール、ジビニルベンゼン、3−(メタクリロイルアミノ)プロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ビニルメタクリレート等の炭化水素系架橋剤が例示できる。
これらの中でも、架橋剤(C)としては、N,N’―メチレンビス(アクリルアミド)、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートが特に好ましい。
また、架橋剤(C)を使用する場合には、2,2,2ートリフルオロエチルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート等のフッ素系モノマーを併用しても良い。
架橋剤(C)は、一種を単独で使用しても良いし、二種以上を併用しても良い。二種以上を併用する場合には、その組み合わせ及び比率は目的に応じて適宜選択すれば良い。
プロトン伝導性膜は、酸基が高濃度に存在し、連続的に酸が存在するプロトン伝導路が形成されていることで、高プロトン伝導性を発現する。
本発明のプロトン伝導性膜は、前記酸基含有構造体(B)を含むことにより、膜中に酸基が高濃度に存在する状態を維持できるとともに、膜中のプロトン濃度を上昇させることが可能となっており、これにより、長時間安定した燃料電池作動が達成可能となっている。
図1に、本発明のプロトン伝導性膜の構造を模式的に例示する。ここに示すように、本発明のプロトン伝導性膜は、架橋基本構造体(骨格)となる架橋性化合物(A)と、前記シラン化合物(α)に前記酸基含有化合物(β)が反応して共有結合を介して結合した酸基含有構造体(B)とが少なくとも結合したものである。
なお、ここに示すプロトン伝導性膜の構造は一例に過ぎず、例えば、シラン化合物(α)同士の重合体や、酸基含有化合物(β)同士の重合体が含まれていても良いし、架橋剤(C)がシラン化合物(α)又は酸基含有化合物(β)と架橋構造を形成していても良く、あるいは架橋剤(C)同士で架橋構造を形成していても良い。
図2(a)は、本発明のプロトン伝導性膜の原料である架橋性化合物(A)、シラン化合物(α)、酸基含有化合物(β)及び架橋剤(C)の構造を模式的に例示する図である。
ここに示す架橋性化合物(A)は、前記一般式(1)で表されるものであり、シラン化合物(α)は、前記一般式(2)で表されるものであり、酸基含有化合物(β)は、前記一般式(5)で表されるものである。
また、架橋剤(C)中のR14は、アルキレン基;該アルキレン基の炭素原子がアミド基、カルボニルオキシ基等の二価の基で置換された基;アリーレン基である。
図2(b)は、図2(a)に示す原料が反応してなるプロトン伝導性膜の構造を模式的に例示する図である。
ただし、ここに示す各原料やプロトン伝導性膜の構造が一例に過ぎないことは言うまでもない。
一般に、ケイ素−酸素架橋構造体は構造が剛直なため、極性の高い部分が多くあると温度変動によるプロトン伝導性及び燃料遮断性の劣化が生じることがある。本発明では、図1に示すように、酸基含有化合物(β)中の酸基(X)が、シラン化合物(α)を介して架橋性化合物(A)に結合することにより、燃料遮断性、強度等の様々な膜特性をより向上させることができる。特に、酸基(X)が、少なくとも4つ以上の炭素−炭素単結合を介して、架橋性化合物(A)中のシロキサン結合を構成するケイ素原子と結合することにより、酸基(X)と前記ケイ素原子との距離が近い場合よりも、極性溶媒の急激な侵入による膜の破壊や特性劣化を効果的に抑制できる。
さらに、酸基含有構造体(B)を、有機部位を多く含むように構成することにより、プロトン伝導性膜に柔軟性が付与され、耐衝撃性が向上する。
本発明においては、シラン化合物(α)及び酸基含有化合物(β)の組み合わせを適宜選択することで、プロトン伝導性膜に所望の柔軟性及び高耐極性溶媒性を付与できる。
<プロトン伝導性膜の製造方法>
本発明のプロトン伝導性膜の製造方法は、ケイ素−酸素結合を有する架橋性化合物(A’)(以下、「架橋性化合物(A’)」と略記することがある)、シラン化合物(α)、酸基含有化合物(β)及び重合開始剤を混合して、重合性組成物を調製する第一工程と、該重合性組成物を成膜する第二工程と、成膜した重合性組成物を重合させる第三工程とを有し、前記架橋性化合物(A’)が、下記一般式(1’)で表され、前記重合開始剤として、10時間半減期温度が異なる複数種類の重合開始剤を使用することを特徴とする。
Figure 2009286908
(式中、Rは炭素数1〜50の二価の炭化水素基又は酸素原子であり;R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、水酸基又は式「−O−Si−」で表される基であり、少なくとも一つはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基又は水酸基であり;R〜Rが複数である場合には、複数のR〜Rはぞれぞれ同一でも異なっていても良く;mは0以上の整数である。)
(架橋性化合物(A’))
架橋性化合物(A’)は、前記一般式(1’)で表される。
一般式(1’)中、R〜Rは、前記一般式(1)中のR〜Rと同じである。
は0以上の整数である。
すなわち、架橋性化合物(A’)は、mが1以上の整数である場合には、前記架橋性化合物(A)を表し、mが0である場合には、該架橋性化合物(A)の原料となるモノマーを表す。
本発明の製造方法では、第一工程で架橋性化合物(A)を使用して、後述するように、これを第三工程で酸基含有構造体(B)と結合させても良いし、第一工程で架橋性化合物(A’)を使用して、後述するように、これを第三工程で重合させて架橋性化合物(A)とし、酸基含有構造体(B)と結合させても良い。
架橋性化合物(A’)は、一種を単独で使用しても良いし、二種以上を併用しても良い。二種以上を併用する場合には、その組み合わせ及び比率は目的に応じて適宜選択すれば良い。例えば、架橋性化合物(A’)として、mが0であるものとmが1以上であるものとを併用しても良い。
以下、各工程について、詳細に説明する。
[第一工程]
(重合開始剤)
第一工程で使用する重合開始剤としては、前記シラン化合物(α)及び酸基含有化合物(β)の重合性不飽和二重結合が重合反応により共有結合を形成することを可能とするもののうち、10時間半減期温度が異なる複数種類のものを使用する。具体的には、加熱や光照射でラジカルを発生させるもの(熱重合開始剤、光重合開始剤)が好ましく、公知のものから適宜選択して使用すれば良い。このようなものとして、2,2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕塩酸塩(44℃)、2,2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕硫酸塩(47℃)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)塩酸塩(56℃)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル〕プロピオンアミド}(60℃)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス〔N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン〕水和物(57℃)、2,2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕(61℃)、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)二塩酸塩(67℃)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}(80℃)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド](87℃)等のアゾ開始剤;
ベンゾフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド等の光重合開始剤;
ジベンゾイルパーオキシド(74℃)、t−ブチルハイドロパーオキシド(167℃)、ジ−t−ブチルパーオキシド(116℃)等の有機過酸化物;
からなる群から選択される二種以上が例示できる。
なお、上記重合開始剤のうちのいくつかについては、化合物名直後の( )内に10時間半減期温度を例示している。
「10時間半減期温度」とは、重合開始剤を単独で存在させた場合において、当初の約1/2の量の重合開始剤が10時間後に未反応で残存する温度のことを指す。そして、後述するように第一工程で溶媒を使用する場合には、該溶媒中に重合開始剤を単独で存在させた場合において、同様に当初の約1/2の量の重合開始剤が10時間後に未反応で残存する温度のことを指す。
本発明においては、10時間半減期温度が異なる複数種類の重合開始剤を使用することで、第三工程での不飽和二重結合同士の重合反応をいずれの段階でも促進できる。例えば、10時間半減期温度が低い重合開始剤を単独で使用したり、10時間半減期温度が低く且つ同等であるか又は近い複数種類の重合開始剤を併用した場合には、重合反応の初期段階では反応が促進されるが、重合時間が長くなるにつれ、反応が進行し難くなる。一方、10時間半減期温度が高い重合開始剤を単独で使用したり、10時間半減期温度が高く且つ同等であるか又は近い複数種類の重合開始剤を併用した場合には、反応時間が著しく長くなるか又は反応を十分に行うことができない。このように、重合開始剤を単独で使用したり、10時間半減期温度が同等か又は近い重合開始剤を複数種類併用した場合には、不飽和二重結合同士の重合反応の反応性が低下し、架橋度が十分高いプロトン伝導性膜が得られない。
これに対し、本発明においては、10時間半減期温度が異なる複数種類の重合開始剤を使用するので、重合反応の初期段階から終了まで反応を促進でき、シラン化合物(α)及び酸基含有化合物(β)が共有結合してなる構造体が効率的に得られる。そして、かかる構造体を含む酸基含有構造体(B)と架橋性化合物(A)とがケイ素−酸素−ケイ素結合によって連結されて、架橋度が十分高いプロトン伝導性膜が得られる。その結果、シラン化合物(α)及び酸基含有化合物(β)の残存量を低減でき、極性溶媒に対する可溶成分の量を低減できるので、得られるプロトン伝導性膜の耐極性溶媒性が向上する。
10時間半減期温度が異なる重合開始剤の種類は、複数であれば良いが、本発明の効果を妨げない範囲で多種類の方が有利である。ただし、操作性と効果のバランスを考慮すると、2〜4種類であることが好ましい。
本発明においては、第三工程における前記シラン化合物(α)及び前記酸基含有化合物(β)の重合温度の範囲内に10時間半減期温度がある重合開始剤を使用することが好ましい。また、この場合、かかる重合開始剤を複数種類、好ましくは2〜4種類使用し、これら重合開始剤の10時間半減期温度の差が最大で16℃以上となるようにすることが好ましい。ここで「10時間半減期温度の差」とは、複数種類の重合開始剤のうち、任意の二種類についての、10時間半減期温度の差を指すものとする。
重合開始剤の総使用量は、通常、溶媒を除く原料全量に対して0.01〜25質量%であれば十分だが、総使用量が多いほど反応液中での分散性が高まり、重合性不飽和二重結合の反応性が向上して、未反応のまま残存する量が減少する。その結果、得られるプロトン伝導性膜の耐極性溶媒性が向上する。したがって、本発明においても、原料混合時の溶解性が妨げられない範囲で重合開始剤の総使用量を多くすることが好ましい。
第一工程は、架橋剤(C)を添加して行っても良い。
さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、ドデシル硫酸ナトリウム等の相溶化剤等、任意の成分を添加して行うこともできる。
第一工程で重合性組成物を調製する際には、溶媒を使用することが好ましい。溶媒の種類は特に限定されないが、それぞれの原料を均一に混合できるものが好ましい。具体的には、水;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶媒;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒等が例示できる。
溶媒の使用量は特に限定されないが、通常、固形分濃度が10〜90質量%程度となるように使用量を設定することが好ましい。
第三工程で、例えば、アルコキシシリル基等の加水分解反応を同時に行う場合には、水の使用量は、該加水分解反応に必要な量も考慮して選定すれば良い。例えば、通常、水は加水分解性シリル基に対して等モル量加えるが、加水分解反応を加速するために等モル量を超える量を加えても良く、また、加水分解反応を緩やかに行うために等モル量未満の量を加えてもよい。
架橋性化合物(A’)、シラン化合物(α)、酸基含有化合物(β)及び架橋剤(C)の使用量の比率(モル比)は、目的に応じて適宜選択すれば良い。すなわち、所望のプロトン伝導性膜の物性を考慮して調整することが好ましく、一概に規定されるものではない。
敢えて一例を挙げれば、架橋性化合物(A’)として、mが0であるものを使用した場合であれば、架橋性化合物(A’)/シラン化合物(α)の比率(モル比)は、1〜7であることが好ましく、2〜5であることがより好ましい。
架橋性化合物(A’)/酸基含有化合物(β)の比率(モル比)は、0.05〜0.6であることが好ましく、0.1〜0.4であることがより好ましい。
[シラン化合物(α)及び酸基含有化合物(β)]/架橋剤(C)の比率(モル比)は、3〜10であることが好ましく、6〜9であることがより好ましい。
原料を混合する方法は、十分な混合が可能であれば特に限定されず、撹拌や振動等、公知の方法から適宜選択すれば良い。また、必要に応じて混合時に加圧、脱泡、脱気等を行っても良い。
混合時の温度及び時間は、使用する原料や溶媒の種類等を考慮し、目的に応じて適宜調整することが好ましいが、通常、温度は0〜5℃であることが好ましく、時間は3〜10分であることが好ましい。混合時の時間は、均一な液が得られる範囲で短い方が好ましい。混合時間が長くなり過ぎると、製造時間が長くなり、コストが上昇する。
[第二工程]
前記重合性組成物を成膜する方法は、均一な膜を得ることができる方法であれば特に限定されず、キャスト、コート、注型等、公知の方法から適宜選択すれば良い。
成膜時の膜厚は、製造後のプロトン伝導性膜に求められる膜厚に応じて適宜選択すれば良い。燃料電池用のプロトン伝導性膜では、求められるプロトン伝導性、燃料遮断性及び膜の機械的強度から好ましい膜厚が適宜決定され、通常は20〜300μmであることが好ましい。このような観点から本発明においては、通常、重合性組成物成膜時の膜厚は、10μm〜1mmとすることが好ましい。
第二工程では、前記重合性組成物中に繊維、マット、フィブリル等の支持体又は補強材を添加して成膜しても良いし、これら支持体又は補強材中に前記重合性組成物を含浸させたものを使用して成膜しても良い。
前記支持体及び補強材の材質は、耐熱性及び耐酸性を考慮して選択すれば良く、好ましいものとして、ガラス、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、環状ポリオレフィン、超高分子量ポリオレフィン等が例示できる。
重合性組成物を含浸させる方法は特に限定されず、ディップ法、ポッティング法、ロールプレス法、真空プレス法等、公知の方法から適宜選択すれば良い。また、含浸時には、加熱、加圧等を行っても良い。
本発明においては、プロトン伝導性膜の強度を高めるために、前記重合性組成物をフッ素樹脂、ポリエチレン又はポリイミドからなる高分子材料製の膜に含浸させることが好ましい。フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレンが好ましい。高分子材料製の膜は、膜厚が20〜100μm、孔径が0.05〜1μm、空孔率が60%以上である多孔質膜であることが好ましく、親水化処理が施されていることが好ましい。
[第三工程]
第三工程では、成膜した重合性組成物を重合させる。ここで「重合させる」とは、重合性組成物中の重合性不飽和二重結合同士間で共有結合を形成させること、縮合反応によりケイ素−酸素−ケイ素結合を形成させることを指す。
シラン化合物(α)及び酸基含有化合物(β)は、いずれも重合性不飽和二重結合を有するので、第三工程ではこれらが重合し、酸基含有構造体(B)が生成する。
また、架橋性化合物(A)は、上記のように、少なくともメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基又は水酸基がケイ素原子に結合しているので、同様にアルコキシシリル基や水酸基等、ケイ素−酸素−ケイ素結合を形成し得る基を有するシラン化合物(α)と、酸又は塩基触媒存在下で、縮合反応によりケイ素−酸素−ケイ素結合を形成して結合する。通常、アルコキシシリル基は加水分解されてシラノール基となり、シラノール基同士が縮合することで、ケイ素−酸素−ケイ素結合が形成される。
また、架橋性化合物(A)に代わり、前記架橋性化合物(A’)を第一工程で使用した場合には、該架橋性化合物(A’)も、少なくともメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基又は水酸基がケイ素原子に結合しているので、酸又は塩基触媒存在下で、該架橋性化合物(A’)をモノマーとする重合体が生成して架橋性化合物(A)となり、次いで上記と同様にシラン化合物(α)と結合する。
さらに、第一工程で架橋剤(C)を使用した場合には、例えば、シラン化合物(α)又は酸基含有化合物(β)と該架橋剤(C)との間でも結合が形成される。
第三工程では、上記のように反応が進行し、ケイ素-酸素架橋構造を有する粒子の連続体を含むプロトン伝導性膜が形成される。かかるプロトン伝導性膜は、高温においても安定的にプロトン伝導性を発現し、燃料遮断性に優れ、形状変化等も少ない
アルコキシシリル基等の加水分解及び縮合反応による、ケイ素−酸素−ケイ素結合の生成は、ゾルゲル反応としてよく知られている。
ゾルゲル反応においては、反応速度を制御するために、通常は、酸又は塩基触媒が使用されるが、本発明においても、触媒として酸及び塩基のいずれも使用できる。
一般的に、酸を使用した場合には、加水分解と縮合が競争することにより、個々の分子で均等に反応が進行し、分岐の少ない直鎖状の架橋構造となることが知られている。一方、塩基を使用した場合には、加水分解が一気に生じ、1つの分子で加水分解が生じると、その分子で集中的に反応が進行するため、分岐の多い樹状構造となることが知られている。
本発明においては、所望の膜物性を考慮していずれの方法も適用し得る。例えば、粒子及びその連続体の形成という特徴を際立たせるためには、塩基を使用することが好ましく、この場合には酸基含有化合物(β)を塩にしておくことが好ましい。一方、酸を使用する場合には、酸基含有化合物(β)中の酸基を前記酸として使用しても良いし、別途酸を添加して使用しても良い。
酸又は塩基の添加量は、任意に設定することが可能で、反応速度、原料の相溶性などを考慮して適宜決定すれば良い。
酸又は塩基を添加する工程は、第一〜第三工程のいずれでも良い。例えば、第一工程で添加するのが操作上最も簡便だが、この場合、第二工程におけるポットライフやセット時間を考慮する必要がある。
加水分解反応は、反応液中に水を随時補給できるよう水蒸気下で行っても良い。また、急激な膜の乾燥を防ぐため、溶媒蒸気下で行っても良い。
縮合反応時の温度は室温でも良いが、反応時間を短縮し、より効率的に反応させるためには加熱することが好ましい。加熱は公知の方法で行えば良く、オーブンによる加熱、オートクレーブによる加圧加熱、遠赤外線加熱、電磁誘導加熱、マイクロ波加熱等が例示できる。加熱時の温度は、通常、15〜300℃であることが好ましく、100〜250℃であることがより好ましい。ただし、後述するように、重合性不飽和二重結合同士の重合反応を考慮して反応温度を設定しても良い。
縮合反応は、室温程度で一定時間行った後、加熱により徐々に昇温しながら行なうなど、緩やかに反応条件を変化させて行っても良い。
縮合反応は、減圧下で行っても良いし、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で行っても良い。
重合性組成物の重合反応の条件は、原料の種類及び使用量等、重合性組成物の種類により適宜調整すれば良いが、重合性不飽和二重結合同士の重合反応を考慮すると、反応温度は40〜150℃であることが好ましく、反応時間は1時間〜24時間であることが好ましい。
このような条件では、シラン化合物(α)及び酸基含有化合物(β)が共有結合してなる構造体が効率的に生成し、かかる構造体を含む酸基含有構造体(B)が効率的に得られる。
また、このような反応条件であれば、架橋性化合物(A)とシラン化合物(α)との縮合反応や、架橋性化合物(A’)の架橋性化合物(A)への重合反応も並行してより良好に進行する。
加水分解及び縮合反応を並行して行う際は、好ましい方法として、加熱温度を室温程度から徐々に上昇させて高温とし、次いで高温のまま所定時間加熱を継続して行う方法が例示できる。例えば、反応温度を25〜35℃の範囲から4〜8時間かけて60〜80℃に昇温し、次いで100〜250℃で2〜6時間反応させると良い。
第三工程においては、前記重合開始剤の10時間半減期温度のうち、最も低い温度以下の温度で反応を開始することが好ましい。また反応は、前記重合開始剤の10時間半減期温度のうち、最も高い温度以上の温度まで昇温して行うことが好ましい。そして、本発明においては、これらの条件をいずれも満たすことが好ましい。
第三工程においては、シラン化合物(α)及び酸基含有化合物(β)中のそれぞれの重合性不飽和二重結合の反応率が30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましい。ここで、「重合性不飽和二重結合の反応率」とは、反応前のシラン化合物(α)及び酸基含有化合物(β)中の重合性不飽和二重結合の総数を(i)、プロトン伝導性膜中の未反応の重合性不飽和二重結合の総数を(ii)とした場合に、下記式で算出される値である。
重合性不飽和二重結合の反応率(%)={(i)−(ii)}/(i)×100
重合性不飽和二重結合の反応率は、シラン化合物(α)及び酸基含有化合物(β)の組み合わせや、重合反応の条件を適宜選択することで調整できる。
上記のような反応条件を適用することにより、本発明の製造方法においては、架橋性化合物(A)とシラン化合物(α)との縮合反応、及びシラン化合物(α)と酸基含有化合物(β)との重合反応がいずれも良好に進行し、ケイ素−酸素−ケイ素結合を有し、架橋度が十分高いプロトン伝導性膜が得られる。
プロトン伝導性膜の架橋度は、下記方法で測定されるゲル分率で評価できる。通常、重合反応せずに残存している原料は極性溶媒への溶解性が高いが、プロトン伝導性膜は極性溶媒へ溶解せずにゲルとなる。本発明の製造方法によれば、プロトン伝導性膜のゲル分率を96%以上とすることができる。ゲル分率は、重合反応の条件を調整することで調整できるが、特に、適切な重合開始剤の組み合わせを選択することで調整できる。
(ゲル分率の測定)
4cm×4cmの大きさのプロトン伝導性膜切片の質量(質量I)を測定する。次いで、該切片を純粋100ml中に添加し、80℃で4時間静置する。次いで、水中に溶解しなかった残存物(ゲル)の乾燥質量(質量II)を測定し、下記式にしたがってゲル分率(%)を算出する。
ゲル分率(%)=(質量II)/(質量I)×100
重合して得られた膜は、必要に応じて水洗により、未反応物、酸又は塩基を除去したり、硫酸等を使用してイオン交換しても良い。
水洗に使用する水は、蒸留水、イオン交換水等、金属イオンを含まないものが好ましい。水洗は、加熱、加圧、加振等を並行して行うことで、効率的に行っても良い。さらに、膜中への水の浸透を促進するために、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、アセトン、テトラヒドロフラン等の有機溶媒と水との混合溶媒を使用して水洗しても良い。
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
テトラメトキシシラン0.7g、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート0.15g、トリメトキシ(ビニル)シラン0.05g、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸3.0g、N,N’−メチレンビス(アクリルアミド)0.3gを水3gに混合し、さらに開始剤として、2,2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕塩酸塩(10時間半減期温度44℃)0.05g、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)塩酸塩(10時間半減期温度56℃)0.05g、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル〕プロピオンアミド}(10時間半減期温度60℃)0.02gを氷冷しながら約5分間十分に撹拌して重合性組成物を得た。
次いで、得られた重合性組成物をポリエチレンの多孔質膜に含浸させ、厚さ40〜60μmに成膜した。
次いで、成膜した重合性組成物を6時間かけて30から70℃に昇温し、100℃で4時間加熱して重合させて、プロトン伝導性膜を得た。
[比較例1]
開始剤として、2,2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕塩酸塩0.15gのみを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、プロトン伝導性膜を得た。
(MCO(メタノール透過性)評価)
直径2cmの円形の窓を有する2つの円形セルを使用し、窓の部分でゴムパッキンを介して、プロトン伝導性膜を挟み込み、一方のセルには30質量%メタノール水溶液を、他方のセルには純水を入れ、25℃にて3時間、スターラーで攪拌した。その後、純水側に透過したメタノール量をガスクロマトグラフィーにより測定し、Nafion117(デュポン社製)(登録商標)を使用した場合の透過量に対する透過量の比(MCO比)を算出した。結果を表1に示す。
(ゲル分率)
プロトン伝導性膜を4センチ角に切り取り重さを測って、純水100mL中に入れ、80℃で4時間放置した。その後、水を捨てて不溶物を乾燥させて重さを測り、ゲル分率(%)を算出した。結果を表1に示す。
Figure 2009286908
表1に示すように、実施例1のプロトン伝導性膜は、ゲル分率が十分高く、耐極性溶媒性が優れており、MCO性能にも優れたものであった。一方、比較例1の実施例1のプロトン伝導性膜は、耐極性溶媒性及びMCO性能のいずれも劣るものであった。
本発明は、燃料電池、特に小型移動機器や携帯機器用の燃料電池に利用可能である。
本発明のプロトン伝導性膜の構造を模式的に例示する図である。 (a)は、本発明のプロトン伝導性膜の原料である架橋性化合物(A)、シラン化合物(α)、酸基含有化合物(β)及び架橋剤(C)の構造を模式的に例示する図であり、(b)はこれら原料が反応してなるプロトン伝導性膜の構造を模式的に例示する図である。

Claims (8)

  1. ケイ素−酸素結合を有する架橋性化合物(A’)、ケイ素−酸素−ケイ素結合を形成し得る基及び重合性不飽和二重結合を有するシラン化合物(α)、酸基及び重合性不飽和二重結合を有する酸基含有化合物(β)及び重合開始剤を混合して、重合性組成物を調製する第一工程と、該重合性組成物を成膜する第二工程と、成膜した重合性組成物を重合させる第三工程とを有するプロトン伝導性膜の製造方法であって、
    前記ケイ素−酸素結合を有する架橋性化合物(A’)が、下記一般式(1’)で表され、
    前記重合開始剤として、10時間半減期温度が異なる複数種類の重合開始剤を使用することを特徴とするプロトン伝導性膜の製造方法。
    Figure 2009286908
    (式中、Rは炭素数1〜50の二価の炭化水素基又は酸素原子であり;R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、水酸基又は式「−O−Si−」で表される基であり、少なくとも一つはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基又は水酸基であり;R〜Rが複数である場合には、複数のR〜Rはぞれぞれ同一でも異なっていても良く;mは0以上の整数である。)
  2. 前記第三工程における前記シラン化合物(α)及び前記酸基含有化合物(β)の重合温度の範囲内に10時間半減期温度がある前記重合開始剤を複数種類使用し、これら重合開始剤の10時間半減期温度の差が最大で16℃以上であることを特徴とする請求項1に記載のプロトン伝導性膜の製造方法。
  3. 前記第三工程において、前記重合開始剤の10時間半減期温度のうち、最も低い温度以下の温度で反応を開始し、且つ最も高い温度以上の温度まで昇温して反応を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のプロトン伝導性膜の製造方法。
  4. さらに、前記シラン化合物(α)又は前記酸基含有化合物(β)と結合可能な官能基を1分子中に2つ以上有する架橋剤(C)を添加して前記第一工程を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のプロトン伝導性膜の製造方法。
  5. 前記R、R、R、R、R及びRが、それぞれ独立にメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基又は水酸基であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のプロトン伝導性膜の製造方法。
  6. 前記R、R、R、R、R及びRが、それぞれ独立にメトキシ基又は水酸基であることを特徴とする請求項5に記載のプロトン伝導性膜の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法で製造されたことを特徴とするプロトン伝導性膜。
  8. ケイ素−酸素結合を有する架橋性化合物(A)と、シラン化合物と共有結合し、且つ酸基を有する酸基含有構造体(B)とが、ケイ素−酸素−ケイ素結合によって連結されてなるプロトン伝導性膜であって、
    ゲル分率が96%以上であり、
    前記ケイ素−酸素結合を有する架橋性化合物(A)が、下記一般式(1)で表され、
    前記酸基含有構造体(B)が、ケイ素−酸素−ケイ素結合を形成し得る基及び重合性不飽和二重結合を有するシラン化合物(α)と、酸基及び重合性不飽和二重結合を有する酸基含有化合物(β)とが共有結合してなる構造体を含むことを特徴とするプロトン伝導性膜。
    Figure 2009286908
    (式中、Rは炭素数1〜50の二価の炭化水素基又は酸素原子であり;R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、水酸基又は式「−O−Si−」で表される基であり、少なくとも一つはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基又は水酸基であり;R〜Rが複数である場合には、複数のR〜Rはぞれぞれ同一でも異なっていても良く;mは1以上の整数である。)
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