JP2009286908A - プロトン伝導性膜及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ケイ素−酸素結合を有する架橋性化合物(A’)、ケイ素−酸素−ケイ素結合を形成し得る基及び重合性不飽和二重結合を有するシラン化合物(α)、酸基及び重合性不飽和二重結合を有する酸基含有化合物(β)及び重合開始剤を混合して、重合性組成物を調製する第一工程と、該重合性組成物を成膜する第二工程と、成膜した重合性組成物を重合させる第三工程とを有し、前記構造体(A’)が、下記一般式(1’)で表され、前記重合開始剤として、10時間半減期温度が異なる複数種類の重合開始剤を使用することを特徴とするプロトン伝導性膜の製造方法。
〔化1〕
【選択図】なし
Description
PEFCでは、水素ガスを燃料とする従来のものに加えて、アルコールやジメチルエーテル等を燃料とし、これらを水素に改質することなく直接供給する直接型燃料電池、特に室温付近での出力が高い直接メタノール型燃料電池(以下、「DMFC」と略記する)が注目されている。DMFCは従来のPEFCに比べて出力が低いものの、燃料が液体で改質器が不要であるため、エネルギー密度が高く、一充填あたりの搭載機器の使用時間が長くなるという利点がある。
従来、固体高分子型燃料電池の電解質膜においては、例えば、スルホン酸基含有フッ素系高分子であるナフィオン(Nafion、デュポン社)(登録商標)が用いられてきた。しかし、ナフィオンは、電解質膜中のスルホン酸基がクラスター構造を形成するために、メタノールなどの燃料クロスオーバーが大きいという問題点があった。そこで、ナフィオン同等の高プロトン伝導性を有し、且つ燃料クロスオーバーが抑制された電解質膜の実用化が市場から望まれていた。
これらの問題を解決するために、例えば、ケイ素−酸素結合を有する架橋性化合物(A)と、シラン化合物と共有結合し、且つ酸基を有する酸基含有構造体(B)とがケイ素−酸素結合によって連結されたプロトン伝導性膜が考えられる。しかし、このようなプロトン伝導性膜は、その製造過程において、原料同士の重合反応の反応度が低いと、原料が溶液、特にメタノール水溶液等の極性溶媒中に溶け出し、その結果、燃料遮断性が低下する可能性があるという問題点があった。
請求項1にかかる発明は、ケイ素−酸素結合を有する架橋性化合物(A’)、ケイ素−酸素−ケイ素結合を形成し得る基及び重合性不飽和二重結合を有するシラン化合物(α)、酸基及び重合性不飽和二重結合を有する酸基含有化合物(β)及び重合開始剤を混合して、重合性組成物を調製する第一工程と、該重合性組成物を成膜する第二工程と、成膜した重合性組成物を重合させる第三工程とを有するプロトン伝導性膜の製造方法であって、前記ケイ素−酸素結合を有する架橋性化合物(A’)が、下記一般式(1’)で表され、前記重合開始剤として、10時間半減期温度が異なる複数種類の重合開始剤を使用することを特徴とするプロトン伝導性膜の製造方法である。
請求項3にかかる発明は、前記第三工程において、前記重合開始剤の10時間半減期温度のうち、最も低い温度以下の温度で反応を開始し、且つ最も高い温度以上の温度まで昇温して反応を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のプロトン伝導性膜の製造方法である。
請求項4にかかる発明は、さらに、前記シラン化合物(α)又は前記酸基含有化合物(β)と結合可能な官能基を1分子中に2つ以上有する架橋剤(C)を添加して前記第一工程を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のプロトン伝導性膜の製造方法である。
請求項5にかかる発明は、前記R2、R3、R4、R5、R6及びR7が、それぞれ独立にメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基又は水酸基であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のプロトン伝導性膜の製造方法である。
請求項6にかかる発明は、前記R2、R3、R4、R5、R6及びR7が、それぞれ独立にメトキシ基又は水酸基であることを特徴とする請求項5に記載のプロトン伝導性膜の製造方法である。
請求項7にかかる発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法で製造されたことを特徴とするプロトン伝導性膜である。
なお、以下の説明において、例えば、「架橋性化合物(A)とシラン化合物(α)との反応」は、便宜上「架橋性化合物(A)と、酸基含有構造体(B)中のシラン化合物(α)由来の部位との反応」も含むものとする。
同様に、「シラン化合物(α)と酸基含有化合物(β)との重合反応」は、便宜上「シラン化合物(α)に由来する重合体と、酸基含有化合物(β)との重合反応」及び「シラン化合物(α)と、酸基含有化合物(β)に由来する重合体との重合反応」も含むものとする。
同様に、「シラン化合物(α)と架橋剤(C)との結合」は、便宜上「シラン化合物(α)に由来する重合体と架橋剤(C)との結合」も含むものとする。「酸基含有化合物(β)と架橋剤(C)との結合」についても同様である。
本発明のプロトン伝導性膜は、ケイ素−酸素結合を有する架橋性化合物(A)(以下、「架橋性化合物(A)」と略記することがある)と、シラン化合物と共有結合し、且つ酸基を有する酸基含有構造体(B)(以下、「酸基含有構造体(B)」と略記することがある)とが、ケイ素−酸素−ケイ素結合によって連結されてなり、ゲル分率が96%以上であり、前記架橋性化合物(A)が、下記一般式(1)で表され、前記酸基含有構造体(B)が、ケイ素−酸素−ケイ素結合を形成し得る基及び重合性不飽和二重結合を有するシラン化合物(α)(以下、「シラン化合物(α)」と略記することがある)と、酸基及び重合性不飽和二重結合を有する酸基含有化合物(β)(以下、「酸基含有化合物(β)」と略記することがある)とが共有結合してなる構造体を含むことを特徴とする。
架橋性化合物(A)は、本発明のプロトン伝導性膜において、架橋基本構造体となるものであり、前記一般式(1)で表される。
R1の二価の炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでも良く、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基のいずれでも良い。
該脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましい。
該脂肪族炭化水素基の特に好ましいものとしては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基が例示できる。
前記芳香族炭化水素基は、単環式及び多環式のいずれでも良いが、単環式であることが好ましく、フェニレン基が特に好ましい。
そして、R2〜R7の少なくとも一つはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基又は水酸基であるので、該水酸基、あるいは該水酸基を除くこれらの基が酸又は塩基触媒存在下で加水分解されて生じた水酸基(シラノール基)が、シラノール基を有する他の分子と縮合反応することが可能となっている。
本発明においては、R2〜R7がそれぞれ独立にメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基又は水酸基であることが好ましく、R2〜R7がそれぞれ独立にメトキシ基又は水酸基であることがより好ましい。
1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、1,9−ビス(トリエトキシシリル)ノナン、1,8−ビス(トリエトキシシリル)オクタン等のビス(アルコキシシリル)アルカン;
1,8−ビス(ジエトキシメチルシリル)オクタン、1,8−ビス(エチルジメトキシシリル)オクタン等のビス(アルキルアルコキシシリル)アルカン;
1,4−ビス(トリメトキシシリルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリルエチル)ベンゼン等のビス(トリアルコキシシリルアルキル)ベンゼン;
テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン等のアルコキシシラン;
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、ジメチルジ−n−ブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリイソプロポキシシラン、n−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリイソプロポキシシラン、イソプロピルトリ−n−ブトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリイソプロポキシシラン、n−ブチルトリ−n−ブトキシシラン等のアルキルアルコキシシラン;
フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリ−n−ブトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジイソプロポキシシラン、フェニルメチルジ−n−ブトキシシラン等のアリールアルコキシシラン;
酸基含有構造体(B)は、シラン化合物(α)と酸基含有化合物(β)とが共有結合してなる構造体を含む。
シラン化合物(α)は、ケイ素−酸素−ケイ素結合を形成し得る基及び重合性不飽和二重結合を有するものであれば良い。なかでも好ましいものとして、下記一般式(2)で表される化合物が例示できる。
R8の二価の炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでも良く、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基のいずれでも良く、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基が結合した2価の基でも良い。
前記脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基及び不飽和脂肪族炭化水素基のいずれでも良いが、飽和脂肪族炭化水素基であることが好ましく、直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族炭化水素基であることがより好ましく、直鎖状の飽和脂肪族炭化水素基であることが特に好ましい。
該脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜5であることがより好ましい。
該脂肪族炭化水素基の特に好ましいものとしては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基が例示できる。
前記芳香族炭化水素基は、単環式及び多環式のいずれでも良いが、単環式であることが好ましく、フェニレン基が特に好ましい。
R8のヘテロ原子は、酸素原子又は硫黄原子であることが好ましい。
置換基としてのアルキル基又はアルコキシ基は、炭素数1〜3であることが好ましい。
置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が例示できる。
置換基の数は特に限定されないが、0又は1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
R9〜R11の炭化水素基としては、前記R8の二価の炭化水素基に水素原子が結合した一価の炭化水素基が例示できる。なかでも、脂肪族炭化水素基であることが好ましく、飽和脂肪族炭化水素基であることがより好ましく、直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族炭化水素基であることが特に好ましい。
該脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜5であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基が例示できる。
R9〜R11の前記炭化水素基がヘテロ原子に結合した基におけるヘテロ原子は、前記と同様であり、なかでも、R9〜R11の前記炭化水素基が酸素原子に結合した基が好ましく、直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基であることが特に好ましい。
R9〜R11のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が例示できる。
n1は1以上の整数であり、1〜5であることが好ましく、1〜3であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
n2は0又は1であり、ただしn2が0である場合、n1は1である。
これらの中でもシラン化合物(α)としては、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、トリメトキシビニルシランが特に好ましい。
酸基含有化合物(β)は、酸基及び重合性不飽和二重結合を有するものであれば良い。
酸基としては、水中での酸解離定数で定義される該酸基含有化合物(β)のpKaを5以下とするものが好ましく、スルホ基(−SO3H)、カルボキシ基、リン酸基等が例示でき、スルホ基が特に好ましい。
酸基含有化合物(β)としては、好ましいものとして、例えば、プロトン付加が可能なヘテロ原子を3つ以上有し、且つメチレン基が2つ以上連結した直鎖構造を含む(メタ)アクリレートが例示できる。ここでプロトン付加が可能なヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子が例示でき、スルホ基等、前記酸基を構成する原子団中の原子であっても良い。
R12のアルキレン基は、直鎖状及び分岐鎖状のいずれでも良く、炭素数2〜8であることが好ましく、炭素数2〜5であることが好ましい。
R12のアリーレン基は、フェニレン基が好ましい。
R12のカルボニルオキシアルキレン基におけるアルキレン基は、炭素数2〜6であることが好ましく、炭素数2〜4であることがより好ましく、直鎖状であることが好ましい。なお、該カルボニルオキシアルキレン基のカルボニル基を構成する炭素原子は、上記式中の炭素=炭素二重結合を構成する炭素原子に結合するものとする。
ここで置換基としては、好ましいものとしてアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、スルホ基、カルボキシ基が例示できる。置換基としてのアルキル基及びアルコキシ基は、炭素数1〜3であることが好ましい。置換基としてのハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が例示できる。これらの中でも、置換基としては、アルコキシ基、カルボキシ基、アミノ基又はスルホ基が好ましく、アミノ基又はスルホ基がより好ましい。
R13のアルキレン基は、R12のアルキレン基に水素原子が結合したものが例示できる。
R13のアリール基は、R12のアリーレン基に水素原子が結合したものが例示できる。
R13のカルボニルオキシアルキル基は、R12のカルボニルオキシアルキレン基に水素原子が結合したものが例示できる。
前記アルキル基、アリール基又はカルボニルオキシアルキル基における置換基としては、R12における置換基と同様のものが例示できる。
前記アミノカルボニル基における置換基としては、好ましいものとして炭素数1〜3のアルキル基が例示できる。
これらの中でも、酸基含有化合物(β)としては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が特に好ましい。
本発明のプロトン伝導性膜は、必要に応じて、前記架橋性化合物(A)及び酸基含有構造体(B)以外に、さらに架橋剤(C)が配合されてなるものでも良い。このように、プロトン伝導性膜を架橋剤(C)で架橋された構造とすることにより、柔軟性が一層向上し且つ強固な架橋構造が得られるため、耐衝撃性及び耐極性溶媒性がより一層向上する。
これらの中でも、架橋剤(C)としては、N,N’―メチレンビス(アクリルアミド)、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートが特に好ましい。
また、架橋剤(C)を使用する場合には、2,2,2ートリフルオロエチルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート等のフッ素系モノマーを併用しても良い。
本発明のプロトン伝導性膜は、前記酸基含有構造体(B)を含むことにより、膜中に酸基が高濃度に存在する状態を維持できるとともに、膜中のプロトン濃度を上昇させることが可能となっており、これにより、長時間安定した燃料電池作動が達成可能となっている。
図1に、本発明のプロトン伝導性膜の構造を模式的に例示する。ここに示すように、本発明のプロトン伝導性膜は、架橋基本構造体(骨格)となる架橋性化合物(A)と、前記シラン化合物(α)に前記酸基含有化合物(β)が反応して共有結合を介して結合した酸基含有構造体(B)とが少なくとも結合したものである。
なお、ここに示すプロトン伝導性膜の構造は一例に過ぎず、例えば、シラン化合物(α)同士の重合体や、酸基含有化合物(β)同士の重合体が含まれていても良いし、架橋剤(C)がシラン化合物(α)又は酸基含有化合物(β)と架橋構造を形成していても良く、あるいは架橋剤(C)同士で架橋構造を形成していても良い。
ここに示す架橋性化合物(A)は、前記一般式(1)で表されるものであり、シラン化合物(α)は、前記一般式(2)で表されるものであり、酸基含有化合物(β)は、前記一般式(5)で表されるものである。
また、架橋剤(C)中のR14は、アルキレン基;該アルキレン基の炭素原子がアミド基、カルボニルオキシ基等の二価の基で置換された基;アリーレン基である。
図2(b)は、図2(a)に示す原料が反応してなるプロトン伝導性膜の構造を模式的に例示する図である。
ただし、ここに示す各原料やプロトン伝導性膜の構造が一例に過ぎないことは言うまでもない。
さらに、酸基含有構造体(B)を、有機部位を多く含むように構成することにより、プロトン伝導性膜に柔軟性が付与され、耐衝撃性が向上する。
本発明のプロトン伝導性膜の製造方法は、ケイ素−酸素結合を有する架橋性化合物(A’)(以下、「架橋性化合物(A’)」と略記することがある)、シラン化合物(α)、酸基含有化合物(β)及び重合開始剤を混合して、重合性組成物を調製する第一工程と、該重合性組成物を成膜する第二工程と、成膜した重合性組成物を重合させる第三工程とを有し、前記架橋性化合物(A’)が、下記一般式(1’)で表され、前記重合開始剤として、10時間半減期温度が異なる複数種類の重合開始剤を使用することを特徴とする。
架橋性化合物(A’)は、前記一般式(1’)で表される。
一般式(1’)中、R1〜R7は、前記一般式(1)中のR1〜R7と同じである。
m2は0以上の整数である。
すなわち、架橋性化合物(A’)は、m2が1以上の整数である場合には、前記架橋性化合物(A)を表し、m2が0である場合には、該架橋性化合物(A)の原料となるモノマーを表す。
本発明の製造方法では、第一工程で架橋性化合物(A)を使用して、後述するように、これを第三工程で酸基含有構造体(B)と結合させても良いし、第一工程で架橋性化合物(A’)を使用して、後述するように、これを第三工程で重合させて架橋性化合物(A)とし、酸基含有構造体(B)と結合させても良い。
以下、各工程について、詳細に説明する。
(重合開始剤)
第一工程で使用する重合開始剤としては、前記シラン化合物(α)及び酸基含有化合物(β)の重合性不飽和二重結合が重合反応により共有結合を形成することを可能とするもののうち、10時間半減期温度が異なる複数種類のものを使用する。具体的には、加熱や光照射でラジカルを発生させるもの(熱重合開始剤、光重合開始剤)が好ましく、公知のものから適宜選択して使用すれば良い。このようなものとして、2,2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕塩酸塩(44℃)、2,2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕硫酸塩(47℃)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)塩酸塩(56℃)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル〕プロピオンアミド}(60℃)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス〔N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン〕水和物(57℃)、2,2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕(61℃)、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)二塩酸塩(67℃)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}(80℃)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド](87℃)等のアゾ開始剤;
ベンゾフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド等の光重合開始剤;
ジベンゾイルパーオキシド(74℃)、t−ブチルハイドロパーオキシド(167℃)、ジ−t−ブチルパーオキシド(116℃)等の有機過酸化物;
からなる群から選択される二種以上が例示できる。
なお、上記重合開始剤のうちのいくつかについては、化合物名直後の( )内に10時間半減期温度を例示している。
本発明においては、10時間半減期温度が異なる複数種類の重合開始剤を使用することで、第三工程での不飽和二重結合同士の重合反応をいずれの段階でも促進できる。例えば、10時間半減期温度が低い重合開始剤を単独で使用したり、10時間半減期温度が低く且つ同等であるか又は近い複数種類の重合開始剤を併用した場合には、重合反応の初期段階では反応が促進されるが、重合時間が長くなるにつれ、反応が進行し難くなる。一方、10時間半減期温度が高い重合開始剤を単独で使用したり、10時間半減期温度が高く且つ同等であるか又は近い複数種類の重合開始剤を併用した場合には、反応時間が著しく長くなるか又は反応を十分に行うことができない。このように、重合開始剤を単独で使用したり、10時間半減期温度が同等か又は近い重合開始剤を複数種類併用した場合には、不飽和二重結合同士の重合反応の反応性が低下し、架橋度が十分高いプロトン伝導性膜が得られない。
これに対し、本発明においては、10時間半減期温度が異なる複数種類の重合開始剤を使用するので、重合反応の初期段階から終了まで反応を促進でき、シラン化合物(α)及び酸基含有化合物(β)が共有結合してなる構造体が効率的に得られる。そして、かかる構造体を含む酸基含有構造体(B)と架橋性化合物(A)とがケイ素−酸素−ケイ素結合によって連結されて、架橋度が十分高いプロトン伝導性膜が得られる。その結果、シラン化合物(α)及び酸基含有化合物(β)の残存量を低減でき、極性溶媒に対する可溶成分の量を低減できるので、得られるプロトン伝導性膜の耐極性溶媒性が向上する。
さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、ドデシル硫酸ナトリウム等の相溶化剤等、任意の成分を添加して行うこともできる。
溶媒の使用量は特に限定されないが、通常、固形分濃度が10〜90質量%程度となるように使用量を設定することが好ましい。
第三工程で、例えば、アルコキシシリル基等の加水分解反応を同時に行う場合には、水の使用量は、該加水分解反応に必要な量も考慮して選定すれば良い。例えば、通常、水は加水分解性シリル基に対して等モル量加えるが、加水分解反応を加速するために等モル量を超える量を加えても良く、また、加水分解反応を緩やかに行うために等モル量未満の量を加えてもよい。
敢えて一例を挙げれば、架橋性化合物(A’)として、m2が0であるものを使用した場合であれば、架橋性化合物(A’)/シラン化合物(α)の比率(モル比)は、1〜7であることが好ましく、2〜5であることがより好ましい。
架橋性化合物(A’)/酸基含有化合物(β)の比率(モル比)は、0.05〜0.6であることが好ましく、0.1〜0.4であることがより好ましい。
[シラン化合物(α)及び酸基含有化合物(β)]/架橋剤(C)の比率(モル比)は、3〜10であることが好ましく、6〜9であることがより好ましい。
混合時の温度及び時間は、使用する原料や溶媒の種類等を考慮し、目的に応じて適宜調整することが好ましいが、通常、温度は0〜5℃であることが好ましく、時間は3〜10分であることが好ましい。混合時の時間は、均一な液が得られる範囲で短い方が好ましい。混合時間が長くなり過ぎると、製造時間が長くなり、コストが上昇する。
前記重合性組成物を成膜する方法は、均一な膜を得ることができる方法であれば特に限定されず、キャスト、コート、注型等、公知の方法から適宜選択すれば良い。
成膜時の膜厚は、製造後のプロトン伝導性膜に求められる膜厚に応じて適宜選択すれば良い。燃料電池用のプロトン伝導性膜では、求められるプロトン伝導性、燃料遮断性及び膜の機械的強度から好ましい膜厚が適宜決定され、通常は20〜300μmであることが好ましい。このような観点から本発明においては、通常、重合性組成物成膜時の膜厚は、10μm〜1mmとすることが好ましい。
前記支持体及び補強材の材質は、耐熱性及び耐酸性を考慮して選択すれば良く、好ましいものとして、ガラス、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、環状ポリオレフィン、超高分子量ポリオレフィン等が例示できる。
重合性組成物を含浸させる方法は特に限定されず、ディップ法、ポッティング法、ロールプレス法、真空プレス法等、公知の方法から適宜選択すれば良い。また、含浸時には、加熱、加圧等を行っても良い。
第三工程では、成膜した重合性組成物を重合させる。ここで「重合させる」とは、重合性組成物中の重合性不飽和二重結合同士間で共有結合を形成させること、縮合反応によりケイ素−酸素−ケイ素結合を形成させることを指す。
シラン化合物(α)及び酸基含有化合物(β)は、いずれも重合性不飽和二重結合を有するので、第三工程ではこれらが重合し、酸基含有構造体(B)が生成する。
また、架橋性化合物(A)は、上記のように、少なくともメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基又は水酸基がケイ素原子に結合しているので、同様にアルコキシシリル基や水酸基等、ケイ素−酸素−ケイ素結合を形成し得る基を有するシラン化合物(α)と、酸又は塩基触媒存在下で、縮合反応によりケイ素−酸素−ケイ素結合を形成して結合する。通常、アルコキシシリル基は加水分解されてシラノール基となり、シラノール基同士が縮合することで、ケイ素−酸素−ケイ素結合が形成される。
また、架橋性化合物(A)に代わり、前記架橋性化合物(A’)を第一工程で使用した場合には、該架橋性化合物(A’)も、少なくともメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基又は水酸基がケイ素原子に結合しているので、酸又は塩基触媒存在下で、該架橋性化合物(A’)をモノマーとする重合体が生成して架橋性化合物(A)となり、次いで上記と同様にシラン化合物(α)と結合する。
さらに、第一工程で架橋剤(C)を使用した場合には、例えば、シラン化合物(α)又は酸基含有化合物(β)と該架橋剤(C)との間でも結合が形成される。
第三工程では、上記のように反応が進行し、ケイ素-酸素架橋構造を有する粒子の連続体を含むプロトン伝導性膜が形成される。かかるプロトン伝導性膜は、高温においても安定的にプロトン伝導性を発現し、燃料遮断性に優れ、形状変化等も少ない
ゾルゲル反応においては、反応速度を制御するために、通常は、酸又は塩基触媒が使用されるが、本発明においても、触媒として酸及び塩基のいずれも使用できる。
一般的に、酸を使用した場合には、加水分解と縮合が競争することにより、個々の分子で均等に反応が進行し、分岐の少ない直鎖状の架橋構造となることが知られている。一方、塩基を使用した場合には、加水分解が一気に生じ、1つの分子で加水分解が生じると、その分子で集中的に反応が進行するため、分岐の多い樹状構造となることが知られている。
本発明においては、所望の膜物性を考慮していずれの方法も適用し得る。例えば、粒子及びその連続体の形成という特徴を際立たせるためには、塩基を使用することが好ましく、この場合には酸基含有化合物(β)を塩にしておくことが好ましい。一方、酸を使用する場合には、酸基含有化合物(β)中の酸基を前記酸として使用しても良いし、別途酸を添加して使用しても良い。
酸又は塩基の添加量は、任意に設定することが可能で、反応速度、原料の相溶性などを考慮して適宜決定すれば良い。
酸又は塩基を添加する工程は、第一〜第三工程のいずれでも良い。例えば、第一工程で添加するのが操作上最も簡便だが、この場合、第二工程におけるポットライフやセット時間を考慮する必要がある。
縮合反応は、室温程度で一定時間行った後、加熱により徐々に昇温しながら行なうなど、緩やかに反応条件を変化させて行っても良い。
縮合反応は、減圧下で行っても良いし、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で行っても良い。
このような条件では、シラン化合物(α)及び酸基含有化合物(β)が共有結合してなる構造体が効率的に生成し、かかる構造体を含む酸基含有構造体(B)が効率的に得られる。
また、このような反応条件であれば、架橋性化合物(A)とシラン化合物(α)との縮合反応や、架橋性化合物(A’)の架橋性化合物(A)への重合反応も並行してより良好に進行する。
重合性不飽和二重結合の反応率(%)={(i)−(ii)}/(i)×100
重合性不飽和二重結合の反応率は、シラン化合物(α)及び酸基含有化合物(β)の組み合わせや、重合反応の条件を適宜選択することで調整できる。
プロトン伝導性膜の架橋度は、下記方法で測定されるゲル分率で評価できる。通常、重合反応せずに残存している原料は極性溶媒への溶解性が高いが、プロトン伝導性膜は極性溶媒へ溶解せずにゲルとなる。本発明の製造方法によれば、プロトン伝導性膜のゲル分率を96%以上とすることができる。ゲル分率は、重合反応の条件を調整することで調整できるが、特に、適切な重合開始剤の組み合わせを選択することで調整できる。
(ゲル分率の測定)
4cm×4cmの大きさのプロトン伝導性膜切片の質量(質量I)を測定する。次いで、該切片を純粋100ml中に添加し、80℃で4時間静置する。次いで、水中に溶解しなかった残存物(ゲル)の乾燥質量(質量II)を測定し、下記式にしたがってゲル分率(%)を算出する。
ゲル分率(%)=(質量II)/(質量I)×100
水洗に使用する水は、蒸留水、イオン交換水等、金属イオンを含まないものが好ましい。水洗は、加熱、加圧、加振等を並行して行うことで、効率的に行っても良い。さらに、膜中への水の浸透を促進するために、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、アセトン、テトラヒドロフラン等の有機溶媒と水との混合溶媒を使用して水洗しても良い。
[実施例1]
テトラメトキシシラン0.7g、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート0.15g、トリメトキシ(ビニル)シラン0.05g、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸3.0g、N,N’−メチレンビス(アクリルアミド)0.3gを水3gに混合し、さらに開始剤として、2,2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕塩酸塩(10時間半減期温度44℃)0.05g、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)塩酸塩(10時間半減期温度56℃)0.05g、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル〕プロピオンアミド}(10時間半減期温度60℃)0.02gを氷冷しながら約5分間十分に撹拌して重合性組成物を得た。
次いで、得られた重合性組成物をポリエチレンの多孔質膜に含浸させ、厚さ40〜60μmに成膜した。
次いで、成膜した重合性組成物を6時間かけて30から70℃に昇温し、100℃で4時間加熱して重合させて、プロトン伝導性膜を得た。
開始剤として、2,2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕塩酸塩0.15gのみを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、プロトン伝導性膜を得た。
直径2cmの円形の窓を有する2つの円形セルを使用し、窓の部分でゴムパッキンを介して、プロトン伝導性膜を挟み込み、一方のセルには30質量%メタノール水溶液を、他方のセルには純水を入れ、25℃にて3時間、スターラーで攪拌した。その後、純水側に透過したメタノール量をガスクロマトグラフィーにより測定し、Nafion117(デュポン社製)(登録商標)を使用した場合の透過量に対する透過量の比(MCO比)を算出した。結果を表1に示す。
プロトン伝導性膜を4センチ角に切り取り重さを測って、純水100mL中に入れ、80℃で4時間放置した。その後、水を捨てて不溶物を乾燥させて重さを測り、ゲル分率(%)を算出した。結果を表1に示す。
Claims (8)
- ケイ素−酸素結合を有する架橋性化合物(A’)、ケイ素−酸素−ケイ素結合を形成し得る基及び重合性不飽和二重結合を有するシラン化合物(α)、酸基及び重合性不飽和二重結合を有する酸基含有化合物(β)及び重合開始剤を混合して、重合性組成物を調製する第一工程と、該重合性組成物を成膜する第二工程と、成膜した重合性組成物を重合させる第三工程とを有するプロトン伝導性膜の製造方法であって、
前記ケイ素−酸素結合を有する架橋性化合物(A’)が、下記一般式(1’)で表され、
前記重合開始剤として、10時間半減期温度が異なる複数種類の重合開始剤を使用することを特徴とするプロトン伝導性膜の製造方法。
- 前記第三工程における前記シラン化合物(α)及び前記酸基含有化合物(β)の重合温度の範囲内に10時間半減期温度がある前記重合開始剤を複数種類使用し、これら重合開始剤の10時間半減期温度の差が最大で16℃以上であることを特徴とする請求項1に記載のプロトン伝導性膜の製造方法。
- 前記第三工程において、前記重合開始剤の10時間半減期温度のうち、最も低い温度以下の温度で反応を開始し、且つ最も高い温度以上の温度まで昇温して反応を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のプロトン伝導性膜の製造方法。
- さらに、前記シラン化合物(α)又は前記酸基含有化合物(β)と結合可能な官能基を1分子中に2つ以上有する架橋剤(C)を添加して前記第一工程を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のプロトン伝導性膜の製造方法。
- 前記R2、R3、R4、R5、R6及びR7が、それぞれ独立にメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基又は水酸基であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のプロトン伝導性膜の製造方法。
- 前記R2、R3、R4、R5、R6及びR7が、それぞれ独立にメトキシ基又は水酸基であることを特徴とする請求項5に記載のプロトン伝導性膜の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法で製造されたことを特徴とするプロトン伝導性膜。
- ケイ素−酸素結合を有する架橋性化合物(A)と、シラン化合物と共有結合し、且つ酸基を有する酸基含有構造体(B)とが、ケイ素−酸素−ケイ素結合によって連結されてなるプロトン伝導性膜であって、
ゲル分率が96%以上であり、
前記ケイ素−酸素結合を有する架橋性化合物(A)が、下記一般式(1)で表され、
前記酸基含有構造体(B)が、ケイ素−酸素−ケイ素結合を形成し得る基及び重合性不飽和二重結合を有するシラン化合物(α)と、酸基及び重合性不飽和二重結合を有する酸基含有化合物(β)とが共有結合してなる構造体を含むことを特徴とするプロトン伝導性膜。
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