JP2009286663A - カーボンナノチューブの分離方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】カイラリティの異なるカーボンナノチューブを含む混合物から、所望のカイラリティのカーボンナノチューブを高い回収率で分離可能なカーボンナノチューブの分離方法を提供する。
【解決手段】カイラリティの異なる1種以上のカーボンナノチューブを含む混合物から所望のカイラリティのカーボンナノチューブを分離する、下記(1)から(3)の工程を含むことを特徴とするカーボンナノチューブの分離方法。
(1)カイラリティの異なる1種以上のカーボンナノチューブを含む混合物を溶媒に可溶化し、可溶化溶液を形成する工程
(2)前記可溶化溶液中に結合性反応物質を添加して、可溶化溶液中の特定群のカイラリティのカーボンナノチューブに結合性反応物質を選択的に結合させる工程
(3)前記結合性反応物質が結合したカーボンナノチューブと、結合性反応物質が結合していないカーボンナノチューブとを分離する工程
【選択図】 なし

Description

本発明は、カーボンナノチューブの分離方法に関する。さらに詳しくはカイラリティの異なる1種以上のカーボンナノチューブを含む混合物から所望のカイラリティを有するカーボンナノチューブを分離する方法に関するものである。
カーボンナノチューブ(以下、「CNT」と記載することもある。)は、グラフェンシート(炭素六員環からなる層)を円筒状に丸めた、直径が数nm〜数十nmのチューブ状の物質であり、熱的・化学的安定性、力学的強度、電子伝導性、熱伝導性、近赤外域まで伸びた分光特性を有する優れたナノマテリアルとして注目されている。
また、CNTには、前記グラフェンシートが1層である単層CNT(SWCNT)、グラフェンシートが2層である2層CNT(DWCNT)、グラフェンシートが2層以上の多層CNT(MWCNT)があるが、特にSWCNTは、量子効果が顕著であるため、注目されている。
また、CNTは、そのカイラリティ(螺旋度)の違いによってアームチェア型、ジグザグ型、及びカイラル型に分類することができ、直径などの構造面の変化が生じると共に、その電気的特性(バンドギャップ、電子準位など)はカイラル角に依存して変化することが知られている。アームチェア型のカーボンナノチューブは金属的な電気的特性を持ち、その他のカイラル角を持つカーボンナノチューブは半導体的な電気的特性を持つことが知られている。このような物性を利用して、金属性単層カーボンナノチューブ(以下、「金属性SWCNT」と称す)は、希少金属を用いた透明導電材料の代替品として液晶ディスプレイや太陽電池パネル用の透明電極への利用が期待されており、また、半導体性カーボンナノチューブ(以下、「半導体性SWCNT」と称す)は、高性能トランジスタや超短光パルス発生、光スイッチなどの材料として期待されている。
特に、半導体性SWCNTにおけるバンドギャップは、カイラリティに依存して変化するため、半導体性SWCNT本来の性能を引き出したデバイスを作製するためには、カイラリティの単一性が高いSWCNTを得ることが重要である。
SWCNTの合成法には、主に三つの方法があるが、いずれの方法においても単一のカイラリティのSWCNTのみを合成できるわけではない。合成法の一つにCVD(Chemical Vapor deposition)法があり、工業的に低コストで大量合成が可能な方法である。使用する炭素源や触媒金属の種類により、HiPCO(High Pressure Carbon monoxide)法、CoMoCAT(cobalt-Molybdenum catalysts)法、アルコールCVD法などが存在するが、いずれの方法においても、カイラリティの単一性の高いSWCNTを選択的に合成することができないため、合成されるSWCNTは、様々なカイラリティのSWCNT及び炭素系副生成物を含む混合物である。一方、特定のカイラリティを有するSWCNTの選択的合成を指向した合成方法としては、電気放電法やレーザー蒸着法がある。しかしながら、これらの方法においても単一のカイラリティのSWCNTのみを合成できるわけではないことに加え、これらの方法は、装置が高価であり、また、製造効率が低いことから大量生産に適さないのが実状である。
そのため、CVDなどの低コストの合成方法で製造した、カイラリティの異なるCNTを含む混合物から、所望のカイラリティのSWCNTを分離する方法が求められている。そのような方法として、これまでに特許文献1や非特許文献1の方法や、密度勾配分離法が知られている。
特許文献1記載の分離方法は、非イオン性界面活性剤によって、金属性SWCNTと半導体性SWCNTとに異なる電荷を帯電させたのちに電界を印加することで、金属性SWCNTと半導体性SWCNTを分離する方法である。
非特許文献1記載の分離方法は、一本鎖DNAで可溶化したSWCNTをイオン交換カラムによりカイラリティ分離を行ったものである。この分離方法は、水素結合によってSWCNT上で高い秩序性を持ったグアニンとチミンの塩基配列からなる一本鎖DNAによって、SWCNTの表面には均一な電荷密度分布が存在するようになることを利用した方法であり、SWCNTの直径によってその電荷密度分布も変化するため、カイラリティ分離が可能としたものである。
また、密度勾配分離法は、直径の異なるSWCNTの密度の違いに基づいて、SWCNTを分離する方法である。
特開2008−55375号公報 M. Zheng et al., Science 302, 1545 (2003)
しかしながら、特許文献1記載の分離方法は、金属性SWCNTと半導体性SWCNTとを分離することができるものの、異なったカイラリティを有する半導体性SWCNTを分離することができない。
また、非特許文献1記載の分離方法は、直接的なSWCNTの性質ではなく、SWCNT上のDNAの電荷密度の差によって分離を行うため、直径が同程度であり、かつ電気的特性の近いカイラリティの密集した部分での分離は困難であると推測される。さらに、高い分離能のためにはSWCNTの長さがそろっていることを必要とする。また合成DNAは非常に高価であるという問題がある。
さらに、従来の密度勾配分離法は、直径の異なる(密度の異なる)SWCNTを分離することは可能であるが、略同一直径のSWCNTを効果的に分離することはできない。直径の近いSWCNT(例えば、カイラルベクトル(6,5)と(7,5))のSWCNTの分離については複数回の密度勾配遠心を行う必要がある。その上でなお特に直径の近い(6,5)と(8,3))のSWCNTの分離は達成できていない。また効率的な分離のためには、SWCNT試料を密度勾配の中ほどに注入する必要があり、これは密度勾配を作製する専用の装置が必要である。
このように、従来の分離方法では、略同一直径で密度が近似するSWCNTを分離することはできなかった。
そこで、本発明の目的は、カイラリティの異なるSWCNTを含む混合物から、所望のカイラリティのSWCNTを、高い回収率で分離可能なカーボンナノチューブの分離方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的を達成することを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は、下記の<1>〜<10>の発明に係るものである。
<1> カイラリティの異なる1種以上のカーボンナノチューブを含む混合物から所望のカイラリティのカーボンナノチューブを分離する、下記(1)から(3)の工程を含むカーボンナノチューブの分離方法。
(1)カイラリティの異なる1種以上のカーボンナノチューブを含む混合物を溶媒に可溶化し、可溶化溶液を形成する工程
(2)前記可溶化溶液中に結合性反応物質を添加して、可溶化溶液中の特定群のカイラリティのカーボンナノチューブに結合性反応物質を選択的に結合させる工程
(3)前記結合性反応物質が結合したカーボンナノチューブと、結合性反応物質が結合していないカーボンナノチューブとを分離する工程
<2> 前記工程(1)において、前記溶媒が極性溶媒であって、かつ、カーボンナノチューブ表面に吸着可能な高分子および/または界面活性剤を含む前記<1>記載のカーボンナノチューブの分離方法。
<3> 前記極性溶媒が、水である前記<2>記載のカーボンナノチューブの分離方法。
<4> 前記工程(1)において、前記可溶化溶液が、前記カイラリティの異なる1種以上のカーボンナノチューブを含む混合物を、超音波照射により前記溶媒に分散させたのちに、遠心分離を行うことで得られる上澄み液である前記<1>から<3>のいずれかに記載のカーボンナノチューブの分離方法。
<5> 前記工程(2)において、前記結合性反応物質の反応が、前記特定群のカイラリティのカーボンナノチューブからの電子の授受によって行われる前記<1>記載のカーボンナノチューブの分離方法。
<6> 前記結合性反応物質が、貴金属塩である前記<5>記載のカーボンナノチューブの分離方法。
<7> 前記貴金属塩が、塩化金酸である前記<6>記載のカーボンナノチューブの分離方法。
<8> 前記工程(3)における分離方法が、密度勾配分離法である前記<1>記載のカーボンナノチューブの分離方法。
<9> 前記所望のカイラリティのカーボンナノチューブが、カイラルベクトル(6,5)のカーボンナノチューブである前記<1>から<8>のいずれかに記載のカーボンナノチューブの分離方法。
<10> 前記カーボンナノチューブが、単層カーボンナノチューブである前記<1>から<9>のいずれかに記載のカーボンナノチューブの分離方法。
本発明の分離方法によると、所望のカイラリティのCNTを容易に分離することができる。また、本発明は回収効率がよい分離方法であるため、本発明によれば例えばCNTの分離処理の低コスト化が図れる。また一回の分離に関るコストについても低コストである。
以下、本発明につき詳細に説明する。
本発明は、まず、カイラリティの異なる1種以上のカーボンナノチューブを含む混合物から所望のカイラリティのカーボンナノチューブを分離する、下記(1)から(3)の工程を含むカーボンナノチューブの分離方法に係るものである。
(1)カイラリティの異なる1種以上のカーボンナノチューブを含む混合物を溶媒に可溶化し、可溶化溶液を形成する工程
(2)前記可溶化溶液中に結合性反応物質を添加して、可溶化溶液中の特定群のカイラリティのカーボンナノチューブに結合性反応物質を選択的に結合させる工程
(3)前記結合性反応物質が結合したカーボンナノチューブと、結合性反応物質が結合していないカーボンナノチューブとを分離する工程
本発明において、カイラリティの異なる1種以上のカーボンナノチューブを含む混合物(以下、「CNT混合物」とよぶこともある。)とは、少なくともカイラリティの異なるCNTを含むものであれば特に制限されず、(カイラリティの異なる)SWCNTのみからなる混合物、SWCNT以外にも複層のCNT(DWCNT,MWCNT)を含む混合物、さらにCNT以外に、他の炭素系副生成物を含む混合物のすべてを意味する。また、カイラリティの異なるSWCNTからなる混合物には、金属性SWCNTのみからなる混合物、金属性SWCNTと半導体性SWCNTからなる混合物及び半導体性SWCNTのみからなる混合物が含まれる。
このようなCNT混合物において、SWCNTのみからなるCNT混合物、若しくはSWCNTを主成分とするCNT混合物が好適に使用され、コスト面から、従来公知のSWCNT合成法より得ることができる、SWCNTを主成分とするCNT混合物が一般的に使用される。また、本発明において、「所望のカーボンナノチューブ(CNT)」とは、最終工程である工程(3)において、高純度に分離回収可能なカイラリティのCNTを意味し、単一のカイラリティのCNTだけでなく、複種類のカイラリティのCNTの混合物も含む。
従来のSWCNT合成法としては、CVD法、HiPCO法、CoMoCAT法などが挙げられる。このような従来のSWCNT合成法では、カイラリティが単一であるSWCNTは形成できず、カイラリティの異なるSWCNTが合成される。
ここで、「カイラリティの異なる」とは、グラフェンシートを構成する炭素六員環の配列の異なることをいう。なお、SWCNTの電気的特性は、このグラフェンシートを構成する炭素六員環の配列に依存する。
また、ナノチューブを形成する炭素原子の空間配向は、カイラルベクトル(n,m)によって記述することができる。なお、本明細書において、カイラルベクトル(n,m)のSWCNTを、「(n,m)のSWCNT」と表記する。
次に、上記工程(1)から(3)のそれぞれについて詳細に説明する。
工程(1)は、カイラリティの異なる1種以上のカーボンナノチューブを含む混合物(CNT混合物)を溶媒に可溶化し、可溶化溶液を形成する工程である。ここで、「可溶化溶液」とは、溶媒中でCNT混合物に含まれるCNT(特にSWCNT)が、孤立分散状態で安定に存在している状態のことを指す。
通常、SWCNTは合成段階で凝集したバンドルと呼ばれる状態になる。このバンドル状態において、各SWCNTは、ファンデルワールス力で強く結合しているため、あらゆる溶媒に対して溶解度が低いが、この工程において、各SWCNTを孤立分散状態とすることで、溶媒に可溶化する。
SWCNTを溶解させる溶媒としては、水、メタノール、エタノール、DMF、酢酸エチル、クロロホルム、THFなど一般的な溶媒各種を使用することができ、特に後述する金属塩を使用可能であるため、極性の高い溶媒(以下、「極性溶媒」と称す。)が好適であり、水が特に好適である。
ここで、溶媒に極性溶媒(特に水)を使用する場合には、CNTの表面は疎水性であるため、CNT表面に吸着可能な高分子および/または界面活性剤が添加されることが望ましい。前記高分子としてはDNA、ポリイミド、芳香族官能基を結合させた各種水溶性高分子、糖鎖、ペプチド、ポリエチレングリコールなどが利用可能である。界面活性剤としては、ドデシル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド、デオキシコール酸ナトリウム、アエロゾールT、トライトンーXなどの界面活性剤などを使用することができる。これらの中でも、特にコール酸ナトリウムはSWCNTの後述する工程(3)を密度勾配分離法で行った場合において、密度の分布を増加させないため、好適に使用される。なお、CNT表面に吸着可能な高分子、界面活性剤は、単独で用いてもよいし、2種類以上を用いてもよい。
また、酸化還元反応を利用する点および、溶存酸素によるSWCNTの酸化が阻害されることを回避するために、可溶化溶液のpHは、7以上のpHで一定であることが望ましく、リン酸緩衝液(pH=7.6)、トリス塩酸緩衝液、ホウ酸緩衝液などの緩衝液でpHが一定に保つことが望ましい。
前記界面活性剤を含む溶液に、前記CNT混合物を添加し、超音波処理、機械的な混合、震盪、加熱などの各種分散化処理手段を行うことで溶液中にCNT混合物を分散させる。分散化処理手段は、従来公知のものでよく、特に制限されないが、超音波処理は効率よくCNTを孤立分散状態にすることができるため、好適に用いられる。
前記溶液に分散させるCNT混合物の量は、分散可能な範囲であれば特に制限されないが、例えば、前記溶液に対して、0.05mg/mL〜10mg/mLであって、好ましくは、0.2mg/mL〜1mg/mLである。
次に、CNT混合物が分散した溶液に、遠心分離処理を行うことで、CNTを主成分として含む上澄み液と、CNT以外の炭素材料が主成分として含む下層液に分離し、このうち、CNTを主成分として含む上澄み液を抽出する。
遠心分離処理の条件としては、例えば、60000xg 1h〜240000xg, 4hである。
なお、上述の方法では、CNT以外の炭素材料を含むCNT混合物を使用したが、SWCNTのみを含む試薬を使用してもよい。この場合、上記の遠心分離による上澄み液の抽出工程が省略できる。
次に、上記工程(2)について詳細に説明する。
工程(1)で得た溶液には、カイラリティの異なるCNTが含有されている。工程(2)は、このカイラリティの異なるCNTを含む溶液に結合性反応物質を添加して、溶液中の特定群のカイラリティのCNTに、結合性反応物質を選択的に結合させる工程である。この工程において、結合性反応物質が結合した特定群のカイラリティのCNTは、結合性反応物質が結合していないCNTと比較して密度が大きくなるなど物性が変化するため、後述する工程(3)において、両者の分離が可能となる。
なお、本発明において、「特定群のカイラリティのカーボンナノチューブ(CNT)」とは、結合性反応物質が結合しうるCNTを意味し、単一のカイラリティのCNT及び複種類のカイラリティのCNTも含む。また、「結合性反応物質」とは、反応を伴ってCNTと結合する物質を意味する。結合性反応物質がCNTに結合する際の形態は、粒子としての析出、クラスター、イオンとしての吸着などいずれの形態も含まれる。
また、結合性反応物質の反応は、電子の授受を伴う酸化還元反応が好ましく、CNTから電子の授受によって行われることが特に好ましい。これは、CNTからの電子が授受により結合性反応物質が反応すると、結合性反応物質がCNT表面に強固に結合するためである。
ここで、CNTから結合性反応物質に電子が授受されるかは、CNTの酸化還元電位ECNTと、結合性反応物質との酸化還元電位E0の値に依存する。すなわち、結合性反応物質の還元とCNTの酸化が起こる場合、結合性反応物質の酸化還元電位E0より正に大きい酸化還元電位ECNTを有するカイラリティのCNTには、結合性反応物質が結合しない。また、結合性反応物質の酸化還元電位E0と比較して、より負側に酸化還元電位ECNTを有するカイラリティを有するCNTには、結合性反応物質が結合することが可能である。
ところで、CNTの酸化還元電位ECNTは、そのカイライティに依存して相違するという特徴がある。代表的なカイラリティのSWCNTについてのカイラルベクトル(n,m)、直径(nm)及び酸化還元電位ECNTを表1に示す。
ここで、カイラリティの異なる1種以上のSWCNTを含む混合物に結合性反応物質を添加した場合について説明する。
添加した結合性反応物質の酸化還元電位E0が、(n1,m1)のSWCNTの酸化還元電位ECNTと(n2,m2)のSWCNTの酸化還元電位ECNTとの間にある場合には、(n2,m2)のSWCNT及び(n2,m2)のCNTの酸化還元電位ECNTより負側の酸化還元電位ECNTを有するSWCNTには、これらのSWCNTから電子が授受されることによって、結合性反応物質が結合する。例えば、結合性反応物質の酸化還元電位E0が1.00V(vs.NHE)の場合には、(10,2)、(7,6)、(9,4)、(8,6)、(9,5)、(11,3)、(8,7)、(9,7)のSWCNTに対して、結合性反応物質が結合する。その結果、結合性反応物質が結合したSWCNTの密度が増加し(重量が増加し)、結合性反応物質が結合していないSWCNT((6,5)、(8,3)、(7,5)、(8,4)のSWCNT)との密度の差が大きく異なることになる。この密度の差を利用して、後述する工程(3)によって結合性反応物質が結合したSWCNTと、結合性反応物質が結合していないSWCNTとを分離することができる。
なお、本発明において、「結合性反応物質が結合していない」とは、実質的に結合性反応物質が結合していないという意味であり、カーボンナノチューブに全く結合性反応物質が結合していない場合のみならず、結合性反応物質が結合していてもCNTの密度にほとんど変化がない場合も含まれる。
また、上述のように結合性反応物質が結合するか否かは、それぞれのSWCNTの諸物性のなかでも、SWCNTの酸化還元電位ECNTに依存する。すなわち、SWCNTの酸化還元電位ECNTと結合性反応物質の酸化還元電位E0との電位差が大きいほど、結合性反応物質がSWCNTに結合する速度が大きく、前記電位差が小さいほど結合性反応物質がSWCNTに結合する速度が小さい傾向がある。ただし、反応が酸化還元反応である場合は、その反応速度は反応物質の物性に強く依存するため、酸化還元電位の差だけでは反応速度を予測できないことがある。特に反応の活性化エネルギーが大きい場合は、十分な酸化還元電位差がある反応でも進行しないことがある。そのため、溶液中に存在する結合性反応物質の濃度、反応時間、反応温度を変化させ、特定のカイラリティを有するSWCNTへの結合性反応剤の反応量をコントロールすることで、カイラリティ選択的なSWCNTの分離が可能となる。
そのため、従来の分離法において、直径の差が小さく、密度の差が小さいため分離が困難であったSWCNTの混合物、例えば、(7,5)と(8,4)のSWCNTの混合物なども、酸化還元電位E0が適当な結合性反応物質を使用し、さらに結合性反応物質の濃度、反応時間、反応温度を変化させることで分離することが可能である。
使用できる結合性反応物質として、具体的には、金属塩、金属アルコキシド、金属錯体塩などが挙げられる。特に溶媒が水の場合には金属塩が好ましく、具体的には金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、鉄(Fe)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)などの金属の水酸化物、オキシ水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、有機酸塩、さらにそれらのハロゲン化物錯体、EDTA錯体、アンミン錯体、シアン化物錯体など各種錯体化合物、またはこれらの混合物が挙げられる。
この中でも、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)などの貴金属塩が好適に使用される。
特に金(Au)イオン及びその錯体は、幅広い酸化還元電位E0を有するため、金の金属塩が好適に使用される。例えば、結合性反応物質として、塩化金酸を使用するとカイラリティ(6,5)のSWCNTを、その他のカイラリティのSWCNTから容易に分離することができる。また、上述したように特定のカイラリティを有するSWCNTへの結合性反応剤の反応量は、溶液中に存在する結合性反応物質の濃度、反応時間、反応温度に依存するため、塩化金酸の濃度、反応時間、反応温度の条件を適宜コントロールすることで、塩化金酸の場合には、(6,5)以外にも(7,5)、(8,4)などのカイラリティ選択的なSWCNTの分離が可能となる。
次に、工程(3)について説明する。
工程(3)は、工程(2)において、結合性反応物質が結合していないSWCNTからなるグループ(以下、「グループGa」と称す。)と、結合性反応物質が結合したSWCNTからなるグループ(以下、「グループGb」と称す。)とを分離する工程である。
工程(3)における分離方法として、密度勾配分離法やゲル電気泳動など、CNTおよび/または結合性反応物質の物性を利用して分離する方法が利用できる。
特に密度勾配分離法は、結合性反応物質が結合したことによるCNTの密度変化を利用して、高純度なカイラリティの異なるCNTを簡便に分離・回収ができるために好適である。また、密度勾配分離法の中でも、密度勾配遠心法が好適である。この密度勾配遠心法には、以下の沈降速度法と密度勾配沈降平衡法とがある。
沈降速度法では遠心管(遠心チューブ)中にあらかじめ、上部から下部へ密度が大きくなる密度勾配を作っておき、この密度勾配液の上にRNAなどを含む最も軽い密度の溶液をバンド状に静かに重層する。これを超遠心機などで高速遠心すると、沈降係数(分子の比重、形、分子量の大きさで決まる分子の重さ)の大きいものほど早く沈降し、遠心管中で重さの順にバンド状に分子が並び、分離することができる。
一方、密度勾配沈降平衡法では長時間の超遠心によって遠心管中で上が薄く下が濃い濃度勾配ができる。遠心により生じたこの密度勾配中で、物質は自分の密度と同じ溶媒密度の所に上下から集まり、バンド状になり分離できる。この密度勾配沈降平衡法は再現性の高い分離が可能であるため特に好適である。密度勾配沈降平衡法は従来公知の装置及び条件で行うことができる。
以下では、図1に基づいて、密度勾配分離法として密度勾配沈降平衡法の例について説明する。
まず、塩化セシウム、スクロース、iodixanolなどを含む分離用溶媒を遠心用チューブに入れ、ゆっくりと傾けることで密度勾配した分離用溶媒を作製する(図1(a))。次に、密度勾配した分離用溶媒の上層に、工程(2)で結合性反応物質を添加したSWCNT可溶化溶液を加える(図1(b))。その後、分離用遠心機を使用して、長時間の超遠心を行うことによって、SWCNTからなるバンドが密度勾配した分離用溶媒内に形成される((図1(c))。
ここで、結合性反応物質が結合していないグループGaのSWCNTは浮遊しやすくなり、上層側にバンド(fa)を形成する。一方、結合性反応物質が結合したグループGbのSWCNTは、密度が大きくなるため沈降しやすくなり、下層側にバンド(fb)を形成する。それぞれのバンドのマイクロピペットなどで回収することで、グループGaのSWCNTと、グループGbのSWCNTとを分離することができる。
なお、回収したグループGbのSWCNTには、結合性反応物質が結合しているが、SWCNTは化学的安定性が高いため、適当な試薬を使用して結合した結合性反応物質を除去すればよい。例えば、結合性反応物質として、塩化金酸を使用した場合には、グループGbのSWCNTには金粒子が結合しているが、分離用溶媒を洗浄し、王水で金を溶解することで、SWCNTに影響を与えずに金粒子を除去することが可能である。
さらに、回収したグループGa,GbのSWCNTに対して、工程(2),(3)を繰り返すことで、回収するSWCNTの高純度化が可能である。
特に、工程(2),(3)繰り返す場合には、工程(2)において、結合性反応物質の種類、濃度、反応時間、反応温度を適宜選択することで、1回目の分離工程で回収したグループGa,GbのSWCNTをそれぞれカイラリティの異なるGa1,Ga2,Gb1,Gb2のSWCNTに分離することが可能である。
以下、実施例を用いて、本発明をより具体的に説明する。
1.試薬
使用した試薬を以下に示す。
・SWCNT:HiPCO法による非精製SWCNT(CNI,型番:R0488)
・界面活性剤:コール酸ナトリウム(TCI)
・緩衝溶液:リン酸緩衝水溶液 (NaH2PO4:Na2HPO4=1:3 pH7.5)
・溶媒:純水
2.吸収スペクトル測定
後述する工程(2)における、塩化金酸添加直後のSWCNT孤立分散溶液に対する吸収スペクトル測定は、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光社製、型番V−570S)を使用し、以下の条件で行った。
ダブルビーム
測定モード:Abs
可視・紫外部のバンド幅:2.0nm
近赤外部のバンド幅:8.0nm
走査速度:400nm/min
3.フォトルミネッセンス(PL)測定
後述する工程(3)の密度勾配分離法によって、フラクションに分離したSWCNT孤立分散溶液に対するPL測定は、近赤外分光蛍光測定装置(堀場社製、型番Nanolog 0650A)を使用し、以下の条件で行った。
測定モード:FF
励起光スリット幅:10nm
検出スリット幅:10nm
励起光波長:500−800nm
検出波長:900−1400nm
積算時間:5s
(実施例1)
(1)SWCNT孤立分散溶液の作製
1gのコール酸ナトリウムを、10mLの200mMリン酸緩衝水溶液及び15mLの純水に溶かした水溶液を4倍希釈し、1重量%のコール酸ナトリウムを含む20mMリン酸緩衝水溶液を得た。この水溶液に2.0mgのHiPCO法で合成されたSWCNTを加え、バス型超音波発生器 (BRANSON 5510)により超音波を1時間照射した。
超音波照射後のSWCNTを含む溶液(4.7mL)を、分離用小型超遠心機(日立工機株式会社製、型番himac CS100GXL)を使用して、遠心分離を行い(遠心条件:34000 rpm、25℃5PAチューブ、120000 xg、2 h)、上澄み3.8mLを回収することで、SWCNT孤立分散溶液を得た。
(2)SWCNT可溶化溶液への塩化金酸の添加
上記(1)で得たSWCNT可溶化溶液に、0.8mMとなるように塩化金酸を添加した。塩化金酸添加1分後の可溶化溶液をサンプリングし、上述の条件で吸収スペクトル測定を行った。残りの溶化溶液は、さらに6日静置させた。
(3)密度勾配分離法(密度勾配沈降平衡法)による分離
45% w/v iodixanol 20mM(1重量%のコール酸ナトリウムを含むリン酸緩衝水溶液)1.3mLに25% w/v iodixanol 20mMリン酸緩衝水溶液 1.3mLを静かに加え、1時間当たり85°の速度で傾けることで密度勾配した分離用溶媒を得た。この密度勾配した分離用溶媒の上層に上述のSWCNT孤立分散溶液0.8mLを静かに加えた後、分離用小型超遠心機(日立工機株式会社製、型番:himac CS100GXL)を使用して、174000xg、8h、25℃の条件で遠心分離を行うことで、SWCNTが複数のバンドに分離した試料溶液1を得た。
形成されたバンド(SWCNTが集まった状態)の位置を目視で確認し、該位置の溶液をマイクロピペッターによって分画した。なお、以下において、分画して得られたそれぞれをフラクションfと呼び、遠心チューブ底部からの高さ(mm)で表現した。具体的には、f20-25は、20mmから25mmまで分取したフラクションを意味する。
分取した各フラクションfに含まれるSWCNTのカイラリティを、上述の条件で近赤外フォトルミネッセンス測定により評価した。
(実施例2)
上記実施例1の(2)の工程において、塩化金酸の濃度を0.6mM、静置時間を7日間にした以外は、実施例1と同様にして、試料溶液2を得た。試料溶液2におけるバンドを目視で確認し、SWCNTを含むフラクションfを分取し、上述の条件で近赤外フォトルミネッセンス測定によって、各フラクションfに含まれるSWCNTのカイラリティを評価した。
(実施例3)
上記実施例1の(2)の工程において、塩化金酸の濃度を1.6mM、静置時間を4時間にした以外は、実施例1と同様にして、試料溶液3を得た。試料溶液3におけるバンドを目視で確認し、SWCNTを含むフラクションfを分取し、上述の条件で近赤外フォトルミネッセンス測定によって、各フラクションfに含まれるSWCNTのカイラリティを評価した。
(比較例1)
上記実施例1の(2)の工程において、塩化金酸を無添加としたこと以外は、実施例1と同様にして、試料溶液5を得た。試料溶液5において、上記実施例1〜4で形成されたバンドの位置に対応するフラクションfを分取し、上述の条件で近赤外フォトルミネッセンス測定によって、各フラクションfに含まれるSWCNTのカイラリティを評価した。
各実施例及び比較例1の評価結果を以下に説明する。
(評価結果1)
図2に孤立分散溶液への塩化金酸の添加1分後の吸収スペクトル測定の結果を示す。図2にみられる吸収スペクトルにおける吸収ピークは、それぞれ2〜3種類のカイラリティの異なるSWCNTに帰属される。
塩化金酸を添加した孤立分散溶液の吸収スペクトルでは、塩化金酸無添加(0mM)の吸収スペクトルでみられる約1050nm以上の吸収ピークが減少(0.4mM,0.8mM)あるいは消失(1.6mM)していることが確認された。この吸収ピークが減少あるいは消失は、対応するSWCNTの酸化(第一価電子帯からの電子の引き抜きによる第一価電子帯から第一伝導帯への遷移確率の減少あるいは消失を意味することから、SWCNTから塩化金酸へ電子が授受され(還元され)、SWCNTに金が析出したことをわかる。
一方、(6,5),(8,3),(7,5)のSWCNTに帰属される、約980nmに吸収ピークは、高波長側へのシフトと、ピーク強度の減少がみられるものの高濃度(1.6mM)を添加しても、消失することはなかった。
(評価結果2)
図3(a)に試料溶液5(比較例1)、図3(b)に試料溶液1(実施例1)に対応する密度勾配分離法後の遠心チューブの写真を示す。図3(a),(b)から、塩化金酸の添加の有無により形成されるバンドが明らかに相違していることがわかった。
すなわち、試料溶液5(比較例1)では、f23-28(遠心チューブの底からの高さ23mm−28mmのフラクション)の部分が黒く着色しているのに対し、試料溶液1(実施例1)では、f23-28の部分はほぼ透明で、f13-18(遠心チューブの底からの高さ13mm−18mmのフラクション)の部分周辺が着色していた。試料溶液5(比較例1)、試料溶液1(実施例1)のそれぞれについて、f13-18、f23-28を分取し、PL測定を行った。図4(a)〜(d)にPL測定の結果(2Dマッピング)で示す。
PL測定では、可視光を照射し、SWCNTからの近赤外光の蛍光を検出することでCNTのカイラリティの同定を行うことができる。なお、図4(a)〜(d)において、縦軸が照射光の波長、横軸が蛍光発光した波長を示し、また、濃淡で表現されたスポットがCNTのカイラリティに対応する。例えば、図4(a)において、波長約650nmの光を照射すると、波長約1030nmで蛍光発光する(7,5)のCNTが濃いスポットとして表現されている。スポットが濃いほど、そのスポットに対応するカイラリティのCNTの量が多いことを意味する。
試料溶液5(比較例1)で黒く着色したバンドに対応するフラクション(f23-28)のPL測定では、多数のスポットが確認されたが(図4(a))、無色のバンドに対応するフラクション(f13-18)では、スポットは確認されなかった(図4(b))。すなわち、すべてのカイラリティのSWCNTが密度の小さい上層のf23-28に集まっていることがわかる。
一方、試料溶液1(実施例1)では、f23-28には、(6,5)のSWCNTのスポットのみが確認され、f13-18に他のカイラリティのSWCNTのスポットが確認された。これは、塩化金酸を加えることによって(6,5)以外のSWCNTに金が結合した結果、(6,5)のSWCNTのみが上層側(低密度側)に残存し、金が析出した他のカイラリティのSWCNTが下層側(高密度側)に沈降したことを意味する。すなわち、(6,5)とそれ以外のカイラリティのSWCNTを分離できたことが確認された。
(評価結果3)
密度勾配分離法後の試料溶液2(実施例2)では、f24-26に着色が確認された(図示せず)。f24-26について、PL測定を行い、試料溶液5(比較例1)と比較した。
試料溶液5(比較例1)では、多数のカイラリティのSWCNTに対応するスポットが確認されたのに対し(図5(a))、試料溶液2(実施例2)では、(6,5)、(8,3)と、痕跡程度の(7,5)のSWCNTに対応するスポットのみが確認された(図5(b))。このことは、ある塩化金酸の濃度に対して、化学反応しないSWCNTを選択的に、孤立分散バンドの位置(f24-26)に残し、塩化金酸が結合したSWCNTはほぼ全てを分取に問題の無い密度の下層側に移動させることが可能であることを意味する。すなわち、主成分が(6,5)、(8,3)のCNTと、それ以外のカイラリティのCNTとを分離できたことが確認された。
(評価結果4)
密度勾配分離法後の試料溶液3(実施例3)では、複数のバンドが確認された(図6)。このうち、f23-24、f21-22及びf14-16のPL測定の結果を図7(a)〜(c)に示す。f23-24では、(6,5)の強度が最も強く、その他痕跡程度の(8,3)のCNTに対応するスポットが確認された。f21-22では、(7,5)の強度が最も強く、その他(6,5)、(8,3)、(8,4)に対応するCNTのスポットが確認された。f14-16では、f23-24及びf21-22で確認されたカイラリティ以外のCNTに対応するスポットが確認された。これらの結果は、塩化金酸の濃度や反応時間のコントロールにより密度の変化するSWCNTのカイラリティの選択や密度の変化量をコントロールし、SWCNTのカイラリティの分離を行うことが可能であることを意味する。すなわち、ある条件では、(6,5)と(8,3)の間で反応するSWCNT((6,5)以外)と反応しないSWCNT((6,5))を分離することができ、ある条件では、(6,5)および(8,3)とそれ以外のSWCNT、(6,5)、(8,3)、(7,5)、(8,3)とそれ以外のSWCNTと分離することができる。
本発明によると、さまざまなカイラリティのカーボンナノチューブを純度よく効率的に分離回収することができる。特にカイラリティの単一性の高い半導体性SWCNTの分離回収は、高性能トランジスタ、超短光パルス発生、光スイッチなどの材料を提供することが期待される。
本発明に係る密度勾配分離法の概念図である。 SWCNT可溶化溶液への塩化金酸の添加1分後の吸収スペクトル測定の結果である。 密度勾配分離法の後の遠心チューブの写真であり、(a)は試料溶液5(比較例1)、(b)は試料溶液1(実施例1)である。 密度勾配分離法の後に各フラクションで分取したSWCNT可溶化溶液PL測定の結果であり、(a)は試料溶液5(比較例1)のf23-28、(b)は試料溶液5(比較例1)のf13-18、(c)は試料溶液1(実施例1)のf23-28、(d)は試料溶液1(実施例1)のf13-18である。 密度勾配分離法の後に各フラクションで分取したSWCNT可溶化溶液PL測定の結果であり、(a)は試料溶液5(比較例1)のf24-26、(b)は試料溶液2(実施例2)のf24-26である。 密度勾配分離法後の試料溶液3(実施例3)の遠心チューブの写真である。 密度勾配分離法の後に各フラクションで分取した試料溶液3(実施例3)のSWCNT可溶化溶液のPL測定の結果であり、それぞれ(a)はf23-24、(b)はf21-22、(c)f14-16である。

Claims (10)

  1. カイラリティの異なる1種以上のカーボンナノチューブを含む混合物から所望のカイラリティのカーボンナノチューブを分離する、下記(1)から(3)の工程を含むことを特徴とするカーボンナノチューブの分離方法。
    (1)カイラリティの異なる1種以上のカーボンナノチューブを含む混合物を溶媒に可溶化し、可溶化溶液を形成する工程
    (2)前記可溶化溶液中に結合性反応物質を添加して、可溶化溶液中の特定群のカイラリティのカーボンナノチューブに結合性反応物質を選択的に結合させる工程
    (3)前記結合性反応物質が結合したカーボンナノチューブと、結合性反応物質が結合していないカーボンナノチューブとを分離する工程
  2. 前記工程(1)において、前記溶媒が極性溶媒であって、かつ、カーボンナノチューブ表面に吸着可能な高分子および/または界面活性剤を含む請求項1記載のカーボンナノチューブの分離方法。
  3. 前記極性溶媒が、水である請求項2記載のカーボンナノチューブの分離方法。
  4. 前記工程(1)において、前記可溶化溶液が、前記カイラリティの異なる1種以上のカーボンナノチューブを含む混合物を、超音波照射により前記溶媒に分散させたのちに、遠心分離を行うことで得られる上澄み液である請求項1から3のいずれかに記載のカーボンナノチューブの分離方法。
  5. 前記工程(2)において、前記結合性反応物質の反応が、前記特定群のカイラリティのカーボンナノチューブからの電子の授受によって行われる請求項1記載のカーボンナノチューブの分離方法。
  6. 前記結合性反応物質が、貴金属塩である請求項5記載のカーボンナノチューブの分離方法。
  7. 前記貴金属塩が、塩化金酸である請求項6記載のカーボンナノチューブの分離方法。
  8. 前記工程(3)における分離方法が、密度勾配分離法である請求項1記載のカーボンナノチューブの分離方法。
  9. 前記所望のカイラリティのカーボンナノチューブが、カイラルベクトル(6,5)のカーボンナノチューブである請求項1から8のいずれかに記載のカーボンナノチューブの分離方法。
  10. 前記カーボンナノチューブが、単層カーボンナノチューブである請求項1から9のいずれかにカーボンナノチューブの分離方法。
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