JP2005028560A - Dnaおよびオリゴヌクレオチドを用いる水溶性カーボンナノチューブの製造方法 - Google Patents
Dnaおよびオリゴヌクレオチドを用いる水溶性カーボンナノチューブの製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】カーボンナノチューブ(CNT)の強いバンドル構造を解き溶媒に可溶化することが重要な課題になっている。基礎及び応用にわたり化学・物理・バイオ・エレクトロニクスなどの領域でCNTの可溶化は機能化に結びつくことが理由として挙げることができる。
CNTの酸処理により生成するカルボン酸部位にDNAを化学結合させたハイブリッド化による可溶化がなされているが、コストが高い、未反応物の分離が困難、大量合成に不向き等の問題がある。
【解決手段】本発明によると、CNTとDNAを水中で混合してバス型の超音波装置を用いて超音波照射するだけの簡便な方法でCNTとDNAのハイブリッド化が可能で、コスト、分離、大量合成における問題点を解決することができた。
【選択図】 図1
CNTの酸処理により生成するカルボン酸部位にDNAを化学結合させたハイブリッド化による可溶化がなされているが、コストが高い、未反応物の分離が困難、大量合成に不向き等の問題がある。
【解決手段】本発明によると、CNTとDNAを水中で混合してバス型の超音波装置を用いて超音波照射するだけの簡便な方法でCNTとDNAのハイブリッド化が可能で、コスト、分離、大量合成における問題点を解決することができた。
【選択図】 図1
Description
カーボンナノチューブは、1991年NEC(株)の飯島澄男博士によって発見されたナノサイズの筒状の分子ワイヤーである。銅より高い電導度、高力鋼合金より高い引っ張り強度、超弾性、2800℃の耐熱性など極限の物性を備えたカーボンナノチューブは、すでに分子エレクトロニクスの分野で応用に向けて大きく展開している。
一方、生命体の遺伝情報を司るデオキシリボ核酸(DNA)は、遺伝子導入、DNAチップ、DNAセンサー、DNAコンピュータなどバイオテクノロジー、ナノテクノロジー領域の鍵を握るバイオ物質である。
DNAとCNTとのコンポジット材料は、特に化学・材料やバイオテクノロジー分野での広範な利用が見込まれる、遺伝子導入、DNAチップ、DNAセンサー、DNAコンピュータなどの開発の基盤技術になる可能性をもつ。このためには、DNAとCNTを均質に複合化する技術の開発が求められる。
DNAとCNTとのコンポジット材料は、特に化学・材料やバイオテクノロジー分野での広範な利用が見込まれる、遺伝子導入、DNAチップ、DNAセンサー、DNAコンピュータなどの開発の基盤技術になる可能性をもつ。このためには、DNAとCNTを均質に複合化する技術の開発が求められる。
“カーボンナノチューブ(以下CNTと記載)の強いバンドル構造をほどき、いかに溶媒に可溶化するか”は、CNT研究のホットなテーマの一つになっている。なぜなら、基礎および応用にわたり化学・物理・バイオ・エレクトロニクスなど多彩な分野・領域で、CNTの可溶化は機能化と結びつくからである。可溶化はポリマー鎖がほどけて一本一本が独立して溶解している状態であるが、CNTの場合この条件が完全に満足されている溶解状態を作り出すことは困難であり、実際はバンドル(集合)CNTが透明なコロイド分散状態で混在している場合が多い。
一方、DNAをナノ材料として扱う研究が展開しており、これまでさまざまなDNAを含む複合体が報告されている。DNA・CNT複合系は、ナノバイオテクノロジーとバイオテクノロジーを結ぶナノバイオテクノロジーとして興味ある素材である。DNAとCNTとを単純に混合しただけのコンポジット材料はすでに報告されているが、そこでは両者は相分離した構造であり、また用いられているDNAは二重らせんDNAでなく一本鎖DNAである。
CNTは適当な方法(酸処理など)で切断できる。切断部にはカルボン酸が生成する。同時に、CNTサイドウオールの欠陥部にもカルボン酸が生成する。このカルボン酸部位を用いてDNAおよびオリゴヌクレオチドを化学結合させたCNT・DNA(オリゴヌクレオチド)ハイブリッドが合成できることがすでに報告されている。(a)H.Cai,X.Cao,Y.Jiang,P.He,Y.Fang,Anal.Bioanal.Chem.,375,287(2003).(文献1)b)C.Dwyer,M.Guthold,M.Falvo,S.Washburn,R.Superfine,D.Erie,Nanotechnology,13,601(2002).(文献2)c)S.E.Baker,W.Cai,T.L.Lasseter,K.P.Weidkamp,and R.J.Hamers,Nano Lett.,2,1413(2002))(文献3)。
更に、Zhengらは、Nature Materials(Vol.2,No.5,pp.338−342,2003:本年5月号)(文献4)に短い二重らせんDNAおよびPoly T/C(チミンとシトシンから成る一本鎖のDNA)を用いてプローブ型の超音波照射により単層CNTが0.1M塩化カリウム水溶液に可溶化できることを報告した。
更に、Zhengらは、Nature Materials(Vol.2,No.5,pp.338−342,2003:本年5月号)(文献4)に短い二重らせんDNAおよびPoly T/C(チミンとシトシンから成る一本鎖のDNA)を用いてプローブ型の超音波照射により単層CNTが0.1M塩化カリウム水溶液に可溶化できることを報告した。
(文献1)
Anal.Bioanal.Chem.,375,287(2003)
(文献2)
Nanotechnology,13,601(2002)
(文献3)
Nano Lett.,2,1413(2002)
(文献4)
Nature Materials,2,No.5,pp.338−342(2003)
Anal.Bioanal.Chem.,375,287(2003)
(文献2)
Nanotechnology,13,601(2002)
(文献3)
Nano Lett.,2,1413(2002)
(文献4)
Nature Materials,2,No.5,pp.338−342(2003)
上記従来方法で得られるものは、新しいナノカーボンバイオ材料として展開が期待できるが、化学結合によるハイブリッド化は、コストが高い、未反応不純物の分離が困難、大量合成に不向きなどの重大な問題を抱えている。
又、Zhengらの方法では論文にデータが開示してあるのは一本鎖のPoly T/C DNAのみであり、短い二重らせんDNAに関する記述のみでデータの開示はない。また、彼らは0.1M塩化カリウム水溶液という高いイオン濃度でのみ実験を行っている。さらに彼らが用いたプローブ型の超音波照射では、プローブ先端からのチタンの微粉末が剥離しこれが水溶液に混入するという良く知られた欠点があるとともに、プローブ型の超音波照射では、照射による水溶液の温度上昇が大きく慎重な冷却操作が要求されるのも欠点として挙げられる。
又、Zhengらの方法では論文にデータが開示してあるのは一本鎖のPoly T/C DNAのみであり、短い二重らせんDNAに関する記述のみでデータの開示はない。また、彼らは0.1M塩化カリウム水溶液という高いイオン濃度でのみ実験を行っている。さらに彼らが用いたプローブ型の超音波照射では、プローブ先端からのチタンの微粉末が剥離しこれが水溶液に混入するという良く知られた欠点があるとともに、プローブ型の超音波照射では、照射による水溶液の温度上昇が大きく慎重な冷却操作が要求されるのも欠点として挙げられる。
本発明では、本発明によるCNT・DNA(オリゴヌクレオチド)ハイブリッドは、両者を純水中で混合し、バス型の超音波装置を用いて超音波照射するだけの簡便な方法で作成できる。バス型超音波照射はプローブ型超音波照射におけるTi微粉末の混入を防止すると共に冷却操作が困難な欠点を解決できる利点がある。DNAは切断していない市販の長い二重らせんDNA、切断した短い二重らせんDNA、二重らせんを合成オリゴヌクレオチド、二重らせんを形成しない一本鎖のDNAが含まれる。
本発明で得られた水中のCNT・DNA(オリゴヌクレオチド)ハイブリッドは、化学結合によるものではなく、CNT表面(サイドウオール)へのDNAの物理吸着によるものと推定される。CNT・DNA(オリゴヌクレオチド)ハイブリッドは構造的にはDNAと類似しており、荷電水溶性高分子のごとく振る舞う。また、荷電水溶性高分子で広く利用されている交互積層法により、さまざまな基板上にCNT・DNA(オリゴヌクレオチド)ハイブリッドの超薄膜を簡便に作成できた。
本発明で得られた水中のCNT・DNA(オリゴヌクレオチド)ハイブリッドは、化学結合によるものではなく、CNT表面(サイドウオール)へのDNAの物理吸着によるものと推定される。CNT・DNA(オリゴヌクレオチド)ハイブリッドは構造的にはDNAと類似しており、荷電水溶性高分子のごとく振る舞う。また、荷電水溶性高分子で広く利用されている交互積層法により、さまざまな基板上にCNT・DNA(オリゴヌクレオチド)ハイブリッドの超薄膜を簡便に作成できた。
本発明では、多種のCNTを材料として用いることが出来る。単層CNTは、主に、レーザー蒸発法、アーク放電法、並びに化学気相成長法(CVD法)で合成できるが、いずれで合成されたCNTも、また合成後精製処理したCNTにも適用できる。さらに多層CNTも同様に適用できる。精製CNTを用いる場合の精製法は以下の通りである。単層CNTは、合成空気中、炉温度225℃で18時間加熱処理後、濃塩酸中15分間超音波処理した。次に、100nmの細孔フィルターでロ別したCNTを炭酸水素ナトリウム水で洗浄後、50℃で減圧乾燥した。
DNAは二重ラセン又は一本鎖の何れでも使用可能である。特に、二重ラセンDNAのデータは低分子量のものに関しての記述があるものの実施例は無く、高分子量のものについての前例は皆無であった。本方法では高分子量DNAに対しても使用可能であることが判明した。DNAは切断しないでそのままか、もしくは純水中で約15分間、プローブ型の超音波照射装置(SMT社製、UH−300)を用いて超音波照射して切断し、鎖長を電気泳動法により確認した。更に、DNAの替わりにオリゴヌクレオチドを用いることも可能である。
超音波処理温度は1〜100℃、好ましくは1〜20℃、更に好ましくは5〜15℃がDNA分解酵素の活性を抑制するため、また実験を容易に行うために適切な温度である。更に、
DNAは二重ラセン又は一本鎖の何れでも使用可能である。特に、二重ラセンDNAのデータは低分子量のものに関しての記述があるものの実施例は無く、高分子量のものについての前例は皆無であった。本方法では高分子量DNAに対しても使用可能であることが判明した。DNAは切断しないでそのままか、もしくは純水中で約15分間、プローブ型の超音波照射装置(SMT社製、UH−300)を用いて超音波照射して切断し、鎖長を電気泳動法により確認した。更に、DNAの替わりにオリゴヌクレオチドを用いることも可能である。
超音波処理温度は1〜100℃、好ましくは1〜20℃、更に好ましくは5〜15℃がDNA分解酵素の活性を抑制するため、また実験を容易に行うために適切な温度である。更に、
で記載した文献4では0.1モルの塩の水溶液で可溶化が行われるているが、本系では純水中でも可溶化が可能で、より適用範囲が広いこと、作成が簡便であることが特徴である。
本発明は、カーボンナノチューブのナノサイエンス、ナノバイオテクノロジー研究分野の新しい素材として、産業上有用なナノカーボン材料となりうる。具体的な応用として、遺伝子導入、ガン治療などへのドラッグデリバリー、高感度DNA検出試薬などが挙げられる。
次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。
CNTとして単層CNT(Carbon Nanotechnologies,Inc.製品名HiPco)。この単層CNTは以下の方法で精製後実験に用いた。これを合成空気中、炉温度225℃で18時間加熱処理し、濃塩酸中、15分間超音波処理した。細孔フィルター(孔径100nm)を用いて炉別したCNTを0炭酸水素ナトリウム水で洗浄後、50℃で加熱減圧乾燥した。
二重らせんを形成するDNA(Salmon testes,6.8mg)を純水10mLに入れ、プローブ型超音波照射装置(SMT株式会社製、周波数20kHz)を用いて5−8℃で15分間超音波照射(出力200−300W程度)した。得られたDNAの鎖長は、電気泳動実験により、300−600ベースペアであることがわかった。
上記精製した単層CNTとDNAを純水中、バス型超音波照射装置(超音波洗浄器)を用いて5−10℃で1時間超音波処理を行い、800gの遠心分離により上澄みの黒色透明の水溶液を集めた。
図1は、この黒色透明水溶液ならびに単層CNTのみのカメラ写真を示した。明らかに、CNT単独では水に溶解しないが、DNA−CNT水溶液は、黒色透明水溶液であり、DNAによるCNTの可溶化を示している。
二重らせんを形成するDNA(Salmon testes,6.8mg)を純水10mLに入れ、プローブ型超音波照射装置(SMT株式会社製、周波数20kHz)を用いて5−8℃で15分間超音波照射(出力200−300W程度)した。得られたDNAの鎖長は、電気泳動実験により、300−600ベースペアであることがわかった。
上記精製した単層CNTとDNAを純水中、バス型超音波照射装置(超音波洗浄器)を用いて5−10℃で1時間超音波処理を行い、800gの遠心分離により上澄みの黒色透明の水溶液を集めた。
図1は、この黒色透明水溶液ならびに単層CNTのみのカメラ写真を示した。明らかに、CNT単独では水に溶解しないが、DNA−CNT水溶液は、黒色透明水溶液であり、DNAによるCNTの可溶化を示している。
で記載したように文献4(Nature Materials、2,No.5,pp.338−342,2003:本年5月号)では、0.1M塩化カリウム水溶液という高いイオン濃度で一本鎖DNAによるCNT可溶化実験の記載があるが、高いイオン濃度の水溶液でなく純水が適用できることが明らかとなった。本実験は純水並びに0.09M程度の塩溶液まで広く用いることが出来る。
得られた黒色透明水溶液に電子顕微鏡用のカーボングリッドを1−2秒浸後、減圧乾燥後に電子顕微鏡写真(TEM)を撮影した。また、同じ得られた黒色透明水溶液に新鮮な面を露出させたマイカを1−2秒浸後、減圧乾燥後した後、原子間力顕微鏡(AFM)によりCNTの映像化を行った。TEMおよびAFM観察でCNTが観察されたことから、DNAがCNTを可溶化していることが裏付けられた。黒色透明水溶液のTEMおよびAFM写真をそれぞれ図2、図3に示した。
図3は黒色透明水溶液のAFM像の高さプロファイルから単層CNTの水中での溶解状態を観察したものである。矢印で示したa−fでの像の高さは、それぞれ2.75、2.35、2.72、2.24、2.12および1.96nmであり、この値は、CNTのバンドル構造がほどけた状態で水中に可溶化していることを示している。また、バンドル構造で水中に可溶化しているCNTも認められる。このように、DNA可溶化CNTは水中でバンドル構造およびバンドルがほどけた構造の両方が存在した。
可溶化のメカニズムとして、超音波により生成が示唆される数%の一本鎖DNAがCNT表面にアンカリングしている、または、DNA二重鎖の溝(groove)へのCNTの相互作用が示唆される。
更に、黒色透明水溶液に対して紫外−可視−近赤外吸収スペクトルを行い、近赤外領域に単層CNTに特徴的な吸収バンドを認めた(図4)。この吸収バンドの吸光度から求めたDNAの可溶化量は、約30−100μg/mlであった。
得られた黒色透明水溶液に電子顕微鏡用のカーボングリッドを1−2秒浸後、減圧乾燥後に電子顕微鏡写真(TEM)を撮影した。また、同じ得られた黒色透明水溶液に新鮮な面を露出させたマイカを1−2秒浸後、減圧乾燥後した後、原子間力顕微鏡(AFM)によりCNTの映像化を行った。TEMおよびAFM観察でCNTが観察されたことから、DNAがCNTを可溶化していることが裏付けられた。黒色透明水溶液のTEMおよびAFM写真をそれぞれ図2、図3に示した。
図3は黒色透明水溶液のAFM像の高さプロファイルから単層CNTの水中での溶解状態を観察したものである。矢印で示したa−fでの像の高さは、それぞれ2.75、2.35、2.72、2.24、2.12および1.96nmであり、この値は、CNTのバンドル構造がほどけた状態で水中に可溶化していることを示している。また、バンドル構造で水中に可溶化しているCNTも認められる。このように、DNA可溶化CNTは水中でバンドル構造およびバンドルがほどけた構造の両方が存在した。
可溶化のメカニズムとして、超音波により生成が示唆される数%の一本鎖DNAがCNT表面にアンカリングしている、または、DNA二重鎖の溝(groove)へのCNTの相互作用が示唆される。
更に、黒色透明水溶液に対して紫外−可視−近赤外吸収スペクトルを行い、近赤外領域に単層CNTに特徴的な吸収バンドを認めた(図4)。この吸収バンドの吸光度から求めたDNAの可溶化量は、約30−100μg/mlであった。
バス型超音波照射装置の代わりにカップホーン型の超音波発生装置を用いて実施例と同様の実験を行ったところ、同様にDNA−CNTの黒色透明水溶液を得た。得られた黒色透明水溶液に対して電子顕微鏡写真(TEM)および原子間力顕微鏡(AFM)によりCNTの映像化を行ったところ、CNTが観察されたことから、DNAがCNTを可溶化していることが裏付けられた。バス型超音波照射装置とカップホーン型の超音波発生装置の併用でも同様の結果が得られた。
Carbon Nanotechnologies社製の単層CNTの代わりにMTR社製の単層CNT並びに多層CNTを用いて実施例1と同様の実験操作を行ったところ、同様にDNA−CNTの黒色透明水溶液を得た。得られた黒色透明水溶液に対して電子顕微鏡写真(TEM)および原子間力顕微鏡(AFM)によりCNTの映像化を行ったところ、CNTが観察されたことから、DNAがCNTを可溶化していることが裏付けられた。
Carbon Nanotechnologies社製の単層CNTの代わりにMTR社製多層CNTを用いて実施例1と同様の実験操作を行ったところ、同様にDNA−多層CNTの黒色透明水溶液を得た。得られた黒色透明水溶液に対して電子顕微鏡写真(TEM)および原子間力顕微鏡(AFM)によりCNTの映像化を行ったところ、CNTが観察されたことから、DNAが多層CNTを可溶化していることが裏付けられた。
未切断の長い二重らせんDNA(2000ベースペアー程度)や長さが一定のプラスミドDNAならびに一本鎖のDNAであるpoly Aを用いて実施例1と同様の実験を行ったところ、同じく黒色透明水溶液が得られた。得られた黒色透明水溶液に対して電子顕微鏡写真(TEM)および原子間力顕微鏡(AFM)によりCNTの映像化を行ったところ、CNTが観察されたことから、様々なDNAがCNTを可溶化することが裏付けられた。
二重らせんDNAの代わりに一本鎖のオリゴヌクレオチド(10量体)を用いて実施例1と同様の実験を行ったところ、同じく黒色透明水溶液が得られた。 得られた黒色透明水溶液に対して電子顕微鏡写真(TEM)および原子間力顕微鏡(AFM)によりCNTの映像化を行ったところ、CNTが観察されたことから、DNAがCNTを可溶化していることが裏付けられた。
実施例1で得られた黒色透明水溶液を多孔質のメンブレンフィルターで濾過したところ、DNAとCNTの複合体が得られた(図5)。
得られた複合体は超音波照射により再度水中に可溶化することができた。このTEM像を図6に示した。
得られた可溶化溶液と陽イオン性ポリマーであるポリアリールアミン塩酸塩水溶液に基板(ガラス、シリコンウエハー、金属など)に交互に浸漬(交互積層法)することにより、DNA・CNT複合体の超薄膜を基板上に固定できた。
交互積層法の具体的実験操作の方法を以下に示す。
石英基板を濃硝酸溶液に一晩浸し、milli−Q水で十分にリンスし、乾燥させた。この基板をポリアリールアミン塩酸塩水溶液(0.1ユニットmM)に20分浸漬後、引き上げ、水でリンスし、ドライヤーで十分に乾燥させた。次に、この基板をDNAとCNTの複合体水溶液に20分浸漬後、引き上げ、水でリンスし、ドライヤーで十分に乾燥させた。この操作を1サイクルとしてこれを30回繰り返した。この基板は、可視−近赤外吸収スペクトル測定で可視−近赤外領域に図4と同様の吸収バンドを示し、CNT超薄膜の形成が裏付けられた。
得られた複合体は超音波照射により再度水中に可溶化することができた。このTEM像を図6に示した。
得られた可溶化溶液と陽イオン性ポリマーであるポリアリールアミン塩酸塩水溶液に基板(ガラス、シリコンウエハー、金属など)に交互に浸漬(交互積層法)することにより、DNA・CNT複合体の超薄膜を基板上に固定できた。
交互積層法の具体的実験操作の方法を以下に示す。
石英基板を濃硝酸溶液に一晩浸し、milli−Q水で十分にリンスし、乾燥させた。この基板をポリアリールアミン塩酸塩水溶液(0.1ユニットmM)に20分浸漬後、引き上げ、水でリンスし、ドライヤーで十分に乾燥させた。次に、この基板をDNAとCNTの複合体水溶液に20分浸漬後、引き上げ、水でリンスし、ドライヤーで十分に乾燥させた。この操作を1サイクルとしてこれを30回繰り返した。この基板は、可視−近赤外吸収スペクトル測定で可視−近赤外領域に図4と同様の吸収バンドを示し、CNT超薄膜の形成が裏付けられた。
上記実施例6でポリアリールアミン塩酸塩水溶液の代わりにポリ(4−ビニルピリジニウム塩)を用いたところ、実施例6と同様にDNA・CNT交互積層超薄膜が石英基板上に固定できた。
上記実施例6で石英基板の代わりに水晶振動子用金電極を用いて交互積層実験を行った。実施例6の可視−近赤外吸収スペクトル測定の代わりに水晶振動子マイクロバランス法での測定で実施例6と同様のDNA・CNT交互積層超薄膜が金電極上に固定できることがわかった。
DNA又はオリゴヌクレオチドが共存しないCNT単独で、実施例1と同じ方法で超音波処理したが可溶化することはできなかった。
(1)DNAで可溶化した単層CNT水溶液、(2)単層CNTのみの分散水溶液
a:2.75,b:2.35,c:2.72,d:224,e:2.12,f:1.96(バンドル構造が解けた状態で水中に可溶化時の像の高さ(nm))
国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成15年度新エネルギー・産業技術総合開発機構「ナノカーボン応用製品創製プロジェクト」に関する委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの)
Claims (4)
- 二重ラセンDNA、一本鎖のDNA及びオリゴヌクレオチドのいずれか又はこれらの組み合わせとカーボンナノチューブを、純水中又は0.09M以下の塩を含む水溶液中で、バス型超音波洗浄器またはカップホーン型の超音波発生装置を用いて超音波処理した後、遠心分離により得られる水溶性カーボンナノチューブの製造方法
- カーボンナノチューブが単層又は多層である請求項1記載の水溶性カーボンナノチューブの製造方法
- DNAの核酸塩基対が100以上の二重ラセン構造を示す請求項1、又は2に記載の水溶性カーボンナノチューブの製造方法
- 前記請求項1記載のDNA可溶化カーボンナノチューブ水溶液と陽イオン性ポリマー水溶液にガラス、セラミック、シリコンウエハー、金属及び樹脂の何れかからなる基板を交互に浸漬して得られるDNA−カーボンナノチューブ交互積層多層超薄膜の製造方法
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