JP2009285766A - 切削工具及び仕上切刃の突出量補正方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】仕上切刃47が工具本体21径方向に出没可能に配置された切削工具20であって、工具本体21内部には軸線O方向に移動可能に配置されたピストン28の工具本体21先端側に棒状部材43が接続され、この棒状部材43に対して交差するように配置されたスライド部材46に仕上切刃47が備えられており、棒状部材43の工具本体21先端側には、棒状部材43の先端面が当接される調整ネジ57が設けられており、この調整ネジ57に工具本体21先端面から突出する調整軸58を一体形成して、該調整軸58に被固定手段61としての切欠面61a、61aを形成する。
【選択図】図1
Description
棒状部材8の工具本体2先端側部分には、工具本体2後端側に向かうに従い前記第2切刃10の突出方向に傾斜したセレーション溝8Aが形成されている。スライド部材9には、前記セレーション溝8Aに嵌合可能なセレーション溝9Aが設けられており、これら棒状部材8のセレーション溝8Aとスライド部材9のセレーション溝9Aとが摺動可能に嵌合されている。
まず、工具本体2内にクーラントが供給され、このクーラントがピストン室4の第1空間6に流入されると、ピストン5がクーラントの圧力によって工具本体2先端側に移動され、ピストン室4のストッパ壁4Aにピストン5が当接される。このピストン5の移動に伴って棒状部材8が工具本体2先端側へ移動されることにより、棒状部材8のセレーション溝8Aに案内されてスライド部材9が移動し、第2切刃10が工具本体2径方向外側に突出される。一方、クーラントがピストン室4の第2空間7に流入されると、ピストン5がクーラントの圧力によって工具本体2後端側に移動されるとともに棒状部材8が工具本体2後端側へ移動し、棒状部材8のセレーション溝8Aに案内されてスライド部材9が移動し、第2切刃10が工具本体2径方向内側に後退する。
即ち、ギア歯13を、例えば機械テーブル上に固定された歯合ギア14と噛み合わせ、工具本体2を軸線O回りに回転させると、回動部材12と工具本体2とが相対回転する。すると、回動部材12の相対回転がネジ部材11に伝達されて当該ネジ部材11の軸線O方向の位置が変位させられる。この際、棒状部材8の先端面に調整ネジ11が当接していることから、調整ネジ11の移動により棒状部材8の軸線O方向の位置が位置決めされ、これにより棒状部材8の移動に伴うスライド部材9の位置が決定されて、第2切刃10の突出量が補正される。
即ち、上記ボーリングバーにおいて仕上切刃の突出量を補正するには、回動部材を工具本体に対して相対回転させるとともに、この回転力を当該回動部材とは別体の調整ネジに伝達させる必要がある。
この際、回動部材と調整ネジとの連結が確実でない場合には回転力のロスや伝達の遅れ等が生じることがあり、特に長期に亘ってボーリングバーを継続使用した際には、消耗等により回動部材と調整ネジとの間での連結に多少の誤差が生じることが想定される。
さらに、仕上切刃の突出量の補正機構を回動部材と調整ネジとの二点の部材を用いた構成では、いたずらに機構を複雑にしてしまうだけであり、ボーリングバー自体の生産性の低下を招くだけでなく、消耗等により部品交換をする際の作業が煩雑となってしまうという問題があった。
即ち、本発明に係る切削工具は、軸線回りに回転される工具本体を有し、該工具本体の外周に切刃が備えられるとともに、該切刃とは別に仕上加工用の仕上切刃が、前記工具本体径方向に出没可能に配置された切削工具であって、前記工具本体内部にはピストン室が形成され、該ピストン室には、前記軸線方向に移動可能にピストンが配置され、前記ピストン室のうち前記ピストンよりも前記工具本体後端側が第1空間とされ、前記ピストンよりも前記工具本体先端側が第2空間とされており、前記工具本体には、流体を前記ピストン室に供給する流体供給装置と、前記流体を前記第1空間または前記第2空間に選択的に供給させる切替装置とが備えられ、前記ピストンの前記工具本体先端側には棒状部材が接続されており、該棒状部材の前記工具本体先端側部分には、前記棒状部材に対して交差するように配置されて前記棒状部材が前記軸線方向に移動することにより前記軸線方向と交差する方向に移動されるスライド部材が備えられ、該スライド部材の前記工具本体外周側に前記仕上切刃が具備され、前記棒状部材の前記工具本体先端側に、前記軸線回りに回転されることで前記軸線方向に変位する調整ネジが、前記ピストンにより前記工具本体先端側に移動された前記棒状部材の先端面と当接状態に設けられ、前記調整ネジに、前記工具先端面から前記軸線に沿って突出する調整軸が一体形成されるとともに、該調整軸に、前記工具本体に対して相対回転不能に固定される被固定手段が形成されたことを特徴としている。
さらに、仕上切刃の突出量の補正機構の部品点数が一点のみとなるため、切削工具を製造する際や部品交換する際の時間と労力を大幅に低減させることが可能となる。
例えばテーブル側の固定治具に凹溝を設け、この凹溝に対して調整軸を挿入するとともに該調整軸の切欠面を凹溝の溝壁面と当接させることで、調整軸の軸線回りの回動が阻止される。この状態で切削工具を回転させることで容易かつ確実に調整軸を工具本体に対して相対回転させることが可能となる。
例えば、テーブル側の固定治具に突条を設け、この突条に調整軸の凹溝を嵌り込ませることで、調整軸の軸線回りの回動が阻止される。この状態で切削工具を回転させることによって、上記同様、調整軸を工具本体に対して容易かつ確実に相対回転させることが可能となる。
この工具本体21は、その後端側に位置する第1部材21Aと先端側に位置する第2部材21Bとに分割されており、これらが、図2に示すように、複数の結合ボルト23にて結合されている。
このピストン室27には、軸線O方向に往復運動可能なピストン28が配置され、ピストン28の外周面にはピストン室27の側壁と摺接するOリング29が備えられている。
また、コイルスプリング40は、工具本体21後端側が閉塞された有底筒状をなすスプリングカバー38に収容されており、このスプリングカバー38は、コイルスプリング40が一定以上収縮するのを規制するとともに、コイルスプリング40が伸張する際には第2ピストン39とともに第2ピストン室37の側壁面に摺接しながら軸線O方向に往復移動できるようになっている。
また、第2ピストン39には、クーラント孔32に対して連通されるとともに、第2ピストン39の側面に開口した内部流路41が備えられている。
また、このネジ孔部54のさらに工具本体21先端側には、該ネジ孔部54よりも一段小径とされるとともに工具本体2先端に開口する軸孔部55が穿設されている。
調整ネジ57は軸線Oに沿って延びる円柱状をなして上記ネジ孔部54に螺着されているとともに、その工具本体21後端側を向く端面は、軸線Oに垂直な平面状に形成されて棒状部材43の先端面が当接されるストッパ面57aとされている。
そして、調整軸58における基端部59よりも工具本体21先端側の部分は、当該基端部59よりも一段小径とされて工具本体21先端側に突出された被固定軸60とされており、この被固定軸60には、例えば機械テーブル側に設置された固定治具70に係合することよって、工具本体21の軸線O回りの回転に対して相対的に回転不能に固定される被固定手段61が形成されている。
本実施形態においては、この被固定手段61として、図1及び図3に示すように、被固定軸60の外周面の軸線O方向全域に互いに平行かつ軸線Oに対しても等間隔を空けて平行に切り欠かれて形成された一対の切欠面61a、61aが形成されている。
工具本体21内にクーラント孔32を通じて供給されるクーラントの単位時間当りの供給量を増加すると、クーラント圧力が高くなり第2ピストン39がクーラント圧力によって工具本体21先端側に移動され、クーラント孔32と第1流路35とが連通されてクーラントが第1流路35を通じてピストン室27の第1空間27Aに供給される。ピストン28よりも工具本体21後端側の第1空間27Aにクーラントが供給されることにより、このクーラントの圧力によって、ピストン28が工具本体21先端側に移動され、第2空間27B及び第2流路36に貯留されていたクーラントは、第2クーラント抜け孔31を通じて工具本体21外部に排出される。
本実施形態のボーリングバー20においては、工具本体21先端側に設けられた調整軸58を工具本体21に対して相対回転させることで、この回転が調整ネジ57に直接的に伝達されて該調整ネジ57が軸線O方向に変位してその位置が調整される。
また、棒状部材43の工具本体21先端側への移動が調整ネジ57の後端面のストッパ面57aまでに規制されているので、棒状部材43を工具本体21先端側に移動したときの軸線O方向の位置が決定され、第2切刃47を工具本体21径方向外側に突出した際の突出量が調整される。
換言すれば、調整軸58の回転により軸線O方向の位置が調整される調整ネジ57によって棒状部材43の最も工具本体先端側に移動した際の位置が限定され、これに伴ってスライド部材46の移動限が決定され、第2切刃47を工具本体21径方向外側に突出した際の最大突出量が決定されるのである。
この凹溝71の幅は、被固定軸60における一対の切欠面61a、61aの対向する距離と略同一に形成されており、両切欠面61a、61aが凹溝71の溝壁面71a、71aと当接することで、被固定軸60の軸線回りの回動、即ち調整軸58の回動が阻止される。
よって調整軸58と調整ネジ57との間で回転力のロスや遅れが生ずることがないため、これら調整軸58と調整ネジ57との動作が確実に一体的かつ同時に行われる。
したがって、調整軸58の相対回転に応じた正確な突出量の変位を第2切刃47に与えることができるため、第2切刃47の突出量の補正を極めて厳密に行うことが可能となる。
したがって、第2切刃47により仕上加工した後に加工穴の径を測定して第2切刃47の位置調整を自動で行い、次の加工に移行するといった加工プログラムを構成でき、マシニングセンタによって形成される加工穴の寸法精度を向上させることができる。
例えば変形例として、図4に示すようボーリングバー80であってもよい。この変形例のボーリングバー80は、上記実施形態のボーリングバー20における被固定手段61が調整軸58の先端側部分の被固定軸60に形成された切欠面61a、61aであるのに対し、被固定手段81として調整軸58の先端面に該調整軸58の直径方向に沿って切り欠かれた断面コの字状の凹溝81aが形成されている点で図1から図3に示した実施形態とは相違する。ただし、この凹溝81aの内壁面は、切欠面61aと同様に、互いに平行かつ軸線Oに対しても等間隔を空けて平行とされている。
21 工具本体
24 第1切刃(切刃)
27 ピストン室
28 ピストン
26 突状部
27A 第1空間
27B 第2空間
32 クーラント孔(主流路)
33 供給装置(流体供給装置)
34 制御装置
35 第1流路
36 第2流路
39 第2ピストン(切替装置)
40 コイルスプリング(付勢部材)
43 棒状部材
44A セレーション溝(ガイド部)
46 スライド部材
47 第2切刃(仕上切刃)
53A セレーション溝(被ガイド部)
57 調整ネジ
58 調整軸
61 被固定手段
61a 切欠面
80 ボーリングバー(切削工具)
81 被固定手段
81a 凹溝
Claims (4)
- 軸線回りに回転される工具本体を有し、該工具本体の外周に切刃が備えられるとともに、該切刃とは別に仕上加工用の仕上切刃が、前記工具本体径方向に出没可能に配置された切削工具であって、
前記工具本体内部にはピストン室が形成され、該ピストン室には、前記軸線方向に移動可能にピストンが配置され、前記ピストン室のうち前記ピストンよりも前記工具本体後端側が第1空間とされ、前記ピストンよりも前記工具本体先端側が第2空間とされており、
前記工具本体には、流体を前記ピストン室に供給する流体供給装置と、前記流体を前記第1空間または前記第2空間に選択的に供給させる切替装置とが備えられ、
前記ピストンの前記工具本体先端側には棒状部材が接続されており、該棒状部材の前記工具本体先端側部分には、前記棒状部材に対して交差するように配置されて前記棒状部材が前記軸線方向に移動することにより前記軸線方向と交差する方向に移動されるスライド部材が備えられ、該スライド部材の前記工具本体外周側に前記仕上切刃が具備され、
前記棒状部材の前記工具本体先端側に、前記軸線回りに回転されることで前記軸線方向に変位する調整ネジが、前記ピストンにより前記工具本体先端側に移動された前記棒状部材の先端面と当接状態に設けられ、
前記調整ネジに、前記工具先端面から前記軸線に沿って突出する調整軸が一体形成されるとともに、該調整軸に、前記工具本体に対して相対回転不能に固定される被固定手段が形成されたことを特徴とする切削工具。 - 前記被固定手段が、前記調整軸の外周面に互いに平行かつ前記軸線にも平行とされた一対の切欠面であることを特徴とする請求項1に記載の切削工具。
- 前記被固定手段が、前記調整軸の先端面から該調整軸の直径方向に沿って切り欠かれた凹溝であることを特徴とする請求項1に記載の切削工具。
- 請求項1から3のいずれか一項に記載の切削工具に備えられた仕上切刃の工具本体径方向外側への突出量を調整する仕上切刃の突出量補正方法であって、
前記被固定手段に係合可能な固定治具を配置し、該固定字具と前記被固定手段とを噛み合わせた状態で、前記工具本体を軸線回りに回転させることにより、前記工具本体と前記調整ネジとを相対的に回動させて、前記調整ネジの前記軸線方向位置を変位させることを特徴とする仕上切刃の突出量補正方法。
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