JP2009285765A - 硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性と耐摩耗性を発揮する表面被覆切削工具 - Google Patents

硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性と耐摩耗性を発揮する表面被覆切削工具 Download PDF

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Abstract

【課題】高硬度被削材の高速重切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性と耐摩耗性を発揮する表面被覆切削工具を提供する。
【解決手段】工具基体の表面に、(a)下部層として、組成式:(Ti1−XAl)N又は組成式:(Ti1−X−ZAl)N(Mは、Tiを除く周期律表4a,5a,6a族の元素、Si、B、Yのうちから選ばれた1種又は2種以上。0.45≦X≦0.75、0.01≦Z≦0.25)を満足するTiとAl(とM)の複合窒化物層、(b)上部層として、層厚方向に沿って、Y最高含有点とCr最高含有点とが交互に繰り返し存在し、CrとYの含有割合が連続的に変化する成分濃度分布構造を有し、Y最高含有点が、組成式:(Cr1−αα)N(0.16≦α≦0.26)を満足し、Cr最高含有点が、組成式:(Cr1−ββ)N(0.01≦β≦0.10)を満足するCrとYの複合窒化物層を蒸着形成する。
【選択図】 なし

Description

この発明は、例えば、合金工具鋼の焼入れ材、高硬度ステンレス鋼などの高硬度被削材を、高熱発生を伴うとともに切刃部に対して大きな機械的負荷がかかる高速重切削条件で切削加工した場合に、硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性と耐摩耗性を発揮する表面被覆切削工具(以下、被覆工具という)に関するものである。
一般に、被覆工具には、各種の鋼や鋳鉄などの被削材の旋削加工や平削り加工にバイトの先端部に着脱自在に取り付けて用いられるスローアウエイチップ、前記被削材の穴あけ切削加工などに用いられるドリルやミニチュアドリル、さらに前記被削材の面削加工や溝加工、肩加工などに用いられるソリッドタイプのエンドミルなどがあり、また前記スローアウエイチップを着脱自在に取り付けて前記ソリッドタイプのエンドミルと同様に切削加工を行うスローアウエイエンドミル工具などが知られている。
また、被覆工具としては、例えば、工具基体表面に、TiとAlの複合窒化物((Ti,Al)N)層、あるいは、これにさらに、Si、B、Y、Zr、V等を微量添加含有させたTiとAlを主成分とする複合窒化物(以下、これらを総称して、(Ti,Al,M)Nという)層を設けた被覆工具も知られており、特に、構成成分であるAlによって高温硬さと耐熱性、同Tiによって高温強度を具備することから、上記(Ti,Al,M)N層がすぐれた高温強度、耐欠損性、耐摩耗性を示すことも知られている。
さらに、上記の従来被覆工具が、例えば図2に概略説明図で示される物理蒸着装置の1種であるアークイオンプレーティング装置に工具基体を装入し、装置内を、例えば500℃の温度に加熱した状態で、硬質被覆層の組成に対応した合金がセットされたカソード電極、例えば、Ti−Al−M合金と、アノード電極との間に、例えば電流:90Aの条件でアーク放電を発生させ、同時に装置内に反応ガスとして窒素ガスを導入して、例えば2Paの反応雰囲気とし、一方、上記工具基体には、例えば−100Vのバイアス電圧を印加した条件で、前記工具基体表面に、(Ti,Al,M)N層からなる硬質被覆層を蒸着することにより製造されることも知られている。
特許第2644710号明細書 特許第2793773号明細書 特許第2793696号明細書 特開平8−199338号公報
近年の切削加工装置のFA化はめざましく、一方で切削加工に対する省力化および省エネ化、さらに低コスト化の要求は強く、これに伴い、切削工具には被削材の材種にできるだけ影響を受けない汎用性、すなわち、できるだけ多くの材種の切削加工が可能な切削工具が求められる傾向にあるが、上記の従来被覆工具においては、これを、合金工具鋼の焼入れ材、高硬度ステンレス鋼などの高硬度被削材の通常切削速度での切削加工に用いた場合には問題ないが、これらの被削材を、高い発熱をともなうとともに、切刃部に局部的に高負荷がかかる高送り、高切込み等の高速重切削条件で切削した場合には、切削時の発熱によって被削材および切粉は高温に加熱されて粘性が増大し、これに伴って硬質被覆層表面に対する溶着性が一段と増すようになり、その一方、高温下での硬質被覆層の潤滑性が低下するため、溶着、チッピング(微少欠け)、偏摩耗が発生し、これが原因で比較的短時間で使用寿命に至るのが現状である。
そこで、本発明者等は、上述のような観点から、特に合金工具鋼の焼入れ材、高硬度ステンレス鋼などの高硬度被削材の切削加工を、高熱発生を伴うとともに、高切り込みや高送りなどの切刃部に局部的な高負荷が作用する高速重切削条件で行った場合に、硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性と耐摩耗性を発揮する被覆工具を開発すべく、上記の従来被覆工具に着目し、研究を行った結果、
(a)上記従来被覆工具の硬質被覆層である(Ti,Al,M)N層を下部層として1〜5μmの平均層厚で形成し、これの上に上部層として、Crとの合量に占めるYの含有割合が1〜10原子%となるようにY成分を含有させたCrとYの複合窒化物層(以下、(Cr,Y)N層で示す)を形成すると、下部層である(Ti,Al,M)N層はすぐれた高温硬さ、高温強度、耐熱性を示し、また、上部層である(Cr,Y)N層はY成分の含有によって、所定の潤滑性を示すとともに耐熱性が向上することから、高熱発生を伴う切削加工においても、(Cr,Y)N層の潤滑性は維持され、被削材との溶着発生が抑制されるようになるが、潤滑性、耐溶着性効果は十分満足できるものであるとはいえないこと。
(b)しかし、上記(Cr,Y)N層において、より多量のY成分を含有させ、Crとの合量に占めるYの含有割合が16〜26原子%となるような(Cr,Y)N層を形成させると、この(Cr,Y)N層は、上記(a)の(Cr,Y)Nに比して高温硬さは劣るものの、靭性にすぐれ、かつ、高温条件下においてもより一層すぐれた潤滑性を保持し、溶着、チッピング発生を抑制できるようになること。
(c)そこで、(Cr,Y)N層からなる上部層を形成するにあたり、該上部層の層厚方向に沿って、Y含有割合が最大であるY最高含有点と、Y含有割合が最小であるCr最高含有点とを交互に繰り返し形成し、かつ、CrとYの含有割合がそれぞれ連続的に変化する成分濃度分布構造を有する硬質被覆層を蒸着形成したところ、Y含有割合が最大であるY最高含有点では、すぐれた靭性と一段とすぐれた潤滑性を有し、Y最高含有点の存在が、Y含有割合が最小であるCr最高含有点で不足する特性(潤滑性)を付与・補完することができること。
(d)そして、上記(Ti,Al,M)N層からなる下部層と上記(c)の(Cr,Y)N層からなる上部層は、例えば、図1(a)に概略平面図で、同(b)に概略正面図で示される構造のアークイオンプレーティング装置において、工具基体装着用回転テーブルを挟んで一方にはカソード電極(蒸発源)としてY最高含有点形成用Cr−Y合金を配置し、また、その他方の相対向する位置にはカソード電極(蒸発源)としてCr最高含有点形成用Cr−Y合金を配置し、さらに、上記両カソード電極の中間位置には、カソード電極(蒸発源)としてTi−Al−M合金を配置し、回転テーブルを回転させると共に工具基体自体も自転させながら、まず、(Ti,Al,M)N層からなる下部層を蒸着形成し、その後、Y最高含有点形成用Cr−Y合金からなるカソード電極(蒸発源)およびCr最高含有点形成用Cr−Y合金からなるカソード電極(蒸発源)とアノード電極との間にアーク放電を発生させることにより、Y最高含有点とCr最高含有点が交互に繰り返し存在し、かつ、CrとYの含有割合がそれぞれ連続的に変化する成分濃度分布構造を有する上部層を形成することができること。
(e)すぐれた高温硬さ、高温強度、耐熱性を備えた(Ti,Al,M)N層を下部層として蒸着形成し、その表面に、Y含有割合が最大であるY最高含有点と、Cr含有割合が最大であるCr最高含有点(即ち、Y含有割合が最小となるY最小含有点に相当)とが交互に繰り返し存在し、かつ、CrとYの含有割合がそれぞれ連続的に変化する成分濃度分布構造を有する上部層を蒸着形成してなる被覆工具は、合金工具鋼の焼入れ材、高硬度ステンレス鋼などの高硬度被削材を、高熱発生を伴い、高切り込みや高送りなどの切刃に高負荷のかかる高速重切削条件で行った場合であっても、下部層の有するすぐれた特性に加え、上部層のCr最高含有点がすぐれた耐熱性、高温硬さを示し、また、Y最高含有点がすぐれた靭性、潤滑性を示し、下部層と上部層からなる硬質被覆層全体としては、すぐれた高温硬さ、高温強度、耐熱性、靭性および潤滑性を相兼ね備えたものとなることから、長期に亘ってすぐれた耐チッピング性と耐摩耗性を発揮するようになること。
以上(a)〜(e)に示される研究結果を得たのである。
この発明は、上記の研究結果に基づいてなされたものであって、
「(1) 炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された工具基体の表面に、
(a)下部層として、1〜5μmの平均層厚を有し、かつ、
組成式:(Ti1−XAl)N(但し、XはAlの含有割合を示し、原子比で、0.45≦X≦0.75である)を満足するTiとAlの複合窒化物層、
(b)上部層として、1〜5μmの平均層厚を有し、かつ、
その層厚方向に沿って、Y最高含有点とCr最高含有点とが0.03〜0.1μmの間隔をおいて交互に繰り返し存在し、Y最高含有点からCr最高含有点へと、また、Cr最高含有点からY最高含有点へと、CrとYの含有割合がそれぞれ連続的に変化する成分濃度分布構造を有し、さらに、
前記Y最高含有点が、
組成式:(Cr1−αα)N(但し、αはYの含有割合を示し、原子比で、0.16≦α≦0.26である)を満足し、
前記Cr最高含有点が、
組成式:(Cr1−ββ)N(但し、βはYの含有割合を示し、原子比で、0.01≦β≦0.10である)を満足するCrとYの複合窒化物層
以上(a)、(b)で構成された硬質被覆層を形成してなる表面被覆切削工具。
(2) 前記(1)記載の表面被覆切削工具において、
下部層が、1〜5μmの平均層厚を有し、かつ、
組成式:((Ti1−X−ZAl)N(ここで、Mは、Tiを除く周期律表4a,5a,6a族の元素、Si、B、Yのうちから選ばれた1種又は2種以上の添加成分を示し、また、XはAlの含有割合、ZはMの含有割合をそれぞれ示し、原子比で、0.45≦X≦0.75、0.01≦Z≦0.25である)を満足するTiとAlとMの複合窒化物層である、
ことを特徴とする前記(1)記載の表面被覆切削工具。」
に特徴を有するものである。
つぎに、この発明の被覆工具の硬質被覆層の構成層に関し、上記の通りに数値限定した理由を説明する。
(a)下部層の組成および平均層厚
下部層を構成する(Ti,Al,M)Nの構成成分であるAl成分には硬質被覆層における高温硬さを向上させ、同Ti成分には高温強度を向上させる作用があり、さらに、M成分のうちの、Tiを除く周期律表4a,5a,6a族の元素、Si、B、には硬質被覆層の耐摩耗性を向上させる作用があり、また、Yには硬質被覆層の高温耐酸化性を向上させる作用があるが、Alの割合を示すX値がTiとの合量あるいはTiとMの合量に占める割合(原子比、以下同じ)で0.45未満になると、所定の高温硬さを確保することができず、これが耐摩耗性低下の原因となり、一方Alの割合を示すα値が同0.75を越えると、相対的にTiの含有割合が減少し、高速重切削加工で必要とされる高温強度を確保することができず、チッピングの発生を防止することが困難になり、さらに、M成分の含有割合(M成分として含有される成分の合計含有割合)を示すZ値がAlおよびTiとの合量に占める割合(原子比、以下同じ)で0.01未満では、M成分を含有させたことによる耐摩耗性、高温耐酸化性等の特性向上が期待できず、一方同Z値が0.25を超えると、高温強度に低下傾向が現れるようになることから、X値を0.45〜0.75、Z値を0.01〜0.25と定めた。
0.45≦X≦0.75、0.01≦Z≦0.25
また、その平均層厚が1μm未満では、自身のもつすぐれた耐摩耗性を長期に亘って発揮するには不十分であり、一方その平均層厚が5μmを越えると、上記の高速重切削では切刃部にチッピングが発生し易くなることから、その平均層厚を1〜5μmと定めた。
(b)上部層の組成
この発明では、CrとYの含有割合がそれぞれ連続的に変化する成分濃度分布構造を形成しているが、
まず、Y最高含有点における(Cr,Y)N層の組成を、
組成式:(Cr1−αα)N
で表した場合、Y最高含有点におけるCrとの合量に占めるYの含有割合αが0.16未満であると、高温条件下の高速重切削では、合金工具鋼の焼入れ材、高硬度ステンレス鋼などの高硬度被削材との十分な潤滑性を確保することができず、一方、αが0.26を超えると、高温靭性は向上するものの、高温硬さの急激な低下がみられ、摩耗が促進されるようになることから、Y最高含有点におけるCrとの合量に占めるYの含有割合αは、0.16〜0.26(但し、原子比)と定めた。
また、Cr最高含有点における(Cr,Y)N層の組成を、
組成式:(Cr1−ββ)N
で表した場合、Cr最高含有点におけるCrとの合量に占めるYの含有割合βが0.01未満であると、Y成分を含有させたことによる(Cr,Y)N層の高温硬さ向上効果を期待できず、一方、βが0.1を超えると、高温硬さが低下傾向を示し、十分な耐摩耗性を確保できなくなることから、Cr最高含有点におけるCrとの合量に占めるYの含有割合βは、0.01〜0.10(但し、原子比)と定めた。
(c)Y最高含有点とCr最高含有点との間隔および上部層の平均層厚
この発明では、硬質被覆層におけるY最高含有点とCr最高含有点との間隔を0.03〜0.1μmとしているが、Y最高含有点とCr最高含有点との間隔が0.03μm未満であると、Y最高含有点とCr最高含有点とがそれぞれ備えるすぐれた特性を十分発揮することはできず、一方、Y最高含有点とCr最高含有点との間隔が0.1μmを超えると、Y最高含有点とCr最高含有点、それぞれが有する欠点が顕在化する(例えば、Y最高含有点であれば高温硬さの不足、また、Cr最高含有点であれば潤滑性の不足)ようになるため、Y最高含有点とCr最高含有点との間隔を0.03〜0.1μmと定めた。
また、この発明では、硬質被覆層の層厚を1〜5μmと定めたが、層厚が1μm未満では、自身のもつすぐれた耐摩耗性を長期に亘って発揮するには不十分であり、一方その層厚が5μmを越えると、高硬度被削材の高速重切削加工では切刃部にチッピングが発生し易くなることから、その層厚を1〜5μmと定めた。
なお、この発明の(Cr,Y)N層からなる上部層は、同一成分系の蒸着膜で構成され、しかも、その組成変化が層内で連続的であるため、例えば、異種材料の蒸着膜を積層して硬質被覆層を形成したものと比べて、硬質被覆層自体の靭性が高く、層間剥離等の恐れはない。
(d)そして、(Ti,Al,M)N層からなる下部層と、(Cr,Y)N層からなる上部層は、例えば、図1(a)に概略平面図で、同(b)に概略正面図で示される構造のアークイオンプレーティング装置、すなわち装置中央部に工具基体装着用回転テーブルを設け、前記回転テーブルを挟んで一方にはカソード電極(蒸発源)としてY最高含有点形成用Cr−Y合金を配置し、また、その他方の相対向する位置にはカソード電極(蒸発源)としてCr最高含有点形成用Cr−Y合金を配置し、さらに、上記両カソード電極の中間位置には、カソード電極(蒸発源)としてTi−Al−M合金を配置したアークイオンプレーティング装置を用い、この装置の前記回転テーブル上の中心軸から半径方向に所定距離離れた位置に外周部に沿って複数の工具基体をリング状に装着し、この状態で装置内雰囲気を窒素雰囲気として前記回転テーブルを回転させると共に、蒸着形成される硬質被覆層の層厚均一化を図る目的で工具基体自体も自転させながら、まず、Ti−Al−M合金からなるカソード電極(蒸発源)とアノード電極との間にアーク放電を発生させて、(Ti,Al,M)N層からなる下部層を蒸着形成し、その後、Y最高含有点形成用Cr−Y合金からなるカソード電極(蒸発源)およびCr最高含有点形成用Cr−Y合金からなるカソード電極(蒸発源)とアノード電極との間にアーク放電を発生させることにより、Y最高含有点とCr最高含有点が交互に繰り返し存在し、かつ、CrとYの含有割合がそれぞれ連続的に変化する成分濃度分布構造を有する上部層を形成することができること。
この発明の被覆工具は、硬質被覆層を構成する下部層の(Ti,Al,M)N層が、すぐれた高温硬さ、耐熱性、高温強度を有し、あるいは、さらにすぐれた耐摩耗性、高温耐酸化性を有し、また、Y最高含有点とCr最高含有点とが交互に繰り返し形成され、CrとYの含有割合がそれぞれ連続的に変化する成分濃度分布構造を有する上部層の(Cr,Y)N層が、すぐれた潤滑性、耐熱性、高温硬さ、靭性を備えていることから、硬質被覆層は全体として、すぐれた高温硬さ、耐熱性、高温強度等に加え、すぐれた潤滑性を備えたものとなり、その結果、特に合金工具鋼の焼入れ材、高硬度ステンレス鋼などの高硬度被削材の、大きな発熱を伴い、かつ、高負荷のかかる高速重切削加工であっても、すぐれた耐チッピング性を示すとともに、長期に亘ってすぐれた耐摩耗性を発揮するものである。
つぎに、この発明の被覆工具を実施例により具体的に説明する。
原料粉末として、いずれも1〜3μmの平均粒径を有するWC粉末、TiC粉末、ZrC粉末、VC粉末、TaC粉末、NbC粉末、Cr粉末、TiN粉末、TaN粉末、およびCo粉末を用意し、これら原料粉末を、表1に示される配合組成に配合し、ボールミルで72時間湿式混合し、乾燥した後、100MPa の圧力で圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を6Paの真空中、温度:1400℃に1時間保持の条件で焼結し、焼結後、ISO規格・CNMG120408のチップ形状をもったWC基超硬合金製の工具基体A−1〜A−10を形成した。
また、原料粉末として、いずれも0.5〜2μmの平均粒径を有するTiCN(質量比で、TiC/TiN=50/50)粉末、MoC粉末、ZrC粉末、NbC粉末、TaC粉末、WC粉末、Co粉末、およびNi粉末を用意し、これら原料粉末を、表2に示される配合組成に配合し、ボールミルで24時間湿式混合し、乾燥した後、100MPaの圧力で圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を2kPaの窒素雰囲気中、温度:1500℃に1時間保持の条件で焼結し、焼結後、ISO規格・CNMG120408のチップ形状をもったTiCN基サーメット製の工具基体B−1〜B−6を形成した。
(a)ついで、上記の工具基体A−1〜A−10およびB−1〜B−6のそれぞれを、アセトン中で超音波洗浄し、乾燥した状態で、図1に示されるアークイオンプレーティング装置内の回転テーブル上の中心軸から半径方向に所定距離離れた位置に外周部にそって装着し、前記回転テーブルを挟んで相対向する両側にカソード電極(蒸発源)を配置し、その一方にはカソード電極(蒸発源)としてY最高含有点形成用Cr−Y合金を配置し、また、その他方にはカソード電極(蒸発源)としてCr最高含有点形成用Cr−Y合金を配置し、さらに、上記両カソード電極の中間位置には、カソード電極(蒸発源)として下部層形成用Ti−Al−M合金を配置したアークイオンプレーティング装置を用い、
(b)まず、装置内を排気して0.1Pa以下の真空に保持しながら、ヒーターで装置内を500℃に加熱した後、前記回転テーブル上で自転しながら回転する工具基体に−1000Vの直流バイアス電圧を印加し、かつカソード電極の前記下部層形成用Ti−Al−M合金とアノード電極との間に100Aの電流を流してアーク放電を発生させ、もって工具基体表面を前記Ti−Al−M合金によってボンバード洗浄し、
(c)次に、装置内に反応ガスとして窒素ガスを導入して4Paの反応雰囲気とすると共に、前記回転テーブル上で自転しながら回転する工具基体に−100Vの直流バイアス電圧を印加し、かつカソード電極の前記下部層形成用Ti−Al−M合金とアノード電極との間に120Aの電流を流してアーク放電を発生させ、前記工具基体の表面に、表3に示される目標組成、目標層厚の下部層としての(Ti,Al,M)N層を1〜5μmの平均層厚で蒸着形成した後、前記Ti−Al−M合金のカソード電極(蒸発源)とアノード電極との間のアーク放電を停止し、
(d)引き続いて装置内雰囲気を4Paの窒素雰囲気に保持したままで、カソード電極(蒸発源)であるY最高含有点形成用Cr−Y合金およびCr最高含有点形成用Cr−Y合金とアノード電極との間に120Aの電流を流してアーク放電を発生させて、前記工具基体の表面に、表3に示されるY最高含有点組成、Cr最高含有点組成、目標間隔、目標層厚の(Cr,Y)N層を蒸着形成することにより、
(Ti,Al,M)N層からなる下部層と、CrとYの含有割合がそれぞれ連続的に変化する成分濃度分布構造を有する(Cr,Y)N層からなる上部層を備えた本発明被覆工具としての本発明表面被覆スローアウエイチップ(以下、本発明被覆チップと云う)1〜16をそれぞれ製造した。
また、比較の目的で、これら工具基体A−1〜A−10およびB−1〜B−6を、アセトン中で超音波洗浄し、乾燥した状態で、下部層形成用カソード電極(蒸発源)として所定組成のTi−Al−M合金を、また、上部層形成用カソード電極(蒸発源)として所定組成のCr−Y合金を配置したアークイオンプレーティング装置(図示せず)に装入し、まず、装置内を排気して0.1Pa以下の真空に保持しながら、ヒーターで装置内を500℃に加熱した後、前記工具基体に−1000Vの直流バイアス電圧を印加し、かつ下部層形成用カソード電極のTi−Al−M合金とアノード電極との間に100Aの電流を流してアーク放電を発生させ、工具基体表面を前記Ti−Al−M合金でボンバード洗浄し、ついで、装置内に反応ガスとして窒素ガスを導入して3Paの反応雰囲気とすると共に、前記工具基体に印加するバイアス電圧を−100Vに下げて、前記下部層形成用カソード電極とアノード電極との間にアーク放電を発生させ、もって前記工具基体A−1〜A−10およびB−1〜B−6のそれぞれの表面に、表4に示される目標組成および目標層厚の(Ti,Al,M)N層で構成された下部層を形成し、その後、上部層形成用カソード電極のCr−Y合金とアノード電極との間にアーク放電を発生させ、もって前記工具基体A−1〜A−10およびB−1〜B−6のそれぞれの表面に、表4に示される目標組成、目標層厚からなる均一組成の(Cr,Y)N層で構成された硬質被覆層を蒸着形成することにより、
(Ti,Al,M)N層からなる下部層と、均一組成の(Cr,Y)N層からなる上部層を備えた比較被覆工具としての表面被覆スローアウエイチップ(以下、比較被覆チップと云う)1〜16をそれぞれ製造した。
つぎに、上記の各種の被覆チップを、いずれも工具鋼製バイトの先端部に固定治具にてネジ止めした状態で、本発明被覆チップ1〜16および比較被覆チップ1〜16について、
被削材:JIS・SUS420J2(HRC50)の丸棒、
切削速度: 100 m/min.、
切り込み: 1.5 mm、
送り: 0.2 mm/rev.、
切削時間: 5 分、
の条件(切削条件A)での高硬度ステンレス鋼の乾式連続高速高送り切削加工試験(通常の切削速度および送りは、それぞれ、60m/min.、0.1mm/rev.)、
被削材:JIS・SCM440(HB220)の丸棒、
切削速度: 200 m/min.、
切り込み: 2 mm、
送り: 0.4 mm/rev.、
切削時間: 5 分、
の条件(切削条件B)での合金鋼の乾式連続高速高送り切削加工試験(通常の切削速度および送りは、それぞれ、120m/min.、0.2mm/rev.)、
被削材:JIS・SKD61(HRC60)の丸棒、
切削速度: 90 m/min.、
切り込み: 1 mm、
送り: 0.15 mm/rev.、
切削時間: 5 分、
の条件(切削条件C)での合金工具鋼(焼入れ材)の乾式連続高速高送り切削加工試験(通常の切削速度および送りは、それぞれ、50m/min.、0.1mm/rev.)、
を行い、いずれの切削加工試験でも切刃の逃げ面摩耗幅を測定した。この測定結果を表5に示した。
Figure 2009285765
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Figure 2009285765
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原料粉末として、平均粒径:5.5μmを有する中粗粒WC粉末、同0.8μmの微粒WC粉末、同1.3μmのTaC粉末、同1.2μmのNbC粉末、同1.2μmのZrC粉末、同2.3μmのCr粉末、同1.5μmのVC粉末、同1.0μmの(Ti,W)C[質量比で、TiC/WC=50/50]粉末、および同1.8μmのCo粉末を用意し、これら原料粉末をそれぞれ表6に示される配合組成に配合し、さらにワックスを加えてアセトン中で24時間ボールミル混合し、減圧乾燥した後、100MPaの圧力で所定形状の各種の圧粉体にプレス成形し、これらの圧粉体を、6Paの真空雰囲気中、7℃/分の昇温速度で1370〜1470℃の範囲内の所定の温度に昇温し、この温度に1時間保持後、炉冷の条件で焼結して、直径が8mm、13mm、および26mmの3種の工具基体形成用丸棒焼結体を形成し、さらに前記の3種の丸棒焼結体から、研削加工にて、表6に示される組合せで、切刃部の直径×長さがそれぞれ6mm×13mm、10mm×22mm、および20mm×45mmの寸法、並びにいずれもねじれ角30度の4枚刃スクエア形状をもったWC基超硬合金製の工具基体(エンドミル)C−1〜C−8をそれぞれ製造した。
ついで、これらの工具基体(エンドミル)C−1〜C−8の表面をアセトン中で超音波洗浄し、乾燥した状態で、同じく図1に示されるアークイオンプレーティング装置に装入し、上記実施例1と同一の条件で、表7に示されるY最高含有点組成、Cr最高含有点組成、目標間隔、目標層厚の(Cr,Y)N層からなる上部層を蒸着形成することにより、CrとYの含有割合がそれぞれ連続的に変化する成分濃度分布構造を有する本発明被覆工具としての本発明表面被覆超硬製エンドミル(以下、本発明被覆エンドミルと云う)1〜8をそれぞれ製造した。
また、比較の目的で、上記の工具基体(エンドミル)C−1〜C−8の表面をアセトン中で超音波洗浄し、乾燥した後、上記実施例1と同一の条件で、同じく表8に示される目標組成、目標層厚の均一組成の(Cr,Y)N層からなる上部層を蒸着することにより、比較被覆工具としての表面被覆超硬製エンドミル(以下、比較被覆エンドミルと云う)1〜8をそれぞれ製造した。
つぎに、上記本発明被覆エンドミル1〜8および比較被覆エンドミル1〜8のうち、
本発明被覆エンドミル1〜3および比較被覆エンドミル1〜3については、
被削材−平面寸法:100mm×250mm、厚さ:50mmのJIS・SUS420J2(HRC50)の板材、
切削速度: 60 m/min.、
溝深さ(切り込み): 0.5 mm、
テーブル送り: 400 mm/分、
の条件での高硬度ステンレス鋼の乾式高速高送り溝切削加工試験(通常の切削速度および送りは、それぞれ、30m/min.、250mm/分)、
本発明被覆エンドミル4〜6および比較被覆エンドミル4〜6については、
被削材−平面寸法:100mm×250mm、厚さ:50mmのJIS・SCM440(HB220)の板材、
切削速度: 90 m/min.、
溝深さ(切り込み): 0.5 mm、
テーブル送り: 500 mm/分、
の条件での合金鋼の乾式高速高送り溝切削加工試験(通常の切削速度および送りは、それぞれ、40m/min.、300mm/分)、
本発明被覆エンドミル7,8および比較被覆エンドミル7,8については、
被削材−平面寸法:100mm×250mm、厚さ:50mmのJIS・SKD61(HRC60)の板材、
切削速度: 90 m/min.、
溝深さ(切り込み): 0.5 mm、
テーブル送り: 400 mm/分、
の条件での合金工具鋼(焼入れ材)の乾式高速高送り溝切削加工試験(通常の切削速度および送りは、それぞれ、50m/min.、250mm/分)、
をそれぞれ行い、いずれの溝切削加工試験でも切刃部の外周刃の逃げ面摩耗幅が使用寿命の目安とされる0.1mmに至るまでの切削溝長を測定した。この測定結果を表7、8に示した。
Figure 2009285765
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上記の実施例2で製造した直径が8mm(工具基体C−1〜C−3形成用)、13mm(工具基体C−4〜C−6形成用)、および26mm(工具基体C−7、C−8形成用)の3種の丸棒焼結体を用い、この3種の丸棒焼結体から、研削加工にて、溝形成部の直径×長さがそれぞれ4mm×13mm(工具基体D−1〜D−3)、8mm×22mm(工具基体D−4〜D−6)、および16mm×45mm(工具基体D−7、D−8)の寸法、並びにいずれもねじれ角30度の2枚刃形状をもったWC基超硬合金製の工具基体(ドリル)D−1〜D−8をそれぞれ製造した。
ついで、これらの工具基体(ドリル)D−1〜D−8の切刃に、ホーニングを施し、アセトン中で超音波洗浄し、乾燥した状態で、同じく図1に示されるアークイオンプレーティング装置に装入し、上記実施例1と同一の条件で、表9に示されるY最高含有点組成、Cr最高含有点組成、目標間隔、目標層厚の(Cr,Y)N層からなる上部層を蒸着形成することにより、CrとYの含有割合がそれぞれ連続的に変化する成分濃度分布構造を有する本発明被覆工具としての本発明表面被覆超硬製ドリル(以下、本発明被覆ドリルと云う)1〜8をそれぞれ製造した。
また、比較の目的で、上記の工具基体(ドリル)D−1〜D−8の表面に、ホーニングを施し、アセトン中で超音波洗浄し、乾燥した後、上記実施例1と同一の条件で、表10に示される目標組成、目標層厚、かつ、均一組成の(Cr,Y)N層からなる上部層を蒸着することにより、比較被覆工具としての表面被覆超硬製ドリル(以下、比較被覆ドリルと云う)1〜8をそれぞれ製造した。
つぎに、上記本発明被覆ドリル1〜8および比較被覆ドリル1〜8のうち、本発明被覆ドリル1〜3および比較被覆ドリル1〜3については、
被削材−平面寸法:100mm×250mm、厚さ:50mmのJIS・SUS420J2(HRC50)の板材、
切削速度: 90 m/min.、
送り: 0.4 mm/rev、
穴深さ: 6 mm、
の条件での高硬度ステンレス鋼の湿式高速穴あけ切削加工試験(通常の切削速度および送りは、それぞれ、40m/min.、0.2mm/rev)、
本発明被覆ドリル4〜6および比較被覆ドリル4〜6については、
被削材−平面寸法:100mm×250mm、厚さ:50mmのJIS・SCM440(HB220)の板材、
切削速度: 110 m/min.、
送り: 0.5 mm/rev、
穴深さ: 5 mm、
の条件での合金鋼の湿式高速穴あけ切削加工試験(通常の切削速度および送りは、それぞれ、50m/min.、0.3mm/rev)、
本発明被覆ドリル7,8および比較被覆ドリル7,8については、
被削材−平面寸法:100mm×250mm、厚さ:50mmのJIS・SKD61(HRC60)の板材、
切削速度: 90 m/min.、
送り: 0.3 mm/rev、
穴深さ: 5 mm、
の条件での合金工具鋼(焼入れ材)の湿式高速穴あけ切削加工試験(通常の切削速度および送りは、それぞれ、40m/min.、0.2mm/rev)、
をそれぞれ行い、いずれの湿式高速穴あけ切削加工試験(水溶性切削油使用)でも先端切刃面の逃げ面摩耗幅が0.3mmに至るまでの穴あけ加工数を測定した。この測定結果を表9、10に示した。
Figure 2009285765
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この結果得られた本発明被覆工具としての本発明被覆チップ1〜16、本発明被覆エンドミル1〜8、および本発明被覆ドリル1〜8の、(Ti,Cr,M)N層からなる下部層と、CrとYの含有割合がそれぞれ連続的に変化する成分濃度分布構造を有する(Cr,Y)N層からなる上部層の組成、並びに、比較被覆工具としての比較被覆チップ1〜16、比較被覆エンドミル1〜8、および比較被覆ドリル1〜8の(Ti,Cr,M)N層からなる下部層と、均一組成の(Cr,Y)N層からなる上部層の組成を、透過型電子顕微鏡を用いてのエネルギー分散X線分析法により測定したところ、それぞれ目標組成と実質的に同じ組成を示した。
また、上記本発明被覆工具の(Cr,Y)N層のY最高含有点とCr最高含有点の間隔、さらに、上記本発明被覆工具と上記比較被覆工具の硬質被覆層の各層の層厚を走査型電子顕微鏡を用いて断面測定したところ、いずれも目標層厚と実質的に同じ平均値(5ヶ所の平均値)を示した。
表5、7〜10に示される結果から、本発明被覆工具は、合金工具鋼の焼入れ材、高硬度ステンレス鋼などの高硬度被削材の、高熱発生を伴い、高切り込みや高送りなど切刃に対して高負荷がかかる高速重切削条件での切削加工に用いた場合でも、硬質被覆層の下部層である(Ti,Al,M)N層の有するすぐれた高温硬さ、耐熱性、高温強度、高温耐酸化性と相俟って、特に、CrとYの含有割合がそれぞれ連続的に変化する成分濃度分布構造を有する上部層である(Cr,Y)N層が、すぐれた耐熱性、高温硬さ、靭性を備え、さらに、前記被削材および切粉との間のすぐれた潤滑性、耐溶着性が確保されていることによって、チッピングの発生なく、長期に亘ってすぐれた耐摩耗性を発揮するのに対して、硬質被覆層が(Ti,Al,M)N層と均一組成の(Cr,Y)N層で構成された比較被覆工具においては、合金工具鋼の焼入れ材、高硬度ステンレス鋼などの高硬度被削材の高速重切削加工では、特に潤滑性が不十分であるために、切刃部にチッピングが発生したり、耐摩耗性が劣っていることによって、比較的短時間で使用寿命に至ることが明らかである。
上述のように、この発明の被覆工具は、通常条件での切削加工は勿論のこと、特に合金工具鋼の焼入れ材、高硬度ステンレス鋼などの高硬度被削材の高速重切削加工でもすぐれた耐チッピング性と耐摩耗性を発揮し、長期に亘ってすぐれた切削性能を示すものであるから、切削加工装置のFA化、並びに切削加工の省力化および省エネ化、さらに低コスト化に十分満足に対応できるものである。
本発明被覆工具を構成する硬質被覆層を形成するのに用いたアークイオンプレーティング装置を示し、(a)は概略平面図、(b)は概略正面図である。

Claims (2)

  1. 炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された工具基体の表面に、
    (a)下部層として、1〜5μmの平均層厚を有し、かつ、
    組成式:(Ti1−XAl)N(但し、XはAlの含有割合を示し、原子比で、0.45≦X≦0.75である)を満足するTiとAlの複合窒化物層、
    (b)上部層として、1〜5μmの平均層厚を有し、かつ、
    その層厚方向に沿って、Y最高含有点とCr最高含有点とが0.03〜0.1μmの間隔をおいて交互に繰り返し存在し、Y最高含有点からCr最高含有点へと、また、Cr最高含有点からY最高含有点へと、CrとYの含有割合がそれぞれ連続的に変化する成分濃度分布構造を有し、さらに、
    前記Y最高含有点が、
    組成式:(Cr1−αα)N(但し、αはYの含有割合を示し、原子比で、0.16≦α≦0.26である)を満足し、
    前記Cr最高含有点が、
    組成式:(Cr1−ββ)N(但し、βはYの含有割合を示し、原子比で、0.01≦β≦0.10である)を満足するCrとYの複合窒化物層
    以上(a)、(b)で構成された硬質被覆層を形成してなる表面被覆切削工具。
  2. 請求項1記載の表面被覆切削工具において、
    下部層が、1〜5μmの平均層厚を有し、かつ、
    組成式:((Ti1−X−ZAl)N(ここで、Mは、Tiを除く周期律表4a,5a,6a族の元素、Si、B、Yのうちから選ばれた1種又は2種以上の添加成分を示し、また、XはAlの含有割合、ZはMの含有割合をそれぞれ示し、原子比で、0.45≦X≦0.75、0.01≦Z≦0.25である)を満足するTiとAlとMの複合窒化物層である、
    ことを特徴とする請求項1記載の表面被覆切削工具。
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