JP2009283932A - カバーレイ及びそれを用いたプリント配線板 - Google Patents

カバーレイ及びそれを用いたプリント配線板 Download PDF

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洋朗 佐々木
Kenju Shimizu
建樹 清水
Win Maw Seo
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Toshiyuki Goto
敏之 五島
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Abstract

【課題】低反り性、パターン精細性、屈曲性、難燃性に優れるカバーレイ、及び、それを用いたプリント配線板を提供する。
【解決手段】カバーレイは表面にケイ素元素、リン元素、及び、硫黄元素が存在し、且つ、面内で均一に分布しており、表面の元素のX線強度比がケイ素元素の平均強度に対するリン元素の平均強度が0.005以上であり、かつ、硫黄元素の平均強度が0.25以上である。また、シロキサン骨格を有するアルカリ可溶性ポリイミド、及び/又はアルカリ可溶性ポリイミド前駆体、及び1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物、及びリン酸エステル化合物、及び/又はホスファゼン化合物を含んでなる感光性樹脂組成物から得られ、アルカリ可溶性ポリイミドはカルボキシル基及び/又は水酸基を有するポリイミドである。更に、リン酸エステル化合物が、炭素数1以上30以下の脂肪族有機基を有する化合物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、プリント配線板用のカバーレイ及びそれを用いたプリント配線板に関する。
近年、伸長著しいフレキシブルプリント配線板(以下、FPCと省略する)においては、得られる配線板に反りが無く、パターン精細性、屈曲性、難燃性に優れる素材がカバーレイとして求められている。
パターン精細性の観点から、カバーレイ用のインクやドライフィルムでは、感光性を有することが望まれている。これは、一般的なポリイミド材料を微細加工する際には、フォトレジストを使用したエッチング処理が行われるため、多くの工程数を必要とする。そこで、絶縁層であるポリイミド膜自体に直接パターンを形成することのできる感光性ポリイミド材料が注目されてきており、なかでも、作業時の安全性や環境への影響に対する配慮から、アルカリ水溶液での現像処理が可能な感光性樹脂組成物への要望が強くなってきている。さらにネガ型の場合は、その現像液により露光部の膨潤が起こり、高解像度の微細加工を行うことが難しい。そのため、ポジ型の感光システムによる微細加工が強く望まれている。
感光性を持たない接着層を有するカバーレイフィルムを用いてFPCを製造する場合には、接着層を有するカバーレイフィルムを所定の外形パターンに機械的に打ち抜き、回路基板との間で位置合わせを行った後、回路基板に打ち抜いたカバーレイフィルムを貼り合わせていた。カバーレイフィルムの感光化が実現すると、回路基板とカバーレイフィルムとを貼り合わせた後に、フォトリソグラフィーによって所望パターンにカバーレイフィルムをパターニングできるため、機械的なパターン打ち抜き、回路基板との位置合わせなどの工程が不要となる。
一方、カバーレイの材料としては、柔軟性、屈曲性に優れるポリイミドが用いられている。一般に、ポリイミドは300℃以上の耐熱性と優れた機械特性を有しており、かつ低誘電率や高絶縁性などの電気特性にも優れている。このため、耐熱性に優れた絶縁材料、特に半導体工業における固体素子の絶縁層や保護層として、ポリイミドなどの高耐熱性樹脂が注目されている。
このポリイミドとしては、カプトン(登録商標)などが公知であるが、カプトンフィルムは溶媒に不溶であるため、ポリイミドワニスよりフィルムを製膜することができない(例えば、非特許文献1)。そのため、カプトンを用いる場合には、ポリアミド酸の状態で製膜した後、高温に加熱することによりイミド化してフィルム化している。このようにして得られたカプトンフィルムは、柔軟性、屈曲性に優れる反面、ガラス転移点が400℃以上と高温であるため(例えば、非特許文献2)、フレキシブルプリント配線板にカバーレイを設けた際に反りが発生するという問題がある。
溶媒可溶で柔軟性、屈曲性に優れたポリイミドとして、シロキサン骨格を導入したポリイミドの提案(例えば、特許文献1)がある。また、シロキサン骨格を導入したポリイミドを用いて、可塑性及び感光性を付与するため反応性希釈剤である(メタ)アクリレートなどのモノマーを併用したネガ型の感光性カバーレイも提案(例えば、特許文献2)されている。
このようなシロキサン骨格を導入したポリイミドや反応性希釈剤の併用によれば、ガラス転移点が低下するため、カプトンでは困難であったドライフィルム化が可能である。しかしながら、シロキサン骨格を導入すると、ポリイミド樹脂は燃えやすくなる恐れがあり、また(メタ)アクリレートなどのモノマーの使用も難燃性を低下させる。
また、ポジ型の感光性樹脂組成物として、ポリイミドにキノンジアジド化合物を添加する組成物も提案されている(例えば、特許文献3)。この感光性樹脂組成物もドライフィルム化が可能であるが、可塑性も充分ではなく、配線パターン基板への埋め込み性が不十分であり、また、得られた配線板も反りが発生するという課題がある。
また、ポジ型感光性樹脂組成物として、ポリイミド前駆体又はポリベンゾオキサゾール前駆体にキノンジアジド化合物を添加したポジ型感光性樹脂組成物が開示されている(特許文献4)。前記前駆体タイプは、最終的な膜物性に優れているものの、前駆体の状態で組成物とするため、保存安定性が悪いものもあり、加工上で不都合を生じる場合がある。
さらに、ポリイミドを含有するポジ型感光性樹脂組成物として、スルホン酸基を含有するポリイミドとナフトキノンジアジド化合物とを含む感光性樹脂組成物が開示されている(特許文献5)。前記感光性樹脂組成物は、保存安定性は改良されるものの、ポリイミドのTgが高いために、得られた配線板も反りが発生するという課題がある。
また、ポリイミドのTgを下げたポジ型感光性樹脂組成物として、シロキサン骨格を有するポリイミドからなるポジ型感光性樹脂組成物が開示されている(特許文献6)。この文献における技術のように、ポリイミドはシロキサン骨格を導入することにより、Tgは低下するものの、難燃性が低下する傾向がある。
樹脂組成物に難燃性を付与する方法としては、樹脂組成物にリン化合物を添加する方法が知られている(例えば、非特許文献3)。しかしながら、従来公知の技術で難燃性を発現させるためには、リン化合物を大量に添加する必要があり、感光性樹脂組成物にこの技術を用いると、現像性が悪化し、感光性能が低下してしまい、パターン精細性に乏しい。また、破断強度など機械的特性の耐熱劣化安定性を向上する目的で、ポリイミド樹脂に特定のリン化合物を少量配合する技術も知られている(例えば、特許文献7)。この技術においては、リン化合物が難燃性を発現せず、また、得られた配線板での反りの発生も抑えることができない。
これら従来公知の技術の単なる組み合わせ、例えば、シロキサン骨格を導入したポリイミドにリン化合物を添加した組成物においては、得られる配線板での低反り性、パターン精細性、難燃性の全てを満足することは出来なかった。
また、従来公知のポリイミドにキノンジアジド化合物を添加するポジ型の感光性樹脂組成物においては、樹脂としてシロキサン骨格を導入したポリイミドを用いてもドライフィルム化時に反りが発生する。この反りを改善するため、従来公知の反応性希釈剤である(メタ)アクリレートなどのモノマーを添加すると、反りは改善するが、難燃性が損なわれた。さらには、シロキサン骨格を導入したポリイミド、難燃性を有する可塑剤、及び、感光剤が均一に相溶させることが難しく、低反り性、パターン精細性、屈曲性、難燃性の全てを満足できないという課題がある。以上のように、これら従来公知の技術を単に組み合わせただけでは、低反り性、パターン精細性、屈曲性、難燃性を同時に付与することは困難であった。
特公平7−35440号公報 特開2003−140339号公報 特許第2906637号公報 特許第3078175号公報 特開2004−238591号公報 国際公開第2003/060010号パンフレット 特許第2955712号公報
最新ポリイミド〜基礎と応用〜 (エヌ・ティー・エス)p.4 エレクトロニクス実装技術 2003.2(Vol.19 No.2) p.66 ノンハロゲン系難燃材料による難燃化技術 (エヌ・ティー・エス) p.28
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、低反り性、パターン精細性、屈曲性、難燃性に優れるカバーレイ、及び、それを用いたプリント配線板を提供することを目的とする。
本発明のカバーレイは、表面にケイ素元素、リン元素、及び、硫黄元素が存在し、且つ、面内で均一に分布していることを特徴とするカバーレイである。
本発明のカバーレイにおいては、表面の元素のX線強度比において、ケイ素元素の平均強度に対するリン元素の平均強度が0.005以上であり、ケイ素元素の平均強度に対する硫黄元素の平均強度が0.25以上であることが好ましい。
本発明のカバーレイにおいては、シロキサン骨格を有するアルカリ可溶性ポリイミド、及び/又はアルカリ可溶性ポリイミド前駆体、及び1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物、及びリン酸エステル化合物、及び/又はホスファゼン化合物を含んでなる感光性樹脂組成物から得られることが好ましい。
本発明のカバーレイにおいては、前記アルカリ可溶性ポリイミドがカルボキシル基及び/又は水酸基を有するポリイミドであることが好ましい。
本発明のカバーレイにおいては、前記リン酸エステル化合物が、炭素数1以上30以下の脂肪族有機基を有する化合物であることが好ましい。
本発明のカバーレイにおいては、前記リン酸エステル化合物が、少なくとも1個のブトキシエチル基を有していることが好ましい。
本発明のプリント配線板は、上記カバーレイを有することを特徴とする。
本発明のプリント配線板の製造方法は、上記感光性樹脂組成物をプリント配線板上に印刷することを特徴とする。
本発明のプリント配線板の製造方法は、上記感光性樹脂組成物を支持フィルム上に塗布して得られたドライフィルムをプリント配線板上に積層することを特徴とする。
本発明のカバーレイは、表面にケイ素元素、リン元素、及び、硫黄元素が存在し、且つ、面内で均一に分布しているので、低反り性、パターン精細性、屈曲性、難燃性に優れている。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明のカバーレイとは、プリント配線板、特にフレキシブルプリント配線板に用いる保護膜である。
本発明に係る低反り性、パターン精細性、屈曲性、難燃性に優れるカバーレイは、表面にケイ素元素、リン元素、及び、硫黄元素が存在し、且つ、面内で均一に分布している。
本発明のケイ素元素、リン元素、及び/又は硫黄元素の存在、並びに面内分布は、基板上、特にフレキシブルプリント配線板上に設けられたカバーレイにおける前記基板と接する面と反対側の面の元素の存在、及び、分布のことを意味する。
ケイ素元素、リン元素、硫黄元素の存在、及び、表面面内分布は、例えば、X線マイクロアナライザー(EPMA)を用いることで分析することができる。例えば、島津製作所社製のEPMA1600のX線マイクロアナライザーを用いて、加速電圧15kV、測定範囲ステップサイズ2ミクロン(2ミクロン×2ミクロンを1ステップとしたもの)、ビーム流束50nA、測定時間0.25秒の条件で、カバーレイ表面の任意のエリアにおいて、水平方向に100ステップ、垂直方向に100ステップのマッピングを行って、それぞれの元素存在の有無と検出感度を測定評価する。任意の水平方向と垂直方向における100ステップの位置に対する強度データをグラフにした時、水平方向で100ステップ、垂直方向で100ステップの強度データが得られ、その100×100ステップのうち、90%以上のステップにおいて、規則性が無くランダムに分散しており、すなわち、元素が均一に分布している場合を○とした。
ここで、規則性が無くランダムに分散し、元素が均一に分散している(90%のステップが均一に分散している)ことを算定する方法について説明する。まず、前記各元素の強度データの100×100のステップから、水平方向における1列100ステップにおいて、重ならないように連続する5ステップを1組として、得られる20組の夫々の平均強度値を求める。同様に、残りの99列についても、20組×99列分の平均強度値を求める。次に、垂直方向についても同様に、20組×100行分の平均強度値を求める。ケイ素元素、リン元素、硫黄元素、夫々において、このようにして得られた40×100組のそれぞれ平均強度値の最大のものから200組、また、最小のものから200組を除いた3600組(全ステップの90%)の平均強度値それぞれが、全体100×100ステップの平均強度値の±80%以内に入っていることをいう。
これを満足する場合、全体の平均値と各部分での平均値の差が小さく、元素が均一に分布しており、カバーレイは、低反り性、パターン精細性、屈曲性、難燃性に優れる。なお、90%以上のステップにおいて、規則性が無くランダムに分散している計算を行うためには、平均強度値の最大のものと最小のもから除く組数を減らして計算すればよい。
中でも、ケイ素元素については、好ましくは±50%以内、さらに好ましくは±10%以内、リン元素については、好ましくは±60%以内、さらに好ましくは、±50%以内、硫黄元素については、好ましくは±50%以内、さらに好ましくは±20%以内である。
さらに、表面の元素のX線強度比において、ケイ素元素の平均強度に対するリン元素の平均強度が0.005以上であり、ケイ素元素の平均強度に対する硫黄元素の平均強度が0.25以上であれば、さらに、低反り性、パターン精細性、屈曲性、難燃性に優れる。
ケイ素元素含有ポリイミド、リン元素含有化合物、及び、硫黄元素含有感光剤が、均一に相溶することで、充分なガラス転移温度の低下や弾性率を下げて、低反り性や屈曲性を発現する。また、均一に相溶することで、リン元素含有化合物、及び、硫黄元素含有感光剤による共同的な難燃化効果を発現することが出来る。
次に、本発明におけるカバーレイ表面にケイ素元素、リン元素、硫黄元素が存在し、且つ、面内で均一に分布していることを特徴とするカバーレイを得るための感光性樹脂組成物、及び、プリント配線板上にそのカバーレイを具備する製法について説明する。
本発明のカバーレイに含まれる感光性樹脂組成物は、シロキサン骨格を有するアルカリ可溶性ポリイミド、及び/又はアルカリ可溶性ポリイミド前駆体、及び、1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物、及び、リン酸エステル化合物、及び/又は、ホスファゼン化合物を含むことが好ましい。
本発明に用いるシロキサン骨格を有するアルカリ可溶性ポリイミドは、アルカリ溶液に溶解し得るポリイミド樹脂であって、主鎖、及び/又は、側鎖にカルボキシル基、芳香族性水酸基、スルホン酸基などの公知のアルカリに溶解する官能基を有するポリイミドが挙げられる。
本発明に用いられるアルカリ可溶性ポリイミドは、例えば、ジアミンとテトラカルボン酸二無水物を原料にして得ることができる。アルカリ可溶性ポリイミドの構造としては、アルカリに溶解する官能基を有することが好ましく、カルボキシル基及び/又は水酸基を有していることが好ましい。
ジアミンとしては、芳香族ジアミン、脂肪族ジアミン、脂環式ジアミンを用いることができる。また、カルボキシル基及び/又は水酸基を導入する目的で、カルボキシル基を有するジアミンや水酸基を有するジアミンを用いることができる。また、シロキサン骨格を導入する目的で、ジアミノシロキサンを用いることができる。
芳香族ジアミンとしては、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、4,4’−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルケトン、3,4’−ジアミノジフェニルケトン、4,4’−ジアミノジフェニルケトン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−(3,4’−ジアミノジフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−(3,4’−ジアミノジフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリン、3,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,n−ビス(4−アミノフェノキシ)アルカンである1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)プロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ブタン、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ヘプタン、が挙げられる。
脂肪族ジアミンとしては、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカンが挙げられる。
脂環式ジアミンとしては、式(1)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2009283932
カルボキシル基を有するジアミンとしては、式(2)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2009283932
式(2)の中でも、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジアミノ安息香酸などが好ましい。
水酸基を有するジアミンとしては、1,2−ジアミノ−4−ヒドロキシベンゼン、1,3−ジアミノ−5−ヒドロキシベンゼン、1,3−ジアミノ−4−ヒドロキシベンゼン、1,4−ジアミノ−6−ヒドロキシベンゼン、1,5−ジアミノ−6−ヒドロキシベンゼン、1,3−ジアミノ−4,6−ジヒドロキシベンゼン、1,2−ジアミノ−3,5−ジヒドロキシベンゼン、4−(3,5−ジアミノフェノキシ)フェノール、3−(3,5−ジアミノフェノキシ)フェノール、2−(3,5−ジアミノフェノキシ)フェノール、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3−アミノフェニル)ケトン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−アミノフェニル)スルフィド、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−アミノフェニル)エーテル、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−アミノフェニル)スルホン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−アミノフェニル)メタン、4−[(2,4−ジアミノ−5−ピリミジニル)メチル]フェノール、p−(3,6−ジアミノ−s−トリアジン−2−イル)フェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−アミノフェニル)ジフルオロメタン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ケトン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルフィド、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)エーテル、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ジフルオロメタンが挙げられる。
ジアミノシロキサンとしては、式(3)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2009283932
(Rは炭素数1以上20以下の炭化水素基を表す。aは1以上10以下の整数を表す。bは1以上20以下の整数を表す。)
炭素数1以上20以下の炭化水素基(R)としては、特に限定されないが、脂肪族飽和炭化水素基、脂肪族不飽和炭化水素基、環状構造を含む官能基、及びそれらを組み合わせた基などが好ましく挙げられる。
上記脂肪族飽和炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などの第一級炭化水素基、イソブチル基、イソペンチル基などの第二級炭化水素基、t−ブチル基などの第三級炭化水素基などが挙げられる。
上記脂肪族不飽和炭化水素基としては、ビニル基、アリル基などの二重結合を含む炭化水素基、エチニル基などの三重結合を含む炭化水素基などが挙げられる。
上記環状構造を含む官能基としては、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロデシル基、シクロオクチル基などの単環式官能基;ノルボルニル基、アダマンチル基などの多環式官能基;ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、テトラヒドロフラン、ジオキサン構造を有する複素環式官能基;ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環構造を含む芳香族炭化水素基などが挙げられる。
前記炭素数1以上20以下の炭化水素基(R)は、ハロゲン原子、ヘテロ原子及び金属原子を含むことができる。本発明におけるハロゲン原子には、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。また、本発明におけるヘテロ原子には、酸素、硫黄、窒素、リンが挙げられる。また、本発明における金属原子には、ケイ素及びチタンが挙げられる。
また、炭素数1以上20以下の炭化水素基(R)がヘテロ原子及び/又は金属原子を含む場合、Rは結合するヘテロ原子及び/又は金属原子に直接結合していても、ヘテロ原子及び/又は金属原子を介して結合していても良い。
式(3)のRの炭素数は、難燃性を考慮して、1以上20以下が好ましい。生成するポリイミドの溶媒可溶性の観点から、炭素数は1以上10以下が特に好ましい。最も好ましい炭化水素基(R)はメチル基である。
式(3)のaは、難燃性を考慮すると、1以上10以下であることが好ましい。生成するポリイミドの溶媒可溶性の観点から、aは2以上8以下であることが好ましく、3以上6以下がより好ましい。
式(3)のbは、難燃性を考慮すると、1以上20以下であることが好ましい。生成するポリイミドの溶媒可溶性の観点から、bは1以上15以下であることが好ましく、1以上12以下がより好ましい。
なお、これらのジアミン成分は、単独又は組み合わせて用いることができる。
本発明に用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、芳香族テトラカルボン酸二無水物、脂環式テトラカルボン酸二無水物、脂肪族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、3,4,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロルナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,7−ジクロルナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−テトラクロルナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、フェナントレン−1,8,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メチルフェニルシラン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジフェニルシラン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェニルジメチルシリル)ベンゼン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシクロヘキサン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、4,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物が挙げられる。
また、エステル基を有する芳香族テトラカルボン酸二無水物は、アルカリ可溶性ポリイミドに柔軟性を与え、また、アルカリ可溶性を高めて現像時のスカム等の抑制効果を付与するために、アルカリ可溶性ポリイミドに含まれることが好ましい。
該エステル基を有する芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、1,4−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼンビス(トリメリテート無水物)、1,3−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼンビス(トリメリテート無水物)、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、1,2−(エチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,3−(トリメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,4−(テトラメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,5−(ペンタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,6−(ヘキサメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,7−(ヘプタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,8−(オクタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,9−(ノナメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,10−(デカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,12−(ドデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,16−(ヘキサデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,18−(オクタデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)が挙げられる。エステル基を有する芳香族テトラカルボン酸二無水物は、可溶性ポリイミド中にエステル基を導入する際に用いることができる。中でも式(4)で表される1,2−(エチレン)ビス(トリメリテート無水物)、又は、式(5)で表されるp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)が好ましい。
Figure 2009283932
Figure 2009283932
脂環式テトラカルボン酸二無水物、脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、エチレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,5−シクロオクタジエン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、5−カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,6−トリカルボン酸−2,3:5,6−二無水物、1−カルボキシメチル−2,3,5−シクロペンタントリカルボン酸−2,6:3,5−二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、テトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物、デカヒドロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、4,8−ジメチル−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロナフタレン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ビス(エキソ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物)スルホンが挙げられる。
これらのテトラカルボン酸二無水物成分は、単独又は組み合わせて用いることができる。これらの中で、ポリイミドの有機溶剤への溶解性、基板などへの圧着性の観点から、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、エチレングリコールビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物が好ましい。
本発明に用いられるアルカリ可溶性ポリイミドは、式(6)で表されるように、シリコーンジアミン、アルカリ可溶性官能基を有するジアミン及び/又はその他ジアミンと、酸二無水物とを重合、環化させてなるポリイミドであることが好ましい。
Figure 2009283932
(式中、R、Rは4価の有機基を表し、同じであっても異なっていても良い。Rは炭素数1以上20以下の炭化水素基を表す。Rはアルカリ可溶性官能基を少なくとも一つ以上有する2価の有機基を表す。cは1以上10以下の整数を表す。dは1以上20以下の整数を表す。Rはエステル構造を有する4価の有機基を表し、Rは2価の有機基を表す。α、β、γは少なくとも1以上であり、0.01≦β/(α+β+γ)≦0.9である。)
また、本発明に用いられるポリイミドにおいて、その他ジアミンに由来する部位の含有量は、すべてのジアミンに由来する部位を100モル%とした時、難燃性の観点から35モル%以下であることが好ましい。
本発明におけるRに由来するジアミンは、前述のアルカリ可溶性官能基を有するジアミンであれば限定されない。
また、本発明においてRに由来するジアミンは、前述のジアミンであれば限定されない。
本発明に用いられるR及びRに由来する酸二無水物は、シリコーンジアミン、アルカリ可溶性官能基を有するジアミン及び/又はその他ジアミンと反応し得る酸二無水物であれば、限定されない。式(6)におけるR、Rは、前述のテトラカルボン酸二無水物に由来する4価の有機基であり、同じであっても異なっていても良い。
本発明に用いられるポリイミドの末端は、性能に影響を与えない構造であれば、特に限定されない。ポリイミドを製造する際に用いる酸二無水物、ジアミンに由来する末端でも良く、その他の酸無水物、アミン化合物などにより末端を封止しても良い。
本発明に用いられるポリイミドの数平均分子量は、難燃性、ポリイミド含有樹脂組成物の粘度、成型性の観点から、1000以上1000000以下であることが好ましい。ここで、数平均分子量とは、既知の数平均分子量のポリスチレンを標準として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定される分子量をいう。前記分子量は5000以上500000以下がより好ましく、10000以上300000以下がもっとも好ましい。
本発明に用いられるポリイミドの共重合様式は、ブロック構造でもランダム構造でも良い。本発明における共重合成分を構成するα、β、γは少なくとも1であり、0.01≦β/(α+β+γ)≦0.9である。β/(α+β+γ)の値が0.01以上であれば、基材などへの圧着に必要なシリコーンジアミン部分が充分に多いため、基材への圧着性が発現する。また、β/(α+β+γ)の値が0.9以下であれば、アルカリ可溶性に必要なアルカリ可溶性官能基を有するジアミンに由来する部分の割合が充分に多いため、アルカリ可溶性が発現する。アルカリ可溶性と基材への圧着性のバランスの観点から、β/(α+β+γ)の値は0.02以上0.8以下が好ましく、0.03以上0.67以下がより好ましい。
本発明に用いられるアルカリ可溶性ポリイミドは、酸二無水物とジアミンを反応させ、ポリアミド酸を合成した後に、加熱(加熱イミド化)することによって得ることができる。また酸二無水物とジアミンを反応させ、ポリアミド酸を合成し、続いて触媒を添加した後にイミド化(化学的イミド化)させることによっても、得ることができる。この中で、化学的イミド化が、より低温でイミド化を完結できる点で好ましい。さらに、酸二無水物とジアミンを非等モル比で反応させ、ポリアミド酸を合成し、続いて触媒を添加した後にイミド化(化学的イミド化)させてポリイミドブロックを調製し、続いて、次の酸二無水物、及び/又は、ジアミンを、最終的にほぼ等モル比になるように反応させて、ポリアミド酸ブロックを成長させた後、イミド化(化学的イミド化)させて、ブロックポリイミドを合成することも好ましい。
本発明の樹脂組成物におけるポリイミド前駆体は、前述したアルカリ可溶性ポリイミドに用いているジアミンと、テトラカルボン酸二無水物とより合成することができる。ただし、ポリイミド前駆体は、分子内にカルボキシル基を有しているため、カルボキシル基を有するジアミンや水酸基を有しているジアミンを原料として用いなくても、アルカリ可溶性であり、また有機溶剤に可溶である。
さらに詳しく説明するために、次に、まず、酸二無水物とジアミンを反応させてポリアミド酸を合成する方法について説明し、続いて触媒を添加した後にイミド化させる方法を例にあげて、本発明に用いられるポリイミドの製造条件について説明する。
ポリアミド酸を製造する方法は特に限定されず、公知の方法を適用することができる。より具体的には、以下の方法により得られる。まずジアミンを重合溶媒に溶解及び/又は分散し、これに酸二無水物粉末を徐々に添加し、メカニカルスターラーを用い、0.5時間〜96時間好ましくは0.5時間〜30時間攪拌する。この際モノマー濃度は、0.5質量%以上95質量%以下、好ましくは1質量%以上90質量%以下である。このモノマー濃度範囲で重合を行うことにより、ポリアミド酸溶液を得ることができる。
前記ポリアミド酸の製造の際に使用される反応溶媒としては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルのような炭素数2以上6以下のエーテル化合物;アセトン、メチルエチルケトンのような炭素数2以上6以下のケトン化合物;ノルマルペンタン、シクロペンタン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリンのような炭素数5以上10以下の飽和炭化水素化合物;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリンのような炭素数6以上10以下の芳香族炭化水素化合物;酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトンのような炭素数3以上6以下のエステル化合物;クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタンのような炭素数1以上10以下の含ハロゲン化合物;アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンのような炭素数2以上10以下の含窒素化合物;ジメチルスルホキシドのような含硫黄化合物が挙げられる。これらは必要に応じて1種、あるいは2種以上の混合物であっても良い。特に好ましい溶媒としては、炭素数3以上6以下のエステル化合物、炭素数6以上10以下の芳香族炭化水素化合物、炭素数2以上10以下の含窒素化合物が挙げられる。これらは工業的な生産性、次反応への影響などを考慮して任意に選択可能である。
ポリアミド酸製造の際の反応温度は、0℃以上250℃以下が好ましい。0℃以上あれば反応が開始され、また250℃以下であれば副反応などの影響が無い。好ましくは15℃以上220℃以下、さらに好ましくは20℃以上200℃以下である。最も好ましくは20℃以上、100℃以下である。
ポリアミド酸の反応に要する時間は、目的あるいは反応条件によって異なるが、通常は96時間以内であり、特に好適には30分から30時間の範囲で実施される。
次に、ポリアミド酸に触媒を添加し(化学的)イミド化し、本発明に用いられるアルカリ可溶性ポリイミドを得る方法について説明する。
本発明に用いられるアルカリ可溶性ポリイミドを製造する際のイミド化触媒は特に制限されないが、無水酢酸のような酸無水物、γ−バレロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−テトロン酸、γ−フタリド、γ−クマリン、γ−フタリド酸のようなラクトン化合物、ピリジン、キノリン、N−メチルモルホリン、トリエチルアミンのような三級アミンのなどが挙げられる。また、必要に応じて1種、あるいは2種以上の混合物であっても良い。この中でも特に、反応性の高さの観点からγ−バレロラクトンとピリジンの混合系が特に好ましい。
イミド化触媒の添加量は、ポリアミド酸を100質量%とすると、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。10質量%以下がさらに好ましく、5質量%以下が最も好ましい。
反応溶媒としては、ポリアミド酸の製造に使用したものと同じものを用いることができる。その場合、ポリアミド酸溶液をそのまま用いることができる。また、ポリアミド酸の製造に用いたものと異なる溶媒を用いても良い。
反応溶媒としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルのような炭素数2以上6以下のエーテル化合物;アセトン、メチルエチルケトンのような炭素数2以上6以下のケトン化合物;ノルマルペンタン、シクロペンタン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリンのような炭素数5以上10以下の飽和炭化水素化合物;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリンのような炭素数6以上10以下の芳香族炭化水素化合物;酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトンのような炭素数3以上6以下のエステル化合物;クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタンのような炭素数1以上10以下の含ハロゲン化合物;アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンのような炭素数2以上10以下の含窒素化合物;ジメチルスルホキシドのような含硫黄化合物が挙げられる。必要に応じて1種、あるいは2種以上の混合物であっても良い。特に好ましい溶媒としては炭素数3以上6以下のエステル化合物、炭素数6以上10以下の芳香族炭化水素化合物、炭素数2以上10以下の含窒素化合物が挙げられる。これらは工業的な生産性、次反応への影響などを考慮して任意に選択可能である。
本発明に用いられるポリイミドの製造においては、反応温度は15℃以上250℃以下で実施することが好ましい。15℃以上あれば反応が開始され、また250℃以下であれば触媒の失活が無い。好ましくは20℃以上220℃以下、さらに好ましくは20℃以上200℃以下である。
イミド化反応に伴い生成する水は、水と共沸する溶剤、例えばトルエンやキシレンと共に反応系外に取り除くことができる。得られた反応液はそのままポリイミドワニスとして用いることができる。
反応に要する時間は、目的あるいは反応条件によって異なるが、通常は96時間以内であり、特に好適には30分から30時間の範囲で実施される。
製造終了後における、ポリイミドの回収は、反応溶液中の溶媒を減圧留去することに行うことができる。
本発明に用いられるポリイミドの精製方法としては、反応溶液中の不溶解な酸二無水物及びジアミンを減圧濾過、加圧濾過などで除去する方法が挙げられる。また、反応溶液を貧溶媒に加え析出させる、いわゆる再沈精製法を実施することができる。更に特別に高純度なポリイミドが必要な場合は、二酸化炭素超臨界法による抽出法も可能である。
本発明に用いられるポリイミドを用いて、前記ポリイミドが均一に溶解及び/又は分散し得る溶媒を含む樹脂組成物を得ることができる。
本発明に用いられるポリイミドを含有する樹脂組成物を構成する溶媒は、本発明に用いられるポリイミドを均一に溶解及び/又は分散させ得るものであれば限定されない。重合に使用した溶媒を用いることも好ましい。このような溶媒として、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルアセテートのような炭素数2以上6以下のエーテル化合物;アセトン、メチルエチルケトンのような炭素数2以上6以下のケトン化合物;ノルマルペンタン、シクロペンタン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリンのような炭素数5以上10以下の飽和炭化水素化合物;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリンのような炭素数6以上10以下の芳香族炭化水素化合物;酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトンのような炭素数3以上6以下のエステル化合物;クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタンのような炭素数1以上10以下の含塩素化合物;アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンのような炭素数2以上10以下の含窒素化合物;ジメチルスルホキシドのような含硫黄化合物などが挙げられる。また、必要に応じて、1種、あるいは2種以上の混合物であっても良い。ポリイミドの溶解性の観点から、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが好ましい。
本発明に用いる感光性樹脂組成物におけるポリイミドの濃度は、樹脂成型体が製造される濃度であれば、特に制限されない。作製する樹脂成型体の膜厚の観点からポリイミドの濃度が1質量%以上、樹脂成型体の膜厚の均一性からポリイミドの濃度が90質量%以下であることが好ましい。得られる樹脂成型体の膜厚の観点から、2質量%以上80質量%以下がより好ましい。
なお、本発明のポリイミド前駆体の末端は、性能に影響を与えない構造であれば、特に限定されない。ポリイミド前駆体を製造する際に用いる酸二無水物、ジアミンに由来する末端でも良く、その他の酸無水物、アミン化合物などにより末端を封止しても良い。
次に、本発明の1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物について説明する。
本発明のカバーレイに含まれる感光性樹脂組成物においては、1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物により感光性を発現する。さらに、1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物は、リン酸エステル化合物、及び/又は、ホスファゼン化合物と併用することで、本発明に用いる感光性樹脂組成物は高い難燃性を発現できる。
1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物としては、式(7)、式(8)に示すようにスルホン酸基の置換位置が4位の1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステルと5位の1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルが挙げられる。
Figure 2009283932
Figure 2009283932
1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルは、フェノール性水酸基を有する化合物を原料として用い、スルホン酸でエステル化して得ることができる。例えば、フェノール性水酸基の官能基数1モルに対して1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸もしくはその酸塩化物もしくはそのスルホン酸塩、又は5位の1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸もしくはその酸塩化物もしくはそのスルホン酸塩を、アセトンなど適当な溶剤中で混合することによって得ることができる。このとき、トリエチルアミンなど塩基性の触媒を用いても良い。スルホン酸によるエステル化率としては、0.60以上0.98以下が溶解抑止能と露光後のアルカリ可溶性の観点から好ましい。
1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル類としては、トリヒドロキシベンゾフェノン類、テトラヒドロキシベンゾフェノン類、ペンタヒドロキシベンゾフェノン類、ヘキサヒドロキシベンゾフェノン類、(ポリヒドロキシフェニル)アルカン類の1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル類が挙げられる。
トリヒドロキシベンゾフェノン類の1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル類としては、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2,4,6−トリヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,4,6−トリヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルなどが挙げられる。
テトラヒドロキシベンゾフェノン類の1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル類としては、2,2’,4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2,2’,4,3’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,2’,4,3’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2,3,4,2’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,3,4,2’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2,3,4,4’−テトラヒドロキシ−3’−メトキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,3,4,4’−テトラヒドロキシ−3’−メトキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルなどが挙げられる。
ペンタヒドロキシベンゾフェノン類の1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル類としては、2,3,4,2’,6’−ペンタヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,3,4,2’,6’−ペンタヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルなどが挙げられる。
ヘキサヒドロキシベンゾフェノン類の1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル類としては、2,4,6,3’,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,4,6,3’,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、3,4,5,3’,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、3,4,5,3’,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルなどが挙げられる。
(ポリヒドロキシフェニル)アルカン類の1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル類としては、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、1,1,1−トリ(p−ヒドロキシフェニル)エタン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、1,1,1−トリ(p−ヒドロキシフェニル)エタン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2,2’−ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)プロパン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,2’−ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)プロパン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、4,4’−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、4,4’−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、ビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、ビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインデン−5,6,7,5’,6’,7’−ヘキサノール−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインデン−5,6,7,5’,6’,7’−ヘキサノール−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2,2,4−トリメチル−7,2’,4’−トリヒドロキシフラバン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,2,4−トリメチル−7,2’,4’−トリヒドロキシフラバン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルなどが挙げられる。
1,2−ナフトキノンジアジド化合物としては、上記以外にも、例えば式(9)に示される化合物が挙げられる。
Figure 2009283932
(式中Qは式(7)、式(8)と同じである。)
溶解抑止能の観点から、1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル類が好ましく、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル類、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル類が感光性コントラストの観点からより好ましい。なかでも、難燃性を考慮すると、式(10)で示される化合物が好ましい。
Figure 2009283932
(式中Qはそれぞれ独立に水素又は式(7)又は式(8)から選ばれる1価の有機基である。ただし、複数のQのうち少なくとも一つは式(7)又は式(8)から選ばれる有機基である。)
式(10)で示される化合物は、他の1,2−ナフトキノンジアジド化合物よりも難燃化効果に優れている。中でも特に、Qが、式(7)で表される置換位置が4位の1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステルを有する化合物が特に難燃性に優れており好ましい。
本発明の感光剤の配合量は、アルカリ可溶性ポリイミド、及び/又は、アルカリ可溶性ポリイミド前駆体100質量%に対して5〜30質量%が好ましく、10〜20質量%がさらに好ましい。感光剤の配合量は、感度の点から5質量%以上、光が露光前のカバーレイ層を充分に透過する点から30質量%以下が好ましい。
次に本発明のリン酸エステルについて説明する。
本発明に用いられる式(11)で表されるリン酸エステル化合物としては、炭素数1以上30以下の脂肪族有機基を有するリン酸エステル化合物であれば限定されない。炭素数1以上であれば、フレキシブルプリント配線板にカバーレイを設けた際に、低反り性、パターン精細性、屈曲性が改善される傾向にあるため好ましい。さらにドライフィルムを製造する際にも、ドライフィルム化時での反りや配線パターンへの埋め込み性が改善される傾向にあるため好ましい。炭素数30以下であれば、難燃性が発現する傾向にあるため好ましい。
Figure 2009283932
さらに式(11)のRがメチル基、エチル基、ブチル基、イソブチル基、2−エチルヘキシル基、ブトキシエチル基、フェニル基、クレジル基、キシレニル基、アミノフェニル基から選ばれる有機基であることが好ましい。
このような化合物としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリイソブチルホスフェート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェートなどの脂肪族炭化水素基を置換基とするリン酸エステル、トリス(ブトキシエチル)ホスフェートなどの酸素原子を含む脂肪族有機基を置換基とするリン酸エステル、などが挙げられる。焼成時の不揮発の観点から、トリブチルホスフェート、トリイソブチルホスフェート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリス(ブトキシエチル)ホスフェートが好ましい。
本発明に用いられるリン酸エステル化合物は、1種類でも2種類以上の組み合わせで用いても良い。その中で、2種類以上の組み合わせで用いると、難燃性とドライフィルム化時の反りが両立する傾向にあるため、好ましい。2種類の組み合わせとしては、トリブチルホスフェート、トリス(ブトキシエチル)ホスフェートの組み合わせ、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリス(ブトキシエチル)ホスフェートの組み合わせ、トリブチルホスフェート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェートの組み合わせ、トリイソブチルホスフェート、トリス(ブトキシエチル)ホスフェートの組み合わせ、などが挙げられる。
脂肪族有機基を有するリン酸エステルにおいて、脂肪族有機基がエーテル構造を有する場合、現像時において現像時間の短縮及び現像残渣(スカム)の低減効果があり、このため、脂肪族有機基がエーテル構造を有するリン酸エステルを含むことが好ましい。好ましい化合物として、トリス(ブトキシエチル)ホスフェートが挙げられる。
本発明に用いられるリン酸エステル化合物は、2種類以上の組み合わせで用いることが好ましいが、その内、少なくとも、脂肪族有機基がエーテル構造を有するリン酸エステルを含んでいることがより好ましい。好ましい組み合わせとして、トリブチルホスフェート、トリス(ブトキシエチル)ホスフェートの組み合わせ、トリイソブチルホスフェート、トリス(ブトキシエチル)ホスフェートの組み合わせ、などが挙げられる。
本発明のカバーレイに含まれる感光性樹脂組成物において、前記リン酸エステル化合物の添加量は、アルカリ可溶性ポリイミド、及び/又は、アルカリ可溶性ポリイミド前駆体の量を100質量%とした場合、精細パターンを得るためのリソ性などの観点から、50質量%以下が好ましく、45質量%がより好ましく、40質量%以下が特に好ましい。また、カバーレイの難燃性の観点から、2質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上が特に好ましい。
また、本発明に用いられるホスファゼン化合物は、式(12)及び式(13)で表される。
Figure 2009283932
Figure 2009283932
本発明のホスファゼン化合物におけるR、R10、R11、R12は、炭素数3以上20以下の有機基であれば限定されない。炭素数3以上であれば、難燃性が発現する傾向にあるため好ましい。炭素数30以下であれば、アルカリ可溶性ポリイミド、及び/又は、アルカリ可溶性ポリイミド前駆体と相溶する傾向にあるため好ましい。この中で、難燃性発現の観点から、炭素数6以上18以下の芳香族性化合物に由来する官能基が特に好ましい。
このような官能基として、フェニル基、2−ヒドロキシフェニル基、3−ヒドロキシフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基などのフェニル基を有する官能基、1−ナフチル基、2−ナフチル基などのナフチル基を有する官能基、ピリジン、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾールなどの含窒素複素環化合物に由来する官能基、などが挙げられる。これらの化合物は、必要に応じて1種類でも2種類以上の組み合わせで用いても良い。この中で、入手の容易さからフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、シアノフェニル基を有する化合物が好ましい。
本発明に用いられる式(12)で表されるホスファゼン化合物におけるpは、3以上25以下であれば限定されない。3以上であれば、難燃性を発現し、25以下であれば、有機溶剤に対する溶解性が高い。この中で特に、入手の容易さからpが3以上10以下であることが好ましい。
本発明に用いられる式(13)で表されるホスファゼン化合物におけるqは、3以上10000以下であれば限定されない。3以上であれば、難燃性を発現し、10000以下であれば、有機溶剤に対する溶解性が高い。この中で特に、入手の容易さからqは3以上100以下が好ましい。
本発明に用いられる式(13)で表されるホスファゼン化合物におけるA及びBは、炭素数3以上30以下の有機基であれば限定されない。この中で、Aは−N=P(OC、−N=P(OC、(OCOH)、−N=P(OC)(OCOH)、−N=P(OCOH)、−N=P(O)OC、−N=P(O)(OCOH)が好ましい。Bは−P(OC、−P(OC(OCOH)、−P(OC(OCOH)、−P(OC)(OCOH)、−P(OCOH)、−P(O)(OC、−P(O)(OCOH)、−P(O)(OC)(OCOH)などが好ましい。
本発明のカバーレイに含まれる感光性樹脂組成物において前記ホスファゼン化合物の添加量は、アルカリ可溶性ポリイミド、及び/又は、アルカリ可溶性ポリイミド前駆体の量を100質量%とした場合、精細パターンを得るためのリソ性などの観点から、50質量%以下が好ましく、45質量%がより好ましく、40質量%以下が特に好ましい。また、カバーレイの難燃性の観点から、2質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上が特に好ましい。
本発明のカバーレイに含まれる感光性樹脂組成物には、本発明の効果を逸脱しない量的、質的範囲内で、既に公知である添加剤を必要に応じて添加することができる。具体的に添加剤としては、密着性向上剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、光安定剤、可塑剤、ワックス類、充填剤、顔料、染料、発泡剤、消泡剤、脱水剤、帯電防止剤、抗菌剤、防カビ剤、レベリング剤、分散剤、エチレン性不飽和化合物などが挙げられる。
本発明のカバーレイに含まれる感光性樹脂組成物は、シロキサン骨格を有するアルカリ可溶性ポリイミド、及び/又はアルカリ可溶性ポリイミド前駆体、及び、1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物、及び、リン酸エステル化合物、及び/又は、ホスファゼン化合物とを任意の溶剤中にて混合して得られる。溶媒としては、前述のポリイミド樹脂組成物に用いる溶媒を使用することができる。
配合方法は、通常の攪拌翼による攪拌混合やノンバブリングニーダー、コロイドミルなどの撹拌機器を用いる方法、プラネタリー混練機や3本ロールミルを用いて混練する方法、さらには、ホモジナイザーなどの超音波混合分散装置を用いることも好ましい。
次に、本発明のカバーレイの製造方法について記載する。
本発明のカバーレイは、本発明のカバーレイに含まれる感光性樹脂組成物を用いてプリント配線板上に直接、印刷して製造しても良いし、本発明のカバーレイに含まれる感光性樹脂組成物を用いて支持フィルム上に塗布する工程を含んで得られたドライフィルムをプリント配線板上に積層する方法で製造しても良い。
プリント配線板上に直接、印刷する場合は、塗布法として、スクリーン印刷法、カーテンコート法、スプレーコート法、ロールコート法、スピンコート等により、配線を有する基板に全面塗布され、乾燥後、露光・現像してパターン形成し、熱硬化して、耐熱性・電気絶縁性等に優れたカバーレイとして用いられる。印刷法は特にスクリーン印刷法が好ましい。
また、本発明のカバーレイに含まれる感光性樹脂組成物で構成されたドライフィルムを用いる場合は、感光性樹脂組成物の溶液を任意の方法でポリエチレンテレフタレートフィルムや金属フィルムなどの任意のキャリアフィルム上に塗布した後に乾燥し、ドライフィルム化して、キャリアフィルムとドライフィルムとを有する積層フィルムとする。また、ドライフィルム上に、低密度ポリエチレンフィルムなど任意の防汚用のフィルムや保護用のフィルムを少なくとも一層設けて積層フィルムとしても良い。このドライフィルムを、熱ラミネート法、熱プレス法、熱真空ラミネート法、熱真空プレス法など任意の方法で配線を有する基材上にラミネートする。このようにして、配線を有する基材と、この配線を覆うように前記基材上に形成され、本発明のカバーレイに含まれる感光性樹脂組成物を露光・現像してなる物質で構成されたカバーレイとを具備するフレキシブルプリント配線板を作製することができる。
まず、本発明のカバーレイに含まれる感光性樹脂組成物を基材にコートする。前記基材としては、感光性ドライフィルム形成の際に損傷しない基材であれば、限定されない。このような基材としては、シリコンウエハ、ガラス、セラミック、耐熱性樹脂、キャリアフィルムなどが挙げられる。本発明におけるキャリアフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルムや金属フィルムが挙げられる。取扱いの良さから、耐熱性樹脂及びキャリアフィルムが好ましく、基板圧着後の剥離性の観点から、ポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。
コート方法としては、バーコート、ローラーコート、ダイコート、ブレードコート、ディップコート、ドクターナイフ、スプレーコート、フローコート、スピンコート、スリットコート、はけ塗り、などが例示できる。コート後、必要に応じてホットプレートなどによりプリベークと呼ばれる加熱処理を行っても良い。
このように、本発明のカバーレイに含まれる感光性樹脂組成物で構成された感光性フィルムを用いる場合は、感光性樹脂組成物の溶液を任意の方法で任意の基材上に塗布後乾燥し、ドライフィルム化し、例えばキャリアフィルムと感光性フィルムとを有する積層フィルムとする。
また、感光性フィルム上に、任意の防汚用や保護用のカバーフィルムを少なくとも一層設けて積層フィルムとしても良い。本発明に用いられる積層フィルムおいて、カバーフィルムとしては、低密度ポリエチレンなどで構成された感光性フィルムなどが挙げられる。
これらの方法によって形成されたカバーレイの膜厚には特に制限はないが、回路特性などの点から、4μm〜50μmであることが好ましく、6μm〜40μmであることがより好ましく、8μm〜30μmであることが特に好ましい。
本発明の樹脂組成物で構成された感光性フィルムは、配線を有する基材に前記配線を覆うように圧着し、アルカリ現像を行い、焼成を行うことにより得られるプリント配線板に用いることができる。
本発明に用いられるプリント配線板における配線を有する基材としては、ガラスエポキシ基板、ガラスマレイミド基板などのような硬質基材、あるいはポリイミドフィルムなどのフレキシブルな基板などが挙げられる。この中で、折り曲げ可能の観点からフレキシブルな基板が好ましい。
前記プリント配線板の作製方法は、前記感光性フィルムが配線を覆うように基材に形成されれば、限定されない。このような作製方法としては、前記配線を有する基材の配線側と本発明の感光性フィルムを接触させた状態で、熱プレス、熱ラミネート、熱真空プレス、熱真空ラミネートなどを行う方法などが挙げられる。この中で、配線間への感光性フィルムの埋め込みの観点から、熱真空プレス、熱真空ラミネートが好ましい。
前記配線を有する基材上に感光性フィルムを積層する際の加熱温度は、感光性フィルムが基材に密着し得る温度であれば限定されない。基材への密着の観点や感光性フィルムの分解や副反応の観点から、30℃以上400℃以下が好ましい。より好ましくは、50℃以上150℃以下である。
次に、本発明のカバーレイに含まれる感光性樹脂組成物を用いてプリント配線板上に感光層(露光、現像する前の状態を意味する)を設けた後、この感光層は光照射後、光照射部位をアルカリ現像にて溶解することができるので、ポジ型のフォトリソグラフィーによるパターニング処理が成される。
光照射に用いる光源は、特に制限はないが、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、蛍光灯、タングステンランプ、アルゴンレーザー、ヘリウムカドミウムレーザーなどが挙げられる。この中で、高圧水銀灯、超高圧水銀灯が好ましい。
現像に用いるアルカリ水溶液としては、光照射部位を溶解し得る溶液であれば限定されない。このような溶液として、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液などが挙げられる。現像性の観点から、炭酸ナトリウム水溶液及び水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。現像方法としては、スプレー現像、浸漬現像、パドル現像などが挙げられる。
これらの方法により基材上に得られたカバーレイ層には、必要に応じて加熱処理を施すことができる。加熱温度は100℃以上300℃以下が好ましい。さらに好ましくは150℃以上250℃以下である。特に好ましくは160℃以上200℃以下である。この範囲の加熱処理により、本発明のカバーレイに含まれる感光性樹脂組成物は高い難燃性を発現することができる。加熱は空気雰囲気下、窒素雰囲気下のいずれで行っても良い。また、加熱方法としては特に制限はないが、オーブン、焼成炉、ホットプレートなどを用いて行うことができる。
本発明のカバーレイは、得られるフレキシブルプリント配線板での反りが抑制され、パターン精細性、屈曲性、難燃性に優れるため、エレクトロニクス分野で各種電子機器の操作パネルなどに使用されるプリント配線板や回路基板の保護層形成、積層基板の絶縁層形成、半導体装置に使用されるシリコンウエハ、半導体チップ、半導体装置周辺の部材、半導体搭載用基板、放熱板、リードピン、半導体自身などの保護や絶縁及び接着に使用するための電子部品への膜形成用途に利用される。
[実施例]
次に、本発明の効果を明確にするために行った実施例について説明する。
<略記>
本発明で用いた試薬の略記名称を記載する。
・酸二無水物
ODPA:オキシジフタル酸二無水物(ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物)
TMEG:エチレングリコールビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)
・ジアミン
MBAA:3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン
APB:1,3−ビス(3−アミノフェノキシベンゼン)
・1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物
化合物(a):一般式(14)における3個のQのうち、平均2.3個が一般式(15)で表される構造になっているもの
化合物(b):一般式(14)における3個のQのうち、平均2.34個が一般式(16)で表される構造になっているものを指す。
Figure 2009283932
Figure 2009283932
Figure 2009283932
・リン酸エステル化合物
TBP:トリブチルホスフェート
TBXP:トリス(ブトキシエチル)ホスフェート
TIBP:トリイソブチルホスフェート
・ホスファゼン化合物
SPB−100:フェニルホスファゼン
・その他
FCP−770:表面処理ポリリン酸アンモニウム
N−200:メラミン化合物
PSTM:リン酸系界面活性剤表面処理水酸化マグネシウム(界面活性剤量は5質量%処理)
<試薬>
実施例及び比較例において、用いた試薬であるシリコーンジアミン(KF−8010)(信越化学工業社製)、MBAA(和歌山精化社製)、ODPA(和光純薬工業社製)、APB(三井化学社製)、TMEG(新日本理化社製)、TBP(大八化学社製)、TBXP(大八化学社製)、TIBP(味の素ファインテクノ社製)、ホスファゼン化合物(SPB−100、大塚化学社製)、FCP−770(鈴裕化学社製)、N−200(鈴裕化学社製)、トルエン(和光純薬工業社製、有機合成用)、γ−ブチロラクトン(和光純薬工業社製、特級)、ピリジン(和光純薬工業社製、有機合成用)、γ−バレロラクトン(和光純薬工業社製、一級)、及び、感光剤は特別な精製を実施せずに、反応に用いた。また、PSTMは、オルトリン酸とステアリルアルコールを反応させて得られたモノエステル体を、さらにアンモニアで中和して塩の状態で得たリン酸系界面活性剤を用いて、水酸化マグネシウム粒子(100質量部)のスラリー水溶液に該表面処理剤(5質量部)を添加して、攪拌混合しながら、乾燥して合成した。
評価は以下の方法により行った。
<数平均分子量測定>
数平均分子量の測定法であるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)は、下記の条件により測定を行った。溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミド(和光純薬工業社製、高速液体クロマトグラフ用)を用い、測定前に24.8mmol/Lの臭化リチウム一水和物(和光純薬工業社製、純度99.5%)及び63.2mmol/Lのリン酸(和光純薬工業社製、高速液体クロマトグラフ用)を加えたものを使用した。
カラム:Shodex KD−806M(昭和電工社製)
流速:1.0mL/分
カラム温度:40℃
ポンプ:PU−2080Plus(JASCO社製)
検出器:RI−2031Plus(RI:示差屈折計、JASCO社製)
UV―2075Plus(UV−VIS:紫外可視吸光計、JASCO社製)
また、前記分子量を算出するための検量線は、スタンダードポリスチレン(東ソー社製)を用いて作成した。
<現像性(精細度)評価>
本発明における感光性樹脂組成物のコートは、FILMCOATER(TESTER SANGYO社製、PI1210)を用いるドクターブレード法にて行った。すなわち、易剥離PETフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム社製、DIAFOIL、T100H25)に前記感光性樹脂組成物を滴下し、クリアランス200μmでコートを行った。コートした前記フィルムを、乾燥器(ESPEC社製、SPHH−10l)を用いて95℃で30分間乾燥することにより、感光性ドライフィルムを得た。
18μm厚の銅箔(F3−WS/光沢面)にバフロール整面(#200)及びジェットスクラブ整面を行い、得られた感光性ドライフィルムを、ラミネーター(AL−700、旭化成株式会社製)を用い、基板余熱60℃、ラミネート温度、140℃にて0.34MPa、0.5m/minの条件でラミネートを実施し、PETフィルムを剥離することで、露光前の試験サンプルを得た。
続いて、上記で得られた未露光前のカバーレイ層を有する銅張積層板とポジ型のマスクを用いて超高圧水銀灯(HMW−201KB/オーク株式会社製)でコンタクト露光を行った。露光量は1,300mJ/cmであった。また、現像は、3%の水酸化ナトリウム水溶液で現像温度40℃、スプレー圧0.2MPa、現像時間40秒にてスプレー現像を行った。蒸留水で室温にてスプレー水洗を行い、エアーブロー後、得られたパターンを光学顕微鏡で観察した。100μmの円孔パターン形成の場合を○とし、100μmの円孔パターン形成不可の場合を×とした。
<反りの評価>
感光性樹脂組成物を用いて、スクリ−ン印刷(300メッシュの金属スクリ−ン使用)にて、ポリイミドフィルム(カプトン(登録商標)EN−100(東レ・デュポン株式会社製)、膜厚25ミクロン)上に全面印刷を行った後、得られた塗布膜を95℃で30分の乾燥を行い、約20ミクロン膜厚のカバーレイ層(硬化前)を成膜した。続いて、焼成炉(光洋リンドバーグ社製)を用いて、120℃で60分間、続いて180℃で60分間焼成することによりカバーレイ層(硬化前)を硬化させてカバーレイを得た。カバーレイの膜厚測定は、膜厚計(Mitutoyo社製、ID−C112B)を用いて行った。得られたキュア後の印刷部分を5cm×5cmの大きさに切り出し試験フィルムとし、反りを目視評価した。端部の持ち上がりが10mm以下の場合を○とし、それを超えた場合を×とした。
<難燃性試験>
感光性樹脂組成物を用いて、スクリ−ン印刷(300メッシュの金属スクリ−ン使用)にて、ポリイミドフィルム(カプトン(登録商標)EN−100(東レ・デュポン株式会社製)、膜厚25ミクロン)上に全面印刷を行った後、得られた塗布膜を95℃で30分の乾燥を行い、次いで反対の面に感光性樹脂組成物を印刷し、95℃で30分間乾燥させることにより、カプトン(登録商標)フィルムの両面にカバーレイ層を設けた後、焼成炉(光洋リンドバーグ社製)を用いて、120℃で60分間、続いて180℃で60分間焼成することによりカバーレイ層を硬化させて硬化体を得た。この硬化体を20cm×5cmに切り取り、UL94 VTM試験により難燃性の評価を行った。各試料の残炎時間が10秒以下で、かつ12.5cmの標線まで燃焼しなかったサンプルをVTM−0(又は○)とし、各試料の残炎時間が10秒以上あるいは12.5cmの標線まで燃焼したサンプルを難燃性×とした。
<屈曲性試験>
感光性組成物を用いて、スクリ−ン印刷(300メッシュの金属スクリ−ン使用)にて、銅張積層板(ポリイミド膜厚25ミクロン、銅膜厚12ミクロン)上に全面印刷を行った後、得られた塗布膜を95℃で30分の予備乾燥を行い、焼成炉(光洋リンドバーグ社製)を用いて、120℃で60分間、続いて180℃で60分間焼成することによりカバーレイ層を硬化させて約20ミクロン膜厚のカバーレイ層を成膜した。
180°のハゼ折り試験を行い、10回以上繰り返しても、剥がれやヒビが入らなかった場合を○、10回未満の場合を×とした。
<ケイ素元素、リン元素、硫黄元素のそれぞれの表面面内分布測定>
前記の露光前の試験サンプルを用いて、120℃で60分間、続いて180℃で60分間焼成したサンプルを用いて、導電化処理を行い、測定を行った。X線マイクロアナライザーは島津社製のEPMA1600を用いて、加速電圧15kV、測定範囲ステップサイズ2ミクロン、ビーム流束50nA、測定時間0.25秒の条件でカバーレイ表面の任意のエリアにおいて、水平方向に100ステップ、垂直方向に100ステップのマッピングを行って、それぞれの元素存在の有無と検出感度を測定評価した。表1に測定及びマッピング条件を記載する。
Figure 2009283932
元素が検出され、任意の水平方向と垂直方向における100ステップの位置に対する強度データをグラフにした時、水平方向で100ライン、垂直方向で100ラインの強度グラフが得られ、その90%以上のグラフにおいて、規則性が無くランダムに分散しており、すなわち、元素が均一に分布している場合を○とした。
[ポリイミド1の合成]
窒素雰囲気下、セパラブルフラスコに、MBAA(30.0mmol)、シリコーンジアミン(KF−8010、45.0mmol)、γ−ブチロラクトン(120mL)を入れ、続いてODPA(60.0mmol)を加え、室温で2時間撹拌した。続いて、トルエン(60mL)、ピリジン(34.13mmol)、γ−バレロラクトン(22.47mmol)を加え、ディーンシュタルク装置及び還流器をつけ、180℃で2時間加熱撹拌した。120℃まで冷却した後に、APB(15.0mmol)を加え、10分間撹拌した後に、TMEG(30.0mmol)を加え、120℃で2時間加熱撹拌した。続いて、トルエン(15mL)を加え、180℃で2時間加熱撹拌した。140℃まで冷却し、ポリマー固形分濃度30質量%となるようにγ−ブチロラクトンを加え、室温まで冷却することにより、ポリイミド(1)のγ−ブチロラクトン溶液を得た。数平均分子量は38,000、シロキサン構造に由来する部位の質量(含有率)(%)は47%であった。
[ポリイミド2の合成]
窒素雰囲気下、セパラブルフラスコに、シリコーンジアミン(KF−8010、45.0mmol)、γ−ブチロラクトン(120mL)を入れ、続いてODPA(60.0mmol)を加え、室温で2時間撹拌した。続いて、トルエン(60mL)、ピリジン(34.13mmol)、γ−バレロラクトン(22.47mmol)を加え、ディーンシュタルク装置及び還流器をつけ、180℃で2時間加熱撹拌した。120℃まで冷却した後に、APB(9.0mmol)、MBAA(30mmol)を加え、10分間撹拌した後に、TMEG(25.8mmol)を加え、120℃で2時間加熱撹拌した。続いて、トルエン(15mL)を加え、180℃で2時間加熱撹拌した。140℃まで冷却し、ポリマー固形分濃度30質量%となるようにγ−ブチロラクトンを加え、室温まで冷却することにより、ポリイミド(2)のγ−ブチロラクトン溶液を得た。数平均分子量は21,000、シロキサン構造に由来する部位の質量(含有率)(%)は46%であった。
(実施例1〜4、比較例1〜3)
表2に組成の成分と配合割合を示す。配合はポリイミドのγ−ブチロラクトン溶液に感光剤、リン化合物を添加し、室温で、ノンバブリングニーダー(株式会社日本精機製作所社製 「NBK−1」)を用いて、1500rpmで30分間、混合した。評価結果を表3に示す。
Figure 2009283932
Figure 2009283932
実施例1〜実施例4においては、ケイ素(Si)元素、リン(P)元素、硫黄(S)元素がいずれも検出され、且つ、分布が均一であり、反り、難燃性、精細性、屈曲性に優れた。一方、均一性が無かった比較例1においては、反り、精細性、屈曲性が乏しく、また、リン元素を検出できなかった比較例2においては、反りと難燃性が不足した。また、リン含有量の少ない(平均強度の弱い)比較例3においては、反り、難燃性、屈曲性が乏しかった。
本発明のカバーレイは、得られるフレキシブルプリント配線板での反りが抑制され、パターン精細性、屈曲性、難燃性に優れるため、エレクトロニクス分野で各種電子機器の操作パネルなどに使用されるプリント配線板や回路基板の保護層形成、積層基板の絶縁層形成、半導体装置に使用されるシリコンウエハ、半導体チップ、半導体装置周辺の部材、半導体搭載用基板、放熱板、リードピン、半導体自身などの保護や絶縁及び接着に使用するための電子部品への膜形成用途に利用される。

Claims (9)

  1. 表面にケイ素元素、リン元素、及び、硫黄元素が存在し、且つ、面内で均一に分布していることを特徴とするカバーレイ。
  2. 表面の元素のX線強度比において、ケイ素元素の平均強度に対するリン元素の平均強度が0.005以上であり、ケイ素元素の平均強度に対する硫黄元素の平均強度が0.25以上であることを特徴とする請求項1記載のカバーレイ。
  3. シロキサン骨格を有するアルカリ可溶性ポリイミド、及び/又はアルカリ可溶性ポリイミド前駆体、及び1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物、及びリン酸エステル化合物、及び/又はホスファゼン化合物を含んでなる感光性樹脂組成物から得られることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のカバーレイ。
  4. 前記アルカリ可溶性ポリイミドがカルボキシル基及び/又は水酸基を有するポリイミドであることを特徴とする請求項3に記載のカバーレイ。
  5. 前記リン酸エステル化合物が、炭素数1以上30以下の脂肪族有機基を有する化合物であることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のカバーレイ。
  6. 前記リン酸エステル化合物が、少なくとも1個のブトキシエチル基を有していることを特徴とする請求項3から請求項5のいずれかに記載のカバーレイ。
  7. 請求項1から請求項6のいずれかに記載のカバーレイを有することを特徴とするプリント配線板。
  8. 請求項3に記載の感光性樹脂組成物をプリント配線板上に印刷することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
  9. 請求項3から請求項8のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を支持フィルム上に塗布して得られた感光性ドライフィルムをプリント配線板上に積層することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
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