本発明の好ましい一実施例のクロノグラフ時計1は、図3に示したように、腕時計の形態で、中心軸線C1のまわりで回転され現在時刻を表示する時針11,分針12及び秒針13を備えると共に、中心軸線C2のまわりで回転されるクロノグラフ秒針14及び中心軸線C3のまわりで回転されるクロノグラフ分針15を備える。
例えば、巻真16をD1方向に二段引出した状態で該巻真16を回すことにより時刻表示針11,12,13を回転し得、巻真16をD1方向に一段引出した状態で該巻真16を回すことにより窓を介して表示される日車の日付17を変更し得る。クロノグラフ時計1の通常の時刻表示にかかわる動作は、通常の電子時計と同じであり、当業者に周知であるので、以下では、通常運針に係る構造や機能や動作については、記載を省略する。
クロノグラフ時計1では、クロノグラフ指針14,15は、電気的に駆動制御され機械的に帰零制御される。
クロノグラフ時計1では、スタート/ストップボタン18をA1方向に押すことにより、クロノグラフ時計1によるクロノグラフ動作の開始、停止が指示される。より詳しくは、クロノグラフ動作の開始/停止とは、クロノグラフ指針14,15の運針の開始/停止を指し、後述のようにこれに関連して電気的な駆動系の動作及びクロノグラフ指針の電気的な位置情報の保持が行われる。但し、場合によっては、クロノグラフ指針の電気的な位置情報は保持していなくてもよい。
クロノグラフ時計1では、また、リセットボタン19をB1方向に押すことにより、クロノグラフ時計1によるクロノグラフ動作のリセットすなわち初期状態への復帰(帰零)が指示される。より詳しくは、クロノグラフ動作のリセットとは、クロノグラフ指針14,15の初期位置への強制的な復帰(帰零)、並びにクロノグラフ指針14,15の運針の停止及びクロノグラフ指針の電気的な位置情報のリセットを指す。
まず、クロノグラフ時計1のスタート、運針及び帰零にかかわる機械的な構造5及び動作について、主として、図2の(a)及び(b)に基づいて説明する。なお、クロノグラフ時計1のスタート、運針及び帰零にかかわる機械的な構造5は、図1のブロック図の左側部分にも、簡単に示されている。
クロノグラフ時計1は、通常運針用モータ(図示せず)とは別にクロノグラフ指針運針用モータ35を備え、該クロノグラフ指針運針用モータ35は、回転駆動された際、クロノグラフ指針運針用輪列36を介して、クロノグラフ指針14,15を運針させる。
クロノグラフ時計1は、クロノグラフ秒針14のあるクロノグラフ秒真21に取付けられたクロノグラフ秒カム22及びクロノグラフ分針15のあるクロノグラフ分真23に取付けられたクロノグラフ分カム24を備える。
クロノグラフ時計1は、また、復針伝達第一レバー(以下では、「復針伝達レバーB」ともいう)25、復針伝達第二レバー(以下では、「復針伝達レバーA」ともいう)26及び復針レバー27を備えると共に、停止レバー28を備える。
復針伝達第一レバー25は、基準位置J1(図2の(b)の実線)と帰零位置J2(図2の(a)の実線で(b)の点線)との間で回動可能であり、位置決めピン25aが係合する溝を備えたばね状位置決め部材29と係合して、基準位置J1又は帰零動作位置J2に位置決めされる。復針伝達第二レバー26は、長穴26aで復針伝達第一レバー25のピン25bに係合している。復針伝達第一レバー25が基準位置J1から帰零位置J2に移動され位置設定されると、復針伝達第二レバー26が基準位置K1(図2の(b)の実線)から帰零位置K2(図2の(a)の実線で(b)の点線)に移動される。一方、復針伝達第二レバー26が帰零位置K2から基準位置K1に移動され位置設定されると、復針伝達第一レバー25が帰零位置J2から基準位置J1に移動され位置決めされる。復針レバー27は、長穴27aで復針伝達第二レバー26のピン26bに係合し、復針伝達第二レバー26の基準位置K1又は帰零位置K2への位置設定に応じて、基準位置M1(図2の(b)の実線)又は帰零位置M2(図2の(a)の実線で(b)の点線)に位置決めされる。復針レバー27が帰零位置M2に設定されると、復針レバー27は、秒ハンマー部27bでクロノグラフ秒カム22を叩いてクロノグラフ秒針14を初期位置に帰零させると共に、分ハンマー部27cでクロノグラフ分カム24を叩いてクロノグラフ分針15を初期位置に帰零させる。
停止レバー28は、ばね部28a、係合腕部28b及び係止腕部28cを備え、帰零時の停止制御位置ないし規正位置E2(図2の(a)の実線で(b)の点線)と停止制御解除位置ないし規正解除位置E1(図2の(b)の実線)との間でピン28dのまわりで回動可能である。停止レバー28の係止腕部28cは、該停止レバー28が規正位置E2にある状態SE2ではクロノグラフ運針用モータ35のロータ歯車35aにつながるクロノグラフ運針用輪列36のいずれかの車36aに対して係合して輪列36の回転を規正し、停止レバー28が規正解除位置E1にある状態SE1では、輪列36の車36aから離されて、モータ35のロータ歯車35a及び輪列36の回転を許容する。ばね部28aにおいて規正位置E2に向かう方向の偏倚力を受けている停止レバー28は、復針伝達第一レバー25が帰零位置J2から基準位置J1に回動変位される際に、係合腕部28bにおいて復針伝達第一レバー25の腕部25dと係合して帰零時の規正位置E2から規正解除位置E1に回動変位される。一方、復針第一レバー25が基準位置J1から帰零位置J2に移動されると、該復針第一レバー25の腕部25dと係合腕部28bとの係合が解除されるので停止レバー28はばね部28aのばね力により規正解除位置E1から規正位置E2に戻される。
クロノグラフ時計1が、図2の(a)に示した帰零(リセット)状態S2にある際に、スタート/ストップボタン18がA1方向に押圧されると、復針伝達第二レバー26が突起部26cでA1方向に押されて位置K2から位置K1に変位されると共に、復針伝達第一レバー25が位置J2から位置J1に変位され、復針レバー27が位置M2から位置M1に変位される。これにより、ハンマー部27b,27cによるハートカム22,24及びクロノグラフ指針14,15の回転規制(帰零制御)が解除される。また、復針伝達第一レバー25の位置J2から位置J1への回動に応じて、該復針伝達第一レバー25の腕部25dに腕部28bで係合した停止レバー28が規正位置E2から規正解除位置E1に回動され、停止レバー28の係止腕部28cがクロノグラフ輪列36から離脱して輪列36の回転規正(停止制御)を解除する。これにより、機械的制御機構5が状態S1に戻され、クロノグラフ指針14,15が回転可能になる。
一方、クロノグラフ時計1が、図2の(b)に示したスタート状態ないし運針状態S1にある際に、リセットボタン19がB1方向に押圧されると、復針伝達第一レバー25が突起部25cでB1方向に押されて復針伝達第一レバー25が位置J1から位置J2に変位される。復針伝達第一レバー25が位置J1から位置J2に変位されると、一方では、該レバー25に係合した復針伝達第二レバー26が位置K1から位置K2に移動され、該レバー26に係合した復針レバー27が位置M1から位置M2に移動して、秒ハンマー27b及び分ハンマー27cが秒ハートカム22及び分ハートカム24を叩いてクロノグラフ秒針14及びクロノグラフ分針15を帰零させる。他方では、停止レバー28に対する腕部25dの係止が解除され停止レバー28が位置E1から位置E2に回動されて、腕部28cでクロノグラフ輪列36に係合して、輪列36を規正する。
クロノグラフ時計1について、図2の(a)及び(b)に示した機械的構造5に関連する範囲で電気的な側面について言えば、次のとおりである。
クロノグラフ時計1が、図2の(a)に示したリセット状態S2にある際に、スタート/ストップボタン18がA1方向に押圧されると、該スタート/ストップボタン18はその奥端の近傍においてA2方向の偏倚力を及ぼすスタート/ストップスイッチバネ33を押して、接点部34を閉じさせ、該接点部34を介して、スタート信号Pa(図1)を発生させる。なお、クロノグラフ時計1が、図2の(b)に示したスタート状態S1にある際に、スタート/ストップボタン18がA1方向に押圧されると、該スタート/ストップボタン18はスタート/ストップスイッチバネ33を押して、接点部34を閉じさせ、該接点部34を介して、ストップ(停止)信号Pb(図1)を発生させる。
一方、クロノグラフ時計1が、図2の(b)に示したスタート状態(又はストップ状態)S1にある際に、リセットボタン19がB1方向に押圧されると、該リセットボタン19はその奥端の近傍においてB2方向の偏倚力を及ぼすリセットスイッチバネ31を押して、接点部32を閉じさせ、該接点部32を介して、リセット信号Qa(図1)を発生させる。
次に、以上のような動作のうち、主として、図2の(a)の帰零状態S2においてスタート/ストップボタン18がA1方向に押圧された際のスタート動作の開始及び進行について、より詳しく説明する。
即ち、スタート/ストップボタン18のA1方向押圧に伴い、一方では、スイッチ接点34を介して電気的な駆動開始信号Paが出されてこれによりモータ35の回転駆動が行われる。他方では、復針伝達第二レバー26の回動に伴う復針レバー27の回動により機械的な帰零制御状態が解除されると共に、該復針伝達第二レバー26及び復針伝達第一レバー25の回動に伴う停止レバー28の回動により輪列36の係止(停止制御状態)が解除されて、運針が機械的に許容される(機械的な規正が解除される)。
このようなクロノグラフ時計1では、機械的な帰零制御機構によってクロノグラフ指針14,15の回転規正が行われる場合だけでなく、種々の原因で輪列に対する回転負荷が大きくなる場合にも、クロノグラフ指針14,15が回転し難くなることがある。この二つの場合は、クロノグラフ指針14,15の回転が生じない点では同様であって従来は区別されていなかった。しかしながら、その回転規正の原因が異なることから、対処の仕方を変えることにより、電気的に駆動され機械的に帰零されるタイプのクロノグラフ時計1の回転駆動が効率的に行われ得る。以下では、この点を中心に詳しく説明する。
まず、クロノグラフ時計1の電気的駆動機構6の概要を、図2の機械的構造5を参照しつつ、主として図1のブロック図に基づいて説明する。
クロノグラフ時計1のクロノグラフ運針用モータ35の回転は、発振回路41及び分周回路42を介して与えられるクロックパルスに基づいて駆動制御されるクロノグラフ指針運針用モータ35の駆動制御用集積回路50によって、制御される。
モータ駆動制御用集積回路50は、基本駆動制御部51と、回転状態判定制御部52と、駆動パルス発生回路53と、モータ駆動回路54と、帰零制御部55とを有する。回転状態判定制御部52は、モータ35のステータに巻いた検出コイルに誘導される誘導電圧Vを検出すると共に参照電圧発生部56aの参照電圧Vcomp1,Vcomp2と比較して該比較結果に基づいて回転状態を検出し該検出信号を発する回転検出回路56と、該検出信号にもとづいて回転駆動パルス発生回路53による回転駆動や該駆動の停止や帰零制御部55による強制帰零を制御する非回転判定制御部ないし非回転判定部59とを有する。
この例では、非回転検出手段は回転検出回路56と参照電圧発生部56aとからなり、駆動・停止制御手段は非回転判定制御部59からなる。
モータ駆動制御用集積回路50は、更に、クロノグラフ秒をカウントし該クロノグラフ秒情報を保持するクロノグラフ秒カウンタ57、及びクロノグラフ分をカウントし該クロノグラフ分情報を保持するクロノグラフ分カウンタ58を有する。クロノグラフ時をカウントし該クロノグラフ時情報を保持するクロノグラフ時カウンタが更に設けられていてもよい。
基本駆動制御部51は、クロノグラフ時計1が帰零(リセット)状態S2にある際におけるスタート/ストップボタン18の押下げに応じて接点部34を介して与えられるスタート信号ないし作動信号Paを受取ると、チャタリング防止用の短い期間をおいて、駆動制御信号Pdを発する。以下では、スタート信号Paの送信時点と駆動制御信号Pdの送信時点とは、実質的に同一であるとする。駆動制御信号Pdは、クロノグラフ動作が行われる期間は高レベルに保たれる信号からなる(図6の(a)参照)。基本駆動制御部51は、また、クロノグラフ時計1がスタート状態S1にある際におけるスタート/ストップボタン18の押下げに応じて接点部34を介して与えられるストップ(停止)信号Pbを受取る(又は接点部34からのスタート信号ないし作動信号Paの送出が停止される)と、駆動制御信号Pdの送信を停止する。
クロノグラフ秒カウンタ57は、基本駆動制御部51からの駆動制御信号Pdを受取り、該駆動制御信号Pdが高レベルに保たれている間、分周回路42から与えられるクロックパルスを受取ってクロノグラフ秒をカウントすると共に、該駆動制御信号Pdに基づいてクロノグラフとしての計時を開始した時点t0を始点として該時点から周期T毎にクロノグラフタイミングパルスPhを発する。このパルスPhの周期Tは、クロノグラフ時計1の計時精度に対応し、例えば、1/100秒(即ち、10ms)である。但し、1秒の如く別の時間間隔でもよい。
駆動パルス発生回路53は、駆動制御信号Pd及びタイミングパルスPhを受けており、駆動制御信号Pdが高レベルに保たれている通常状態では、タイミングパルスPhを受信した時点で、主駆動パルスGを発生する。
駆動パルス発生回路53がモータ駆動回路54に主駆動パルスGを与えると、該主駆動パルスGに応じて、モータ駆動回路54がモータ35に図5の上段に示した通常のモータ駆動パルスUを与え、モータ35の回転駆動を行う。モータ35の通常の回転駆動状態では、モータ35に通常のモータ駆動パルスUが与えられる毎に、モータ35のステータが該モータ駆動パルスUによって励磁され、該モータ35のロータを半回転させる。モータ駆動パルスUの向き(極性)ないし位相は、駆動パルス発生回路53から出される主駆動パルスG等の向き(極性)ないし位相に依存ないし対応する。ここで、駆動パルス発生回路53は、モータ35のロータの向き(直径方向に磁化されたロータの磁化の向き即ちロータの半回転毎の回転状態(回転位置))の情報をロータ回転位置情報として保持し、モータ35のロータの回転が実際上生じる毎に次の半回転を生じさせるに適合した向きの主駆動パルスGを発生する。従って、モータ35のロータが実際上回転しなかった場合(反転に至らなかった場合)、駆動パルス発生回路53が次に発生する駆動パルスの向き(極性)ないし位相は、前回の駆動パルスの向き(極性)ないし位相と同じになる。
回転状態判定制御部52では、回転検出回路56が感知するロータ回転・非回転状態表示電圧Vに応じて、正常回転信号Xn,過負荷による非回転信号Xr又は機械的規正による非回転信号Xmを非回転判定制御部59に与える。該非回転判定制御部59が正常回転信号Xn,過負荷による非回転信号Xr又は機械的規正による非回転信号Xmに応じて正常回転検出信号Yn,補正駆動指示信号Yr又は非回転検出信号Ymを駆動パルス発生回路53に与えると共に、所定回数だけ継続的に機械的規正非回転信号Xmを検出した場合に、帰零制御部55に帰零指示信号Qbを与える。ここで、補正駆動指示信号Yrは、クロックパルスPhよりもパルス幅が広いパルスである。
駆動パルス発生回路53は、回転状態判定制御部52の非回転判定制御部59から正常回転検出信号Yn,補正駆動指示信号(パルス)Yr又は非回転検出信号Ymを受信する。受信信号が(1)正常回転検出信号Ynの場合は、次回(次の周期)の主駆動パルスGを逆位相で出力する。受信信号が(2)補正駆動指示信号(パルス)Yrの場合は、主駆動パルスよりもパルス幅の大きい補正駆動パルスGrを追加的に発し且つ次回(次の周期)の主駆動パルスGを逆位相で出力する。受信信号が(3)非回転検出信号Ymの場合は、次回(次の周期)の主駆動パルスGを再度同位相で発する。
次に、回転状態判定制御部52について説明する。
モータ35のステータを通る磁束変化を感知する検出コイル(駆動コイル)に誘導される誘導電圧V即ち回転検出回路56の入力電圧Vは、ロータの回転の規正のされ方の相違に応じて、モータ駆動パルスUによる回転駆動を受けた後、図5の下段に示したように変動する。
モータ駆動パルスUが高レベルにある期間が経過する時点t1よりも後の時刻tにおける誘起電圧Vの変動の仕方RVn,RVr,RVmは、モータ35のロータにかかる回転規正の差異に依存して異なる。ここで、次に詳述するこの変動のパターンRVn,RVr,RVmの間の相違は、量的に僅かの差異ではなくて、実際上質的な差異である。
クロノグラフ時計1の通常運針ないしクロノグラフ指針14,15の通常の回転が行われる場合には、ロータは半転(反転)後も回転方向に大きく振動し、想像線(二点鎖線)で示した電圧変動パターンRVnから判るように、Vcomp1を越える電圧出力が得られる。
一方、ロータの回転が機械的に規正されている場合には、ロータは回転方向には実際上動かず(振れず)、実線で示したパターンRVmからわかるように、Vcomp2よりも小さく実際上ゼロの電圧出力しか得られない。ここで、単にVcomp2<Vcomp1というよりもむしろ、Vcomp2<<Vcomp1である。
また、負荷の増大によりロータが回転し難くなっている場合、ロータは半転(反転)まではしないけれども回転方向にある程度は振動するので、破線で示したパターンRVrからわかるように、Vcomp2<V<Vcomp1程度の大きさの電圧出力が得られる。
以上の事実を前提として、回転状態判定制御部52の参照電圧発生部56aは、図5の下段において、Vcomp1及びVcomp2で示した二種類の参照電圧Vcomp1,Vcomp2を回転検出回路56に与える。回転状態判定制御部52の回転検出回路56は、検出電圧Vの最大値Vmaxを二種類の参照電圧Vcomp1,Vcomp2と比較し、該比較結果に基づいて、ロータの回転状態(換言すれば、ロータの非回転状態)を次のように検出し判定して、該検出及び判定に基づいて、非回転判定制御部59に回転状態検出信号Xn,Xr,Xmを出力し、該非回転判定制御部59が駆動パルス発生回路53の制御を行う。
(1)時点t1以降における電圧Vの最大値をVmaxとして、Vcomp1≦Vmaxの場合、回転検出回路56は、V=RVnであると判定し、正常回転信号Xnを非回転判定制御部59に与え、該非回転判定制御部59が正常回転信号Xnに応じた正常回転検出信号Ynを駆動パルス発生回路53に与える。これにより、駆動パルス発生回路53のロータ回転位置情報保持部は、ロータの回転位置が変った(ロータが反転した)としてその情報を更新する。
(2)Vcomp2≦Vmax<Vcomp1の場合、回転検出回路56は、V=RVrであると判定し、負荷が増加していることにより偶々過負荷状態で非回転状態にあるとして、過負荷による非回転信号Xrを非回転判定制御部59に与え、該非回転判定制御部59は、過負荷非回転信号Xrに応じた補正駆動指示信号Yrを駆動パルス発生回路53に与える。駆動パルス発生回路53は、補正駆動指示信号Yrを受取ると、負荷を上回る回転駆動力を付与し得るように、主駆動パルスGよりもパルス幅の広い補正駆動パルスGrを発生して強制回転駆動を行う。なお、この補正駆動パルスGrによってモータ35のロータが回転されるので、駆動パルス発生回路53は、補正駆動パルスGrを出力した後、ロータの回転位置が強制的に変えられた(ロータが反転した)として、そのロータ回転位置情報保持部の保持情報を更新する。
(3)Vmax<Vcomp2の場合、回転検出回路56は、V=RVmであると判定し、機械的な回転規正による非回転状態(回転不能状態)にあるとして、機械的規正による非回転信号Xmを非回転判定制御部59に与え、該非回転判定制御部59は、機械的規正非回転信号Xmに応じた非回転信号Ymを駆動パルス発生回路53に与える。駆動パルス発生回路53は、モータ35のロータの回転が生じなかったとして、ロータ回転位置情報保持部の保持情報を元のまま維持する(従って、次の駆動パルスGを前回と同位相(同極性)で出力する)。
なお、Vmax<Vcomp2の場合、この非回転判定部59は、機械的規正非回転信号Xmを連続的に(即ち継続的に)受取る回数をカウントして該回数が所定回数(例えば、3回、但し、1回でも2回でも、4回以上でもよい)に達すると、帰零制御部55に帰零指示信号をQbを発して、強制的な帰零制御を行わせる。なお、この回数情報は、回転検出回路56が、パターンRVn又はRVrを検出する毎に、又は帰零制御部55による強制帰零信号Pfが出されると、クリアないしリセットされる。
基本駆動制御部51が停止信号Pbを受けると、該駆動制御部51は、駆動制御信号Pdの送出を停止して(所望ならば、駆動停止信号Pfを与えてもよい)、駆動パルス発生回路53からの駆動パルスGの送出を停止し、モータ駆動回路54によるモータ駆動パルスUの送出を停止する。これによりクロノグラフ指針運針用モータ35の回転駆動が停止して、該モータ35のロータないし出力軸の回転が停止し、クロノグラフ指針運針用輪列36を介するクロノグラフ指針14,15の運針が停止する。
帰零制御部55は、リセットボタン19の押圧によりスイッチバネ31が押下げられて接点部32が閉じた場合、又は回転状態判定制御部52の非回転判定部59が機械的規正による非回転を判定した場合、該接点部32からのリセット信号Qa又は該非回転判定部59からの帰零指示信号Qbを受取ると、駆動パルス発生回路53に駆動停止信号Pfを出力すると共に、クロノグラフ秒カウンタ57及びクロノグラフ分カウンタ58にリセット信号Pfを与えて、クロノグラフ秒カウンタ57及びクロノグラフ分カウンタ58の内容をゼロにリセットする。
駆動パルス発生回路53は、帰零制御部55からの駆動停止信号Pfを受取ると、駆動パルスGの発生を停止して、モータ駆動回路54によるモータ駆動パルスUの送出を停止させる。その結果、クロノグラフ指針運針用モータ35の回転駆動が停止され、クロノグラフ指針14,15の運針が停止される。
次に、図1のクロノグラフ時計1について、主として回転状態判定制御部52の制御動作を、図6のタイムチャートに基づいて、具体的に説明する。
図6の上段において(a)で示したように、時点t0において、スタート/ストップボタン18が押されて、時点t0において、駆動制御部51から駆動制御信号Pdが出されるとし、時点t0の後、時間T毎に、クロックパルスPhが出されるとする。
例えば、本来時点(t0+T)よりも前に完了すべき停止レバー28の規正の解除(停止解除)が多少遅れて規正状態が長引いたとする。この場合、図6の(b)に示したように、時点(t0+T)における最初のクロックパルスPhに応じた最初の主駆動パルスGに伴う最初のモータ駆動パルスUが出た際に、停止レバー28による停止動作(回転規正)が解除されていない。この場合、モータ駆動パルスUが与えられてもロータは実際上一切動かないので、回転検出回路56は、機械的規正による非回転の場合のパターンRvmの電圧信号Vを受取る。従って、回転検出回路56は、Vmax=RVm<Vcomp2と判定し、機械的規正による非回転信号Xmを非回転判定制御部59に与え、非回転判定制御部59が非回転信号Ymを駆動パルス発生回路53に与える。その結果、駆動パルス発生回路53のロータ回転位置情報は更新されず、非回転判定部59はメカ規正による非回転が一回生じた旨の情報を保持する。
時点(t0+2T)において、駆動パルス発生回路53は、クロックパルスPhを受取ると、前回更新されなかったロータ回転位置情報に基づいて、前回と同位相(同じ向き)の主駆動パルスGを発する。この時点(t0+2T)においては、停止レバー28による機械的な回転規正が解除されているので、駆動パルス発生回路53からの主駆動パルスGに基づいてモータ駆動回路54からモータ駆動パルスUが出されると、該パルスUに応じてモータ35が回転駆動される。なお、それ以後、一回ごとに位相が反転された通常の駆動が繰返される。
一方、例えば、停止レバー28の停止解除動作等は完了して機械的な回転規正はかかっていないにもかかわらず摩擦その他の回転負荷が高いことにより通常の主駆動パルスGに基づくモータ駆動パルスUによる回転駆動力ないし回転駆動エネルギによってはロータが回転しない場合、時点(t0+T)のモータ駆動パルスUに対して、回転検出回路56は、図5のパターンRVrの形態の電圧出力Vを検出する。この場合、Vcomp2≦Vmax<Vcomp1である。従って、図6の(c)に示したように、回転検出回路56からの過負荷による非回転信号Xrに応じて非回転判定制御部59から補正駆動指示パルスYrが出され、該補正駆動指示パルスYrに伴って駆動パルス発生回路53から出される補正駆動パルスGrに応じてモータ駆動回路54からパルス幅の広い補正駆動用のモータ駆動パルスUrが出されて、モータ35が強制的に回転駆動される。その後は、通常の回転駆動が行われる。なお、例えば、1回転のうちの一方の半転毎に回転負荷が大きくなるような場合、例えば図6の(c)に示したように、一回毎に補正駆動用のモータ駆動パルスUrが出されることもあり得る。
何らかの原因で回転が機械的に規正されてこの規正が実際上解除されないような場合、図6の(d)に示したように、V=RVmの状態が続く。この場合、Vmax=RVm<Vcomp2の状態の非回転が検出される毎に非回転判定部59が受信する機械的規正非回転信号Xmの回数を計数し、該数が例えば、「3」に達すると、例えば、機械的帰零制御の規正解除の単なる遅れには帰し得ない原因があるとみなし、不良による非回転であると判断する。すなわち、回転状態判定制御部52の非回転判定部59から帰零制御部55に帰零指示信号Qbが出され、該帰零制御部55の制御下で、帰零処理が行われる。このとき、非回転判定部59の保持内容もリセットされる。
次に、以上の如く構成されたクロノグラフ時計1の動作を、図1、図3及び図4を参照しつつ、主として図4に示したフローチャートに基づいて、説明する。
クロノグラフ処理について、まず、ステップZ01において、クロノグラフ処理の開始が指示されたか否か(すなわち、スタート信号Paが与えられたか否か)がチェックされる。スタート指示が与えられていない場合、該スタート指示が与えられるまで、ステップZ01を繰返す。
スタート指示が与えられると、ステップZ01からクロノグラフ運針主駆動ステップZ02に移る。このステップZ02では、駆動制御部51から駆動信号Pdが出され、駆動パルス発生回路53から主駆動パルスGが出され、モータ駆動回路54から通常のモータ駆動パルスUが出されて、モータ35の回転駆動が行われる。
ステップZ31及びZ21では、モータ35のロータの回転(反転)が生じたか否かが、回転検出回路56によって電圧Vとして感知され参照電圧発生部56aの参照電圧Vcomp2,Vcomp1と比較されて判定される。
モータ駆動パルスUによってモータ35のロータの回転が生じる通常の場合、回転検出回路56で検出する電圧Vの最大値Vmaxは十分に大きくてVmax≧Vcomp1であるので、ステップZ31,Z21をNoで抜けて、ステップZ03に達する。
ステップZ03では、リセットボタン19が押されてリセット信号Qaを受けているか否かがチェックされ、リセット指示を受けていない場合、ステップZ04に入る。
ステップZ04では、スタートストップボタン18が押されてストップ信号Pbを受けているか否かがチェックされ、ストップ指示を受けていない場合、ステップZ02に戻って、次の運針処理に入る。
従って、スタート指示を受けてクロノグラフ運針動作を開始した後ストップ指示もリセット指示もない場合には、通常運針が行われる限り、ステップZ01からステップZ02に至り、その後Z02,Z31,Z21,Z03,Z04の処理を繰返す。
ストップ指示があると、ステップZ04をYesで抜けて、ステップZ05に入って、クロノグラフ運針停止処理を行い、再度、スタート指示があるまで、ステップZ01で待つ。なお、このフローチャートでは、この停止状態において、リセット指示がある場合を示していないのでその説明は省くけれども、リセット指示があるとリセット処理をすることになる。ここで、クロノグラフ運針停止処理Z05では、駆動信号Pdが低レベルに落ち、駆動パルス発生回路53による駆動パルスGの発生が停止される。
また、ステップZ02,Z31,Z21,Z03,Z04の処理を繰返している際に、リセット指示Qaを受けると、ステップZ11に移って帰零制御部55が駆動停止信号Pfを出力し、駆動パルス発生回路53からの駆動パルスの出力を停止して、クロノグラフの運針を停止する。更にステップZ12においてカウントをリセットする。ここで、運針停止処理Z11、Z12のタイミングにおいて、機構としては停止レバー28によるモータ輪列36の回転規正と、ハンマー27b,27cによるハートカム22,24の強制帰零が行われる。ステップZ12のカウントリセット処理は、クロノグラフ秒カウンタ57及びクロノグラフ分カウンタ58のリセット処理を含む。
一方、過負荷による非回転である場合、回転検出回路56で検出する電圧Vの最大値Vmaxは、Vcomp2よりも大きいけれども、Vcomp1よりも小さく、ステップZ31をNoで抜けるけれども、ステップZ21ではYesになるので、ステップZ21からステップZ22に移って、クロノグラフ補正駆動処理が行われる。これは、回転状態判定制御部52から補正駆動指示信号Yrが駆動パルス発生回路53に与えられ、これに基づく補正駆動パルスGr,Urにより、モータ35の補正駆動が行われることに対応する。
更に、機械的な回転規正がある場合、回転検出回路56で検出する電圧Vの最大値VmaxがVcomp2よりも小さくなる。従って、ステップZ31をYesで抜けて、ステップZ32に入る。このステップZ32では、クロノグラフ運針が一旦開始されているか否かがチェックされる。例えば、図6の(b)のように、駆動開始信号Pdによりモータ駆動が開始されたものの停止レバー28による規正解除が偶々遅れているような場合、ステップZ32をNoで抜けて、ステップZ33に入る。最初のモータ駆動パルスUを受けた後の最初の非回転検出信号Ymが出された場合、非回転判定部59は「1」をカウントするけれども、例えば所定回数「3」(又は該所定回数に対応する時間)に達しないので、ステップZ32をNoで抜けて、ステップZ03に戻る。
例えば、図6の(b)の場合は、この後、ステップZ04,Z02と通り、二発目のモータ駆動パルスUが出るときには機械的規正が解除されているので、ステップZ31,Z21をNoで抜けて、通常運針処理に入る。
一方、図6の(d)の場合、ステップZ04,Z02と通った後、再度、ステップZ31をYesで抜けてステップZ32に達し、これをNoで抜けた後Z33を通ることを、繰返し、三回目には、ステップZ32をYesで抜ける。これは、非回転判定部59において、非回転信号Ymの受信が所定回数(例えば、3回)又は所定時間(例えば、10秒)に達することに対応し、非回転判定部59から、帰零指示信号Qbが出されることに対応する処理に入る。
すなわち、ステップZ41で、ステップZ11と同様に、クロノグラフ運針を停止し、ステップZ42で、ステップZ12と同様に、カウントをリセットし、この場合はステップZ43をNoで抜けて、ステップZ44に達して、異常表示をさせる。ここで、異常表示は、例えば、時計用指針13等の駆動の仕方を変則的にすることにより行う。
逆に、所定回数(例えば、3回)又は所定時間(例えば、10秒)に達する前に、規正が解除されて回転が検出される場合(回転が検出される代わりに過負荷による非回転を検出した場合も同様)、回転しなかった回数分だけ早送りでクロノグラフ指針を追加的に回転させるようにしてもよい。すなわち、図6の(b)のような場合、ステップZ31から、一回以上ステップZ32,Z33,Z03の順序で処理を行うと、回転しなかった回数(又はこれに対応する時間)が非回転判定制御部59で計数される。該非回転判定制御部59がクリアされない計数値を有する状態のときに、非回転判定制御部59が回転検出信号Xn(又は過負荷非回転信号Xr)を受取ると、非回転判定制御部59でカウントされた機械的規正による非回転の継続的回数を表す計数値に対応する回転しなかった回数分だけ早送りでクロノグラフ指針を追加的に回転させるようにしてもよい。
なお、Vmax<Vcomp2になった場合であって一旦クロノグラフ運針が開始された後である場合には、例えば、ステップZ41,Z42を通ってZ44で異常表示をさせる。
以上の如く構成されたクロノグラフ時計1は、帰零制御に際しても適切な動作を行い得る。クロノグラフ時計1によるクロノグラフ動作中のリセット操作による帰零制御の例のいくつかを、図7のタイムチャートを参照しつつ説明する。
図7の(a)において上段で示したように、時点(t0+nT)と時点(t0+(n+1)T)との間の時点taにおいてリセットボタン19が押されて、時点taにリセット信号Qaが出され、該図7の(a)の下段で示したように、時点taから僅かな時間(チャタリング防止時間)をおいた時点tbに強制的な帰零制御を指示する帰零信号(駆動停止信号)Pfが出されるとする。
機械的な帰零制御機構5の動作に要する時間には多少のバラツキが有るけれども、時点tcに停止レバー28による機械的規正がかかるとする。
ここで、図7の(b)の上段で示したように、時点tbが、機械的規正開始時点tcよりも後で且つ時点(t0+(n+1)T)よりも後であるとする。その場合、モータ駆動パルスUによるモータ35の回転駆動が試みられるものの、機械的規正によりモータ35のロータの回転は生ぜず、ロータは実際上振動すらしない。
この場合、図4のフローチャートでいえば、時点(t0+(n+1)T)におけるモータ駆動パルスUがステップZ02で出されるものの、ロータが回転しないのでステップZ31において機械的規正による非回転とみなされて、ステップZ32に移り、運針開始後であることから、ステップZ32をYesで抜けてステップZ41,Z42でリセット処理をする。この時点では、強制帰零信号(駆動停止信号)Pfが既に出ているとすると、ステップZ43をYesで抜けて処理を終える。
なお、この場合、時点(t0+nT)のモータ駆動パルスUに対して反転した状態で時点(t0+(n+1)T)に出されたモータ駆動パルスUに対しては、ロータの回転が生じないことがステップZ31において回転検出回路56で検出される。これに対応して駆動パルス発生回路53が非回転検出信号Ymを受取っているから、駆動パルス発生回路53は、次のモータ駆動の際には時点(t0+(n+1)T)で出したモータ駆動パルスUと同じ位相のモータ駆動パルスを出力すべく、モータ35の回転状態保持情報を保持することになる。
一方、図7の(c)の上段で示したように、時点tbが、機械的規正開始時点tc1よりも前で且つ時点(t0+(n+1)T)よりも後であるとする。なお、機械的規正開始時点tc1は、時点(t0+(n+2)T)よりは前であるとする。この場合は、基本的には、モータ駆動パルスUによりモータ35の回転駆動が行われる。但し、ここで、回転負荷が大きくて、通常のモータ駆動パルスUによってはロータが回転しない(反転しない)とすると、図4のフローチャートでいえば、回転検出回路56の動作にかかわるステップZ21をYesで抜けて、該回路56から補正駆動指示信号Yrが出され、ステップZ22において、駆動パルス発生回路53から補正駆動パルスGrが出されることに応じてモータ駆動回路54から補正駆動用の幅広のモータ駆動パルスUrが出される。
この場合、補正駆動指示信号Yrに応じた補正駆動用のモータ駆動パルスUrによってモータ35が回転駆動され、ロータが更に反転するので、次のモータ駆動パルスは、時点(t0+(n+1)T)に出されたモータ駆動パルスUに対して、反転した位相でだされることになる。この情報は、補正駆動指示信号Yrを受けた時点で駆動パルス発生回路53において更新されている。
以上のとおり、帰零制御が行われる場合においても、クロノグラフ時計1は、非回転の状態の相違(機械的規正による非回転か、克服可能な過負荷による非回転か)を識別して、該識別結果に応じて適切にモータ35の回転駆動を行い得る。
なお、帰零の際において接点部34に接触不良がある場合、図7の(d)の最上段に示したように、リセット信号Qaが出ず、帰零制御部55からの強制帰零(駆動停止)信号Pfも出ない。一方、停止レバー28は、機械的な帰零制御機構5の動作に従って、例えば、時点tc1において規正動作に入る。従って、モータ駆動パルスUは、時点tc1において機械的規正がかかった後、時点(t0+(n+2)T)まで出される。すなわち、時点(t0+(n+1)T)においては、電気的には帰零に係る情報を受けておらず、且つ機械的帰零規正がかかっていないので、時点(t0+(n+1)T)のモータ駆動パルスUに従って運針駆動が行われる。一方、時点(t0+(n+2)T)においては、既に機械的規正がかかっているので、ステップZ02におけるモータ駆動パルスUの送出の後、ステップZ31をYesで抜け、ステップZ32をYesで抜け、更に、ステップZ41,Z42を通った後、ステップZ43に達する。ここで、電気的には、帰零に係る情報がないことから、ステップZ43をNoで抜けて、ステップZ44において異常表示をさせて、処理を終える。スイッチ操作にもかかわらず接点部32からのリセット信号Qaが出力されなかったことがユーザには外見上わからないから、異常表示を要することになる。なお、異常表示は、例えば、時計用指針13等の駆動の仕方を変則的にすることにより行う。
この場合も、結果的には、接点の不良を検出し報知し得ることになる。その結果、無駄なモータ駆動による電池寿命の低下を最低限に抑え得る。
以上のとおり、従来の電気駆動式で機械帰零式のクロノグラフ時計においては機械的帰零制御機構の動作と電気的な駆動における接点の動作とが所定の順序で確実に動作しないと適切な駆動制御や帰零制御が行われ得ないことから接点構造のような電気機械的な構造部分を含めて機械的な構造の設計上の制約が大きかった。これに対して、このクロノグラフ時計1では、主駆動パルスに対するロータの非回転の態様を検出して機械的規正による非回転と克服可能な過大による非回転とを識別して駆動または停止の制御を行うので、結果的に機械的帰零制御機構の動作と電気的な駆動における接点の動作とが所定の順序で確実に動作しない場合であっても、クロノグラフ指針の回転駆動や停止を適切に制御し得る。その結果、接点構造のような電気機械的な構造部分を含めて機械的な構造の設計上の自由度も増す。