JP2009281518A - インサート成形体用埋込体、及びインサート成形体 - Google Patents

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亮兵 林
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Abstract

【課題】外形を加工する後工程を必要とせず、一体成形により成形可能であり、回転止め力と抜け止め力を有し、正しい方向でのみ挿入できるため誤挿入防止でき、インサート時の挿入性に優れたインサート成形体用ボルトまたはナットを得る。
【解決手段】一端部に、インサート成形体を形成するための成形金型に対して周方向に任意の角度で挿入し得るように形成された柱状または筒状の挿入部11を有し、この挿入部に連なる他端部側における合成樹脂材の中に埋没する位置に設けられ外周部に塑性加工によって形成し得る回り止め機能及び抜け止め機能を有する突起部12を有してなるものである。
【選択図】図1

Description

この発明は例えばインバータ装置等の電気装置や、各種機械装置等の樹脂ケース、固定部材などとして好ましく用いることができるインサート成形体用埋込体、及びインサート成形体に関するものである。
従来のインサート成形体用の埋込体であるインサートナットとして、ナット体の一端に合成樹脂材中に埋没するアンカー板を固着し、これらナット体及びアンカー板の何れか一方もしくは両方に、その周縁部に凹凸を形成すると共に、アンカー板の少なくとも一部は前記ナット体の周縁部より外方に突出している構成としたもの(例えば特許文献1参照)、あるいは中心部にねじ孔を有する筒状のナット本体を切削あるいは圧造成形により形成し、その後、該ナット本体の外周部にローレット加工を施した慣用的な技術がある。
特開2002−161910号公報(第1頁、図4)
上記のような従来のインサートナットは、ナット本体の外周部にローレット加工を施し、あるいはアンカー板を溶接などの手段によって固着するといった後加工が必要である。そのため、特別な設備が必要となるばかりか、その加工が複雑で手間を要し、コスト高となる問題があった。また、アンカー板を固着する形状においては対称な形状となっていないため、樹脂ケース等の成形時に成形金型に挿入する向きを誤ると挿入できず、向きを確認して成形金型に挿入する必要があり、インサート性に問題があった。
この発明は、上記のような従来技術の課題を解消することを課題としてなされたものであり、回転止めと抜け止め機能を有しながら、製作が簡単で安価であり、樹脂成形時の成形金型に対する誤挿入を防止し得るインサート成形体用埋込体、及びインサート成形体を提供することを目的としている。
この発明に係るインサート成形体用埋込体は、一端部に、インサート成形体を形成するための成形金型に対して周方向に任意の角度で挿入し得るように形成された柱状または筒状の挿入部を有し、この挿入部に連なる他端部側における合成樹脂材の中に埋没する位置に設けられ外周部に塑性加工によって形成し得る回り止め機能及び抜け止め機能を有する突起部を有してなるものである。
この発明においては、注型時の成形型に対して周方向に任意の角度で挿入し得る挿入部と、該挿入部に連なり合成樹脂材の中に埋没するように設けられた外周部に塑性加工によって形成し得る回り止めと抜け止め機能を有する突起部とを備えるようにしたので、成形金型へは正しい方向でのみ挿入できるため、誤挿入防止ができ、作業性の向上が計れる。また、回り止めと抜け止め機能を得るためにローレット加工や、アンカー板の固着などの後加工をする必要がないので、工程数を減らすことができ、コストを低減することもできる。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係るインサート成形体用埋込体及びインサート成形体としての樹脂ケースの要部を説明する図であり、(a)は樹脂ケースのナットインサート部を模式的に示す斜視図、(b)はナットインサート部の埋込体の中心線における縦断面図である。図において、インサート成形体である樹脂ケース(図示省略)の所望の個所に設けられたナットインサート部Aには埋込体としてのナット体1が埋め込まれている。ナット体1は、注型時の成形金型(図示省略)に対して周方向に任意の角度で挿入し得る表面が平滑な円筒軸状に形成され、硬化した注型樹脂などからなる合成樹脂材2の表面部から露出された挿入部11と、この挿入部11に連なって合成樹脂材2の中に埋没するように設けられ外周部に例えば鍛造、圧造などにより塑性加工によって形成し得る回り止め機能及び抜け止め機能を有する6角ボルトの頭部状の多角柱形状の突起部12とを有し、中心部に軸方向のめねじ13が螺設されている。該ナット体1は例えば一般的な量産品をそのまま用いても良いし、特殊形状の場合には例えば鋳造されたものなどであっても良い。また、上記合成樹脂材2としては例えば従来技術による公知の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、これら樹脂材料に各種フィラーなどが配合されたものなどから適宜選択して用いることができる。
次に、上記のように構成された実施の形態1の動作について説明する。上記ナット体1は、一端部側(上部側)に円筒軸状の挿入部11が形成され、他端部側にボルトの頭部形状の多角形の突起部12が形成され、挿入部11の中心部にめねじ13が螺設された方向性を有する形状となっている。しかるに、成形時にインサート成形体である樹脂ケースを形成するための成型金型に設けられた1箇所または複数個所の埋込体係止穴(図示省略)に挿入する際には、円筒状の挿入部11のみが周方向に任意の角度で挿入可能で、突起部12側は挿入できない。このため、めねじ13を有する側のみが埋込体係止穴に挿入されるので誤挿入が防止され、周方向には自由に挿入されるので挿入が容易である。なお、ナット体1を成形金型の所定箇所に挿入した後、例えば公知の注型樹脂によって成形すると、合成樹脂材2がナット体1を固定し、ナット体1の突起部12の外周面部12aによって回転止め力を、突起部12の挿入部11の外周面から径方向に突出している段差部12bによって軸方向抜け止め力を発揮するように構成される。
なお、上記突起部12を6角ボルトの頭部状の多角柱形状とした例を示したが、もとよりこれに限定されるものではなく、例えば三角形や四角形など、他の多角柱形状とし、あるいは波状の凹凸部をもつ柱形状とし、さらには多角錐形状とする等、合成樹脂材2中に埋没されたときに回転止め機能及び抜け止め機能を発揮する形状で、鍛造等の塑性加工によって形成可能なものであれば何れの形状としても差し支えない。また、上記ナット体1の底面部12cは、合成樹脂材2から露出されていても、埋没されていても良い。また、めねじ13は注型樹脂が入り込まない用い方の場合には貫通されていても良い。さらに、ナット体1を構成する円筒状の挿入部11の上半部全体が合成樹脂材2の表面部2aから突出されている場合について例示したが、それに限定されるものではなく、例えば挿入部11の外周面の一部のみを露出させ、合成樹脂材2の表面部2aと挿入部11の上端11aとの面位置を合致させても良いし、挿入部11から半径方向に離れた部分の合成樹脂材2を肉厚にし、挿入部11の上端11aと合成樹脂材2の表面部2aの面位置を合致させるなど、種々の変形や変更が可能であることは言うまでもない。
上記のように構成された実施の形態1によれば、ナット体1を合成樹脂材2から露出された、注型時の成形金型に対して周方向に任意の角度で挿入し得る挿入部11と、この挿入部11に連なって合成樹脂材2の中に埋没するように設けられ外周部に塑性加工によって形成し得る回り止め機能及び抜け止め機能を有する突起部12とを備えるようにしたので、一定方向にしか成形金型へ挿入できないため、インサート性に優れ、誤挿入を確実に防止できる。また、突起部12は鍛造などの塑性加工によって形成され得るものであるため、外周部にローレット加工を施したり、溶接などの手段によってアンカー板を固着するといった後加工工程が不要で、例えば市販の量産品をそのまま使用することもできる。そのため、省エネルギーであり、生産工程における環境負荷を低減できるうえ、製造が容易でコストも低減できるという効果が得られる。
実施の形態2.
図2は、この発明の実施の形態2に係るインサート成形体用埋込体及びインサート成形体としての樹脂ケースの要部を説明する図であり、(a)は樹脂ケースのナットインサート部を模式的に示す斜視図、(b)はナットインサート部の埋込体の中心線における縦断面図である。図において、埋込体であるナット体1Aは上下対称に形成されており、軸方向の両端部に実施の形態1と同様の表面が平滑な円筒軸状の挿入部11が形成され、中央部に実施の形態1と同様の外周部に塑性加工によって形成し得る回り止め機能及び抜け止め機能を有する6角柱状の突起部12が形成されてなっている。また、めねじ13は軸方向に貫通して設けられている。なお、合成樹脂材2あるいは図示省略している成形金型は実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
上記のように構成された実施の形態2においては、埋込体としてのナット体1Aが上下対称に形成されているので、該ナット体1Aを図示省略している成形金型の埋込体係止穴に挿入する際に、上下何れの側の挿入部11を挿入してもよく、誤挿入を完全に防止できる。さらに、上下対称な形状としたことにより、上下の向きに無関係に成形金型へ挿入することができるため、ロボットなどの自動機によって必要な個所に自動的に挿入することもできる。なお、成形によって合成樹脂材2がナット体1Aを固定し、ナット体1Aの突起部12の外周面部12aによって回転止め力を、突起部12の挿入部11の外周面から径方向に突出している段差部12bによって軸方向抜け止め力を発揮する点は実施の形態1と同様である。
上記のように実施の形態2によれば、ナット体1Aの中心軸方向中央部に突起部12を設け、該中心軸方向両端部に挿入部11を設けた対称構造としたことにより、ナット体1Aの上下何れの側の挿入部11を成形金型に挿入しても良くなるので、誤挿入が完全に防止され、挿入性が改善され、作業効率の向上を図ることができる。また、実施の形態1と同様に、ナット体1Aの後加工工程が不要であるため、製造が容易でコストも低減できるという効果も得られる。さらにロボットなどの自動機によってナット体1Aを必要な個所に挿入する作業を自動化することもできる。
なお、上記実施の形態1、2では、ナットインサート部Aについて、極めて単純化された態様について説明したが、ナットインサート部Aの合成樹脂材2の樹脂形状は所望に応じて適宜変更し得るものであることは言うまでもない。また、ナット体1、1Aの挿入部11の形状として、表面が平滑な円筒軸状のものを例示したが、これに限定されるものではなく、例えば、回転止め力を生じる多角柱ないしは波状凹凸部をもつ筒状ないしは柱状のものなどであっても良い。なお、その場合、成型金型に設ける埋込体係止穴(図示省略)は、例えば挿入部の最大直径の寸法の穴とすることで、周方向に任意の角度で挿入し得るものとすることができる。さらに、インサート成形体が樹脂ケースである場合について説明したが、ケース状のものに限定されないことは当然である。また、上記実施の形態では、埋込体として、ナット体1をインサート樹脂成型したが、例えばボルト体、ねじ以外の係止部が設けられた軸状部材等他の部材を用いることもできる。
この発明の実施の形態1に係るインサート成形体用埋込体及びインサート成形体としての樹脂ケースの要部を説明する図であり、(a)は樹脂ケースのナットインサート部を模式的に示す斜視図、(b)はナットインサート部の中心線における縦断面図。 この発明の実施の形態2に係るインサート成形体用埋込体及びインサート成形体としての樹脂ケースの要部を説明する図であり、(a)は樹脂ケースのナットインサート部を模式的に示す斜視図、(b)はナットインサート部の中心線における縦断面図。
符号の説明
1、1A ナット体(埋込体)、 11 挿入部、 11a 上端、 12 突起部、 12a 外周面部、 12b 段差部、 12c 底面部、 13 めねじ、 2 合成樹脂材、 2a 表面部、 A ナットインサート部。

Claims (6)

  1. 一端部に、インサート成形体を形成するための成形金型に対して周方向に任意の角度で挿入し得るように形成された柱状または筒状の挿入部を有し、この挿入部に連なる他端部側における合成樹脂材の中に埋没する位置に設けられ外周部に塑性加工によって形成し得る回り止め機能及び抜け止め機能を有する突起部を有してなることを特徴とするインサート成形体用埋込体。
  2. 上記挿入部は、外周面が円筒状または円柱状に形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載のインサート成形体用埋込体。
  3. 上記突起部が中心軸方向中央部に設けられ、上記挿入部が該突起部の中心軸方向両端部に設けられた対称構造に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインサート成形体用埋込体。
  4. 上記突起部は、径方向に突出されたボルト頭部形状の多角形体からなることを特徴とする請求項1から請求項3までの何れかに記載のインサート成形体用埋込体。
  5. 上記埋込体はボルト体又はナット体であることを特徴とする請求項1から請求項4までの何れかに記載のインサート成形体用埋込体。
  6. 合成樹脂材に埋込体が埋め込まれてなるインサート成形体において、上記埋込体は、上記合成樹脂材から露出された注型時の成形型に対して周方向に任意の角度で挿入し得る挿入部と、この挿入部に連なって上記合成樹脂材の中に埋没するように設けられ外周部に塑性加工によって形成し得る回り止め機能及び抜け止め機能を有する突起部とを備えてなることを特徴とするインサート成形体。
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