JP2009281502A - ピストン結合構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】ピストン取り付け軸部の小径化が最小限に抑えられるピストン結合構造を提供する。
【解決手段】相対回転位置によってピストンロッド中心軸O方向のリング幅Lが変化する第一、第二螺旋スライドリング70、80と、ピストンロッド30に対する第二螺旋スライドリング80のピストンロッド中心軸O方向の変位を係止する第二螺旋スライドリング係止手段64とを備え、ピストン50の組み付け時に第一、第二螺旋スライドリング70、80の相対回転位置を調節することによりピストン50に所定の軸力を付与する構成とした。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えば油圧シリンダ等の流体圧アクチュエータに設けられるピストン結合構造に関するものである。
従来、この種のピストン結合構造として、図7に示すものがある(特許文献1参照)。
これについて説明すると、ピストンロッド30にはピストン50がナット90を介して締結される。
ピストンロッド30は、ピストン50の端面が当接する環状段部48と、ピストン50の内周が嵌合するピストン取り付け軸部32と、ナット45が螺合するネジ部49とを有する。
ピストン50は、環状段部48とナット90の間に挟持され、ピストン50の組み付け時にナット90の締め付け力を調節することにより、ピストン50に所定の軸力を付与する構成となっている。
また、特許文献2〜4には、ピストンロッドの端部に取り付けられるリング状部材を備え、このリング状部材を介してピストンを結合する構造がそれぞれ開示されている。
特開平11−336894号公報 実開昭60−59866号公報 実開平5−3731号公報 実開平1−77166号公報
しかしながら、図7に示す従来のピストン結合構造にあっては、ピストンロッド30がピストン取り付け軸部32とネジ部49とによって二段階に縮径されているため、この縮径部分でピストンロッド30の強度が低下するという問題点があった。
また、ピストンロッド30に施される切削加工が多く、製品のコストアップを招くという問題点があった。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、ピストン取り付け軸部の小径化が最小限に抑えられるピストン結合構造を提供することを目的とする。
本発明は、負荷を駆動するピストンロッドと、油圧が導かれる筒状のピストンと、ピストンロッドに対するピストンのピストンロッド中心軸方向の変位を係止するピストン係止手段と、ピストンロッドに対してピストンを締結するピストン締結手段とを備えるピストン結合構造であって、ピストン締結手段として、相対回転位置によってピストンロッド中心軸方向のリング幅が変化する第一、第二螺旋スライドリングと、ピストンロッドに対する第二螺旋スライドリングのピストンロッド中心軸方向の変位を係止する第二螺旋スライドリング係止手段とを備え、ピストンの組み付け時に第一、第二螺旋スライドリングの相対回転位置を調節することによりピストンに所定の軸力を付与する構成とした。
本発明によると、ピストンロッドはそのピストンが嵌合する部位と第一、第二螺旋スライドリングが嵌合する部位とを等しい外径で形成することが可能となり、ピストン取り付け軸部の小径化が最小限に抑えられ、ピストンロッドの強度向上がはかられる。すなわち、ピストンロッドは、従来のネジ部のようにピストンと第一、第二螺旋スライドリングとの間でピストンロッドを縮径することがなく、この部分でピストンロッドの強度が低下することを回避し、ピストンロッドの耐久性が確保される。そして、ピストンロッドに施される切削加工が減らされ、製品のコストダウンがはかれる。
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、流体圧アクチュエータとして油圧シリンダ1の断面図である。図1に示すように、この油圧シリンダ1は、図示しない油圧源から導かれる油圧によってシリンダチューブ10に対してピストンロッド30が中心軸O方向に移動して伸縮作動するものである。油圧シリンダ1が例えば図示しないクレーンのブームを駆動する場合、シリンダチューブ10の端部19がクレーン本体(旋回台)に連結され、ピストンロッド30の端部39がブームに連結される。
シリンダチューブ10は有底円筒状をしており、その開口端にはシリンダヘッド40が複数のボルト43を介して締結される。ピストンロッド30はその外周面31がシリンダチューブ10の内周面12に摺動可能に支持される。
ピストンロッド30にはピストン50が後述するピストン締結手段60を介して連結される。ピストン50はその外周部がシリンダチューブ10の内周面12に摺動可能に支持される。
ピストン50の外周には対の軸受52とシールリング53が介装され、これらがシリンダチューブ10の内周面12に摺接する。
シリンダチューブ10内は、ピストン50によって二つの油室2、3に画成される。油室2は、シリンダヘッド40に形成されるロッド側給排ポート41と、これに接続される図示しない配管を介して油圧源に連通される。油室3はシリンダチューブ10に形成されるエンド側給排ポート21と、これに接続される図示しない配管を介して油圧源に連通される。
油圧シリンダ1は、図1に示す収縮状態からエンド側給排ポート21にロッド側給排ポート41より高い作動油圧が導かれることにより、ピストン50が図1において右方向に移動し、伸張作動する。逆に、伸張状態からロッド側給排ポート41にエンド側給排ポート21より高い作動油圧が導かれることにより、ピストン50が図1において左方向に移動し、収縮作動する。
ピストンロッド30には円筒状のブッシュ4、5がピストン50を挟んで取り付けられ、このブッシュ4、5によって油圧シリンダ1の伸張作動時にピストン50、ピストンロッド30がシリンダヘッド40、シリンダチューブ10に衝突する衝撃が緩和される。これについて詳述すると、油圧シリンダ1の伸張作動時、そのストロークエンド付近にてブッシュ4がシリンダヘッド40のクッションポート42に挿入されると、両者の間に絞り油路が画成され、この絞り油路が油室2からロッド側給排ポート41へと向かう作動油の流れに抵抗を付与し、ピストン50が急激にシリンダヘッド40に衝突する速度を低下させる。一方、油圧シリンダ1の収縮作動時、図1に示すように、そのストロークエンド付近にてブッシュ5がシリンダチューブ10のクッションポート29に挿入されると、両者の間に絞り油路が画成され、この絞り油路が油室3からエンド側給排ポート21へと向かう作動油の流れに抵抗を付与し、ピストン50が急激にシリンダチューブ10の底部に衝突する速度を低下させる。
図2の(a)は、図1に示す油圧シリンダ1におけるピストン50の結合構造を示す部分を拡大した断面図である。図2の(a)に示すように、ピストンロッド30には外径D1の外周面31と、この外周面31より縮径した外径D2のピストン取り付け軸部32と、このピストン取り付け軸部32よりさらに縮径したブッシュ取り付け軸部33とが形成される。
ピストンロッド30に対してピストン50を係止するピストン係止手段65として、ピストン取り付け軸部32の外周には、環状溝34が形成され、この環状溝34にC字形リング61が嵌められる。
円筒状のブッシュ4とピストン50とは、ピストン取り付け軸部32の外周面に嵌合して取り付けられ、両者の間にリング61が介在する。
ブッシュ4はピストンロッド30の環状端部35とリング61との間に介在し、ブッシュ4にはピストンロッド30にピストン50を締結するピストン締結手段60の締め付け荷重は働かない。
ブッシュ4とピストン取り付け軸部32との間にはシールリング7が介装され、この部分の油密がはかられる。
ピストン50の内周端部には環状凹部51が形成され、この環状凹部51がリング61に嵌合される。これにより、ピストン50はリング61によってピストンロッド30に対する図1、図2の(a)にて左方向への変位が係止される。また、リング61の外周に環状凹部51が嵌合するとにより、リング61が拡径して環状溝34から外れることが係止される。
ピストンロッド30にピストン50を締結するピストン締結手段60として、相対回転位置によってピストンロッド中心軸O方向のリング幅Lが変化する第一、第二螺旋スライドリング70、80と、第二螺旋スライドリング80のピストンロッド中心軸O方向の変位を係止する第二螺旋スライドリング係止手段64とを備え、ピストン50の組み付け時に第一、第二螺旋スライドリング70、80の相対回転位置を調節することにより、ピストン50に所定の軸力を付与する構成とする。
第一、第二螺旋スライドリング70、80は、それぞれ円筒状に形成され、ピストン取り付け軸部32に並んで嵌合される。
第一、第二螺旋スライドリング70、80は、互いに対向する螺旋状スライド面71、81がピストンロッド中心軸Oを中心とする螺旋状に形成され、両者の相対回転位置によってピストンロッド中心軸O方向のリング幅が変化する。
図3は、第二螺旋スライドリング80の斜視図である。図3に示すように、第二螺旋スライドリング80は、その螺旋状スライド面81がピストンロッド中心軸Oを中心として略1周するように形成され、螺旋状スライド面81の両端部間には段差82が形成される。
第一螺旋スライドリング70は、第二螺旋スライドリング80と同様に、その螺旋状スライド面71がピストンロッド中心軸Oを中心として略1周するように形成され、螺旋状スライド面71の両端部間には段差72が形成される。
第一、第二螺旋スライドリング70、80は、それぞれの螺旋状スライド面71、81が、ピストンロッド中心軸Oに直交する平面に対して互いに同一角度で傾斜し、両者が同軸上で互いに当接することにより、それぞれの端面76、86が互いに平行に延びるように構成される。
第一、第二螺旋スライドリング70、80は、図示しない工具が差し込まれる穴74、84がそれぞれ形成される。後述するピストン50の組み付け時に作業者が各穴74、84に差し込まれる工具を介して第一、第二螺旋スライドリング70、80を相対回転させるようになっている。
図2の(b)は、図2の(a)におけるA部を拡大した図である。図2の(b)に示すように、第一、第二螺旋スライドリング70、80の相対回転を係止する相対回転係止手段63は、螺旋状スライド面71、81に互いに係合する楔状の階段面73、83が一定のピッチで形成される。楔状の階段面73、83は、ピストンロッド中心軸Oに直交する平面に対して一方向に傾斜し、第一、第二螺旋スライドリング70、80に互いに近づける軸力が働くと、第一、第二螺旋スライドリング70、80を両者のリング幅Lが拡大する方向に相対回転する回転力が働くように構成されている。これにより、第一、第二螺旋スライドリング70、80を両者のリング幅Lが縮小する方向に相対回転させようとする場合、両者のリング幅Lが増大するため、第一、第二螺旋スライドリング70、80に互いに近づける軸力が働いている締結状態では、第一、第二螺旋スライドリング70、80の相対回転が係止される。
第二螺旋スライドリング80のピストンロッド中心軸O方向の変位を係止する第二螺旋スライドリング係止手段64として、ピストン取り付け軸部32の外周面には、環状溝36が形成され、この環状溝34にC字形リング62が嵌められる。
第二螺旋スライドリング80の内周端部には環状凹部85が形成され、この環状凹部85がリング62に嵌合される。これにより、第二螺旋スライドリング80はリング62によってピストンロッド30に対する図1、図2の(a)にて左方向への変位が係止される。また、リング62の外周に環状凹部85が嵌合するとにより、リング62が拡径して環状溝36から外れることが係止される。
ブッシュ取り付け軸部33にはC字形リング6が嵌められ、ブッシュ5の抜け止めが行われる。ブッシュ5はピストン取り付け軸部32の端面37とリング6との間に介在する。
ブッシュ5とブッシュ取り付け軸部33との間にはシールリング8が介装され、この部分の油密がはかられる。
シリンダチューブ10、ピストンロッド30、ピストン50、シリンダヘッド40、第一、第二螺旋スライドリング70、80等の油圧シリンダ1を構成する主要部品は、例えば鋼材等の金属によって形成される。
次に油圧シリンダ1を組み立てる手順について説明する。
・まず、シリンダヘッド40、シールリング7、ブッシュ4、リング61、ピストン50、第一螺旋スライドリング70、第二螺旋スライドリング80が、順に、ピストン取り付け軸部32に対して嵌合される。
・続いて、図示しない組み付け治具が用いられ、この組み付け治具が、ピストン取り付け軸部32を引っ張って中心軸O方向に弾性変形によって伸張させる。この組み付け治具は、ピストン50の端面54に当接する部位と、ブッシュ取り付け軸部33を把持する部位とを有し、両部位を所定の引っ張り荷重で引き離すようになっている。このとき、組み付け治具がピストン取り付け軸部32に付与する引っ張り荷重は、油圧シリンダ1の推力より大きく設定される。
・続いて、リング62が環状溝36に嵌合される。
・続いて、第一、第二螺旋スライドリング70、80が、各穴74、84に差し込まれる工具を介して相対回転させられ、ピストン50の端面54とリング62との間に間隙をつくらないように、第一、第二螺旋スライドリング70、80のリング幅Lが調節される。
・続いて、作業者が組み付け治具を操作してピストン取り付け軸部32の引っ張りを解除し、ピストンロッド30にピストン50が締結される。すなわち、第二螺旋スライドリング80はリング62によって中心軸O方向の変位が係止されると、第一、第二螺旋スライドリング70、80によってピストン50に所定の押し付け荷重が付与される。第一、第二螺旋スライドリング70、80がピストン50に付与する押し付け荷重は、油圧シリンダ1の推力より大きく設定される。
・続いて、シールリング8、ブッシュ5、リング6が、順に、ブッシュ取り付け軸部33に対して嵌合される。これにより、ピストンロッド30に各部品が組み付けられたピストンロッドアッシーが完成する。
・続いて、ピストンロッド30がシリンダチューブ10に組み付けられ、シリンダヘッド40がシリンダチューブ10に締結される。これにより、油圧シリンダ1の組み立てが完了する。
次に作用を説明する。
油圧シリンダ1の作動時、ピストン50が油室2、3に導かれる油圧力によって中心軸O方向に移動し、ピストンロッド30がシリンダチューブ10から出入りする伸縮作動をして負荷を駆動する推力を発生する。例えば、クレーンの場合、油圧シリンダ1が伸縮作動することにより、クレーンのブームが回動する。
油圧シリンダ1は、第一、第二螺旋スライドリング70、80によってピストン50に油圧シリンダ1の推力より大きい所定の押し付け荷重が付与されることにより、油圧シリンダ1の作動時、油室2、3に導かれる油圧力によってピストン50がピストンロッド30に対して変位するガタが生じないため、ピストン50とピストンロッド30間に生じる衝撃が小さく抑えられ、ピストン50、ピストンロッド30の耐久性が確保される。
油圧シリンダ1は、外径D2のピストン取り付け軸部32にピストン50と第一、第二螺旋スライドリング70、80が並んで嵌合されるため、従来のネジ部のようにピストン50と第一、第二螺旋スライドリング70、80との間でピストンロッド30を縮径することがなく、この部分でピストンロッド30の強度が低下することを回避できる。
また、ピストンロッド30はピストン50が嵌合する部位と第一、第二螺旋スライドリング70、80が嵌合する部位が同一径に形成されるため、ピストンロッド30に施される切削加工が減らされる。
以上のように本実施の形態では、負荷を駆動するピストンロッド30と、油圧が導かれる筒状のピストン50と、ピストンロッド30に対するピストン50のピストンロッド中心軸O方向の変位を係止するピストン係止手段65と、ピストンロッド30に対してピストン50を締結するピストン締結手段60とを備えるピストン結合構造であって、ピストン締結手段60として、相対回転位置によってピストンロッド中心軸O方向のリング幅Lが変化する第一、第二螺旋スライドリング70、80と、ピストンロッド30に対する第二螺旋スライドリング80のピストンロッド中心軸O方向の変位を係止する第二螺旋スライドリング係止手段64とを備え、ピストン50の組み付け時に第一、第二螺旋スライドリング70、80の相対回転位置を調節することによりピストン50に所定の軸力を付与する構成とした。
上記構成に基づき、ピストンロッド30はそのピストン50が嵌合する部位と第一、第二螺旋スライドリング70、80が嵌合する部位とを等しい外径D2で形成することが可能となり、ピストン取り付け軸部32の小径化が最小限に抑えられ、ピストンロッド30の強度向上がはかられる。すなわち、ピストンロッド30は、従来のネジ部のようにピストン50と第一、第二螺旋スライドリング70、80との間でピストンロッド30を縮径することがなく、この部分でピストンロッド30の強度が低下することを回避し、ピストンロッド30の耐久性が確保される。そして、ピストンロッド30はピストン50が嵌合する部位と第一、第二螺旋スライドリング70、80が嵌合する部位が同一径に形成されるため、ピストンロッド30に施される切削加工が減らされ、製品のコストダウンがはかれる。
本実施の形態では、第一、第二螺旋スライドリング70、80は、ピストンロッド中心軸Oに直交する平面に対して互いに同一角度で傾斜する螺旋状スライド面71、81をそれぞれ有する構成とした。
上記構成に基づき、第一、第二螺旋スライドリング70、80は、ピストンロッド30に嵌合された状態でそれぞれの螺旋状スライド面71、81が互いに当接することにより、ピストン50の全周に渡って均一な軸力を付与し、ピストンロッド30に曲げ応力が生じることがなく、ピストンロッド30の耐久性が確保される。
本実施の形態では、組み付け治具を用いてピストンロッド30に引っ張り荷重を付与し、ピストンロッド30がそのピストンロッド中心軸O方向に弾性変形によって伸張した状態で第一、第二螺旋スライドリング70、80の相対回転位置を調節した後、組み付け治具を用いてピストンロッド30に付与される引っ張り荷重を解除することにより第一、第二螺旋スライドリング70、80がピストン50に所定の軸力を付与する構成とした。
上記構成に基づき、第一、第二螺旋スライドリング70、80がピストン50に所定の軸力を的確に調節することができ、品質の向上がはかれる。
本実施の形態では、組み付け治具を用いてピストンロッド30に付与される引っ張り荷重をピストンロッド30が負荷を駆動する推力より大きく設定し、ピストン50と第二螺旋スライドリング係止手段64との間に間隙をつくらないように第一、第二螺旋スライドリング70、80のリング幅Lを調節する構成とした。
上記構成に基づき、第一、第二螺旋スライドリング70、80がピストン50にピストンロッド30が負荷を駆動する推力より大きい軸力を付与し、ピストンロッド30が負荷を駆動する作動時、油圧力によってピストン50がピストンロッド30に対して変位するガタを無くし、ピストン50とピストンロッド30間に生じる衝撃が小さく抑えられ、ピストン50、ピストンロッド30の耐久性が確保される。
本実施の形態では、第一、第二螺旋スライドリング70、80の相対回転を係止する相対回転係止手段63として、螺旋状スライド面71、81に互いに係合する楔状の階段面73、83を形成する構成とした。
上記構成に基づき、螺旋状スライド面71、81を互いに押し付ける軸力によって楔状の階段面73、83が互いに係合状態を維持し、第一、第二螺旋スライドリング70、80の相対回転が係止される。この場合、階段面73、83が第一、第二螺旋スライドリング70、80に一体形成されるため、部品数が増加することなく、構造の簡素化がはかれる。
また、相対回転係止手段63として、螺旋状スライド面71、81の間に生じる摩擦力によって第一、第二螺旋スライドリング70、80の相対回転を係止する構成としてもよい。
本実施の形態では、ピストン係止手段65として、ピストンロッド30の外周に形成される環状溝34と、この環状溝34に嵌められるリング61とを備える構成とした。
上記構成に基づき、環状溝34に嵌められるリング61は、ピストン50に当接し、ピストンロッド30に対してピストン50のピストンロッド中心軸O方向の変位を係止する。
この構造は、ピストンロッド30の外周に環状段部を一体形成し、この環状段部によってピストン50を係止する構造に比べて、ピストンロッド30に施される切削加工が減らされ、製品のコストダウンがはかれる。
本実施の形態では、第二螺旋スライドリング係止手段64として、ピストンロッド30の外周に形成される環状溝36と、この環状溝36に嵌められるリング62とを備える構成とした。
上記構成に基づき、環状溝36に嵌められるリング62は、第二螺旋スライドリング80に当接し、ピストンロッド30に対して第二螺旋スライドリング80のピストンロッド中心軸O方向の変位を係止する。
この構造は、ピストンロッド30の外周にネジ部を形成し、このネジ部によって第二螺旋スライドリング80を係止する構造に比べて、ピストンロッド30に施される切削加工が減らされ、製品のコストダウンがはかれる。
また、ピストン係止手段65と第二螺旋スライドリング係止手段64をそれぞれリング61、62を用いて係止し、ピストン取り付け軸部32に各リング61、62が嵌められる各環状溝34、36が形成される構造とすることにより、ピストン取り付け軸部32の小径化が最小限に抑えられ、ピストンロッド30の強度向上がはかられる。
次に図4に示す他の実施の形態を説明する。これは基本的には図1〜図3に示す実施の形態と同じ構成を有し、相違する部分のみ説明する。なお、前記実施形態と同一構成部には同一符号を付す。
第一螺旋スライドリング70は、ピストン50に一体形成される。第一螺旋スライドリング70は、ピストン50の端面54から突出し、その螺旋状スライド面71がピストンロッド中心軸Oを中心として略1周するように形成され、螺旋状スライド面71の両端部間には段差72が形成される。
この場合、ピストン50の組み付け時に、ピストン50に一体化した第一螺旋スライドリング70に対する第二螺旋スライドリング80の回転位置を調節することによりピストン50に所定の軸力を付与する。
上記構成に基づき、第一螺旋スライドリング70がピストン50と一体で設けられることにより、部品数が削減され、構造の簡素化がはかれる。
次に図5に示す他の実施の形態を説明する。これは基本的には図1〜図3に示す実施の形態と同じ構成を有し、相違する部分のみ説明する。なお、前記実施形態と同一構成部には同一符号を付す。
相対回転係止手段63として、第一、第二螺旋スライドリング70、80にそれぞれ螺合するネジ67と、このネジ67によってピストンロッド30に押し付けられるボール(ロック部材)68とを備える。
ピストン取り付け軸部32の外周面にはボール68が係合する凹部38が形成される。
ピストン50の組み付け時に、第一螺旋スライドリング70に対する第二螺旋スライドリング80の回転位置を調節した後、第一、第二螺旋スライドリング70、80にそれぞれ螺合する各ネジ67をそれぞれ締め付け、各ボール68が各凹部38に係合することにより、ピストンロッド30に対する第一、第二螺旋スライドリング70、80の回転が係止される。
上記構成に基づき、ボール(ロック部材)68がピストンロッド30に押し付けられることにより、ピストンロッド30に対する第一、第二螺旋スライドリング70、80の回転が確実に係止される。
なお、ボール(ロック部材)68を廃止し、ネジ67の先端部をピストン取り付け軸部32の外周面に形成された凹部38に直接係合させる構造としてもよい。
また、ピストン取り付け軸部32の外周面に形成される凹部38を廃止し、ボール(ロック部材)68にピストン取り付け軸部32の外周面と曲率半径が略一致する窪みを形成し、この窪みがピストン取り付け軸部32の外周面に押し付けられることにより、ピストンロッド30に対する第一、第二螺旋スライドリング70、80の回転が係止される構成としてもよい。
次に図6に示す他の実施の形態を説明する。これは基本的には図1〜図3に示す実施の形態と同じ構成を有し、相違する部分のみ説明する。なお、前記実施形態と同一構成部には同一符号を付す。
第一、第二螺旋スライドリング70、80は、ピストン50に対してピストンロッド30が負荷へと延びる側に配置される。
換言すると、ピストン50は、第一、第二螺旋スライドリング70、80に対してピストンロッド30の端部側に配置される。
この場合、ピストン取り付け軸部32にはブッシュ4、リング62、第二螺旋スライドリング80、第一螺旋スライドリング70、ピストン50、リング61とが順に嵌められる。
上記構成に基づき、図1〜図3に示す実施の形態と比べて、ピストン50がブッシュ4から離れるとともに、ブッシュ5に近づく。
このようにピストン締結手段60として第一、第二螺旋スライドリング70、80を設けることにより、ピストン締結手段60を図1〜図3に示すようにピストン50の端部側または図6に示すようにピストンロッド30側に配置することが可能となり、ピストンロッド30に対するピストン50の配置自由度を高められる。
なお、本発明が適用される流体圧アクチュエータは、作動油に限らず、例えば水溶性代替液、空気等の作動流体を用いても良い。
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
本発明の実施の形態を示す油圧シリンダの断面図。 同じくピストンの結合構造を示す断面図。 同じく第二螺旋スライドリングの斜視図。 他の実施の形態を示すピストンの結合構造を示す断面図。 さらに他の実施の形態を示すピストンの結合構造を示す断面図。 さらに他の実施の形態を示すピストンの結合構造を示す断面図。 従来例を示すピストンの結合構造を示す断面図。
符号の説明
1 油圧シリンダ(流体圧アクチュエータ)
30 ピストンロッド
32 ピストン取り付け軸部
34 環状溝
36 環状溝
50 ピストン
60 ピストン締結手段
61 リング
62 リング
63 相対回転係止手段
64 第二螺旋スライドリング係止手段
65 ピストン係止手段
67 ネジ
68 ボール(ロック部材)
70 第一螺旋スライドリング
71 螺旋状スライド面
73 階段面
80 第二螺旋スライドリング
81 螺旋状スライド面
83 階段面
85 環状凹部

Claims (7)

  1. 負荷を駆動するピストンロッドと、
    流体圧が導かれる筒状のピストンと、
    前記ピストンロッドに対する前記ピストンの前記ピストンロッド中心軸方向の変位を係止するピストン係止手段と、
    前記ピストンロッドに対して前記ピストンを締結するピストン締結手段とを備えるピストン結合構造であって、
    前記ピストン締結手段として、
    相対回転位置によって前記ピストンロッド中心軸方向のリング幅が変化する第一、第二螺旋スライドリングと、
    前記ピストンロッドに対する前記第二螺旋スライドリングの前記ピストンロッド中心軸方向の変位を係止する第二螺旋スライドリング係止手段とを備え、
    前記ピストンの組み付け時に前記第一、第二螺旋スライドリングの相対回転位置を調節することにより前記ピストンに所定の軸力を付与する構成としたことを特徴とするピストン結合構造。
  2. 前記第一、第二螺旋スライドリングは、前記ピストンロッド中心軸に直交する平面に対して互いに同一角度で傾斜する螺旋状スライド面をそれぞれ有する構成としたことを特徴とする請求項1に記載のピストン結合構造。
  3. 組み付け治具を用いて前記ピストンロッドに引っ張り荷重を付与し、
    前記ピストンロッドが前記ピストンロッド中心軸方向に弾性変形によって伸張した状態で前記第一、第二螺旋スライドリングの相対回転位置を調節した後、
    前記組み付け治具を用いて前記ピストンロッドに付与される引っ張り荷重を解除することにより前記第一、第二螺旋スライドリングが前記ピストンに所定の軸力を付与する構成としたことを特徴とする請求項1または2に記載のピストン結合構造。
  4. 前記組み付け治具を用いて前記ピストンロッドに付与される引っ張り荷重を前記ピストンロッドが負荷を駆動する推力より大きく設定し、
    前記ピストンと前記第二螺旋スライドリング係止手段との間に間隙をつくらないように前記第一、第二螺旋スライドリングのリング幅を調節する構成としたことを特徴とする請求項3に記載のピストン結合構造。
  5. 前記第一螺旋スライドリングを前記ピストンに一体形成したことを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載のピストン結合構造。
  6. 前記第一、第二螺旋スライドリングの相対回転を係止する相対回転係止手段として、螺旋状スライド面に互いに係合する楔状の階段面を形成する構成としたことを特徴とする請求項2から5のいずれか一つに記載のピストン結合構造。
  7. 前記第一、第二螺旋スライドリングを前記ピストンに対して前記ピストンロッドが負荷へと延びる側に配置したことを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載のピストン結合構造。
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