JP2009281411A - クランプ - Google Patents

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Masayuki Doi
雅之 土井
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Abstract

【課題】シール性の低下を防止することが可能なクランプを提供する。
【解決手段】パネルPの取付孔Hに取り付けられるクランプCであって、前記取付孔Hに挿入される支柱20と前記取付孔Hに弾性的に係合する係合片30とを有し、前記支柱20および前記係合片30には、前記取付孔Hに嵌合する遮水部21,31が一体に設けられている。このような構成によれば、クランプCを取付孔Hに取り付けた状態では、取付孔Hに嵌合した遮水部21,31により取付孔Hが塞がれてシールされる。遮水部21,31はクランプCに一体に設けられたものであるから、別体のパッキンを用いてシールする場合のように振動等によって位置ずれを生じるおそれはなく、もってシール性の低下を防止することができる。
【選択図】図7

Description

本発明は、ワイヤハーネス等をパネルに固定するために用いられるクランプに関する。
従来より、例えば特許文献1に記載のクランプが知られている。このクランプは、パネルの取付孔に取り付けられるものであり、取付孔に挿入される支柱と、支柱から外方に突出する環状のスカート部と、取付孔に弾性的に係合する係合片とを有している。また、クランプの支柱には、取付孔の周りを囲うドーナツ状をなすパッキンが装着されており、クランプをパネルに取り付けた状態では、パッキンがスカート部とパネルとの間に挟み付けられた状態になって取付孔がシールされる。
実開平6−58291号公報
しかしながら、上記のような構成では、パッキンがクランプとは別体のものであるから、車両の振動等によってパッキンの位置がずれてしまい、シール性の低下を招くおそれがあるため対策が望まれていた。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、シール性の低下を防止することが可能なクランプを提供することを目的とする。
本発明は、パネルの取付孔に取り付けられるクランプであって、前記取付孔に挿入される支柱と前記取付孔に弾性的に係合する係合片とを有し、前記支柱および前記係合片には、前記取付孔に嵌合する遮水部が一体に設けられていることに特徴を有する。
このような構成によれば、クランプを取付孔に取り付けた状態では、取付孔に嵌合した遮水部により取付孔が塞がれてシールされる。そして、遮水部はクランプに一体に設けられたものであるから、別体のパッキンを用いてシールする場合のように振動等によって位置ずれを生じるおそれはなく、もってシール性の低下を防止することができる。
前記遮水部のうち前記支柱に設けられた第1遮水部と、前記係合片に設けられた第2遮水部とには、互いに嵌合して前記支柱の前記取付孔への挿入方向に重なって配される嵌合部を有するものとしてもよい。
このような構成によれば、第1遮水部と第2遮水部とが相対的に変位したとしても、嵌合部が重なって配されているから、第1遮水部と第2遮水部との間が完全に空いてしまうことを回避でき、シール性の低下を確実に防止することができる。
本発明によれば、シール性の低下を防止することが可能なクランプを提供することができる。
以下、本発明の実施形態を図1〜図7によって説明する。
本実施形態におけるクランプCは、ワイヤハーネスWを車両パネルPに固定するものであり、パネルPに形成された取付孔Hに取り付けられて使用される。取付孔Hは、図3に示すように、長円形状をなしてパネルPの板厚方向に開口する長孔である。取付孔Hの周縁のうち長手方向に直線状に延びる一対の側縁を直線縁H1、短手方向の両端において円弧をなす一対の端縁を円弧縁H2と称する。また、各構成部材において、図2の上下方向を上下方向、図3の左右方向(取付孔Hの長手方向)を左右方向、図3の上下方向(取付孔Hの短手方向)を前後方向として説明する。
クランプCは、合成樹脂製の一体成形型であって、ワイヤハーネスWを固定するハーネス固定板10を有している。ハーネス固定板10は長細い略板状をなし、クランプCは、ハーネス固定板10が取付孔Hの長手方向に延びる向き(正規の向き)でパネルPに取り付けられる。
クランプCは、取付孔Hに挿入される支柱20を有している。支柱20は、ハーネス固定板10の長手方向の一端側に設けられ、その板面に対して略垂直方向に立ち上がる柱状をなしている。支柱20の前後方向の幅寸法は、図6に示すように、先端から上下方向の中間位置にかけて少しずつ大きくなり、そこから下方の部分(根元部分)にかけてはほぼ一定とされている。支柱20の根元位置における前後方向の幅寸法は、ハーネス固定板10の短手方向寸法よりも若干小さく、取付孔Hの短手方向寸法と同等の寸法とされている。支柱20のうち根元部分の前後両端面は、取付孔Hの直線縁H1に沿う直線面20Aとされている。
クランプCは、取り付け状態においてパネルPの下面に当接する当接部11を有している。当接部11は、取付孔Hよりも一回り大きい長円形をなして上方へ開口する浅皿状をなし、その底部はハーネス固定板10に一体に形成されている。当接部11は、支柱20から全周にわたって外方に突出する形状をなし、その中央位置から支柱20が立ち上がる形態とされている。当接部11は、図4に示すように、先端(開口縁)に向かって薄くなる形状をなし、取り付け状態においては、当接部11の先端が取付孔Hの周縁部に押し付けられて若干弾性変形した状態になる。
クランプCは、取付孔Hに弾性的に係合する係合片30を有している。係合片30は、支柱20の左右に一対設けられ、支柱20の先端から下方へ向かって片持ち状に延出する形状をなしている。一対の係合片30は、互いに接近・離間方向(支柱20に対して接近・離間方向)に弾性変位可能とされ、その下端部が取付孔Hの円弧縁H2に係合可能とされている(図7参照)。一対の係合片30は、自然状態では、上端から上下方向の略中央位置にかけての部分が下方に向かって互いに離れる傾斜をなし、それよりも下側の部分は、略平行に近く上側の傾斜に比べて非常に緩い傾斜をなしている(図2参照)。係合片30の下端は、当接部11内に至っている(図4参照)。
一対の係合片30の外側面(互いの対向面とは反対側の面)には、係合部30Aが突出して設けられている。係合部30Aは、上下方向の中央部(係合片30の傾斜が変化する部分)に設けられ、当接部11とは反対側から取付孔Hの周縁部に係合可能とされている。また、係合片30の外側面のうち係合部30Aよりも下側の部分は、下方へ向かって外側に傾斜する傾斜面33とされている。
さて、係合片30および支柱20には、取付孔Hに嵌合可能な第1遮水部21および第2遮水部31が設けられている。第1遮水部21と第2遮水部31とは、それぞれ係合片30および支柱20に一体に設けられている。
第1遮水部21は、支柱20の根元部分に設けられている。第1遮水部21は、支柱20を中心として左右に突出するとともに、当接部11の底部から上方へ突出した台状をなしている。第1遮水部21の上下方向の高さ寸法は、クランプCをパネルPに取り付けた状態では、その上面がパネルPの上面に至る寸法とされている(図7参照)。
第1遮水部21の前後方向寸法は、取付孔Hの短手方向寸法と同等であり、支柱20と第1遮水部21とを上方から見ると、全体として左右方向に長い略方形状をなしている。第1遮水部21は、取付孔Hのうち支柱20の左右両側に形成される隙間の略半分を埋める形状をなしている。
第1遮水部21のうち前後方向の両端面には、取付孔Hの直線縁H1に部分的に沿う直線面(以後、第1直線面21Aと称する)と、円弧縁H2に部分的に沿う円弧面(以後、第1円弧面21Bと称する)とが形成されている。第1直線面21Aは、取付孔Hの直線縁H1のうち支柱20の直線面20Aが沿う部分を除いた部分に沿って配される。第1遮水部21の周面のうち前後方向に延びる面は、後述する第2遮水部31と嵌合する嵌合面(以後、第1嵌合面21Cと称する)とされ、支柱20の左右両側面に略平行をなしている。
第1嵌合面21Cには、後述する第2遮水部31の嵌合突片32が差し入れられる嵌合溝22が形成されている(図4参照)。嵌合溝22は、第1嵌合面21Cの前後方向中央部に設けられ、それぞれ左方および右方に開口する形状をなしている。嵌合溝22の上下方向の高さ寸法は、第1遮水部21の高さ寸法の略半分の寸法とされている。
第2遮水部31は、係合片30の自由端部に設けられている。第2遮水部31は、係合片30から前後方向に突出する形状をなし、係合片30が閉じ方向に弾性変位した状態で取付孔Hのうち支柱20および第1遮水部21の嵌合部分を除く部分に嵌合する。
第2遮水部31の外側面(一対の係合片30の対向面とは反対側の面)は、取付孔Hの円弧縁H2に沿う円弧状をなしている(以後、この面を第2円弧面31Aと称する)。また、第2遮水部31の内側面は、第1遮水部21の第1嵌合面21Cに沿う直線状をなす第2嵌合面31Bとされている。そして、第1遮水部21の第1円弧面21Bと第2遮水部31の第2円弧面31Aとが取付孔Hの円弧縁H2に沿って配され、支柱20の直線面20Aと第1遮水部21の第1直線面21Aとが取付孔Hの直線縁H1に沿って配され、第1遮水部21と第2遮水部31と支柱20とにより取付孔Hが埋められた状態になる。
第2嵌合面31Bには、第1嵌合面21Cに形成された嵌合溝22に嵌合可能な嵌合突片32が設けられている(図4参照)。嵌合突片32は、第2嵌合面31Bの前後方向中央位置から内側(支柱20側)へ突出し、嵌合溝22に差し入れ可能な板状をなしている。なお、嵌合突片32の前後方向寸法は、係合片30の前後方向寸法と同等とされている。
嵌合突片32は、係合片30が自然状態のときには、先端部のみが嵌合溝22に差し入れられた状態にあり、係合片30が内側へ弾性変位するのに伴って全体が嵌合溝22に差し入れられ、嵌合突片32と嵌合溝22の天井部23とが上下方向(取付孔Hへの支柱20の挿入方向)に重なった状態で嵌合する(図7参照)。なお、天井部23と嵌合突片32とが本発明の嵌合部に該当する。
次に、クランプCのパネルPへの取り付けについて説明する。
まず、ハーネス固定板10にワイヤハーネスWを沿わせてテープ等を巻き付け、クランプCにワイヤハーネスWを固定する。
次いで、支柱20の先端をパネルPの取付孔Hに差し入れてクランプCを押し込む。すると、一対の係合片30が取付孔Hの円弧縁H2に当接して内側へ弾性変位し、嵌合突片32が嵌合溝22に深く差し入れられていく。
そして、係合片30の係合部30Aが取付孔Hを上方へ通過すると、係合片30はわずかに弾性復帰し、傾斜面33が取付孔Hの円弧縁H2に接触した状態になる。さらにクランプCを押し込むと、傾斜面33と円弧縁H2との摺接により係合片30が再び内側に弾性変位し、やがて第1遮水部21と第2遮水部31とが取付孔Hに嵌合するとともに当接部11がパネルPの下面に押し付けられた状態になる。このとき、嵌合突片32が嵌合溝22に完全に嵌まって第1嵌合面21Cと第2嵌合面31Bとが接触し、また第1遮水部21と第2遮水部31とが取付孔Hの隙間を埋めた状態になり、クランプCはパネルPに取り付けられる。
次に、上記のように構成された本実施形態の作用および効果について説明する。
支柱20および係合片30には、取付孔Hに嵌合する第1遮水部21および第2遮水部31が一体に設けられている。したがって、クランプCを取付孔Hに取り付けると、取付孔Hが第1遮水部21および第2遮水部31により塞がれた状態になってシールされる。そして、第1遮水部21および第2遮水部31は、それぞれ支柱20および係合片30に一体に設けられ、すなわちクランプCに一体に設けられたものであるから、従来のように別体のパッキンを用いてシールする場合のように、取付孔Hをシールするための部材が振動等によって位置ずれしてしまうおそれはなく、シール性の低下を防止することができる。
また、第1遮水部21と第2遮水部31とが取付孔Hにほぼ隙間なく嵌まることにより、クランプCのがた付きを防止することができる。
さらに、支柱20に設けられた第1遮水部21と、係合片30に設けられた第2遮水部31とは、取付孔Hへの挿入方向に重なって配される嵌合突片32および嵌合溝22の天井部23を有している。したがって、車両の振動等によって係合片30が弾性変位し、第1遮水部21と第2遮水部31との位置が相対的に若干ずれたとしても、嵌合突片32と天井部23とが重なって配されているから、第1遮水部21と第2遮水部31との間が完全に空いてしまうことはなく、シール性の低下を確実に防止することができる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、本発明を、長円形状をなす取付孔Hに取り付けるクリップに適用したが、これに限らず、本発明は、例えば円形の取付孔に取り付けるクリップにも適用することができる。
(2)上記実施形態では、第1遮水部21は支柱20に突出して設けられているが、これに限らす、例えば、支柱のうち取付孔Hに嵌合する根元部分を第1遮水部とし、係合片には、支柱(第1遮水部)と取付孔Hとの間の隙間に嵌合する第2遮水部を設けるようにしてもよい。
本実施形態にかかるクリップの平面図 同側面図 クリップをパネルに取り付ける前の状態を表す平面図 図3のA−A断面図 クリップをパネルに取り付けた状態を表す平面図 同側面図 図5のB−B断面図
符号の説明
C…クランプ
H…取付孔
P…パネル
20…支柱
21…第1遮水部
23…天井部(嵌合部)
30…係合片
31…第2遮水部
32…嵌合突片(嵌合部)

Claims (2)

  1. パネルの取付孔に取り付けられるクランプであって、
    前記取付孔に挿入される支柱と前記取付孔に弾性的に係合する係合片とを有し、
    前記支柱および前記係合片には、前記取付孔に嵌合する遮水部が一体に設けられていることを特徴とするクランプ。
  2. 前記遮水部のうち前記支柱に設けられた第1遮水部と、前記係合片に設けられた第2遮水部とには、互いに嵌合して前記支柱の前記取付孔への挿入方向に重なって配される嵌合部を有することを特徴とする請求項1に記載のクランプ。
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