JP2009280732A - インクジェット用インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェト記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ヘッド表面の濡れが抑制され、吐出安定性に優れたインクジェット用インク、及び前記インクを用いたインクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェト記録装置を提供する。
【解決手段】 少なくとも、樹脂及び顔料を含有するインクジェット用インクであって、撥水処理が施された記録ヘッドのヘッド表面に対して、測定開始時の初期液滴量1.7(μL)及び吸引速度0.5(μL/s)の条件で測定した前記インクの接触半径の変化率(r1/R)が、特定の条件を満たすことを特徴とするインクジェット用インクとする。
【選択図】 図10
【解決手段】 少なくとも、樹脂及び顔料を含有するインクジェット用インクであって、撥水処理が施された記録ヘッドのヘッド表面に対して、測定開始時の初期液滴量1.7(μL)及び吸引速度0.5(μL/s)の条件で測定した前記インクの接触半径の変化率(r1/R)が、特定の条件を満たすことを特徴とするインクジェット用インクとする。
【選択図】 図10
Description
本発明は、ヘッド表面に撥水処理を施した記録ヘッドより吐出される、樹脂を含有するインクジェット用インク、前記インクを用いたインクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェト記録装置に関する。
近年、インクジェット用インクとして、樹脂により顔料が分散された、いわゆる樹脂分散型の顔料インクが広く用いられている。しかし、前記インクをヘッド表面に撥水処理を施した記録ヘッドより吐出させると、インク滴を吐出させるための吐出口を有する面(以後ヘッド表面と呼ぶ)にインク中の樹脂が付着し、その結果、吐出安定性が低下する場合がある。さらに、ヘッド表面に付着したインクからは、時間の経過と共に水分等の蒸発が促進され、インク中の顔料や樹脂が固化し、ヘッド表面に固着物が付着するようになる。分子レベルで溶解した染料を含有する染料インクの固着物に比べて、顔料インクの固着物は、ヘッド表面の特性の変化をより引き起こしやすい。そのため、従来から、このような固着物を発生させないようにすることや、仮に固着物が発生しても除去しやすくすることが課題として認識されている。このような課題を解決することを目的として、例えば、インクの表面張力、前進接触角、後退接触角などが規定されたインクより、ヘッド表面の濡れ性を向上させることが提案されている(特許文献1〜特許文献3参照)。
特開2002−79315号公報
特公平4−35344号公報
特開2000−290556号公報
本発明者らも、記録物の耐擦過性の向上が可能であるインクとして、樹脂を含有するインクジェット用インクについて、従来の文献に基づいて検討を行った。しかし、特に、酸価が低い樹脂や分子量が大きい樹脂を用いた場合、また、インク中の樹脂の含有量が大きい場合、インクがヘッド表面に特に顕著に付着し、ヘッド表面の撥水状態が低下させる現象(以後、「濡れ」と呼ぶことが)の発生が十分に抑制できない場合があることがわかった。このようにして濡れが発生した記録ヘッドから吐出されるインクは、その吐出方向が曲がり、また、インクの着弾点がずれるなどの課題が発生し、改善の余地があることがわかった。
そこで、本発明者らは、ヘッド表面において濡れが発生するメカニズムを解析することで、該課題を解決することが可能な技術要素を見出すことに注力した。その結果、従来の特許文献において挙げられているような、インクのヘッド表面に対する動的後退接触角ではなく、これとは異なる要素が濡れに対して影響を与えるという知見を得た。
したがって、本発明の目的は、ヘッド表面の濡れが抑制され、吐出安定性に優れたインクジェット用インク、及び前記インクを用いたインクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェト記録装置を提供することにある。
上記の目的は、以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明にかかるインクジェット用インクは、少なくとも、樹脂及び顔料を含有するインクジェット用インクであって、撥水処理が施された記録ヘッドのヘッド表面に対して、測定開始時の初期液滴量1.7(μL)及び吸引速度0.5(μL/s)の条件で測定した前記インクの接触半径の変化率(r1/R)が、下記式(1)の条件を満たすことを特徴とするインクジェット用インク。
r2.5/R<0.95 式(1)
(式(1)中、Rはヘッド表面にインク滴を滴下した時点のインク滴とヘッド表面との接触半径であり、r1は測定開始から2.5秒後の接触半径である。)
また、本発明の別の実施態様にかかるインクジェット記録方法は、インクをインクジェット方法で吐出して記録媒体に記録を行うインクジェット記録方法であって、前記インクとして、上記構成のインクジェット用インクを用いることを特徴とする。
(式(1)中、Rはヘッド表面にインク滴を滴下した時点のインク滴とヘッド表面との接触半径であり、r1は測定開始から2.5秒後の接触半径である。)
また、本発明の別の実施態様にかかるインクジェット記録方法は、インクをインクジェット方法で吐出して記録媒体に記録を行うインクジェット記録方法であって、前記インクとして、上記構成のインクジェット用インクを用いることを特徴とする。
また、本発明の別の実施態様にかかるインクカートリッジは、インクを収容するインク収容部を備えてなるインクカートリッジであって、前記インク収容部に収容されているインクが、上記構成のインクジェット用インクであることを特徴とする。
また、本発明の別の実施態様にかかる記録ユニットは、インクを収容するインク収容部と、インクを吐出する記録ヘッドとを備えてなる記録ユニットであって、前記インク収容部に収容されているインクが、上記構成のインクジェット用インクであることを特徴とする。
また、本発明の別の実施態様にかかるインクジェット記録装置は、インクを収容するインク収容部と、インクを吐出する記録ヘッドとを備えてなるインクジェット記録装置であって、前記インク収容部に収容されているインクが、上記構成のインクジェット用インクであることを特徴とする。
本発明によれば、ヘッド表面の濡れが抑制され、吐出安定性に優れたインクジェット用インク、及び前記インクを用いたインクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェト記録装置を提供することができる。
次に、本発明の詳細を実施例の記述に従って説明する。
以下に、本発明の好ましい実施の形態を挙げて、詳細に説明する。
まず、本発明の課題である、ヘッド表面が濡れることにより吐出不良が発生するメカニズムについて説明する。
図1(a)〜図1(g)は記録ヘッドからインクが吐出される際の状態を示す模式図である。図1の(a)及び(b)に示すように、気泡301は膜状に生成した後、急速にその体積を膨張させて成長する。次に、図1の(c)に示すように、気泡301の体積が膨張する際、すなわち成長段階において気泡301は大気と連通する。このとき、連通位置は吐出口4の上部近傍、すなわちヘッド表面の上面近傍である。この直後においては、図1の(d)〜(g)に示すように、吐出されるインクの主滴部分に続く液柱303は吐出口4の片側の側壁とだけ繋がっており、主滴部分と液柱303とは吐出口上面の近傍で切断され、両者は分離される。この場合、液柱303が吐出口の側壁の片側だけが濡れた状態になる。しかし、その後、インクは負圧を利用して、吐出口に戻ろうとする。例えば、1KHzより低い駆動周波数でインクの吐出が行われる場合、次のインク滴が吐出される前に液柱303のインクがノズル内へ戻るための時間が十分確保されるため、吐出口の側壁の片側に付着したインクもノズル内へ引き戻される。しかし、1KHz以上の高い駆動周波数でインクの吐出が行われる場合、次のインク滴が吐出される前に、液柱303のインクがノズル内へ戻ろうとする時間が十分に確保されず、吐出口の側壁の片側に付着したインクはノズル内へ戻れなくなり、吐出口近傍の一部分だけに付着し、濡れた状態になる。さらに、吐出されたインクが記録媒体に当たって跳ね返って付着した付着物や、インクが吐出した際に発生する主滴以外の微小なインク滴(サテライト)が雰囲気中に漂ったインクミストが吐出口近傍に付着した付着物が存在する場合、以下のような現象が起きる。すなわち、上記の付着物とノズル内に戻れないインクがつながった状態になり、濡れがより進む(図2の(A)及び(B))。そして、インクの主滴をこれらの付着物が引っ張り、ヘッド表面が濡れた状態で次のインクが吐出されることで、インク吐出方向がよれる、すなわちインクの主滴の直進性が妨げられる場合がある。
本発明者らは上記のような課題を解決することを目的として検討を行った結果、測定開始時の接触半径R(μm)に対して、特定時間が経過した時点での接触半径r(μm)の変化率r/Rとヘッド表面の濡れ性に大きな相関があることがわかった。
インク滴をヘッド表面に滴下した時点のインク滴とヘッド表面との接触半径Rと、ヘッド表面にインク滴を滴下してから一定時間経過した後のインク滴とヘッド表面との接触半径rから求められるr/Rの値は、ヘッド表面に対するインクの残りやすさや、濡れやすさを表す。すなわち、r/Rが小さい程、インクとヘッド表面の接触面積が減少していることになる。したがって、r/Rの値が小さくなる時点が早ければ早いほど、ヘッド表面よりインク滴が離れやすくなるため、ノズル近傍に付着しているインクはノズル内に引き込まれ易くなると考えられる。
本発明者らの検討によると、測定開始後2.5秒の時点における上記の変化率r2.5/Rが0.95未満であるインクは、図11の(A)に示すような形状の変化をとるため、急激な収縮が起きる。その結果、ノズル近傍に付着したインクでもノズル内に容易に引き込まれることが判明した。一方、上記の変化率r2.5/Rが0.95よりも大きいインクは、図11の(B)に示すように、ヘッド表面にインク滴が広がりやすいため、あまり急激な収縮を起こさない。したがって、このようなインクがヘッド表面に付着すると、ノズル近傍に存在するインク滴でさえも、ノズル内に容易には引き込まれず、ヘッド表面が濡れた状態となることが判明した。そして、その後に吐出されるインク滴もこれらの付着物に引っ張られるため、インクの吐出方向がよれ、インクの主滴の直進性が妨げられると考えられる。本発明者らのさらなる検討によると、上記の変化率r2.5/Rが0.95未満であるインクは、ワイパーなどによるヘッドクリーニング操作により、ヘッド表面に付着したインク滴を容易に除去できることもわかった。
つまり、本発明においては、撥水処理が施された記録ヘッドのヘッド表面に対して、測定開始時の初期液滴量1.7(μL)及び吸引速度0.5(μL/s)の条件で測定した前記インクの接触半径の変化率(r1/R)が、下記式(1)の条件を満たすことが必要である。
r2.5/R<0.95 式(1)
(式(1)中、Rはヘッド表面にインク滴を滴下した時点のインク滴とヘッド表面との接触半径であり、r1は測定開始から2.5秒後の接触半径である。)
さらに、本発明においては、前記接触半径の変化率(r2.5/R)が、下記式(2)の条件を満たすことがより好ましい。この場合、ヘッド表面の濡れが顕著に抑制され、また、ヘッド表面に付着したインク滴が、ワイパーにより特に効果的に除去されるという効果が得られる。
(式(1)中、Rはヘッド表面にインク滴を滴下した時点のインク滴とヘッド表面との接触半径であり、r1は測定開始から2.5秒後の接触半径である。)
さらに、本発明においては、前記接触半径の変化率(r2.5/R)が、下記式(2)の条件を満たすことがより好ましい。この場合、ヘッド表面の濡れが顕著に抑制され、また、ヘッド表面に付着したインク滴が、ワイパーにより特に効果的に除去されるという効果が得られる。
r2.5/R<0.85 式(2)
(式(2)中、Rはヘッド表面にインク滴を滴下した時点のインク滴とヘッド表面との接触半径であり、r1は測定開始から2.5秒後の接触半径である。)
本発明においては、動的後退接触角の測定は、自動接触角計DM700型(協和界面化学製)を用いた拡張収縮法により行うことができる。ニードル径22G(内径:0.4mm、外径0.7mm)のニードルを用い、記録ヘッドのヘッド表面と同素材の表面にインク滴を載せ、測定開始時の初期液滴量1.7μL、測定開始時の接触半径(R(μm))を測定する。さらに、液滴の吸引速度0.5μL/sとしてインク滴を収縮させた時の測定開始後の接触半径(r(μm))を測定する。
(式(2)中、Rはヘッド表面にインク滴を滴下した時点のインク滴とヘッド表面との接触半径であり、r1は測定開始から2.5秒後の接触半径である。)
本発明においては、動的後退接触角の測定は、自動接触角計DM700型(協和界面化学製)を用いた拡張収縮法により行うことができる。ニードル径22G(内径:0.4mm、外径0.7mm)のニードルを用い、記録ヘッドのヘッド表面と同素材の表面にインク滴を載せ、測定開始時の初期液滴量1.7μL、測定開始時の接触半径(R(μm))を測定する。さらに、液滴の吸引速度0.5μL/sとしてインク滴を収縮させた時の測定開始後の接触半径(r(μm))を測定する。
本発明において、上記で述べたような特性を有するインクとすることは、例えば、インク中に界面活性剤を含有させることで達成することができる。界面活性剤については後に詳述する。勿論、本発明は上記で述べた接触半径の変化率の特性を満足するものであればよく、その達成手段はインクに界面活性剤を含有させることに限られるものではない。
<インクジェット用インク>
以下、本発明のインクジェット用インク(以下、インクと呼ぶことがある)を構成する各成分について説明する。
以下、本発明のインクジェット用インク(以下、インクと呼ぶことがある)を構成する各成分について説明する。
(界面活性剤)
本発明のインクにおいて、上記で述べた接触半径の変化率の特性を満足するためには、インク中に界面活性剤を含有させることが好ましく、さらにはノニオン性界面活性剤を使用することが特に好ましい。インク中の界面活性剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.05質量%以上5.0質量%以下、さらには0.1質量%以上3.0質量%以下であることが好ましい。勿論、本発明では、上記で述べた接触半径の変化率の特性を満足すればよく、上記の含有量の範囲に限定されるものではない。
本発明のインクにおいて、上記で述べた接触半径の変化率の特性を満足するためには、インク中に界面活性剤を含有させることが好ましく、さらにはノニオン性界面活性剤を使用することが特に好ましい。インク中の界面活性剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.05質量%以上5.0質量%以下、さらには0.1質量%以上3.0質量%以下であることが好ましい。勿論、本発明では、上記で述べた接触半径の変化率の特性を満足すればよく、上記の含有量の範囲に限定されるものではない。
ノニオン性界面活性剤の具体例としては、具体的には、以下に挙げるようなものを用いることができる。
アセチレンアルコール系界面活性剤。ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルなどのエーテル系界面活性剤。ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどのエーテル系界面活性剤。ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステルなどのエステル系界面活性剤。ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレートなどのエステル系界面活性剤。ジメチルポリシロキサンなどのシリコン系界面活性剤。フッ素アルキルエステル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩などのフッ素系界面活性剤。
本発明者らの検討の結果、上記で挙げたノニオン性界面活性剤の中でも、下記構造式(1)で表される界面活性剤、すなわち、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンのブロック共重合体を用いることが最適であることがわかった。
構造式(1)
本発明においては特に、前記ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンのブロック共重合体の平均分子量が20,000以下であり、かつ前記共重合体におけるポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとのモル比が1:0.2以上1:99未満であることが好ましい。
(水性媒体)
本発明のインクは、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有することが好ましい。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、具体的には、以下に挙げるようなものを用いることができる。
本発明のインクは、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有することが好ましい。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、具体的には、以下に挙げるようなものを用いることができる。
メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコールなどの炭素数1〜4のアルキルアルコール類。ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類。アセトン、ジアセトンアルコールなどのケトン類又はケトアルコール類。テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類。ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール類。エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオールなどのアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;チオジグリコールなど。ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのアルキルエーテルアセテート類。グリセリン。エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテルなどの多価アルコールのアルキルエーテル類。N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなど。
水は脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。
(顔料)
本発明のインクには、分散剤を用いて顔料を分散する樹脂分散タイプの顔料(樹脂分散型顔料)や、顔料粒子の表面に親水性基を導入した自己分散タイプの顔料(自己分散型顔料)を用いることができる。また、顔料粒子の表面に高分子を含む有機基を化学的に結合した顔料(樹脂結合型自己分散顔料)、顔料の分散性を高めて分散剤などを用いることなく分散可能としたマイクロカプセル型顔料なども用いることができる。勿論、これらの分散方法の異なる顔料を組み合わせて用いても良い。インク中の顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として0.1質量%以上15.0質量%以下、さらには1.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
本発明のインクには、分散剤を用いて顔料を分散する樹脂分散タイプの顔料(樹脂分散型顔料)や、顔料粒子の表面に親水性基を導入した自己分散タイプの顔料(自己分散型顔料)を用いることができる。また、顔料粒子の表面に高分子を含む有機基を化学的に結合した顔料(樹脂結合型自己分散顔料)、顔料の分散性を高めて分散剤などを用いることなく分散可能としたマイクロカプセル型顔料なども用いることができる。勿論、これらの分散方法の異なる顔料を組み合わせて用いても良い。インク中の顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として0.1質量%以上15.0質量%以下、さらには1.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
ブラックインクには、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラックなどのカーボンブラックを顔料として用いることが好ましい。具体的には、例えば、以下の市販品などを用いることができる。
レイヴァン:1170、1190ULTRA−II、1200、1250、1255、1500、2000、3500、5000ULTRA、5250、5750、7000(以上、コロンビア製)。ブラックパールズL、リーガル:330R、400R、660R、モウグルL、モナク:700、800、880、900、1000、1100、1300、1400、2000、ヴァルカンXC−72R(以上、キャボット製)。カラーブラック:FW1、FW2、FW2V、FW18、FW200、S150、S160、S170、プリンテックス:35、U、V、140U、140V、スペシャルブラック:6、5、4A、4(以上、デグッサ製)。No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上、三菱化学製)。
また、新たに調製したカーボンブラックを用いることもできる。勿論、本発明はこれらに限定されるものではなく、従来のカーボンブラックをいずれも用いることができる。また、カーボンブラックに限定されず、マグネタイト、フェライトなどの磁性体微粒子や、チタンブラックなどを顔料として用いてもよい。
カラーインクには、有機顔料を顔料として用いることが好ましい。具体的には、例えば、以下のものを用いることができる。
トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、ピラゾロンレッドなどの水不溶性アゾ顔料。リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2Bなどの水溶性アゾ顔料。アリザリン、インダントロン、チオインジゴマルーンなどの建染染料からの誘導体。フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系顔料。キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタなどのキナクリドン系顔料。ペリレンレッド、ペリレンスカーレットなどのペリレン系顔料。イソインドリノンイエロー、イソインドリノンオレンジなどのイソインドリノン系顔料。ベンズイミダゾロンイエロー、ベンズイミダゾロンオレンジ、ベンズイミダゾロンレッドなどのイミダゾロン系顔料。ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジなどのピランスロン系顔料。インジゴ系顔料、縮合アゾ系顔料、チオインジゴ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料。フラバンスロンイエロー、アシルアミドイエロー、キノフタロンイエロー、ニッケルアゾイエロー、銅アゾメチンイエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレットなど。勿論、本発明はこれらに限定されるものではない。
また、有機顔料をカラーインデックス(C.I.)ナンバーで示すと、例えば、以下のものを用いることができる。C.I.ピグメントイエロー:12、13、14、17、20、24、74、83、86、93、97、109、110、117、120、125、128、137、138、147、148、150、151、153、154、166、168、180、185など。C.I.ピグメントオレンジ:16、36、43、51、55、59、61、71など。C.I.ピグメントレッド:9、48、49、52、53、57、97、122、123、149、168、175など。同:176、177、180、192、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、254、255、272など。C.I.ピグメントバイオレット:19、23、29、30、37、40、50など。C.I.ピグメントブルー:15、15:1、15:3、15:4、15:6、22、60、64など。C.I.ピグメントグリーン7、36など。C.I.ピグメントブラウン23、25、26など。勿論、本発明はこれらに限定されるものではない。
(樹脂)
上記で挙げたような顔料を水性媒体中に分散させるためには、高分子分散剤(樹脂分散剤)を用いることが好ましい。分散剤として用いることができる樹脂は、水溶性樹脂であればいずれのものも用いることができる。このような水溶性構成するモノマーは、具体的には、以下のものが挙げられ、これらのうち少なくとも2つのモノマーで構成される樹脂が挙げられる。このとき、少なくとも1つは親水性のモノマーであることが好ましい。具体的には、スチレン、ビニルナフタレン、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル、アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマール酸、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、アクリルアミド、またはこれらの誘導体などが挙げられる。また、樹脂の形態は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、又はこれらの塩などが挙げられる。さらに、ロジン、シェラック、デンプンなどの天然樹脂を用いても良い。これらの樹脂は、塩基を溶解した水溶液に可溶であり、アルカリ可溶型樹脂である。
上記で挙げたような顔料を水性媒体中に分散させるためには、高分子分散剤(樹脂分散剤)を用いることが好ましい。分散剤として用いることができる樹脂は、水溶性樹脂であればいずれのものも用いることができる。このような水溶性構成するモノマーは、具体的には、以下のものが挙げられ、これらのうち少なくとも2つのモノマーで構成される樹脂が挙げられる。このとき、少なくとも1つは親水性のモノマーであることが好ましい。具体的には、スチレン、ビニルナフタレン、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル、アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマール酸、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、アクリルアミド、またはこれらの誘導体などが挙げられる。また、樹脂の形態は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、又はこれらの塩などが挙げられる。さらに、ロジン、シェラック、デンプンなどの天然樹脂を用いても良い。これらの樹脂は、塩基を溶解した水溶液に可溶であり、アルカリ可溶型樹脂である。
本発明では、樹脂の重量平均分子量は、1,000以上30,000以下、さらには3,000以上15,000以下であることが好ましい。また、インク中の樹脂の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。
(その他の成分)
本発明のインクには、上記成分の他に、尿素、尿素誘導体、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの保湿性固形分を含有してもよい。インク中の保湿性固形分の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上20.0質量%以下、さらには3.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
本発明のインクには、上記成分の他に、尿素、尿素誘導体、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの保湿性固形分を含有してもよい。インク中の保湿性固形分の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上20.0質量%以下、さらには3.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
さらに、必要に応じて所望の物性値を有するインクとするために、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤などの種々の添加剤を含有してもよい。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクは、インクをインクジェット方式で吐出するインクジェット記録方法に適用することが特に好ましい。インクジェット記録方法は、インクに力学的エネルギーを作用させることによりインクを吐出する記録方法や、インクに熱エネルギーを作用させることによりインクを吐出する記録方法などがある。特に、本発明のインクは、熱エネルギーを利用したインクジェット記録方法に特に好ましく適用することができる。
本発明のインクは、インクをインクジェット方式で吐出するインクジェット記録方法に適用することが特に好ましい。インクジェット記録方法は、インクに力学的エネルギーを作用させることによりインクを吐出する記録方法や、インクに熱エネルギーを作用させることによりインクを吐出する記録方法などがある。特に、本発明のインクは、熱エネルギーを利用したインクジェット記録方法に特に好ましく適用することができる。
<インクカートリッジ>
本発明のインクカートリッジは、インクを収容するインク収容部を備えてなるものであり、前記インク収容部に収容されているインクが、上記本発明のインクであることを特徴とする。
本発明のインクカートリッジは、インクを収容するインク収容部を備えてなるものであり、前記インク収容部に収容されているインクが、上記本発明のインクであることを特徴とする。
<記録ユニット>
本発明の記録ユニットは、インクを収容するインク収容部と、インクを吐出する記録ヘッドとを備えてなる記録ユニットであって、前記インク収容部に収容されているインクが、上記本発明のインクであることを特徴とする。特に、前記記録ヘッドが、インクに熱エネルギーを作用させることによりインクを吐出する記録ユニットであることがより好ましい。
本発明の記録ユニットは、インクを収容するインク収容部と、インクを吐出する記録ヘッドとを備えてなる記録ユニットであって、前記インク収容部に収容されているインクが、上記本発明のインクであることを特徴とする。特に、前記記録ヘッドが、インクに熱エネルギーを作用させることによりインクを吐出する記録ユニットであることがより好ましい。
<インクジェット記録装置>
本発明のインクジェット記録装置は、インクを収容するインク収容部と、インクを吐出する記録ヘッドとを備えてなるインクジェット記録装置であって、前記インク収容部に収容されているインクが、上記本発明のインクであることを特徴とする。特に、前記記録ヘッドが、インクに熱エネルギーを作用させることによりインクを吐出するインクジェット記録装置であることがより好ましい。
本発明のインクジェット記録装置は、インクを収容するインク収容部と、インクを吐出する記録ヘッドとを備えてなるインクジェット記録装置であって、前記インク収容部に収容されているインクが、上記本発明のインクであることを特徴とする。特に、前記記録ヘッドが、インクに熱エネルギーを作用させることによりインクを吐出するインクジェット記録装置であることがより好ましい。
次に、本発明に好適なインクジェット記録装置の一例について以下に説明する。先ず、熱エネルギーを利用したインクジェット記録装置の主要部であるヘッド構成の一例を図3及び図4に示す。図3は、インク流路に沿ったヘッド13の断面図であり、図4は図3のA−B線での切断面図である。ヘッド13はインクを通す流路(ノズル)14を有するガラス、セラミック、シリコン又はプラスチック板などと発熱素子基板15とを接着して得られる。
発熱素子基板15は、酸化シリコン、窒化シリコン、炭化シリコンなどで形成される保護層16、アルミニウム、金、アルミニウム−銅合金などで形成される電極17−1及び17−2、HfB2、TaN、TaAlなどの高融点材料から形成される発熱抵抗体層18、熱酸化シリコン、酸化アルミニウムなどで形成される蓄熱層19、シリコン、アルミニウム、窒化アルミニウムなどの放熱性のよい材料で形成される基板20よりなっている。
上記ヘッド13の電極17−1及び17−2にパルス状の電気信号が印加されると、発熱素子基板15のnで示される領域が急速に発熱し、この表面に接しているインク21に気泡が発生し、その圧力でメニスカス23が突出し、インク21がヘッドのノズル14を通して吐出し、吐出ノズル22よりインク小滴24となり、記録媒体25に向かって飛翔する。図5には、図3に示したヘッドを多数並べたマルチヘッドの一例の外観図を示す。このマルチヘッドは、マルチノズル26を有するガラス板27と、図3に説明したものと同じような発熱ヘッド28を接着して作られている。
図6に、このヘッドを組み込んだインクジェット記録装置の一例を示す。図6において、61はワイピング部材としてのブレードであり、その一端はブレード保持部材によって保持固定されており、カンチレバーの形態をなす。ブレード61は記録ヘッド65による記録領域に隣接した位置に配置され、又、図示した例の場合、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。
62は記録ヘッド65の突出口面のキャップであり、ブレード61に隣接するホームポジションに配置され、記録ヘッド65の移動方向と垂直な方向に移動して、インク吐出口面と当接し、キャッピングを行う構成を備える。さらに、63はブレード61に隣接して設けられるインク吸収体であり、ブレード61と同様、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。上記ブレード61、キャップ62及びインク吸収体63によって吐出回復部64が構成され、ブレード61及びインク吸収体63によって吐出口面に水分、塵埃などの除去が行われる。
65は、吐出エネルギー発生手段を有し、吐出口を配した吐出口面に対向する記録媒体にインクを吐出して記録を行う記録ヘッド、66は記録ヘッド65を搭載して記録ヘッド65の移動を行うためのキャリッジである。キャリッジ66はガイド軸67と摺動可能に係合し、キャリッジ66の一部はモーター68によって駆動されるベルト69と接続(不図示)している。これによりキャリッジ66はガイド軸67に沿った移動が可能となり、記録ヘッド65による記録領域及びその隣接した領域の移動が可能となる。
51は記録媒体を挿入するための紙給部、52は不図示のモーターにより駆動される紙送りローラーである。これらの構成により記録ヘッド65の吐出口面と対向する位置へ記録媒体が給紙され、記録の進行につれて排紙ローラー53を配した排紙部へ排紙される。以上の構成において記録ヘッド65が記録終了してホームポジションへ戻る際、吐出回復部64のキャップ62は記録ヘッド65の移動経路から退避しているが、ブレード61は移動経路中に突出している。その結果、記録ヘッド65の吐出口がワイピングされる。
なお、キャップ62が記録ヘッド65の吐出面に当接してキャッピングを行う場合、キャップ62は記録ヘッドの移動経路中に突出するように移動する。記録ヘッド65がホームポジションから記録開始位置へ移動する場合、キャップ62及びブレード61は上記したワイピングのときの位置と同一の位置にある。この結果、この移動においても記録ヘッド65の吐出口面はワイピングされる。上述の記録ヘッドのホームポジションへの移動は、記録終了時や吐出回復時ばかりでなく、記録ヘッドが記録のために記録領域を移動する間に所定の間隔で記録領域に隣接したホームポジションへ移動し、この移動に伴って上記ワイピングが行われる。
図7は、記録ヘッドにインク供給部材、例えば、チューブを介して供給されるインクを収容したインクカートリッジの一例を示す図である。ここで40は供給用インクを収納したインク収容部、例えば、インク袋であり、その先端にはゴム製の栓42が設けられている。この栓42に針(不図示)を挿入することにより、インク袋40中のインクをヘッドに供給可能にする。44は廃インクを受容するインク吸収体である。インク収容部としてはインクとの接液面がポリオレフィン、特にポリエチレンで形成されているものが好ましい。
本発明で使用されるインクジェット記録装置としては、上述のようにヘッドとインクカートリッジとが別体となったものに限らず、図8に示すようなそれらが一体になったものにも好適に用いられる。図8において、70は記録ユニットであり、この中にはインクを収容したインク収容部、例えば、インク吸収体が収納されており、かかるインク吸収体中のインクが複数ノズルを有するヘッド部71からインク滴として吐出される構成になっている。インク吸収体の材料としてはポリウレタンを用いることが本発明にとって好ましい。又、インク吸収体を用いず、インク収容部が内部にバネなどを仕込んだインク袋であるような構造でもよい。72はカートリッジ内部を大気に連通させるための大気連通口である。この記録ユニット70は図6に示す記録ヘッド65に換えて用いられるものであって、キャリッジ66に対して着脱自在になっている。
次に、力学的エネルギーを利用したインクジェット記録装置の好ましい一例としては、複数のノズルを有するノズル形成基板と、ノズルに対向して配置される圧電材料と導電材料からなる圧力発生素子と、この圧力発生素子の周囲を満たすインクを備え、印加電圧により圧力発生素子を変位させ、インクの小液滴をノズルから吐出させるオンデマンドインクジェット記録ヘッドを挙げることができる。その記録装置の主要部である記録ヘッドの構成の一例を図9に示す。
ヘッドは、インク室(不図示)に連通したインク流路80と、所望の体積のインク滴を吐出するためのヘッド表面81と、インクに直接圧力を作用させる振動板82と、この振動板82に接合され、電気信号により変位する圧電素子83と、ヘッド表面81、振動板82などを指示固定するための基板84とから構成されている。
図9において、インク流路80は、感光性樹脂などで形成され、ヘッド表面81は、ステンレス、ニッケルなどの金属を電鋳やプレス加工による穴あけなどにより吐出口85が形成され、振動板82はステンレス、ニッケル、チタンなどの金属フィルム及び高弾性樹脂フィルムなどで形成され、圧電素子83は、チタン酸バリウム、PZTなどの誘電体材料で形成される。以上のような構成の記録ヘッドは、圧電素子83にパルス状の電圧を与え、歪み応力を発生させ、そのエネルギーが圧電素子83に接合された振動板を変形させ、インク流路80内のインクを垂直に加圧しインク滴(不図示)をヘッド表面81の吐出口85より吐出して記録を行うように動作する。このような記録ヘッドは、図6に示したものと同様なインクジェット記録装置に組み込んで使用される。インクジェット記録装置の細部の動作は、先述と同様に行うもので差しつかえない。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記実施例により限定されるものではない。なお、文中「部」又は「%」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
<顔料分散液の調製>
(顔料分散液1)
比表面積210m2/g、DBP吸油量74ml/100gであるカーボンブラック10部、10%水酸化ナトリウム水溶液で中和したスチレン−アクリル酸共重合体(酸価180、重量平均分子量8,000)10部、イオン交換水80部を混合した。得られた混合物を、サンドグラインダーを用いて1時間分散した後、遠心分離処理を行うことで粗大粒子を除去し、ポアサイズ3.0μmの富士フィルムミクロフィルター((登録商標)富士フィルム製)にて加圧ろ過を行い、顔料の含有量が10%である顔料分散液1を得た。
(顔料分散液1)
比表面積210m2/g、DBP吸油量74ml/100gであるカーボンブラック10部、10%水酸化ナトリウム水溶液で中和したスチレン−アクリル酸共重合体(酸価180、重量平均分子量8,000)10部、イオン交換水80部を混合した。得られた混合物を、サンドグラインダーを用いて1時間分散した後、遠心分離処理を行うことで粗大粒子を除去し、ポアサイズ3.0μmの富士フィルムミクロフィルター((登録商標)富士フィルム製)にて加圧ろ過を行い、顔料の含有量が10%である顔料分散液1を得た。
(顔料分散液2)
比表面積210m2/g、DBP吸油量74ml/100gであるカーボンブラック10部、10%水酸化ナトリウム水溶液で中和したスチレン−アクリル酸メチル−アクリル酸共重合体(酸価130、重量平均分子量8,000)10部、イオン交換水80部を混合した。得られた混合物を、サンドグラインダーを用いて1時間分散した後、遠心分離処理を行うことで粗大粒子を除去し、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過を行い、顔料の含有量が10%である顔料分散液2を得た。
比表面積210m2/g、DBP吸油量74ml/100gであるカーボンブラック10部、10%水酸化ナトリウム水溶液で中和したスチレン−アクリル酸メチル−アクリル酸共重合体(酸価130、重量平均分子量8,000)10部、イオン交換水80部を混合した。得られた混合物を、サンドグラインダーを用いて1時間分散した後、遠心分離処理を行うことで粗大粒子を除去し、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過を行い、顔料の含有量が10%である顔料分散液2を得た。
(顔料分散液3)
比表面積210m2/g、DBP吸油量74ml/100gであるカーボンブラック10部、10%水酸化ナトリウム水溶液で中和したスチレン−アクリル酸メチル−アクリル酸共重合体(酸価180、重量平均分子量4,000)10部、イオン交換水80部を混合した。得られた混合物を、サンドグラインダーを用いて1時間分散した後、遠心分離処理を行うことで粗大粒子を除去し、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過を行い、顔料の含有量が10%である顔料分散液3を得た。
比表面積210m2/g、DBP吸油量74ml/100gであるカーボンブラック10部、10%水酸化ナトリウム水溶液で中和したスチレン−アクリル酸メチル−アクリル酸共重合体(酸価180、重量平均分子量4,000)10部、イオン交換水80部を混合した。得られた混合物を、サンドグラインダーを用いて1時間分散した後、遠心分離処理を行うことで粗大粒子を除去し、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過を行い、顔料の含有量が10%である顔料分散液3を得た。
<界面活性剤>
下記表1に、インクの調製に用いた構造式(1)で表される界面活性剤の主たる特性をまとめた。
下記表1に、インクの調製に用いた構造式(1)で表される界面活性剤の主たる特性をまとめた。
構造式(1)
(接触半径:r1/R)
上記で得られた各インクについて、撥水処理を施したヘッド表面に対する動的接触半径の測定を行った。自動接触角計DM700型(協和界面科学製)を用いた拡張収縮法により、ニードル径22G(内径:0.4mm、外径:0.7mm)のニードルを用い、記録ヘッドのヘッド表面と同素材の板材の表面にインク滴を載せ、測定開始時の初期液滴量1.7μL、液滴の吸引速度0.5μL/sの条件で、測定開始時の接触半径をR(μm)、2.5秒後の接触半径をr1(μm)として、動的接触半径の測定を行った。得られたR及びr1の値から求めた2.5秒後のr1/Rの値を表3に示した。さらに、各測定時間におけるr/Rをプロットしたグラフを図10に記載した。
(吐出安定性)
また、上記で得られた各インクをそれぞれインクカートリッジに充填し、インクジェット記録装置(Pixus(登録商標) 850i;キヤノン製)を改造したものに搭載した。その後、PPC用紙オフィスプランナー((登録商標)キヤノン製)に、デフォルトモードで、面積18cm×24cmのベタ画像を10枚連続して記録した後に、Pixus 850iのノズルチェックパターンを記録した。得られたノズルチェックパターンを目視で確認して、下記の基準にしたがって評価を行った。なお、ベタ画像の記録の際には、3枚に1回の割合で、前記インクジェット記録装置に具備されているワイパーブレードにより、ヘッド表面のクリーニング操作を行った。得られた評価結果を表3に示した。
また、上記で得られた各インクをそれぞれインクカートリッジに充填し、インクジェット記録装置(Pixus(登録商標) 850i;キヤノン製)を改造したものに搭載した。その後、PPC用紙オフィスプランナー((登録商標)キヤノン製)に、デフォルトモードで、面積18cm×24cmのベタ画像を10枚連続して記録した後に、Pixus 850iのノズルチェックパターンを記録した。得られたノズルチェックパターンを目視で確認して、下記の基準にしたがって評価を行った。なお、ベタ画像の記録の際には、3枚に1回の割合で、前記インクジェット記録装置に具備されているワイパーブレードにより、ヘッド表面のクリーニング操作を行った。得られた評価結果を表3に示した。
A:インクの着弾点にずれがなかった。
B:インクの着弾点に若干のずれがあったが、許容できるレベルであった。
C:インクの着弾点がかなりずれていた。
1 ヒータ
3 ヘッド表面
4 吐出口
5 インク流路
6 ヘッド表面の付着物とノズル内に戻ろうとするインクがつながった状態のインク
7 撥水処理を施したヘッド表面
8 液滴
9 ニードル
13 記録ヘッド
14 インクノズル
15 発熱素子基板
16 保護層
17−1、17−2 電極
18 発熱抵抗体層
19 蓄熱層
20 基板
21 インク
22 吐出ノズル(微細孔)
23 メニスカス
24 インク小滴
25 記録媒体
26 マルチノズル
27 ガラス板
28 発熱ヘッド
40 インク袋
42 栓
44 インク吸収体
45 インクカートリッジ
51 紙給部
52 紙送りローラー
53 排紙ローラー
61 ブレード
62 キャップ
63 インク吸収体
64 吐出回復部
65 記録ヘッド
66 キャリッジ
67 ガイド軸
68 モーター
69 ベルト
70 記録ユニット
71 ヘッド部
72 大気連通口
80 インク流路
81 ヘッド表面
82 振動板
83 圧電素子
84 基板
85 吐出口
301 気泡
303 液柱
3 ヘッド表面
4 吐出口
5 インク流路
6 ヘッド表面の付着物とノズル内に戻ろうとするインクがつながった状態のインク
7 撥水処理を施したヘッド表面
8 液滴
9 ニードル
13 記録ヘッド
14 インクノズル
15 発熱素子基板
16 保護層
17−1、17−2 電極
18 発熱抵抗体層
19 蓄熱層
20 基板
21 インク
22 吐出ノズル(微細孔)
23 メニスカス
24 インク小滴
25 記録媒体
26 マルチノズル
27 ガラス板
28 発熱ヘッド
40 インク袋
42 栓
44 インク吸収体
45 インクカートリッジ
51 紙給部
52 紙送りローラー
53 排紙ローラー
61 ブレード
62 キャップ
63 インク吸収体
64 吐出回復部
65 記録ヘッド
66 キャリッジ
67 ガイド軸
68 モーター
69 ベルト
70 記録ユニット
71 ヘッド部
72 大気連通口
80 インク流路
81 ヘッド表面
82 振動板
83 圧電素子
84 基板
85 吐出口
301 気泡
303 液柱
Claims (10)
- 少なくとも、樹脂及び顔料を含有するインクジェット用インクであって、
撥水処理が施された記録ヘッドのヘッド表面に対して、測定開始時の初期液滴量1.7(μL)及び吸引速度0.5(μL/s)の条件で測定した前記インクの接触半径の変化率(r1/R)が、下記式(1)の条件を満たすことを特徴とするインクジェット用インク。
r2.5/R<0.95 式(1)
(式(1)中、Rはヘッド表面にインク滴を滴下した時点のインク滴とヘッド表面との接触半径であり、r1は測定開始から2.5秒後の接触半径である。) - 前記接触半径の変化率(r2.5/R)が、下記式(2)の条件を満たす請求項1に記載のインクジェット用インク。
r2.5/R<0.85 式(2)
(式(2)中、Rはヘッド表面にインク滴を滴下した時点のインク滴とヘッド表面との接触半径であり、r1は測定開始から2.5秒後の接触半径である。) - さらに界面活性剤を含有する請求項1又は請求項2に記載のインクジェット用インク。
- 前記界面活性剤が、ノニオン性界面活性剤である請求項3に記載のインクジェット用インク。
- 前記ノニオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンのブロック共重合体である請求項4に記載のインクジェット用インク。
- 前記ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンのブロック共重合体の平均分子量が20,000以下であり、かつ前記共重合体におけるポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとのモル比が1:0.2以上1:99未満である請求項5に記載のインクジェット用インク。
- インクをインクジェット方法で吐出して記録媒体に記録を行うインクジェット記録方法であって、
前記インクとして、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のインクジェット用インクを用いることを特徴とするインクジェット記録方法。 - インクを収容するインク収容部を備えてなるインクカートリッジであって、
前記インク収容部に収容されているインクが、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のインクジェット用インクであることを特徴とするインクカートリッジ。 - インクを収容するインク収容部と、インクを吐出する記録ヘッドとを備えてなる記録ユニットであって、
前記インク収容部に収容されているインクが、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のインクジェット用インクであることを特徴とする記録ユニット。 - インクを収容するインク収容部と、インクを吐出する記録ヘッドとを備えてなるインクジェット記録装置であって、
前記インク収容部に収容されているインクが、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のインクジェット用インクであることを特徴とするインクジェット記録装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008135592A JP2009280732A (ja) | 2008-05-23 | 2008-05-23 | インクジェット用インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェト記録装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009280732A true JP2009280732A (ja) | 2009-12-03 |
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ID=41451521
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008135592A Pending JP2009280732A (ja) | 2008-05-23 | 2008-05-23 | インクジェット用インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェト記録装置 |
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Country | Link |
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-
2008
- 2008-05-23 JP JP2008135592A patent/JP2009280732A/ja active Pending
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