JP2009279866A - インクジェット記録装置 - Google Patents

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克彦 鈴木
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淳一 酒井
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聡 永嶋
Sadayuki Sugama
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Abstract

【課題】 画像堅牢性向上や画像品位向上をも達成する、高周波誘電加熱用のインクジェット記録方法を提供する。
【解決手段】 インクジェット記録方法であって、記録媒体にインクで画像形成を行う前に、高周波誘電加熱装置により記録媒体を誘電加熱することを特徴とするインクジェット記録方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、インクジェット記録装置に関し、更に詳しくは、ラジオ波による誘電加熱手段とともに使用される、ラジオ波による誘電加熱手段を用いたインクジェット記録装置に関するものである。
インクジェット記録装置は、インク小滴を普通紙や、種々のメディア上に飛翔させ、画像を形成する記録装置であり、その低価格化、印字速度の向上により、急速に普及が進んでいる。又、その記録画像の高画質化が進んだことに加えて、デジタルカメラの急速な普及に伴い、銀塩写真と匹敵する写真画像の出力装置として、広く一般的になっている。
近年、飛翔させるインク滴の極小液滴化や多色インクの導入に伴う色域の向上、さらには耐光性や耐ガス性といった画像堅牢性を向上させた染料や顔料といった色材を使用したインクが開発されるなど、より高画質化、高品質化が進んでいる。
インクジェットインクはその主溶剤として水を用いる水性インクと、アルコールなどを用いる非水系(溶剤系)インクとに大きく大別され、それぞれ長所、短所が存在するが、水性インクの使用が好ましいと考えられている。
一方で、水性インクを使用する場合に、プリントの更なる高速化、インク吸収層を持つ専用紙以外にプリントする、という高機能化を考えたときには、この水をいかに処理するかが大きな課題となってくる。
誘電加熱は、非導電体を加熱する手段の1つとして、多方面で検討されている。
例えば、高周波の中で、波長が1mより小さいマイクロ波を非導電体に照射し、該非導電体を加熱する提案が数多く成されており、例えば、クッキング用で用いられている電子レンジのような形態で使用されている。また特許文献1には、インクで印刷された記録物の印刷面に、電磁波を直接照射して、印刷記録物の乾燥性を向上させる提案もある。これらのマイクロ波や電磁波を加熱対象物に直接照射する誘電加熱方法で有るため、マイクロ波や電磁波が、照射された加熱対象物の表層に集中してしまうため、加熱対象物全体の加熱や、乾燥を行うためには、不十分であった。この問題を解決するために、高周波の直接照射による加熱対象物全体の加熱方法とは異なる方法が提案されている。この提案は、加熱対象物を高周波の電流により発生する電界内に置き、前記電界方向を短時間に変化させて、物質全体の分子間に摩擦エネルギーを発生させ、発熱する事で、乾燥速度を向上させる方法である。例えば、特許文献2に、インクで印刷された記録物の基材側に高周波誘電加熱手段を設け、インク中の溶媒を発熱させ、溶媒を蒸発させる事で、インク乾燥性を向上させる提案がある。特許文献3には、接着剤を介在して重ね合わせた被接着材において、高周波誘電加熱手段を接着剤に作用させる事で、該接着剤を発熱させ、接着剤中の熱硬化成分の硬化時間を短縮し、乾燥性を向上させる提案がある。
また、特許文献4にはインク滲みや紙への浸透を抑制するために、記録ヘッド近傍にマイクロ波発生装置を備えたインクジェット記録装置の提案がある。
特開平11−151807号公報 特開平6−278271号公報 特開平8−96951号公報 特開平7−314661号公報
しかしながら、上述した先行技術は、高周波として基本的にマイクロ波を中心とし、インク中の水を加熱し、これを蒸発させることによって所望の効果(主に加熱蒸発による高速定着)を得ることを目的としている。
我々がこれらの先行技術を使って、現在開発を行っているインクに対し、非常に高密度高精細なインクジェット記録を行ったところ、蒸発による画像性能の向上が非常に小さく、高出力の高周波を使用しなければ効果が現れないというという場合と、比較的効果が現れやすい場合があることが分かった。
また、画像堅牢性(例えば耐擦過性や耐湿性など)や、画像の色安定性向上や色ムラ軽減などに対して効果が発生する場合があることも分かった。
これらの現象は、高周波を加熱定着手段として考えてきた従来の技術とは異なる、新たな現象であると認識される。
従って、本発明の目的は、従来から行われていた定着補助手段としての高周波誘電加熱では為し得なかった、画像堅牢性向上や画像品位向上をも達成する、高周波誘電加熱用のインクジェット記録装置を提供することに有る。
上記目的は、以下の本発明によって達成される。即ち、本発明は、
〔1〕インクジェット記録装置であって、記録媒体にインクで画像形成を行う前に、高周波誘電加熱装置により記録媒体を誘電加熱することを特徴とするインクジェット記録装置である。
また、本発明は、
〔2〕誘電加熱される物質が記録媒体中の水分であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置である。
本発明によれば、記録媒体中に含有している水分を蒸発させることによって、画像品位の向上、印字環境による発色性のバラツキ低減、記録濃度の安定化が可能となり、さらには耐擦過性、耐湿性(マイグレーション)を向上させる。そのため、良好な発色性、画像堅牢性を提供することができる。
次に、本発明の詳細を実施例の記述に従って説明する。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、本発明を更に詳しく説明する。
(高周波加熱)
本発明にかかるインクジェットインクおよびインクジェット記録装置は、高周波としてラジオ波による誘電加熱手段を用いて、記録を行う事を特徴とする。
ここで、本発明に用いられるラジオ波による誘電加熱手段とは、周波数が300MHz以下、波長が1m以上の電磁波を用いて発生した電界を分子に作用させて、分子を発熱・励起させる手段である。
ラジオ波はマイクロ波と比較するとエネルギーが小さく、使い勝手に優れる。
また、13MHz、27MHz、40MHzといった周波数はISM周波数と呼ばれ「通信以外の高周波利用設備」として割り当てられている点から、この周波数を用いることが好ましい。
高周波誘導加熱装置としては、発明の構成を達成することが可能であれば汎用品を使用しても良いし、インクジェット記録装置に合わせてカスタマイズしたものを使用してももちろん構わない。
(記録媒体)
本発明のインクを使用して画像を形成することができる記録媒体としては、インクを付着して記録を行うための、記録媒体であれば普通紙、特殊紙いずれのものでも使用することができる。
本発明は、高周波誘電加熱装置を用いて、記録媒体中に含有する水分を除去することによって、画像品位と画像堅牢性が向上する。本発明の発現メカニズムについては、その詳細は不明な部分もあるが、以下のように考えることが出来る。
本発明には、印字環境に対する発色のバラツキを低減させる効果がある。高周波誘電加熱装置を用いて、記録媒体にラジオ波を照射すると、記録媒体中に含まれている水分が蒸発する。記録媒体中の水分はラジオ波が照射される前では、湿度や温度の印字環境によって一様ではなく、印字環境に大きく左右される。しかし、本発明では、記録媒体に画像を形成する前に、記録媒体中の水分を蒸発させることで、画像が形成される時の、記録媒体中の水分量は印字環境によらず一様となる。インクが着弾し記録媒体へ画像が形成される場合に、記録媒体中の水分量が一様でない場合には、インクの記録媒体への浸透速度が記録媒体毎に異なるため、記録媒体上に残る色材量も大きくバラツキが生じる。そのため、印字環境によって発色のバラツキが生じるが、本発明の形態では、記録媒体中の水分を蒸発させ、記録媒体中の水分量が一様になり、印字環境による発色のバラツキを低減することができる。
同様のメカニズムによって、往復ムラ、時間差ムラなどの色ムラも向上する。さらに、本発明では、特定のインクと記録媒体の組み合わせでは、耐湿性(マイグレーション)の向上も見られた。これは、色材定着と溶剤定着が分離されているためであると推測される。
さらに、普通紙上での記録濃度の向上が見られると共に、記録濃度が安定化した。これは、記録媒体中の水分を除去することによって、インクが記録媒体に着弾した際に、水分による記録媒体中への浸透が抑制され、色材が記録媒体上表面に一定量だけ残存したためと推測される。記録濃度が安定化したとは、同じ種類の記録媒体に、複数枚同じ画像を形成する場合に、記録媒体間の記録濃度に変化がないことを意味する。
また、高周波加熱装置を使用しない場合と比較して、顔料インクを用いた場合に、画像を形成した場合の耐摩擦性の向上が見られた。高周波加熱装置を用いない場合には、記録媒体中の水分により、インク中に存在するフリーポリマーが記録媒体中に浸透してしまうのに対して、高周波加熱装置を用いた場合には、記録媒体中へのインクの浸透速度が遅くなり、記録媒体中には色材のみでなく、インク中のフリーポリマーも記録媒体上に残りやすくなるために擦過性が向上すると考えられる。
(インクジェット記録方法)
本発明は、インクジェット吐出方式のヘッドに用いられ、また、そのインクが収納されているインク収納容器としても、あるいは、その充填用のインキとしても有効である。特に、本発明は、インクジェット記録方式の中でもサーマルジェット方式の記録ヘッド、記録装置に於いて、優れた効果をもたらすものである。
その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4723129号明細書、同第4740796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行なうものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、インクが保持されているシートや液路に対応して配置された電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を超える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰させて、結果的にこの駆動信号に一対一対応し、インク内の気泡を形成出来るので有効である。この気泡の成長,収縮により吐出用開口を介してインクを吐出させて、少なくとも一つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行なわれるので、特に応答性に優れたインクの吐出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4463359号明細書、同第4345262号明細書に記載されているようなものが適している。尚、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4313124号明細書に記載されている条件を採用すると、更に優れた記録を行なうことができる。
記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体の組み合わせ構成(直線状液流路又は直角液流路)の他に熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4558333号明細書、米国特許第4459600号明細書を用いた構成にも本発明は有効である。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通すると吐出孔を電気熱変換体の吐出部とする構成(特開昭59-123670号公報等)に対しても、本発明は有効である。
更に、記録装置が記録できる最大記録媒体の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドとしては、上述した明細書に開示されているような複数記録ヘッドの組み合わせによって、その長さを満たす構成や一体的に形成された一個の記録ヘッドとしての構成のいずれでも良いが、本発明は、上述した効果を一層有効に発揮することができる。
加えて、装置本体に装着されることで、装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一体的に設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
又、本発明は、適用される記録装置の構成として設けられる、記録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助手段等を付加することは本発明の効果を一層安定できるので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャピング手段、クリーニング手段、加圧或は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは別の加熱素子或はこれらの組み合わせによる予備加熱手段、記録とは別の吐出を行う予備吐出モードである。
本発明で使用するプリントシステムの概略図を図1に示す。加熱装置部から発生したラジオ波によって生成した電界によって記録媒体が誘起・加熱され、本発明を達成する。
本図面ではラジオ波を印字面裏側から作用させる形態になっているが、発明を損なわないものであれば、作用方向はこの図に限られるものではない。
次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。また、文中、「部」及び「%」とあるものは、特に断りのない限り質量基準である。
(ブラック顔料分散液の調製)
先ず、キャボット社製カーボンブラック(BET表面積220m/g、DBP吸収量110ml)
15部、グリセリン6部、アクリル酸ブチル−アクリル酸系樹脂分散剤7.5部、及び水71.5部からなる組成の混合液を、金田理化工業社製のサンドミルにて、1,500rpmで5時間分散し、顔料分散液を得た。サンドミルでは0.6mm径のジルコニアビーズを使用し、ポット内の充填率は70%とした。
アクリル酸ブチル−アクリル酸系樹脂分散剤には、共重合比70:30、Mw=10,000、酸価170のものを使用した。かかるアクリル酸ブチル−アクリル酸系樹脂分散剤は、予め水及び上記の酸価と当量の水酸化カリウムを加えて80℃にて攪拌し、水溶液としたものを使用した。得られた顔料分散液は、平均分散粒径95nmで安定に分散されている。
なお平均粒径は、各分散性色材を、大塚電子(株)製、ELS−8000を用いて動的光散乱法にて測定し、キュムラント平均値を平均粒径とした。
(カラー顔料分散液の調製)
水不溶性色材として、クラリアント社製イエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー74)、チバスペシャルティケミカルズ社製マゼンタ顔料(C.I.ピグメントレッド122)、およびシアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)を使用した以外はブラック顔料分散液と同様に分散を行い、それぞれ平均粒径110nm(イエロー顔料)、105nm(マゼンタ顔料)、98nm(シアン顔料)の安定な分散液を得た。
(インクの調整)
調整した顔料分散液を使用し、表1に記載した成分を混合し、十分攪拌して溶解或いは分散した後、ポアサイズ3.0μmの富士フイルムミクロフィルター((登録商標)富士フィルム製)にて加圧ろ過し、インク1、2を調製した。
また染料インクについては、表1に記載した各成分を充分混合溶解した後、ポアサイズ0.2μmフィルター(富士フィルム製)で加圧濾過し、インク3、4を調製した。
染料として、イエロー染料(C.I.ダイレクトイエロー86)、マゼンタ顔料(C.I.アシッドレッド52)、シアン染料(C.I.ダイレクトブルー199)及びブラック染料(C.I.ダイレクトブラック195)を使用した。
Figure 2009279866
(画像形成方法および評価結果)
画像形成方法は、印字直前に高周波誘電加熱装置を具備したインクジェット記録装置において、記録媒体をラジオ波処理した後、インクジェット記録装置を用いて記録媒体へ画像を形成する。記録媒体には、普通紙(キヤノン(株)製、PB用紙)及び光沢紙(キヤノン(株)製 プロフェッショナルフォトペーパー PR−101)の2種類を用いた。形成された画像を以下の項目で評価し、記録媒体が高周波誘電過熱装置を介さずに画像を形成した場合と比較し下記の基準で評価した。
○:RF処理なしより良化
△:RF処理なしと変わらず
×:RF処理なしより劣化
(印字環境の発色バラツキ)
25℃、60%と25℃、10%の環境下で印字を行い両環境下でのΔEを比較した。
(記録濃度の安定性)
10枚連続で印字を行い、光学濃度(OD)の差で比較した。
(記録濃度)
光学濃度(OD)を測定し比較した。
(色ムラ)
ベタ印字を行い、色ムラがあるかないか判断した。
(擦過性)
印字した紙上にシルボン紙を載せ、更にその上に一辺が5cm、重さ1kgの錘を載せた後、シルボン紙を引っ張ったときに、記録紙の非印字部(白地部)及びシルボン紙に印字部のこすれによって汚れが生じるか否かを目視にて判断した。
以上の結果を表2に示す。
Figure 2009279866
本発明は、インクジェット記録用、電子写真用、塗料用の色材や電子写真、半導体でのキヤリアヘの展開が可能である。
本発明における高周波加熱装置を具備したプリントシステムの一例である。

Claims (2)

  1. インクジェット記録装置であって、記録媒体にインクで画像形成を行う前に、高周波誘電加熱装置により記録媒体を誘電加熱することを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 誘電加熱される物質が記録媒体中の水分であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016078409A (ja) * 2014-10-22 2016-05-16 株式会社リコー インクジェット画像形成装置

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