以下、本発明に係る遊技機の好適な一実施形態を、スロットマシンを例に図面を参照して説明する。図1はスロットマシン1の正面図、図2は前扉3を開放した状態におけるスロットマシン1の内部構造を表した平面図である。
これらの図に示すように、回胴式遊技装置であるスロットマシン1は、遊技者側に面する、いわゆるフロントマスクを構成する前面扉3が略矩形状の箱体である筐体2の開口側に対し、蝶番機構2aにより左側端部側を回動支点として開閉可能に取り付けられている。前面扉3は、上部パネル部3A、中部パネル部3B、操作パネル部3C及び下部パネル部3Dに概ね分けられ、これらは化粧板として視覚効果を高めてデザインされた硬質プラスチックにより一体的に形成されている。
筐体2の内部には、スロットマシン1全体の動作を統括制御するメイン制御基板300と、3個の円筒状の回転リールである左リール611、中リール612、右リール613を備える回胴装置610と、スロットマシン1の各部に電力を供給するための電源装置750と、ゲームの入賞に応じてメダルの払い出しを行うメダル排出スリット711を有するホッパ装置710と、ホッパ装置710から溢れたメダルを収納する補助貯留部780等とが設けられている。
ここで、回胴装置610は、メイン制御基板300からの回転駆動開始制御信号や回転駆動停止制御信号等を受ける後述のリール基板600によって各左リール611、中リール612、右リール613の回転や回転停止が制御されるようになっている。また、回胴装置610は、筐体2の内部に取り付けられている台座680に対し引き出し及び押し戻し自在に載置されている。また、各左リール611、中リール612、右リール613は、それぞれの周面を一方向(遊技者側)に向けて並設されている。
また、筐体2の内部に設けられている電源装置750のたとえば側面には、いわゆる配電盤に相当する後述の電源装置基板700が設けられている。この電源装置基板700には、電源装置750で発生される各種電源電圧を回胴装置610やホッパ装置710等の各所に配電する配電回路が形成されており、かかる配電回路からスロットマシン1の動作に必要なシステム電源を供給する。
また、前面扉3は、筐体2の開口を閉塞する位置で、操作パネル部3Cに設けられている鍵穴4を有する図示しない施錠装置によりロックされ、ホールスタッフ等がメイン制御基板300上の各電子素子等の状態の確認を含むメンテナンス作業や設定値変更等に伴う出玉管理作業等を行う場合、前面扉3の鍵穴4に専用鍵を差し込んでそのロックを解除すると、前面扉3が開放されるようになっている。
前面扉3の上部パネル部3Aには、遊技に伴った演出を行う演出表示部100が取り付けられている。演出表示部100には、たとえばゲームの進行に応じた動画像等を表示する液晶表示部101と、この液晶表示部101を覆う表示パネル102とが設けられている。この表示パネル102は、中央部に液晶表示部101を視認可能とする略長方形の透明窓103を有し、その透明窓103の周囲が映像を表示可能な液晶パネルで構成されている。また、演出表示部100には、意匠的に遊技者の視覚に訴える形状及び色彩、模様、絵柄等を施してデザイン設計された複数の演出用ランプ104〜108と、演出用の効果音を発するスピーカ109a,110aを有する放音部109,110とが設けられている。
そして、前面扉3の上部パネル部3Aの背面に設けられている後述の演出制御基板410と画像音響生成基板420とを有するサブ制御基板400に、メイン制御基板300から演出開始を示唆する制御信号が供給されると、そのサブ制御基板400により液晶表示部101による動画像等の表示と、演出用ランプ104〜108による点滅又は点灯によっての演出と、放音部109,110からの効果音による演出等が行われるようになっている。
前面扉3の中部パネル部3Bには、回胴装置610の各左リール611、中リール612、右リール613の確認を行える表示窓201を有するパネル202を備えたメイン演出部200が設けられている。また、メイン演出部200の下方には、貯留枚数表示器210、遊技進行表示器220、払出枚数表示器230が設けられている。これらの貯留枚数表示器210、遊技進行表示器220、払出枚数表示器230は、7セグメントLEDを有し、0〜9までの10通りの表示が可能となっている。
貯留枚数表示器210には、遊技停止中にメダルをクレジット(最大50枚まで)する際、後述のメダル投入部6から連続投入されたメダルの枚数が最大50までの数字で表示されるようになっている。
遊技進行表示器220には、遊技者に有利な特別遊技状態(ビックボーナス、レギュラーボーナス等)が発生した際、その特別遊技状態の残りゲーム数等が数字で表示されるようになっている。
払出枚数表示器230には、回胴装置610の各左リール611、中リール612、右リール613の停止に伴い、その有効ライン上に揃った図柄に応じてのメダルの払い出しの枚数が数字で表示されるようになっている。また、払出枚数表示器230は、スロットマシン1でのたとえば出玉率(メダルの払出率)を決定する際の設定値を表示するものとして兼用されている。
また、中部パネル部3Bの両側には、高輝度発光ダイオードを内蔵したサイドランプ5a,5bが配置されている。これらのサイドランプ5a,5bは、リーチや大当たり等の際に点灯又は点滅して遊技者の視覚に訴える演出を行うものである。
前面扉3の操作パネル部3Cには、ゲームに使用するメダルを投入するための投入口を有するメダル投入部6と、メダルを1枚ずつベットするベットスイッチ7aと、メダルを一度に3枚ベットするMAXベットスイッチ7と、ゲームの操作を指示する操作ノブ8aを有するスタートスイッチ8と、回胴装置610の各左リール611、中リール612、右リール613をストップさせる左リールストップスイッチ90、中リールストップスイッチ91、右リールストップスイッチ92を有するストップスイッチユニット9A等とが設けられている。
ベットスイッチ7a及びMAXベットスイッチ7は、スロットマシン1のゲームに賭けるメダルの枚数を提示するための押圧式の操作スイッチである。メダルがクレジットされているとき、ゲーム開始時にベットスイッチ7a又はMAXベットスイッチ7を操作すると、そのクレジットされているメダルのうち1枚、2枚又は3枚がベットされるようになっている。このとき、上述した貯留枚数表示器210に表示される枚数がベットスイッチ7a又はMAXベットスイッチ7の操作に応じて減算されて表示される。
スタートスイッチ8は、回胴装置610の各左リール611、中リール612、右リール613を一斉に回転させる指示をするためのレバースイッチであり、先端に設けられている球形の操作ノブ8aを上下左右のいずれかの方向に傾倒操作するとオン作動し、その操作ノブ8aから手が離されるとスプリングの付勢力によって自動的に元の位置に戻ってオフするように構成されている。
左リールストップスイッチ90、中リールストップスイッチ91、右リールストップスイッチ92は、回胴装置610の各左リール611、中リール612、右リール613の回転停止を個別に指示するための押圧式スイッチであり、各左リール611、中リール612、右リール613の配列に対応してそれぞれ並設されている。
また、前面扉3の操作パネル部3Cの背面には、操作パネル部3Cのベットスイッチ7a、MAXベットスイッチ7、スタートスイッチ8、左リールストップスイッチ90、中リールストップスイッチ91、右リールストップスイッチ92等の各種操作スイッチが電気的に接続された中央表示基板500が設けられており、これらのスイッチの出力信号が中央表示基板500からメイン制御基板300に転送されるようになっている。
また、中央表示基板500には、開閉自在なカバー(図示省略)によって覆われている設定スイッチ501が設けられている。この設定スイッチ501は、スロットマシン1の出玉率(メダルの払出率)を決定する際の設定値を変更する場合に操作されるものであって、設定スイッチ501の操作に応じて払出枚数表示器230に設定値が表示される。
前面扉3の下部パネル部3Dには、スロットマシン1のモデルタイプ等を遊技者へ認識させるため、たとえば登場キャラクタの絵等を表示するパネル10が設けられている。
下部パネル部3Dの下方には、入賞時等においてメダルを排出するメダル排出口12を有する受皿ユニット11と、スピーカ13a,14aを内蔵しゲームの進行に応じて演出効果音を発生させる演出効果音部13,14と、灰皿15等とがそれぞれ配設されている。
また、前面扉3の下部パネル部3Dの背面には、メダル投入部6より投入される投入物に対し正規のメダルか異物かを判別して振り分けるセレクタ503と、このセレクタ503で振り分けられたメダルを筐体2内に設けられているホッパ装置710へ案内するホッパガイド部材520と、セレクタ503で振り分けられた異物をメダル排出口12へ案内するガイド部材521と、ホッパ装置710のメダル排出スリット711から排出されたメダルを受皿ユニット11のメダル排出口12側にガイドする払出ガイド部材523とが設けられている。
なお、セレクタ503は、たとえばスロットマシン1での回胴装置610の各メインリール611,612,613の回転中やリプレイ入賞時等でのメダルの受付不可時(スロットマシン1がメダルの投入受け付けを禁止する状態)に、メダル投入部6から投入された後述のメダルをガイド部材521側に振り分けるようになっている。そして、ガイド部材521側に振り分けられたメダルはメダル排出口12側から排出される。また、セレクタ503は、遊技待機中等でのメダル受付時(スロットマシン1がメダルの投入受け付けを許可する状態)に、メダルの検出に併せてメダルの受け付けを行うようになっている。
図3は、スロットマシン1に設けられている制御システムを説明するためのブロック図である。制御システムは、主としてメイン制御基板300、サブ制御基板400、中央表示基板500、リール基板600、電源装置基板700を備え、それぞれが配線ケーブルによって接続されている。
メイン制御基板300には、メインCPU301、乱数発生器302、ROM303、RAM304、I/F(インタフェース)回路305等が設けられている。
メインCPU301は、ROM302に予め記憶されているシステムプログラムやスロットマシンゲーム用のプログラム等を読み込み、ゲームの進行に合わせた所定の演算処理を行って、サブ制御基板400、リール基板600、中央表示基板500、電源装置基板700等に対する分散制御を行うための所定のコマンドを出力する。
乱数発生器302は、役抽選のための乱数を発生させる、主としてカウンタからなり、電源が投入されている間、常時0〜65535の数値を発生させ、所定の契機(遊技者の操作)に基づいて1つの数値が乱数値として出力(ラッチ)される。
ROM303は、システムプログラムやスロットマシンゲーム用のプログラム等を記憶しているものであり、役の抽選処理に用いる役抽選テーブルや、回転リールの停止制御に用いる停止位置決定テーブル等を記憶している。
RAM304は、メインCPU301によって実行されるシステムプログラム、スロットマシンゲーム用のプログラムや、メインCPU301による演算結果等を一時的に記憶する。
I/F(インタフェース)回路305は、サブ制御基板400、中央表示基板500、リール基板600、電源装置基板700間でのコマンドの送受信を行う。
サブ制御基板400は、主として演出を制御するものであり、演出制御基板410と画像音響生成基板420とを有している。演出制御基板410は、主として演出時にサイドランプ5a,5bや演出用ランプ104〜108を点灯させる制御を行うものであり、I/F(インタフェース)回路411、サブCPU412、乱数発生器413、ROM414、RAM415を有している。
I/F(インタフェース)回路411は、メイン制御基板300のI/F(インタフェース)回路305からのコマンドの受信を行う。サブCPU412は、ROM414に予め記憶されている演出用のプログラム等を読み込み、メイン制御基板300からの演出開始を示すコマンド等に基づいて所定の演算を行い、その演算結果を画像制御IC421や音源IC424に与える。
乱数発生器413は、演出抽選のための乱数を発生させる、主としてカウンタからなり、電源が投入されている間、常時0〜65535の数値を発生させ、メイン制御基板300からのコマンドに基づいて1つの数値が乱数値として出力(ラッチ)される。ROM414は、演出用のプログラム等を記憶しているものであり、演出の抽選処理に用いる演出抽選テーブル等を記憶している。RAM415は、サブCPU412によって実行される演出用のプログラムや、サブCPU412による演算結果等を一時的に記憶する。
画像音響生成基板420は、主として演出時に表示や音を制御するものであり、画像制御IC421、画像ROM422、ビデオRAM423、音源IC424、音源ROM425、アンプ426を有している。
画像制御IC421は、画像ROM422から画像に関するプログラムやデータを読み込み、液晶表示部101に画像を表示させるための画像データを生成する。画像ROM422は、演出で用いる画像に関するプログラムやデータを記憶するものであり、主としてキャラクタ等の画像のデータを記憶している。ビデオRAM423は、演出を実行するためのプログラムやデータを一時的に記憶するものであり、主に画像データを合成して生成させるための作業エリアとされる。
音源IC424は、音源ROM425から音声に関するプログラムやデータを読み込み、スピーカ13a,14a,109a,110aを駆動させるための音声信号を生成する。音源ROM425は、演出を実行するためのプログラムやデータを記憶するものであり、主として音声に関するプログラムやデータを記憶している。アンプ426は、音源IC424からの音声信号を増幅してスピーカ13a,14a,109a,110aに出力する。
中央表示基板500には、設定スイッチ501、精算スイッチ502、セレクタ503、ベットスイッチ7a、MAXベットスイッチ7、スタートスイッチ8、左リールストップスイッチ90、中リールストップスイッチ91、右リールストップスイッチ92が接続されている。
設定スイッチ501は、上述したように、スロットマシン1の出玉率(メダルの払出率)を決定する際の設定値を変更する場合に操作されるものである。精算スイッチ502は、メダルの投入や、小役等の入賞により獲得したメダルをスロットマシン1内で貯留し、その貯留されたメダルをスロットマシン1外へ払い出させるためのスイッチである。
セレクタ503は、上述したようにメダル投入部6より投入される投入物に対し正規のメダルか異物かを判別して振り分けるとともに、遊技待機中等でのメダル受付時(スロットマシン1がメダルの投入受け付けを許可する状態)に、メダルの検出に併せてメダルの受け付けを行うものである。ベットスイッチ7aは上述したようにメダルを1枚ずつベットするものであり、MAXベットスイッチ7は上述したようにメダルを一度に3枚ベットするものである。スタートスイッチ8は、上述したように各左リール611、中リール612、右リール613を一斉に回転させる指示をするためのレバースイッチである。左リールストップスイッチ90、中リールストップスイッチ91、右リールストップスイッチ92は、上述したように各左リール611、中リール612、右リール613を停止させるためのものである。
リール基板600には、左リールモータ601、中リールモータ602、右リールモータ603、リールセンサ(左リール)604、リールセンサ(中リール)605、リールセンサ(右リール)606、外部集中端子板690、ドアスイッチ4aが接続されている。
左リールモータ601、中リールモータ602、右リールモータ603は、各左リール611、中リール612、右リール613の加速、減速、停止を行うステッピングモータである。リールセンサ(左リール)604、リールセンサ(中リール)605、リールセンサ(右リール)606は、各左リール611、中リール612、右リール613の回転角度位置を検出するものである。
外部集中端子板690は、メダル払出、メダル投入等の遊技情報に関する信号と、ドア開放、設定変更、投入エラー、払出エラー等のセキュリティに関する信号とを受信し、ホールコンピュータに出力するものである。ドアスイッチ4aは、ドア開閉スイッチ信号を送信するものである。
電源装置基板700には、ホッパ装置710、リセットスイッチ751、電源スイッチ752、設定変更有効化スイッチ753が接続されている。ホッパ装置710は、上述したようにゲームの入賞に応じてメダルの払い出しを行うものである。リセットスイッチ751は、エラー信号等の出力を停止させ、エラー状態から復旧させるためのリセットスイッチ信号を出力する。電源スイッチ752は、スロットマシン1全体に電源を供給する際に操作するものである。設定変更有効化スイッチ753は、上述した設定スイッチ501の操作を有効化するための設定変更有効化信号を送信する。
以上、スロットマシン1の内部構成例を説明した。かかる構成を有するスロットマシン1によるゲームは、遊技者がメダルの掛け数を決定した状態でスタートスイッチ8を操作すると左リール611、中リール612、右リール613が回転し、この後、遊技者が 左リールストップスイッチ90、中リールストップスイッチ91、右リールストップスイッチ92を操作すると、対応する各リール611,612,613が停止制御され、そして、全てのリール611,612,613が停止すると、有効ライン上での図柄の組み合わせ態様からゲーム結果を判断し、必要に応じて該当する当選役に対応する規定数のメダルが付与される。
以下では、上記のスロットマシン1によって行なわれるゲームの遊技性を、より特徴的に具現化するための構造および制御について、より詳細に説明する。
(リールの図柄)
各リール611,612,613には、複数種類(例えば、9種類)の図柄が一定間隔に配置されることで構成された図柄列(例えば、21個の図柄が配置された図柄列)が表記された各リール帯(図柄帯)651,652,653が付されている(図6参照)。
そして、各リール611,612,613は、各々の図柄列中に配置された図柄のうち、連続する所定数(例えば、3つ)の図柄が表示窓201を介して視認可能となるように配置されている(図4参照)。
複数種類の図柄には、「赤7」図柄(以下では赤7図柄という)、「青7」図柄(以下では青7図柄という)、および、「白7」図柄(以下では白7図柄という)が含まれている。これらの図柄は数字の「7」を模った図柄となっており、それぞれ、赤7図柄は図柄全体が赤で塗りつぶされており、青7図柄は図柄全体が青で塗りつぶされており、白7図柄は図柄全体が白で塗りつぶされている。
また、上記図柄には、「黒BAR」図柄(以下では黒BAR図柄という)、「白BAR」図柄(以下では白BAR図柄という)も含まれている。これらの図柄は「BAR」という文字を模った図柄であるとともに、それぞれ、黒BAR図柄は図柄全体が黒で塗りつぶされており、白BAR図柄は図柄全体が白で塗りつぶされている。
上記各7図柄およびBAR図柄は、他の図柄に比べて大きい図柄となっており、また、赤、青、白および黒などの比較的目立ちやすい色が施されていることから、他の図柄に比べて視認しやすくなっている。
なお、詳細な図示はしないが、複数種類の図柄には、上記各7図柄およびBAR図柄の他、ベル(鐘)を模った図柄である「ベル図柄」、スイカ(西瓜)を模った図柄である「スイカ図柄」、チェリー(さくらんぼ)を模った図柄である「チェリー図柄」、および、「RP」という文字を模った図柄である「リプレイ図柄」がある。例えば、これらの図柄は、図6において各7図柄およびBAR図柄が表記されている以外の箇所(図中の図柄が未表記となっている部分)に表記される。以上のように本実施形態では、各リール帯651,652,653に表記される図柄の種類は合計9種類となっている。
(有効ライン)
図4は、表示窓201を中心として、パネル202を部分的に拡大したところを示している。表示窓201からは、各リール611,612,613の図柄列中の図柄のうち、連続する3つの図柄が視認可能となっている。ここで連続する3つの図柄が表示されている位置を上から「上段(または上段位置)」、「中段(または中段位置)」、「下段(または下段位置)」という。例えば、図4において、赤7図柄は上段に表示されており、青7図柄は中段に、そして白7図柄は下段に表示されているということになる。
上記のことから、表示窓201内では、「段数×リールの数」個の図柄を表示させることが可能である。本実施形態のスロットマシン1では「段数(3)×リールの数(3)」より、表示窓201内には最大で9個の図柄を表示させることができる。
パネル202には、図示しないBETランプが備えられており、このBETランプとは、投入されたメダルのベット数に応じて、例えば、「BET1」,「BET2」,「BET3」というランプを点灯させるものである。なお、「BET1」は1ベット(掛けたメダルの枚数は1枚)、「BET2」は2ベット(掛けたメダルの枚数は2枚)、「BET3」は3ベット(MAXベット、掛けたメダルの枚数は3枚)のようにそれぞれベット数に対応している。
そして、ベット数に応じて有効となる並び(直線型)が、有効ラインとして予め決められている。後述する所定の当選役に対応する図柄の組み合わせは、一つの有効ライン上に並んで表示されてはじめて当該当選役に対応する図柄の組み合わせ態様として表示されたと判断されるものである。すなわち、所定の当選役に対応する図柄を構成する各図柄が表示窓201内に個々に表示されたとしても、それぞれの図柄が一つの有効ライン上に並んでいなければ、所定の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が表示されたとは判断されないことになる。なお、このような場合は、バラバラな図柄の組み合わせ態様が表示されたと判断される。
次に、ベット数に対応する有効ライン、および、有効ラインの数について説明する。1ベットに対応する有効ラインは、各リールの中段位置を繋いだ「中段−中段−中段」となる並びの1つの有効ライン671(中段ライン671)のみである。これを「1BETライン」という。
2ベットでは、前述の1BETラインのほかに、各リールの上段位置を繋いだ「上段−上段−上段」となる並びの有効ライン672a(上段ライン672a)、および、各リールの下段位置を繋いだ「下段−下段−下段」となる並びの有効ライン672b(下段ライン672b)、の2つの有効ラインが新たに加えられる。この上段ラインと下段ラインの2つの有効ラインのことをまとめて「2BETライン」という。したがって、2ベットの場合は合計で3つ有効ラインがあることになる。
3ベットでは、前述の1BETライン、2BETラインのほかに、左リールの上段位置及び中リールの中段位置及び右リールの下段位置を繋いだ「上段−中段−下段」となる右下がりの並びの有効ライン673b(右下がりライン673b)、および、左リールの下段位置及び中リールの中段位置及び右リールの上段位置を繋いだ「下段−中段−上段」となる右上がりの並びの有効ライン673a(右上がりライン673a)、の2つの有効ラインが新たに加えられる。この右上がりラインと右下がりラインの2つの有効ラインのことをまとめて「3BETライン」という。したがって、3ベットの場合は合計で5つ有効ラインがあることになる。
本実施形態では、掛け数は3ベット(MAXベット)のみとする。したがって、スロットマシン1においては1BETライン、2BETライン、および、3BETラインのいずれも有効なラインとなる。
なお、有効ラインは上記のような直線型の並びに限られることはない。また、1回の遊技におけるベット数は、1ベット以上であれば遊技が開始可能とする形態であっても、MAXベットのみで遊技が開始可能となる形態であってもよい。さらには、ベット数が増えるごとに対応する有効ラインを増やす態様であってもよいし、ベット数に拘らず有効ラインが固定される(例えば、1ベットでもMAXベットでも常に上記1BETライン、2BETラインおよび3BETラインの全てが有効なラインとなる)態様であってもよい。
また、パネル202には、スロットマシン1の遊技中に何かトラブル、故障等が生じた場合に点灯(あるいは点滅)を開始し、現在トラブル等が生じていることを遊技者等(ホールの係員なども含む)に知らせるエラーランプ、ベット数が遊技開始可能ベット数に達すると点灯(あるいは点滅)を開始し、遊技者にスタートスイッチ8の操作を促すスタートランプ、遊技結果がリプレイ(後述する)となった場合に、再遊技ができることを遊技者に知らせるリプレイランプ(いずれも図示しない)等が備えられている。
(当選役と図柄の組み合わせ)
ここで、スロットマシン1の当選役(入賞役と呼ばれるものを含む)と、それに対応する図柄の組み合わせについて、図5および図6を用いて具体的に説明をする。図5は、スロットマシン1の各当選役と対応する図柄の組み合わせ及びその特典(払い出し枚数等、以下では遊技特典という)を示したものである。なお、この図5は、遊技者に向けた配当表(各当選役の遊技特典の簡単な説明を表記したもの)としてパネル202等に表記するものとしてもよい。
前述したとおり、各リール611,612,613には、それぞれリール帯651,652,653が付されている。リール帯ごとに図柄の順番や図柄の種類等はそれぞれ異なった順番になっており、例えば、複数の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が重複して表示窓201内に表示されることの無いものとなっている。なお、表示窓201内に複数の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が重複して表示されなければ、いくつかのリール帯の図柄の順番や図柄の種類が同じであってもよい。
そして、左リール611、中リール612、右リール613の全て(以下「全てのリール」という)を停止させた際に、表示窓201内に表示される表示内容(図柄の組み合わせ態様)から所定の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が表示されたか否かが判断される。具体的には、表示窓201内で前述の有効ラインのいずれか1つのラインに所定の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が表示されているか否かが判断される。
本実施形態では、所定の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様がいずれか一つの有効ライン上に表示されることを、(所定の)当選役に対応する図柄(これを当選役図柄という)の組み合わせが揃う、あるいは、当選役図柄が揃うという。
スロットマシン1の図柄には、「赤7図柄」、「青7図柄」、「白7図柄」、「黒BAR図柄」、「白BAR図柄」、「ベル図柄」、「スイカ図柄」、「チェリー図柄」および「RP図柄」があることは既に述べたとおりであるが、このうち、「赤7図柄」、「青7図柄」および「白7図柄」は、他の図柄に比べて目立ち易く、識別しやすい図柄となっている。また、同様に「黒BAR図柄」および「白BAR図柄」も他の図柄に比べて目立ち易く、識別しやすい図柄となっている。ここでいう識別のし易さとは、リールの回転中や、リールの停止した状態を含めて遊技者が容易に図柄を識別することができる度合いの高さのことをいう。
図6は、左リール611、中リール612、右リール613に付されたそれぞれのリール帯651,652,653に、上記識別しやすい図柄(「赤7図柄」、「青7図柄」、「白7図柄」、「黒BAR図柄」および「白BAR図柄」)が表記された図柄列を平面的に展開した状態を示す説明図である。これらの識別しやすい図柄のうち、「赤7図柄」、「青7図柄」および「白7図柄」については、各リール611,612,613に1つしか配置されておらず、加えて色彩も赤、青および白と他の図柄に比べて視認しやすい。これらの図柄はリールの回転中もその色彩や図柄の大きさから、遊技者が目標の図柄にすることが容易である。また、「黒BAR図柄」、「白BAR図柄」については右リール613にそれぞれ1つずつしか配置されていない。
これらの図柄はそれだけでは象徴的な図柄に過ぎないものであるが、所定の組み合わせとなることにより当選役に対応する図柄の組み合わせとなるものである。すなわち、図柄1つだけでは当選役に対応しない。ただし、後述するとおり、当選役がチェリーの場合は図柄一つだけで当選役に対応する。以下、図5に示された当選役、および、該当選役に対応する所定の図柄の組み合わせ態様について説明する。
(ビッグボーナス)
図5において、BBと示されている当選役が、ビッグボーナス(以下ではBBと呼称する)である。このBBには、対応する図柄(BB図柄)の組み合わせ態様として以下の5種類が予め決められている。すなわち、
「赤7図柄−赤7図柄−赤7図柄」
「青7図柄−青7図柄−青7図柄」
「白7図柄−白7図柄−白7図柄」
「赤7図柄−赤7図柄−黒BAR図柄」
「赤7図柄−赤7図柄−白BAR図柄」
が予め決められている。これらの組み合わせのいずれかが1つの有効ライン上に揃うと、BB図柄が揃ったことになる。
BB図柄が揃うと、ビッグボーナスゲーム(以下、BBゲームという)という遊技特典が付与される。このBBゲームは、メダルの獲得が容易な複数回にわたるゲームが集中して行われ、規定枚数のメダル(例えば、300枚)を賞として払い出すまで継続して実行される。払い出されたメダルが規定枚数分に到達すると(あるいは規定枚数を超えた場合としてもよい)、BBゲームは終了となる。なお、BBゲームは、本実施形態における特別遊技状態に該当する。
また、スロットマシン1においては、BB図柄が揃った際(BB図柄が揃った当該ゲーム)には、メダルは付与されない。つまり、BB図柄が揃うことはBBゲームへ移行する契機としての役割を果たすことになる。また、BB図柄は各リール611,612,613にそれぞれ1つずつしか配置されていないため(図6参照)、BB図柄を表示窓201内に正確に狙って停止操作を行わないと、BB図柄を揃えることができない。このように目的の図柄(この例ではBB図柄)を狙って停止操作を行うこと、すなわち「目押し」は、スロットマシン1に代表される回胴式遊技機における技量(または技術、遊技者が意図して行う必要がある操作)の一つである。
よって、遊技者の「目押し」の技量が高ければ、目的の図柄を狙った位置(例えば、表示窓201内)に表示させる(停止させる)ことが容易なものとなる。
一方、遊技者の「目押し」の技量が低ければ、目的の図柄を狙った位置に表示させる(停止させる)ことが容易なものとはならない(困難であるといえる)。
なお、「目押し」の技量の高い遊技者とは、主に遊技に熟練した遊技者や遊技の熟練度が高い遊技者のことをいい、「目押し」の技量の低い遊技者とは、主に遊技に未熟な遊技者や遊技の熟練度が低い遊技者のことをいう。
また、BBはBB(1)〜BB(10)にさらに分けられており、これらはそれぞれ別々のBBとして区別されている。すなわち、BB(1)〜BB(10)にはそれぞれ別々の当たり値が対応づけられている(後述する図10参照)。なお、本明細書において、BBと呼称する場合には、BB(1)〜BB(10)の全てを含むものとし、それ以外の場合には「BB(該当する番号)」というようにBBの種類のうちのいずれかを指すものとして呼称する。
そして、図5で示すように、図柄の組み合わせ態様が同じであってもBBの種類が異なっている場合があることとなる。例えば、「赤7図柄−赤7図柄−赤7図柄」が一つの有効ライン上に揃った場合、BB(1)、BB(2)、BB(3)またはBB(4)のいずれかということになり、揃った図柄の組み合わせからBBの種類が一つに特定されることがない。言い換えれば、揃った図柄の組み合わせから、その後に開始されるBBゲームの内容、および、BBゲーム終了後に付与される遊技特典などが特定しにくくなる。
さらに、BBゲームが終了すると、RTゲーム(後述の図9(c)に示される当たり値判定テーブルに基づいて行われるゲーム)という遊技特典が付与されることがある(詳細は後述する)。このRTゲームでは、所定のゲーム回数にわたり遊技者に有利な状態が継続するものである(例えば、所定の当選役に一定期間当選しやすくなるなど)。すなわち、BB図柄が揃うと、BBゲームでメダルを獲得できることに加えて、遊技者に有利な状態になるという付加的な特典(例えば、さらにメダルを多く獲得できる等)が付与される可能性があるということになる。
スロットマシン1では、BB(1)〜BB(10)それぞれのBBゲームにおいて獲得可能なメダル総数はほぼ同数となる。したがって、BB(1)〜BB(10)のいずれに当選しても同じ内容のBBゲームが行われる。ただし、それぞれのBBゲームの終了後に付与されるRTゲームの回数(0〜1000回)が異なる。これにより、BB図柄が揃った時点で遊技者がその後の展開、すなわち、RTゲームの回数がどれだけであるのかに期待を持ち続けながらBBゲームを楽しむことができる。
(リプレイ)
図5において、リプレイと示されている当選役には、対応する図柄(リプレイ図柄)の組み合わせ態様として「RP図柄−RP図柄−RP図柄」が予め決められている。
リプレイ図柄が揃うと、リプレイゲームという遊技特典が付与される。このリプレイゲームにおいては、改めてメダルを投入もしくはベット操作をすることなく(例えば、自動的にベットされる等)、次回のゲームとして行うゲームを再遊技として実行できる。その場合の有効ライン数は、リプレイ図柄が揃った当該ゲームにおける有効ライン数と同じとなる。
このように、リプレイ図柄が揃った際にもメダルは付与されず、リプレイゲームへ移行する契機としての役割を持たせている。このリプレイゲームの遊技特典の特徴は、メダルの払出しを行わない代わりに次回のゲームで新たにメダルを消費する(ベット操作する)必要がないことである。またリプレイはメダルの払い出しを伴わない当選役であるため、例えばその当選確率を高くすることにより、当選頻度が高くなったとしてもホールにとって不利益となることは非常に少ないといえる。したがって、スロットマシン1では、概ね7回に1回程度は当選する確率としている(詳細は後述する)。これにより、遊技者が消費するメダルの量(一定時間当たりにつき消費するメダル数)をある程度一定の範囲に保つことが可能となる。つまり、リプレイという当選役を設けることで、ゲーム進行における過剰なメダルの消費を抑える役割を持たせることができる。
なお、図6等において特に図示はしないが、本実施形態においてリプレイ図柄は、各リール611,612,613にそれぞれ満遍なく配置する。例えば、リプレイ図柄からリプレイ図柄までの間に配置する他の図柄(リプレイ図柄とは異なる種類の図柄のこと)を1個から最大でも4個までにする。このようにすると、後述するリール停止制御により、リプレイ図柄は目押しの必要なく揃えることができるものとなる。なお、この図柄の配置と目押しの必要性との関係等については後述のリール停止処理にて説明する。
(ベル、スイカ)
図5において、ベルと示されている当選役には、対応する図柄(ベル図柄)の組み合わせ態様として「ベル図柄−ベル図柄−ベル図柄」が予め決められている。
ベル図柄が揃うと、規定枚数(例えば、12枚)のメダルの払い出しが行われる。このときのメダルの払い出しは当該ゲームが終了したときに行われる。つまり、ベル図柄が揃うと12枚のメダルの払出しという遊技特典が付与される。
また、図5においてスイカと示されている当選役には、対応する図柄(スイカ図柄)の組み合わせ態様として「スイカ図柄−スイカ図柄−スイカ図柄」が予め決められている。
スイカ図柄が揃うと、ベル図柄が揃った場合よりも少ない規定枚数(例えば、6枚)のメダルの払い出しが行われる。このときのメダルの払い出しは当該ゲームにて行われる。つまり、スイカ図柄が揃うと6枚のメダルの払出しという遊技特典が付与される。
このように、ベル、および、スイカはゲームを進めるうえでメダルの増加を期待できたり、メダルの消費を抑えることが期待できたりする当選役であるといえる。ただし、ベル、および、スイカに当選する頻度が高くなると、遊技者はゲームを進めていくだけでメダルを増加させることが可能となってしまい(BBに当選しなくともメダルが増加してしまう虞がある)、スロットマシン1のゲーム性が損なわれてしまう。また、遊技者が過度のメダルを獲得することが容易となり、ホールとの利益バランスが崩れるという事態を招いてしまうことも危惧される。これらのことから、ベル、および、スイカという当選役には、ゲーム進行の中で遊技者がメダルを大量消費してしまうことを抑える程度の役割を持たせるに留め、リプレイに比べて当選確率を低く抑えている。したがって、ベル図柄、および、スイカ図柄についても、前述のリプレイ図柄と同様、各リール611,612,613に満遍なく配置して目押しの必要なく揃えられるものとしても問題ない(図6等において特に図示はしない)。
(チェリー)
図5において、チェリーと示されている当選役には、対応する図柄(チェリー図柄)が予め決められている。また、チェリー図柄については、「チェリー図柄−ANY−ANY」というように、有効ライン上にチェリー図柄が1つあらわれるだけで(この例では、左リール611の上・中・下段のいずれかに停止するのみで)、チェリー図柄が揃ったとみなされる。ここでいう「ANY」とはいずれの図柄でもよいことを示す。そして、チェリー図柄が揃うと、当該ゲームにて規定枚数(例えば、1枚)のメダルの払い出しが行われる。
したがって、チェリー図柄は、全てのリールが停止した状態における図柄の組み合わせ態様により揃ったと判定されるのではなく、少なくとも1つのリールについてのみ、当該リールが停止した状態において有効ライン上に表示された図柄により揃ったと判定されるものであるといえる。ただし、メダルの払い出しは全てのリール停止後に行われる。なお、本実施形態では上記でいう「少なくとも1つのリール」を左リール611としている。
ここで、本実施形態では、先述した有効ライン(図4参照)から明らかなように、左リール611におけるチェリー図柄が、表示窓201の上段、および、下段に表示された場合、2つの有効ライン(この場合、有効ライン672aおよび673bに重複するか、あるいは有効ライン672bおよび673a)に重複してチェリー図柄が揃っていると判定される。したがって、このときの払い出し枚数は、
〔 1枚×2=2枚 〕
となる。また、左リール611におけるチェリー図柄が、表示窓201の中段に表示された場合には、1つの有効ライン(この場合、有効ライン671)のみにチェリー図柄が揃っていると判定されるため、払い出し枚数は1枚となる。
また、チェリーについても、前述のベルおよびスイカと同様に、ゲームの進行の中で遊技者がメダルを大量消費してしまうことを抑える程度の役割を持たせるに留め、リプレイに比べて当選確率を低く抑えている。
なお、チェリー図柄については、前述のリプレイ図柄等とは異なり、各リール611,612,613(特に左リール611)に偏った配置とすることにより、目押しをしなければ確実に揃えることができない図柄とすることも可能である。例えば、左リール611にチェリー図柄を1つだけ配置するようにして、目押しをしなければ揃えることが困難とすることなどである(図6等において特に図示はしない)。
また、前述したベル、スイカおよびチェリーはいずれもメダルの払い出しという遊技特典に対応した当選役であることから、以下では、必要に応じてこれらをまとめて「小役」と呼ぶ。すなわち、小役図柄が揃った場合には、規定枚数のメダルの払出しが行なわれてもその後の遊技状態を変化させることがなく、抽選処理から特典付与までが全て一回のゲームで完結する。
なお、本実施形態のスロットマシン1では、ベル、スイカおよびチェリーを小役として説明したが、これらの他にさらに小役を設けてもよい。例えば、ベル図柄、スイカ図柄およびチェリー図柄とは異なる種類の図柄を設けて、これに対応するメダルの払い出し枚数(規定枚数)を異ならせて上記の小役と区別することなどである。また、各リール帯651,652,653に配置される図柄の数は21個に限らない。
なお、本明細書において、「当選」は抽選に当選したことを意味し、当該抽選に当選したことを条件に、当該当選役図柄が有効ライン上に揃うこととなる。ただし、上述の「目押し」に失敗すると、たとえ抽選に当選したとしても当該当選役図柄が有効ライン上に揃わない場合がある。
(ハズレ)
図5に示された当選役のいずれにも該当しない場合は、ハズレとなる。そして、ハズレとなった当該ゲームでは、メダルの付与は行われず、また次回以降のゲームに変化を及ぼすこともない。なお、ハズレは遊技者に当該ゲーム及び次回以降のゲームにおいて何の遊技特典も付与しない当選役であるともいえる。
以上がスロットマシン1におけるそれぞれの当選役と、それぞれの当選役に対応する図柄の組み合わせ態様である。そして、本実施形態では、ボーナス図柄(BB図柄)の組み合わせが複数種類あり、それぞれ目押しをしなければ揃えることができないものとなっている。したがって、遊技者はいずれのボーナス図柄が揃うのかを試行錯誤しながら遊技を行うことが可能となる。
なお、上記の図柄および図柄の組み合わせ態様に限定されるものではない。例えば、上記の図柄に加えて複数種類の図柄を新たに設けることもできる。そして、当選役の種類をさらに増やすことや、あるいは減らすこともできる。さらに、上記で述べた当選役は全てを必ず設けることに限定されるものではなく、適宜必要な種類の当選役を選ぶこととしてもよい。
(ゲーム処理)
次に、スロットマシン1におけるゲーム処理の流れについて説明する。以下のゲーム処理は、メイン制御基板300にて実行される制御プログラム上の処理手順に沿って進行する。
図7は、スロットマシン1における基本的な1ゲームの処理手順を一通り示している。先ずステップS1では、ゲームスタートに備えるための初期設定を実行する。特に電源の立ち上げ時等においては、前述した各種装置の接続及び作動状況を確認するとともに、バックアップデータの有無を確認し、バックアップデータが存在する場合には、電源断前の状態に復帰させる処理を実行する。
次のステップS2では、メダル投入部6から投入されたメダルの枚数により、あるいはすでに貯留されているメダルがある場合にはMAXベットスイッチ7(あるいはベットスイッチ7a)の押下操作により掛け数が決定され、スタートスイッチ8の操作待ちの状態となる。すなわち、1回のゲームの掛け数が決定され、スタートスイッチ8の操作が可能な状態となるまでがBET処理にて実行される。
ステップS3では、ステップS2において操作待ちの状態となったスタートスイッチ8の操作によりゲームをスタートさせるとともに、いずれかの当選役を内部抽選の結果とするか否かを決定するための内部抽選処理を実行する。この内部抽選処理とは、次のステップS4において回転を開始する全てのリール611,612,613が停止状態(遊技者の停止操作により停止状態となること)となる前の段階において、いずれかの当選役を当該ゲームの抽選結果とするかを決定するために実行されるものである。すなわち、この抽選の抽選結果がいずれかの当選役に該当する場合に限り、該当する当選役が許容されるのである。
次にステップS4では、ステップS3の内部抽選処理の終了に伴い全てのリール611,612,613の回転を開始させるリール回転処理を実行する。このリール回転処理においては、全てのリール611,612,613の回転が開始された時点で左リールストップスイッチ90、中リールストップスイッチ91、右リールストップスイッチ92の押下操作を有効とし、各リールストップスイッチ90,91,92が有効になったことを知らせる操作有効ランプ(図示しない)を点灯させるとともに、次回のリール回転処理が実行されるまでのタイマカウントを開始する。なお、操作有効ランプは各リールストップスイッチ90,91,92にそれぞれ内蔵されるランプである。
ステップS5では、遊技者による左リールストップスイッチ90、中リールストップスイッチ91、右リールストップスイッチ92の押下操作が受け付けられて、その受け付け順に操作有効ランプを消灯させるとともに、対応するリール611,612,613の回転を停止させるリール停止処理を実行する。
次のステップS6では、ステップS5において全てのリールの回転が停止状態になったと判定した時点で、有効ライン上に表示された表示内容(図柄の組み合わせ態様)と、上記のステップS3において決定された内部抽選の結果として許容されているものを照合して当選役の判定を行う判定処理を実行する。
ステップS7では、ステップS6において判定された当選役に対応する遊技特典の内容に基づくメダルの払出処理を実行する。また当選役がBB、リプレイの場合には、それぞれ遊技状態の変更や再遊技等の各種遊技特典に付与を実行する。すなわち、この払出処理には遊技状態の変更や再遊技等の各種遊技特典を付与する処理(以下「遊技特典付与処理」という)も含まれている。
以上が、スロットマシン1の基本的な1ゲームの処理手順である。ここで、ステップS2(BET処理)、ステップS3(内部抽選処理)、ステップS4(リール回転処理)は、一連の操作として遊技者により行われるものである。したがって、これらの処理(ステップS2、ステップS3、ステップS4)をまとめて始動処理と呼ぶ。以下ではこの始動処理の具体的な説明をする。
(始動処理)
図8は、始動処理で行われる各処理を具体的に示したものである。
始動処理では、まずステップS101にてメダルの投入またはベットスイッチ7a、MAXベットスイッチ7の操作が待ち受けられる。ベット操作またはメダル投入があると、ステップS101の判定が満たされ、ステップS102に移る。なお、この判定はMAXベットに相当するメダルの投入(つまり、3枚以上のメダルの投入)やMAXベットとなる1枚ベットボタン205、MAXベットボタン206の操作が有った場合にのみ満たされるものとしている。
次のステップS102では、受付処理として、ベット数(この例ではMAXベットのみ)を決定するとともに、ベット数に応じたBETランプを点灯させる。
ステップS103では、スタートスイッチ8の操作入力有効化処理を実行する。ここでは、スタートスイッチ8の操作入力が有効化され、このスタートスイッチ8の操作入力が受け付けられるまで操作入力待ちの状態となり、次のステップS104に移る。
次のステップS104では、スタートスイッチ8の操作入力が有効化されているか、またその場合はスタートスイッチ8の操作入力が受け付けられたかを判定する。先のステップS103にてスタートスイッチ8の操作入力が有効化されている場合、遊技者によるスタートスイッチ8の操作入力が受け付けられると、この判定が満たされ、次のステップS105へ移る。
上記のステップS101にて遊技者がベット操作またはメダル投入をしない、あるいはMAXベットに至らないうちはステップS101の判定が満たされず、ステップS104に移る。このときはステップS104の判定も満たされず、ステップS101に戻り、以降の処理を繰り返す。
また、リプレイゲームでは、新たにメダルのベットを必要としない。これは、リプレイゲーム処理においてMAXベットコマンドがメイン制御基板300に格納されている場合、自動的にMAXベット状態にされるからである(詳細は後述する)。これにより、ステップS101の判定が満たされることになる。
ステップS105では、ステップS104でのスタートスイッチ8の操作入力を受けて、スタートスイッチ8の操作入力無効化処理を実行する。すなわち、ステップ104においてスタートスイッチ8の操作入力を受け付けると、それ以降のスタートスイッチ8の操作入力は受け付けられなくなる。
次にステップS106では、スタートスイッチ8の操作入力があると、これを契機として乱数の抽出を行う。乱数の抽出を行った後、次のステップS107に移る。なお、このときの乱数を抽出するタイミングについては、スタートスイッチ8の操作入力後直ぐに行ったり、所定時間(例えば0.5秒後など)後に行ったりするなど、プログラミングの過程で適切な抽出タイミングを設定することができる。なお、ステップS106において抽出された乱数値のみが後述するフラグ処理(ステップS107)に反映されるものであれば、ステップS107以降においてスタートスイッチ8の操作入力が受け付けられるたびに乱数の抽出を行うものであってよい(ただし、ステップS107以降で抽出された乱数はフラグ処理に反映されない、つまり破棄等の処理がなされるものとする)。
ステップS107では、フラグ処理として、抽出された乱数値(以下では、抽出乱数値という)からいずれの当選役に該当するかを判定(乱数値の照合)する。この判定では、後述する当たり値判定テーブルにて抽出乱数値を照合する。ここで行われる乱数値の照合とは、予め決められた当選役の乱数値に、抽出乱数値が該当(または合致、一致)するか否かを判定することである。このとき抽出乱数値がいずれかの当選役に該当すると判定された場合、該当する当選役に応じたフラグをON(=1)にする。そして、このときON(=1)となった当該当選役に対応するフラグのことを当該当選役当選フラグという。
そして、フラグ処理では、当該ゲームにて抽出乱数値の照合を行う際に、判定の基準となる当たり値判定テーブルを決定する場合、後述するBBゲーム中フラグなどのゲーム状態フラグを参照して当該ゲームにおける当たり値判定テーブルを決定する。すなわち、当該ゲームにてON(=1)状態となっているゲーム状態フラグに対応する当たり値判定テーブルをセットして抽出乱数値の照合を行う。ゲーム状態フラグには、BBゲーム中フラグのほか、RTゲーム中フラグ(後述の図9(c)に示される当たり値判定テーブルに基づいて行われるゲーム中フラグ)がある。そして、これらのゲーム状態フラグのいずれもOFF(=0)状態となっている場合には、常に通常ゲーム中フラグがON(=1)状態とされる。
一方、ステップS107にて、抽出乱数値がいずれの当選役にも該当しないと判定された場合、いずれの当選役にも該当しない「ハズレ」となり、ハズレフラグをONにする。ここで、当選フラグまたはハズレフラグ(これらを総称して成立フラグという)とは、該当する成立フラグがONになっているときに限り、その成立フラグに該当した当選役図柄を揃えることが可能となるものである。したがって、ハズレフラグが成立フラグに該当する場合は、いずれの当選役図柄も揃えることができないことになる。上記のステップS106及びステップS107はスロットマシン1の内部において乱数抽選が行われていることから、以下ではこれらのステップのことを、まとめて内部抽選、あるいは内部抽選を行う等という。なお、この乱数の抽出からフラグ処理までは内部抽選処理(前述の図7のステップS3)に相当する。
次のステップS108では、前回の始動処理(具体的には当該ゲームの1回前のゲーム)にてスタートさせたウェイトタイマがタイムアップ(例えば4.1秒経過)したか否かを判定する。なお、このウェイトタイマと呼ばれるタイマは、当該ゲームにおいてリールの回転が開始されたときから次回のゲームでリールの回転が開始されるまでの所定時間(例えば、4.1秒)の経過を計測するものである。ここで、ウェイトタイマがタイムアップ(既に4.1秒経過した)となった場合にはこの判定が満たされ、次のステップS109に移る。また、この判定はウェイトタイマがタイムアップするまでループする。
ステップS109では、全てのリールの回転を開始させる。そして全てのリールの回転の速さが一定となると、それぞれのリールストップスイッチ90,91,92の操作有効ランプを点灯させる。この点灯により、遊技者は各リールストップスイッチ90,91,92の押下操作が有効になったことを知ることとなる。
なお、スロットマシン1では、回転を開始したリールは遊技者による停止操作(リールストップスイッチ90,91,92の押下操作)が受け付けられるまで上記の一定の速さで回転を維持し続けるものである。
次にステップS110では、ウェイトタイマをリセットするとともに、次回の始動処理までウェイトタイマをスタートさせ始動処理は終了となる。
(内部抽選確率)
上記のとおり、スロットマシン1では、内部抽選の結果(抽出乱数値の照合の結果)が当該ゲームで該当する当選役(以下では、該当当選役をいう)として許容される。これが、所定の当選役に当選となる、ということである。ここで該当当選役が許容された当該ゲームの結果は、前述した「成立フラグ」として、内部抽選の結果を示す情報コマンドとして以降の処理(リール停止処理、判定処理、払出処理等)に反映されることになる。
スロットマシン1では、乱数抽出を行う際の乱数値の範囲(これを抽出範囲という)を予め決めておくものである。この抽出範囲は、例えば、0から16383までの整数値(つまり、214=16384個の乱数)と決めることができる。なお、スロットマシン1では、抽出範囲の乱数値を0から16383まで(214=16384個の乱数値)としているが、0から32767まで(215=32768個の乱数値)や、0から65535まで(216=65536個の乱数値)をとるものとしてもよい。乱数の抽出範囲を拡大すると、その分だけ抽出可能な乱数値の範囲(いわゆる分母)が大きくなるので特定の乱数値が偏って抽出されるといった事象が起こりにくくなる。
上記の抽出範囲内においては、さらにそれぞれの当選役に対応する乱数値が予め割り当てられている。例えば、抽出範囲(0から16383)内の乱数値のうち、BBに対応する乱数値を「1」とすれば、抽出乱数値が「1」となった場合に、内部抽選の結果は「BBに当選した」ということになり、BBの内部抽選フラグ(成立フラグ、この場合は前述の当選フラグともいう)が当該ゲームでの情報コマンドとして処理されることになる。また、これを利用すると、抽出範囲及びBBに対応する乱数値から、BBの当選確率(BBが内部抽選の結果として選び出される確率、抽選確率)を算出することができる。上記の例(BB)でいえば、
〔 BBに対応する乱数値の総個数/抽出範囲内の乱数値の総個数 〕
が、1/16384となり、BBの当選確率は1/16384であるということになる。
このように全ての当選役にはそれぞれ対応する乱数値が決められており(設定されており)、これらの乱数値は、それぞれの当選役に対応する当たり値と呼ばれる。したがって、上記の例(BB)では、抽出範囲内の乱数値「1」がBBに対応する当たり値ということになる。また、当たり値が複数存在する場合、例えば、BBの当たり値を抽出範囲内の連続する乱数値「1」、「2」、「3」、「4」とすれば、BBの当たり値の範囲は乱数値「1」から「4」までとなる。そして、抽出乱数値が乱数値「1」から「4」までのいずれかに該当すると判定される(照合される)と、内部抽選の結果として「BBに当選した」ということになる。
このことから全ての当選役はその当たり値の範囲が決められ、内部抽選で抽出乱数値がいずれかの当選役の当たり値の範囲に該当するか否かが判定されることになる。このとき、抽出乱数値がいずれの当選役の当たり値の範囲にも該当しない場合は、ハズレ、となる。すなわち、ハズレの当たり値の範囲は、全ての当選役の当たり値の範囲以外ということになる。なお、当たり値は当選許容値とも呼ばれることもある。
図9および図10は、スロットマシン1の全ての当選役についての当たり値と内部抽選確率を具体的に示している。なお、これらはそれぞれ、当たり値判定テーブルとして予めメイン制御基板300に記憶されているものである。この当たり値判定テーブルは、通常状態、BBゲーム中およびRT状態について、それぞれ、内部抽選確率が異なる複数の当たり値判定テーブルが記憶されている。また当たり値判定テーブルは、いわゆる設定値(例えば設定1〜6の6段階)ごとにそれぞれ別々の当たり値判定テーブルを予め定めておくことができる。図9および図10は、この複数の設定値のうち例えば設定6の場合の当たり値判定テーブルである。なお、当たり値判定テーブルは、本実施形態の抽選判定テーブルに該当する。
図9(a)は、通常状態のゲーム(以下「通常ゲーム」という)における各当選役及びハズレの当たり値の範囲(乱数値の範囲)を示したものである(通常ゲーム判定テーブルという)。そして、図10(a)は通常ゲームにおけるBBの当たり値のみをさらに詳細に示したものである。
すでに説明したが、BBはさらにBB(1)〜BB(10)までの10種類に分けられている。このBB(1)〜BB(10)までのいずれの当選フラグを契機とするBBゲームにおいては、そのゲーム内容(例えば、獲得できるメダル枚数)は同じであるが、該BBゲーム終了後に付加される遊技特典がそれぞれ異なっているものが含まれている(詳細は後述する)。
さらにBBは、それぞれBBのみ当選となる当たり値の範囲(単独当選当たり値という)と、「BB+その他の当選役(ベル、スイカ、チェリー)」双方に当選となる当たり値の範囲(共有当選当たり値)に分けられている。なお、その他の当選役にリプレイがさらに含まれていてもよい。
なお、本実施形態では、BBに当選したときはBBフラグのON状態が次ゲーム以降まで持ち越されるものとしている。このため、BBに当選した当該ゲームにおいてBB図柄が揃わなかったとしても、次ゲーム以降においてBB図柄を揃えることが可能となる。一方、その他の当選役(リプレイ、ベル、スイカ、チェリー)に当選したときは、これらの当選フラグが次ゲーム以降に持ち越されることがないので、当選した当該ゲームにおいてのみ当選役図柄を揃えることが可能となる。したがって、抽出乱数値が「BB(またはRB)+その他の当選役」の共有当選当たり値であったとき、BB図柄(またはRB図柄)が当該ゲームにて揃わなかったとしても次ゲーム以降にて揃えることが可能となる一方で、その他の当選役(リプレイ、ベル、スイカ、チェリー)図柄については、当選した当該ゲームにて揃わなかった場合には、次ゲーム以降にて揃えることが不可能となる。
上記のBBの単独当選当たり値は、ベルやリプレイ等の単独当選当たり値と同様に、その該当する当選役1つのみに対応している。すなわち、この図9(a)において、例えば、
抽出乱数値が「1」の場合は、ベルの単独当選当たり値に該当する。
抽出乱数値が「2300」の場合は、スイカの単独当選当たり値に該当する。
抽出乱数値が「2800」の場合は、チェリーの単独当選当たり値に該当する。
抽出乱数値が「5000」の場合は、リプレイの単独当選当たり値に該当する。
となる。同様に、図10(a)においては、
抽出乱数値が「2900」の場合は、BB(3)の単独当たり値に該当する。
抽出乱数値が「2950」の場合は、BB(8)の単独当たり値に該当する。
というように、1つの抽出乱数値に対して、1つの当選役のみが対応するものである。このような当選役のことを単独当選役という。
一方、BBの共有当選当たり値は、図10(a)において、例えば、
抽出乱数値が「2977」の場合は、BB(1)+スイカの共有当選当たり値に該当する。
抽出乱数値が「2995」の場合は、BB(7)+ベルの共有当選当たり値に該当する。
抽出乱数値が「3000」の場合は、BB(9)+チェリーの共有当選当たり値に該当する。
というように、1つの抽出乱数値に対して、複数の当選役が対応するものである。このように、抽出乱数値が共有当選当たり値に該当する場合、複数の当選役のいずれにも当選したということになる。これは、前述したフラグ処理(図8のステップS107参照)にて、BBおよびその他の当選役(つまり、ベル、スイカまたはチェリー)の2つの当選フラグ(内部抽選フラグ)を同時にONにするということである。このような当選役のことを共有当選役という。
なお、抽出乱数値がBBの単独当選当たり値に該当する場合、該当する当選フラグのことをBB単独フラグともいう。また、抽出乱数値がBBの共有当選当たり値に該当する場合、該当する当選フラグのことをBB重複フラグともいう。
そして、BBの当たり値については、単独当選当たり値及び共有当選当たり値を合計(合算)した当たり値の範囲がBB全体の当たり値ということになり、これによりBB全体の当選確率を算出することができる。すなわち、
BB(全体) 130/16384(1/126.03)
というように、BB全体の当選確率が算出される。
一方、図9(b)は、BBゲームにおける各当選役およびハズレの当たり値の範囲(乱数値の範囲)を示したものである(これをボーナスゲーム判定テーブルという)。そして、図10(b)はBBゲームにおけるBBの当たり値のみをさらに詳細に示したものである。ここで、BB重複フラグとなるBB(1)〜BB(10)までには取り消し線が付されているが、これはBB重複フラグであっても、BB以外のその他の当選役、すなわち、スイカ、ベル、チェリーのみ有効となることを示している。
これによれば、BBゲーム中は、BB、さらにリプレイの抽選も行われないことになる。BBゲーム中は、ベルの当たり値が抽出範囲の大半以上を占めている(当たり値の総数11999個)。したがって、BBゲーム中は、約4回に3回程度はベルに当選することが多くなる。また、ベルの当たり値が増加した代わりに、ハズレに該当する当たり値は大幅に減少(当たり値の総数3556個)している。このため、ボーナスゲーム中は、通常ゲームに比べて極めてハズレとなる可能性が低くなり、ベルの当選により効率よくメダルを獲得することができる。
そして、BB(1)ゲーム〜BB(10)ゲームにおける当たり値の判定は、全て共通するボーナスゲーム判定テーブル(図9(b))となっている。したがって、BB(1)〜BB(10)までのいずれの当選フラグを契機とするBBゲームにおいても、そのゲーム内容は同じものとなる。なお、図9(b)からも明らかなように、ボーナスゲーム判定テーブルにはハズレとなる可能性も含まれている。また、BBゲーム中の当選状況、つまりどの小役にどれだけ(回数)当選するかは常に一定とはなりえないため、BB(1)ゲーム〜BB(10)ゲームのいずれのゲーム内容も同じではあるが、獲得できるメダルの総枚数は若干異なることもありえることになる。
また、スロットマシン1では、所定条件が成立したことに応じてRT(リプレイタイム)ゲームが開始される。なお、RTゲームは、本実施形態における付加価値付与手段により付与される付加価値に該当する。
ここで、RTゲームとは、リプレイの当選確率を通常ゲームに比べて当選しやすくした状態を、所定のゲーム回数(ゲーム期間)にわたって継続させるものである。
図9(c)は、RTゲームにおける各当選役およびハズレの当たり値の範囲(乱数値の範囲)を示したものである(これをRTゲーム判定テーブルという)。図9(c)に示すように、RTゲーム判定テーブルでは、先述の通常ゲーム判定テーブルと比較すると、リプレイの当たり値の乱数幅が比較的大きく設定され、且つ、ハズレの当たり値の乱数幅が比較的狭く設定されている。なお、リプレイおよびハズレ以外については、RTゲーム判定テーブルと通常ゲーム判定テーブルとは各当選役の乱数幅が同一のものとして設定されている。
具体的に通常ゲーム(通常状態中に行われるゲーム)とRTゲームとの違いは、図9(a)および図9(c)に示したように、通常ゲームは、リプレイの当選確率は概ね7.3分の1となっており、またハズレとなる確率(約1.47分の1)が極めて高いため、遊技者がメダルを増加させながらゲームを継続することは略不可能な遊技状態である。なお、通常ゲームは、BBゲームが行われておらず且つRTゲームも行われていない通常状態中に行われるゲームのことである。
一方、RTゲームは、リプレイの当選確率は概ね1.64分の1と通常ゲームにおけるリプレイの当選確率に比べて約4.4倍程度当選しやすくなっているため、リプレイに当選する頻度が通常ゲームに比べて極めて高くなっている。さらに、RTゲームでは、ハズレとなる確率(約4.85分の1)が通常ゲームに比べて低くなっているため、ハズレとなるよりもリプレイに当選することが多くなるため、遊技者がメダルをほとんど減らさずにゲームを継続することが可能な遊技状態といえる。なお、RTゲームは、前述のとおり、BBゲームの終了後に行われるゲームのことである。
このようなことから、通常ゲームに比べてRTゲームでは、ハズレとなるよりもリプレイに当選することが多くなるため、遊技者が保有するメダルが若干減少するものの、当該メダルの減少を抑制しつつ遊技を行うことができる。したがって、遊技者は、保有するメダルを大きく減らすことなく遊技を行うことができる。
(リール停止処理)
始動処理が終了すると、一定速度で回転を続けているリールを停止させるための操作(停止操作、つまり各リールストップスイッチ90,91,92の押下操作)待ちの状態となる。図11では、一例として「テーブル方式」によるリール停止処理の内容を示している。以下では、リール停止制御の処理の流れを説明する。
リール停止処理では、まずステップS201で、当該ゲームでの内部抽選の結果を示す内部抽選フラグにしたがってリール停止制御テーブルを選択する。このリール停止制御テーブルは予め全ての内部抽選フラグについてパターンが用意されており、これらは読み出し専用のテーブルデータとしてメイン制御基板300に格納されている。
上記のステップS201にて内部抽選フラグに基づいてリール停止制御テーブルが選択された状態になると、各リールストップスイッチ90,91,92の押下操作が受け付けられるまで待ち受け状態となる(ステップS202,S210,S217)。これらの待ち受け状態で、左リール611、中リール612、右リール613の各リールがすでに停止しているか否か、あるいは第1リール停止フラグがONとなっていない状態(F=0、つまりOFFの状態)であるか否かを判定するとともに、合わせてリールストップスイッチ90,91,92のいずれかが押下されたかについても判定する。リールストップスイッチ90,91,92全てについての押下操作が受け付けられるまでは、ステップS209の判定が満たされず、ステップS202以降の処理を繰り返す。
ここで、リールストップスイッチ90,91,92の押下操作の受け付けられた順番(停止操作手順)を、それぞれ「順押し」、「逆押し」、「中押し」と呼ばれる停止操作手順(または押し順ともいう)に分ける。
上記の「順押し」の停止操作手順とは、左リール611を第1番目に停止させる操作手順(つまり、左リールストップスイッチ90を第1番目に押下操作する手順)のことをいい、第2番目以降に停止させるリールの操作順番より、
〔 左リール→中リール→右リール 〕、
あるいは、
〔 左リール→右リール→中リール 〕となる2つの停止操作手順にさらに分けられる。これら2つをまとめて「順押し」と呼ぶ。なお、後者の停止操作手順は特に「順はさみ押し」とも呼ばれる。
上記の「逆押し」の停止操作手順とは、「順押し」と反対に右リール613を第1番目に停止させる操作手順(つまり、右リールストップスイッチ92を第1番目に押下操作する手順)のことをいい、第2番目以降に停止させるリールの操作順番より、
〔 右リール→中リール→左リール 〕、
あるいは、
〔 右リール→左リール→中リール 〕となる2つの停止操作手順にさらに分けられる。これら2つをまとめて「逆押し」と呼ぶ。なお、後者の停止操作手順は特に「逆はさみ押し」とも呼ばれる。
上記の「中押し」の停止操作手順とは、中リール612を第1番目に停止させる操作手順(つまり、中リールストップスイッチ91を第1番目に押下操作する手順)のことをいい、第2番目以降に停止させるリールの操作順番より、
〔 中リール→左リール→右リール 〕、
あるいは、
〔 中リール→右リール→左リール 〕となる2つの停止操作手順にさらに分けられる。これら2つをまとめて「中押し」と呼ぶ。
ステップS202では、左リール611が停止状態となったことを示すフラグ(左リール停止フラグLF)がOFF(LF=0)であり、なおかつ、左リールストップスイッチ90の押下操作が受け付けられたかを判定する。ステップS201で、リールストップスイッチ90,91,92の押下操作の待ち受け状態から「順押し」の停止操作手順に沿って最初(第1番目)に左リールストップスイッチ90が押下されたとすると、ステップS202の判定が満たされ、ステップS203に移る。
ステップS203では、第1リール停止フラグがOFF(F=0)であるか判定する。ここでいう「第1リール」とは第1番目に停止操作が受け付けられる、あるいは第1番目に停止するリールのことをいう。この例(「順押し」)では、左リール611の停止操作が第1番目に受け付けられるので、第1リール停止フラグがOFFの状態(F=0)となっている。したがって、ステップS203の判定は満たされ、次のステップS204に移る。
次のステップS204では、左リール611について第1リール停止処理が行われる。この第1リール停止処理では、内部抽選フラグに対応するリール停止制御テーブルに基づいて内部抽選フラグに対応する当選役図柄の停止位置の制御を実行する。
ステップS206では、残りの中リール612、右リール613のリール停止制御テーブルを決定する。したがって、第1停止リール(この場合は左リール611)における有効ライン上、つまり、表示窓201内の上段位置または下段位置に表示された図柄が当選役図柄となる可能性のある図柄であった場合、その該当図柄を基準とした有効ライン上に残りのリール(中リール612、右リール613)の該当当選役図柄を揃えることの可能なリール停止制御テーブルを選択することになる。
この点を具体的に説明すると、例えば、第1停止リール(この場合は左リール611)において、表示窓201内の上段位置に当選役図柄となる可能性のある図柄が停止したとする。この場合は、右下がりライン673bおよび上段ライン672aのいずれにも残りのリール612、613の該当当選役図柄を揃えることの可能なリール停止制御テーブルのいずれかを選択することとなる。同様に、左リール611において、表示窓201内の下段位置に当選役図柄となる可能性のある図柄が停止した場合は、右上がりライン673aおよび下段ライン672bのいずれにも残りのリール612、613の該当当選役図柄を揃えることの可能なリール停止制御テーブルのいずれかを選択することとなる。なお、停止状態となったリールにおいて、表示窓201内に表示される図柄群のことを停止目という。
すなわち、「順押し」の停止操作手順では、左リール611のみが停止状態となり、上段位置および下段位置にいずれかの当選役図柄があった場合、まだ2つの有効ラインのいずれにも該当当選役図柄を揃えることが可能である。したがって、ステップS206の段階では、いずれの有効ラインにも該当当選役図柄を揃えることのできるリール停止制御テーブルを複数用意しておき、いずれかを選び出すものとすればよい。
ステップS207では、第1リール停止フラグをON(F=1)として、次のステップS208に移る。
次いでステップS208では、左リール停止フラグLFをON(LF=1)として、ステップS209に移る。
なお、本実施形態では、上記ステップ202〜ステップS208において左リール611の押下操作が受け付けられたことに基づく受付情報が適宜サブ制御基板400に送信される。例えば、ステップS202の判定が満たされたときには押下操作の受け付けられた受付位置情報がサブ制御基板400に送信され、ステップS207,S208においては停止目情報がサブ制御基板400に送信されるというように、リールストップスイッチ(左リールストップスイッチ90)が押下されたタイミングと、リール(左リール611)が停止状態となったタイミングで、その都度、受付情報がサブ制御基板400に送信される。また、「受付位置情報」とはリールの押下操作が受け付けられたタイミング(時点)において直ちに該リールが停止すると仮定した場合、該リールについて表示窓201に表示される停止目を意味するものである。
そして、ステップS209では、全てのリールが停止状態となったかを判定する。この例では、まだ左リール停止フラグLFがON(LF=1)となっただけであり、中リール612および右リール613はまだ回転中であることから、この判定が満たされず、ステップS202に戻り以降の処理を繰り返し実行する。
そして、再びステップS202以降の処理が実行される場合、すでに左リール611は停止状態となっているのでステップS202の判定は満たされず、ステップS210に移る。
ステップS210では、中リール612が停止状態となったことを示すフラグ(中リール停止フラグMF)がOFF(MF=0)であり、なおかつ、中リールストップスイッチ91の押下操作が受け付けられたかを判定する。ここでは「順押し」の停止操作手順に沿うため、中リールストップスイッチ91の押下操作が受け付けられることとなる。したがって、ステップS210の判定が満たされ、次のステップS211に移る。
ステップS211では、上記のステップS203と同様に第1リール停止フラグがOFF(F=0)であるか判定する。そして、この時点ではすでに第1リール停止フラグはON(F=1)となっているため、この判定が満たされず、ステップS213に移る。
ステップS213では、中リール停止処理として、内部抽選フラグに対応するリール停止制御テーブル(この場合は上記のステップS206で決定したリール停止制御テーブル)に基づいて該当当選役図柄の停止位置の制御を実行する。そして、このとき中リール612は第2番目に停止するリール(第2リール)となり、ステップS212,S214,S215は全て迂回され、ステップS216に移り、中リール停止フラグMFをON(MF=1)として、ステップS209に移る。
なお、この中リール612についても、左リール611で説明したのと同様に、サブ制御基板400に受付情報(受付位置情報、停止目情報)が適宜送信される。すなわち、上記ステップ210〜ステップS216において中リール612の押下操作が受け付けられたことに基づく受付情報が適宜サブ制御基板400に送信される。例えば、ステップS210の判定が満たされたときには押下操作の受け付けられた受付位置情報がサブ制御基板400に送信され、ステップS215,S216のいずれかにおいては停止目情報がサブ制御基板400に送信されるというように、リールストップスイッチ(中リールストップスイッチ91)が押下されたタイミングと、リール(中リール612)が停止状態となったタイミングで、その都度、受付情報がサブ制御基板400に送信される。
そして、再度ステップS209では、左リール611および中リール612が停止状態となっただけであり、まだ右リール613は回転中で停止状態(右リール停止フラグRFがOFFとなっている)となっていないので、この判定が満たされず、ステップS202に戻り、再度以降の処理を繰り返し実行する。
さらに、3度目のステップS202以降の処理では、先ずステップS217で右リール停止フラグMFがOFF(MF=0)であり、且つ、右リールストップスイッチ92の押下操作が受け付けられたかを判定していくことになるが、以降のステップS218,S220等の処理は、上記のステップS210以降の処理(ステップS211,S213)と同様であるため詳細な説明は省略する。
そして、ステップS223にて、右リール停止フラグRFをON(RF=1)として、ステップS209に移る。
なお、この右リール613についても、左リール611,中リール612で説明したのと同様に、サブ制御基板400に受付情報(受付位置情報、停止目情報)が適宜送信される。すなわち、上記ステップ217〜ステップS223において右リール613の押下操作が受け付けられたことに基づく受付情報が適宜サブ制御基板400に送信される。例えば、ステップS217の判定が満たされたときには押下操作の受け付けられた受付位置情報がサブ制御基板400に送信され、ステップS222,S223のいずれかにおいては停止目情報がサブ制御基板400に送信されるというように、リールストップスイッチ(右リールストップスイッチ92)が押下されたタイミングと、リール(右リール613)が停止状態となったタイミングで、その都度、受付情報がサブ制御基板400に送信される。
最後にステップS209では、この時点において、全てのリールが停止状態となっていることから、この判定が満たされ、リール停止処理が終了する。
なお、「逆押し」の停止操作手順の場合も上記と同様の説明ができる。すなわち、ステップS201で、リールストップスイッチ90,91,92cの押下操作の待ち受け状態から「逆押し」の停止操作手順に沿って最初(第1番目)に右リールストップスイッチ92が押下されたとすると、ステップS202、S210の判定が満たされず、ステップS217に移る。そして、ステップS217以降は、先述のステップS203,S204,S206,S207,S208と同様に処理される。つまり、最初(第1番目)に右リールストップスイッチ92が押下されているので、ステップS217,S218の判定は満たされ、右リール613について第1リール停止処理が行われる(ステップS219)。そして、残りの左リール611、中リール612のリール停止制御テーブルが決定され(ステップS221)、第1リール停止フラグおよび右リール停止フラグRFがONにセットされる(ステップS222,S223)。
その後は、ステップS221で決定したリール停止制御テーブルに基づいて、左リール停止処理(ステップS205)および中リール停止処理(ステップS213)が、左リールストップスイッチ90および中リールストップスイッチ91の押下操作順にしたがって実行される。なお、「逆押し」の停止操作手順では、「順押し」の停止操作手順のときと同様に、右リール613のみが停止状態となり、上段位置および下段位置にいずれかの当選役図柄があった場合、まだ2つの有効ラインのいずれにも該当当選役図柄を揃えることが可能である。したがって、ステップS221の段階では、いずれの有効ラインにも該当当選役図柄を揃えることのできるリール停止制御テーブルを複数用意しておき、いずれかを選び出すものとすればよい。
ところで、「中押し」の停止操作手順の場合は上記の説明と一部異なる点があるため、以下に説明する。すなわち、ステップS201で、リールストップスイッチ90,91,92の押下操作の待ち受け状態から「中押し」の停止操作手順に沿って最初(第1番目)に中リールストップスイッチ91が押下されたとすると、ステップS202の判定が満たされず、ステップS210に移る。そして、ステップS210以降は、先述のステップS203,S204,S206,S207,S208と同様に処理される。つまり、最初(第1番目)に中リールストップスイッチ91が押下されているので、ステップS210,S211の判定は満たされ、中リール612について第1リール停止処理が行われる(ステップS212)。そして、残りの左リール611、右リール613のリール停止制御テーブルが決定され(ステップS214)、第1リール停止フラグおよび中リール停止フラグMFがONにセットされる(ステップS215,S216)。
その後は、ステップS216で決定したリール停止制御テーブルに基づいて、左リール停止処理(ステップS205)および右リール停止処理(ステップS220)が、左リール停止ボタン211aおよび右リール停止ボタン211cの押下操作順にしたがって実行される。
ここで、「中押し」の場合は、「順押し」におけるステップS206(あるいは、「逆押し」におけるステップS221)とは異なり、この時点でまだ3つの有効ラインのいずれにも該当当選役図柄を揃えることが可能である。つまり、第1停止リール(この場合は中リール612)の停止目のうちで中段位置の図柄が当選役図柄となる可能性のある図柄であった場合、その該当図柄を基準とした有効ライン上に残りのリール(左リール611、右リール613)の該当当選役図柄を揃えることの可能なリール停止制御テーブルを選択することになる。
この点を具体的に説明すると、例えば、第1停止リール(この場合は中リール612)において、表示窓201内の中段位置に、当選役図柄となる可能性のある図柄が停止したとする。この場合は、右下がりライン673b、右上がりライン673a、中段ライン671の全てが、中リール612の中段位置を有効停止位置としていることから、全ての有効ラインにおいて残りのリール611,613の該当当選役図柄を揃えることができることなる。そのため、「中押し」の場合には、右下がりライン673b、右上がりライン673aおよび中段ライン671のいずれにも残りのリール611,613の該当当選役図柄を揃えることの可能なリール停止制御テーブルのいずれかを選択することとなる。
すなわち、「中押し」の停止操作手順では、中リール612のみが停止状態となり、中段位置に当選役図柄があった場合、まだ3つの有効ラインのいずれにも該当当選役図柄を揃えることが可能である。したがって、ステップS216の段階では、いずれの有効ラインにも該当当選役図柄を揃えることのできるリール停止制御テーブルを複数用意しておき、いずれかを選び出すものとすればよい。
以上がテーブル方式によるリール停止処理の一例である。これとは別にコントロール方式によるリール停止処理があるが、これについても公知の処理を適用可能であるため、ここでは具体的な説明を省略する。また、本実施形態においてコントロール方式またはテーブル方式のいずれのリール停止処理を実行してもよく、どの方式を採用するかは制御プログラムを構築するにあたって適宜決定すればよい。
(リール停止制御)
上記のリール停止処理では、成立フラグに対応した当選役図柄(該当当選役図柄)を極力表示窓201内(特に有効ライン上)に引き込むリール停止制御を行う。このようなリール停止制御は、いわゆる「引き込み制御」とも呼ばれ、この引き込み制御においては、1つの図柄を1コマとして所定のコマ数(つまり、所定個数分の図柄)を上限として図柄の引き込みが行われる。具体的には、遊技者によるリールの停止操作が受け付けられた時点で、表示窓201内に停止させることが可能な範囲(以下、引き込み制御可能範囲と称する)として例えば4コマを予め決めておき、その範囲内に該当当選役図柄がある場合、これを表示窓201内に引き込んでリールを停止させる制御を実行する。なお、ここでいう「引き込み制御可能範囲」とは、リールの停止操作が受け付けられてから当該リールが停止するまでに、リールの回転方向に移動が可能な最大コマ数のことをいう(上記の例でいえば4コマ)。なお、本実施形態では、各リール帯651,652,653に21個の図柄が表記されており、4図柄を上限として図柄の引き込み制御が行われる。
したがって、このようなリール停止制御によれば、リールの停止操作が受け付けられた時点で、表示窓201内に該当当選役図柄がなかったとしても、該当当選役図柄が引き込み可能な範囲内にあれば、その該当当選役図柄を表示窓201内にまで移動させたうえで停止させることが可能となる。また、この引き込み制御を行うことにより、遊技者は該当当選役図柄の目押しのタイミングが多少早かったとしても、引き込み可能範囲内に当該当選役図柄があれば、その当該当選役図柄を表示窓201内に引き込んで停止させることができる。したがって、取りこぼしが生じることを極力抑えることができる。なお、取りこぼしとは、当該当選役図柄を揃えることができずに当該当選役に対応する遊技特典を獲得できずにその遊技特典が消滅してしまうことをいう。
前述したようにリプレイ図柄は、各リール611,612,613にそれぞれ満遍なく配置されている。例えば、リプレイ図柄からリプレイ図柄までの間に配置する他の図柄は1個から最大でも4個までにされている。これにより、リプレイが成立フラグとなる場合には、遊技者は目押しを必要とせずに必ず該当当選役図柄を揃えることができる。これは、リプレイについては、対応するそれぞれの当選役図柄が、引き込み制御可能範囲内に少なくとも1個配置されているからである。
(判定処理)
リール停止処理が終了すると、表示窓201内にていずれかの有効ライン上に当選役図柄が揃っているか(いずれかの当選役に該当する図柄の組み合わせ態様が表示されているか)否かについて判定を行う。図12では、この判定処理の内容を具体的に説明する。
リール停止処理により全てのリールが停止した状態となると、表示窓201内の停止目の態様から、いずれかの有効ライン上に当選役図柄が揃っているか(当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が表示されているか)否かを判定する。なお、特に全てのリールが停止状態となった場合の停止目のことは出目と呼ばれることもあり、以下では必要に応じて上記停止目のことを出目という。
先ずステップS301では、現在BBゲーム中であるかを判定する。これは後述するBBゲーム中フラグというゲーム状態フラグのON状態(=1)、OFF状態(=0)を判定することである。
上記ステップ301において、BBゲーム中フラグがOFF(=0)となっている場合、ステップS301の判定は満たされず、ステップS302に移る。
ステップS302において、RTゲーム終了判定処理(詳細は後述する)を実行した後、いずれかの有効ライン上に揃っている当選役図柄に応じて、さらに以下のステップS310,S320,S330のいずれかに移る。
ステップS310では、BB図柄が揃っているかを判定する。いずれかの有効ライン上にBB図柄が揃っている場合(例えば、「赤7図柄−赤7図柄−赤7図柄」が一つの有効ライン上に揃っている)、この判定が満たされ、次のステップS312に移る。
次のステップS312では、BBゲーム開始処理を実行する。ここでは、BBゲームとして、メダルの獲得が容易な複数回にわたるゲームが集中して行われるための処理をすることになる(詳細は後述する)。
ステップS320では、リプレイ図柄が揃っているかを判定する。いずれかの有効ライン上にリプレイ図柄が揃っている場合(「RP図柄−RP図柄−RP図柄」が一つの有効ライン上に揃っている)、この判定が満たされ、次のステップS322に移る。
ステップS322では、リプレイゲーム処理を実行する。このリプレイゲーム処理では、当該ゲームにおけるベット数と同じベット数(この例ではMAXベット)にて次回のゲームを開始させるために、MAXベットコマンドをメイン制御基板300に一旦記憶させる。このコマンドに基づき、次回のゲームを再遊技として開始させることができる。
そして、ステップS324では、リプレイ当選フラグをOFF(=0)にして処理を終了する。
ステップS330では、小役図柄が揃っているかを判定する。いずれかの有効ライン上に小役図柄が揃っている場合(「ベル図柄−ベル図柄−ベル図柄」が一つの有効ライン上に揃っている)、この判定が満たされ、次のステップS332に移る。
次のステップS332では、揃っている小役図柄に応じた規定枚数のメダルの払い出しを実行する(ホッパ装置710より規定枚数のメダルを払い出す)。そして、メダルの払出枚数を表示する(図示しない払出枚数表示LED等に表示する)。これにより、遊技者には当該小役に対応した規定枚数のメダルが払い出されたことが報知(または告知、表示)される。
そして、ステップS334では、該当する小役当選フラグをOFF(=0)にして処理を終了する。詳細には、単独当選役として、ベルに当選していた場合にはベル当選フラグをOFF(=0)にし、スイカに当選していた場合にはスイカ当選フラグをOFF(=0)にし、チェリーに当選していた場合にはチェリー当選フラグをOFF(=0)にする。
一方、小役とボーナスとの共有当選役(小役+BB)に当選し、且つ、ステップS330で小役図柄が揃ったと判定された場合は、ステップS334において小役の当選フラグはOFF(=0)にするが、ボーナスフラグ(BBフラグ)はOFF(=0)とせずにON(=1)のまま次ゲーム以降に持ち越される。
次に、有効ライン上にいずれの当選役図柄も揃っていない場合、上記のステップS310,S320,S330のいずれの判定も満たされず、ステップS340に移る。なお、このときの出目は「ハズレ目(バラバラな図柄の組み合わせ態様)」とも呼ばれる。
ステップS340では、ハズレ処理を実行する。このハズレ処理では、この時点でON(=1)状態となっている当選フラグがBBを除く他の当選フラグの場合、当該当選フラグをOFF(=0)にする。また、いずれの当選フラグもON(=1)となっていない場合(このときはハズレフラグがON(=1)となっている)には、ハズレフラグをOFF(=0)にする。
したがって、当該当選フラグが、BBフラグに該当しない場合、この時点で「取りこぼし」が確定することになる。
また、当該当選フラグがBBフラグに該当する場合、当該当選フラグはOFFとならず、次ゲーム以降に持ち越される。これにより、BBについては取りこぼしを生じることがなく、該当する当選役図柄を揃えることができるまで当該当選フラグが持ち越されていくことになる。したがって、遊技者は、他の当選役(例えば、リプレイや小役)に比べて利益の度合いの高い当選役(BB)の取りこぼしを心配することがなく、BBの遊技特典は必ず獲得できるという安心感を持ってゲームに臨むことができる。また、特に目押しの技量の低い遊技者にとっては、BB図柄を揃えるまで何度でも目押しの練習ができることになる。
上記のステップS310からステップS340までの処理は、通常ゲーム、RTゲームの場合に実行する処理となる。次にステップS350以降の処理について説明する。なお、ステップS350以降の処理とは、BBゲーム中における処理のことである。
上記ステップS301において、BBゲーム中フラグがON(=1)となっていると、ステップS301の判定が満たされ、ステップS350に移る。
ステップS350では、BBゲーム時有効役図柄が揃っているかを判定する。ここでいう「BBゲーム時有効役」とは、ベル、スイカ、チェリーを含めたBBゲーム中にメダルの払い出しがある当選役の総称である。そして、いずれかの有効ライン上にBBゲーム時有効役図柄が揃っている場合、この判定が満たされ、次のステップS352に移る。
次のステップS352では、揃っているBBゲーム時有効役図柄に応じた規定枚数のメダルの払い出しを実行する(ホッパ装置710より規定枚数のメダルを払い出す)。そして、メダルの払出枚数を表示する(図示しない払出枚数表示LED等に表示する)。これにより、遊技者には当該BBゲーム時有効役に対応した規定枚数のメダルが払い出されたことが報知(または告知、表示)される。
ステップS352に次いで、ステップS354では、BBゲーム終了判定処理を実行する(詳細は後述する)。その後、ステップS356に移り、RTゲーム開始処理(詳細は後述する)を実行する。
また、上記のステップS350の判定が満たされない場合、ステップ360に移り、当該成立フラグをOFF(=0)にする。ここでいう当該成立フラグにはハズレフラグも含まれる。すなわち、ステップS360において当該ハズレフラグもOFF(=0)にされる。
(BBゲーム開始処理)
図12のステップS310の判定が満たされた場合、BBゲーム開始処理が実行される(図12におけるステップS312)。このBBゲーム開始処理について図13を用いて説明する。
まず、ステップS3121では、BBフラグがON(=1)となっているかを判定する。ここで、BBにはBB(1)〜BB(10)までの10種類があることは既に説明したとおりである。したがって、BBフラグについても、BB(1)フラグ〜BB(10)フラグまで存在することになる。すなわち、ステップS3121においてはBB(1)フラグ〜BB(10)フラグのいずれがON(=1)となっているかが判定される。
ステップS3121の判定が満たされると、ステップS3124に移る。ステップS3124では、上記ステップS3121でON(=1)になっていると判定されたBBフラグ(つまり、当該BB当選フラグ)に対応するBBゲーム中フラグをON(=1)にする。このBBゲーム中フラグについても、BB(1)ゲーム中フラグ〜BB(10)ゲーム中フラグがBB(1)フラグ〜BB(10)フラグにそれぞれ対応づけられている。また図示はしないが、このとき当該BB当選フラグをOFF(=0)にする。
次いでステップS3126において、BBゲーム中の累計払出枚数カウントをクリアする。これにより、次のゲームから累計払出枚数の累算が実行される。そして、次ゲームからは、通常ゲームと同様の掛け数、つまり3ベット(3枚掛け)にてBBゲームが開始される。
また、ステップS3121の判定が満たされない場合、ステップS3122に移り、エラー処理を実行する。このような場合となるのは、BBフラグがOFF(=0)であるにも関わらず、BB図柄が揃ってしまうような場合が該当する。すなわち、何らかの不正な手段(例えば、ゴト行為)が行われたか、あるいはスロットマシン1に故障が生じたか、いずれかの場合に起こり得るものである。したがって、エラー処理では、サイドランプ5aなどのランプ類や、スピーカ13aなどによってエラー発生を知らせる表示を行う。
(BBゲーム終了判定処理)
次に、図13を用いてBBゲーム終了判定処理について説明する(図12におけるステップS354)。
まず、ステップS3541では、前述の図12のステップS352においてメダルの払い出しがあったことを受けて、BBゲーム中の累計払出枚数に当該ゲームの払出枚数を加算する。
次にステップS3542では、累計払出枚数が300枚を超えたかを判定する。このステップS3542の判定が満たされない場合、ステップS3544に移り、BBゲーム中の累計払出枚数を表示する(図示しない払出枚数表示LED等に表示する)。なお、累計払出枚数は表示用のLED等を別途設けてこれに表示するものとしてもよい。本ステップS3542における判定は、本実施形態における特別遊技状態の終了条件に該当する。
上記ステップS3542の判定が満たされると、次にステップS3550に移る。
ステップS3550では、上記ステップS3124においてON(=1)にされたBB(1)ゲーム中フラグ〜BB(10)ゲーム中フラグのいずれかのBBゲーム中フラグをOFF(=0)にしてステップS3552に移る。なお、このとき、BBゲーム中に払出されたメダルの総枚数を図示しない払出枚数表示LED等に表示する。
本実施形態では、BB(1)ゲーム〜BB(10)ゲーム中におけるゲーム内容は同じである。すなわち、それぞれのBBゲーム中おいて獲得可能なメダル枚数は略同数となっている。
ステップS3552では、上記ステップS3550においてOFF(=0)にされたBBゲーム中フラグに対応するRTゲーム開始フラグをON(=1)にして処理を終了する。
このRTゲーム開始フラグは、BB(2)ゲーム中フラグ〜BB(10)ゲーム中フラグに対応づけられており、BB(1)ゲーム中フラグには対応づけられていない(詳細は後述する)。言い換えれば、BB(2)ゲーム〜BB(10)ゲームにはRTゲームが付加されるが、BB(1)ゲームにはRTゲームが付加されないということである。
(RTゲーム開始処理)
RTゲーム開始処理について、図15を用いて詳細に説明する。このRTゲーム開始処理は、前述した図12の判定処理におけるステップS356において実行される。
まず、ステップS401では、RTゲーム開始フラグがON(=1)であるかを判定する。すなわち、ステップS401においてはRT(2)ゲーム開始フラグ〜RT(10)ゲーム開始フラグのいずれかがON(=1)となっているかが判定される。
上記ステップS401における判定が満たされた場合、ステップS402では当該RTゲーム開始フラグに対応するRTゲーム回数をセットする。なお、当該RTゲーム開始フラグとは、上記ステップS3552においてON(=1)となったRTゲーム開始フラグのことをいう。すなわち、当該RTゲーム開始フラグには、RT(2)ゲーム開始フラグ〜RT(10)ゲーム開始フラグのいずれかが該当する。
また、それぞれのRTゲーム開始フラグに対応するRTゲーム回数は、
RT(2)・・・・・50回
RT(3)・・・・・75回
RT(4)・・・・500回
RT(5)・・・・・25回
RT(6)・・・・200回
RT(7)・・・・・50回
RT(8)・・・・・10回
RT(9)・・・1000回
RT(10)・・・500回
と決められており、上記ステップS402において、これらのRTゲーム回数のいずれかがセットされる。
なお、前述のとおり、BB(1)ゲーム中フラグに対応するRTゲーム開始フラグは存在しないが、RTゲーム回数が0回と考えて、
RT(1)・・・・0回
というように考えてもよい。このようにすると、BB(1)ゲームには0回のRTゲームが付加されるともいえる。言い換えれば、BB(1)〜BB(10)のいずれにもRTゲームが付加されることになる。
そして、次のステップS403では、RTゲーム中フラグをON(=1)にする。このRTゲーム中フラグについても、RT(2)ゲーム中フラグ〜RT(10)ゲーム中フラグがRT(2)ゲーム開始フラグ〜RT(10)ゲーム開始フラグに対応づけられている。また、図示はしないが、このときRTゲーム開始フラグをOFF(=0)にする。これにより、次ゲームからRTゲームが開始される。
なお、上記のステップS401の判定が満たされない場合、いずれの処理も行われず終了となる。
(RTゲーム終了判定処理)
次にRTゲーム終了判定処理について、図16を用いて詳細に説明する。前述の図12の判定処理において、ステップS301の判定が満たされない場合、このRTゲーム終了判定処理が実行される。
まず、ステップS501では、RTゲーム中フラグがON(=1)となっているかを判定する。すなわち、RT(2)ゲーム中フラグ〜RT(10)ゲーム中フラグのいずれかがON(=1)となっているかが判定される。
そして、ステップS501の判定が満たされると、次のステップS502では、RTゲーム回数を「1」だけ減算して、ステップS503に移る。
ステップS503では、残りのRTゲーム回数が「0」であるかを判定する。RTゲーム回数が「0」であれば、この判定が満たされる。そして、ステップS504に移り、当該RTゲーム中フラグをOFF(=0)にする。これにより、RTゲームが終了する。なお、当該RTゲーム中フラグとは、前述の図15におけるステップS403においてON(=1)となったRTゲーム中フラグのことをいう。すなわち、RT(2)ゲーム中フラグ〜RT(10)ゲーム中フラグのいずれかということである。
一方、ステップS503の判定が満たされない場合、ステップS510に移り、BB(1)フラグ〜BB(10)フラグのいずれかがON(=1)となっているかを判定する。この判定が満たされる場合とは、当該RTゲームにおいて、BB(1)〜BB(10)のいずれかに当選した場合が該当する。
そして、ステップS510の判定が満たされると、ステップS511に移り、当該RTゲーム中フラグをOFF(=0)にする。これにより、当該RTゲームが終了する。ここでの処理は、RTゲームがBBの当選によって終了となることを示している。
なお、ステップS510の判定が満たされない場合は、RTゲームの終了条件が成立していないことになるから、本処理はそのまま終了してRTゲームが継続して実行される。
なお、上記のステップS501の判定が満たされない場合、いずれの処理も行われず終了となる。具体的には、遊技状態が通常ゲームに制御されているときは、通常ゲーム中フラグがON(=1)であるとともにRTゲーム中フラグがOFF(=0)であるから、上記のステップS501の判定が満たされず、そのまま処理が終了して通常ゲームが継続して実行される。
(RTゲームへの移行条件・終了条件)
ここで、RTゲームへの移行条件およびRTゲームの終了条件について説明する。RTゲームには、上述のとおり、RT(2)ゲーム、RT(3)ゲーム、RT(4)ゲーム、RT(5)ゲーム、RT(6)ゲーム、RT(7)ゲーム、RT(8)ゲーム、RT(9)ゲームおよびRT(10)ゲームがある。そして、通常ゲーム中やBBゲーム中でない限り、このRT(2)ゲーム〜RT(10)ゲームのうちいずれかのRTゲームが行われる。
RTゲームへの移行条件は、いずれもBBゲームが終了することである。つまり、上述したとおり、BBゲームが終了したのちは、当該BBゲームの契機となったBB当選フラグがBB(2)当選フラグ〜BB(10)当選フラグのいずれかであれば、RTゲームに移行する。また、RTゲームの終了条件は、当該RTゲームにおいてセットされた回数のゲームが行われること、またはBBフラグがONとなることである。なお、RTゲームにおいて、BBに当選することなくセットされた回数のゲームが行われたのちは、通常状態となる。
以上のように構成したスロットマシン1においては、BB図柄の組み合わせは同一の表示態様であるにも拘らず、該BBゲームの終了後に移行するRTゲームの回数が異なるものが含まれている。したがって、表示窓201に表示されたBB図柄の組み合わせ態様からはその後のゲーム展開が予想しにくくなるため、該BBゲームを含めてその後のゲーム展開に面白みを持たせて、遊技者の興趣を向上させることができる。
(演出動作の基本制御)
以上は、メイン制御基板300による制御の例であるが、スロットマシン1では、ゲームの進行にあわせてサブ制御基板400により各種演出動作の制御を実行する。これはメイン制御基板300から出力される各種コマンド(情報コマンド、出力信号)に基づいて、サブ制御基板400にて実行するものである。前述の通りメイン制御基板300から出力された各種コマンドは、一旦、サブ制御基板400に記憶される。そして、当該コマンドに基づき、予め用意された演出態様を選択し、実行するものである。このような演出態様は、演出態様データテーブル(図示しない)としてサブ制御基板400内(主にROM414、画像ROM422)に格納されており、当該コマンドに対応する演出態様が複数用意されている。なお、サブ制御基板400は、本実施形態における演出制御手段に該当する。
例えば、演出態様としては、当該ゲームのみで完結するもの(以下「単発演出態様」という)や、複数のゲームにわたって行われるもの(以下「連続演出態様」という)などが含まれる。このうち、単発演出態様には、当該当選フラグを示唆する演出(示唆演出、告知演出)、メダルの払い出しを知らせる演出(払出演出、なお、払い出し枚数までを知らせる態様でもよい)などがある。
示唆演出は、遊技者に当該当選フラグを直接的に知らせる演出(告知演出)とは異なり、当該当選フラグを間接的に知らせる演出のことをいう、例えば、当該当選フラグに該当する当選役の形、色などを表現した表示等を行うといったことである。また、示唆演出は、当該当選フラグがない場合(つまり、ハズレの場合)にも行われる。この場合には、ハズレであることを気付きにくい内容の演出とする(例えば、いずれの当選役とも取れるような曖昧な内容)。これにより、当該ゲームがハズレであることを遊技者に気付きにくくすることができる。なお、この示唆演出は、特定条件が成立した場合に限り行われる演出であり、特定条件とは、例えば示唆演出を行うか否かの抽選に当選した場合が相当する。
告知演出は、例えば、当該当選フラグがBBであった場合、「ボーナス確定!」等、遊技者が当該ゲームでいずれの当選役となったかを明確に知ることのできるものである。この演出は、特にBBなど遊技者にとって喜ばしい当選役(メダルを大量に獲得できるため)について実行させるとより効果的である。すなわち、遊技者がBB等に当選した際に、そのことを祝福する意味合いを持たせることができるからである。この告知演出は、BBに当選した場合に限り行われる。
また、連続演出態様としては、当該当選フラグがBBであった場合、これを複数のゲームにわたって関連づけされた演出により、当該BB当選フラグを遊技者に示唆する演出態様のことをいう。例えば、ストーリーを展開させて全てのストーリーが完結したらBB当選が確定するものや、ミッションを開始させて該ミッションに成功すればBB当選が確定するものなどがある。このような複数のゲームわたる演出は、BB当選に対する遊技者の期待感を徐々に高揚させていくことができる。
以上の演出態様は、液晶表示部101による画像の表示や、スピーカ13a等による効果音の発生、演出用ランプ104〜108、および、LED装飾等による発光や点灯等、として実行させることができる。このような演出態様は、遊技者が長い時間ゲームを続けている場合など、退屈な印象を与えづらくすることができるものである。なお、演出態様は、液晶表示部101による画像の表示や、スピーカ13a,14a,109a,110aによる効果音の発生、演出用ランプ104〜108、LED装飾等で実行されることに限られるものではない。例えば、液晶表示部101に代えて、ELディスプレイ(Electroluminescence Display)や、ドットLEDを用いてもよい。さらに、キャラクタを模した人形や、可動可能な模型等や、サイドリール(例えば、各リールとは別の位置に配され、演出の一環として遊技者の操作に因らずにその始動と停止を実行するもの)や、あるいは、ランプなどの照明(例えば、回転灯に代表される回転可能なライト等)を設けて各種演出を実行させるものとしてもよい。このような方法をとれば、液晶表示等を用いずとも遊技者を十分に楽しませることが可能である。なお、液晶表示部101、スピーカ13a,14a,109a,110a、演出用ランプ104〜108、LED装飾等は、本実施形態における演出手段に該当する。
(RTゲームに関連する演出動作)
スロットマシン1では、遊技者がBB図柄を揃えるまで、BBゲーム中およびBBゲームの終了直後でRTゲームが開始される直前まで、RTゲームが付加されるか否か、並びに、付加されるRTゲーム回数がどれだけか(0〜1000回)という期待感を遊技者が損なうことなくゲームを継続できるという効果を十分に発揮するためにサブ制御基板400においてもRTゲームに関連して各種演出動作が実行される。
すなわち、サブ制御基板400は、上記のような状態において遊技者の期待感を高める演出を、液晶表示部101による画像の表示や、スピーカ13a,14a,109a,110aによる効果音の発生、演出用ランプ104〜108、LED装飾等により実行する。以下に、液晶表示部101において実行されるRTゲームに関連する演出の一例について説明する。なお、これらの演出は、前述したフラグ処理(図8のステップS107参照)におけるコマンド(内部抽選フラグコマンド)に基づいて実行されるものである。
(演出例1)
本実施形態におけるBBでは、図柄の組み合わせは同様の態様であってもその内容、つまり、該BBゲームの終了後に付加されるRTゲーム回数が異なる。本演出例では、RTゲーム回数について遊技者の期待感を向上させる演出について図17を用いて説明する。 図17は液晶表示部101の拡大図である。
図17は、BB(4)に当選となった状態で、該BB図柄として「赤7図柄揃い」からBBゲームが開始された場合の該BBゲーム中の演出例である。なお、この演出例は、本実施形態における付加価値示唆演出に該当する。
「赤7図柄揃い」となるBBは、BB(1),BB(2),BB(3),BB(4)までの4種類があり、それぞれ対応するRTゲーム回数は、0,50,75,500回となっている。図17(a)は、主人公のキャラクタC1が、0,50,500の番号が付された敵キャラクタE1,E2,E3と対峙している様子を表している。E1,E2,E3に付された番号は、それぞれRTゲーム回数を表すものである。これにより、当該BBゲーム終了後に付加されるRTゲーム回数が0回か50回か500回の3つのうちのいずれかということを遊技者に示唆することができる。
次に、図17(b)では、C1(主人公)がE1(敵)を倒している様子を表している。BBゲーム中においては、このように主人公が敵を次々と倒していく演出が行われる。そして、BBゲームの終了時には、図17(c)に示すように最後の敵(E3)にたどり着く演出が行われる。本演出例では、このようにBBゲーム中に主人公が敵(RTゲーム回数を示唆するもの)を倒していくことにより、最終的な敵(実際に付加されるRTゲーム回数)が特定されていくものとなっている。このような演出によれば、遊技者に、BB図柄の組み合わせが揃った時点でBBの種類が容易に判別されることがない。さらに、RTゲーム回数の抽選があたかもBBゲーム中に行われているかのような印象が遊技者に与えられることとなる。したがって、遊技者がBBゲーム中においてもRTゲーム回数がどれくらい付加されるのか期待感を損なうことなくゲームを楽しむことができる。
なお、敵キャラクタに付する番号(RTゲーム回数)は当該揃ったBB図柄に対応するものに限定されない。例えば、全種類のRTゲーム回数を付した敵を登場させるものでもよい。このような演出によれば、遊技者がスロットマシン1の遊技に熟練したような場合でも、当該揃ったBB図柄に対応するRTゲーム回数を推定することが容易なものとなりにくくいため、スロットマシン1の遊技に早々に飽きてしまうことを極力回避することができる。また、上記演出はBBゲーム中にのみ行うことに限定されない。例えば、BBに当選したときの告知演出として上記演出を開始させてもよい。
(演出例2)
本実施形態におけるBBでは、BBに当選してから該BB図柄を揃えるまで、遊技者が様々な7図柄の組み合わせを揃えようと試みることにより、該BBゲーム終了後に付加される可能性のあるRTゲーム回数がどのようになるのかをある程度絞り込んでいくことが可能である。例えば、BB(4)に当選した場合、これに対応する図柄の組み合わせは「赤7図柄―赤7図柄―赤7図柄」のみとなっているため、遊技者が「青7図柄」および「白7図柄」を揃えようと試みてもいずれも揃えることができない。このような場合、「青7図柄」も「白7図柄」も揃えられなかった時点で「赤7図柄」を含む組み合わせのみ揃えられることが確定する。このように図柄の組み合わせの絞込みをする面白みを遊技者に与えることのできる演出を行うことも可能である。
図18は、BB(4)に当選となった状態で、該BB図柄が揃えられるまでの間において、遊技者が揃えようと狙っている「7図柄」に応じて行われる演出例である。なお、符号は前述の図17と同じものを使って説明する。
BB(4)に当選した場合には、「赤7図柄」揃いのみ揃えることが可能であるが、遊技者は、特に「青7図柄」揃い、および、「白7図柄」揃いを試みて失敗しない限り、当該BBがBB(4)と断定することはできない。本演出例では、このような場合に、1回で「赤7図柄」(この場合、正解図柄という)を揃えられたときと、複数回の試行によって正解図柄を絞込みしたときとによって該BBゲーム中の演出を異ならせる。なお、ここでいう「1回で」とは「青7図柄」「白7図柄」を一度も狙わずに「赤7図柄」を揃えた場合のことをいう。つまり、「赤7図柄」の目押し失敗時はカウントしないものとする。このことから、本演出例では、前述の図11のリール停止処理において、いずれかの第1リール停止処理が行われた時点で、メイン制御基板300からサブ制御基板400に停止目情報コマンドを送信させるものとする。そしてサブ制御基板400には、該停止目情報コマンドに基づいて演出を実行させる。なお、この停止目情報コマンドは本実施形態における図柄群判別手段による判別結果に該当する。
図18(a)は、1回で正解図柄を揃えられたときのBBゲーム中の演出である。ここでは、E1が極めて多人数(数え切れないほど)、E2が多人数、E3が1人と、これらにC1が対峙している様子を表している。ここでの演出は、E3にたどり着くためにはE1およびE2合わせた極めて多数の敵を全て倒さなければならないという印象を遊技者に強く与えるものである。すなわち、このような演出によれば、遊技者には、BB(1)もしくはBB(2)のようにRTゲーム回数が皆無あるいは少ないBBに当選したかもしれないという危機感を募らせることとなる。
一方、複数回の試行によって正解図柄を絞り込みしたとき、例えば、全ての7図柄の試行(絞込み)を行った場合には、前述の図17(a)のように、それぞれの敵(E1,E2,E3)が一人のみ出現するものとする。このとき、どれだけ正解図柄の絞込みができたかによって出現する敵の数を増減させる。このような演出によれば、E3に容易にたどり着けるのではないかという印象を遊技者に与えることができる。すなわち、遊技者には、BB(4)のようにRTゲーム回数の多いBBに当選した可能性が高いように見せることができる。
このように本演出例では、遊技者が正解図柄の絞込みをどれだけ行ったかによってBBゲーム中における演出内容が異なるものである。したがって、BBに当選してから、該BB図柄を揃えるまでの過程において遊技者が行った動作(試行)によって、その後に開始されるBBゲーム中の演出内容が変化するものとなるため、遊技者が面白みを損なうことなくゲームを行うことができる。なお、本演出例における最終表示(図17(c)参照)については、BBゲーム中やBBゲームの終了後に行うようにしてもよい。また、BBゲーム中の当選状況、つまり、BBゲーム中にどのような小役(BBゲーム時有効役)に多く(あるいは少なく)当選したか、あるいはBBゲーム中における受付情報(受付位置情報、停止目情報)等に基づいて演出内容を変化させるものでもよい。
なお、本演出例では、いずれかの第1リール停止処理が行われた時点で、該第1リール停止処理に基づく停止目情報コマンドのみにしたがった演出が行われるものとする。このようにすると、遊技者が狙っている7図柄を特定しやすく、第2停止リール、第3停止リールにおいて目押しの失敗などの停止目に遊技者が狙っていない7図柄が含まれていたとしても、試行回数にカウントされることがないため、本演出例の効果を十分に発揮することができる。
(その他の実施形態についての言及)
なお、本実施形態では、BBゲーム中においてもそれぞれの小役等の払い出し枚数は変えない構成としたが、これに限定されない。例えば、BBゲーム中のみ有効となる役(ボーナスゲーム専用役)を設けてもよい。また、BBゲーム中のみ、上述した小役の払い出し枚数を変更する構成としてもよい。さらに、ベット数に応じて小役等の払い出し枚数を変更するものでもよい。
また、本実施形態では、遊技者が大量のメダルを獲得できる遊技特典としてBBゲームのみの構成としたがこれに限られない。例えば、BBゲームとは獲得できるメダル総数の異なるレギュラーボーナスゲーム(以下「RBゲーム」という)を設けてもよい。このようにすると、ボーナスゲームの種類も複数設けられることとなり、遊技の面白みを増すことができる。
また、本実施形態では、BBゲームの終了条件を所定数のメダルが払い出されるまで(300枚を超えたか否か)としたがこれに限られない。例えば、特定の当選役に当選すること、特定のゲーム回数に到達すること、および、特定遊技(例えば、RBゲーム)が規定回数行われることなどとしてもよい。また、これらを適宜組み合わせたものであってもよい。
また、本実施形態では、BB(1)ゲーム〜BB(10)ゲームにおける当たり値の判定は全て共通するボーナスゲーム判定テーブル(図9(b))としたがこれに限られない。例えば、BB(1)〜BB(10)までのいずれの当選フラグを契機とするBBゲームにおいても獲得できるメダルの総枚数が同程度となるものであれば、BBゲームごとに異なる判定テーブルで当たり値の判定を行うものでもよい。ただし、獲得できるメダルの総枚数が同程度でも、BBゲーム中における小役等の当選状況に大きな偏りが生じてしまうような判定テーブルを複数設けるのは避けることが望ましい。例えば、BB(1)ゲーム中はベルに当選しやすく、BB(2)ゲーム中はスイカに当選しやすくするなど判定テーブルごとに明らかな特徴をつけてしまうことである。このようにすると、遊技者にBBの種類が判別されやすくなってしまい、BBゲーム中に遊技者がその後の展開、すなわち、RTゲームの回数がどれだけであるのかに期待を持ちにくくなってしまうからである。
以上は、本発明のスロットマシン1の一形態であるが、これに限定されることはない。スロットマシン以外の遊技機、例えば、パチンコ機や、パチンコ機とスロットマシンとを融合させてなる遊技機等であっても本発明を適用することができる。また、本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が可能である。