JP2009277828A - コンデンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】コンデンサ素子における局所的な発熱部分を減少して、信頼性の高いコンデンサを提供することを目的とする。
【解決手段】誘電体フィルムに金属蒸着電極を形成した金属化フィルムを巻回してその両端部に取出電極11a、11b、12a、12bを設けた2個のコンデンサ素子11、12と、このコンデンサ素子11、12を収納する円筒状の外装ケース13と、外装ケース蓋18と、前記外装ケース蓋18に設けた電極端子18a、18bと、前記コンデンサ素子11、12と前記電極端子18a、18bを接続する接続端子14、15、16、17とを有し、前記2個のコンデンサ素子11、12が並列に接続されたコンデンサであって、前記2個のコンデンサ素子11、12の静電容量は異なり、かつ前記2個のコンデンサ素子11、12のうち静電容量の小さい方のコンデンサ素子12が前記電極端子18a、18bから遠い位置に配置されているコンデンサとする。
【選択図】図1

Description

本発明は各種電子機器、産業機器に使用される、金属化フィルムを用いた高耐電圧用のコンデンサに関するものである。
従来、金属化フィルムコンデンサ素子を外装ケースに絶縁油や絶縁樹脂とともに収納した高電圧回路用のコンデンサが広く用いられており、このようなコンデンサは電圧印加時の発熱をなるべく抑えるため、さまざまな検討が行われている。
図4は従来の2つのコンデンサ素子を並列接続したコンデンサの内部構造図であり、表面にアルミニウム金属などの蒸着電極を設けたポリエチレンフィルムを少なくとも2枚以上重ね、これを巻回して作製されたコンデンサ素子41a、41bの両端部に亜鉛金属を溶射して電極取り出し部42a、42b、42c、42dを形成している。
そして電極取り出し部42bと42cとが接続端子の一種であるリード線43にて接続され、また電極取り出し部42aと42dとがリード線44にて接続されている。
さらに、電極取り出し部42aと電極端子47aとがリード線45にて接続され、電極取り出し部42bと電極端子47bとがリード線46にて接続されている。
このように接続することによって、2つのコンデンサ素子41a、41bは並列接続された状態で、絶縁ケース48に収納され、絶縁樹脂49により覆われている。
なお、本出願の発明に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
実開平7−29829号公報
上記従来のコンデンサに数百Vの電圧を印加したとき、最も長いリード線44は、その長さに応じて最も大きな抵抗値を有するため、他のリード線に比べて発熱が大きく、このリード線44近くのコンデンサ素子の局部がその他の部分よりも温度が高い状態となる。
このような温度の高い部分がコンデンサ素子に形成されると、温度の高い部分からフィルムの絶縁性の劣化が進行し、信頼性の低下につながる場合があるため、極力局所的な高温部分を形成しないような構成が求められる。
最も長いリード線44の線径を太くするか線数を増やして抵抗値を下げれば発熱を抑えることはできるが、部材コストが増加することや、コンデンサが大型化することにより好ましくない。
そこで本発明は、コスト増加やコンデンサの大型化を招くことなく、コンデンサ素子における局所的な発熱部分を減少して、信頼性の高いコンデンサを提供することを目的とする。
そしてこの目的を達成するために、本発明のコンデンサは、誘電体フィルムに金属蒸着電極を形成した金属化フィルムを巻回してその両端部に取出電極を設けた2個のコンデンサ素子と、このコンデンサ素子を収納する外装ケースと、外装ケース蓋と、前記外装ケース蓋に設けた電極端子と、前記コンデンサ素子と前記電極端子を接続する接続端子とを有し、前記2個のコンデンサ素子が並列に接続されたコンデンサであって、前記2個のコンデンサ素子は静電容量の比率が1:2〜7:8の範囲内で異なり、かつ前記2個のコンデンサ素子のうち静電容量の小さい方のコンデンサ素子が前記電極端子から遠い位置に配置されているコンデンサである。
並列接続された異なる静電容量を有する2個のコンデンサ素子のうち、静電容量の小さい方のコンデンサ素子に流れる電流値は、もう一方の静電容量の大きなコンデンサ素子に流れる電流値よりも小さくなる。
このため、静電容量の小さい方のコンデンサ素子を電極端子から遠い位置に配置することにより、このコンデンサ素子の底面側に接続され、最も電極端子から遠い位置まで伸びる接続端子、すなわち最も長く抵抗値の大きい接続端子に流れる電流を減少することができ、この接続端子の発熱を抑制することができる。
これにより、コンデンサ素子の局所的な高温化を抑制し、信頼性の高いコンデンサを提供することができるという優れた効果を奏する。
以下、本発明のコンデンサについて、一実施の形態および図面を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の一実施の形態を示すコンデンサの内部構造を示す分解図であり、図2はこのコンデンサに用いるコンデンサ素子の一部拡大図である。
図1のコンデンサ素子11は、図2に示すようにポリプロピレンフィルムなどの誘電体フィルム21の表面に金属蒸着電極22を設けた両面金属化フィルム23と、金属蒸着電極を設けていない誘電体フィルム24とを巻回し、巻回した両端部に亜鉛金属の溶射などの方法により取出電極11a、11bを形成したものである。
他のコンデンサ素子12も、同様に巻回された素子両端部に取出電極12a、12bを形成したものである。
コンデンサ素子11、12は、取出電極11aには箔状の接続端子14がはんだ付け部14aで接続され、同様に取出電極12bには箔状の接続端子15、取出電極11bには箔状の接続端子16、取出電極12aには箔状の接続端子17が、おのおのはんだ付け部15a、16a、17aで取り付けられている。
そして、接続端子14と15は同電位であり、外装ケース蓋18に設けられた電極端子18bに接続され、同様に同電位である接続端子16と17は電極端子18aに接続されている。接続端子14、15と、接続端子16、17は異電位となる。
この箔状の接続端子14〜17は、異電位間でショートしないように、図示していないスリーブで絶縁されている。
このようにして並列に接続されたコンデンサ素子11、12は、図1に示すように、静電容量の小さい方のコンデンサ素子12を下にして、外装ケース13に収納されている。
なお、本実施の形態では従来のリード線に代えて、箔状の金属板である接続端子を用いている。
これは、どの方向へでも曲げられる線状のリード線に比べて、箔状の金属板では厚み方向には曲がりやすいが、幅方向には変形しにくく、曲げた状態での位置固定が容易であり、したがって接続端子がふらつくことがなく、異なる電位の接続端子がクロスするようなことがないためである。
また、断面が丸形状のリード線と異なり、箔状の金属板では厚みが薄いため、はんだ付け部の厚みが低減でき、コンデンサの小型化に有利であるという特徴も有している。
このように構成した本実施の形態のコンデンサで、コンデンサ素子11、12の静電容量を(表1)のように種々変更したコンデンサと、図4に示す従来例のコンデンサ(コンデンサ素子41aと41bの静電容量が50μFで同じ)について、定格電圧500Vで静電容量が100μFのコンデンサ試料を作製した。
静電容量の変更については、巻回ターン数は同じで、取出電極間の長さを変えることにより変更した。この方法によれば、コンデンサ素子の外径が同一となるため、外装ケース13への収納効率ロスを生じることなく、平易な方法で静電容量を変更することができる。
次にこれらの試料各3個について、周囲温度50℃の無風状態で定格電圧(500V)の1.2倍の電圧(600V)を印加し、最も長い接続端子15の長さ方向の中心付近の温度を測定した。
この時のリップル電流は20Aであり、温度上昇目標値は15℃以下である。
これらの試料の温度測定結果を(表1)に合わせて示す。また温度上昇測定値をグラフとして図3に示す。
Figure 2009277828
(表1)および図3に示したように、2個のコンデンサ素子11、12の静電容量が1:2〜7:8の比率の範囲内で異なり、かつ2個のコンデンサ素子のうち静電容量の小さい方のコンデンサ素子が電極端子18a、18bから遠い位置に配置されている試料番号5〜7では温度上昇測定値は温度上昇目標値の15℃以下と低くなっている。
これに対して、静電容量比率が1:2〜7:8の範囲内であっても、静電容量の大きい方のコンデンサ素子が電極端子18a、18bから遠い位置に配置されている試料番号1では、温度上昇測定値が23℃と最も大きくなっている。
また、静電容量が小さい方のコンデンサ素子が電極端子18a、18bから遠い位置に配置されても、静電容量の比率が1:2〜7:8の範囲外である場合には、温度上昇値が目標値を超えて高くなっている。
以上の結果から明らかなように、2個のコンデンサ素子11、12が並列に接続されたコンデンサで、これら2個のコンデンサ素子の静電容量の比率が1:2〜7:8の範囲内で異なり、かつ静電容量の小さい方のコンデンサ素子が電極端子18a、18bから遠い位置に配置することにより、静電容量の小さい方のコンデンサ素子に流れる電流値は、もう一方の静電容量の大きなコンデンサ素子に流れる電流値よりも小さくすることができる。
これにより、このコンデンサ素子の底面側に接続され、最も電極端子から遠い位置にまで伸びる接続端子、すなわち最も長いため抵抗値が大きく、発熱量が大きな接続端子15に流れる電流を減少することができ、この接続端子15の発熱を抑制することができるため、コンデンサの温度上昇を低くすることができるものである。
なお、本実施の形態では金属化ポリプロピレンフィルムを用いた例を示したが、これに限定されるものではなく、金属化ポリエチレンフィルムや金属化ポリエステルフィルム等の他の金属化フィルムを用いてもよい。
また、両面に金属蒸着電極を形成した金属化フィルムと、金属蒸着電極を形成していない誘電体フィルムとを重ねて巻回して作製したコンデンサ素子の例を示したが、これに限定されるものではなく、誘電体フィルムの片面に金属蒸着電極を形成した金属化フィルムを2枚重ねて巻回したコンデンサ素子でもよい。
本発明のコンデンサは、並列接続され、静電容量の比率が1:2〜7:8の範囲内で異なる2個のコンデンサ素子のうち、静電容量の小さい方のコンデンサ素子を電極端子から遠い位置に配置したものである。この構成により、コンデンサ素子の底面側に接続され、最も電極端子から遠い位置にまで伸びる接続端子、すなわち最も長く抵抗値が大きい接続端子に流れる電流を減少させ、局所的な発熱を抑えて、信頼性の高いコンデンサを提供することができるため、各種電子機器、産業機器に使用されるコンデンサ等に有用である。
本発明の一実施の形態におけるコンデンサの内部構造を示す分解図 同コンデンサに用いるコンデンサ素子の一部拡大図 温度上昇測定結果を示すグラフ 従来のコンデンサの内部構造を示す透視図
符号の説明
11、12 コンデンサ素子
11a、11b、12a、12b 取出電極
13 外装ケース
14、15、16、17 箔状接続端子
14a、15a、16a、17a はんだ付け部
18 外装ケース蓋
18a、18b 電極端子
21、24 誘電体フィルム
22 金属蒸着電極
23 金属化フィルム

Claims (2)

  1. 誘電体フィルムに金属蒸着電極を形成した金属化フィルムを巻回してその両端部に取出電極を設けた2個のコンデンサ素子と、このコンデンサ素子を収納する外装ケースと、外装ケース蓋と、前記外装ケース蓋に設けた電極端子と、前記コンデンサ素子と前記電極端子を接続する接続端子とを有し、前記2個のコンデンサ素子が並列に接続されたコンデンサであって、前記2個のコンデンサ素子は静電容量の比率が1:2〜7:8の範囲内で異なり、かつ前記2個のコンデンサ素子のうち静電容量の小さい方のコンデンサ素子が前記電極端子から遠い位置に配置されていることを特徴とするコンデンサ。
  2. 前記2個のコンデンサ素子の静電容量は、前記コンデンサ素子の取出電極間の長さを変えることにより異ならせたことを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ。
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