JP2009277624A - 作用極の製造方法、作用極及び光電変換素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】金属グリッド配線を被覆する遮蔽層において、電解液から金属グリッド配線を十分に保護することができるとともに、光電変換効率の低下を防止した作用極を、簡便な方法で製造することが可能な作用極の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る作用極の製造方法は、透明導電性基板10上に配された金属グリッド配線21と、少なくとも金属グリッド配線を被覆する遮蔽層22とを備え、遮蔽層の上面22aが一様に平らになされている作用極の製造方法であって、少なくとも金属グリッド配線を被覆するように遮蔽層を印刷法により形成する工程と、離型性を有する平板60を透明導電性基板の上方にスペーサー61を介して配し、該平板によって遮蔽層の上面を押圧することで該上面を一様に平らにする工程と、遮蔽層の上面を一様に平らにした状態で遮蔽層を乾燥させる工程と、遮蔽層の乾燥後に平板を除去し焼成する工程と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】図2
【解決手段】本発明に係る作用極の製造方法は、透明導電性基板10上に配された金属グリッド配線21と、少なくとも金属グリッド配線を被覆する遮蔽層22とを備え、遮蔽層の上面22aが一様に平らになされている作用極の製造方法であって、少なくとも金属グリッド配線を被覆するように遮蔽層を印刷法により形成する工程と、離型性を有する平板60を透明導電性基板の上方にスペーサー61を介して配し、該平板によって遮蔽層の上面を押圧することで該上面を一様に平らにする工程と、遮蔽層の上面を一様に平らにした状態で遮蔽層を乾燥させる工程と、遮蔽層の乾燥後に平板を除去し焼成する工程と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】図2
Description
本発明は、金属グリッド配線を有する作用極の製造方法、作用極及び光電変換素子に関する。
環境問題・資源問題などを背景に、クリーンエネルギーとしての太陽電池が注目を集めている。しかしながら、従来のシリコン系太陽電池は、製造コストが高い、原料供給が不十分などの課題が残されており、大幅普及には至っていない。また、CIS系などの化合物系太陽電池は、極めて高い光電変換効率を示すなど優れた特徴を有しているが、コストや環境負荷などの問題がやはり大幅普及への障害となっている。
一方、色素増感型太陽電池は、安価で高い光電変換効率を得られる光電変換素子として着目されている(例えば、非特許文献1参照。)。この光電変換素子の一般的な構造としては、透明な導電性基板の上に、二酸化チタンなどの酸化物半導体ナノ粒子を用いた多孔膜を形成し、これに増感色素を担持させた半導体電極と、白金スパッタした導電性ガラスなどの対極とを組み合わせ、両極間にヨウ素・ヨウ化物イオンなどの酸化・還元種を含む有機電解液を電荷移送層として充填したものなどを挙げることができる。
このような光電変換素子では、半導体極をラフネスファクタ>1000という大きな比表面を有する多孔質構造とすることで光吸収率を高め、10%以上の光電変換効率も報告されている。コスト面でも、現行のシリコン系太陽電池の1/2〜1/6程度と予想されており、必ずしも複雑・大規模な製造設備を必要とせず、更に有害物質も含まないため、大量普及に対応できる安価・大量生産型太陽電池として、高い可能性を有するといえる。
ここで用いる透明基板としては、ガラス基板表面にスズ添加酸化インジウム(ITO)、フッ素添加酸化スズ(FTO)などの透明導電膜を予め蒸着、スパッタなどの手法により被覆したものが一般的である。
ここで用いる透明基板としては、ガラス基板表面にスズ添加酸化インジウム(ITO)、フッ素添加酸化スズ(FTO)などの透明導電膜を予め蒸着、スパッタなどの手法により被覆したものが一般的である。
しかしながら、ITOやFTOの比抵抗は10−4〜10−3Ω・cm程度と、銀、金といった金属の比抵抗の約100倍もの値を示すことから、市販されている透明導電性ガラスは抵抗値が高く、太陽電池に用いた場合、特に大面積セルとした場合に、光電変換効率の低下が著しくなる。透明導電性ガラスの抵抗を下げる手法としては、透明導電膜(ITO、FTOなど)の形成厚さを厚くすることが考えられるが、十分な抵抗値を得られるほどの厚さで膜形成すると透明導電膜による光吸収が大きくなって、入射光の窓材透過効率が著しく低下し、結果として、やはり太陽電池の光電変換効率が低下することになる。
このような問題点に対する解決策として、例えば、太陽電池の窓極などとして使用する透明導電性基板の表面に、開口率を著しく損なわない程度に金属配線を設け、基板の抵抗を下げようとする検討がなされている。また、このように基板表面に金属配線を設ける場合には、電解液による金属配線の腐食、金属配線からの電解液への逆電子移動を防止するため、少なくとも金属配線表面部分が、何らかの遮蔽層により保護されている必要がある。この遮蔽層の厚さに規定値があるわけではないが、回路表面を緻密に被覆する程度の厚さは備えていなければならない。
遮蔽層は、ガラス成分や耐熱セラミックスを含むものを用いることがある。例えば、前記耐熱セラミックスとして、アルミナ、ジルコニア、シリカの少なくとも1つを含むものを用いることができると提案されている。また前記遮蔽層は印刷法により形成することが好ましいとの提案がある。
しかしながら、上記遮蔽層をスクリーン印刷にて形成した場合、遮蔽層全体が印刷特有の膨隆を形成し、また遮蔽層の表面は細やかな凹凸が形成され平坦ではない。マクロスケールの山型が形成されると、光電変換素子に用いた場合に、必要以上に作用極と対極の極板間隔が開くことになり十分な光電変換効率が得られない。
なお、本願においては、サイズが0.1mm以上の場合を「マクロスケール」、0.1mmを下回る場合を「ミクロスケール」と呼ぶことにする。
O’ Regan B, Gratzel M. A low cost, high-efficiency solar cell based on dye-sensitized colloidal TiO2 films, Nature 1991;353:737-739
なお、本願においては、サイズが0.1mm以上の場合を「マクロスケール」、0.1mmを下回る場合を「ミクロスケール」と呼ぶことにする。
O’ Regan B, Gratzel M. A low cost, high-efficiency solar cell based on dye-sensitized colloidal TiO2 films, Nature 1991;353:737-739
本発明は、このような従来の実情に鑑みて考案されたものであり、金属グリッド配線を被覆する遮蔽層において、電解液から金属グリッド配線を十分に保護することができるとともに、光電変換効率の低下を防止した作用極を、簡便な方法で製造することが可能な作用極の製造方法を提供することを第一の目的とする。
また、本発明は、金属グリッド配線を被覆する遮蔽層において、電解液から金属グリッド配線を十分に保護することができるとともに、光電変換効率の低下を防止した作用極を提供することを第二の目的とする。
また、本発明は、作用極の金属グリッド配線を被覆する遮蔽層において、電解液から金属グリッド配線を十分に保護することができるとともに、光電変換効率の低下を防止した光電変換素子を提供することを第三の目的とする。
また、本発明は、金属グリッド配線を被覆する遮蔽層において、電解液から金属グリッド配線を十分に保護することができるとともに、光電変換効率の低下を防止した作用極を提供することを第二の目的とする。
また、本発明は、作用極の金属グリッド配線を被覆する遮蔽層において、電解液から金属グリッド配線を十分に保護することができるとともに、光電変換効率の低下を防止した光電変換素子を提供することを第三の目的とする。
本発明の請求項1に記載の作用極の製造方法は、透明導電性基板と、前記透明導電性基板上に配された金属グリッド配線と、少なくとも前記金属グリッド配線を被覆する遮蔽層と、を備え、前記遮蔽層の上面が一様に平らになされている作用極の製造方法であって、少なくとも前記金属グリッド配線を被覆するように、前記遮蔽層を印刷法により形成する工程と、離型性を有する平板を、前記透明導電性基板の上方にスペーサーを介して配し、該平板によって前記遮蔽層の上面を押圧することで、該上面を一様に平らにする工程と前記遮蔽層の上面を一様に平らにした状態で前記遮蔽層を乾燥させる工程と、前記遮蔽層の乾燥後に、前記平板を除去し、焼成する工程と、を備えたことを特徴とする。
本発明の請求項2に記載の作用極の製造方法は、請求項1において、前記スペーサーの厚みを、前記金属グリッド配線の高さの1.01倍〜3倍の範囲とすることを特徴とする。
本発明の請求項3に記載の作用極の製造方法は、請求項1又は2において、前記遮蔽層を、ガラスフリット、又はケイ素を含有するセラミックスから形成することを特徴とする。
本発明の請求項4に記載の作用極は、透明導電性基板と、前記透明導電性基板上に配された金属グリッド配線と、少なくとも前記金属グリッド配線を被覆する遮蔽層と、前記金属グリッド配線の各配線間に配された酸化物半導体多孔質層と、を備え、前記遮蔽層の上面が一様に平らになされていることを特徴とする。
本発明の請求項5に記載の光電変換素子は、作用極、対極、及びこれらの間に封入された電解質からなる電解質層、から構成され、前記作用極は、透明導電性基板と、前記透明導電性基板上に配された金属グリッド配線と、少なくとも前記金属グリッド配線を被覆する遮蔽層と、前記金属グリッド配線の各配線間に配された酸化物半導体多孔質層と、を備え、前記遮蔽層の上面が一様に平らになされていることを特徴とする。
本発明の請求項2に記載の作用極の製造方法は、請求項1において、前記スペーサーの厚みを、前記金属グリッド配線の高さの1.01倍〜3倍の範囲とすることを特徴とする。
本発明の請求項3に記載の作用極の製造方法は、請求項1又は2において、前記遮蔽層を、ガラスフリット、又はケイ素を含有するセラミックスから形成することを特徴とする。
本発明の請求項4に記載の作用極は、透明導電性基板と、前記透明導電性基板上に配された金属グリッド配線と、少なくとも前記金属グリッド配線を被覆する遮蔽層と、前記金属グリッド配線の各配線間に配された酸化物半導体多孔質層と、を備え、前記遮蔽層の上面が一様に平らになされていることを特徴とする。
本発明の請求項5に記載の光電変換素子は、作用極、対極、及びこれらの間に封入された電解質からなる電解質層、から構成され、前記作用極は、透明導電性基板と、前記透明導電性基板上に配された金属グリッド配線と、少なくとも前記金属グリッド配線を被覆する遮蔽層と、前記金属グリッド配線の各配線間に配された酸化物半導体多孔質層と、を備え、前記遮蔽層の上面が一様に平らになされていることを特徴とする。
本発明では、平板によって遮蔽層の上面を押圧することで、該上面を一様に平らにしているので、マクロスケールでは前記遮蔽層の山型を平滑化することができる。これにより、本発明により得られる作用極を光電変換素子に用いた場合に、作用極と対極の極板間距離が必要以上に広がるのを抑え、フィルファクタ(FF)の低下に起因する光電変換効率の低下を抑えることができる。また、ミクロスケールでは遮蔽層表面の凹凸を抑制することができる。これにより、遮蔽層の焼成過程でボイドの発生を防止し、電解液から金属グリッド配線を十分に保護することができる。その結果、本発明では金属グリッド配線を十分に保護することができるとともに、光電変換効率の低下を防止した作用極を、簡便な方法で製造することが可能な作用極の製造方法を提供することができる。
また、本発明では、遮蔽層の上面が一様に平らになされているので、マクロスケールでは前記遮蔽層の山型が平滑化されたものとなる。これにより、本発明の作用極を光電変換素子に用いた場合に、作用極と対極の極板間距離が必要以上に広がるのを抑え、フィルファクタの低下に起因する光電変換効率の低下を抑えることができる。また、ミクロスケールでは前記遮蔽層表面の凹凸が抑制されたものとなる。これにより、金属グリッド配線を十分に保護することができる。その結果、本発明では金属グリッド配線を十分に保護することができるとともに、光電変換効率の低下を防止した作用極を実現することができる。
また、本発明では、作用極において、遮蔽層の上面が一様に平らになされているので、マクロスケールでは前記遮蔽層の山型が平滑化されたものとなる。これにより、作用極と対極の極板間距離が必要以上に広がるのを抑え、フィルファクタの低下に起因する光電変換効率の低下を抑えることができる。また、ミクロスケールでは前記遮蔽層表面の凹凸が抑制されたものとなる。これにより、金属グリッド配線を十分に保護することができる。その結果、本発明では金属グリッド配線を十分に保護することができるとともに、光電変換効率の低下を防止した光電変換素子を実現することができる。
以下、本発明に係る作用極及び光電変換素子の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の作用極の一実施形態を模式的に示す断面図である。
この作用極20は、透明導電性基板10と、前記透明導電性基板10上に配された金属グリッド配線21と、少なくとも前記金属グリッド配線21を被覆する遮蔽層22と、金属グリッド配線21の各配線間に配された酸化物半導体多孔質層23と、を備える。
この作用極20は、透明導電性基板10と、前記透明導電性基板10上に配された金属グリッド配線21と、少なくとも前記金属グリッド配線21を被覆する遮蔽層22と、金属グリッド配線21の各配線間に配された酸化物半導体多孔質層23と、を備える。
そして本発明の作用極20は、前記遮蔽層22の上面22aが一様に平らになされていることを特徴とする。
ここで、本明細書中、遮蔽層22の上面22aが「一様に平らになされている」とは、上面22aの表面をmm単位で観測した際に、凹凸が緩和された状態(この状態を、本発明では、「ラフネスが一定(高低差がほぼゼロ)」とも呼ぶ。)であることを意味する。
ここで、本明細書中、遮蔽層22の上面22aが「一様に平らになされている」とは、上面22aの表面をmm単位で観測した際に、凹凸が緩和された状態(この状態を、本発明では、「ラフネスが一定(高低差がほぼゼロ)」とも呼ぶ。)であることを意味する。
本発明では、遮蔽層22の上面22aが一様に平らになされているので、マクロスケールでは前記遮蔽層22の山型が平滑化されたものとなる。これにより、本発明の作用極20を光電変換素子に用いた場合に、作用極と対極の極板間距離が必要以上に広がるのを抑え、フィルファクタの低下に起因する光電変換効率の低下を抑えることができる。また、ミクロスケールでは前記遮蔽層22表面の凹凸が抑制されたものとなる。これにより、金属グリッド配線21を十分に保護することができる。その結果、本発明の作用極20は、金属グリッド配線21を十分に保護することができるとともに、光電変換効率の低下を防止することができる。
透明導電性基板10は、透明基材11、および、その一方の面11aに形成された透明導電膜12から概略構成されている。
透明基材11としては、光透過性の素材からなる基板が用いられ、ガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホンなど、通常、光電変換素子の透明基材として用いられるものであればいかなるものでも用いることができる。透明基材11は、これらの中から電解液への耐性などを考慮して適宜選択される。また、透明基材11としては、用途上、できる限り光透過性に優れる基板が好ましく、透過率が90%以上の基板がより好ましい。
透明基材11としては、光透過性の素材からなる基板が用いられ、ガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホンなど、通常、光電変換素子の透明基材として用いられるものであればいかなるものでも用いることができる。透明基材11は、これらの中から電解液への耐性などを考慮して適宜選択される。また、透明基材11としては、用途上、できる限り光透過性に優れる基板が好ましく、透過率が90%以上の基板がより好ましい。
透明導電膜12は、透明基材11に導電性を付与するために、その一方の面11aに形成された薄膜である。本発明では、透明導電性基板10の透明性を著しく損なわない構造とするために、透明導電膜12は、導電性金属酸化物からなる薄膜であることが好ましい。
透明導電膜12を形成する導電性金属酸化物としては、例えば、スズ添加酸化インジウム(ITO)、フッ素添加酸化スズ(FTO)、酸化スズ(SnO2 )などが用いられる。
透明導電膜12を形成する導電性金属酸化物としては、例えば、スズ添加酸化インジウム(ITO)、フッ素添加酸化スズ(FTO)、酸化スズ(SnO2 )などが用いられる。
これらの中でも、成膜が容易かつ製造コストが安価であるという観点から、ITO、FTOが好ましい。また、透明導電膜12は、ITOのみからなる単層の膜、または、ITOからなる膜にFTOからなる膜が積層されてなる積層膜であることが好ましい。
透明導電膜12を、ITOのみからなる単層の膜、または、ITOからなる膜にFTOからなる膜が積層されてなる積層膜とすることにより、可視域における光の吸収量が少なく、導電率が高い透明導電性基板10を構成することができる。
透明導電膜12を、ITOのみからなる単層の膜、または、ITOからなる膜にFTOからなる膜が積層されてなる積層膜とすることにより、可視域における光の吸収量が少なく、導電率が高い透明導電性基板10を構成することができる。
そして、透明導電性基板10の透明導電膜12上には、金属薄膜からなる金属グリッド配線21が配されている。この金属グリッド配線21は、金、銀、白金、銅、アルミニウム、ニッケル、チタン、半田などの金属の1種、又は2種以上からなる合金を、配線として形成したものであり、透明導電膜12に電気的に接続され、遮蔽層22により絶縁被覆されている。金属グリッド配線21は、この作用極20を光電変換素子などに用いた際に、酸化物半導体多孔質層23で発生した電子の通路として、上記透明導電膜12とともに働くものである。
金属グリッド配線21のパターン形状は、特に限定されるものではなく、例えば格子状にしたり、縞状、短冊状、櫛型などのパターン形状にしたりすることができる。
透明導電性基板10の光透過性を著しく損ねないためには、例えば、各配線の幅を1000μm以下と、細くすることが望ましい。また、金属グリッド配線21の各配線の厚さ(高さ)は、特に限定されないが、例えば1〜20μm、好ましくは3〜10μmである。この厚さが1μm未満では導電性向上の効果が少なく、20μmを越えてもかかる効果は頭打ちとなる。
金属グリッド配線21の比抵抗は、少なくとも9×10−5Ω・cm以下であることが好ましく、5×10−5Ω・cm以下であることがより好ましい。
透明導電性基板10の光透過性を著しく損ねないためには、例えば、各配線の幅を1000μm以下と、細くすることが望ましい。また、金属グリッド配線21の各配線の厚さ(高さ)は、特に限定されないが、例えば1〜20μm、好ましくは3〜10μmである。この厚さが1μm未満では導電性向上の効果が少なく、20μmを越えてもかかる効果は頭打ちとなる。
金属グリッド配線21の比抵抗は、少なくとも9×10−5Ω・cm以下であることが好ましく、5×10−5Ω・cm以下であることがより好ましい。
さらに、金属グリッド配線21は、遮蔽層22でその全体が被覆されている。この例では、遮蔽層22が金属グリッド配線21を被覆するように、すなわち金属グリッド配線21の各配線の上面および両側面が遮蔽層22で被覆されている。
この遮蔽層22は、この作用極20を光電変換素子などに用いた場合に、電解液によって金属グリッド配線21が侵食されることを防止するためのバリアーの機能を有する。
この遮蔽層22は、この作用極20を光電変換素子などに用いた場合に、電解液によって金属グリッド配線21が侵食されることを防止するためのバリアーの機能を有する。
遮蔽層22としては、例えば、ガラスや、ポリイミド(PI)などの各種樹脂が挙げられる。その中でも、550℃以下で焼成可能な低融点ガラスからなり、透明基板10の歪点よりも20℃以上低い温度で焼結されたものが好ましい。遮蔽層22は、非晶質あるいは結晶性、更には複合系の低融点ガラス、例えば、PbO−P2O5−SnF2 やPbO−SiO2−B2O5 などの酸化鉛を含む低融点ガラス、非鉛系の低融点ガラスから選ばれる1種または複数種の低融点ガラスが焼結されたものとすることができる。特に、本実施形態においては、遮蔽層22を、ガラスフリット、又はケイ素を含有するセラミックスから形成することが好ましい。
また、遮蔽層22は、単層であってもよいが複数層としてもよい。遮蔽層22を複数層とすることで、ピンホールのない緻密な遮蔽層22をより簡単に形成することができる。遮蔽層22を複数層とする場合には、例えば溶融温度の異なる2種以上の低融点ガラスを用いることができる。また、遮蔽層22を複数層とする場合、1種類の低融点ガラスからなる遮蔽層を複数層形成してもよいし、あるいはガラスと樹脂などを含む複合材料としても構わない。
また、遮蔽層22の厚みは、金属グリッド配線21を確実に遮蔽できればよく、特に限定されないが、例えば、金属グリッド配線21の上面において10〜100μm、金属グリッド配線21の側面において10〜100μmとすることが好ましい。遮蔽層22の厚みが上記範囲未満である場合、金属グリッド配線21を確実に遮蔽できないおそれが生じる。また、遮蔽層22の厚みが上記範囲を越える場合、作用極20を用いて光電変換素子を形成した場合に、素子の一部または全面において電極間距離が長くなるため好ましくない。
そして、特に本発明の作用極20においては、遮蔽層22の上面22aが一様に平らになされているので、マクロスケールでは前記遮蔽層22の山型が平滑化されたものとなる。これにより、本発明の作用極20を光電変換素子に用いた場合に、作用極と対極の極板間距離が必要以上に広がるのを抑え、フィルファクタの低下に起因する光電変換効率の低下を抑えることができる。また、ミクロスケールでは前記遮蔽層22表面の凹凸が抑制されたものとなる。これにより、金属グリッド配線21を十分に保護することができる。その結果、本発明の作用極20は、金属グリッド配線21を十分に保護することができるとともに、光電変換効率の低下を防止することができる。
酸化物半導体多孔質層23は、酸化チタン(TiO2)、酸化スズ(SnO2)、酸化タングステン(WO3 )、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニオブ(Nb2O5)などの1種または複数種を複合させた酸化物半導体微粒子からなり、が結合されて構成され、内部に無数の微細な空孔を有し、表面に微細な凹凸を有する多孔質の薄膜である。酸化物半導体微粒子の平均粒径は、1〜1000nmの範囲内が好ましい。また、酸化物半導体多孔膜2の厚さは、0.5〜50μm程度が好ましい。この酸化物半導体多孔質層23は、図に示すように、金属グリッド配線21の各配線間に対応する凹部を埋めるようにして形成されている。
また、この酸化物半導体多孔質層23には、光増感色素が坦持されている。この光増感色素には、ビピリジン構造、ターピリジン構造などの配位子を含むルテニウム錯体、ポルフィリン、フタロシアニンなどの金属錯体、エオシン、ローダミン、メロシアニンなどの有機色素などが用いられ、用途、金属酸化物半導体の種類等に応じて適宜選択することができる。
次に、本発明の作用極の製造方法について説明する。
図2は、本発明の作用極の製造方法を工程順に示す断面図である。
本発明の作用極の製造方法は、少なくとも前記金属グリッド配線21を被覆するように、前記遮蔽層22を印刷法により形成する工程と、離型性を有する平板を、前記透明導電性基板10の上方にスペーサーを介して配し、該平板によって前記遮蔽層22の上面22aを押圧することで、該上面22aを一様に平らにする工程と前記遮蔽層22の上面22aを一様に平らにした状態で前記遮蔽層22を乾燥させる工程と、前記遮蔽層22の乾燥後に、前記平板を除去し、焼成する工程と、を備えたことを特徴とする。
図2は、本発明の作用極の製造方法を工程順に示す断面図である。
本発明の作用極の製造方法は、少なくとも前記金属グリッド配線21を被覆するように、前記遮蔽層22を印刷法により形成する工程と、離型性を有する平板を、前記透明導電性基板10の上方にスペーサーを介して配し、該平板によって前記遮蔽層22の上面22aを押圧することで、該上面22aを一様に平らにする工程と前記遮蔽層22の上面22aを一様に平らにした状態で前記遮蔽層22を乾燥させる工程と、前記遮蔽層22の乾燥後に、前記平板を除去し、焼成する工程と、を備えたことを特徴とする。
本発明では、平板によって遮蔽層22の上面22aを押圧することで、該上面22aを一様に平らにしているので、マクロスケールでは前記遮蔽層22の山型を平滑化することができる。これにより、本発明により得られる作用極20を光電変換素子に用いた場合に、作用極20と対極の極板間距離が必要以上に広がるのを抑え、フィルファクタの低下に起因する光電変換効率の低下を抑えることができる。またミクロスケールでは前記遮蔽層22表面の凹凸を抑制することができる。これにより、遮蔽層22の焼成過程でボイドの発生を防止し、電解液から金属グリッド配線21を十分に保護することができる。その結果、本発明では金属グリッド配線21を十分に保護することができるとともに、光電変換効率の低下を防止した作用極20を、簡便な方法で製造することが可能である。
以下、各工程ごとに詳しく説明する。
以下、各工程ごとに詳しく説明する。
(1)まず、図2(a)に示すように、透明導電性基板10上に金属グリッド配線21を形成する。
まず、ガラス等からなる透明基材11上に、ITO、FTOなどの透明導電膜12を金属グリッド配線21の形成領域より広い領域に亘って形成する。透明導電膜12を形成する方法としては、透明導電膜12の材料に応じた公知の適切な方法を用いればよいが、例えば、スパッタ法、蒸着法、SPD法(スプレー熱分解法)、CVD法などが挙げられる。
まず、ガラス等からなる透明基材11上に、ITO、FTOなどの透明導電膜12を金属グリッド配線21の形成領域より広い領域に亘って形成する。透明導電膜12を形成する方法としては、透明導電膜12の材料に応じた公知の適切な方法を用いればよいが、例えば、スパッタ法、蒸着法、SPD法(スプレー熱分解法)、CVD法などが挙げられる。
次いで、透明導電膜12上に所定形状の金属グリッド配線21を形成する。金属グリッド配線21を形成する方法としては、例えば、金属グリッド配線21の材料である導電粒子となる金属粉とガラス微粒子などの結合剤を配合してペースト状にし、これをスクリーン印刷法、メタルマスク法、インクジェット法などの印刷法を用いて所定のパターンを形成するように塗膜し、加熱、焼成によって導電粒子を融着させる方法が挙げられる。この他、スパッタ法、蒸着法、メッキ法などの形成方法を用いることもできる。
(2)次に、図2(b)に示すように、少なくとも前記金属グリッド配線21を被覆するように、前記遮蔽層22を印刷法により形成する。
金属グリッド配線21が形成された領域の上に、低融点ガラス等からなるペーストを印刷法などによって塗布する。特に、本実施形態では、遮蔽層22の材料として、ガラスフリット、又はケイ素を含有するセラミックスを用いることが好ましい。
金属グリッド配線21が形成された領域の上に、低融点ガラス等からなるペーストを印刷法などによって塗布する。特に、本実施形態では、遮蔽層22の材料として、ガラスフリット、又はケイ素を含有するセラミックスを用いることが好ましい。
(3)次に、図2(c)に示すように、前記透明導電性基板10上であって、前記金属グリッド配線21の配線間に、酸化物半導体多孔質層23を形成する。
酸化物半導体多孔質層23を形成する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、TiO2 等の酸化物半導体微粒子を所望の分散媒に分散させた分散液、あるいは、ゾル−ゲル法により調整できるコロイド溶液を、必要に応じて所望の添加剤を添加した後、印刷法など公知の塗布により塗布する方法が挙げられる。
酸化物半導体多孔質層23を形成する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、TiO2 等の酸化物半導体微粒子を所望の分散媒に分散させた分散液、あるいは、ゾル−ゲル法により調整できるコロイド溶液を、必要に応じて所望の添加剤を添加した後、印刷法など公知の塗布により塗布する方法が挙げられる。
(4)次に、図2(d)に示すように、離型性を有する平板60を、前記透明導電性基板10の上方にスペーサー61を介して配し、該平板60によって前記遮蔽層22の上面22aを押圧することで、該上面22aを一様に平らにする。
ここで用いられる「離型性を有する平板60」とは、遮蔽層22の押圧に際し、該遮蔽層22の上面22aを一様に平らにするに足る平面性と、遮蔽層22が該平面から容易に剥離できるだけの離型性を有するものであれば特に限定されるものでなく、例えば表面に離型処理が施された各種平板や、テフロン(登録商標)シート、ポリイミドフィルム等を用いることができる。また、その厚みについても、前記目的を達成できるものであれば、特に限定されない。
ここで用いられる「離型性を有する平板60」とは、遮蔽層22の押圧に際し、該遮蔽層22の上面22aを一様に平らにするに足る平面性と、遮蔽層22が該平面から容易に剥離できるだけの離型性を有するものであれば特に限定されるものでなく、例えば表面に離型処理が施された各種平板や、テフロン(登録商標)シート、ポリイミドフィルム等を用いることができる。また、その厚みについても、前記目的を達成できるものであれば、特に限定されない。
このとき、透明導電性基板10と前記平板との間に配されるスペーサー61としては、特に限定されるものではないが、例えばアルミ等の金属からなるものを用いることができる。
また、スペーサー61の厚みを、前記金属グリッド配線21の高さの1.01倍〜3倍の範囲とすることが好ましい。スペーサー61の厚みが金属グリッド配線21の高さの1.01倍よりも薄いと、押圧により平らにされた遮蔽層22の厚みが薄くなってしまい、金属グリッド配線21を十分に保護することが難しくなってしまう。また、スペーサー61の厚みが金属グリッド配線21の高さの3倍よりも厚いと、押圧によっても遮蔽層22の上面22aを十分に平らにすることができず、本発明の効果を十分に得ることができない。
また、スペーサー61の厚みを、前記金属グリッド配線21の高さの1.01倍〜3倍の範囲とすることが好ましい。スペーサー61の厚みが金属グリッド配線21の高さの1.01倍よりも薄いと、押圧により平らにされた遮蔽層22の厚みが薄くなってしまい、金属グリッド配線21を十分に保護することが難しくなってしまう。また、スペーサー61の厚みが金属グリッド配線21の高さの3倍よりも厚いと、押圧によっても遮蔽層22の上面22aを十分に平らにすることができず、本発明の効果を十分に得ることができない。
(5)次に、前記遮蔽層22の上面22aを一様に平らにした状態で遮蔽層22(及び酸化物半導体多孔質層23)を乾燥させる。
乾燥の条件としては、特に限定されるものではないが、例えば、130〜160℃の温度にて、20分〜1時間かけて行うとよい。
乾燥の条件としては、特に限定されるものではないが、例えば、130〜160℃の温度にて、20分〜1時間かけて行うとよい。
(6)次に、図2(e)に示すように、遮蔽層22(及び酸化物半導体多孔質層23)の乾燥後に、前記平板を除去する。そして、前記遮蔽層22(及び酸化物半導体多孔質層23)を焼成する。
低融点ガラス等からなる遮蔽層22の焼結は、透明基板10の歪点よりも20℃以上低い熱処理温度で行われることが望ましい。低融点ガラスの熱処理温度と透明基板10の歪点との差が20℃未満であると、熱処理温度が制御しにくくなり、熱処理温度のばらつきが透明基板10に変形や割れといった悪影響を与えるおそれが生じる。また、低融点ガラスの熱処理温度と基材10の歪点との差が過剰に大きい場合には、使用可能な低融点ガラスが少なくなり遮蔽層22の材料の選択肢が狭くなる。
低融点ガラス等からなる遮蔽層22の焼結は、透明基板10の歪点よりも20℃以上低い熱処理温度で行われることが望ましい。低融点ガラスの熱処理温度と透明基板10の歪点との差が20℃未満であると、熱処理温度が制御しにくくなり、熱処理温度のばらつきが透明基板10に変形や割れといった悪影響を与えるおそれが生じる。また、低融点ガラスの熱処理温度と基材10の歪点との差が過剰に大きい場合には、使用可能な低融点ガラスが少なくなり遮蔽層22の材料の選択肢が狭くなる。
また、遮蔽層22の熱処理温度は、例えば400℃〜550℃、より好ましくは、430℃〜530℃に調整される。遮蔽層22の熱処理温度が550℃を越えると、透明基材11に悪影響を与えるおそれが生じる。また、遮蔽層22の熱処理温度が400℃未満であると、遮蔽層22の材料の選択肢が狭くなる。
また、遮蔽層22の焼成装置としては、公知の適切な方法を用いることができ、例えば、熱風循環オーブンやベルト炉を用いることができる。
また、遮蔽層22の焼成装置としては、公知の適切な方法を用いることができ、例えば、熱風循環オーブンやベルト炉を用いることができる。
(6)最後に、酸化物半導体多孔質層23に対して色素担持を行う。
色素担持用の色素溶液は、例えばアセトニトリルとt−ブタノールを容積比で1:1とした溶媒に対して極微量のN719粉末を加えて調整したものを予め準備しておく。
シャーレ状の容器内に入れた色素溶媒に、別途電気炉にて120〜150℃程度に加熱処理した多孔質酸化物半導体層を浸した状態とし、暗所にて一昼夜(およそ20時間)浸漬する。その後、色素溶液から取り出した酸化物半導体多孔質層23は、アセトニトリルとt−ブタノールからなる混合溶液を用い洗浄する。
以上のようにして、図1に示したような作用極20が得られる。
色素担持用の色素溶液は、例えばアセトニトリルとt−ブタノールを容積比で1:1とした溶媒に対して極微量のN719粉末を加えて調整したものを予め準備しておく。
シャーレ状の容器内に入れた色素溶媒に、別途電気炉にて120〜150℃程度に加熱処理した多孔質酸化物半導体層を浸した状態とし、暗所にて一昼夜(およそ20時間)浸漬する。その後、色素溶液から取り出した酸化物半導体多孔質層23は、アセトニトリルとt−ブタノールからなる混合溶液を用い洗浄する。
以上のようにして、図1に示したような作用極20が得られる。
次に、本発明の光電変換素子50について説明する。
図3は、本発明に係る光電変換素子50の一実施形態を模式的に示す断面図である。
この光電変換素子50は、上述したような本発明の作用極20を用いたものであり、作用極20と、対極30と、これらの間に封入された電解質からなる電解質層40と、から概略構成される。
光電変換素子50において、電解質層40を作用極20と対極30で挟んでなる積層体が、その外周部が封止部材51によって接着、一体化されて色素増感型の光電変換素子として機能する。
図3は、本発明に係る光電変換素子50の一実施形態を模式的に示す断面図である。
この光電変換素子50は、上述したような本発明の作用極20を用いたものであり、作用極20と、対極30と、これらの間に封入された電解質からなる電解質層40と、から概略構成される。
光電変換素子50において、電解質層40を作用極20と対極30で挟んでなる積層体が、その外周部が封止部材51によって接着、一体化されて色素増感型の光電変換素子として機能する。
この例での対極30は、例えばポリイミド、ポリエチレンテレフタレートなどのプラスチックフィルムの一方の面に銅箔、ニッケル箔などの金属箔を積層した金属箔積層フィルム31の金属箔の表面に、白金、金などの導電薄膜32を蒸着、スパッタなどにより形成したものが用いられ、これの導電薄膜が素子の内面側になるように配置されて、この例の光電変換素子50となっている。
また、対極30としては、これ以外に、金属板などの導電性基板あるいはガラス板などの非伝導性基板上に白金、金、炭素などの導電膜を形成したものを用いてもよい。また、p型半導体をホール輸送層とする場合には、p型半導体が固体であるため、この上に直接白金などの導電薄膜を蒸着、スパッタなどにより形成してこの導電薄膜を対極30とすることもできる。
また、対極30としては、これ以外に、金属板などの導電性基板あるいはガラス板などの非伝導性基板上に白金、金、炭素などの導電膜を形成したものを用いてもよい。また、p型半導体をホール輸送層とする場合には、p型半導体が固体であるため、この上に直接白金などの導電薄膜を蒸着、スパッタなどにより形成してこの導電薄膜を対極30とすることもできる。
この対極30と作用極20との間には電解液が充填されて電解質層40となっている。この電解液としては、レドックス対を含む非水系電解液であれば、特に限定されるものではない。溶媒としては、例えばアセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、γ−ブチロラクトン、メトキシプロピオニトリルなどが用いられる。
レドックス対としては、例えばヨウ素/ヨウ素イオン、臭素/臭素イオンなどの組み合わせを選ぶことができ、これを塩として添加する場合の対イオンとしては、上記レドックス対にリチウムイオン、テトラアルキルイオン、イミダゾリウムイオンなどを用いることができる。また、必要に応じてヨウ素などを添加してもよい。また、このような電解液を適当な高分子マトリックスによりゲル化させた固体状のものを用いてもよい。
レドックス対としては、例えばヨウ素/ヨウ素イオン、臭素/臭素イオンなどの組み合わせを選ぶことができ、これを塩として添加する場合の対イオンとしては、上記レドックス対にリチウムイオン、テトラアルキルイオン、イミダゾリウムイオンなどを用いることができる。また、必要に応じてヨウ素などを添加してもよい。また、このような電解液を適当な高分子マトリックスによりゲル化させた固体状のものを用いてもよい。
また、電解質層40に代えて、p型半導体からなるホール輸送層を用いてもよい。このp型半導体には、例えばヨウ化銅、チオシアン銅などの1価銅化合物やポリピロールなどの導電性高分子を用いることができ、なかでもヨウ化銅が好ましい。このp型半導体からなる固体のホール輸送層やゲル化した電解質を用いたものでは、電解液の漏液のおそれがない。
封止部材51としては、透明導電性基板10および対極30に対する接着性に優れるものであれば特に限定されないが、例えば、分子鎖中にカルボン酸基を有する熱可塑性樹脂からなる接着剤などが望ましく、具体的には、ハイミラン(三井デュポンリケミカル社製)、バイネル(三井デュポンリケミカル社製)などが挙げられる。これら以外に、封止部材51としては、アロンアルファ(東亞合成社製)を用いても構わない。
このような構成の作用極20にあっては、電気伝導性が高い金属薄膜からなる金属グリッド配線21が設けられているので、透明導電性基板10全体としての電気抵抗値が低くなり、光電変換素子に用いた場合には、光電変換効率が高いものとなる。
また、低抵抗の金属グリッド配線21が存在しているので、透明性の劣る透明導電膜12の厚さを薄くでき、これの透明性を高めることができ、金属グリッド配線21の存在により光が遮断されることがないことにも起因して、光の透過量が増加し、光電変換素子に用いた際に、酸化物半導体多孔質層23に入射される光が増加して、これによっても光電変換効率が向上する。さらに、光電変換素子などに用いた際に、遮蔽層22が設けられているため、金属からなる金属グリッド配線21が電解液に浸食されることがない。
また、低抵抗の金属グリッド配線21が存在しているので、透明性の劣る透明導電膜12の厚さを薄くでき、これの透明性を高めることができ、金属グリッド配線21の存在により光が遮断されることがないことにも起因して、光の透過量が増加し、光電変換素子に用いた際に、酸化物半導体多孔質層23に入射される光が増加して、これによっても光電変換効率が向上する。さらに、光電変換素子などに用いた際に、遮蔽層22が設けられているため、金属からなる金属グリッド配線21が電解液に浸食されることがない。
特に、本発明の光電変換素子50では、作用極20において、遮蔽層22の上面22aが一様に平らになされているので、マクロスケールでは前記遮蔽層22の山型が平滑化されたものとなる。これにより、作用極20と対極30の極板間距離が必要以上に広がるのを抑え、フィルファクタの低下に起因する光電変換効率の低下を抑えることができる。また、ミクロスケールでは前記遮蔽層22表面の凹凸が抑制されたものとなる。これにより、金属グリッド配線21を十分に保護することができる。その結果、本発明の光電変換素子50では、金属グリッド配線21を十分に保護することができるとともに、光電変換効率の低下が防止されたものとなる。
以上、本発明の作用極の製造方法、作用極及び光電変換素子について説明してきたが、本発明は上記の例に限定されるものではなく、必要に応じて適宜変更が可能である。
以下のようにして作用極及び光電変換素子を作製し、その特性を評価した。
(実施例1)
まず、透明導電性基板としてFTOガラス基板を用意し、該FTOガラス基板上に、銀からなるグリッド配線を印刷法によって形成した。その際、グリッド配線の厚みは100〜500μmであった。また、グリッド配線の配線間に酸化チタンペーストを印刷した。
次に、前記金属グリッド配線を被覆するように、福田金属箔粉工業製GP101のガラスペーストからなる遮蔽層を印刷法によって形成した。
その後、厚さ200μmのアルミ板からなるスペーサーを介して離型性平板を前記遮蔽層の上に配した。離型性平板としては、日本バルカー工業(株)製テフロン(登録商標)シート(厚さ3mm)を用いた。その状態で130℃で20分乾燥させた。その後、前記平板を除去し、530℃で2時間焼成した。これにより図1に示すような、表面が一様に平らな遮蔽層を有する作用極が得られた。
(実施例1)
まず、透明導電性基板としてFTOガラス基板を用意し、該FTOガラス基板上に、銀からなるグリッド配線を印刷法によって形成した。その際、グリッド配線の厚みは100〜500μmであった。また、グリッド配線の配線間に酸化チタンペーストを印刷した。
次に、前記金属グリッド配線を被覆するように、福田金属箔粉工業製GP101のガラスペーストからなる遮蔽層を印刷法によって形成した。
その後、厚さ200μmのアルミ板からなるスペーサーを介して離型性平板を前記遮蔽層の上に配した。離型性平板としては、日本バルカー工業(株)製テフロン(登録商標)シート(厚さ3mm)を用いた。その状態で130℃で20分乾燥させた。その後、前記平板を除去し、530℃で2時間焼成した。これにより図1に示すような、表面が一様に平らな遮蔽層を有する作用極が得られた。
この作用極の外周にハイミランを口型に融着させ、前記酸化チタンに色素を担持させた。さらにスパッタ法によりプラチナ膜を設けたチタン箔を対極として貼り合わせ、20kgf/cm2の圧力をかけながら105℃で1時間プレスして積層体を形成した。
作用極に予め形成してある貫通孔から電解液を注入し、前記貫通孔を封止することで図3に示したような色素増感型光電変換素子を作製した。
作用極に予め形成してある貫通孔から電解液を注入し、前記貫通孔を封止することで図3に示したような色素増感型光電変換素子を作製した。
(実施例2〜実施例6)
スペーサーの厚み、離型性基板の種類を後掲する表1に示したものとしたこと以外は、実施例1と同様にして作用極及び光電変換素子を作製した。
スペーサーの厚み、離型性基板の種類を後掲する表1に示したものとしたこと以外は、実施例1と同様にして作用極及び光電変換素子を作製した。
(比較例1)
まず、透明導電性基板であるFTOガラス基板上に、銀からなるグリッド配線を印刷法によって形成した。また、グリッド配線の配線間に酸化チタンペーストを印刷した。
次に、前記金属グリッド配線を被覆するように、福田金属箔粉工業製GP101のガラスペーストからなる遮蔽層を印刷法によって形成した。
その後、前記遮蔽層のレベリングを20分間行い、130℃で20分間乾燥させた。その後、530℃で2時間焼成した。これにより作用極を得た。
この作用極を用いて前記実施例1と同様にして色素増感型光電変換素子を作製した。
まず、透明導電性基板であるFTOガラス基板上に、銀からなるグリッド配線を印刷法によって形成した。また、グリッド配線の配線間に酸化チタンペーストを印刷した。
次に、前記金属グリッド配線を被覆するように、福田金属箔粉工業製GP101のガラスペーストからなる遮蔽層を印刷法によって形成した。
その後、前記遮蔽層のレベリングを20分間行い、130℃で20分間乾燥させた。その後、530℃で2時間焼成した。これにより作用極を得た。
この作用極を用いて前記実施例1と同様にして色素増感型光電変換素子を作製した。
(比較例2〜比較例4)
レベリング時間を後掲する表1に示したものとしたこと以外は、比較例1と同様にして作用極及び光電変換素子を作製した。
レベリング時間を後掲する表1に示したものとしたこと以外は、比較例1と同様にして作用極及び光電変換素子を作製した。
以下では、上述した各実施例および比較例により作製した光電変換素子に対して、「光電変換効率」と「金属グリッド配線の腐食」とを評価した結果について述べる。
(評価1)光電変換効率
各実施例及び比較例の光電変換素子について、エアマスが1.5の擬似太陽光を用いて光電変換効率を測定、評価した。ただし、比較例の光電変換効率を1とした。
(評価2)金属グリッド配線の腐食
各実施例及び比較例の光電変換素子をそれぞれ10サンプルずつ作製した。これらの素子を85℃の恒温オーブン内に100時間放置した。時間経過後に取り出し、金属グリッド配線を観察し、腐食状態について評価した。その際、腐食が全く確認できなかったものを○印、一部でも腐食が確認できたものを×印、により表示する。
評価1と評価2の結果を纏めて、以下の表1に示す。
(評価1)光電変換効率
各実施例及び比較例の光電変換素子について、エアマスが1.5の擬似太陽光を用いて光電変換効率を測定、評価した。ただし、比較例の光電変換効率を1とした。
(評価2)金属グリッド配線の腐食
各実施例及び比較例の光電変換素子をそれぞれ10サンプルずつ作製した。これらの素子を85℃の恒温オーブン内に100時間放置した。時間経過後に取り出し、金属グリッド配線を観察し、腐食状態について評価した。その際、腐食が全く確認できなかったものを○印、一部でも腐食が確認できたものを×印、により表示する。
評価1と評価2の結果を纏めて、以下の表1に示す。
表1から明らかなように、実施例の素子では、いずれも比較例に比べて高い光電変換効率を有していた。また、比較例の素子ではグリッド配線が腐食してしまったのに対して、実施例の素子では、グリッド配線の腐食は全く認められなかった。
以上の結果より、本発明の作用極及び光電変換素子では、金属グリッド配線を十分に保護することができるとともに、光電変換効率の低下が防止され、高い光電変換効率を有することが確認された。
以上の結果より、本発明の作用極及び光電変換素子では、金属グリッド配線を十分に保護することができるとともに、光電変換効率の低下が防止され、高い光電変換効率を有することが確認された。
本発明は、金属グリッド配線及び該金属グリッド配線を被覆する遮蔽層を有する作用極の製造方法、作用極及び光電変換素子について広く適用可能である。
10 透明導電性基板、11 透明基材、12 透明導電膜、20 作用極、21 金属グリッド配線、22 遮蔽層、22a 上面、23 酸化物半導体多孔質層、30 対極、40 電解質層、50 光電変換素子、60 平板、61 スペーサー。
Claims (5)
- 透明導電性基板と、前記透明導電性基板上に配された金属グリッド配線と、少なくとも前記金属グリッド配線を被覆する遮蔽層と、を備え、前記遮蔽層の上面が一様に平らになされている作用極の製造方法であって、
少なくとも前記金属グリッド配線を被覆するように、前記遮蔽層を印刷法により形成する工程と、
離型性を有する平板を、前記透明導電性基板の上方にスペーサーを介して配し、該平板によって前記遮蔽層の上面を押圧することで、該上面を一様に平らにする工程と
前記遮蔽層の上面を一様に平らにした状態で前記遮蔽層を乾燥させる工程と、
前記遮蔽層の乾燥後に、前記平板を除去し、焼成する工程と、を備えたことを特徴とする作用極の製造方法。 - 前記スペーサーの厚みを、前記金属グリッド配線の高さの1.01倍〜3倍の範囲とすることを特徴とする請求項1に記載の作用極の製造方法。
- 前記遮蔽層を、ガラスフリット、又はケイ素を含有するセラミックスから形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の作用極の製造方法。
- 透明導電性基板と、
前記透明導電性基板上に配された金属グリッド配線と、
少なくとも前記金属グリッド配線を被覆する遮蔽層と、
前記金属グリッド配線の各配線間に配された酸化物半導体多孔質層と、を備え、
前記遮蔽層の上面が一様に平らになされていることを特徴とする作用極。 - 作用極、対極、及びこれらの間に封入された電解質からなる電解質層、から構成され、
前記作用極は、透明導電性基板と、前記透明導電性基板上に配された金属グリッド配線と、少なくとも前記金属グリッド配線を被覆する遮蔽層と、前記金属グリッド配線の各配線間に配された酸化物半導体多孔質層と、を備え、前記遮蔽層の上面が一様に平らになされていることを特徴とする光電変換素子。
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EP2367187A2 (en) | 2010-03-17 | 2011-09-21 | Sony Corporation | Photoelectric conversion device |
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