JP2009277301A - 磁気テープ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】磁気テープの移送速度の変動が生じたとしても、LTMと誤認識して磁気ヘッドをテープ幅方向へ動かしてしまう誤動作を防ぎ、PESの悪化を防ぐ。
【解決手段】磁気テープ5の磁性層とバックコート間の高摩擦による貼り付きや帯電によるテンション変動により、磁気テープ5の移送速度に変動が発生しても、速度検出部17において移送速度を検出し、検出された移送速度とサーボ信号の時間間隔とに基づいてテープ幅方向の変動(LTM)によるPESLTMを算出し、算出したPESLTMに基づいて磁気ヘッド2をテープ幅方向へ移動させる制御を行うことができる。このため、磁気テープ5の幅方向への移動制御は、LTMに基づくPESLTMのみにより行われるため、磁気テープ5の速度変動をLTMと誤認識して磁気ヘッドを動かす誤動作がなくなり、PESの悪化を防ぐことができる。
【選択図】図1
【解決手段】磁気テープ5の磁性層とバックコート間の高摩擦による貼り付きや帯電によるテンション変動により、磁気テープ5の移送速度に変動が発生しても、速度検出部17において移送速度を検出し、検出された移送速度とサーボ信号の時間間隔とに基づいてテープ幅方向の変動(LTM)によるPESLTMを算出し、算出したPESLTMに基づいて磁気ヘッド2をテープ幅方向へ移動させる制御を行うことができる。このため、磁気テープ5の幅方向への移動制御は、LTMに基づくPESLTMのみにより行われるため、磁気テープ5の速度変動をLTMと誤認識して磁気ヘッドを動かす誤動作がなくなり、PESの悪化を防ぐことができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、コンピュータ用のデータストレージシステムに用いることができる磁気テープ装置に関する。
磁気テープは、オーディオテープ、ビデオテープ、コンピュータテープなど種々の用途があるが、特にデータバックアップ用テープの分野では、バックアップの対象となるハードディスクの大容量化に伴い、1巻当たり数TBの記録容量を持つ磁気テープが商品化されている。また、今後ハードディスクのさらなる大容量化に対応するため、バックアップテープの大容量化が不可欠である。
磁気テープを大容量化するには、例えば、磁気テープの厚さを薄くする方法があり、このような方法では、リールに対する磁気テープの巻径を増加させずに、リール1巻あたりのテープ長さを長くし、記録容量を大容量化することができる。また、磁気テープを大容量化するためには、磁気テープに記録する信号の記録波長を短くして、記録密度を高くする方法がある。このような方法では、磁気ヘッドと磁気テープの磁性面との間隙(スペーシング)を小さくする必要があり、そのために磁性面の表面平滑性Raの値を小さくし、表面を平滑にする必要がある。
上記のように、磁気テープの厚さを薄くしたり、表面を平滑化したりすると、磁気テープは、カートリッジ内のリールに巻き回された状態で互いに当接している表面(磁性層側の面)と裏面(バックコート層側の面)との間の摩擦が、従来よりも高くなる。磁気テープの表面と裏面との間の摩擦が高くなると、磁気テープをリールから巻き出す際に磁気テープの表裏がスムーズに剥がれなかったり(貼り付き現象)、磁気テープの表裏が擦れ合うことにより生じる静電気が帯電することにより磁気テープをリールから巻き出す際に磁気テープの表裏がスムーズに剥がれなかったりする。これにより、磁気テープのテンション変動や移送速度の変動が生じやすくなり、磁気テープを安定走行させることができない。
図8は、従来の磁気テープ装置の構成を示す模式図である。図8に示すように、カートリッジ31内に配されたリール32から矢印Bに示す方向に巻き出された磁気テープ5は、磁気ヘッド2、ガイドローラー3及び4に当接し、装置側のドライブリール1に巻き回される。ドライブリール1は、モータなどの駆動手段により矢印Aまたはその逆方向に回転駆動され、回転駆動することにより磁気テープ5を矢印Bまたはその逆方向に移送させることができる。図中の符号5a及び5bは、それぞれガイドローラー4とリール32との間における磁気テープ5の位置を示す。
図8において、磁気テープ5が表面平滑化に伴い高摩擦化すると、図示のように磁気テープ5のリール32から巻き出される部分において磁気テープ5の表裏が貼り付くことがある。このような状態では、磁気テープ5の表裏が剥離する位置が矢印Gに示す方向あるいはその逆方向に変動し、磁気テープ5におけるガイドローラー4とリール32との間の部分は、符号5aに示す位置と符号5bに示す位置との間で位置変動が生じることがある。このように、磁気テープ5の位置変動が生じると、磁気テープ5にかかるテンションが変動し、これに伴い磁気テープ5の移送速度が変動する。例えば、磁気テープ5が位置5aにある状態で、剥離位置が急激に矢印Gに示す方向へ移動したとすると、磁気テープ5にかかるテンションが急激に緩み、磁気テープ5の移送速度が一時的に上昇し、磁気ヘッド2に接している磁気テープ5の位置F1が位置F2に急激に移動する現象が発生する。このように従来の構成では、磁気テープを安定走行できないという問題があった。
図9は、従来の磁気テープ装置における磁気ヘッド102のトラッキングサーボ制御部の構成を示すブロック図である。図9において、磁気ヘッド102は、ボイスコイルモータ(以下VCMと称する)101によって矢印E方向に駆動制御される。なお、矢印E方向は、磁気テープ5の幅方向に相当する。また、磁気ヘッド102に配されたサーボヘッドは、磁気テープ5に記録されているサーボパターンを読み取り、電気信号に変換してプリアンプ103に出力する。プリアンプ103は、サーボヘッドから送られる電気信号を増幅してサーボ信号を生成する。プリアンプ103から出力されるサーボ信号は、位置演算回路104に送られる。位置演算回路104は、入力されるサーボ信号に基づき、位置誤差データ(PESデータ)を生成する。位置演算回路104で生成されたPESデータは、コントローラ105に送られる。コントローラ105は、入力されるPESデータに基づきオフトラック量を算出し、算出したオフトラック量に基づき磁気ヘッド102の移動量の情報を含む制御データを生成する。コントローラ105で生成された制御データは、デジタルアナログコンバーター(以下DACと称する)106でアナログの制御信号に変換され、VCMドライバ107に送られる。VCMドライバ107は、入力される制御信号に基づき、VCM101を駆動するための駆動電流を出力する。VCM101は、VCMドライバ107から送られる駆動電流により矢印E方向に移動する。
図10は、従来の磁気テープ装置の動作フローを示す。まず、ドライブリール1及びカートリッジ31内のリール32を回転駆動して、磁気テープ5を速度Vまで加速させ、速度Vの一定速度で移送させる(S101)。次に、磁気ヘッド102は、磁気テープ5に記録されているデータ信号及びサーボ信号を読み取る(S102)。プリアンプ103は、磁気ヘッド102に配されたサーボヘッドで再生されたサーボ信号を検出して増幅処理を行う(S103)。次に、位置演算回路104は、プリアンプ103から出力されたサーボ信号に基づいて、現在の磁気ヘッド102のテープ幅方向の位置を演算により求める。求めた位置情報をY1とする(S104)。次に、コントローラ105は、磁気ヘッド102の現在位置Y1と目標トラック位置Y0(S105)とにより減算処理を行い、オフトラック量Yを算出する(S106)。次に、コントローラ105は、算出したオフトラック量Yに基づき、磁気ヘッド102のテープ幅方向の移動量を算出する(S107)。算出された移動量の情報は、制御データとしてコントローラ105から出力され、DAC106で制御信号に変換される。次に、VCMドライバ107は、DAC106から出力される制御信号に基づき、磁気ヘッド102の駆動電流を生成する(S108)。次に、VCM101は、VCMドライバ107で生成された駆動電流により磁気ヘッド102をテープ幅方向へ移動させる(S109)。以降、処理S102〜S109を磁気テープ5が停止されるまで繰り返し実行し(S110)、磁気テープ5が停止されれば処理を抜ける。なお、磁気テープ5は、使用者により停止命令が入力された場合や、始終端に到達した場合に停止制御が行われる。
図10に示すフローに基づいて磁気ヘッド102のテープ幅方向の位置を制御することによって、磁気テープ5にLTM(Lateral Tape Motion)が発生したとしても、そのLTMに追従するように磁気ヘッド102をテープ幅方向に移動させることができる。よって、目標のデータトラックにデータヘッドを追従させて、データ信号を再生することができる。
上記のサーボ方式の一例として、特許文献1にタイミングベースサーボ方式が開示されている。タイミングベースサーボ方式では、サーボ信号が磁気テープの幅方向に対して傾斜させたパターンで、磁気テープに記録されている。そのサーボ信号を再生した時における、再生波形のピークの時間間隔からヘッド位置を認識する。
特開平8−30942号公報
しかしながら特許文献1に開示されている構成では、トラック位置を検出してヘッドを制御する際に以下のような問題があった。例えば、LTO(Linear Tape Open)規格に準拠したシステムの場合、磁気テープにあらかじめ記録されたサーボ信号を、磁気テープを走行する際にサーボヘッドで読み取ることにより、時間的に検出される再生波形のピークを検出してパルス列の信号の時間間隔の比を検出して、その比を換算して幅方向のヘッド位置を検出し、その位置情報と目標トラック位置間の差であるPES(Position Error Signal)の値に基づいて、磁気ヘッドのテープ幅方向の位置を制御する機構を備えている。
しかし、従来のサーボ制御機構では、磁気ヘッドをテープ幅方向(トラック方向)に移動させてPESの値を小さくするような制御機構を搭載していたため、テープの速度変動が発生する場合においても、PESの値が変化する。そのため、磁気テープ装置ではトラック位置が変化したと誤判断し、磁気ヘッドをテープ幅方向に移動させてしまうため、PESを悪化させてしまうという問題点があった。
また、磁気テープを高容量化するためには、テープ全長を長くするための磁気テープの薄手化と、線記録密度向上に対応してスぺーシングを小さくするため磁気テープの磁性層表面の平滑化が必要であるが、テープ走行時に磁性層とガイドローラ等各部材間の摩擦の増加や、磁性面とバックコート面間の張り付きによるステックスリップ等により、磁気テープ装置においては磁気テープの速度制御がより困難となる。
また、一方では記録トラック幅が狭くなると、PESの値をより小さくしないといけないという問題がある。
以下、磁気テープの速度変動時における磁気テープ装置の誤動作について、詳しく説明する。
図11は、磁気テープの速度変動を説明するための図である。図11(a)は、磁気テープ5の移送速度の変化を示し、図11(b)は磁気テープ5に記録されているサーボパターンを示し、図11(c)は図11(b)に示すサーボパターンをサーボヘッドで読み取り再生されたサーボ信号の波形を示す。図12は、磁気テープにLTMが生じている時のサーボパターン及びサーボ信号波形を示す。なお、図12では、実際は磁気テープ5にLTMが生じているが、説明をわかりやすくするために、相対的に磁気ヘッド102のトレース位置(破線V2)が磁気テープ5の幅方向に変動するものとして図示している。また、図11(b)及び図12(b)に示すストライプa及びbは、実際はそれぞれ互いに平行な5本のストライプで構成されているが、図示を簡略している。また、図11(b)及び図12(b)に示すストライプc及びdは、実際はそれぞれ互いに平行な4本のストライプで構成されているが、図示を簡略している。
図11(b)に示すように略「ハ」の字状に傾斜したストライプで構成されているサーボパターンに対して、破線V1に示す経路(LTMが生じていない時の磁気ヘッド102のトレース経路)をサーボヘッドがトレースすると、図11(c)の実線で示すサーボ信号が得られる。しかし、図8に示すように磁気テープ5が位置5aから位置5bに移動すると、その移動時において図11(a)に示すように磁気テープ5の移送速度が一時的に上昇し、サーボヘッドで再生されるサーボ信号の位相がずれてしまう。例えば、図11に示すように、サーボヘッドがストライプbの近傍に位置している時に磁気テープ5の速度が一時的に上昇すると、サーボヘッドはストライプbに示すタイミングではなく、ストライプb1に示すタイミングでサーボパターンを読み取ることになる。よって、図11(c)に示すように、本来のサーボ信号S2のタイミングよりも、時間w1だけ早いタイミングでサーボ信号S1が再生される。以降、サーボヘッドにおいて、ストライプc,dに示すタイミングからそれぞれ時間w1だけ早いストライプc1,d1に示すタイミングでサーボ信号が再生される。なお、図11(b)におけるストライプb1,c1,d1は、実際に磁気テープ5に形成されているストライプではなく、ストライプbの再生タイミングのずれを説明するために仮想的に示したストライプである。
図11(b)に示すサーボパターンを用いたトラッキングサーボは、ストライプaとストライプbとを読み取ることにより再生されるサーボ信号の時間間隔abと、ストライプaとストライプcとを読み取ることにより再生されるサーボ信号の時間間隔acとの比により、磁気ヘッド102のテープ幅方向における現在位置を検出し、磁気ヘッド102が磁気テープ5における目標のトラックをトレースするように磁気ヘッド102のテープ幅方向の位置を可変制御している。一方、磁気テープ5が幅方向にLTMを生じた場合、例えばサーボヘッドは磁気テープ5に対して図12(b)における破線V2に示す経路をトレースすることになる。この場合、ストライプa及びbに基づき再生されるサーボ信号の時間間隔ab2は、経路V1の時の時間間隔abよりも短くなる。また、ストライプa及びcに基づき再生されるサーボ信号の時間間隔ac2は、経路V1の時の時間間隔acよりも長くなる。したがって、時間間隔ab2及びac2の比に基づき算出されるPESの値は、時間間隔ab及びacの比に基づき算出されるPESの値よりも絶対値が大きくなるために、磁気テープ装置では、ab2及びac2の比に基づき算出されるPESの値がゼロに近づくように、磁気ヘッドをテープ幅方向へ移動させるよう制御する。
したがって、従来の磁気テープ装置では、ストライプbに基づくサーボ信号が、磁気テープ5の速度変動によって図11(c)のサーボ信号S1に示すタイミングで再生された場合、図12に示すようなLTMが生じたと誤認識して、磁気ヘッド102をテープ幅方向へ移動させてしまう。図11(c)に示す現象は、磁気テープ5の速度変動が原因で生じており、磁気テープ5の幅方向の位置変動はほとんど生じていないため、磁気ヘッド102をテープ幅方向へ移動させてしまうと、PESが悪化してしまうという問題がある。
なお、PESとは、サーボトラックに形成されたストライプのテープ幅方向の中心から、現在のサーボヘッドのトレース位置までの距離を表す。また、PESの値は、ストライプの傾斜角をθ(本構成ではθ=6°)、ストライプのテープ幅方向の中心におけるab間の距離をAB(本構成ではAB=50μm)、ストライプab間の距離をab、ストライプac間の距離をacとした時、下記の数式1により算出することができる。
PES=(AB−(ab/ac)×100)/2tanθ ・・・(数式1)
この状態から、図11に示すように磁気テープ5の速度変動が生じた場合、距離abが距離ab1に変化し、距離acが距離ac1に変化する。よって、速度変動によるPESVの値は、
PESV=(AB−(ab1/ac1)×100)/2tanθ ・・・(数式2)
に基づいて算出することができる。一方、図12に示すように磁気テープ5にLTMが生じた場合、ストライプa〜cにおけるタイミングa、b2、c2でPESの値を算出することになり、距離abは距離ab2に変化し、距離acは距離ac2に変化する。よって、LTMによるPESLTMの値は、
PESLTM=(AB−(ab2/ac2)×100)/2tanθ ・・・(数式3)
に基づいて算出することができる。数式2と数式3とを参照すると、いずれもストライプab間とac間において距離変化が生じて、PESが生じている。従来の磁気テープ装置におけるヘッドコントローラーでは、発生したPESが磁気テープ5の速度変動によるもの(PESV)であるか、磁気テープ5のLTMに基づくもの(PESLTM)であるかを判別することができないため、全てLTMに基づいて発生したPESであると判断し、磁気ヘッドを磁気テープ5の幅方向に移動させてしまうという誤動作が生じる。
この状態から、図11に示すように磁気テープ5の速度変動が生じた場合、距離abが距離ab1に変化し、距離acが距離ac1に変化する。よって、速度変動によるPESVの値は、
PESV=(AB−(ab1/ac1)×100)/2tanθ ・・・(数式2)
に基づいて算出することができる。一方、図12に示すように磁気テープ5にLTMが生じた場合、ストライプa〜cにおけるタイミングa、b2、c2でPESの値を算出することになり、距離abは距離ab2に変化し、距離acは距離ac2に変化する。よって、LTMによるPESLTMの値は、
PESLTM=(AB−(ab2/ac2)×100)/2tanθ ・・・(数式3)
に基づいて算出することができる。数式2と数式3とを参照すると、いずれもストライプab間とac間において距離変化が生じて、PESが生じている。従来の磁気テープ装置におけるヘッドコントローラーでは、発生したPESが磁気テープ5の速度変動によるもの(PESV)であるか、磁気テープ5のLTMに基づくもの(PESLTM)であるかを判別することができないため、全てLTMに基づいて発生したPESであると判断し、磁気ヘッドを磁気テープ5の幅方向に移動させてしまうという誤動作が生じる。
図13及び図14は、PESの計算方法についてさらに詳しく説明した図である。図13(a)に示すように、磁気テープに形成されたサーボパターンをサーボヘッドで再生すると、図13(b)に示すパルスが得られる。この時のストライプAとストライプBとの磁気テープ上の距離をLAB、ストライプBとストライプCとの磁気テープ上の距離をLBCとした時、ストライプAC間の距離LACは、
LAC=LAB+LBC ・・・(数式4)
となる、一方、図13(b)に示すサーボ信号において、ストライプA及びBを読み取り再生されるパルスの時間間隔をTAB、ストライプB及びCを読み取り再生されるパルスの時間間隔をTBCとした時、ストライプA及びCを読み取り再生されるパルスの時間間隔TACは、
TAC=TAB+TBC ・・・(数式5)
となる。
LAC=LAB+LBC ・・・(数式4)
となる、一方、図13(b)に示すサーボ信号において、ストライプA及びBを読み取り再生されるパルスの時間間隔をTAB、ストライプB及びCを読み取り再生されるパルスの時間間隔をTBCとした時、ストライプA及びCを読み取り再生されるパルスの時間間隔TACは、
TAC=TAB+TBC ・・・(数式5)
となる。
従来の磁気テープ装置の場合、PESmeasは、
PESmeas=(50−(TAB/(TAB+TBC))×100)/2tan6° ・・・(数式6)
で求めることができる。上記したようにPESの要因としては、LTMに基づくもの(PESLTM)とテープ移送速度に基づくもの(PESV)とがあるため、
PESmeas=PESLTM+PESV ・・・(数式7)
の関係があるといえる。しかし、従来の構成では、PESVに相当する分については磁気ヘッド102をテープ幅方向に移動させる必要がないにもかかわらず、PESLTMとPESVとを分離することができなかったため、算出されたPESmeasに基づいてオフトラック量を算出し、磁気ヘッド102をテープ幅方向に移動させてしまっていた。すなわち、PESVの分だけ誤って磁気ヘッド102を移動させてしまっていた。
PESmeas=(50−(TAB/(TAB+TBC))×100)/2tan6° ・・・(数式6)
で求めることができる。上記したようにPESの要因としては、LTMに基づくもの(PESLTM)とテープ移送速度に基づくもの(PESV)とがあるため、
PESmeas=PESLTM+PESV ・・・(数式7)
の関係があるといえる。しかし、従来の構成では、PESVに相当する分については磁気ヘッド102をテープ幅方向に移動させる必要がないにもかかわらず、PESLTMとPESVとを分離することができなかったため、算出されたPESmeasに基づいてオフトラック量を算出し、磁気ヘッド102をテープ幅方向に移動させてしまっていた。すなわち、PESVの分だけ誤って磁気ヘッド102を移動させてしまっていた。
本発明の目的は、高摩擦による磁性層とバックコート層との貼り付きや静電気による帯電により、カートリッジ内のリールからの巻き出し部分において磁気テープのテンション変動が生じ、磁気ヘッドのテープ摺動面における磁気テープの移送速度の変動が生じたとしても、LTMと誤認識して磁気ヘッドをテープ幅方向へ動かしてしまう誤動作を防ぎ、PESの悪化を防ぐことである。
本発明の磁気テープ装置は、磁気テープに記録されているサーボ信号を再生可能なサーボヘッドと、前記磁気テープに対してデータ信号を記録または再生可能なデータヘッドとを備えた磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドを前記磁気テープの幅方向へ移動可能な駆動手段と、前記サーボヘッドで再生されたサーボ信号に基づき現在の前記磁気ヘッドの位置を検出し、検出した前記磁気ヘッドの位置と目標トラック位置とのずれ量である位置誤差データを算出する位置演算手段と、前記位置演算手段で算出された前記位置誤差データから前記磁気ヘッドを前記幅方向へ移動させるための制御量を算出し、算出した制御量を前記駆動手段に送る制御手段とを備えた、磁気テープ装置であって、前記磁気テープの移送速度を検出可能な速度検出手段をさらに備え、前記位置演算手段は、前記サーボヘッドで再生されたサーボ信号の時間間隔と、前記速度検出手段で検出された移送速度とから、前記磁気テープの幅方向の位置変動による位置誤差データを算出し、前記制御手段は、前記位置演算手段で算出された前記磁気テープの幅方向の位置変動による位置誤差データに基づいて、制御量を算出するものである。
本発明によれば、磁気テープにおいて一時的な速度変動が生じたとしても、磁気テープの幅方向の変動によるPESのみに基づきトラッキングサーボを行うため、PESの悪化を抑えることができる。
本発明の磁気テープ装置は、磁気テープに記録されているサーボ信号を再生可能なサーボヘッドと、前記磁気テープに対してデータ信号を記録または再生可能なデータヘッドとを備えた磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドを前記磁気テープの幅方向へ移動可能な駆動手段と、前記サーボヘッドで再生されたサーボ信号に基づき現在の前記磁気ヘッドの位置を検出し、検出した前記磁気ヘッドの位置と目標トラック位置とのずれ量である位置誤差データを算出する位置演算手段と、前記位置演算手段で算出された前記位置誤差データから前記磁気ヘッドを前記幅方向へ移動させるための制御量を算出し、算出した制御量を前記駆動手段に送る制御手段とを備えた、磁気テープ装置であって、前記磁気テープの移送速度を検出可能な速度検出手段をさらに備え、前記位置演算手段は、前記サーボヘッドで再生されたサーボ信号の時間間隔と、前記速度検出手段で検出された移送速度とから、前記磁気テープの幅方向の位置変動による位置誤差データを算出し、前記制御手段は、前記位置演算手段で算出された前記磁気テープの幅方向の位置変動による位置誤差データに基づいて、制御量を算出するものである。
本発明の磁気テープ装置は、上記構成を基本として、以下のような態様をとることができる。
本発明の磁気テープ装置において、前記サーボヘッドは、互いに異なる方向に傾斜した複数のストライプが長さ方向に並んで形成された第1のサーボトラックと、互いに平行な複数のストライプが長さ方向に並んで形成された第2のサーボトラックとを備えた前記磁気テープに対向した時に、前記第1のサーボトラックをトレース可能な第1のサーボヘッドと、前記第2のサーボトラックをトレース可能な第2のサーボヘッドとを備え、前記速度検出手段は、前記第2のサーボヘッドで前記第2のサーボトラックをトレースすることにより再生されたサーボ信号に基づき、前記磁気テープの移送速度を検出する構成とすることができる。このような構成とすることで、従来の磁気テープ装置の構成を大幅に変更することなく、速度検出を行う手段を磁気テープ装置に搭載することができ、低コストに実現することができる。
本発明の磁気テープ装置において、前記速度検出手段は、前記磁気テープに光を分割して前記磁気テープの移動方向の前方側と後方側から照射し、前記磁気テープから反射してきた散乱光を検出して電気信号に変換し、前記電気信号の変動周波数から前記磁気テープの移送速度を算出する構成とすることができる。このような構成とすることで、磁気テープに記録されている信号の形態にかかわらず、移送速度を検出することができるので、汎用性に優れる。
(実施の形態)
〔1.磁気テープ装置の構成及び動作〕
図1は、本実施の形態の磁気テープ装置における磁気ヘッドのトラッキングサーボを制御する制御部の構成を示すブロック図である。なお、図1において、図8に示す磁気テープ装置の基本構成と同様の構成については、同一符号を付与して説明は省略する。
〔1.磁気テープ装置の構成及び動作〕
図1は、本実施の形態の磁気テープ装置における磁気ヘッドのトラッキングサーボを制御する制御部の構成を示すブロック図である。なお、図1において、図8に示す磁気テープ装置の基本構成と同様の構成については、同一符号を付与して説明は省略する。
図1において、磁気ヘッド2は、ボイスコイルモータ(以下VCMと称する)11によって矢印E方向に駆動制御される。なお、矢印E方向は、磁気テープ5の幅方向と同様である。また、磁気ヘッド12に配されたサーボヘッドは、磁気テープ5に記録されているサーボパターンを読み取り、電気信号に変換してプリアンプ12に送る。プリアンプ12は、サーボヘッドから送られる電気信号を増幅してサーボ信号を生成する。プリアンプ12から出力されるサーボ信号は位置演算回路13に送られる。位置演算回路13は、入力されるサーボ信号と速度検出部17から送られるテープ速度情報とに基づき、位置誤差データ(PESデータ)を生成する。なお、速度検出部17の具体構成及び動作については後述する。位置演算回路13で生成されたPESデータは、コントローラ14に送られる。コントローラ14は、入力されるPESデータに基づきオフトラック量を算出し、算出したオフトラック量に基づき磁気ヘッド2の移動量の情報を含む制御データを生成する。コントローラ14で生成された制御データは、デジタルアナログコンバーター(以下DACと称する)15でアナログの制御信号に変換され、VCMドライバ16に送られる。VCMドライバ16は、入力される制御信号に基づき、VCM11を駆動するための駆動電流を出力する。VCM11は、VCMドライバ16から送られる駆動電流により駆動し、磁気ヘッド2を矢印E方向に移動させる。
図2は、本実施の形態の磁気テープ装置の動作フローを示す。まず、磁気テープ装置におけるドライブリール1(図8参照)及び磁気テープカートリッジ30におけるリール32(図8参照)を駆動することによって、磁気テープ5の所定方向(例えば図8の矢印Bに示す方向)への移送を開始させ、一定速度Vで移送させる(S1)。次に、磁気ヘッド2は、磁気テープ5に記録されているデータ信号及びサーボ信号を読み取る(S2)。プリアンプ12は、磁気ヘッド2に配されたサーボヘッドで再生されたサーボ信号を検出して増幅処理を行う(S3)。プリアンプ12から出力されるサーボ信号は位置演算回路13に送られる。
次に、位置演算回路13は、再生されたサーボ信号に基づいて現在の磁気ヘッド2のテープ幅方向の位置情報Y11を演算により求める(S5)。この時、位置演算回路13には、速度検出部17で検出された磁気テープ5の移送速度V1の情報(S6)が入力され、移送速度V1を考慮して位置情報Y11を求める。
次に、位置情報Y11と目標トラック位置の位置情報Y0とで減算処理を行うことで、オフトラック量Y(PESLTM)を算出する(S7)。
ここで、PESLTMの具体的な算出方法について図13を参照しながら説明する。PESLTMを求めるためには、ストライプAB間の距離LABと、ストライプAC間の距離LACとの比により算出することができる。具体的な計算式は、
PESLTM=(50−(LAB/LAC)×100)/2tan6° ・・・(数式8)
となる。数式8において、距離LABをストライプAB間のパルス時間間隔TABとストライプAB間の移送速度VABとに置き換え、距離LACをストライプAC間のパルス時間間隔(TAB,TBC)とストライプAC間の移送速度(VAB,VBC)とに置き換えることにより、
PESLTM=(50−((TAB×VAB)/(TAB×VAB+TBC×VBC)))×100)/2tan6° ・・・(数式9)
とすることができる。数式9において右辺を整理することで、
PESLTM=(50−(LAB/LAC)×100)/2tan6° ・・・(数式8)
となる。数式8において、距離LABをストライプAB間のパルス時間間隔TABとストライプAB間の移送速度VABとに置き換え、距離LACをストライプAC間のパルス時間間隔(TAB,TBC)とストライプAC間の移送速度(VAB,VBC)とに置き換えることにより、
PESLTM=(50−((TAB×VAB)/(TAB×VAB+TBC×VBC)))×100)/2tan6° ・・・(数式9)
とすることができる。数式9において右辺を整理することで、
とすることができる。数式10に示すように、LTMのみに基づくPESLTMは、移送速度VAB,VBCと、パルス時間間隔TAB,TBCとを測定し、その測定値を用いて算出することができる。
図1及び図2に戻り、コントローラ14は、算出したオフトラック量Y(PESLTM)に基づき、磁気ヘッド102のテープ幅方向の移動量を算出し、算出した移動量の情報を含む制御データを生成する(S8)。
コントローラ14で生成されたデジタルデータである制御データは、DAC15でアナログ信号である制御信号に変換される。変換後の制御信号は、VCMドライバ16に送られる。
次に、VCMドライバ16は、入力される制御信号に基づき、磁気ヘッド2をテープ幅方向へ移動させるための駆動電流を生成する。生成された駆動電流は、VCM11に送られる(S9)。
次に、VCM11は、VCMドライバ16で生成された駆動電流により磁気ヘッド2をテープ幅方向へ移動させる(S10)。以降、処理S2〜S10を磁気テープ5の走行が停止されるまで繰り返して実行する。磁気テープ5の移送が、使用者による任意の停止命令入力や磁気テープ5が始終端に到達したことなどで停止した場合は、処理を抜ける(S11)。
〔2.磁気テープの速度検出方法〕
次に、速度検出部17における具体的な磁気テープ5の移送速度検出方法について説明する。具体的に求める移送速度は、PESLTMを求めるのに必要な、上記数式10における移送速度VAB及びVBCである。なお、本実施の形態では、磁気テープ5に記録されたサーボ信号に基づき速度検出を行う方法と、光学的に移送速度を検出する方法について説明するが、速度検出部17における検出方法はこれらに限定されるものではない。
次に、速度検出部17における具体的な磁気テープ5の移送速度検出方法について説明する。具体的に求める移送速度は、PESLTMを求めるのに必要な、上記数式10における移送速度VAB及びVBCである。なお、本実施の形態では、磁気テープ5に記録されたサーボ信号に基づき速度検出を行う方法と、光学的に移送速度を検出する方法について説明するが、速度検出部17における検出方法はこれらに限定されるものではない。
〔2−1.サーボ信号による速度検出方法〕
図3は、本実施の形態における磁気テープの構成を示す。図3に示すように、磁気テープ5は、長手方向に連続的にサーボトラック51〜55とデータトラックとが形成されている。サーボトラック51〜55とデータトラックとは、磁気テープ5の幅方向に交互で、かつ互いに平行に形成されている。本実施の形態では、サーボトラックが5本形成され、データトラックが4本形成されている。
図3は、本実施の形態における磁気テープの構成を示す。図3に示すように、磁気テープ5は、長手方向に連続的にサーボトラック51〜55とデータトラックとが形成されている。サーボトラック51〜55とデータトラックとは、磁気テープ5の幅方向に交互で、かつ互いに平行に形成されている。本実施の形態では、サーボトラックが5本形成され、データトラックが4本形成されている。
また、5本のサーボトラックのうち、最上段のサーボトラック51と中央のサーボトラック54と最下段のサーボトラック55とに形成されているストライプは、テープ長手方向に対して傾斜したストライプが形成されている(以下、これらのサーボトラックを傾斜サーボトラック61と称する)。例えば、サーボトラック51には、テープ長手方向に対して傾斜した第1のストライプ51aと、第1のストライプ51aに対して反対方向に傾斜した第2のストライプ51bとが、テープ長手方向に交互に形成されている。サーボと絡53及び55にも同様の構成のストライプが形成されている。すなわち、傾斜サーボトラックに形成されたストライプは、略「ハ」の字状に形成されている。なお、図示では、第1のストライプ51aと第2のストライプ51bとが1本ずつ交互に形成されているが、複数本のストライプの束が交互に形成されている構成としてもよい。例えば、LTO4フォーマットのサーボトラックには、第1の方向に傾斜した5本のストライプ群、第1の方向に対して反対方向の第2の方向に傾斜した5本のストライプ群、第1の方向に傾斜した4本のストライプ群、第2の方向の傾斜した4本のストライプ群、の順にストライプが形成されている。
また、5本のサーボトラックのうち、サーボトラック52とサーボトラック54とに形成されているストライプは、テープ長手方向に対して垂直に形成されている(以下、これらのサーボトラックを垂直サーボトラック62と称する)。例えば、サーボトラック52には、テープ長手方向に対して垂直に配置されたストライプ52aが、テープ長手方向に並んで形成されている。サーボトラック54にも同様の構成のストライプが形成されている。また、垂直サーボトラック62に形成されたストライプは、磁気テープ5の長手方向に隣り合うストライプ同士は互いに平行である。なお、本実施の形態では、ストライプ52aは、テープ長手方向に対して垂直に形成する構成としたが、少なくとも磁気テープ5の長手方向に隣り合うストライプが互いに平行であれば、必ずしもテープ長手方向に対して垂直に形成する必要はなく、テープ長手方向に対して傾斜していてもよい。
なお、サーボトラック52及び54に含まれるストライプのピッチは、サーボトラック51,53,55に含まれるストライプのピッチ(最小ピッチ)よりも小さく形成されている。
次に、動作について説明する。なお、図3に示すようなサーボ信号が記録された磁気テープを用いて、磁気テープの移送速度を測定する場合は、トラッキングサーボ制御部の制御ブロックは、図4に示す構成になる。図4に示す構成は、図1に示す構成にプリアンプ12から出力されるサーボ信号を速度検出部17に入力するための信号線を追加したものである。速度制御部17に入力されるサーボ信号は、サーボヘッドが図3における垂直サーボトラック62におけるストライプを読み取ることにより再生されたサーボ信号である。
例えば、磁気ヘッド2が図3に示す位置にある時は、データヘッド23は、サーボトラック51とサーボトラック52との間のデータトラックをトレースすることができる。また、第1のサーボヘッド21は、サーボトラック51をトレースし、第2のサーボヘッド22は、サーボトラック52をトレースすることができる。以下の説明では、磁気ヘッド2が図3に示す位置にあることを一例として説明する。
データヘッド23によるデータ記録または再生時は、第1のサーボヘッド21により、サーボトラック51に形成されているストライプが読み取られ、読み取ったストライプに基づきサーボ信号が再生され、トラッキングサーボが実行されている。具体的には、まず第1のサーボヘッド21がサーボトラック51のストライプに基づきサーボ信号を再生して、テープ幅方向における現在の磁気ヘッド2の位置を検出する。次に、コントローラ14(図4参照)が、現在の磁気ヘッド2のトラック位置と目標トラック位置とのずれ量を示すオフトラック量を算出し、LTMの発生を検出する。コントローラ14は、磁気テープ5においてLTMが発生している場合、算出したオフトラック量をゼロに近づけるための制御データを算出する。VCMドライバ16は、算出された制御データに基づく制御信号から駆動電流を生成し、VCM11に送る。この制御信号には、磁気ヘッド2の移動量の情報と移動方向の情報とが含まれている。
また、データヘッド23によるデータ記録または再生時、第2のサーボヘッド22により、サーボトラック52に形成されているストライプが読み取られ、読み取ったストライプに基づきサーボ信号が再生され、磁気テープ5の移送速度を検出している。
具体的には、まず、第2のサーボヘッド22がサーボトラック52のストライプに基づきサーボ信号を再生する。図5(a)は、サーボトラック52に形成されているストライプの構成を模式的に示した図であり、図5(b)は、図5(a)に示すストライプに基づき第2のサーボヘッド22で再生されたサーボ信号の波形図である。速度検出部17は、図5(b)に示すサーボ信号A〜Eの各検出時間を求め、AB間、BC間、CD間、DE間におけるストライプの距離を各サーボ信号間の時間で除算する。例えば、ストライプAB間における移送速度vABは、ストライプAB間の距離dABと、サーボ信号AB間の時間tABとにより、
vAB=dAB/tAB ・・・(数式11)
で算出することができる。数式11と同様の計算方法により、ストライプBC間の移送速度vBC、ストライプCD間の移送速度vCD、ストライプDE間の移送速度vDEを算出することができる。
vAB=dAB/tAB ・・・(数式11)
で算出することができる。数式11と同様の計算方法により、ストライプBC間の移送速度vBC、ストライプCD間の移送速度vCD、ストライプDE間の移送速度vDEを算出することができる。
次に、図3に示す傾斜サーボトラック61に含まれるストライプ51a及び51b間の移送速度を算出する。本実施の形態では、一対のストライプ51a及び51bに、垂直サーボトラック62における3本のストライプが対応しているため、垂直サーボトラック62における3本のストライプ間の移送速度がストライプ51a及び51b間の移送速度(図13における移送速度VAB)となる。例えば、図5における移送速度vABとvBCとの平均値を、ストライプ51a及び51b間の移送速度VABとすることができる。同様に、図13における移送速度VBCを求める場合は、図13におけるストライプB及びCに対応した垂直サーボトラック62における3本のストライプから2つの移送速度vBC及びvCDを算出し、算出した移送速度vBC及びvCDの平均値を求め、求めた平均値をストライプBC間の移送速度VBCとすることができる。
以上のような方法により、磁気テープ5の移送速度VAB及びVBCを求めることができる。
〔2−2.光学式速度検出方法〕
図6Aは、光学式速度検出器を備えた磁気テープ装置の構成を示す。図6Aに示すように、光学式速度検出器70は、磁気ヘッド2の近傍に配されている。
図6Aは、光学式速度検出器を備えた磁気テープ装置の構成を示す。図6Aに示すように、光学式速度検出器70は、磁気ヘッド2の近傍に配されている。
図6B及び図6Cは、光学式速度検出器70による速度検出方法の測定原理を示すものである。図6Bにおいて、光源71としては、He−Neレーザや半導体レーザを用いることができる。光源71から出射されたレーザ光を光学変調素子72で中心周波数f0で変調した後、ビームスプリッタ73で二つの光に分割する。二つの光のうち、一方の光はビームスプリッタ73を透過して、被測定物である速度Vで矢印Fに示す方向に移動する磁気テープ5に移動方向の前方側からΦの角度で直接照射するとともに、他方の光はミラー74で反射して被測定物である磁気テープ5に移動方向の後方側からΦの角度で照射する。これにより、2本のレーザ光を交差角Φで磁気テープ5上に照射することができる。そして、磁気テープ5において散乱される散乱光は、集光レンズ75等の光学系を経て、光電変換素子等の受光センサ76で検出される。この受光センサ76で検出された信号は、アンプ77によって増幅され、バンドパスフィルター(BPF)78を介してヘテロダイン検波を行う。このとき検波された信号の変動周波数fdは、図6B及び次式で表される。
fd=f1−f2
=(f0+(V/λ)sinΦ)−(f0−(V/λ)sinΦ)
=2(V/λ)sinΦ ・・・(数式12)
数式12において、fdは変動周波数、Vは磁気テープ5の移送速度、λはレーザ光の波長、Φはレーザービーム交差角である。したがって、磁気テープ5の移送速度Vは、
V=(fd・λ)/2/sinΦ ・・・(数式13)
のように、変動周波数fdから求めることができる。
=(f0+(V/λ)sinΦ)−(f0−(V/λ)sinΦ)
=2(V/λ)sinΦ ・・・(数式12)
数式12において、fdは変動周波数、Vは磁気テープ5の移送速度、λはレーザ光の波長、Φはレーザービーム交差角である。したがって、磁気テープ5の移送速度Vは、
V=(fd・λ)/2/sinΦ ・・・(数式13)
のように、変動周波数fdから求めることができる。
〔3.磁気テープ装置の他の制御例〕
図7は、本実施の形態の磁気テープ装置における他の制御例を示す。なお、図7に示すフローチャートにおいて、図2に示すフローチャートにおける処理と同様の処理については、同一符号を付与している。
図7は、本実施の形態の磁気テープ装置における他の制御例を示す。なお、図7に示すフローチャートにおいて、図2に示すフローチャートにおける処理と同様の処理については、同一符号を付与している。
まず、磁気テープ装置におけるドライブリール1(図8参照)及び磁気テープカートリッジ30におけるリール32(図8参照)を駆動することによって、磁気テープ5を所定方向(例えば図8の矢印Bに示す方向)に移送を開始させ、一定速度Vで移送させる(S1)。次に、磁気ヘッド2は、磁気テープ5に記録されているデータ信号及びサーボ信号を読み取る(S2)。プリアンプ12は、磁気ヘッド2に配されたサーボヘッドで再生されたサーボ信号を検出して増幅処理を行う(S3)。プリアンプ12から出力されるサーボ信号は位置演算回路13に送られる。
次に、位置演算回路13は、再生されたサーボ信号に基づいて現在の磁気ヘッド2のテープ幅方向の位置情報Y11を演算により求める(S5)。
次に、S5で算出された位置情報Y11を、Y(t)としてメモリーなどの記憶手段(不図示)に保存する(S12)。
一方、速度検出部17では、前述の速度検出方法に基づき、磁気テープ5の移送速度を検出している(S4)。速度検出部17で検出された速度情報は、メモリーなどの記憶手段(不図示)に保存する(S41)。次に、速度検出部17で検出された速度情報と、記憶手段に保存されている過去の速度情報とに基づき、速度変動量ΔVを算出する。具体的には、現在の磁気テープ5の速度から、記憶手段に保存されている過去に検出された速度を減算する(S42)。次に、算出した速度変動量ΔVを一定値δと比較する(S43)。
次に、S43における比較結果に基づいて、位置情報Y11かY12のいずれかを選択する。具体的には、S43における比較の結果、速度変動量ΔVが一定値δよりも高い場合は、記憶手段に保存されている位置情報Y12を採用する。また、S43における比較の結果、速度変動量ΔVが一定値δよりも低い場合は、演算により求められた現在の磁気ヘッド2の位置情報Y11を採用する(S13)。
次に、S13において採用された位置情報Y11またはY12と、目標トラックの位置情報Y0(S6)とで減算処理を行い、オフトラック量を算出する(S7)。
次に、コントローラ14において、S7で算出されたオフトラック量に基づき、制御データを生成する。生成された制御データは、DAC15でアナログ信号である制御信号に変換され、VCMドライバ16に入力される(S8)。
次に、VCMドライバ16は、入力される制御信号に基づき、VCM11を駆動するための駆動電流を生成する(S9)。
次に、VCM11は、入力される駆動電流に基づき、磁気ヘッド2をテープ幅方向へ移動させる(S10)。
上記処理S2〜S10(処理S41〜S43を含む)を、磁気テープ5の移送が停止されるまで実行する。磁気テープ5の移送が、使用者による任意の停止命令入力や磁気テープ5が始終端に到達したことなどで停止した場合は、処理を抜ける(S11)。
以上のように、磁気テープ5の移送速度の測定値と磁気ヘッド2の位置情報をメモリー等の記憶手段に保存しておき、速度変動を演算し、速度変動が大きい場合(速度変動の絶対値が一定値δ以上)には、PESに基づいたヘッドの位置駆動を行わず、過去の位置データに基づいてヘッド位置を固定し、速度変化が一定値δに戻った場合、上記制御を再開するようなヘッド位置の駆動制御を行うことができる。
〔4.実施の形態の効果、他〕
本実施の形態によれば、磁気テープ5の磁性層とバックコート間の高摩擦による貼り付きや帯電によるテンション変動により、磁気テープ5の移送速度に変動が発生しても、速度検出部17において移送速度を検出し、検出された移送速度とサーボ信号の時間間隔とに基づいてテープ幅方向の変動(LTM)によるPESLTMを算出し、算出したPESLTMに基づいて磁気ヘッド2をテープ幅方向へ移動させる制御を行うことができる。このため、磁気テープ5の幅方向への移動制御は、LTMに基づくPESLTMのみにより行われるため、磁気テープ5の速度変動をLTMと誤認識して磁気ヘッドを動かす誤動作がなくなり、PESの悪化を防ぐことができる。
本実施の形態によれば、磁気テープ5の磁性層とバックコート間の高摩擦による貼り付きや帯電によるテンション変動により、磁気テープ5の移送速度に変動が発生しても、速度検出部17において移送速度を検出し、検出された移送速度とサーボ信号の時間間隔とに基づいてテープ幅方向の変動(LTM)によるPESLTMを算出し、算出したPESLTMに基づいて磁気ヘッド2をテープ幅方向へ移動させる制御を行うことができる。このため、磁気テープ5の幅方向への移動制御は、LTMに基づくPESLTMのみにより行われるため、磁気テープ5の速度変動をLTMと誤認識して磁気ヘッドを動かす誤動作がなくなり、PESの悪化を防ぐことができる。
また、速度検出部17は、図3における垂直サーボトラック62に形成されているストライプに基づき磁気テープ5の移送速度を検出する構成とすることで、従来の磁気テープ装置の構成を大幅に変更することなく、速度検出を行う手段を磁気テープ装置に搭載することができ、低コストに実現することができる。
また、速度検出部17は、磁気テープ5に光を分割して前記磁気テープの移動方向の前方側と後方側から照射し、磁気テープ5から反射した光の散乱光を検出して電気信号に変換し、電気信号の変動周波数から磁気テープ5の移送速度を算出する構成とすることで、磁気テープ5に記録されている信号の形態にかかわらず、移送速度を検出することができるので、汎用性に優れる。
なお、本実施の形態では、LTOのタイミングサーボ信号における速度検出例を示したが、別のタイミングサーボ方式あってもよく、また速度検出方法として他の方法を用いてもよい。
また、本実施の形態におけるVCM11は、本発明における駆動手段の一例である。また、本実施の形態における位置演算回路13は、本発明における位置演算手段の一例である。また、本実施の形態におけるコントローラ14、DAC15、VCMドライバ16は、本発明の制御手段の一例である。また、本実施の形態における速度検出部17は、本発明の速度検出手段の一例である。
本発明の磁気テープ装置は、コンピュータ用のデータストレージシステムに有用である。
2 磁気ヘッド
11 ボイスコイルモータ
13 位相演算回路
14 コントローラ
15 デジタルアナログコンバーター
16 VCMドライバ
17 速度検出部
11 ボイスコイルモータ
13 位相演算回路
14 コントローラ
15 デジタルアナログコンバーター
16 VCMドライバ
17 速度検出部
Claims (3)
- 磁気テープに記録されているサーボ信号を再生可能なサーボヘッドと、前記磁気テープに対してデータ信号を記録または再生可能なデータヘッドとを備えた磁気ヘッドと、
前記磁気ヘッドを前記磁気テープの幅方向へ移動可能な駆動手段と、
前記サーボヘッドで再生されたサーボ信号に基づき現在の前記磁気ヘッドの位置を検出し、検出した前記磁気ヘッドの位置と目標トラック位置とのずれ量である位置誤差データを算出する位置演算手段と、
前記位置演算手段で算出された前記位置誤差データから前記磁気ヘッドを前記幅方向へ移動させるための制御量を算出し、算出した制御量を前記駆動手段に送る制御手段とを備えた、磁気テープ装置であって、
前記磁気テープの移送速度を検出可能な速度検出手段をさらに備え、
前記位置演算手段は、
前記サーボヘッドで再生されたサーボ信号の時間間隔と、前記速度検出手段で検出された移送速度とから、前記磁気テープの幅方向の位置変動による位置誤差データを算出し、
前記制御手段は、
前記位置演算手段で算出された前記磁気テープの幅方向の位置変動による位置誤差データに基づいて、制御量を算出する、磁気テープ装置。 - 前記サーボヘッドは、
互いに異なる方向に傾斜した複数のストライプが長さ方向に並んで形成された第1のサーボトラックと、互いに平行な複数のストライプが長さ方向に並んで形成された第2のサーボトラックとを備えた前記磁気テープに対向した時に、前記第1のサーボトラックをトレース可能な第1のサーボヘッドと、前記第2のサーボトラックをトレース可能な第2のサーボヘッドとを備え、
前記速度検出手段は、
前記第2のサーボヘッドで前記第2のサーボトラックをトレースすることにより再生されたサーボ信号に基づき、前記磁気テープの移送速度を検出する、請求項1記載の磁気テープ装置。 - 前記速度検出手段は、
前記磁気テープに対して光を分割して前記磁気テープの移動方向の前方側と後方側から照射し、前記磁気テープから反射してきた散乱光を検出して電気信号に変換し、前記電気信号の変動周波数から前記磁気テープの移送速度を算出する、請求項1記載の磁気テープ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008128334A JP2009277301A (ja) | 2008-05-15 | 2008-05-15 | 磁気テープ装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008128334A JP2009277301A (ja) | 2008-05-15 | 2008-05-15 | 磁気テープ装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2009277301A true JP2009277301A (ja) | 2009-11-26 |
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ID=41442589
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2008128334A Withdrawn JP2009277301A (ja) | 2008-05-15 | 2008-05-15 | 磁気テープ装置 |
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Country | Link |
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2008
- 2008-05-15 JP JP2008128334A patent/JP2009277301A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
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