JP2009276472A - キャリアおよびその製造方法 - Google Patents

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Takashi Hara
高志 原
Tadashi Iwamatsu
正 岩松
Nobuyuki Yoshioka
伸之 吉岡
Hiroyuki Hirakawa
弘幸 平川
Yoshinori Muto
吉紀 武藤
Takanori Kamoto
貴則 加本
Osamu Wada
統 和田
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Abstract

【課題】キャリアの付着を抑制し、現像剤の流動性の悪化を防ぐことにより、高画質の画像形成を長期に亘って維持することができるキャリアを提供する。
【解決手段】本発明のキャリア1は、芯材2の表面に被覆層3を備えたキャリア1であって、被覆層3は、アクリル変性されたシリコーン樹脂を含むシリコーン系樹脂から形成されており、芯材2の形状係数(SF−1)が110〜135であるので、高画質の画像形成を長期に亘って維持することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、像担持体上に形成された静電潜像を現像し、可視像化する電子写真方式に好適に用いられるキャリアおよびその製造方法に関し、より詳しくは、キャリア、当該キャリアを製造する方法、当該キャリアを含む現像剤、および当該現像剤を用いて現像する方法に関するものである。
プリンタまたは複写機等の電子写真技術を利用した画像形成装置には、像担持体上に形成された静電潜像を現像し、可視像を形成するための現像剤が用いられている。従来、この現像剤として、トナーとキャリアとからなる二成分現像剤と、トナー単体からなる一成分現像剤とが用いられている。これら現像剤のうち、二成分現像剤を用いた磁気ブラシ現像方式は、他の現像方式と比較して画質の面において優れ、高速印刷も可能であるため、幅広く利用されている。
ところで、磁気ブラシ現像方式を用いた画像形成装置は、二成分現像剤を担持させる現像剤担持体と、静電潜像が形成される像担持体とを備えている。現像剤担持体は、円筒形状の金属スリーブと、その内部に備えられたマグネットローラとを備える構成である。なお、当該マグネットローラには磁界発生手段である永久磁石が、N極とS極とが交互になるようにして配設されている。
このような画像形成装置では、次のような方法により可視像を形成する。まず、現像剤担持体の金属スリーブの表面に二成分現像剤を担持させ、マグネットローラを固定したまま金属スリーブのみを回転させる。これにより、像担持体に対向する領域である現像領域へ、二成分現像剤を搬送することができる。その後、現像剤担持体と像担持体との間に印加された現像電界により帯電したトナーのみを像担持体に静電付着させて、可視像が形成される。
また、二成分現像剤に含まれるトナーは、現像剤担持体を含む現像ユニット内においてキャリアと混合撹拌されることによって帯電する。このようなトナーの性質を利用した電子写真技術として、乾式二成分現像がある。この乾式二成分現像では、帯電したトナーの静電気力を用いて、トナーのハンドリングおよび画像形成を行なう。そのため、トナーの帯電量は現像機構を制御するにあたって最も重要な要素であり、様々な状況変化に対して安定していることが望まれる。
また、近年、プリンタまたは複写機等の画像形成装置において、印刷の高画質化および高速化が重要視されている。例えば、帯電能力が高く小粒径のキャリアを用いた場合には、ハーフトーンでの粒状性が向上し、高解像度の画像を形成することが可能になる。このような高画質の画像は、特にカラー画像において得ることができる。
このとき、高画質の画像を得るために特に重要となるのは、現像剤の安定性である。すなわち、印刷の高画質化を達成するためには、決められた量のトナーを決められた場所に迅速に配置する必要がある。電子写真技術では、トナーのハンドリングおよび画像形成に静電気力を利用しているため、静電気力以外の要因により生じる、例えば付着力等の外力に打ち勝つ必要がある。このため、トナーは或る程度以上の帯電電荷量を保持しなくてはならない。また、印刷の高速化に伴って印刷枚数も増加するため、長期に亘って印刷可能とするには、現像剤に、長期間に亘った安定性が求められる。
このような要求を満たすために、現像剤に含まれるキャリアは、長期間に亘って常にトナーを所望の極性および所望の帯電量に摩擦帯電させる必要がある。
しかしながら、実際には、現像剤中において次のような問題がある。すなわち、現像剤中におけるキャリアの表面には、トナーとの衝突またはキャリア同士の衝突、さらには現像装置構成部材との衝突等により、表面にトナーの膜が形成される。このトナーの膜(トナースペント)が形成されることにより、キャリアの帯電能力は使用時間と共に低下してしまう。このように、キャリアの帯電能力が低下することによって低帯電トナーのキャリア離れ(トナー飛散)が生じ、画像形成装置内においてトナー汚染が生じるおそれもある。
これまで、上述のトナースペントを防止する様々な方法が考えられており、そのひとつとして、キャリアの表面に種々の樹脂を被覆する方法が提案されている。このとき、当該方法では、例えば樹脂の表面エネルギーを考慮する必要があり、これに関して次のような知見が得られている。
例えば、キャリアを被覆する樹脂としてアクリル樹脂を用いた場合には、その被覆面は負帯電性のトナーに対する帯電性に優れている。しかしながら、当該アクリル樹脂の表面エネルギーは高い。このため、トナースペントが発生しやすく、現像剤としての寿命は長くない。また、表面エネルギーが極めて低い四フッ化エチレン重合体を被覆樹脂として用いた場合には、トナースペント耐性は改善されるものの、キャリア自身が強く負に帯電するために、負帯電性であるトナーと共に使用することは困難である。そこで、負帯電トナーと共に利用可能な被覆樹脂として、表面エネルギーの低いシリコーン樹脂を用いたキャリアが数多く提案されている。
また、トナースペントによる帯電能力の低下を防ぎ、負帯電性を有する被覆樹脂として、例えば、特許文献1には、アクリル変性シリコーン樹脂を用いた樹脂コートキャリアが開示されている。当該アクリル変性シリコーン樹脂は、シリコーン系樹脂およびアクリル系樹脂を混合することにより、両者の特性を併せ持っている。特許文献1では、アクリル変性シリコーン樹脂におけるアクリル樹脂とシリコーン樹脂との成分比、およびシリコーン樹脂中に含まれる有機基の割合を制御している。これにより、帯電能力および耐スペント性に優れた、バランスの良い現像特性を有する樹脂被覆キャリアが得られる。
現像剤の現像特性としては、上述したように、帯電能力および耐スペント性に優れていることが望まれているが、これらの特性はライフに亘って安定していることがさらに望まれる。そこで、帯電能力および耐スペント性に加え、キャリアの抵抗値変化に伴って生じるキャリア付着を考慮する必要がある。
キャリア付着とは、可視像が形成される感光体にキャリアが付着することであり、これにより画質の低下を招く。このキャリア付着は、次のような場合に生じることがある。例えば、キャリアを被覆している樹脂の被覆状態が安定していない場合には、キャリア同士の衝突等によって樹脂に削れまたは剥がれが生じ、キャリアが露出することがある。このとき、露出されたキャリアは抵抗が低くなっているため、感光体に付着し易くなっており、キャリア付着が起こる。
そこで、感光体へのキャリア付着がライフに亘って起こらないようにするために、例えば、特許文献2には、キャリアの表面形状が凹凸を形成するように作成された樹脂被覆キャリアが開示されている。具体的には、キャリアコアの形状および樹脂をコートした後の樹脂被覆キャリアの形状を、これらが凹凸を形成するように規定して樹脂被覆キャリアを作成している。このような形状であることにより、コア基材表面における凹凸部にはシリコーン樹脂が固定化されることになる。したがって、樹脂の剥がれに強い樹脂被覆キャリアとしている。
また、特許文献3には、球形のコアを用いることによって樹脂の削れを防止する樹脂被覆キャリアが開示されている。ここでは、薄膜の樹脂によって被覆するように、コアの粒径と樹脂の膜厚との比をコントロールしている。そのため、樹脂の被覆量が多いことによるトナースペントの発生が抑えられている。また、キャリアの形状が凹凸の少ない球形であることにより、キャリア同士の接触による樹脂の削れを防止している。
特開2000−235283号公報(平成12年8月29日公開) 特開平8−292607号公報(平成8年11月5日公開) 特開2007−86721号公報(平成19年4月5日公開)
上述したように、高画質の画像形成を長期に亘って維持するためには、帯電量の高いトナーと、ライフに亘って現像特性が安定しているキャリアとが必要となる。
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、帯電特性およびトナースペントに対しては有効であるものの、被覆樹脂の削れを軽減する手段は施されていない。そのため、樹脂の削れが生じることにより、キャリアが感光体上に移行するキャリア上りが増加し、ライフに亘って高画質の画像形成を行なうことが難しい。
また、上述の特許文献2および3の技術においても解決されていない問題がある。例えば、特許文献2に記載の技術では、キャリア粒子の表面形状が凹凸状であるため、キャリア同士が接触する際にお互いの被覆樹脂を削り合うことになる。このように樹脂の削れが起こることによって、キャリア付着が生じることになる。また、非球形であることにより、樹脂を均一に被覆することが難しい。
また、特許文献3に記載の技術では、画像を高画質化するためにキャリアの粒径を小さくしようとした場合には、コアに存在するグレインのために、凹凸のない球形のキャリアを作成することが難しい。また、特許文献3の樹脂被覆キャリアに用いられているアクリル樹脂は、コアとの密着性が良く均一性に優れてはいるものの、次のような問題がある。
例えば、シリコーン樹脂等によってキャリアコアを被覆する場合には、樹脂を硬化させるために高温で加熱処理することがある。この加熱処理をアクリル樹脂に行なった場合には、アクリルの熱可塑性のため、高温で樹脂を硬化させることが難しい。そのため、被覆樹脂としての強度を高めることが難しい。
そこで、樹脂の強度を高めるために被覆量を増やした場合には、アクリル樹脂同士の付着性が問題となる。つまり、アクリル樹脂は互いに付着し易い性質を有するため、樹脂の被覆量が増えることによってキャリア同士が架橋する。その結果、キャリアの流動性が悪化することになる。このような傾向は、アクリル変性シリコーン樹脂におけるアクリル比の増大、またはキャリア粒径の小型化に伴い顕著に現れる。キャリアの流動性が悪い場合には、トナーが消費されて新たなトナーが補給されたとしても、この新たなトナーを素早く帯電することができない。このため、非画像領域にトナーが付着するような事態が生じることになり、高画質の画像形成が困難となる。
このように、キャリア付着およびキャリアの流動性の悪化は画質の低下を招き、ライフに亘って高画質の画像を提供することが困難となる。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、キャリアの付着を抑制し、キャリアの流動性の悪化を防ぐことにより、高画質の画像を長期に亘って形成することができるキャリアを提供することにある。
本発明に係るキャリアは、上記課題を解決するために、芯材の表面に被覆層を備えたキャリアであって、上記被覆層は、アクリル変性されたシリコーン樹脂を含むシリコーン系樹脂から形成されており、上記芯材の形状係数(SF−1)が110〜135であることを特徴としている。
上記の構成によれば、本発明に係るキャリアの被覆層は、アクリル変性されたシリコーン樹脂を含んでおり、芯材の形状係数が110〜135である。
具体的には、キャリアの被覆層を形成する樹脂として、アクリル変性シリコーン樹脂が用いられている。当該アクリル変性シリコーン樹脂は、負帯電トナーに対する帯電性に優れていることに加え、芯材を被覆する際に芯材との密着性が良く、均一に被覆することができる。したがって、樹脂の剥がれを抑制することができるため、キャリア付着を防止することができるという効果を奏する。
また、本発明に係るキャリアの芯材の形状係数(SF−1)は110〜135である。形状係数(SF−1)とは、芯材の最大長(D)の2乗値を芯材の投影面積(S)によって割った値であり、この値が110以上である場合には、芯材の外形が真球から離れていることを意味する。このような形状を有する芯材を用いることによって、樹脂により被覆されたキャリアの表面形状も真球から離れた形状となる。したがって、付着し易い性質を有するアクリル変性シリコーン樹脂を用いたとしても、キャリア同士の架橋は抑えられるため、キャリアの流動性を悪化させることがない。
さらに、当該形状係数の値が135以下であるため、樹脂同士による過度の削れが生じることを防ぐことができる。これによりキャリア付着はさらに抑制されるため、高精細な画像を形成することができる。
また、本発明に係るキャリアでは、上記シリコーン系樹脂の重量は、上記芯材の重量に対して0.25%〜1.0%であることが好ましい。
上記の構成によれば、本発明に係るキャリアの被覆層を形成するシリコーン系樹脂の重量は、芯材の重量に対して0.25%〜1.0%である。
このように、キャリアを被覆する樹脂の量が芯材の重量に対して0.25%以上であれば、当該樹脂の削れまたは剥がれを防止するためには十分である。また、樹脂の被覆量を1.0%以下とすることにより、樹脂同士の付着を抑制することができる。したがって、キャリアの流動性悪化を防ぐことができるという効果を奏する。
また、本発明に係るキャリアでは、上記シリコーン系樹脂の全重量に対する、アクリル変性されたシリコーン樹脂が占める割合が50%以上、100%以下であることが好ましい。
上記の構成によれば、本発明に係るキャリアを被覆するシリコーン系樹脂は、シリコーン系樹脂の全重量に対する、アクリル変性されたシリコーン樹脂が占める割合が50%以上、100%以下となるように形成されている。上記重量比がこのような範囲にあることにより、十分な負帯電能力を保持することが可能であり、かつトナースペントにも強いキャリアとすることができる。そのような範囲のアクリル比としては、例えば、芯材100重量部に対してアクリル変性されたシリコーン樹脂を0.25重量部〜0.65重量部とすることができる。そのような範囲にすることによって、ライフに亘って高画質な画像を形成することができるという効果を奏する。
また、本発明に係るキャリアでは、上記シリコーン系樹脂は、架橋型シリコーン樹脂であることが好ましい。
上記の構成によれば、本発明に係るキャリアでは、架橋型シリコーン樹脂により被覆層を形成しているため、被覆層として好ましい強度にすることができるという効果を奏する。
また、本発明に係るキャリアでは、上記被覆層は触媒を含んでいることが好ましい。
上記の構成によれば、本発明に係るキャリアの被覆層を形成しているシリコーン系樹脂は触媒を含んでいる。この触媒は、主に樹脂の硬化を促進するために添加する硬化触媒である。したがって、キャリアの表面を好適な硬さに調整することができるという効果を奏する。
また、本発明に係るキャリアでは、上記触媒は有機金属化合物であることが好ましい。
上記の構成によれば、樹脂に添加する触媒は有機金属化合物である。このような有機金属化合物としては、例えばアルミニウム化合物またはチタン化合物等が挙げられる。硬化触媒としてこれらの有機金属化合物を用いた場合には、硬化の反応速度が速すぎないため、シリコーン樹脂を硬化させる触媒として適している。また、例えば樹脂に微粒子を添加した場合、当該微粒子が樹脂の外へ析出するのを防ぐことができるという効果を奏する。
また、上記触媒の添加量は、上記シリコーン系樹脂の重量に対して0.2%〜10%であることが好ましい。
上記の構成によれば、被覆層にはシリコーン系樹脂の重量に対して0.2%〜10%の量の触媒が添加されている。触媒の添加量がこのような範囲であることにより、キャリア付着および流動性の悪化を抑制することができるという効果を奏する。
また、本発明に係るキャリアは、平均粒子径が35μm以上、55μm以下であることが好ましい。
このように、平均粒子径が35μm以上、55μm以下の範囲であるキャリアを現像剤として用いることによって、トナーの帯電量が安定化すると共に、高精細な画像を形成することができるという効果を奏する。
本発明に係るキャリアの製造方法は、上記課題を解決するために、形状係数(SF−1)が110〜135である芯材の表面に、被覆層を形成することを特徴としている。
上記の構成によれば、本発明に係るキャリアの製造方法は、形状係数(SF−1)が110〜135である芯材の表面に被覆層を被覆することによってキャリアを製造する。
したがって、本発明に係るキャリアと同様の効果を有するキャリアを製造することができる。
また、本発明に係るキャリアの製造方法は、上記被覆層は、アクリル変性されたシリコーン樹脂を含むシリコーン系樹脂からなることが好ましい。
上記の構成によれば、本発明に係るキャリアの製造方法は、被覆層としてアクリル変性されたシリコーン樹脂を含むシリコーン系樹脂を用いて製造する。したがって、芯材に樹脂を被覆する際に芯材と密着し易く、芯材に均一に被覆することができるという効果を奏する。
本発明に係る現像剤は、上記課題を解決するために、本発明に係るキャリアと、トナーとを含むことを特徴としている。
上記の構成によれば、本発明に係る現像剤は、本発明に係るキャリアを用いている。したがって、キャリア付着および流動性の悪化を防ぐことにより、高画質の画像形成を長期に亘って維持することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る現像剤では、上記トナーは外添剤を含んでいることが好ましい。
上記の構成によれば、トナーに含まれる外添剤としては、例えば、酸化ケイ素、酸化チタン、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、およびチタン酸バリウム等が挙げられる。このような外添剤を含むことによって、トナーはキャリアの表面への付着による帯電の低下を引き起こすことなく、長期的かつ安定的にトナーを帯電させることができるという効果を奏する。
本発明に係る現像方法は、上記課題を解決するために、本発明に係る現像剤を用いて現像を行なうことを特徴としている。
上記の構成によれば、本発明に係る現像方法は、本発明に係る現像剤を用いて現像を行なう。したがって、本発明に係る現像方法を採用することにより、高画質の画像形成を長期に亘って維持することができる。
本発明に係るキャリアは、以上のように、芯材の表面に被覆層を備えたキャリアであって、上記被覆層は、アクリル変性されたシリコーン樹脂を含むシリコーン系樹脂から形成されており、上記芯材の形状係数(SF−1)が110〜135であるので、キャリアの付着を抑制し、キャリアの流動性の悪化を防ぐことにより、高画質の画像を長期に亘って形成することができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態について、図1に基づいて説明すれば、以下の通りである。
図1に示すように、本実施の形態に係る現像剤7は、キャリア1とトナー4とからなる。以下に、キャリア1、トナー4、および現像剤7について説明する。
(キャリア)
本実施の形態に係るキャリア1は、芯材2と、芯材2を被覆する被覆層3とから構成されている。
芯材2とは、キャリア1の芯材となる粒子のことである。その材質としては、当分野において常用される材質である限り限定されないが、例えば、鉄、銅、ニッケル、およびコバルト等の磁性金属、またフェライト、およびマグネタイト等の磁性金属酸化物が例示できる。このように、芯材2が磁性体であることにより、磁気ブラシ現像法に用いる現像剤7として、好適なキャリア1を得ることができる。
芯材2の粒子径としては、現像剤7として用いることができる大きさであれば特に限定されないが、平均25〜70μmの範囲であることが好ましく、平均35〜55μmの範囲であることがより好ましい。芯材2の粒子径がそのような範囲であることにより、現像剤7としての取り扱い、または芯材2への被覆層3の被覆が容易になるという効果を奏する。
また、本発明に係るキャリア1は、芯材2の形状係数(SF−1)が110〜135であればよい。
形状係数(SF−1)(以下、単に「形状係数」と称することもある)とは、粒子の形状等の形態を表現する係数として一般的に使用される評価値である。当該形状係数は、例えば、走査型電子顕微鏡または光学顕微鏡等がとらえた、粒子画像の面積、長・短径、および周長等を高精度に定量解析することによって測定される値である。なお、この定量解析は、画像解析という評価手法に基づいたものであり、例えば、イメージ計測アプリケーション(VE−H2A:株式会社キーエンス社製)を用いて行なうことができる。
また、形状係数の値は、上述の画像解析によって得られた粒子の面積、長・短径、および周長等を用いて算出することができる。なお、当該形状係数は、複数の粒子から得られた値の平均値を用いて算出しており、本明細書においては、300粒の平均値を用いて算出している。具体的には、粒子の形状係数(SF−1)は、下記の数式(1)に示すように、芯材2の粒子の長径である最大長Rを2乗した値を、芯材2の粒子の投影面積Sで割った値にπ/4を掛け、さらに100倍することによって得られる値である。
このようにして得られた形状係数の値は、100に近いほど真球に近づき、100から離れるほど凹凸のある不定形な形をとっていることを意味する。
そのような表面形状を有する芯材2の製造方法の一例を以下に説明するが、本発明の芯材2の製造方法はこれに限定されるものではない。
まず、上述した芯材2の構成要素である磁性金属、または磁性金属酸化物を微粉砕する(微粉砕工程)。この粉砕物に、水、バインダー樹脂、および分散剤を加えてスラリーにする。その後、該スラリーを湿式粉砕し、乾燥させることによって造粒物を得る。ここまでの工程において、形状係数に大きく反映するのは第一段階の微粉砕工程であり、造粒物を構成する最小単位である粒塊の大きさを決定する。
次に、得られた造粒物を仮焼し、再度微粉砕することによって、上記と同様のスラリーにする。その後、本造粒および本焼成を経て、さらに解砕工程を行なうことによって、芯材2の粒子が得られる。
ここで、芯材2の粒径は、該解砕工程における解砕度合いによって決まる。また、粒塊の大きさおよび上記本焼成の条件を変えることによって、完全な球形から不定形まで芯材2の表面形状を操作することができる。
例えば、芯材2の形状が真球に近くなる場合には、芯材2に樹脂をコーティングするとき、またはコーティング後に樹脂を硬化させるときにキャリア1同士が接触する面積が増大する。このように、キャリア1同士が接触することにより、各々のキャリア1を被覆している樹脂の間に架橋が生じ、キャリア1同士が結着してしまう。そこで、キャリア1の表面に凹凸をつけてキャリア1同士が接触する面積を最小限に抑えることにより、キャリア1の流動性を良好にすることができる。
また、芯材2の形状係数を110〜135の範囲内に収めることによって、キャリア1の形状が不定形であったとしても樹脂のコーティングを十分に行なうことが可能であり、流動性の悪化を防ぐこともできる。
被覆層3とは、芯材2の表面を被覆する層である。被覆層3は、芯材2を被覆可能なものである限り限定されないが、例えば、熱硬化性樹脂である被覆樹脂によって構成されている。上記被覆樹脂としては、被覆層3として用いることができる限り限定されず、例えば、アクリル変性されたシリコーン樹脂(以下、アクリル変性シリコーン樹脂と記す)が挙げられる。アクリル変性シリコーン樹脂としては、特に限定されるものではなく、この分野において常用される樹脂を用いることができるが、架橋型シリコーン樹脂であることがより好ましい。
架橋型シリコーン樹脂とは、下記の化学式(1)に示すような構成を有する、従来公知のシリコーン樹脂である。
なお、化学式(1)中の複数のRは、同一または異なる一価の有機基を示す。
また、Si(ケイ素)原子が架橋する際の反応様式としては、Si原子に結合する水酸基同士、または水酸基と「−OX」基とが、加熱脱水反応または常温硬化反応等によって架橋する形式が挙げられる。以下に示す化学式(2)は、加熱脱水反応の反応式であり、化学式(3)は、常温硬化反応の反応式である。
なお、「−OX」基とは、アセトキシ基、アミノキシ基、アルコキシ基、またはオキシム基を表わす。このようにSi(ケイ素)原子同士が架橋することによって、樹脂が硬化する。
このように、被覆層3の被覆樹脂として架橋型シリコーン樹脂を用いることにより、本発明に係る芯材2の表面に被覆樹脂を被膜することが容易になるという効果を奏する。そのような架橋型のアクリル変性シリコーン樹脂としては、特に限定されるものではなく、市販のものを用いることが可能であり、例えば、KR−9706、x−41−1252D(何れも信越化学工業(株)製)等を挙げることができる。
また、当該アクリル変性シリコーン樹脂は、その他の架橋型シリコーン樹脂と併用して用いることができる。アクリル変性シリコーン樹脂以外の架橋型シリコーン樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、KR271、KR272、KR274、KR216、KR280、KR282、KR261、KR260、KR255、KR266、KR250、KR251、KR155、KR152、KR214、KR220、KR350、KR400、X−4040−171、KR201、KR5202、およびKR3093(何れも信越化学工業(株)製)等が例示できる。なお、当該架橋型シリコーン樹脂はアクリル変性シリコーン樹脂が析出しない領域に存在するものであり、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
さらに、架橋型シリコーン樹脂の中でも、化学式(1)においてRによって示される1価の有機基がメチル基であるものが好ましい。このように、Rがメチル基である架橋型シリコーン樹脂は、架橋構造が緻密である。したがって、当該架橋型シリコーン樹脂を用いて被覆層3を形成した場合には、撥水性および耐湿性等の良好なキャリア1が得られるという効果を奏する。しかしながら、架橋構造が緻密になりすぎると、被覆層3が脆くなる傾向があるため、架橋型シリコーン樹脂の分子量の選択が重要となる。
架橋型シリコーン樹脂は、その性質の違いにより、加熱硬化型シリコーン樹脂、および常温硬化型シリコーン樹脂に分けられるが、何方も本発明の被覆層3として用いることができる。例えば、加熱硬化型シリコーン樹脂を用いた場合には、当該樹脂を架橋させるためには、例えば、60〜240℃程度に加熱する必要がある。また、常温硬化型シリコーン樹脂を用いた場合には、当該樹脂を硬化させるための加熱は必要としないが、硬化時間を短縮するためには、例えば、60〜240℃程度に加熱することが好ましい。このとき、アクリル変性されたシリコーン樹脂を用いているため、アクリル樹脂の耐熱性を考慮して240℃以上に加熱しない方が好ましい。
また、本発明に係る被覆層3の被覆樹脂は、二官能性シリコーンオイルをさらに含んでいてもよい。例えば、被覆層3が二官能性シリコーンオイルを含むことにより、樹脂の耐湿性、離型性等を向上させることができるという効果を奏する。そのような二官能性シリコーンオイルとしては、アクリル変性シリコーン樹脂によって形成される被覆層3の好ましい特性を損なわない限り限定されるものではない。
被覆層3を芯材2に被覆する際の形態としては、芯材2を被覆することができる限り限定されないが、例えば、上記被覆樹脂等の被覆層3の構成成分である上記被覆樹脂を溶媒に溶解させた溶液状であってもよい。このように、被覆層3の構成成分が溶液状であることにより、芯材2を容易に被覆することができるという効果を奏する。なお、上記溶媒としては、被覆層3の構成成分を溶解可能なものであれば特に限定されないが、例えば、有機溶媒が好適である。また、当該有機溶媒のうち、例えば、トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素類、アセトンおよびメチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフランおよびジオキサン等のエーテル類、または高級アルコール類を好適に用いることができる。なお、上記有機溶媒は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上の混合溶媒であってもよい。
本発明に係る被覆層3は、帯電量調整剤または導電性微粒子を必要に応じてさらに含んでいてもよい。
帯電量調整剤とは、トナー4への帯電量を調整するために被覆層3に含有される調整剤である。帯電量調整剤としては、トナー4への帯電量を調整することができる限り限定されないが、例えば、電子供与性の官能基を有するシランカップリング剤を用いることができる。さらに、帯電量調整剤は、上記官能基としてアミノ基を置換したアミノシランカップリング剤であることがより好ましい。帯電量調整剤としてアミノシランカップリング剤を用いることにより、トナー4に充分な電荷を付与し、かつ被覆層3の機械的強度等を著しく低下させることが無いという効果を奏する。そのようなアミノシランカップリング剤としては、特に限定されず、従来公知のものを使用することができるが、例えば、以下の一般式(2)によって表されるものを用いることができる。
(Y)Si(R) ・・・(2)
なお、一般式(2)において、m個のRは同一または異なるアルキル基、アルコキシ基、または塩素原子を示す。また、n個のYは同一または異なるアミノ基を含有する炭化水素基を示す。mおよびnは、それぞれ1〜3の整数を示し、m+n=4である。
また、上記一般式(2)において、Yによって示されるアミノ基を含有する炭化水素基としては、例えば、−(CH−X(式中、Xはアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アミノアルキルアミノ基、フェニルアミノ基またはジアルキルアミノ基を示し、aは1〜4の整数を示す)、−Ph−X(式中、Xは前記に同じであり、−Ph−はフェニレン基を示す)等が挙げられる。Rによって示されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜4の直鎖、または分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。これらの中でも、本実施の形態に係る帯電量調整剤として、メチル基またはエチル基が好ましい。
ここで、上述のRおよびYの例示を一般式(2)に適用した、アミノシランカップリング剤の具体例としては、例えば、HN(HC)Si(OCH、HN(HC)Si(OC、HN(HC)Si(CH)(OCH、HN(HC)HN(HC)Si(CH)(OCH、HNOCHN(HC)Si(OC、HN(HC)HN(HC)Si(OCH、HN−Ph−Si(OCH(式中−Ph−はp−フェニレン基を示す)、Ph−HN(HC)Si(OCH(式中Ph−はフェニル基を示す)、および(HN(HC)Si(OCH等が例示できる。なお、アミノシランカップリング剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、帯電量調整剤の使用量は、トナー4に充分な電荷を付与し、かつ被覆層3の機械的強度等を著しく低下させることが無い範囲であれば特に限定されない。そのような範囲の使用量としては、例えば、被覆層3に含まれる上記被覆樹脂を100重量部とした場合、当該帯電量調整剤は、被覆樹脂に対して10重量部以下であることが好ましく、さらに0.01〜10重量部の範囲であることが好ましい。
導電性微粒子とは、被覆樹脂に導電性を発現させるために被覆樹脂に添加される微粒子を指す。そのような微粒子としては、導電性を発現させることができる限り限定されず、例えば、導電性カーボンブラックまたは導電性酸化チタン等の微粒子を用いることができるが、導電性カーボンブラックであることが好ましい。当該微粒子が導電性カーボンブラックであることにより、少ない添加量でも導電性を発現させることができる。しかしながら、現像剤7にカラートナーを用いた場合、現像剤7中のキャリア1の表面から、上記カーボン粒子が脱離するおそれがある。例えば、このようなカーボン粒子の脱離が発生した場合には、現像した際に色にごりの原因となり、現像画像の品質を低下させるおそれがある。したがって、この場合には、アンチモンをドープした導電性酸化チタン等が有用である。
(キャリアの製造方法)
次に、本発明に係るキャリア1の製造方法の一例について、以下に説明する。なお、以下の説明においては、便宜上、被覆樹脂はアクリル変性シリコーン樹脂を含むシリコーン樹脂とし、帯電量調整剤をアミノシランカップリング剤とした場合を例に挙げて記載する。
本発明のキャリア1の製造方法は、形状係数(SF−1)が110〜135である芯材2の表面に、例えば、芯材2の形状係数に対する被覆層3の形成後の形状係数が85%程度の値となるように、被覆層3を形成する方法である。
例えば、芯材2の表面に被覆層3の構成成分からなる溶液を塗布して塗布層を形成し、加熱、減圧、またはそれらの併用により、塗布層から有機溶媒を揮発除去し、さらに乾燥時または乾燥後に塗布層を加熱硬化または単に硬化させることによって、被覆層3が形成され、キャリア1が製造される。
具体的には、まず被覆層3の構成成分を作製するために、所定量のシリコーン樹脂(被覆樹脂)およびアミノシランカップリング剤(帯電量調整剤)を混合する。このとき、必要に応じてシリコーン樹脂以外の樹脂、および二官能性シリコーンオイル等の添加剤を適量加えてもよい。次に、これらの混合物を有機溶媒に溶解させて溶液状(以下、「被覆樹脂液」と称する)にする。このようにして得られた被覆樹脂液を芯材2の表面に塗布する。この塗布方法としては、芯材2を被覆できる限り限定されないが、例えば、浸漬法、スプレー法、および流動層法等が挙げられる。
浸漬法とは、芯材2を被覆樹脂液に浸漬する方法であり、スプレー法とは、芯材2に被覆樹脂液を噴霧する方法であり、また、流動層法とは、流動気流により浮遊状態にある芯材2に被覆樹脂液を噴霧する方法である。これら方法のうち、膜形成を容易にできることから、浸漬法が好ましい。なお、何れの方法を用いる場合においても、アクリル変性シリコーン樹脂を高熱化することによる当該樹脂の付着性が問題になることがある。しかしながら、形状係数が110〜135である芯材2を用いることによって、当該樹脂同士が付着するのを防ぐことができるという効果を奏する。
ここで、芯材2の表面に被覆樹脂液を塗布するときには、溶媒蒸発によって起きる樹脂の析出と、シリコーン樹脂の硬化および添加剤の樹脂中への取込みとの両方のバランスを取る必要がある。これらは加熱温度や減圧量等によっても大きく変わるものであるが、そのためには、或る程度の時間が必要とされる。そこで、被覆樹脂液を好適に塗布するための硬化促進剤として、例えば硬化触媒(触媒)を用いてもよい。
硬化触媒とは、芯材2に被覆層3の構成成分を溶解させた溶液に加えることによって、当該溶液が硬化する速度を調整する触媒である。そのような硬化触媒としては、硬化促進剤として能力の高いものであれば限定されないが、例えば、錫化合物、アルミニウム化合物、およびチタン化合物等の有機化合物触媒が挙げられる。その中でも、アルミニウム化合物およびチタン化合物は反応速度が速すぎないため、シリコーン樹脂を硬化させる触媒として適している。また、当該樹脂に添加した微粒子が、樹脂の外へ析出するのを防ぐことができるという点においても、当該触媒を用いることがより好ましい。
なお、これらの硬化触媒は、溶液中の全被覆樹脂重量に対して0.2〜10質量%添加されていることがより好ましい。
また、芯材2の表面に被覆樹脂液が塗布された後、例えばシリコーン樹脂として、加熱硬化型シリコーン樹脂を用いた場合には、塗布層に熱硬化処理が施される。この熱硬化処理は、アクリル変性シリコーン樹脂の特性に配慮して加熱温度を選択しながら行なう。なお、本実施の形態に係る被覆樹脂液においては、樹脂を硬化できる温度であれば特に限定されないが、例えば60〜240℃程度に加熱を抑えることが好ましい。また、シリコーン樹脂として常温硬化型シリコーン樹脂を配合した場合には、加熱の必要性は薄れるが、形成される被覆層3の機械的強度を向上させること、または硬化時間を短縮すること等を目的として加熱してもよい。その際の加熱温度は、被覆層3の機械的強度の向上および、硬化時間を短縮することができる温度であれば特に限定されないが、例えば、60〜240℃程度に加熱すればよい。
なお、被覆樹脂液の全固形分濃度は特に制限されないが、被覆層3に覆われたキャリア1の形状係数が、例えば、芯材2の形状係数の85%程度となるように調整すればよい。例えば、芯材2への塗布作業性等を考慮して、硬化後の被覆層3の膜厚は1μm以下であればよく、好ましくは0.01〜0.5μm程度になるように調整すればよい。そのような膜厚にするための樹脂の被覆量としては、例えば、芯材2を100重量部とした場合、当該樹脂は、芯材2に対して0.25〜10重量部含まれていることがより好ましい。
また、被覆層3を形成しているシリコーン系樹脂の成分重量比は、シリコーン系樹脂の全重量に対する、アクリル変性されたシリコーン樹脂が占める割合が50%以上、100%以下であることがより好ましい。また、芯材100重量部に対してアクリル変性されたシリコーン樹脂を0.25重量部〜1.00重量部とすることがさらに好ましい。シリコーン系樹脂に含まれるアクリル変性されたシリコーン樹脂とアクリル変性されていないシリコーン樹脂との成分比がこのような値であることにより、負帯電能力を十分に持つことが可能であり、さらにトナースペント耐性にも優れている。したがって、ライフに亘って高画質な画像を形成することができるという効果を奏する。
(トナー)
本実施の形態に係るトナー4は、図1に示すように、母材となるトナー核5に、粒子径の異なる2種類以上の外添剤6が添加されている。
トナー核5とは、トナー4を構成する主要な核となるものであり、例えば紙等の媒体に付着することによって、画像を形成するものである。トナー核5には、結着樹脂および着色剤を原料の必須成分として用いる限り特に限定されないが、それ以外に、例えば帯電制御剤および離型剤等を必要に応じて含んでいてもよい。
結着樹脂とは、所謂ワックスを含む熱可塑性樹脂と呼ばれるものであり、トナーを紙表面に固定するときの糊として機能する添加物である。そのような結着樹脂としては、特に限定されるものではないが、黒トナー用またはカラートナー用の公知の結着樹脂を用いてもよく、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸エステル共重合樹脂等のスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン、およびエポキシ樹脂等が挙げられる。なお、結着樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ここで、結着樹脂としてポリエステル樹脂を用いる場合、当該ポリエステル樹脂を得るための芳香系のアルコール成分としては、特に限定されないが、例えばビスフェノールA、ポリオキシエチレン−(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.2)−ポリオキシエチレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、および、これらの誘導体等が挙げられる。
なお、上記ポリエステル樹脂の多塩基酸成分としては、特に限定されないが、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の二塩基酸類、トリメリット酸、トリメチン酸、ピロメリット酸等の三塩基以上の酸類および、これらの無水物、低級アルキルエステル類等が挙げられるが、耐熱凝集性の点からテレフタル酸またはその低級アルキルエステルが好ましい。
ここで、結着樹脂として用いる上記ポリエステル樹脂の酸価は、特に限定されないが、5〜30mgKOH/gの範囲であることが好ましい。例えば、上記ポリエステル樹脂の酸価が5mgKOH/g未満である場合には、当該樹脂の帯電特性が低下し、また後述する帯電制御剤がポリエステル樹脂中に分散し難くなる。これにより、帯電量の立ち上がり、またはトナー4の連続使用による繰り返し現像の帯電量安定性への悪影響を及ぼすおそれがある。
着色剤としては、画像を形成することができるものであれば限定されないが、例えば、イエロートナー用着色剤、マゼンタトナー用着色剤、シアントナー用着色剤、およびブラックトナー用着色剤等が挙げられる。
具体的には、イエロートナー用着色剤としては、特に限定されないが、例えば、カラーインデックスによって分類されるC.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー5、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17等のアゾ系顔料、黄色酸化鉄、黄土等の無機系顔料、C.I.アシッドイエロー1等のニトロ系染料、C.I.ソルベントイエロー2、C.I.ソルベントイエロー6、C.I.ソルベントイエロー14、C.I.ソルベントイエロー15、C.I.ソルベントイエロー19、およびC.I.ソルベントイエロー21等の油溶性染料等が挙げられる。
マゼンタトナー用着色剤としては、特に限定されないが、例えば、カラーインデックスによって分類されるC.I.ピグメントレッド49、C.I.ピグメントレッド57、C.I.ピグメントレッド81、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ソルベントレッド19、C.I.ソルベントレッド49、C.I.ソルベントレッド52、C.I.ベーシックレッド10、およびC.I.ディスパーズレッド15等が挙げられる。
シアントナー用着色剤としては、特に限定されないが、例えば、カラーインデックスによって分類されるC.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ソルベントブルー55、C.I.ソルベントブルー70、C.I.ダイレクトブルー 25、およびC.I.ダイレクトブルー86等が挙げられる。
ブラックトナー用着色剤は、得ようとするトナー4の設計特性に応じて適宜選択すればよく、特に限定されないが、例えば、チャンネルブラック、ローラーブラック、ディスクブラック、ガスファーネスブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック、およびアセチレンブラック等のカーボンブラックが挙げられる。
また、上記顔料以外にも、紅色顔料、緑色顔料等を使用してもよい。なお、着色剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、同色系のものを2種以上用いることができ、さらには異色系のものをそれぞれ1種または2種以上用いることもできる。
着色剤の形態としては、着色可能である限り限定されるものではなく、例えば造粒形態であるマスターバッチの形態で使用されてもよい。このような着色剤のマスターバッチの製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、従来公知のマスターバッチと同様にして製造することができる。例えば、合成樹脂の溶融物と着色剤とを混練して着色剤を合成樹脂中に均一に分散させた後、得られる溶融混練物を造粒することによって製造することができる。上記合成樹脂としては、特に限定されず、トナー核5の結着樹脂と同種のものか、またはトナー核5の結着樹脂に対して良好な相溶性を有するものを使用することができる。このとき、合成樹脂と着色剤との使用割合は、特に制限されないが、合成樹脂100重量部に対して、着色剤は30〜100重量部であることが好ましい。なお、マスターバッチは、粒径2〜3mm程度に造粒される。
また、着色剤の使用量は、特に制限されないが、結着樹脂100重量部に対して5〜20重量部であることが好ましい。これはマスターバッチ量ではなく、マスターバッチに含まれる着色剤そのものの量である。この範囲における量の着色剤を用いることによって、トナー4の各種物性を損なうことなく、高い画像濃度を有し、画質品位の非常に良好な画像を形成することができるという効果を奏する。
帯電制御剤とは、トナーの帯電量を他の内包物質よりも強く支配する添加剤である。そのような帯電制御剤としては、特に限定されるものではないが、一般的には金属錯体が用いられている。その他にも、例えば、四級アンモニウム塩、サリチル酸亜鉛、および金属モノアゾ染料等を用いても良い。
離型剤とは、トナーが紙に定着する際に、紙と定着ローラとの剥離性を向上させるものである。そのような離型剤としては、この分野で常用されるものであれば特に限定されないが、例えば、パラフィンワックスとその誘導体、マイクロクリスタリンワックスとその誘導体等の石油系ワックス、フィッシャートロプシュワックスとその誘導体、ポリオレフィンワックスとその誘導体、低分子量ポリプロピレンワックスとその誘導体、ポリオレフィン系重合体ワックス(低分子量ポリエチレンワックス等)とその誘導体等の炭化水素系合成ワックス、カルナバワックスとその誘導体、ライスワックスとその誘導体、キャンデリラワックスとその誘導体、木蝋等の植物系ワックス、蜜蝋、鯨蝋等の動物系ワックス、脂肪酸アミド、フェノール脂肪酸エステル等の油脂系合成ワックス、長鎖カルボン酸とその誘導体、長鎖アルコールとその誘導体、シリコーン系重合体、および高級脂肪酸等が挙げられる。なお、誘導体には、ワックスの酸化物、ビニル系モノマーとワックスとのブロック共重合物、およびビニル系モノマーとワックスとのグラフト変性物等が含まれる。なお、離型剤の使用量は特に制限されず、広い範囲から適宜選択できるが、結着樹脂100重量部に対して0.2〜20重量部であることが好ましい。
また、トナー核5には、上述したように、粒子径の異なる2種類以上の外添剤6が添加されている。外添剤6がトナー核5に添加されていることにより、キャリア1の表面への付着による帯電の低下を引き起こすことなく、長期的かつ安定的にトナー4を帯電させることができる。そのような外添剤6としては、特に限定されるものではなく、この分野で常用されるものを使用でき、例えば、酸化ケイ素、酸化チタン、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、およびチタン酸バリウム等が挙げられる。
また、外添剤6は、粒子径の異なる2種類以上を併用しており、その値は特に限定されないが、少なくとも1種類の粒子径が、例えば0.1μm以上であることが好ましい。そのような粒子径の外添剤6を使用することにより、特にカラートナーにおいて転写性が向上すると共に、外添剤6のキャリア1の表面への付着による帯電低下を引き起こすことなく、長期的かつ安定的にトナー4を帯電させことができる。なお、外添剤6の使用量は、特に制限されないが、例えば、トナー4を100重量部とした場合、トナー4には、外添剤6が0.1〜3.0重量部の割合で添加されていることが好ましい。
(トナーの作製方法)
トナー4の作製方法の一例を以下に説明するが、本実施の形態に係るトナー4を得る方法は、この作製方法に限定されるものではない。
まず、外添剤6以外のトナー核5の原料を、ヘンシェルミキサ、スーパーミキサ、メカノミル、またはQ型ミキサ等の混合機によって混合する。このようにして得られる原料混合物を、2軸混練機、1軸混練機、または連続式2本ロール型混練機等の混練機によって、70〜180℃程度の温度にて溶融混練し、その溶解混練物を冷却して固化する。その後、当該溶融混練物は、例えば、カッターミルまたはフェザーミル等によって粗粉砕される。この粗粉砕物は、例えば、ジェットミルまたは流動層型ジェット粉砕機等を用いてさらに微粉砕する。その結果、所望の粒度分布を有する非磁性のトナー核5が得られる。なお、上記粉砕機は、複数の方向からトナー核の粒子を含む気流を衝突させることによってトナー核の粒子同士を衝突させ、これにより、トナー核の粒子の粉砕を行なう装置である。
次に、得られたトナー核5に対して、外添剤6を添加する。このとき、外添剤6を添加する方法としては特に限定されず、従来公知の方法を用いて添加すればよい。このようにして、トナー4を製造することができる。
(現像剤)
現像剤7は、キャリア1およびトナー4を混合することにより製造される。キャリア1およびトナー4の混合割合は、特に限定されるものではない。
(現像装置および画像形成装置)
次に、本実施の形態に係る現像剤7を好適に用いることができる現像装置および画像形成装置について、図2に基づいて説明すると以下の通りである。
画像形成装置としては、従来公知の電子写真方式の画像形成装置を用いることができる。また、本実施形態に好適に利用することができる画像形成装置は、これに限定されないが、現像装置100と、像担持体12と、帯電手段と、露光手段と、転写手段と、定着手段とを備えている。
図2に示す現像装置100は、本発明のキャリア1を用いて作製された現像剤7を用いて現像する装置であり、現像ユニット15と、トナーホッパー13とを備えている。また、現像ユニット15の内部には、攪拌スクリュー10と、現像剤担持体(現像剤搬送担持体)11とが配設されており、現像剤7を格納している。また、攪拌スクリュー10の下方には、トナー濃度センサー14が設けられている。
ここで、現像装置100による現像方法の一例について、以下に説明する。まず、現像ユニット15の内部において、予め投入された本発明のキャリア1およびトナー4からなる現像剤(二成分現像剤)7を、攪拌スクリュー10によって攪拌・帯電する。この現像剤7は、磁界発生手段が内部に配設されている現像剤担持体11に搬送されることにより、現像剤担持体11の表面に保持される。このようにして、現像剤担持体11の表面に保持された現像剤7は、図示しない現像剤規制部材により一定層厚に規制された後、現像剤担持体11および像担持体12の近接領域に形成される現像領域に搬送される。
次に、現像領域に搬送された現像剤7から可視像を形成する工程について、以下に説明する。
まず、静電荷像を形成し得る感光層を表面に有した像担持体12において、その表面に所定の電位を帯電させる。次に、表面が帯電状態にある像担持体12に、画像情報に応じた信号光を照射することによって、像担持体12の表面に静電荷像(静電潜像)を形成する。次に、現像装置100からトナー4が供給されることによって現像された像担持体12の表面のトナー像を、中間転写体に転写した後、記録媒体に転写し、記録媒体表面のトナー像を記録媒体に定着させる。これにより、記録媒体に画像を形成することができる。
ところで、現像装置100では、現像剤担持体11に交流バイアス電圧を印加して形成される振動電界下において、像担持体12上の静電荷像を反転現像法で顕像化する。このとき、可視像形成によるトナー4の消費量は、トナー濃度センサー14により検知される。このトナー濃度センサー14は、トナー4が予め規定されている濃度に達しているか否かを検知するものである。従って、トナー濃度センサー14の検知結果により規定されているトナー4の濃度に達するまで、トナーホッパー13からトナー4が補給される。これにより、現像ユニット15内部の現像剤7におけるトナー4の濃度は、略一定に保たれる。
また、トナー像の記録媒体への転写後に像担持体12の表面に残留するトナー4、紙粉等、および上記中間転写体に付着した余分なトナー4等は、クリーニング手段によって除去される。
なお、画像形成装置において静電荷像を現像する場合には、像担持体12上の静電荷像を反転現像法によって顕像化する現像工程は、トナー4の各色において実行される。また、中間転写体上に互いに色の異なる複数のトナー4の像を重ね合わせることによって、多色のトナー像が形成される。なお、本実施形態では、中間転写体を用いた中間転写方式を採用しているが、像担持体12から直接、記録媒体にトナー像を転写する構成が用いられてもよい。
<実施例1>
実施例1では、樹脂の被覆量に基づいて現像剤の評価を行なった。そこで、まず試料となるキャリアおよび現像剤を以下のように作成した。
(キャリアおよび現像剤の作製)
キャリア芯材には、形状係数(SF−1)が120となるMn−Mg系フェライト(メーカー:同和鉄粉、飽和磁化65emu/g、平均粒子径φ43μm)を用いた。芯材を被覆する被覆層には、被覆樹脂としてアクリル変性シリコーン樹脂A(メーカー:信越化学工業株式会社、製品名:KR−9706)を用い、当該樹脂をトルエンに分散させて溶液とした。また、この樹脂に、導電性微粒子(導電剤)(メーカー:富士色素株式会社、製品名:9−19−1)、および硬化触媒であるアルミニウム化合物触媒(メーカー:信越化学工業株式会社、製品名:CAT−AC)を添加した。
このとき、それぞれの使用量は、キャリア芯材2kg、Mn−Mg系フェライト2kg、導電性微粒子は樹脂に対して5重量%、および硬化触媒は樹脂に対して1重量%であり、トルエン溶液に溶解したアクリル変性シリコーン樹脂Aの質量は、1回の樹脂塗布作業で処理を行なう芯材の質量2kgに対して、0.10部、0.25部、0.50部、0.75部、1.00部、および1.25部となるように塗布した(キャリアA1〜A6)。
次に、上記被覆層の構成成分からなる溶液を用いて、浸漬法により被覆した。この浸漬法による樹脂の塗布は、60℃加熱下において1時間の脱空処理を行なった。
樹脂の塗布処理をした後、処理容器から取り出されたキャリアを、焼成温度150℃、1時間による硬化過程を経て、目開き150μmのふるいにより篩い掛けすることにより、本実施例のキャリアとした。
また、比較として、アクリル変性シリコーン樹脂Aの代わりにシリコーン樹脂S(メーカー:東レ・ダウコーニング社、製品名:SR2411)を用いた。なお、シリコーン樹脂Sもアクリル変性シリコーン樹脂Aと同様に、被覆量を0.10部〜1.25部に変更してキャリアを作成した(キャリアS1〜S6)。
さらに、上述の各キャリアを用いて現像剤を作成した。まず、各キャリアをそれぞれポリエチレン容器に取り分け、この容器にトナーを加えた。ここで、当該トナーの濃度(T/D)を8%とした後に、ロールミルにより撹拌して現像剤を作成した。なお、上記Tはトナーを、Dは現像剤を表わす。また、トナーは上述した実施形態に記載したものを用いた。
次に、本実施例により得られたキャリアと、画像形成装置(シャープ株式会社製デジタルフルカラー複合機MX−6200N“プリント速度:<カラー>41ppm”)とを用いて、現像剤のキャリア付着性および流動性から帯電安定性を評価した。
(キャリア付着性評価)
まず、本実施例において作成した現像剤を画像形成装置の現像槽に投入し、テストベンチにセットした感光体と現像スリーブとの間に現像バイアスをかけて、キャリア付着を測定した。
具体的には、感光体をアースに短絡し、現像スリーブに+200Vを印加して、回転数によってきまる感光体面の周速度(Vopc)と、現像スリーブ面の周速度(Vdvr)との周速比(Vdvr/Vopc)が1.9という条件の下、現像を行なった。このとき、非画像部に相当する感光体へのキャリア付着個数をカウントした。キャリア付着個数のカウントは24mm幅のメンディングテープにより感光体上の軸方向のサンプリングを行ない、付着個数の程度により良否判定をした。キャリアの付着数が少ないほど余分なキャリア付着がなく好適に現像が行なわれていることを示す。以下の表2では樹脂の被覆量に対するキャリア付着評価を示した。表2中、キャリアの付着個数が20個以下を「○」、20個を越え40個未満を「△」、40個以上を「×」として評価している。
この実験結果から、アクリル変性シリコーン樹脂はシリコーン樹脂に比べて、被覆量が少なくてもキャリア付着を防止することができることが分かった。また、アクリル変性シリコーン樹脂を被覆する際に必要となる量は、0.25部以上であれば十分であることが分かった。
(流動性評価)
次に、キャリア付着性評価において用いた現像剤の流動性評価として、以下のような実験を行った。流動性に基づく現象は様々な特性に影響するものであるが、今回は流動性の不具合を確認するために、かぶりの測定を行なった。「かぶり」とは、非画像領域にトナーが付着して色が付いてしまう不具合のことを意味するものである。現像剤の性能としては、かぶりは少ないほうが好ましい。
かぶりの測定による流動性の評価方法は、まず、上述のキャリア付着を測定した現像槽を用意して、キャリアA2〜A6からなる現像剤を投入した。なお、上述のキャリア付着性評価において樹脂の被覆量は0.25部以上であることが好ましいことが分かったので、キャリアA1(被覆量:0.10部)は使用しなかった。
次に、上記画像形成装置において、印字率5%の帯状パターンにより濃度1.5になるように、現像スリーブおよびグリッドに印加するバイアスを調整して印字を行なった。その際のクリーニングフィールドは200Vとした。また、印字を行なった50枚目の用紙をサンプリングし、その帯状パターン以外の領域のかぶり状態を評価した。このとき、キャリアの流動性が悪い場合には、トナーが消費されることによって新たなトナーが補給されたとしても、この新たなトナーを素早く帯電することができない。このため、非画像領域にトナーが付着するようなかぶり量が多くなる。以下の表3には被覆量に対するかぶり量を示した表である。かぶりを評価するためには、プリントした画像の非画像域の白色度を測定することにより判断する。白色度は日本電色工業(株)製SZ90型分光式色差計を用いて、三刺激値X、Y、Zを求め印字前の用紙の白色度をバックグラウンドとして引き差ってかぶり量とした。ここでは、かぶり量が0.01以下を「○」、0.01より大きく、0.02以下を「△」、0.03以上を「×」として評価している。
この実験結果から、樹脂の被覆量が1.25部であるとかぶり量が増大し、流動性が悪化していることがわかった。
以上の結果から、アクリル変性シリコーン樹脂を用いたキャリアにおいては、樹脂の被覆量が0.25部以上、1.00部以下である必要があることが確認できた。
<実施例2>
実施例2では、キャリアの表面形状に基づいて現像剤の評価を行なった。具体的には、形状係数の異なる芯材を用いたキャリアと、画像形成装置(シャープ株式会社製デジタルフルカラー複合機MX−6200N“プリント速度:<カラー>41ppm”)とを用いて、現像剤の流動性およびキャリア付着性から帯電安定性の評価を行なった。
実施例2では、形状係数が105,110,120,130,135,および139である芯材を用いて、実施例1と同様にアクリル変性シリコーン樹脂の膜厚を代えてキャリアを作成した。なお、実施例1の結果から、樹脂の被覆量が0.10部および1.25部であるものは除き、0.25部,0.50部,0.75部,および1.00部となるように樹脂を被覆した。樹脂被覆後の工程は、実施例1におけるキャリアの作製方法と同様の条件において行なった。これにより、以下の表4に示すようなキャリアが得られた。
(流動性評価)
本実施例において得られたキャリアを用いて、実施例1の流動性評価と同様の条件においてかぶりの測定をした。以下の表5はキャリア形状とかぶり評価を示した表である。なお、表5中では、かぶり量が0.01以下を「○」、0.01より大きく、0.02以下を「△」、0.03以上を「×」として評価している。
この結果から、形状係数SF−1が105であるとかぶり量が増えることが分かった。これは、形状係数が105以下のキャリアでは、キャリア同士の付着性によって流動性が悪化したためである。したがって、芯材の形状係数SF−1は105以上必要であることが分かった。
(キャリア付着性評価)
次に、実施例2において作成したキャリアを用いて、実施例1のキャリア付着性評価と同様の方法によってキャリア付着性を評価した。これにより得られた結果を以下の表6に示す。なお、キャリアの付着個数が20個以下を「○」、20個を越え40個未満を「△」、40個以上を「×」として評価している。
この結果から、形状係数SF−1が139以上になると、キャリア付着性が悪化することが分かった。形状係数SF−1が135以上になると、キャリア形状が球形から遠くなるため、被覆状態における不均一性の増加することになる。また、キャリア形状が球形から遠くなると、現像電界の集中が起きることによって電荷がリークすることが考えられる。これらの結果として、キャリア付着性が悪化すると考えられる。
以上の結果から、アクリル変性シリコーン樹脂を用いたキャリアにおいては、形状係数SF−1により機能性が大きく現れ、芯材の形状係数が110〜135程度必要であることが確認できた。
<実施例3>
実施例3では、触媒量および加熱工程に基づいて現像剤の評価を行なった。具体的には、実施例1および2において用いたキャリアA3およびA5の条件を変更したキャリアを6種類作成して、流動性およびキャリア付着性の評価を行なった。
実施例3のキャリアは、次の条件に基づいて作成した。なお、キャリアA5は、アクリル変性シリコーン樹脂A、触媒量は樹脂量に対して1重量%、および樹脂被覆量は1.00部であり、樹脂の硬化温度は150℃である。また、キャリアA3はキャリアA5の条件のうち、樹脂被覆量が0.50部であること以外は同様である。
上記実施例3のキャリアは次の通りである。キャリアA5の樹脂をアクリル変性シリコーン樹脂B(メーカー:信越化学工業株式会社、製品名:X−41−1252D)に変更したものをキャリアB5。キャリアA5のアクリル変性シリコーン樹脂をコア100重両部に対して0.5部にして、新たにシリコーン樹脂T(メーカー:信越化学工業株式会社、製品名:KR−400)を0.5部加え、全体の樹脂量を1.00部としたものをキャリアAT5。キャリアA5の触媒量を0.2%に代えたものをキャリアA7。また、キャリアA5に加えた触媒を加えなかったものをキャリアA8とした。また、キャリアA3の触媒量を10%に代えて、硬化のための加熱を行なわなかったものをキャリアA9。キャリアA3と同様の組成であり、硬化のための加熱を行なわなかったものをキャリアA10とした。なお、上述した変更条件以外は、実施例においてキャリアを作成した条件と同様であった。
ここで、実施例3のキャリアを用いて、実施例1および2と同様の方法により流動性およびキャリア付着性を評価した。これにより得られた結果を以下の表7および表8に示した。
表7に示すように、キャリアA10ではかぶりおよびキャリア付着が好ましくない結果となったのに対し、同様に加熱処理を行なわなかったキャリアA9では、かぶりおよびキャリア付着が良好であった。この結果から、硬化のための加熱処理を行なわない場合には、触媒の添加量を10%に増加させることによって、かぶりおよびキャリア付着が良好となることが分かった。
また、表7および表8に示すように、触媒の添加量を0.2%に減らしたキャリアA7ではかぶりおよびキャリア付着が良好であるのに対し、触媒を一切加えなかったキャリアA8では、かぶりおよびキャリア付着が好ましくない結果となった。この結果から、触媒の添加量が0.2%であれば、かぶりおよびキャリア付着が良好となることが分かった。
したがって、かぶりおよびキャリア付着は、触媒を0.2%以上加えること、または60℃の塗布処理後に加熱処理を行なうことによって改善されることが分かった。
<実施例4>
次に、実施例1〜3において作成した現像剤を用いて、キャリアのライフ安定性評価を行なった。なお、ライフ安定性評価では、実施例1〜3の現像剤の中から、以下のキャリアを選択して用いた。すなわち、A2−110、A2−130、A3、A3−135、A6、A7、A8、A5−130、A5、B5、AT5およびS5である。なお、キャリアA6は、キュア温度(硬化温度)を200℃に変更した以外はA3−135と同条件により試作した。
ライフ試験は、実施例1〜3と同様の試験機により、5%の印字濃度で3万枚(30K)になるまでプリントを行なうことにより評価を行なった。
ライフ試験の評価は、スペント評価として開始時と終了時の帯電量の変化を測定した。また、終了時のキャリア付着個数を測定し、キャリア付着の劣化を調べた。これにより得られた結果を以下の表9に示した。
なお、表中のΔは、初期およびライフの帯電の変化(減少値)を示す。この減少値が小さいほうが、スペントに強いキャリアと言うことができる。表9に示す帯電の減少値から、被覆量が少ないキャリアのほうがスペントによる帯電低下に強いキャリアとなっていることが分かった。
また、同条件で被覆樹脂の違うキャリアA5およびキャリアS5を比較した表を以下に示す。
表10に示すように、アクリル変性シリコーン樹脂によって被覆されたキャリアA5は、同条件で被覆樹脂の違うキャリアS5と比べると、スペントに対する帯電量の減少がシリコーン樹脂と同等レベルまで抑えられていることが確認できた。また、シリコーン樹脂によって被覆されたキャリアS5に比べてキャリアA5の方の帯電量が高くなった。このことから、アクリル変性シリコーン樹脂によって負帯電能力が上昇し、さらにライフにおいても帯電が維持されていることが分かった。
また、シリコーン系樹脂の成分が異なるキャリアA5、B5、AT5、S5を比較した表を以下に示す。
表11に示すように、アクリル変性シリコーン樹脂Aよりもシリコーン成分が多いアクリル変性シリコーン樹脂Bを用いたキャリアB5では、エージングでの帯電量低下がキャリアA5より抑制されており、スペントに強いキャリアとなっていることが分かった。さらに、アクリル変性シリコーン樹脂に変性シリコーン樹脂を加えたキャリアAT5においても、帯電能力が高く帯電低下が防止されたキャリアとなることが分かった。
以上の結果から、表面にシリコーン系樹脂からなる被覆層を持つ被覆キャリアにおいて少なくともアクリル変性されたシリコーン樹脂を含み、コアの形状係数SF−1が110〜135とすることにより、ライフでもキャリア上りが発生せずスペントが少なく粒状性の良い画像が得られるキャリアを提供することができることが分かった。
本発明に係るキャリアは、キャリアの付着を抑制し、現像剤の流動性の悪化を防ぐことにより、高画質の画像形成を長期に亘って維持することができるので、例えば、プリンタまたは複写機等の画像形成装置に適用することができる。
本発明の一実施形態に係るキャリアとトナーとからなる現像剤を模式的に示す概略の断面図である。 本発明の一実施形態に係る画像形成装置を示す概略の正面図である。
符号の説明
1 キャリア
2 芯材
3 被覆層
4 トナー
6 外添剤
7 現像剤

Claims (13)

  1. 芯材の表面に被覆層を備えたキャリアであって、
    上記被覆層は、アクリル変性されたシリコーン樹脂を含むシリコーン系樹脂から形成されており、
    上記芯材の形状係数(SF−1)が110〜135であることを特徴とするキャリア。
  2. 上記シリコーン系樹脂の重量は、上記芯材の重量に対して0.25%〜1.0%であることを特徴とする請求項1に記載のキャリア。
  3. 上記シリコーン系樹脂の全重量に対する、アクリル変性されたシリコーン樹脂が占める割合が50%以上、100%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のキャリア。
  4. 上記シリコーン系樹脂は、架橋型シリコーン樹脂であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のキャリア。
  5. 上記被覆層は、触媒を含んでいることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のキャリア。
  6. 上記触媒は有機金属化合物であることを特徴とする請求項5に記載のキャリア。
  7. 上記触媒の添加量は、上記シリコーン系樹脂の重量に対して0.2%〜10%であることを特徴とする請求項5または6に記載のキャリア。
  8. 平均粒子径が、35μm以上、55μm以下であることを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載のキャリア。
  9. 形状係数(SF−1)が110〜135である芯材の表面に、被覆層を形成することを特徴とするキャリアの製造方法。
  10. 上記被覆層は、アクリル変性されたシリコーン樹脂を含むシリコーン系樹脂からなることを特徴とする請求項9に記載のキャリアの製造方法。
  11. 請求項1から8の何れか1項に記載のキャリアと、トナーとを含むことを特徴とする現像剤。
  12. 上記トナーは外添剤を含んでいることを特徴とする請求項11に記載の現像剤。
  13. 請求項11または12に記載の現像剤を用いて現像を行なうことを特徴とする現像方法。
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