JP2009276064A - 被検物質の測定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 検出感度を飛躍的に向上することが可能な被検物質の測定方法を提供する。
【解決手段】 試料溶液中の被検物質4の量に応じた量の触媒金属10を作用電極2の表面に析出させた後、触媒金属10の触媒作用による還元電流を測定し、測定された還元電流値に基づいて被検物質4の有無又は濃度を調べる。被検物質4の量に応じた量の触媒金属10を作用電極2の表面に析出させるには、例えば標識金属微粒子7で標識された被検物質4を作用電極2の表面に捕捉し、標識金属微粒子7を電気化学的に酸化して溶解した後、電気化学的に還元することにより作用電極2の表面に析出させ、析出した析出標識金属8の表面に触媒金属10を析出させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電気化学的手法を用いた被検物質の測定方法に関するものであり、特に、触媒効果を利用した新規な測定方法に関する。
試験溶液中の微量物質を簡便且つ高感度に測定する方法の1つとして、抗原抗体反応を利用した免疫測定法が知られている。免疫測定法としては、酵素で標識した抗体を用い、酵素反応に由来する発色や発光等の信号を得ることにより被検物質の検知や濃度測定を行うELISA法が知られ、幅広い分野で採用されている。しかしながら、ELISA法では、発色や発光等の信号検出時に光学系を必要とするため、大型の測定機が必要となる。また、正確な定量を行う場合には、発色等の測定結果を電気的な信号に変換する作業が必要となる等、複雑な処理を行う必要がある。
そこで、発色標識や蛍光標識のような汎用の標識物質を用いた免疫測定法等において、検出に際して電気化学的測定法を利用する方法が提案されている(例えば、特許文献1等を参照)。電気化学的測定に用いる装置は、ELISA等に用いられる機器に比べて小型化が可能であることから、測定機器の小型化と検出感度の向上との両立が期待されている。例えば、特許文献1においては、金属微粒子を化学的処理によって溶解した後、電気化学的測定を行い、得られた金属微粒子の酸化に伴うピーク電流に基づいて被検物質の定性分析又は定量分析を行っており、小型の装置で高感度な分析が可能であることが利点として挙げられている。
しかしながら、特許文献1においては、溶液等を用いた化学的処理により金属微粒子を完全に溶解する工程が電気化学的測定に先立って必要となるため、測定操作が煩雑になるといった不都合があること、電気化学的測定により金属微粒子の酸化に伴う電流値を測定しているが、得られる酸化電流値には目的とする金属微粒子に由来する電流の他、測定溶液中の夾雑物に由来する電流のようなノイズも比較的多く含まれているため、誤検出を起こす場合もあること、溶液中の被検物質の定量等を行うことについては記載されていないこと等、解決すべき課題も多い。
このような状況から、本願出願人らは、特許文献2において、測定操作を煩雑なものとすることがなく、高感度且つ正確な測定が可能な被検物質の測定方法を提案している。特許文献2記載の発明では、試料溶液中の被検物質に応じた量の金属微粒子を作用電極の表面近傍に集め、金属微粒子を電気化学的に酸化した後、酸化した金属を電気化学的に還元する際に生じる電流値を測定し、当該電流値に基づいて被検物質の有無又は濃度を測定するようにしている。
特表2004−512496号公報 WO 2007/116811 A1
ところで、前述の特許文献2記載の測定方法は、金属コロイドを溶解後、析出したときの還元電流ピークを測定することにより被検物質の定量を行うというのが基本的な考えであり、その検出感度は金コロイドの量にのみ依存する。例えば、酵素反応のように増幅効果が得られることはない。したがって、特許文献2記載の測定方法において、さらなる高感度化を実現するためには、被検物質に対する標識物質である金コロイドをできる限り作用電極表面に集めること、及び十分に酸化還元反応を起こさせることが必要となる。
しかしながら、例えばプレナー型印刷電極を用いた測定の場合、作用電極の表面上だけで抗原抗体反応等の検出のための反応を起こさせ、それから電気化学検出を行うことになるが、作用電極の面積はデバイス(測定装置)の大きさによって制限されるため、感度向上のためにサンプル量(前記金コロイド量)を増やすことも制限されてしまい、結果として高感度化が難しいという問題がある。また、対極及び作用電極の全面で抗原抗体反応をさせ、それから完全に金コロイドを溶かして作用電極上に析出させれば標識物質である金コロイド全ての検出が可能になるが、金コロイドを完全に溶かして作用電極上に析出させるには、十分に撹拌を行う必要がある。そして、前記撹拌を行うためには、撹拌のための機械的な構造が必要となり、装置構造が繁雑なものとなるという問題が生ずる。
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、検出感度を飛躍的に向上することができ、例えば測定装置を小型化した場合にも高感度測定が可能で、装置構造を煩雑化することもない被検物質の測定方法を提供することを目的とする。
前述の目的を達成するために、本発明に係る被検物質の測定方法は、金属微粒子を標識物質として用いる被検物質の測定方法であって、試料溶液中の被検物質に対応した量の触媒金属を作用電極近傍に局在化させ、前記触媒金属の触媒作用による電流を測定し、測定された電流値に基づいて被検物質の有無又は濃度を調べることを特徴とする。
例えば、標識物質として用いる金属微粒子が触媒金属微粒子であり、前記作用電極近傍に局在化させた触媒金属微粒子を酸化し、電気化学的に還元することにより、作用電極表面に触媒金属を析出させ、その析出した触媒金属の触媒作用による電流を測定し、測定された電流値に基づいて被検物質の有無又は濃度を調べる。あるいは、前記作用電極表面で標識物質として用いた金属微粒子を溶解、析出させた後、析出した金属の表面に触媒金属を析出させ、当該触媒金属の触媒作用による電流を測定し、測定された電流値に基づいて被検物質の有無又は濃度を調べる。
本発明は、標識物質である金属材料の触媒機能に注目し、微量な被検物質量でも大きな電流値が得られるように改良したものである。単に金属が析出する際の電流を測定するよりも、触媒金属の触媒作用による電流を測定することで、感度が大幅に向上する。すなわち、本発明の測定方法は、触媒金属の特徴を活かした信号増幅方法ということができる。
本発明の測定方法によれば、触媒機能による増幅効果により検出感度の大幅な向上を図ることができ、被検物質が微量であっても正確な測定が可能である。また、前記の通り、サンプル量が少なくても正確な測定が可能であるので、電極面積を大きくする必要がなく、測定装置の小型化を実現することができる。さらに、検出感度が高いことから、撹拌を行わなくとも十分な感度を得ることができ、装置構造を繁雑なものとする必要もない。
以下、本発明を適用した被検物質の測定方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。
前述の通り、本発明の被検物質の測定方法は、試料溶液中の被検物質量に応じた量の触媒金属を作用電極の表面に析出させた後、触媒金属の触媒作用による電流を測定し、測定された電流値に基づいて被検物質の有無又は濃度を調べるというのが基本的な操作である。ここで、触媒金属自体を抗原抗体反応等を用いて作用電極表面に集め、作用電極表面に析出させることも可能であるが、以下においては、標識金属を抗原抗体反応を用いて作用電極表面に集め、集められた標識金属の量に応じて触媒金属を析出される方法を例にして本発明の測定方法を説明する。
以下、本実施形態の測定方法について説明すると、本実施形態では、標識物質として用いられる金属(標識金属)で標識された被検物質を作用電極表面に捕捉し、捕捉された被検物質に結合されている標識金属を電気化学的に酸化した後、電気化学的に還元することにより作用電極表面に析出させ、析出した標識金属の表面に前記触媒金属を析出させる。この時、作用電極表面には、被検物質と結合する結合物質を固定しておけば、当該結合物質により標識金属により標識された被検物質を捕捉することができる。
図1は、本実施形態の測定方法における測定手順を示すものである。測定に際しては、絶縁基板1上に作用電極2及び対極3を形成した電極デバイスを用いる。電極デバイスとしては、任意の構成のものを用いることができるが、小型で取り扱いが容易な電極デバイスとして、例えばプレーナ型の印刷電極デバイスを挙げることができる。
図2に、プレーナ型の印刷電極デバイスの一例を示す。図2に示すプレーナ型の印刷電極デバイス11は、レジストからなる絶縁被膜12に設けられた略円形の開口部12aに露出した作用電極13と、作用電極13の外周の少なくとも一部を取り囲むように配された対極14と、参照極15とが短冊状の絶縁基板16上に印刷形成されたものである。絶縁被膜12上には絶縁被膜12より疎水性の高い表面を有する帯状のダム構造部材17が印刷電極デバイス11のほぼ全幅に亘って積層形成され、作用電極13等に滴下された溶液がコネクタとの接続部分へ到達することを防いでいる。
本実施形態の測定方法では、前記電極デバイスの作用電極2の表面に標識金属を集める必要があり、これを実現するために、被検物質に対する2種類の特異的結合物質を用意し、一方(第1の結合物質)を作用電極の表面に固定化しておくとともに、他方(第2の結合物質)は標識金属微粒子で標識し、標識体とする。
具体的には、先ず、電気化学的測定において用いる作用電極2の表面に、被検物質4に対する第1の結合物質として一次抗体5を固定しておく。また、被検物質4上の異なる部位を認識する第2の結合物質として二次抗体6を用意し、これを標識金属微粒子7で標識することにより標識体を用意しておく。そして、前記標識体及び未知量の被検物質4を含む試験溶液を作用電極2の表面に供給し、一次抗体5と接触させ、作用電極2上で抗原抗体反応を行う。すると、図1(a)に示すように、標識体が被検物質4を介して一次抗体5に結合することにより、被検物質4の濃度に対応した量の標識金属微粒子7が作用電極2の近傍に集められた状態となる。
ここで、被検物質4としては、生体物質や合成物質等、あらゆる物質を対象とすることができる。被検物質4に特異的に結合する結合物質(第1の結合物質、第2の結合物質)を選択することで、前記作用電極2の表面に捕捉することが可能である。なお、本実施形態においては、試験溶液中の被検物質4に応じた量の標識金属微粒子7を集めるために、抗原と抗体との特異的結合を利用しているが、物質間で特異的に結合するものであればこの組合せに限定されるわけではなく、例えば、核酸−核酸、核酸−核酸結合タンパク質、レクチン−糖鎖、又はレセプター−リガンド等の特異的結合を利用してもよい。
前記標識金属微粒子5として用いる金属微粒子は、特に制限されないが、後述の触媒金属と標準電極電位が近似(例えば標準電極電位の差が0.2V以下程度)しているか、あるいは触媒金属よりも標準電極電位が低い(すなわちイオン化傾向の高い)金属の微粒子を用いることが好ましい。具体的には、金、銀、銅等の微粒子やそれらのコロイド粒子、量子ドット等を挙げることができる。
前述の抗原抗体反応を行い、作用電極2の表面を必要に応じて洗浄した後、標識金属部微粒子7を溶解析出させるために、作用電極2表面に溶液を滴下する。使用する溶液は、標識金属微粒子7の種類に応じて適宜選択すればよいが、酸化された標識金属を溶解し得る溶液を用いる。例えば、塩酸、硝酸、酢酸、リン酸、クエン酸、硫酸等を含む水溶液を用いることができ、標識金属微粒子7が金コロイド粒子である場合には、塩酸0.05N〜1N程度の濃度の塩酸水溶液を用いる。
次に、標識金属微粒子7を一度溶解し、その後、還元することで作用電極2の表面に析出させる。ここで、前記溶解は、標識金属微粒子7を電気化学的に酸化させることで行う。例えば、参照電極に対する作用電極2の電位を、標識金属微粒子7が電気化学的に酸化する電位に所定時間保持する。これにより、作用電極2の表面近傍に集めた標識金属微粒子7が酸化され、前記溶液中に溶解する。例えば、前記標識金属粒子7が金コロイド粒子である場合には、酸化によりHAuClとなって塩酸水溶液中に溶解する。
標識金属微粒子7を酸化させるに際して、作用電極2の電位は、標識金属微粒子7が酸化可能な電位に設定すればよい。酸化可能な電位は、使用する標識金属微粒子7の種類によっても若干異なり、標識金属微粒子7の種類に応じて適宜最適な値に設定することが好ましいが、例えば、銀塩化銀参照電極に対して+0.8V〜+2.0Vとすることが好ましい。作用電極2の電位を前記範囲内にすることにより、作用電極2の表面近傍に集めた標識金属微粒子7を完全に酸化溶出させることができ、被検物質4の検出感度を確実に向上させることができる。
標識金属微粒子7の溶解の後、今度は還元側への電位操作を行い、溶解した標識金属を作用電極2の表面へ析出させる。還元側への電位操作により、図1(b)に示すように、作用電極2の表面には、溶液中に溶解した標識金属が析出標識金属8として再析出する。析出標識金属8の量は、作用電極2の表面に集められた標識金属微粒子7の量に対応しており、これは被検物質4の量によって決まる。例えば試験溶液中に含まれる被検物質量が多ければ、作用電極2の表面に集められる標識金属微粒子7の量も多くなり、その結果、析出標識金属8の量も多くなる。
前述の標識金属微粒子7の溶解・析出は、酸化側への電位操作、及びそれに続く還元側への電位操作によって行うが、係る電位の印加は、例えば微分パルスボルタンメトリー(DVP)により行うのが好適である。
次いで、前記析出標識金属8の表面に触媒金属を析出させる。触媒金属としては、触媒作用を有する金属を使用する。具体的には、白金(Pt)やルテニウム(Ru)、銀(Ag)、等を挙げることができる。例えば白金は、水素還元を促進する触媒作用を有する。
触媒金属10は、図1(c)に示すように、触媒金属の塩を含む溶液9を作用電極2の表面に滴下することで、簡単に析出標識金属8の表面に析出する。例えば、析出標識金属8が金の場合、塩化白金溶液を滴下し静置すれば、金(析出標識金属8)の表面に白金が触媒金属10として析出する。触媒金属10の析出量は、析出標識金属8の量に依存し、したがって、試験溶液に含まれる被検物質4の量によって決まることになる。
触媒金属10を析出させた後、作用電極2の表面を洗浄し、触媒金属10の触媒作用を利用して電気化学的な測定を行う。例えば、白金を触媒金属10として析出させた場合には、塩酸水溶液を滴下し、水素の還元電流を測定する。酸性溶液中で負の電位を印加すると、白金の触媒作用により水素(気体)が発生する。この水素発生に依存した電流値を検出することによって被検物質量を測定することができる。すなわち、測定される還元電流のピーク値は、触媒として作用する触媒金属(白金)の量によって決まり、したがって、前記還元電流を測定することで、被検物質量を算出することが可能である。なお、前記還元電流の測定は、微分パルスボルタンメトリー、サイクリックボルタンメトリー等のボルタンメトリー、アンペロメトリー、クロノメトリー等により測定可能であるが、例えばサイクリックボルタンメトリー(CV)により行うことが好ましい。
前述のような構成を有する本実施形態の被検物質の測定方法によれば、触媒金属の触媒作用によって、いわば信号増幅が行われることになり、例えば標識金属の還元電流を直接測定する場合に比べて、大幅な高感度化を実現することができる。また、前記大幅な高感度化は、測定装置の小型化や簡略化の点でも有利である。例えば、高感度化により測定に供する試験溶液の量も少なくて済むようになり、電極面積を小さくしても正確な測定が可能になるので、測定装置の小型化が可能である。さらに、撹拌等も不要であるので、測定装置の構造を繁雑化することもない。
以上、本発明を適用した実施形態について説明してきたが、本発明が前述の実施形態に限定されるものでないことは言うまでもない。例えば、試験溶液中の被検物質4に応じた量の標識金属微粒子7を作用電極2の表面に集める方法として、被検物質4に対する2種類の結合物質を用意し、一方(第1の結合物質)を磁性微粒子の表面に固定化しておくとともに、他方(第2の結合物質)を標識金属微粒子7で標識して標識体を形成しておき、標識体と反応させた後の磁性微粒子を作用電極の表面に集めることでこれを実現することも可能である。
あるいは、イムノクロマトグラフを利用して試験溶液中の被検物質4に応じた量の標識金属微粒子7を集め、これを作用電極2の表面に転写することも可能である。この場合には、被検物質4に対する2種類の特異的結合物質を用意し、一方(第1の結合物質)をイムノクロマトグラフ用ストリップの所定の位置に固定化しておくとともに、他方(第2の結合物質)を標識金属微粒子7で標識して標識体を形成しておき、試験溶液及び標識体をストリップ上に展開した後、ストリップと作用電極2の表面とを対向させて、ストリップに捕捉された標識金属微粒子7を作用電極2の表面に写し取ればよい。
さらに、先にも述べたように、触媒金属の微粒子を標識物質とし、抗原抗体反応等を用いて作用電極表面に集め、作用電極表面に析出させることも可能である。この場合には、標識物質として触媒金属微粒子を用い、当該触媒金属微粒子により被検出物質を標識する。次に、作用電極表面に被検物質と結合する結合物質を固定しておき、当該結合物質により触媒金属微粒子で標識された被検物質を捕捉し、前記作用電極表面に触媒金属微粒子を局在化させる。そして、作用電極近傍に局在化させた触媒金属微粒子を酸化し、電気化学的に還元することにより、作用電極表面に触媒金属を析出させ、その析出した触媒金属の触媒作用による電流を測定し、測定された電流値に基づいて被検物質の有無又は濃度を調べる。例えば、標識金属として使用される金(Au)は、グルコースの還元反応において触媒として作用する。したがって、前述の実施形態において、白金を析出することなく、標識金属として析出される金の触媒作用を利用して、前記測定を行うことも可能である。この場合には、標識金属=触媒金属(=金)ということになる。
以下、本発明について、具体的な実験結果に基づいて説明する。以下の実験においては、塩化金の還元電流測定(DPVによる検出)と、白金触媒による水素の還元電流測定における感度を比較した。
塩化金の還元電流の測定(実験1)
本実験は、標識金属を作用電極に集め、これを電気化学的に酸化した後、酸化した金属を電気化学的に還元する際に生じる電流を測定する方法(従来法)に対応するものであり、塩化金を用いて簡易的に還元電流の測定を行った。すなわち、従来法では、抗原抗体反応を行った後、作用電極表面に集めた金コロイド粒子を酸化して塩化金溶液とし、その還元電流を測定するが、ここでは任意の濃度の塩化金溶液を利用し、還元電流を測定した。塩化金濃度が被検物質量に対応することになる。
測定に際しては、濃度62.5nM〜1μMの塩化金溶液を用意し、各濃度の塩化金溶液20μLを作用電極上に滴下した。そして、微分パルスボルタンメトリー(DVP)で0.8V〜0.1Vまで電位を掃引し、金を析出させ、その時の還元電流値を測定した。結果を図3に示す。
図3から明らかなように、塩化金の還元電流を測定した場合、塩化金溶液の濃度が1μMの場合に電流値にピークが見られるが、それ以下の濃度ではピークが見られず、例えば500nMと250nM、125nM、62.5nMの塩化金溶液については、区別がつなかい。この結果から、塩化金の還元電流を測定した場合には、検出可能な塩化金濃度の下限は1μMということになる。
水素発生の還元電流の測定(実験2)
本実験は、析出した金の表面に触媒金属である白金を析出させ、水素発生の際の還元電流を測定する方法(本発明方法)に対応するものであり、塩化金を用いて簡易的に金の析出を行い、その後、白金を析出させて水素発生の際の還元電流の測定を行った。
すなわち、各濃度の塩化金溶液について、実験1の測定の後、作用電極を洗浄し、塩化白金溶液を滴下して析出した金微粒子表面に白金を析出させた。滴下した塩化白金溶液の濃度は50μMである。また、塩化白金溶液を滴下後、1分間静置して金微粒子表面に白金を析出させた。洗浄後、0.1N・HCl溶液を滴下し、0.1V〜−1.0Vの範囲でサイクリックボルタンメトリー(CV)測定を行って、−1.0Vでの電流値を測定した。結果を図4に示す。
図4から明らかなように、125nMまでの濃度において電流値に明確な差異があり、検出が可能であることがわかる。したがって、実験1(金の還元電流を測定する方法)と比べて、約8倍程度の感度向上が実現されたことになる。
グルコースの還元電流の測定(実験3)
本実験は、標識金属として触媒金属(金)を用い、これを作用電極に集めて溶解、析出させ、金の触媒作用によるグルコースの還元電流を測定する方法(本発明方法)に対応するものであり、塩化金を用いて簡易的に金の析出を行い、グルコースの還元電流の測定を行った。
実験に際しては、各濃度のHAuCl溶液を電極上に滴下し、DPVの測定(0.8→−0.1V)を行って電極表面に金を析出させた。この時の塩化金の還元ピーク測定の結果を図5に示す。次いで、電極を洗浄した後、グルコースの還元電流測定に使用し、グルコースの還元ピーク測定を行った。グルコースの還元ピーク測定においては、グルコース10mg/mLを滴下し、1Vで1分間酸化した後、DPV測定(0.7V→−0.2V)を行った。結果を図6に示す。
図5から明らかなように、塩化金の還元ピーク測定では、ピークが見られるのは840nMまでである。これに対して、図6に示すグルコースの還元ピーク測定では、420nMまでピークが得られている。このことから、金触媒によるグルコースの還元反応のピークを測定することで、塩化金の還元ピークを測定する場合に比べて、感度が少なくとも2倍程度向上することがわかった。
本発明の測定方法における測定手順を示す模式図であり、(a)は被検物質の捕捉状態、(b)は標識金属の析出状態、(c)は触媒金属の析出状態をそれぞれ示す。 プレーナ型の印刷電極デバイスの一例を示す平面図である。 塩化金溶液のDVPによる還元電流測定の結果を示す特性図である。 水素発生の還元電流のCV測定の結果を示す特性図である。 塩化金の還元ピーク測定の結果を示す特性図である。 グルコースの還元ピーク測定の結果を示す特性図である。
符号の説明
1 絶縁基板、2 作用電極、3 対極、4 被検物質、5 一次抗体、6 二次抗体、7 標識金属微粒子、8 析出標識金属、9 溶液、10 触媒金属、11 印刷電極デバイス、12 絶縁被膜、12a 開口部、13 作用電極、14 対極、15 参照極、16 絶縁基板、17 ダム構造部材

Claims (9)

  1. 金属微粒子を標識物質として用いる被検物質の測定方法であって、
    試料溶液中の被検物質に対応した量の触媒金属を作用電極近傍に局在化させ、前記触媒金属の触媒作用による電流を測定し、測定された電流値に基づいて被検物質の有無又は濃度を調べることを特徴とする被検物質の測定方法。
  2. 標識物質として用いる金属微粒子が触媒金属微粒子であり、前記作用電極近傍に局在化させた触媒金属微粒子を酸化し、電気化学的に還元することにより、作用電極表面に触媒金属を析出させ、その析出した触媒金属の触媒作用による電流を測定し、測定された電流値に基づいて被検物質の有無又は濃度を調べることを特徴とする請求項1記載の被検物質の測定方法。
  3. 前記作用電極表面で標識物質として用いた金属微粒子を溶解、析出させた後、析出した金属の表面に触媒金属を析出させ、当該触媒金属の触媒作用による電流を測定し、測定された電流値に基づいて被検物質の有無又は濃度を調べることを特徴とする請求項1記載の被検物質の測定方法。
  4. 前記作用電極表面に被検物質と結合する結合物質を固定しておき、当該結合物質により金属微粒子で標識された被検物質を捕捉し、前記作用電極表面に金属微粒子を局在化させることを特徴とする請求項2または3記載の被検出物質の測定方法。
  5. 前記被検物質は、抗原抗体反応により前記金属微粒子により標識され、抗原抗体反応により前記結合物質と結合することを特徴とする請求項3記載の被検物質の測定方法。
  6. 前記触媒金属は、前記標識物質として用いられる金属と標準電極電位が近似、若しくは標識物質として用いられる金属よりも標準電極電位が高いことを特徴とする請求項3記載の被検出物質の測定方法。
  7. 前記触媒金属が白金であり、標識物質として用いられる金属が金であることを特徴とする請求項6記載の被検物質の測定方法。
  8. 標識金属が析出された作用電極に塩化白金溶液を滴下し、触媒金属である白金を金の表面に析出させることを特徴とする請求項7記載の被検物質の測定方法。
  9. 前記作用電極において、塩酸溶液中で水素の還元電流を測定することを特徴とする請求項7記載の被検物質の検出方法。
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