JP2016001194A - 電気的分析方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の分析方法よりも検出感度や精度の高い分析方法を提供する。
【解決手段】前記分析方法では、分析対象物質と、前記分析対象物質と選択的相互作用を示す特異的パートナーとを反応させ、被検試料中の分析対象物質の存在量に相関させて、不溶化反応を実施することによって、可溶性物質を不溶性物質に変換し、感知部に沈殿させ、前記感知部に沈殿させた不溶性物質を電気的に分析する方法において、選択的相互作用を示す特異的パートナーが微粒子上に固相化されている。
【選択図】なし

Description

本発明は、電気的分析方法に関する。なお、本明細書における「分析」には、分析対象物質の存在の有無を判定する「検出」と、分析対象物質の量を定量的又は半定量的に決定する「測定」とが含まれる。
電気的免疫センサは抗原抗体反応を電気的に測定する方法であるが、直接的な抗原抗体反応によって形成された免疫複合体を高感度に検出するためには、信号が微弱であるため実用的ではない。そのため、酵素等で標識された免疫複合体を形成させることによって、その信号を増幅することが一般的に行われている。このように、酵素で標識し信号増幅を行っているものを電気的酵素免疫センサと呼び、抗体もしくは抗原を作用極上に固定化し、そこで、抗原抗体反応に基づき形成された酵素標識された免疫複合体の該酵素の反応生成物を電気的に測定する機構をとる(特許文献1)。
このような標識物を用いる測定系においても、光学的な免疫分析法と同様に、未結合の標識物を十分に洗浄しなければ、バックグランドが高くなり高い感度が得られないことや、測定値の安定性が得られないこと等の問題点がある。
そのため、未結合の標識物の非特異的な吸着を抑制するために、本反応に使用する抗体(抗原)以外に作用極上にブロッキングのためのBSAやカゼインや高分子等の非特異抑制物質を固定化して、できるだけ簡単に抗原抗体反応由来以外の標識物が電極上に非特異的に吸着しないようにすることが試みられている。
しかしながら、このように電極上に電気化学不活性な物質を多く固定化すると、電極上での直接な電子授受は困難になるため検出信号が弱まり、測定感度が減少するという問題点もある。これは、酵素免疫センサの高感度な測定を妨げる一つの要因となっている。
上記を解決可能は方法としては、特許文献2に記載されているように、抗体等の免疫複合体化を凹部で行い、この凹部に近接するように対面させた検出電極で検出する方法、特許文献3、特許文献4に記載されているように、磁性微粒子等の担体にて抗原抗体等の免疫複合体化を行った後に電極上に集めて検出する方法、特許文献5に記載されているように、大面積の抗原抗体反応場で免疫複合体化を行った後に複合体化したものを乖離させ微小検出部に濃縮して検出する方法等が考えられている。しかし、反応を安定的に制御すること等が難しく、小型で高感度な酵素免疫センサは実現していない。
また、高感度化の試みとして、電気信号を検出する感知部の表面積を大きくすることが考えられている。標的物質を捕捉するための抗体を多くすれば良いことが考えられている。例えば、特許文献1では、感知部に沈着した物質を検出して信号を得るため、高感度化のためには、感知部に多量の沈着物を発生させることが必要であると考えられていた。具体的には、感知部の表面積を大きくし、該感知部上に多量の酵素標識抗体を含む免疫複合体を形成させると良いことが記載されている。
WO2009−116534号パンフレット 特開2005−227096号公報 特許第4102887号明細書 特開2006−133137号公報 特開2009−128233号公報
上記のように、特許文献1では、酵素免疫複合体から生成した還元性物質により銀イオンを感知部に還元沈着させることが必要なことから、感知部上に酵素免疫複合体を形成させ、感知部表面に銀イオンの還元により生成した物質を効率的に沈着させることが必要であると考えられていた。また、感知部で酵素免疫複合体を形成させるため、非特異反応が起こらないように非特異抑制物質を感知部に存在させることも必要であると考えられていた。
本発明者らは、今まで以上の高感度な酵素免疫センサを作製するため、特許文献1に記載のような酵素標識化した免疫複合体を、銀イオンの沈着反応を改善することにより更に高感度に電気的に測定することを検討した。
本発明者らが鋭意検討した結果、銀イオンの還元化された物質を沈着させ信号として捕らえる感知部が、非特異抑制物質で覆われていることによって信号が弱まってしまい、十分な高感度化が達成できないことがわかった。更に、非導電性の微粒子に標的物質に特異的な抗体を固定し、その微粒子上で免疫複合体を形成させたものを使用しても、感知部上で銀イオンの還元化された物質を測定することが可能なことがわかった。非導電性の微粒子を使用する際には、微粒子上の抗体は感知部上に直接固定された抗体よりも感知部表面との距離が遠くなってしまうため、効果的に感知部表面に銀イオンの還元された物質を沈着させることができず、信号が小さくなり検出できなると考えられていたが、より高感度化が達成できたことは驚くべき効果であった。
従って、本発明の課題は、従来の分析方法よりも検出感度や精度の高い分析方法を提供することにある。
すなわち、本発明は、
[1]分析対象物質と、前記分析対象物質と選択的相互作用を示す特異的パートナーとを反応させ、被検試料中の分析対象物質の存在量に相関させて、不溶化反応を実施することによって、可溶性物質を不溶性物質に変換し、感知部に沈殿させ、前記感知部に沈殿させた不溶性物質を電気的に分析する方法であって、
選択的相互作用を示す特異的パートナーが微粒子上に固相化されていることを特徴とする、分析方法、
[2]前記感知部表面が、電気信号の授受を妨げる物質で覆われていない、[1]の分析方法、
[3]不溶化反応および電気的な分析を行う際に、前記感知部表面と前記微粒子が直接接触する、[1]又は[2]の分析方法、
[4]前記微粒子が非導電性物質である、[1]〜[3]のいずれかの分析方法、
[5]前記微粒子が磁性微粒子である、[1]〜[4]のいずれかの分析方法、
[6]分析対象物質と、微粒子上に固相化された特異的パートナーとの前記反応が複合体形成部で行われ、前記不溶化反応が感知部上で行われる、[1]〜[5]のいずれかの分析方法、
[7]前記微粒子の大きさが3μm以下である、[1]〜[6]のいずれかの分析方法、
[8]前記可溶性物質が銀イオンである、[1]〜[7]のいずれかの分析方法、
[9][1]〜[8]のいずれかの分析方法に使用する装置であって、
分析対象物質と、微粒子上に固相化された特異的パートナーとを反応させる複合体形成部と、前記感知部とを有する装置、
[10]前記複合体形成部と前記感知部が別体である、[9]の装置、
[11]前記微粒子を捕捉可能な磁力体を有する、[9]又は[10]の装置
に関する。
本発明によれば、従来公知の分析方法よりも検出感度や精度の高い分析を実施することが可能となり、また、小型の酵素免疫センサを作製することができる。
例えば、磁性微粒子を用いた抗原抗体反応を行わせることにより、非特異的な標識物の洗浄は磁気的な相互作用によりB/F洗浄可能であり、また、微粒子を用いることで固相抗体量を増加させることができ、抗原のキャッチング能も増加させることができる。さらには、抗原抗体反応の反応部と酵素反応による生成物の検出部をわけることにより、感知部(作用極)における抗体(抗原)の固定化、非特異抑制物質の固定化を必要とせず、電極との生成物との直接的な電子授受を容易にすることで高感度での電気化学的な酵素免疫測定を可能にした。
また、粒子径のより小さい磁性微粒子を用いることで、酵素反応により生成した生成物の還元作用により生成される金属物の析出を効果的に電極上に沈着させることが可能になり、より高感度化が達成できた。
本発明の分析方法の一態様で利用する一連の反応を模式的に示す説明図である。 実施例1で作製した電極部を模式的に示す平面図である。 実施例1で作製した酵素免疫電極の構造を模式的に示す側面図である。 実施例1で作製した酵素免疫電極の構造を模式的に示す平面図である。 実施例2において、抗体固定化磁性微粒子を用いる本願発明方法と、抗体固相化電極を用いる従来法とを比較した、DPV(微分パルスボルタンメトリー)測定の結果を示すグラフである。 実施例3において、抗体固定化磁性微粒子を用いる本願発明方法における電極上のブロッキング剤の有無による効果を比較した、DPV測定の結果を示すグラフである。 実施例4において、抗体固定化磁性微粒子を用いる本願発明方法における磁性微粒子の粒子径の違いによる効果を比較した、発光カウント測定の結果を示すグラフである。 実施例4において、抗体固定化磁性微粒子を用いる本願発明方法における磁性微粒子の粒子径の違いによる効果を比較した、DPV測定の結果を示すグラフである。 実施例4で評価した、粒子径の異なる抗体固定化磁性微粒子を用いる本願発明方法において、発光カウント(CPS)に対するDPV測定値の酸化電流ピーク値(Ip)の関係を示すグラフである。 実施例4で評価した、粒子径の異なる抗体固定化磁性微粒子を用いる本願発明方法において、Ip/発光カウントと粒子径の関係を示すグラフである。
本発明は、選択的相互作用(例えば、抗原抗体反応、酵素−基質反応)と不溶化反応(好ましくは酸化還元反応)とを組み合わせて利用する分析方法において、前記不溶化反応によって最終的に産生された不溶性生成物質を感知部表面に沈殿(沈着、不溶化、析出)させ、この沈殿した不溶性物質を電気的に分析(検出又は測定)する方法であって、前記選択的相互作用の工程を微粒子で実施することを特徴とする。
本発明の分析方法には、利用する選択的相互作用や不溶化反応に応じて、例えば、
(1)選択的相互作用に関与する一方のパートナーに、直接的または間接的に標識可能な標識物質により、不溶化反応が直接的又は間接的に引き起こされる方法(以下、複合体形成型分析方法と称する)、
(2)選択的相互作用それ自体により、不溶化反応が直接的又は間接的に引き起こされる方法(以下、酵素利用型分析方法と称する)
などが含まれる。なお、前記区分は、選択的相互作用により複合体を形成するか否かに基づいて大別するものであり、例えば、標識物質として酵素を用いる方法は、複合体形成型分析方法に含まれる。
本明細書において、「不溶化反応が直接的に引き起こされる」とは、標識物質又は選択的相互作用が関与する反応自体が不溶化反応であって、前記反応により不溶性物質が生じることを意味する。また、「不溶化反応が間接的に引き起こされる」とは、標識物質又は選択的相互作用が関与する反応により生成された物質がトリガーとなって、最終的に不溶化反応により不溶性物質が生じることを意味する。
以下、本発明の複合体形成型分析方法の具体的な一態様を示す図1に示す反応模式図に基づいて、本発明の概略を説明した後、本発明について更に詳細に説明する。
図1に示す分析系では、抗原103を分析対象物質とし、選択的相互作用として磁性微粒子105上で抗原抗体反応(サンドイッチ法)による免疫複合体形成反応を利用し、試薬の1つとして、前記抗原に特異的に反応する抗体を酵素[例えば、アルカリホスファターゼ(ALP)]で標識したALP標識抗体104を使用する。
また、この分析系では、標識酵素による酵素反応として、以下に示す反応式1を利用し、不溶化反応として、反応式2を利用する。なお、図1において、pAPPはp−アミノフェニルホスフェート、pAPはp−アミノフェノールを、pQIはp−キノンイミンを、それぞれ、意味し、pAPPはALPの基質である。また、反応式1における「(ALP)」は、ALPが反応式1の触媒として関与することを示す。
更に、電気的分析法として、作用極101、対極、及び参照極を備えた電極部を用いるアンペロメトリック型分析法を使用する。
p−アミノフェニルホスフェート→p−アミノフェノール (ALP) (反応式1)
p−アミノフェノール+2Ag+→p−キノンイミン+2H+2Ag↓ (反応式2)
Ag→Ag+e (反応式3)
図1に示す分析系では、磁性微粒子105上に分析対象物質(抗原)に対する抗体102が予め固定化されている。アンペロメトリック型電極部を構成する作用極101は感知部として機能する。まず、分析対象物質(抗原103)が含まれる被検試料と、抗原103特異的抗体102固定化微粒子とALP標識抗体104とを反応部で反応させると、固定化抗体微粒子/抗原/ALP標識抗体の複合体が形成される。前記複合体の形成量は、披検試料中の分析対象物質の存在量に相関する。前記複合体が形成された後、適当な洗浄液でB/F分離を行い、感知部へ移動させ、感知部背面にある磁石106により磁性微粒子を感知部上に集める。感知部上に磁性微粒子を集めた後、あるいは、感知部に移動させながら感知部に磁石により集めると同時に、標識酵素ALPの基質であるp−アミノフェニルホスフェート(pAPP)を、前記感知部の上流から分析系に供給すると、p−アミノフェノール(pAP)に変換され(反応式1)、このとき、銀イオン(Ag、水溶性)を共存させておくと、銀(Ag、水不溶性)が析出し(反応式2)、感知部上に沈殿する。感知部(作用極)上に沈殿した銀の量は、感知部上で再酸化することにより、作用極と対極の間で電流が流れる(反応式3)ため、その酸化電流を測定することにより決定することができる。その際、感知部上での再酸化を銀以外の電流応答に寄与する物質の非存在下で、且つ強電解質溶液中で行うことにより、単一の検出ピークを得ることができる。具体的には、作用極、対極、参照極をポテンショスタットに接続し、参照極電位に対し、作用極電位を掃引し、銀の再酸化に伴い発生する酸化電流を測定する。
本発明で利用することのできる選択的相互作用は、一方が分析対象物質となることができる相互作用であって、被検試料中の分析対象存在量に相関して、直接的又は間接的に不溶化反応を実施することができるか、あるいは、複合体を形成することができる限り、特に限定されるものではなく、代表的なものとしては、例えば、抗原抗体反応、核酸間ハイブリダイゼーション反応、酵素−基質反応、核酸−タンパク質間相互作用、レセプタ−リガンド間相互作用、タンパク質間相互作用(例えば、IgGとプロテインAとの反応)、低分子−タンパク質間相互作用(例えば、ビオチンとアビジンとの反応)を挙げることができる。これらの選択相互作用の多くは、複合体(例えば、免疫複合体)を形成することのできる選択的相互作用であるが、前記酵素−基質反応では、被検試料中の分析対象存在量に相関した不溶化反応、あるいは、不溶化反応のトリガーとなる反応が可能である。
また、前記相互作用以外にも、選択的相互作用を示す特異的パートナーが存在する種々の物質が公知であり、分析対象物質としては、例えば、タンパク質(酵素、抗原/抗体、レクチン等)、ペプチド、脂質、ホルモン(アミン、アミノ酸誘導体、ペプチド、タンパク質等からなる含窒素ホルモン、及びステロイドホルモン)、核酸、糖鎖(例えば、糖、オリゴ糖、多糖等)、薬物、色素、低分子化合物、有機物質、無機物質、若しくはこれらの融合体、又は、ウィルス若しくは細胞を構成する分子、血球などが挙げられる。
例えば、選択的相互作用として抗原抗体反応を利用する場合には、分析対象物質とその特異的パートナーとの組合せは、抗原(分析対象物質)と抗体(特異的パートナー)との組合せ、あるいは、抗体(分析対象物質)と抗原(特異的パートナー)との組合せとなる。また、選択的相互作用として酵素−基質反応を利用する場合には、分析対象物質とその特異的パートナーとの組合せは、基質(分析対象物質)と酵素(特異的パートナー)との組合せ、あるいは、酵素(分析対象物質)と基質(特異的パートナー)との組合せとなる。
前記分析対象物質を含有する被検材料としては、血液(全血、血漿、血清)、リンパ液、唾液、尿、大便、汗、粘液、涙、随液、鼻汁、頸部又は膣の分泌液、精液、胸膜液、羊水、腹水、中耳液、関節液、胃吸引液、組織・細胞等の抽出液や破砕液等の生体液の他、食品、土壌、植物の抽出液や破砕液等の溶液や、河水、温泉水、飲料水、汚染水等を含むほとんど全ての液体試料が用いられる。
標識化を含めた試薬構成は、その利用する選択的相互作用に基づいて、適宜選択することができ、例えば、抗原抗体反応を利用する場合には、各種公知方法、例えば、サンドイッチ法、二段階法、競合法、阻害法等を利用することができる。サンドイッチ法の場合には、図1に示すように、固定化パートナーと標識パートナーの組合せを用いることができる。二段階法の場合には、固定化パートナー、未標識パートナー、前記未標識パートナーにのみ特異的に反応する物質の標識化物の組合せ、具体的には、一次抗体/標識化二次抗体を用いる方法、ビオチン化抗体/標識化アビジンを用いる方法などを用いることができる。競合法の場合には、分析対象物質(標準物質)の標識化物(既知量)と固定化パートナーの組合せを用いることができる。
本発明で用いる可溶性物質は、不溶化反応を受ける前には分析系に使用する溶媒において可溶性を示し、前記不溶化反応を受けることにより前記溶媒において不溶性を示す物質に変換される物質であって、更に、前記不溶化反応により生成された前記不溶性物質が電気的に分析可能である限り、特に限定されるものではない。なお、本明細書において「不溶化反応」とは、可溶性物質から「不溶化反応」により、溶解度の低い物質を生成する反応を含む。また、本明細書において「可溶性」及び「不溶性」とは、分析系に使用する溶媒系によって適宜定義可能な用語であって、例えば、水系溶媒を用いる場合には「水溶性」及び「水不溶性」を意味し、有機溶媒を用いる場合には「有機溶媒可溶性」及び「有機溶媒不溶性」を意味する。以下、水系溶媒を用いる場合(すなわち、不溶化反応により、水溶性物質を水不溶性物質に変換する系を利用する場合)を例にとって主に説明するが、水以外の溶媒を用いる場合も、当業者であれば、適宜必要な変更を行うことによって、本発明を実施可能である。
本発明で用いる水溶性物質としては、不溶化反応を受ける前には分析系に使用する水系溶媒において可溶性を示し、前記不溶化反応を受けることにより前記水系溶媒において不溶性を示す物質に変換される物質である限り、特に限定されるものではなく、例えば、無機イオン(好ましくは金属イオン)、有機イオン、酵素基質又はその反応生成物、色素などを挙げることができる。
前記金属イオンとしては、例えば、アンチモンイオン、ビスマスイオン、銅イオン、水銀イオン、銀イオン、パラジウムイオン、白金イオン、金イオンを挙げることができる。これらの金属イオンは、水性溶媒において水溶性であり、金属錯体(好ましくは金属錯イオン)状態でも良く、不溶化反応により、金属として析出する。
また、金属イオンとして、2価陽イオン(例えば、銅イオン、ニッケルイオン、鉄イオン)を用いることができる。これらの2価陽イオンは、水性溶媒において水溶性であり、[Fe(CN)3−イオン(例えば、[Fe(CN)4−イオンの酸化により生じる[Fe(CN)3−イオン)と結合すると、金属複合体MH[Fe(CN)](M:2価陽イオン)として析出する。
なお、金属イオンが、還元され不溶化(析出)する反応は、それぞれの物質のもつ酸化還元電位の大小に依存する。所謂、イオン化傾向が小さいほど、金属として析出しやすくなるため、前記反応に限定されるものではない。また、析出のしやすさはイオンの溶液中での電気化学活量など、他の因子(温度、pH、イオン強度、反応液組成など)にも大きく影響されるため、本明細書で言う析出される金属とは最も広義に解釈すべきであり、いずれの意味においても限定的に解釈してはならない。例えば、金属イオンと不溶性塩を形成するイオンを不溶化反応時に共存させることにより、不溶化の度合いをコントロールすることもできる。また、不溶性塩を形成するイオンを不溶化反応時に共存させず、金属として不溶化させて析出させた方が、好ましい場合もある。不溶化反応時の不溶性塩を形成するイオンの存在量は、当業者であれば適宜好適な条件を決定することができる。好適な条件は、0〜5mmol/L以下、好ましくは0〜2mmol/L、より好ましくは0〜1mmol/L、さらに好ましくは0〜0.5mmol/Lの範囲で決定することができる。更に、析出させる物質としては、金属イオンに限らず、上記の条件を満たす物質であれば、好適に用いることができる。
水溶性物質として使用することのできる色素としては、例えば、シッフ(Schiff)試薬、アニリンを挙げることができる。シッフ試薬は、水性溶媒において水溶性であり、2分子のアルデヒド基(例えば、カルボキシル基の還元により生じるアルデヒド基)がシッフ試薬1分子と結合して、還元反応により、赤紫色の化合物として析出する。また、アニリンは、水性溶媒において水溶性であり、酸化反応により、ポリアニリンとして析出する。
また、前記水溶性色素として、例えば、5−ブロモ−4クロロ−3−ヒドロキシインドール(5-bromo-4-chloro-3-hydroxyindole)(BCI)、ニトロブルーテトラゾリウムクロライド(Nitro Blue Tetrazolium chloride)(NBT)、インドールを挙げることができ、還元反応により、不溶性物質である、5,5’−ジブロモ−4,4’ジクロロ−インディゴ(5,5'-dibromo-4,4'-dichloro-indigo)(2BCI)、BCI/ニトロブルーテトラゾリウムジホルマザン(NBT Diformazan)、インディゴとして析出する。前記色素は、例えば、標識酵素(例えば、アルカリホスファターゼ;ALP)による酵素反応により、適当な酵素基質、例えば、5−ブロモ−4クロロ−3−インドリルホスフェート(5-bromo-4-chloro-3-indolyl phosphate)(BCIP)、3−インドキシルホスフェートから生成させることができる。従って、前記のBCI、インドールは、酵素基質の反応生成物でもある。
例えば、酵素基質BCIPを用いる場合には、ALPが関与する酵素反応によりBCIが形成され、還元反応により2BCIが析出する。また、酵素基質BCIPと色素NBTとの混合物を用いる場合には、ALPの酵素反応によるALPの酵素反応により2BCIが生じると共に、還元反応によりNBTジホルマザンが生じ、その複合体である2BCI/NBTジホルマザンが析出する。また、酵素基質3−インドキシルホスフェートを用いる場合には、ALPの酵素反応によりインドールが形成され、還元反応によりインディゴとして析出する。
これらの例では、標識物質として使用するALPが関与する酵素反応によって、それに続く不溶化反応が引き起こされ、その結果、水溶性物質が水不溶性物質に変換される。本発明には、標識物質が引き金となって間接的に不溶化反応が引き起こされる態様と、標識物質により直接的に不溶化反応が引き起こされる態様とが含まれる。
水溶性物質として使用することのできる酵素基質としては、先述のpAPP(又はその誘導体)に加え、チオコリンのエステル誘導体、例えば、アセチルチオコリン、プロピオニルチオコリン、スクシニルビスチオコリン、ブチリルチオコリンが挙げられる。チオコリンのエステル誘導体を前記金属イオン(例えば、金、銀等)と併用すると、適当な標識酵素(例えば、コリンエステラーゼ、より具体的には、アセチルコリンエステラーゼ、アシルコリンエステラーゼ等)による酵素反応により、金属イオンが還元されて金属として析出する。また、前記酵素反応によりチオコリンが生成し、析出した前記金属の一部に、チオコリンのチオール基が結合することにより、金属−チオコリン複合体としても析出する。更に、生成したチオコリンは、基板又は電極を形成する金属(例えば、金基板又は金電極)に対しても、チオール基を介して結合することにより析出する。酵素基質アセチルチオコリン又はプロピオニルチオコリンに対しては、標識酵素アセチルコリンエステラーゼを、酵素基質スクシニルビスチオコリン又はブチリルチオコリンに対しては、標識酵素アシルコリンエステラーゼを用いることができる。
また、水溶性物質として、アリールジアゾニウム塩、例えば、R−Ph−NBF等を使用することができる。アリールジアゾニウム塩を使用する場合、還元反応により、化学的活性に富んだ活性ラジカルが生じ、種々の感知部、好ましくは、カーボン、グラファイト、カーボンナノチューブを用いた検知部に共有結合にて結合させることができる。
以上、本発明の分析方法(複合体形成型分析方法と酵素利用型分析方法の両方を含む)で用いることのできる可溶性物質(特に水溶性物質)について説明したが、本発明の複合体形成型分析方法では、用いる可溶性物質、反応系に応じて、標識物質を適宜選択することができる。例えば、先述したALP又はコリンエステラーゼ等の加水分解酵素に加え、転移酵素、リアーゼ、リガーゼ、イソメラーゼ、酸化還元酵素等が用いられ、酸化還元酵素としては、例えば、グルコースオキシダーゼ(GOD)、ペルオキシダーゼ、キサンチンオキシダーゼ、アミノ酸オキシダーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼ、アシル−CoAオキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、シュウ酸オキシダーゼ、ザルコシンオキシダーゼ等を用いることができる。これらの酵素は、直接的又は間接的に不溶化反応[例えば、酸化反応、還元反応、加水分解反応、脱水反応、付加重合、縮合重合(縮重合)、中和反応]を引き起こすことができ、前記不溶化反応により、可溶性物質を不溶性物質に変換し、固体表面へ析出、結合、沈着等により吸着・沈積する反応を引き起こす酵素である限り、特に限定されるものではなく、1種類の酵素を単独で、あるいは、2種類以上の酵素を組み合わせて用いることができる。
また、これらの酵素以外にも、各種還元剤又は酸化剤を用いることもできる。
一方、本発明の酵素利用型分析方法で用いることのできる酵素としては、酵素又は酵素基質のいずれか一方が分析対象物質である酵素を用いることができ、例えば、複合体形成型分析方法において使用可能な上記酵素から1つ以上を選択することができる。
本発明で用いる電気的分析方法は、感知部表面に沈殿した不溶性物質を電気的に分析する限り、特に限定されるものではない。本明細書において「電気的に分析する」とは、感知部表面における電荷の変化を電流の変化として捉える分析、感知部表面における電荷の変化を電圧(電位)の変化として捉える分析、感知部表面の電気的抵抗(又はインピーダンス)の変化として捉える分析などが含まれる。本発明で用いる電気的分析方法としては、例えば、作用極と対極とを少なくとも備えた電極を利用するアンペロメトリック型分析法、トランジスタを利用するボルタノメトリック型測定法を挙げることができる。
前記アンペロメトリック型分析法では、感知部表面での電荷の変化を電流の変化として捉える。アンペロメトリック型電極は、基板上に少なくとも作用極と対極を有し、必要に応じて参照極を含む。アンペロメトリック型分析法は、電極部近傍で発生した電極活性物質又は抵抗性物質(絶縁性物質)を作用極と対極間に所定電圧を印加することにより、両極間に流れる前記電極活性物質又は抵抗性物質(絶縁性物質)の量に対応した電流信号を測定したり、電極部近傍で発生した電極活性物質又は抵抗性物質(絶縁性物質)の違いを作用極と対極間の印加電圧値で区別する方法である。
例えば、水溶性物質として金属イオンを使用する場合、金属が沈殿した感知部に、参照極に対して電圧を印加することにより、感知部に沈着させた金属を金属イオンに再酸化し、感知部における電気化学的変化を電流の変化として検出することができる。
電流の変化を捉える方法としては、電流測定の他、サイクリックボルタノメトリー、微分パルスボルタノメトリー、クロノアンペロメトリー、微分パルスアンペロメトリー等、広く知られた方法を用いることができる。
前記ボルタノメトリック型分析法では、感知部表面での電荷の変化を電圧(電位)変化として捉える。ボルタノメトリック型分析法に利用されるトランジスタは、ゲートに入力される電圧信号を、ソース電極あるいはドレイン電極から出力される電流信号に変換する素子であり、ソース電極とドレイン電極との間に電圧を加えると、両者の間に形成されたチャネルに存在する荷電粒子がソース電極とドレイン電極との間を電界方向に沿って移動し、ソース電極あるいはドレイン電極から電流信号として出力される。この際、出力される電流信号の強さは荷電粒子の密度に比例する。絶縁体を介してチャネルの上方、側面、あるいは下方などに設置したゲートに電圧を加えると、チャネルに存在する荷電粒子の密度が変化するため、これを利用して、ゲート電圧を変化させることにより電流信号を変化させることができる。
例えば、水溶性物質としてアセチルチオコリンを使用する場合は、アセチルコリンエステラーゼにより感知部に沈着させたチオコリンによる感知部における電荷の変化を、電圧(電位)変化として検出することができる。
感知部の好ましい態様としては、前記感知部が導電性の場合、導電性物質であれば良く、金、銀、白金、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、水銀、パラジウム等の金属やオスミウムポリマー等の高分子、カーボン、ナノチューブ状構造体(カーボンナノチューブ)、グラファイト、無機物質を単独もしくは組み合わせて用いても良い。また、前記物質で構成される物質の形状は、反応を阻害しない限り何でも良く、平面・凹凸・粒子(金コロイド等)状物質等を含んでも良い。
前記ナノチューブ状構造体の好ましい態様としては、カーボンナノチューブ、ボロンナイトライドナノチューブ、チタニアナノチューブよりなる群から選ばれる構造体である。
また、感知部が導電性を有しているかぎり、感知部の構成に、上記導電性物質と共に非導電性物質を加えても良い。非導電性物質としては、ポリエステル系樹脂等の不溶性担体等が挙げられる。
感知部の好ましい別の態様としては、感知部がナノチューブ状構造体(カーボンナノチューブ)を用いた電界効果トランジスタ若しくは単電子トランジスタのゲート電極であることが好ましく、ナノチューブ状構造体がカーボンナノチューブ、ボロンナイトライドナノチューブ、チタニアナノチューブよりなる群から選ばれる構造体であることが好ましい。
感知部の別の好ましい態様としては、感知部の表面積を増大させるため、イムノクロマト等に使用されるニトロセルロース膜のような多孔質担体や国際公開第WO2006/038456号パンフレット記載の高分子ポリマーやラテックス担体等の不溶性担体(あるいは不溶性粒子)を使用しても良く、更に、これらと共に導電性ポリマーや導電性担体等の導電性物質を用いて3次元体を感知部の表面に形成させても良い。これら感知部表面が3次元体を形成することにより、感知部の表面積が著しく増大し、検出感度を高めることができる。
また、前記感知部の別の好ましい形状としては、流動的条件下における感知部での生成物質の沈殿(沈着、不溶化、析出)効率を向上させるために、感知部をウェル状、凹凸、凸状、仕切り等を設けることにより、流動的条件下での沈着(不溶化、析出、堆積)した生成物質の流れ方向(例えば、下流)への流出を防ぐこともできる。また、これらの構造物を設けることにより、沈殿された生成物質の反応性を高める効果も期待できる。前記構造物は、感知部のみに形成されても良いし、あるいは、電極部やバイオセンサユニットに形成され、その一部が感知部に存在するように形成されても良い。
具体的には、鋭角な立体構造を有する形状が好ましく、多面体・多角柱・球・円柱・錐体等が挙げられ、特に、錐状が好ましい。感知部に、少なくとも一つ以上の鋭角な部位若しくは突起を含む立体構造が形成されていれば良いが、複数の立体構造が形成されている方が好ましい。立体構造の個数や大きさ、あるいは鋭角形状の個数、およびそれらの形状や配置は、測定条件に合わせて好適なものを選択することができる。鋭角であるとは、感知部に形成される凹凸の立体構造の一部又は全体が、端部効果(端効果、縁端効果)を示す構造であれば良い。端部効果とは電気めっき等の分野で広く知られた効果であり、鋭角端において、電荷が集中する効果であり、本効果により、例えば生成物質(不溶性物質)である銀等の金属が、再度、積極的に金属イオン化され、検出感度を高めることができると推測される。
また、感知部表面と微粒子が直接接触することが好ましい。直接接触するとは、公知の感知部表面のコーティング用物質で覆われていない感知部表面と微粒子が接触することを言う。このことにより、微粒子上の反応により生成した不溶性物質も、前記コーティング用物質で覆われていない感知部表面に直接沈殿する。一般的に、感知部表面は疎水的であることから、例えば、前記不溶性物質が銀等の金属である場合、生成物質も疎水的であるため、感知部に引き寄せられやすいと考えられる。これにより、不溶性物質の感知部表面への沈殿を促進し、更に感知部表面が電気信号の授受を妨げる物質で覆われていないので、高効率で一定の条件で電気信号を授受できるため、より高感度且つ高精度な検出が可能となる。
また、感知部表面が疎水的であることによって、前記不溶性物質の感知部表面への沈殿を促進すると考えられるため、感知部表面が親水的物質で覆われていないことが好ましい。一般的に抗原抗体反応を利用する方法において使用される非特異抑制物質は、親水的であることが多いので、このような物質で覆われていないことが好ましい。疎水的な物質であれば、前記不溶性物質の感知部上への沈殿を促進する可能性があるため、感知部表面のコーティングに使用可能である。当業者であれば、過度な実験を必要とせず使用可能な疎水的状態を決定することができる。これにより、不溶性物質の感知部表面への沈殿を促進することができるため、より高感度な検出が可能となる。
また、感知部表面は、タンパク質や高分子などの非特異抑制物質など、電気信号の授受を妨げる物質が無いことが好ましい。該非特異抑制物質は親水的・疎水的を問わず、感知部表面が電気信号の授受を妨げる物質で覆われていないので、高効率で一定の条件で電気信号を授受できるため、より高感度且つ高精度な検出が可能となる。
ここで、感知部表面を「覆われていない」とは、その感知部の状態が、実質的な性質・状態に反映されていれば良い。
本発明において、分析対象物質に特異的なパートナーは、微粒子上に固定されている。該微粒子は、特異的パートナーが固定できれば限定されないが、B/F分離が容易に行える磁性微粒子が好ましい。例えば、磁石でB/F分離が効率的に行える磁性微粒子が使用できる。
本発明における微粒子の種類や大きさは、生成した不溶性物質が効率的に感知部上に沈殿することができる大きさであれば、特に限定されるものではない。前記微粒子の種類や大きさは、各種条件、例えば、利用する選択的相互作用若しくは不溶化反応、使用する標識物質、可溶性物質、若しくは酸化還元性物質、流路サイズ、使用する電気的分析方法などによって変動するが、当業者であれば、例えば、後述の実施例に記載した手順に従って、簡単な予備実験を行うことにより、過度の試行錯誤を必要とすることなく、適宜決定することができる。
例えば、微粒子の種類に関しては、導電性微粒子も非導電性微粒子のいずれも使用可能であるが、導電性微粒子の場合は、粒子自体も感知部として機能することとなり、微粒子以外の感知部の導電性と異なることから、検出精度の安定性に欠けると考えられる。一方、非導電性の場合は、同一条件の感知部で電気信号の授受が可能であることから、安定して精度良く測定が可能となると考えられるので、より好ましい。
例えば、微粒子の大きさに関しては、感知部表面の近くに、免疫複合体が多く形成されることが好ましいと考えられることから、体積あたりの表面積を大きくするために、より小さい微粒子を使用することが好ましいが、一方、特に、非導電性の微粒子の場合、該微粒子で感知部を覆ってしまうと、電気信号を授受可能な感知部表面が小さくなってしまい、その結果、電気信号を授受できず、感度が下がったり、検出できなくなってしまったりするので、これらを考慮して好適な条件を決定する必要がある。当業者であれば、例えば、実施例4のようにして、容易に好適な条件を決定することができる。例えば、粒子径の下限として、好ましくは3μm以下、より好ましくは1μm以下、更に好ましくは0.5μm以下が挙げられ、粒子径の上限として、好ましくは0.01μm以上、更に好ましくは0.1μm以上が挙げられる。
微粒子への前記特異的パートナーの固定化法は、直接的に固定するもの、あるいは間接的に固定するものなどの制限は無く、選択的相互作用反応の性質に合わせて、任意の方法を使用することができる。例えば、微粒子に直接的に物理吸着や共有結合で結合させても良いし、あらかじめ微粒子にアンカー部を有するフレキシブルスペーサーを解して間接的に結合させても良い。また、例えば、微粒子に金等の貴金属を用いた場合、自己組織化膜を介して、結合させても良い。
また、該特異的パートナーを固定化した後、牛血清アルブミン、ポリエチレンオキシドまたは他の不活性分子により表面を処理したり、特定物質の固定化層の上に付着層で被覆することにより非特異的反応を抑制したり、透過することのできる物質を選択したり、制御したりすることもできる。
本発明の複合体形成型分析方法では、選択的相互作用に基づく複合体の形成工程(a1)を複合体形成部で行い、続いて、前記複合体に含まれる標識物質に基づく不溶化反応工程(a2)、及び電気的分析工程(b)を感知部で実施する。これらの工程の実施順序は、通常、この順に実施することが一般的であるが、披検試料中の分析対象物質の存在量に相関する電気的信号を得ることができる限り、隣接する工程(またはその一部)を同時に実施することもできる。
また、微粒子上で行われる選択的相互作用反応は、前記感知部上と同じ場所で行われても良いが、選択的相互作用反応に必要な物質が感知部での電気信号の授受に負の影響を与える場合は、前記感知部上と異なる場所で行われた方が好ましい。
このような好適態様の具体例としては、磁性微粒子を用いて抗原抗体反応を複合体形成部で行わせ、抗原抗体反応終了後、別の流路にて検出部である電極部(感知部)に磁性微粒子を持ち出し、磁石にて磁性微粒子を感知部に集める。その後、感知部にて酵素反応を行わせ、生成物である銀を電気化学的に測定する。
本発明の方法は、電気的分析法が行えればどのような機構でも行えるが、例えば、プレートなどのウェル上でのバッチ式やマイクロ加工されたフローやラテラルフローやキャピラリーフロー又はフロースルーの流路やイムノクロマト法等のメンブレンストリップなどのフロー式でも行えるし、更に、これらを組み合わせて行うこともできる。例えば、μTASであれば、電子情報通信学会論文誌 C−I Vol.J81−C−I No.7 pp.385−393 1998年7月を参照することができる。
これらの機構において、例えば、前記微粒子が磁性微粒子である場合、B/F分離を行うために磁力を発生する場所が必要であるが、少なくとも感知部の表面に磁性微粒子を保持できるように、磁力体を設置しておけば良い。例えば、感知部の表面に磁性微粒子を保持するためには感知部の背面に配置したり、複合体形成部の表面に磁性微粒子を保持するためには複合体形成部の背面に配置したりすれば良い。また、μTASのような送液システムを有する酵素免疫センサであれば、磁力体を固定して設置することにより、該送液システムにより液交換が容易に行えるので好ましい。
各反応に使用する溶液(例えば、酵素標識抗体、基質など)や洗浄液は、前記送液システムで逐次送られても良いし、反応場に乾燥させて供給することもできる。例えば、感知部上の微粒子上で選択的相互作用反応を行う場合には、感知部近傍(電気信号の授受に影響しない場所)に酵素標識抗体を乾燥させて準備しておき、微粒子液がその場に送液されると前記酵素標識抗体液が溶解され、前記選択的相互作用反応を開始することができる。
また、選択的相互作用反応時などの液体の混合や攪拌時に空気が混在すると泡が発生しやすくなり反応の安定性が低下するため、棒状あるいは円盤状などの物質を共存させることにより、温度や圧力の変化、超音波により泡が発生することを抑えることが好ましい。また本反応を阻害しない限り、一般に知られているシリコーン系消泡剤や有機系消泡剤を用いても良い。
また、不溶化反応に用いた反応液を感知部から排出し、次に、電気的な分析に用いる溶液を感知部に供給することができる。更に精度を高めるため、電気的な分析に用いる溶液を容器内に供給する前に、分析対象物以外の反応に寄与する物質を含まない洗浄液で感知部を洗浄することが好ましい。
本発明の電気的な分析に使用可能な溶液は、強電解質を含み且つ分析対象物以外の電流応答に寄与する物質を含まない溶液である。本発明に使用できる強電解質としては、溶媒と反応せず、感知部表面への特異吸着のないものであれば制限はなく、例えば、アルカリ金属のハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、などが挙げられる。例えば、硝酸カリウムが挙げられる。銀イオンから生じる不溶性物質の場合には、硝酸カリウムを使用することにより、電流応答に寄与する物質(例えば、硝酸銀)を単一に優先して生成することが可能となり、単一のピークとして検出できることから、感度や精度が高まるため特に好ましい。
また、分析対象物以外の電流応答に寄与する物質を含まないことによって、より安定して単一の検出ピークを得ることができるので良い。
本発明に使用可能な電解質は一種類または二種類以上組み合わせても良いが、電気的シグナルを複数検出させる要因となる物質を生成する組み合わせは望ましくない。
本発明に使用可能な電解質の濃度は、約0.05mol/L以上で使用することができるが、できるだけ電解質濃度が高いほうが本発明における検出ピークが大きくなるので好ましい。例えば、硝酸カリウムを電解質として使用する場合は、0.05〜1.0mol/L、好ましくは0.1〜1.0mol/L、更に好ましくは0.5〜1.0mol/L、特に好ましくは0.8〜1.0mol/Lである。
また、電気的測定に用いる溶液の溶媒は、電位窓が不溶性物質のレドックス電位より広く、不溶性物質が溶解しなければ制限はないが、好ましくは水である。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
《実施例1:試薬および酵素免疫電極の作製》
(1)カーボン電極の作製
電極上のブロッキング剤の影響を評価するために、カーボン電極上にウシ血清アルブミン(BSA)をコーティングしたものと、BSAをコーティングしていないものとを作製した。
図2に示すパターンからなる電極部12及びリード部13を、ステンレス鋼製マスクパターンを用いて、印刷法より作製した。まず、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる絶縁性基板11上に、導電性カーボンペースト(FTU−20:アサヒ化学研究所製)を電極の形状に印刷形成し、カーボン電極を作製した。作製したカーボン電極の一部に銀・塩化銀インク(BAS社製)を塗布し参照極16を作製した。次に、電極部12とリード部13間を仕切るため、絶縁膜17にてリード部の一部を覆うことにより、作用極14、対極15、参照極16を備えた電極部を作製した。作用極、対極、参照極の反対側の端部は、接続用コネクター18として機能する。この作製したカーボン電極をBSAのコーティングしていない電極として使用した。
また、比較用としての、BSAをコーティングした電極は、0.1mol/Lリン酸緩衝液(pH7.4)(以下、緩衝液Aと称する)に1%BSAを添加した溶液中に、前記作製したカーボン電極を1時間浸漬させることで作製した。
(2)抗体固定化磁性微粒子の作製
公知の方法に従って、B型肝炎表面抗原(HBs抗原:組み換え品、サブタイプadw)をマウスに免疫し、抗HBs抗原マウスモノクローナル抗体(IgG)を作製した。これを粒子径が0.7μmの磁性微粒子(メルク製)に固相化することによって、抗体固定化磁性微粒子を作製した。具体的には、公知の方法に従い、磁性微粒子表面上のカルボキシル基(−COOH)を水溶性カルボジミド(WSC:同仁社製)にて活性化させた後、この作製した抗体と磁性微粒子を混合することで磁性微粒子表面上に該抗体を共有結合にて化学的に固定化した。更にBSAを物理的および化学的に固定化することにより抗HBs抗体固定化磁性微粒子を作製した。
(3)アルカリホスファターゼ(ALP)標識抗HBs抗原ウサギポリクローナル抗体溶液(Fab’)溶液の作製
公知の方法に従って、B型肝炎表面抗原(HBs抗原:組み換え品、サブタイプadw)をウサギに免疫し、抗HBs抗原ウサギポリクローナル抗体(IgG)を作製し、次いで、これをFab’画分に調製した。この作製した抗体とALP(ロシュ製)及び架橋試薬(Succinimidyl 4-[N-maleimidomethyl]-cyclohexane-1-carboxylate:PIERCE製)を用いて、「高感度酵素免疫測定法(石川栄治:学会出版センター、1993)」記載のマレイミドヒンジ法に基づき、ALP標識抗HBs抗原ウサギポリクローナル抗体(Fab’)を作製した。この酵素標識抗体を、(1)に記載の緩衝液Aに2%BSAを添加した溶液にて所定の濃度に調整した溶液を、ALP標識抗HBs抗体溶液とした。
(4)洗浄液の調製
0.01mol/Lリン酸緩衝液に0.1%Tween20(和光純薬製)を含有させたものを洗浄液Aとして調製した。更に、10mmol/L MES(同仁製)、0.9%NaCl(和光純薬製)、0.05%Tween20(和光純薬製)を混合したものを洗浄液Bとして調製した。
(5)酵素標識複合体化磁性微粒子の調製
(2)にて調製した抗HBs抗体固定化磁性微粒子、B型肝炎表面抗原溶液(HBs抗原:組み換え品、サブタイプadw)、(3)で調製したALP標識抗HBs抗体溶液を所定濃度混合し、室温にて所定時間抗原抗体反応を実施した。HBs抗原溶液としては、HBs抗原を、1%BSAを含有した緩衝液Aにて所定濃度になるように調整した溶液を使用した。その後、磁性微粒子を磁気分離にて分離し、洗浄液Bを用いてB/F洗浄を行い、酵素免疫複合化磁性微粒子(ALP標識抗HBs抗体−HBs抗原−抗HBs抗体固定化磁性微粒子)を調製した。
(6)抗体固定化電極の作製
(1)で作製したブロッキング無しのカーボン電極の作用極に、(2)で作製した抗HBs抗原マウスモノクローナル抗体(最終濃度1mg/mL)を含む緩衝液Aを2μL滴下し、37℃で30分間インキュベートした後、25℃、湿度40%条件下で2時間乾燥させた。その後、1%BSAを含有させた緩衝液A中に1時間浸漬させて、未反応部をブロッキングし、更に脱塩水を用いて基板を洗浄後、乾燥させ、抗体固定化電極を作製した。
(7)酵素免疫複合体化抗体固定化電極の調製
(6)にて作製した抗体固定化電極の反応部用ウェルに、HBs抗原溶液および(3)で調製したALP標識抗HBs抗体溶液を所定濃度に混合した溶液を添加し、室温にて所定時間浸漬させることで抗原抗体反応を実施した。その後、洗浄液Aにて電極を洗浄し、酵素免疫複合化電極(ALP標識抗HBs抗体−HBs抗原−抗HBs抗体固定化電極)を調製した。HBs抗原としては、HBs抗原(組み換え品、サブタイプadw)を、1%BSAを含有した緩衝液Aにて所定濃度になるように調整した溶液を使用した。
(8)基質溶液の調製
2.5mmol/L AgNO、2mmol/L MgSOを含む水溶液(基質液A)と、40mmol/L p−アミノフェニルホスフェート(pAPP:LKT Laboratories製)を含む25mmol/L Tris水溶液(基質液B)とをそれぞれ調製し、酵素基質反応直前に基質液Aと基質液Bを10倍希釈として1対1で混合して酵素基質反応溶液とした。
(9)酵素免疫複合化磁性微粒子を用いた銀沈着反応条件
(5)で調製した酵素免疫複合化磁性微粒子を1mmol/L MgSOと12.5mmol/L Trisを含む水溶液100μLにて分散させ、図3及び図4に示すように、作用極部の下に磁石を配置した状態で、反応部用ウェルに酵素免疫複合化後の磁性微粒子分散溶液を滴下し、作用極上に酵素免疫複合化後の磁性微粒子を集めた。
その後、基質液Aを30μL、基質液Bを30μL、1mmol/L MgSOと12.5mmol/L Trisを含む水溶液240μLを加え、所定時間放置した。
(10)酵素免疫複合化抗体固相化電極を用いた銀沈着反応条件
(7)にて調製した酵素免疫複合化抗体固相化電極の反応部用ウェルに、基質液Aを30μL、基質液Bを30μL、1mmol/L MgSOと12.5mmol/L Trisを含む水溶液240μLを加え、所定時間放置した。
(11)電気化学測定条件
電気化学的測定は、作用極、参照極、対極の各接続用コネクターを電気化学アナライザー(chi1232a:ALS製)にそれぞれ接続し、微分パルスボルタンメトリー法(DPV)により測定した。
≪実施例2:磁性微粒子を用いることによる高感度化の検証≫
測定用の抗体が電極に固定化された従来の電極の場合と、磁性微粒子に固定化された本発明における電極の場合の測定感度を比較検討した。
本発明における酵素免疫電極としては、実施例1(5)の方法にて室温で30分間反応させ作製した酵素標識複合体化磁性微粒子(0.7μm)を、実施例1(1)で作製したBSAコーティングをしたカーボン電極の反応部用ウェルに滴下し、電極部背面から磁石で引き付け作用極上に磁性微粒子を集め、実施例1(9)の条件で30分間反応させた。
一方、従来の酵素免疫電極としては、実施例1(7)の方法にて室温で30分間反応させ作製した酵素免疫複合体化抗体固定化電極を使用し、実施例1(10)の条件で30分間反応させた。
それぞれ、その後、酵素基質反応溶液を除去し、1mol/L KNO溶液300μLを加え、実施例1(11)の条件にてDPV測定を実施した。
結果(抗原濃度と銀の酸化電流応答値の関係)を図5に示す。
本発明における酵素免疫電極は、従来の酵素免疫電極よりも約3.4倍高い酸化電流ピーク値を示し、高感度に銀の酸化電流値を検出可能であることが確認できた。これは、磁性微粒子を用いることで固相抗体量が増加したこと、そして、免疫複合化が短時間で形成されたことに由来していると考えられ、磁性微粒子を用いることで従来以上に短時間で高感度な測定が可能になることがわかった。
≪実施例3:電極上にブロッキング剤がないことによる高感度化の検証≫
実施例1(1)で作製したBSAブロッキング有りあるいは無しのカーボン電極の反応部用ウェルに、それぞれ、実施例1(5)で調整した酵素免疫複合化磁性微粒子を置き、銀の酸化電流応答値を確認した。
実施例2と同様に、実施例1(5)の方法にて室温で30分間反応させ作製した酵素標識複合体化磁性微粒子(0.7μm)を使用し、実施例1(9)の条件にて銀の沈着反応を30分間行った。その後、酵素基質反応溶液を除去し、1mol/L KNO溶液300μLを加え、実施例1(11)の条件にてDPV測定を実施した。
結果を図6に示す。
BSAでのブロッキング無しの電極を用いることで、BSAでブロッキングを行った電極より約4.3倍高い銀の酸化電流ピーク値を示した。このことから、検出部である電極表面をBSA等のブロッキング剤等でコートしないことでより効果的に沈着銀の酸化を行わせることが可能であることが判った。
≪実施例4:磁性微粒子の粒子径に関わる高感度化の検証≫
以下の調製方法にて作製した磁性微粒子と標識抗体を用いたこと以外は、実施例1に従って検討した。
(1)抗体固定化磁性微粒子の作製
公知の方法に従い、B型インフルエンザウイルス抗原(FluB抗原:阪大微生物病研究会より入手したFlorida株のB型インフルエンザHAワクチン原液から採取)をマウスに免疫して、抗FluBマウスモノクローナル抗体(IgG)を作製した。次いで、この抗体を粒子径が、それぞれ、2.6μm、0.7μm、0.44μmの磁性微粒子(メルク製)に固相化することによって、抗体固定化磁性微粒子を作製した。具体的には、公知の方法に従い、磁性微粒子表面上のカルボキシル基(−COOH)を水溶性カルボジミド(WSC:同仁社製)にて活性化させた後、抗体と磁性微粒子を混合することで磁性微粒子表面上に該抗体を共有結合にて化学的に固定化した。更にBSAを物理的および化学的に固定化することにより抗FluB抗体固定化磁性微粒子を作製した。
(2)ALP標識抗FluBマウスモノクローナル抗体溶液(Fab’)溶液の作製
公知の方法に従い、B型インフルエンザウイルス抗原(FluB抗原:阪大微生物病研究会より入手したBrisbane株のB型インフルエンザHAワクチン原液から採取)をマウスに免疫して、抗FluBマウスモノクローナル抗体(IgG)を作製した。これをFab’画分に調製し、ALP標識用の抗FluBマウスモノクローナル抗体として使用した。次いで、該抗体とALP(ロシュ製)及び架橋試薬(Succinimidyl 4-[N-maleimidomethyl]-cyclohexane-1-carboxylate:PIERCE製)を用いて、「高感度酵素免疫測定法(石川栄治:学会出版センター、1993)」記載のマレイミドヒンジ法に基づき、ALP標識抗FluBマウスモノクローナル抗体(Fab’)を作製した。この作製した酵素標識抗体を2%BSA含有緩衝液Aにて1mAbs濃度に調整した溶液を、ALP標識抗FluB抗体溶液とした。
(3)磁性微粒子の粒子径と銀の酸化電流値の関係の検討
(1)で調製した抗FluB抗体固定化磁性微粒子(粒子径:0.4μm、0.7μm、2.6μm)、FluB抗原溶液(FluB抗原を1%BSAを含有した緩衝液Aにて所定濃度(0%、0.001%、0.01%)になるように希釈調製した)、(2)で調製したALP標識抗FluB抗体溶液を1mAbs濃度で混合し、室温にて5分間原抗体反応を実施した。その後、磁性微粒子を磁気分離にて分離し、洗浄液Bを用いてB/F洗浄を行い、酵素免疫複合化磁性微粒子を調製した。
まず、調製した各粒子サイズの酵素免疫複合化磁性微粒子に、発光基質であるCDP−Starを3分間反応させ、発光基質を用いた場合の、各粒子サイズの酵素免疫複合化磁性微粒子における発光挙動の確認を行った。その結果を図7に示す。
その結果、粒子径が小さくなるに従い、発光量が小さく反応性が低いことが確認された。つまり、粒子径が小さいほうが、酵素免疫複合化時に、より少ない量の酵素標識抗体しか複合化できなかったということを示している。
一方、次に、同じ酵素免疫複合化磁性微粒子を用いて、実施例1(9)に従い銀の沈着反応を室温にて3分間行った後、DPV測定にて銀の酸化電流応答値を確認した。確認した結果を図8に示す。
銀の酸化電流ピーク値は、粒子径が小さくなるに従い高い値を示した。これは粒子径が小さい方がより多くの銀を検出部である感知部電極(作用極)に沈着させられていることを示している。
また、各粒子サイズごとに発光基質による測定値の発光カウント(CPS)に対するDPV測定値の酸化電流ピーク値(Ip)の関係を図9に、Ip/発光カウントと粒子径の関係を図10に示す。図9より、粒子径のサイズが小さい粒子ほど傾きが大きくなっていることが分かる。また、図10より粒子径が小さい方がIp/発光カウントの数値が大きくなっている。これらは、より少ない酵素標識抗体量で、より効果的に銀を感知部電極(作用極)上に沈着させることができていることを示している。つまり、用いる磁性微粒子のサイズを小さくすることで電極表面と銀の析出が起こる距離をより近接させることになり、電極上で直接電子授受可能な銀をより多く析出させることが可能であり、より高感度な測定を可能にした。
本発明は、例えば、高感度に試料を分析し、臨床検査や診断や食品分野や環境分析の用途に適用することができる。

Claims (11)

  1. 分析対象物質と、前記分析対象物質と選択的相互作用を示す特異的パートナーとを反応させ、被検試料中の分析対象物質の存在量に相関させて、不溶化反応を実施することによって、可溶性物質を不溶性物質に変換し、感知部に沈殿させ、前記感知部に沈殿させた不溶性物質を電気的に分析する方法であって、
    選択的相互作用を示す特異的パートナーが微粒子上に固相化されていることを特徴とする、分析方法。
  2. 前記感知部表面が、電気信号の授受を妨げる物質で覆われていない、請求項1に記載の分析方法。
  3. 不溶化反応および電気的な分析を行う際に、前記感知部表面と前記微粒子が直接接触する、請求項1又は2に記載の分析方法。
  4. 前記微粒子が非導電性物質である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の分析方法。
  5. 前記微粒子が磁性微粒子である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の分析方法。
  6. 分析対象物質と、微粒子上に固相化された特異的パートナーとの前記反応が複合体形成部で行われ、前記不溶化反応が感知部上で行われる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の分析方法。
  7. 前記微粒子の大きさが3μm以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の分析方法。
  8. 前記可溶性物質が銀イオンである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の分析方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の分析方法に使用する装置であって、
    分析対象物質と、微粒子上に固相化された特異的パートナーとを反応させる複合体形成部と、前記感知部とを有する装置。
  10. 前記複合体形成部と前記感知部が別体である、請求項9に記載の装置。
  11. 前記微粒子を捕捉可能な磁力体を有する、請求項9又は10に記載の装置。
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