JP2009275006A - 低酸素環境測定用試薬 - Google Patents

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哲雄 長野
Kazutaka Kiyose
一貴 清瀬
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Abstract

【課題】低酸素環境を簡便かつ高感度に蛍光測定するための化合物を提供する。
【解決手段】下記の式(I):

(R1は水素原子、アルキル基、又はアルコキシ基を示し;R2はアルキル基又はアルコキシ基を示し;R3、R4、R5、R6、R7、及びR8は水素原子又はハロゲン原子を示し;R9はニトロフリルメチル基などを示す)で表される化合物。
【選択図】なし

Description

本発明は、低酸素環境測定試薬として有用な化合物又はその塩に関するものである。また、本発明は上記化合物又はその塩を含む低酸素環境測定試薬に関する。
生体内における低酸素微小環境は様々な疾患との関連が示唆されていることから、低酸素状態にある組織や細胞などを検出することは疾患の早期診断や治療方針の決定などに有用である。低酸素環境を測定可能な方法として現在までにいくつかの提案がなされている。例えば、PETトレーサーや免疫染色などが提案されているが、これらの方法は安全性や簡便性から問題を有している。
一般に生体内微量成分や特定の環境を蛍光プローブを用いて測定する方法は簡便で高い安全性が期待できることから、蛍光プローブを用いて低酸素微小環境を測定する方法の開発が求められている。しかしながら、従来、低酸素微小環境を測定可能な蛍光プローブはほとんど提供されておらず、特に小分子を用いた蛍光プローブの提案はほとんどなされていない。報告されているいくつかの蛍光プローブも特異性や励起波長などの点で多くの問題を有している(例えば特開2007-77036号公報、ChemBioChem., 9, pp.426-432, 2008)。
特開2007-77036号公報 ChemBioChem., 9, pp.426-432, 2008
本発明の課題は、低酸素環境の測定のために有用な化合物を提供することにある。より具体的には、安全かつ簡便に生体内組織や細胞の低酸素環境を蛍光によりイメージングできる化合物を提供することが本発明の課題である。
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意努力した結果、下記の一般式(I)又は(II)で表される実質的に非蛍光性の化合物が低酸素環境下において還元され、強い蛍光を発する化合物を与えること、及びこれらの化合物を用いることにより生体内の細胞や組織などにおける低酸素微小環境を効率的にイメージングできることを見出した。本発明はこれらの知見を基にして完成されたものである。
すなわち本発明は、下記の式(I):
(式中、R1は水素原子、置換基を有していてもよいC1-12アルキル基、又は置換基を有していてもよいC1-12アルコキシ基を示し;R2は置換基を有していてもよいC1-12アルキル基又は置換基を有していてもよいC1-12アルコキシ基を示し;R3、R4、R5、R6、R7、及びR8はそれぞれ独立に水素原子又はハロゲン原子を示し;R9は下記の式(A):
(式中、R10及びR11はそれぞれ独立に水素原子、C1-6アルキル基、水酸基、又はハロゲン原子を示す)で表される化合物が提供される。
上記発明の好ましい態様によれば、R1が低級アルコキシ基であり、R2が低級アルキル基である上記の化合物;R1がキサンテン環残基に対してパラ位の低級アルコキシ基であり、かつR2が低級アルキル基である上記の化合物;R3、R4、R5、R6、R7、及びR8が水素原子である上記の化合物;R10及びR11が水素原子である上記の化合物が提供される。
また、本発明により、下記の式(II):
(式中、R21は水素原子、置換基を有していてもよいC1-12アルキル基、又は置換基を有していてもよいC1-12アルコキシ基を示し;R22は上記の式(A)(式中、R10及びR11はそれぞれ独立に水素原子、C1-6アルキル基、水酸基、又はハロゲン原子を示す)で表される基を示し、R23、R24、R25、R26、R27、及びR28はそれぞれ独立に水素原子又はハロゲン原子を示し、R29、R30、R31、及びR32はそれぞれ独立にC1-6アルキル基を示し、X-は陰イオンを示す)で表される化合物が提供される。
上記発明の好ましい態様によれば、R21が水素原子である上記化合物;R23、R24、R25、R26、R27、及びR28が水素原子である上記の化合物;R10及びR11が水素原子である上記の化合物;R29、R30、R31、及びR32がエチル基である上記の化合物が提供される。
別の観点からは、上記の一般式(I)又は(II)で表される化合物を含む低酸素環境測定用試薬が本発明により提供される。
さらに、本発明により、低酸素環境の測定方法であって、下記の工程:(A)上記一般式(I)又は(II)で表される化合物を低酸素環境に導入する工程、及び(B)上記工程(A)により生成した蛍光性化合物(上記一般式(I)においてR9が水素原子である化合物又は上記一般式(II)においてR22が水素原子である化合物)の蛍光を測定する工程を含む方法が提供される。
本発明の化合物は低酸素環境、特に低酸素微小環境の測定用試薬として有用であり、例えば、粘膜や皮膚あるいは臓器表面に生じた固形癌など低酸素環境にある組織や細胞を安全かつ簡便にイメージングすることができる。
本明細書において、「アルキル基」又はアルキル部分を含む置換基(例えばアルコキシ基など)のアルキル部分は、例えば、炭素数1〜12個、好ましくは炭素数1〜6個、好ましくは炭素数1〜4個の直鎖、分枝鎖、環状、又はそれらの組み合わせからなるアルキル基を意味している。より具体的には、アルキル基として低級アルキル基(炭素数1〜6個のアルキル基)が好ましい。低級アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、シクロプロピルメチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基などを挙げることができる。
上記の一般式(I)において、R1及びR2が示すC1-12アルキル基又はC1-12アルコキシ基のアルキル部分が置換基を有する場合、置換基の種類、個数、及び置換位置は特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子のいずれでもよい)、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホン酸基、又はアルキルスルホネート基などを置換基として有していてもよい。R1及びR2が示す基としては炭素数1〜6個の低級アルキル基又は低級アルコキシ基であることがより好ましい。特に好ましいのは、R1がメトキシ基であり、R2がメチル基である化合物である。ベンゼン環上のR1の置換位置は特に限定されないが、キサンテン環の残基の結合位置に対してパラ位であることが好ましい。R1及びR2が結合するベンゼン環上には、これらの置換基以外に任意の置換基が存在していてもよい。
上記の式(I)において、R3、R4、R5、R6、R7、及びR8が示すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子のいずれでもよい。R3、R4、R5、R6、R7、及びR8は水素原子であることが好ましい。R10及びR11はともに水素原子であることが好ましい。
上記の一般式(II)において、R21は上記のR1と同様である。R22においてR10及びR11はともに水素原子であることが好ましい。R23、R24、R25、R26、R27、及びR28が示すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子のいずれでもよい。R23、R24、R25、R26、R27、及びR28は水素原子であることが好ましい。R29、R30、R31、及びR32が示すC1-6アルキル基は同一でも異なっていてもよいが、エチル基であることが好ましい。X-は陰イオンを示すが、適宜の一価の陰イオンを用いることが好ましい。例えば、ハロゲンイオン、水酸イオンなどを挙げることができるが、これらに限定されることはない。
一般式(I)又は(II)で表される化合物は水和物又は溶媒和物として存在する場合もあるが、これらの物質はいずれも本発明の範囲に包含される。溶媒和物を形成する溶媒の種類は特に限定されないが、例えば、エタノール、アセトン、イソプロパノールなどの溶媒を例示することができる。
一般式(I)又は(II)で表される化合物は、置換基の種類に応じて1個または2個以上の不斉炭素を有する場合があり、光学異性体又はジアステレオ異性体などの立体異性体が存在する場合がある。純粋な形態の立体異性体、立体異性体の任意の混合物、ラセミ体などはいずれも本発明の範囲に包含される。
一般式(I)又は(II)で表される本発明の化合物は、一般的には、R9又はR22が水素原子である対応の化合物に対して一般式(A)で表される基を導入することにより容易に製造することができる。本発明の一般式(I)又は(II)で表される化合物の代表的化合物の製造方法が本明細書の実施例に具体的に示されているので、当業者は実施例の具体的説明を基にして、出発原料及び反応試薬を適宜選択し、必要に応じて反応条件や工程を適宜変更ないし修飾することにより、本発明の化合物を容易に製造することが可能である。
なお、反応工程において特定の官能基を必要に応じて保護して反応を行うことにより、目的物を効率的に製造することができる場合があるが、保護基については、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス (Protective Groups in Organic Synthesis, T.W.Greene, John Wiley & Sons, Inc., 1981)などに詳しく説明されており、当業者は適宜の保護基を選択することが可能である。
また、上記製造法における生成物の単離、精製は通常の有機合成で用いられる方法、例えば濾過、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、結晶化、各種クロマトグラフィー等を適宜組み合わせ行うことができる。また、上記工程における製造中間体は、特に精製することなく次の反応に供することも可能である。本発明の化合物の塩を製造する場合には、上記製造法においてそれぞれの化合物の塩が得られる場合はそのまま精製すればよればよく、遊離形態の化合物が得られる場合には、遊離形態の化合物を適当な溶媒に溶解又は懸濁した後、塩基を加えて塩を形成させ、必要に応じて精製を行えばよい。
上記一般式(I)又は(II)で表される本発明の化合物は、緩和な条件下、例えば生理的条件下において低酸素環境に置かれると脱ニトロフリルメチル化合物であるフルオレセイン化合物(一般式(I)においてR9が水素原子である化合物に相当する)又は脱ニトロフリルメチル化合物であるジアミノローダミン化合物(一般式(II)においてR22が水素原子である化合物に相当する)を与える性質を有している。一般式(I)又は(II)で表される化合物は実質的に非蛍光性であり、一方、脱ニトロフリルメチル化合物であるフルオレセイン化合物又はジアミノローダミン化合物は高強度の蛍光を発する性質を有している。従って、上記式(I)又は(II)で表される化合物又はその塩を低酸素環境に導入し、脱ニトロフリルメチル化合物の蛍光を測定することによって、低酸素環境を高感度に測定することが可能である。
本発明の試薬により測定可能な低酸素環境としては、例えば、固形癌でについては0%〜5%程度の低酸素環境などを挙げることができるが、本発明により測定可能な低酸素環境はこの状態に限定されることはない。低酸素環境としては、例えば、癌組織、癌細胞、又は虚血組織などを挙げることができ、癌組織としては、例えば、粘膜表面、皮膚、又は臓器表面などに生じた固形癌が好ましい測定対象である。例えば、内視鏡検査などの手段により本発明の試薬を用いて低酸素環境の組織を特定することができ、癌の存在を早期に発見することができる。
本明細書において用いられる「測定」という用語は、定量、定性、又は診断などの目的で行われる測定、検査、検出などを含めて、最も広義に解釈しなければならない。本発明の低酸素環境の測定方法は、一般的には、(A)上記一般式(I)又は(II)で表される化合物を低酸素環境に導入する工程、及び(B) 上記工程(A)で生成した脱ニトロフリルメチル化合物(上記一般式(I)においてR9が水素原子である化合物又は上記一般式(II)においてR22が水素原子である化合物に相当する)の蛍光を測定する工程を含んでいる。
脱ニトロフリルメチル化合物の蛍光の測定は通常の方法で行うことができ、インビトロで蛍光スペクトルを測定する方法や、バイオイメージングの手法を用いてインビボで蛍光スペクトルを測定する方法などを採用することができる。例えば、定量を行う場合には、常法に従って予め検量線を作成しておくことが望ましいが、定量的なヒドロキシラジカルの発生系として、例えば、ガンマーラジオリシス法などを利用することができ、一重項酸素の発生系として、例えば、ナフタレンエンドパーオキシド系(Saito, I,. et al., J. Am. Chem. Soc., 107, pp.6329-6334, 1985)などを利用することができる。本発明の試薬は細胞内に取り込まれる性質を有しており、個々の細胞や組織内に局在する低酸素環境をバイオイメージング手法により高感度に測定できる。
本発明の低酸素環境測定用試薬としては、上記式(I)又は(II)で表される化合物をそのまま用いてもよいが、必要に応じて、試薬の調製に通常用いられる添加剤を配合して組成物として用いてもよい。例えば、生理的環境で試薬を用いるための添加剤として、溶解補助剤、pH調節剤、緩衝剤、等張化剤などの添加剤を用いることができ、これらの配合量は当業者に適宜選択可能である。これらの組成物は、粉末形態の混合物、凍結乾燥物、顆粒剤、錠剤、液剤など適宜の形態の組成物として提供される。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
例1
2-メチル-4-メトキシ TokyoGreen (33 mg, 0.1 mmol)を3 mLの無水N,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(256 mg, 1.98 mmol)、2-ブロモメチル-4-ニトロフラン(190 mg, 0.96 mml)を加えてアルゴン雰囲気下に60℃で一晩加熱した。溶媒を減圧留去後、中性シリカゲル、セミプレパラティブ HPLC、中性シリカゲルで順次精製を行い、目的物(TGNF)を20 mg得た(収率:43%)。
yellow powder
1H-NMR (300 MHz, CDCL3) δ:2.05 (s, 3H), 3.90 (s, 3H), (s, 3H), 5.20 (s, 3H), 6.45 (dd, 1H, J = 1.83 Hz), 6.58 (dd, 1H, J = 9.72, 1.83 Hz), 6.75 (d, 1H, J = 3.67 Hz), 6.83 (dd, 1H, J = 8.99, 2.57 Hz), 6.89-6.92 (m, 2H), 6.99-7.09 (m, 4H), 7.34 (d, 1H, J = 3.67 Hz). 13C-NMR ( 75 MHz, CDCL3) δ: 20.0, 55.7, 62.8, 101.7, 105.7, 111.8, 112.5, 113.4, 113.6, 116.1, 116.3, 119.7, 124.8, 130.2, 130.3, 130.7, 131.1, 138.4, 149.4, 152.6, 154.7, 159.3, 160.9, 162.2, 185.6. HRMS (ESI+) Calcd for [M+H]+, 458.1239, Found, 458.1211 (-1.86 mmu )
例2
ローダミンB(111 mg, 0.25 mmol)を2 mLの脱水ジクロロメタンに溶解させ、トリエチルアミン(100 μL, 0.71 mmol)、3粒のN,N-ジメチルアミノピリジン、2-メチル-6-ニトロ安息香酸無水物(MNBA)(138 mg, 0.4 mmol)を加えて10分間室温で攪拌した。続いてニトロフルフリルアルコール(20 mg, 0.14 mmol)を加え室温で一晩攪拌した。溶媒を減圧留去後、セミプレパラティブHPLCにより精製を行い、目的物(RBNF)を得た(収率:34%)。
dark red solid
1H-NMR (300 MHz, CDCL3 ) δ:1.33 (t, 12H, J = 7.15 Hz), 3.60 (q, 8H, J = 7.15 Hz), 5.00 (s, 2H), 6.47 (d, 1H, J = 3.67 Hz), 6.73-6.80 (m, 4H), 7.02 (d, 2H, J = 9.35 Hz), 7.15 (d, 1H, J = 3.67 Hz), 7.29 (dd, 1H, J = 7.34, 1.10 Hz), 7.73-7.83 (m, 2H), 8.31 (dd, 1H, J = 7.70, 1.47 Hz).
HRMS (ESI+) Calcd for [M], 568.2447, Found, 568.2423 (-2.37 mmu)
例3
3.33μMのTGNFをニトロ還元酵素(ニトロレダクターゼ:NRT、1μg/ml)と37℃で反応させた場合の蛍光強度の時間変化を図1(上段左)に示す。反応によりTGNFから生成する2-メチル-4-メトキシ-TokyoGreen (2-Me-4-OMe-TG)をHPLCにより検出した(図1上段右)。HPLC条件は50% から 100% の溶液B の直線濃度勾配(10 分間)とした(溶液A: 0.1 M 酢酸トリエチルアンモニウム(pH 7.4); 溶液B:80% アセトニトリル/20% H2O)。反応により生じる2-Me-4-OMe-TG(図中TG)は保持時間6分程度で溶出され、反応前のTGNFは保持時間15分程度であった。図1下段(A)は1μM TGNFをNRTと反応させた場合の吸収スペクトルを示す。図1下段(B)は同反応における蛍光スペクトルを示し(励起波長490 nm)、反応開始時の490 nm付近の蛍光及び20分後における蛍光強度増大及び長波長側へのシフトを示す。サンプルは共溶媒として0.1% DMSOと150μM NADHを含むリン酸カリウムバッファー(pH 7.4)中で測定した。以上の結果から、TGNFはほぼ無蛍光であり、NRTと反応することにより強蛍光性の物質となることが確認され、蛍光スペクトルの形状からメチルニトロフランが放出されたことが分かる。
例4
ラット肝ミクロゾーム(50μL, 8倍希釈)TGNF(3μM)との反応を行った。この結果、ラット肝ミクロゾームのアッセイでは低酸素環境において蛍光強度が大きく増大した(図2)。2-Me-4-OMe-TGは細胞から漏出することが知られているが、細胞に取り込まれたTGNFが還元反応を受けて2-Me-4-OMe-TGが生成し、これが細胞外に漏出して蛍光強度の大きな上昇を与えているものと考えられる。
例5
低酸素環境又は非低酸素環境下において10 mM TGNFとともに14時間培養したHL60 細胞浮遊液(3.3x104 cells)の蛍光スペクトル(励起波長490 nm)を測定した結果を図3(A)に示す。TGNFから2-Me-4-OMe-TGが生成していることを例3と同様のHPLC測定により確認した結果を図3(B)に示す。低酸素環境で培養したHL60細胞浮遊液では大きな蛍光上昇が認められたのに対して、正常酸素環境で培養した細胞浮遊液では若干の蛍光上昇が認められたものの、その程度は非常に小さいものであった。このことから、低酸素環境に曝されているHL60細胞は効率よくTGNFを還元することが示された。HPLCによる分析でも低酸素環境ではTGNFの大部分が2-Me-4-OMe-TG(図中TG)に変換されていたが、正常酸素環境ではほとんど変換されていないことが分かる。
例6
図4にRBNF(3μM)とNRT(1μg/ml)とを酸素環境下で反応させた結果(図4左)及びRBNGからローダミンBへの変換をHPLCにより測定した結果(図4右)に示す。図4左には対照としてNRT非存在下における経時変化も示した。HPLC条件は50% から 100% の溶液B の直線濃度勾配(10 分間)とした(溶液A: 0.1 M トリフルオロ酢酸水溶液; 溶液B:0.1% トリフルオロ酢酸含有80% アセトニトリル/20% H2O)。反応により生じるローダミンB(図中RB)は保持時間8分程度で溶出され、反応前のRBNFは保持時間10.5分程度であった。
例7
低酸素環境下でラット肝ミクロゾームを用いて試験を行った。15μlの50 mM NADHと3μlの3 mM RBNFジメチルスルホキシド溶液を2,932 μlのリン酸カリウムバッファー(100 mL, pH 7.4)に溶解し、溶液をアルゴンガスを30分吹き込みんだ後、50μlのラット肝ミクロゾーム(8倍希釈)をシリンジで添加した。結果を図5に示す。対照として酸素存在下における結果も示した。酸素存在下では蛍光強度の上昇はほとんど認められなかったが、低酸素環境下において蛍光強度の顕著な増強が認められた。
TGNFをニトロ還元酵素(NRT)と反応させた場合の蛍光強度の時間変化(上段左)、TGNFから生成する2-メチル-4-メトキシ-TokyoGreen (2-Me-4-OMe-TG、図中TG)をHPLCにより検出した結果(上段右)、 TGNFをNRTと反応させた場合の吸収スペクトル変化(下段(A))、及び同反応における蛍光スペクトル変化(下段(B))を示す図である。 ラット肝ミクロゾームとTGNFとの反応結果を示した図である。 低酸素環境又は非低酸素環境下においてTGNFとともに培養したHL60 細胞浮遊液の蛍光スペクトル変化(A)及びTGNFから生成した2-Me-4-OMe-TGをHPLC測定により確認した結果(B)を示した図である。 RBNFとNRTとを酸素環境下で反応させた結果(左)及びRBNFからローダミンBへの変換をHPLCにより測定した結果(右)を示した図である。 低酸素環境下と酸素環境下でのラット肝ミクロゾームにおけるRBNFによる蛍光強度の増強を経時的変化として示した図である。

Claims (5)

  1. 下記の式(I):
    (式中、R1は水素原子、置換基を有していてもよいC1-12アルキル基、又は置換基を有していてもよいC1-12アルコキシ基を示し;R2は置換基を有していてもよいC1-12アルキル基又は置換基を有していてもよいC1-12アルコキシ基を示し;R3、R4、R5、R6、R7、及びR8はそれぞれ独立に水素原子又はハロゲン原子を示し;R9は下記の式(A):
    (式中、R10及びR11はそれぞれ独立に水素原子、C1-6アルキル基、水酸基、又はハロゲン原子を示す)で表される化合物。
  2. R1がキサンテン環残基に対してパラ位の低級アルコキシ基であり、R2が低級アルキル基であり、R3、R4、R5、R6、R7、及びR8が水素原子であり、R10及びR11が水素原子である請求項1に記載の化合物。
  3. 下記の式(II):
    (式中、R21は水素原子、置換基を有していてもよいC1-12アルキル基、又は置換基を有していてもよいC1-12アルコキシ基を示し;R22は上記の式(A)(式中、R10及びR11はそれぞれ独立に水素原子、C1-6アルキル基、水酸基、又はハロゲン原子を示す)で表される基を示し、R23、R24、R25、R26、R27、及びR28はそれぞれ独立に水素原子又はハロゲン原子を示し、R29、R30、R31、及びR32はそれぞれ独立にC1-6アルキル基を示し、X-は陰イオンを示す)で表される化合物。
  4. R21、R23、R24、R25、R26、R27、及びR28が水素原子であり、R10及びR11が水素原子である請求項3に記載の化合物。
  5. 上記の一般式(I)又は(II)で表される化合物を含む低酸素環境測定用試薬。
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