JP2009274185A - 両面ラップ盤用回転定盤 - Google Patents

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Abstract

【課題】両面ラップ盤用回転定盤においてキャリアの破損を防ぎつつ、効率よく研磨を実施する。
【解決手段】両面ラップ盤用回転定盤において、摺り合せ面(11)の少なくとも内側周縁(21)と外側周縁(22)に沿って、金属粉とダイアモンド粉とを焼結せしめた所定の厚みと幅を有し、断面が矩形をなした棒状の研磨片(23)を、相互にこれら研磨片(23)の横巾と同等かより狭い巾の空隙(16)を保って、ほぼ均等かつ同心円状に固定して研磨片環状配列群(29)(30)を形成すると共に、内側周縁(21)寄りの研磨片(23)と外周周縁(22)寄りの研磨片(23)に挟まれた中間領域に、金属紛とダイアモンド粉とを焼結せしめて所定の厚さと直径を有する円柱状をなしたダイアモンドペレット(10)をほぼ均等かつ同心円状に固定した。
【選択図】図10

Description

この発明は両面ラップ盤用回転定盤、詳しくは、加工作業中のキャリアの損傷を防ぎ、これによって誘発される被加工物である板状体の破損事故を回避しつつ、より薄い板状体や石英やサファイアなどの硬度の高い板状体でも安全かつ高精度に研磨作業を実施し、その表裏に平滑度の高い平行平面を効率良く形成出来る両面ラップ盤用回転定盤に関するものである。
磁気記憶用ハードディスク、液晶ディスプレイなどの製造の際には、部品の一つであるガラス板などの板状体の研磨作業が必要であり、通常は両面ラップ盤によって実施されている。この両面ラップ盤18は図1に示す様に被加工物である板状体9の表裏を、平行に位置設定されている回転定盤3,3で挟み、この回転定盤3,3を相互に逆回転させることにより、この回転定盤3の摺り合せ面11に固着せしめられた研磨体によって板状体9の表裏の研磨を同時に行い、所望の平滑度の平行平面を有する板状体に仕上げるものである。更に詳しく説明すると、この作業は図2に示す様に、保持枠体であるキャリア1にあけられた透孔2に被加工物である板状体9を嵌め込み、一対の回転定盤3,3のうち下側の回転定盤3の外側に固定された円形枠体19の内側に設けられた歯6及びこの下側の回転定盤3とは独立した駆動系により駆動される中央軸17の外側に設けられた中央軸17とは独立した駆動系によって駆動される平歯車20に、キャリア1の外周縁に形成されている歯8をそれぞれ係合させ、板状体9が嵌め込まれているキャリア1の表裏を上下一対の平行な回転定盤3,3の摺り合せ面11、11で挟み込み、一対の回転定盤3,3をそれぞれ逆方向に回転させることにより、キャリア1に自転運動及び中央軸17を中心とする公転運動を与えながらキャリア1によって保持されている板状体9の表裏を摺り合せ面11との摺接によって同時に研磨するものである。なお、図3はこの研磨作業の際に用いるキャリア1の斜視図である。
そして、回転定盤3には、大きく分けて2タイプのものが存在しており、一つは図4に示すものの様に、回転定盤3の摺り合せ面11に円柱状をなした小型のダイアモンドペレット10を所定間隔で多数固定した所謂ペレット植設タイプであり、もう一つは図5に示す様に、回転定盤3の摺り合せ面自体を金属粉とダイアモンド粉とを焼結させた所定厚さを有する研磨体14で構成した所謂総型タイプである。
前者、つまり図4に示すペレット植設タイプの回転定盤3においては、ダイアモンドペレット10自体のサイズが小さく、その研削面は円形なので、被加工物である板状体9の通過方向に関係なく、最大通過距離は常に一定で、しかも短く、加工仕上がり精度が良いという特徴を有している。又、被加工物である板状体9の表面の平滑度を高めようとするときは、当然に細かい番手のダイアモンドペレット10を使用することになり、それに伴い、加工しようとする板状体9とダイアモンドペレット10の研削面とは、番手が細かくなるに従って互いに吸い付きやすくなるが、このペレット植設タイプの回転定盤3の場合には、ダイアモンドペレット10植設の面率が低いので、かなり細かい番手のものまで、この吸い付き現象を抑制することができるというメリットもある。
一方、図5に示す総型タイプの回転定盤3の場合、摺り合せ面11全体に研磨体14が一体的に形成されているので、研磨力が大きく、荒番手での加工には適しているが、細かい番手になると、吸い付き現象が急激に大きくなる特徴があり、細かい番手の研磨作業には適していなかった。又、研磨体14が一体的に形成されているので、一旦製作してしまった後は、定盤精度のコントロールは出来なかった。更に、加工精度を保つ為には、定盤全体を定期的に修正しなければならず、大掛かりな作業が必要で、コストや時間の面からも問題があった。
近年は、磁気記憶用ハードディスクや液晶ディスプレイの高性能化に伴い、ガラス板だけではなく、より硬度の高い石英やサファイアなどの板状体を精密に研磨する機会が多くなっており、表面粗度に関する要求も益々高くなる傾向がある。又、より薄い被加工物を研磨しなければならなくなっており、加工時間短縮の要求も、益々厳しさを増している。この様な要求を満すには、図5に示す様な総型タイプの回転定盤3より、図4に示す様なペレット植設タイプの回転定盤3の方が適しており、これらの研磨作業には、このペレット植設タイプの回転定盤3が多く使用されている。
上述の通り、このペレット植設タイプの回転定盤3の場合、総型タイプの回転定盤3に比べ、より細かい番手でも吸い付き現象の発生がなく、吸い付き力も小さいことは確かであるが、対向した一対の物質間に働く分子間力に由来するこの吸い付き現象を完全になくすことは不可能であり、このペレット植設タイプの回転定盤3でも、ある番手以下になると、吸い付き力が大きくなり、研磨作業に支障を来す場合があった。
つまり、被加工物である板状体9は保持枠体であるキャリア1によって自転及び公転運動が付与されているのであるが、板状体9とダイアモンドペレット10の研削面との間の吸い付き力が強大になると、キャリア1が自転及び公転運動をする際に大きな負担がかかり、外周縁に形成されている歯8を破損したり、上下にたわみ、外側周縁や内側周縁に沿って植設されているダイアモンドペレット10にその一部が引っ掛ってしまい、破損することがあった。又、この引っ掛かりは加工回転数を上げるほど発生しやすくなるので、加工回転数には自ずと限界があり、加工時間の短縮もむずかしかった。ちなみに、キャリア1は、一般に、ガラス繊維製円板にエポキシ樹脂を含浸させて形成したものであるが、被加工物1である板状体9より薄くなければならず、板状体9が薄くなればなるほど、その強度の保持はむずかしかった。又、研磨作業の際には摺り合せ面11に外部からクーラントを供給し、クーラントの潤滑作用によって吸い付きを減少させているが、ペレット植設タイプの場合、上側の回転定盤3からクーラントを供給しても、ダイアモンドペレット10同士は離れており、その間には大きな空間が形成されているので、せっかく供給したクーラントもダイアモンドペレット10,10間をすり抜けてしまい、その研削面に乗ることなく、下側の回転定盤3側に一気に流れ落ちてしまい、吸い付き現象を抑制出来ない場合もあった。
そして、キャリア1が吸い付き力に抗し切れずに、回転運動中に上下にたわむと、キャリア1に形成されている透孔2の周縁が植設されているダイアモンドペレット10の側面や角に引っかかってしまい、その部分が破損分離し、被加工物である板状体9を破損してしまうことになる。この現象は、最外周及び最内周に植設されているダイアモンドペレット10との間で特に起こりやすく、加工回転数を上げるとこの現象は、益々発生しやすかった。研磨作業中には、板状体9に強大な圧力がかかっており、板状体9自体は薄く極めて脆弱であるので、キャリア1の破片によって板状体9は容易に破損され、板状体9の破損に伴う衝撃で植設されているダイアモンドペレット10の回転定盤3からの分離脱落という重大事故につながることもあった。
この様に、より表面粗度が小さい研磨作業やより硬度の高い板状体の研磨作業、あるいは、より高回転での研磨作業が求められるに従って、キャリア1は破損の危険により一層多くさらされる様になっており、キャリア1の破損に起因する重大事故の発生を防止する為、何らかの対策が強く求められていた。なお、回転定盤3自体は数百キログラムから数トンに及ぶ重量物であり、一旦事故が起きると、その修復に長時間を要し、その間操業を停止しなければならないので、経済的にも損失は極めて大きかった。
特開2004−243469公報 なし
本発明者は、ガラス板などの板状体の研磨作業に関する上記従来の問題点を解決すべく研究を行った結果、ダイアモンドペレット10に代る新たな研磨片を、特定の配置方法で回転定盤3に固定することにより、吸い付き現象を低減化させ、キャリア1の破損を未然に防止できる回転定盤を特開2004−243469として提案した。
この特開2004−243469に係る両面ラップ盤用回転定盤は、図7に示す様に、円盤状をなし、被加工物である板状体9より小さい肉厚を有するキャリア1にあけられた透孔2に被加工物である板状体9を嵌め込み、上下一対の回転定盤3,3のうち下側の回転定盤3の外側に固定された円形枠体19の内側に設けられた歯6及びこの下側の回転定盤3とは独立した駆動系により駆動される中央軸17の外側に設けられ、中央軸17とは独立した駆動系によって駆動される平歯車20に、キャリア1の外周縁に形成されている歯8をそれぞれ係合させ、板状体9が嵌め込まれているキャリア1の表裏を上下一対の平行な回転定盤3,3の摺り合せ面11,11で挟み込み、一対の回転定盤3,3をそれぞれ逆方向に回転させることによりキャリア1に自転運動及び中央軸17を中心とする公転運動を与えながらキャリア1によって保持されている板状体9の表裏を摺り合せ面11,11との摺接によって同時に研磨する両面ラップ盤用回転定盤において、摺り合せ面11に、金属粉とダイアモンド粉とを焼結せしめた所定の厚みと幅を有する細長くかつ円弧状に弯曲した研磨片15を、相互にこれら研磨片15の横巾より狭い巾の空隙16を保って、ほぼ均等かつ同心円状に固定したものである。
この両面ラップ盤用回転定盤においては、図6に示す様に、細長く円弧状に弯曲した研磨片15は回転定盤3に相互に間隔をあけて同心円状に固定されており、従来の両面ラップ盤と同様に一対の回転定盤3、3間にキャリア1を挟み込み、このキャリア1に被加工物である板状体9を保持させて、キャリア1に自転運動及び公転運動を付与し、板状体9の表裏に研磨片15を摺動させて、その研磨を行うのであるが、加工作業中に万が一キャリア1が何らかの理由によって上下にたわんだとしても、研磨片15は弯曲した角棒状をしており、研磨片15,15間の空隙16の巾は研磨片15の横巾より狭いので、キャリア1の透孔2の周縁は、必ずどこかの部分でこの研磨片15と接し、これによってたわみは矯正されるので、従来のダイアモンドペレットの場合の様に、研磨片15の側面や角がキャリア1の透孔2の周縁に引っかかって、これを破損するおそれはほとんどなくなり、従来のものに比べ、より薄い板状体やより硬い板状体であっても安定して研磨作業を行うことが出来る様になった。
しかしながら、この特開2004−243469の回転定盤においては、研磨片15は図8に示す様に、細長く弯曲しており、その長軸側が円周方向を向く様に同心円状に固定されており、研磨作業の際は図9においては矢印で示す様に、研磨片15はその長手方向一端24から他端25にかけて一つの板状体9を長手方向に縦断する相対運動を行うので、接触距離、接触時間とも従来の円柱状をなしたダイアモンドペレットに比べ、長くなり、クーラント切れが起こりやすく、クーラント切れに起因する冷却不足で、研磨片15の表面が熱により炭化し、研磨片15中に分散せしめられ、その表面に露出しているダイアモンド粉の刃先の破壊が起こり、研磨能力が著しく低下することがあった。又、研磨作業に伴い発生する切粉がクーラント切れを起こした研磨片15と板状体9との間に侵入し、研磨片15の表面に露出しているダイアモンド粉を磨耗させ、ますます研磨能力を低下させる原因となっていた。更に、クーラント切れによって板状体9に過大な負荷がかかり、研磨精度を低下させることにもなった。この様に、この特開2004−243469として提案した両面ラップ盤用回転定盤は、キャリア1の破損を防ぐ効果は十分にあり、加工回転数も前記ペレット植設タイプのものに比べ、高くすることが可能で、作業能率の点ではペレット植設タイプのものよりすぐれているが、クーラント切れの危険性を完全に払拭することは出来ず、仕上がり精度においては従来のペレット植設タイプのものより劣り、必ずしも満足すべきものではなかった。
本発明者は、この特開2004−243469として提案した回転定盤及びペレット植設タイプの回転定盤のそれぞれの長所を併せ持った回転定盤を実現すべく研究を行った結果、ペレット植設タイプと同等の仕上がり精度を持ちつつ、キャリアの破損やクーラント切れが起こりにくい両面ラップ盤用回転定盤を開発することに成功し、本発明としてここに提案するものである。
円盤状をなし、被加工物である板状体(9)より小さい肉厚を有するキャリア(1)にあけられた透孔(2)に被加工物である板状体(9)を嵌め込み、上下一対の回転定盤(3),(3)のうち下側の回転定盤(3)の外側に固定された円形枠体(19)の内側に設けられた歯(6)及びこの下側の回転定盤(3)とは独立した駆動系により駆動される中央軸(17)の外側に設けられ、中央軸(17)とは独立した駆動系によって駆動される平歯車(20)に、キャリア(1)の外周縁に形成されている歯(8)をそれぞれ係合させ、板状体(9)が嵌め込まれているキャリア(1)の表裏を上下一対の平行な回転定盤(3),(3)の表面に形成されたドーナツ状円盤形の摺り合せ面(11),(11)で挟み込み、一対の回転定盤(3),(3)をそれぞれ逆方向に回転させることによりキャリア(1)に自転運動及び中央軸(17)を中心とする公転運動を与えながらキャリア(1)によって保持されている板状体(9)の表裏を摺り合せ面(11),(11)との摺接によって同時に研磨する両面ラップ盤用回転定盤において、摺り合せ面(11)の少なくとも内側周縁21と外側周縁22に沿って、金属粉とダイアモンド粉とを焼結せしめた所定の厚みと幅を有し、断面が矩形をなした棒状の研磨片(23)を、相互にこれら研磨片(23)の横巾と同等かより狭い巾の空隙(16)を保って、ほぼ均等かつ同心円状に固定して研磨片環状配列群(29)(30)を形成すると共に、研磨片環状配列群(29)(30)とに挟まれた中間領域に、金属粉とダイアモンド粉とを焼結せしめて所定の厚さと直径を有する円柱状をなしたダイアモンドペレット(10)をほぼ均等かつ同心円状に固定することにより、上記課題を解決した。
板状体9の表裏に研磨片23を摺動させて、その研磨を行うのであるが、加工作業中に万が一キャリア1が何らかの理由によって上下にたわんだとしても、透孔2の引っ掛りが最も起きやすい内側周縁21と外側周縁22に沿って固定された研磨片23は棒状をしており、研磨片23,23間の空隙16はペレット植設タイプのものに比べはるかに小さいので、キャリア1の透孔2の周縁は、必ずどこかの部分でこの研磨片23の研削面と接し、これによってたわみは矯正されるので、研磨片23の側面や角がキャリア1の透孔2の周縁に引っかかって、これを破損するおそれはない。又、摺り合せ面11の研磨片環状配列群29と30とに挟まれた中間領域においては、ダイアモンドペレット10がほぼ均等かつ同心円状に固定されており、ダイアモンドペレット10はその研削面が円形でサイズ自体も小さく、被加工物である板状体9の通過方向に関係なく、最大通過距離は常に一定で、しかも短く、必要以上に長く接触することがないので、クーラント切れが起きにくく、ダイアモンドペレット10の表面は十分に冷却され、刃先の切れ味が衰えることがなく、十分な研磨能力をいつまでも維持し続けられる。更に、内側周縁21と外側周縁22とにそれぞれ固定されている研磨片23は、クーラントの流れを抑制する、言わば堰の役を果たすので、各研磨片23及びダイアモンドペレット10の研削面へクーラントが良く行き渡り、クーラント切れがなお一層起きにくくなっている。従って、加工精度の向上及び加工時間の短縮という従来両立が困難であった要求を同時に満足させることが可能であり、より薄い板状体や石英やサファイアなど硬度の高い板状体に対しても平滑度の高い平行平面を効率よく高精度で形成することが出来、極めて高い実用性を有する。
回転定盤の摺り合せ面11の少なくとも、内側周縁21と外側周縁22に沿って棒状の研磨片23をほぼ均等かつ同心円状に固定すると共に、内側周縁21寄りの研磨片23と外側周縁22寄りの研磨片23に挟まれた中間領域に円柱状をなしたダイアモンドペレット10をほぼ均等かつ同心円状に固定した点に最大の特徴が存する。
図10はこの発明に係る両面ラップ盤用回転定盤の実施例1の摺り合せ面11の平面図、図11は同じくキャリアを組み込んだ状態の平面図である。図中3は回転定盤であり、上下一対設けられており、それぞれの摺り合せ面11、11が平行を保って対向する様になっている。そして、図11に示す様に、下側の回転定盤3の外側に設けられた円形枠体19の内側には歯6が形成されており、前記下側の回転定盤3とは独立した駆動系によって駆動される中央軸17の外側には、中央軸17とは独立した駆動系によって駆動される平歯車20が取付けられている。一方、1はガラス繊維製円板にエポキシ樹脂を含浸させたキャリアであり、その外周縁には歯8が形成されており、回転定盤3に形成されている歯6に係合し得る様になっている。又、そのキャリア1には、被加工物である板状体9を嵌め込んで保持する透孔2が複数個等間隔で設けられている。なお、被加工物である板状体9としては、ガラス板のほか石英やサファイアなどより硬度の高い板状体が列挙される。なお、このキャリア1は、被加工物である板状体9より薄く形成されている。なお、これらの構成は従来の両面ラップ盤用回転定盤と全く同じである。
そして、一対の回転定盤3の表面に形成されたドーナツ状円盤形の摺り合せ面11には、研磨片23が下記に述べる所定の位置関係で配列固定されている。この研磨片23は、従来のダイアモンドペレットと同様、金属粉とダイアモンド粉とを焼結させたものであり、所定の厚みと幅を有し、断面が矩形状をなした棒状を呈している。又、この実施の形態においては、平面形状における短辺の長さは、従来のダイアモンドペレットの直径とほぼ同じ程度の寸法となっているが、被加工物であるガラス板の口径や回転定盤3の寸法、その回転スピードなどに応じて適宜変更し得るものであることは当然である。
そして、この研磨片23は、図10及び図11に示す様に、ドーナツ状円盤形をなした摺り合せ面11の内側周縁21と外側周縁22に沿って、その巾と同等か、より狭い空隙を保ってほぼ均等かつ同心円状に一列づつ固定され、研磨片環状配列群29及び30を形成している。更に、内側周縁21寄りの研磨片環状配列群29と外側周縁22寄りの研磨片環状配列群30とに挟まれた中間領域には、所定の厚さと直径を有する円柱状をなしたダイアモンドペレット10がほぼ均等かつ同心円状に固定されている。なお、ダイアモンドペレット10の厚さは前記研磨片23の厚さと同じであり、その直径は研磨片23の短辺の長さとほぼ同じである。又、このダイアモンドペレット10の配置密度は従来のペレット植設タイプの回転定盤とほぼ同じであるが、被加工物である板状体9の硬度や材質、その口径や回転定盤3の寸法、その回転スピードなど各種条件に応じて適宜変更し得る。
又、この実施例1においては、研磨片23の固定作業、交換作業あるいは保守作業を容易にする為、本件出願人が特開平11−221754として提案した技術を応用し、研磨片23及びダイアモンドペレット10を、図12に示す様に、摺り合せ面11を放射状に均等に分割した扇形をなしたゴム製の分割基板28に貼り付け、この分割基板28を摺り合せ面11に貼り付けることにより、間接的に固定する様にしているので、研磨片23及びダイアモンドペレット10の固定パターンはこの分割基板28毎に繰り返されているが、研磨片23及びダイアモンドペレット10を摺り合せ面11全面にわたり、同じパターンになる様に直接固定しても良い。
この実施例1は上記の通りの構成を有するものであり、従来の両面ラップ盤と同様に一対の回転定盤3、3間にキャリア1を挟み込み、このキャリア1に被加工物である板状体9を保持させて、キャリア1に自転運動及び公転運動を付与し、板状体9の表裏に研磨片23を摺動させて、その研磨を行うのであるが、加工作業中に万が一キャリア1が何らかの理由によって上下にたわんだとしても、透孔2の引っ掛りが最も起きやすい内側周縁21と外側周縁22に沿って固定された研磨片23は棒状をしており、研磨片23,23間の空隙16はペレット植設タイプのものに比べはるかに小さいので、キャリア1の透孔2の周縁は、必ずどこかの部分でこの研磨片23の研削面と接し、これによってたわみは矯正されるので、研磨片23の側面や角がキャリア1の透孔2の周縁に引っかかって、これを破損するおそれはない。又、研磨片環状配列群29と30とに挟まれた中間領域においては、ダイアモンドペレット10がほぼ均等かつ同心円状に固定されており、ダイアモンドペレット10はその研削面が円形でサイズ自体も小さく、被加工物である板状体9の通過方向に関係なく、最大通過距離は常に一定で、しかも短く、必要以上に長く接触することがないので、クーラント切れが起きにくく、ダイアモンドペレット10の表面は十分に冷却され、刃先の切れ味が衰えることがなく、十分な研磨能力をいつまでも維持し続けられる。更に、内側周縁21と外側周縁22に沿ってそれぞれ固定されている研磨片23は、クーラントの流れを抑制する、言わば堰の役を果たすので、各研磨片23及びダイアモンドペレット10の研削面へクーラントが良く行き渡り、クーラント切れがなお一層起きにくくなっている。従って、加工精度の向上及び加工時間の短縮という従来両立が困難であった要求を同時に満足させることが可能であり、より薄い板状体や石英やサファイアなど硬度の高い板状体に対しても平滑度の高い平行平面を効率よく高精度で形成することが出来、極めて高い実用性を有する。
図13はこの発明に係る両面ラップ盤用回転定盤の実施例2の平面図であり、この実施例2においては、研磨片環状配列群29及び30に挟まれた中間領域にも、研磨片23を、相互にこれら研磨片23の横巾と同等かより狭い巾の空隙16を保って、ほぼ均等かつ同心円状に固定して研磨片環状配列群31が形成されており、中間領域の残りの部分には実施例1と同じダイアモンドペレット10がほぼ均等かつ同心円状に固定されている。他の部分は前記実施例1と同じであり、同一符号を付して、その説明を省略する。なお、研磨片環状配列群31は一個だけではなく、複数個設けても良い。この実施例2は直径21インチ回転定盤など、比較的大径の回転定盤に適するものであり、前記の様に、中間領域にも研磨片環状配列群31が形成されており、この研磨片環状配列群31がクーラントの流れを一旦堰き止め、流れを抑制して堰の役を果たすので、クーラント切れが比較的起きやすかった大径の回転定盤においても、クーラント切れを起こすことなく、円滑に研磨作業を実施出来る効果を有する。
各種電子部品製造や光学部品製造など各種産業分野において利用可能である。
ガラス板を研磨する為に用いる両面ラップ盤の代表例の側面図。 従来の回転定盤のキャリアを組込んだ状態の斜視図。 回転定盤に組込むキャリアの一例の斜視図。 従来用いられているペレット植設タイプの回転定盤の一例の斜視図。 従来用いられている総型タイプの回転定盤の一例の斜視図。 特開2004−243469として提案された回転定盤の平面図。 同じく、キャリアを組み込んだ状態の斜視図。 同じく、特開2004−243469で用いられた研磨片15の一例の斜視図。 特開2004−243469におけるガラス板と研磨片の相対運動を説明した説明図。 この発明に係る回転定盤の実施例1の平面図。 同じく、キャリア1に組み込んだ状態の斜視図。 同じく、ダイアモンドペレット10及び研磨片23が固定された分割基板28を摺り合せ面11に固定する方法を示した説明図。 この発明に係る回転定盤の実施例2の平面図。
符号の説明
1 キャリア
2 透孔
3 回転定盤
6 歯
7 外周縁
8 歯
9 板状体
10 ダイアモンドペレット
11 摺り合せ面
14 研磨体
15 研磨片
16 空隙
17 中央軸
18 両面ラップ盤
19 円形枠体
20 平歯車
21 内側周縁
22 外側周縁
23 研磨片
28 分割基板
29 研磨片環状配列群
30 研磨片環状配列群
31 研磨片環状配列群

Claims (3)

  1. 円盤状をなし、被加工物である板状体(9)より小さい肉厚を有するキャリア(1)にあけられた透孔(2)に被加工物である板状体(9)を嵌め込み、上下一対の回転定盤(3),(3)のうち下側の回転定盤(3)の外側に固定された円形枠体(19)の内側に設けられた歯(6)及びこの下側の回転定盤(3)とは独立した駆動系により駆動される中央軸(17)の外側に設けられ、中央軸(17)とは独立した駆動系によって駆動される平歯車(20)に、キャリア(1)の外周縁に形成されている歯(8)をそれぞれ係合させ、板状体(9)が嵌め込まれているキャリア(1)の表裏を上下一対の平行な回転定盤(3),(3)の表面に形成されたドーナツ状円盤形の摺り合せ面(11),(11)で挟み込み、一対の回転定盤(3),(3)をそれぞれ逆方向に回転させることによりキャリア(1)に自転運動及び中央軸(17)を中心とする公転運動を与えながらキャリア(1)によって保持されている板状体(9)の表裏を摺り合せ面(11),(11)との摺接によって同時に研磨する両面ラップ盤用回転定盤において、摺り合せ面(11)の少なくとも内側周縁(21)と外側周縁(22)に沿って、金属粉とダイアモンド粉とを焼結せしめた所定の厚みと幅を有し、断面が矩形をなした棒状の研磨片(23)を、相互にこれら研磨片(23)の横巾と同等かより狭い巾の空隙(16)を保って、ほぼ均等かつ同心円状に固定して研磨片環状配列群(29)(30)を形成すると共に、研磨片環状配列群(29)(30)とに挟まれた中間領域に、金属紛とダイアモンド粉とを焼結せしめて所定の厚さと直径を有する円柱状をなしたダイアモンドペレット(10)をほぼ均等かつ同心円状に固定したことを特徴とする両面ラップ盤用回転定盤。
  2. 研磨片環状配列群(29)と研磨片環状配列群(30)とに挟まれた中間領域にも研磨片(23)を、相互にこれら研磨片(23)の横巾と同等かより狭い巾の空隙(16)を保って、ほぼ均等かつ同心円状に固定して、研磨片環状配列群(31)を形成すると共に、中間領域の他の部分には、金属粉とダイアモンド粉とを焼結せしめて所定の厚さと直径を有する円柱状をなしたダイアモンドペレット(10)をほぼ均等かつ同心円状に固定したことを特徴とする請求項1記載の両面ラップ盤用回転定盤。
  3. 中間領域における研磨片環状配列群(31)が同心円状に複数個形成されていることを特徴とする請求項2記載の両面ラップ盤用回転定盤。
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