JP2009273674A - 皮膚用シリコーン系粘着剤、皮膚用シリコーン系貼付材及びその製造方法 - Google Patents

皮膚用シリコーン系粘着剤、皮膚用シリコーン系貼付材及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2009273674A
JP2009273674A JP2008127953A JP2008127953A JP2009273674A JP 2009273674 A JP2009273674 A JP 2009273674A JP 2008127953 A JP2008127953 A JP 2008127953A JP 2008127953 A JP2008127953 A JP 2008127953A JP 2009273674 A JP2009273674 A JP 2009273674A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
silicone
skin
sensitive adhesive
pressure
adhesive
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2008127953A
Other languages
English (en)
Inventor
Masahiro Kaneki
正博 金木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Alcare Co Ltd
Original Assignee
Alcare Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Alcare Co Ltd filed Critical Alcare Co Ltd
Priority to JP2008127953A priority Critical patent/JP2009273674A/ja
Publication of JP2009273674A publication Critical patent/JP2009273674A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Materials For Medical Uses (AREA)
  • Adhesive Tapes (AREA)
  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)

Abstract

【課題】粘着剤層の塗工時に所定のパターン形状を形成し易い皮膚用シリコーン系粘着剤の提供。
【解決手段】シリコーン樹脂と、該シリコーン樹脂と相溶可能な変性シリコーンオイルと、を含有し、油中水型エマルション化された皮膚用シリコーン系粘着剤を提供する。この皮膚用シリコーン系粘着剤は、水成分を除く組成重量中の前記シリコーン樹脂の含有量及び前記変性シリコーンオイルの含有量がそれぞれ60〜99.9重量%、0.1〜10重量%であり、かつ、全組成重量中の水成分の含有量が10〜70重量%であって、適度な粘度とチキソトロピー性を発揮するものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、皮膚用シリコーン系粘着剤、皮膚用シリコーン系貼付材及びその製造方法に関する。より詳しくは、医療用や家庭用、スポーツ用、美容用等として、医療材料及び器具の皮膚への固定や、皮膚や傷の保護及び治療等に用いられる皮膚用シリコーン系粘着剤等に関する。
ガーゼ、包帯、カテーテル等の医療材料及び器具の皮膚への固定、皮膚や傷の保護及び治療等のために、シート状やテープ状の貼付材が使用されている。この貼付材には、皮膚の凹凸や伸展に順応できる柔軟性及び伸縮性を有することが必要で、さらに発汗や不感蒸泄等の皮膚生理機能を阻害しないことが要求される。このような要求性能を満足させるべく、これまで種々の検討がなされている。
貼付材に用いられる粘着剤の種類としては、アクリル系やゴム系の粘着剤が多く使用されている。しかしながら、これらの粘着剤は、皮膚等の被着体に対する粘着力が高すぎて剥離時に皮膚角層が過度に剥離されたり、毛が引っ張られたりして、痛みや不快感を与える場合があった。
一方、粘着剤としてシリコーン系粘着剤を使用する貼付材も知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。シリコーン系粘着剤は、皮膚への高い順応性を備え、貼付時に適度な粘着性及び透湿性を示すように設計し易いという特性を有する。また、シリコーン系粘着剤は、アクリル系やゴム系の粘着剤に比べて、剥離時の皮膚に対する違和感や刺激を少なくすることができる。従って、特に、皮膚に繰り返し貼付することの多い医療用等の粘着剤としては、柔らかいシリコーンゲル粘着剤が好適なものと考えられる。
シリコーン系粘着剤は、単位面積あたりの粘着力を低くし剥離刺激を低減する代わりに、その柔らかさに起因する濡れ粘着特性を利用して皮膚への密着性、粘着性を高めることができる。シリコーン系粘着剤の粘着剤層は、このような皮膚への密着性・濡れ粘着性を確保するため、ある程度厚く設計する必要がある。しかし、一方で、粘着剤層を厚く形成することによって、透湿性が低下し、発汗や不感蒸泄等の皮膚生理機能を阻害してしまうという問題があった。
このような問題に対し、粘着剤層に貫通開口を設け、粘着剤層の通気性・透湿性を改善する対応が考えられている。粘着剤層に貫通開口を設ける方法としては、べた塗りで粘着剤層を形成した後に穿孔加工する方法(例えば、特許文献3参照)、開口基材に粘着剤層を塗工した後に冷風を吹き込んで開口を塞いだ粘着剤を吹き飛ばして貫通開口を形成する方法(例えば、特許文献4参照)、表面エネルギーの低い剥離シートにべた塗りの粘着剤層を形成した後にその粘着剤層に多孔性基材を接触させる方法(例えば、特許文献5参照)等が知られている。
しかしながら、これら方法では、粘着剤層の穿孔加工や基材に設けた開口への送風等を行うための特殊な製造設備が必要となる。また、特許文献3に開示される方法では、基材の開口パターンと粘着剤層の開口パターンとが同一になってしまうので、例えば、微小孔しか有さないフィルムや布帛に所定の開口パターンを形成したい場合には不向きである。
基材の開口パターンに影響されない粘着剤層の開口形成方法として、例えば、剥離紙などの粘着剤保護層の上に、予め所定の開口パターンを形成した状態で粘着剤層を塗工し、その後に粘着剤層と基材とを貼り合わせる方法がある。
しかし、濡れ粘着という性質を有するシリコーン系粘着剤は、重合度の小さいプレポリマーを後架橋させて製造され、分子量が小さく、低粘度液体である。このため、通常の塗工方式では、粘着剤保護層上に開口パターンを形成しても、粘着剤の液垂れが生じ、流動した粘着剤で開口部分が塞がれてしまうという問題があった。
特に、粘着剤層に十分な濡れ粘着特性を付与するためには、粘着剤層を一定以上の厚さとする必要がある。しかし、粘着剤層の厚さが増す程、粘着剤の流動が起こり易くなるため、粘着剤層を開口パターン維持した状態で塗工することは一層困難となる。
特開2007-284370号公報 特開平1-34370号公報 特表2006-516003号公報 特表平7-505309号公報 特表2002-542962号公報
上記のような問題点に鑑み、本発明は、粘着剤層の塗工時に所定のパターン形状を形成し易い皮膚用シリコーン系粘着剤を提供することを主な目的とする。
上記課題解決のため、本発明は、シリコーン樹脂と、該シリコーン樹脂と相溶可能な変性シリコーンオイルと、を含有し、油中水型エマルション化された皮膚用シリコーン系粘着剤を提供する。
この皮膚用シリコーン系粘着剤に添加される変性シリコーンオイルは、ポリエーテル変性シリコーンオイル及び/又はヒドロキシル基変性シリコーンオイルが望ましく、さらにはポリエーテル変性基の末端にアルキル基を有する変性シリコーンオイルと、ポリエーテル変性基の末端にヒドロキシル基を有する変性シリコーンオイルと、を使用することが望ましい。変性シリコーンオイルの好適な具体例としては、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体からなる変性シリコーンオイルを挙げることができる。
これらの変性シリコーンオイルは、HLB(Hydrophile-Lipophline Balance)値が、3.0〜13.0であることが望ましい。
この皮膚用シリコーン系粘着剤は、水成分を除く組成重量中の前記シリコーン樹脂の含有量及び前記変性シリコーンオイルの含有量がそれぞれ60〜99.9重量%、0.1〜10重量%であり、かつ、全組成重量中の水成分の含有量が10〜70重量%である。
本発明に係るシリコーン系粘着剤は、以上のように、シリコーン樹脂と、このシリコーン樹脂に相溶可能な変性シリコーンオイルを配合し、シリコーン樹脂中に水を分散させて油中水型エマルション化したことによって、適度な粘度とチキソトロピー性を発揮するものである。
すなわち、本発明に係るシリコーン系粘着剤は、ひずみ速度0.1(1/s)における粘度が、ひずみ速度100(1/s)における粘度の1.5倍以上である。
また、本発明に係るシリコーン系粘着剤は、ひずみ速度0.1(1/s)における粘度が2(Pa・s)以上であり、ひずみ速度100(1/s)における粘度が30(Pa・s)以下であることが望ましい。
さらに、本発明に係るシリコーン系粘着剤は、ひずみ速度0.1(1/s)における剪断応力が20(Pa)以下であり、ひずみ速度100(1/s)における剪断応力が200(Pa)以上であることが望ましい。
このように、本発明に係るシリコーン系粘着剤は、高いひずみ速度では粘度が低く流動し易い特性を発揮するため、塗工処理時には高速で効率的な塗工を行うことができる。また、低いひずみ速度では粘度が高く流動し難いという特性を発揮するため、塗工処理時に粘着剤層に形成したパターン形状が、粘着剤の液垂れや流動によって崩れてしまうことがない。
また、本発明は、上記皮膚用シリコーン系粘着剤から形成される、パターン形状を備えた粘着剤層を基材上に積層した皮膚用貼付材、並びに皮膚用シリコーン系粘着剤をパターン塗工し、パターン形状を備えた粘着剤層を形成する工程を含む、皮膚用貼付材の製造方法を提供する。
この皮膚用貼付材の前記粘着剤層の厚さは、50〜5000μmである。
本発明により、粘着剤層の塗工時に所定のパターン形状を形成し易い皮膚用シリコーン系粘着剤が提供される。
以下、本発明を実施するための好適な形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
(1)皮膚用シリコーン系粘着剤
本発明に係る皮膚用シリコーン系粘着剤(以下、単に「シリコーン系粘着剤」という)は、シリコーン樹脂と相溶可能な変性シリコーンオイルを乳化剤に用い、シリコーン樹脂を油中水型エマルション化したシリコーン系粘着剤である。
(1-1)シリコーン樹脂
本発明に係るシリコーン系粘着剤に使用するシリコーン樹脂としては、付加反応型シリコーン樹脂、縮合反応型シリコーン樹脂、又は過酸化反応型シリコーン樹脂を挙げることができる。このうち、特に、付加反応型又は縮合反応型のシリコーン樹脂が好ましく、付加反応型及び縮合反応型を併用することがさらに好ましい。
シリコーン樹脂の配合比率は、シリコーン系粘着剤中に、水成分を除き、60重量%以上であることが好ましく、80重量%以上であることがさらに好ましい。配合比率を60重量%以上とすることで、皮膚に対する適度な順応性と粘着性を備え、皮膚からの剥離刺激が少ないゲル状の粘着剤を形成することができる。
(1-1-1)付加反応型シリコーン樹脂
付加反応型シリコーン樹脂は、ケイ素原子に結合したアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン(アルケニル基含有オルガノポリシロキサン)とヒドロシリル基(Si−H)を有するオルガノポリシロキサン(ハイドロジェンオルガノポリシロキサン)とを、塩化白金酸等の白金化合物触媒を用いて、付加反応(ヒドロシリル化反応)させたものである。
付加反応型シリコーン樹脂は、その合成に用いるハイドロジェンオルガノポリシロキサンの量や、ハイドロジェンオルガノポリシロキサン分子内のヒドロシリル基(Si−H)の量を変化させることによって、架橋密度を調整することができる。これにより、シリコーン樹脂の硬さや粘着力を容易に調整することができる。
本発明に使用する付加反応型シリコーン樹脂としては、ビニル基置換ポリジメチルシロキサンとオルガノハイドロジェンポリシロキサンとの付加反応物であることが好ましい。
付加反応型シリコーン樹脂の配合比率は、シリコーン系粘着剤中に、水成分を除き、60重量%以上含有されていることが好ましく、80重量%以上含有されていることがさらに好ましい。付加反応型シリコーン樹脂を、シリコーン系粘着剤中に60重量%以上含有させることで、皮膚に対する適度な順応性、粘着性を備え、皮膚からの剥離刺激が少ないゲル状粘着剤を形成することができる。
(1-1-2)縮合反応型シリコーン樹脂
縮合反応型シリコーン樹脂は、末端にシラノール基(Si−OH)又は加水分解性のアルコキシシリル基(Si−OR)を有するオルガノポリシロキサン間の脱水又は脱アルコール反応により縮合させたものである。
シラノール基(Si−OH)間の脱水縮合反応は、一般に、オクチル酸亜鉛、オクチル酸鉄、若しくはコバルト、スズ等の有機酸塩又はアミン系の触媒下での加熱によって行われる。シラノール基と加水分解性のアルコキシシリル基(Si−OR)間の縮合反応は、酸、アルカリ、有機スズ化合物、有機チタン化合物等の触媒下、常温で行うことができる。
縮合反応型シリコーン樹脂は、オルガノポリシロキサン分子内のシラノール基(Si−OH)やアルコキシシリル基(Si−OR)の量を変化させることによって、架橋密度を調整することができる。これにより、シリコーン樹脂の硬さや粘着力を容易に調整することができる。
本発明に使用する縮合反応型シリコーン樹脂としては、シリコーンゴムとシリコーンレジンとの脱水縮合反応生成物を使用することができる。このシリコーンゴムとしては、末端をOH基で封鎖したポリジメチルシロキサン等を使用できる。また、シリコーンレジンとしては、1官能性シロキサン単位と4官能性シロキサン単位からなる三次元構造体のものを用いることができる。
縮合反応型シリコーン樹脂の配合比率は、シリコーン系粘着剤中に、水成分を除き、1〜20重量%含有されていることが好ましく、2〜15重量%含有されていることがさらに好ましい。配合比率が1%未満であると、皮膚や基材に対する良好な粘着力が得られない場合があり、20重量%を超えると皮膚等への粘着力が強くなりすぎて、剥離時の皮膚刺激が増す恐れがある。
本発明に係るシリコーン系粘着剤では、皮膚に対する順応性、粘着性及び剥離刺激性の観点から、付加反応型シリコーン樹脂と縮合反応型シリコーン樹脂とを併用することが好ましい。付加反応型及び縮合反応型シリコーン樹脂の配合比率は、付加反応型シリコーン樹脂/縮合反応型シリコーン樹脂重量比で99/1〜80/20であることが好ましい。
(1-2)変性シリコーンオイル
本発明に係るシリコーン系粘着剤に使用する乳化剤としての変性シリコーンオイルは、その化学構造中に極性基を有し、上記シリコーン樹脂と相溶性を有するものである。
この変性シリコーンオイルには、例えば、常温(15〜25℃)で液状のもので、ポリジメチルシロキサン骨格を有する化合物を極性基で変性したシリコーンオイルを利用できる。
ポリジメチルシロキサンを変性する極性基としては、−O(EO)n−基(ポリエーテル変性)、−OH基(ヒドロキシル変性)、−NH2基(アミノ変性)、−CH2OH基(カルビノール変性)、−COOH基(カルボキシル変性)等が挙げられる。これらの極性基を有する変性シリコーンオイルは、側鎖変性共重合タイプでも、直鎖変性共重合タイプでもよく、極性基で変性する部分は側鎖、片末端、両末端のいずれでもよい。
このうち、変性シリコーンオイルは、−O(EO)n−基によりポリエーテル変性した変性シリコーンオイルと−OH基によりヒドロキシル変性した変性シリコーンオイルが好ましく、これら2種を併用することがさらに好ましい。
具体的には、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体からなる変性シリコーンオイルであって、−O(EO)n−基の末端にアルキル基等の炭化水素基を有し、構造式(1)で示される変性シリコーンオイルと、−O(EO)n−基の末端にヒドロキシル基を有し、構造式(2)で示される変性シリコーンオイルと、を併用することが特に好ましい。

〔構造式(1)及び(2)中、「X」の構造を式(3)に、「Y」の構造を式(4)に示す。「X」及び「Y」はブロック共重合体又はランダム共重合体であってよい。各構造式中、「R」はアルキル基等の炭化水素基を表す。また、「m」、「n」、「a」及び「b」は1以上の整数を表す。〕
構造式(1)の末端に炭化水素基を有するポリエーテル変性シリコーンオイルは乳化作用により、シリコーン樹脂に多量の水を分散させることができる。このポリエーテル変性シリコーンオイルの乳化剤として添加量を増すことで、シリコーン樹脂中への水の分散量を増やすことができる。ただし、配合量が多すぎると、得られたシリコーン系粘着剤により形成される粘着剤層の耐水性が悪化する場合がある。
構造式(2)の末端ヒドロキシル基を有するポリエーテル変性シリコーンオイルは、構造式(1)のポリエーテル変性シリコーンオイルほど乳化作用は高くないものの、ゲル化作用が高い。そのため、構造式(1)のポリエーテル変性シリコーンオイルとともに適量添加すると、粘着剤層の耐水性を悪化させることなく、シリコーン系粘着剤の粘度を高めることが可能となる。
本発明に係るシリコーン系粘着剤に使用する変性シリコーンオイルは、HLB(Hydrophile-Lipophline Balance)が3.0〜13.0のものが好ましく、HLBが5.0〜10.0のものがさらに好ましく、HLBが8.0前後のものが特に好ましい。HLBが13.0より大きいと、シリコーン系粘着剤の耐水性、凝集性が低下するおそれがあり、3.0より小さいと乳化作用が不十分となる。
変性シリコーンオイルの配合比率は、シリコーン系粘着剤中に、水成分を除き、0.1〜10重量%であることが好ましく、0.5〜5重量%であることがさらに好ましい。配合比率をこの範囲とすることで、シリコーン系粘着剤の凝集性や耐水性を低下させることなく、塗工に適した粘度のエマルションとされたシリコーン系粘着剤を得ることができる。
本発明に係るシリコーン系粘着剤には、上記の変性シリコーンオイル以外のシリコーンオイルを添加してもよい。変性シリコーンオイル以外のシリコーンオイルとしては、直鎖状、環状、分岐鎖状等の分子構造を有する公知のシリコーンオイルを使用できる。具体的には、例えば、鎖状ジアルキルポリシロキサン、鎖状アルキルフェニルポリシロキサン、環状ジアルキルポリシロキサン、環状アルキルフェニルポリシロキサン等を添加できる。これらのシリコーンオイルを適宜添加することにより、シリコーン系粘着剤を柔らかくして、適度な可塑性を付与することが可能である。
(1-3)水
本発明に係るシリコーン系粘着剤中の水成分の含有量は、全組成重量中に10〜70重量%、好ましくは30〜60重量%、更に好ましくは40〜60重量%である。水成分の含有量をこの範囲とすることで、シリコーン系粘着剤に適度な粘度とチキソトロピー性を付与することができる。
油中水型エマルションの作成方法としては、公知の乳化方法を利用できる。例えば、シリコーン樹脂と変性シリコーンオイルとをブレンドした後、徐々に水を加えていく方法が利用できる。また、シリコーン樹脂として、2液混合タイプの付加反応型シリコーン樹脂を使用する場合、それぞれの液をエマルション化してから2液を混合してもよい。
(1-4)その他の配合成分
本発明に係るシリコーン系粘着剤には、生理活性剤や抗菌剤などの薬剤、吸水性高分子、粉体、pH緩衝剤、防腐剤、着色剤等のその他の調整剤を、本発明の目的を損なわない程度において適宜配合することができる。
生理活性剤は、皮膚の生理機能(皮膚バリア機能等)を保持又は向上させる目的で添加される。生理活性剤の具体例としては、スフィンゴ脂質、尿素、グリコール酸、アミノ酸(アルギニン、システイン、グリシン、リシン、プロリン、セリン等)及びその誘導体、タンパク質加水分解物(コラーゲン、エラスチン、ケラチン等)、ムコ多糖(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ヘパリン等)及びその誘導体、ビタミンB群(チアミン、リボフラビン、ニコチン酸、ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミン、ビオチン、葉酸、シアノコバラミン等)、アスコルビン酸(ビタミンC及びその誘導体)、レチノイド(ビタミンA、レチナール、レチノイン酸等)、ビタミンD(D2、D3等)、ビタミンE及びその誘導体、カロチノイド(カロチン、リコピン、キサントフィル等)、酵素、補酵素、γ―オリザノール等を挙げることができる。生理活性剤は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
これらの生理活性剤のうち、特にスフィンゴ脂質が好適に添加される。さらに、スフィンゴ脂質としては、スフィンゴシンと脂肪酸とが結合したセラミド及びセラミドと糖とが結合したスフィンゴ糖脂質を用いることが好ましい。セラミドはタイプ1〜7を使用でき、特にタイプ2、5、7を使用することが好ましい。これらのセラミドは、天然物であっても合成物であってもよい。また、スフィンゴ糖脂質としては、セレブロシド、ガラクトシルセラミド、グルコシルセラミド等が好ましい。
(1-5)チキソトロピー性
本発明に係るシリコーン系粘着剤は、以上のように、シリコーン樹脂と、このシリコーン樹脂に相溶可能な変性シリコーンオイルを配合し、シリコーン樹脂中に水を分散させて油中水型エマルション化したことによって、適度な粘度とチキソトロピー性を発揮するものである。
すなわち、本発明に係るシリコーン系粘着剤は、高いひずみ速度では粘度が低く流動し易い特性を発揮するため、塗工処理時には高速で効率的な塗工を行うことができる。また、本発明に係るシリコーン系粘着剤は、低いひずみ速度では粘度が高く流動し難いという特性を発揮するため、塗工処理時に粘着剤層に形成したパターン形状が、粘着剤の液垂れや流動によって崩れてしまうことがない。
具体的には、本発明に係るシリコーン系粘着剤が備える粘度とチキソトロピー性は、高ひずみ速度条件下と低ひずみ速度条件下との比較において、以下のように評価されるものである。
すなわち、ひずみ速度0.1(1/s)における粘度が2(Pa・s)以上、好適には4(Pa・s)以上、更に好適には8(Pa・s)以上であって、ひずみ速度100(1/s)における粘度が30(Pa・s)以下、好適には20(Pa・s)以下である。これにより、本発明に係るシリコーン系粘着剤は、ひずみ速度0.1(1/s)において、ひずみ速度100(1/s)における粘度の1.5倍以上、好適には1.7倍以上、更に好適には2倍以上の粘度を示す。
さらに、ひずみ速度0.1(1/s)における剪断応力が20(Pa)以下、好適には10(Pa)以下であって、ひずみ速度100(1/s)における剪断応力が200(Pa)以上、好適には500(Pa)以上である。
本発明に係るシリコーン系粘着剤は、上記数値範囲の粘度と剪断応力を備えることによって、高ひずみ速度条件となる塗工処理時には流動化し、低ひずみ速度条件となる塗工処理後には流動し難くなる。このような好適な粘度とチキソトロピー性は有することで、本発明に係るシリコーン系粘着剤では、高速塗工による生産の効率化と、塗工後の粘着剤層のパターン形状の維持とを、同時に達成することが可能となる。
また、本発明に係るシリコーン系粘着剤では、乳化剤としてシリコーン樹脂に相溶可能な変性シリコーンオイルを用いることで、水成分の加熱蒸散後の粘着剤層の物性を安定化できる。すなわち、シリコーン樹脂と相溶性がよい変性シリコーンオイルを配合することで、粘着剤層の粘着力や耐水性、凝集性を低下させる変性シリコーンオイルのブリードアウトを防止して、粘着剤層の物性を安定化させ得る。さらに、本発明に係るシリコーン系粘着剤は、油中水型(W/O)エマルション化したことにより、水中油型(O/W)エマルション化する場合に比べて、皮膜強度の強いシリコーン樹脂の連続層を形成でき、粘着剤層の物性をさらに安定化させることができる。
(2)皮膚用貼付材
本発明に係る皮膚用貼付材は、基材とこの基材の少なくとも片面に形成された粘着剤層とからなり、上記のシリコーン系粘着剤によってパターン形状を備えた粘着剤層を形成し基材上に積層したものである。皮膚用貼付材の形態は、三角形、四角形、菱形等の多角形や、円形、楕円形、又はこれらの形状を適宜組み合わせたシート状や、特定の方向に連続的に製造したテープ状又はロール状の形態等であってよい。
(2-1)基材
本発明に係る皮膚用貼付材に用いる基材は、従来、この分野で使用されているものを広く採用できる。基材の厚さは5〜1,000μm、好適には15〜100μm程度である。基材の形態は、フィルムや発泡シート、不織布、織布、編布、紙等であってよい。また、同一又は異なる種類の形態の基材をラミネートした積層構造の基材としてもよい。
基材の形態は、柔軟性、伸縮性、適度の水蒸気透過性、菌バリヤー性、汚れの拭き取りやすさ等の観点から、特にフィルムが好ましい。フィルム基材の材料としては、例えば、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル系重合体、オレフィン系共重合体等の合成樹脂を挙げることができる。これらのうち、ポリウレタン、ポリエステル及びポリアミドが好ましい。これらの材料は複数使用してもよい。
基材の表面は、粘着剤層との接着性を向上させるための表面処理又はプライマー処理を施してもよい。基材の表面処理としては、例えば、エンボス加工、サンドマット加工、コロナ放電処理、プラズマ処理、アルカリ処理等が挙げられる。
(2-2)粘着剤層
本発明に係る皮膚用貼付材の粘着剤層は、厚さが50〜5,000μmであることが好ましく、70〜3,000μmであることが更に好ましく、100〜2,500μmであることが特に好ましい。粘着剤層の厚さをこの数値範囲に設定することにより、貼付時に適度な粘着力を示し、皮膚に対する密着性及び追従性も優れたものとなる。
粘着剤層が備えるパターン形状としては、ドッド状、格子状、ネット状、粒状、唐草模様等の任意の形状を選択できる。これらのパターン形状は、粘着剤層が基材の表面全体を覆うように形成させてもよく、また、粘着剤層に貫通開口を設けて基材表面を部分的に被覆するようなかたちで形成させてもよい。
粘着剤層にこのようなパターン形状を付与することで、粘着剤層を厚く形成した場合にも、粘着剤層の通気性を確保し、透湿性を高めることができる。粘着剤層のパターン形状として、開口率10〜80%の貫通開口パターンを形成することが好ましく、開口率20〜60%の貫通開口パターンを形成することが更に好ましい。開口率をこの数位範囲に設定することにより、皮膚貼付に好適な通気性、透湿性、粘着力等を付与することができる。
(2-3)粘着剤保護層
粘着剤層を汚染等から保護し、取り扱い性を簡便にするために、粘着剤層には、剥離可能な粘着剤保護層を被覆することが好ましい。粘着剤保護層としては、合成樹脂フィルムや紙を利用した公知の材料を用いることができる。なお、粘着剤保護層を設けなくとも、連続的に製造した貼付材の粘着剤層を基材背面(基材の粘着剤層が存在する側とは反対側の面)に剥離可能に仮着し、ロール状の形態にすることもできる。
(2-4)粘着性・透湿性
本発明に係る皮膚用貼付材は、ベークライト板に対する粘着力が、0.2〜1.5N/25mmであることが好ましい。ベークライト板に対する粘着力がこの数値範囲内にあることにより、貼付材が使用中に剥がれたり、剥離時に角層の過度な剥離や、毛の引張り等を引き起したりすることがない。
また、皮膚用貼付材の粘着剤保護層に対する粘着力は、2.0N/25mm以下であることが好ましい。粘着剤保護層に対する粘着力がこの数値範囲内にあることにより、貼付材の粘着剤保護層からの剥離が容易で、取り扱い性に優れる。
さらに、本発明に係る皮膚用貼付材は、300g/m・24時間以上の透湿度を有することが好ましく、500g/m・24時間以上の透湿度を有することがさらに好ましい。透湿度が300g/m・24時間以上あることにより、皮膚の生理機能が好適に保持される。
(3)皮膚用貼付材の製造方法
本発明に係る皮膚用貼付材の製造方法は、上記のシリコーン系粘着剤をパターン塗工し、パターン形状を備えた粘着剤層を形成する工程を含む。粘着剤層は、シリコーン系粘着剤を通常の方法に従って基材上にパターン塗工し、硬化させることによって形成することができる。また、シリコーン系粘着剤を粘着剤保護層にパターン塗工し硬化させた後に、基材に転写することによって基材上に粘着剤層を形成することもできる。
シリコーン系粘着剤の基材又は粘着剤保護層への塗工方法は、特に限定されず、コンマダイレクト、ナイフコーター、グラビアダイレクト等の公知の塗工方式を利用して、粘着剤層の厚みや形成するパターン形状を制御することができる。
図1に、本発明に係る皮膚用貼付材の製造方法の好適な実施形態を示す。ここでは、皮膚用貼付材にドット状の貫通開口を備える粘着剤層を形成する場合を例に説明する。
図1(a)中、符号1は基材、符号2は基材1を載置する固定台、符号3は粘着剤層に形成するパターン形状の型となるスクリーン版、符号4はこのスクリーン版3の版枠、符号5はシリコーン系粘着剤、符号6はスキージを示す。スクリーン版3には、粘着剤層にドット状の貫通開口を形成するために格子状形状のメッシュが形成されている。
まず、図1(b)に示すように、基材1を載置した固定台2上に、スクリーン版3を備えた版枠4を重ね合わせる。そして、版枠4上に投入したシリコーン系粘着剤5をスキージ6によって図中矢印方向に引き伸ばす。
これにより、図1(C)に示すように、スクリーン版3に形成された格子状形状の粘着剤層が基材1上に転写され、貫通開口7を備えた粘着剤層8が基材1上に形成される。なお、図1(C)は、スキージ6によってシリコーン系粘着剤5引き伸ばした後、版枠4を固定台2から取り外した状態を示している。
本発明に係るシリコーン系粘着剤は、高いひずみ速度では粘度が低く流動し易い特性を発揮するため、図1(b)に示した塗工処理時には高速で効率的な塗工を行うことができる。また、低いひずみ速度では粘度が高く流動し難いという特性を発揮するため、塗工処理後の図1(C)で形成された粘着剤層のパターン形状、ここでは貫通開口7が、粘着剤の液垂れや流動によって塞がってしまうことがない。
このように、本発明に係る皮膚用貼付材の製造方法によれば、従来の粘着剤層を形成した後に穿孔加工する方法や、開口基材に粘着剤層を塗工した後に冷風を吹き込んで開口を塞いだ粘着剤を吹き飛ばして貫通開口を形成する方法と異なり、特殊な製造設備を必要とすることなく、簡単な工程でパターン形状を備えた粘着剤層を形成することが可能である。
また、ここでは皮膚用貼付材にドット状の貫通開口を備える粘着剤層を形成する場合を例に説明したが、粘着剤層8に形成するパターンは、スクリーン版3の形状を適宜設計することにより、ドッド状や格子状、ネット状、粒状、唐草模様等の任意の形状とすることができる。
従って、本発明に係る皮膚用貼付材の製造方法によれば、基材の開口パターンに依存することなく、任意のパターン形状を有する粘着剤層を形成することができ、例えば、微小孔しか有さないフィルムや布帛に所定の開口パターンを形成することもできる。
〔実施例1〕
以下の手順(A)〜(C)に従って、皮膚用シリコーン系粘着剤と皮膚用貼付材を製造した。
(A)ビニル基置換ポリジメチルシロキサン、オルガノハイドロジェンポリシロキサン及び白金触媒を主体とする2成分型の付加反応型シリコーンポリマー(ダウコーニング社製、商品名「DOW CORNING 7-9700」)83部と、シリコーンゴムとシリコーンレジンとを脱水縮合反応して得られる縮合反応型シリコーンポリマー(ダウコーニング社製、商品名「DOW CORNING MD7-4502」)15部と、上記式(1)に示した末端アルキル基を有するポリエーテル側鎖変性シリコーンオイル(ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体)(ダウコーニング社製、商品名「SH3773M」、HLB:8)1部と、上記式(2)に示した末端ヒドロキシル基を有するポリエーテル側鎖変性シリコーンオイル(ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体)(ダウコーニング社製、商品名「BY11-030」、HLB:3)1部と、を混合した。
(B)この混合物に水67部を徐々に添加しながら混合、攪拌し、油中水型エマルション化したシリコーン系粘着剤を得た。得られたシリコーン系粘着剤について、「性状」と「粘度」、「剪断応力」の特性評価を行った。
(C)シリコーン系粘着剤を、シリコーン剥離紙(粘着剤保護層)に塗工し、110℃で3分間加熱して硬化させ、厚さ70μmのゲル状の粘着剤層を形成した。粘着剤層には、図1で説明した方法によってドット状の貫通開口(8個/cm2)を備えるパターン形状を形成した。
(D)次いで、この粘着剤層を、ポリエステルエラストマーフィルムとポリエステルエラストマー不織布との積層基材(厚さ220μm)のフィルム側に転写して貼付材を得た。得られた貼付材について、「貫通開口の開き具合」、「開口率」、「透湿度」、「粘着力」、「皮膚貼付後の状況」、「皮膚からの剥離性」の特性評価を行った。
シリコーン系粘着剤及び貼付材の各特性の評価は以下の方法により行った。
1.粘度
HAAKE社製レオメーター(RheoStress RS150)を用いて測定した。測定用プローブとしてはコーン形状プローブ(直径35mm、傾斜2度)を用いた。測定は、温度23℃において、剪断速度0〜500(1/s)の区間で実施した。粘度の測定値は、低速条件(0.1(1/s))と高速条件(100(1/s))での値として記録した。
2.剪断応力
HAAKE社製レオメーター(RheoStress RS150)を用いて測定した。測定用プローブとしてはコーン形状プローブ(直径35mm、傾斜2度)を用いた。測定は、温度23℃において、剪断速度0〜500(1/s)の区間で実施した。剪断応力の測定値は、低速条件(0.1(1/s))と高速条件(100(1/s))での値として記録した。
3.貫通開口の開き具合
粘着剤層に形成した貫通開口を目視で観察し、貫通開口が塞がっていないか、又は貫通開口の開口が一定の大きさ及び形状に維持されているか、について以下の3段階で評価を行った。
「良」:ほとんど全ての貫通開口が開口し、かつ開口が一定の大きさ及び形状を維持している。
「可」:一部の貫通開口が塞がっている、又は一部の貫通開口の大きさ及び形状が不整となっている。
「不可」:多くの貫通開口が塞がっている、又は多くの貫通開口の大きさ及び形状が不整となっている。
4.開口率
粘着剤層の粘着面を垂直方向(粘着面の面方向と直交する方向)から顕微鏡にて観察し、一定面積内での貫通開口部分の総面積を測定し、その一定面積に対する貫通開口部分の総面積の割合を開口率(%)として算出した。
5.透湿度
JIS L 1099-1993 A-2「ウォーター法」に準じて、皮膚用貼付材の透湿度を測定した。測定の際は、皮膚用貼付材の粘着剤層を透湿カップの水側に向けて設置した。
6.粘着力
JIS Z 0237-2000「180度引きはがし粘着力」に準じて測定したときの皮膚用貼付材の粘着力(N/25mm)を測定した。被着体にはベークライト板(フタムラ化学社製FL-102)を使用した。粘着力は、引き剥がした変位の20~80%の区間の平均値として評価した。
7.皮膚貼付後の状況
貼付材を被験者の背面皮膚に貼付し、貼付24時間経過後の状況を観察して、変形、皺、剥がれの発生及び剥離後の糊残りの発生の程度を評価した。評価は、以下の3段階で行った。
「良」:発生がほとんどない。
「可」:多少発生する。
「不可」:顕著に発生する。
8.皮膚からの剥離性
貼付材を被験者の背面皮膚に貼付し、貼付24時間経過後に皮膚から剥離する際の疼痛について、以下の3段階で行った。
「良」:痛みを感じない。
「可」:多少の痛みを感じる。
「不可」:強い痛みを感じる。
シリコーン系粘着剤及び貼付材の各特性の評価結果を「表1」に示す。
実施例1で製造されたシリコーン系粘着剤はゲル状を示した。ひずみ速度0.1(1/s)における粘度が15.1Pa・s、ひずみ速度100(1/s)における粘度が5.6 Pa・sであり、低速条件及び高速条件における粘度比(低速条件/高速条件)は2.7であった。また、ひずみ速度0.1(1/s)における剪断応力は1.5Pa、ひずみ速度100(1/s)における剪断応力は558.0 Paであった。これらの結果から、シリコーン系粘着剤に好適な粘度とチキソトロピー性が付与されていることが確認できる。
図2(A)は、貼付材の粘着剤層に形成した貫通開口(8個/cm2)の拡大写真である。ほとんど全ての貫通開口が開口し、かつ開口が一定の大きさ及び形状を維持しており、「貫通開口の開き具合」は良と評価された(開口率25%)。これにより、貼付材は、透湿度1500g/m2・24時間という高い透湿性を発揮した。また、貼付材の粘着力は0.36N/25mmであり、皮膚貼付後の状況及び皮膚からの剥離性はともに良と評価された。
〔実施例2〕
実施例1で説明した手順(B)において、添加する水を67部から150部に変更した以外は実施例1と同様にして皮膚用シリコーン系粘着剤と皮膚用貼付材を製造した。
〔実施例3〕
実施例1で説明した手順(A)及び(B)を以下のように変更して皮膚用シリコーン系粘着剤と皮膚用貼付材を製造した。
(A)付加反応型シリコーンポリマー88部と、縮合反応型シリコーンポリマー)10部と、上記式(1)に示した末端アルキル基を有するポリエーテル側鎖変性シリコーンオイル(ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体)(ダウコーニング社製、商品名「SH3771M」、HLB: 13)1部と、上記式(2)に示した末端ヒドロキシル基を有するポリエーテル側鎖変性シリコーンオイル(ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体)(ダウコーニング社製、商品名「BY11-030」、HLB:3)1部と、を混合した。
(B)この混合物に水43部を徐々に添加しながら混合、攪拌し、油中水型エマルション化したシリコーン系粘着剤を得た。
〔実施例4〕
実施例1で説明した手順(A)において、付加反応型シリコーンポリマーを83部から75部に、縮合反応型シリコーンポリマーを15部から23部に変更した以外は実施例1と同様にして皮膚用シリコーン系粘着剤と皮膚用貼付材を製造した。
〔実施例5〕
実施例1で説明した手順(A)を以下のように変更して皮膚用シリコーン系粘着剤と皮膚用貼付材を製造した。また、本実施例5では、手順(D)において表面にプライマー処理をした積層基材を用いた。
(A)付加反応型シリコーンポリマー76部と、縮合反応型シリコーンポリマー)14部と、上記式(1)に示した末端アルキル基を有するポリエーテル側鎖変性シリコーンオイル(ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体)として、商品名「SH3775M」(ダウコーニング社製、HLB: 5)3部と、末端アルキル基を有するポリエーテル直鎖変性シリコーンオイル(ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体(ダウコーニング社製、商品名「FZ−2222M」、HLB 5)3部と、上記式(2)に示した末端ヒドロキシル基を有するポリエーテル側鎖変性シリコーンオイル(ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体)(ダウコーニング社製、商品名「BY11-030」、HLB:3)4部と、を混合した。
〔実施例6〕
実施例5の手順(A)において、付加反応型シリコーンポリマーを76部から75部に、末端ヒドロキシル基を有するポリエーテル側鎖変性シリコーンオイル(ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体)(「BY11-030」、HLB:3)を4部から5部に、変更した以外は実施例5と同様にして皮膚用シリコーン系粘着剤と皮膚用貼付材を製造した。
実施例2〜6で製造されたシリコーン系粘着剤も、「表1」に示すように、好適な粘度とチキソトロピー性を備えていた。そして、貼付材の「貫通開口の開き具合」が良く、高い透湿性が発揮されていることが確認された。図2(B)〜(E)に、実施例2〜5で製造された貼付材の粘着剤層に形成した貫通開口(8個/cm2)の拡大写真を示す。開口率はいずれも23%以上であった。
〔比較例1〕
実施例1で説明した手順(A)において、変性シリコーンオイルを添加せずに、また、手順(B)において、水を添加せずに、皮膚用シリコーン系粘着剤と皮膚用貼付材を製造した。
比較例1で製造されたシリコーン系粘着剤はゲル状を示したが、適切な粘度とチキソトロピー性を有さなかった。すなわち、ひずみ速度0.1(1/s)における粘度が1.7Pa・s、ひずみ速度100(1/s)における粘度が1.7Pa・sであり、低速条件及び高速条件における粘度比(低速条件/高速条件)は1.0であった。また、ひずみ速度0.1(1/s)における剪断応力は0.2Pa、ひずみ速度100(1/s)における剪断応力は172.0Paであった。
このため、図2(F)に示すように、貼付材の粘着剤層に形成した貫通開口の一部が塞がっている、又は大きさ及び形状が不整となっており、「貫通開口の開き具合」は可と評価された。
〔比較例2〕
実施例1で説明した手順(A)において、変性シリコーンオイルを添加せず、また、手順(B)において、水を添加せずに、付加反応型シリコーンポリマーのみを用いて皮膚用シリコーン系粘着剤と皮膚用貼付材を製造した。
比較例2で製造されたシリコーン系粘着剤はゲル状を示したが、適切な粘度とチキソトロピー性を有さなかった。このため、図2(G)に示すように、貼付材の粘着剤層に形成した貫通開口の多くが塞がっている、又は大きさ及び形状が不整となっており、「貫通開口の開き具合」は不可と評価された。
〔比較例3〕
実施例1で説明した手順(A)において、変性シリコーンオイルを添加せず、また、手順(B)において、水を添加せずに、縮合反応型シリコーンポリマーのみを用いて皮膚用シリコーン系粘着剤と皮膚用貼付材を製造した。
比較例3で製造されたシリコーン系粘着剤は非ゲル状であり、チキソトロピー性を有さなかった。このため、図2(H)に示すように、貼付材の粘着剤層に形成した貫通開口の多くが塞がっている、又は大きさ及び形状が不整となっており、「貫通開口の開き具合」は不可と評価された。なお、比較例1〜3では、開口率、透湿度、粘着力の評価は省略した。
本発明に係る皮膚用シリコーン系粘着剤、皮膚用シリコーン系貼付材及びその製造方法は、医療用や家庭用、スポーツ用、美容用等として、医療材料及び器具の皮膚への固定や、皮膚や傷の保護及び治療等に用いられる。
本発明に係る皮膚用貼付材の製造方法の好適な実施形態を説明する図面である。 実施例1〜5及び比較例1〜3で製造した貼付材の粘着剤層に形成した貫通開口を示す図面代用写真である。(A)〜(E)は実施例1〜5、(F)〜(H)は比較例1〜3の貫通開口を示す。
符号の説明
1 基材
2 固定台
3 スクリーン版
4 版枠
5 シリコーン系粘着剤
6 スキージ
7 貫通開口
8 粘着剤層

Claims (12)

  1. シリコーン樹脂と、該シリコーン樹脂と相溶可能な変性シリコーンオイルと、を含有し、油中水型エマルション化された皮膚用シリコーン系粘着剤。
  2. 前記変性シリコーンオイルとして、ポリエーテル変性シリコーンオイル及び/又はヒドロキシル基変性シリコーンオイルを含有する請求項1記載の皮膚用シリコーン系粘着剤。
  3. 前記変性シリコーンオイルとして、ポリエーテル変性基の末端にアルキル基を有する変性シリコーンオイルと、ポリエーテル変性基の末端にヒドロキシル基を有する変性シリコーンオイルと、を含有する請求項2記載の皮膚用シリコーン系粘着剤。
  4. 前記変性シリコーンオイルとして、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体からなる変性シリコーンオイルを含有する請求項3記載の皮膚用シリコーン系粘着剤。
  5. 前記変性シリコーンオイルのHLB(Hydrophile-Lipophline Balance)値が、3.0〜13.0である請求項1〜4のいずれか一項に記載の皮膚用シリコーン系粘着剤。
  6. 水成分を除く組成重量中の前記シリコーン樹脂の含有量及び前記変性シリコーンオイルの含有量がそれぞれ60〜99.9重量%、0.1〜10重量%であり、かつ、全組成重量中の水成分の含有量が10〜70重量%である請求項1〜5のいずれか一項に記載の皮膚用シリコーン系粘着剤。
  7. ひずみ速度0.1(1/s)における粘度が、ひずみ速度100(1/s)における粘度の1.5倍以上である請求項1〜6のいずれか一項に記載の皮膚用シリコーン系粘着剤。
  8. ひずみ速度0.1(1/s)における粘度が2(Pa・s)以上であり、ひずみ速度100(1/s)における粘度が30(Pa・s)以下である請求項7記載の皮膚用シリコーン系粘着剤。
  9. ひずみ速度0.1(1/s)における剪断応力が20(Pa)以下であり、ひずみ速度100(1/s)における剪断応力が200(Pa)以上である請求項7又は8に記載の皮膚用シリコーン系粘着剤。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の皮膚用シリコーン系粘着剤から形成される、パターン形状を備えた粘着剤層を基材上に積層した皮膚用貼付材。
  11. 前記粘着剤層の厚さが、50〜5000μmである請求項10記載の皮膚用貼付材。
  12. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の皮膚用シリコーン系粘着剤をパターン塗工し、パターン形状を備えた粘着剤層を形成する工程を含む、皮膚用貼付材の製造方法。
JP2008127953A 2008-05-15 2008-05-15 皮膚用シリコーン系粘着剤、皮膚用シリコーン系貼付材及びその製造方法 Pending JP2009273674A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008127953A JP2009273674A (ja) 2008-05-15 2008-05-15 皮膚用シリコーン系粘着剤、皮膚用シリコーン系貼付材及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008127953A JP2009273674A (ja) 2008-05-15 2008-05-15 皮膚用シリコーン系粘着剤、皮膚用シリコーン系貼付材及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2009273674A true JP2009273674A (ja) 2009-11-26

Family

ID=41439651

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008127953A Pending JP2009273674A (ja) 2008-05-15 2008-05-15 皮膚用シリコーン系粘着剤、皮膚用シリコーン系貼付材及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2009273674A (ja)

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011178708A (ja) * 2010-02-28 2011-09-15 Mitsubishi Plastics Inc 経皮吸収型貼付剤
WO2011136330A1 (ja) * 2010-04-30 2011-11-03 ニチバン株式会社 貼付剤とその使用
JP2014047219A (ja) * 2012-08-29 2014-03-17 Riso Kagaku Corp 油中水型エマルション接着剤
JP2015525249A (ja) * 2012-05-18 2015-09-03 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 医療用接着物品
WO2016021271A1 (ja) * 2014-08-08 2016-02-11 アルケア株式会社 成形性皮膚用組成物
US20160107004A1 (en) * 2014-10-21 2016-04-21 The Procter & Gamble Company Method of Improving Skin Appearance
JP2016079409A (ja) * 2014-10-16 2016-05-16 コスメディ製薬株式会社 シリコン粘着性美容シート
EP2923681B1 (en) 2011-04-15 2017-01-11 Systagenix Wound Management IP Co. BV. Patterned silicone coating
JP2017518431A (ja) * 2014-05-23 2017-07-06 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 不連続シリコーン接着剤物品
JP2018139733A (ja) * 2017-02-27 2018-09-13 ニチバン株式会社 皮膚貼付用貼付材及びその製造方法
JP2020103330A (ja) * 2018-12-26 2020-07-09 東洋インキScホールディングス株式会社 メディカルデバイス用基材、メディカルデバイス積層体、及びメディカルデバイス用基材の製造方法
JP2021050266A (ja) * 2019-09-24 2021-04-01 積水化学工業株式会社 粘着テープ

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63227517A (ja) * 1987-02-28 1988-09-21 ダウ・コーニング・リミテッド 薬物放出性組成物
JP2005528425A (ja) * 2002-03-11 2005-09-22 ダウ・コーニング・コーポレーション 局所皮膚使用及び治療用製剤

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63227517A (ja) * 1987-02-28 1988-09-21 ダウ・コーニング・リミテッド 薬物放出性組成物
JP2005528425A (ja) * 2002-03-11 2005-09-22 ダウ・コーニング・コーポレーション 局所皮膚使用及び治療用製剤

Cited By (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011178708A (ja) * 2010-02-28 2011-09-15 Mitsubishi Plastics Inc 経皮吸収型貼付剤
WO2011136330A1 (ja) * 2010-04-30 2011-11-03 ニチバン株式会社 貼付剤とその使用
EP2923681B1 (en) 2011-04-15 2017-01-11 Systagenix Wound Management IP Co. BV. Patterned silicone coating
EP2923681B2 (en) 2011-04-15 2019-10-02 Systagenix Wound Management, Limited Patterned silicone coating
JP2015525249A (ja) * 2012-05-18 2015-09-03 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 医療用接着物品
JP2014047219A (ja) * 2012-08-29 2014-03-17 Riso Kagaku Corp 油中水型エマルション接着剤
JP2017518431A (ja) * 2014-05-23 2017-07-06 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 不連続シリコーン接着剤物品
WO2016021271A1 (ja) * 2014-08-08 2016-02-11 アルケア株式会社 成形性皮膚用組成物
JPWO2016021271A1 (ja) * 2014-08-08 2017-05-18 アルケア株式会社 成形性皮膚用組成物
US20170232136A1 (en) * 2014-08-08 2017-08-17 Alcare Co., Ltd. Conformable composition for skin applications
US10471173B2 (en) 2014-08-08 2019-11-12 Alcare Co., Ltd. Conformable composition for skin applications
JP2016079409A (ja) * 2014-10-16 2016-05-16 コスメディ製薬株式会社 シリコン粘着性美容シート
US20160107004A1 (en) * 2014-10-21 2016-04-21 The Procter & Gamble Company Method of Improving Skin Appearance
US10897978B2 (en) * 2014-10-21 2021-01-26 The Procter & Gamble Company Method of improving skin appearance
JP2018139733A (ja) * 2017-02-27 2018-09-13 ニチバン株式会社 皮膚貼付用貼付材及びその製造方法
JP2020103330A (ja) * 2018-12-26 2020-07-09 東洋インキScホールディングス株式会社 メディカルデバイス用基材、メディカルデバイス積層体、及びメディカルデバイス用基材の製造方法
JP7110973B2 (ja) 2018-12-26 2022-08-02 東洋インキScホールディングス株式会社 メディカルデバイス用基材、メディカルデバイス積層体、及びメディカルデバイス用基材の製造方法
JP2021050266A (ja) * 2019-09-24 2021-04-01 積水化学工業株式会社 粘着テープ

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2009273674A (ja) 皮膚用シリコーン系粘着剤、皮膚用シリコーン系貼付材及びその製造方法
US20200146900A1 (en) Silicone wound dressing laminate and method for making the same
JP4849477B2 (ja) シリコーン皮膚接着ゲル
KR101432698B1 (ko) 실리콘 아크릴레이트 하이브리드 조성물
JP6231487B2 (ja) 組成物、器具、キットおよび方法、ならびにそれらの使用
CN106456828A (zh) 不连续有机硅粘合剂制品
WO2012028842A1 (en) Double- sided adhesive silicone gel -coated wound dressing
US20150284597A1 (en) Hybrid Material of Crosslinked Microgel Particles Dispersed in an Adhesive
JP2007534344A (ja) エラストマー形成バリヤー製剤
JP2015501346A (ja) 高粘度シリコーン接着剤
CN1878577B (zh) 将硅氧烷凝胶粘附到塑料上的方法
JP2015503935A (ja) 高粘度シリコーンゲル接着剤組成物
KR100880953B1 (ko) 소수성 재료, 특히 미세섬유 재료에 대한 체결 성능이향상된 일회용 흡수용품
JP2007284370A (ja) 体表面用貼付材
JP6108759B2 (ja) 単相シリコーンアクリレート製剤
JP2006230930A (ja) 貼付材
JP5332055B2 (ja) 皮膚用シリコーン系粘着剤組成物及び皮膚用シリコーン系貼付材
JP5017575B2 (ja) 体表面用貼付材及びその製造方法
JP4718146B2 (ja) 多孔質シート用エマルション型シリコーン粘着剤組成物および再剥離性粘着シート
CN108567997B (zh) 一种高强度弹性隐形人造皮肤
CN1234743A (zh) 含聚硅氧烷的粘合剂组合物
CN114829517A (zh) 粘合剂底漆和包含粘合剂底漆的制品
JP2006131812A (ja) 粘着性パッド
JP2007135673A (ja) 体表面用貼付材
JPH0375055A (ja) 患部用粘着性防水シート

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110509

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130507

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20130910