以下に、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、熱源システムの全体構成を模式的に示す図である。
<1>全体構成
熱源システムは、例えば、発電所、プラント、建物、工場などの設備である。熱源システムには、例えば、複数の熱源機器2が設けられている。熱源機器2は、設備内の所定の位置に配置されている。例えば、熱源システムには、ボイラ(B)と、タービン(TG)と、蒸気ヘッダ(HD)、冷凍機(R)などが熱源機器2として設けられている。すなわち、エネルギーの入出力が行なわれる機器が熱源機器2となる。そして、各熱源機器2からのエネルギーの入出力が設定されている。従って、熱源機器2の接続関係によって、ユーティリティーフローが決まる。
例えば、ボイラ(B)は、燃料、及び水が供給される。ボイラが燃料によって水を加熱することで水蒸気が発生する。従って、ボイラ(B)には水と燃料が入力される。ボイラ(B)からは水蒸気が出力される。タービン(TG)には、蒸気が供給される。そして、タービン(TG)に供給された蒸気に応じて回転して、電力を出力する。さらに、タービンからは残った蒸気が出力される。従って、タービン(TG)には、蒸気が入力される。タービン(TG)からは蒸気、及び電力が出力される。
蒸気ヘッダ(HD)は、供給された蒸気を減圧して出力する。例えば、蒸気ヘッダ(HD)は、圧力の異なる蒸気が入力される。そして、蒸気ヘッダ(HD)からは、減圧された蒸気が出力される。冷凍機(R)では、水が循環している。従って、冷凍機(R)には水が供給される。また、冷凍機(R)からは、供給された水が出力される。さらに、冷凍機(R)には、蒸気、又は電力が供給される。冷凍機(R)では、供給された蒸気、又は電力によって、供給された水の温度が上昇する。すなわち、冷凍機(R)からは、温度が上昇した水が出力される。
そして、熱源システムでは、各熱源機器2が接続されている。例えば、ボイラ(B)で生成された蒸気が、タービン(TG)や蒸気ヘッダ(HD)や冷凍機(R)に供給される。タービン(TG)からの蒸気が蒸気ヘッダ(HD)や冷凍機(R)に供給される。またタービン(TG)からの電力が冷凍機(R)に供給される。蒸気ヘッダ(HD)からの蒸気が冷凍機(R)に供給される。このように、各熱源機器2の入出力に対応する接続関係が設定されている。さらに、水温、水の流量、蒸気量、蒸気温度、電力量などを検出するセンサが設けられ、このセンサから、測定データを示すセンサ信号がデータ処理装置1に入力される。もちろん、熱源機器2自体にセンサが設けられていてもよい。
データ処理装置1は、熱源システムにおけるユーティリティーフローを表示するためのデータ処理を行う。例えば、ユーティリティーフローの表示画面では、熱源システムにおける熱源機器の設置状態に応じたレイアウトで表示が行われる。すなわち、熱源システムに応じたモデルを構築する。さらに、この表示画面上に、熱源機器単体のエネルギー効率を表示させるようにする。
次に、データ処理装置1の構成について説明する。データ処理装置1は、例えば、パーソナルコンピュータなどの演算処理装置であって、ユーザが入力した内容に応じてユーティリティーフローを表示するための処理を実行する。具体的には、データ処理装置1は、処理部11、入力部12、表示部13、及び記憶部20を有している。データ処理装置1は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)である。
処理部11は、CPU、MPU等を有しており、様々な演算処理を行う。入力部12は、マウスやキーボードなどの入力手段を有している。そして、ユーザが入力部12を操作することで各種データが入力される。表示部13にはCRTや液晶ディスプレイ等のデータ処理装置を有している。表示部13は、表示画面のウィンドウ上に処理結果等を表示する。また、表示部13は、ユーティリティーフローを表示する。記憶部20は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスク等の内部又は外部の記憶手段を備えている。また、ハードディスクには、PCのオペレーティングシステム、情報処理プログラム及び多数のアプリケーションプログラムがインストールされている。また、記憶部20には、後述するようにユーティリティーフロー図中にデータを表示させるためのデータ表示プログラムが格納されている。入力部12によって入力された情報に基づいて、処理部11が処理を行い、その結果を表示部13に表示させる。あるいは、処理結果を記憶部20に記憶させることが可能となる。
次に、ユーティリティーフロー図の作成処理を行うための構成に付いて説明する。記憶部20は、描画ツール記憶部21、オブジェクト記憶部22と、プロパティ記憶部23、表示レイアウト記憶部24と、測定データ記憶部25と、を備えている。なお、記憶部20に含まれる各記憶部は、物理的に1つの記憶装置などから構成されていてもよい。
描画ツール記憶部21には、オブジェクトを作成するための描画ツールが記憶されている。描画ツールは、例えば、マイクロソフトオフィスのVisioなどの描画用アプリケーションプログラムである。もちろん、Visio以外の汎用グラフィックソフトウェアを用いてもよい。このアプリケーションプログラムを起動することで、表示部13上に表示する、熱源機器2に応じた機器オブジェクト、及びその表示レイアウトを設定することができる。表示レイアウトは、熱源システムにおける熱源機器2の配置に基づいて設定される。
例えば、ユーザが入力部12のマウス等を用いて、熱源機器2の種類に応じた機器オブジェクトの形状を入力する。さらに、機器オブジェクトの大きさや色などを設定してもよい。ここで、機器オブジェクトの一例を図2に示す。図2は、ボイラ(B)の機器オブジェクト40と、その機器オブジェクト40に対応付けられているプロパティ41を示す図である。図2に示すように、ボイラ(B)の機器オブジェクト40を所定の大きさ、色のボックスとする。すなわち、ボイラ(B)の機器オブジェクト40を矩形状する。ここでは、描画用のアプリケーションソフトを用いることで、容易に機器オブジェクトを設定することができる。例えば、ツールバーの矩形、円形、台形などのボタンをクリックすることで、機器オブジェクト40の形状を決定することができる。
機器オブジェクトは、熱源機器2の種類毎に設定される。すなわち、異なる種類の熱源機器2に対しては、異なる形状の機器オブジェクト40が設定される。従って、ボイラ(B)、タービン(TG)、冷凍機(R)、蒸気ヘッダ(HD)のそれぞれに対して機器オブジェクト40を設定する。これにより、ボイラオブジェクト、タービンオブジェクト、冷凍機オブジェクト、蒸気ヘッダオブジェクトなどの単体機器オブジェクトが定義される。もちろん、同じ種類であっても、異なる機器オブジェクト40を設定してもよい。例えば、熱源機器2の型式などが異なる場合は、異なる機器オブジェクト40を設定する。具体的には、高圧ボイラオブジェクト、低圧ボイラオブジェクトなどを定義するようにしてもよい。このように、熱源機器2の種類に応じた数の機器オブジェクトを設定する。そして、複数の機器オブジェクトがライブラリとして、オブジェクト記憶部22に記憶される。
プロパティ記憶部23には、機器オブジェクト40に関するプロパティ41が記憶されている。プロパティ41は熱源機器2の種類毎に設定されている。すなわち、異なる機器オブジェクト40では、プロパティ41に含まれるデータが異なるものとなる。例えば、図2に示すように、機器オブジェクト40のプロパティ41には、機器種別、入力パラメータ、出力パラメータ、機器効率演算式、入力ストリーム係数、出力ストリーム係数、及びストリーム係数演算式等の項目を含むテーブルが用意されている。従って、プロパティ41には、これらの項目が、タグ定義される。なお、タグとは、プロパティ41に含まれている各項目に入力されるデータを示すものである。もちろん、プロパティ41にはこれら以外のタグが含まれていてもよい。機器種別に応じた種別情報を予めプロパティに入力しておく。さらに、プロパティには、後述する機器ID、機器名称などの機器情報が含まれている。
機器種別は、上記の通り、熱源機器2の種類を示すものである。従って、機器種別として、ボイラ、タービン、蒸気ヘッダ、冷凍機のいずれかを示すデータが入力される。この機器種別を参照することで、熱源機器2の種類が識別される。機器種別として機器種別名称、及び機器種別ID等を入力するようにしてもよい。
入力パラメータは、熱源機器2に入力されるユーティリティー値の属性を示すものである。例えば、ボイラに対応する機器オブジェクト40の場合、入力されるユーティリティーとして、水、及び燃料がある。従って、入力パラメータとしては、ボイラに供給される「水の流量」、「水の温度」、「燃料の供給量」が含まれる。入力される水と燃料に関する情報が入力パラメータとして設定される。具体的には、第1の入力パラメータとして水量、第2の入力パラメータとして水温、第3の入力パラメータとして燃料の供給量が設定される。このように、プロパティ41には、1以上の入力パラメータが含まれている。
出力パラメータは、熱源機器2から出力されるユーティリティー値の属性を示すものである。例えば、ボイラに対応する機器オブジェクト40の場合、出力されるユーティリティーとして、蒸気がある。出力パラメータとしては、ボイラから出力される「蒸気の流量」、「蒸気の温度」が含まれる。すなわち、出力される蒸気に関する情報が出力パラメータとして設定される。具体的には、第1の出力パラメータとして蒸気量、第2の出力パラメータとして蒸気温が設定される。このように、プロパティ41には、1以上の出力パラメータが含まれている。
これらの入力パラメータと出力パラメータとは熱源機器2の種別に応じたものとなる。従って、熱源機器2の種別が同じであれば、同じパラメータ設定でよい。プロパティ41には、それぞれのパラメータ毎にタグ定義されている。入力パラメータ、又は出力パラメータが複数設定される場合、プロパティ41にそれぞれの項目を設ける。
機器効率演算式は、熱源機器2単体のエネルギー効率を算出する演算式である。入力パラメータと出力パラメータを用いた演算式が設定されている。さらに、機器効率演算式には、単位換算するための係数が用いられてもよい。例えば、燃料の供給量を熱量に換算する係数が設定されている。この係数は使用される燃料(重油、都市ガス、コークスなど)に応じて異なっている。機器単体の効率を示す機器効率演算式は以下のようになる。
(機器から出力されたエネルギー)/(機器に入力されたエネルギー)
ストリーム係数演算式は、熱源機器2から出力されるストリームのストリーム係数を算出するための演算式である。これにより、例えば、蒸気、水、電力などのストリームを1単位当たり製造するのに必要なコスト[円]や、ストリームを1単位当たり製造するのに排出されたCO2量[t]を計算することができる。ストリーム係数演算式をプロパティに定義しておくことで、エネルギーを伝達するストリームのストリーム係数を容易に算出することができる。
ストリーム係数演算式は、出力されるストリームに対して設定されている。ストリーム係数演算式として、ストリームコスト係数、ストリームCO2係数を求めるストリーム係数演算式がそれぞれ設定されている。すなわち、蒸気のストリームが出力される場合、その蒸気を1単位(例えば、1トン)発生させるのに必要なコスト、CO2を求めるストリーム係数演算式がそれぞれ設定される。1つの出力ストリームに対して、ストリームコスト係数(円/t)、ストリームCO2係数(t/t)を算出するためのストリーム係数演算式が定義されている。もちろん、プロパティには、1つ以上のストリーム係数演算式が設定されていればよい。さらに、コスト、CO2以外のストリーム係数を算出するストリーム係数演算式を設定してもよい。
熱源機器2から出力されたストリームのストリーム係数は、以下のようなストリーム係数演算式によって算出することができる。
ストリーム係数=入力ストリーム量×入力ストリーム係数/出力ストリーム量
ストリーム係数演算式の分子は、その熱源機器2に対して入力されるストリームを発生させるために、消費されたコスト、CO2となる。ここで入力ストリーム量は、その熱源機器2に入力された蒸気量や電力量等のストリーム量であり、例えば、入力パラメータの測定データとなる。また、出力ストリーム量は、その熱源機器2から出力される蒸気量や電力量等であり、出力パラメータの測定データとなる。入力ストリーム係数は、熱源機器2に入力されたストリームのストリーム係数である。すなわち、上流側に接続された熱源機器2のストリーム係数演算式で算出されたストリーム係数が入力ストリーム係数となる。従って、前段の機器オブジェクトに設定されているストリーム係数演算式で算出されたストリーム係数が入力ストリーム係数となる。前段のストリームのストリーム係数から、1単位の出力ストリームを発生するのに、消費されたコスト、CO2などが求められる。
また、入力ストリームが複数ある場合、ストリーム係数演算式の分子はそれぞれの積の総和となる。例えば、複数の熱源機器から蒸気が入力される蒸気ヘッダHDの場合、蒸気の各ストリームに対して、入力ストリーム量と入力ストリーム係数の積を算出して、積の総和をストリーム係数演算式の分子とする。また、出力ストリームが複数ある場合、ストリーム係数演算式の分母は、出力ストリーム量の総和となる。複数の熱源機器に蒸気を出力する蒸気ヘッダHDの場合、各出力ストリーム量の総和がストリーム係数演算式の分母となる。
さらに、プロパティには、入力ストリーム係数が含まれている。すなわち、プロパティの項目として、入力ストリーム係数の属性が定義されている。1つのストリームに対して複数のストリーム係数を算出する場合、それぞれの入力ストリーム係数の属性が定義される。すなわち、プロパティ41には、ストリームコスト係数、ストリームCO2係数のそれぞれに対して、入力ストリーム係数の項目が設定されている。すなわち、入力ストリーム係数の属性として、ストリームコスト係数、ストリームCO2係数がある。
これらのデータ取得元は、後述するレイアウトステップの後に定義される。そして、この入力ストリーム係数、出力パラメータの測定データ、入力パラメータの測定データに基づいて、ストリーム係数が算出される。すなわち、入力パラメータの測定値が入力ストリーム量となり、出力パラメータの測定値が出力ストリーム量となる。ストリーム係数演算式に入力ストリーム係数、出力パラメータの測定値、入力パラメータの測定値を代入することで、その機器オブジェクト40に対するストリーム係数が算出される。
このように、前段の機器オブジェクト40のストリーム係数演算式で算出されたストリーム係数を入力ストリーム係数とすると、この入力ストリーム係数が入力ストリーム量にかかるストリーム係数となる。ストリーム係数をストリーム量にかけることで、各熱源機器2に対するストリーム係数を容易に算出することができる。すなわち、前段のストリームのストリーム係数を用いて後段のストリームのストリーム係数を求める。そして、最上流の熱源機器2から最下流の熱源機器2まで順番にストリーム係数を算出していく。なお、最上流の機器における入力ストリーム係数は何らかの手段によって与えられる。
このように、プロパティ41には熱源機器2の特性に応じた固有の情報が含まれている。熱源機器2に対して、固有のプロパティ41が対応付けられている。プロパティ41には、機器種別、入力パラメータ、出力パラメータ、機器効率演算式、ストリーム係数演算式、入力ストリーム係数等が定義されている。なお、これらは、予め設定されたデータベースなどを参照することで、タグ定義されていてもよい。例えば、機器効率演算式やストリーム係数演算式のデータベースが予め格納されている場合、機器効率演算式やストリーム係数演算式のID番号等によってタグ定義してもよい。
上記のような機器オブジェクト40とプロパティ41を対応付ける処理については、描画ツール記憶部21に記憶された描画ツールを利用することができる。例えば、マイクロソフトのVisioでステンシルの内に位置づけられるマスターシェイプを作成して、そのマスターシェイプを機器オブジェクト40とする。さらに、マスターシェイプに対応付けられた、カスタムプロパティをプロパティ41とする。すなわち、機器種別に応じたマスターシェイプを登録する。そして、そのマスターシェイプにカスタムプロパティを登録しておく。このようにすることで、機器オブジェクト40にプロパティ41を対応付けることができる。このようなマスターシェイプを保存して、ステンシルに追加しておく。
表示レイアウト記憶部24は、表示画面上においてユーティリティーフローを示すユーティリティーフロー図の表示レイアウトを記憶する。この表示レイアウトについて図3を用いて説明する。図3は、表示画面上に表示されている表示レイアウトを示す図である。すなわち、図3は、表示部13に表示されたユーティリティーフロー図を示している。
図3では、熱源システムに、3つのボイラ(B1〜B3)と、2つの蒸気ヘッダ(HD1〜HD2)と、4つの冷凍機(R1〜R4)が設置されている例が示されている。従って、これら熱源機器2に対応する機器オブジェクトが表示ウィンドウ50内に表示されている。ここで、3つボイラ(B1〜B3)の機器オブジェクトをボイラ51a〜51cとして示す。2つの蒸気ヘッダ(HD1〜HD2)の機器オブジェクトを53a〜53b、4つの冷凍機(R1〜R4)の機器オブジェクトを冷凍機54a〜54dとして示す。そして、表示ウィンドウ50中の矢印が、水、燃料、蒸気、電力などのユーティリティーのフローを示している。換言すると、表示ウィンドウ50の矢印が、配管や配線等の接続関係を示す接続オブジェクトとなる。そして、矢印の方向にしたがって、各ストリームが流れる。
ボイラ51a〜ボイラ51cには、水と燃料が供給されている。図3では、ボイラ51aに供給される水をFW1として示している。同様に、ボイラ51b〜51cに供給される水を、それぞれFW2〜FW3として示している。また、ボイラ51aに供給される燃料をFL1として示している。ボイラ51b〜51cに供給される燃料を、それぞれFL2〜FL3として示している。ボイラ51aで発生した高圧蒸気をHS1として示している。同様に、ボイラ51b、51cで発生した高圧蒸気をそれぞれHS2、LS1として示している。
ボイラ51a、ボイラ51bで発生した蒸気HS1、HS2は、蒸気ヘッダ53aに供給される。そして、蒸気ヘッダ53aからは、蒸気HS3〜HS5が出力される。蒸気HS3は冷凍機54aに供給され、蒸気HS4は冷凍機54bに供給され、蒸気HS5は蒸気ヘッダ53bに供給される。
また、ボイラ51cで発生した蒸気LS1も蒸気ヘッダ53bに供給される。すなわち、蒸気ヘッダ53bには、蒸気HS5と蒸気LS1が入力される。そして、蒸気ヘッダ53bは、蒸気LS2を冷凍機54cに供給し、蒸気LS3を冷凍機54dに供給する。
冷凍機54a〜54dでは、水が循環している。冷凍機54aに供給される水をRW1とし、冷凍機54aから出力される水をCW1とする。同様に、冷凍機54b〜54dに供給される水をそれぞれRW2〜RW4とし、冷凍機54b〜54dから出力される水を、それぞれCW2〜CW4とする。
熱源機器2間には、蒸気などがストリームとして流れている。すなわち、互いに接続された2つの熱源機器2のうち、上流側の熱源機器2から下流側の熱源機器2に蒸気などのストリームが流れていく。もちろん、電力、水などの蒸気以外のストリームが熱源機器2間を流れるようなレイアウトを設定してもよい。
上記のような表示レイアウトにするため、ユーザが機器オブジェクトを配置していく。すなわち、オブジェクト記憶部22に記憶されている機器オブジェクト中から1つの機器オブジェクトを選択する。具体的には、ツールバーの中から所定の機器オブジェクトをクリックする。そして、入力部12のマウスなどを用いて、選択した機器オブジェクトを表示ウィンドウ50に配置する。熱源システムでの熱源機器2の配置に応じて、機器オブジェクトを配置していく。具体的には、選択した機器オブジェクトを表示ウィンドウ中の所定の位置までドラッグしていく。熱源システムに設置されている熱源機器2に応じた数の機器オブジェクトを配置する。このようにして、熱源システムに応じた表示レイアウトを作成する。そして、表示レイアウトをレイアウトファイルとして、表示レイアウト記憶部24に記憶させる。
具体的には、Visioで作成したマスターシェイプを選択して、表示ウィンドウ50上の背景画面上にドラッグする。これにより、表示ウィンドウ50の所定の位置に、ある一つの熱源機器2に対する機器オブジェクトが配置される。これを繰り返して、レイアウトを行う。この時、表示ウィンドウ50中に配置した機器オブジェクトに対応する熱源機器2の機器情報を入力する。すなわち、機器オブジェクトが実際に設置されている複数の同一種別の熱源機器2中で、どの熱源機器2に対応しているかを識別するための情報を入力する。例えば、配置した機器オブジェクトのプロパティに対して、機器名称、機器IDなどのタグを定義する。ボイラの機器オブジェクトを配置した場合、その機器オブジェクトがボイラ51a〜51dのいずれに対応するかを入力する。Visio上で、機器オブジェクトのプロパティに、熱源機器2固有の機器ID番号と機器名称等を追加入力する。
このように、熱源システムに設置されている熱源機器2と機器オブジェクトを1対1に対応付ける。すなわち、各機器オブジェクトに熱源機器2固有の機器情報を定義していく。これにより、各機器オブジェクトの入力パラメータと出力パラメータが熱源システムのどの熱源機器2におけるユーティリティーであるかを判別することができる。すなわち、ボイラ51aの機器オブジェクトにおける入力パラメータ、及び出力パラメータはボイラ(B1)のユーティリティーに関するものであることが分かる。これにより、入力パラメータ、及び出力パラメータの値を特定することができる。例えば、熱源機器2のセンサからは、流量や温度の測定結果がセンサ信号として出力されている。測定データの取得元となる機器IDを入力することで、熱源機器2での測定結果をその熱源機器2の機器オブジェクトに対応付けることができる。なお、必要なタグ定義が行われていない機器オブジェクトが存在する場合、アラームなどを表示させるようにしてもよい。
そして、熱源システムに含まれる熱源機器2の接続関係に応じて機器オブジェクトを結線する。例えば、ユーティリティーの入力側と出力側の機器オブジェクトを矢印で結ぶ。この矢印によって、各機器間のユーティリティーフローが示される。矢印の描画は、Visioなどの描画ツールで行われる。このようにして、機器オブジェクト間の接続情報を入力する。こうすることで、ある機器オブジェクトに対する接続元の機器オブジェクトと接続先の機器オブジェクトを特定することができる。すなわち、接続先と接続元の機器オブジェクトがリンクされる。
このように結線することで、接続先の入力パラメータと接続元の出力パラメータがリンクする。すなわち、接続元の出力パラメータが接続先の入力パラメータとが対応付けられる。例えば、図3の例では、ボイラ51aの蒸気量、蒸気温が出力パラメータとなっており、それらが、蒸気ヘッダ53aの入力パラメータとなる。そして、ユーザが入力パラメータと出力パラメータが対応するように、タグ定義する。このように、機器オブジェクト間のストリームに応じて、入力パラメータのデータ取得元を定義する。また、同様に機器オブジェクト間のストリームに応じて、入力ストリーム係数のデータ取得元を定義する。
なお、入力パラメータ等のタグ定義は、ユーティリティーフローの上流にある機器オブジェクトの出力に定義されているものを、下流にある機器オブジェクトの入力として取得するようにしてもよい。例えば、ユーザが結線した場合に、接続元の機器IDなどを取得して、接続先の機器オブジェクトのプロパティに自動的に入力するようにしてもよい。あるいは、ユーザが接続先の機器オブジェクトの機器IDを接続元の機器オブジェクトにプロパティに入力してもよい。このようにして、表示ウィンドウ50中に配置された機器オブジェクト毎に、入力パラメータ、及び出力パラメータの測定データ取得元をタグ定義する。また、表示ウィンドウ50中に配置された機器オブジェクト毎に、入力ストリーム係数のデータ取得元をタグ定義する。各機器オブジェクトのプロパティにおいて、データの取得元となる機器IDやセンサが特定される。
表示レイアウト記憶部24は、表示ウィンドウ50中での各機器オブジェクトの位置、各機器オブジェクトのプロパティ、及び機器オブジェクト間の接続関係を表示レイアウトとして記憶する。従って、表示レイアウトには、表示ウィンドウ50に表示される機器オブジェクトの機器情報が含まれている。そして、データ表示プログラムにレイアウトファイルを読み込ませることで、図3に示す表示レイアウトを表示部13に表示させることができる。これらのデータが、データベースとして、表示レイアウト記憶部24に記憶されている。
測定データ記憶部25には、熱源機器2やセンサなどからの測定データが記憶される。この測定データに応じて、データ表示プログラムが表示部13にユーティリティーフローをランタイム表示する。すなわち、表示ウィンドウ50中の測定データを更新することで、リアルタイムでの表示が可能となる。ユーティリティーフローを示す矢印の近傍に測定データを表示させる。例えば、図3の蒸気HS3の位置に、HS3の流量、及び温度を表示させる。これにより、現在のユーティリティーフローを即座に把握することができる。測定データ記憶部25に記憶された測定データは、随時更新されていてもよい。また、測定データ記憶部25に、ストリーム係数を記憶してもよい。
<2>単体ストリーム係数
次に、ストリーム係数演算式について説明する。ここでは、ストリームCO2係数について説明する。上記のように、ストリーム係数は、以下のストリーム係数演算式によって求めることができる。
ストリーム係数=入力ストリーム量×入力ストリーム係数/出力ストリーム量
このストリーム係数演算式をストリームCO2係数に適用した場合、以下に示すストリーム係数演算式となる。
ストリームCO2係数=入力ストリーム量[流量]×入力ストリームCO2係数[t/量]/出力ストリーム量[流量]
例えば、蒸気ヘッダHDにおけるストリームCO2係数を考えた場合、蒸気ヘッダHDには、入力、出力ともに複数のストリームが流れていることがある。典型的な図4に示すように、入力されるストリームをIN1〜INnとし、出力されるストリームをOUT1〜OUTmとする。なお、図4は複数のストリームが入出力される蒸気ヘッダの機器オブジェクトを示す図である。このような蒸気ヘッダのストリームは各ストリームをブレンドした計算となる。
このように複数ストリームの入出力がある蒸気ヘッダの場合、出力側におけるストリームCO2係数は全て同じ値となり、式(1)で定義される。
OUT.CO2=(IN1.CO2×IN1.Flow+IN2.CO2×IN2.Flow+・・・+INn.CO2×INn.Flow)/(IN1.Flow+IN2.Flow+・・・+INn.Flow) (1)
ここで、CO2は当該ストリームのストリーム係数を示すものであり、Flowはストリームの量を示している。従って、IN1.CO2は、ストリームIN1のストリームCO2係数を示しており、IN1.FlowはストリームIN1のストリーム量を示している。IN2〜INnについても同様となる。OUT1.CO2〜OUTm.CO2のそれぞれは(1)式で算出され、全て同じ値となる。なお、蒸気ヘッダについては、蒸気の損失がないことを仮定できるため、蒸気ヘッダは入力される蒸気の総量が出力される蒸気の総量と等しくなる。そのため、(1)式の分母は、本来、(OUT1.Flow+・・・OUTm.Flow)の出力ストリームの総量で表現すべきところを、入力ストリームの総量で表現している。すなわち、出力ストリームの総量を、入力ストリームの総量で置き換えている。このようにすることで、計測誤差を低減することができる。
図3に示す表示レイアウトにおけるストリームCO2係数のストリーム係数演算式について詳述する。
ボイラ51aから出力される蒸気HS1のストリームCO2係数演算式は、式(2)で定義される。
HS1.CO2[t/t]=FL1.CO2[t/KL]×FL1.Flow[KL/h]/HS1.Flow[t/h] (2)
式(2)のストリーム係数演算式が、ボイラ51aのプロパティに定義されている。なお、HS1.CO2はボイラ51aから出力されるHS1のストリームCO2係数、FL1.CO2は入力される燃料FL1のストリームCO2係数、FL1.Flowは、燃料FL1の供給量、HS1.Flowは出力されるHS1のストリーム量である。また、[]内は、単位を示している。なお、燃料FL1のストリームCO2係数は、燃料1klを燃焼させたときに発生するCO2量によって求められる。従って、燃料FL1のストリームCO2係数の値は、燃料の種別(重油、都市ガス、コークス等)によって決まる定数となる。
そして、HS1.CO2の値が蒸気ヘッダ53aの入力ストリーム係数となる。また、ボイラ51b、51cから出力される蒸気HS2、LS1についても同様のストリーム係数CO2演算式によって、ストリームCO2係数を算出することができる。
蒸気ヘッダ53aから出力される蒸気HS3、HS4、HS5のストリームCO2係数は、上記のように等しくなる。よって、蒸気HS3、HS4、HS5を求めるストリームCO2係数演算式は式(3)で定義される。
HS3.CO2=HS4.CO2=HS5.CO2=(HS1.CO2×HS1.Flow+HS2.CO2×HS2.Flow)/(HS1.Flow+HS2.Flow) (3)
HS2.CO2、及びHS2.Flowは、蒸気HS2のストリームCO2係数、及びストリーム量である。ここでは、上記のように、複数の入力ストリームを混合して、ブレンド計算している。また、入力ストリームの総量と出力ストリームの総量とが等しいとして、(3)式の分母を入力ストリームの総量にしている。
このように、各機器オブジェクトのプロパティに、出力されるストリームのストリーム係数を算出するストリーム係数演算式を定義しておく。このストリーム係数演算式には、前段の機器オブジェクトのストリーム係数演算式で算出されたストリーム係数が入力ストリーム係数として用いられている。すなわち、入力ストリーム係数をストリーム係数として、入力ストリーム量にかける。そして、入力ストリーム量と入力ストリーム係数の積を分子とし、出力ストリーム量を分母とすることで、出力されるストリームのストリーム係数を算出することができる。
冷凍機54aから出力される水CW1のストリームCO2係数演算式は式(4)で定義される。
CW1.CO2[t/GJ]=HS3.CO2[t/t]×HS3.Flow[t/h]/CW1.Flow[GJ/h] (4)
ここで、CW1.CO2、CW1.Flowはそれぞれの、水CW1のストリーム係数、及びストリーム量を示している。HS3.Flowは蒸気HS3のストリーム量を示している。
なお、式(4)では、出力ストリーム量として、水の持つエネルギー量を使用している。すなわち、水の流量、及び温度からエネルギーに変換して、1GJ発生するのに必要なCO2量をストリームCO2係数としている。
このように、前段の機器オブジェクトのストリームCO2係数を用いることで、各熱源機器2のストリームCO2係数を算出することができる。すなわち、ストリーム係数演算式が簡素になり、ストリーム係数演算式の定義を容易に行うことができる。また、途中の熱源機器2において、CO2が発生する場合は、そのCO2発生量を分子に加えて、ストリームCO2係数を算出する。
なお、上記の例では、ストリームCO2係数について、説明したが、ストリームコスト係数についても同様に算出することができる。例えば、ストリームコスト係数を算出する場合は、式(2)のストリーム係数演算式において、FL1.CO2[t/KL]を燃料コストに置き換える。すなわち、燃料1kl当たりの燃料費を最上流のストリームコスト係数とする。そして、上流側から順番にストリームコスト係数を算出していく。このストリームコスト係数を後段の機器オブジェクトの入力ストリーム係数とする。すなわち、前段の機器オブジェクトのストリームコスト係数をストリーム係数としてストリーム量にかける。こうすることで、ストリームコスト係数演算式を定義することができる。
これまで、各機器オブジェクトに対して、ストリーム係数演算式を設定しておく、すなわち、機器オブジェクトのプロパティに対して、ストリーム係数演算式を設定しておく例で説明してきた。しかし、本発明の実施はそれに限定されるわけではなく、ストリーム自体を示す矢印のオブジェクトについてもプロパティを備えつけたオブジェクトとすることにより、そこに当該ストリーム係数およびストリーム係数演算式を設定することも可能である。
<3>総合ストリーム係数
さらに、熱源システム全体における、水の総合ストリーム係数、あるいは蒸気の総合ストリーム係数などを算出する総合ストリーム係数演算式を設定することも可能である。例えば、蒸気のストリームが蒸気ヘッダに接続されていれば、その蒸気ヘッダのストリーム係数を算出すれば、総合ストリーム係数となる。しかしながら、接続されていない場合は、対象ストリームを選択して、それらのストリーム係数をブレンド計算する。すなわち、複数のストリームを選択して、選択された複数のストリームのストリーム係数から総合ストリーム係数を算出する。このようにすることで、熱源システム全体における総合ストリーム係数を算出することができる。
例えば、図3に示した例で、冷凍機54a〜54dから水のストリームCW1〜CW4が出力されている。この場合、全冷水の総合ストリームCO2係数を算出する総合ストリームCO2係数演算式は、式(5)に示すようになる。
CW.CO2[t/GJ]=(CW1.CO2[t/GJ]×CW1.Flow[GJ/h]+CW2.CO2[t/GJ]×CW2.Flow[GJ/h]+CW3.CO2[t/GJ]×CW3.Flow[GJ/h]+CW4.CO2[t/GJ]×CW4.Flow[GJ/h])/(CW1.Flow[GJ/h]+CW2.Flow[GJ/h]+CW3.Flow[GJ/h]+CW4.Flow[GJ/h]) (5)
このように、出力ストリーム量と出力ストリーム係数との積の総和を、出力ストリーム量で除した値が、総合ストリーム係数となる。具体的には、複数のストリームを指定してグループを設定する。そして、グループのプロパティにストリーム係数演算式を設定する。すなわち、複数のストリームの入出力を考慮した総合ストリーム係数演算式をグループのプロパティに入力する。さらに、ストリームを出力する複数の機器オブジェクトに対する入力パラメータ、及び出力パラメータなどを設定する。そして、測定データ、及びストリーム係数を演算式に代入して総合ストリーム係数を算出する。また、表示ウィンドウ中の一部の機器オブジェクトを選択して、グループを指定してもよい。上の例は、単体ストリーム係数(CW1.CO2など)が求まっているので、それを出力段に応じて平均化することに相当する。
このようにストリーム係数演算式を用いてストリーム係数を算出し、測定データや単体機器効率等とともに、表示ウィンドウ50に表示させる。もちろん、測定データが更新された場合、単体機器効率、及びストリーム係数を算出して、表示を更新する。ストリーム係数、及び単体機器効率は熱源システムをモニタリングするKPI(Key Perfomance Indicator)となる。よって、熱源システムのエネルギー管理指標を算出することができる。総合ストリーム係数をランタイム表示することで、熱源システムを効率よく運転することができる。例えば、ある熱源機器2の単体機器効率が低下した場合、その熱源機器2に対してメンテナンス、交換などを行い、単体機器効率の改善を図る。また、ストリーム係数が低下した場合、エネルギー供給のフローを調整して、ストリーム係数の改善を図る。このようにすることで、省エネルギーに資することができる。
<4>処理フロー
次に、ストリーム係数を表示する処理について図5を用いて説明する。図5は、総合ストリーム係数を表示する処理を示すフローチャートである。
まず、ユーザがオブジェクトを設定する(ステップS101)。ここでは、上記のように、描画ツールを用いて機器オブジェクトを設定することができる。すなわち、描画用アプリケーションソフトなどを用いて、オブジェクト形状などを入力する。あるいは、予め設定されているファイルなどを読み込むことで、使用する機器オブジェクトを設定してもよい。これにより、熱源システムに設置されている熱源機器2の種別に応じた機器オブジェクトがライブラリとして記憶される。すなわち、ライブラリには、種別に応じて、複数の機器オブジェクトが設定されている。なお、1つの表示レイアウト中に、2以上のグループを設定するようにしてもよい。
次に、機器オブジェクトのプロパティを設定する(ステップS102)。ここでは、上記の描画ツールを用いることで、各機器オブジェクトの種別情報が入力される。また、ストリーム係数演算式、及び入力ストリーム係数を設定する。もちろん、予め設定されているファイルを読み込みことで、プロパティを設定してもよい。例えば、描画用アプリケーションソフトの設定ファイルを記憶させておき、その設定ファイルを読み込むことで、機器オブジェクトとプロパティの設定を行ってもよい。これにより、機器種別、入力パラメータ、出力パラメータ、機器効率演算式、ストリーム係数演算式、及び入力ストリーム係数がプロパティに定義される。このように、機器オブジェクトのプロパティに単体機器効率の機器効率演算式やストリーム係数演算式を格納させることで、容易に単体機器効率、ストリーム係数を算出させることができる。これにより、機器の性能劣化を即座に把握することができるため、省エネルギーに資することができる。
もちろん、ステップS101の機器オブジェクトの設定と、ステップS102のプロパティの設定とを交互に行ってもよい。すなわち、1つの機器オブジェクトに対するプロパティの設定が終了した後に、次の機器オブジェクトの設定を行ってもよい。この場合、ステップS101とステップS102を交互に繰り返し行うことで、機器オブジェクトのライブラリが作成される。
そして、設定した機器オブジェクトを用いて、表示画面上でのレイアウトを行う(ステップS103)。すなわち、機器オブジェクトを表示画面上に配置していく。例えば、描画ツールによって、ツールバーなどに示されている機器オブジェクトを選択する。そして、選択した機器オブジェクトを表示ウィンドウ50の所定の位置にドラッグする。熱源システムでの設備機器2の配置に応じてレイアウトを行う。熱源システムの熱源機器2の数だけ、機器オブジェクトを配置していく。このように、ライブラリに記憶されている機器オブジェクトを選択して、熱源システムの構成に応じた表示画面上での熱源機器2の表示レイアウトを設定する。もちろん、1つの熱源システムを2つ以上の表示レイアウトに分けてもよい。
次に、配置した機器オブジェクトに対して機器情報を入力する(ステップS104)。すなわち、機器オブジェクトに対して、対応する熱源機器2固有の情報が入力される。例えば、描画ツールを用いて機器IDや機器名称が入力される。さらには、このステップで、機器オブジェクトの入力パラメータや出力パラメータの測定データの取得元となるセンサタグを入力してもよい。これにより、各機器における入力パラメータ、出力パラメータ、入力ストリーム係数のデータ取得元が定義される。
そして、ユーザが表示ウィンドウに表示されている機器オブジェクト間を結線する(ステップS105)。すなわち、接続元の機器オブジェクトと接続元の機器オブジェクトとの間を矢印で結ぶ。これにより、上流側の熱源機器2の出力パラメータと下流側の熱源機器の入力パラメータがリンクされる。また、入力ストリーム係数とストリーム係数演算式がリンクする。このように、熱源システムにおける熱源機器2の配置に応じて、機器オブジェクトの入出力間を結ぶ。
また、入力パラメータと出力パラメータとのリンクや、入力ストリーム係数とストリーム係数演算式のリンクは、ユーザが手動で行ってもよい。例えば、入力パラメータや出力パラメータの取得元となる機器IDを機器オブジェクトのプロパティに入力する。あるいは、入力ストリーム係数の取得元となる機器IDをプロパティに入力する。さらに、プロパティに必要な情報がタグ定義されていない場合、アラームを表示させるようにしてもよい。また、ステップS105において、機器オブジェクトの入力パラメータや出力パラメータのデータ取得元となる機器IDを入力してもよい。すなわち、表示レイアウトにおける機器オブジェクトの接続関係に応じて、入力パラメータ、及び出力パラメータのデータ取得元を定義する。なお、レイアウト、機器情報の入力、結線の処理順は特に限られるものではない。例えば、全ての機器オブジェクトを配置する前に、一部の機器オブジェクトに対して、機器情報の入力と結線を行ってもよい。
さらに、総合ストリーム係数効率を設定する場合は、ユーザがグループ指定を行う(ステップS106)。すなわち、表示レイアウト中の機器オブジェクトの中から、グループに含まれる複数のストリームを選択する。例えば、表示ウィンドウ50中において、領域を指定することで、領域に含まれるストリームが同一グループに属することになる。あるいは、表示ウィンドウ50上において、同一グループに属するストリームを選択していってもよい。例えば、機器オブジェクトのプロパティに、グループ番号を入力するようにしてもよい。すなわち、プロパティにグループの項目を設けても、そこに出力されるストリームが属するグループ番号を入力するようにしてもよい。さらには、1つのストリームが2以上のグループに含まれていてもよい。
そして、グループの総合ストリーム係数演算式を定義する(ステップS107)。すなわち、総合ストリーム係数を算出するための総合ストリーム係数演算式を入力する。この総合ストリーム係数演算式は、グループのプロパティに格納される。各ストリームのストリーム係数、入力パラメータ、出力パラメータを設定し、そのストリーム係数、入力パラメータと出力パラメータを用いて、総合ストリーム係数演算式を定義する。すなわち、入力パラメータ、出力パラメータの測定値、ストリーム係数を総合ストリーム係数演算式に代入する。さらに、ここでは、グループに関する情報、例えば、グループ名称、グループ番号などが入力される。このように、複数のストリームを含むグループを1つのオブジェクトとし、そのプロパティに対して単体機器と同様にタグ定義する。これにより、グループ固有のグループ情報が入力される。もちろん描画ツールのソフトウエアによって、自動的に総合ストリーム係数演算式を求めることが可能である。
このようにして、各種データを入力したら、表示レイアウトのレイアウトファイルを保存する。ここまでの処理は、Visioなどの描画ツールを用いて行うことができる。従って、簡便に表示レイアウトのレイアウトファイルを作成することができる。なお、グループを指定しない場合、ステップS106、及びステップS107の処理を省略することができる。
そして、表示レイアウトに従ってユーティリティーフローをランタイム表示させる(ステップS108)。すなわち、実際の測定データを表示ウィンドウ50中に表示させる。例えば、ネットワークを介して、熱源機器2やセンサが検出した測定データを、データ処理装置1に取り込む。そして、データ処理装置1が取得した測定データを表示する。ここでは、各機器オブジェクトのプロパティにデータ取得元が定義されているため、容易に測定データを表示させることができる。もちろん、表示ウィンドウ50中における測定データの表示場所をユーザが定義してもよい。
さらに、このとき、単体機器効率、ストリーム係数を表示する。単体機器効率、ストリーム係数は、表示ウィンドウ中の所定の位置にランタイム表示され、随時更新されていく。機器効率演算式、ストリーム係数演算式がプロパティに定義されているため、簡便に単体機器効率、及びストリーム係数の演算結果を算出、更新することができる。すなわち、熱源システムが大型化して、ストリームが多段階に入出力される場合でも、簡便にストリーム係数を算出することができる。これにより、現在の熱源システムの状況を即座に表示することができる。よって、ユーザにおける熱源システムの運転管理を効率的に行うことができる。
上記のように、ストリーム係数演算式を、各オブジェクトのプロパティに設定している。これにより、熱源システムに多数の熱源機器数が含まれる複雑な熱源システムの場合でも、ストリーム係数演算式を容易に算出することができる。ストリーム係数の表示更新の間隔を速くすることができる。
また、グループに含まれるストリームを指定した場合、そのグループ全体にかかるストリーム係数を総合ストリーム係数として定義する。すなわち、グループから出力される同一種類のストリームの総量を求めて、総合ストリーム係数の分母とする。この総合ストリーム係数をグループのプロパティに設定しておく。これにより、総合ストリーム係数を容易に算出することができる。そして、これらの演算式で算出された各種係数を表示する。これにより、簡便にストリーム係数をランタイム表示することができる。よって、熱源システム全体の運転状況を即座に、把握することができる。また、グループ全体の総合ストリーム係数を算出することで、KPIの作成を容易に行うことができる。熱源システムでの運転状況に応じて変化するエネルギー効率を容易に算出、及び表示することができる。
このように、各オブジェクトに対してストリーム係数演算式を設定しておく。熱源機器2間のストリームが上流側から順番に算出されていく。従って、下流側のストリームに対するストリーム係数を算出する場合でも、最上流のストリームにおいて、消費されたコスト、CO2などを参照しなくてよくなる。これにより、各段でのストリーム係数演算式の定義を容易に行うことができる。よって、ストリーム係数を容易に算出することができる。特に多数の熱源機器2が直列に配置された複雑な熱源システムに好適である。さらに、ストリーム1単位あたりに必要なコスト、CO2などのストリーム係数は、熱源システムをモニタリングするKPIとなる。これにより、熱源システムの管理、運用を効率的に行うことができる。
もちろん、上記の装置は物理的に1つの装置でなくてもよい。また、表示レイアウトの作成処理と、ランタイム表示処理は異なるコンピュータで行ってもよい。データ処理装置1を構成するためにコンピュータにインストールされた各種のプログラムは記録媒体に格納することも可能であり、また通信媒体を介して伝達されることも可能である。熱源システムのユーティリティーフローの表示が可能となる。よって、熱源システムにおいて適切な制御を行っているかを容易に確認することができる。よって、省エネルギー管理の作業に資することができる。熱源システムの熱源機器2に対して追加、変更などが生じた場合は、表示レイアウトを更新する。尚、上述の実施の形態では、発電所、プラント、建物、工場のユーティリティーフローを表示する例について説明したが、これに限られず様々な建築物、建物設備、商業施設等に利用することが可能である。