JP2009263650A - ベニコウジ色素製剤およびその製造方法 - Google Patents

ベニコウジ色素製剤およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 加工食品等の着色に用いられる、光に対する安定性が改善されたベニコウジ色素製剤を提供する。
【解決手段】(a)ベニコウジ色素、(b)乳化力試験における乳化相の割合が81〜89%であるポリグリセリン縮合リシノール酸エステルおよび(c)食用油脂を含有するベニコウジ色素製剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、光に対する安定性が改善されたベニコウジ色素製剤およびその製造方法に関する。
ベニコウジ色素は食品や化粧品等の天然着色料として従来から広く使用されている。しかしながら、ベニコウジ色素は光に対する安定性が悪いので、ベニコウジ色素を使用して着色した食品等が蛍光灯や太陽光などの光に曝されると、ごく短時間の間に退色が起こり、商品性を損なうという欠点があった。
この光照射によるベニコウジ色素の安定性を改善するために、紅麹色素にセサモリン誘導体を添加する方法(特許文献1)、ベニコウジ色素を脱酸素剤と共に密封保存する方法(特許文献2)、ベニコウジ色素にトリプトファン等を添加する方法(特許文献3)、抽出トコフェロールおよびフェルラ酸を含有する色素の退色防止剤(特許文献4)などが検討されているが、未だ十分に満足しうる方法は見出されていない。
特開平10−110109号公報 特開2002−253168号公報 特開2003−191号公報 特開2004−222649号公報
本発明は、加工食品等の着色に用いられる、光に対する安定性が改善されたベニコウジ色素製剤を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、ベニコウジ色素を含有する水相と、特定の物性を有するポリグリセリン縮合リシノール酸エステルおよび食用油脂を含有する油相とを乳化して得られる油中水型乳化組成物を減圧乾燥して得られるベニコウジ色素製剤を添加して着色した食品は、光に対する安定性が改善されたものであることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(3)からなっている。
(1)(a)ベニコウジ色素、(b)下記乳化力試験における乳化相の割合が81〜89%であるポリグリセリン縮合リシノール酸エステルおよび(c)食用油脂を含有するベニコウジ色素製剤。
<乳化力試験>
1)500ml容ビーカーに菜種白絞油(ボーソー油脂社製)200gおよびポリグリセリン縮合リシノール酸エステル0.80gを入れて混合し、60℃に加温して油相とする。
2)1)の油相をミキサー部と邪魔板との間隙を2.5cmに固定した乳化機(型式:T.K.ホモミクサーMARKII 2.5型;プライミクス社製)を用いて3000rpmで撹拌しながら、該油相に60℃に加温した精製水200gを90秒間かけて加える。
3)さらに、60℃に調温しながら10000rpmで3分間撹拌して油中水型乳化物を得る。
4)3)で得た油中水型乳化物を100ml容有栓メスシリンダーに100ml入れ37℃の恒温器で120時間保存する。保存後、油相、乳化相および水相に分離したメスシリンダーの内容物について乳化相の体積(ml)を測定し、次式に基づいて乳化相の割合(%)を計算する。
Figure 2009263650
(2)ベニコウジ色素がベニコウジ色素粉末であり、該ベニコウジ色素粉末について下記親水性判別試験を実施した場合の分配係数が−1.2〜−0.1である、(1)のベニコウジ色素製剤。
<親水性判別試験>
1)ベニコウジ色素粉末(色価1000換算)0.002gを50ml容共栓付比色管に入れ、イオン交換水15mlを加え、よく混合して溶解液を得る。
2)1)の溶解液に1−オクタノール(試薬特級;和光純薬工業社製)15mlを加え、前記比色管を上下に180度づつ回転させながら5分間振とうする(回転数20回/分)。
3)振とう後、前記比色管の内容物を50ml容遠心ボトルに入れ、遠心分離機を使用して遠心加速度12000×gで15分間遠心分離を行う。
4)遠心分離後、前記遠心ボトル内の1−オクタノール相および水相を採取し、これらの相の各々について、分光光度計を使用して可視極大吸収波長における吸光度および660nmにおける吸光度を測定する。
5)1−オクタノール相の可視極大吸収波長における吸光度をO1、1−オクタノール相の660nmにおける吸光度をO2、水相の可視極大吸収波長における吸光度をW1、水相の660nmにおける吸光度をW2とし、次式に基づいて分配係数を計算する。
Figure 2009263650
(3)(a)ベニコウジ色素を含有する水相と、(b)上記乳化力試験における乳化相の割合が81〜89%であるポリグリセリン縮合リシノール酸エステルおよび(c)食用油脂を含有する油相とを乳化して油中水型乳化組成物を得る工程と、該油中水型乳化組成物を減圧乾燥する工程とを含むことを特徴とするベニコウジ色素製剤の製造方法。
本発明のベニコウジ色素製剤を用いて着色したカマボコなどの食品の光に対する安定性は実用上十分に満足できるものである。
ベニコウジ色素製剤
本発明のベニコウジ色素製剤は、(a)ベニコウジ色素、(b)上記乳化力試験における乳化相の割合が81〜89%であるポリグリセリン縮合リシノール酸エステルおよび(c)食用油脂を含有するものである。
ベニコウジ色素
本発明において用いられるベニコウジ色素は、ベニコウジ菌(即ち、Monascus属の糸状菌)の培養生成物から抽出して得られる水溶性の赤色色素であり、その主成分はモナスコルブリン類、アンカフラビン類などである。
本発明のベニコウジ色素製剤の製造に用いられるベニコウジ色素の形態に特に制限はなく、ベニコウジ色素水/アルコール溶液やベニコウジ色素粉末などが挙げられるが、好ましくはベニコウジ色素粉末であり、その製造方法の概略は以下の通りである。
水/アルコール混合液を抽出溶媒としてベニコウジ菌の培養生成物からベニコウジ色素を抽出し、ベニコウジ色素水/アルコール溶液を調製する。次いで、該ベニコウジ色素水/アルコール溶液を賦形剤(例えば、デキストリンなど)と共に混合液とし、該混合液を常法により噴霧乾燥してベニコウジ色素粉末を得る方法、或いは該ベニコウジ色素水/アルコール溶液を濃縮し、真空凍結乾燥する方法などによりベニコウジ色素粉末を得る。
本発明に用いられるベニコウジ色素は、下記親水性判別試験を行った場合の分配係数が−2.0〜1.5であるベニコウジ色素粉末が好ましく、該分配係数が−1.5〜0.7のベニコウジ色素粉末がさらに好ましく、該分配係数が−1.2〜−0.1のベニコウジ色素粉末が特に好ましい。該分配係数が−1.2〜−0.1の範囲であると、本発明のベニコウジ色素製剤を用いて着色した食品の光に対する安定性がさらに向上する。
<親水性判別試験>
1)ベニコウジ色素粉末(色価1000換算)0.002gを50ml容共栓付比色管に入れ、イオン交換水15mlを加え、よく混合して溶解液を得る。
2)1)の溶解液に1−オクタノール(試薬特級;和光純薬工業社製)15mlを加え、前記比色管を上下に180度づつ回転させながら5分間振とうする(回転数20回/分)。
3)振とう後、前記比色管の内容物を50ml容遠心ボトルに入れ、遠心分離機を使用して遠心加速度12000×gで15分間遠心分離を行う。
4)遠心分離後、前記遠心ボトル内の1−オクタノール相および水相を採取し、これらの相の各々について、分光光度計を使用して可視極大吸収波長における吸光度および660nmにおける吸光度を測定する。
5)1−オクタノール相の可視極大吸収波長における吸光度をO1、1−オクタノール相の660nmにおける吸光度をO2、水相の可視極大吸収波長における吸光度をW1、水相の660nmにおける吸光度をW2とし、次式に基づいて分配係数を計算する。
Figure 2009263650
尚、本発明のベニコウジ色素製剤の製造に用いられるベニコウジ色素の形態がベニコウジ色素粉末以外のもの(例えば、ベニコウジ色素水/アルコール溶液など)である場合、該ベニコウジ色素を自体公知の方法で粉末化することによりベニコウジ色素粉末を調製した上で、該ベニコウジ色素粉末について上記親水性判別試験を行うことができる。
ここで、上記親水性判別試験における分配係数は、ベニコウジ色素の親水性の程度を示す指標である。この分配係数の値が大きい程、ベニコウジ色素の親水性が低いことを意味する。
上記親水性判別試験における分配係数が−2.0〜1.5であるベニコウジ色素粉末としては、例えばリケカラーR−30(商品名;ベニコウジ色素水/アルコール溶液;理研ビタミン社製)を粉末化したもの(親水性判別試験での分配係数0.2)、リケカラーRPH−30(商品名;ベニコウジ色素水/アルコール溶液;理研ビタミン社製)を粉末化したもの(親水性判別試験での分配係数−0.3)、リケカラーRPH−60(商品名;ベニコウジ色素水/アルコール溶液;理研ビタミン社製)を粉末化したもの(親水性判別試験での分配係数−0.4)、リケカラーR−4200(SD)(商品名;理研ビタミン社製)(親水性判別試験での分配係数0.2)などが商業的に製造および販売されており、本発明のベニコウジ色素製剤の製造にはこれらを用いることができる。
ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル
本発明において用いられるポリグリセリン縮合リシノール酸エステルは、ポリグリセリンと縮合リシノール酸とのエステル化生成物であり、自体公知のエステル化反応等により製造される。該ポリグリセリンとしては、平均重合度が約2〜15程度のものが挙げられる。好ましくは平均重合度が約3〜10程度のものである。具体的には、例えば、トリグリセリン、テトラグリセリン又はヘキサグリセリン等が好ましく挙げられる。該縮合リシノール酸は、リシノール酸を加熱し、重縮合反応させて得られる混合物である。該縮合リシノール酸としては、平均重合度が約2〜10程度のものが挙げられる。好ましくは平均重合度が約3〜6程度のものである。
また、本発明ではポリグリセリン縮合リシノール酸エステルとして、後述する乳化力試験における乳化相の割合が81〜89%であるポリグリセリン縮合リシノール酸エステルを用いる。このようなポリグリセリン縮合リシノール酸エステルを使用することにより、本発明のベニコウジ色素製剤中のベニコウジ色素を含有する固体相微粒子のメジアン径がより小さくなり、これによりベニコウジ色素の光に対する安定性が向上し、更には該製剤を用いて着色した食品の光に対する安定性が向上するという効果が得られる。
本発明における乳化力試験とは、下記方法で行われる試験である。
<乳化力試験>
1)500ml容ビーカーに菜種白絞油(ボーソー油脂社製)200gおよびポリグリセリン縮合リシノール酸エステル0.80gを入れて混合し、60℃に加温して油相とする。
2)1)の油相をミキサー部と邪魔板との間隙を2.5cmに固定した乳化機(型式:T.K.ホモミクサーMARKII 2.5型;プライミクス社製)を用いて3000rpmで撹拌しながら、該油相に60℃に加温した精製水200gを90秒間かけて加える。
3)さらに、60℃に調温しながら10000rpmで3分間撹拌して油中水型乳化物を得る。
4)3)で得た油中水型乳化物を100ml容有栓メスシリンダーに100ml入れ37℃の恒温器で120時間保存する。保存後、油相、乳化相および水相に分離したメスシリンダーの内容物について乳化相の体積(ml)を測定し、次式に基づいて乳化相の割合(%)を計算する。
Figure 2009263650
上記乳化力試験における乳化相の割合が81〜89%であるポリグリセリン縮合リシノール酸エステルとしては、例えばサンソフトNo.818SK(商品名;乳化力試験での乳化相の割合86%;太陽化学社製)、Palsgaard 4150(商品名;乳化力試験での乳化相の割合89%;パルスガード社製)、SYグリスターCR−ED(商品名;乳化力試験での乳化相の割合81%;阪本薬品工業社製)が商業的に製造および販売されており、本発明ではこれらをポリグリセリン縮合リシノール酸エステルとして用いることができる。
食用油脂
本発明において用いられる食用油脂としては、食用可能な油脂であれば特に制限はないが、例えばオリーブ油、ごま油、こめ油、サフラワー油、大豆油、とうもろこし油、菜種油、パーム油、パームオレイン、パーム核油、ひまわり油、ぶどう油、綿実油、やし油、落花生油などの植物油脂が好ましい。食用油脂の中でもごま油、こめ油、サフラワー油、大豆油、とうもろこし油、菜種油、ひまわり油、ぶどう油および綿実油からなる群より選択される一種以上の植物油脂のサラダ油がさらに好ましく、菜種サラダ油が特に好ましい。本発明においては、食用油脂を一種類で用いても良いし、二種類以上を任意に組み合わせて用いても良い。
ベニコウジ色素製剤の製造方法
本発明のベニコウジ色素製剤は、(a)ベニコウジ色素を含有する水相と、(b)上記乳化力試験における乳化相の割合が81〜89%であるポリグリセリン縮合リシノール酸エステル(以下、単にポリグリセリン縮合リシノール酸エステルともいう)および(c)食用油脂を含有する油相とを乳化して油中水型乳化組成物を得る工程と、該油中水型乳化組成物を減圧乾燥する工程とを含む製造方法により製造することができる。このようなベニコウジ色素製剤の製造方法も、本発明の1つである。
本発明では、先ずベニコウジ色素を含有する水相とポリグリセリン縮合リシノール酸エステルおよび食用油脂を含有する油相とを乳化して油中水型乳化組成物を得る。具体的には、食用油脂にポリグリセリン縮合リシノール酸エステルを加え、約50〜90℃、好ましくは約60〜80℃に加温して溶解し、油相とする。該油相を撹拌しながら、この中に約10〜70℃、好ましくは約20〜60℃で溶解したベニコウジ色素並びに水および/またはアルコールからなる水相をゆっくり加え、例えばクレアミックス(型式:CLM−0.8S;エム・テクニック社製)を用いて、回転数約6000〜20000rpm、撹拌時間約5〜60分間で乳化する方法により油中水型乳化組成物を得ることができる。
上記水相100質量%中のベニコウジ色素の含有量に特に制限はないが、例えばベニコウジ色素粉末が通常約0.1〜50質量%、好ましくは約1〜35質量%であり、残余が水および/またはアルコールとなるように調整するのが好ましい。水相中のベニコウジ色素、並びに水および/またはアルコールの含有量がこのような範囲であると、十分な量のベニコウジ色素が溶解した水相を調製可能であるため好ましい。なお、上記水相の調製に用いられる水としては、例えば蒸留水、イオン交換樹脂処理水、逆浸透膜処理水および限外ろ過膜処理水などの精製水並びに水道水などの飲料水などが挙げられる。また、上記水相の調製に用いられるアルコールとしては、例えばエタノール、メタノール等の一価アルコールが挙げられる。水およびアルコールを使用する場合は、水:アルコール(体積比)を約99:1〜10:90とすることが好ましく、約95:5〜30:70とすることがより好ましい。
上記油相100質量%中の、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルおよび食用油脂の含有量に特に制限はないが、例えばポリグリセリン縮合リシノール酸エステルが通常約0.1〜70質量%、好ましくは約0.5〜60質量%、より好ましくは約1〜50質量%であり、残余が食用油脂となるように調整するのが好ましい。油相中のポリグリセリン縮合リシノール酸エステルおよび食用油脂の含有量がこのような範囲であると、乳化安定性が良好な油中水型乳化組成物が得られるため好ましい。
上記油相に加える水相は、例えば、油相1に対して質量比で約0.01〜2とすることが好ましい。より好ましくは、油相1に対して水相を約0.05〜1(質量比)加える。このような範囲であると、乳化安定性が良好な油中水型乳化組成物が得られるため好ましい。
上記油中水型乳化組成物を製造するための装置としては特に限定されず、例えば、撹拌機、加熱用のジャケットおよび邪魔板等を備えた通常の撹拌・混合槽を用いることができる。装備する撹拌機としては、例えばTKホモミクサー(プライミクス社製)又はクレアミックス(エムテクニック社製)等の高速回転式ホモジナイザーが好ましく用いられる。また、これらの装置で乳化した液を高圧式均質化処理機を使用して、さらに均質化してもよい。ここで高圧式均質化処理機としては、例えばAPVゴーリンホモジナイザー(APV社製)、マイクロフルイダイザー(マイクロフルイデックス社製)、アルティマイザー(スギノマシン社製)又はナノマイザー(大和製罐社製)等を好ましく使用することができる。上記均質化処理機に代えて、例えば超音波乳化機等の均質化処理機を用いてもよい。
次いで、上記油中水型乳化組成物を減圧乾燥することによりベニコウジ色素製剤が得られる。減圧乾燥では自体公知の減圧乾燥装置を使用することができ、減圧乾燥装置の使用条件に特に制限はないが、減圧乾燥時の密閉系内の真空度は、通常約100〜50000Pa、好ましくは約1000〜40000Paであり、減圧乾燥時の密閉系内の温度は、通常約30〜90℃、好ましくは約50〜75℃である。減圧乾燥する時間は、通常約10〜180分、好ましくは約30〜120分である。
本発明のベニコウジ色素製剤は、ベニコウジ色素を含有する固体相と、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルおよび食用油脂を含有する油相とからなる組成物であることが好ましい。また、該固体相が、メジアン径約0.01〜0.2μmの微粒子として油相中に分散したものであることがより好ましい。本発明においてベニコウジ色素を含有する固体相のメジアン径が上記範囲であると、ベニコウジ色素の光に対する安定性が顕著に向上する。該ベニコウジ色素を含有する固体相のメジアン径は、約0.02〜0.17μmであることがさらに好ましく、約0.03〜0.13μmであることが特に好ましい。
本発明のベニコウジ色素製剤中の固体相のメジアン径は、例えば、ベニコウジ色素製剤をヘキサンに分散させて試験液を調製し、該試験液中の固体相微粒子のメジアン径を動的光散乱式粒径分布測定装置(型式:LB−500;堀場製作所社製)を用いて測定することにより求めることができる(粒子径基準:体積、試料屈折率:1.600、分散媒屈折率:1.376)。
本発明のベニコウジ色素製剤の水分含有量は、約5質量%以下であることが好ましい。本発明において製剤中の水分含有量が上記範囲であると、ベニコウジ色素の光に対する安定性が向上し、また、該ベニコウジ色素製剤を暗所で保存する場合のベニコウジ色素の経時的退色および変色が抑制される。該ベニコウジ色素製剤の水分含有量は、約2質量%以下であることがさらに好ましく、約0.5質量%以下であることが特に好ましく、約0.2質量%以下であることが一層好ましい。
尚、本発明により得られるベニコウジ色素製剤中の水分含有量は、『第8版 食品添加物公定書』に記載の「19.水分測定法(カールフィッシャー法)」に基づいて測定することができる。
本発明のベニコウジ色素製剤100質量%中のベニコウジ色素、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルおよび食用油脂の含有量に特に制限はないが、例えばベニコウジ色素が通常約0.05〜35質量%、好ましくは約0.1〜20質量%、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルが通常約0.5〜70質量%、好ましくは約1〜50質量%、食用油脂が通常20〜99質量%、好ましくは約40〜95質量%となるように調整するのが好ましい。ベニコウジ色素、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルおよび食用油脂の含有量が上記範囲であると、加工食品等にベニコウジ色素製剤が添加された状態において、該製剤に含まれるベニコウジ色素の光に対する安定性が顕著に向上するため好ましい。
本発明のベニコウジ色素製剤中には、本発明の目的および効果を阻害しない範囲で、例えば、ベニコウジ色素以外の色素や酸化防止剤(例えば、抽出トコフェロール、アスコルビン酸パルミチン酸エステルなど)などを添加してもよい。
本発明のベニコウジ色素製剤は、例えば、パン・焼き菓子類、カマボコ、珍味類などの水産加工品、焼き豚、ハム・ソーセージ、鮭フレーク、ラー油、チョコレート、粉末調味料など赤色色素が使用される各種の加工食品および口紅などの化粧品の着色に使用でき、とりわけカマボコの着色に好適に用いることができる。
本発明のベニコウジ色素製剤を用いて食品を着色する方法に特に制限はなく、自体公知の方法により実施することができる。ベニコウジ色素製剤の食品に対する添加量は、その色価や食品の種類などにより異なるが、食品100質量%に対して、好ましくは約0.01〜5.0質量%、より好ましくは約0.02〜3.0質量%である。
(a)ベニコウジ色素を、(b)上記乳化力試験における乳化相の割合が81〜89%であるポリグリセリン縮合リシノール酸エステルおよび(c)食用油脂を含有する油相中に分散させることにより、ベニコウジ色素の光に対する安定性を向上させることができる。このような、(a)ベニコウジ色素を、(b)乳化力試験における乳化相の割合が81〜89%であるポリグリセリン縮合リシノール酸エステルおよび(c)食用油脂を含有する油相中に分散させる工程を含むベニコウジ色素の光安定化方法も、本発明の1つである。
ベニコウジ色素を上記油相中に分散させる方法としては、上述したベニコウジ色素製剤の製造方法において油中水型乳化組成物を製造する方法と同様である。また、上述したようにベニコウジ色素を含有する固体相を油相中に分散させることが好ましく、該固体相をメジアン径約0.01〜0.2μmの微粒子として油相中に分散させることがより好ましい。ベニコウジ色素を含有する固体相のメジアン径は、約0.02〜0.17μmであることがさらに好ましく、約0.03〜0.13μmであることが特に好ましい。
以下に本発明を実施例、比較例および試験例に基づいて、より具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下の実施例および比較例で用いるポリグリセリン縮合リシノール酸エステル、および該ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルについての下記乳化力試験における乳化相の割合を表1に示す。
Figure 2009263650
<乳化力試験>
1)500ml容ビーカーに菜種白絞油(ボーソー油脂社製)200gおよびポリグリセリン縮合リシノール酸エステル0.80gを入れて混合し、60℃に加温して油相とした。
2)1)の油相をミキサー部と邪魔板との間隙を2.5cmに固定した乳化機(型式:T.K.ホモミクサーMARKII 2.5型;プライミクス社製)を用いて3000rpmで撹拌しながら、該油相に60℃に加温した精製水200gを90秒間かけて加えた。
3)さらに60℃に調温しながら10000rpmで3分間撹拌して油中水型乳化物を得た。
4)3)の油中水型乳化物を100ml容有栓メスシリンダーに100ml入れ37℃の恒温器で120時間保存した。保存後、油相、乳化相および水相に分離したメスシリンダーの内容物について乳化相の体積(ml)を測定し、次式に基づいて乳化相の割合(%)を計算した。
Figure 2009263650
以下の実施例および比較例で用いるベニコウジ色素粉末についての下記親水性判別試験における分配係数を表2に示す。
Figure 2009263650
<親水性判別試験>
1)ベニコウジ色素粉末(色価1000換算)0.002gを50ml容共栓付比色管に入れ、イオン交換水15mlを加え、よく混合して溶解液を得た。
2)1)の溶解液に1−オクタノール(試薬特級;和光純薬工業社製)15mlを加え、前記比色管を上下に180度づつ回転させながら5分間振とうした(回転数20回/分)。
3)振とう後、前記比色管の内容物を50ml容遠心ボトルに入れ、遠心分離機を使用して遠心加速度12000×gで15分間遠心分離を行った。
4)遠心分離後、前記遠心ボトル内の1−オクタノール相および水相を採取し、これらの相の各々について、分光光度計を使用して可視極大吸収波長における吸光度および660nmにおける吸光度を測定した。
5)1−オクタノール相の可視極大吸収波長における吸光度をO1、1−オクタノール相の660nmにおける吸光度をO2、水相の可視極大吸収波長における吸光度をW1、水相の660nmにおける吸光度をW2とし、次式に基づいて分配係数を計算した。
Figure 2009263650
[実施例1]
1)菜種サラダ油(岡村製油社製)128gおよびポリグリセリン縮合リシノール酸エステル(市販品A)16gを300ml容トールビーカーに入れて70℃に加温し、スパーテルで撹拌して溶解して油相とした。
2)ベニコウジ色素粉末a(商品名:リケカラーR−4200(SD);色価2000;理研ビタミン社製)4gをイオン交換水12gに溶解して60℃に加温して水相とした。
3)1)で得た油相をクレアミックス(型式:CLM−0.8S;エム・テクニック社製)を用いて4500rpmで撹拌しながら、2)で得た水相を該油相中に加え、更に該クレアミックスにて70℃、17000rpmの条件で10分間撹拌し、油中水型乳化組成物を得た。
4)3)で得た油中水型乳化組成物のうち50gを500ml容ナス型フラスコに入れ、ダイヤフラム真空ポンプ(型式:V−700;日本ビュッヒ社製)を用いて、温度65℃の条件で該フラスコ内の真空度を30000Paから徐々に2000Paとし、さらに2000Paで30分間減圧乾燥し、ベニコウジ色素製剤(実施品1)46gを得た。
5)該製剤中の水分を上記カールフィッシャー法(機器名:カールフィッシャー水分計 MKA−610;京都電子工業社製、滴定試薬:アクアミクロン滴定剤SS;三菱化学社製、脱水溶剤:アクアミクロン脱水溶剤CM;三菱化学社製)で測定した結果、0.2質量%であった。
[実施例2]
実施例1のポリグリセリン縮合リシノール酸エステル(市販品A)16gに替えて、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル(市販品B)16gを使用したこと以外は、実施例1と同様に実施し、ベニコウジ色素製剤(実施品2)46gを得た。該製剤中の水分含有量を同様に測定した結果、0.2質量%であった。
[実施例3]
実施例1のポリグリセリン縮合リシノール酸エステル(市販品A)16gに替えて、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル(市販品C)16gを使用したこと以外は、実施例1と同様に実施し、ベニコウジ色素製剤(実施品3)46gを得た。該製剤中の水分含有量を同様に測定した結果、0.2質量%であった。
[実施例4]
1)菜種サラダ油(岡村製油社製)80gおよびポリグリセリン縮合リシノール酸エステル(市販品B)48gを300ml容トールビーカーに入れて65℃に加温し、スパーテルで撹拌して溶解して油相とした。
2)ベニコウジ色素粉末a(商品名:リケカラーR−4200(SD);色価2000;理研ビタミン社製)4gをイオン交換水14gおよびエタノール(試薬1級、和光純薬工業社製)14gに溶解して65℃に加温して水相とした。
3)1)で得た油相をクレアミックス(型式:CLM−0.8S;エム・テクニック社製)を用いて4500rpmで撹拌しながら、2)で得た水相を該油相中に加え、更に該クレアミックスにて60℃、10000rpmの条件で20分間撹拌し、油中水型乳化組成物を得た。
4)3)で得た油中水型乳化組成物のうち50gを500ml容ナス型フラスコに入れ、ダイヤフラム真空ポンプ(型式:V−700;日本ビュッヒ社製)を用いて、温度65℃の条件で該フラスコ内の真空度を30000Paから徐々に2000Paとし、さらに2000Paで30分間減圧乾燥し、ベニコウジ色素製剤(実施品4)41gを得た。該製剤中の水分含有量を同様に測定した結果、0.1質量%であった。
[実施例5]
1)ベニコウジ色素水/エタノール溶液(商品名:リケカラーRPH−30;色価63;理研ビタミン社製)200gを1000ml容ナス型フラスコに入れ、ダイヤフラム真空ポンプ(型式:V−500;日本ビュッヒ社製)を用いて、温度45℃の条件で該フラスコ内の真空度を13000Paから徐々に6000Paとし、ベニコウジ色素溶液の量が90gになるまで減圧乾燥し、ベニコウジ色素水/エタノール溶液の濃縮液を得た。
2)1)の濃縮液を500ml容ビーカーに入れ、−80℃で凍結し、凍結乾燥機(型式:DC500;ヤマト科学社製)を用いて、真空度5Paの条件で凍結乾燥を行い、ベニコウジ色素粉末b(色価1200)10.5gを得た。
3)菜種サラダ油(岡村製油社製)88gおよびポリグリセリン縮合リシノール酸エステル(市販品B)48gを300ml容トールビーカーに入れて70℃に加温し、スパーテルで撹拌して溶解して油相とした。
4)2)のベニコウジ色素粉末b7gをイオン交換水17gに溶解して60℃に加温して水相とした。
5)3)で得た油相をクレアミックス(型式:CLM−0.8S;エム・テクニック社製)を用いて4500rpmで撹拌しながら、2)で得た水相を該油相中に加え、更に該クレアミックスにて70℃、17000rpmの条件で10分間撹拌し、油中水型乳化組成物を得た。
6)5)で得た油中水型乳化組成物のうち50gを500ml容ナス型フラスコに入れ、ダイヤフラム真空ポンプ(型式:V−700;日本ビュッヒ社製)を用いて、温度65℃の条件で該フラスコ内の真空度を30000Paから徐々に2000Paとし、さらに2000Paで30分間減圧乾燥し、ベニコウジ色素製剤(実施品5)45gを得た。
7)該製剤中の水分を上記カールフィッシャー法(機器名:カールフィッシャー水分計MKA−610;京都電子工業社製、滴定試薬:アクアミクロン滴定剤SS;三菱化学社製、脱水溶剤:アクアミクロン脱水溶剤CM;三菱化学社製)で測定した結果、0.2質量%であった。
[実施例6]
1)ベニコウジ色素水/エタノール溶液(商品名:リケカラーRPH−60;色価63;理研ビタミン社製)200gを1000ml容ナス型フラスコに入れ、ダイヤフラム真空ポンプ(型式:V−500;日本ビュッヒ社製)を用いて、温度45℃の条件で該フラスコ内の真空度を13000Paから徐々に6000Paとし、ベニコウジ色素溶液の量が90gになるまで減圧乾燥し、ベニコウジ色素水/エタノール溶液の濃縮液を得た。
2)1)の濃縮液を500ml容ビーカーに入れ、−80℃で凍結し、凍結乾燥機(型式:DC500;ヤマト科学社製)を用いて、真空度5Paの条件で凍結乾燥を行い、ベニコウジ色素粉末c(色価1150)10.9gを得た。
3)菜種サラダ油(岡村製油社製)88gおよびポリグリセリン縮合リシノール酸エステル(市販品B)48gを300ml容トールビーカーに入れて70℃に加温し、スパーテルで撹拌して溶解して油相とした。
4)2)のベニコウジ色素粉末c7gをイオン交換水17gに溶解して60℃に加温して水相とした。
5)3)で得た油相をクレアミックス(型式:CLM−0.8S;エム・テクニック社製)を用いて4500rpmで撹拌しながら、4)で得た水相を該油相中に加え、更に該クレアミックスにて70℃、17000rpmの条件で10分間撹拌し、油中水型乳化組成物を得た。
6)5)で得た油中水型乳化組成物のうち50gを500ml容ナス型フラスコに入れ、ダイヤフラム真空ポンプ(型式:V−700;日本ビュッヒ社製)を用いて、温度65℃の条件で該フラスコ内の真空度を30000Paから徐々に2000Paとし、さらに2000Paで30分間減圧乾燥し、ベニコウジ色素製剤(実施品6)45gを得た。
7)該製剤中の水分を上記カールフィッシャー法(機器名:カールフィッシャー水分計MKA−610;京都電子工業社製、滴定試薬:アクアミクロン滴定剤SS;三菱化学社製、脱水溶剤:アクアミクロン脱水溶剤CM;三菱化学社製)で測定した結果、0.2質量%であった。
[実施例7]
1)ベニコウジ色素水/エタノール溶液(商品名:リケカラーRPH−30;色価63;理研ビタミン社製)400gを2000ml容ナス型フラスコに入れ、ダイヤフラム真空ポンプ(型式:V−500;日本ビュッヒ社製)を用いて、温度45℃の条件で該フラスコ内の真空度を13000Paから徐々に6000Paとし、ベニコウジ色素溶液の量が180gになるまで減圧乾燥し、ベニコウジ色素水/エタノール溶液の濃縮液を得た。
2)1)の濃縮液を500ml容ビーカーに入れ、−80℃で凍結し、凍結乾燥機(型式:DC500;ヤマト科学社製)を用いて、真空度5Paの条件で凍結乾燥を行い、ベニコウジ色素粉末(色価1200)21.0gを得た。
3)2)のベニコウジ色素粉末13.0gを500ml容ビーカーに入れ、イオン交換水42gおよびエタノール(試薬1級、和光純薬工業社製)45gを加えて溶解させ、これにアセトン(試薬特級、和光純薬工業社製)200gを徐々に(10g/分)加え、さらに15分間撹拌した。
4)攪拌後、ビーカー内の沈殿画分をデカンテーションにて回収し、500ml容ナス型フラスコに入れ、ダイヤフラム真空ポンプ(型式:V−500;日本ビュッヒ社製)を用いて該フラスコ内の真空度を500Paとして減圧乾燥し、ベニコウジ色素粉末d(色価960)8.2gを得た。
5)菜種サラダ油(岡村製油社製)88gおよびポリグリセリン縮合リシノール酸エステル(市販品B)48gを300ml容トールビーカーに入れて70℃に加温し、スパーテルで撹拌して溶解して油相とした。
6)4)のベニコウジ色素粉末d7gをイオン交換水17gに溶解して60℃に加温して水相とした。
7)5)で得た油相をクレアミックス(型式:CLM−0.8S;エム・テクニック社製)を用いて4500rpmで撹拌しながら、2)で得た水相を該油相中に加え、更に該クレアミックスにて70℃、17000rpmの条件で10分間撹拌し、油中水型乳化組成物を得た。
8)7)で得た油中水型乳化組成物のうち50gを500ml容ナス型フラスコに入れ、ダイヤフラム真空ポンプ(型式:V−700;日本ビュッヒ社製)を用いて、温度65℃の条件で該フラスコ内の真空度を30000Paから徐々に2000Paとし、さらに2000Paで30分間減圧乾燥し、ベニコウジ色素製剤(実施品7)45gを得た。
9)該製剤中の水分を上記カールフィッシャー法(機器名:カールフィッシャー水分計 MKA−610;京都電子工業社製、滴定試薬:アクアミクロン滴定剤SS;三菱化学社製、脱水溶剤:アクアミクロン脱水溶剤CM;三菱化学社製)で測定した結果、0.2質量%であった。
[比較例1]
実施例1のポリグリセリン縮合リシノール酸エステル(市販品A)16gに替えて、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル(市販品D)16gを使用したこと以外は、実施例1と同様に実施し、ベニコウジ色素製剤(比較品1)46gを得た。該製剤中の水分を同様に測定した結果、0.2質量%であった。
[比較例2]
実施例1のポリグリセリン縮合リシノール酸エステル(市販品A)16gに替えて、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル(市販品E)16gを使用したこと以外は、実施例1と同様に実施し、ベニコウジ色素製剤(比較品2)46gを得た。該製剤中の水分を同様に測定した結果、0.2質量%であった。
[試験例1]製剤中のベニコウジ色素の粒子径測定
実施例1〜7並びに比較例1および2で製造したベニコウジ色素製剤(実施品1〜7並びに比較品1および2)それぞれについて、該製剤中のベニコウジ色素を含有する固体相微粒子のメジアン径を測定した。具体的には、ベニコウジ色素製剤(実施品1〜7並びに比較品1および2)を各々ヘキサンに分散させて試験液を調製し、該試験液中の固体相微粒子のメジアン径を動的光散乱式粒径分布測定装置(型式:LB−500;堀場製作所社製)を用いて測定した(粒子径基準:体積、試料屈折率:1.600、分散媒屈折率:1.376)。
結果を表3に示す。
Figure 2009263650
表1および表3の結果から、上記乳化力試験における乳化相の割合が81〜89%の範囲内にあるポリグリセリン縮合リシノール酸エステルを用いた場合には、該範囲外のものを用いた場合に比べ、ベニコウジ色素を含有する固体相微粒子のメジアン径が顕著に小さいベニコウジ色素製剤が得られることが明らかであった。
[試験例2]着色カマボコの光安定性試験(1)
冷凍調理すり身(大冷社製)を解凍し、フードプロセッサー(型式:MK−K48;松下電器産業社製)を用いて均一になるまで破砕した。破砕した該調理すり身120gに、実施例1〜3並びに比較例1および2で製造したベニコウジ色素製剤(実施品1〜3並びに比較品1および2)2.6gまたは実施例4で製造したベニコウジ色素製剤(実施品4)2.3gを加え、スパーテルで均一になるまで混合し、着色すり身を得た。得られた着色すり身90gをナイロン製の耐熱袋(15×24cm)に入れて真空包装し、該袋内の着色すり身を厚さ約10mmに均一に整えた。真空包装された着色すり身を88℃の温水浴下で30分間加熱し、着色カマボコ試料を調製した。また、対照として、従来からカマボコの着色に使用されているベニコウジ色素水/エタノール溶液(対照品A;商品名:リケカラーR−30;色価63;理研ビタミン社製)2.3gを用いて同様に着色すり身を調製した。
真空包装された着色カマボコ試料の半分を包装の外側からアルミ箔で覆って遮光し、10℃、6700ルクスの条件で、光安定性試験機(型式:PT−400NC;日本医化器械製作所社製)内で6時間保存した。保存後、着色カマボコ試料を、包装の外側から黒色試料押さえを用いて固定し、分光式色彩計(型式:SE−2000、日本電色工業社製)で光照射部分および遮光部分の色調(L*a*b*値)を各々測定し(測定径:直径10mm)、測定された色調および次式に基づいて、光照射部分と遮光部分のL*a*b*色差(ΔE*(ab))を算出した。結果を表4に示す。
Figure 2009263650
上記式中、L*は、明度を表す。a*は、赤方向の色度を表す。b*は、黄方向の色度を表す。ΔE*(ab)は変色の程度を表す。
Figure 2009263650
表1および表4の結果から、上記乳化力試験における乳化相の割合が81〜89%の範囲内にあるポリグリセリン縮合リシノール酸エステルを用いて製造したベニコウジ色素製剤(実施品1〜5)により着色したカマボコは、該範囲外のポリグリセリン縮合リシノール酸エステルを用いて製造したベニコウジ色素製剤(比較品1〜2、および対照品A)により着色したカマボコに比べ、光照射による色差が小さく、相対的に光に対する安定性が改善されたものであった。また、上記乳化力試験における乳化相の割合が81〜89%の範囲内にあるポリグリセリン縮合リシノール酸エステルを用いて製造したベニコウジ色素製剤により着色したカマボコは、従来からカマボコの着色に使用されているベニコウジ色素水/エタノール溶液で着色したカマボコとの比較においても、相対的に光に対する安定性が改善されたものであった。
[試験例3]着色カマボコの光安定性試験(2)
冷凍調理すり身(大冷社製)を解凍し、フードプロセッサー(型式:MK−K48;松下電器産業社製)を用いて均一になるまで破砕した。破砕した該調理すり身120gに、実施例4で製造したベニコウジ色素製剤(実施品4)1.0g、実施例5で製造したベニコウジ色素製剤(実施品5)1.0g、実施例6で製造したベニコウジ色素製剤(実施品6)1.1gまたは実施例7で製造したベニコウジ色素製剤(実施品7)1.3gを加え、スパーテルで均一になるまで混合し、着色すり身を得た。得られた着色すり身90gをナイロン製の耐熱袋(15×24cm)に入れて真空包装し、該袋内の着色すり身を厚さ約10mmに均一に整えた。真空包装された着色すり身を88℃の温水浴下で30分間加熱し、着色カマボコ試料を調製した。また、対照として、従来からカマボコの着色に使用されているベニコウジ色素水/エタノール溶液(対照品A;商品名:リケカラーR−30;色価63;理研ビタミン社製)1.0gまたはベニコウジ色素水/エタノール溶液(対照品B;商品名:リケカラーRPH−30;色価63;理研ビタミン社製)1.0gを用いて同様に着色すり身を調製した。
真空包装された着色カマボコ試料の半分を包装の外側からアルミ箔で覆って遮光し、10℃、3300ルクスの条件で、光安定性試験機(型式:PT−400NC;日本医化器械製作所社製)内で5時間保存した。保存後、着色カマボコ試料を、包装の外側から黒色試料押さえを用いて固定し、分光式色彩計(型式:SE−2000、日本電色工業社製)で光照射部分および遮光部分の色調(L*a*b*値)を各々測定し(測定径:直径10mm)、測定された色調および次式に基づいて、光照射部分と遮光部分のL*a*b*色差(ΔE*(ab))を算出した。結果を表5に示す。
Figure 2009263650
上記式中、L*は、明度を表す。a*は、赤方向の色度を表す。b*は、黄方向の色度を表す。ΔE*(ab)は変色の程度を表す。
Figure 2009263650
表1、表2および表5の結果から、上記乳化力試験における乳化相の割合が81〜89%の範囲内にあるポリグリセリン縮合リシノール酸エステルを用いて製造したベニコウジ色素製剤(実施品4〜7)のうち、上記親水性判別試験におけるベニコウジ色素粉末の分配係数が、−1.2〜−0.1の範囲内にあるベニコウジ色素粉末を用いて製造したベニコウジ色素製剤(実施品5〜7)により着色したカマボコは、ベニコウジ色素粉末の分配係数が該範囲外にあるベニコウジ色素粉末を用いて製造したベニコウジ色素製剤(実施品4)により着色したカマボコに比べ、光照射による色差がより小さく、相対的に光に対する安定性がさらに改善されたものであった。

Claims (3)

  1. (a)ベニコウジ色素、(b)下記乳化力試験における乳化相の割合が81〜89%であるポリグリセリン縮合リシノール酸エステルおよび(c)食用油脂を含有するベニコウジ色素製剤。
    <乳化力試験>
    1)500ml容ビーカーに菜種白絞油(ボーソー油脂社製)200gおよびポリグリセリン縮合リシノール酸エステル0.80gを入れて混合し、60℃に加温して油相とする。
    2)1)の油相をミキサー部と邪魔板との間隙を2.5cmに固定した乳化機(型式:T.K.ホモミクサーMARKII 2.5型;プライミクス社製)を用いて3000rpmで撹拌しながら、該油相に60℃に加温した精製水200gを90秒間かけて加える。
    3)さらに、60℃に調温しながら10000rpmで3分間撹拌して油中水型乳化物を得る。
    4)3)で得た油中水型乳化物を100ml容有栓メスシリンダーに100ml入れ37℃の恒温器で120時間保存する。保存後、油相、乳化相および水相に分離したメスシリンダーの内容物について乳化相の体積(ml)を測定し、次式に基づいて乳化相の割合(%)を計算する。
    Figure 2009263650
  2. ベニコウジ色素がベニコウジ色素粉末であり、該ベニコウジ色素粉末について下記親水性判別試験を実施した場合の分配係数が−1.2〜−0.1である、請求項1のベニコウジ色素製剤。
    <親水性判別試験>
    1)ベニコウジ色素粉末(色価1000換算)0.002gを50ml容共栓付比色管に入れ、イオン交換水15mlを加え、よく混合して溶解液を得る。
    2)1)の溶解液に1−オクタノール(試薬特級;和光純薬工業社製)15mlを加え、前記比色管を上下に180度づつ回転させながら5分間振とうする(回転数20回/分)。
    3)振とう後、前記比色管の内容物を50ml容遠心ボトルに入れ、遠心分離機を使用して遠心加速度12000×gで15分間遠心分離を行う。
    4)遠心分離後、前記遠心ボトル内の1−オクタノール相および水相を採取し、これらの相の各々について、分光光度計を使用して可視極大吸収波長における吸光度および660nmにおける吸光度を測定する。
    5)1−オクタノール相の可視極大吸収波長における吸光度をO1、1−オクタノール相の660nmにおける吸光度をO2、水相の可視極大吸収波長における吸光度をW1、水相の660nmにおける吸光度をW2とし、次式に基づいて分配係数を計算する。
    Figure 2009263650
  3. (a)ベニコウジ色素を含有する水相と、(b)下記乳化力試験における乳化相の割合が81〜89%であるポリグリセリン縮合リシノール酸エステルおよび(c)食用油脂を含有する油相とを乳化して油中水型乳化組成物を得る工程と、該油中水型乳化組成物を減圧乾燥する工程とを含むことを特徴とするベニコウジ色素製剤の製造方法。
    <乳化力試験>
    1)500ml容ビーカーに菜種白絞油(ボーソー油脂社製)200gおよびポリグリセリン縮合リシノール酸エステル0.80gを入れて混合し、60℃に加温して油相とする。
    2)1)の油相をミキサー部と邪魔板との間隙を2.5cmに固定した乳化機(型式:T.K.ホモミクサーMARKII 2.5型;プライミクス社製)を用いて3000rpmで撹拌しながら、該油相に60℃に加温した精製水200gを90秒間かけて加える。
    3)さらに、60℃に調温しながら10000rpmで3分間撹拌して油中水型乳化物を得る。
    4)3)で得た油中水型乳化物を100ml容有栓メスシリンダーに100ml入れ37℃の恒温器で120時間保存する。保存後、油相、乳化相および水相に分離したメスシリンダーの内容物について乳化相の体積(ml)を測定し、次式に基づいて乳化相の割合(%)を計算する。
    Figure 2009263650
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