JP2009259590A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】この発明は、燃料電池内部の異常を早期に検出することができる燃料電池システムを提供することを目的とする。
【解決手段】燃料電池システムは、燃料電池10と、燃料電池10のアノードに連通する水素タンク12、供給管14および水素調圧弁16を備える。燃料電池10のアノードの下流には排気管20が接続し、排気管20には排気弁22が設けられる。燃料電池システムは、排気弁22を閉じて運転を行う状態であるデッドエンド運転状態と、排気弁22の排気流量を微小量にして運転を行う状態である少量排気運転状態とのうち、少なくとも一方の運転状態を実現することができる。差圧計24は、供給管14と排気管20との差圧を計測する。差圧計24が計測した差圧に基づいて、燃料電池10の内部の異常を検出する。
【選択図】図1

Description

この発明は、燃料電池システムに関する。
従来、例えば、下記の特許文献1に開示されているように、燃料電池のガス流路下流に供えられた排気機構を閉じながら(または、その開度を絞りながら)、発電を行う燃料電池システムが知られている。このような燃料電池システムによれば、燃料ガス流路の下流を閉塞して運転を行ったり(以下「デッドエンド運転」とも称す)、燃料ガス流路の下流から排出されるガスの排出量を微小量にして運転を行ったり(以下、「少量排気運転」とも称す)することが可能である。デッドエンド運転や少量排気運転によれば、発電を行う上で、燃料ガスの利用効率を高めることができる。
特開平9−312167号公報 特開2007−188665号公報
燃料電池の内部で生ずる種々の異常を検出することは、重要である。デッドエンド運転や少量排気運転を行う燃料電池システムでは、時間経過に応じてガス流路内に不純物質が蓄積されていく。この不純物質が燃料電池のガス流路下流側で燃料ガスを部分的に欠乏させると(以下、「燃料欠乏異常」とも称す)、燃料電池内部の触媒が劣化するおそれがある。また、燃料電池内部でドライアップやフラッディングといった異常が生じた場合にも、燃料電池の良好な発電が妨げられてしまう。これらの異常を早い段階で検出し、的確な措置をとりたいという要望は高い。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、燃料電池内部の異常を早期に検出することができる燃料電池システムを提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、
燃料ガスの供給を受けて発電する発電体と、該発電体と接しながら、該発電体の表面に沿って延びる燃料ガス流路とを有する燃料電池と、
前記燃料ガス流路に燃料ガスを供給する燃料ガス供給機構と、を備え、
前記燃料ガス流路の下流を閉塞して運転を行う状態であるデッドエンド運転状態と、該燃料ガス流路の下流から排出されるガスの排出量を該燃料ガス流路に流れ込むガスの量に比して微小量にして運転を行う状態である少量排気運転状態とのうち、少なくとも一方の運転状態を実現することができる燃料電池システムであって、
さらに、
前記燃料ガス流路の上流のガスの圧力と、該燃料ガス流路の下流のガスの圧力との差を測定することができる測定手段と、
前記測定手段が測定した圧力の差に基づいて、前記燃料電池の異常を検出する検出手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第2の発明は、第1の発明において、
前記検出手段が、前記測定手段が測定した圧力の差の大きさが所定の下限値を下回っている場合に、前記燃料ガス流路の下流で燃料が欠乏する異常が発生していると判定する燃料欠乏検出手段を含むことを特徴とする。
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、
前記検出手段が、前記測定手段が測定した圧力の差の大きさと、所定のドライアップ判定値との比較に基づいて、前記燃料電池内部におけるドライアップの発生を検出するドライアップ検出手段を含むことを特徴とする。
また、第4の発明は、第1乃至3の発明のいずれか1つにおいて、
前記検出手段が、前記測定手段が測定した圧力の差の大きさと、所定のフラッディング判定値との比較に基づいて、前記燃料電池内部におけるフラッディングの発生を検出するフラッディング検出手段を含むことを特徴とする。
また、第5の発明は、第3または第4の発明において、
さらに、
前記燃料ガス流路下流のガス中の燃料濃度を検出する濃度検出手段を備え、
前記検出手段が、前記濃度検出手段が検出した燃料濃度に基づいて、前記燃料ガス流路の下流で燃料が欠乏する異常が発生しているか否かを判定することを特徴とする。
また、第6の発明は、第2乃至第5の発明のいずれか1つにおいて、
前記所定の下限値、前記フラッディング判定値および前記ドライアップ判定値のうち少なくとも1つが、前記燃料ガス供給機構から前記燃料ガス流路に供給されるガスの単位時間当たりの流量が多いほど大きな値をとるように定められていることを特徴とする。
第1の発明によれば、次の効果が得られる。燃料ガス流路の上流のガスと下流のガスの圧力の差(以下、「圧力差」とも称す)は、発電体の発電状態の変化に応じて増加または減少する。当該圧力差の変化に着目すれば、発電体の発電状態の変化の情報を早い段階で得ることができる。第1の発明によれば、この点を利用し、燃料ガス流路の上流と下流のガスの圧力差に基づいて異常検出を行うことにより、燃料電池内部の異常を早期に検出することができる。
第2の発明によれば、燃料ガス流路の上流と下流のガスの圧力差に基づいて、燃料の欠乏により生ずる発電分布の偏りを早期に検出することが可能である。従って、燃料ガス流路下流における燃料欠乏異常を、早期に検出することができる。
第3の発明によれば、次の効果が得られる。ドライアップが生ずると、燃料電池内部のガスの消費傾向が変化し、その変化が燃料ガス流路の上流と下流のガスの圧力差に反映される。第3の発明によれば、この点を利用して、燃料電池内部におけるドライアップの発生を早期に検出することができる。
第4の発明によれば、次の効果が得られる。フラッディングが生ずると、燃料電池内部のガスの消費傾向が変化し、その変化が燃料ガス流路の上流と下流のガスの圧力差に反映される。第4の発明によれば、この点を利用して、燃料電池内部におけるフラッディングの発生を早期に検出することができる。
第5の発明によれば、燃料ガス流路の下流で燃料欠乏異常が生じている状況を、ドライアップやフラッディングから、的確に区別して検出することができる。
第6の発明によれば、燃料ガス流路に流入する燃料ガスの流量の変化の影響を、異常検出用の種々の値(下限値、フラッディング判定値、ドライアップ判定値)に反映させた上で、燃料ガス流路上流下流のガスの圧力差に基づく異常検出を行うことができる。その結果、燃料ガス流路に流入する燃料ガスの流量が変動する状況下で、精度良く異常判定を行うことができる。
実施の形態1.
[実施の形態1の構成]
図1は、本発明の実施の形態1の燃料電池システムの構成を模式的に示す図である。実施の形態1の燃料電池システムは、燃料電池10を備えている。通常、燃料電池10は、複数の単位セル2を積層してなる燃料電池スタックとして使用される。単位セル2は、膜電極接合体を一対の集電板で挟んだ構成になっている。膜電極接合体は、固体高分子電解質膜の両面に触媒が一体化されたものであり、さらにその各面にはカーボンシート等で作られたガス拡散層が一体化されている。集電板は、隣接する2枚の膜電極接合体の間を仕切るセパレータとしても機能している。個々の単位セル2は、アノードに燃料ガスとしての水素の供給を受け、カソードに空気の供給を受けて発電する。
燃料電池10には、水素タンク12から燃料電池10に水素を供給するための供給管14が接続されている。供給管14の途中には、水素調圧弁16が配置されている。水素は、水素調圧弁8で減圧され所望の圧力に調整されてから、燃料電池10に供給される。燃料電池10に供給された水素は、燃料電池10内に形成された供給マニホールド(図示略)によって各単位セル2のアノードに分配される。
本実施の形態の燃料電池システムは、燃料電池10内からアノードオフガスを抜き出すための排気管20を備えている。この排気管20は、燃料電池10内に形成された排気マニホールド(図示略)を介して、各単位セル2のアノード側ガス流路の下流側端部に接続されている。アノード側ガス流路内のガス(アノードガス)は、排気マニホールドに集められて排気管20に排出される。排気管20の先端は、大気に開放されるか、若しくは、希釈器に接続されている。
排気管20には、排気管20の連通状態を切り替える排気機構として、デューティ制御が可能な電磁式の排気弁22が設けられている。排気弁22は、好ましくは、流量の制御性に優れるインジェクタ式とする。排気弁22の動作としては、完全に閉状態(つまり、デューティ比がゼロ)とされる閉塞モードと、所定のデューティ比で開制御される排気モードとが択一的に選択可能である。
閉塞モードが選択されたとき、燃料電池10のアノード側ガス流路と系外との連通は遮断される。一方、排気モードが選択されたときは、アノード側ガス流路と系外との連通が実現されてアノードガスの系外への排気が可能になる。ただし、排気モードでのデューティ比は小さく、系外へ排気されるアノードガスの流量はアノード側ガス流路内での水素の消費量に比較して極微小な値に調整されている。好ましくは、排気モード時の排気量は、電解質膜を介して力ソードからアノードに移動するガスの単位時間あたりの移動量と略同じ量(または、この移動量に応じた量)に設定する。電解質膜を介したガスの移動量は、圧力、温度又は電解質膜の劣化度合等に伴う変化分を考慮しつつ、予め実験的に定めておけばよい。
以下、閉塞モード選択時の燃料電池システムの運転を「デッドエンド運転」と称し、排気モード選択時の燃料電池システムの運転を「少量排気運転」と称す。また、以下の説明では、排気弁22から系外へと単位時間当たりに排出されるガスの量を「排気流量」とも呼称する。
また、実施の形態1のシステムは、燃料電池10のカソードへと空気を供給するための、カソード系を有している。カソード系は、燃料電池10に空気を供給するための空気供給管32と、空気供給管32に備えられたエアコンプレッサ34とを有している。またカソード系は、燃料電池10のカソードの下流と連通するカソード排気管36も備えている。エアコンプレッサ34の作動によって空気供給管32に空気が取り込まれ、この空気が燃料電池10に供給される。燃料電池10に供給された空気は、燃料電池10内に形成された供給マニホールドを介して、個々の単位セル2のカソードに分配される。個々の単位セル2のカソードを通過した空気は、燃料電池10内に形成された排気マニホールドに集められて、カソード排気管36に排出される。
実施の形態1の燃料電池システムは、差圧計24を備えている。図1に示すように、差圧計24は、供給管14と排気管20との間に接続される。差圧計24を用いて、燃料電池10上流位置の供給管14内のガスの圧力と、燃料電池10下流位置の排気管20内のガスの圧力との差ΔP(以下、簡略に「圧力差ΔP」とも称す)を測定することができる。
また、実施の形態1の燃料電池システムは、燃料電池10の発電時における出力電流を計測する電流計26を備えている。
実施の形態1の燃料電池システムは、ECU(Electronic Control Unit)30を備えている。ECU30には、差圧計24および電流計26が接続されており、これらの計器の出力値が入力される。また、ECU30は、水素調圧弁16および排気弁22と接続し、これらの開度或いはデューティ比を所望の値に設定する。また、ECU30は、エアコンプレッサ34に接続し、エアコンプレッサ34の動作を制御する。
図2は、燃料電池10を構成する単位セル2の内部構造を示す図である。図2では、単位セル2の構造とともに、その内部で起きている現象も模式的に示している。図2では、本発明の特徴に特に係る部分を示し、集電体やマニホールド等の部分については図示を省略している。以下、図1とあわせて図2も参照して説明する。
図2に示すように、膜電極接合体40の各面に沿って、燃料ガス流路42と酸化ガス流路44が形成されている。実施の形態1では、燃料ガス流路42に、燃料ガスとして水素を供給する。実施の形態1では、酸化ガス流路44に、酸化ガスとして、空気を供給する。実施の形態1では、燃料ガス流路42内のガスの流れ方向と、酸化ガス流路44内のガスの流れ方向とが、反対向きにされている。このように、単位セル2は、いわゆる、カウンターフロー流路と称されるガス流路構造を有する。
なお、これらのガス流路の形状や構成には限定はない。例えば、集電体(セパレータ)の表面に溝を形成し、その溝を燃料ガス流路42や酸化ガス流路44としてもよい。また、集電体と膜電極接合体40との間に導電性材料からなる多孔体層を設け、多孔体層内の連続する気孔によって燃料ガス流路42や酸化ガス流路44を形成してもよい。
ここで、発電時に単位セル2の内部で起きている現象を説明する。酸化ガス流路44に供給される空気には、発電に使用される酸素(O2)のほかに窒素(N2)が含まれている。窒素は不活性ガスであって発電には供されず、そのまま酸化ガス流路44から系外に排気される。しかし、一部の窒素は、図2中に矢印で模式的に示すように膜電極接合体40を透過して燃料ガス流路42に侵入してしまう。このとき窒素を燃料ガス流路42側に移動させる駆動力となるのは、酸化ガス流路44と燃料ガス流路42との間での窒素の分圧差である。膜電極接合体40を透過した窒素(N2)は、燃料ガス流路42内の水素(H2)の流れによって、図2中に矢印で模式的に示すように燃料ガス流路42の下流へと流されていく。
なお、空気には窒素以外にも水蒸気や二酸化炭素等の発電に供されない不純物質が含まれている。しかし、それらの空気中における濃度は窒素に比較すれば極微小であるので、以下の説明では不純物質として窒素にのみ着目して説明する場合がある。ただし、本発明が想定する不純物質から窒素以外の物質を除外することを意味するものではない。
なお、実施の形態1の燃料電池システムは、下記(i)および(ii)の特徴も備える。
(i)供給ガスが高濃度(純)水素である点
実施の形態1では、燃料電池10に供給される水素は、オフガスが混合されることなく水素タンク(より広義に言えば、水素供給源)から直接供給される。従って、いわゆる循環タイプの燃料電池システムに比して、高濃度の水素が供給されるという特徴を有している。この特徴は、水素供給源として改質器を採用したシステム構成に比べ、水素供給源として高圧タンクや水素吸蔵材料などの高純度の水棄を貯蔵する水素貯蔵装置を採用したシステム構成の方が、より一層顕著になる。
(ii)排出ガスの水素濃度が低い点
実施の形態1では、燃料電池10から排出されるアノードオフガスの水素濃度が、アノードオフガスがそのまま大気に放出されてもよい程度に、低くされる。ただし、希釈器や燃焼器等の、水素濃度を更に低減する装置を介して排出されても良い。いずれにせよ、改質装置の加熱原料としてアノードオフガスを利用するシステムや、アノードオフガスを燃料電池に再度供給する循環型システムといった、効率向上のためにオフガス中の水素エネルギーを利用する燃料電池システムに比べて、実施の形態1の燃料電池システムでは、アノードオフガス中の水素濃度がより低くなるように制御される。
[実施の形態1の異常検出]
以下、実施の形態1の燃料電池システムが行う異常検出について説明する。
図2中に模式的に示したように、デッドエンド運転あるいは少量排気運転を行う場合、窒素が、燃料ガス流路42の下流端部に次第に蓄積されていく。窒素が膜電極接合体40の表面を覆ってしまうと触媒における反応が阻害され、電圧の低下や異常電位による膜電極接合体40の劣化を招いてしまう。このような異常(以下、「燃料欠乏異常」とも称す)をなるべく早期に検出し、的確な措置をとりたいという要望は高い。
本願発明者は、この点に鑑み、鋭意研究を行ったところ、以下述べる異常検出の手法に想到した。
水素は、燃料ガス流路42内を流れる過程で、単位セル2内の発電反応によって消費されていく。また、水素が燃料ガス流路42を流通する過程で、圧力損失が生ずる。このように、燃料ガス流路42内には、発電に伴う水素量の減少と、水素の流通に伴う圧力損失の発生という、2つの現象が生じている。
上述した燃料欠乏異常が発生すると、単位セル2のうち燃料ガス流路42下流部分における発電が阻害される。その結果、単位セル2の発電量の分布が不均一なものとなり、燃料ガス流路42のガス流れ方向に沿って見た場合の、燃料ガス流路42内における水素量の減少傾向(以下、「水素の消費傾向」とも称す)が、変化する。水素の消費傾向が変化すれば、燃料ガス流路42内の水素流量の分布が変化する。その影響を受けて、個々の単位セル2の燃料ガス流路42で生ずる圧力損失の総和が変わり、最終的に、差圧計24が計測する圧力差ΔPが、増加あるいは減少する。
図3および4は、実施の形態1にかかる異常検出の内容の詳細を示す図である。図3は、燃料ガス流路42の入口−出口方向を横軸にとった場合の、単位セル2の、電流密度分布(図3(a))、水素流量分布(図3(b))および燃料ガス流路42内のガス圧力分布(図3(c))を、模式的に示している。また、図4は、本願発明者が燃料ガス流路42内の状態変化の過程を考察した内容をまとめたフロー図である。
図3(a)〜(c)において、電流密度、水素流量、圧力のそれぞれにおいて、実線で示した分布が互いに対応している。つまり、図3(a)の実線の電流密度分布を示している状態では、水素流量と圧力は、それぞれ、図3(b)、(c)の実線の分布を示すものとする。同様に、図3(a)〜(c)において破線で示した分布が、互いに対応する。
図3(a)に実線で示した電流密度分布は、燃料ガス流路42の入口から出口にかけて、均一な電流密度を示している。この状態は、単位セル2(膜電極接合体40)の面内において、発電反応が均一に生じている状態である。
このような状態から、窒素が燃料ガス流路42の出口側(下流側)に蓄積されると、この領域の発電反応が阻害される(図4のステップ50)。その結果、単位セル2内の燃料ガス流路42下流側の発電能力は低下する。
下流側の発電能力の低下に応じて、燃料電池10に対する要求出力を満たすべく、図3(a)の破線に示すように、単位セル2の燃料ガス流路42上流側の領域が、より多くの電流を生成するようになる。つまり、電流密度分布が、平坦な分布から、電流密度が燃料ガス流路42の上流側に偏った分布へと、図3(a)に模式的に示すように変化する(図4のステップ52)。
電流密度分布の変化に伴って、燃料ガス流路42内の水素流量は、次に述べるような影響を受ける。
図3(b)は、燃料ガス流路42内における水素流量の分布を示す図である。既述したように、実施の形態1の燃料電池システムは、デッドエンド運転あるいは少量排気運転を行うことができる。このような運転態様のもとでは、基本的に、燃料ガス流路42内に流入した水素は、発電によって略全て消費される。よって、図3(b)に実線で示すように、燃料ガス流路42出口側の水素流量が零になる。また、膜電極接合体40の面内で均一に発電反応が生じているならば、膜電極接合体40の単位面積辺りの水素の消費量が、面内全域でほぼ同じであると考えられる。従って図3(b)の実線のように、燃料ガス流路42の入口から出口に向かって、水素の流量が直線的に(比例的に)減少していく。
しかしながら、図3(a)の破線のように電流密度が燃料ガス流路42上流側に偏った場合には、燃料ガス流路42上流側の水素消費量が増大し、結果的に水素流量分布は図3(b)の破線のようになる。すなわち、燃料ガス流路42の出口位置よりもΔlほど手前で水素が完全に消費される状態で、発電が行われるようになる。
水素流量変化の前後において、水素が燃料ガス流路42内を実質的に流れる距離(言い換えれば、実質的なガス流路長)を比較してみる。つまり、図3(b)の実線と破線とを比較してみる。そうすると、ガス流路長は、実線のときの長さlから、破線のときにはΔlほど短くなり長さlになっている(図4のステップ54)。
実質的なガス流路長が短くなるのに伴い、その影響を受けて、燃料ガス流路42を流れるガスの圧力低下量が減少する。図3(c)は、このような圧力低下量の変化の様子を模式的に示している。実質的なガス流路長が短くなるのに伴い、圧力低下の傾向が、実線から破線へと変化し、燃料ガス流路42の出入口位置のガスの圧力差が、ΔPからΔPer1に変化する。つまり、個々の単位セル2の出口位置のガスの圧力が上昇する。最終的に、燃料電池10の圧力差ΔPが減少する(図4のステップ56)。
以上述べたように、燃料ガス流路42の上流と下流のガスの圧力差は、燃料欠乏異常の発生に伴う電流密度分布の偏りに付随して、減少する。その結果、差圧計26が計測する圧力差ΔPも減少する。そこで、実施の形態1では、圧力差ΔPの減少幅に基づいて、燃料電池10の下流で燃料欠乏異常が生じているか否かを判別することにした。
具体的には、先ず、圧力差ΔPの値が通常発電時(より具体的には、単位セル2の面内の発電分布が概ね均一であるとき)に示しうる範囲を、実験的に或いはシミュレーションで予め特定する。特定した範囲に基づいて、圧力差ΔPの下限値を決定しておく。燃料電池10の発電中に、この下限値と、差圧計24が計測した圧力差ΔPとを比較する。圧力差ΔPが下限値を下回るほどに低下した場合には、燃料電池10の内部で燃料欠乏異常が発生していると判断することができる。
以上説明した実施の形態1によれば、圧力差ΔPに着目することにより、不純物質ガスの蓄積により電流密度分布の偏りが生じた時点で、燃料電池10の内部の燃料欠乏異常を検出することが可能である。従って、燃料欠乏異常を早期に検出することができる。
なお、燃料欠乏異常が発生すると、触媒における発電反応が阻害され、単位セル2の電圧が低下する。この点に着目して、実施の形態1とは異なり、単位セル2の電圧を監視することにより燃料欠乏異常の発生を検出する手法も考えられる。しかしながら、電圧の計測を行う場合、燃料電池の全体の平均電圧を監視することになる。この場合、燃料電池の内部で部分的に燃料が欠乏している状況を、早期に検出することは難しい。電圧低下を検出した時点で、既に触媒劣化等の種々の悪影響が燃料電池の内部で生じ始めている可能性もある。触媒劣化等をできるだけ少ない被害で(より好ましくは未然に)防ぐためには、より早期に燃料欠乏異常を検出したい。
この点、実施の形態1では、圧力差ΔPを監視することにより、単位セル2内部で電流密度分布の偏りが生じた時点で、燃料電池10内部の燃料欠乏異常を検出できる。従って、実施の形態1によれば、平均電圧を根拠として異常検出を行う場合よりも、燃料欠乏異常を早期に検出することができる。
[実施の形態1の具体的処理]
以下、実施の形態1の燃料電池システムが実行する具体的処理を説明する。図5は、実施の形態1の燃料電池システムが実行する具体的処理のフローチャートである。図5に示すルーチンでは、先ず、燃料電池10の出力(本実施形態では出力電流値)が検知される(ステップS100)。このステップでは、具体的には、ECU30が、電流計26の出力に基づいて現在の出力電流値を取得する。
次に、圧力差ΔPを取得するルーチンが実行される(ステップS102)。このステップでは、ECU30が、差圧計24の出力に基づいて、現在の圧力差ΔPの値を取得する。
次に、圧力差ΔPが、所定の下限値を下回っているか否かが判定される(ステップS104)。このステップでは、先ず、ECU30が、予め定められた下限値ΔPth_lのマップを参照し、ステップS100で検知された現在の出力電流値に応じた下限値ΔPth_lを取得する。
図6は、下限値ΔPth_lと出力電流値との関係を規定したマップである。図6に示すように、今回の出力電流値Iに応じて、ΔPth_l(I)が取得される。
下限値ΔPth_lのマップは、例えば、次のような手順で作成できる。先ず、事前に、通常発電状態における圧力差ΔPの値を実験やシミュレーションで把握しておき、圧力差ΔPの許容範囲を確定しておく。この許容範囲の下限値をΔPth_lとすればよい。なお、実施の形態1では、図6に示すように、燃料電池10の出力電流値Iが大きいほど、下限値ΔPth_lが大きな値をとるように、下限値ΔPth_lのマップを作成する。
出力電流値Iが大きいほど、燃料ガス流路42に流入するガスの単位時間当たりの流量は多い。燃料ガス流路42に流入する水素の流量が多いほど、圧力損失は平均的に増加する。実施の形態1では、このような点を考慮して、水素の流量(水素供給量)が異なる複数の状況にも良好に対応できるように、燃料電池10の出力電流値Iが大きいほど下限値ΔPth_lを大きく設定している。その結果、精度良く異常判定を行うことができる。
なお、図6に示す点線は、基準となる圧力差の値であるΔPstdを模式的に図示したものである。ここでは、ΔPstdは、単位セル2の面内で均一に発電が生じている場合に、圧力差ΔPが示す値とする。
ステップS104の条件が否定された場合には、圧力差ΔPは許容範囲内の値を示していると判断され、今回のルーチンが終了する。この場合のΔPは、図6のマップを用いて述べれば、ΔPth_lの直線よりも紙面上方の領域に存在している。
ステップS104の条件が成立した場合には、燃料電池10に燃料欠乏異常が発生していると判断される(ステップS106)。この場合のΔPは、図6のマップを用いて述べれば、ΔPth_lの直線よりも紙面下方の領域に存在する。このステップにおいて、燃料欠乏異常が発生しているという判断が確定される。なお、このステップS106に応じて、外部に発する異常検出用の出力信号を切り換えるなどの処理を実行してもよい。これにより、異常の発生を外部に伝達することができる。
ステップS106に続いて、排気弁22の排気流量を増加する処理が実行される(ステップS108)。このステップでは、具体的には、ECU30が、現在の排気流量から予め定められた分だけ増加するように、排気弁22のデューティ比を変更する。これにより、排気管20からより多くのアノードオフガスが流れ出るようになり、燃料ガス流路42の下流に溜まった不純物質ガスが排出される。その後、今回のルーチンが終了する。
以上の処理によれば、圧力差ΔPの値に基づいて、燃料電池10の燃料欠乏異常の発生を検出することができる。検出した異常に対して排気量の増加を行い、異常に対して適切な措置を取ることができる。
尚、上述した実施の形態1では、燃料電池10が、前記第1の発明における「燃料電池」に、燃料ガス流路42が、前記第1の発明における「燃料ガス流路」に、水素タンク12、供給管14および水素調圧弁16が、前記第1の発明における「燃料ガス供給機構」に、それぞれ相当している。また、実施の形態1では、差圧計24が、前記第1の発明における「測定手段」に相当し、図5のフローチャートのステップS104およびステップS106のルーチンが実行されることにより、前記第1の発明における「検出手段」が実現されている。
[実施の形態1の変形例]
(第1変形例)
実施の形態1の燃料電池システムは、排気弁22を備え、少量排気運転を実現可能なシステムである。しかしながら、本発明はこれに限られるものではない。排気弁を備えておらず燃料電池のアノードの下流が完全に閉塞されているような燃料電池システム(以下、「完全デッドエンドシステム」とも称す)に対しても、本発明を適用することができる。
完全デッドエンドシステムは、アノード内の不純物質ガスの分圧と、カソード内の不純物質ガスとが、ほぼ釣り合った状態で、燃料電池の発電を継続的に行う。換言すれば、完全デッドエンドシステムは、アノードの不純物質ガスの分圧を、カソードの不純物質ガスの分圧まで高めた状態で、継続的に発電する。電解質膜はガスを透過する性質を有している。カソードとアノードとの間にガスの分圧差があると、この分圧差が縮小されるように電解質膜を介してガスが移動する。このような現象の結果、アノードとカソードにおける不純物質ガスの分圧は、やがて略釣り合った状態で安定する。完全デッドエンドシステムは、このような状態で発電を行うシステムである。
第1変形例では、上記の完全デッドエンドシステムに対して、実施の形態1と同様の異常検出を行う。ここでは、説明の簡略化のため、実施の形態1の燃料電池システムにおいて、個々の単位セル2の燃料ガス流路42の下流を閉塞し、かつ、排気管20およびその下流の構成を取り除いたものを、第1変形例の燃料電池システムとする。
この第1変形例に対して、図5のルーチンを実行することにより、実施の形態1と同様に異常検出を行うことができる。但し、第1変形例では、異常が検出された後のステップS108のルーチンを、次に述べるルーチンと交換する。
第1変形例では、燃料欠乏異常が検出された場合に、ECU30が、燃料電池10のカソード側圧力が所定量だけ低下するように、エアコンプレッサ34を制御する。これにより、燃料ガス流路42側から酸化ガス流路44側へと向かう不純物質ガスの透過が、活発になる。その結果、燃料ガス流路42内の不純物質ガスの量を減らし、燃料欠乏を緩和できる。あるいは、水素調圧弁16の開度を大きくして、燃料ガス流路42内の水素分圧を上昇させてもよい。これにより、燃料ガス流路42下流側まで水素を行き渡らせて、燃料欠乏を緩和できる。
以上の第1変形例によれば、完全デッドエンドシステムを対象にして、圧力差ΔPの値に基づいて、燃料電池の燃料欠乏異常の発生を検出することができる。検出した異常に対して、不純物質ガスの減少や水素分圧の増加といった、適切な措置を取ることができる。
なお、実施の形態1や、上記の完全デッドエンドシステムでは、燃料電池のアノードに供給された燃料(上記の実施の形態1では水素)を、略全て、発電反応で消費する。ここでいう略全ての燃料とは、シール構造や電解質膜を介してアノード極の外へとリークしていった分の燃料を除き、供給された全ての燃料であることが好ましい。
(第2変形例)
実施の形態1では、差圧計24を用いて、圧力差ΔPを計測した。しかしながら、本発明はこれに限られるものではない。供給管14と排気管20とに、それぞれ、1つずつ圧力計を取り付けて、これら2つの圧力計が示す圧力値の差分をECU30に計算させてもよい。
(第3変形例)
実施の形態1では、単位セル2がカウンターフロー流路を備えている。しかしながら、本発明はこれに限られるものではない。単位セル2がコフロー流路を備えている場合でも、同様に、圧力差ΔPに基づく異常検出が可能である。
コフロー流路とは、燃料ガス流路内のガスの流れと、酸化ガス流路内のガスの流れとの方向が、同じ向きになるように構成されている流路である。コフロー流路も、燃料ガス流路の下流に不純物質が蓄積していく傾向がある点では、カウンターフロー流路と同じである。
また、カウンターフロー流路やコフロー流路以外にも、例えば、1枚の単位セル2に対して、膜電極接合体40を挟んで、燃料ガス流路と酸化ガス流路とが交差するように構成されるガス流路がある(クロスフロー流路とも称される)。クロスフロー流路も、燃料ガス流路の下流に不純物質が蓄積していく傾向がある点では、カウンターフロー流路と同じである。このようなクロスフロー流路を対象にしても、圧力差ΔPに基づく異常検出が可能である。
実施の形態2.
フラッディングが生ずると、単位セル2内の発電状態が変化して単位セル2面内のガスの消費傾向が変化する。その結果、圧力差ΔPが変化する。実施の形態2では、この点を利用して、圧力差ΔPに基づいて燃料電池10内部のフラッディングを検出する。
[実施の形態2の構成]
図7は、実施の形態2の単位セル202の構成を示す図である。実施の形態2の燃料電池システムは、実施の形態1と同様に、カウンターフロー流路を有する単位セル202を備える。単位セル202は、単位セル2と同様に、膜電極接合体240、燃料ガス流路242、酸化ガス流路244を備えている。
実施の形態2の燃料電池システムは、単位セル2を単位セル202に置き換えた点を除き、実施の形態1と同じ構成を有している。このため、実施の形態2のシステム構成の図は省略し、必要に応じて図1を参照しながら、説明を行う。
[実施の形態2の異常検出]
実施の形態2は、カウンターフロー流路を有する燃料電池を対象にして、燃料電池内部のフラッディングを検出する。以下、図8および9を用いて、実施の形態2にかかる異常検出の詳細を説明する。
図8は、燃料ガス流路242の入口−出口方向を横軸にとった場合の、単位セル2の、電流密度分布(図8(a))、水素流量分布(図8(b))および燃料ガス流路242内のガス圧力分布(図8(c))をそれぞれ模式的に示している。実線が通常の状態を、破線がフラッディング発生時の状態を、それぞれ示している。また、図9は、本願発明者が燃料ガス流路242内の状態変化の過程に関して考察した結果を示す、フロー図である。
カウンターフロー流路を有する単位セル202では、図7に示すように、酸化ガス流路244の出口が、燃料ガス流路242の入口と対向している。カソード側では、空気が、発電生成水を含みながら流れる。このため、酸化ガス流路244の出口側は、相対的に湿度が高い状態にある。膜電極接合体240を介した水分の移動の影響によって、燃料ガス流路242の入口部分も、水分が多くなる。このように、カウンターフロー流路を備える単位セル202では、燃料ガス流路242の入口部分でフラッディングが生じ易くなる。
燃料ガス流路242の入口部分でフラッディングが生じると、燃料ガス流路242の入口部分における膜電極接合体240の発電反応が阻害される(図9のステップ250)。その結果、図8(a)の破線に示すように、燃料ガス流路242の下流側の部分は、電流密度が高くなる(図9のステップ252)。つまり、電流密度が、実施の形態1の場合とは逆に、燃料ガス流路242の下流側に偏る。
発電が阻害されれば水素消費量も減少するので、燃料ガス流路242の入口部分では水素の消費量が微小或いは零となる。このため、図8(b)の破線に示すように、燃料ガス流路242の入口部分(具体的には、入口からΔlの長さの領域)では、フラッディングを生じていない通常の場合に比して、水素の流量が大きな値に維持される(図9のステップ254)。
水素が燃料ガス流路を流れる過程で受ける圧力損失は、水素の流量が多いほど、大きくなる。このため、フラッディングが発生すると、水素の圧力低下の傾向が、図8(c)において模式的に破線で示すように、フラッディング発生前の通常状態(実線)に比してより顕著になる。その結果、燃料ガス流路242の入口部分においてフラッディングが発生した時は、図8(c)で模式的に示すように、単位セル2の出入口の圧力差が、フラッディング発生前であるΔPよりも大きなΔPer2となる。これに応じて、燃料電池10の上流と下流の圧力差ΔPが増加する(図9のステップ256)。
以上述べたように、燃料ガス流路242の上流と下流のガスの圧力差が、フラッディングの発生に伴う電流密度分布の偏りに付随して、増加する。そこで、実施の形態2は、圧力差ΔPの増加幅に基づいて、フラッディングを検出する。
具体的には、先ず、フラッディング未発生と判断される状況下で圧力差ΔPの値が示しうる数値範囲を、実験的に或いはシミュレーションで予め特定し、この範囲に基づいて圧力差ΔPの上限値を決定しておく。この上限値を、フラッディングの判定に用いるための判定値(フラッディング判定値)とする。燃料電池10の発電中に、このフラッディング判定値と、差圧計24が計測した圧力差ΔPとを比較する。圧力差ΔPがフラッディング判定値を上回るほどに大きくなった場合には、燃料電池10の内部でフラッディングが発生していると判断することができる。
以上説明したように、実施の形態2によれば、圧力差ΔPに着目することにより、電流密度分布の偏りが生じた時点で、燃料電池10内のフラッディングを検出することができる。従って、フラッディングを早期に検出することができる。
[実施の形態2の具体的処理]
図10は、実施の形態2の燃料電池システムにおいて実行されるルーチンのフローチャートである。図10に示すルーチンでは、先ず、図5で示した実施の形態1のルーチンと同様に、ステップS100とステップS102の処理が順次実行される。
次に、圧力差ΔPが、フラッディング判定値を超えているか否かが判定される(ステップS274)。このステップでは、先ず、ECU30が、予め定められたフラッディング判定値ΔPth_fのマップを参照し、ステップS100で検知された現在の出力電流値Iに応じたフラッディング判定値ΔPth_f(I)を取得する。以下、簡略のため、フラッディング判定値を、単に「判定値」とも称す。
図11は、実施の形態2の具体的処理で用いられる、判定値ΔPth_fと出力電流値との関係を規定したマップである。図11に示すように、今回の出力電流値Iに応じて、判定値ΔPth_f(I)が取得される。
判定値ΔPth_fのマップは、例えば、次のような手順で作成できる。先ず、事前に、フラッディング発生時の圧力差ΔPの値を実験やシミュレーションで把握しておき、圧力差ΔPの許容範囲を確定しておく。この許容範囲の上限値を判定値ΔPth_fとする。また、実施の形態2では、図11に示すように、燃料電池10の出力電流値Iが大きいほど、判定値ΔPth_fが大きな値をとるように、マップを作成する。
実施の形態1で述べたように、出力電流値Iが大きいほど、燃料ガス流路242に流入する水素の単位時間当たりの流量は多くなる。実施の形態2では、この点を実施の形態1と同様に考慮して、燃料電池10の出力電流値Iが大きいほど判定値ΔPth_fを大きく設定している。その結果、精度良く異常判定を行うことができる。なお、図11に示す点線は、基準となる圧力差の値であるΔPstdを模式的に図示したものである。
ステップS274の条件が否定された場合には、圧力差ΔPは許容範囲内の値を示していると判断され、今回のルーチンが終了する。この場合のΔPは、図11のマップを用いて述べれば、ΔPth_fの直線よりも紙面下方の領域に存在している。
ステップS274の条件が成立した場合には、燃料電池10にフラッディングが発生していると判断される(ステップS276)。この場合のΔPは、図11のマップを用いて述べれば、ΔPth_fの直線よりも紙面上方の領域に存在している。このステップにおいて、実施の形態1のステップS106と同じように、現時点でフラッディングが発生しているという判断が確定される。つまり、燃料電池10の異常が検出される。
ステップS276に続いて、エアストイキ比を増加する処理が実行される(ステップS278)。このステップでは、エアコンプレッサ34を所定の回転数まで上昇させて、カソードへの空気の流入量を十分に多くする。これによりカソードのストイキ比が上昇し、カソードからアノードへの拡散水の量が低減される。その結果、フラッディングを緩和または解消することができる。その後、今回のルーチンが終了する。
以上の処理によれば、圧力差ΔPの値に基づいて、燃料電池10のフラッディングの発生を検出することができる。検出した異常に対してフラッディング緩和制御を行い、異常に対して適切な措置を取ることができる。
[実施の形態2の変形例]
(第1変形例)
実施の形態2も、実施の形態1と同様に、完全デッドエンドシステムに適用することができる。
(第2変形例)
実施の形態2では、カウンターフロー流路を備える燃料電池を対象にフラッディングの検出を行った。これに対し、第2変形例では、コフロー流路を備える燃料電池を対象にフラッディングの検出を行う。
図12は、コフロー流路を有する単位セル280を示している。第2変形例にかかる燃料電池システムは、実施の形態2の燃料電池システムのうち、単位セル2を単位セル280に交換したものである。したがって、システム構成の図は省略し、単位セル280を中心に以下説明する。単位セル280は、単位セル202と同様に、膜電極接合体240、燃料ガス流路282、酸化ガス流路284を備える。
コフロー流路では、酸化ガス流路284の出口が、燃料ガス流路282の出口と対向している。このため、酸化ガス流路284の出口側および燃料ガス流路282の出口側が、ともに、相対的に湿度が高い状態にある。その結果、カウンターフロー流路の場合とは異なり、コフロー流路の場合には、燃料ガス流路282の出口部分でフラッディングが生じ易くなる。
燃料ガス流路282の出口部分でフラッディングが生じれば、当該出口部分での発電反応が阻害される。その結果、燃料ガス流路242の下流側の部分は、電流密度が高くなる。このような電流密度分布の偏りは、実施の形態1において図3を用いて述べたのと同様の現象を発生させる。その結果、圧力差ΔPが減少する。
そこで、コフロー流路の場合には、フラッディング未発生と認められる状況下において圧力差ΔPが示しうる数値範囲の下限値を、フラッディング判定値に設定する。図10のステップS274に代えて、圧力差ΔPがフラッディング判定値を下回っているか否かを判定すればよい。
以上説明したように、この第2変形例によれば、コフロー型の燃料電池を対象にして、燃料電池内部のフラッディングを検出することができる。フラッディングが検出されたら、実施の形態2と同様に、フラッディングを緩和または解消する制御を実行する。
実施の形態3.
膜電極接合体40の一部分が過度に乾燥すると、その部分の抵抗値が大きくなって発電が阻害される。このような現象は、ドライアップと称される。ドライアップが生ずると、燃料電池内部の発電分布が通常の状態と相違し、結果的に燃料電池内部のガスの消費傾向が変化する。その結果、圧力差が変化する。そこで、実施の形態3は、この点を利用して、圧力差ΔPに基づいて燃料電池内部のドライアップを検出することとした。
実施の形態3の構成は、実施の形態2と同じとする。このため、説明は省略する。
実施の形態3は、カウンターフロー流路を備える燃料電池を対象にして、燃料電池内部のドライアップを検出する。カウンターフロー流路を有する単位セル202(図7を参照)では、酸化ガス流路244の入口が、燃料ガス流路242の出口と対向している。酸化ガス流路244の入口は、比較的乾燥しやすい。このため、膜電極接合体40のうち酸化ガス流路244入口側と燃料ガス流路242出口側に挟まれた部分は、相対的に乾燥しやすい状態にある。
膜電極接合体40の一部分が、過度に乾燥して抵抗値が大きくなると、その部分の発電が阻害される(ドライアップ)。このように、カウンターフロー流路を備える単位セル202では、燃料ガス流路242の出口部分でドライアップが生じ易くなる。
燃料ガス流路242の出口部分でドライアップが生じれば、当該出口部分での発電反応が阻害される。その結果、燃料ガス流路242の上流側の部分は、電流密度が高くなる。このような電流密度分布の偏りは、実施の形態1において図3を用いて述べたのと同様の現象を発生させる。その結果、圧力差ΔPが減少する。
そこで、実施の形態3では、先ず、ドライアップ未発生と判断される状況下で圧力差ΔPの値が示しうる数値範囲を、実験的に或いはシミュレーションで予め特定し、この範囲に基づいて圧力差ΔPの下限値を決定しておく。この下限値を、ドライアップの検出に用いるための判定値(ドライアップ判定値)とする。燃料電池10の発電中に、このドライアップ判定値と、差圧計24が計測した圧力差ΔPとを比較する。圧力差ΔPがドライアップ判定値を下回るほどに減少した場合には、燃料電池10の内部でドライアップが発生していると判断することができる。
以上説明したように、実施の形態3によれば、圧力差ΔPに着目することにより、電流密度分布の偏りが生じた時点で、燃料電池10内のドライアップを検出することができる。従って、ドライアップを早期に検出することができる。
[実施の形態3の具体的処理]
図13は、実施の形態3の燃料電池システムにおいて実行されるルーチンのフローチャートである。図13に示すルーチンでは、先ず、図5で示した実施の形態1のルーチンと同様に、ステップS100とステップS102の処理が順次実行される。
次に、圧力差ΔPが、ドライアップ判定値を下回っているか否かが判定される(ステップS304)。このステップでは、先ず、ECU30が、予め定められたドライアップ判定値ΔPth_dのマップを参照し、ステップS100で検知された現在の出力電流値に応じたドライアップ判定値ΔPth_d(I)を取得する。以下、簡略のため、ドライアップ判定値を、単に「判定値」とも称す。判定値ΔPth_dのマップは、図6に示した下限値ΔPth_lのマップと同様に、出力電流値Iが大きいほど大きな値をとるように定めておくことができる。
ステップS304の条件が否定された場合には、圧力差ΔPは許容範囲内の値を示していると判断され、今回のルーチンが終了する。
ステップS304の条件が成立した場合には、燃料電池10にドライアップが発生していると判断される(ステップS306)。このステップにおいて、実施の形態1のステップS106と同じように、現時点でドライアップが発生しているという判断が確定される。
ステップS306に続いて、ドライアップ緩和制御が実行される(ステップS308)。実施の形態3では、水素調圧弁8の開度を絞りぎみに調節する。これにより水素全圧を下げて流速を上げ、水移動を促進する。その結果、ドライアップを緩和または解消することができる。なお、このステップでは、例えば、水移動を十分に促進することができるアノードの圧力の目標値を予め把握しておき、当該目標値になるように水素調圧弁8の開度をフィードバック制御してもよい。ステップS308が実行されると、その後、今回のルーチンが終了する。
以上の処理によれば、圧力差ΔPの値に基づいて、燃料電池10のドライアップの発生を検出することができる。検出した異常に対してドライアップ緩和制御を行い、異常に対して適切な措置をとることができる。
[実施の形態3の変形例]
(第1変形例)
実施の形態3を、コフロー流路を有する燃料電池に適用することができる。ここでは、図12の単位セル280を前提に説明する。コフロー流路の場合には、カウンターフロー流路の場合とちょうど反対の関係が成立している。つまり、コフロー流路の場合には、燃料ガス流路の入口部分が乾燥しやすい。
燃料ガス流路282の入口部分が過度に乾燥してドライアップが生じれば、これに応じて、燃料ガス流路282の出口側の位置で、電流密度が相対的に高くなる。このような電流密度分布の偏りは、実施の形態2において図8を用いて述べたのと同様の現象を発生させる。その結果、圧力差ΔPが増加する。
そこで、コフロー流路の場合には、ドライアップが発生していない状況下において圧力差ΔPが示しうる数値範囲の上限値を、フラッディング判定値とする。図13のステップS304に代えて、このドライアップ判定値と圧力差ΔPの比較処理を実行すればよい。以上説明したように、この第2変形例によれば、コフロー流路を有する燃料電池を対象にして、燃料電池内部でドライアップが生じているか否かを判定することができる。ドライアップの発生が検出されたら、実施の形態3と同様に、ドライアップを緩和または解消する制御を実行する。
実施の形態4.
実施の形態4は、燃料ガス流路の下流において生ずる燃料欠乏異常と、ドライアップやフラッディングといった他の異常とを、区別して検出することができる。
[実施の形態4の構成]
図14は、実施の形態4の燃料電池システムの構成を示す図である。実施の形態4の燃料電池システムは、排気管20に水素濃度センサ350を備える点を除き、実施の形態1と同じ構成を有する。従って、実施の形態4の単位セル2は、カウンターフロー流路を有する。
水素濃度センサ350は、ECU30と接続している。ECU30は、水素濃度センサ350の出力に基づいて、燃料電池10から排出されたアノードオフガスの水素濃度を検知する。
[実施の形態4の異常検出]
実施の形態1で述べたように、燃料ガス流路42の下流側に不純物質が蓄積して燃料欠乏異常が発生した場合、水素の消費傾向が変化して最終的に圧力差ΔPが減少する。
ところで、実施の形態3でも述べたように、カウンターフロー流路の場合、燃料ガス流路42の出口部分でドライアップが生じやすい。燃料ガス流路42の出口部分でドライアップが生ずると、燃料ガス流路42の上流側の部分の電流密度が増加し、その影響を受けて圧力差ΔPが減少する。
このように、カウンターフロー流路の場合、燃料欠乏異常およびドライアップの両方が、圧力差ΔPを減少させるように働く。このため、圧力差ΔPの減少幅のみに依拠して異常検出を行う場合、燃料欠乏異常とドライアップのうちどちらが発生しているかを区別することが困難である。
排気管20内には、燃料電池10のアノードから排出されたアノードオフガスが存在している。排気管20内のアノードオフガス中には、極微少量ではあるものの水素が含まれている。燃料欠乏異常が発生すると、燃料ガス流路42の下流側が窒素等で占められるので、アノードオフガスの水素濃度は更に低下する(以下、アノードオフガスの水素濃度を、「排気水素濃度」とも称す)。
そこで、実施の形態4では、排気水素濃度が有意に低下している場合には、燃料欠乏異常が発生しているという判断を下すことにする。これにより、燃料欠乏異常とドライアップとを区別して検出することができる。
[実施の形態4の具体的処理]
以下、実施の形態4の燃料電池システムが実行する具体的処理を説明する。図15は、実施の形態4の燃料電池システムが実行する具体的処理のフローチャートである。図15に示すルーチンでは、先ず、図5で示した実施の形態1のルーチンと同様に、ステップS100とステップS102の処理が順次実行される。
次に、図15のルーチンでは、排気水素濃度を検出する処理が実行される(ステップS380)。このステップでは、ECU30が、水素濃度センサ350の出力に基づいて、現在の排気水素濃度を取得する。
次に、排気水素濃度が所定値を下回っているか否かが判定される(ステップS382)。この所定値は、予め実験等により燃料欠乏異常が発生した状況下での排気水素濃度を計測し、この計測により得られた値に基づいて決定しておく。
ステップS382の条件が成立した場合には、燃料欠乏異常が発生していると判定し(ステップS384)、排気流量を増加する(ステップS386)。これにより、実施の形態1の具体的処理におけるステップS106、S108と同様に、異常検出とその異常への対処がなされる。その後、今回のルーチンが終了する。
ステップS382の条件が否定された場合には、続いて、圧力差ΔPが、ドライアップ判定値を下回っているか否かが判定される(ステップS304)。このステップ以降は、実施の形態3で述べたルーチンと同様である。
以上の処理によれば、カウンターフロー流路を有する単位セルを対象にして圧力差ΔPに基づく異常検出を行う際に、燃料欠乏異常とドライアップとを区別して検出することができる。
なお、実施の形態1では、先に排気水素濃度を検出して、その後圧力差ΔPの判定を行った。しかしながら、本発明はこれに限られるものではない。それらの順番を逆にしてもよい。つまり、先に圧力差ΔPの判定を行い、その後、排気水素濃度の判定を行って、燃料欠乏異常をドライアップから区別してもよい。
[実施の形態4の変形例]
(第1変形例)
実施の形態4の内容を、コフロー流路を有する燃料電池に応用することができる。実施の形態2の第1変形例で述べたように、コフロー流路の場合、フラッディングが発生すると、圧力差ΔPが減少する。このため、コフロー流路の場合、燃料欠乏異常およびフラッディングの両方が、圧力差ΔPを減少させるように働く。そこで、第1変形例では、このような状況下において、燃料欠乏異常をフラッディングと区別して検出する。
具体的には、図14に示した構成のうち、単位セル2を単位セル280に置き換える。このシステムに対して、ステップS304、S306およびS308を変更したうえで、図15のルーチンを実行する。ステップS304の内容は、圧力差ΔPが所定のフラッディング判定値を下回っているか否かの判定処理に、置き換える。ステップS306は、フラッディングを判定する処理に、ステップS308は、エアストイキ比を上げる処理に、それぞれ置き換える。
以上の処理によれば、コフロー流路を有する単位セルを対象にして圧力差ΔPに基づく異常検出を行う際に、燃料欠乏異常とフラッディングとを区別して検出することができる。さらに、検出した異常に対して、的確な措置をとることができる。
実施の形態5.
実施の形態5は、燃料電池システムの起動時の制御に関する。実施の形態5は、実施の形態1と同じ構成を有している。このため、図示は省略する。
燃料電池システムでは、カソード側のガスが電解質膜を介してアノードに侵入する。燃料電池システムを停止している状態においても、このようなガスの侵入は生じうる。このため、燃料電池システムでは、システム起動時に、アノード内に窒素などの不純物質ガスが充満している場合がある。燃料電池が良好に発電を行うためには、アノード内に十分に水素が行き渡っている必要がある。このため、燃料電池システムの始動時には、アノード内の不純物質ガスを、水素と置換するという作業が行われる(以下、この作業を「ガス置換」とも称す)。
実施の形態5では、このガス置換を次のようにして行うこととする。先ず、システム起動時、発電量を少なく抑えた状態で発電を行い、かつ、圧力差ΔPを監視する。さらに、システム起動時には、所定の排気流量で排気弁22による排気を行う。
ここで、システム起動時の排気流量は、次のようにして決定することができる。図16は、システム起動時における燃料電池10内のガス分布状態を模式的に表した図である。図16では、便宜上、燃料電池10内のアノードの空間を1つの流路に見立てて、アノードの最上流位置を0と、アノードの最下流位置を1と記載している。システム起動直後は、図16のように、アノード上流側に十分に水素が存在し、アノード下流側では窒素が大きな容積(以下「窒素量V(L)」と称す)を占める。この窒素量V(L)とカソードからの窒素透過量との合計を排出するように、排気流量を決定すればよい。
実施の形態1で述べたように、燃料ガス流路42下流に滞留している不純物質ガスの量が多いほど、単位セル2内の電流密度の分布が上流側へと偏り、その結果、圧力差ΔPが小さくなる。一方、起動後に、排気弁22の排気により不純物質ガスの量が減少していけば、電流密度分布の偏りが緩和されていき、これに応じて圧力差ΔPが増大していく。
実施の形態5では、この圧力差ΔPが、しきい値として予め設定した所定値ΔPth_startを超えたら、燃料電池10のアノードに十分に水素が行き渡ったと判断する。すなわち、ガス置換が完了したとの判定を下す。なお、ΔPth_startの値には、例えば、燃料電池10のアノード下流側まで水素が十分に行き渡ったときの圧力差ΔPを予め計測して設定しておけばよい。ガス置換完了の判定が下された後、実施の形態5の燃料電池システムは、本格的に発電を開始する。つまり、通常の発電状態へと移行する。その後の排気弁22の排気流量は、例えば、実施の形態1で述べた排気モード時の排気流量に設定することができる。
以上説明した実施の形態5によれば、ガス置換の完了のタイミングを把握することができ、システム起動時に排気弁22による排気を適量に行うことができる。よって、システム起動時のガス置換を、水素の無駄な排出を抑えつつ行うことができる。
なお、上述した実施の形態1乃至4は、組み合わせて用いてもよい。例えば、実施の形態1と実施の形態2を組み合わせる場合には、フラッディング判定値と、燃料欠乏異常検出用に設定した下限値とによって規定される所定の数値範囲内に、圧力差ΔPが収まっているか否かを判定すればよい。つまり、図6のΔPth_lと図11のΔPth_fとにより規定される特定の範囲内に、圧力差ΔPが収まっているか否かを判定すればよい。
本発明の実施の形態1の燃料電池システムの構成を模式的に示す図である。 燃料電池10を構成する単位セル2の内部構造を示す図である。 実施の形態1にかかる異常検出の詳細を説明するための図である。 実施の形態1にかかる異常検出の詳細を説明するための図である。 実施の形態1の燃料電池システムが実行する具体的処理のフローチャートである。 実施の形態1の具体的処理で用いられる、下限値ΔPth_lと出力電流値との関係を規定したマップである。 実施の形態2の単位セル202の構成を示す図である。 実施の形態2にかかる異常検出の詳細を説明するための図である。 実施の形態2にかかる異常検出の詳細を説明するための図である。 実施の形態2の燃料電池システムにおいて実行されるルーチンのフローチャートである。 実施の形態2の具体的処理で用いられる、判定値ΔPth_fと出力電流値との関係を規定したマップである。 コフロー流路を有する単位セル280を示す図である。 実施の形態3の燃料電池システムにおいて実行されるルーチンのフローチャートである。 実施の形態4の燃料電池システムの構成を示す図である。 実施の形態4の燃料電池システムが実行する具体的処理のフローチャートである。 システム起動時における燃料電池10内のガス分布状態を模式的に表した図である。
符号の説明
2、202、280 単位セル
8 調圧弁
10 燃料電池
12 水素タンク
14 供給管
16 水素調圧弁
20 排気管
22 排気弁
24 差圧計
26 電流計
32 空気供給管
34 エアコンプレッサ
36 カソード排気管
40、240 膜電極接合体
42、242、282 燃料ガス流路
44、244、284 酸化ガス流路
350 水素濃度センサ
ΔP 圧力差
ΔPth_l 下限値
ΔPth_d ドライアップ判定値
ΔPth_f フラッディング判定値

Claims (6)

  1. 燃料ガスの供給を受けて発電する発電体と、該発電体と接しながら、該発電体の表面に沿って延びる燃料ガス流路とを有する燃料電池と、
    前記燃料ガス流路に燃料ガスを供給する燃料ガス供給機構と、を備え、
    前記燃料ガス流路の下流を閉塞して運転を行う状態であるデッドエンド運転状態と、該燃料ガス流路の下流から排出されるガスの排出量を該燃料ガス流路に流れ込むガスの量に比して微小量にして運転を行う状態である少量排気運転状態とのうち、少なくとも一方の運転状態を実現することができる燃料電池システムであって、
    さらに、
    前記燃料ガス流路の上流のガスの圧力と、該燃料ガス流路の下流のガスの圧力との差を測定することができる測定手段と、
    前記測定手段が測定した圧力の差に基づいて、前記燃料電池の異常を検出する検出手段と、
    を備えることを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記検出手段が、前記測定手段が測定した圧力の差の大きさが所定の下限値を下回っている場合に、前記燃料ガス流路の下流で燃料が欠乏する異常が発生していると判定する燃料欠乏検出手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記検出手段が、前記測定手段が測定した圧力の差の大きさと、所定のドライアップ判定値との比較に基づいて、前記燃料電池内部におけるドライアップの発生を検出するドライアップ検出手段を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池システム。
  4. 前記検出手段が、前記測定手段が測定した圧力の差の大きさと、所定のフラッディング判定値との比較に基づいて、前記燃料電池内部におけるフラッディングの発生を検出するフラッディング検出手段を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  5. 請求項3または4に記載の燃料電池システムにおいて、
    さらに、
    前記燃料ガス流路下流のガス中の燃料濃度を検出する濃度検出手段を備え、
    前記検出手段が、前記濃度検出手段が検出した燃料濃度に基づいて、前記燃料ガス流路の下流で燃料が欠乏する異常が発生しているか否かを判定することを特徴とする燃料電池システム。
  6. 前記所定の下限値、前記フラッディング判定値および前記ドライアップ判定値のうち少なくとも1つが、前記燃料ガス供給機構から前記燃料ガス流路に供給されるガスの単位時間当たりの流量が多いほど大きな値をとるように定められていることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
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