JP2009258055A - 放射線像変換パネル - Google Patents
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Abstract
【課題】 蛍光寿命劣化をより単純な構造で効果的に防止する放射線像変換パネルを提供することを目的としている。
【解決手段】 放射線像変換パネル(1)は、支持体(100)と、該支持体(100)上に形成された放射線変換膜(200)とを備える。放射線変換膜(200)は、支持体(100)の第1主面(100a)のうち少なくとも該第1主面(100a)の重心位置(G)を含む膜形成領域(R)上に形成される。放射線変換膜(200)にはEuが添加されており、このEu濃度分布は、該放射線変換膜(200)の中央付近よりも周辺が高くなるよう濃度勾配を有する。このように添加されるEu濃度に濃度勾配を持たせることにより、放射線変換膜(200)の周辺における輝度落ち込みが低減される。
【選択図】 図1
【解決手段】 放射線像変換パネル(1)は、支持体(100)と、該支持体(100)上に形成された放射線変換膜(200)とを備える。放射線変換膜(200)は、支持体(100)の第1主面(100a)のうち少なくとも該第1主面(100a)の重心位置(G)を含む膜形成領域(R)上に形成される。放射線変換膜(200)にはEuが添加されており、このEu濃度分布は、該放射線変換膜(200)の中央付近よりも周辺が高くなるよう濃度勾配を有する。このように添加されるEu濃度に濃度勾配を持たせることにより、放射線変換膜(200)の周辺における輝度落ち込みが低減される。
【選択図】 図1
Description
この発明は、入射された放射線を可視光に変換する、柱状結晶構造を有する放射線変換膜を備えた放射線像変換パネルに関するものである。
X線画像に代表される放射線画像は、従来から病気診断用などに広く用いられている。このような放射線画像を得る技術として、例えば、照射された放射線エネルギーを蓄積、記録する一方、励起光を照射することにより蓄積、記録された放射線エネルギーに応じて可視光を発する放射線変換膜を用いた放射線像の記録再生技術が広く実用化されている。
このような放射線像の記録再生技術に適用される放射線像変換パネルは、支持体と、該支持体の上に設けられた放射線変換膜を備える。放射線変換膜には、気相成長(堆積)により形成された柱状結晶構造を有する輝尽性蛍光体膜が知られている。輝尽性蛍光体層が柱状結晶構造を有する場合、輝尽励起光又は輝尽発光の横方向への拡散が効果的に抑制されるため(クラック(柱状結晶)界面において反射を繰り返しながら支持体面まで到達する)、輝尽発光による画像の鮮鋭性を著しく増大させることができる。
例えば、特許文献1には、気相堆積法によって支持体上に、支持体の法線方向に対し、一定の傾きを持った細長い柱状結晶を形成した輝尽性蛍光体層を有する放射線像変換パネルが提案されている。また、特許文献2には、支持体上に形成された輝尽性蛍光体層を、表面粗さRaが20nm以下の基材と多層防湿層からなる防湿性保護膜で封止することにより、水分等による輝尽性蛍光体層の劣化を防止する技術が提案されている。
特開平2−58000号公報
特開2005−315786号公報
発明者らは、従来の放射線像変換パネルについて詳細に検討した結果、以下のような課題を発見した。すなわち、従来の放射線像変換パネルにおける放射線変換膜について、発明者らが恒温高湿度での蛍光寿命評価を行うと、該放射線変換膜の中央付近と周辺では、輝度落ちに著しい差があることが分かった。なお、蛍光寿命評価は、温度25℃、湿度50%の環境下で1ヶ月間(720時間)使用したサンプルの輝度値を初期の輝度値に対する比率で輝度値の落ち込みを定量化する試験である。
上記特許文献2に記載された技術では、上述のような放射線変換膜の特性は全く考慮されていない。そのため、放射線変換膜全体を均一に特殊な構造の防湿保護膜により封止する特許文献2の技術によれば、放射線像変換パネル全体の構造が複雑になるという課題があった(製造プロセスの複雑化)。
この発明は上述のような課題を解決するためになされたものであり、パネル全体の蛍光寿命劣化をより単純な構造で効果的に防止する放射線像変換パネルを提供することを目的としている。
この発明に係る放射線像変換パネルは、発明者らが、放射線変換膜に添加されるEu濃度を制御することにより、当該パネルの輝度落ち込みを効果的に抑制できるとことを発見したことにより完成されたものである。具体的に、この発明に係る放射線像変換パネルは、支持体と、該支持体上に形成された放射線変換膜とを備える。支持体は、放射線変換膜が形成される第1主面と、該第1主面に対向する第2主面を有する平行平板を含む。放射線変換膜は、支持体の第1主面のうち少なくとも該第1主面の重心位置を含む膜形成領域上に形成される。この放射線変換膜は、Euが添加された輝尽性蛍光体層であり、第1主面の法線方向に一致するか、あるいは所定角度の傾きを持った柱状結晶により構成されている。
特に、この発明に係る放射線像変換パネルにおいて、放射線変換膜におけるEu濃度分布は、重心位置上の放射線変換膜(中央エリア)より周辺エリアの方が高くなるよう濃度勾配が与えられている。具体的には、第1主面における膜形成領域において、半径が重心位置から膜形成領域のエッジまでの最短距離の40%以上80%以下である該重心位置を中心とした基準円の円周と該膜形成領域のエッジで挟まれた周辺エリア上に位置する前記放射線変換膜のEu濃度が、重心位置上の放射線変換膜のEu濃度よりも高く設定されている。
なお、この発明に係る放射線像変換パネルにおいて、放射線変換膜のEu濃度は、重心位置から基準円の円周に向かって単調増加しているのが好ましい。また、重心位置におけるEu濃度の適正値は、光学式読取装置のレーザ波長やレーザ光特性、撮像装置の感度等で変化するため、該重心位置上の放射線変換膜におけるEu濃度は、0.001wt%以上かつ0.3wt%以下であるのが好ましい。
この発明に係る放射線像変換パネルにおいて、放射線変換膜の輝度落ち込みをより効果的に抑制するためには、周辺エリア上の放射線変換膜のEu濃度は、0.06wt%以上であるのが好ましい。ただし、当該放射線像変換パネル全体の輝度を均一に維持するためには、周辺エリア上の放射線変換膜のEu濃度は、重心位置上の放射線変換膜のEu濃度の2倍以下であるのが好ましい。
さらに、この発明に係る放射線像変換パネルは、支持体の第1主面に覆われた面を除く、放射線変換膜の露出面を覆う耐湿保護膜(透明有機膜)を備えてもよい。
なお、この発明に係る各実施例は、以下の詳細な説明及び添付図面によりさらに十分に理解可能となる。これら実施例は単に例示のために示されるものであって、この発明を限定するものと考えるべきではない。
また、この発明のさらなる応用範囲は、以下の詳細な説明から明らかになる。しかしながら、詳細な説明及び特定の事例はこの発明の好適な実施例を示すものではあるが、例示のためにのみ示されているものであって、この発明の思想及び範囲における様々な変形および改良はこの詳細な説明から当業者には自明であることは明らかである。
上述のようにこの発明は、放射線変換膜に添加されるEu濃度分布に、該放射線変換膜の中央付近よりも周辺において高くなるよう濃度勾配を持たせたことにより、通常、輝度落ち込みが中央付近よりも激しい該放射線変換膜の周辺においても輝度落ち込みが低減される。これにより、当該放射線像変換パネル全体として十分な蛍光寿命が維持される。
以下、この発明に係る放射線像変換パネルの各実施形態を、図1〜図8を参照しながら詳細に説明する。なお、図の説明において同一部位、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
図1は、この発明に係る放射線像変換パネルの一実施形態の構造を示す図である。特に、図1(a)は、当該放射線像変換パネル1の平面図、図1(b)は、図1(a)中のI−I線に沿った当該放射線像変換パネル1の断面図、また、図1(c)は、図1(a)中のII−II線に沿った当該放射線像変換パネル1の断面図である。
図1において、放射線像変換パネル1は、支持体100と、該支持体100上に形成された放射線変換膜200と、支持体100及び放射線変換膜200を全体的に覆う保護膜(透明有機膜)を備える。支持体100は、放射線変換膜200が形成される第1主面100aと、該第1主面100aに対向する第2主面100bを有する平行平板である。放射線変換膜200は、支持体100の第1主面100aのうち少なくとも該第1主面100aの重心位置Gを含む膜形成領域R上に形成される。この放射線変換膜200は、第1主面100aの法線方向に一致するか、あるいは所定角度の傾きを持った柱状結晶により構成されている。
図2は、この発明に係る放射線変換膜における各部の断面構造を示す図である。具体的に、図2(a)は、図1(c)における領域A1の断面図、図2(b)は、図1(c)における領域B1の断面図、図2(c)は、図1(c)における領域C1の断面図である。
これら図2(a)〜2(c)から分かるように、放射線変換膜200を構成する柱状結晶の結晶径D1〜D3は、いずれも略7μmであり、該放射線変換膜200全面に亘って略均一になっている。ただし、放射線変換膜200には賦活剤であるEuが添加されており、該放射線変換膜200の中央付近から周辺に向かって徐々にEu濃度が増加するよう該Euが添加されている。Eu濃度は、当該パネルの輝度落ち込みの抑制に寄与することが発明者らによって発見されたが、中央付近と比較して輝度落ち込みの激しい周辺においてEu濃度を高く設定しておくことにより、パネル全体として十分な蛍光寿命を維持することができる。
次に、図3を用いて、支持体100の第1主面100aにおける膜形成領域Rにおいて、該膜形成領域R上に形成される放射線変換膜200のEu濃度分布を規定するため、該膜形成領域Rの中央エリアAR1と周辺エリアAR2について説明する。図3は、支持体100の第1主面100a(膜形成領域R)における中央エリアAR1と周辺エリアAR2の特定方法を具体的に説明するための図である。
膜形成領域Rにおける中央エリアAR1は、重心位置Gを含む局所領域である。具体的には、重心位置Gからの離間距離が該重心位置Gから該膜形成領域Rのエッジまでの最短距離の5%となる重心位置Gを含む局所領域(半径が最短距離の5%となる重心位置Gを中心とした円の内側)である。一方、膜形成領域における周辺エリアAR2は、半径が重心位置Gから該膜形成領域Rのエッジまでの最短距離の40〜80%となる該重心位置Gを中心とした円の円周と、膜形成領域Rのエッジとで挟まれた局所領域である。
なお、放射線変換膜200は、このように中央エリアAR1及び周辺エリアAR2が定義される第1主面100aの膜形成領域R上に形成されており、放射線変換膜200の中央付近と周辺は、図3で定義された中央エリアAR1及び周辺エリアAR2とそれぞれ実質的に一致した領域と考えてよい。
次に、図4は、この発明に係る放射線像変換パネルにおける放射線変換膜200を支持体100上に形成するための製造装置の構成を示すである。
この図4に示された製造装置10は、支持体100の第1主面100a上に放射線変換膜200を気相堆積法により形成する装置である。気相堆積法としては、蒸着法、スパッタリング法、CVD法、イオンプレーティング法等が適用可能であるが、一例として、蒸着法によりEuドープCsBrの放射線変換膜200を支持体100上に形成する場合について説明する。この製造装置10は、少なくとも、真空容器11と、支持体ホルダ14と、回転軸13aと、駆動装置13と、蛍光体蒸発源15a、15bと、真空ポンプ12を備える。支持体ホルダ14、蒸発源15、及び回転軸13aの一部は真空容器11内に配置される。支持体ホルダ14は、支持体100を加熱するためのヒータ14aを含む。駆動装置13から伸びた回転軸13aの一端は支持体ホルダ14に取り付けられており、駆動装置13が回転軸13aを介して支持体ホルダ14を回転させる。蛍光体蒸発源15a、15bは、いずれも真空容器11の中心軸AXからずれた位置に配置されており、支持体ホルダ14に設置される支持体100に蒸着される金属蒸気として供給される金属材料を保持する。真空ポンプ12は、真空容器11内を所定の真空度まで減圧する。
蛍光体蒸発源15a、15bには、いずれもCsBrとEuBrの混合材料がセットされているが、賦活剤としてのEu濃度は、蛍光体蒸発源15aよりも蛍光体蒸発源15bの方が高く設定されている。また、蛍光体蒸発源15aは、軸AXから外れた位置から支持体100の中央エリアAR1に金属蒸気流入方向が向くようセットされる一方、蛍光体蒸発源15bは、軸AXから外れた位置から支持体100の周辺エリアAR2に金属蒸気流入方向が向くようセットされている。支持体100が支持体ホルダ14にセットされる。支持体100の、蛍光体蒸発源15a、15bに対面した面上に形成される柱状結晶の結晶径は、ヒータ14aで支持体100自体の温度を調整することにより、また、真空容器11内の真空度や材料減15から支持体100への金属蒸気流入角度等を制御することにより、調整される。
まず、支持体100の第1主面100a(蛍光体蒸発源15a、15bに対面した面)にEuドープCsBrの柱状結晶を蒸着法によって成長させる。このとき、駆動装置13は、回転軸13aを介して支持体ホルダ14を回転させており、これにより支持体100も軸AXを中心に回転している。
このような蒸着法により、支持体100上に膜厚500μm±50μmの放射線変換膜200が形成される。このとき、放射線変換膜200における柱状結晶の結晶径は、7μm程度である。また、中央エリアAR1上に位置する放射線変換膜200のEu濃度は0.3〜0.5wt%であり、周辺エリアAR2上に位置する放射線変換膜200のEu濃度は0.7wt%以上である。これは、Eu濃度が高すぎると輝度低下が起こる一方、Eu濃度が高いと恒温高湿度試験(蛍光寿命評価)での良好な結果が得られるためである。したがって、中央エリアAR1上に位置する放射線変換膜200のEu濃度が最適値に設定される一方、周辺エリアAR2上に位置する放射線変換膜200には輝度落ち込みの対策としてEu濃度が高く設定されている。
上述のように支持体100上に形成された放射線像変換膜200をなすCsBrは、吸湿性が高い。この放射線変換膜200を露出したままにしておくと空気中の水蒸気を吸湿して潮解してしまう。そこで、放射線変換膜200の蒸着法による形成工程に続いて、放射線変換膜200の露出面全体を覆うように、CVD法により耐湿保護膜300が形成される。すなわち、放射線像変換膜200が形成された支持体100をCVD装置に入れ、膜厚10μm程度の耐湿保護膜300が放射線変換膜200の露出面上に成膜される。これにより、放射線像変換膜200及び支持体100に耐湿保護膜300が形成された放射線像変換パネル1が得られる。
支持体100上に形成される放射線変換膜200におけるEu濃度制御は、図4に示されたような蛍光体蒸発源15a、15bの配置により実現される他、図5に示された配置によっても実現可能である。
すなわち、真空容器11内には、図5に示されたように、軸AXから外れた位置に母材蒸発源16aと、賦活剤蒸発源16bが配置されてもよい。母材蒸発源16aにはCsBrがセットされ、賦活剤蒸発源16bにはEuBrがセットされる。また、母材蒸発源16aは、金属蒸気流入方向が周辺エリアAR2に向くようセットされる。賦活剤蒸発源16bは、金属蒸気流入方向が支持体100から外れるようにセットされる。このように母材蒸発源16a及び賦活剤蒸発源16bが配置された場合でも、図4に示された製造装置10と同様に、Eu濃度制御が可能である。
次に、発明者らは、放射線変換膜200の周辺エリアAR2において、輝度落ち込みを効果的に抑制できるEu濃度について検討した。図6は、周辺エリアAR2上に位置する放射線変換膜200のEu濃度と感度劣化(輝度の初期比)との関係を示す。特に、図6(a)は、種々のEu濃度とそれに対応したサンプルの感度劣化(初期比)を列挙した表である。なお、温度25℃、湿度50%の環境下で1ヶ月間(720時間)使用したサンプルの輝度値を測定することにより行われた蛍光寿命評価の数値である。具体的には、初期の輝度値に対する使用後に測定された輝度値の比である。図6(b)は、図6(a)に示されたEu濃度(wt%)及び初期比の関係をプロットしたグラフである。
図6(b)から分かるように、初期比が安定的に80%を越えるEu濃度領域は0.06wt%以上の領域であることから、少なくとも放射線変換膜200の周辺エリアAR2におけるEu濃度は0.06wt%以上であるのが好ましい。
図7は、上述のようなEu濃度分布を有するサンプルNo.1〜No.5の放射線変換膜について、測定位置(重心位置からの離間距離)とEu濃度の関係を示す。特に、図7(a)は、サンプルNo.1〜No.5のそれぞれについて、重心位置Gからの離間距離0mm、50mm、100mm、150mm、200mm、250mmそれぞれの位置でのEu濃度を示す。また、図7(b)は、図7(a)に示された離間距離(mm)及びEu濃度(wt%)の関係をプロットしたグラフである。なお、重心位置Gからの膜形成領域Rのエッジまでの最短距離が250mmの場合、該最短距離の40%は100mmとなる。これらサンプルNo.1〜No.5のでは、重心位置Gから100mm以上離間した領域が周辺エリアAR2に相当する放射線変換膜周辺である。
サンプルNo.1〜No.3の放射線変換膜は、いずれも0.6wt%以上のEuが添加されており、Eu濃度が該放射線変換膜の中央付近(中央エリアAR1に相当)よりも周辺(周辺エリアAR2に相当)の方が高くなるよう調整されている。一方、サンプルNo.4及びNo.5の放射線変換膜は、比較例として、0.6wt%よりもはるかに少ない濃度のEuが全体的にかつ略均一に添加されている。図7(b)において、グラフG710はサンプルNo.2のEu濃度分布、グラフG720はサンプルNo.1のEu濃度分布、グラフG730はサンプルNo.3のEu濃度分布、グラフG740は比較例に係るサンプルNo.4のEu濃度分布、グラフG750は比較例に係るサンプルNo.5のEu濃度分布をそれぞれ示す。
また、図8は、用意されたサンプルNo.1〜No.5の放射線変換膜について、それらの蛍光寿命の評価結果を示す表である。具体的な蛍光寿命評価は、温度25℃、湿度50%の環境下で1ヶ月間(720時間)使用したサンプルの輝度値を測定することにより行われる。この際、初期の輝度値に対する測定された輝度値の比(初期比)が80%以上維持されているサンプルが評価○、80%以下であっても実用上許容可能であるサンプルが評価△、実用上許容できない程度まで輝度値が低下したサンプルが評価×で表されている。
サンプルNo.1〜No.3の放射線変換膜では、重心位置Gから100mm以上離間した周辺エリアAR2のEu濃度が、0.6wt%以上かつ重心位置におけるEu濃度よりも高くなっている。これらサンプルNo.1〜No.3のいずれも周辺エリアAR2において蛍光寿命の劣化は見られない。逆に、比較例に係るサンプルNo.4及びNo.5の放射線変換膜では、Eu濃度が重心位置Gから膜形成領域Rのエッジまで略均一に分布しており、いずれも周辺エリアAR2において蛍光寿命の劣化が見られた。このように、支持体100の第1主面100a上に規定される膜形成領域Rの中央エリアAR1、特に重心位置G上に存在する放射線変換膜200のEu濃度に対し、該膜形成領域Rの周辺エリアAR2上に存在する放射線変換膜200のEu濃度が高くなるよう、該放射線変換膜200のEu濃度分布に濃度勾配を与えることにより、当該放射線像変換パネルの蛍光寿命の劣化は効果的に抑制される。
なお、図7から分かるように、サンプルNo.1〜No.3について、重心位置Gから離間距離100mmまでの間では、Eu濃度は単調増加している。また、これらサンプルNo.1〜No.3について、Eu濃度は全体的に0.6wt%以上であり、かつ周辺エリアAR2のEu濃度は、重心位置GにおけるEu濃度の2倍以下になっている。
以上の説明から、この発明を様々に変形しうることは明らかである。そのような変形は、この発明の思想および範囲から逸脱するものとは認めることはできず、すべての当業者にとって自明である改良は、以下の請求の範囲に含まれるものである。
100…支持体、100a…第1主面、100b…第2主面、200…放射線変換膜、300…保護膜、R…膜形成領域、AR1…中央エリア、AR2…周辺エリア。
Claims (6)
- 第1主面と、該第1主面に対向する第2主面を有する支持体と、
前記支持体の前記第1主面のうち少なくとも該第1主面の重心位置を含む膜形成領域上に設けられたEuが添加された放射線変換膜であって、該第1主面の法線方向に一致するか、あるいは所定角度の傾きを持った柱状結晶により構成された放射線変換膜とを備えた放射線像変換パネルであって、
前記第1主面における前記膜形成領域において、半径が前記重心位置から前記膜形成領域のエッジまでの最短距離の40%以上80%以下である該重心位置を中心とした基準円の円周と前記膜形成領域のエッジで挟まれた周辺エリア上に位置する前記放射線変換膜のEu濃度は、前記重心位置上の前記放射線変換膜のEu濃度よりも高く設定された放射線像変換パネル。 - 前記放射線変換膜のEu濃度は、前記重心位置から前記基準円の円周に向かって単調増加していることを特徴とする請求項1記載の放射線像変換パネル。
- 前記重心位置上の前記放射線変換膜におけるEu濃度は、0.001wt%以上かつ0.3wt%以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の放射線像変換パネル。
- 前記周辺エリア上の前記放射線変換膜のEu濃度は、0.06wt%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の放射線像変換パネル。
- 前記周辺エリア上の前記放射線変換膜のEu濃度は、前記重心位置上の前記放射線変換膜のEu濃度の2倍以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の放射線像変換パネル。
- 前記支持体の前記第1主面に覆われた面を除く、前記放射線変換膜の露出面を覆う保護膜をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の放射線像変換パネル。
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